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▶ スミス アンド ネフュー ピーエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】センサ一体型被覆材及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20240101AFI20240729BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61F13/02 390
A61F13/02 A
A61F13/02 D
A61F13/02 310M
A61B5/00 102A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021542112
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020052111
(87)【国際公開番号】W WO2020157103
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】1901264.0
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1905696.9
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴワンズ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハートウェル、エドワード イェルヴェリー
(72)【発明者】
【氏名】ハント、アラン、ケニス、フレイザー、グルージオン
(72)【発明者】
【氏名】パーティントン、リー、イアン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、マルカス、ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】クインタナー、フェリックス、クラレンス
(72)【発明者】
【氏名】ステワード、ダニエル、リー
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン、シャーロット、ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルドレーク、エイミー、ニコル
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】カナダ国特許出願公開第03059516(CA,A1)
【文献】特表2016-511047(JP,A)
【文献】特開2016-083576(JP,A)
【文献】特開2017-083200(JP,A)
【文献】特開2017-221760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/02
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷被覆材を製造する方法であって、
実質的に可撓性の基材のうち創傷に面する第1の側を非伸縮性の第1のコーティングでコーティングするステップであって、前記基材が、前記第1の側に対向する第2の側を含み、前記基材の前記第1の側が、複数の電子構成要素を支持し、前記第1のコーティングが、複数の前記電子構成要素の少なくともいくつかに適用される、ステップと、
前記第1の側を第2のコーティングでコーティングするステップであって、前記第2のコーティングが、前記第1のコーティングの上に適用される、ステップと、
前記第1の側に、前記第2のコーティングと接触して、創傷接触層を接着するステップであって、前記創傷接触層が、創傷に接触するように構成されている、ステップと、
前記創傷接触層、ならびに前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を穿孔して、前記創傷接触層、ならびに前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を通る複数の貫通孔を作成するステップであって、複数の前記貫通孔が、前記創傷接触層及び前記基材を通る流体の通過を容易にするように構成される、ステップと、
前記創傷接触層に保護層を接着するステップであって、前記保護層が、除去されて前記創傷接触層を露出させるように構成されている、ステップと、
ウィッキング層を前記基材の前記第2の側に接着するステップであって、前記ウィッキング層が、流体の通過を容易にするように構成されている、ステップと、
前記創傷接触層が前記第2のコーティングに接着されたときに複数の前記電子構成要素を支持する前記基材のエリア上に、前記創傷接触層の孔を位置付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
創傷被覆材を製造する方法であって、
実質的に可撓性の基材のうち創傷に面する第1の側を非伸縮性の第1のコーティングでコーティングするステップであって、前記基材が、前記第1の側に対向する第2の側を含み、前記基材の前記第1の側が、複数の電子構成要素を支持し、前記第1のコーティングが、複数の前記電子構成要素の少なくともいくつかに適用される、ステップと、
前記第1の側を第2のコーティングでコーティングするステップであって、前記第2のコーティングが、前記第1のコーティングの上に適用される、ステップと、
前記第1の側に、前記第2のコーティングと接触して、創傷接触層を接着するステップであって、前記創傷接触層が、創傷に接触するように構成されている、ステップと、
前記創傷接触層、ならびに前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を穿孔して、前記創傷接触層、ならびに前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を通る複数の貫通孔を作成するステップであって、複数の前記貫通孔が、前記創傷接触層及び前記基材を通る流体の通過を容易にするように構成される、ステップと、
前記創傷接触層に保護層を接着するステップであって、前記保護層が、除去されて前記創傷接触層を露出させるように構成されている、ステップと、
ウィッキング層を前記基材の前記第2の側に接着するステップであって、前記ウィッキング層が、流体の通過を容易にするように構成されている、ステップと、
を備え、
前記創傷接触層及び前記基材が、複数の前記貫通孔の穿孔中に治具によって支持され、前記治具が、複数の前記電子構成要素に対応する前記基材のエリアと位置合わせする支持支柱を含む、方法。
【請求項3】
前記ウィッキング層を前記基材の前記第2の側に接着する前に、前記第2の側を前記第2のコーティングまたは接着剤でコーティングするステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記創傷接触層及び前記基材を穿孔するステップが、複数の前記電子構成要素のレイアウトに対応するカスタム切断パターンを利用するステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記創傷接触層及び前記基材を穿孔するステップが、複数の実質的に円形の前記貫通孔を切断することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のコーティングが、前記基材の前記第1の側の実質的に面積全体を被覆する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ウィッキング層が、発泡体を含み、任意で、前記発泡体が、実質的に伸縮性である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分が、前記第2の部分の上に延在して、前記スリットを被覆している、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月24日出願の「SENSOR INTEGRATED DRESSINGS AND SYSTEMS」と題された英国特許仮出願第GB1905696.9号の優先権を主張し、また、2019年1月30日出願の「SENSOR INTEGRATED DRESSINGS AND SYSTEMS」と題された英国特許仮出願第GB1901264.0号の優先権を主張し、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、センサ一体型又はセンサ対応被覆材を用いた組織の監視及び/又は治療のための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医学のほぼすべての領域は、治療される組織、器官、又は系の状態に関する改善された情報から、特に、そのような情報が治療中にリアルタイムで収集される場合、利益を得ることができ、多くの種類の治療は、依然として、センサデータ収集の使用なしで日常的に実施されている。代わりに、そのような治療は、定量的センサデータではなく、介護者又は他の限定された手段による目視検査に依存している。例えば、被覆材を介した創傷治療及び/又は陰圧創傷療法の場合、データ収集は、概して、介護者による目視検査に限定され、多くの場合、下にある創傷組織は、被覆材又は他の視覚的障害によって不明瞭であり得る。無傷で、傷のない皮膚であっても、潰瘍につながり得る損傷した血管又はより深い組織の損傷などの、肉眼では不可視である、下にある損傷を有する場合がある。創傷治療と同様に、ギプス又は他の包囲体による体肢の固定を必要とする整形外科的治療の間、下にある組織上で限られた情報のみが収集される。骨プレートなどの内部組織修復の事例では、連続した直接センサ駆動データ収集は、実施されない。さらに、筋骨格機能を支持するために使用されるブレース及び/又はスリーブは、下にある筋肉の機能又は体肢の動きを監視しない。直接治療以外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッド及び毛布などの一般的な病室用品が改善され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、特に既存の治療レジメンに組み込まれ得るセンサ一体型基材の使用を通じた、改善されたセンサ監視に対する必要性が存在する。
【0005】
いくつかの場合、創傷被覆材を製造する方法は、実質的に可撓性の基材の第1の創傷に面する側を第1のコーティングでコーティングすることであって、基材が、第1の側の反対側の第2の側を含み、基材の第1の側が、複数の電子構成要素を支持し、第1のコーティングが、複数の電子構成要素の少なくともいくつかに適用される、コーティングすることと、第1の側を第2のコーティングでコーティングすることであって、第2のコーティングが、第1のコーティングの上に適用される、コーティングすることと、第1及び第2のコーティングでコーティングされた基材を穿孔して、第1及び第2のコーティングでコーティングされた基材を通して複数の貫通孔を作成することであって、複数の貫通孔が、基材を通る流体の通過を容易にするように構成されている、作成することと、保護層を基材に接着することであって、保護層が、除去されて基材の第1の側を露出させるように構成されている、接着することと、を含み得る。
【0006】
上記の段落の方法及び/又は本明細書に開示される方法のいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。方法は、基材の第2の側を第3のコーティングでコーティングすることをさらに含み得、第3のコーティングが、第2のコーティングと同じコーティングである。第1のコーティングが、実質的に非伸縮性のコーティングであり得る。第2のコーティングが、実質的に伸縮性のコーティングであり得る。基材が、複数の貫通孔の穿孔中に治具によって支持され得、治具が、複数の電子構成要素に対応する基材のエリアと位置合わせする支持支柱を含む。基材を穿孔することが、複数の電子構成要素のレイアウトに対応するカスタム切断パターンを利用することを含み得る。基材を穿孔することが、複数の実質的に円形の貫通孔を切断することを含み得る。基材を穿孔することが、貫通孔の大面積を切断することを含み得る。複数の電子構成要素が、創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み得、複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている。第2のコーティングが、基材の第1の側の実質的に面積全体を被覆し得る。第3のコーティングが、基材の第2の側の実質的に面積全体を被覆し得る。保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み得、第1の部分が、第2の部分の上に延在してスリットを被覆している。保護層が、ハンドルを含み得る。
【0007】
いくつかの場合、創傷被覆材は、複数の電子構成要素を支持する第1の創傷に面する側、及び第1の側の反対側の第2の側を有する実質的に可撓性の基材と、複数の電子構成要素の少なくともいくつかに適用された実質的に非伸縮性のコーティングと、基材の第1の側に適用された実質的に伸縮性のコーティングであって、伸縮性のコーティングが、実質的に非伸縮性のコーティングの上に適用されている、伸縮性のコーティングと、基材の第1の側に適用された保護層であって、保護層が、除去されて基材の第1の側を露出させるように構成されている、保護層と、を備え得る。
【0008】
いずれかの上記の段落の創傷被覆材及び/又は本明細書に開示される創傷被覆材のいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。被覆材は、伸縮性のコーティング及び基材を通して形成された複数の穿孔をさらに備え、複数の穿孔が、流体の通過を容易にするように構成されている。被覆材は、基材の第2の側に適用されたコーティングをさらに備え、コーティングが、実質的に疎水性材料を含む。コーティングが、基材の第1の側に適用された伸縮性のコーティングの材料と同じ材料を含み得る。コーティングが、基材の第1の側に適用された伸縮性のコーティングの材料とは異なる材料を含み得る。複数の穿孔が、基材の第2の側に適用されたコーティングを通してさらに形成され得る。複数の電子構成要素が、創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み得、複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている。伸縮性のコーティングが、基材の第1の側の実質的に面積全体を被覆し得る。保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み得、第1の部分が、第2の部分の上に延在してスリットを被覆している。
【0009】
いくつかの場合、キットは、いずれかの上記の段落の被覆材及び/又は本明細書に開示される被覆材のいずれかと、被覆材によって被覆された創傷に陰圧を供給するように構成された陰圧創傷療法デバイスと、を含み得る。
【0010】
いずれかの上記の段落のキット及び/又は本明細書に開示されるキットのいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。被覆材及び陰圧創傷療法デバイスは、滅菌され得る。キットは、被覆材上に位置付けられるように構成された二次被覆材をさらに備え得る。
【0011】
いくつかの場合、創傷被覆材を製造する方法は、実質的に可撓性の基材の第1の創傷に面する側を第1のコーティングでコーティングすることであって、基材が、第1の側の反対側の第2の側を含み、基材の第1の側が、複数の電子構成要素を支持し、第1のコーティングが、複数の電子構成要素の少なくともいくつかに適用される、コーティングすることと、第1の側を第2のコーティングでコーティングすることであって、第2のコーティングが、第1のコーティングの上に適用される、コーティングすることと、第1の側に、第2のコーティングと接触して、創傷接触層を接着することであって、創傷接触層が、創傷に接触するように構成されている、接着することと、創傷接触層、ならびに第1及び第2のコーティングでコーティングされた基材を穿孔して、創傷接触層、ならびに第1及び第2のコーティングでコーティングされた基材を通して複数の貫通孔を作成することであって、複数の貫通孔が、創傷接触層及び基材を通る流体の通過を容易にするように構成されている、作成することと、保護層を基材に接着することであって、保護層が、除去されて創傷接触層を露出させるように構成されている、接着することと、ウィッキング層を基材の第2の側に接着することであって、ウィッキング層が、流体の通過を容易にするように構成されている、接着することと、を含み得る。
【0012】
上記の段落の方法及び/又は本明細書に開示される方法のいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。第1のコーティングが、実質的に非伸縮性のコーティングであり得る。第2のコーティングが、実質的に伸縮性のコーティングであり得る。方法は、ウィッキング層を基材の第2の側に接着する前に、第2の側を第2のコーティングでコーティングすることをさらに含み得る。方法は、ウィッキング層を基材の第2の側に接着する前に、基材の第2の側に接着剤を適用して、ウィッキング層を接着することをさらに含み得る。方法は、ウィッキング層を基材の第2の側に接着する前に、基材の第2の側上のコーティングに接着剤を適用して、ウィッキング層を接着することをさらに含み得る。方法は、被覆材を紫外線光に曝露して、接着剤を硬化させることをさらに含み得る。基材、第1及び第2のコーティング、創傷接触層、ならびに保護層は、紫外線光が基材とウィッキング層との間の接着剤を透過して硬化することを可能にするように、透明、半透明、又は光学的に透明であり得る。方法は、創傷接触層が第2のコーティングに接着されたときに複数の電子構成要素を支持する基材のエリア上に、創傷接触層の孔を位置付けることをさらに含み得る。孔が、複数の電子構成要素の少なくとも1つの電子構成要素の円周又は外周よりもわずかに大きいものであり得る。創傷接触層及び基材が、複数の貫通孔の穿孔中に治具によって支持され得、治具が、複数の電子構成要素に対応する基材のエリアと位置合わせする支持支柱を含む。創傷接触層及び基材を穿孔することが、複数の電子構成要素のレイアウトに対応するカスタム切断パターンを利用することを含み得る。創傷接触層及び基材を穿孔することが、複数の実質的に円形の貫通孔を切断することを含み得る。創傷接触層及び基材を穿孔することが、大面積の貫通孔を切断することを含み得る。複数の電子構成要素が、創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み得、複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている。創傷接触層が、シリコンを含み得る。第2のコーティングが、基材の第1の側の実質的に面積全体を被覆し得る。ウィッキング層が、発泡体を含み得る。発泡体が、実質的に伸縮性であり得る。保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み得、第1の部分が、第2の部分の上に延在してスリットを被覆している。保護層が、ハンドルを含み得る。
【0013】
いくつかの場合、創傷被覆材は、複数の電子構成要素を支持する第1の創傷に面する側、及び第1の側の反対側の第2の側を有する実質的に可撓性の基材と、基材の第2の側と接触しているウィッキング層であって、ウィッキング層が、流体の通過を容易にするように構成されている、ウィッキング層と、複数の電子構成要素の少なくともいくつかに適用された実質的に非伸縮性のコーティングと、基材の第1の側に適用された実質的に伸縮性のコーティングであって、伸縮性のコーティングが、実質的に非伸縮性のコーティングの上に適用されている、伸縮性のコーティングと、伸縮性のコーティングと接触している創傷接触層であって、創傷接触層が、創傷に接着するように構成されている、創傷接触層と、創傷接触層に適用された保護層であって、保護層が、除去されて創傷接触層を露出させるように構成されている、保護層と、を含む。
【0014】
いずれかの上記の段落の創傷被覆材及び/又は本明細書に開示される創傷被覆材のいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。被覆材は、創傷接触層、伸縮性のコーティング、及び基材を通して形成された複数の穿孔をさらに含み得、複数の穿孔が、流体の通過を容易にするように構成されている。被覆材は、基材の第2の側に適用されたコーティングをさらに含み得、コーティングが、実質的に疎水性材料を含み得、ウィッキング層が、基材の第2の側に適用されたコーティングと接触し得る。コーティングが、基材の第1の側に適用された伸縮性のコーティングの材料と同じ材料を含み得る。コーティングが、基材の第1の側に適用された伸縮性のコーティングの材料とは異なる材料を含み得る。複数の穿孔が、基材の第2の側に適用されたコーティングを通してさらに形成され得る。複数の電子構成要素が、創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み得、複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている。
【0015】
いずれかの上記の段落の創傷被覆材及び/又は本明細書に開示される創傷被覆材のいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。創傷接触層が、シリコンを含み得る。伸縮性のコーティングが、基材の第1の側の実質的に面積全体を被覆し得る。ウィッキング層が、発泡体を含み得る。発泡体が、実質的に伸縮性であり得る。保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み得、第1の部分が、第2の部分の上に延在してスリットを被覆している。
【0016】
いくつかの場合、キットは、いずれかの上記の段落の被覆材及び/又は本明細書に開示される被覆材のいずれかと、被覆材によって被覆された創傷に陰圧を供給するように構成された陰圧創傷療法デバイスと、を含み得る。
【0017】
いずれかの上記の段落のキット及び/又は本明細書に開示されるキットのいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。被覆材及び陰圧創傷療法デバイスは、滅菌され得る。キットは、被覆材上に位置付けられるように構成された二次被覆材を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の実施形態は、単に例示として、添付図面を参照して、ここで以下に説明される。
【0019】
図1A図1Aは、電子構成要素を支持する基材の斜視図を例示する。
図1B図1Bは、電子構成要素を支持する穿孔された基材の斜視図及び上面図を例示する。
図1C図1Cは、電子構成要素を支持する穿孔された基材の斜視図及び上面図を例示する。
図2A図2Aは、創傷被覆材の断面を例示する。
図2B図2Bは、創傷被覆材の断面を例示する。
図3A図3Aは、電子構成要素を支持する穿孔された基材の斜視図及び上面図を例示する。
図3B図3Bは、電子構成要素を支持する穿孔された基材の斜視図及び上面図を例示する。
図4図4は、基材によって支持される基材又は構成要素を含む、被覆材の製造プロセスを例示するフローチャートを示す。
図5A図5Aは、登録マークを有する基材を例示する。
図5B図5Bは、登録マークを有する基材を例示する。
図6図6は、創傷接触層で被覆された基材の一部分を例示する。
図7A図7Aは、治具の複数の図を例示し、治具は、電子構成要素又は治具上の電子接続に対応する基材のエリアを載置する。
図7B図7Bは、治具の複数の図を例示し、治具は、電子構成要素又は治具上の電子接続に対応する基材のエリアを載置する。
図7C図7Cは、治具の複数の図を例示し、治具は、電子構成要素又は治具上の電子接続に対応する基材のエリアを載置する。
図7D図7Dは、治具の複数の図を例示し、治具は、電子構成要素又は治具上の電子接続に対応する基材のエリアを載置する。
図8図8は、基材に切り欠きエリアを有する基材を例示する。
図9図9は、図8に示される大きい切り欠きを有する基材に適用された、事前穿孔された創傷接触層を例示する。
図10図10は、ハンドルを含む送達材料を有する被覆材を例示する。
図11図11は、追加の被覆材層の適用のための接着剤を有する被覆材を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に開示される実施形態は、センサ対応基材を用いて生物学的組織を監視又は治療することのうちの少なくとも1つの装置及び方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織又は損傷の治療又は監視に限定されないが、代わりに、本明細書に開示されるセンサ対応技術は、センサ対応基材から利益を得ることができる任意のタイプの療法に広く適用可能である。いくつかの実施態様では、診断及び患者管理決定の両方を行うために、医療従事者によって信頼されるセンサ及びデータ収集を利用する。
【0021】
本明細書に開示される特定の実施形態は、無傷及び損傷したヒト又は動物組織の両方の治療に使用されるように構成された基材上に装着されたか、又は基材内に埋め込まれたセンサの使用に関する。そのようなセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、そのような情報を、さらなる治療に利用されるように、コンピューティングデバイス又は介護者に送信し得る。特定の場合、そのようなセンサは、関節炎、温度、又は問題を起こす傾向があり、監視を必要とする他のエリアを監視するためのエリアを含む、身体上の任意の場所の皮膚に取り付けられ得る。本明細書に開示されるセンサはまた、例えば、MRI又は他の技術を実施する前に、デバイスの存在を示すために、放射線不透過性マーカなどのマーカを組み込み得る。
【0022】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用され得る。本明細書に開示されるセンサの実施形態と共に使用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、パンツ、ズボン、ドレス、下着、外着、手袋、靴、帽子、及び他の好適な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣類に溶接又は積層され得る。センサ実施形態は、衣類上に直接印刷されてもよく、及び/又は布に埋め込まれてもよい。微多孔膜などの通気性及び印刷可能な材料も好適であり得る。
【0023】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝材又はベッドパッドに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特性などの患者特性を監視し得る。特定の実施形態では、そのようなセンサを含有する使い捨てフィルムは、病院用ベッドの上に配置され、必要に応じて除去/交換され得る。
【0024】
いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立運転するように、エネルギーハーベスティングを組み込み得る。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、又は任意の好適なエネルギー源から回収され得る。
【0025】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医学を含むリハビリテーションデバイス及び治療に利用され得る。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ブレース、スリーブ、ラップ、支持体、及び他の好適なアイテムに使用され得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、及び/又はパッドなどの、運動具に組み込まれ得る。例えば、そのようなセンサ実施形態は、脳振盪診断に有用であり得る、加速度などの特性を監視するために、保護ヘルメットに組み込まれ得る。
【0026】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科用デバイス、例えば、Smith&Nephew IncによるNAVIO外科システムと協働して使用され得る。いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科用デバイスの配置をガイドするために、そのような外科用デバイスと通信し得る。いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、潜在的な手術部位への、もしくはそこから離れる血流を監視するか、又は手術部位への血流がないことを確認し得る。さらなる外科用データが、瘢痕化の防止を支援し、罹患エリアから離れたエリアを監視するために収集され得る。
【0027】
外科技術をさらに支援するために、本明細書に開示されるセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、肉眼では即座に可視ではない場合があるドレープ下の組織に関する情報を提供し得る。例えば、センサ埋め込み可撓性ドレープは、改善されたエリアフォーカスデータ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有し得る。特定の実施態様では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界又は内部に組み込まれて、手術シアタを制限/制御するフェンシングを作成し得る。
【0028】
本明細書に開示されるセンサ実施形態はまた、術前評価のために利用され得る。例えば、そのようなセンサ実施形態は、可能性のある切開部位について皮膚及び下にある組織を監視することによるなどの、潜在的な手術部位についての情報を収集するために使用され得る。例えば、灌流レベル又は他の好適な特性は、個々の患者が外科的合併症のリスクにあるか否かを評価するために、皮膚の表面及び組織のより深部で監視され得る。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、微生物感染の存在を評価し、抗微生物剤の使用の指示を提供するために使用され得る。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、圧迫潰瘍損傷及び/又は脂肪組織レベルを識別するなどの、より深部の組織でさらなる情報を収集し得る。
【0029】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管監視に利用され得る。例えば、そのようなセンサ実施形態は、皮膚に対して配置され得る可撓性の心血管モニタに組み込まれて、心血管系の特徴を監視し、そのような情報を別のデバイス及び/又は介護者に伝達し得る。例えば、そのようなデバイスは、脈拍、血液の酸素化、及び/又は心臓の電気的活動を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気的活動を監視するなどの、神経生理学的用途に利用され得る。
【0030】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性インプラントを含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能なデバイスに組み込まれ得る。そのようなセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成され得る。いくつかの場合、内部ソースはまた、そのようなインプラントに電力を提供し得る。
【0031】
本明細書に開示されるセンサ実施形態はまた、筋肉中のラクトースの蓄積又は皮膚の表面上の汗の生成などの、皮膚の表面又は皮膚の表面下の生化学的活動を監視するために利用され得る。いくつかの場合、グルコース濃度、尿濃度、組織圧力、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚水和、皮膚浸軟、及び/又は皮膚の裂けなどの、他の特性が監視され得る。
【0032】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、及び喉(ENT)用途に組み込まれ得る。例えば、そのようなセンサ実施形態は、洞通路内の創傷監視などの、ENT関連手術からの回復を監視するために利用され得る。
【0033】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムを用いた封止などの、封止を伴うセンサ印刷技術を包含し得る。そのようなフィルムは、ポリウレタンなどの、本明細書に説明される任意のポリマーを使用して構築され得る。センサ実施形態の封止は、電子機器の防水、ならびに局所組織、局所流体、及び潜在的な損傷の他のソースからの保護を提供し得る。
【0034】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、器官保護層に組み込まれ得る。そのようなセンサ埋め込み器官保護層は、関心対象の器官を保護し、器官保護層が定位置にあり、保護を提供することを確認することの両方を行い得る。さらに、センサ組み込み器官保護層は、血流、酸素化、及び器官の健康の他の好適なマーカを監視することによるなどの、下にある器官を監視するために利用され得る。いくつかの場合、センサ対応器官保護層は、器官の脂肪及び筋肉の含量を監視することによるなどの、移植された器官を監視するために使用され得る。さらに、センサ対応器官保護層は、移植中、及び器官のリハビリテーション中などの移植後に、器官を監視するために使用され得る。
【0035】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下により詳細に開示される)の治療、又は様々な他の用途に組み込まれ得る。本明細書に開示されるセンサ実施形態に対する追加の用途の非限定的な例としては、無傷の皮膚の監視及び治療、血流の監視などの心血管用途、体肢運動及び骨修復の監視などの整形外科用途、電気インパルスの監視などの神経生理学的用途、ならびに改善されたセンサ対応監視から利益を得ることができる任意の他の組織、器官、系、又は条件が挙げられる。
【0036】
創傷療法
本明細書に開示されるいくつかのシステム及び方法は、ヒト又は動物の身体に対する創傷療法に関する。それゆえに、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒト又は動物の身体上の創傷を指し得、本明細書における身体へのいかなる言及も、ヒト又は動物の身体を指し得る。開示された技術実施形態は、例えば、陰圧源及び創傷被覆材構成要素及び装置を含む、減圧を伴うか、又は減圧を伴わない、生理学的組織もしくは生体組織への損傷を防止もしくは最小化すること、又は損傷した組織(例えば、本明細書に説明される創傷)の治療に関し得る。創傷オーバーレイ及びパッキング材料、又は、もしあれば、内層を備える、装置及び構成要素は、被覆材と総称されることがある。いくつかの場合、創傷被覆材は、減圧を伴わずに利用されるように提供され得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、切断、強打、又は他の衝撃、典型的には皮膚が切断又は破損される衝撃によって引き起こされ得る、生体組織への傷害を含み得る。創傷は、慢性又は急性の傷害であり得る。急性創傷は、手術又は外傷の結果として生じる。それらは、予測される時間フレーム内で治癒の段階を進行する。慢性創傷は、典型的には、急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わないときに慢性創傷となり得、長期化した回復を結果的にもたらす。急性創傷から慢性創傷への移行は、患者が免疫不全状態であることに起因し得ると考えられる。
【0038】
慢性創傷は、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響を及ぼす静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足又は足首潰瘍)、末梢動脈疾患、圧迫潰瘍、又は表皮水疱症(EB)を含み得る。
【0039】
他の創傷の例としては、腹部創傷、又は手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の条件のいずれかの結果としての他の大規模又は切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷及び裂開創傷、外傷性創傷、フラップ及び皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍及び静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
創傷はまた、深部組織傷害を含み得る。深部組織傷害は、固有の形態の圧迫潰瘍を説明するために、米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel(NPUAP))によって提案された用語である。これらの潰瘍は、紫色の圧迫潰瘍、悪化する可能性のある潰瘍、及び骨隆起のあざなどの用語で、長年にわたって臨床医によって説明されてきた。
【0041】
創傷はまた、本明細書で論じられるように、創傷になるリスクがある組織を含み得る。例えば、リスクがある組織は、切断される潜在性を有し得る(例えば、関節置換/外科的変更/再建)骨隆起の上の組織(深部組織傷害/損傷のリスクがある)又は外科手術前の組織(例えば、膝組織)を含み得る。
【0042】
いくつかの実施態様は、高度な履物、患者の寝返り、オフロード(例えば、糖尿病性足部潰瘍のオフロード)、感染症の治療、システミックス、抗菌剤、抗生物質、手術、組織の除去、血流への影響、理学療法、運動、入浴、栄養、水分補給、神経刺激、超音波、電気刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌剤などのうちの1つ以上と組み合わせて、本明細書に開示された技術を用いて創傷を治療する方法に関する。
【0043】
代替的に又は追加的に、創傷は、局所陰圧(TNP)及び/又は適用された陰圧の使用によって支援されない従来の高度な創傷ケア(非陰圧療法とも称され得る)を使用して治療され得る。
【0044】
高度な創傷ケアは、吸収被覆材、閉塞被覆材、創傷被覆材又は補助材における抗微生物剤及び/又は創傷清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキング又は包帯などの緩衝又は圧迫療法)の使用などの使用を含み得る。
【0045】
いくつかの場合、創傷被覆材は、1つ以上の吸収層(複数可)を含む。吸収層は、発泡体又は超吸収体であり得る。
【0046】
いくつかの場合、開示された技術は、非陰圧被覆材と共に使用され得る。創傷部位で保護を提供するために好適な非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、使用中に吸収層によって吸収された創傷滲出液の視認を少なくとも部分的に遮蔽するための遮蔽要素と、を含み得る。遮蔽要素は、部分的に半透明であってもよい。遮蔽要素は、マスキング層であってもよい。
【0047】
いくつかの場合、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収層は、創傷接触層に重なる。創傷接触層は、創傷上に実質的に流体密封シールを形成するための接着剤部分を担持し得る。
【0048】
いくつかの場合、本明細書に開示される創傷被覆材は、超吸収繊維、又はビスコース繊維もしくはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0049】
いくつかの場合、本明細書に開示される創傷被覆材は、裏当て層をさらに含む。裏当て層は、透明又は不透明のフィルムであってもよい。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には、透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0050】
いくつかの場合、発泡体は、開放セル発泡体、又は閉鎖セル発泡体であってもよく、典型的には、開放セル発泡体であり得る。発泡体は、親水性であってもよい。
【0051】
創傷被覆材は、透過層を含んでもよく、層は、発泡体とすることができる。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体であり得る。
【0052】
非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧迫包帯は、浮腫、ならびに、例えば、下肢などの他の静脈及びリンパ系疾患の治療における使用で知られている。圧迫包帯は、内皮に面する層及び弾性外層を含む包帯システムを備え得、内層は、発泡体の第1のプライ、及び吸収性不織布ウェブの第2のプライを備え、内層及び外層は、患者の体肢の周囲に巻き付けられることができるように十分に細長い。
【0053】
陰圧創傷療法
いくつかの場合、創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施され得る。本開示の実施形態は、概して、TNPシステムで使用するように適用可能であることが理解されよう。手短に言えば、陰圧創傷治療は、組織の浮腫を減少させ、血流及び顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖及び治癒することを支援し、細菌負荷(及び、それゆえ感染リスク)を低減し得る。加えて、治療は、創傷の不安を減らすことを可能にし、より早期の治癒につながる。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化することに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援し得る。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片及びフラップにおいて見出され得る。
【0054】
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創又は慢性創傷の治療のために、陰圧療法が使用され得る。典型的な陰圧(TNP)療法又は陰圧創傷療法(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性又は半透過性の被覆を配置することと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)を被覆に接続することと、を伴う。このような陰圧は、創傷部位における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカイン又はバクテリアを含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進すると考えられている。
【0055】
NPWTに使用される被覆材のいくつかは、異なる種類の材料及び層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、又は多層創傷被覆材を含み得る。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層及び超吸収層を含む、Smith&Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、又はポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用され得る、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートに封止されてもよい。加えて、Smith&Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-AB及びRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材及びシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するために使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0056】
本明細書に使用するとおり、-XmmHgなど、減圧又は陰圧レベルは、760mmHg(又は1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、又は、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」又は「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは、-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」又は「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは、-60mmHgよりも高い)。いくつかの場合、局所的な周囲気圧は、基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0057】
本明細書に説明される創傷閉鎖デバイスのいくつかの場合、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの場合、例えば、正弦波、方形波を使用して、又は1つ以上の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。
【0058】
本明細書に開示される実施形態のいずれかは、吸収材料を説明する、WO2010/061225、US2016/114074、US2006/0142560、及びUS5,703,225、非陰圧創傷被覆材を説明するWO2013/007973、多層創傷被覆材を説明する、GB1618298.2(2016年10月28日出願)、GB1621057.7(2016年12月12日出願)、及びGB1709987.0(2017年6月22日出願)、創傷被覆材を説明する、EP2498829及びEP1718257、圧迫包帯を説明する、WO2006/110527、US6,759,566、及びUS2002/0099318、創傷閉鎖デバイスを説明する、US8,235,955及びUS7,753,894、陰圧創傷療法被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置、及び方法を説明する、WO2013/175306、WO2016/174048、US2015/0190286、US2011/0282309、及びUS2016/0339158のうちの1つ以上に開示される特徴のいずれかと併せて使用され得る。これらの出願の各々の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0059】
基材支持センサ
1つ以上のセンサを含む、いくつかの電子構成要素を組み込む創傷被覆材は、創傷の特徴を監視するために利用され得る。創傷からデータを収集及び分析することは、創傷が治癒曲線上にあるか否かを決定すること、適切な療法を選択すること、創傷が治癒したか否かを決定することなどに対する有用な洞察を提供し得る。
【0060】
いくつかの実施態様では、いくつかのセンサ技術が、創傷被覆材、又は創傷被覆材装置全体の一部を形成する1つ以上の構成要素で使用され得る。例えば、図1A~1Cに例示されるように、1つ以上のセンサが基材上又は基材内(そのような基材は、「センサ一体型基材」と称され得る)に組み込まれ得る。基材は、四角形を有するように例示されるが、基材が、長方形、円形、楕円形などの他の形状を有してもよいことが理解されるであろう。いくつかの場合、1つ以上のセンサを支持する基材は、創傷の上又は中に直接的又は間接的に配置される個々の材料層として提供され得る。センサ一体型基材は、より大きい創傷被覆材装置の一部であり得る。いくつかの場合、センサ一体型基材は、単一のユニット被覆材の一部である。追加的又は代替的に、センサ一体型基材は、創傷の上又は中に直接的又は間接的に配置され、次いで、ガーゼ、発泡体、又は他の創傷包装材料、超吸収層、ドレープ、Smith&Nephewによって製造されたPico又はAllevyn Life被覆材などの完全一体型被覆材などのうちの1つ以上を含み得る、二次創傷被覆材によって被覆され得る。
【0061】
センサ一体型基材は、創傷と接触して配置され得、流体が、創傷の中の組織への損傷を全く又はほとんど引き起こさずに、基材を通過することを可能にし得る。基材は、創傷に適合又は創傷を被覆するために、可撓性、弾性、伸張性、又は伸縮性、又は実質的に可撓性、弾性、伸張性、又は伸縮性であり得る。例えば、基材は、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテトラフタレート(PET)、ポリブタレンテトレアフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ならびに様々なフッ素ポリマー(FEP)及びコポリマー材料のうち1つ以上などの伸縮性又は実質的に伸縮性の材料、又は別の好適な材料から作製され得る。
【0062】
いくつかの場合、基材は、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)を含む可撓性ポリマー、ならびに様々なフッ素ポリマー(FEP)及びコポリマーなどで形成され得る、1つ以上の可撓性回路基板を含み得る。1つ以上のセンサは、2層可撓性回路に組み込まれ得る。いくつかのシナリオでは、1つ以上の回路基板は、多層可撓性回路基板とすることができる。
【0063】
いくつかの場合、センサ一体型基材は、湿潤又は乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。いくつかの場合、1つ以上の可撓性回路を位置付けられ得る1つ以上のセンサが、創傷被覆材の任意の層に組み込まれ得る。例えば、創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷に直接接触する、1つ以上のセンサを可能にする、切り欠き部又はスリットを有し得る。いくつかの状況では、1つ以上のセンサは、例えば、吸収層などの創傷被覆材の他の構成要素に組み込まれるか、又はその中に封入され得る。
【0064】
図1Aに示されるように、センサ一体型基材100Aは、複数の電子構成要素と、構成要素のうちの少なくともいくつかを相互接続する複数の電子接続と、を支持し得る。電子構成要素は、センサ、アンプ、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、コントローラ、プロセッサなどの本明細書に説明される任意の電子構成要素のうちの1つ以上とすることができる。電子接続は、電子構成要素のうちの1つ以上を電気的に接続し得る。電子接続は、銅、導電性インク(銀インク、グラファイトインクなど)の使用などの、基材上に印刷されたトラックとすることができる。電子接続の少なくともいくつかは、可撓性もしくは伸縮性、又は実質的に可撓性もしくは伸縮性とすることができる。
【0065】
複数の電子構成要素は、図1A~1Cに例示されるように、外側4×4グリッド及び内側4×4グリッドで配置され得る、1つ以上のインピーダンス又は導電率センサ110を含み得る。センサ110は、パッドの任意のペアにわたる組織のインピーダンス又は導電率を測定するように構成されたパッドとして例示される。2つ(又はそれ以上)の励起パッド115が、例示されるように配置されて、パッドにわたって励起信号を提供し、この励起信号は、組織によって伝導され、これに応答して、組織のインピーダンス又はコンダクタンスが、パッド110にわたって測定され得る。1つ以上のアンプ120などの電気構成要素が、組織のインピーダンス又はコンダクタンスを測定するために使用され得る。インピーダンス又はコンダクタンスの測定値は、生きている組織及び死んだ組織を識別し、治癒の進捗を監視するためなどに使用され得る。内側及び外側グリッド内のパッド110の配置は、創傷のインピーダンス又はコンダクタンス、創傷の外周、又は創傷を囲む組織もしくはエリアを測定するために使用され得る。
【0066】
複数の電子構成要素は、創傷又は周囲の組織の温度を測定するように構成された1つ以上の温度センサ130を含み得る。例えば、9つの温度センサが、基材100Aの外周の周囲に配置された。1つ以上の温度センサは、1つ以上の熱電対又はサーモスタットを含み得る。1つ以上の温度センサは、較正され得、1つ以上のセンサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。いくつかの場合、周囲空気温度を測定する周囲センサが、環境温度シフトと関連付けられた問題を排除することを支援するために使用され得る。
【0067】
複数の電子構成要素は、1つ以上の光学センサ150を含み得る。1つ以上の光学センサ150は、創傷の外観を測定するか、又は創傷を撮像するように構成され得る。いくつかの場合、光を放射する光源又は照明源、及び創傷によって反射された光を検出する光センサ又は検出器が、1つ以上の光学センサとして使用される。光源は、発光ダイオード(LED)とすることができ、例えば、1つ以上の白色LED、赤色、緑色、青色(RGB)LED、紫外線(UV)LEDなどである。光センサは、色を検出するように構成されたRGBセンサ、赤外線(IR)色センサ、UVセンサなどのうちの1つ以上とすることができる。いくつかの場合、光源及び検出器の両方は、皮膚に押し付けられることになり、それにより、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈することになる。いくつかのシナリオでは、1つ以上の光学センサは、電荷結合素子(CCD)、CMOS画像センサなどの、撮像デバイスを含み得る。
【0068】
いくつかの場合、超高輝度LED、RGBセンサ、及びポリエステル光学フィルタが、組織色分化を通して測定するために、1つ以上の光学センサの構成要素として使用され得る。例えば、表面の色が反射光から測定され得るため、色は、所与の幾何学的形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、皮膚と接触しているLEDから拡散した散光などからの色感知を含み得る。いくつかの場合、LEDは、組織を通して拡散した光を検出するために、近位のRGBセンサと使用され得る。光学センサは、拡散した内部光又は表面反射光を用いて撮像し得る。
【0069】
1つ以上の複数の電子構成要素は、制御モジュールによって制御され得る。制御モジュールは、1つ以上のセンサによって取得された1つ以上の測定値を受信及び処理し得る。外部制御モジュールは、コネクタ140を介して複数の電子構成要素の少なくともいくつかに接続され得る。いくつかの場合、コネクタ140は、図1Bに例示されるように導電性トラック部分の端に位置付けられるか、又は図1A又は1Cに例示されるように端から離れた位置で導電性トラック部分に取り付けられ得る(例えば、接着剤でトラック部分の上部に取り付けられる)。制御モジュールは、1つ以上のコントローラもしくはマイクロプロセッサ、メモリなどを含み得る。いくつかの場合、1つ以上のコントローラは、基材上に位置付けられ得、コネクタ140は、使用されない。いくつかの場合、データ及びコマンドは、基材上に位置付けられたトランシーバによるなどの、無線で通信され得、コネクタ140は、使用されない。
【0070】
いくつかの場合、1つ以上のpHセンサ、圧力センサ、灌流センサなどの、追加的又は代替的なセンサが、基材上に位置付けられてもよい。
【0071】
いくつかの場合、基材は、図1B、1Cに例示されるように穿孔され得る。複数の穿孔160が、基材100B内に形成され得、流体が基材を通過することを可能にする。陰圧創傷療法の適用と併せて穿孔された基材を使用することが有利であり得るが、その間、減圧が、被覆材によって被覆された創傷に適用され、創傷から流体(創傷滲出液など)の除去を引き起こす。穿孔160は、図1B、1Cに例示されるように、複数の電子構成要素及び接続の周囲に形成され得る。穿孔160は、スリット又は孔として形成され得る。いくつかの場合、穿孔160は、流体が基材を通過することを可能にしつつ、組織の内成長を防止することを助けるために十分に小さくてもよい。いくつかの場合、穿孔は、基材がコーティングされる前又は後に形成され得る。いくつかの場合、穿孔は、本明細書に説明される任意の2つのコーティングステップの間に形成され得る。
【0072】
いくつかの場合、本明細書に説明される創傷被覆材又は創傷被覆材構成要素のいずれかは、陰圧創傷療法デバイスも含むキットの一部であり得る。センサ一体型基材、二次被覆材、又は陰圧創傷療法デバイスなどのキットの1つ以上の構成要素は、滅菌され得る。
【0073】
本明細書に開示される実施形態のいずれかは、「SENSOR ENABLED WOUND MONITORING AND THERAPY APPARATUS」と題された国際特許公開第WO2017/195038号、「COMPONENT STRESS RELIEF FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS」と題された国際特許公開第WO2018/189265号、「SKEWING PADS FOR IMPEDANCE MEASUREMENT」と題された国際特許出願第PCT/EP2018/069886号、「SENSOR POSITIONING AND OPTICAL SENSING FOR SENSOR ENABLED WOUND THERAPY DRESSINGS AND SYSTEMS」と題された国際特許出願第PCT/EP2018/075815号に説明される実施形態のいずれかと共に使用され得、これらの各々は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0074】
封入及び応力緩和
いくつかの場合、基材が、より良好に創傷に適合するか、又は創傷を被覆するために、伸縮性又は実質的に伸縮性であることが望ましい場合があるが、電子構成要素又は接続の少なくともいくつかは、伸縮性又は可撓性ではなくてもよい。そのような事例では、基材が創傷内又は創傷上に位置付けられるときに、望ましくない又は過剰な局所的な歪み又は応力が、電子構成要素の支持エリア又は装着部などの、1つ以上の電子構成要素上に及ぼされ得る。例えば、そのような応力は、患者の動き、創傷の形状又はサイズの変化(例えば、その治癒に起因する)などに起因し得る。そのような応力は、1つ以上の電子構成要素又は接続の移動、脱落、又は誤作動(例えば、接続解除されているピン又は別のコネクタからの開回路の生成)を引き起こし得る。代替的又は追加的に、1つ以上の電子構成要素によって収集された測定値が、創傷の同じ又は実質的に同じ場所又は領域における経時的な変化を正確に取り込むように、1つ以上のセンサなどの1つ以上の電子構成要素の位置を、創傷に対して同じ又は実質的に同じ場所又は領域(創傷と接触するなど)に維持することが望ましい場合がある。伸縮性の基材の表面は、例えば、患者が動く時に移動し得るが、創傷に対して1つ以上の電子構成要素の同じ又は実質的に同じ位置を維持することが望ましい場合がある。
【0075】
これらの問題に対処するために、いくつかの場合、非伸縮性又は実質的に非伸縮性のコーティング(そのようなコーティングは、「ハードコート」とも称され得る)が、1つ以上の電子構成要素、1つ以上の電子接続などに適用され得る。ハードコートは、1つ以上の電子構成要素、1つ以上の電子接続などのための補強又は応力緩和のうちの1つ以上を提供し得る。ハードコーティングは、アクリル化又は修飾ウレタン材料から形成され得る。例えば、ハードコートは、Dymax 1901-M、Dymax 9001-E、Dymax 20351、Dymax 20558、Henkel Loctite 3211、又は別の好適な材料のうちの1つ以上とすることができる。ハードコートは、硬化前に約13,500cP~50,000cPの粘度を有するか、又は硬化前に約3,600cP~約6,600cPの粘度を有し得る。いくつかの場合、ハードコートは、約50,000cP以下の粘度を有し得る。ハードコートは、約D40~約D65の硬度及び/又は約1.5~2.5%の線形収縮を有し得る。
【0076】
いくつかの場合、別のコーティング(複数可)が適用されて、電子接続又は電子構成要素などの、基材によって支持される基材又は構成要素のうちの1つ以上を封入又はコーティングし得る。コーティングは、生体適合性を提供すること、電子回路が液体と接触することから遮蔽又は保護すること、患者の快適さを増大させるために電子構成要素用のパッドを提供することなどを行い得る。本明細書で使用される場合、生体適合性は、ISO10993又はUSPクラスVIなどの、1つ以上の適用可能な規格に適合することを意味し得る。そのようなコーティングは、「コンフォーマルコート」又は「ソフトコート」とも称され得る。ソフトコートは、伸縮性又は実質的に伸縮性であり得る。ソフトコートは、疎水性又は実質的に疎水性であり得る。
【0077】
ソフトコートは、1つ以上の好適なポリマー、1072-M接着剤(例えば、Dymax 1072-M)、1165-M接着剤(Dymax 1165-Mなど)などの接着剤、パリレン(例Parylene Cなど)、シリコン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、アクリル化ウレタン代替物(Henkel Loctite 3381など)、又は他の好適な生体適合性、かつ実質的に伸縮性の材料から形成され得る。ソフトコートは、例えば、約80ミクロン以下~数ミリメートル以上までの薄いコーティングとすることができる。ソフトコートは、約A100、A80、A50以下よりも低い硬度を有し得る。ソフトコートは、約100%、200%、300%又はそれ以上を超える破壊時伸びを有し得る。ソフトコートは、約8,000~14,500センチポアズ(cP)の粘度を有し得る。いくつかの場合、コーティングは、約3,000cP以上の粘度を有し得る。いくつかの場合、コーティングは、約3,000cP未満の粘度を有し得る。
【0078】
本明細書に説明されるハードコート又はソフトコートのいずれかは、積層、接着、溶接(例えば、超音波溶接)、光、UV、熱(例えば、加熱)などのうちの1つ以上による硬化のうちの1つ以上によって適用され得る。本明細書に説明されるハード又はソフトコートのいずれかは、光感知を容易にするために透明又は実質的に透明であり得る。本明細書に説明されるコーティングのいずれかは、EtO滅菌などの滅菌に供されるときに、接着強度を保持し得る。本明細書に説明されるコーティングのいずれかは、UV光下などの、蛍光を発光するように改変され得る。
【0079】
図2A、2Bは、センサ一体型基材を含む、創傷被覆材の断面を例示する。図2Aに示される被覆材200Aは、本明細書に説明されるように、複数の電子構成要素(基材から突出して示される)及び複数の電子接続を支持する、センサ一体型基材205を含み得る。被覆材200Aは、1つ以上の電子構成要素又は接続に適用される、ハードコート214を含み得る。いくつかの場合、ハードコートは、電子構成要素が電子接続に接続されているエリアに適用され得る。これは、これらの接続を補強し得る。いくつかの場合、ハードコートは、電子構成要素又は接続のうちの1つ以上の各々に適用され得る。
【0080】
被覆材200Aは、ソフトコート216を含み得、これは、基材の創傷に面する側全体に適用され得る。ソフトコート216は、基材、電子構成要素、及び接続を封入するために、基材の創傷に面する側の面積全体又は実質的に全体に適用され得る。いくつかの場合、ソフトコート216は、電子構成要素又は接続のうちの1つ以上を支持するそれらの領域などの、基材の特定の領域に適用され得る。
【0081】
被覆材200Aは、創傷接触層218を含み得る。創傷接触層218は、基材を創傷に接着するように構成された接着材料を含み得、これは、創傷との1つ以上のセンサの接触を維持することを容易にし得る。創傷接触層218は、シリコンから形成され得る。シリコン材料は、低粘着性(又は粘着性)シリコンとすることができる。創傷接触層218は、フィルム上に装着されたシリコン接着剤を含み得る。いくつかの場合、創傷接触層218は、Smith&Nephewによって製造されたAllevyn Life Non-Bordered被覆材で使用される材料と同様であり得る。
【0082】
創傷接触層218は、基材の創傷に面する側の面積全体又は実質的に全体に適用され得る。いくつかの場合、接触層218は、電子構成要素又は接続のうちの1つ以上を支持するそれらの領域などの、基材の特定の領域に適用され得る。
【0083】
図2Aに例示されるように、複数の穿孔230は、基材、ハードコート、ソフトコート、及び創傷接触層のうちの1つ以上を通して形成され得る。本明細書に説明されるように、穿孔は、電子構成要素又は接続を支持しない基材の領域又はエリアで作製され得る。穿孔は、全ての層の適用後に、任意の2つの層の適用の間に形成されてもよく、又は層が互いに適用される前に、数個の断片で個々に形成されてもよい。例えば、いくつかの場合、基材は、ハードコート214及びソフトコート216の塗布後であるが、創傷接触層218又はウィッキング層212(以下に説明される)の塗布前に穿孔され得る。
【0084】
被覆材200Aは、接触層218に適用される保護層220を含み得る。保護層220は、ラミネート紙などの紙で作製され得る。保護層220は、使用前に創傷接触層218を保護し、ユーザのための容易な適用を容易にし得る。保護層218は、複数の(例えば、2つの)ハンドルを含み得る。ハンドルは、ハンドルを分離するスリットが、スリット上に折り畳まれたハンドルの1つによって被覆される、折り畳まれた構成で適用され得る。いくつかの場合、保護層220は、Allevyn Life Non-Bordered被覆材で使用される保護層と同様であり得る。
【0085】
例示されるように、ウィッキング層212は、基材の、反対側の創傷に面していない側の上に位置付けられ得る。ウィッキング層212は、ウィッキング層の下の層を通る流体の通過を容易にし得る。例えば、ウィッキング層は、流体を、基材からなどの下層から離れて、ウィッキング層212の上に位置付けられた1つ以上の上層に向かって輸送し得る。そのような1つ以上の上層は、本明細書に説明される1つ以上の吸収材料を含み得る。いくつかの場合、ウィッキング層212は、Allevyn Life Non-Bordered被覆材に使用されるものと同様の発泡体などの発泡体から形成される。ウィッキング層は、拡張可能又は実質的に拡張可能であり得る。
【0086】
図2Bの被覆材200Bに例示されるように、ソフトコート210の追加層は、基材とウィッキング層212との間の基材の創傷に面していない側の上に位置付けられ得る。例えば、ソフトコート210は、基材が流体に対して不透過性ではない材料から形成される場合、基材の創傷に面していない側を流体から保護し得る。そのような場合、ソフトコート210は、疎水性又は実質的に疎水性であり得る。ソフトコート210は、ソフトコート218と同じ又は異なる材料で作製され得る。ソフトコート210は、例示及び説明されるように穿孔され得る。いくつかの場合、ソフトコートは、創傷に面する側及び創傷に面していない側の両方を含む、基材全体を封入し得る。
【0087】
図3A、3Bは、コーティングされたセンサ一体型基材300を例示する。基材300は、創傷に面していない側216を上にして例示されている。基材300は、本明細書に説明される基材のいずれかに類似していてもよい。
【0088】
本明細書に開示される実施形態のいずれかは、2018年7月23日出願の「BIOCOMPATIBLE ENCAPSULATION AND COMPONENT STRESS RELIEF FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS」と題された国際特許出願第PCT/EP2018/069883号、及び2018年10月17日出願の「FLUID MANAGEMENT FOR SENSOR ENABLED WOUND THERAPY DRESSINGS AND SYSTEMS」と題された国際特許出願第PCT/EP2018/078374号に説明される実施形態のいずれかと共に使用され得、これらの出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0089】
封入及び応力緩和の製造
基材、又は電子接続もしくは電子構成要素などの基材によって支持される基材構成要素を含む、被覆材が、本明細書に説明される多層被覆材構築物を作成するために製造され得る。
【0090】
図4は、基材又は基材によって支持される構成要素を含む、被覆材を製造する工程を例示するフローチャートを示す。まず、ハードコートは、基材又は基材の構成要素に適用され得る(401)。
【0091】
コーティング装置が、基材をハードコートでコーティングするために使用され得る。基材は、電子接続又は電子構成要素を支持する第1の創傷に面する側、及び反対側の創傷に面していない第2の側を有し得る。本明細書に説明されるように、基材の第1の側は、基材が創傷の上に位置付けられたときに基材の創傷に面する側であり得、基材の第2の側は、基材の第1の側の基材の反対側、又は基材の創傷に面していない側であり得る。
【0092】
図2A、2Bを参照して本明細書に説明されるように、ハードコートは、基材の第1の側に適用され得る。コーティング装置は、基材をコーティングするように機械プログラムされ得る。例えば、ロボット機械が使用され得、ロボット機械は、本明細書に説明される製造ステップを実施するために、事前プログラムされ得る。コーティング装置との基材の適切な位置合わせを得るために、登録マークが、基材上で使用され得る。登録マークは、基材の任意の部分上にあり得る。いくつかの場合、登録マークは、図5Aに示されるように、基材500の右上501及び左下502上にあり得る。図5Aの登録マークは、特定の場所に示されるが、一方、登録マークは、基材500の位置合わせを可能にする基材500の任意の部分上にあり得る。登録マークは、図5B及び/又は基材上の任意のマーキングに例示されるように、基準点とすることができる。登録マークは、コーティング装置上のマーキングと位置合わせされ得る、及び/又はコーティング装置上のカメラもしくは他のデバイスを用いてコーティング装置によって光学的に検出され得る。コーティング装置は、カメラ又は他の光学システムを使用して、コーティング装置上の登録マークの位置合わせを確認し得る。基材は、電子接続又は電子構成要素(第1の側)が、コーティングを分注するコーティング装置のノズル又はディスペンサの方を向いている状態で、コーティング装置上に位置付けられる。登録マークを使用する基材の適切な位置合わせは、コーティング装置が、所望の電子接続又は電子構成要素の場所で基材をコーティングしており、一方、基材の第1の表面の他の領域をコーティングがないままにすることを確保し得る。
【0093】
一旦、基材が機械上に適切に位置合わせされると、コーティング装置は、コーティングプロセス中に、装置上の基材を適切な位置合わせで保持する真空デバイスを利用し得る。例えば、コーティング装置は、基材を受容するためのプレートを有し得、そのプレートは、孔を含み得る。真空は、基材が載置されるプレートの側の反対側のプレートの側面から引き出され得、孔は、真空が基材をプレートに固設することを可能にし得る。一旦、基材が適切に位置合わせされ固設されると、コーティング装置は、基材上の構成要素及び/又は構成要素コネクタ(又はトラックインターフェース)上にハードコートを分注し得る。
【0094】
図4に示されるように、一旦、基材の必要な領域がハードコートでコーティングされると、ハードコートは、次いで、硬化され得る(402)。電子接続又は電子構成要素を有するコーティングされた基材は、UV光又は他の硬化光源に曝露され得る。例えば、基材は、基材へのコーティングを硬化させるUVオーブン内に配置され得る。コーティングは、図2A、2Bを参照して、本明細書に説明される仕様に従って硬化され得る。
【0095】
ハードコートの硬化後、基材は、さらなるコーティング及び処理のために調製され得る。いくつかの場合、硬化されたハードコートを有する基材は、ハードコートを処理した同じコーティング装置又は機械上に配置され得る。硬化されたハードコートを有する基材は、基材上のソフトコートの処理及び適用のための同じ機械上に維持され得る。コーティング装置は、ソフトコートのコーティングを基材に適合するように変更され得る(403)。ハードコート分注ヘッド及び関連ケーブル、制御機構、ならびに空気供給は、ソフトコートスプレーヘッド及びその関連ケーブル、制御機構、ならびに空気供給と交換され得る。他の場合、硬化されたハードコートを有する基材は、ソフトコート適用を処理するために、別の機械上に配置され得る。そのような場合、ステップにわたる機械変更は、被覆材の製造中に実施される必要がない場合がある。
【0096】
次いで、ソフトコートは、基材又は基材の構成要素に適用され得る(404)。基材は、電子接続又は電子構成要素が、コーティングを分注するコーティング装置のノズル又はディスペンサの方を向くように、コーティング装置上に配置され得る。基材上の縁又は登録マークは、装置のプレート上で上記のように位置合わせされ得る。上記のように、装置上の基材を支持するプレートは、真空が基材に適用されることを可能にする、孔又は穿孔を有し得る。一旦、基材が正しく位置付けられると、真空は、基材をプレート上に定位置に基材を保持するために基材が載置する、穿孔されたプレートの側の反対側で穿孔されたプレートに適用され得る。次いで、ソフトコーティングは、コーティング装置によって基材の第1の側に適用される。上記のように、ソフトコートは、基材の第1の側(又は創傷に面する側)の面積全体又は実質的に全体に適用されて、基材、電子部品、及び接続を封入し得る。したがって、ソフトコートは、基材の第1の側に以前に適用されたハードコートの上に適用され得る。
【0097】
ソフトコートの適用後、図4に示されるように、ソフトコートは、硬化され得る(405)。電子接続又は電子構成要素を有するコーティングされた基材は、UV光又は他の硬化光源に曝露され得る。例えば、基材は、基材へのコーティングを硬化させるUVオーブン内に配置され得る。コーティングされた基材は、コーティング装置から取り出されて、UVオーブン又は他の硬化機械内に配置され得る。コーティングされた基材がコーティング装置及び穿孔されたプレートから取り外される際に、接着剤が接触又は妨害されないことを確保するように注意が払われる。
【0098】
いくつかの場合、基材の第2の側は、図2Bに説明されるようにソフトコーティングでコーティングされ得る。基材の第1の側をコーティングすることを参照して説明された同じステップが、基材の第2の側をコーティングするために使用され得る。いくつかの場合、治具又はプレートは、基材の第2の側がコーティングされている間に、基材を保持するために作成され得る。例えば、電子構成要素又は電子接続を受信するための凹部を含む治具は、2018年10月16日出願のSYSTEMS AND METHOD FOR APPLYING BIOCOMPATIBLE ENCAPSULATION TO SENSOR ENABLED WOUND MONITORING AND THERAPY DRESSINGSと題された英国出願第1816838.5号に説明されるように使用され得、この出願は、その全体が参照によって組み込まれる。
【0099】
一旦、ハードコート及びソフトコートが基材に適用されると、創傷接触層が、コーティングされた基材に適用され得る(406)。創傷接触層は、コーティングされた基材の第1の側に接着され得る。創傷接触層は、基材の第1の側をコーティングするソフトコートに接着され得る。
【0100】
コーティングされた基材は、電子接続又は電子構成要素などの、基材によって支持される構成要素が上向きに面している、平坦な表面上に配置され得る。創傷接触層材料が、基材のサイズに切断され得る。いくつかの場合、創傷接触層のサイズは、基材とほぼ同じ寸法とすることができる。いくつかの場合、創傷接触層は、基材の寸法よりも小さい寸法を有し得、基材の縁は、創傷接触層の縁を越えて延在し得る。他の場合、創傷接触層は、基材の寸法よりも大きい寸法を有し得る。そのような場合、創傷接触層の縁は、基材の縁を越えて延在し得る。キャリア層が、創傷接触材料の接着表面から除去され得、創傷接触層は、基材上に中央で接着され得る。基材の第1の側のソフトコートに封止された側の反対側の創傷接触層の側の上の任意のライナ又はキャリア層が除去され得、試料の境界からの任意の過剰な創傷接触層材料が除去又は切断され得る。
【0101】
いくつかの場合、基材上のコーティングされた構成要素エリアは、構成要素の高さ及び/又はこれらのエリア上のコーティングの多層に起因して、隆起した領域を生じ得る。創傷接触層がコーティングされた基材に適用されたとき、創傷接触層は、図6に例示されるように、基材上のコーティングされた及び隆起した構成要素の周囲に気泡又は空隙を形成し得る。これは、平坦な創傷接触層を、隆起した構成要素の上に敷設することによって引き起こされ得、空気を平坦な創傷接触層の下に閉じ込めさせる。気泡は、センサ性能を妨害し、フィルムと、コーティングされた基材及び/又は電子構成要素との間の剥離を引き起こし、滅菌ガスを含む滅菌技術が、デバイスを貫通することができず、適切に滅菌することができない場合がある小さい空気室を生じさせ、気泡が破裂した場合に感染リスクになり得る。
【0102】
いくつかの場合、気泡は、構成要素に向かって平滑化され得る。いくつかの場合、小さいプリック又は孔は、構成要素の周囲に閉じ込められた空気を排出するために、ソフトコートへの創傷接触層の適用後に、創傷接触層材料に作製され得る。そのような場合、構成要素又はコーティングされた基材が接触又は損傷しないように注意が払われなければならない。
【0103】
いくつかの場合、創傷接触層は、電子構成要素又は基材上の隆起した特徴の場所と位置合わせする、創傷接触層材料内の小さい孔又はスリットを伴って事前に切断され得る。いくつかの場合、創傷接触層の中の小さい孔又はスリットは、レーザカッタ又は打ち抜きプレスを使用して達成され得る。孔又はスリットは、電子構成要素又は隆起した特徴の円周又は外周よりもわずかに大きくてもよい。これは、基材の大部分が、創傷接触層によって被覆されたままであることを確保し得る。創傷接触層は、基材の電子構成要素又は隆起した特徴が、創傷接触層の孔又はスリットを通して突出して、空気が創傷接触層の下に閉じ込められることを防止するように適用され得る。いくつかの場合、創傷接触層は、コーティングされた基材の第1の側又は電子機器側に適用されない。そのような場合、コーティングされた基材の第1の側又は電子機器支持側は、皮膚又は創傷エリアと接触し得る。例えば、コーティングされた基材の第1の側又は電子機器支持側の上のソフトコートは、皮膚又は創傷エリアと接触し得る。
【0104】
図4に示されるように、創傷接触層が基材に適用された後、被覆材は、レーザ穿孔及び輪郭切断され得る(407)。基材は、切断装置上に配置される(又は基材をコーティングするために使用された以前の装置もまた、切断に使用され得る)。基材は、創傷接触層が治具から上向き又は離れて面している状態で、切断治具上に位置付けられ得る。例えば、基材は、創傷接触層(基材の第2の側)と反対側の基材の側が、治具又はプレートと連通し得るように、治具又はプレート上に配置され得る。治具は、カッタによって切断されない基材の支持部分のための1つ以上の支持支柱を含み得る。いくつかの場合、基材は、レーザ切断床上のレーザで切断され得る。他の場合、基材は、被覆材を穿孔するために、任意の切断装置で切断され得る。基材は、基材の切断及び穿孔を支援するために、切断装置上に懸架され得る。基材を穿孔するとき、基材は、支持支柱の金属ハニカム構造上に載置され得る。しかしながら、被覆材の穿孔エリアが、穿孔中に金属表面と位置合わせする場合、金属表面は、穿孔からパンチアウトされた材料のスラグが新しい穿孔から排出されることを防止し得る。これらのスラグは、柔らかい粘着性の破片の形態で基材に粘着したままにされ得る。これは、破片が製品から創傷床に落下するリスクがあるため、いくつかの安全上の問題を引き起こし得る。いくつかの場合、スラグは、穿孔の内側に残り得、これは、長期間、創傷と接触したままの過剰な量の流体によって引き起こされる浸軟などの、患者の安全上の問題につながり得る、性能上の問題を引き起こし得る。
【0105】
穿孔エリアとの支持支柱の金属ハニカム構造の干渉を低減するために、治具構造は、穿孔されることになる基材のエリアが「新鮮な空気」上にある、すなわち、基板をハニカム切断床の外に持ち上げ、穿孔が行われないエリアの上で基材を支持することを伴って設計され得る。これは、縁の周囲をクランプし、教示された基材を保持することによるものであり得る。他の例は、基材が、電子構成要素又は電子接続に対応する基材のエリアと位置合わせされる治具の支持支柱上に載置されることを可能にする治具を設計することを含む。支持支柱のこの設計は、穿孔されることになる被覆材のエリアを新鮮な空気上に懸架されたままにし得る。治具の支持支柱上で電子構成要素又は電子接続に対応する基材のエリアを載置する治具の例が、図7A~7Dに示される。図7A及び7Bは、支持支柱701上の電子構成要素又は電子接続に対応する基材のエリアを載置する治具700の複数の図を例示する。支持支柱701のこの設計は、図7A、7Bに示されるように、新鮮な空気又は治具表面の孔702の上に、穿孔されることになるエリアを残し得る。図7C~7Dは、図7A及び7Bの治具を、治具によって支持された基材と共に例示する。基材の電子構成要素又は電子接続に対応する支持支柱を含む治具は、穿孔プロセスをより清浄化し得、少数のスラッグが穿孔内に残る。
【0106】
いくつかの場合、基材上の登録マークは、被覆材を切断装置の治具と位置合わせするために使用され得る。被覆材上の登録マークは、適切な位置合わせのための治具上に提供されたマーキング又は円と位置合わせされ得る。登録マークは、図5A、5Bを参照して説明された登録マークと同様であり得る。いくつかの場合、登録マーク又は他の位置合わせ印は、治具又は切断装置自体の上のマーキング又は印と位置合わせされ得る。基材上の登録マーク又は他の位置合わせ印は、治具又は切断装置上の適切な配置を確認するために、カメラ又は他の光学デバイスによって光学的に検出され得る。装置は、基材上の登録マークの位置合わせを確認するために、カメラ又は他の光学システムを使用し得る。基材上の登録マーク又は他の位置合わせ印が、治具と光学的に位置合わせされている場合、治具及び基材は、切断装置に移送され得、穿孔及び/又は切断が開始し得る。
【0107】
基材の登録マークを治具上の対応するマークと位置合わせすることは、治具上の支持支柱が、電子接続又は電子構成要素を含む基材のエリアと整列するように、治具上における基材の適切な位置合わせを可能にし得る。治具上の支持支柱は、図7Cに例示されるように、電子接続のトラックのレイアウトと整列し得る。図7Cに例示されるように、治具及び基材は、カッタ床に配置される。切断輪郭が事前設定され、切断装置にアップロードされ得る。事前設定された切断輪郭は、切断装置が、電子接続又は電子構成要素が存在しない場所で被覆材を穿孔することを可能にし得る。図7Dに例示されるように、切断装置は、被覆材から最適な距離に位置付けられ得、切断装置は、事前設定された、又は所定の切断パターンで切断を開始し得る。切断装置は、レーザカッタ、又は被覆材料で精密切断を行い得る任意の他の切断デバイスとすることができる。一旦、切断パターンが完了すると、被覆材が除去され、いかなる廃棄物も切り離され得る。
【0108】
基材を含む被覆材は、流体が、創傷接触層及び基材を通過し、創傷から離れることを可能にするために、創傷接触層、ならびに第1及び第2のコーティングでコーティングされた基材を通る貫通孔を作成するために穿孔を必要とする。しかしながら、基材上の複雑な電子接続及び電子構成要素に起因して、精密な穿孔の方法が必要であり得る。切断装置は、切断装置上に事前プログラムされているカスタム又は不規則な切断パターンを実施し得る。切断装置のカスタム切断パターンは、デバイスの性質及び穿孔を必要とする臨界エリアへの近接性に起因して有用であり得る。ホールパンチング及び超音波穿孔などの穿孔の方法が、被覆材上に穿孔を作成するために使用され得る。追加的又は代替的に、レーザ切断が、穿孔を形成するために使用され得る。いくつかの場合、穿孔は、創傷接触層を取り付ける前に、又は、創傷接触層が使用されない場合に、コーティングされた基材を通して適用され得る。
【0109】
基材上の電子構成要素及び接続のレイアウトに対応するカスタム切断パターンは、ソフトウェアパッケージ上に生成され得、パターンは、切断システムに送信される。例えば、基材の電子構成要素及び接続と干渉しないように、穿孔の適切な場所を識別するファイルが作成され得る。次いで、そのファイルは、切断を実施するために切断装置に送信され得る。
【0110】
一度コーティングされた被覆材を切断することは、処理時に困難を引き起こし得る。被覆材は、それ自体に巻き付けて、それ自体に密着する傾向を有し得、切断治具を位置特定することを非常に困難にする。支持ライナが、さらなる処理ステップ中に被覆材に剛性を提供するために使用され得る。基材の第1の側をコーティングすることのみが必要であり、裏側の第2の側をコーティングしない場合、支持ライナは、任意の処理の前に基材に適用され得、基材の第1の側の処置全体を通して、基材の第2の側の上に留まり得る(すなわち、支持ライナは、コーティング中、創傷接触層の適用中、及び穿孔中、電子機器の反対側の基材の側に残されることになる)。
【0111】
基材の両側がコーティングされる必要がある場合、基材の第2の側がコーティングされる前に、支持ライナは、基材の第2の側から除去され得、基材の第2の側は、図2Bを参照して本明細書に説明されるようにコーティングされ得る。基材の第2の側のコーティング後、基材がコーティング装置上で依然として平坦であるときに、支持ライナは、コーティングステップ後に基材上に配置され得る。ライナは、本明細書に説明される切断装置内で処理するために必要な支持及び剛性を基材に提供するために、基材の裏側上に配置され得る。ライナは、基材がコーティング治具上に依然としてあり、平坦な位置に保持されている間に適用され得る。これは、基材が平坦な位置に保持されるため、支持ライナ上の基材を位置合わせすることを助け得る。基材との支持ライナの適切な位置合わせは、切断パターンが電子機器と干渉しないことを確保し得る(干渉は、試料がライナ上に皺を伴って配置される場合に起こり得る)。一旦、基材が穿孔されると、支持ライナは、除去され、廃棄され得る。
【0112】
支持ライナは、穿孔中に基材をより取り扱い易くし得る。基材の穿孔プロセスは、支持ライナなしで穿孔された基材の試料よりも迅速かつ正確であり得る。これは、適切な配置を可能にし、構成要素が穿孔プロセス中に破壊される可能性が低いため、より少ない基材の廃棄又は欠陥につながり得る。
【0113】
切断装置は、本明細書に説明される穿孔パターン以外の切断パターンを使用して、基材を通して孔を形成し得る。カットパターンは、被覆材の大面積の切り欠きであってもよい。本明細書に説明されるように、基材は、創傷から、創傷の上に配置されることになる被覆材への流体の輸送、又は基材の一方側から他方側への流体の輸送のモードを必要とし得る。流体のこの輸送モードは、Smith&Nephewによって製造されたPico又はAllevyn Life被覆材などのような完全一体型被覆材のための創傷接触層の円形穿孔と同様の円形穿孔を使用して、被覆材を穿孔することによって達成され得る。
【0114】
いくつかの場合、円形穿孔は、創傷接触層を通して穿孔することのいくつかの悪影響が存在し得るため、創傷接触層が基材に積層されるときに問題になり得る。例えば、レーザが、被覆材を穿孔するために使用され、かつ創傷接触層がシリコンを含むとき、悪影響が存在し得る。例えば、悪影響は、穿孔の縁の周囲のシリコンの炭化、シリコンの変色、及び/又はレーザ切断されているときに表面上にフレアアップが発生する傾向を含み得る。
【0115】
被覆材の孔は、被覆材が創傷の上に配置されたときに、被覆材を通る流体の輸送を可能にする他のやり方で作成され得る。例えば、基材の大きい区分が切断され得、次いで、事前穿孔された創傷接触層が、基材の第1の表面に追加又は適用され得る。創傷接触層は、レーザ切断以外の方法で穿孔され得る。この方法は、創傷接触層材料にレーザを通す必要性なしで、創傷接触層がデバイスに追加されることを可能にし得る。
【0116】
図8は、基材に切り欠きエリアを有するがある基材を例示する。図8に例示されるパターンは、切断装置を使用して基材内に切り込まれ得る。切断装置は、電子接続又は電子構成要素を含まない基材の任意の区分を切り離す。基材の切り欠かれたエリアは、切断部の縁から最も近い電子接続又は電子構成要素まで約0.1mmを残し得る。基材の切り欠かれたエリアは、およそ0.05mm未満(約0.05mm未満)、0.05mm~0.1mm(約0.05mm~0.1mm)、0.1mm~0.15mm(約0.1mm~0.15mm)、又は0.15mm超(約0.15mm超)を残し得る。
【0117】
一旦、切断装置が基材にパターンを切り込むと、事前穿孔された創傷接触層が、本明細書に説明されるように基材の第1の表面に適用される。創傷接触層は、層を通して分布した均一な穿孔パターンを有し得る。いくつかの場合、創傷接触層は、ランダム又は不均一な穿孔パターンを有してもよい。図9は、図8に示される大きい切り欠きを有する基材に適用された、事前穿孔された創傷接触層を例示する。加えて、事前穿孔された創傷接触層を適用するこの方法は、本明細書に説明されるように、気泡が、創傷接触層とコーティングされた基材との間に閉じ込められるようになることを防止し得る。
【0118】
図4に示されるように、一旦、被覆材(コーティングされた基材及び創傷接触層を含む)が穿孔されると、保護層は、次いで、穿孔された被覆材に適用され得る(408)。基材は、創傷接触層が一番上に面している状態で平坦な表面上に配置され得る。創傷接触層上の任意の保護ライナは、除去されて創傷接触層を露出させ得る。いくつかの場合、創傷接触層が使用されないとき、保護層は、基材の第1の側に適用され得る。
【0119】
図10は、保護層1002を有する被覆材を例示する。保護層1002は、ラミネート紙などの紙で作製され得る。保護層1220は、使用前に創傷接触層及び/又は基材を保護し、ユーザのための容易な適用を容易にし得る。保護層1002は、複数の(2つなどの)ハンドル1001を含み得る。ハンドルは、ハンドルを分離するスリットが、スリット上に折り畳まれたハンドルの1つによって被覆される、折り畳まれた構成で適用され得る。いくつかの場合、保護層1002は、Allevyn Life Non-Bordered被覆材で使用される保護層と同様であり得る。ハンドル1001は、図10に例示されるように、折り畳まれて、接触層及び/又は基材の露出した表面上に配置され得る。任意の過剰な保護ライナ材料は、カッタで切断された基材の輪郭に一致するように切り離され得る。
【0120】
被覆材は、図2A、2Bに示されるように、保護ライナの反対側の被覆材の側の上にウィッキング層を含み得る。図4に示されるように、ウィッキング層は、基材の第2の側に適用され得る(409)。ウィッキング層は、発泡体ウィッキング層とすることができる。基材の第2の側の表面に適用される任意のキャリアライナが、除去され得る。ウィッキング材料は、基材のサイズ又はほぼ基材のサイズに切断され得る。図11に示されるように、接着剤908の薄い層は、試料の外周の周囲に広がるか、又は適用され得る。加えて、接着剤909のいくつかのスポットは、図11に示されるように、基材の穿孔されていない区分にわたって広がり得る。ウィッキング層は、基材の第2の側全体がウィッキング層材料によって被覆されるように、接着剤の上に位置付けられ得る。次いで、基材は、接着剤を硬化させるために、UV光又は他の波長の光に曝露され得る。基材、基材コーティング、創傷接触層、及び保護ライナ材料は、UV光又は他の波長の光が、基材とウィッキング層材料との間の接着剤を透過又は通過し、硬化させることを可能にするように、透明、半透明、又は別様に光学的に透明とすることができる。
【0121】
図2Aを参照して説明されるように、基材の第2の側は、ウィッキング層材料と直接接触し得る。他の場合、図2Bを参照して説明されるように、基材の第2の側は、コーティング材料(例えば、ソフトコーティング材料)でコーティングされ得る。そのような場合、ウィッキング層材料は、基材の第2の側のコーティング上に適用され得る。
【0122】
他の変形例
いくつかの場合、1つ以上の電子構成要素は、創傷に面する側の反対側の基材の側の上に位置付けられてもよい。本明細書に説明されるシステム及び方法は、そのような創傷接触層に等しく適用可能である。本明細書に説明される特定の実施形態は、創傷被覆材に関するが、本明細書に開示されるシステム及び方法は、創傷被覆材又は医療用途に限定されない。本明細書に開示されるシステム及び方法は、概して、ユーザによって着用されるか、又はユーザに適用され得る、電子デバイスなどの電子デバイス全般に適用可能である。
【0123】
本明細書に提供される閾値、限界値、期間などのいかなる値も、絶対的な値であることを意図するものではなく、したがって、およその値であり得る。加えて、本明細書に提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的に又はユーザによってのいずれかで、固定されるか又は変動し得る。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。加えて、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下回る、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。さらに、様々なプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するか又は達しないかを決定することに関して記載され得るが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、又は(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に理解され得る。
【0124】
特定の態様、実施形態、又は実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、又は群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、又は実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示される全ての特徴、又は同様に開示される任意の方法もしくはプロセスの全てのステップは、そのような特徴又はステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、あらゆる組み合わせで組み合わされ得る。保護対象は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護対象は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示される特徴のうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせ、又は同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのステップのうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0125】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に説明される新規の方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形態において、様々な省略、置換、及び変更がなされ得る。当業者であれば、いくつかの実施形態では、図示又は開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップが、図面に示されたものとは異なり得ることを理解するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップ又はステップの順序は、図面に示されたものとは異なり得る。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、図面に図示した様々な構成要素は、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、又は専用ハードウェア上のソフトウェア又はファームウェアとして実装され得る。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGA及び類似ものなど、ハードウェア構成要素は論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴及び特性は、異なる方法で組み合わされて追加の実施形態を形成し得るが、その全ては本開示の範囲内に収まる。
【0126】
本開示には、特定の実施形態、実施例、及び用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態又は使用ならびにその明らかな変更形及びその等価物にまで及び、これには本明細書に記載された特徴及び利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示される又はこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0127】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、又は「場合がある(may)」等の条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、又は使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、一定の実施形態が、特定の特徴、要素、又はステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、そのような条件付き言い回しは、概して、特徴、要素、もしくはステップが1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるということ、又はこれらの特徴、要素、もしくはステップが任意の特定の実施形態に含まれているかどうか、もしくは任意の特定の実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力又は命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているということを示唆することを意図するものではない。「備える」、「含む」、及び「有する」等の用語は、同義語であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除するものではない。また、「又は」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることにより、例えば、要素の列記をつなぐのに使用される場合、「又は」という用語は、列記内の要素のうちの1つ、いくつか、又は全てを意味する。さらに、「各々」という用語は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を有することに加えて、「各々」という用語が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0128】
語句「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」等の連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語等が、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも1つのXと、少なくとも1つYと、少なくとも1つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0129】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語等の、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすか又は所望の結果をもたらす所定の値、量、又は特性に近い値、量、又は特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内である量を指し得る。
【0130】
本開示の範囲は、本節における又は本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてもしくは本明細書の他の箇所において提示されるか、又はこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書に記載される例又は本出願の手続きの間に記載される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷被覆材を製造する方法であって、
実質的に可撓性の基材の第1の創傷に面する側を第1のコーティングでコーティングすることであって、前記基材が、前記第1の側に対向する第2の側を含み、前記基材の前記第1の側が、複数の電子構成要素を支持し、前記第1のコーティングが、前記複数の電子構成要素の少なくともいくつかに適用される、コーティングすることと、
前記第1の側を第2のコーティングでコーティングすることであって、前記第2のコーティングが、前記第1のコーティングの上に適用される、コーティングすることと、
前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を穿孔して、前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を通る複数の貫通孔を作成することであって、前記複数の貫通孔が、前記基材を通る流体の通過を容易にするように構成される、作成することと、
保護層を前記基材に接着することであって、前記保護層が、除去されて前記基材の前記第1の側を露出させるように構成される、接着することと、を含む、方法。
[付記項2]
前記基材の前記第2の側を第3のコーティングでコーティングすることをさらに含み、前記第3のコーティングが、前記第2のコーティングと同じコーティングである、付記項1に記載の方法。
[付記項3]
前記第1のコーティングが、実質的に非伸縮性のコーティングである、付記項1又は2に記載の方法。
[付記項4]
前記第2のコーティングが、実質的に伸縮性のコーティングである、付記項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[付記項5]
前記基材が、前記複数の貫通孔の穿孔中に治具によって支持され、前記治具が、前記複数の電子構成要素に対応する前記基材のエリアと位置合わせする支持支柱を含む、付記項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[付記項6]
前記基材を穿孔することが、前記複数の電子構成要素の前記レイアウトに対応するカスタム切断パターンを利用することを含む、付記項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[付記項7]
前記基材を穿孔することが、複数の実質的に円形の貫通孔を切断することを含む、付記項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[付記項8]
前記基材を穿孔することが、大面積の貫通孔を切断することを含む、付記項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[付記項9]
前記複数の電子構成要素が、前記創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み、前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている、付記項1~8のいずれか一項に記載の方法。
[付記項10]
前記第2のコーティングが、前記基材の前記第1の側の実質的に面積全体を被覆する、付記項1~9のいずれか一項に記載の方法。
[付記項11]
前記第3のコーティングが、前記基材の前記第2の側の実質的に面積全体を被覆する、付記項2~10のいずれか一項に記載の方法。
[付記項12]
前記保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分が、前記第2の部分の上に延在して、前記スリットを被覆している、付記項1~11のいずれか一項に記載の方法。
[付記項13]
前記保護層が、ハンドルを含む、付記項1~12のいずれか一項に記載の方法。
[付記項14]
創傷被覆材であって、
複数の電子構成要素を支持する第1の創傷に面する側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する、実質的に可撓性の基材と、
前記複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかに適用された実質的に非伸縮性のコーティングと、
前記基材の前記第1の側に適用された実質的に伸縮性のコーティングであって、前記伸縮性のコーティングが、前記実質的に非伸縮性のコーティングの上に適用されている、実質的に伸縮性のコーティングと、
前記基材の前記第1の側に適用された保護層であって、前記保護層が、除去されて前記基材の前記第1の側を露出させるように構成された、保護層と、を備える、被覆材。
[付記項15]
前記伸縮性のコーティング及び前記基材を通して形成された複数の穿孔をさらに備え、前記複数の穿孔が、流体の通過を容易にするように構成されている、付記項14に記載の被覆材。
[付記項16]
前記基材の前記第2の側に適用されたコーティングをさらに備え、前記コーティングが、実質的に疎水性材料を含む、付記項14又は15に記載の被覆材。
[付記項17]
前記コーティングが、前記基材の前記第1の側に適用された前記伸縮性のコーティングの材料と同じ材料を含む、付記項16に記載の被覆材。
[付記項18]
前記コーティングが、前記基材の前記第1の側に適用された前記伸縮性のコーティングの材料とは異なる材料を含む、付記項16に記載の被覆材。
[付記項19]
前記複数の穿孔が、前記基材の前記第2の側に適用された前記コーティングを通してさらに形成されている、付記項15~18のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項20]
前記複数の電子構成要素が、前記創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み、前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている、付記項14~19のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項21]
前記伸縮性のコーティングが、前記基材の前記第1の側の実質的に面積全体を被覆する、付記項14~20のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項22]
前記保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分が、前記第2の部分の上に延在して、前記スリットを被覆している、付記項14~21のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項23]
付記項14~22のいずれか一項に記載の被覆材と、前記被覆材によって被覆された前記創傷に陰圧を供給するように構成された陰圧創傷療法デバイスと、を備える、キット。
[付記項24]
前記被覆材及び前記陰圧創傷療法デバイスが、滅菌されている、付記項23に記載のキット。
[付記項25]
付記項14~22のいずれか一項に記載の被覆材の上に位置付けられるように構成された二次被覆材をさらに備える、付記項23又は24に記載のキット。
[付記項26]
創傷被覆材を製造する方法であって、
実質的に可撓性の基材の第1の創傷に面する側を第1のコーティングでコーティングすることであって、前記基材が、前記第1の側に対向する第2の側を含み、前記基材の前記第1の側が、複数の電子構成要素を支持し、前記第1のコーティングが、前記複数の電子構成要素の少なくともいくつかに適用される、コーティングすることと、
前記第1の側を第2のコーティングでコーティングすることであって、前記第2のコーティングが、前記第1のコーティングの上に適用される、コーティングすることと、
前記第1の側に、前記第2のコーティングと接触して、前記創傷接触層を接着することであって、前記創傷接触層が、創傷に接触するように構成されている、接着することと、
前記創傷接触層、ならびに前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を穿孔して、前記創傷接触層、ならびに前記第1及び第2のコーティングでコーティングされた前記基材を通る複数の貫通孔を作成することであって、前記複数の貫通孔が、前記創傷接触層及び前記基材を通る流体の通過を容易にするように構成される、作成することと、
前記創傷接触層に保護層を接着することであって、前記保護層が、除去されて前記創傷接触層を露出させるように構成されている、接着することと、
ウィッキング層を前記基材の前記第2の側に接着することであって、前記ウィッキング層が、流体の通過を容易にするように構成されている、接着することと、を含む、方法。
[付記項27]
前記第1のコーティングが、実質的に非伸縮性のコーティングである、付記項26に記載の方法。
[付記項28]
前記第2のコーティングが、実質的に伸縮性のコーティングである、付記項26又は27に記載の方法。
[付記項29]
前記ウィッキング層を前記基材の前記第2の側に接着する前に、前記第2の側を前記第2のコーティングでコーティングすることをさらに含む、付記項26~28のいずれか一項に記載の方法。
[付記項30]
前記ウィッキング層を前記基材の前記第2の側に接着する前に、前記基材の前記第2の側に接着剤を適用して、前記ウィッキング層を接着することをさらに含む、付記項26~28のいずれか一項に記載の方法。
[付記項31]
前記ウィッキング層を前記基材の前記第2の側に接着する前に、前記基材の前記第2の側の上の前記コーティングに接着剤を適用して、前記ウィッキング層を接着することをさらに含む、付記項29に記載の方法。
[付記項32]
前記被覆材を紫外線光に曝露して、前記接着剤を硬化させることをさらに含む、付記項30又は31に記載の方法。
[付記項33]
前記基材、前記第1及び第2のコーティング、前記創傷接触層、ならびに前記保護層は、紫外線光が前記基材と前記ウィッキング層との間の前記接着剤を透過して硬化することを可能にするように、透明、半透明、又は光学的に透明である、付記項32に記載の方法。
[付記項34]
前記創傷接触層が前記第2のコーティングに接着されたときに前記複数の電子構成要素を支持する前記基材のエリア上に、前記創傷接触層の孔を位置付けることをさらに含む、付記項26~33のいずれか一項に記載の方法。
[付記項35]
前記孔が、前記複数の電子構成要素の少なくとも1つの電子構成要素の円周又は外周よりもわずかに大きい、付記項34に記載の方法。
[付記項36]
前記創傷接触層及び基材が、前記複数の貫通孔の穿孔中に治具によって支持され、前記治具が、前記複数の電子構成要素に対応する前記基材のエリアと位置合わせする支持支柱を含む、付記項26~35のいずれか一項に記載の方法。
[付記項37]
前記創傷接触層及び前記基材を穿孔することが、前記複数の電子構成要素の前記レイアウトに対応するカスタム切断パターンを利用することを含む、付記項26~36のいずれか一項に記載の方法。
[付記項38]
前記創傷接触層及び前記基材を穿孔することが、複数の実質的に円形の貫通孔を切断することを含む、付記項26~37のいずれか一項に記載の方法。
[付記項39]
前記創傷接触層及び前記基材を穿孔することが、大面積の貫通孔を切断することを含む、付記項26~38のいずれか一項に記載の方法。
[付記項40]
前記複数の電子構成要素が、前記創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み、前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている、付記項26~39のいずれか一項に記載の方法。
[付記項41]
前記創傷接触層が、シリコンを含む、付記項26~40のいずれか一項に記載の方法。
[付記項42]
前記第2のコーティングが、前記基材の前記第1の側の実質的に面積全体を被覆する、付記項26~41のいずれか一項に記載の方法。
[付記項43]
前記ウィッキング層が、発泡体を含む、付記項26~42のいずれか一項に記載の方法。
[付記項44]
前記発泡体が、実質的に伸縮性である、付記項43に記載の方法。
[付記項45]
前記保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分が、前記第2の部分の上に延在して、前記スリットを被覆している、付記項26~44のいずれか一項に記載の方法。
[付記項46]
前記保護層が、ハンドルを含む、付記項26~45のいずれか一項に記載の方法。
[付記項47]
創傷被覆材であって、
複数の電子構成要素を支持する第1の創傷に面する側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する、実質的に可撓性の基材と、
前記基材の前記第2の側と接触しているウィックング層であって、前記ウィッキング層が、流体の通過を容易にするように構成されている、ウィッキング層と、
前記複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかに適用された実質的に非伸縮性のコーティングと、
前記基材の前記第1の側に適用された実質的に伸縮性のコーティングであって、前記伸縮性のコーティングが、前記実質的に非伸縮性のコーティングの上に適用されている、実質的に伸縮性のコーティングと、
前記伸縮性のコーティングと接触している創傷接触層であって、前記創傷接触層が、創傷に接触するように構成されている、創傷接触層と、
前記創傷接触層に適用された保護層であって、前記保護層が、除去されて前記創傷接触層を露出させるように構成されている、保護層と、を備える、被覆材。
[付記項48]
前記創傷接触層、前記伸縮性のコーティング、及び前記基材を通して形成された複数の穿孔をさらに備え、前記複数の穿孔が、流体の通過を容易にするように構成されている、付記項47に記載の被覆材。
[付記項49]
前記基材の前記第2の側に適用されたコーティングをさらに備え、前記コーティングが、実質的に疎水性材料を含み、前記ウィッキング層が、前記基材の前記第2の側に適用された前記コーティングと接触している、付記項47又は48に記載の被覆材。
[付記項50]
前記コーティングが、前記基材の前記第1の側に適用された前記伸縮性のコーティングの材料と同じ材料を含む、付記項49に記載の被覆材。
[付記項51]
前記コーティングが、前記基材の前記第1の側に適用された前記伸縮性のコーティングの材料とは異なる材料を含む、付記項49に記載の被覆材。
[付記項52]
前記複数の穿孔が、前記基材の前記第2の側に適用された前記コーティングを通してさらに形成されている、付記項49~51のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項53]
前記複数の電子構成要素が、前記創傷の測定値を取得するように構成された複数のセンサを含み、前記複数のセンサのうちの少なくともいくつかが、複数の電子接続によって相互接続されている、付記項47~52のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項54]
前記創傷接触層が、シリコンを含む、付記項47~53のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項55]
前記伸縮性のコーティングが、前記基材の前記第1の側の実質的に面積全体を被覆する、付記項47~54のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項56]
前記ウィッキング層が、発泡体を含む、付記項47~55のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項57]
前記発泡体が、実質的に伸縮性である、付記項56に記載の被覆材。
[付記項58]
前記保護層が、スリットによって分離された第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分が、前記第2の部分の上に延在して前記スリットを被覆している、付記項47~57のいずれか一項に記載の被覆材。
[付記項59]
付記項47~58のいずれか一項に記載の被覆材と、前記被覆材によって被覆された前記創傷に陰圧を供給するように構成された陰圧創傷療法デバイスと、を備える、キット。
[付記項60]
前記被覆材及び前記陰圧創傷療法デバイスが、滅菌されている、付記項59に記載のキット。
[付記項61]
付記項47~58のいずれか一項に記載の被覆材の上に位置付けられるように構成された二次被覆材をさらに備える、付記項59又は60に記載のキット。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11