(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】積層電極体及び積層電極体の接着装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240729BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240729BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20240729BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20240729BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/414
H01M10/0585
H01M50/46
H01M50/463 B
H01M50/457
(21)【出願番号】P 2021511331
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2020010494
(87)【国際公開番号】W WO2020203113
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019067840
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 健次
(72)【発明者】
【氏名】正田 達也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雅秀
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174146(JP,A)
【文献】特開2015-162337(JP,A)
【文献】特開2015-072786(JP,A)
【文献】特開2019-029267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/414
H01M 10/0585
H01M 50/449
H01M 50/46
H01M 50/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の極板と矩形状のセパレータとが積層された積層電極体であって、
前記極板の外縁部を構成する4辺のうち2辺の少なくとも一部は、前記セパレータと接着され、
前記極板の外縁部を構成する4辺のうち他の2辺は、前記セパレータと接着されていない、
積層電極体。
【請求項2】
矩形状の正極と矩形状の負極とが矩形状のセパレータを介して積層された積層電極体であって、
前記負極の外縁部を構成する4辺のうち2辺の少なくとも一部は、前記セパレータと接着され、
前記負極の外縁部を構成する4辺のうち他の2辺は、前記セパレータと接着されておらず、
前記正極の外縁部を構成する4辺のうち2辺の少なくとも一部は、前記セパレータと接着され、
前記正極の外縁部を構成する4辺のうち他の2辺は、前記セパレータと接着されていない
積層電極体。
【請求項3】
前記正極は、前記負極の存在領域の内部に配置される
請求項2に記載の積層電極体。
【請求項4】
前記セパレータは、基材層の両面に熱可塑性層を備える
請求項1~3のいずれかに記載の積層電極体。
【請求項5】
セパレータ単板を保持して回転する保持手段と、
前記セパレータ単板上に矩形極板を順次、加圧接着する極板接着手段と、
を備え、
前記極板接着手段は、前記保持手段との間に生じる距離変動を補償して前記矩形極板を前記セパレータ単板上に加圧する
積層電極体の接着装置。
【請求項6】
前記保持手段は第1回転ドラムであり、
前記極板接着手段は第2回転ドラムであり、
前記第1回転ドラムの支柱および前記第2回転ドラム支柱の一方は、コイルスプリング、ドラム回転支点およびモータを備え、
前記第1回転ドラムまたは前記第2回転ドラムの回転による前記ドラム回転支点を中心とする揺動に伴う前記コイルスプリングのたわみは、前記モータの駆動により抑制される、
請求項5に記載の積層電極体の接着装置。
【請求項7】
前記極板接着手段は、前記セパレータ単板の長手方向に沿った前記矩形極板の両端部において前記加圧を低減又は中断して前記矩形極板の両端部を前記セパレータ単板に接着しない
請求項5に記載の積層電極体の接着装置。
【請求項8】
前記保持手段は第1回転ドラムであり、
前記極板接着手段は第2回転ドラムであり、
前記第1回転ドラムと前記第2回転ドラムの一方の支柱にはカム機構が設けられ、
前記第1回転ドラムと前記第2回転ドラムの他方の支柱には前記カム機構と係合するアームが設けられ、
前記カム機構の表面形状は、多角形または所定間隔で突起を有する、
請求項7に記載の積層電極体の接着装置。
【請求項9】
前記他方の支柱には、前記他方の支柱に対し独立して上下に移動可能な傾斜部材が設けられ、
前記アームは、揺動アームであり、
前記揺動アームは、前記傾斜部材の傾斜面を上下に移動する
請求項8に記載の積層電極体の接着装置。
【請求項10】
前記極板接着手段は、前記矩形極板を加熱する加熱手段を備える
請求項5~9のいずれかに記載の積層電極体の接着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層電極体及びその接着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車載用のリチウムイオン二次電池等では大きな容量と低い内部抵抗、高い放熱性能が要求されるため、これらの要求を満足できる積層ラミネートタイプの電池が開発されている。この電池は正極、セパレータ、負極を交互に積層し、それぞれの電極をタブといわれる金属端子に接続し、アルミラミネートフィルムで構成した容器の中に入れ、電解液を注入してシールした形になっている。
【0003】
特許文献1には、搬送装置により供給される電極を受け取り、電極を支持する電極支持部と、上下方向に延びるループ状をなし、その外周面に電極支持部が取り付けられた循環部材と、循環部材を挟んで搬送装置の反対側に配置され、電極が積層される複数段の積層部を有する積層ユニットと、複数の電極支持部に支持された電極を複数段の積層部に向けて同時に押し出す押出部と、循環部材の循環及び昇降、並びに押出部の動作を制御する制御部を備え、制御部は、搬送装置による電極の搬送速度よりも遅い速度で、積層部に向けて電極を押し出すように押出部の動作を制御することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、正極、負極がセパレータを間に挟んで交互に積層される積層電極体を製造する装置において、連続して繰り出されるセパレータシートを巻き取り可能な外周面を有する巻き取りドラムと、外周面に巻き取られたセパレータシートSSと外周面に巻き取られるセパレータシートとの間に形成される谷間に、電極を、正極と負極とを切り替え可能に、間隔をあけて順次供給する電極供給ユニットを備えることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、正極、負極およびセパレータをそれぞれ切り離し容易な破断線を介して連続形成した連続正極材、連続負極材および連続セパレータ材を素材として、各素材を、連続セパレータ材、連続正極材、連続セパレータ材、連続負極材または連続セパレータ材、連続負極材、連続セパレータ材、連続正極材の順に、それぞれの破断線を一致させて重ね合わせて形成した連続電池材を巻きつける略円筒形状の巻回手段と、巻きつけた連続電池材を巻回手段の側周面に押さえ付ける押圧手段と、巻回手段に連続電池材を必要積層数巻きつけた後、連続電池材を破断線ごとに切断する切断手段を備え、切断手段は、巻回手段の側周面の円周方向の一部が半径方向に突出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/131027号
【文献】特開2012-199211号公報
【文献】特開2011-86508号公報
【発明の概要】
【0007】
正極、セパレータ、負極を交互に積層してなる積層電極体を効率的に製造するためには、帯状の正極体及び帯状の負極体をドラムに供給し、これら帯状の正極体及び負極体をそれぞれ所望のサイズに切断して正極板及び負極板を得て、これらを所望の位置に順次積層していく必要がある。また、極板とセパレータを接着する際の加圧により損傷が生じると、電極体が劣化してしまう事態が生じ得る。
【0008】
本開示は、積層電極体を製造するに際し、極板とセパレータを接着する場合の損傷を抑制し得る技術を提供することを目的とする。
【0009】
本開示の一態様は、矩形状の極板と矩形状のセパレータとが積層された積層電極体であって、前記極板の外縁部を構成する4辺のうち2辺の少なくとも一部は、前記セパレータと接着され、前記極板の外縁部を構成する4辺のうち他の2辺は、前記セパレータと接着されていない積層電極体である。
【0010】
本開示の他の態様は、矩形状の正極と矩形状の負極とが矩形状のセパレータを介して積層された積層電極体であって、前記負極の外縁部を構成する4辺のうち2辺の少なくとも一部は、前記セパレータと接着され、前記負極の外縁部を構成する4辺のうち他の2辺は、前記セパレータと接着されておらず、前記正極の外縁部を構成する4辺のうち2辺の少なくとも一部は、前記セパレータと接着され、前記正極の外縁部を構成する4辺のうち他の2辺は、前記セパレータと接着されていない積層電極体である。
【0011】
本開示のさらに他の態様は、前記正極は、前記負極の存在領域の内部に配置される。
【0012】
本開示のさらに他の態様は、前記セパレータは、基材層の両面に熱可塑性層を備える。
【0013】
本開示のさらに他の態様は、セパレータ単板を保持して回転する保持手段と、前記セパレータ単板上に矩形極板を順次、加圧接着する極板接着手段とを備え、前記極板接着手段は、前記保持手段との間に生じる距離変動を補償して前記矩形極板を前記セパレータ単板上に加圧する積層電極体の接着装置である。
【0014】
本開示のさらに他の態様は、前記保持手段は第1回転ドラムであり、前記極板接着手段は第2回転ドラムであり、前記第1回転ドラムの支柱および前記第2回転ドラム支柱の一方は、コイルスプリング、ドラム回転支点およびモータを備え、前記第1回転ドラムまたは前記第2回転ドラムの回転による前記ドラム回転支点を中心とする揺動に伴う前記コイルスプリングのたわみは、前記モータの駆動により抑制される。
【0015】
本開示のさらに他の態様は、前記極板接着手段は、前記セパレータ単板の長手方向に沿った前記矩形極板の両端部において前記加圧を低減又は中断して前記矩形極板の両端部を前記セパレータ単板に接着しない。
【0016】
本開示のさらに他の態様は、前記保持手段は第1回転ドラムであり、前記極板接着手段は第2回転ドラムであり、前記第1回転ドラムと前記第2回転ドラムの一方の支柱にはカム機構が設けられ、前記第1回転ドラムと前記第2回転ドラムの他方の支柱には前記カム機構と係合するアームが設けられ、前記カム機構の表面形状は、多角形または所定間隔で突起を有する。
【0017】
本開示のさらに他の態様は、前記他方の支柱には、前記他方の支柱に対し独立して上下に移動可能な傾斜部材が設けられ、前記アームは、揺動アームであり、前記揺動アームは、前記傾斜部材の傾斜面を上下に移動する。
【0018】
本開示のさらに他の態様は、前記極板接着手段は、前記矩形極板を加熱する加熱手段を備える。
【0019】
本開示の一態様によれば、積層電極体を製造するに際し、極板とセパレータを接着する場合の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】実施形態の4層積層体の製造方法を示す説明図である。
【
図5】実施形態の3層積層体の製造方法を示す説明図である。
【
図7】実施形態の3層積層体及び4層積層体の積層説明図である。
【
図9】実施形態の3層積層体及び4層積層体の生成順序説明図である。
【
図11】実施形態の正極カットヘッドの構成斜視図である。
【
図13】実施形態の正極単板の切断説明図(その1)である。
【
図14】実施形態の正極単板の切断説明図(その2)である。
【
図16】実施形態の正極単板の上面図及び側面図である。
【
図17】実施形態の正極単板の切断面説明図である。
【
図19】実施形態の他の刃形状を示す説明図である。
【
図23A】実施形態の負極ヒートドラムと接着ドラムの説明図である。
【
図23B】実施形態の加圧力調整機構の斜視図である。
【
図23C】実施形態の加圧力調整機構の背面図である。
【
図26】実施形態の負極板接着時の加圧範囲説明図である。
【
図27】実施形態のセパレータS2接着時の加圧範囲説明図である。
【
図28】実施形態の正極板接着時の加圧範囲説明図である。
【
図29】実施形態の積層ドラムの構成斜視図である。
【
図30】実施形態の積層ドラムの動作説明図(その1)である。
【
図31】実施形態の積層ドラムの動作説明図(その2)である。
【
図32】実施形態の積層ドラムの動作説明図(その3)である。
【
図33】実施形態の積層ドラムの動作説明図(その4)である。
【
図34】実施形態の積層ヘッドの構成斜視図である。
【
図35】実施形態の積層ヘッドの位置変化を示すグラフ図である。
【
図36】実施形態の積層ステージの構成斜視図である。
【
図37】実施形態の積層ステージの爪配置を示す図である。
【
図38】実施形態の積層ステージの爪動作説明図である。
【
図39】実施形態の積層ステージの他の爪配置を示す平面図である。
【
図40】実施形態の積層ヘッドと爪の連動動作説明図(その1)である。
【
図41】実施形態の積層ヘッドと爪の連動動作説明図(その2)である。
【
図42】実施形態の積層ヘッドと爪の連動動作説明図(その3)である。
【
図43】実施形態の積層ヘッドと爪の連動動作説明図(その4)である。
【
図44】実施形態の積層ヘッドと爪の連動動作説明図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本開示の一態様に係る積層電極体の製造装置及び製造方法について説明する。但し、以下で説明する実施形態は一例であって、本開示はこれに限定されるものではない。
【0022】
図1は、本実施形態における積層電極体の製造装置の概念図を示す。実施形態の製造装置は、複数のドラムを組み合わせた連続ドラム式の製造装置であり、負極カットドラム10、負極ヒートドラム12、正極カットドラム14、正極ヒートドラム16、接着ドラム18、セパレータカットドラム20、及び積層ドラム22を備える。
【0023】
負極カットドラム10は、第1極切断ドラムであり、第1半径を有し、中心軸の回りを第1角速度で回転する。負極カットドラム10には、第1極単板として帯状の負極単板Nが供給される。負極単板Nは、負極である。負極単板Nは、負極集電体と、負極集電体上に形成された負極活物質層とで構成される。負極活物質層は、負極集電体の一方の表面に形成してもよく、両方の表面に形成してもよい。以下の説明では、負極活物質層は、負極集電体の両面に形成されるものとする。負極活物質層は、負極活物質及び結着材を含む。
【0024】
負極集電体及び負極活物質層は、いずれも公知の材料を用いることができるが、リチウムイオン二次電池について例示すると以下の通りである。
【0025】
負極集電体としては、負極の電位範囲で安定な金属の箔、及び、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極集電体として、当該金属のメッシュ体、パンチングシート、エキスパンドメタル等の多孔体を使用してもよい。負極集電体の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル等を用いることができる。負極集電体の厚さは、集電性、機械的強度等の観点から、例えば3μm以上50μm以下が好ましい。負極単板Nは、例えば負極集電体上に負極活物質、結着材及び分散媒を含む負極合材スラリーを塗布して、塗膜を乾燥させた後、圧延して負極活物質層を負極集電体の片面又は両面に形成することにより作製できる。負極活物質層は、必要に応じて、導電材等の任意成分を含んでもよい。負極活物質層の厚さは、特に制限されないが、例えば10μm以上100μm以下である。
【0026】
負極活物質は、リチウムイオン二次電池の場合では、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る材料であれば特に制限されない。負極活物質を構成する材料は、非炭素系材料でもよく、炭素材料でもよく、これらの組み合わせでもよい。非炭素系材料としては、リチウム金属、リチウム元素を含む合金、並びに、リチウムを含有する金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物のような金属化合物が挙げられる。リチウム元素を含有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等が挙げられる。リチウムを含有するする金属酸化物としては、例えばリチウムとチタン、タンタル又はニオブ等とを含有する金属酸化物が挙げられ、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12等)が好ましい。負極活物質として用いる炭素材料としては、例えば、黒鉛、及び、ハードカーボン等が挙げられる。中でも、高容量で不可逆容量が小さいため黒鉛が好ましい。黒鉛は、黒鉛構造を有する炭素材料の総称であり、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子等が含まれる。負極活物質として黒鉛を使用する場合、水系電解液の還元分解に対する活性を低下するため、負極活物質層の表面を被膜で被覆することが好ましい。これら負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。負極活物質層に含まれる結着材としては、フッ素系高分子、ゴム系高分子等を用いてもよく、また、スチレンーブタジエン共重合体(SBR)又はこの変性体等を用いてもよい。
【0027】
負極カットドラム10は、ドラムの円周方向に配置された複数の電極カットヘッドを備えている。複数の電極カットヘッドは、負極単板Nを吸着保持するための外周面と、切断手段を備えている。切断手段は、例えば、当該外周面の円周方向に対して略直交する方向に移動する刃である。供給された負極単板Nは、この外周面に吸着保持されて回転する。電極カットヘッドは、負極単板Nを吸着保持するため、保持ヘッドとも称する。複数の電極カットヘッドの間には、間隔が形成されており、この間隔において電極カットヘッドに搭載された刃が円周方向と略直交する方向に移動することで外周面に吸着保持された負極単板Nを刃で所定幅(第1幅)となるように切断する。
【0028】
複数の電極カットヘッドは、それぞれ負極カットドラム10の共通中心軸の回りに回転するとともに、個々の電極カットヘッドが、他の電極カットヘッドに対して独立してドラムの円周方向にモータにより駆動される。例えば、円周方向に隣接する2つの電極カットヘッドを電極カットヘッドa及び電極カットヘッドbとすると、電極カットヘッドa及び電極カットヘッドbは、ドラムの共通中心軸の回りに一定の速度で回転するとともに、負極カットドラム10の円周上の所定区間毎に互いの相対速度が変更される。例えば、あるタイミングでは、電極カットヘッドaおよび電極カットヘッドbは、ともに一定の速度で回転して相対速度は0であるが、別のタイミングでは電極カットヘッドaが後続の電極カットヘッドbから離れる方向に増速して有限の相対速度となる。このような電極カットヘッドの独立駆動により、電極カットヘッドに搭載された刃による負極単板Nの切断位置が調整され得るとともに、切断により生成される負極板の位置調整がなされ得る。電極カットヘッドの移動速度は、各々の電極カットヘッドに対応したモータ等を用いることにより、実現しうる。
【0029】
負極カットドラム10は、各種のカメラを備えてもよく、これらのカメラにより切断前の負極単板Nの位置を監視するとともに、切断により生成される複数の負極板の位置を監視してもよい。負極カットドラム10は、供給された負極単板Nを吸着保持して回転搬送し、
図1における位置11において負極単板Nを切断して負極板を生成する。負極単板Nを吸着保持して回転する電極カットヘッドは、位置11まで負極単板Nを吸着保持したまま回転し、位置11に達した時点において搭載した刃により負極単板Nを切断する。切断により生成された第1幅の負極板は、電極カットヘッドのそれぞれの外周面に吸着保持されたまま回転搬送される。
【0030】
負極ヒートドラム12は、第1極加熱ドラムであり、負極カットドラム10に近接するように負極カットドラム10に隣接して配置される。負極ヒートドラム12は、第2半径を有し、中心軸回りに第2角速度で回転する。負極ヒートドラム12の第2半径は、負極カットドラム10の第1半径と同一でもよく異なっていてもよい。負極ヒートドラム12の第2角速度は、負極カットドラム10の第1角速度と異なる。具体的には、負極ヒートドラム12の第2角速度は、その線速度が後述する接着ドラム18の線速度と略同一となるように設定される。一例として、第2半径と第1半径は同一であり、第2角速度>第1角速度となるように設定される。この場合、負極カットドラム10と負極ヒートドラム12の線速度は異なり、負極ヒートドラム12の線速度>負極カットドラム10の線速度となる。このため、負極カットドラム10の電極カットヘッドは、負極ヒートドラム12との近接位置の手前において負極ヒートドラム12の線速度と略同一となるまで一時的に増速し、負極ヒートドラム12との相対速度を略ゼロとする。負極カットドラム10の電極カットヘッドは、相対速度が略ゼロとなったタイミングにおいて吸着保持していた負極板を負極ヒートドラム12側に排出する。負極カットドラム10の電極カットヘッドは、吸着保持していた負極板を排出後、増速前の速度に切り替えられる。
【0031】
負極ヒートドラム12は、負極カットドラム10から排出された負極板を吸着保持し、内蔵するヒータで負極板を加熱(予備加熱)する。図では、位置13で負極板を加熱することを示す。この加熱(予備加熱)工程は、後の接着工程においてセパレータと負極板を熱接着させるためである。負極ヒートドラム12で加熱する場所は、特定の位置(例えば位置13)に限られない。負極ヒートドラム12は、ドラムが回転している間、常に加熱された状態であっても良い。
【0032】
正極カットドラム14は、第2極切断ドラムであり、第3半径を有し、中心軸の回りを第3角速度で回転する。正極カットドラム14には、第2極単板として帯状の正極単板Pが供給される。正極単板Pは、矩形電極体である。正極単板Pは、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とで構成される。正極活物質層は、正極集電体の一方の表面に形成してもよく、両方の表面に形成してもよい。以下の説明では、正極活物質層は、正極集電体の両面に形成されるものとする。正極活物質層は、正極活物質及び結着材を含む。
【0033】
正極集電体及び正極活物質層は、いずれも公知の材料を用いることができるが、例示すると以下の通りである。
【0034】
正極集電体としては、正極の電位範囲で安定な金属の箔、及び、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極集電体として、当該金属のメッシュ体、パンチングシート、エキスパンドメタル等の多孔体を使用してもよい。正極集電体の材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン等を用いることができる。正極集電体の厚さは、集電性、機械的強度等の観点から、例えば3μm以上50μm以下が好ましい。正極単板は、例えば、正極活物質、導電材、結着材等を含む正極合材スラリーを正極集電体上に塗布・乾燥することによって、正極集電体上に正極活物質層を形成し、当該正極活物質層を圧延することにより得られる。正極活物質層の厚さは、特に制限されないが、例えば10μm以上100μm以下である。
【0035】
正極活物質は、リチウム(Li)、並びに、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びニッケル(Ni)等の遷移金属元素を含有するリチウム遷移金属酸化物である。正極活物質層に含まれる導電材としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素粉末等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。正極活物質層に含まれる結着材としては、例えば、フッ素系高分子、ゴム系高分子等が挙げられる。フッ素系高分子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはこれらの変性体等が挙げられ、ゴム系高分子としては、例えば、エチレンープロピレンーイソプレン共重合体、エチレンープロピレンーブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
正極カットドラム14は、ドラムの円周方向に配置された複数の電極カットヘッドを備えている。電極カットヘッドは、正極単板Pを吸着保持するための外周面と、切断手段を備えている。切断手段は、例えば、この外周面の円周方向に対して略直交する方向に移動する刃である。供給された正極単板Pは、この外周面に吸着保持されて回転する。電極カットヘッドは、正極単板Pを吸着保持するため、保持ヘッドとも称する。複数の電極カットヘッドの間には、円周方向に間隔が形成されており、この間隔において電極カットヘッドに搭載された刃が円周方向と略直交する方向に移動することで、外周面に吸着保持された正極単板Pを刃で所定幅(第2幅)となるように切断する。複数の電極カットヘッドは、負極カットドラム10の電極カットヘッドと同様に、それぞれ正極カットドラム14の共通中心軸の回りに回転するとともに、個々の電極カットヘッドが、他の電極カットヘッドに対して独立してドラムの円周方向にモータにより駆動される。例えば、円周方向に隣接する2つの電極カットヘッドを電極カットヘッドa及び電極カットヘッドbとすると、電極カットヘッドa及び電極カットヘッドbは、ドラムの共通中心軸の回りに一定の速度で回転するとともに、正極カットドラム14の円周上の所定区間毎に互いの相対速度が変更される。例えば、あるタイミングでは、電極カットヘッドaおよび電極カットヘッドbは、ともに一定の速度で回転して相対速度は0であるが、別のタイミングでは電極カットヘッドaが後続の電極カットヘッドbから離れる方向に増速して有限の相対速度となる。このような電極カットヘッドの独立駆動により、電極カットヘッドに搭載された丸刃による正極単板Pの切断位置が調整され得るとともに、切断により生成される正極板の位置調整がなされ得る。電極カットヘッドの移動速度は、各々の電極カットヘッドに対応したモータ等を用いることにより、実現しうる。
【0037】
正極カットドラム14は、各種のカメラを備えてもよく、これらのカメラにより切断前の正極単板Pの位置を監視するとともに、切断により生成される複数の正極板の位置を監視してもよい。正極カットドラム14は、供給された正極単板Pを吸着保持して回転搬送し、
図1において位置15において正極単板Pを切断して正極板を生成する。正極単板Pを吸着保持して回転する電極カットヘッドは、位置15まで正極単板Pを吸着保持したまま回転し、位置15に達した時点において搭載した刃により正極単板Pを切断する。切断により生成された正極板は、電極カットヘッドのそれぞれの外周面に吸着保持されたまま回転搬送される。
【0038】
正極ヒートドラム16は、第2極加熱ドラムであり、正極カットドラム14に近接するように正極カットドラム14に隣接して配置される。正極ヒートドラム16は、第4半径を有し、中心軸回りに第4角速度で回転する。正極ヒートドラム16の第4半径は、正極カットドラム14の第3半径と同一でもよく異なっていてもよい。正極ヒートドラム16の第4角速度は、正極カットドラム14の第3角速度と異なる。具体的には、正極ヒートドラム16の第4角速度は、その線速度が後述する接着ドラム18の線速度と略同一となるように設定される。一例として、第4半径と第3半径は同一であり、第4角速度>第3角速度となるように設定される。この場合、正極カットドラム14と正極ヒートドラム16の線速度は異なり、正極ヒートドラム16の線速度>正極カットドラム14の線速度となる。このため、正極カットドラム14の電極カットヘッドは、正極ヒートドラム16との近接位置の手前において正極ヒートドラム16の線速度と略同一となるまで一時的に増速し、正極ヒートドラム16との相対速度を略ゼロとする。正極カットドラム14の電極カットヘッドは、相対速度が略ゼロとなったタイミングにおいて吸着保持していた正極板を正極ヒートドラム16側に排出する。正極カットドラム14の電極カットヘッドは、吸着保持していた正極板を排出後、増速前の回転速度に切り替えられる。
【0039】
正極ヒートドラム16は、正極カットドラム14から排出された正極板を吸着保持し、内蔵するヒータで正極板を加熱(予備加熱)する。図では、位置17で正極板を加熱することを示す。この加熱(予備加熱)工程は、後の接着工程においてセパレータと正極板を熱接着させるためである。正極ヒートドラム16で加熱する場所は、特定の位置(例えば位置17)に限られない。正極ヒートドラム16は、ドラムが回転している間、常に加熱された状態であっても良い。
【0040】
接着ドラム18は、負極ヒートドラム12と正極ヒートドラム16との間に、負極ヒートドラム12と正極ヒートドラム16にともに近接するように配置される。接着ドラム18は、第5半径を有し、中心軸の回りに第5角速度で回転する。接着ドラム18には、第1セパレータ単板として帯状のセパレータS1が供給されるとともに、第2セパレータ単板として帯状のセパレータS2が供給される。さらに、負極ヒートドラム12で加熱された負極板が供給されるとともに、正極ヒートドラム16で加熱された正極板が供給される。
【0041】
負極板については、負極ヒートドラム12の線速度と接着ドラム18の線速度は略同一であり、負極ヒートドラム12に吸着保持された加熱済みの負極板は、接着ドラム18との近接位置において接着ドラム18側に排出される。また、正極板についても、正極ヒートドラム16の線速度と接着ドラム18の線速度は略同一であり、正極ヒートドラム16に吸着保持された加熱済みの正極板は、接着ドラム18との近接位置において接着ドラム18側に排出される。
【0042】
なお、負極ヒートドラム12の線速度と接着ドラム18の線速度は略同一であるため、負極ヒートドラム12との近接位置の手前における負極カットドラム10の電極カットヘッドの線速度は、接着ドラム18の線速度と略同一である。また、正極ヒートドラム16の線速度と接着ドラム18の線速度は略同一であるため、正極ヒートドラム16との近接位置の手前における正極カットドラム14の電極カットヘッドの線速度は、接着ドラム18の線速度と略同一である。したがって、電極カットヘッドは、接着ドラム18との線速度が略同一となったタイミングにおいて吸着保持していた負極板または正極板を排出する。
【0043】
接着ドラム18には、所定位置において帯状のセパレータS1が吸着保持される。その後、回転方向の下流側に位置する負極ヒートドラム12との近接位置において、負極ヒートドラム12から排出された加熱済みの負極板がセパレータS1の上に配置される。その後、回転方向のさらに下流側の所定位置において帯状のセパレータS2が負極板の上に配置される。その後、熱圧着ローラ19により加圧されてセパレータS1と負極板とセパレータS2とが接着され、回転方向のさらに下流側に位置する正極ヒートドラム16との近接位置において、正極ヒートドラム16から排出された加熱済みの正極板がセパレータS2の内に配置され、正極ヒートドラム16の押圧力により正極板が接着される。セパレータS1及びセパレータS2の表面には、室温では接着性を発現しないが、加熱することで接着性が発現する熱接着層が形成される。熱接着層は、例えば熱可塑性ポリマーを含有した熱可塑性層であり、加熱による熱可塑性ポリマーの塑性変形を利用して帯状セパレータS1と負極板、負極板と帯状セパレータS2、帯状セパレータS2と正極板とを接着する。このようにして、
帯状セパレータS1/負極板/帯状セパレータS2/正極板
の4層積層体が接着ドラム18で生成される。4層積層体は、接着ドラム18からセパレータカットドラム20に搬送される。
【0044】
他方、一定個数毎に、正極カットドラム14から正極板が供給されず、正極ヒートドラム16からも正極板が供給されない。このため、一定個数毎に、正極板が接着ドラム18に供給されず、
帯状セパレータS1/負極板/帯状セパレータS2
の3層積層体が接着ドラム18で生成される。3層積層体は、4層積層体と同様に接着ドラム18からセパレータカットドラム20に搬送される。
【0045】
セパレータカットドラム20は、第6半径を有し、中心軸の回りを第6角速度で回転する。セパレータカットドラム20は、ドラムの円周方向に配置された複数のセパレータカットヘッドを備えている。セパレータカットヘッドは、4層積層体及び3層積層体を吸着保持するための外周面と、切断手段を備えている。切断手段は、例えば、この外周面の円周方向に対して略直交する方向に移動する刃である。搬送された4層積層体及び3層積層体は、この外周面に吸着保持されて回転する。セパレータカットヘッドは、4層積層体及び3層積層体を吸着保持するため、保持ヘッドとも称する。複数のセパレータカットヘッドの間には、円周方向に間隔が形成されており、この間隔においてセパレータカットヘッドに搭載された刃が円周方向と略直交する方向に移動することで、外周面に吸着保持された4層積層体及び3層積層体を刃で所定幅(第3幅)となるように切断する。具体的には、
帯状セパレータS1/負極板/帯状セパレータS2/正極板
の4層積層体の所定間隔で配置された隣接負極板の間において、あるいは
帯状セパレータS1/負極板/帯状セパレータS2
の3層積層体の所定間隔で配置された隣接負極板の間において、あるいは4層積層体と3層積層体との所定間隔で配置された隣接負極板の間において、帯状セパレータS1及び帯状セパレータS2を切断する。図において、位置21で切断されることを示す。
【0046】
積層ドラム22は、第7半径を有し、中心軸の回りを第7角速度で回転する。積層ドラムの線速度は、セパレータカットドラム20の線速度と略同一となるように調整される。積層ドラム22は、ドラムの円周方向に配置された複数の積層ヘッドを備えている。積層ヘッドは、切断された4層積層体及び3層積層体を吸着保持するための外周面を備えている。複数の積層ヘッドは、それぞれ積層ドラム22の共通中心軸の回りに回転するとともに、個々の積層ヘッドが、他の積層ヘッドに対して独立してドラムの円周方向にカムにより駆動される。例えば、円周方向に隣接する2つの積層ヘッドを積層ヘッドa及び積層ヘッドbとすると、積層ヘッドa及び積層ヘッドbは、ドラムの共通中心軸の回りに一定の速度で回転するとともに、積層ドラム22の円周上の所定区間毎に互いの相対速度が変更される。例えば、あるタイミングでは、積層ヘッドaおよび積層ヘッドbは、ともに一定の速度で回転しているため相対速度は0であるが、別のタイミングでは積層ヘッドaが後続の積層ヘッドbから離れる方向に増速して有限の相対速度となる。このような積層ヘッドの独立駆動により、積層ドラム22全体として一定の角速度での回転を維持しつつ、特定の積層ヘッドの積層位置での停止状態を可能とし、この停止状態においてその外周面に吸着保持している切断済みの4層積層体及び3層積層体を排出して積層ステージ24上に配置することを可能にする。
【0047】
積層ステージ24は、積層ドラム22の直下に配置される。積層ステージ24には、積層ドラム22から排出された切断済みの4層積層体及び3層積層体が順次積層されて積層電極体が形成される。積層ステージ24は、互いに直交する2軸(X軸及びY軸)方向に駆動可能であるとともに、X―Y平面上における傾き角(θ)を調整可能であり、これにより積層ドラム22から排出される切断済みの4層積層体及び3層積層体の位置(XY位置)及び傾き角(θ)を調整して位置合わせし、切断済みの4層積層体及び3層積層体を順次積層して積層電極体を製造する。積層ステージ24は、4隅に爪を備え、積層された4層積層体及び3層積層体をこれらの爪で押圧固定する。積層された3層積層体及び4層積層体は、加圧及び/又は加熱され、互いに接着される。
【0048】
積層電極体の製造工程の概略をまとめると、以下の通りである。
(1)負極単板をドラム上で切断して負極板を生成する
(2)負極板をドラム上で加熱する
(3)正極単板をドラム上で切断して正極板を生成する
(4)正極板をドラム上で加熱する
(5)帯状のセパレータと負極板をドラム上で接着し、当該ドラム上でさらに帯状のセパレータを接着し、当該ドラム上でさらに正極板を接着する
(6)帯状のセパレータをドラム上で切断して3層積層体及び4層積層体を生成する
(7)3層積層体及び4層積層体をドラムで積層する
(8)積層された3層積層体及び4層積層体を互いに接着するために、加圧及び/又は加熱する
このように、切断、加熱、接着、積層の各工程をドラムで実行することで、高速かつ連続処理が可能となる。
【0049】
図2は、実施形態における製造装置の具体的な構成斜視図を示す。
【0050】
図中左から順に、負極カットドラム10、負極ヒートドラム12、接着ドラム18、正極ヒートドラム16、正極カットドラム14が近接配置される。負極カットドラム10と負極ヒートドラム12が近接配置され、負極ヒートドラム12と接着ドラム18が近接配置され、正極カットドラム14と正極ヒートドラム16が近接配置され、正極ヒートドラム16と接着ドラム18が近接配置される。負極カットドラム10、負極ヒートドラム12、接着ドラム18、正極ヒートドラム16、正極カットドラム14はそれぞれ中心軸の回りに回転するが、これらの中心軸は互いにほぼ平行である。
【0051】
負極カットドラム10には、テンションローラによりテンションが調整された帯状の負極単板Nが供給される。負極カットドラム10は、中心軸の回りに回転する複数のカットヘッド、例えば円周方向に配置された12個の電極カットヘッドを備えており、帯状の負極単板Nは、電極カットヘッドの外周面に吸着保持されて電極カットヘッドと共に回転する。
【0052】
複数の電極カットヘッドには、それぞれ円周方向に略直交する方向、すなわち負極カットドラムの幅方向に移動する刃が設けられており、回転方向の一定範囲において刃がドラムの幅方向に移動して負極単板Nを切断する。負極単板Nを切断後、電極カットヘッドは他の電極カットヘッドとは独立に円周方向に移動し、負極板間の間隔を調整するととともに負極ヒートドラム12との近接位置において相対速度を略0とする。
【0053】
負極カットドラム10の電極カットヘッドに吸着保持された負極板は、負極ヒートドラム12との近接位置において負極ヒートドラム12に供給される。具体的には、電極カットヘッド(保持ヘッド)の外周面には、負極板を吸着保持するための吸着穴が形成されるとともに、円周方向に延びる溝が形成されている。保持ヘッドに形成された溝に対し、保持ヘッドと次段のドラムとの間には、当該溝と係合して電極体である負極板を保持ヘッドの吸着面から遊離させ、次段のドラムに供給する供給手段が配置される。供給手段としては、例えば、負極ヒートドラム12との近接位置においてベルトコンベヤをこの溝内に挿入させ、電極カットヘッドに吸着保持された負極板をベルトコンベヤに乗り上げさせ、当該ベルトコンベヤを介して負極板を負極ヒートドラム12側に供給する。ベルトコンベヤについては、さらに後述する。負極カットドラム10は、所定間隔で負極板を回転搬送する。
【0054】
負極ヒートドラム12には、負極カットドラム10で切断された負極板が順次供給される。負極ヒートドラム12は、接着ドラム18と略同一線速度で回転し、負極板を加熱して加熱済みの負極板を接着ドラム18との近接位置まで回転搬送する。
【0055】
また、正極カットドラム14には、複数のテンションローラによりテンションが調整された帯状の正極単板Pが供給される。正極カットドラム14は、中心軸の回りに回転する複数のカットヘッド、例えば円周方向に配置された12個の電極カットヘッドを備えており、帯状の正極単板Pは、電極カットヘッドの外周面に吸着保持されて電極カットヘッドと共に回転する。
【0056】
複数の電極カットヘッドには、それぞれ円周方向に略直交する方向、すなわち正極カットドラムの幅方向に移動する刃が設けられており、回転方向の一定範囲において刃がドラムの幅方向に移動して正極単板Pを切断する。正極単板Pを切断後、電極カットヘッドは他の電極カットヘッドとは独立に円周方向に移動し、正極板間の間隔を調整するととともに正極ヒートドラム16との近接位置において相対速度を略0とする。
【0057】
正極カットドラム14の電極カットヘッドに吸着保持された正極板は、正極ヒートドラム16との近接位置において正極ヒートドラム16に供給される。具体的には、電極カットヘッド(保持ヘッド)の外周面には、正極板を吸着保持するための吸着穴が形成されるとともに、円周方向に延びる溝が形成されている。保持ヘッドに形成された溝に対し、保持ヘッドと次段のドラムとの間には、当該溝と係合して電極体である正極板を保持ヘッドの吸着面から遊離させ、次段のドラムに供給する供給手段が配置される。供給手段としては、例えば、正極ヒートドラム16との近接位置においてベルトコンベヤをこの溝内に挿入させ、電極カットヘッドに吸着保持された正極板をベルトコンベヤに乗り上げさせ、当該ベルトコンベヤを介して正極板を正極ヒートドラム16側に供給する。
【0058】
正極カットドラム14は、所定間隔で正極板を回転搬送する。
【0059】
正極ヒートドラム16には、正極カットドラム14で切断された正極板が順次供給される。正極ヒートドラム16は、接着ドラム18と略同一線速度で回転し、正極板を加熱して加熱済みの正極板を接着ドラム18との近接位置まで回転搬送する。
【0060】
接着ドラム18には、複数のテンションローラによりテンションが調整された帯状のセパレータS1及びS2が供給される。また、負極ヒートドラム12との近接位置において加熱済みの負極板が供給され、正極ヒートドラム16との近接位置において加熱済みの正極板が供給される。接着ドラム18は、負極ヒートドラム12の線速度及び正極ヒートドラム16の線速度と同一方向となるように回転する。接着ドラム18の回転方向の上流側から下流側に向けて、順に、セパレータS1の供給位置、負極板の供給位置、セパレータS2の供給位置、正極板の供給位置が配置される。セパレータS2の供給位置と正極板の供給位置との間に、熱圧着ローラ19が配置される。
【0061】
接着ドラム18は、その外周面に帯状のセパレータS1を吸着保持してセパレータS1を回転搬送する。そして、負極ヒートドラム12との近接位置において加熱済みの負極板がセパレータS1上に所定間隔で配置されドラム間圧力により加圧される。接着ドラム18は、セパレータS1上に所定間隔で配置された負極板を保持して回転搬送し、セパレータS2の供給位置において帯状のセパレータS2が負極板の上に配置され、熱圧着ローラ19による押圧力でセパレータS1/負極板/セパレータS2の3層積層体が圧着される。
【0062】
熱圧着ローラ19により熱圧着された3層積層体は、さらに正極ヒートドラム16との近接位置まで回転搬送され、正極ヒートドラム16との近接位置においてセパレータS2の上に正極板が所定間隔で配置されドラム間圧力により加圧される。正極板は、このドラム間圧力によりセパレータS2に熱圧着される。また、一定個数毎に正極カットドラム14と正極ヒートドラム16の回転を停止させ、正極ヒートドラム16から接着ドラム18への正極板の供給を停止させる。これにより、正極板はセパレータS2の上に配置されず、3層積層体のままとなる。帯状のセパレータS1/負極板/帯状のセパレータS2からなる3層積層体、及び帯状のセパレータS1/負極板/帯状のセパレータS2/正極板からなる4層積層体は、複数のテンションローラを介してセパレータカットドラム20に搬送される。なお、3層積層体を得るタイミングにおいて正極カットドラム14と正極ヒートドラム16の回転を停止させる代わりに、3層積層体を別に作成して準備しておき、4層積層体の導入経路とは別の経路で3層積層体を導入してもよい。
【0063】
3層積層体及び4層積層体は、負極ヒートドラム12と接着ドラム18とのドラム間圧力、正極ヒートドラム16と接着ドラム18とのドラム間圧力、及び熱圧着ローラ19による押圧力により熱圧着されるが、負極カットドラム10で切断された負極板の端部、及び正極カットドラム14で切断された正極板の端部をドラムあるいはローラで押圧すると、負極板の端部や正極板の端部に損傷が生じ得る。このため、負極カットドラム10で切断された負極板の端部、及び正極カットドラム14で切断された正極板の端部においてドラム間圧力及び熱圧着ローラ19による押圧を一時的に緩和させることで損傷が防止される。負極カットドラム10で切断された負極板の端部及び正極カットドラム14で切断された正極板の端部のみならず、負極板の4辺の端部および正極板の4辺の端部に対し押圧を緩和させることで、負極板および正極板の損傷を抑制しうる。つまり、負極板の内部および正極板の内部のみセパレータと接着されることが、負極板および正極板の損傷を抑制する上で、より一層好ましい。
【0064】
セパレータカットドラム20は、一群のドラムである負極カットドラム10、負極ヒートドラム12、接着ドラム18、正極ヒートドラム16、及び正極カットドラム14とは離間して配置することもできる。
【0065】
セパレータカットドラム20は、テンションローラを介して供給された3層積層体及び4層積層体をその外周面に吸着保持し、負極カットドラム10と同様な複数のセパレータカットヘッド構造により3層積層体及び4層積層体の帯状のセパレータS1及びセパレータS2を切断する。切断された3層積層体及び4層積層体は、セパレータカットヘッドに吸着保持されたまま積層ドラム22との近接位置まで回転搬送される。セパレータカットヘッドの外周面には、3層積層体及び4層積層体を吸着保持するための吸着穴が形成される。
【0066】
セパレータカットドラム20は、所定間隔で3層積層体または4層積層体を回転搬送する。
【0067】
積層ドラム22は、セパレータカットドラム20に近接配置され、セパレータカットドラム20の線速度と略同一に回転する。積層ドラム22は、ドラム回転中心の回りに回転する複数の積層ヘッドから構成される。積層ヘッドは、縦断面形状が略T字型をなし、外周面に3層積層体及び4層積層体を吸着保持するための吸着穴が形成され、吸着穴の内部には真空パッドを備える。セパレータカットドラム20に吸着保持された3層積層体及び4層積層体は、真空パッドを介して、積層ヘッドに吸着される。複数の積層ヘッドは、それぞれ積層ドラム22の共通中心軸の回りに回転するとともに、個々の積層ヘッドが、他の積層ヘッドに対して独立してドラムの円周方向に駆動されるが、さらに、ドラムの半径方向に駆動される。すなわち、積層ヘッドは、3層積層体及び4層積層体を吸着保持したまま積層ステージ24との近接位置まで回転搬送する。積層ヘッドは、積層ステージ24との近接位置に達すると、積層ステージ24に対してドラムの円周方向の相対速度が0となり、ドラムの半径方向で積層ステージ24に近づく方向に移動する。積層ヘッドは、吸着保持している3層積層体あるいは4層積層体を積層ステージ24に当接させ、あるいは積層ステージ24上に既に3層積層体あるいは4層積層体が積層されている場合にはこれらの積層体上に当接させ、吸着保持力をオフにして吸着保持していた3層積層体あるいは4層積層体を積層する。その後、積層ヘッドは、再びドラムの半径方向で積層ステージ24から遠ざかる方向に移動し、回転を再開する。
【0068】
以上が全体説明である。
【0069】
なお、セパレータカットドラム20から積層ドラム22への3層積層体及び4層積層体の受け渡しは、積層ドラム22の積層ヘッドに設けられた真空パッドを介する方法を説明したが、これに限られるものではない。正極カットドラム及び負極カットドラムと同様にセパレータカットドラムに溝を設け、ベルトコンベヤを介して、3層積層体および4層積層体を積層ドラム22に受け渡す方法によることもできる。
【0070】
また、正極カットドラム及び負極カットドラムから、各ヒートドラムおよび接着ドラムに正極板及び負極板を受け渡す際に、ベルトコンベヤではなく真空パッドによることもできる。なお、吸着パッドに正極板や負極板などの電極体または積層体を供給するドラムを第1ドラムと称し、吸着パッドを備えたドラムが第2ドラムとも称する。
【0071】
次に、3層積層体及び4層積層体の製造工程の詳細について説明する。
【0072】
図3及び
図4は、基本となる4層積層体の製造工程を模式的に示す。
【0073】
図3(a)は、負極カットドラム10での負極切断の様子を示す。負極集電体及び負極活物質層を備える負極単板Nには、一定間隔でタブNtが形成される。タブNtは、負極集電体と一体的に形成され、負極集電体の一方の縁から突出形成される(帯状の負極単板Nの延在方向に直交する方向に突出形成)。負極カットドラム10は、負極単板Nを一定間隔で切断して第1幅の負極板NPを生成する。負極板NPの一方の縁にはタブNtが形成される。
【0074】
図3(b)は、正極カットドラム14での正極切断の様子を示す。正極集電体及び正極活物質層を備える正極単板Pには、一定間隔でタブPtが形成される。タブPtは、正極集電体と一体的に形成され、正極集電体の一方の縁から突出形成される(帯状の正極単板Pの延在方向に直交する方向に突出形成)。正極カットドラム14は、正極単板Pを一定間隔で切断して第2幅の正極板PPを生成する。正極板PPの一方の縁にはタブPtが形成される。正極板PPのサイズは、負極板NPのサイズよりも小さい。また、正極板PPのタブPtの間隔(ピッチ)は、負極板NPのタブNtの間隔(ピッチ)よりも小さい。
【0075】
図3(c)は、接着ドラム18での接着の様子を示す。帯状のセパレータS1上に負極板NPを一定間隔で配置して接着し、その上に帯状のセパレータS2を配置して接着し、さらに負極板NP上に重なるように正極板PPを一定間隔で配置して接着する。正極板PPは、負極板NPの存在領域の内部に配置される。負極板NP同士、及び正極板PP同士は離間しているが、帯状のセパレータS1及びセパレータS2は未だ切断されておらず帯状のままであるため、全体としては帯状の4層積層体である。
【0076】
図3(d)は、セパレータカットドラム20での切断の様子を示す。セパレータカットドラム20は、帯状の4層積層体を一定間隔、つまり隣接する負極板NPの間において切断し、セパレータS1,S2が切り離された第3幅の4層積層体40を生成する。
【0077】
図4は、4層積層体40の構成を示す。最下層にセパレータS1が配置され、その上に負極板NPが積層され、その上にセパレータS2が積層され、さらにその上に正極板PPが積層される。
【0078】
図5及び
図6は、3層積層体の製造工程を模式的に示す。
【0079】
図5(a)は、接着ドラム18での接着の様子を示す。帯状のセパレータS1上に負極板NPを一定間隔で配置して接着し、その上に帯状のセパレータS2を配置して接着する。正極板PPに関しては、一定個数毎に正極板PPは配置されない。負極板NP同士は離間しているが、帯状のセパレータS1及びセパレータS2は未だ切断されておらず帯状のままであるため、全体としては帯状の3層積層体である。
【0080】
図5(b)は、セパレータカットドラム20での切断の様子を示す。セパレータカットドラム20は、帯状の3層積層体を一定間隔、つまり隣接する負極板NPの間において切断し、セパレータS1,S2が切り離された第3幅の3層積層体30を生成する。3層積層体30は一定個数毎に生成される。すなわち、
4層積層体40、4層積層体40、3層積層体30、4層積層体、・・・
の如くである。
【0081】
図6は、3層積層体30の構成を示す。最下層にセパレータS1が配置され、その上に負極板NPが積層され、その上にセパレータS2が積層される。
【0082】
以上のようにして、3層積層体30及び4層積層体40が生成され、セパレータカットドラム20から積層ドラム22に供給される。
【0083】
図7は、積層ドラム22における積層工程を模式的に示す。
【0084】
積層ドラム22は、セパレータカットドラム20から矩形状の3層積層体30及び4層積層体40を受け取ると、これらを順次積層ステージ24上に配置して積層していく。すなわち、
セパレータS1/負極板NP/セパレータS2
の3層積層体30を受け取ると、これを天地反転させて
セパレータS2/負極板NP/セパレータS1
として積層ステージ24上に配置する。
【0085】
次に、積層ドラム22は、
セパレータS1/負極板NP/セパレータS2/正極板PP
の4層積層体40を受け取ると、これを天地反転させて
正極板PP/セパレータS2/負極板NP/セパレータS1
として積層ステージ24の3層積層体30上に配置して積層する。これにより、積層ステージ24には、
セパレータS2/負極板NP/セパレータS1/正極板PP/セパレータS2/負極板NP/セパレータS1
が積層されることになる。以下、同様にして積層ドラム22は、4層積層体40を受け取って天地反転させて積層ステージ24の4層積層体40上に配置して積層していく。これにより、
セパレータS2/負極板NP/セパレータS1/正極板PP/セパレータS2/負極板NP/セパレータS1/正極板PP/セパレータS2/負極板NP/セパレータS1/・・・/正極板PP/セパレータS2/負極板NP/セパレータS1
が積層されることになる。積層ドラム22は、1個の3層積層体30及び所定個の4層積層体40を順次積層ステージ24上に積層して積層電極体を製造する。3層積層体30と4層積層体40を組み合わせて積層することで、両端の電極が常に負極板NPとなる矩形状の積層電極体が得られる。
【0086】
なお、反転して積層する構成は一例にすぎず、他の積層方法も可能であることは言うまでもない。例えば、まず4層積層体を反転せずに積層し、最後に3層積層体を反転せずに積層してもよい。
【0087】
図8~
図10は、3層積層体30及び4層積層体40の積層工程をより具体的に示す。
【0088】
図8は、セパレータカットドラム20でのセパレータ切断工程を示す。接着ドラム18で接着された帯状の3層積層体30及び4層積層体40は、隣接する負極板NP間の略中間位置において切断されて分離される。同様に、帯状の4層積層体40同士も、隣接する負極板NP間の略中間位置において切断されて分離される。
【0089】
図9は、切断された3層積層体30及び4層積層体40を示す。正極板PPのブランクは、例えば正極板PPの38個毎に生じるものとすると、1個の3層積層体30の後に37個の4層積層体40が続き、その後に再び1個の3層積層体30が生成され、さらにその後に37個の4層積層体40が生成される。Nをカウンタ変数とすると、N=1では3層積層体30、N=2では4層積層体40、N=3では4層積層体40、・・・、N=38では4層積層体40、N=39では3層積層体30、N=40では4層積層体40となる。
【0090】
図10は、まず3層積層体30を積層ステージ24に配置し、この上に順次、4層積層体40を積層してなる積層電極体の構成を示す。1個の3層積層体30と、37個の4層積層体40が積層された構成である。積層電極体の両端の電極は負極板NPである。
【0091】
次に、電極カットヘッドの具体的構成について、より詳細に説明する。
【0092】
図11は、正極カットドラム14を構成する電極カットヘッドの構成斜視図を示す。複数の電極カットヘッドは、正極カットドラム14の回転軸中心に円周方向に設けられる。電極カットヘッドは、電極カットヘッド毎に設けられるモータ14vにより円周方向(図中a方向)に他の電極カットヘッドとは独立に駆動される。ここで、モータ14vに代えて、リニアモータや遊星ギヤ、コグドベルト等を用いて独立に駆動してもよい。
【0093】
電極カットヘッドの外周面14pには正極単板P及び(切断後の)正極板PPを吸着保持するための吸着穴14gが形成される。外周面14pの円周方向と直交する方向(図中b方向)の略中央には、円周方向に沿って溝14rが形成されており、この溝14rには吸着穴14gは形成されない。また、電極カットヘッドには、丸刃50a、50bを備えた切断機構ブロック14tが設けられている。丸刃50a、50bは、一対の刃である。丸刃50a、50bは、上下1組の回転刃であり、回転しながら図中b方向に往復動することで矩形電極体である正極単板を切断する。すなわち、丸刃50a、50bは、外周面14pから退避した初期位置から図中b方向に往動することで正極単板を切断し、その後に図中b方向に復動することで再び初期位置に復帰する。切断機構ブロック14tは、正極カットドラム14の固定軸に形成されたカム溝と係合するカム14uを備える。切断機構ブロック14tは、電極カットヘッドの回転に伴ってカム溝に沿ってカム14uが移動することで、ラックアンドピニオン機構を介して丸刃50a、50bを隣接する電極カットヘッドとの間の隙間で円周方向と直交する方向(図中b方向)にレールに沿って往復動させる。丸刃50a、50bの図中b方向の往復動速度は、ラックアンドピニオン機構のギヤ比を設定することで適宜調整できる。
【0094】
さらに、切断機構ブロック14tは、カム14wに連結されており、丸刃50a、50bが図中b方向に往動して正極単板を切断後、正極板を吸着保持するカットヘッドが正極単板を保持するカットヘッドから離れる方向に移動した後にカム14wが回転することで切断機構ブロック14tの回転軸14xが回転する。そして、回転軸14xの回転に伴って切断機構ブロック14t及び丸刃50a、50bが正極単板の切断面から離れる方向に移動する。その後、丸刃50a、50bは図中b方向に復動する。
【0095】
図12は、上下の丸刃50a、50bを互いに正極単板Pの厚さ方向に重なるように配置して切断する場合を示す。正極単板Pは、正極集電体P1及び正極活物質層P2から構成されており、上側の丸刃50aは上側の正極活物質層P2及び正極集電体P1を貫通する深さの程度に配置される。また、下側の丸刃50bは下側の正極活物質層P2及び正極集電体P1を貫通する深さの程度に配置される。丸刃50aの深さと丸刃50b
の深さは、正極単板Pの厚さ方向において重なり合う。このような丸刃50a、50bの配置位置によっても正極単板Pは切断され得るが、本願発明者等は、かかる丸刃50a、50bの配置では正極単板Pの切断面において不要な突起、すなわちバリが生じる場合があり、積層電極体の劣化を引き起こし得ることを確認している。
【0096】
他方、
図13は、上下の丸刃50a、50bが正極単板Pの厚さ方向に重ならないように配置して切断する場合を示す。上側の丸刃50aは上側の正極活物質層P2を貫通するが、正極集電体P1を貫通しない程度の深さに配置される。また、下側の丸刃50bは下側の正極活物質層P2を貫通するが、同様に正極集電体P1を貫通しない程度の深さに配置され、上下の丸刃50a、50bは厚さ方向において互いに有限の距離をおいて配置される。このような配置の場合、丸刃50a、50bにより正極単板Pの上下の正極活物質層P2は切断されるが、正極集電体P1は切断されず、その一部には切欠部が生じているものの帯状のまま維持される。但し、正極単板Pは、複数の電極カットヘッドの外周面に吸着保持されており、電極カットヘッドは互いに独立に円周方向に移動して正極板PP間の間隔を調整するとともに正極ヒートドラム16との相対線速度が略0となるように移動する。電極カットヘッドが独立に円周方向に移動した際、正極単板Pの切断部位には互いに逆向きの引張力が作用する。この引張力により正極集電体P1は切欠部を基点として破断し、切断に至る。本願発明者等は、
図13に示す丸刃50a、50bの配置により、正極単板Pの切断面にはバリが生じないか、あるいは生じ難いことを確認している。
【0097】
なお、
図13では、上下の丸刃50a、50bが正極単板Pの厚さ方向に重ならないように配置しているが、上下の丸刃50a、50bの厚さ方向の距離が0となるような配置としてもよい。要するに、上下の丸刃50aの刃先と50bの刃先との正極単板Pの厚さ方向の距離をL、正極集電体P1の厚さをdとすると、d>L≧0となるように配置すればよい。ここで、L<0は、上下の丸刃50a、50bが互いに重なり合うことを意味し、上下の丸刃50aおよび50bが上側および下側の正極活物質層P2と正極集電体P1を切断することを意味する。d>L≧0は、上側の丸刃50aで上側の正極活物質層P2を切断し、下側の丸刃50bで下側の正極活物質層P2を切断し、正極集電体P1は切断せずに引張力により破断させるといえる。
【0098】
図14は、
図13に係る電極カットヘッド14a及び電極カットヘッド14bでの正極単板Pの切断の様子を例示する。
【0099】
図14(a)に示すように、電極カットヘッド14a及び電極カットヘッド14bは、外周面に正極単板Pを吸着保持しつつドラムの回転軸中心の回りに回転する。正極単板Pは、正極集電体P1及びその両面に形成された正極活物質層P2から構成される。所定位置まで回転移動すると、電極カットヘッド14aに設けられた切断機構14tにより丸刃50a、50bが往動し、正極単板Pの正極活物質層P2を切断する。
【0100】
図14(b)は、丸刃50a、50bにより正極活物質層P2が切断された様子を示す。このとき、正極集電体P1は未だ切断されておらず、帯状のまま電極カットヘッド14a及び電極カットヘッド14bの外周面に吸着保持され続ける。
【0101】
その後、
図14(c)に示すように、電極カットヘッド14aは、電極カットヘッド14bとは独立にドラムの円周方向に増速して移動する。この移動により正極集電体P1に引張力が印加されて帯状の正極集電体P1が切断される。その後、電極カットヘッド14aに設けられた切断機構14tにより、丸刃50a、50bが復動する。この意味で、本実施形態では、正極単板Pの切断は、丸刃50a、50bの移動と、電極カットヘッドの移動の組合せにより実行されるといえる。なお、丸刃50a、50bの往復動の詳細については、
図15を用いてさらに後述する。
【0102】
本実施形態では、正極単板Pの正極集電体P1は引張力により切断され、正極活物質層P2は丸刃50a、50bにより切断されるため、正極集電体P1の切断面と正極活物質層P2の切断面は互いに異なる切断形態となる。
【0103】
図16は、切断後の正極板PPの上面図及び側面図を示す。
図16(a)は上面図であり、表面には正極活物質層P2が存在し、端部からはタブPtが延出する。
図16(b)は側面図であり、
図14と同様に正極集電体P1の上部及び下部に正極活物質層P2が存在する。ここで、電極カットヘッドにより切断された切断面を図中cとして示す。
【0104】
図17は、
図16(b)における切断面cの断面を示す。
図17は、
図13に係る電極カットヘッド14a及び電極カットヘッド14bで切断された、正極単板Pの切断面cの断面を示したものである。
図17には、丸刃50aが往動で接する範囲500aと、丸刃50bが往動で接する範囲500bを示す。丸刃50a、50bが正極集電体P1を擦る範囲が相対的に少ないため、正極集電体P1が丸刃50a、50bに擦られることで、正極集電体P1の端面が伸びてしまうバリが抑制される。また、後述するように、切断後に丸刃50a、50bを切断面から離すことにより、復動時に丸刃50a、50bが切断面を擦ることもなく、この点においても切断面のダメージが抑制される。
【0105】
他方、
図18は、比較のため、
図12に示すように丸刃50a、50bを互いに正極単板Pの厚さ方向に重なるように配置して切断する場合の切断面cを模式的に示す。丸刃50aの往復動範囲500aと丸刃50bの往復動範囲500bは互いに重なり合っており、丸刃50a、50bが正極集電体P1を擦ることで正極集電体P1の端面が伸び、バリが生じてしまう。
図17と
図18を比較することで、本実施形態の丸刃の配置の効果が明らかとなる。
【0106】
ところで、既述したように丸刃50a、50bは往復動することで正極単板Pを切断するが、
図15に丸刃50a、50bの往復動の様子を模式的に示す。丸刃50a、50bは、切断機構ブロック14tにより初期位置からドラムの円周方向と直交する方向に往動して正極活物質層P2を切断する。丸刃50a、50bは、移動平面52に沿って往動する。
【0107】
次に、丸刃50a、50bは復動により初期位置まで復帰する。まず、正極板PPを吸着保持する電極カットヘッド14aが正極単板Pを保持する電極カットヘッド14bから離れる方向に移動した後に、
図11に示すカム14wが回転することで回転軸14xが回転し、回転軸14xの回転に伴って切断機構ブロック14t及び丸刃50a、50bが正極単板Pから離れる方向に移動する。その後、丸刃50a、50bはドラムの円周方向と直交する方向に復動する。往動後は、再びカム14wの逆向きの回転により切断機構ブロック14t及び丸刃50a、50bが初期位置まで移動する。丸刃50a、50bの往動軌道と復動軌道が互いに異なり、復動の際に丸刃50a、50bが正極単板P及び正
極板PPの切断面と当接しないため、切断面のダメージを効果的に抑制し得る。
【0108】
本実施形態では、電極カットヘッドの刃として丸刃50a、50bを例示したが、刃の形状はこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、電極カットヘッドの丸刃50a、50bの往復道の軌道を異ならせることにより切断面のダメージを抑制したが、切断面のダメージを抑制する構成としては、これに限定されるものではない。
【0109】
図19は、電極カットヘッドの他の刃形状を示す。上下の刃50a、50bは、全体として丸刃であるが、その一部が平坦部となっている。刃50aに着目すると、円弧部50a1と平坦部50a2から構成されており、円弧部50a1に刃が形成され、平坦部50a2に刃が形成されない。刃50bについても同様であり、刃50bは円弧部50b1と平坦部50b2から構成され、円弧部50b1に刃が形成され、平坦部50b2に刃が形成されない。刃50a、50bはともに回転軸を中心として回転し、刃が形成された円弧部50a1、50b1において正極単板Pを切断する。
【0110】
図20は、
図19に示す刃50a、50bの回転による正極単板Pの切断の様子を示す。初期位置においては刃50aの円弧部50a1と刃50bの円弧部50b1とが対向しており、往動時にはこの初期位置から刃50a、50bが回転することで(a)、(b)に示すように円弧部50a1と円弧部50b1とで正極単板Pを切断する。刃50a、50bがさらに回転し、(c)のように平坦部50a2と平坦部50b2とが対向する位置まで回転すると、正極単板Pの切断が終了して往動が完了する。復動時には、平坦部50a2と平坦部50b2とが対向した状態を維持しつつ、刃50a、50bを初期位置まで移動させる。刃50a、50bの軸間距離は一定であるため、平坦部50a2と平坦部50b2とが対向した状態では、刃50a、50b間に隙間が生じる。この隙間を維持したまま復動することで、刃50a、50bが切断面に接触することなく、切断面のダメージを抑制し得る。この場合、
図15に示すようなカム14wの回転による切断機構ブロック14tの移動(傾き)は不要とし得る。
【0111】
以上のようにして正極カットドラム14にて正極単板Pが切断されて正極板PPが生成されるが、生成された正極単板PPは正極ヒートドラム16に供給される。正極板PPは、例えばベルトコンベヤ等を介して正極カットドラム14から正極ヒートドラム16に供給され得る。
【0112】
図21は、正極カットドラム14から正極ヒートドラム16への正極板PPの供給を模式的に示す。また、
図22は、
図21の一部拡大図、すなわち正極カットドラム14と正極ヒートドラム16の当接部分の拡大図を示す。
【0113】
ベルトコンベヤ140は、正極カットドラム14と正極ヒートドラム16の当接部分の近傍に配置され、ベルトコンベヤ140の一端は正極カットドラム14の溝14r内(
図11参照)に挿入される。溝14r内に挿入されるベルトコンベヤ140の一端側のプーリーの幅は、溝14rの幅と略同一である。ベルトコンベヤ140の他端側のプーリーは、正極ヒートドラム16の近傍に配置される。ベルトコンベヤ140のベルトは、正極カットドラム14の溝14rから正極ヒートドラム16の近傍まで延び、ベルトコンベヤ140の他端側のプーリーで折り返して再び正極カットドラム14の溝14r内に戻る。
【0114】
正極単板PPは、正極カットドラム14で切断され、その外周面に吸着保持されて回転搬送される。正極板PPが回転搬送され、溝14r内に一端が挿入されているベルトコンベヤ140に当接すると、正極板PPはベルトコンベヤ140に乗り上げ、正極カットドラム14の表面から離れてベルトコンベヤ140上に乗る。ベルトコンベヤ140上に乗った正極板PPは、ベルトコンベヤ140によって正極ヒートドラム16まで運ばれ、正極ヒートドラム16の外周面に形成された吸着穴に吸引され、ベルトコンベヤ140から正極ヒートドラム16の外周面に移動し吸着保持される。なお、上述の説明では、溝14r内に挿入されるベルトコンベヤ140は一端側のプーリーにより保持されるが、プーリーに代わりナイフエッジが溝14r内に挿入され、溝14r内に挿入されるベルトコンベヤ140をナイフエッジで保持することもできる。
【0115】
以上は、正極カットドラム14における正極単板Pの切断及び正極カットドラム14から正極ヒートドラム16への正極板PPの供給について説明したが、負極カットドラム10における負極単板Nの切断、及び負極カットドラム10から負極ヒートドラム12への負極板NPの供給についても同様である。また、セパレータカットドラム20における帯状セパレータの切断についても、刃50a、50bを切断面に接触することなく復動させることで、切断面のダメージを抑制し得る。
【0116】
次に、負極ヒートドラム12あるいは正極ヒートドラム16から接着ドラム18に負極板NPあるいは正極板PPを供給する工程について、詳細に説明する。
【0117】
図23Aは、負極ヒートドラム12と接着ドラム18を示す。負極ヒートドラム12は、負極カットドラム10で切断された負極板NPを受け取り、その外周面に吸着保持して回転搬送しつつ加熱する。そして、接着ドラム18との近接位置において、加熱済みの負極板NPを接着ドラム18の外周面に吸着保持されて回転搬送されている帯状のセパレータS1上に一定間隔で順次接着していく。
【0118】
負極ヒートドラム12は、ドラム回転支点122を中心として揺動自在に軸支され、モータ124によりドラム回転支点122を中心として揺動する。また、負極ヒートドラム12には、ドラム回転支点122と対向するようにコイルスプリング120が設置されている。負極ヒートドラム12が回転支点122を中心として揺動するとコイルスプリング120のたわみ量が変化し、これにより負極ヒートドラム12と接着ドラム18との当接点である加圧点の加圧力を調整する。
【0119】
負極ヒートドラム12は、加圧点における加圧力により加熱済みの負極板NPを接着ドラム18上の帯状のセパレータS1に押し付けて負極板NPをセパレータS1に接着するが、負極ヒートドラム12には有限の偏心が存在するとともに、接着ドラム18にも有限の偏心が存在する。偏心が存在すると、コイルスプリング120のたわみ量が変化するから、一定の加圧力で負極板NPを加圧して接着することができない。
【0120】
そこで、負極ヒートドラム12と接着ドラム18の偏心量を合成し、ドラム回転に合わせてその合成値を用いてモータ124を常時回転させて負極ヒートドラム12を回転支点122を中心に揺動させ、加圧点における加圧力の変化を相殺し、ほぼ一定の加圧力で負極板NPを加圧して帯状のセパレータS1上に接着していく。
【0121】
負極ヒートドラム12と接着ドラム18の偏心量は、予め測定して求めておき、テーブルとして制御装置のメモリに記憶しておく。2つのドラムの偏心量の合成波形をキャンセルするようなキャンセル波形に基づく駆動信号をモータ124に供給してコイルスプリング120の偏心によるたわみを抑制して加圧力の変動を抑制する。
【0122】
制御装置は、このキャンセル波形を駆動信号波形としてモータ124を駆動することで、それぞれの偏心をキャンセルして常に一定の加圧力で負極ヒートドラム12を接着ドラム18に押し付け得る。
【0123】
但し、仮に一定の加圧力で負極ヒートドラム12を接着ドラム18に押し付けて負極板NPを帯状のセパレータS1上に接着してしまうと、特に負極板NPの端部、すなわちドラムの円周方向の端部において当該加圧力により負極板NPが損傷するおそれがある。このため、一定の加圧力で負極板NPをセパレータS1上に接着するのではなく、負極板NPの円周方向の両端部において、負極ヒートドラム12及び接着ドラム18間の加圧力を低減する、若しくは加圧を中断する(加圧力を0とする)ことで、負極板NPの両端部の損傷を防止する。
【0124】
図24は、一定の加圧力で負極板NPを帯状のセパレータS1に接着する様子を示す。すなわち、
図24は、負極ヒートドラム12及び接着ドラム18間の加圧力を低減する、若しくは加圧を中断することなく、負極板NPをセパレータS1上に接着する様子を示す。
図24において、セパレータS1は、直線状に図示されているが、実際には、接着ドラム18に吸着保持され、接着ドラム18の円弧状の外形に沿って弧を描いたような状態となる。また、
図24において、負極ヒートドラム12上には、1枚の負極板NPが加熱されているが、複数の負極板NPを加熱することができる。
【0125】
図24(a)において、負極ヒートドラム12は、負極板NPが存在しない領域ではセパレータS1に直接当接し、一定の加圧力によりセパレータS1を押し付ける。この状態で負極板NPが回転搬送されると、
図24(b)に示すように、まず負極板NPの円周方向先端部に乗り上げ、円周方向先端部を一定の加圧力でセパレータS1に押し付ける。このとき、負極板NPの先端部は加圧力によりつぶれて変形する。
【0126】
その後も、負極ヒートドラム12は、一定の加圧力により負極板NPをセパレータS1に押し付け続け、負極板NPをセパレータS1に接着する。そして、
図24(c)に示すように、負極板NPの円周方向後端部においても一定の加圧力でセパレータS1に押し付けるため、先端部と同様に後端部も加圧力によりつぶれて変形する。
【0127】
このように、常に一定の加圧力で負極ヒートドラム12を接着ドラム18に押し付けると、負極板NPが存在しない部分でもセパレータS1が押圧されるためセパレータS1が損傷するおそれがあるとともに、負極板NPの円周方向先端部及び円周方向後端部も押圧されて損傷するおそれがある。
図24(c)では、円周方向先端部及び円周方向後端部におけるつぶれが斜面形状として模式的に示されている。
【0128】
他方、
図25は、本実施形態における負極板NPのセパレータS1への接着の様子を示す。すなわち、
図25は、負極ヒートドラム12及び接着ドラム18間の加圧力を低減する、若しくは加圧を中断するタイミングを有した上で、負極板NPをセパレータS1上に接着する様子を示す。
図25において、セパレータS1は、直線状に図示されているが、実際には、接着ドラム18に吸着保持され、接着ドラム18の円弧状の外形に沿って弧を描いたような状態となる。また、
図25においても、負極ヒートドラム12上には、1枚の負極板NPが加熱されているが、複数の負極板NPを加熱することができる。
【0129】
図25(a)において、負極ヒートドラム12は負極板NPが存在しない領域では加圧点での加圧力を規制し、負極ヒートドラム12を接着ドラム18に押し付けないようにする。この状態で負極板NPが回転搬送され、負極板NPの円周方向先端部がセパレータS1に当接しても、一定の加圧力の規制をそのまま維持する。従って、負極板NPの円周方向先端部が押圧されることはない。
【0130】
図25(b)において、負極板NPがさらに回転搬送され、円周方向先端部以外の中央部がセパレータS1に当接するようになると、一定の加圧力で負極ヒートドラム12を接着ドラム18に押し付ける。これにより、負極板NPをセパレータS1に接着する。
【0131】
図25(c)において、負極板NPがさらに回転搬送され、円周方向後端部がセパレータS1に当接するようになると、加圧力を規制し、負極ヒートドラム12を接着ドラム18に押し付けないようにする。従って、負極板NPの円周方向後端部が押圧されることはない。
【0132】
以上のように、負極板NPの中央部のみを一定の加圧力で押圧し、負極板NPの両端部、すなわち円周方向先端部及び円周方向後端部において一定の加圧力を規制して両端部を押圧しないように構成することで、負極板NPの両端部の損傷が防止される。また、負極板NPが存在しない領域においても一定の加圧力を規制することで、セパレータS1の損傷も防止される。
【0133】
制御装置は、負極ヒートドラム12及び接着ドラム18の偏心量のキャンセルとは別に、負極板NPの両端部において、負極ヒートドラム12及び接着ドラム18間の加圧力を低減する、若しくは加圧を中断する。負極ヒートドラム12及び接着ドラム18間の加圧力を低減する、若しくは加圧を中断する機構について、
図23B、
図23Cに基づき説明する。
【0134】
図23B、
図23Cは、加圧力調整機構の斜視図及び背面図であり、接着ドラム18の支柱αにカム機構80が設けられる。負極ヒートドラム12の支柱βには、カム機構80と係合するアームとして揺動アーム82が取り付けられ、揺動アーム82はローラ84を軸支する。カム機構80の表面とローラ84は接触する。カム機構80の表面形状は、多角形または所定間隔で突起を有する。カム機構80は、多角形の角の部分または突起が負極ヒートドラム12及び接着ドラム18間の加圧力を低減する、若しくは加圧を中断するように動作する。カム機構80は、モータ124の駆動とは独立したモータにより駆動する。カム機構80が動作することで、負極ヒートドラム12と接着ドラム18との間の距離が制御され、負極板NPへの加圧力を低減する、若しくは加圧を中断できる。
【0135】
ところで、モータ124の駆動により、負極ヒートドラム12と接着ドラム18との間の加圧力を一定に保つが、負極ヒートドラム12が取り付けられた支柱βと接着ドラム18が取り付けられた支柱αとの間の距離は変動する。当該距離の変動に伴い、カム機構80とローラ84との間の距離の変動が生じ、所定のタイミングで負極ヒートドラム12及び接着ドラム18間の加圧力を低減する、若しくは加圧を中断することができない場合が生じうる。
【0136】
カム機構80とローラ84との間の距離を一定に保つため、揺動アーム82にローラ86を設け、負極ヒートドラム12の支柱βとは独立して駆動できる傾斜部材88、ローラ90及びカム機構92を支柱β側に設ける。ローラ86は傾斜部材88の傾斜面と接する。ローラ90は、傾斜部材88に取り付けられ、カム機構92と接する。傾斜部材88がモータで駆動するカム機構92により上下に動くことで、傾斜部材88の傾斜面と接するローラ86を介して揺動アーム82が揺動する。
【0137】
モータ124がキャンセル波形に従って駆動することにより支柱βおよび傾斜部材88は左右に移動するが、カム機構92を上下に移動させるモータ(不図示)もキャンセル波形に従い駆動させることで傾斜部材88の傾斜面も上下に移動させ、これによりローラ86の位置が変動することを抑制できる。ローラ86の位置の変動が抑制されることで、ローラ84とカム機構80との間の距離の変動を抑制することができる。
【0138】
なお、上記説明では、モータ124の駆動により一定の加圧力で負極板NPを帯状のセパレータS1に接着し、カム機構80の駆動により負極板NPの両端部の損傷を抑制する方法を説明したが、モータ124を駆動することによっても、一定の加圧力で負極板NPを帯状のセパレータS1に接着した上で、負極板NPの両端部の損傷を抑制することは可能である。
【0139】
負極ヒートドラム12における負極板NPの位置や負極板NP間の間隔は、例えば負極ヒートドラム12の近傍に配置されたカメラで検出し得る。製造装置の全体を監視、制御する制御装置は、カメラで検出された負極板NPの位置データ及び間隔データを受信し、これら受信位置データ及び間隔データを用いて一定の加圧力の許可/規制(あるいは一定の加圧力のON/OFF)を制御することも可能である。
【0140】
正極ヒートドラム16と接着ドラム18の関係についても同様であり、制御装置は、正極ヒートドラム16及び接着ドラム18の偏心量をキャンセルして一定の加圧力で正極ヒートドラム16を接着ドラム18に押し付けるための駆動信号波形を基準とし、これに正極板PPの両端部及び正極板PPが存在しない領域において当該一定の加圧力を規制するための駆動信号波形を重畳して駆動する。
【0141】
さらに、熱圧着ローラ19は、帯状のセパレータS1/負極板NP/帯状のセパレータS2を押圧して熱圧着するためのローラであるが、制御装置は、当該ローラに関しても負極板NPの両端部及び負極板NPが存在しない領域において一定の加圧力を規制するための駆動信号波形で駆動し得る。
【0142】
なお、
図23Aに係る説明では、負極ヒートドラム12にドラム回転支点122、モータ124およびコイルスプリング120が設置されている場合について説明したが、これらは接着ドラム18側に設けることもできる。ただし、
図23Aでは、負極ヒートドラム12と接着ドラム18とが接する状態を示したものであるが、接着ドラム18には正
極板を供給するドラムも接する場合がある。このような場合には、ドラム回転支点、モータおよびコイルスプリングは、正
極板を供給するドラムおよび負
極板を供給するドラムに設けることが好ましい。
【0143】
図26~
図28は、負極ヒートドラム12、熱圧着ローラ19、及び正極ヒートドラム16での加圧範囲を示す。
【0144】
図26は、負極ヒートドラム12と接着ドラム18による帯状のセパレータS1と負極板NPの接着時の加圧範囲を一点鎖線で示す。負極板NPのうち、帯状のセパレータS1の長手方向の両端部は加圧されず、それ以外の領域は加圧されて押圧される。言い替えれば、矩形状の負極板NPの4辺のうち、対向する2辺、すなわち帯状のセパレータS1の長手方向に対向する2辺は加圧されず、長手方向に直交する方向の対向する2辺は加圧される。矩形状の負極板NPの4辺のうち、加圧された2辺は、加圧された個所がセパレータS1と接着され、加圧されなかった2辺は、セパレータS1と接着されていない。
【0145】
図27は、熱圧着ローラ19と接着ドラム18による帯状のセパレータS1と負極板NPと帯状のセパレータS2の接着時の加圧範囲を一点鎖線で示す。
図26の場合と同様に、負極板NPのうち、帯状のセパレータS1、S2の長手方向の両端部は加圧されず、それ以外の領域は加圧されて押圧される。言い替えれば、矩形状の負極板NPの4辺のうち、対向する2辺、すなわち帯状のセパレータS1、S2の長手方向に対向する2辺は加圧されず、長手方向に直交する方向の対向する2辺は加圧される。矩形状の負極板NPの4辺のうち、加圧された2辺は、加圧された個所がセパレータS2と接着され、加圧されなかった2辺は、セパレータS1と接着されていない。
【0146】
図28は、正極ヒートドラム16と接着ドラム18による帯状のセパレータS1と負極板NPと帯状のセパレータS2と正極板PPの接着時の加圧範囲を一点鎖線で示す。正極板PPのうち、帯状のセパレータS1、S2の長手方向の両端部は加圧されず、それ以外の領域は加圧されて押圧される。言い替えれば、矩形状の正極板PPの4辺のうち、対向する2辺、すなわち帯状のセパレータS1、S2の長手方向に対向する2辺は加圧されず、長手方向に直交する方向の対向する2辺は加圧される。矩形状の正極板PPの4辺のうち、加圧された2辺は、加圧された個所がセパレータS1、S2と接着され、加圧されなかった2辺は、セパレータS1、S2と接着されていない。
【0147】
正極板PPのサイズは負極板NPのサイズよりも小さいため、
図28における加圧範囲は、
図26における加圧範囲よりも小さい。以上のようにして、加圧範囲が制御されつつ3層積層体30及び4層積層体40が製造される。
【0148】
次に、積層ドラム22及び積層ステージ24での積層工程について、より詳細に説明する。
【0149】
図29は、積層ドラム22の構成斜視図を示す。積層ドラム22は、セパレータカットドラム20に近接配置され、セパレータカットドラム20の線速度と略同一に回転する。積層ドラム22は、ドラム回転中心の回りに回転する複数の積層ヘッドから構成される。積層ヘッドの数は任意であるが、例えば12個の積層ヘッド22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22i、22j、22k、22mから構成される。各積層ヘッドは、ドラム中心軸(ハブ)に一端が接続されたアーム(スポーク)と、このスポークの他端に接続された保持部から構成される。各積層ヘッドは、アーム及び保持部により縦断面形状が略T字型をなし、保持部の外周面にはセパレータカットドラム20により切断されて生成された3層積層体30及び4層積層体40を吸着保持するための吸着穴が形成される。保持部は、アームに対して円周方向に揺動自在に接続される。
【0150】
複数の積層ヘッド22a~22mは、それぞれ積層ドラム22の中心軸の回りに回転するとともに、各積層ヘッドが、他の積層ヘッドに対して独立してドラムの円周方向に駆動され、さらに、ドラムの半径方向に駆動される。すなわち、各積層ヘッドは、3層積層体30及び4層積層体40を吸着保持したまま積層ステージ24との近接位置まで回転搬送する。各積層ヘッドは、積層ステージ24との近接位置に達すると、積層ステージ24に対するドラムの円周方向の相対速度が0となり、ドラムの半径方向で積層ステージ24に近づく方向に移動する。積層ステージ24に近づいた各積層ヘッドは、吸着保持している3層積層体30あるいは4層積層体40を積層ステージ24に、あるいは積層ステージ24上に既に3層積層体30あるいは4層積層体40が積層されている場合にはこれらの積層体上に当接させ、吸着保持力をオフにして吸着保持していた3層積層体30あるいは4層積層体40を積層する。その後、各積層ヘッドは、ドラムの半径方向で積層ステージ24から遠ざかる方向に移動する。
【0151】
図30~
図33は、積層ヘッド22a~22mの基本的な動作を示す。以後、各積層ヘッドの動作の説明において、『ドラムの半径方向』および『積層ドラム22の半径方向』を、適宜「半径方向」と称する。
【0152】
図30に示すように、積層ヘッド22a~22mは、積層ドラム22の回転中心軸の回りに一定角速度で回転するが、所定位置に達すると、他の積層ヘッドとは独立に円周方向に増速する。例えば、積層ヘッド22aに着目すると、円周方向の所定位置に達すると、積層ヘッド22aは増速し、回転方向の上流側にある隣接積層ヘッド22mに近づき、回転方向の下流側にある隣接積層ヘッド22bから離れる。
【0153】
増速した後、
図31に示すように積層ヘッド22aが積層ステージ24との近接位置に達すると、積層ヘッド22aは積層ステージ24に対するドラムの円周方向の相対速度が0となる。この近接位置においてその外周面に吸着保持していた3層積層体30あるいは4層積層体40を積層ステージ24上に積層する。より詳細には、積層ヘッド22aは、積層ステージ24との近接位置に近づくと、その保持部の外周面が積層ステージ24のステージ面と略平行となる角度まで揺動し、保持部の外周面が積層ステージ24のステージ面と略平行となった状態を維持しつつ、アームが半径方向に移動することで積層ステージ24方向に移動して保持部の外周面を積層ステージ24のステージ面に接近させ、外周面に吸着保持していた3層積層体30あるいは4層積層体40を積層ステージ24上に積層する。
【0154】
図32及び
図33は、3層積層体30あるいは4層積層体40を積層ステージ24上に積層した後の状態を示す。積層ヘッド22aの回転方向下流側の隣接積層ヘッド22bは所定位置に達したため増速し、積層ヘッド22aに近づく。積層ヘッド22aは、3層積層体30あるいは4層積層体40を積層ステージ24上に積層した後、円周方向に回転して積層ステージ24との近接位置から退避する。より詳細には、積層ヘッド22aは、アームが半径方向に移動することでその外周面が積層ステージ24のステージ面の近接位置から離間する方向に移動し、積層ヘッド22aが積層ヘッド22bに干渉しないように回転方向に移動して退避する。近接位置から退避後は、保持部の外周面が逆方向に揺動して復帰する。
【0155】
図34は、積層ヘッド22aの具体的構成例を示す。他の積層ヘッド22b~22mについても同様である。
【0156】
積層ヘッド22aは、2つのアーム22a1、22a2、及び保持部22a3を備える。アーム22a1及び22a2は、積層ドラム22の半径方向に並行して延在しており、アーム22a1とアーム22a2はカム機構22a4によりドラムの円周方向に一体として回転駆動されるとともに、アーム22a1とアーム22a2はカム機構22a5により円周方向に揺動駆動される。アーム22a1とアーム22a2の半径方向の端部には、外周面22a3が揺動自在に設けられている。外周面22a3は、アーム22a1及びアーム22a2の円周方向の回転とともに回転し、アーム22a1とアーム22a2の揺動及び半径方向の移動とともに揺動・移動する。さらに、外周面22a3は、カム機構22a6によりアーム22a1とアーム22a2に対して揺動する。
【0157】
図35は、積層ヘッド22aの位置の時間変化を示す。図において、横軸は時間、縦軸はドラムの円周方向の位置(角度)を示す。
【0158】
ある基準位置から位置θ1に達するまでは、積層ヘッド22aは一定の角速度で回転する。外周面22a3は、3層積層体30あるいは4層積層体40を吸着保持したまま回転する。
【0159】
次に、所定位置θ1に達すると、積層ヘッド22aは円周方向に増速し、これに伴って外周面22a3も増速する。この間は、回転方向下流の隣接積層ヘッド22bは、一定の角速度で回転し続けるから、積層ヘッド22aと積層ヘッド22bとの離間距離は増大する。この増速により、積層ヘッド22aは、積層ステージ24との近接位置における停止時間、すなわち3層積層体30あるいは4層積層体40の積層ステージ24への積層時間を生成・確保するといえる。また、この増速時において、外周面22a3がアーム22a1、22a2に対して揺動し、3層積層体30あるいは4層積層体40を吸着保持している面が積層ステージ24のステージ面と略平行になるように傾く。
【0160】
次に、積層ステージ24との近接位置θ2に達すると、積層ヘッド22aはその位置で停止し(停止するまでに言うまでもなく減速制御が実行されるが、説明の都合上これを省略する)、アーム22a1とアーム22a2を半径方向に移動して外周面を積層ステージ24のステージ面に近接させて、外周面の吸着力をオフとし3層積層体30あるいは4層積層体40を積層ステージ24上に積層する。この際、積層ステージ24に設けられた爪により、積層ヘッド22aから供給された3層積層体30あるいは4層積層体40の隅部を押圧して保持する。積層ヘッド22aの動きと連動した積層ステージ24の爪の動きについてはさらに後述する。
【0161】
3層積層体30あるいは4層積層体40を積層した後、積層ヘッド22aは所定位置θ3まで退避すべく増速して回転する。この退避時において、外周面22a3がアーム22a1、22a2に対して揺動し、3層積層体30あるいは4層積層体40を吸着保持している面を傾けて初期角度に復帰させる。
【0162】
そして、所定位置θ3に達すると再び所定位置θ1に達するまで、積層ヘッド22aは再び一定の角速度で回転する。この期間において、積層ヘッド22aは、セパレータカットドラム20から新たな3層積層体30あるいは4層積層体40を受け取って外周面22a3に吸着保持した後、所定位置θ1に達する。
【0163】
次に、積層ステージ24の動作について、より詳細に説明する。
【0164】
図36は、積層ステージ24の構成斜視図を示す。積層ステージ24は、積層ドラム22の直下に配置される。積層ステージ24は、3層積層体30及び4層積層体40が積層されるステージ面24gと、当該ステージ面24gに積層される3層積層体30及び4層積層体40を上から押圧して保持する爪24a~24dを備える。
【0165】
ステージ面24gは、3層積層体30及び4層積層体40の矩形状に対応して矩形状の外形をなし、略水平面内に配置される。積層ドラム22の積層ヘッド22a~22mの外周面に吸着保持された3層積層体30あるいは4層積層体40は、矩形状のステージ面24gに位置決め配置され、積層される。具体的には、水平面内の直交する2軸をX軸及びY軸、水平面内のある方向を基準とするX軸の回転方向をθ方向とすると、ステージ面24gは、X軸及びY軸方向に駆動されるとともに、θ方向に駆動、つまり水平面内における移動及び回転駆動されることで、積層ドラム22の積層ヘッド22a~22mの外周面に吸着保持された3層積層体30あるいは4層積層体40の吸着保持姿勢に合わせるように位置決めされる。積層順序は、例えば、まず3層積層体30をステージ面24g上に配置し、次に4層積層体40を3層積層体30上に積層し、次に新たな4層積層体40を既積層の4層積層体40上に積層していく。
【0166】
爪24a~24dは、矩形状のステージ面24gの4隅にそれぞれ配置される。爪24a~24dは、それぞれ平面形状が略L字型をなし、軸を中心にθ方向に揺動自在に支持され、かつ、鉛直方向(以下、これを適宜、鉛直上方向または鉛直下方向という)に移動自在に支持される。爪24a~24dの駆動源は、ステージ面24gをX-Y方向及びθ方向に駆動して位置決めするための駆動源と同様に積層ステージ24に搭載してもよいが、積層ステージ24の軽量化を図るために積層ステージ24外に搭載してもよい。爪24a~24dの駆動源を積層ステージ24外に搭載する場合、当該外部の駆動源と爪24a~24dとをカム機構を介してワイヤ24eで接続し、ワイヤ24eにより外部駆動源からの駆動力を伝達して爪24a~24dを揺動駆動及び上下駆動する。爪24a~24dは、スプリング24fにより鉛直下方向に加圧されており、この加圧力によりステージ面24g上の3層積層体30及び4層積層体40を押圧保持する。
【0167】
図37は、積層ステージ24のステージ面24gと爪24a~24dの平面配置を示す。ステージ面24gを長方形形状とすると、長方形形状の4つの隅部に爪24a~24dが配置される。爪24aと爪24cはステージ面24gの対角線上に配置され、爪24bと爪24dはステージ面24gのもう一つの対角線上に配置される。爪24aと爪24cとは、対であり、第1爪対であり、爪24bと爪24dとは、対であり、第2爪対である。爪24a~24dは、それぞれ回転軸を中心として時計回り及び反時計回りに揺動自在(回動自在)である。爪24dに着目すると、ステージ面24gの左上隅部に配置されており、その軸はステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域内に位置する。爪24dは、初期位置ではステージ面24gの存在領域外(退避位置)に退避しており、時計回りに揺動することでその一部分がステージ面24gの存在領域内に位置し、ステージ面24g上に積層された積層体(3層積層体30及び4層積層体40)を押圧位置にて押圧する。また、爪24aに着目すると、ステージ面24gの右上隅部に配置されており、その軸はステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域内に位置する。爪24aは、初期位置ではステージ面24gの存在領域外(退避位置)に退避しており、反時計回りに揺動することでその一部分がステージ面24gの存在領域内に位置し、ステージ面24g上に積層された積層体を押圧保持する。爪24bは爪24dと同じ動作であり、爪24cは爪24aと同じ動作である。
【0168】
積層体を押圧保持する際には、ステージ面24gの対角線上に位置する爪24aと爪24c、及び爪24bと爪24dがそれぞれ組として水平面内で揺動し、かつ上下移動する。すなわち、爪24aと爪24cの第1爪対が揺動して積層体を押圧保持するが、このときには爪24bと爪24dの第2爪対は既積層の積層体を押圧保持しているため新たに積層された積層体は保持しない。そして、次に新たな積層体が積層された場合、爪24bと爪24dの第2爪対が揺動してステージ面24gから退避し、上方向に移動し、再び揺動して新たに積層された積層体を押圧保持する。
【0169】
図38は、爪24a~24dによる積層体の押圧保持の動作を示す。
【0170】
図38(a)は、ステージ面24g上に積層された3層積層体30-1を押圧保持している状態を示す。最初の3層積層体30-1がステージ面24g上に積層されると、爪24aと爪24cは、反時計回りに揺動して3層積層体30-1上に配置され、スプリング24fの加圧力により3層積層体30-1を上から鉛直下方向に押圧し、3層積層体30-1を保持する。
【0171】
図38(b)は、
図38(a)の状態から新たに4層積層体40-2が3層積層体30-1上に積層された状態を示す。4層積層体40-2は、3層積層体30-1を押圧保持している爪24a、24cの上から積層するので、4層積層体40-2は、爪24a、24cの一部を覆うように積層される。
【0172】
図38(c)は、4層積層体40-2を押圧保持している状態を示す。爪24a、24cで3層積層体30-1を押圧保持したまま、爪24bおよび24dは、鉛直上方向に移動し、さらに時計方向に揺動して4層積層体40-2上に配置される。爪24bおよび24dは、スプリング24fの加圧力により4層積層体40-2を上から鉛直下方向に押圧して保持する。
【0173】
図38(d)は、
図38(c)の状態から、爪24a、24cを退避させた状態を示す。4層積層体40-2を爪24b、24dで押圧保持した後、爪24a、24cはもはや3層積層体30-1を押圧保持している必要がなく、かつ、新たに次に積層される積層体の障害とならないようにステージ面24gから退避しておく必要がある。そこで、爪24a、24cを、鉛直上方向に移動させ、時計回りに揺動させてステージ面24gから退避させる。このとき、3層積層体30-1及び4層積層体40-2は、爪24b、24dで押圧保持されているので、爪24a、24cの揺動によりその積層位置がずれることはない。
【0174】
図38(e)は、
図38(d)の状態から新たに次の積層体40-3が4層積層体40-2上に積層された状態を示す。4層積層体40-3は、4層積層体40-2を押圧保持している爪24b、24dの上から積層するので、4層積層体40-3は、爪24b、24dの一部を覆うように積層される。
【0175】
図38(f)は、4層積層体40-3を押圧保持している状態を示す。爪24b、24dで4層積層体40-2を押圧保持したまま、爪24aおよび24cは、鉛直上方向に移動し、さらに反時計方向に揺動して4層積層体40-3上に配置される。爪24aおよび24cは、スプリング24fの加圧力により4層積層体40-3を上から鉛直下方向に押圧して保持する。以上の動作を繰り返すことで、3層積層体30-1の上に順次、4層積層体40-2,40-3,・・・が積層される。
【0176】
本実施形態における爪24a~24dおよび各々の軸は、
図37に示すようにステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域内に配置されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域外に配置してもよい。ステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域内は、ステージ面24gも含まれる領域である。ステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域外は、ステージ面24gが含まれない領域である。
【0177】
図39は、爪24a~24dの各々の軸がステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域外に配置される場合の平面図を示す。爪24dに着目すると、ステージ面24gの左上隅部に配置されており、その軸はステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域外に位置する。
図37における爪24dの位置と、
図39における爪24dの位置の相違に着目されたい。他の爪24a~24cについても同様である。なお
図39では、爪24a~24dの各々の軸は、ステージ面24gの対向する2つの短辺の延長線で規定される領域外に位置する。ステージ面24gの対向する2つの短辺の延長線で規定される領域外は、ステージ面24gが含まれない領域である。
【0178】
爪24a~24dの各々の軸がステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域外に配置されると、積層ドラム22の積層ヘッド22a~22mの外周面に吸着保持された積層体がステージ面24g上に積層される場合、ステージ面24gの真上から積層体が進入するのではなく、外周面は円周に沿って移動することからステージ面24gの斜め上から積層体が進入することになる。ステージ面24gのサイズに比べて相対的に積層ドラム22の半径が十分に大きいと、ステージ面24gの横方向から積層体が進入することと略等しくなる。
【0179】
図39では、このように積層体がステージ面24gの横方向か
ら進入する様子を模式的に示す。ステージ面24gに4層積層体40-2が積層され、当該4層積層体40-2を爪24a、24cで押圧保持している。新たに次の4層積層体40-3を積層する場合、積層ドラム22の外周面に吸着保持された4層積層体40-3がステージ面24gの横から(図では下から)進入する。爪24b、24dの軸はステージ面24gの対向する2つの長辺の延長線で規定される領域外に配置されている。爪24b、24dは鉛直上方向に移動して揺動し、ステージ面24g上に位置していても横から進入してくる次の4層積層体40-3と衝突することがない。爪24b、24dは4層積層体40-3にとって障害物とならない。従って、4層積層体40-3を積層する際に、爪24bおよび24dをステージ面24gの存在領域外(退避位置)に退避させておく必要がない。爪24bおよび24dを、ステージ面24g上(待機位置)に位置させて待機させ、4層積層体40-3が4層積層体40-2上に積層された後に速やかに、爪24bおよび24dは、スプリング24fの加圧力により4層積層体40-3を押圧保持できる。
【0180】
図40~
図44は、積層ヘッド22a~22mの動きと連動した積層ステージ24の爪24a~24dの動作をより詳細に示す。図では積層ヘッド22a~22mのうち積層ヘッド22aの動きを例示するが、他の積層ヘッド22b~22mについても同様である。
【0181】
図40は、積層ステージ24のステージ面24gに3層積層体30-1及び4層積層体40-2が既に積層され、次に新たに積層ヘッド22aにより4層積層体40-3を積層する場合の側面図を示す。図では爪として24c、24dが示されているが、爪24aは爪24cと同様に動作し、爪24bは爪24dと同様に動作する。
【0182】
爪24cは、スプリング24fの加圧力によりステージ面24g上の3層積層体30-1及び4層積層体40-2を押圧保持している。他方、爪24dは、鉛直上方向に移動し、かつ軸回りに揺動してその一部がステージ面24gの上方(退避位置)に位置するように待機状態にある。積層ヘッド22aは、その外周面に4層積層体40-3を吸着保持して回転し、特定位置に達すると増速してステージ面24gとの近接位置に近づく。積層ヘッド22aがステージ面24gとの近接位置に近づくと、保持部22a3がアーム22a1、22a2に対して揺動し、ステージ面24gとの衝突を回避しつつ外周面をステージ面24gと略平行とする。
【0183】
図41は、積層ヘッド22aがステージ面24gとの近接位置に達した場合である。
【0184】
積層ヘッド22aのアーム22a1、22a2は積層ドラム22の半径方向に移動し、保持部22a3も鉛直下方向に移動して、保持部22a3の外周面がステージ面24gにさらに近接する。このとき、爪24dはステージ面24gの上方(退避位置)で待機状態にあり、爪24cは3層積層体30-1及び4層積層体40-2を押圧保持した状態を維持する。そして、この状態から、
図42に示すように、積層ヘッド22aは、4層積層体40-3をステージ面24gの3層積層体30-1及び4層積層体40-2の上に積層し、保持部22a3の吸着力をオフとする。なお、保持部22a3の鉛直下方向への移動が開始され、4層積層体40-3がステージ面24gの3層積層体30-1及び4層積層体40-2の上に積層されるまでの間に、保持部22a3の鉛直下方向の移動を一旦停止しても良い。一旦停止することで、4層積層体40-3がステージ面24gの3層積層体30-1及び4層積層体40-2の上に積層される際の衝撃を緩和することができる。
【0185】
図43は、4層積層体40-3を3層積層体30-1及び4層積層体40-2の上に積層した状態を示す。爪24c(及び爪24a)は3層積層体30-1及び4層積層体40-2を押圧保持しているので、4層積層体40-3は爪24c(及び爪24a)の上に積層される。また、爪24d(及び爪24b)は、ステージ面24gの上方で待機状態にある。4層積層体40-3が積層されると、爪24d(及び爪24b)は速やかに鉛直下方向に移動して新たに積層された4層積層体40-3を押圧保持する。爪24d(及び爪24b)で4層積層体40-3を押圧保持すると、もはや爪24c(及び爪24a)は3層積層体30-1及び4層積層体40-2を押圧保持する必要がないため、鉛直上方向に移動した後、軸回りに揺動してステージ面24gから退避し、ステージ面24gの上方(退避位置)で待機する。
【0186】
図44は、4層積層体40-3の積層が終了した状態を示す。爪24d(及び爪24b)で3層積層体30-1、4層積層体40-2、4層積層体4
0-3を押圧保持する。また、爪24c(及び爪24a)はステージ面24gの上方(退避位置)に位置して待機状態にあり、次に新たに積層されるべき4層積層体、すなわち積層ヘッド22bの外周面に吸着保持された4層積層体の積層に備える。
【0187】
このように、
図39に示す爪24a~24dの配置によれば、積層体を押圧保持している爪以外の2つの爪は、次の積層体が進入してくる際に障害とならないように退避しておく必要がなく、ステージ面24g上(退避位置)で待機できるので、積層体の積層後に速やかにこれを押圧保持してトータルの積層時間を短縮し得る。
【0188】
なお、積層ヘッド22aの外周面(保持部22a3)は、積層ドラム22の円周方向から見た断面が、平坦ではなく凹面形状または凸面形状に湾曲し、この凹面または凸面において3層積層体あるいは4層積層体を吸着保持する構成としても良い。積層ヘッド22aの外周面の大きさを3層積層体あるいは4層積層体の大きさよりも一回り小さくした場合であっても、積層ヘッド22aの端部からはみだした3層積層体あるいは4層積層体の部分がはためくことを抑制するためである。積層ヘッド22aの保持部22a3が凸面
形状に湾曲している場合、積層ヘッド22aとステージ面24gとの近接位置とは、保持部22a3の最も凸な箇所とステージ面24gとの距離が最短となる位置を意味する。積層ヘッド22aの外周面が凹面形状に湾曲している場合、積層ヘッド22aとステージ面24gとの近接位置とは、積層ヘッド22aの最外周に位置する箇所とステージ面24gとの距離が最短となる位置を意味する。
【0189】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示はこれらの実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0190】
<変形例1>
本実施形態では、積層ドラム22及び積層ステージ24を1組だけ配置しているが、積層ドラム22及び積層ステージ24を複数組配置してもよい。
【0191】
図45は、積層ドラム22及び積層ステージ24に加え、積層ドラム23及び積層ステージ25を配置した場合の構成図を示す。
【0192】
セパレータカットドラム20で切断されて生成される3層積層体30及び4層積層体40は、積層ドラム22あるいは積層ドラム23に供給される。積層ドラム22に供給された3層積層体30及び4層積層体40は、積層ドラム22に隣接して配置された積層ステージ24に順次積層される。また、積層ドラム23に供給された3層積層体30及び4層積層体40は、積層ドラム23に隣接して配置された積層ステージ25に順次積層される。
【0193】
積層ドラム22及び積層ドラム23は、それぞれセパレータカットドラム20に当接し、互いにセパレータカットドラム20の回転方向に対して同一方向に回転する。このように、複数の積層ドラム22,23がセパレータカットドラム20から搬送される3層積層体30及び4層積層体40の搬送方向に対して同一方向に回転するような配置を並列配置と称する。並列配置では、積層ステージ24,25に積層される積層体の構造は同一となる。
【0194】
図46は、積層ドラム22及び積層ステージ24の組と、積層ドラム23及び積層ステージ25の組を用いた積層の様子を示す。
【0195】
製造装置の全体を制御する制御装置は、セパレータカットドラム20で切断されて生成された3層積層体30及び4層積層体40を積層ドラム22と積層ドラム23のいずれかに選択的に供給する。例えば、最初に積層ステージ24で積層して積層電極体を製造し、次に積層ステージ25で積層して積層電極体を製造する場合、制御装置は、セパレータカットドラム20からの3層積層体30及び4層積層体40をまず積層ドラム22に供給する。
【0196】
積層ドラム22は、セパレータカットドラム20から供給された3層積層体30を受け取り、積層ステージ24上に積層する。そして、3層積層体30上に、例えば合計37個の4層積層体40を積層して1つの積層電極体を製造する。制御装置は、最後の37個目の4層積層体40を積層ドラム22に供給すると、セパレータカットドラム20の出力先を積層ドラム22から積層ドラム23に切り替える。
【0197】
積層ドラム23は、セパレータカットドラム20から供給された3層積層体30を受け取り、積層ステージ25上に積層する。そして、3層積層体30上に、例えば合計37個の4層積層体40を積層してもう1つの積層電極体を製造する。制御装置は、最後の37個目の4層積層体40を積層ドラム23に供給すると、セパレータカットドラム20の出力先を再び積層ドラム23から積層ドラム22に切り替える。
【0198】
なお、セパレータカットドラム20から正常に、
3層積層体30、4層積層体40、4層積層体40、・・・、3層積層体30、4層積層体40、・・・
が供給されていれば問題ないが、負極カットドラム10、負極ヒートドラム12、正極カットドラム14、正極ヒートドラム16、接着ドラム18、セパレータカットドラム20の少なくともいずれかで異常が生じ、正常な3層積層体30及び4層積層体40が生成されない場合もあり得る。このような場合、各ドラムに設けられた検出センサで異常が検出されると、当該3層積層体30あるいは4層積層体40は、積層ドラム22,23に供給される前に不良として排除されることになり、1個の3層積層体30の後に37個の4層積層体40が続くという正常な積層体の流れが維持されなくなる。例えば、37個目の4層積層体40を生成する際に、接着ドラム18において正極板PPの接着不良が生じ、このため接着ドラム18の検査工程において37個目の4層積層体40を不良と判定して排除すると、セパレータカットドラム20からは37個目に4層積層体40ではなく、次の3層積層体30が供給されることになる。この3層積層体30を積層ドラム22から積層ステージ24に積層してしまうと、正常な積層電極体が製造されないことになる。
【0199】
そこで、このような場合には、37個目の4層積層体40の代わりに供給された3層積層体30については、積層ドラム22ではなく積層ドラム23に供給し、積層ドラム23は当該3層積層体30を積層ステージ25に積層することも可能である。当該3層積層体の後にセパレータカットドラム20から供給される4層積層体40を積層ドラム22に供給し積層ステージ24に積層することで、積層ステージ24上には3層積層体30上に37個の4層積層体40が積層された積層体が形成される。
【0200】
なお、3層積層体30上に所定数の4層積層体40が積層された積層体は、加圧および/又は加熱され、互いに接着し、積層電極体となる。
【0201】
【0202】
制御装置は、セパレータカットドラム20で切断させ生成された積層体を監視し、3層積層体30であるか4層積層体40であるかを識別するとともに、その個数を順次カウントする。37個目の4層積層体40に異常が生じて不良として排除されると、37個目は4層積層体40ではなく3層積層体30となる。
【0203】
制御装置は、37個目の積層体が4層積層体40であれば、積層ドラム22に供給するが、37個目の積層体が4層積層体40ではなく3層積層体30であることを検出すると、セパレータカットドラム20の出力先を積層ドラム22から積層ドラム23に変更し、3層積層体30を積層ステージ24ではなく積層ステージ25に積層する。図において、3層積層体30に付されている×印は、積層ステージ24には積層されず、積層ステージ25に積層されることを示す。その後は、4層積層体40が順次供給されるから、制御装置はセパレータカットドラム20の出力先を積層ドラム23のまま維持し、37個の4層積層体40を順次積層ステージ25に積層していく。積層ステージ24については、適当なタイミングで不足している1個の4層積層体40を積層することで、積層電極体を完成すればよい。
【0204】
以上のように、積層ドラム及び積層ステージの組を複数組配置し、適宜積層体を振り分けることで、積層体に不良が生じても製造工程を停止することなく積層電極体を効率的に製造し得る。
【0205】
なお、積層体の不良は、いずれのドラムでも検出できるが、特に負極板NPの不良、正極板PPの不良を検出するためには、負極ヒートドラム12及び正極ヒートドラム16に例えばカメラ等の検出センサを配置し、これらのドラムにおいて検出された不良を排除し得る。この場合、負極ヒートドラム12は、負極板NPを加熱する機能とともに、正常/不良の判定機能並びに不良排除機能を備えることになる。正極ヒートドラム16も同様に、正極板PPを加熱する機能とともに、正常/不良の判定機能並びに不良排除機能を備えることになる。
【0206】
負極カットドラム10および正極カットドラム14上で不良を検出する場合、負極単板または正極単板が切断された後に、正常/不良の判定機能並びに不良排除機能を備える。負極カットドラム10および正極カットドラム14が、正常/不良の判定機能を備え、負極ヒートドラム12及び正極ヒートドラム16が不良排除機能を備えることもできる。
【0207】
セパレータカットドラム20上で不良を検出する場合、セパレータが切断された後、積層ドラムに切断された積層体が供給される前に、正常/不良の判定機能および不良排除機能を備える。つまり、セパレータカットドラム20は、セパレータをカットする機能とともに、正常/不良の判定機能並びに不良排除機能を備えることになる。
【0208】
<変形例2>
図45では、積層ドラム22、23を並列配置しているが、積層ドラム22,23をセパレータカットドラム20に対して直列配置してもよい。
【0209】
図48は、この場合の構成を示す。セパレータカットドラム20で切断されて生成される3層積層体30及び4層積層体40は、積層ドラム22に供給される。積層ドラム23は、セパレータカットドラム20ではなく、積層ドラム22に当接して配置される。積層ドラム23には、積層ドラム22を介して3層積層体30及び4層積層体40が供給される。積層ドラム22に供給された3層積層体30及び4層積層体40は、積層ドラム22に隣接して配置された積層ステージ24に順次積層される。また、積層ドラム23に供給された3層積層体30及び4層積層体40は、積層ドラム23に隣接して配置された積層ステージ25に順次積層される。
【0210】
積層ドラム22及び積層ドラム23は、互いに異なる方向に回転する。このように、当接する積層ドラム22および23が互いに異なる方向に回転するような配置を直列配置と称する。互いに異なる方向に回転とは、一方のドラムが時計回りに回転するのに対し、他方のドラムが反時計回りに回転する場合を意味する。直列配置では、積層ステージ24,25に積層される積層体の構造は異なり得る。
【0211】
すなわち、積層ドラム23は、当接する積層ドラム22を介して3層積層体30及び4層積層体40が供給されるが、積層ドラム23の回転方向は、積層ドラム22の回転方向とは反対逆向きである。積層ドラム23から積層ステージ25に供給される3層積層体30及び4層積層体40は、積層ドラム22から積層ステージ24に供給される3層積層体30及び4層積層体40の配置に対し、反転する。そこで、例えば、積層ステージ24には、3層積層体から積層し、3層積層体上に4層積層体を順次積層するのに対し、積層ステージ25には、4層積層体を順次積層し、4層積層体上に3層積層体を積層する。このため、直列配置では、積層ステージ24,25に積層される積層体の構造は異なり得る。
【0212】
なお、
図49に示すように、積層ドラム22に積層ドラム23を当接するのではなく、積層ドラム22に中間ドラム27を介在させ、この中間ドラム27に積層ドラム23を当接させる構成とすると、積層ドラム22及び積層ドラム23は、セパレータカットドラム20に対して同一方向に回転することになるから並列配置となる。
【0213】
<変形例3>
本実施形態では、負極カットドラム10、負極ヒートドラム12、正極カットドラム14、正極ヒートドラム16、接着ドラム18、セパレータカットドラム20、積層ドラム22の構成であるが、負極ヒートドラム12を省略して負極カットドラム10と接着ドラム18を隣接して配置し、正極ヒートドラム16を省略して正極カットドラム14と接着ドラム18を隣接して配置してもよい。
【0214】
図50は、この場合の構成を示す。
図1と異なり、負極ヒートドラム12及び正極ヒートドラム16がなく、負極カットドラム10と接着ドラム18が隣接し、正極カットドラム14と接着ドラム18が隣接する。
【0215】
負極カットドラム10は、帯状の負極単板Nを切断して負極板NPを生成し、負極板NPを加熱した上で接着ドラム18に供給する。負極カットドラム10は、
図1における負極ヒートドラム12の機能を兼ねているといえる。
【0216】
また、正極カットドラム14は、帯状の正極単板Pを切断して正極板PPを生成し、正極板PPを加熱した上で接着ドラム18に供給する。正極カットドラム14は、
図1における正極ヒートドラム16の機能を兼ねているといえる。
【0217】
図50では、負極カットドラム10と接着ドラム18が隣接しているが、負極カットドラム10と接着ドラム18が離間し、ベルトコンベヤ等の搬送機構により負極カットドラム10からの加熱済みの負極板NPを接着ドラム18に搬送してもよい。同様に、正極カットドラム14と接着ドラム18が離間し、ベルトコンベヤ等の搬送機構により正極カットドラム14からの加熱済みの正極板PPを接着ドラム18に搬送してもよい。
【0218】
<変形例4>
本実施形態では、セパレータカットドラム20で帯状のセパレータS1,S2を切断しているが、セパレータカットドラム20を省略し、接着ドラム18において帯状のセパレータS1,S2を切断してもよい。
【0219】
図51は、この場合の構成を示す。
図1と異なり、セパレータカットドラム20がなく、接着ドラム18で切断されて生成された3層積層体30及び4層積層体40は、搬送機構を介して積層ドラム22に供給される。
【0220】
接着ドラム18は、丸刃を備える接着ヘッドを備え、所定の切断位置28において帯状のセパレータS1,S2を切断する。接着ヘッドは、例えば丸刃及び切断機能を備えてもよい。
【0221】
<変形例5>
本実施形態では、3層積層体及び4層積層体を作成しているが、必ずしもこれに限定されず、2層積層体あるいは4層以上の積層数の積層体を作成することもできる。例えば、
図1において正極カットドラム14及び正極ヒートドラム16を削除ないし停止し、セパレータS1上に負極板NPを供給して接着ドラム18で接着し、2層積層体としてセパレータカットドラム20に供給してもよい。負極板NP上にセパレータS2を供給して接着ドラム18で接着し、2層積層体としてセパレータカットドラム20に供給してもよい。負極板NP上にセパレータS2を供給して接着ドラム18で接着し、さらにセパレータS2上に正極板PPを供給して接着ドラム18で接着し、3層積層体としてセパレータカットドラム20に供給してもよい。あるいは、接着ドラム18での接着を繰り返し実行し、4層以上の積層数の積層体を作成してセパレータカットドラム20に供給してもよい。
【0222】
<変形例6>
セパレータカットドラム20および積層ドラム22は、接着ドラム18と近接して配置する必要は無い。接着ドラム18とは別の方法および装置で帯状セパレータと正極及び負極を積層して積層体を作成し、帯状セパレータを切断し、これを積層ドラム22で積層してもよい。他方で、帯状セパレータと正極及び負極を積層した積層体を接着ドラム18で作成し、セパレータカットドラム20および積層ドラム22とは別の方法および装置により、積層電極体を作成することもできる。
【符号の説明】
【0223】
10 負極カットドラム
12 負極ヒートドラム
14 正極カットドラム
16 正極ヒートドラム
18 接着ドラム
20 セパレータカットドラム
22 積層ドラム
24 積層ステージ
N 負極単板
P 正極単板
NP 負極板
PP 正極板