(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240729BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20240729BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20240729BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61B1/00 681
A61B1/12 540
A61B1/04 530
A61B1/00 715
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2021058529
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅弘
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/043187(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/038929(WO,A1)
【文献】特開2015-092524(JP,A)
【文献】特開2012-050704(JP,A)
【文献】特開2012-050651(JP,A)
【文献】特開2002-291693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内部に挿入される先端部に、被検体内部を撮影する撮像装置が設けられた挿入部と、
前記挿入部の基端部と接続され、前記挿入部の操作を行う操作部と、
一端側が前記操作部と接続され、他端側にプロセッサとの接続部を備えた連結可撓管部と、
を有する内視鏡装置であって、
電気信号を光信号に変換する光電変換素子、および前記撮像装置の電気信号出力を前記光電変換素子から光信号出力させる光電変換素子駆動回路部が取り付けられた第1の基板における前記光電変換素子および前記光電変換素子駆動回路部の露出部を、前記光電変換素子の光信号出力を伝送する光信号伝送線の一方側端部を前記光電変換素子に対して位置決め保持するガイド保持部を形成して、放熱部材でモールドして隠蔽してなる光送信モジュールと、
前記撮像装置が取り付けられた第2の基板に前記光送信モジュールを取り付けて構成された光伝送モジュールと、
を含み、
前記挿入部の先端部内部に、前記光電変換素子、前記光電変換素子駆動回路部および前記撮像装置を、前記光伝送モジュールによって一体的に組み付けてなる、
内視鏡装置。
【請求項2】
前記光送信モジュールの前記第1の基板における前記光電変換素子が取り付けられた基板部と、前記光伝送モジュールの前記第2の基板における前記撮像装置が取り付けられた基板部とを離間させて、両基板部間に空間部を形成した、
請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記第1の基板の前記基板部に対する前記光電変換素子の搭載向きと、前記第2の基板の前記基板部に対する前記撮像装置の搭載向きとが、互いに反対向きになるようにして取り付けられた、
請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記光伝送モジュールは、
前記空間部を放熱部材でモールドし、
前記放熱部材が前記第1の基板の前記基板部および前記第2の基板の前記基板部と接触している 、
請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
被検体内部に挿入される先端部に、被検体内部を撮影する撮像装置が設けられた挿入部と、
前記挿入部の基端部と接続され、前記挿入部の操作を行う操作部と、
一端側が前記操作部と接続され、他端側にプロセッサとの接続部を備えた連結可撓管部と、
を有する内視鏡装置であって、
光信号を電気信号に変換する光電変換素子、および前記光電変換素子の電流信号出力を電圧信号出力に変換する信号変換回路部が取り付けられた第1の基板における前記光電変換素子および前記信号変換回路部の露出部を、前記挿入部から前記操作部を介して前記連結可撓管部内を延設されている光信号伝送線の他方側端部を前記光電変換素子に対して位置決め保持するガイド保持部を形成して、放熱部材でモールドして隠蔽してなる光受信モジュールと、
前記プロセッサ側に設けられた制御基板と信号および電源接続するための装置接続コネクタが取り付けられた第2の基板に前記光受信モジュールを取り付けて構成された光伝送モジュールと、
を含み、
前記連結可撓管部の接続部内部に、前記光電変換素子、前記信号変換回路部および前記装置接続コネクタを、前記光伝送モジュールによって一体的に組み付けてなる、
内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、内視鏡装置は、被検体内部に挿入される細長い管状の挿入部と、挿入部の基端側に設けられて挿入部をはじめとする内視鏡装置各部の操作を行う操作部と、操作部から延設されて内視鏡装置をプロセッサ(信号処理装置)に接続するための連結可撓管(ユニバーサルコード)とを有し、挿入部の先端には、観察箇所を撮影するCCD等の撮像素子を内蔵した撮像装置が設けられた構成になっている。
【0003】
内視鏡装置は、連結可撓管を介してプロセッサに接続された状態で使用され、制御信号や撮像装置によって撮影された映像信号の伝送をプロセッサとの間で行い、駆動電力の供給もプロセッサから受ける。一方、プロセッサは、内視鏡装置から伝送される、挿入部先端の撮像装置により撮影された映像信号に基づいて、被検体内部の観察箇所の画像を生成する。
【0004】
ところで、CCD、CMOS等の撮像素子(イメージセンサ)では、より鮮明な映像を撮影できるように、撮像素子の高密度、高画素数化が行われている。内視鏡装置も、より鮮明な観察箇所の画像を取得すべく、このような高密度・高画素数化された撮像素子の利用が期待されている。しかしながら、高密度、高画素数化された撮像素子を内視鏡装置の撮像装置に使用する場合は、撮像素子の高密度、高画素数化に伴って情報量が増加した映像信号を、挿入部先端の撮像装置とプロセッサとの間で遅滞なく高速で伝送することが必要になってくる。そのため、内視鏡装置の挿入部先端の内部には、特許文献1、2に示すような、撮像素子および撮像素子による映像信号をプロセッサに向けて伝送する光伝送モジュールが組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6300442号公報
【文献】国際公開第2018/092233号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、内視鏡装置では、挿入部は被検体内部に挿入されるため、撮像素子および光伝送モジュールが内部に組み込まれる挿入部先端の硬質部分(先端部における非・屈曲伸張部分)の外径ならびに長さはできるだけ小さく、低侵襲にすることが必要である。そのため、挿入部先端の硬質部分の内部に撮像素子とともに組み込まれる光伝送モジュールの大きさは、できるだけ小さくする必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に示されている光伝送モジュールのような、直角に折り曲げた折曲部に接着材を接着して折曲形態を保持固定したFPC基板を用い、その折曲部内側の基板面に光電変換素子および光電変換素子駆動用ICを実装する構成は、直角に折り曲げられたFPC基板の折曲形態が光伝送モジュール製造時に安定しない可能性があった。
【0008】
また、撮像素子を含む撮像装置としてのイメージセンサや光伝送モジュールの光電変換素子駆動用ICは、それぞれが発熱部品であるため、内視鏡装置の挿入部先端では、これら発熱部品それぞれの作動安定のための放熱対策も必要になる。
【0009】
しかし、特許文献1では、光伝送モジュールの長さについて光素子と駆動ICとの配置が検討され、特許文献2では、さらに信号ケーブルの接続配置が検討されているだけなので、イメージセンサや光電変換素子駆動用ICといった発熱部品それぞれの放熱対策についてまでは全く想定されていなかった。
【0010】
本開示は、上述した内視鏡装置に係る特有の課題に鑑み、挿入部先端の内部に配置される光送信モジュールの放熱対策をはかりながら小型化をはかり、その性能向上をはかった内視鏡装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本開示では、
被検体内部に挿入される先端部に、被検体内部を撮影する撮像装置が設けられた挿入部と、前記挿入部の基端部と接続され、前記挿入部の操作を行う操作部と、一端側が前記操作部と接続され、他端側にプロセッサとの接続部を備えた連結可撓管部と、を有する内視鏡装置であって、
電気信号を光信号に変換する光電変換素子、および前記撮像装置の電気信号出力を前記光電変換素子から光信号出力させる光電変換素子駆動回路部が取り付けられた第1の基板における前記光電変換素子および前記光電変換素子駆動回路部の露出部を、前記光電変換素子の光信号出力を伝送する光信号伝送線の一方側端部を前記光電変換素子に対して位置決め保持するガイド保持部を形成して、放熱部材でモールドして隠蔽してなる光送信モジュールと、
前記撮像装置が取り付けられた第2の基板に前記光送信モジュールを取り付けて構成された光伝送モジュールと、
を含み、
前記挿入部の先端部内部に、前記光電変換素子、前記光電変換素子駆動回路部および前記撮像装置を、前記光伝送モジュールによって一体的に組み付けてなる、内視鏡装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、第1の基板に光電変換素子および光電変換素子駆動回路部を一体的に取り付けて、光電変換素子および光電変換素子駆動回路部の第1の基板上における露出部をモールドして隠蔽してなる光送信モジュールにあって、そのモールド部が、光電変換素子の光信号出力を伝送する光信号伝送線の一方側端部を光電変換素子に対して位置決め配置するガイド支持部になっている。これにより、内視鏡装置の挿入部の先端部に配置される光伝送モジュールの小型化、製造における安定性が向上する。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の内視鏡装置の一実施例に係る医療用の内視鏡装置の全体構成図である。
【
図2】本実施例の内視鏡装置のシステム構成を示した模式図である。
【
図3】イメージセンサ、光電変換素子駆動回路および光電変換素子を一体化して構成された光伝送モジュールの一実施例の全体構成図である。
【
図4】
図3に示した光伝送モジュールにおいて、光電変換素子駆動回路および光電変換素子を予め一体化して構成された光送信モジュールの一実施例の全体構成図である。
【
図5】
図4に示した光送信モジュールの構成説明図である。
【
図6】
図4に示した光送信モジュールを用いた光伝送モジュールの構成説明図である。
【
図7】光電変換素子、トランスインピーダンスアンプおよびライトニングアレスタを予め一体化して構成された光伝送モジュールの一実施例の全体構成図である。
【
図8】光送信モジュールの別の実施例の構成説明図である。
【
図9】光送信モジュールのさらに別の実施例の構成説明図である。
【
図10】光受信モジュールを備えた光伝送モジュールの別の実施例の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る内視鏡装置について、医療用の内視鏡装置を例に説明する。医療用の内視鏡装置の場合、観察対象は、例えば、呼吸器等、消化器等である。そのため、医療用の内視鏡装置では、挿入部の先端内部に組み込まれ、挿入部の先端部における硬質部分を形成する光伝送モジュールの形状および大きさをできるだけ小さくすることが、低侵襲のために望まれている。
【0015】
なお、本開示に係る内視鏡装置は、医療用の内視鏡装置に限られるものではない。本開示で説明する医療用の内視鏡装置は、本開示に係る内視鏡装置の一の実施の形態であるに過ぎず、本開示に係る内視鏡装置の実施例全てを指すものではない。例えば、本開示で説明する医療用の内視鏡装置の実施例に基づいて、当業者が特別な創作を行うことなしに想到し得る他の内視鏡装置の実施例も、当然、本開示に係る内視鏡装置の技術的範囲に属するものである。
【0016】
図1は、本開示の内視鏡装置の一実施例に係る医療用の内視鏡装置の全体構成図である。
【0017】
図2は、本実施例の内視鏡装置のシステム構成を示した模式図である。
【0018】
図1に示すように、本実施例の内視鏡装置1は、被検体の内部に挿入される細長い管状の挿入部11と、挿入部11の基端側に配置された操作部12と、操作部12から延設された連結可撓管(ユニバーサルコード)13とを備えている。
【0019】
挿入部11は、先端側から順に先端部11a、湾曲可動部11b、可撓管部11cが連設され、可撓管部11cは操作部12の連結部12aに接続された構成になっている。
【0020】
操作部12は、挿入部11の湾曲可動部11bの操作を行うノブ等の操作片を備え、内視鏡装置各部の諸操作を行う。例えば、ノブの回動操作に応じて操作部内部の湾曲操作機構を作動させ、挿入部11の湾曲可動部11bを所望形態に湾曲・伸張させて保持することができる。
【0021】
連結可撓管13は、内視鏡装置1をプロセッサ(信号処理装置)2に接続するもので、プロセッサ2に設けられたコネクタ接続部2aに対して着脱可能なコネクタ部13aが設けられている。
【0022】
プロセッサ2は、光源装置、システムコントローラ、画像処理装置等を有し、観察箇所の電子画像を表示するモニタ3が付設された構成になっている。プロセッサ2の光源装置からの照射光は、LCB(Light Carrying Bundle)の一端側に入射し、LCB内で全反射を繰り返すことによって、LCB内を他端側へ伝播する。LCBは、
図2では図示省略するが、コネクタ接続部2aから連結可撓管13、操作部12及び挿入部11を介して、挿入部11の先端部11aに延設されている。
【0023】
挿入部11の先端部11aには、照明窓、観察窓(対物窓)が形成されている。先端部11aの内部には、この照明窓に臨ませて、LCBの出射端からの照射光が入射する配光レンズが設けられている。被検体内部の観察箇所には、LCBの出射端からの照射光が配光レンズを介して照明窓から照射される。また、観察窓(対物窓)に臨ませて、被検体内部の観察箇所(照明窓からの照射光の被照射部分)からの戻り光を受光する対物レンズが設けられている。
【0024】
挿入部11の先端部11aの内部には、対物レンズを介して受光面上の各画素で結像した光学像(観察箇所からの戻り光)を光量に応じた電荷として蓄積して、R,G,Bの画素信号を生成出力する撮像素子と、撮像素子を駆動制御して1フィールドもしくは1フレーム分の画素信号を所定の時間間隔(例えば1/60秒あるいは1/30秒間隔)で観察箇所の映像信号として読み出して出力するドライバ・処理回路とが備えられている。撮像素子とドライバ・信号処理回路は、一体的な集積回路構成になっており、以下では、撮像素子とドライバ・信号処理回路とを合わせて、イメージセンサ21と称する。イメージセンサ21としては、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等が用いられる。
【0025】
さらに、挿入部11の先端部11aの内部には、
図2に示すように、イメージセンサ21から出力される映像信号をプロセッサ2に向けて光伝送出力するために、電気信号からなる映像信号を光信号出力に変換する光電変換素子23と、イメージセンサ21から出力される映像信号に応じて光電変換素子23を駆動する光電変換素子駆動回路22とが備えられている。光電変換素子23は、例えば、発光ダイオード、半導体レーザ等であり、本実施例では、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL、Vertical Cavity Surface Emitting LASER)が用いられている。光電変換素子駆動回路22は、例えば、光電変換素子駆動ICで構成され、本実施例では、VCSEL駆動用ICが用いられている。
【0026】
連結可撓管13の内部には、各種信号線、LCB、駆動電源供給ライン等が挿通される。各種信号線には、例えば、イメージセンサ21やVCSEL駆動用IC(光電変換素子駆動回路)22に対する制御信号をプロセッサ2から内視鏡装置1に伝送する制御信号ライン31、垂直共振器面発光レーザ(光電変換素子)23から光信号に変換されて出力される観察箇所の映像信号を内視鏡装置1からプロセッサ2に伝送する映像信号伝送ライン32、内視鏡装置1の操作部12に設けられたスイッチの操作信号をプロセッサ2に伝送するスイッチ信号ライン33が含まれる。
【0027】
これらのうち、制御信号ライン31や映像信号伝送ライン32は、プロセッサ2に挿入部11の先端部11a内に設けられたイメージセンサ21やVCSEL駆動用IC22等に駆動電源を供給する駆動電源供給ライン34とともに、LCBと同じく、コネクタ部13aから連結可撓管13および操作部12を介して挿入部11に延び、挿入部11内を先端部11aに到る。制御信号ライン31や駆動電源供給ライン34は、メタルケーブル(Electrical wire)で構成され、映像信号伝送ライン32は、光ファイバケーブルで構成されている。
【0028】
連結可撓管13のコネクタ部13aは、映像信号伝送ライン32を介して光信号で伝送される映像信号を電気信号に戻してからプロセッサ2に供給するために、
図2に示すように、光電変換素子26と、信号変換回路部27と、保護回路部28とを備えている。
【0029】
光電変換素子26は、映像信号伝送ライン32を介して光信号で伝送されてきた映像信号を電流信号出力からなる電気信号に変換して出力する。光電変換素子26は、例えばフォトダイオード(Photodiode)、フォトトランジスタ(Phototransistor)等であり、本実施例では、フォトダイオードが用いられている。
【0030】
信号変換回路部27は、例えば、映像信号に該当するフォトダイオード(光電変換素子)26の電流信号出力をインピーダンス変換して増幅し、電圧信号として出力する。本実施例では、信号変換回路部として、トランスインピーダンスアンプ(TI、Transimpedance Amplifier)27が用いられている。
【0031】
保護回路部28は、例えば、プロセッサ2に設けられている制御基板41を、内視鏡装置1の回路側で過渡的に発生した異常な高電圧から保護する。本実施例では、保護回路部として、ライトニングアレスタ(LA、Lightning Arrester)28が用いられている。
【0032】
ライトニングアレスタ28の出力(映像信号の電圧信号出力)は、メタルケーブルで構成された制御信号ライン31、スイッチ信号ライン33、駆動電源供給ライン34それぞれの入/出力と一緒に、コネクタ部13aに設けられた基板対基板接続用コネクタ(B to B Connector)29の対応接続ピンに接続されている。
【0033】
連結可撓管13のコネクタ部13aがプロセッサ2のコネクタ接続部2aに接続されると、コネクタ部13aの基板対基板接続用コネクタ(内視鏡装置コネクタ)85がプロセッサ2の制御基板90に設けられている基板対基板接続用コネクタ(プロセッサコネクタ)95と結合され、内視鏡装置1の制御信号ライン31、映像信号伝送ライン32、スイッチ信号ライン33、駆動電源供給ライン34は、プロセッサ2の制御基板41側のそれぞれ対応する出/入力と接続される。
【0034】
プロセッサ2は、制御基板41に備えられたシステムコントローラがメモリに格納された各種プログラムを実行することによって、内視鏡装置1、プロセッサ2およびモニタ3から構成される内視鏡システム全体を統合的に制御する。例えば、プロセッサ2は、内視鏡装置1からスイッチ信号ライン33を介して受信したスイッチ操作信号を基にプロセッサ2側の対応機器を駆動制御したり、制御信号ライン31を介して送信する制御信号によって内視鏡装置1側のイメージセンサ21やVCSEL駆動用IC22を駆動制御したりする。また、プロセッサ2は、映像信号伝送ライン32を介して受信した映像(画像)信号を基に、観察箇所の電子画像をモニタ3に表示し、画像記録媒体に記録する。
【0035】
本実施の形態に係る内視鏡装置1においては、挿入部11の先端部11aの内部に設けられるイメージセンサ21、VCSEL駆動用IC(光電変換素子駆動回路)22および垂直共振器面発光レーザ(光電変換素子)23は、光伝送モジュール20として予め一体化され、先端部11aの内部に一体的に取り付け可能になっている。また、連結可撓管13のコネクタ部13aの内部に設けられるフォトダイオード(光電変換素子)26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28も、光伝送モジュール25として予め一体化され、コネクタ部13aの内部に一体的に取り付け可能になっている。次に、光伝送モジュール20、25それぞれの実施例について、図面に基づき説明する。
【0036】
図3は、イメージセンサ、光電変換素子駆動回路および光電変換素子を一体化して構成された光伝送モジュールの一実施例の全体構成図である。
【0037】
図4は、
図3に示した光伝送モジュールにおいて、光電変換素子駆動回路および光電変換素子を予め一体化して構成された光送信モジュールの一実施例の全体構成図である。
【0038】
図5は、
図4に示した光送信モジュールの構成説明図である。
【0039】
図6は、
図4に示した光送信モジュールを用いた光伝送モジュールの構成説明図である。
【0040】
図3に示すように、本実施例の光伝送モジュール20は、イメージセンサ21と、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23とを備えて構成されている。そのうち、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23は、
図4に示すように、予め光送信モジュール50として一体化されて構成されている。光送信モジュール50は、電気信号を光信号に変換する電気信号・光信号変換部として機能する。
【0041】
図示の例では、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23は、例えばSMD(表面実装部品)として構成され、光伝送モジュール20の第1の基板としての光送信モジュール基板51に取り付け固定される。
【0042】
光送信モジュール基板51は、例えば、
図5(A)に示すような、搭載基板部51xと非搭載基板部51zとを備えたL字状の屈曲プリント配線板(PWB、Printed Wiring Board)で構成されている。
図5(A)では表れないが、光送信モジュール基板51の基板上の所定位置には、部品接続端子部や信号/電源接続端子部が予め形成され、基板面または基板内部には、これら部品接続端子部と信号/電源接続端子部とを接続する基板回路が形成されている。
【0043】
部品接続端子部は、光送信モジュール基板51の基板上における、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23の配置位置を定める。信号/電源接続端子部は、光送信モジュール基板51の基板上における、イメージセンサ21から出力される映像信号、プロセッサ2から制御信号ライン31を介して供給される制御信号、および駆動電源供給ライン34を介して供給される駆動電源の、基板回路に対する接続位置を定める。
【0044】
図示の例では、部品接続端子部は、L字状の光送信モジュール基板51の搭載基板部51xにおける内方側の基板面51xiに形成されている。これに対し、信号/電源接続端子部は、L字状の光送信モジュール基板51の非搭載基板部51zにおける外方側の基板面51zoに形成されている。
【0045】
図5(B)に示すように、光送信モジュール50は、部品接続端子部が形成された、L字状の光送信モジュール基板51の基板面51xiの対応実装位置に、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23が取り付け固定されて構成されている。その際、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23の各端子は、部品接続端子部のそれぞれ対応端子と接続される。これにより、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23は、光送信モジュール基板51の基板面または基板内部の基板回路を介して、光送信モジュール基板51の非搭載基板部51zに形成された信号/電源接続端子部の対応端子と接続される。
【0046】
なお、図示の例では、L字状の光送信モジュール基板51の内方側の基板面51xiに、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23を設けた構成にしたが、VCSEL駆動用IC22は、L字状の光送信モジュール基板51の非搭載基板部51zにおける内方側の基板面51ziに設けられる構成としてもよい。
【0047】
これにより、光送信モジュール50は、垂直共振器面発光レーザ23の発光面に係る光出射方向(z軸上の+z方向)が、信号/電源接続端子部が設けられているL字状の光送信モジュール基板51の非搭載基板部51zと交差しない構成になっている。そして、垂直共振器面発光レーザ23は、L字状の光送信モジュール基板51に搭載された状態で、発光面の光出射方向(z軸上の+z方向)側が開放されている状態になる。また、光送信モジュール50は、信号/電源接続端子部が形成された非搭載基板部51zの外方側の基板面51zoにはVCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23が搭載されないので、搭載部品が邪魔になることがない、他の基板との接続に適した凸凹のない基板面構造を有することになる。
【0048】
光送信モジュール50は、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23が固定された状態で、光送信モジュール基板51の内方側の基板面51xiが、
図5(C)に示すように、基板面51xiが臨む方向(z軸方向)に沿って予め定められた厚さ(z軸方向に沿った長さ)L分だけ、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23ごと、モールド部52で封止された構成になっている。
【0049】
モールド部52は、例えば、射出成型によって成形された封止用樹脂で構成されている。通常、封止用樹脂には、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂にシリカSiO2を混ぜる等して、チップや基板との接着性、耐熱性、放熱性、熱膨張率、機械的強度といった機能性を備えた樹脂が使用される。本実施例では、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23の発熱を拡散できるように、例えば、放熱性機能に優れ、電気絶縁機能を備えた放熱樹脂が使用されている。なお、モールド部52は、上述した放熱性樹脂を用いた構成に限られるものではなく、金属や熱伝導シート等も用いて構成することも可能である。
【0050】
また、モールド部52を成形する際には、モールド部52には光ファイバ保持孔53が形成される。光ファイバ保持孔53は、モールド部52を貫通する貫通孔からなり、垂直共振器面発光レーザ23の発光面を臨ませる孔開口部を有する。光ファイバ保持孔53は、基板面51xiを封止した状態で、その孔軸が垂直共振器面発光レーザ23の発光面からの光出射方向、すなわちレーザ光の光軸方向(図中、z軸に沿った方向)に延びるようになっている。
【0051】
これにより、光ファイバ保持孔53は、映像信号伝送ライン(光ファイバケーブル)32を構成する光ファイバ36のファイバ端面を、垂直共振器面発光レーザ23の発光面に対して芯合わせ状態に保持するフェルールとして機能する。映像信号伝送ライン32の挿入部11側は、光ファイバ36が光ファイバ保持孔53に挿設され、先端のファイバ端面を垂直共振器面発光レーザ23の発光面に密着させた状態で、光ファイバ保持孔53に保持された構成になっている。
【0052】
光ファイバ36は、光送信モジュール50から挿入部11、操作部12、連結可撓管13を介して、基端側が連結可撓管13のコネクタ部13aに延設され、イメージセンサ21の映像信号を光信号でプロセッサ2に伝送する映像信号伝送ライン32を構成する。
【0053】
光伝送モジュール20は、
図6に示すように、イメージセンサ21と、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23を備えた光送信モジュール50とが、光伝送モジュール20の第2の基板としての光伝送モジュール基板61に一体的に組み付けられて構成されている。
【0054】
例えば、光伝送モジュール基板61は、
図6(A)に示すような、センサ搭載基板部61xと、センサ搭載基板部61xの内方側の基板面61xiに突設されたモジュール搭載基板部61zとを備えた、略T字状の屈曲プリント配線板(PWB)で構成されている。
【0055】
図6(A)では表れないが、光伝送モジュール基板61の基板上の予め定められた所定位置には、イメージセンサ接続端子部、光送信モジュール接続端子部、信号/電源接続端子部が形成されている。また、光伝送モジュール基板61の基板面または基板内部には、これらイメージセンサ接続端子部、光送信モジュール接続端子部の端子間を接続し、これらイメージセンサ接続端子部、光送信モジュール接続端子部を信号/電源ライン接続端子部と接続する基板回路が形成されている。
【0056】
イメージセンサ接続端子部は、光伝送モジュール基板61の基板上におけるイメージセンサ21の配置位置を定める。光送信モジュール接続端子部は、光伝送モジュール基板61の基板上における、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23を一体化してなる光送信モジュール50の配置位置を定める。信号/電源ライン接続端子部は、光伝送モジュール基板61の基板上における、プロセッサ2から挿入部11に延設された制御信号ライン31および駆動電源供給ライン34それぞれの、光伝送モジュール基板61に対する接続位置を定める。
【0057】
図示の例では、イメージセンサ接続端子部は、T字状の光伝送モジュール基板61のセンサ搭載基板部61xにおける外方側の基板面61xoに形成されている。光送信モジュール接続端子部は、T字状の光伝送モジュール基板61のモジュール搭載基板部61zにおける内方側の基板面61ziに形成されている。信号/電源ライン接続端子部は、基板面61ziと反対側(裏側)の、T字状の光伝送モジュール基板61のモジュール搭載基板部61zにおける外方側の基板面61zoに形成されている。
【0058】
なお、光伝送モジュール基板61は、T字状のプリント配線板として説明したが、そのT字状の形態は、センサ搭載基板部61xからのモジュール搭載基板部61zの突設位置がセンサ搭載基板部61xの内方側の基板面61xiの長さ方向中央位置に限られる必要はなく、図示の例のように、長さ方向のいずれか一方の端部側に偏って位置している形態であってもよい。ひいては、光伝送モジュール基板61を構成するプリント配線板の形態は、モジュール搭載基板部61zがセンサ搭載基板部61xの内方側の基板面61xiの長さ方向のいずれか一方の端部から突設した、L字状の形態であってもよい。
【0059】
光伝送モジュール20は、
図6(B)に示すように、光伝送モジュール基板61の、イメージセンサ接続端子部が形成されているセンサ搭載基板部61xの外方側の基板面61xoに、SMD(表面実装部品)またはスルーホール実装部品(挿入実装部品)として構成されたイメージセンサ21が取り付け固定された構成になっている。その際、光伝送モジュール基板61の外方側の基板面61xoに備えられているイメージセンサ接続端子部の各端子は、イメージセンサ21の各対応端子と接続され、イメージセンサ21は、光伝送モジュール基板61の基板面または基板内部に設けられた基板回路に接続される。イメージセンサ21は、この基板回路を介して、光伝送モジュール基板61のモジュール搭載基板部61zに形成された光送信モジュール接続端子部および信号/電源接続端子部の対応端子と接続される。
【0060】
光伝送モジュール基板61は、センサ搭載基板部61xの基板面の形状・大きさ(面積)が、イメージセンサ21とほぼ等しいか、それよりも小さな形状・大きさ(面積)になっている。これにより、光伝送モジュール20をイメージセンサ21側から眺めた場合(
図6における+z方向に眺めた場合)、光伝送モジュール基板61は、イメージセンサ21の筐体外縁からはみ出さないようになっている。イメージセンサ21は、例えば、フリップチップ構造や、BGA(ball grid array)またはQFP(Quad Flat Package)のような端子を出したパッケージ構造で構成され、光伝送モジュール基板61は、イメージセンサ21の筐体外縁からはみ出さない形状および大きさになっている。
【0061】
光伝送モジュール20は、
図6(B)に示した例では、光伝送モジュール基板61の、光送信モジュール接続端子部が形成されたモジュール搭載基板部61zの基板面61ziに、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23を備えた光送信モジュール50が、バンプ材にハンダボールを用いたボンディング実装で取り付け固定されて構成されている。その際、光送信モジュール基板51における非搭載基板部51zの外方側の基板面51zoに形成されている信号/電源接続端子部の各端子は、光伝送モジュール基板61の基板面61xo、61ziに形成されているイメージセンサ接続端子部、信号/電源接続端子部の各対応端子に、直接的または基板回路を介して間接的に接続される。
【0062】
光伝送モジュール基板61における、モジュール搭載基板部61zの内方側の基板面61ziに対する光送信モジュール50の搭載位置は、
図6(B)に示すように、光送信モジュール50の光送信モジュール基板51における搭載基板部51xの外方側の基板面51xoが、イメージセンサ21が実装された光伝送モジュール基板61における、センサ搭載基板部61xの内方側の基板面61xiに直接当接しない位置に、予め光送信モジュール接続端子部の配置位置によって設定されている。これにより、光伝送モジュール20では、光伝送モジュール基板61にイメージセンサ21および光送信モジュール50が搭載された状態で、イメージセンサ21と、光送信モジュール50のVCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23とが、直接、対向することなく、かつ当接しない構成になっている。その結果、両基板部51x、61xの間には、分離空間部Sが形成される構成になっている。
【0063】
本実施例では、光伝送モジュール20は、
図6(C)に示すように、分離空間部Sが封止用樹脂で充填され、モールド部62が設けられた構成になっている。モールド部62は、図示の例では、熱源となるイメージセンサ21が搭載された光伝送モジュール基板61のセンサ背面部(基板面61xi)、同じく熱源となるVCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23が搭載された光送信モジュール基板51の光電変換素子背面部(基板面51xo)を覆うように接触している。これにより、相対向するセンサ背面部(基板面61xi)と光電変換素子背面部(基板面51xo)との間に介在する分離空間部Sにモールド部62が設けられていない場合よりも、これら熱源からの熱はモールド部62によって速やかに吸収されるようになっている。そして、イメージセンサ21をはじめとする、これら発熱部品からモールド部62に伝達された熱は、相対向するセンサ背面部(基板面61xi)およびセンサ背面部(基板面61xi)に当接していないモールド部62の周面から分離空間部S外に放熱され、これら発熱部品の放熱を促進することができる。
【0064】
また、本実施例では、光伝送モジュール20は、イメージセンサ21側から光送信モジュール50を眺めた光送信モジュール基板51の搭載基板部51xの大きさ(面積)が、光伝送モジュール基板61のセンサ搭載基板部61xの大きさ(面積)に等しいか、それよりも小さくなっている。図示の例では、搭載基板部51xの大きさがセンサ搭載基板部61xの大きさよりも小さくなっているため、モールド部62は、光送信モジュール50のモールド部52の周囲も囲繞する構成になっている。その際も、光伝送モジュール20をイメージセンサ21側から眺めたときには、モールド部62はイメージセンサ21の筐体外縁からはみ出さない形状および大きさになっている。
【0065】
モールド部62は、モールド部52と同様に、例えば、射出成型によって成形された封止用樹脂で構成されている。通常、封止用樹脂には、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂にシリカSiO2を混ぜる等して、チップや基板との接着性、耐熱性、放熱性、熱膨張率、機械的強度といった機能性を備えた樹脂が使用される。本実施例では、イメージセンサ21をはじめとする発熱部品からの発熱を拡散できるように、例えば、放熱性機能を優れ、電気絶縁機能を備えた放熱樹脂が使用されている。なお、モールド部62も、上述した放熱性樹脂を用いた構成に限られるものではなく、金属や熱伝導シート等も用いて構成することも可能である。
【0066】
光伝送モジュール基板61にイメージセンサ21および光送信モジュール50が一体的に組み付けられ、分離空間部Sにモールド部62が形成された光伝送モジュール20は、
図6(C)に示すように、光送信モジュール50の光ファイバ保持孔53に、イメージセンサ21による映像信号をプロセッサ2に伝送する映像信号伝送ライン32(光ファイバケーブル)の光ファイバ36が挿設されて保持される。また、光伝送モジュール基板61の外方側の基板面61ziに形成されている信号/電源接続端子部には、イメージセンサ21やVCSEL駆動用IC22に対する制御信号をプロセッサ2から内視鏡装置1に伝送する制御信号ライン31、およびプロセッサ2からイメージセンサ21やVCSEL駆動用IC22等に駆動電源を供給する駆動電源供給ライン34が配線接続される。
【0067】
その際も、図示の光伝送モジュール20は、光伝送モジュール基板61のセンサ搭載基板部61xとモジュール搭載基板部61zとが略T字状に屈曲配置されているので、光伝送モジュール20をイメージセンサ21側から眺めたときに、基板面61ziに形成されている信号/電源接続端子部に対する制御信号ライン31や駆動電源供給ライン34の接続部も、光送信モジュール50に取り付けられた映像信号伝送ライン32の光ファイバ36と同様に、イメージセンサ21の筐体外縁からはみ出さない形態になっている。
【0068】
映像信号伝送ライン32、制御信号ライン31、および駆動電源供給ライン34が配線接続された光伝送モジュール20は、イメージセンサ21の撮像素子の撮像面を、被検体内部の観察箇所(照明窓からの照射光の被照射部分)からの戻り光を受光する対物レンズの出射側に向けて、挿入部11の先端部11aの内部に収容されて固定される。
【0069】
このような光伝送モジュール20を備えた内視鏡装置1によれば、挿入部11の先端部11aの内部に光伝送モジュール20を収容するに当たって、光送信モジュール50は、光送信モジュール基板51の基板面51xiに搭載されたVCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23が、光ファイバ保持孔53を備えたモールド部52で封止された構成になっている。
【0070】
これにより、光送信モジュール50は、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23はモールド部52によって覆われているので、外力がVCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23に直接作用することがなく、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23の保護をはかることができるので、光伝送モジュール基板61に対する光送信モジュール50の自動組み付け作業を容易にする。また、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23への塵埃等の付着による光送信モジュール50の故障発生も防止できる。
【0071】
そして、モールド部52は放熱性機能に優れた樹脂で構成されているので、発熱部品であるVCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23による熱を拡散でき、VCSEL駆動用IC22、垂直共振器面発光レーザ23それぞれの放熱面積を、各チップ筐体の表面積からモールド部52の表面積に拡大でき、光送信モジュール50の放熱性能も向上させることができる。
【0072】
さらに、光送信モジュール50は、モールド部52に光ファイバ保持孔53が備えられ、モールド部52が、光ファイバ36のファイバ端面と垂直共振器面発光レーザ23の発光面との端面同士を芯合わせ状態に保持するフェルールとしても機能する。
【0073】
これにより、光送信モジュール50は、映像信号伝送ライン32の光ファイバ36が光ファイバ保持孔53に取り付けられた状態で、VCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23の保護部分と光ファイバ36のためのフェルール部分とを、垂直共振器面発光レーザ23の発光面からの光出射方向(z軸上の+z方向)に沿って両者が重なり合うように配置することが可能になる。
【0074】
この結果、光送信モジュール50は、光ファイバ36のフェルールとしての機能を備えたモールド部52によって、基板面51xiに搭載されたVCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23の保護をはかりながら、光送信モジュール50の光出射方向(z軸上の+z方向)に沿った寸法を低減でき、光送信モジュール50全体の大きさを小型化できる。
【0075】
この光送信モジュール50自体の小型化に伴って、光伝送モジュール20は、発熱部材であるイメージセンサ21と、同じく発熱部材である光送信モジュール50のVCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23とを、分離空間部Sを設けて両者を離間させ、かつ、両者の配置向きを、互いに対向しないように、互いに反対向きになる(z軸上の±z方向で逆向きになる)ようにすることができる。そして、分離空間部Sを含めた光送信モジュール50の周囲を、放熱性機能に優れた樹脂で構成されたモールド部62で覆うことができる。
【0076】
これにより、光送信モジュール50を含めた、垂直共振器面発光レーザ23の発光面からの光出射方向(z軸上の+z方向)に沿った光伝送モジュール20の寸法長さ部分を、モールド部62によって外力から保護できるとともに、発熱部材であるイメージセンサ21、および光送信モジュール50のVCSEL駆動用IC22の放熱面積を、モールド部62の表面積分だけ増大させることができる。
【0077】
また、光伝送モジュール20をイメージセンサ21側から眺めた形態も、モールド部62、および制御信号ライン31や駆動電源供給ライン34の接続部が、イメージセンサ21の筐体外縁からはみ出さない形態になっているので、挿入部11の先端部11aの内部に光伝送モジュール20を組み付ける際も、モールド部62がガイドになり、組み付け作業が行い易くなる。
【0078】
また、モールド部62は、熱源となるイメージセンサ21が搭載された光伝送モジュール基板61のセンサ背面部(基板面61xi)、同じく熱源となるVCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23が搭載された光送信モジュール基板51の光電変換素子背面部(基板面51xo)を覆うように接触している。これにより、分離空間部Sにモールド部62が設けられていない場合よりも、これら熱源からの熱はモールド部62によって速やかに吸収され、その熱は、相対向するセンサ背面部(基板面61xi)およびセンサ背面部(基板面61xi)に当接していないモールド部62の周面から分離空間部S外に放熱され、これら発熱部品の放熱を促進することができる。
【0079】
さらに、光伝送モジュール20が挿入部11の先端部11aに収容配置された状態では、組み付けの際のガイドにもなったモールド部62の外周面が、挿入部11の先端部11aの筐体内部にも接触しているので、イメージセンサ21および光送信モジュール50のVCSEL駆動用IC22や垂直共振器面発光レーザ23からの放熱を、イメージセンサ21およびVCSEL駆動用IC22それぞれのチップ筐体の表面積よりも大きな、湾曲可動部11bや可撓管部11cも含めた挿入部11全体に拡散することができる。
【0080】
したがって、本実施例に係る、イメージセンサ21と、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23を備えた光送信モジュール50とを備えた光伝送モジュール20によって、光伝送モジュール20自体の小型化をはかれるとともに、光伝送モジュール20が内部に組み込まれて硬質部分(非・屈曲伸張部分)になる、挿入部11の先端部11aの外径ならびに長さをできるだけ小さくすることができ、内視鏡装置1の挿入部11をより低侵襲にすることができる。
【0081】
しかも、挿入部11の先端部11aの外径ならびに長さが小さくなっても、放熱性能の向上によって、イメージセンサ21、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23が備えられた光伝送モジュール20を安定駆動させることができる。
【0082】
また、光伝送モジュール20は、映像信号伝送ライン32の光ファイバ36が接続固定される光送信モジュール50からなるファイバ部分と、制御信号ライン31や駆動電源供給ライン34といったメタルケーブルが接続固定される、イメージセンサ21を搭載した光伝送モジュール基板61からなるPD(Power Delivery)部分とを組み付けた構成であるので、ファイバ部分とPD(Power Delivery)部分とで独立・分離して製作可能になり、光伝送モジュール20の製作性が向上する。
【0083】
次に、連結可撓管13のコネクタ部13aの内部に設けられる光伝送モジュール25の一実施例について、図面に基づき説明する。
【0084】
図7は、光電変換素子、トランスインピーダンスアンプおよびライトニングアレスタを予め一体化して構成された光伝送モジュールの一実施例の構成説明図である。
【0085】
図7に示すように、本実施例の光伝送モジュール25は、フォトダイオード(光電変換素子)26と、トランスインピーダンスアンプ(信号変換回路部)27と、ライトニングアレスタ(保護回路部)28と、内視鏡装置コネクタ85と、を備えて構成されている。そのうち、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28は、予め一体化された光受信モジュール70として構成されている。光受信モジュール70は、光信号を電気信号に変換する光信号・電気信号変換部として機能する。
【0086】
図示の例では、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28は、SMD(表面実装部品)として構成され、
図7(A)に示すように、光伝送モジュール25の第1の基板としての光受信モジュール基板71に取り付け固定されている。
【0087】
光受信モジュール基板71は、例えば、平板状のプリント配線板(PWB)で構成されている。図には表れないが、光受信モジュール基板71の基板上の予め定められた所定位置には、部品接続端子部や信号/電源接続端子部が形成され、また、基板面または基板内部には、これら部品接続端子部と信号/電源接続端子部とを接続する基板回路が形成されている。
【0088】
部品接続端子部は、光受信モジュール基板71の基板上における、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28の配置位置を定める。信号/電源接続端子部は、光受信モジュール基板71の基板回路における、プロセッサ2に供給する映像信号の基板上における出力箇所、プロセッサ2から供給される制御信号および駆動電源の基板上における入力箇所を定める。
【0089】
部品接続端子部は、平板状の光受信モジュール基板71における内方側の基板面71xiに形成されている。これに対し、信号/電源接続端子部は、図示の例では、部品の非搭載側である、平板状の光受信モジュール基板71における外方側の基板面71xoに形成されている。
【0090】
光受信モジュール70は、光送信モジュール基板71の基板面71xiに、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28が取り付け固定されて構成されている。そして、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28の各端子は、それぞれ対応する部品接続端子部の対応端子と接続されている。これにより、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28は、基板面または基板内部の基板回路を介して接続されるとともに、非搭載基板面側71の基板面71xoに形成された信号/電源接続端子部の対応端子とも接続されている。
【0091】
基板面71xoに形成された信号/電源接続端子部の各対応端子には、それぞれL字状の屈曲端子片74が接続固定されている。各L字状の屈曲端子片74は、基板面当接片部74xと、基板面当接片部74xから垂直に突出した突出片部74zとを有する。各L字状の屈曲端子片74は、光送信モジュール基板71の基板面71xoに形成された信号/電源接続端子部の各端子が臨む向きを、基板面71xoに垂直な向き(z軸上の+z方向)から基板面71xoに沿った平行な向き(x軸上の-x方向)に変える。
【0092】
各L字状の屈曲端子片74は、光入射方向が基板面71xiと垂直な方向(z軸上の-z方向)になるようにフォトダイオード26が平板状の光受信モジュール基板71に実装されていても、光受信モジュール70の他部に対する接続向き(搭載向き)を、基板面71xoに形成された信号/電源接続端子部の各端子が臨む向き(z軸上の+z方向)とは異なる向き(例えば、x軸上の±x方向)にする。
【0093】
光受信モジュール70は、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28が固定された状態で、光受信モジュール基板71の内方側の基板面71xiは、
図7(B)に示すように、基板面71xiと垂直な、基板面71xiが臨む方向(z軸方向)に、予め定められた厚さL分だけ、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28と一緒にモールド部72で封止された構成になっている。
【0094】
モールド部72は、例えば、射出成型によって成形された封止用樹脂で構成されている。通常、封止用樹脂には、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂にシリカSiO2を混ぜる等して、チップや基板との接着性、耐熱性、放熱性、熱膨張率、機械的強度といった機能性を備えた樹脂が使用される。本実施例では、フォトダイオード26およびトランスインピーダンスアンプ27の発熱を拡散できるように、例えば、放熱性機能に優れ、電気絶縁機能を備えた放熱樹脂が使用されている。なお、モールド部72は、上述した放熱性樹脂を用いた構成に限られるものではなく、金属や熱伝導シート等も用いて構成することも可能である。
【0095】
なお、図示の例では、信号/電源接続端子部は、光受信モジュール基板71の基板面71xoに形成したが、部品接続端子部が形成された基板面71xiに形成した構成であってもよい。この場合も、図示の例と同様に、L字状の屈曲端子片74によって、光受信モジュール70の他部に対する接続向き(搭載向き)を、基板面71xoに形成された信号/電源接続端子部の各端子が臨む向き(z軸上の+z方向)とは異なる向き(例えば、x軸上の±x方向)にすることができる。さらに、この場合は、基板面71xiにおける信号/電源接続端子部の各端子と各L字状の屈曲端子片74との接続箇所も、モールド部72で封止して保護することができる。
【0096】
また、モールド部72を光受信モジュール基板71の内方側の基板面71xiに形成する際には、モールド部72には光ファイバ保持孔73が形成される。光ファイバ保持孔73は、モールド部72を貫通する貫通孔からなり、フォトダイオード26の受光面を臨ませる孔開口部を有する。光ファイバ保持孔73は、その孔軸線がフォトダイオード26の受光面の光入射方向、すなわち受光するレーザ光の光軸方向(図中、z軸に沿った方向)と同方向に延びるようになっている。
【0097】
これにより、光ファイバ保持孔73は、映像信号伝送ライン(光ファイバケーブル)32を構成する光ファイバ36のファイバ端面とフォトダイオード26の受光面との端面同士を芯合わせ状態に保持するフェルールとして機能する。光ファイバ36の操作部12側は、孔開口部から光ファイバ保持孔73内に挿設され、フォトダイオード26の受光面にファイバ端面を密着させた状態で、光ファイバ保持孔73に保持される。
【0098】
光伝送モジュール25は、
図7(C)に示すように、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28を備えた光受信モジュール70と、プロセッサ2側の制御基板90との基板対基板(Board to Board)接続に用いられる内視鏡装置1の内視鏡装置コネクタ85とが、光伝送モジュール25の第2の基板としての光伝送モジュール基板81に一体的に組み付けられた構成になっている。図示の例では、光伝送モジュール基板81は、平板状のプリント配線板(PWB)で構成されている。
【0099】
図7(C)では表れないが、光伝送モジュール基板81の基板上の予め定められた所定位置には、光受信モジュール接続端子部、コネクタ接続端子部および信号/電源ライン接続端子部が形成されている。また、光伝送モジュール基板81の基板面または基板内部には、これら光受信モジュール接続端子部、コネクタ接続端子部および信号/電源ライン接続端子部と接続された基板回路が形成されている。
【0100】
光受信モジュール接続端子部は、光伝送モジュール基板81の基板上における、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28が一体化されてなる光受信モジュール70の配置位置を定める。信号/電源ライン接続端子部は、光伝送モジュール基板81の基板上における、連結可撓管13および操作部12を介して挿入部11に延設される制御信号ライン31および駆動電源供給ライン34それぞれの接続位置を定める。コネクタ接続端子部は、光伝送モジュール基板81の基板上における、プロセッサ2側の制御基板90との基板対基板接続に用いられる内視鏡装置コネクタ85の配置位置を定める。
【0101】
図示の例では、光受信モジュール接続端子部は、平板状の光伝送モジュール基板81の内方側(表側)の基板面81xiに形成されている。信号/電源ライン接続端子部およびコネクタ接続端子部は、平板状の光伝送モジュール基板81の外方側(裏側)の基板面81xoに、光受信モジュール70の配置向き、すなわちフォトダイオード26に対する光の入射方向(図中、z軸に沿った方向)に沿って、並んで形成されている。信号/電源ライン接続端子部は、コネクタ接続端子部よりも、光伝送モジュール基板81の奥部側(z軸上の-z側)に配置されている。
【0102】
光伝送モジュール25は、光受信モジュール接続端子部が形成されている光伝送モジュール基板81の内方側の基板面81xiに、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28を備えた光受信モジュール70が取り付け固定されている。その際、光受信モジュール70に備えられた各屈曲端子片74の突出片部74zは、光伝送モジュール基板81の内方側の基板面81xiに形成された光受信モジュール接続端子部の対応端子とそれぞれ接続され、さらに基板回路を介して、外方側の基板面81xoに形成された信号/電源ライン接続端子部およびコネクタ接続端子部それぞれの対応端子と接続される。
【0103】
光伝送モジュール25は、
図7(C)に示すように、光伝送モジュール基板81の外方側の基板面81xoに形成されている信号/電源ライン接続端子部に、光伝送モジュール20のイメージセンサ21やVCSEL駆動用IC22にプロセッサ2からの制御信号を伝送するための制御信号ライン31や、操作部12に設けられたスイッチの操作信号をプロセッサ2に伝送するスイッチ信号ライン33や、光伝送モジュール20のイメージセンサ21やVCSEL駆動用IC22等に駆動電源を供給する駆動電源供給ライン34が、それぞれ配線接続される構成になっている。
【0104】
光伝送モジュール25は、基板対基板接続用の内視鏡装置コネクタ85が、光伝送モジュール基板81の外方側の基板面81xoに取り付け固定された構成になっている。その際、光伝送モジュール基板81の外方側の基板面81xoに形成されているコネクタ接続端子部の各端子は、基板対基板接続用の内視鏡装置コネクタ85の対応接続ピンに接続される。
【0105】
内視鏡装置1の連結可撓管13に備えられたコネクタ部13aをプロセッサ2のコネクタ接続部2aに装着することに伴って、光伝送モジュール25の内視鏡装置コネクタ85は、プロセッサ2の制御基板90に備えられたプロセッサ側のプロセッサコネクタ95に接続される。
【0106】
このような光伝送モジュール25を備えた内視鏡装置1によれば、連結可撓管13のコネクタ部13aの筐体内部に光伝送モジュール25を収容するに当たって、光受信モジュール70は、光送信モジュール基板71の基板面71xiに搭載されたフォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28が、光ファイバ保持孔53を備えたモールド部72で封止された構成になっている。
【0107】
これにより、光受信モジュール70は、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28はモールド部72によって覆われているので、外力がこれらに直接作用することがなく、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28の保護をはかることができるので、光伝送モジュール基板81に対する光受信モジュール70の自動組み付け作業を容易にする。また、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27またはライトニングアレスタ28への塵埃等の付着による光送信モジュール50の故障発生も防止できる。
【0108】
そして、モールド部72は放熱性機能に優れた樹脂で構成されているので、発熱部品であるフォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27による熱を拡散でき、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27それぞれの放熱面積を、各チップ筐体の表面積からモールド部72の表面積に拡大でき、光受信モジュール70の放熱性能も向上させることができる。
【0109】
さらに、光受信モジュール70は、モールド部72に光ファイバ保持孔73が備えられ、モールド部72が、光ファイバ36のファイバ端面と垂直共振器面発光レーザ23の発光面との端面同士を芯合わせ状態に保持するフェルールとしても機能する。
【0110】
これにより、光受信モジュール70は、映像信号伝送ライン32の光ファイバ36が光ファイバ保持孔73に取り付けられた状態で、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28の保護部分と光ファイバ36のためのフェルール部分とを、フォトダイオード26の受光面への光入射方向(z軸上の+z方向)に沿って両者が重なり合うように配置することが可能になる。
【0111】
この結果、光受信モジュール70は、光ファイバ36のフェルールとしての機能を備えたモールド部72によって、基板面81xiに搭載されたフォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28の保護をはかりながら、光受信モジュール70の光入射方向(z軸上の+z方向)に沿った寸法を低減でき、光受信モジュール70全体の大きさを小型化できる。
【0112】
この光受信モジュール70自体の小型化に伴って、光受信モジュール70を含めた、フォトダイオード26の受光面への光入射方向(z軸上の+z方向)に沿った光伝送モジュール25の寸法長さ部分を、モールド部72によって外力から保護できるとともに、発熱部材であるフォトダイオード26およびトランスインピーダンスアンプ27の放熱面積を、モールド部72の表面積分だけ増大させることができる。
【0113】
本実施例に係るフォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28を備えた光受信モジュール70と、内視鏡装置コネクタ85とを備えた光伝送モジュール25によって、光伝送モジュール25自体の小型化をはかれるとともに、光伝送モジュール25が内部に組み込まれて硬質部分(非・屈曲伸張部分)になる連結可撓管13におけるコネクタ部13aの外径ならびに長さをできるだけ小さくすることができ、連結可撓管13の取り回し操作性も向上する。
【0114】
しかも、連結可撓管13におけるコネクタ部13aが小さくなっても、放熱性能の向上によって、フォトダイオード26、トランスインピーダンスアンプ27およびライトニングアレスタ28が備えられた光伝送モジュール25を安定駆動させることができる。
【0115】
また、光伝送モジュール25は、映像信号伝送ライン32の光ファイバ36が接続固定される光受信モジュール70からなるファイバ部分と、制御信号ライン31、スイッチ信号ライン32、駆動電源供給ライン34といったメタルケーブルが接続固定される、内視鏡装置コネクタ85を搭載した光伝送モジュール基板81からなるPD(Power Delivery)部分とを組み付けた構成であるので、ファイバ部分とPD(Power Delivery)部分とで独立・分離して製作可能になり、光伝送モジュール25の製作性が向上する。
【0116】
図8は、光送信モジュールの別の実施例の構成説明図である。
【0117】
なお、
図8に示した光送信モジュール50-1~3の説明では、
図4に示した光送信モジュール50と同一もしくは同様な構成部分については、該当箇所に同一符号を付してその構成についての詳細な説明は省略する。
【0118】
図8(A)は、光送信モジュールの別の実施例の構成説明図である。
【0119】
図8(A) に示した光送信モジュール50-1は、
図4に示した光送信モジュール50とはモールド部52に形成された光ファイバ保持孔53の構成が異なり、光ファイバ保持孔53は、係合凹部55をさらに有した構成になっている。係合凹部55は、垂直共振器面発光レーザ23の発光面側から所定の距離位置の光ファイバ保持孔53の孔内周面に、光ファイバ保持孔53の孔軸回りにおける所定の径方向(図示の場合は、上方に表される径方向)に凹設された構成になっている。
【0120】
これに対して、光ファイバ保持孔53に挿設される光ファイバ36は、その外周面に、係合保持片37が突設された構成になっている。係合保持片37は、先端のファイバ端面が垂直共振器面発光レーザ23の発光面に密着させられた状態で、垂直共振器面発光レーザ23の発光面すなわちファイバ端面から所定の距離位置の光ファイバ36の外周面に形成され、光ファイバ保持孔53の係合凹部55に係合可能になっている。係合保持片37は、例えば、その基端側部分がバネ性を有して構成され、自由端部(先端部)側が基端側部分を中心にして変位し、光ファイバ36の外周面に対して傾倒可能になっており、先端側部が光ファイバ36の外周面に対して当接・離間できるようになっている。そして、係合保持片37は、常態では、自由端部(先端部)側を光ファイバ36の外周面から離間させ、その離間位置は、光ファイバ36の軸心を中心とする径方向に関して、光ファイバ保持孔53の孔半径よりも大きな位置になっている。
【0121】
本実施例の光送信モジュール50-1は、光ファイバ36の係合保持片37が係合可能な係合凹部55からなる光ファイバ位置決め保持機構を備えているので、ファイバ端面を垂直共振器面発光レーザ23の発光面に密着させた状態で確実に、光ファイバ保持孔53での光ファイバ36の挿設状態を位置決め保持することができる。したがって、本実施例の光送信モジュール50-1によれば、光ファイバ36のファイバ端面と垂直共振器面発光レーザ23の発光面との間での光信号伝送機能の性能安定化がさらにはかれる。また、光ファイバ保持孔53に対する光ファイバ36の挿設時の取り付け状態強度も、バネ性を有する係合保持片37の弾性復元力によって増加する。
【0122】
図8(B)は、光送信モジュールのまた別の実施例の構成説明図である。
【0123】
図8(B) に示した光送信モジュール50-2は、光ファイバ36の係合保持片37が係合可能な光ファイバ位置決め保持機構を構成する光ファイバ保持孔53の係合凹部55が環状溝形状に構成されている点、およびモールド部52が光ファイバ保持孔53の孔軸を含む面を断面にして、図示の例では図中、上下に2分割されて、モールド部52aとモールド部52bとで分割構成されている点が、
図8(A) に示した光送信モジュール50-1とは異なる構成になっている。
【0124】
また、
図8(B) に示した光送信モジュール50-2では、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23が取り付け固定される第1の基板としての光送信モジュール基板51が、
図4に示した光送信モジュール50のようなL字状の屈曲プリント配線板ではなく、
図7に示した光受信モジュール70の光受信モジュール基板71および屈曲端子片74の場合と同様な、平板状のプリント配線板からなる光送信モジュール基板51とその基板面51xoの信号/電源接続端子部の対応端子にそれぞれ接続されたL字状の屈曲端子片54との組み立て体で構成されている。さらに、
図8(B) に示した光送信モジュール50-2では、
図7に示した光受信モジュール70の場合とは異なり、屈曲端子片54の基板面当接片部54xから垂直に突出した突出片部54zが、第2の基板としての光伝送モジュール基板61の光送信モジュール接続端子部と接続される面を除いて、モールド部52によって覆われた構成になっている。
【0125】
本実施例の光送信モジュール50-2は、光ファイバ位置決め保持機構の光ファイバ保持孔53の係合凹部55が環状の溝形状に構成されているので、係合保持片37の光ファイバ36の外周面上における突出位置に関係なく、光ファイバ36を光ファイバ保持孔53に挿設して、光ファイバ36の先端のファイバ端面が垂直共振器面発光レーザ23の発光面に密着させられた状態に位置決め保持することができる。また、モールド部52が、光ファイバ保持孔53の孔軸を含む面を断面にしてモールド部52aとモールド部52bとに分割構成されているので、光ファイバ保持孔53における光ファイバ保持孔53の形成が容易になる。
【0126】
この場合、モールド部52は、モールド部52aとモールド部52bとを接合して構成され、モールド部52は、光ファイバ保持孔53を光送信モジュール基板51に取り付け固定された垂直共振器面発光レーザ23の発光面に合致させるようにして、VCSEL駆動用IC22および直共振器面発光レーザ23を覆うように光送信モジュール基板51に接合固定される。
【0127】
本実施例の光送信モジュール50-2は、光ファイバ36の外周面上における係合保持片37の突出位置に関係なく光ファイバ36を光ファイバ保持孔53に挿設でき、また、モールド部52が光ファイバ保持孔53の孔軸を含む面を断面にして分割構成されているので、光送信モジュール50の製作性がさらに向上する。
【0128】
本実施例の光送信モジュール50-2は、第1の基板としての光送信モジュール基板51に平板状のプリント配線板を利用しても、光送信モジュール基板51に取り付け固定されるL字状の屈曲端子片54が、光伝送モジュール基板61の光送信モジュール接続端子部と接続される面を除いて、モールド部52で一体的に覆われて支持されているので、光伝送モジュール製造時における、光送信モジュール基板51とL字状の屈曲端子片54とからなる屈曲形態も安定する。
【0129】
図8(C)は、光送信モジュールのまた別の実施例の構成説明図である。
【0130】
図8(C)に示した光送信モジュール50-3は、光ファイバ保持孔53を直接モールド部52に形成するのではなく、別途、筒状部材からなる光ファイバ挿入筒56で形成した点、および、光ファイバ挿入筒56の内周面に光ファイバ位置決め保持機構としての係合凹部55の代わりに、ファイバ支持部材57が配設されている点が、
図8(A)に示した光送信モジュール50-1とは異なる構成になっている。
【0131】
ファイバ支持部材57は、例えば、リング軸方向に沿った中央部がリング軸方向に沿った両端部よりもリング径方向に拡縮可能な湾曲断面形状を有する環状のバネ撓みリング57で構成され、光ファイバ36の挿入を許容し、および、挿設された光ファイバ36の取り付け状態を保持できる構造になっている。
【0132】
本実施例の光送信モジュール50-3は、光ファイバ36の挿入時における光ファイバの摺接面を直接モールド部52で形成せずに済むので、光ファイバ挿入筒56について、モールド部52のように特に放熱性機能の観点を重視せずとも、光ファイバ36の挿設時における作業性能やその作業時もしくは作業後における光ファイバの保護性能といった別の性能観点を重視した材料選択を可能にする。
【0133】
また、本実施例の光送信モジュール50-3は、光ファイバ位置決め保持機構をモールド部52に直接形成せずとも、光ファイバ挿入筒56に環状のバネ撓みリング57として構成しておくことができるので、モールド部52の成形作業や光ファイバ保持孔53に対する光ファイバ36の挿設作業における作業性が向上する。
【0134】
図9は、光送信モジュールのさらに別の実施例の構成説明図である。
【0135】
なお、
図9に示した光送信モジュール50-4の説明でも、
図4に示した光送信モジュール50と同一もしくは同様な構成部分については、該当箇所に同一符号を付してその構成についての詳細な説明は省略する。
【0136】
図9に示した光送信モジュール50-4は、モールド部52が、光ファイバ保持孔53に加えて、例えば、溝部(凹部)58や、開口部59aを介して外部と連通された内室部59がさらに設けられた構成になっている点が、
図8(A)に示した光送信モジュール50-1とは異なる構成になっている。
【0137】
本実施例の光送信モジュール50-4は、溝部58および開口部59aを介して外部と連通された内室部59それぞれの内壁面によって、モールド部52の放熱面積が拡大され、モールド部52の放熱性能のさらなる向上がはかられている。これにより、一層、イメージセンサ21、VCSEL駆動用IC22および垂直共振器面発光レーザ23が備えられた光伝送モジュール20を安定駆動させることができる。
【0138】
図10は、光受信モジュールを備えた光伝送モジュールの別の実施例の構成説明図である。
【0139】
なお、
図10に示した光伝送モジュール25-1の説明でも、
図7に示した光受信モジュール70を備えた光伝送モジュール25と同一もしくは同様な構成部分については、該当箇所に同一符号を付してその構成についての詳細な説明は省略する。
【0140】
図10に示した光伝送モジュール25-1は、光受信モジュール70-1がフォトダイオード(光電変換素子)26およびトランスインピーダンスアンプ27を予め一体化して構成され、ライトニングアレスタ28が、光受信モジュール70-1と同様に光伝送モジュール基板81に独立に搭載されている点、および、プロセッサ2の制御基板90に備えられたプロセッサ側のプロセッサコネクタ95と基板対基板接続される光伝送モジュール25-1の内視鏡装置コネクタ85-1の着脱方向が、内視鏡装置コネクタ85-1が実装される光伝送モジュール基板81の基板面に沿った平行方向(図中のz軸に沿った方向)ではなく、光伝送モジュール基板81の基板面に垂直な方向(図中のx軸に沿った方向)に変更されている点が、
図7に示した光受信モジュール70を備えた光伝送モジュール25の構成と異なっている。
【0141】
上述した両者間での構成の相異に関係し、光伝送モジュール25-1では、光受信モジュール70-1の各屈曲端子片74は、光伝送モジュール基板81の光受信モジュール接続端子部の対応端子と接続され、光伝送モジュール基板81の基板面または基板内部の基板回路を介して、光伝送モジュール基板81のコネクタ接続端子部の対応端子と接続されるが、その中のトランスインピーダンスアンプ27からの映像信号の電圧信号出力については、基板回路を介して、ライトニングアレスタ28に供給された後、このライトニングアレスタ28の出力が、基板回路を介して、光伝送モジュール基板81のコネクタ接続端子部の対応端子と供給される構成になっている。
【0142】
本実施例の光伝送モジュール25-1は、光伝送モジュール基板81に光受信モジュール70-1とライトニングアレスタ28が互いに独立に搭載されているので、ライトニングアレスタ28の交換が光受信モジュール70-1の交換とは別に行えるので、メンテナンス費用を抑えることができる。
【0143】
以上述べたことから明らかなように、本開示に係る内視鏡装置1によれば、光伝送モジュール20、25において、基板51、71に搭載されたVCSEL駆動用IC(光電変換素子駆動回路)22、トランスインピーダンスアンプ(信号変換回路部)27といった発熱部品を放熱部材でモールドして隠蔽し、かつそのモールド部52、72に、垂直共振器面発光レーザ(光電変換素子)23からの光信号出力やフォトダイオード(光電変換素子)26への光信号入力を伝送する光ファイバ(光信号伝送線)36の端部をこれら光電変換素子23、26に対して位置決め保持する光ファイバ保持孔(ガイド保持部)53を一体的に形成し、光送信モジュール50、光受信モジュール70からなるサブモジュールとして構成してあるので、光伝送モジュール20,25におけるこれら発熱部品の作動安定と光伝送モジュール20,25の小型化との両立が可能となり、ひいては内視鏡装置1の性能向上をはかることができる。
【0144】
このような技術的特徴を有する本開示に係る内視鏡装置の構成は、上述した実施例の構成に限定されるものではなく、上述した実施例の各部の構成を適宜組み合わせたり、各部を同様な作用を得ること可能な別構成で置き換えたりすることによって、種々の変形例が可能である。
【符号の説明】
【0145】
1 内視鏡装置、
2 プロセッサ(信号処理装置)、
2a コネクタ接続部、
3 モニタ、
11 挿入部、
11a 先端部、
11b 湾曲可動部、
11c 可撓管部、
12 操作部、
12a 連結部、
13 連結可撓管(ユニバーサルコード)、
13a コネクタ部、
20 光伝送モジュール、
21 イメージセンサ、
22 VCSEL駆動用IC(光電変換素子駆動回路)、
23 垂直共振器面発光レーザ(光電変換素子)、
25 光伝送モジュール、
26 フォトダイオード(光電変換素子)、
27 トランスインピーダンスアンプ(信号変換回路部)、
28 ライトニングアレスタ(保護回路部)、
31 制御信号ライン、
32 映像信号伝送ライン、
34 駆動電源供給ライン、
36 光ファイバ、
37 係合保持片、
50 光送信モジュール、
51 光送信モジュール基板、
51x 搭載基板部、
51z 非搭載基板部、
52 モールド部、
53 光ファイバ保持孔、
54 屈曲端子片、
55 係合凹部、
56 光ファイバ挿入筒、
57 バネ撓みリング(ファイバ支持部材)、
58 溝部、
59 内室部、
61 光伝送モジュール基板、
61x センサ搭載基板部、
61z モジュール搭載基板部、
62 モールド部、
70 光受信モジュール、
71 光受信モジュール基板、
72 モールド部、
73 光ファイバ保持孔、
74 屈曲端子片、
81 光伝送モジュール基板、
85 内視鏡装置コネクタ、
90 制御基板、
95 プロセッサコネクタ、
S 分離空間部。