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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】患者支持装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/14 20060101AFI20240729BHJP
   A61G 7/02 20060101ALI20240729BHJP
   A61G 7/005 20060101ALI20240729BHJP
   A61G 5/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61G7/14
A61G7/02
A61G7/005
A61G5/00 701
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021540151
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 GB2019053436
(87)【国際公開番号】W WO2020144448
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】1900280.7
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521302490
【氏名又は名称】ピット,レイチェル
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ピット,レイチェル
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0016627(US,A1)
【文献】特開昭59-211451(JP,A)
【文献】特開2005-329215(JP,A)
【文献】特開2014-012069(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02684550(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/14
A61G 7/02
A61G 7/005
A61G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が位置する第1の表面より上で前記患者を支持するための患者支持装置であって、
前記患者が位置する第1の表面に隣接する位置まで水平移動可能な支持フレーム
記支持フレームに対して外方に延びる支持部分であり、前記支持部分は前記第1の表面上に置くことができ、前記患者が前記第1の表面より上の前記支持部分上で保持されるように前記患者が前記支持部分上まで動かされるのを可能にし、前記支持部分は、座位の前記患者を支持するように構成され、前記支持部分は手すりを含み、前記手すりは、第1の平面、及び、前記第1の平面に対して横断方向の第2の平面において移動可能であり、前記支持部分は背もたれ部分を含み、前記背もたれ部分は、第1の端部において前記支持部分に結合され、さらに、自由端を含み、前記自由端は、前記患者の背中の周囲で引っ張られ、前記支持部分に取り付けられて、前記座位の患者を前記支持部分上で固定するように構成され、前記支持部分は、用便を容易にするために開口部を含む、支持部分、及び
前記支持部分上で保持された前記患者からデトリタスを受けるように配置されるベッドパン部分であり、前記開口部の下の第1の位置と、排泄物の廃棄を容易にするための第2の位置との間で動かすことができるベッドパン部分、
を含、患者支持装置。
【請求項2】
前記支持部分は、前記支持フレームに対して外方に延びる脚部を含み、前記脚部は、前記第1の表面より上で前記患者を支持するための第1の主要表面、及び、前記装置に対するベッド受け空洞の境界を形成するために、前記第1の表面に隣接して位置することになる第2の主要表面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持フレームは、前記装置に対する基部を形成し且つ前記ベッド受け空洞の境界を形成するベース部材を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持フレームは、前記装置が、前記患者が位置する第1の表面に隣接する位置まで水平に動かされるのを可能にするために複数のキャスターを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記装置が、前記患者が位置する第1の表面に隣接する位置まで水平に動かされるのを可能にするために複数のホイールを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記支持部分は、前記支持部分によって保持されるときに座位の前記患者を支持するように配置される座面部分を含む、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記手すりは、前記第1の平面及び前記第2の平面における移動を可能にするために、前記支持部分にヒンジで連結されている、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記手すりの移動は、制御システムからのユーザ入力に応答して電気的に作動される、請求項又は請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記支持部分の高さは調整可能である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記支持部分の高さ調整は電気的に制御される、請求項に記載の装置。
【請求項11】
御システム、前記支持部分の高さが安全閾値を超えることに応答して警報を生成するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記支持部分の高さが安全閾値を超えたことを示すために可視指示部分を含む、請求項10乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ベッドパン部分は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で摺動可能に移動可能である、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者支持装置に関する。本発明はまた、患者用便装置又は患者搬送装置に関してもよい。
【背景技術】
【0002】
特定の一時的状態にある患者及び特定の永久的な状態にある患者には、多くの日常生活の面で支援を必要とするような期間、寝たきりになり得る可能性がある。厄介であり得る作業の一例は、用便である。
【0003】
用便は、患者をトイレに連れて行くことによって、又は、椅子型室内便器を使用することによって行われることが多い。一部の患者には、使い捨ておむつが装着されてもよく、又は、患者が用便するベッドパンまで手動で持ち上げられる。
【0004】
これらの方法で用便する患者は、たくさんの人手を要する(少なくとも2人の看護師が立ち会う必要があることが多く)、患者にとって威厳を奪う行為であるため、医療スタッフにとって厄介であり得ることが多い。
【0005】
上記のことを念頭に置いて、態様及び実施形態を考案した。
【発明の概要】
【0006】
複数の態様が、患者支持装置に関する。さらなる態様がまた、患者用便装置又は患者搬送装置に関してもよい。
【0007】
第1の態様から見て、第1の表面より上で患者を支持するための患者支持装置が提供され、当該装置は、第2の表面を横切って第1の表面に隣接する位置まで移動可能な支持フレームと、支持フレームに対して外方に延びる支持部分であり、第1の表面上に置くことができ、患者が第1の表面より上の支持部分上で保持されるように患者が支持部分上まで動かされるのを可能にする、支持部分とを含む。
【0008】
第1の表面は、例えば病院のベッド等のベッドであってもよい。第2の表面は、例えば病院の床等の床であってもよい。支持部分は、支持位置に患者を置くために使用されている場合に、第1の表面と接触させてもよい。
【0009】
患者支持装置はまた、患者用便装置又は患者搬送装置であってもよい。
【0010】
支持部分は、収容位置から、患者を支持するために使用することができる展開位置まで移動可能であり得る。
【0011】
第1の態様による患者支持装置は、患者が横たわっている表面に隣接する位置まで動かすことができる。そのような表面の一例は、寝たきりの患者が横たわっていることがある病院のベッドである。次に、支持部分を表面上に配置することができ、次に、患者を持ち上げる必要なく、患者を支持部分上まで動かすことができる。すなわち、患者を支持部分の上まで回転させることができ、これは、立ち会っている医療従事者にとってより激しさの少ない運動である。
【0012】
支持部分上で固定されると、患者は、次に、例えば、用便するか若しくは洗浄される、又は、患者支持装置によって他の場所に搬送され得る。
【0013】
第1の態様による装置は、例えば、用便、洗浄、又は搬送のために所定の位置において支持される必要があるときに、搬送用車椅子又は室内便器等の別の構造体の上に寝たきりの患者を持ち上げるためにホイストを使用する必要性を取り除く。
【0014】
第1の態様による装置は、例えばベッド等の表面より上の吊るされた位置において患者が支持されるのを可能にし、ベッドは、例えば、ベッドパン等が適切に置かれるのを可能にするために下げられる。
【0015】
装置の支持フレームを、ベッド等の表面と並んで配置することができ、ここで、脚と呼ばれ得るフレームの一部は、装置に対する安定性を提供するためにベッドの下に延びる。
【0016】
第1の態様による装置は、患者が仰臥位又は腹臥位で横たわっている場合に使用することができる。
【0017】
支持部分は、支持フレームに対して外方に延びる脚部(a limb)を含んでもよく、脚部は、第1の表面より上で患者を支持するための第1の主要表面、及び、装置に対するベッド受け空洞の境界を形成するために、第1の表面に隣接して位置することになる第2の主要表面を含んでもよい。
【0018】
ベッド受け空洞は、患者がベッドから降ろされるときにベッドを収容する空間を画定する。支持部分は、ベッドの上に配置することができるように、ベッドのフットプリント(footprint)の少なくとも一部を越えて延びることになる。
【0019】
第1の主要表面は、支持部分による支持の間に患者を支持するための座面部分を形成することができ、第2の主要表面は、支持部分の下側であり、患者が支持部分の上まで動かされているときに第1の表面上で効果的に静止する。
【0020】
支持フレームは、装置に対する基部を形成することができ且つベッド受け空洞の境界を形成するベース部材を含んでもよい。ベース部材は、2つの縦材から形成することができ、2つの縦材は、その間の横材によって連結される。
【0021】
ベース部材は脚を含んでもよく、これらの脚は、支持部分が第1の表面のフットプリントの上に延びているときに患者が支持部分の上まで移される位置に装置が動かされる場合に、第1の表面の下に延びるように構成される。
【0022】
支持フレームは、第2の表面を横切って第1の表面に隣接する位置まで装置が動かされるのを可能にするために複数のキャスター又はホイールを含んでもよい。
【0023】
ホイール又はキャスターの使用は、患者支持装置の操縦性に寄与する。すなわち、患者支持装置の支持フレームのベース部分の上に置くことができるホイール又はキャスターの使用は、患者支持装置がより容易に動かされる及び配置されるのを可能にする。
【0024】
支持部分は、座位の患者を支持するように構成されてもよい。
【0025】
支持部分は、支持部分によって保持されているときに座位の患者を支持するように配置される座面部分を含んでもよい。この効果は、腹臥位又は仰臥位よりも快適な座位で患者が支持されることである。
【0026】
支持部分は、手すりを含んでもよい。手すりは、患者が装置上で支持されているときに、患者に対する支持を提供する。
【0027】
手すりは、支持フレームから延びて支持部分の一部を形成するブーム又はジブを含んでもよい。
【0028】
手すりは、支持フレームから支持部分に実質的に平行な方向に延びてもよい。
【0029】
手すりは、支持フレームに近接する第1の端部から、支持フレームに対して遠位の第2の端部をまわって外方に延びるc形状を形成する屈曲部を含んでもよい。
【0030】
手すりは第1の直線部材から形成することができ、第1の直線部材は、支持フレームに対して外方に屈曲部まで延び、屈曲部は、次に、座面部分に向かって屈曲し、第2の直線部材まで続き、第2の直線部材は、屈曲部から支持フレームまで戻るように延びる。
【0031】
手すりは、装置上で支持されている患者の快適性を高めるために、長手方向に沿って配置されるクッション部を含んでもよい。
【0032】
座面部分は、異なるサイズの患者を支持するために、引き離され且つくっつけられるように配置される第1及び第2の個別部品を含んでもよい。
【0033】
座面部分の第1の部分を、第1の方向においてブーム又はジブに沿って摺動するように配置された第1のスライダに取り付けることができる。座面部分の第2の部分を、第1の方向とは反対の第2の方向においてブーム又はジブに沿って摺動するように配置された第2のスライダに取り付けることができる。第1の方向においてブーム又はジブに沿って第1のスライダを押す(又は引く)ことによって、及び、第2の方向においてブーム又はジブに沿って第2のスライダを押す(又は引く)ことによって、第2の部分及び第1の部分をくっつけるか又は引き離すことができる。使用中、第1の部分と第2の部分との間に隙間を維持して、用便を容易にすることができる。
【0034】
手すりは、第1の平面、及び、第1の平面に対して横断方向の第2の平面において移動可能であってもよい。これは、第1の表面がベッドである例を使用して、最も良く例示することができる。第1の平面は、ベッドの縦軸に対して横断方向であってもよく、すなわち、患者にまたがっていてもよく、第2の平面は、ベッドの縦軸の方向において延びてもよい。
【0035】
手すりは、第1の平面及び/又は第2の平面における移動を可能にするために、支持部分にヒンジで連結されてもよい。
【0036】
手すりの移動は、制御システムからのユーザ入力に応答して電気的に作動されてもよい。すなわち、手すりの移動は、第1の平面における移動を制御することができるボタンと、第2の平面における移動を制御するボタンとを使用して、第1の平面と第2の平面の両方における手すりの移動を指示するユーザによって制御することができる。
【0037】
支持部分は背もたれ部分を含んでもよく、背もたれ部分は、第1の端部において支持部分に結合されてもよく、さらに、自由端を含んでもよく、自由端は、患者の背中の周囲で引っ張られ、支持部分又は手すりに取り付けられて、座位の患者を支持部分上で固定するように構成される。
【0038】
支持部分が装置上の患者を支持するために使用されているときに複数の張力を実現するために、背もたれ部分が手すりの支持部分に取り付けられる位置を、複数の異なる位置の間で調整することができる。
【0039】
支持部分の高さは調整可能であってもよく、これは、支持部分の高さを上下方向に増加させて支持部分を第1の表面と合わせるためにユーザから入力を受ける制御システムを使用して、電子的に実施することができる。
【0040】
制御システムは、支持部分の高さが安全閾値を超えることに応答して警報を生成するように構成されてもよい。
【0041】
当該装置は、支持部分の高さが安全閾値を超えたことを示すために可視指示部分を含んでもよい。可視指示部分は、装置が安全であると決定される閾値を支持部分の高さが超えたことを示す、支持フレーム又は支持部分上の着色部分であってもよい。
【0042】
支持部分は、用便を容易にするための開口部を含んでもよい。開口部は、座位の患者を支持する座面部分に形成されてもよい。
【0043】
当該装置は、支持部分上で保持された患者から排泄物を受けるように配置されるベッドパン部分をさらに含んでもよい。排泄物は、典型的には、糞便又は尿を意味するが、ヒトによって排泄されるいずれのものであってもよい。
【0044】
ベッドパン部分は、開口部の下の第1の位置と、排泄物の廃棄を容易にするための第2の位置との間で移動可能であってもよい。ベッドパン部分は、第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に移動可能であってもよい。
【0045】
摺動可能な移動は、患者支持装置のフレームに取り付けられたローラ上に取り付けられる一対のフレーム部材を使用して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の一実施形態が、次に、単なる例として、以下の図面を参照して記載される。
図1】一実施形態による患者支持装置を例示した図である。
図2a】患者に用便させるための一実施形態による患者支持装置の使用を例示した図である。
図2b】患者に用便させるための一実施形態による患者支持装置の使用を例示した図である。
図2c】患者に用便させるための一実施形態による患者支持装置の使用を例示した図である。
図2d】患者に用便させるための一実施形態による患者支持装置の使用を例示した図である。
図2e】患者に用便させるための一実施形態による患者支持装置の使用を例示した図である。
図2f】患者に用便させるための一実施形態による患者支持装置の使用を例示した図である。
図2g】患者に用便させるための一実施形態による患者支持装置の使用を例示した図である。
図2h】一実施形態による、患者がベッドから患者支持装置上に移されているときの患者の位置を概略的に例示した図である。
図3】一実施形態による、ブーム又はジブを含む患者支持装置を例示した図である。
図4】一実施形態による、支持部分の高さが安全である患者支持装置を例示した図である。
図5】一実施形態による、支持部分の高さが安全でない患者支持装置を例示した図である。
図6】患者を搬送するために使用されている患者支持装置を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、図1を参照して、一実施形態による患者支持装置100が例示される。
【0048】
患者支持装置100は、支持フレーム106のベース部分104の各コーナーに置かれた複数のキャスター102を含む。ベース部分104は、第1の縦材108a及び第2の縦材108b、並びに第1の縦材108aと第2の縦材108bとの間に延びる横材110を含む。
【0049】
第1の縦材108a及び第2の縦材108bは、支持フレーム106に対する脚を効果的に形成する。脚は、図2aから2hにおいて例示されているように、患者を支持するために使用されているときに、患者支持装置がベッドのフットプリントを越えて延びるのを可能にし、支持フレーム106にバランスも提供する。支持フレーム106は、横材110、並びに第1の縦材108a及び第2の縦材108bに対して上方に延びる第1の直立部材112a及び第2の直立部材112bをさらに含む。
【0050】
手すり114が、第1のヒンジ及び第2のヒンジ(図示せず)を使用して第1の端部において第2の直立部材112bに結合され、これによって、2つの平面における手すり114の移動が可能になる。手すり114は、第1の端部116から第2の端部118までU字型に第2の直立部材112bに対して外方に延びている。手すり114の移動については、後で記載されることになる。
【0051】
第1のハンドル140a及び第2のハンドル140bが、それぞれ第1の直立部材112a及び第2の直立部材112bに対して外方に延び、医療従事者が患者支持装置100を快適且つ人間工学的に操作するのを可能にしている。或いは、単一のハンドルが、第1の直立部材112aと第2の直立部材112bとの間に延びてもよい。
【0052】
背もたれ120が、手すり114の第2の端部118に結合されている。図1において、背もたれ120は、手すり114の第2の端部118に対して垂れ下がっているように描かれているが、そのさらなる機能については、後で記載されることになる。
【0053】
複数のキャスター102は、患者支持装置100が患者なしで使用されている又は支持部分126上に患者を有して使用されているときに、患者支持装置100の広範囲の動きが実現されるのを可能にする。
【0054】
ベース部分104と、それぞれ第1の直立部材112a及び第2の直立部材112bの頂部との間の中間位置に、患者支持部分126が提供される。
【0055】
患者支持部分126は、患者が装置100上で支持されているときに座位の患者を支持するために、第1の支持部材128及び第2の支持部材130上で座面部分132まで外方に延びている。さらに、第1の曲がった部分144a及び第2の曲がった部分144bが、患者支持部分126にさらなる機械的支持を提供する。患者支持部分126は、収容位置と展開位置との間で移動可能であってもよく、展開位置において、患者支持部分126は、患者を支持するために使用することができる。
【0056】
座面部分132は、用便をしているときに患者からの排泄物の除去を可能にするために用便開口部134を含む。排泄物には、尿及び糞便等の一般的なヒトの排泄物が含まれる。座面部分132の真下に配置されているのはベッドパン136であり、ベッドパン136は、ベッドパンが用便位置と回収位置との間で摺動して出入りするのを可能にするために第1のレール138a及び第2のレール138bの上に取り付けられ、これについても、後で記載されることになる。疑義を避けるために、用便位置において、ベッドパン136は、座面部分132の真下に置かれることになり、回収位置において、ベッドパンは、立ち会っている医療従事者が容易にアクセスできるように、装置の一般プロファイル(general profile)の外側に位置することになる。
【0057】
第1のレール138a及び第2のレール138bは、それぞれの直立部材112a及び112bの最も内側の表面に取り付けられた車輪に取り付けられてもよい。第1のレール138a及び第2のレール138bは、医療従事者による使用を容易にするためにハンドル146によって結合されている。
【0058】
次に、図2aから2gを参照して、寝たきりの患者200が用便する際の患者支持装置100の使用について記載する。
【0059】
図2aは、患者200が横たわっているベッド202の横まで患者支持装置100が動かされている状態を例示している。患者支持装置100は、典型的には、患者支持装置100を所定の位置まで操縦するための第1のハンドル140a及び第2のハンドル140bを使用して医療従事者206によって動かされる。
【0060】
座面部分132の高さは、電気式アクチュエータを使用して電気的にベッド202の上面に合わせられ、この電気式アクチュエータは、装置100に取り付けられた制御システムを介してユーザ入力に応答して座面部分132の高さを上げ下げするために使用することができる。
【0061】
座面部分132の高さは、図3、4、及び5を参照して記載される電気モータ及びアクチュエータと同一の作動を使用して電子的に調整することができる。
【0062】
或いは、座面部分132がベッド202の上面で静止するのを可能にすることになる高さにベッド202の上面がくるようにベッド202の高さを調整することによって、座面部分132の高さをベッド202の上面と合わせることができる。
【0063】
手すり114は、方向B、すなわちベッド202の縦軸に垂直な平面において、及び、方向A、すなわちベッド202の縦軸に平行な平面において動かすことによって、所定の位置につく。すなわち、患者がベッドに沿って横たわっている典型的な使用例では、仰臥位又は腹臥位でベッドに横たわっているときの、方向Bは患者200を横切る方向であり、方向Aは患者200に沿った方向である。手すり114の移動は、第1のヒンジ及び第2のヒンジに結合された電気式アクチュエータによって制御することもでき、電気式アクチュエータは、制御パネル上でのユーザ入力に応答して手すり114の移動を制御する。
【0064】
座面部分132の底面と第1の縦材108a及び第2の縦材108bとの間の領域は、ベッド受け空洞204である。ベッド受け空洞204は、患者支持装置100がベッド202の下側の領域を収容する場所である。
【0065】
これは、図2bにおいて見られるように、座面部分132がベッドの上に置かれるのを可能にするために必要であり、これが発生するのを可能にするために、装置100は、座面部分132をベッド202の上面に置くことができるようにベッド202のフットプリントの一部を収容する必要がある。すなわち、ベッド受け空洞204は、座面部分132の底面と、患者支持装置100のベース部分104を形成する縦材108a及び108bとの間に画定される。ベッド受け空洞204はベッドの下側の領域を収容し、これは、座面部分132がベッド202の上に置かれるのを可能にするために必要である。第1の縦材108a及び第2の縦材108bは、ベッド202の下に延びて患者支持装置100に対して安定した基部を提供する脚を形成する。別の例において、ベッド202は、座面部分132及び/又はベッド202の高さに対して関連する調整がなされる前に、座面部分132と縦材108a及び108bとの間の空間に押し込まれてもよい。
【0066】
手すり114は、座位をとったときに患者200が手すり114を掴むのを可能にするような位置に置かれる。
【0067】
座面部分132がベッド202の上に置かれるときに、座面部分がベッド202のフットプリントの一部を越えて延びる適切な位置にくるまで、患者200は、医療従事者206によって邪魔にならないように横向きにされる。これは、座面部分132がベッド202の上面に置かれる図2bから明らかである。すなわち、医療従事者206は、装置100を使用する場合に、装置100を適切に配置するために、邪魔にならないように患者200を横向きにすることだけを必要とする。持ち上げる必要はなく、ホイストは不要である。従って、これは、医療従事者206にとってより容易であり、患者200にとってより威厳のある行為となる。
【0068】
次に、図2cにおいて見ることができるように、患者200は、医療従事者206によって仰臥位まで戻される。患者200の臀部は、座面部分132の上で静止する。
【0069】
用便をする例では、患者が装置100上の所定の位置に固定されている間、ベッドパン136は邪魔にならないようにどかされる。しかし、他の例では、装置100が用便をするために使用されない場合、ベッドパン136は存在せず、完全に取り外すことができる。
【0070】
次に、医療従事者206は、ベッド202を操作して患者200の背中を持ち上げることができるため、患者200はもはや仰臥位ではない。これによって、患者200は、座面部分132上の座位まで動かされる。これは、図2dにおいて例示されている。
【0071】
病院環境における多くのベッドは、患者を仰臥位と座位との間で動かすことができるように電子的な調整機構を有している。或いは、電子的に調整可能なベッドがない状態で患者200が座位まで持ち上げられるように、医療従事者206が患者200の背中を持ち上げてもよい。
【0072】
座位の患者200を支持することは、患者にとってより快適であり、患者がその環境において視界を保持するのを可能にし、これは、患者をホイスト内に寄せてベッドから持ち上げることよりも苦痛を実質的に少なくする。
【0073】
次に、背もたれ120が、患者支持装置100上の所定の位置において患者200を保つために、第2の直立部材112bまで引っ張られて取り付けられる。これは、図2eにおいて例示されている。次に、患者200を座位でベッド202よりも上で支持することができ、これは、患者の快適さ及び幸福感を改善することになる。
【0074】
次に、図2fにおいて例示されているように、患者は、手すり114を握りながら、座位で座面部分132上の安定した位置で保たれる。この位置において、患者は座面部分132に座らされ、その間、患者200の下からベッド202を下げて、患者200の脚が座面部分132からぶら下がっている位置に患者200を置くことができる。或いは、座面部分132の高さを電気的に調整して座面部分132の高さを上昇させ、患者をベッドから離して患者の脚がぶら下がるようにしてもよい。
【0075】
次に、用便が行われるように、ベッドパン部分136を用便開口部134の下に摺動させることができる。これは、図2gにおいて例示されている。用便が終了した後で、ベッドパン部分136を用便開口部134の下から動かし、ベッドパン部分136の内容物、すなわち糞便又は尿を他の場所で処理することができるように、ベッドパン部分を取り除くことができる。
【0076】
次に、患者200を、ベッド202上で仰臥位にリセットすることができ、装置100を、他の場所で使用するために離すことができる。
【0077】
或いは、患者支持装置100は、ベッド202から独立して座位の患者を支持しているため、用便が行われていない場合でさえも、患者をベッド202から連れ出し、あちこち移動させることができる。
【0078】
すなわち、ホイスト、車椅子、又は室内便器を使用することなく、患者200は、用便することができ、ベッド202から離れるように搬送することができる。これは、用便過程中の患者の威厳を高め、患者200の用便又は搬送中の医療従事者206による患者200の重い持ち上げの必要性も回避する。
【0079】
図2aから2gにおいて詳述されているステップは、図2hにおいて概略的にうまく要約されており、患者200のプロファイルが明確である。すなわち、装置100を使用して患者は腹臥位又は仰臥位から座位まで動かされることが明らかである。
【0080】
位置Aでは、装置100がベッド202の横まで運ばれている間、患者200は実質的に仰臥位で横たわっている。
【0081】
位置Bでは、患者200を座面部分132上まで回転させることができるように、支持部分126がベッドの上で静止できるようにベッド202は上昇する。
【0082】
位置Cでは、ベッド202におけるランバー機構を使用して、患者200を座面部分132上での座位まで起こすことができる。
【0083】
位置Dでは、ベッド202を下げることができ、患者はここで、装置100によって支持されている。
【0084】
次に、図3を参照して、異なる構成の支持部分を含むが、図1及び図2aから2hに関して記載される患者支持装置100と同じ方法で同様に使用することができる患者支持装置100を記載する。
【0085】
図3において記載されている患者支持装置100は、図1及び図2aから2hに関して記載される背もたれ120及びベース部分と同じように構成された背もたれ120とベース部分104とを含む。
【0086】
背もたれ120は、患者200がベッド202から装置100に移されているときに、患者200の背中の周りに引っ張られる。背もたれ120は、第2の直立部材112bから外方に延びるジブ(又はブーム)300に第1の端部において結合される。
【0087】
第2の端部において背もたれ120は、第2の直立部材112bに対して突き出る突起306上に固定され得る複数の孔304を背もたれの長手方向に沿って含む。複数の孔304は、用便又は搬送中に患者200を支持するために背もたれ120が使用されているときに、背もたれ120で種々の張力が実現されるのを可能にする。
【0088】
医療従事者206によって装置100が動かされるのを可能にするために、プッシュハンドル308を設けることもできる。
【0089】
第1の直立部材112b及び第2の直立部材112bは各々、上部310a及び下部310bを含み、上部310aは、下部310bよりも直径が大きく、下部310bは、支持プラットフォーム312の高さ調整中に上部310aが下部310bの上を動くに従い、上部310a内に摺動可能に受けられる。支持プラットフォーム312は、第1の支持プラットフォーム部314a及び第2の支持プラットフォーム部314bによって形成される。上部及び下部は、一般的に管状であるが、円筒形状に限定されるものではない。
【0090】
支持プラットフォーム312は、上部310aに機械的に取り付けられており、支持プラットフォーム312の高さ調整は、上部310aの内側にある電気モータ及びアクチュエータによって制御されて、それぞれの上部310aの上下方向の動きを駆動する。それぞれの上部310aの上下方向の動きは、制御パネル上のユーザ入力に応答して制御することができる。当業者に対するいかなる不当な負担もなく、上部310aの相対的な高さにおける調整は、支持部分126の高さにおける調整にも適用することができるため、支持プラットフォーム312の高さ調整は、支持部分126にも適用することができる。
【0091】
下部310bは、上端において着色部316を有してもよく、これは、危険を示すために赤色に塗られてもよく、高さが安全な高さを超えたときを視覚的に示す。上部310aは、その最下点の近く、すなわち、効果を発揮するのに十分に近い位置にスイッチ318を有してもよく、スイッチ318は、高さが安全な高さを超えたときにトリガされる。スイッチ318のトリガは、可聴警報、視覚警報、又は触覚警報を生成して、安全な高さを超えたことを示してもよい。
【0092】
警報の生成は、図4及び図5を参照して例示される。
【0093】
図4において、上部310aは、着色部316を含む下部310bの一部を上部310aの内部チャンバ324の内側に有している。内部チャンバ324は、内部チャンバ324の周囲に延びる内壁320を有する。内壁は、ある部分の周囲で狭くなっており、この部分は、スイッチ318と縦方向に整列する。スイッチ318は、着色部316の最下部に配置されている。スイッチ318は警報生成回路326に結合され、警報生成回路326は、安全ではない高さまで、すなわち、着色部316を露出させる高さまでの上方への上部310aの移動によるスイッチの移動によって、制御システム328まで警報信号を送り返すように構成されている。
【0094】
図5は、警報の生成につながる下部310b及び上部310aの相対位置を例示している。すなわち、上部310aが、着色部316を露出させる高さまで上方に動かされるとき、スイッチ318は、警報信号が制御システム328に送信され、次に警報が生成されるのにつながる位置まで動かされる。警報信号は、従来の銅配線を使用して又はワイヤレスで送信されてもよい。内壁320の狭くなった部分がスイッチを押す効果を引き起こし、スイッチを、着色部316が露出されたときに警報が生成される位置に動かすように、スイッチ318の移動が、内壁320の狭くなった部分によって引き起こされる。一部の構成において、制御システム328は、この時点で高さ調整を停止させるが、他の構成において、上部310aの高さ(及び、その後の支持部分126又は支持プラットフォーム312の高さ)が、安全レベルとみなされるものを超えるという警告として、警報はずっと続くことになる。
【0095】
次に、再度図3を参照してジブ302が記載される。
【0096】
ジブ302は、第1の直線部340a及び第2の直線部340bを含み、これらはそれぞれ、鋼等の適した材料から形成されてもよい。これらはまた、患者が装置100上で支持されているときに患者の快適さを改善するために、クッション部分で覆われてもよい。第1の直線部340aは、第2の直立部材112bに対して外方に屈曲部342まで延び、ここで、ジブ302は、第2の直線部340bまで曲がり、第2の直線部340bは第2の直立部材112bに向かって戻るように延びる。
【0097】
図3において例示されているように、第1の支持プラットフォーム部314aは直立部344を含み、直立部344は、第1の支持プラットフォーム部314aからスライダ部分346まで延び、スライダ部分346は、第1の直線部340a及び第2の直線部340bに沿って摺動して、矢印Cによって例示されているように、第1の支持プラットフォーム部314aが第2の支持プラットフォーム部314bに向かって動かされるのを可能にするように配置される。同様に、第2の支持プラットフォーム部314bも第1の直線部340a及び第2の直線部340bに摺動可能に結合させて、第2の支持プラットフォーム部314bが、第1の支持プラットフォーム部314aに向かって動かされるのを可能にすることができる。
【0098】
第1の支持プラットフォーム部314a及び第2の支持プラットフォーム部314bは、それらの間に隙間が存在して用便を容易にするように動かすことができる。患者支持装置300上で支持された患者600が、図6において例示されている。明らかなように、患者は、足602がぶら下がっている状態で、支持プラットフォーム312上で座位にある。この位置において、患者600は、威厳を奪うホイスト又は室内便器の使用を必要とせずに、快適に搬送又は用便することができる。
【0099】
本明細書において記載される患者支持装置は、ある表面より上で座位の患者を支持することができる装置を提供する。患者は、ホイストを必要とせずに、装置上で支持されている間に搬送又は用便することができる。
【0100】
上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであること、及び、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定められている本発明の範囲から逸脱することなく、多くの代替の実施形態を設計することができるということに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧内に置かれたいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈してはならない。「含んでいる」及び「含む」等の単語は、いずれかの請求項又は明細書全体に列挙されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。本明細書において、「~を含む」は、「~を有する又は~から成る」を意味し、「~を含んでいる」は、「~を有している又は~から成っている」を意味する。要素の単数形の言及は、そのような要素の複数形の言及を除外するものではなく、その逆もまた同様である。特定の手段が相互に異なる従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを、利益をもたらすよう使用することができないと示しているわけではない。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図3
図4
図5
図6