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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】走行制御システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
A01B69/00 303A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021139301
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032924
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森本 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】菊地 良太
(72)【発明者】
【氏名】作田 建
(72)【発明者】
【氏名】吉村 史也
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-108597(JP,A)
【文献】特開2019-121266(JP,A)
【文献】特開2020-022397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0302962(US,A1)
【文献】特開2020-028243(JP,A)
【文献】特開2001-163247(JP,A)
【文献】特開2018-116606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0296878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00-69/08
G05D 1/00- 1/87
B62D 6/00- 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置を有する作業車の自動走行を制御する走行制御システムであって、
前記作業車は、圃場の最外周領域において前記圃場の外形に沿って行われる作業走行である最外周走行を、自動走行によって行うことができるように構成されており、
前記最外周走行は、前記作業装置を駆動しながら第1方向へ走行する第1走行と、前記作業装置を駆動しながら第2方向へ走行する第2走行と、前記第1走行と前記第2走行との間で行われ、前記作業車の向きが前記第1方向から前記第2方向へ変化する動作である方向転換動作と、を含んでおり、
自動走行によって行われる前記最外周走行である最外周自動走行を、所定の許可条件が満たされている場合に許可する許可部と、
前記許可部が前記最外周自動走行を許可しない場合に前記最外周自動走行を禁止する禁止部と、を備え、
前記許可条件は、第1条件及び第2条件を含んでおり、
前記第1条件は、前記作業装置の作業幅に対応する値である基準値が前記作業装置の横幅よりも大きいことであり、
前記第2条件は、前記基準値が、閾値決定部により決定された閾値よりも大きいことであり、
前記閾値決定部は、前記作業車の前端位置と、前記作業装置を作業状態から非作業状態へと切り替える際の基準位置と、の間の距離である基準距離に基づいて、前記閾値を決定する走行制御システム。
【請求項2】
前記作業車は、機体前方の障害物を検知可能なセンサを備え、
前記閾値決定部は、前記センサによる検知範囲にも基づいて前記閾値を決定する請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項3】
前記センサは、有効な状態と無効な状態との間で切り替え可能に構成されており、
前記閾値決定部は、前記センサが有効な状態である場合、前記センサによる検知範囲にも基づいて前記閾値を決定し、
前記閾値決定部は、前記センサが無効な状態である場合、前記センサによる検知範囲に基づくことなく前記閾値を決定する請求項2に記載の走行制御システム。
【請求項4】
前記閾値決定部は、前記作業車の旋回半径にも基づいて前記閾値を決定する請求項1から3の何れか一項に記載の走行制御システム。
【請求項5】
前記作業車は、旋回時の走行装置の駆動方式を変更可能に構成されており、
前記閾値決定部は、前記駆動方式にも基づいて前記閾値を決定する請求項1から4の何れか一項に記載の走行制御システム。
【請求項6】
前記最外周自動走行において前記第1走行により作業が行われる領域と、前記第2走行により作業が行われる領域と、の重複部分の幅である重複幅を決定する重複幅決定部と、
前記基準値を決定する基準値決定部と、を備え、
前記基準値決定部は、前記作業装置の作業幅から前記重複幅を減じた値を前記基準値として決定する請求項1から5の何れか一項に記載の走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置を有する作業車の自動走行を制御する走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような走行制御システムとして、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この走行制御システムは、トラクタの自動走行を制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-116606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場が畦畔で囲まれている場合、圃場における最外周に位置する領域である最外周領域では、作業車が畦畔に干渉しないように、作業車を走行させる必要がある。そのため、圃場の最外周領域では、最外周領域よりも内側の領域に比べて、自動走行によって適切に作業走行を行うことが困難である。
【0005】
このことから、従来の走行制御システムでは、多くの場合、最外周領域における自動走行が実行されないように構成されていた。
【0006】
本発明の目的は、最外周領域における自動走行を適切に行いやすい条件下においては、最外周領域における自動走行を実行することができる走行制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、作業装置を有する作業車の自動走行を制御する走行制御システムであって、前記作業車は、圃場の最外周領域において前記圃場の外形に沿って行われる作業走行である最外周走行を、自動走行によって行うことができるように構成されており、前記最外周走行は、前記作業装置を駆動しながら第1方向へ走行する第1走行と、前記作業装置を駆動しながら第2方向へ走行する第2走行と、前記第1走行と前記第2走行との間で行われ、前記作業車の向きが前記第1方向から前記第2方向へ変化する動作である方向転換動作と、を含んでおり、自動走行によって行われる前記最外周走行である最外周自動走行を、所定の許可条件が満たされている場合に許可する許可部と、前記許可部が前記最外周自動走行を許可しない場合に前記最外周自動走行を禁止する禁止部と、を備え、前記許可条件は、第1条件及び第2条件を含んでおり、前記第1条件は、前記作業装置の作業幅に対応する値である基準値が前記作業装置の横幅よりも大きいことであり、前記第2条件は、前記基準値が、閾値決定部により決定された閾値よりも大きいことであり、前記閾値決定部は、前記作業車の前端位置と、前記作業装置を作業状態から非作業状態へと切り替える際の基準位置と、の間の距離である基準距離に基づいて、前記閾値を決定することにある。
【0008】
本構成によれば、基準値が作業装置の横幅よりも大きく、且つ、基準値が閾値よりも大きい場合、最外周自動走行が許可される。
【0009】
基準値が作業装置の横幅よりも大きい場合、圃場の隅部での旋回時に作業装置が圃場外に出てしまい畦畔に干渉する事態が起こりにくい。また、基準値が閾値よりも大きい場合、第1走行で作業が行われる領域と、第2走行で作業が行われる領域と、の間に作業が行われない領域が生じてしまう事態が起こりにくい。
【0010】
従って、第1条件及び第2条件が満たされている場合、圃場の隅部での旋回時に作業装置が圃場外に出てしまい畦畔に干渉することなく、且つ、第1走行で作業が行われる領域と、第2走行で作業が行われる領域と、の間に作業が行われない領域が生じてしまうことなく、最外周領域における自動走行を行いやすい。即ち、第1条件及び第2条件が満たされている場合、最外周領域における自動走行を適切に行いやすい。
【0011】
以上のことから、本構成によれば、最外周領域における自動走行を適切に行いやすい条件下においては、最外周自動走行が許可される。即ち、本構成によれば、最外周領域における自動走行を適切に行いやすい条件下においては、最外周領域における自動走行を実行することができる走行制御システムを実現できる。
【0012】
さらに、本発明において、前記作業車は、機体前方の障害物を検知可能なセンサを備え、前記閾値決定部は、前記センサによる検知範囲にも基づいて前記閾値を決定すると好適である。
【0013】
本構成によれば、センサによる検知範囲に基づくことなく閾値を決定する場合に比べて、閾値が適切に決定されやすい。その結果、許可条件が適切になりやすい。
【0014】
さらに、本発明において、前記センサは、有効な状態と無効な状態との間で切り替え可能に構成されており、前記閾値決定部は、前記センサが有効な状態である場合、前記センサによる検知範囲にも基づいて前記閾値を決定し、前記閾値決定部は、前記センサが無効な状態である場合、前記センサによる検知範囲に基づくことなく前記閾値を決定すると好適である。
【0015】
本構成によれば、センサが有効であるか否かに応じて閾値が変化する構成を実現できる。これにより、センサが有効である場合、及び、センサが無効である場合の何れにおいても、許可条件が適切になりやすい。
【0016】
さらに、本発明において、前記閾値決定部は、前記作業車の旋回半径にも基づいて前記閾値を決定すると好適である。
【0017】
本構成によれば、例えば、基準距離と、旋回半径を考慮して決定した値と、の和を閾値として決定することができる。このように、旋回半径にも基づいて閾値を決定すれば、第2条件が満たされている場合に、第1走行の終了時点における機体前方に、スムーズに方向転換動作(旋回)を行えるスペースが確保される構成を実現できる。これにより、許可条件が満たされた場合にスムーズに方向転換動作(旋回)を行える構成を実現できる。
【0018】
さらに、本発明において、前記作業車は、旋回時の走行装置の駆動方式を変更可能に構成されており、前記閾値決定部は、前記駆動方式にも基づいて前記閾値を決定すると好適である。
【0019】
一般に、旋回時の走行装置の駆動方式が変化すると、旋回半径が変化することとなる。
【0020】
ここで、上記の構成によれば、例えば、基準距離と、旋回時の走行装置の駆動方式を考慮して決定した値と、の和を閾値として決定することができる。このように、旋回時の走行装置の駆動方式にも基づいて閾値を決定すれば、旋回半径が大きいほど閾値が大きくなる構成を実現できる。その結果、第2条件が満たされている場合に、第1走行の終了時点における機体前方に、スムーズに方向転換動作(旋回)を行えるスペースが確保される構成を実現できる。これにより、許可条件が満たされた場合にスムーズに方向転換動作(旋回)を行える構成を実現できる。
【0021】
さらに、本発明において、前記最外周自動走行において前記第1走行により作業が行われる領域と、前記第2走行により作業が行われる領域と、の重複部分の幅である重複幅を決定する重複幅決定部と、前記基準値を決定する基準値決定部と、を備え、前記基準値決定部は、前記作業装置の作業幅から前記重複幅を減じた値を前記基準値として決定すると好適である。
【0022】
本構成によれば、作業装置の作業幅を基準値として決定する場合に比べて、基準値が適切に決定されやすい。その結果、許可条件が適切になりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】トラクタの左側面図である。
図2】圃場における作業走行を示す図である。
図3】基準距離等を示す図である。
図4】制御部等の構成を示すブロック図である。
図5】判定フローのフローチャートである。
図6】閾値決定フローのフローチャートである。
図7】その他の実施形態(1)における閾値決定フローのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図2及び図3に示す矢印Nの方向を「北」、矢印Sの方向を「南」、矢印Eの方向を「東」、矢印Wの方向を「西」とする。
【0025】
〔トラクタの構成〕
図1に示すように、トラクタ1(本発明に係る「作業車」に相当)は、走行装置10、原動機13、変速装置15を備えている。走行装置10は、左右の前輪11及び左右の後輪12を含んでいる。
【0026】
原動機13は、ディーゼルエンジンや電動モータ等によって構成される。変速装置15は、変速によって走行装置10の推進力を調節するとともに、走行装置10の前進と後進との切替が可能である。
【0027】
また、トラクタ1は、キャビン21を備えている。キャビン21内には運転室が形成されている。
【0028】
トラクタ1の後部には、3点リンク機構等で構成された昇降装置16が設けられている。昇降装置16には、肥料を散布する肥料散布装置30(本発明に係る「作業装置」に相当)が装備される。
【0029】
この肥料散布装置30は、肥料を収容可能な容器31と、容器31内の肥料を圃場に供給する供給機構32とを備えている。
【0030】
前輪11は操向輪として機能する。前輪11の操舵角を変更することにより、トラクタ1の走行方向が変更される。ここで、トラクタ1は、自動走行可能に構成されている。自動走行における前輪11の操舵角は、図示されていない電動操舵機構を介して制御可能である。手動走行における前輪11の操舵は、運転室に配置されているステアリングホイール22の操作によって行われる。
【0031】
〔圃場における作業について〕
図2に示すように、トラクタ1は、圃場における中央領域51では往復走行によって作業走行を行うように構成されている。また、トラクタ1は、圃場における外周領域52では周回走行によって作業走行を行うように構成されている。尚、作業走行とは、作業装置によって作業を行いながら走行することである。本実施形態における作業走行は、肥料散布装置30により肥料散布を行いながら走行することである。
【0032】
また、中央領域51とは、圃場における中央部に位置する領域である。外周領域52とは、圃場における外周部に位置する領域である。
【0033】
図2に示す例において、中央領域51での作業走行を行う場合、トラクタ1は、中央領域51の西端部における北端位置から南へ向かって作業走行を開始する。その後、トラクタ1は、南北方向に沿った直線走行と、Uターン走行と、を交互に繰り返す。そして、中央領域51の東端部における作業走行が完了すると、中央領域51の全体が作業済となる。
【0034】
尚、南北方向に沿った直線走行は、肥料散布装置30を駆動しながら行われる。言い換えれば、南北方向に沿った直線走行において、肥料散布装置30は作業状態である。また、本明細書における「直線走行」は、走行軌跡が厳密に直線となるように走行することのみを意味するものではなく、多少の蛇行や旋回を含んでいても実質的に直線的な走行であれば、「直線走行」に該当する。また、本実施形態における「直線走行」に代えて、実質的に曲線的な走行やジグザグ状の走行等が行われても良い。
【0035】
また、Uターン走行は、肥料散布装置30を駆動停止した状態で行われる。言い換えれば、Uターン走行において、肥料散布装置30は非作業状態である。
【0036】
図2に示す例において、外周領域52での作業走行を行う場合、トラクタ1は、外周領域52の内側から外側へ、3周の周回走行を行う。尚、本発明はこれに限定されず、外周領域52での周回走行は、2周以下であっても良いし、4周以上であっても良い。
【0037】
図2に示すように、外周領域52は、最外周領域53を含んでいる。最外周領域53は、外周領域52における最外周に位置する領域である。トラクタ1は、最外周走行を行うことができるように構成されている。最外周走行とは、圃場の最外周領域53において圃場の外形に沿って行われる作業走行である。
【0038】
図2に示す例において、最外周走行は、第1地点P1から、圃場の外形に沿って反時計回りに走行しながら、第2地点P2、第3地点P3、第4地点P4、第5地点P5、第6地点P6、第7地点P7を通過して、第8地点P8に到達するまでの作業走行である。
【0039】
第1地点P1から第2地点P2までの走行、第3地点P3から第4地点P4までの走行、第5地点P5から第6地点P6までの走行、第7地点P7から第8地点P8までの走行は、直線走行であり、肥料散布装置30を駆動しながら行われる。即ち、これらの走行において、肥料散布装置30は作業状態である。
【0040】
第2地点P2から第3地点P3までの走行、第4地点P4から第5地点P5までの走行、第6地点P6から第7地点P7までの走行は、方向転換走行(旋回走行)であり、肥料散布装置30を駆動停止した状態で行われる。即ち、これらの走行において、肥料散布装置30は非作業状態である。
【0041】
最外周走行は、第1走行と、第2走行と、方向転換動作と、を含んでいる。第1走行とは、作業装置を駆動しながら第1方向へ走行することである。第2走行とは、作業装置を駆動しながら第2方向へ走行することである。方向転換動作とは、第1走行と第2走行との間で行われ、トラクタ1の向きが第1方向から第2方向へ変化する動作である。尚、本実施形態における作業装置は、具体的には肥料散布装置30である。
【0042】
即ち、最外周走行は、肥料散布装置30を駆動しながら第1方向へ走行する第1走行と、肥料散布装置30を駆動しながら第2方向へ走行する第2走行と、第1走行と第2走行との間で行われ、トラクタ1の向きが第1方向から第2方向へ変化する動作である方向転換動作と、を含んでいる。
【0043】
以下の説明では、第1地点P1から第2地点P2までの走行が「第1走行」であり、第3地点P3から第4地点P4までの走行が「第2走行」であり、第2地点P2から第3地点P3までの走行が「方向転換動作」であるとして説明する。この場合、西の方角が「第1方向」となり、南の方角が「第2方向」となる。
【0044】
ただし、本発明はこれに限定されない。「第1走行」に相当する走行は、例えば、第3地点P3から第4地点P4までの走行であっても良いし、第5地点P5から第6地点P6までの走行であっても良い。「第2走行」、「方向転換動作」、「第1方向」、「第2方向」についても同様であって、以下の説明に限定されるものではない。
【0045】
図3には、図2に示す圃場の北西部の拡大図が示されている。尚、図3では、第2地点P2及び第3地点P3の図示を省略している。
【0046】
また、図3には、第1作業領域61と、第2作業領域62と、が示されている。第1作業領域61は、第1走行により作業が行われる領域である。第2作業領域62は、第2走行により作業が行われる領域である。図3に示すように、第1作業領域61と第2作業領域62とは一部重複している。
【0047】
また、図2及び図3に示すように、肥料散布装置30は、機体後側へ向けて肥料を散布する。肥料散布装置30による肥料の散布範囲は、平面視において扇形である。図3に示すように、肥料散布装置30による肥料の散布範囲の横幅が、肥料散布装置30の作業幅W1である。
【0048】
〔自動走行について〕
図4に示すように、トラクタ1は、制御部40(本発明に係る「走行制御システム」に相当)を備えている。トラクタ1の自動走行は、制御部40によって制御される。そして、トラクタ1は、制御部40の制御により、中央領域51における作業走行、及び、外周領域52における作業走行を、自動走行によって行うことができるように構成されている。特に、トラクタ1は、最外周走行を自動走行によって行うことができるように構成されている。
【0049】
即ち、制御部40は、肥料散布装置30を有するトラクタ1の自動走行を制御する。また、トラクタ1は、圃場の最外周領域53において圃場の外形に沿って行われる作業走行である最外周走行を、自動走行によって行うことができるように構成されている。
【0050】
図4に示すように、制御部40は、自車位置算出部25を有している。また、図1及び図4に示すように、トラクタ1は、衛星測位モジュール7を備えている。衛星測位モジュール7は、キャビン21の上部に取り付けられている。衛星測位モジュール7は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星からのGPS信号を受信する。そして、図4に示すように、衛星測位モジュール7は、受信したGPS信号に基づいて、トラクタ1の自車位置を示す測位データを自車位置算出部25へ送る。
【0051】
尚、本発明はこれに限定されない。衛星測位モジュール7は、GPSを利用するものでなくても良い。例えば、衛星測位モジュール7は、GPS以外のGNSS(GLONASS、Galileo、みちびき、BeiDou等)を利用するものであっても良い。
【0052】
自車位置算出部25は、衛星測位モジュール7により出力された測位データに基づいて、トラクタ1の位置座標を経時的に算出する。これにより、自車位置算出部25は、トラクタ1の位置座標を取得する。
【0053】
また、図4に示すように、トラクタ1は、慣性計測装置8を備えている。また、制御部40は、自車方位算出部29を有している。
【0054】
慣性計測装置8は、トラクタ1の機体のヨー角度の角速度、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を経時的に検知する。慣性計測装置8による検知結果は、自車方位算出部29へ送られる。
【0055】
自車方位算出部29は、自車位置算出部25から、トラクタ1の位置座標を受け取る。そして、自車方位算出部29は、慣性計測装置8による検知結果と、トラクタ1の位置座標と、に基づいて、トラクタ1の姿勢方位を算出する。
【0056】
より具体的には、まず、トラクタ1の走行中に、現在のトラクタ1の位置座標、及び、直前に走行していた地点におけるトラクタ1の位置座標に基づいて、自車方位算出部29は、初期姿勢方位を算出する。次に、初期姿勢方位が算出されてからトラクタ1が一定時間走行すると、自車方位算出部29は、その一定時間の走行の間に慣性計測装置8により検知された角速度を積分処理することにより、姿勢方位の変化量を算出する。
【0057】
そして、このように算出された姿勢方位の変化量を初期姿勢方位に足し合わせることによって、自車方位算出部29は、姿勢方位の算出結果を更新する。その後、一定時間毎に、姿勢方位の変化量が同様に算出されると共に、順次、姿勢方位の算出結果が更新されていく。
【0058】
以上の構成により、自車方位算出部29は、トラクタ1の姿勢方位を算出する。
【0059】
図4に示すように、制御部40は、マップ生成部26を有している。マップ生成部26は、自車位置算出部25から、トラクタ1の経時的な位置座標を受け取る。そして、マップ生成部26は、トラクタ1の経時的な位置座標に基づいて、中央領域51の外形を示すデータ、及び、外周領域52の外形を示すデータを生成する。
【0060】
詳述すると、圃場における自動走行を行う前に、作業者は、トラクタ1を手動走行させて、最外周領域53における周回走行を行う。この周回走行におけるトラクタ1の経時的な位置座標に基づいて、マップ生成部26は、圃場の外形を示すデータ、及び、中央領域51の外形を示すデータを生成する。そして、マップ生成部26は、圃場の外形を示すデータ、及び、中央領域51の外形を示すデータに基づいて、外周領域52の外形を示すデータを生成する。
【0061】
図4に示すように、制御部40は、経路生成部27を有している。経路生成部27は、マップ生成部26から、中央領域51の外形を示すデータ、及び、外周領域52の外形を示すデータを受け取る。経路生成部27は、これらのデータに基づいて、自動走行のための目標経路を生成する。図2に示す例では、経路生成部27により生成された目標経路が矢印で示されている。
【0062】
図2に示す例では、中央領域51における作業走行を行うための目標経路と、外周領域52における作業走行を行うための目標経路と、が示されている。中央領域51における作業走行を行うための目標経路は、トラクタ1が往復走行を行うように生成される。外周領域52における作業走行を行うための目標経路は、トラクタ1が周回走行を行うように生成される。
【0063】
図4に示すように、制御部40は、走行制御部28を有している。トラクタ1が自動走行を行っているとき、走行制御部28は、自車位置算出部25から受け取ったトラクタ1の位置座標と、自車方位算出部29から受け取ったトラクタ1の姿勢方位と、経路生成部27から受け取った目標経路を示す情報と、に基づいて、トラクタ1の走行を制御する。より具体的には、走行制御部28は、目標経路に沿った自動走行によって作業走行が行われるように、走行装置10及び肥料散布装置30を制御する。このとき、走行制御部28は、例えば、衛星測位モジュール7が目標経路上に位置するように、トラクタ1の走行を制御する。
【0064】
本実施形態では、トラクタ1の運転室に、自動走行開始ボタン(図示せず)が設けられている。トラクタ1は、作業者が自動走行開始ボタンを操作すると、自動走行を開始するように構成されている。
【0065】
尚、制御部40、及び、制御部40に含まれる走行制御部28等の各要素は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
【0066】
〔駆動方式について〕
図4に示すように、制御部40は、駆動方式設定部24を有している。また、本実施形態では、トラクタ1の運転室に、駆動方式選択ボタン(図示せず)が設けられている。作業者が駆動方式選択ボタンを操作すると、その操作に応じて、駆動方式設定部24が、旋回時の走行装置10の駆動方式を設定する。駆動方式が設定されると、駆動方式設定部24から所定の信号が走行制御部28へ送られる。旋回時に、走行制御部28は、この信号に応じて、設定された駆動方式で走行装置10を制御する。
【0067】
本実施形態においては、第1駆動方式、第2駆動方式、第3駆動方式の3種類の駆動方式が存在する。第1駆動方式は、前輪11が後輪12よりも高速で回転する制御である高速回転制御、及び、旋回内側の後輪12にブレーキが作動する制御である内側ブレーキ制御が実行される駆動方式である。第2駆動方式は、高速回転制御が実行され、且つ、内側ブレーキ制御が実行されない駆動方式である。第3駆動方式は、高速回転制御及び内側ブレーキ制御の何れも実行されない駆動方式である。
【0068】
第2駆動方式でのトラクタ1の旋回半径は、第1駆動方式でのトラクタ1の旋回半径よりも大きい。第3駆動方式でのトラクタ1の旋回半径は、第2駆動方式でのトラクタ1の旋回半径よりも大きい。
【0069】
このように、トラクタ1は、旋回時の走行装置10の駆動方式を変更可能に構成されている。
【0070】
〔判定部について〕
図4に示すように、制御部40は、判定部47を有している。判定部47は、最外周自動走行を許可するか、または禁止するかを判定するように構成されている。尚、最外周自動走行とは、自動走行によって行われる最外周走行である。
【0071】
判定部47による判定結果は、走行制御部28へ送られる。走行制御部28は、受け取った判定結果が最外周自動走行を許可するものである場合、最外周自動走行が行われるように、走行装置10及び肥料散布装置30を制御する。また、走行制御部28は、受け取った判定結果が最外周自動走行を禁止するものである場合、最外周自動走行が行われないように、走行装置10及び肥料散布装置30を制御する。
【0072】
判定部47によって最外周自動走行が許可された場合、例えば、中央領域51及び外周領域52の全体にわたって、自動走行による作業走行が行われても良い。
【0073】
判定部47によって最外周自動走行が禁止された場合、例えば、中央領域51及び外周領域52のうち、中央領域51のみにおいて、自動走行による作業走行が行われても良い。あるいは、圃場のうち最外周領域53以外の部分の全体にわたって、自動走行による作業走行が行われても良い。
【0074】
以下では、判定部47に関する構成について説明する。
【0075】
図4に示すように、制御部40は、重複幅決定部41及び基準値決定部42を有している。重複幅決定部41は、重複幅D3(図3参照)を決定する。重複幅D3は、最外周自動走行が行われる場合に、第1作業領域61と第2作業領域62との重複部分となることが予定される領域の、第1走行における前後方向での幅である。
【0076】
即ち、制御部40は、最外周自動走行において第1走行により作業が行われる領域と、第2走行により作業が行われる領域と、の重複部分の幅である重複幅D3を決定する重複幅決定部41を備えている。
【0077】
重複幅決定部41は、例えば、経路生成部27により生成された目標経路と、肥料散布装置30の作業幅W1と、後述する基準位置SPと、に基づいて重複幅D3を算出することにより、重複幅D3を決定するように構成されていても良い。
【0078】
重複幅決定部41は、重複幅D3を示す情報を、基準値決定部42へ送る。基準値決定部42は、当該情報に基づいて、基準値を決定する。基準値とは、作業装置(本実施形態では肥料散布装置30)の作業幅W1に対応する値である。
【0079】
即ち、制御部40は、基準値を決定する基準値決定部42を備えている。
【0080】
本実施形態において、基準値決定部42は、肥料散布装置30の作業幅W1から重複幅D3を減じた値を基準値として決定する。ただし、本発明はこれに限定されない。例えば、基準値決定部42は、肥料散布装置30の作業幅W1を基準値として決定しても良い。
【0081】
図4に示すように、制御部40は、基準位置設定部43及び基準距離算出部44を有している。また、本実施形態では、トラクタ1の運転室に、操作パネル(図示せず)が設けられている。作業者が操作パネルを操作すると、その操作に応じて、基準位置設定部43が、基準位置SP(図3参照)を設定する。即ち、基準位置SPは、人為操作によって変更可能である。
【0082】
基準位置SPとは、自動走行において、肥料散布装置30を作業状態から非作業状態へと切り替える際の位置である。
【0083】
設定された基準位置SPを示す情報は、基準位置設定部43から基準距離算出部44へ送られる。基準距離算出部44は、当該情報に基づいて、基準距離D1(図3参照)を算出する。
【0084】
基準距離D1とは、トラクタ1の前端位置と、基準位置SPと、の間の距離である。図3に示す例では、最外周自動走行が行われる場合に、第1走行終了時点でトラクタ1の前端部が位置することが予定される位置と、第1走行における基準位置SPと、の間の距離が、基準距離D1となる。
【0085】
図4に示すように、トラクタ1は、センサ9を備えている。センサ9は、機体前方の障害物を検知可能である。尚、センサ9は、機体前方だけでなく、機体側方や機体後方の障害物も検知可能であっても良い。
【0086】
即ち、トラクタ1は、機体前方の障害物を検知可能なセンサ9を備えている。
【0087】
図3には、センサ9の検知範囲DE、及び、センサ9の前後方向の検知距離D2が示されている。検知距離D2は、検知範囲DEの前後長さである。
【0088】
図4に示すように、制御部40は、センサ制御部46を有している。また、本実施形態では、トラクタ1の運転室に、操作パネル(図示せず)が設けられている。作業者が操作パネルを操作すると、その操作に応じて、センサ制御部46が、センサ9の状態を有効と無効との間で切り替える。即ち、センサ9は、有効な状態と無効な状態との間で切り替え可能に構成されている。
【0089】
図4に示すように、制御部40は、閾値決定部45を有している。閾値決定部45は、基準距離算出部44から、基準距離D1を示す情報を受け取る。また、閾値決定部45は、センサ制御部46から、センサ9の状態を示す情報を受け取る。そして、閾値決定部45は、基準距離D1と、センサ9の状態と、に基づいて、閾値を決定する。尚、閾値の決定についての詳細は後述する。
【0090】
このように、閾値決定部45は、トラクタ1の前端位置と、肥料散布装置30を作業状態から非作業状態へと切り替える際の基準位置SPと、の間の距離である基準距離D1に基づいて、閾値を決定する。
【0091】
判定部47は、基準値決定部42から基準値を示す情報を受け取る。また、判定部47は、閾値決定部45から閾値を示す情報を受け取る。そして、判定部47における許可部48は、基準値と、閾値と、肥料散布装置30の横幅W2(図3参照)と、に基づいて、第1条件及び第2条件が満たされているか否かを判定する。尚、肥料散布装置30の横幅W2は、例えば許可部48に記憶されていても良い。
【0092】
第1条件は、肥料散布装置30の作業幅W1に対応する値である基準値が肥料散布装置30の横幅W2よりも大きいことである。また、第2条件は、上述の基準値が、閾値決定部45により決定された閾値よりも大きいことである。
【0093】
そして、少なくとも第1条件及び第2条件が両方満たされた場合、許可部48は、最外周自動走行を許可するように構成されている。即ち、第1条件及び第2条件は、最外周自動走行の許可条件である。そして、許可部48は、所定の許可条件の全てが満たされている場合に、最外周自動走行を許可する。
【0094】
このように、制御部40は、自動走行によって行われる最外周走行である最外周自動走行を、所定の許可条件が満たされている場合に許可する許可部48を備えている。また、許可条件は、第1条件及び第2条件を含んでいる。
【0095】
図4に示すように、判定部47は、禁止部49を含んでいる。禁止部49は、許可部48が最外周自動走行を許可しない場合に最外周自動走行を禁止する。
【0096】
以上で説明した構成により、判定部47は、最外周自動走行を許可するか、または禁止するかを判定する。
【0097】
〔判定フロー及び閾値決定フローについて〕
制御部40は、図5に示す判定フローに従って、最外周自動走行を許可するか、または禁止するかを判定するように構成されている。この判定フローは、特に限定されないが、例えば、トラクタ1が圃場における作業走行を開始する前に実行されても良い。
【0098】
この判定フローが開始されると、まず、ステップS01の処理が実行される。ステップS01では、基準値決定部42により、基準値が決定される。
【0099】
次に、ステップS02の処理が実行される。ステップS02では、図6に示す閾値決定フローに従って、閾値決定部45により閾値が決定される。
【0100】
閾値決定フローが開始されると、まず、ステップS11の処理が実行される。ステップS11では、閾値決定部45が、センサ制御部46から受け取った情報に基づいて、センサ9が有効な状態であるか否かを判定する。センサ9が有効な状態であると判定された場合、処理はステップS12へ移行する。センサ9が有効な状態でないと判定された場合、処理はステップS13へ移行する。
【0101】
ステップS12では、閾値決定部45が、基準距離D1と、センサ9による検知範囲DEと、に基づいて閾値を決定する。より具体的には、閾値決定部45は、基準距離D1と、センサ9の前後方向の検知距離D2と、の和を、閾値として決定する。その後、閾値決定フローは終了する。
【0102】
即ち、閾値決定部45は、センサ9による検知範囲DEにも基づいて閾値を決定する。より具体的には、閾値決定部45は、センサ9が有効な状態である場合、センサ9による検知範囲DEにも基づいて閾値を決定する。
【0103】
ステップS13では、閾値決定部45が、基準距離D1に基づいて閾値を決定する。このとき、閾値決定部45は、センサ9による検知範囲DEに基づくことなく閾値を決定する。より具体的には、閾値決定部45は、基準距離D1を、閾値として決定する。その後、閾値決定フローは終了する。
【0104】
即ち、閾値決定部45は、センサ9が無効な状態である場合、センサ9による検知範囲DEに基づくことなく閾値を決定する。
【0105】
閾値決定部45により閾値が決定されると、図5に示す判定フローのステップS03の処理が実行される。ステップS03では、第1条件が満たされているか否かが許可部48により判定される。第1条件が満たされていると判定された場合、処理はステップS04へ移行する。第1条件が満たされていないと判定された場合、処理はステップS06へ移行する。
【0106】
ステップS04では、第2条件が満たされているか否かが許可部48により判定される。第2条件が満たされていると判定された場合、処理はステップS05へ移行する。第2条件が満たされていないと判定された場合、処理はステップS06へ移行する。
【0107】
ステップS05では、許可部48が、最外周自動走行を許可する。その後、判定フローは終了する。
【0108】
ステップS06では、禁止部49が、最外周自動走行を禁止する。その後、判定フローは終了する。
【0109】
以上で説明した構成であれば、基準値が肥料散布装置30の横幅W2よりも大きく、且つ、基準値が閾値よりも大きい場合、最外周自動走行が許可される。
【0110】
基準値が肥料散布装置30の横幅W2よりも大きい場合、圃場の隅部での旋回時に肥料散布装置30が圃場外に出てしまい畦畔に干渉する事態が起こりにくい。また、基準値が閾値よりも大きい場合、第1走行で作業が行われる領域と、第2走行で作業が行われる領域と、の間に作業が行われない領域が生じてしまう事態が起こりにくい。
【0111】
従って、第1条件及び第2条件が満たされている場合、圃場の隅部での旋回時に肥料散布装置30が圃場外に出てしまい畦畔に干渉することなく、且つ、第1走行で作業が行われる領域と、第2走行で作業が行われる領域と、の間に作業が行われない領域が生じてしまうことなく、最外周領域53における自動走行を行いやすい。即ち、第1条件及び第2条件が満たされている場合、最外周領域53における自動走行を適切に行いやすい。
【0112】
即ち、以上で説明した構成によれば、最外周領域53における自動走行を適切に行いやすい条件下においては、最外周自動走行が許可される。即ち、以上で説明した構成によれば、最外周領域53における自動走行を適切に行いやすい条件下においては、最外周領域53における自動走行を実行することができる制御部40を実現できる。
【0113】
〔その他の実施形態〕
(1)図6に示す閾値決定フローに代えて、図7に示す閾値決定フローが採用されても良い。図7に示す閾値決定フローが開始されると、まず、ステップS21の処理が実行される。ステップS21では、駆動方式設定部24により設定されている駆動方式が、旋回半径の大きな駆動方式であるか否かが閾値決定部45により判定される。
【0114】
より具体的には、駆動方式設定部24により設定されている駆動方式が第1駆動方式であればステップS21にてNoと判定され、駆動方式設定部24により設定されている駆動方式が第2駆動方式または第3駆動方式であればステップS21にてYesと判定される。
【0115】
ステップS21にてYesと判定された場合、処理はステップS22へ移行する。ステップS21にてNoと判定された場合、処理はステップS23へ移行する。
【0116】
ステップS22では、閾値決定部45が、設定されている駆動方式に基づいて、旋回半径増加分を算出する。旋回半径増加分とは、設定されている駆動方式での旋回半径と、第1駆動方式での旋回半径と、の差分である。例えば、設定されている駆動方式が第2駆動方式である場合、旋回半径増加分は、第2駆動方式での旋回半径から第1駆動方式での旋回半径を差し引いた値となる。
【0117】
旋回半径増加分が算出されると、閾値決定部45は、基準距離D1と、旋回半径増加分と、の和を、閾値として決定する。その後、閾値決定フローは終了する。
【0118】
ステップS23では、閾値決定部45が、基準距離D1を、閾値として決定する。その後、閾値決定フローは終了する。
【0119】
このように、図7に示す閾値決定フローでは、駆動方式設定部24により設定されている駆動方式、及び、旋回半径に基づいて、閾値が決定される。即ち、この構成においては、閾値決定部45は、トラクタ1の旋回半径にも基づいて閾値を決定する。また、閾値決定部45は、駆動方式にも基づいて閾値を決定する。
【0120】
(2)走行装置10は、クローラ式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
【0121】
(3)肥料散布装置30に代えて、農薬を散布する農薬散布装置や、種を散布する播種装置等が備えられていても良い。これらの装置は、何れも、本発明に係る「作業装置」に相当する。
【0122】
(4)トラクタ1はセンサ9を備えていなくても良い。
【0123】
(5)センサ9は、無効な状態に切り替えることができなくても良い。
【0124】
(6)許可部48及び禁止部49は、単一の部材または機能部により構成されていても良い。即ち、単一の部材または機能部が、許可部48の機能と、禁止部49の機能と、を兼ね備えていても良い。
【0125】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、トラクタだけではなく、コンバイン、田植機等の種々の作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 トラクタ(作業車)
9 センサ
10 走行装置
30 肥料散布装置(作業装置)
40 制御部(走行制御システム)
41 重複幅決定部
42 基準値決定部
45 閾値決定部
48 許可部
49 禁止部
53 最外周領域
D1 基準距離
D3 重複幅
DE 検知範囲
SP 基準位置
W1 作業幅
W2 横幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7