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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】マイクロチャネル熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20240729BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
F28F3/04 B
F28D9/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021529801
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 TH2019000056
(87)【国際公開番号】W WO2020112033
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】1801007286
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TH
(73)【特許権者】
【識別番号】513160707
【氏名又は名称】ピーティーティー グローバル ケミカル パブリック カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515268582
【氏名又は名称】ピーティーティー パブリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タラプーム、ナッタポン
(72)【発明者】
【氏名】ソムペック、カウィスラ
(72)【発明者】
【氏名】シリムンカラクル、ニカポーン
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/124980(WO,A2)
【文献】特表2009-534622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00-3/14,13/00-13/18
F28D 9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互に積み重ねられた少なくとも1つの高温熱交換板(11)および少なくとも1つの低温熱交換板(12)を備え、高温流体の入口(13)および高温流体の出口(14)が、高温流体に各前記高温熱交換板(11)を通過させるために設けられ、低温流体の入口(15)および低温流体の出口(16)が、低温流体に各前記低温熱交換板(12)を通過させるために設けられ、前記高温熱交換板(11)は高温マイクロチャネル(17)を備え、前記低温熱交換板(12)は低温マイクロチャネル(18)を備え、前記チャネルは、流体の流れ方向に伸長する長さを有し、各前記チャネルの側壁は、各前記チャネルの中心線を対称軸とする対称波形パターンを有し、前記高温熱交換板(11)および前記低温熱交換板(12)は、前記高温マイクロチャネル(17)および前記低温マイクロチャネル(18)の位置が合うパターンに配置される、マイクロチャネル熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換器は、平坦板(19)を更に備える、請求項1に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【請求項3】
前記高温マイクロチャネル(17)および前記低温マイクロチャネル(18)は、100~5,000μmの範囲内の平均幅(y)、100~5,000μmの範囲内のチャネル間幅(z)、および次の式
x≦2r
に従う曲線長(x)および曲線半径(r)を有し、xは、100~100,000μmの範囲内である、請求項1に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【請求項4】
前記高温マイクロチャネル(17)および前記低温マイクロチャネル(18)は、1,000~3,000μmの範囲内の平均幅(y)、1,000~3,000μmの範囲内のチャネル間幅(z)、1,000~5,000μmの範囲内の曲線長(x)、および1,000~5,000μmの範囲内の曲線半径(r)を有する、請求項1または3に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【請求項5】
前記高温熱交換板(11)、前記低温熱交換板(12)、および平坦板(19)は、10~10,000μmの範囲内の厚さを有する、請求項に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【請求項6】
前記高温熱交換板(11)、前記低温熱交換板(12)、および前記平坦板(19)は、100~2,000μmの前記範囲内の前記厚さを有する、請求項5に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【請求項7】
前記高温流体の入口(13)および前記低温流体の入口(15)は、異なる温度を有する流体を逆流方向に流れさせるために、前記熱交換器の対向する両サイドに設けられる、請求項1に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【請求項8】
前記異なる温度を有する流体は、少なくとも1℃の温度差を有する、請求項に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【請求項9】
前記異なる温度を有する流体は、少なくとも10℃の前記温度差を有する、請求項8に記載のマイクロチャネル熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
化学工学は、マイクロチャネル熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日までに、マイクロチャネル熱交換器の開発に関するレポートが存在する。通常サイズのチャネルと比較して、マイクロチャネルは、たとえばシェルおよびチューブ式熱交換器およびプレートおよびフレーム式熱交換器などの通常の熱交換器よりも高い熱伝達性能を提供する。これは、マイクロチャネル内の流れが、チャネル壁から流体内へ急速に熱を伝達することができるためであり、各チャネル内の流体は、同様の流れ断面温度を有し、マイクロチャネルの熱伝達表面積は、同じ容積である通常サイズのチャネルよりも大きく、チャネル内の圧力降下は、通常の熱交換器と比べると比較的小さい。しかし、マイクロチャネルは、適用のための制限をもたらすいくつかの欠点を有する。たとえば、マイクロチャネルは、チャネルが狭いために閉塞しやすく、特に工業規模での製造においてその可能性が高い。
【0003】
熱交換器のチャネルの特性は、熱交換器の熱交換性能にとって重要であり、チャネルの特性は、製造の可能性およびチャネルの配置をともに示すパラメータであることが知られている。したがって、熱交換器の性能を高め、上述した制限を克服するためのチャネル特性を開発する試みが絶えず存在している。
【0004】
US20040031592号は、3つ以上の流体流の熱交換のためのマイクロチャネルを備える熱交換器を開示し、上記チャネルの壁は、熱伝達表面積を増加するために設けられたフィンを有し、平坦であった。しかし、上記フィンの設置は、熱交換器内部の汚損速度を増加させた。その結果、熱交換性能が急速に低下し、熱交換器の圧力降下が増加した。また、上記設計は、高圧流体での使用時に問題を有することがあり、不利をもたらす。
【0005】
US4516632号は、交互に積み重ねられたスロット付き熱交換板およびスロットなし熱交換板を備えるマイクロチャネル熱交換器を開示し、スロット付き熱交換板は、異なる温度を有する流体の交差流構成を形成するために、交互に、互いに対し90度に配置された。しかし、上記流れ構成は、高い熱交換性能を生み出さなかった。
【0006】
EP1875959号は、交互に積み重ねられたマイクロチャネル熱交換板を備える熱交換器の装置によるエマルジョンの調製プロセスを開示し、上記チャネルは、蛇形状に設計された。これは、上記チャネルにおいて、逆流方向および並流方向という2つの流れパターンをもたらした。しかし、上記チャネル設計は、汚染物質で閉塞しやすくなり、チャネルの片側から他方側への1つの流れ方向経路よりも清掃が困難であった。
【0007】
US8858159号は、ガスタービンエンジン内のブレードの熱を低減するために低温空気が流通するための冷却チャネルを備えるガスタービンエンジンを開示し、熱交換性能を高めるために、上記冷却チャネルは湾曲した出入りリブを備え、各リブペア間に台座が配置された。しかしながら、各リブペア間の上記台座の特性は、熱交換器の圧力降下を増加させることがあり、これは、大きく差のある圧力を有する流体、または高粘性の流体間での熱伝達に適用する時に不利であった。
【0008】
US20100314088号は、交互に積み重ねられたマイクロチャネルで構成されたプレートを備える熱交換器を開示し、上記プレートは、湾曲するように設計され、上記マイクロチャネルは、流体の流れ方向に沿って平行なチャネルをもたらす非対称波形パターンに設けられた。チャネルの真っ直ぐな部分と湾曲部分との合計長さは、一定であるように設定された。しかし、上記特許は、たとえば幅サイズ、曲線半径などの上記波形チャネルの適当な態様を開示していなかった。
【0009】
TH1601007738号は、交互に積み重ねられた少なくとも1つの熱交換プレート、少なくとも1つの高温熱交換プレート、および少なくとも1つの低温熱交換プレートを備える、異なる温度を有する流体の熱交換のための熱交換器を開示した。各チャネルの側壁は、対称波形パターンを有し、対称軸は、各チャネルの中心線であった。これは、熱交換性能を向上させた。しかし、ここにもなお、熱交換性能が十分に高くなく、流れ方向に垂直なチャネルの配置が適当ではないという弱点があった。これらの弱点は、工業規模での当該発明の製造の可能性を困難にした。
【0010】
上記理由の全てから、本発明は、高い熱交換性能を有し、大きく差のある圧力を有する流体に関して熱交換器に関連する問題を縮小し、工業規模での本発明の製造における容易性を有するマイクロチャネル熱交換器を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、高い熱交換性能を有し、大きく差のある圧力を有する流体に関して熱交換器に関連する問題を縮小し、工業規模での本発明の製造における容易性を有するマイクロチャネル熱交換器を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の一態様において、本発明は、交互に積み重ねられた少なくとも1つの高温熱交換板および少なくとも1つの低温熱交換板を備え、高温流体の入口および高温流体の出口が、高温流体に各上記高温熱交換板を通過させるために設けられ、低温流体の入口および低温流体の出口が、低温流体に各上記低温熱交換板を通過させるために設けられ、高温熱交換板は高温マイクロチャネルを備え、低温熱交換板は低温マイクロチャネルを備え、上記チャネルは、流体の流れ方向に伸長する長さを有し、各上記チャネルの側壁は、各上記チャネルの中心線を対称軸とする対称波形パターンを有し、前記高温熱交換板および前記低温熱交換板は、前記高温マイクロチャネルおよび前記低温マイクロチャネルの位置が合うパターンに配置される、マイクロチャネル熱交換器を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、少なくとも1つの高温熱交換板および少なくとも1つの低温熱交換板を備える、本発明に係る熱交換器の一態様を示す。
図2図2は、少なくとも1つの高温熱交換板、少なくとも1つの低温熱交換板、および少なくとも1つの平坦熱交換板を備える、本発明に係る熱交換器の一態様を示す。
図3図3は、本発明に係る熱交換器の熱交換板の配置の一態様を示す。
図4図4は、流れ方向に垂直である、本発明に係る熱交換器の熱交換板の配置の一態様を示す。
図5図5は、本発明に係る熱交換器の各高温マイクロチャネルおよび各低温マイクロチャネルの一態様を示す。
図6図6は、本発明に係る熱交換器の高温熱交換板および低温熱交換板の一態様を、a)等角図、b)上面図、およびc)底面図で示す。
図7図7は、本発明に係る熱交換器の高温熱交換板および低温熱交換板の他の態様を、a)等角図、b)上面図、およびc)底面図で示す。
図8図8は、対称波形チャネルおよび高温チャネルと低温チャネルとの交互シーケンスをもたらすための熱交換板の配置を備える比較用熱交換器の高温熱交換板および低温熱交換板の一態様を、a)等角図、b)上面図、およびc)正面図で示す。
図9図9は、図6に係る熱交換器の熱交換板の配置の一態様を示す。
図10図10は、非対称波形チャネルを備える比較用熱交換器の高温熱交換板および低温熱交換板の一態様を、a)等角図、b)上面図、およびc)正面図で示す。
図11図11は、ストレートチャネルを備える比較用熱交換器の高温熱交換板および低温熱交換板の一態様を、a)等角図、b)上面図、およびc)正面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の実施形態に従って説明されるようなマイクロチャネルを有する板を備える熱交換器に関する。
本明細書で用いられる任意の態様は、特に記載がなければ、本発明の他の態様への適用を含むことに言及するものである。
【0015】
本明細書で用いられる技術用語または科学用語は、特に記載がなければ、当業者によって理解されるような定義を有するものである。
本明細書で言及される任意のツール、機器、方法、または化学物質は、それらが本発明においてのみ特有のツール、機器、方法、または化学物質であると詳細に説明されない限り、当業者によって一般的に操作または使用されるツール、機器、方法、または化学物質を意味する。
【0016】
特許請求の範囲または明細書において、「備える」を伴う単数名詞または単数代名詞の使用は、「1つ」、ならびに「1または複数」、「少なくとも1つ」、および「1または1より多い数」を指す。
【0017】
以下の詳細は、本発明の明細書において説明するものであり、本発明の範囲を限定することは一切意図されない。本発明は、交互に積み重ねられた少なくとも1つの高温熱交換板および少なくとも1つの低温熱交換板を備え、高温流体の入口および高温流体の出口が、高温流体に各上記高温熱交換板を通過させるために配置され、低温流体の入口および低温流体の出口が、低温流体に各上記低温熱交換板を通過させるために配置され、高温熱交換板は高温マイクロチャネルを備え、低温熱交換板は低温マイクロチャネルを備え、上記チャネルは、流体の流れ方向に伸長する長さを有し、各上記チャネルの側壁は、各上記チャネルの中心線を対称軸とする対称波形パターンを有し、高温熱交換板および低温熱交換板は、高温マイクロチャネルおよび低温マイクロチャネルの位置が合うパターンに配置される。
【0018】
図1は、本発明に係る熱交換機の一態様を示す。この態様において、マイクロチャネル熱交換器は、交互に積み重ねられた少なくとも1つの高温熱交換板11および少なくとも1つの低温熱交換板12を備え、高温流体の入口13および高温流体の出口14が、高温流体に各上記高温熱交換板11を通過させるために配置され、低温流体の入口15および低温流体の出口16が、低温流体に各上記低温熱交換板12を通過させるために配置され、高温熱交換板11は高温マイクロチャネル17を備え、低温熱交換板12は低温マイクロチャネル18を備え、上記チャネルは、流体の流れ方向に伸長する長さを有し、各上記チャネルの側壁は、各上記チャネルの中心線を対称軸とする対称波形パターンを有し、高温熱交換板11および低温熱交換板12は、高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18の位置が合うパターンに配置される。
【0019】
図2図3、および図4は、本発明に係る熱交換器の他の態様を示す。この態様において、マイクロチャネル熱交換器は、交互に積み重ねられた少なくとも1つの高温熱交換板11、少なくとも1つの低温熱交換板12、および少なくとも1つの平坦熱交換板19を備え、高温流体の入口13および高温流体の出口14が、高温流体に各上記高温熱交換板11を通過させるために配置され、低温流体の入口15および低温流体の出口16が、低温流体に各上記低温熱交換板12を通過させるために配置され、高温熱交換板11は高温マイクロチャネル17を備え、低温熱交換板12は低温マイクロチャネル18を備え、上記チャネルは、流体の流れ方向に伸長する長さを有し、各上記チャネルの側壁は、各上記チャネルの中心線を対称軸とする対称波形パターンを有し、高温熱交換板11および低温熱交換板12は、高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18の位置が合うパターンに配置される。
【0020】
1つの実施形態において、図5に示すような高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18の各チャネルは、100~5,000μmの範囲内の平均幅(y)、100~5,000μmの範囲内のチャネル間幅(z)、および次の式、
x≦2r
に従う曲線長(x)および曲線半径(r)を有し、式中、xは100~100,000μmの範囲内である。
【0021】
好適には、高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18は、1,000~3,000μmの範囲内の平均幅(y)、1,000~3,000μmの範囲内のチャネル間幅(z)、1,000~5,000μmの範囲内の曲線長(x)、および1,000~5,000μmの範囲内の曲線半径(r)を有する。
【0022】
1つの実施形態において、高温熱交換板11、低温熱交換板12、および平坦熱交換板19は、10~10,000μmの範囲内の厚さ、好適には約100~2,000μmの範囲内の厚さを有する。
【0023】
十分な強度および寸法安定性を効果的に備え、異なる温度を有する流体の熱交換を行うために、上記熱交換板は、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、白金、クロム、銅、またはそれらの合金で作られ、好適には、ステンレス鋼316L(SS316L)で作られ得る。
【0024】
1つの実施形態において、高温熱交換板11および低温熱交換板12は、ワイヤカット製造技術、光化学マシン(PCM)製造技術、またはコンピュータ数値制御ミリングマシン技術によって形成されてよく、この場合に得られる板の特性は、図6に示されるとおりであり、または、光化学マシン(PCM)製造技術またはコンピュータ数値制御ミリングマシン技術によって形成されてよく、この場合に得られる板の特性は、図7に示されるとおりである。
【0025】
上記熱交換板は、拡散接合プロセスによって接合されてよく、それらの接触表面の両側において製造中の製品の原子拡散によって生じる接合は、そのような表面の同質性をもたらし、接合の重要な因子は、温度、時間、接触表面における圧力、表面粗さ、および拡散接合プロセスの環境である。
【0026】
1つの実施形態において、高温流体の入口13および低温流体の入口15は、異なる温度を有する流体を逆流方向に流れさせるために熱交換器の反対側に配置され、異なる温度を有する上記流体は、1℃以上の温度差、好適には10℃以上の温度差を有する。
【0027】
当業者には既知であるように、上記高温熱交換板11および上記低温熱交換板12は、2つ以上の板により交互に積み重ねられ得る。また、上記高温熱交換板11、上記低温熱交換板12、および上記平坦熱交換板19は、3つ以上の板により交互に積み重ねられ得る。これらの板は、高流速での流体の熱交換のために多数のチャネルを有する熱交換器を提供するために、より多い数を積み重ねられ得る。
【0028】
図2における本発明に係る熱交換器の性能を、従来技術に係るチャネルを備える熱交換器と比較するために、図8および図9に示す外観に従って対称波形壁を有する高温チャネルおよび低温チャネルを備える熱交換器、および(それぞれ図10および図11に示す外観に従って)非対称波形パターンを有する高温チャネルおよび低温チャネルとストレートチャネルとを備える熱交換器が、後述するように、ANSYS Fluentソフトウェア、バージョン19.1を用いて数値流体力学モデルによって構築および試験された。
【0029】
本発明に係る熱交換器
熱交換器1
平坦熱交換板19は、約0.5mmの厚さを有し、高温熱交換板11および低温熱交換板12は、約1mmの厚さを有していた。図5に示すような高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18は、約2,000μmの平均幅(y)、約3,000μmの曲線長(x)、約4,000μmの曲線半径(r)、約0.5mmのチャネル間幅(z)、および約240mmのチャネル長さを有していた。
【0030】
熱交換器2
平坦熱交換板19は、約1mmの厚さを有し、高温熱交換板11および低温熱交換板12は、約1mmの厚さを有していた。図5に示すような高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18は、約2,000μmの平均幅(y)、約3,000μmの曲線長(x)、約4,000μmの曲線半径(r)、約0.5mmのチャネル間幅(z)、および約240mmのチャネル長さを有していた。
【0031】
熱交換器3
平坦熱交換板19は、約0.5mmの厚さを有し、高温熱交換板11および低温熱交換板12は、約1mmの厚さを有していた。図5に示すような高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18は、約2,000μmの平均幅(y)、約3,000μmの曲線長(x)、約4,000μmの曲線半径(r)、約1mmのチャネル間幅(z)、および約240mmのチャネル長さを有していた。
【0032】
熱交換器4
平坦熱交換板19は、約1mmの厚さを有し、高温熱交換板11および低温熱交換板12は、約1mmの厚さを有していた。図5に示すような高温マイクロチャネル17および低温マイクロチャネル18は、約2,000μmの平均幅(y)、約3,000μmの曲線長(x)、約4,000μmの曲線半径(r)、約1mmのチャネル間幅(z)、および約240mmのチャネル長さを有していた。
【0033】
比較用熱交換器
熱交換器A
図9に示すように、高温熱交換板および低温熱交換板が約0.5mmの厚さを有すること、および熱交換板の配置が高温チャネルと低温チャネルとの交互シーケンスをもたらすことを除き、熱交換器1において説明したような構成を備える熱交換器が用いられた。
熱交換器B
図10に示すように、高温および低温チャネルが非対称波形パターンを有すること、および高温熱交換板および低温熱交換板が約0.5mmの厚さを有することを除き、熱交換器1において説明したような構成を備える熱交換器が用いられた。
【0034】
熱交換器C
図11に示すように、高温および低温チャネルが流れ方向に沿ってストレート特性を有すること、および高温熱交換板および低温熱交換板が約0.5mmの厚さを有することを除き、熱交換器1において説明したような構成を備える熱交換器が用いられた。
上述したように様々なチャネルの特性を備える熱交換器が、以下のパラメータで、ANSYS Fluentソフトウェア、バージョン19.1を用いて数値流体力学モデルによって熱交換性能に関して試験された。モデル内で用いられた流体は、様々な温度の水であり、高温流体は約80℃であり、低温流体は約20℃であった。上記流体は、各経路において約111mL/分の流速で逆流方向に流れた。その結果が表1に示された。
表1は、高温流体出口の温度および低温流体出口の温度、および様々な特性を備える熱交換器の熱交換率を示す。
【0035】
【表1】

※以下の式から、熱交換器Cに対する熱交換性能の相対的な増加パーセンテージが計算された。
【0036】
熱交換器Xに関する熱交換性能の増加パーセンテージ
【数1】

表1から、本発明に係る熱交換器1、2、3、および4を比較用熱交換器A、B、およびCと比較すると、本発明に係る熱交換器は、より高い熱交換率をもたらし、本発明に係る熱交換器3が最も高い性能を提供したことが分かった。
【0037】
また、本発明に係る熱交換器と、従来技術に係るチャネルを備える熱交換器との間で、サイズの態様において熱交換器の性能を比較するために、上述したように様々なチャネル特性を備える熱交換器が、2つのチャネルに関して高温チャネル、2つのチャネルに関して低温チャネル、および高温および低温チャネルの間に配置された平坦熱交換板を備える、流れ方向に垂直なチャネル面積を検討することによって、サイズの比較をされた。その結果が表2に示された。
【0038】
表2は、様々な特性を備える熱交換器の流れ方向に垂直なチャネル面積の比較を示す。
【表2】

※※以下の式から、熱交換器Cと比較した場合の熱交換器面積の減少パーセンテージが計算された。
【0039】
熱交換器Xに関する熱交換器面積の減少パーセンテージ
【数2】

表2は、従来技術に係る熱交換器に対する、本発明に係る熱交換器の流れ方向に垂直なチャネル面積の比較を示し、これは、流れ方向に垂直な合計チャネル面積および熱交換器面積の減少パーセンテージから検討され得る。
【0040】
上記結果から、本発明に係る熱交換器は、大きく差のある温度を有する流体の熱交換において効果的であり、よりサイズが小さいことが確認される。したがって、製造コストが低減される。これにより、本発明の目的において述べているように、工業規模での本発明の製造の可能性がもたらされる。
【0041】
本発明の最適モード
本発明の最適モードは、本発明の説明において記載されたとおりである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11