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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】光検出のための光センサ及び検出器
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/08 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
H01L31/08 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021550179
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2020054995
(87)【国際公開番号】W WO2020173985
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】19159710.3
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,ヴィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘー,レギーナ
(72)【発明者】
【氏名】ベヒテル,ハイディ
(72)【発明者】
【氏名】アルテンベック,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ディットマン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】フォイアーシュタイン,ベルトラム
(72)【発明者】
【氏名】フプファウアー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ハンドレック,アンケ
(72)【発明者】
【氏名】グスト,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】カレッタ,ペーター パウル
(72)【発明者】
【氏名】ケルブライン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-154292(JP,A)
【文献】特開2008-109110(JP,A)
【文献】国際公開第2018/019921(WO,A1)
【文献】特開昭60-241260(JP,A)
【文献】特開2007-165865(JP,A)
【文献】特開昭57-124467(JP,A)
【文献】特開2013-055325(JP,A)
【文献】特開2000-101105(JP,A)
【文献】国際公開第2015/044529(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光センサ(110)であって、
- 基板(120)と;
- 前記基板(120)の表面(118)の第1部分(116)に適用された光導電層(112)であって、少なくとも1つの光導電性材料(114)を有する光導電層(112)と;
- 前記基板(120)の表面(118)の第2部分(126)に適用された少なくとも1つの電極層(124)であって、前記電極層(124)は前記電極層(124)の第1エッジ部分(128)を除いて厚さdを示し、前記電極層(124)の前記第1エッジ部分(128)は、前記電極層(124)の表面(134)に電極-光導電体インターフェース(132)が形成されるように、前記光導電層(112)のエッジ部分(130)によって覆われている、電極層(124)と、を含み、
前記電極-光導電体インターフェース(132)は、第1セグメント(138)、第2セグメント(140)、第3セグメント(142)を含み;
前記第1セグメント(138)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の厚さdは、前記電極層(124)の厚さdと等しく、前記第2セグメント(140)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の厚さdは、前記電極層(124)の厚さd を超えており、前記第3セグメント(142)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の厚さdは、前記第3セグメント(142)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿って、前記電極層のエッジ(146)に向かって連続的かつ単調に減少し
前記電極層(124)の厚さd に対する前記第2セグメント(140)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の最大高さh=d -d は、前記電極層(124)の厚さd を27%以下だけ超えている、光センサ(110)。
【請求項2】
前記第2セグメント(140)の長さlは、前記電極層(124)の厚さdの65%以下である、請求項1に記載の光センサ(110)。
【請求項3】
前記第3セグメント(142)の長さlは、前記電極層(124)の厚さdの20%~230%である、請求項1又は2に記載の光センサ(110)。
【請求項4】
前記電極層(124)は、
- 前記光導電層(112)に直接接する電荷キャリア層(150)であって、前記電極層(124)内及び前記光導電層(112)へ及び/又は前記光導電層(112)から電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤を含む、電荷キャリア層(150)と;
- 前記基板(120)に直接適用された結合層(152)であって、前記基板(120)の表面(118)の第2部分(126)に前記電荷キャリア層(150)を付着させるように設計された結合剤を含む、結合層(152)と;
- 前記結合層(152)に直接適用されたバリア層(154)であって、前記結合剤と前記電荷キャリア層(150)の直接接触を防止するように設計されたバリア剤を含む、バリア層(154)と、
を含む、導電性積層体(148)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光センサ(110)。
【請求項5】
前記電荷キャリア層(150)は、前記電極-光導電体インターフェース(132)において前記電荷キャリア剤のみを含む、請求項4に記載の光センサ(110)。
【請求項6】
前記電荷キャリア剤は、金の原子から選択され、前記結合剤は、チタンの原子から選択され、前記バリア剤は、ニッケル、スズ、クロム、チタン、マンガン、鉛、マグネシウムの原子から選択される、請求項4又は5に記載の光センサ(110)。
【請求項7】
前記光導電性材料(114)は、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらのドープ変形のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の光センサ(110)。
【請求項8】
前記光導電層(112)、前記少なくとも1つの電極層(124)、及び前記基板(120)の少なくとも1つのアクセス可能な表面を覆うカバー(216)をさらに備え、前記カバー(216)は、少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファスカバーである、請求項1~7のいずれか1項に記載の光センサ(110)。
【請求項9】
前記電極層(124)は、前記光導電層(112)によって覆われていない第2エッジ部分(136)を含み、前記第2エッジ部分(136)は、前記電極層(124)に電気接続を提供するように設計されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の光センサ(110)。
【請求項10】
前記基板(120)は、回路キャリア装置(206)に直接的又は間接的に取り付けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の光センサ(110)。
【請求項11】
直接的又は間接的な電気接続が、前記電極層(124)の第2エッジ部分(126)と、前記回路キャリア装置(206)との間に提供される、請求項10に記載の光センサ(110)。
【請求項12】
光学的に検出するための検出器(150)であって、
- 少なくとも1つのセンサ領域(202)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の光センサ(110)であって、光ビーム(122)による前記センサ領域(202)の照射に依存する方式で、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている、光センサ(110);及び
- 少なくとも1つの評価装置(220)であって、前記光センサ(110)の前記センサ信号を評価することにより、前記光ビーム(122)によって提供される光放射に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、評価装置(220)、
を含む、検出器(150)。
【請求項13】
光センサ(100)を製造するための方法(300)であって、以下のステップ:
a) 基板(120)を提供するステップと;
b) 電極層(124)が電極層(124)の第1エッジ部分を除いて厚さdを示すように、前記基板(120)の表面(118)の第2部分(126)に少なくとも1つの電極層(124)を適用するステップと;
c) 前記電極層(124)の第1エッジ部分(128)が光導電層(112)のエッジ部分(130)によって覆われ、それにより、電極-光導電体インターフェース(132)が前記電極層(124)の表面(134)に形成されるように、前記基板(120)の表面(118)の第1部分(116)に、少なくとも1つの光導電性材料(114)を有する光導電層(112)をさらに適用するステップと、
を含み、
前記電極-光導電体インターフェース(132)は、前記電極-光導電体インターフェース(132)が第1セグメント(138)、第2セグメント(140)、第3セグメント(142)を含むように形成され;前記第1セグメント(138)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の厚さdは、前記電極層(124)の厚さdと等しく;前記第2セグメント(140)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の厚さdは、前記電極層(124)の厚さd を超えており;前記第3セグメント(142)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の厚さdは、前記第3セグメント(142)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿って、前記電極層(124)のエッジ(146)に向かって連続的かつ単調に減少し、前記電極層(124)の厚さd に対する前記第2セグメント(140)内の前記電極-光導電体インターフェース(132)に沿った前記電極層(124)の最大高さh=d -d は、前記電極層(124)の厚さd を27%以下だけ超えている、方法(300)。
【請求項14】
前記電極層(124)は以下の、
- 前記基板(120)の表面(118)の第2部分(126)に結合層(152)を直接適用するステップであって、前記結合層(152)は電荷キャリア層(150)を前記基板(120)に付着させるように設計された結合剤を含む、ステップと;
- 前記結合層(152)上にバリア層(154)をさらに直接適用するステップであって、前記バリア層(154)は前記結合剤と前記電荷キャリア層(150)との直接接触を防止するように設計されたバリア剤を含む、ステップと;
- 前記バリア層(154)上に前記電荷キャリア層(150)をさらに直接適用するステップであって、前記電荷キャリア層(150)は、前記光導電層(112)へ及び/又は前記光導電層(112)から電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤を含む、ステップと、
によって、導電性積層体(148)として形成される、請求項13に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサ、及び、そのような光センサを有する検出器であって、光検出、特に光放射、特に赤外スペクトル範囲内の光放射の検出、特に少なくとも1つの光ビームによって提供される透過、吸収、放出及び反射のうちの少なくとも1つを感知することに関する光検出のための、又は、少なくとも1つの物体の位置、特に少なくとも1つの物体の深さ又は深さと幅の両方に関する少なくとも1つの物体の位置を決定するための、光センサ及び検出器に関する。さらに、本発明は、光センサを製造するための方法、及び、光センサと検出器の様々な使用に関する。このような装置、方法、及び使用は、セキュリティ技術の様々な分野で採用されることができる。しかし、さらなる適用も可能である。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの物体を光学的に検出するための様々な検出器が、光センサに基づいて知られている。
【0003】
WO2012/110924A1は、少なくとも1つの光センサを含む検出器を開示しており、該光センサは少なくとも1つのセンサ領域を示す。ここで、光センサは、センサ領域の照射に依存する方式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。そこに記載されているFIP効果によれば、センサ信号は、照射の総出力が同じであるとして、照射の幾何学的形状、特にセンサ領域上の照射のビーム断面に依存する。検出器は、さらに、センサ信号からの幾何学的情報の少なくとも1項目、特に照射及び/又は物体に関する幾何学的情報の少なくとも1項目を生成するように指定された少なくとも1つの評価装置を有している。
【0004】
WO2014/097181A1は、少なくとも1つの横方向光センサと、少なくとも1つの縦方向光センサとを用いて、少なくとも1つの物体の位置を決定する方法及び検出器を開示している。好ましくは、縦方向光センサのスタックが、特に物体の縦方向位置を高い精度でかつ曖昧さなく決定するために採用されている。さらに、WO2014/097181A1は、少なくとも1つの物体の位置を決定するための少なくとも1つのこのような検出器をそれぞれ備える、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システム、及びカメラを開示している。
【0005】
WO2016/120392A1は、縦方向光センサとして好適な材料のさらなる種類を開示している。ここで、縦方向光センサのセンサ領域は、光導電性材料を含み、該光導電性材料における電気伝導度は、照射の総電力が同じであるとして、センサ領域における光ビームのビーム断面に依存する。したがって、縦方向センサ信号は、該光導電性材料の電気伝導度に依存する。好ましくは、光導電性材料は、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、又は硫化銅亜鉛スズ(CZTS)から選択される。さらに、固溶体及び/又はそのドープ変形も可能である。さらに、センサ領域を有する横方向光センサが開示されており、該センサ領域は、光導電性材料の1つの層、好ましくは2つの透明な導電性酸化物の層の間、及び少なくとも2つの電極の間に埋設された光導電性材料の1つの層を有する。好ましくは、電極の少なくとも1つは、少なくとも2つの部分電極を有する分割電極であり、該部分電極によって提供される横方向センサ信号は、センサ領域内の入射光ビームのx位置及び/又はy位置を示す。
【0006】
したがって、光導電性材料を含む光導電センサがフォトレジスタとして使用されることができる。ここで、フォトレジスタの抵抗挙動は、光導電性材料の照射の変化に伴うフォトレジスタの電気抵抗の変化を観察することによって測定することができる。抵抗として、フォトレジスタは、ゼロ照射すなわち暗所を含む所与の照射でオームの法則に従うはずである。一般的に知られているように、オームの法則は、電気抵抗において、印加電圧Vと結果の電流Iの間、又は印加電流Iと結果の電圧Vの間で、線形の電流-電圧特性V~Iを記述し、したがってフォトレジスタの抵抗挙動は、印加電圧と印加電流の反転に関して対称になる。しかし、光導電性材料に隣接して配置される電極層の電極-光導電体インターフェースの実際のレイアウトに応じて、光導電体の抵抗挙動がオームの法則による線形電流-電圧特性から逸脱することが観察され得る。
【0007】
JP S60 241260Aは、光電変換ユニットとして固体走査装置上に形成されたアモルファスSi層を使用する固体画像装置を開示している。アモルファスSi層の品質の均一性を高めるために、アモルファスSi層に接触する電極端部の傾斜角度と前記電極の膜厚との積は、電極端部を十分に傾斜させた状態で10μm×度以下である。
【0008】
US2007/113886A1は、第1電極と第2電極の間に光電変換層を有する光電変換装置を開示している。ここで、第1電極は、光電変換層と部分的に接触しており、接触部分における第1電極の断面形状はテーパ形状であり、1つの伝導性タイプを有する第1半導体層の一部は第1電極と接触している。第1電極のエッジ部分の形状は、好ましくは非角形、すなわち、エッジが平面であるか湾曲した形状である。その結果、電界や応力の集中が抑制されることができ、したがって光電変換装置の特性劣化が軽減される。ここで特に開示するように、Tiは、単層膜又は積層膜で形成され得る電極に使用されることができる。
【0009】
JP S57 124467Aは、耐熱樹脂と表面を平坦化することによって、シリコン基板上のドレイン電極を被覆する、層状絶縁膜を開示している。さらに、電極が接続用に提供され、該電極は、シリコン基板上のソース電極とオーミック接触し、絶縁膜上に延長している。さらに、光導電膜は、蒸着により接続用電極上に形成される。この構成は、暗電流の発生を抑制する。
【0010】
EP1906459A2は、Tiの結合層、Auの電荷キャリア、及びNiの中間層の金属層スタックを開示している。
【0011】
WO2018/019921A1は、少なくとも1つの光導電性材料の層と、光導電性材料の層に接触する少なくとも2つの個別の電気接点と、光導電性材料の層上に堆積されたカバー層とを含む光センサを開示しており、該カバー層は、少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファス層である。該光センサは、かさばらないにもかかわらず、湿度及び/又は酸素による劣化の可能性に対して高度な保護を提供する、気密パッケージとして供給されることができる。さらに、カバー層は光導電性材料を活性化させることができ、その結果、光センサの性能を向上させる。さらに、光センサは、容易に製造され、回路キャリア装置に一体化されることができる。
【0012】
さらに、2019年1月18日に出願された欧州特許出願19152511.2は、基板と、該基板に直接又は間接的に適用された少なくとも1つの光導電性材料の層と、該光導電性材料の層に接触する少なくとも2つの個別の電気接点と、該光導電性材料と該基板のアクセス可能な表面とを覆うカバーとを備えた光センサを開示しており、該カバーは少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファスカバーである。
【0013】
上述の装置が含む利点にかかわらず、簡単で、費用効率がよく、それでも信頼性がある光センサ及び空間検出器に対する改良要求が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】WO2012/110924A1
【文献】WO2014/097181A1
【文献】WO2016/120392A1
【文献】JP S60 241260A
【文献】US2007/113886A1
【文献】JP S57 124467A
【文献】EP1906459A2
【文献】WO2018/019921A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明によって対処される問題は、この種の既知の装置及び方法の欠点を少なくとも実質的に回避する、光学的検出のための装置及び方法を特定することである。
【0016】
具体的には、特に赤外スペクトル範囲内の光放射の検出、特に透過、吸収、放出及び反射のうちの少なくとも1つを感知することに関する光検出のための、又は、少なくとも1つの物体の位置、特に少なくとも1つの物体の深さ又は深さと幅の両方に関する少なくとも1つの物体の位置を決定するための、改良された単純で、コスト効率が良く、なおかつ信頼性の高い、光センサ及び検出器を提供することが望ましい。
【0017】
さらに具体的には、線形電流-電圧特性を示す光センサを提供すること、該光センサはさらにオームの法則からの逸脱を可能な限り回避されるように印加電圧Vと印加電流Iの反転に対して対称である光センサを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現されることができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0019】
本明細書で使用される場合、「有する」、「備える」、及び「含む」という用語、ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現、ならびに「AはBを備える」、又は「AはBを含む」という表現は、B以外に、Aは1つ以上のさらなる成分及び/又は構成要素を含むという事実、及びB以外に、他の成分及び/又は構成要素がAに存在しない場合の両方を指し得る。
【0020】
本発明の第1の態様では、光センサが開示されている。ここで、本発明による光センサは、
- 基板と;
- 前記基板の表面の第1部分に適用された光導電層であって、少なくとも1つの光導電性材料を有する光導電層と;
- 前記基板の表面の第2部分に適用された少なくとも1つの電極層であって、前記電極層は、前記電極層の第1エッジ部分を除いて、厚さdを示し、前記電極層の第1エッジ部分は、前記電極層の表面に電極-光導電体インターフェースが形成されるように、前記光導電層のエッジ部分によって覆われている、電極層と、を含み、
前記電極-光導電体インターフェースは、第1セグメント、第2セグメント、第3セグメントを含んでおり;
前記第1セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿った電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しく、前記第2セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿った電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しいか、又はそれを超えており;前記第3セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿った電極層の厚さdは、前記第3セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿って、電極層のエッジに向かって連続的かつ単調に減少している。
【0021】
本明細書で使用される場合、「光センサ」は、一般的に、光ビームによるセンサ領域の照射に依存した方法で、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計された装置である。センサ信号は、一般的に、センサ領域を照射する入射光ビームの透過、吸収、放出及び反射のうちの少なくとも1つを示す任意の信号であってよく、該入射光ビームは物体によって提供されてよい。一例として、センサ信号は、デジタル信号及び/又はアナログ信号であってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。一例として、センサ信号は、電圧信号及び/又は電流信号であってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。追加的又は代替的に、センサ信号は、デジタルデータであってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。センサ信号は、単一の信号値及び/又は一連の信号値を含んでよい。センサ信号は、さらに、例えば2つ以上の信号を平均すること、及び/又は2つ以上の信号の商を形成することによってなど、2つ以上の個別の信号を組み合わせることによって導出される任意の信号を含んでもよい。
【0022】
「物体」は、一般的に、生物及び非生物から選ばれる任意の物体であってよい。したがって、一例として、少なくとも1つの物体は、1つ以上の物品及び/又は物品の1つ以上の部分を含むことができる。追加的又は代替的に、物体は、1つ以上の生物及び/又はその1つ以上の部分、例えば、人間、例えばユーザー、及び/又は動物の1つ以上の体の部分であってもよいし、それらを含んでいてもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「位置」は、一般的に、空間内の物体の位置及び/又は方向に関する任意の情報項目を指す。この目的のために、一例として、1つ以上の座標系が使用されてよい、そして、物体の位置は1つ、2つ、又は3つ以上の座標を使用して決定されてよい。本明細書において、第1座標は、光センサと物体との間の距離を指す物体の深度を指し、一方、第1座標に垂直であり得る他の2つの座標は、物体の幅を指すことができる。一例として、1つ以上のデカルト座標系及び/又は他の種類の座標系が使用されてよい。一例として、座標系は、検出器が所定の位置及び/又は方向を有する検出器の座標系であってよい。
【0024】
本発明によれば、光センサは、少なくとも1つの光導電性材料を有する光導電層を含み、該光導電層は、センサ領域として機能することができる。一般的に使用されるように、「層」という用語は、2つの延長表面を有し、それら広い表面の間に側面が配置されている延ばされた本体を指す。本明細書で使用される場合、「センサ領域」は、光ビームによる光センサの照射を受けるように設計された光センサの区画と考えられ、該照射は、センサ領域によって受信されるという方式で、少なくとも1つのセンサ信号の生成を引き起こし、該センサ信号の生成は、センサ信号とセンサ領域の照射の態様との間の定義された関係によって支配され得る。本発明によれば、センサ領域は、光導電層又はその区画によって形成される。特定の実施形態では、光導電層は、少なくとも2つの個別のセンサ領域、好ましくは個別のセンサ領域のアレイを含むことができ、該センサ領域は、「共通基板」とも呼ばれる同一の基板に直接又は間接的に適用され、該同一の基板は、したがってかなり大きな面積を示すことができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「光導電性材料」という用語は、電流を維持することができ、したがって、特定の電気伝導度を示す材料を指し、電気伝導度は特に、材料の照射に依存する。電気抵抗率は、電気伝導度の逆数値として定義されるため、代替的に、「光抵抗性材料」という用語もまた同じ種類の材料を示すために使用され得る。本発明の目的のために、光センサのセンサ領域で使用される光導電性材料は、好ましくは、無機光導電性材料、及び/又はその固溶体、及び/又はそのドープ変形を含むことができる。本明細書で使用される場合、「固溶体」という用語は、少なくとも1種の溶質が溶媒中に含まれ、それによって均一相が形成され、そこでは溶媒の結晶構造が一般的に溶質の存在によって不変であり得る、光導電性材料の状態を指す。例として、2成分のセレン化鉛(PbSe)は硫化鉛(PbS)中で溶解され、PbS1-xSeに至ることができ、そこではxの値は0から1の範囲で変動し得る。本明細書でさらに使用される場合、「ドープ変形」という用語は、材料自体の成分から離れた単一の原子が、非ドープ状態では固有原子によって占有される結晶内の部位に導入される光導電性材料の状態を指し得る。
【0026】
これに関して、無機光導電性材料は、特に、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素又は化合物、すなわち第4族に属する元素又は少なくとも1つの第4族元素を有する化合物、第3族-第5族化合物、すなわち少なくとも1つの第3族元素と少なくとも1つの第5族元素を有する化合物、第2族-第6族化合物、すなわち、一方で、少なくとも1つの第2族元素又は少なくとも1つの第12族元素を有し、他方で、少なくとも1つの第6族元素を有する化合物、及び/又はカルコゲニドであって、好ましくは硫化カルコゲニド、セレン化カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元カルコゲニド及びそれ以上のカルコゲニドからなる群から選択されるカルコゲニド、のうちの1つ以上であるか、それらを含んでいる。一般に使用されるように、「カルコゲニド」という用語は、酸化物、すなわち硫化物、セレン化物、及びテルル化物以外の周期表の第16族元素を含み得る化合物を指す。さらに、「カルコゲニド」という用語は、スルホキシド、スルホセレニド、セレニドテルリドなどの混合カルコゲニドを指すこともある。しかしながら、他の無機光導電性材料も同様に適切であり得る。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの光導電性材料は、硫化カルコゲニド、好ましくは硫化鉛(PbS)、セレン化カルコゲニド、好ましくはセレン化鉛(PbSe)、三元カルコゲニド、好ましくはスルホセレン化鉛(PbSSe)、又は他の適切な材料を含み得る。少なくとも前述された好ましい光導電性材料は、一般に、赤外スペクトル範囲内に特徴的な吸収特性を示すことが知られているため、前述された好ましい光導電性材料を含む層を有する光センサは、好ましくは、赤外センサとして使用され得る。しかしながら、他の実施形態及び/又は他の光導電性材料、特にWO2018/019921A1に開示されているような光導電性材料もまた可能である。
【0028】
前述の光導電性材料に関して、15nmを超える大きさを示す少なくとも数個の結晶を含み得る材料の層が含まれ得る。ここで、光導電層光導電は、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、逐次イオン吸着及び反応、化学浴堆積、ならびに溶液-気体インターフェース技術からなる群から選択される少なくとも1つの蒸着法を適用して製造されることができる。その結果、光導電層は、10nm~100μm、好ましくは100nm~10μm、より好ましくは300nm~5μmの厚さを示すことができる。しかし、上述の及び/又は後述の他の光導電性材料も、この目的のために可能であり、同じ又は類似の方法で処理されてよい。
【0029】
好ましくは、光導電性材料は、特に光導電層に機械的安定性を与えるために、より詳細に後述するように基板の表面上の第1部分にそれぞれの材料を堆積させることによって製造されることができる。このようにして、適切な基板上に選択された層を堆積し、少なくとも2つの電気接点を設けることにより、本発明による光センサをこのように得ることができ、該電気接点の少なくとも1つ、好ましくは、すべてが、本明細書に記載された電極層として提供され得る。ここで、入射光ビームによるセンサ領域内の光導電性材料の照射は、光導電性材料の照射された層における電気伝導度の変化をもたらす。特定の実施形態では、基板は、導電性基板であってもよく、又はそれを含んでいてもよく、導電性基板及び光導電性材料の少なくとも1つの層との間に追加の絶縁性中間層が存在していてよい。
【0030】
上に示したように、個々の電気接点は、電極層に適用されることができ、特に、個々の電気接点のうちの2つが互いに電気的に絶縁されるように適用されることができる。本発明によれば、任意の、又は、好ましくは、すべての電気接点が、以下により詳細に説明するように、電極層を含む。したがって、少なくとも1つの電極層は、基板表面の第2部分に適用され、一方、既に上で示したように、光導電層は基板表面の第1部分に堆積される。本明細書で使用される場合、「部分」という用語は、基板の表面の任意の部分を指し、ここで「第1」及び「第2」という用語は、それぞれの部分を互いから区別することのみを意図している。さらに、本発明によれば、電極層と光導電層は、電極層の第1エッジ部分が光導電層のエッジ部分で覆われるように設けられており、これにより、電極層の表面に電極-光導電体インターフェースが形成されている。以下でより詳細に説明するように、電極層はさらに、第2エッジ部分を備え、該第2エッジ部分は光導電層によって覆われておらず、このため、1つ以上の電気接点が電極層に適用されることを可能にし、該少なくとも1つの電気接点は、1つ以上のリード線を介して外部回路への電気接続を提供するために使用されることができる。一般的に使用されるように、「エッジ部分」という用語は、対応する層の終端部分を指す。その結果、電極層の第1エッジ部分及び第2エッジ部分は、好ましくは、電極層の対向する側など、互いから離れた電極層の位置に配置されることができる。
【0031】
さらに、電極層は、厚さdを示すように、特に以下に詳細に説明するように、電極層の第1エッジ部分を除いて、電極層全体にわたって延びる均一な厚さを示すように設けられている。好ましい実施形態では、電極層の厚さdは、5nmから、好ましくは10nmから、より好ましくは20nmから、最も好ましくは25nmから、1000nmまで、好ましくは500nmまで、より好ましくは250nmまで、最も好ましくは200nmまでであり得る。一般的に使用されるように、層の「厚さ」という用語は、上で定義したように、層の2つの延長表面に対して一般的に垂直な直径に割り当てることができる値を意味する。一般的に、厚さの測定値は、好ましくは、光学的調査方法及び高解像度光学顕微鏡などの装置を適用して、そこから層の2つの延長表面に対して垂直な直径の値を決定することができる光センサのサンプルのプロファイルの画像を生成することによって得られる。ただし、他の調査方法や装置も実現可能である。
【0032】
すでに上で述べたように、電極-光導電体インターフェースが電極層を覆う光導電層のエッジ部分に接している電極層の表面に形成されている。一般的に使用されるように、「インターフェース」という用語は、隣接する2つの層の間に自然に生じる境界のことを指す。この点に関して、本明細書における電極-光導電体インターフェースは、好ましくは蒸着金属層として、以下に示すように、特に、好ましくは結晶性半導体として結晶間などにピンホール及び多孔質構造を含み得るより明確でない表面を示す光導電層の表面とは対照的に、明確な表面を示す電極層表面を指すことは強調される。したがって、電極-光導電体インターフェースに関するすべての特徴は、特に明記しない限り、電極層を覆う光導電層のエッジ部分に接する電極層の表面に関係する。この考察に基づき、電極-光導電体インターフェースは、第1セグメント、第2セグメント、及び第3セグメントを含み、第2セグメントが第1セグメントに隣接し、第3セグメントは第2セグメントに隣接している。一般的に使用されるように、「セグメント」という用語は、本明細書において、電極層を覆う光導電層のエッジ部分に接する電極層の表面の区画を指す。したがって、光導電層のエッジ部分に覆われた電極層の表面の区画は、電極-光導電体に沿って連続的に配置された3つの個々の区画に分割される。さらに一般的に使用されるように、「(隣)接する」又は「(隣)接している」という用語は、2つの層の対向する側が互いに当接する、上記で定義されるような2つの層の配置を指す。さらなる詳細については、以下の図及びそれぞれの説明を参照されたい。
【0033】
まず、第1セグメントは、光導電層のエッジ部分で覆われていない電極層の表面の区画に隣接している。ここで、第1セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿った第1セグメント内の電極層の厚さdは、該第1セグメント内の電極層の厚さdが電極層の厚さdと等しくなるように、厚さを変更しない。ここで一般的に使用されるように、「等しい」という用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは3%以内の同じ値を想定していることを指す。
【0034】
さらに、第2セグメントは、第1セグメントに隣接している。ここで、第2セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿った電極層の厚さdは、電極層の厚さdと等しくてもよく、又は好ましくは電極層の厚さdを超えていてもよい。ここでも「等しい」という用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは3%以内の同じ値を想定することを指す。特に好ましい実施形態では、電極層の厚さdに対する第2セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿った電極層の最大高さh=d-dは、しかしながら、電極層の厚さdを27%以下、より好ましくは17%以下、最も好ましくは7%以下だけ超えているのが好ましい。
【0035】
さらに、第3セグメントは、第2セグメントに隣接し、光導電層に向かう方向で電極層のエッジに向かって延びている。その結果、電極層のエッジ部分は、光導電層が基板の表面上に直接堆積された基板表面の第1部分で終端する。ここで、第3セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿った電極層の厚さdは、第3セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿って、電極層のエッジに向かって光導電層に向かう方向で連続的かつ単調に減少する。本明細書で使用される場合、「単調に」という用語は、電極層の厚さdが、第3セグメント内で電極-光導電体インターフェースに沿って常に減少するという特徴を指し、一方、「連続的に」という用語は、該減少の途中で中断が生じないというさらなる特徴を指す。
【0036】
ここで、電極層のそれぞれの延長部に沿った第1セグメントの長さlは、好ましくは15μm~2500μm、より好ましくは30μm~1800μm、最も好ましくは45μm~950μmであり、これは電極層の厚さdの150~25000倍、より好ましくは300~18000倍、最も好ましくは450~9500倍にほぼ等しい。
【0037】
さらに、電極層のそれぞれの延長部に沿った第2セグメントの長さlは、電極層の厚さdの好ましくは65%以下、より好ましくは45%以下、最も好ましくは15%以下とすることができる。これらの値は、lがゼロと等しい実施形態を明示的に含む。これとは対照的に、電極層のさらなる延長に沿った第3セグメントの長さlは、電極層の厚さdの、好ましくは20%~230%、より好ましくは35%~170%、最も好ましくは55%~145%であり得る。
【0038】
ここで、電極層は、金、銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、又はチタンのうちの1つ以上から選択される蒸着金属層であってよく、又はそれを含んでいてもよい。あるいは、電極層は、グラフェンの層であってよく、又はそれを含んでいてもよい。本明細書において、蒸着金属層は、公知の蒸着技術によって容易に提供することができ、該技術は、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、逐次イオン吸着及び反応、化学浴堆積、ならびに溶液-気体界面技術からなる群から選択される。
【0039】
しかし、本発明の特に好ましい実施形態では、電極層は、電荷キャリア層、結合層、及びバリア層を含む導電性積層体であってよく、又はそれを含んでいてもよい。
【0040】
したがって、電荷キャリア層は、電極層内で、及び光導電層へ及び/又は光導電層から、電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤を含んでよい。一般的に使用されるように、「電荷キャリア」という用語は、特定の層内で電荷が電子又は正孔として移動し、その結果、1つ以上の隣接する層に輸送されることを可能にする実体を指す。好ましくは、電荷キャリア層は、このように光導電層に直接隣接するように配置されることができ、したがって、隣接する光導電層へ及び/又は隣接する光導電層からの電荷キャリアの輸送を容易にする。この目的のために、電荷キャリア層は、好ましくは、金、銀、銅、白金、ロジウム、ニッケル、スズ、鉛、亜鉛、タングステン、アルミニウム、カルシウム、ガリウム、クロム、チタン、マンガン、ベリリウム、マグネシウムのうちの少なくとも1つから選択される原子を含んでいてよい。
【0041】
さらに、結合層は、好ましくは直接的な方法で、基板に適用されてよい。したがって、結合層は、電荷キャリア層を基板表面の第2部分に付着させるように設計され得る結合剤を含んでよい。この目的のために、結合層は、好ましくは、チタン、クロム、スズ、ベリリウム、マグネシウム、銀、亜鉛、カルシウム、ジルコニウム、ニッケル、アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択される原子を含んでいてよい。
【0042】
ここで、結合層の厚さは、0.1nmから、好ましくは0.5nmから、より好ましくは1nmから、最も好ましくは2nmから、20nmまで、好ましくは16nmまで、より好ましくは10nmまで、最も好ましくは7nmまでであり得る。
【0043】
さらに、バリア層が、好ましくは直接的な方法で、結合層に適用されてよい。ここで、バリア層は、結合剤と電荷キャリア層との直接的な接触を防止するように設計されたバリア剤を含んでいてよい。結果として、電極層を覆う光導電層のエッジ部分に隣接する電極層の表面は、単一種類の金属又は合金のみを含み得る。その結果、電極-光導電体インターフェースは結合剤やバリア剤から解放されることができ、したがって、光センサの線形電流-電圧特性に寄与することができる。この目的のために、バリア層は、好ましくは、ニッケル、スズ、クロム、チタン、マンガン、鉛、マグネシウムのうちの少なくとも1つから選択される原子、好ましくは、スズ、ニッケル、クロム、マグネシウムのうちの少なくとも1つから選択された原子を含み得る。
【0044】
ここで、バリア層の厚さは、5nmから、好ましくは16nmから、より好ましくは27nmから、最も好ましくは38nmから、170nmまで、好ましくは140nmまで、より好ましくは95nmまで、最も好ましくは83nmまでであり得る。
【0045】
少なくとも1つの電極層から1つ以上の電気接点を介した外部回路への直接電気接続は、技術水準から知られる任意の既知の手段、例えば、めっき、溶接、はんだ付け、ワイヤボンディング、超音波熱圧着、ステッチボンディング、ボールボンディング、ウェッジボンディング、コンプライアントボンディング、熱圧着、陽極接合、直接ボンディング、プラズマ活性化接合、共晶接合、ガラスフリットボンディング、接着結合、過渡液相拡散接合、表面活性化接合、テープ自動接合、又は、高導電性物質、特に金、ベリリウムドープ金、銅、アルミニウム、銀、白金、又はパラジウム、ならびに上述の金属のうちの少なくとも1つを含む合金のような金属を接触領域に堆積させることによって提供されることができる。
【0046】
その結果、光ビームがセンサ領域に衝突すると、少なくとも2つの電気接点は、光導電性材料の電気伝導度に依存するセンサ信号を提供することができる。「光ビーム」という用語は一般的に、特定の方向へ放出される、光の量を指す。したがって、光ビームは、光ビームの伝播方向に対して垂直な方向に所定の広がりを有する光線の束であり得る。好ましくは、光ビームは1つ以上のガウス光ビームであるか、又はそれを含んでいてよく、該ガウス光ビームは、ビームウエスト、レイリー長、又は任意のその他ビームパラメータ、又はビーム径の広がり及び/又は空間でのビーム伝播を特徴付けるのに適したビームパラメータの組合せ、のうちの1つ以上などの1つ以上のガウスビームパラメータによって特徴付けられてよい。ここで、光ビームは物体自体によって発せられ得る、すなわち物体から発生し得る。追加的又は代替的に、光ビームの別の発生源も実現可能である。このように、以下でさらに詳しく概説されるように、1つ以上の照射源が提供されてよく、該照射源は、所定の特徴を有する1つ以上の一次光線もしくはビームなどの、1つ以上の一次光線もしくはビームを使用して物体を照射する。後者の場合、物体から検出器へと伝播する光ビームは、物体及び/又は物体に接続された反射装置により、反射される光ビームであってよい。
【0047】
さらに、一般的に使用されるように、「基板」という用語は、材料の層、特に本明細書で使用されるような光導電性材料の層を担持し、特に光導電性材料の層に機械的安定性を与えるために適合された延ばされた本体を指す。さらに、「直接的に」という用語は、光導電性材料の層と基板の直接的な取付けを指し、「間接的に」という用語は、結合層などの少なくとも1つの中間層を介した光導電性材料の層と基板の取付けを指す。好ましくは、基板は、層の厚さを少なくとも5倍、好ましくは少なくとも25倍、より好ましくは少なくとも100倍を上回る横方向の延長を有している層として提供されてよい。特に、基板の厚さは、10μm~2000μm、好ましくは50μm~1000μm、より好ましくは100μm~500μmであってよい。
【0048】
好ましくは、基板及びカバーの少なくとも1つは、選択された波長範囲内で光学的に透明であり得る。したがって、カバーに使用される金属含有化合物を、特に適切な吸収特性を示すことにより、好ましくは所望の波長範囲内で光学的に透明であるように選択することが、有利であり得る。代替的に又は追加的に、基板に適用される材料は所望の波長範囲内で光学的に透明な特性を示してよい。特に、この特徴は、基板が十分な透明性を示すことができる限り、所望の波長範囲内で光学的に透明ではない可能性がある金属含有化合物のより広範囲な材料選択を可能にする。この目的のために、基板は、特に、少なくとも1つの少なくとも部分的に透明な絶縁材料を含み得、該基板材料は、好ましくは、ガラス、石英、溶融シリカ;シリコン又はゲルマニウムなどの弱くドープされた半導体;金属酸化物又はセラミック材料、特にサファイア(Al);金属又は半導体材料、特にアルミニウムドープ酸化スズ(AZO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、硫化亜鉛(ZnS)又はセレン化亜鉛(ZnSe);のうちの少なくとも1つから選択されることができ、ここでは、ガラス又はシリコンが特に好ましい。
【0049】
特に好ましい実施形態では、基板は、回路キャリア装置、例えばプリント回路基板(PCB)などに直接又は間接的に適用されることができる。本明細書において、「プリント回路基板」という用語は、通常「PCB」と略され、電気的に非導電性の平面基板を指し、その上に少なくとも1層の導電性材料、特に銅層が適用され、具体的には基板上に積層される。1つ以上の電子的、電気的、及び/又は光学的要素をさらに含むこのタイプの回路キャリアを指す他の用語は、プリント回路アセンブリ、略して「PCA」、プリント回路基板アセンブリ、略して「PCBアセンブリ」又は「PCBA」、回路カードアセンブリ又は略して「CCA」又は単に「カード」と示されることもある。PCBでは、基板は、ガラスエポキシを含むことができ、そこでは、フェノール樹脂を含浸させた綿紙(典型的には黄褐色又は茶色)も基板材料として使用されることができる。シートの数に応じて、プリント回路基板は、片面PCB、2層もしくは両面PCB、又は多層PCBであり得、そこでは、異なるシートは、いわゆる「ビア(vias)」を使用することによって互いに接続される。本発明の目的のためには、片面PCBの適用で十分かもしれない;しかし、他の種類のプリント回路基板も適用可能であり得る。両面PCBは両面に金属を有することができ、一方、多層PCBは、追加の金属層を絶縁材料のさらなる層の間に挟むことにより設計され得る。多層PCBにおいては、層は交互に積層され得、各金属層は個々にエッチングされ、内部ビアは複数層が一緒に積層される前にめっきされ得る。さらに、ビアは、絶縁基板を通る導電性経路として好ましくは設計され得る銅めっき穴であってもよく、又はそれを含んでいてもよい。
【0050】
光導電性材料の層、対応の電気接点、及び該当する場合のさらなる層を担持する基板は、具体的には、接着、はんだ付け、溶接、又はその他の方法によりPCBなどの回路キャリア装置上に配置され、あるいは、回路キャリア装置の隣接表面に直接又は間接的に堆積されることができる。例えば、基板は、基板とPCBなどの回路キャリア装置の隣接表面の間に配置される接着剤の薄膜によって、PCBなどの回路キャリア装置に取り付けられてよい。プリント回路基板のさらなる実施形態については、https://en.wikipedia.org/wiki/Printed_circuit_boardを参照されたい。しかし、代替的に、他の種類の回路キャリアも適用されることができる。
【0051】
特定の実施形態では、光センサは、光導電性材料の、好ましくは基板のアクセス可能な表面を覆うカバーをさらに備える。一般的に使用されるように、「アクセス可能な表面」という語は、本体の、特に光導電層材料及び該当する場合は基板の部分であって、光センサを取り囲む大気によって到達可能な部分を指す。好ましくは、カバーは、光導電層の上面及び側面、ならびに、好ましくは基板の少なくとも側面に直接接触し得る方式で、適用されてよい。すでに上記で示したように、基板は光導電層を担持しており、したがって光導電層の上面は、基板に直接又は間接的に適用されていない光導電層の広い表面を指す。すでに上記で示したように、「層」という用語は、2つの広い表面を有し、それら広い表面の間に側面が配置されている延ばされた本体を指す。光導電性材料と、任意に基板は層として提供されているため、それぞれが側面を含んでいる。好ましくは、カバーは、特に基板が特に上述したような方式でPCBなどの回路キャリア装置に取り付けられる好ましい構成で、光導電層と基板の側面の両方のアクセス可能な表面を完全に覆うことができる。カバーは、光導電層と好ましくは基板の側面の両方を連続的に覆う連続コーティングであってよい。光導電性材料及び基板の両方のアクセス可能な表面をすべて覆うことは、したがって、光導電層材料又は基板材料と周囲雰囲気の直接接触を防止することができ、それによって、湿度及び/又は酸素などの外的影響による光導電性材料の劣化を回避することができる。このように、カバーは、光導電性材料のための改良された封入を提供するように適合され得る。本明細書で使用される場合、「封入」という用語は、特に、周囲雰囲気に含まれる湿度及び/又は酸素などによる外的影響による、光センサ又はその区画、特に光センサのセンサ領域内に含まれる光導電性材料の部分的又は完全な劣化を可能な限り回避するためのパッケージ、好ましくは気密パッケージを指し得る。ここで、パッケージは、好ましくは、光導電性材料のすべてのアクセス可能な表面を覆うように適合されることができ、ここで、光導電層は、光導電性材料の表面のパーティションを保護するように既に適合されている基板に堆積され得るということは考慮されてよい。好ましくは、カバーを堆積させるために、少なくとも1つの堆積方法を使用することができる。この目的のために、該少なくとも1つの堆積方法は、特に、原子層堆積、化学気相堆積、スパッタリングプロセス、又はそれらの組合せから選択されてよい。結果として、カバーは、特に好ましい実施形態では、原子堆積コーティング、化学気相堆積コーティング、スパッタコーティング、又は上記の堆積方法の少なくとも2つを使用することにより生成されたコーティングであるか、又はそれらを含んでいてもよく、原子堆積コーティング又は原子堆積コーティングとスパッタリングの組合せを使用して生成されたコーティングが特に好ましい。
【0052】
したがって、カバーは、少なくとも1つの金属含有化合物を含み得る。本明細書において、金属含有化合物は、金属を含むことができ、該金属は、特に、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、及びBiからなる群から選択され得る。特定の実施形態では、金属含有化合物は、代替的に「メタロイド」とも呼ばれることもある半金属を含むことができ、この半金属は、B、Si、Ge、As、Sb及びTeからなる群から選択され得る。好ましくは、少なくとも1つの金属含有化合物は、Al、Ti、Ta、Mn、Mo、Zr、Hf、及びWからなる群から選択され得る。
【0053】
さらに、少なくとも1つの金属含有化合物は、好ましくは、酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクチド、カーバイド、又はそれらの組合せを含む群から選択され得る。既に上記で定義したように、「カルコゲニド」という用語は、酸化物、すなわち硫化物、セレン化物、及びテルル化物以外の周期表の第16族元素を含み得る化合物を指す。同様に、「プニクチド」という用語は、好ましくは、周期表の第15族元素、すなわち窒化物、リン化物、ヒ化物及びアンチモン化物を含み得る二成分の化合物を指す。例として、カバーに含まれる金属含有化合物は、酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムを含む組成物であってよく、これは、一般的に使用されるように、便宜上Alとも示される。特に、カバーに使用される金属含有化合物が、特に、適切な吸収特性を示すことによって、好ましくは、所望の波長範囲内で光学的に透明であるように選択することが有利であり得る。代替的に又は追加的に、基板に適用される材料は、所望の波長範囲内において光学的に透明な特性を示すことができる。特に、この特徴は、基板が十分な透明性を示す限り、所望の波長範囲内おいて光学的に透明でない金属含有化合物のための、より広範囲の材料を選択することを可能にすることができる。
【0054】
カバーは、10nm~600nm、好ましくは20nm~200nm、より好ましくは40nm~120nm、最も好ましくは50~95nmの厚さを示し得る。ここで、カバーは、光導電性材料の隣接する表面、又は場合によっては基板の隣接する表面に関して共形(conformal)であり得る。上で定義したように、共形カバーの厚さは、したがって、±50nm、好ましくは±20nm、最も好ましくは±10nmの偏差内で光導電性材料又は基板の対応する表面に追従してよく、該偏差は、カバーの表面の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%で生じ、これによってカバー表面に存在し得る如何なる汚染又は不完全性を除外することができる。
【0055】
さらに、カバーは、光導電性材料の封入を提供する上述の機能に加えて、同時に、さらなる機能を示し得る。これに関して、金属含有化合物は、同時に所望のさらなる機能を発揮することができるように、特に選択され得る。特に、カバーに使用される金属含有化合物は、適切な反射防止材料として適格されるために、高い屈折率、好ましくは少なくとも1.2、より好ましくは少なくとも1.5の屈折率を示し得る。さらに、カバーは、特に、耐スクラッチ性、親水性、疎水性、自己清浄性、防曇性、及び導電性から選択されるさらなる機能性を示すことができる。他の種類の機能性、特に高誘電率性も、可能であり得る。特に選択された機能の目的のために、カバーは、カバーの所望のさらなる機能を達成するために加えられる1つ以上の安定化剤などの1つ以上の添加剤をさらに含み得る。特に、カバーは安定剤としてガラス又はガラス粒子を含み得る。しかしながら、他の種類の添加剤もまた実現可能である。
【0056】
特定の実施形態において、特に、カバーに所望のさらなる機能を提供することが適切ではない場合、又は選択されたカバーによって提供されるさらなる機能の程度が十分ではない場合、カバーは、カバー上に少なくとも部分的に堆積された少なくとも1つの追加の層によって少なくとも部分的にさらに覆われてよい。代替又は追加として、該少なくとも1つの追加の層は、光導電層及びカバーの間に少なくとも部分的に堆積されてよい。好ましくは、追加の層はさらなる機能であり得るか又はそれを示すことができ、したがって、追加の層は、反射防止層、光フィルタ層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、高誘電率層、又は導電層のうちの少なくとも1つを含むことができる。ここで、当業者は、少なくとも1つの追加の層を容易に選択し提供することができる。しかしながら、他の実施形態もまた可能であり得る。
【0057】
好ましい実施形態では、カバーは、部分的に又は完全に、電気接点、特に少なくとも1つの電極層の第2エッジ部分を覆っていてもよい。ここで、電気接点は、金又はアルミニウムワイヤなどのワイヤを使用することによって結合可能であってよく、そこでは、電気接点は、好ましくは、カバーを通して結合可能であってよい。特定の実施形態では、接着層が電気接点に設けられてよく、その場合、接着層は特に結合に適合するようにされてよい。この目的のために、接着層は、Ni、Cr、Ti、又はPdのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0058】
カバー及び追加層に関するさらなる詳細については、WO2018/019921A1及び2019年1月18日に出願された欧州特許出願19152511.2を参照されたい。
【0059】
本発明のさらなる態様では、光検出のための検出器、特に赤外スペクトル範囲内の光放射の検出、特に、少なくとも1つの光ビームによって提供される透過、吸収、放出及び反射のうちの少なくとも1つを感知することに関する検出器、又は、少なくとも1つの物体の位置を決定するための、具体的には少なくとも1つの物体の深度又は深度と幅の両方に関して少なくとも1つの物体の位置を決定するための検出器が、開示される。本発明によれば、少なくとも1つの物体の光検出のための検出器は、
- 本明細書の他の部分に記載された少なくとも1つの光センサであって、前記光センサは、少なくとも1つのセンサ領域を含み、前記光センサは、光ビームによる前記センサ領域の照射に依存する方式で、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている、光センサ;及び
- 少なくとも1つの評価装置であって、前記評価装置は、前記光センサの前記センサ信号を評価することにより、前記光ビームによって提供される光放射に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、評価装置、
を含む。
【0060】
本明細書において、挙げられた構成要素は、別個の構成要素であってよい。あるいは、2つ以上の構成要素が1つの構成要素に統合されていてもよい。さらに、少なくとも1つの評価装置は、好ましくは、光学レンズ、ミラー、ビームスプリッタ、光フィルタ、及び光センサのうちの少なくとも1つから選択されてよい転送装置から独立した別個の評価装置として形成されてよく、しかし、好ましくは、センサ信号を受信するために、光センサに接続されてよい。あるいは、少なくとも1つの評価装置は、完全に又は部分的に光センサに一体化されてもよい。
【0061】
本発明によれば、検出器は、本文書の他の部分に記載されているような光センサのうちの少なくとも1つを含んでいる。したがって、検出器は、好ましくは、赤外(IR)スペクトル範囲が特に好ましい場合がある、かなり広いスペクトル範囲で、電磁放射を検出するように設計されてよい。ここで、光センサのセンサ領域内の光導電層のために、2.6μmまでの波長においては、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、3.1μmまでの波長においてはヒ化インジウム(InAs)、3.5μmまでの波長においては硫化鉛(PbS)、5μmまでの波長においてはセレン化鉛(PbSe)、5.5μmまでの波長においてはアンチモン化インジウム(InSb)、16μmまでの波長においてはテルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)が特に選択されることができる。
【0062】
本明細書で使用される場合「評価装置」という用語は、一般的に、情報項目、すなわち、透過、吸収、放出及び反射のうちの少なくとも1つ、又は少なくとも1つの物体の感知に関する、又は少なくとも1つの物体の位置、特に該少なくとも1つの物体の深度又は深度と幅の両方に関する少なくとも1つの物体の位置を決定するための、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の集積回路、及び/又は1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は1つ以上のコンピュータ、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラなどの1つ以上のデータ処理装置であるか、又はこれらを備え得る。追加の構成要素は、例えば1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタなどのセンサ信号を受信及び/又は前処理するための1つ以上の装置などの1つ以上の前処理装置、及び/又はデータ収得装置などによって構成され得る。本明細書で使用される場合、センサ信号は、一般的に、縦方向センサ信号のうちの1つ、及び、該当する場合は横方向センサ信号を指すことができる。さらに、評価装置は、1つ以上のデータ保存装置を含み得る。さらに、上記で概説したとおり、評価装置は、1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースなどの1つ以上のインターフェースを含み得る。
【0063】
光検出のための検出器又はその任意の構成要素、特に評価装置に関するさらなる情報については、WO2014/097181A1、WO2018/019921A1及び2019年1月18日に出願された欧州特許出願19152511.2を参照されたい。
【0064】
本発明のさらなる態様では、光センサを製造する方法が開示されている。該方法は、この文書の他の部分でさらに以下で詳細に開示されている1つ以上の実施形態による少なくとも1つの光センサなどの、本発明による少なくとも1つの光センサを、生産又は製造するために好ましくは使用されてよい。したがって、本方法の任意の実施形態については、光センサの様々な実施形態の説明を参照することができる。
【0065】
この方法は、与えられた順序で又は異なった順序で実行されることができる以下のステップを含む。さらに、記載されていない追加の方法ステップが提供されてもよい。特に明記されない限り、方法ステップのうちの2つ以上、又はすべてさえも、少なくとも部分的に同時に実行されてよい。さらに、方法ステップの2つ以上又はすべてさえも、2回以上繰り返し実行されてよい。
【0066】
本発明による方法は、以下のステップ:
a) 基板を提供するステップと;
b) 電極層の第1エッジ部分を除く電極層が厚さdを示すように、前記基板の表面の第2部分に少なくとも1つの電極層を適用するステップと;
c) 前記電極層の第1エッジ部分が光導電層のエッジ部分によって覆われ、それにより、電極-光導電体インターフェースが前記電極層の表面に形成されるように、前記基板の表面の第1エッジ部分(基板表面の第2部分or電極層の第1エッジ部分)に少なくとも1つの光導電性材料を有する光導電層をさらに適用するステップと、
を含み、
前記電極-光導電体インターフェースは、前記電極-光導電体インターフェースが第1セグメント、第2セグメント、第3セグメントを含むように形成され;前記第1セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しく;前記第2セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しいか、又はそれを超えており;前記第3セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記第3セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿って、前記電極層のエッジに向かって連続的かつ単調に減少している。
【0067】
ステップa)によれば、基板が提供される。特に、基板のそれぞれの材料は、上記の対応する材料のリストから選択することができる。
【0068】
ステップb)によれば、少なくとも1つの電極層は、電極層が電極層の第1エッジ部分を除いて厚さdを示すように、基板の表面の第2部分に、好ましくは直接適用される。好ましくは、電極層は、基板の表面の第2部分に、好ましくは公知の蒸着技術を用いて、蒸着金属層を堆積させることによって適用されてよく、該金属層は、特に、銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、チタン、金、又はグラフェンのうちの1つ以上を含むことができる。あるいは、電気接点は、無電解Ni、無電解Au、ガルバニックNi、又はガルバニックAuなどの、ガルバニック又は化学堆積プロセスによって設けられることができる。
【0069】
ステップc)によれば、さらに、少なくとも1つの光導電性材料を有する光導電層が、電極層の第1エッジ部分も光導電層のエッジ部分によって覆われるように、基板の表面の第1部分にさらに適用される。その結果、電極-光導電体インターフェースが、該電極-光導電体インターフェースが、この文書の他の部分でより詳細に記載されているように、延長部と厚さを有する第1セグメント、第2セグメント、及び第3セグメントを含むように、電極層の表面に形成される。
【0070】
本発明の特に好ましい実施形態では、電極層は以下の、
- 基板の表面の第2部分に結合層を直接適用するステップであって、前記結合層は電荷キャリア層を前記基板に付着させるように設計された結合剤を含む、ステップと;
- 前記結合層の上にバリア層をさらに直接適用するステップであって、前記バリア層は前記結合剤と前記電荷キャリア層との直接接触を防止するように設計されたバリア剤を含む、ステップと;
- 前記バリア層上に前記電荷キャリア層をさらに直接適用するステップであって、前記電荷キャリア層は前記光導電層へ及び/又は前記光導電層から電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤を含む、ステップと、
によって、導電性積層体として形成されることができる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「直接」という用語は、それぞれの層がそれぞれのベースに直に取り付けられることを指す。電荷キャリア層、結合層、及びバリア層に関するさらなる詳細については、この文書の他の部分の記載を参照されたい。
【0072】
すでに上述したように、さらに、少なくとも1つのカバーは、光導電性材料のアクセス可能な表面上に、好ましくは、基板のアクセス可能な表面上にも堆積されてよい。代替的に又は追加的に、少なくとも1つの追加の層は、光導電層上に少なくとも部分的に堆積されることができ、及び該当する場合は、続いてカバーによって覆われる。ここで、追加の層は、反射防止層、光フィルタ層、封入層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、高誘電率層、もしくは導電層のうちの少なくとも1つであるように選択され得るか、又は、それらを含んでいてもよい。
【0073】
すでに上述したように、光導電層は、少なくとも2つの個別のセンサ領域、好ましくは個別のセンサ領域のアレイを含むことができ、該センサ領域は、「共通基板」とも呼ばれる同一の基板に直接又は間接的に適用され、該同一の基板は、したがってかなり大きな面積を示すことができる。この特定の実施形態では、個々のセンサ領域は、共通基板に直接又は間接的に適用され、個々のセンサ領域は、本発明による少なくとも1つの電極層に接続されている。その後、個々のセンサ領域は、個々のセンサ領域のそれぞれが基板のそれぞれの部分によって担持されるように、互いに分離される。
【0074】
加えて、光センサの製造プロセスに関する詳細は、この文書の他の部分に記載されている。
【0075】
本発明による装置は、バンプチップキャリア、セラミックリードレスチップキャリア、リードレスチップキャリア、リードチップキャリア、リードセラミックチップキャリア、デュアルリードレスチップキャリア、プラスチックリードチップキャリア、パッケージオンパッケージチップキャリアなどの、表面実装テクノロジーパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、標準スルーホール又はソースマウント技術の半導体パッケージ、例えばDO-204、DO-213、金属電極リーフレス面、DO-214、SMA、SMB、SMC、GF1、SOD、SOT、TSOT、TO-3、TO-5、TO-8、TO-18、TO-39、TO-46、TO-66、TO-92、TO-99、TO-100、TO-126、TO-220、TO-226、TO-247、TO252、TO-263、TO-263、THIN、SIP、SIPP、DFN、DIP、DIL、Flat Pack、SO、SOIC、SOP、SSOP、TSOP、TSSOP、ZIP、LCC、PLCC、QFN、QFP、QUIP、QUIL、BGA、eWLB、LGA、PGA、COB、COF、COG、CSP、Flip Chip、PoP、QP、UICC、WL-CSP、WLP、MDIP、PDIP、SDIP、CCGA、CGA、CERPACK、CQGP、LLP、LGA、LTCC、MCM、MICRO SMDXTなどと組み合せされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、OPGA、FCPGA、PAC、PGA、CPGAなどのピングリッドアレイ(PGA)と組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、CFP、CQFP、BQFP、DFN、ETQFP、PQFN、PQFP、LQFP、QFN、QFP、MQFP、HVQFP、SIDEBRAZE、TQFP、TQFN、VQFP、ODFNなどのフラットパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、SOP、CSOP MSOP、PSOP、PSON、PSON、QSOP、SOIC、SSOP、TSOP、TSSOP、TVSOP、μMAX、WSONなどの小型アウトラインパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、CSP、TCSP、TDSP、MICRO SMD、COB、COF、COGなどのチップスケールパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、FBGA、LBGA、TEPBGA、CBGA、OBGA、TFBGA、PBGA、MAP-BGA、UCSP、μBGA、LFBGA、TBGA、SBGA、UFBGAなどのボールグリッドアレイと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、SiP、PoP、3D-SiC、WSI、近接通信などの、チップインマルチチップパッケージなどのさらなる電子装置と組み合わされることができる。集積回路パッキングに関するさらなる情報については、以下の出典を参照することができる。
【0076】
- https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_packaging_types 又は、
- https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_package_dimensions
【0077】
本発明のさらなる態様では、本発明による検出器の使用が開示されている。その中で、検出器の使用の目的は、ガス検知用途、火災検出用途、火炎検出用途、熱検出用途、煙検出用途、燃焼監視用途、分光法用途、温度感知用途、動き感知用途、工業監視用途、化学感知用途、排気ガス監視用途、セキュリティ用途からなる群から選択される。特に、検出器は、赤外線検出用途、熱検出用途、温度計用途、熱追求用途、火炎検出用途、火災検出用途、煙検出用途、温度感知用途、分光法用途などに使用されることができる。さらに、検出器は、排気ガスの監視、燃焼プロセスの監視、工業プロセスの監視、化学プロセスの監視、食品処理プロセスの監視などに使用されることができる。さらに、検出器は、温度制御、動き制御、排気制御、ガス感知、ガス分析、動き感知、化学感知などに使用されてよい。本明細書に開示される光センサ及び検出器のさらなる用途については、WO2016/120392A1及びWO2018/019921A1を参照することができる。しかし、さらなる応用分野がなおも考えられ得る。
【0078】
上述の光センサ及び検出器、方法、ならびに提案された使用は、先行技術に比べてかなりの利点がある。したがって、本発明による光センサは、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つのパーティションにわたって特に感度が高く、したがって、赤外スペクトル範囲に対して効率的で信頼性の高い、大面積の位置感知装置を提供することができる。当該技術の公知の装置と比較して、本明細書で提案されている光センサは、オームの法則に従った線形電流-電圧特性を有し得ることが示される。
【0079】
要約すると、本発明の文脈においては、以下の実施形態が特に好ましいと考えられる。
【0080】
実施形態1:光センサであって、
- 基板と;
- 前記基板の表面の第1部分に適用された光導電層であって、前記光導電層は少なくとも1つの光導電性材料を有している光導電層と;
- 前記基板の表面の第2部分に適用された少なくとも1つの電極層であって、前記電極層は、前記電極層の第1エッジ部分を除いて、厚さdを示し、前記電極層の前記第1エッジ部分は、前記電極層の表面に電極-光導電体インターフェースが形成されるように、前記光導電層のエッジ部分によって覆われている、電極層と、を含み、
前記電極-光導電体インターフェースは、第1セグメント、第2セグメント、第3セグメントを含み;
前記第1セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しく;前記第2セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しいか、又はそれを超えており;前記第3セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記第3セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿って、前記電極層のエッジに向かって連続的かつ単調に減少している、光センサ。
【0081】
実施形態2:前記第2セグメントは前記第1セグメントに隣接し、前記第3セグメントは前記第2セグメントに隣接している、先行する実施形態による光センサ。
【0082】
実施形態3:前記電極層の前記厚さdに対する前記第2セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の最大高さh=d-dは、前記電極層の厚さdを27%以下だけ超えている、先行する実施形態1又は2による光センサ。
【0083】
実施形態4:前記最大高さhは、前記電極層の厚さdを17%以下だけ超えている、先行する実施形態による光センサ。
【0084】
実施形態5:前記最大高さhは、前記電極層の厚さdを7%以下だけ超えている、先行する実施形態による光センサ。
【0085】
実施形態6:前記第2セグメントの長さlは、前記電極層の厚さdの65%以下である、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0086】
実施形態7:前記第2セグメントの長さlは、前記電極層の厚さdの45%以下である、先行する実施形態による光センサ。
【0087】
実施形態8:前記第2セグメントの長さlは、前記電極層の厚さdの15%以下である、先行する実施形態による光センサ。
【0088】
実施形態9:前記第3セグメントの長さlは、前記電極層の厚さdの20%~230%である、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0089】
実施形態10:前記第3セグメントの長さlは、前記電極層の厚さdの35%~170%である、先行する実施形態による光センサ。
【0090】
実施形態11:前記第3セグメントの長さlは、前記電極層の厚さdの55%~145%である、先行する実施形態による光センサ。
【0091】
実施形態12:前記電極層の厚さdは、5nmから、好ましくは10nmから、より好ましくは20nmから、最も好ましくは25nmから、1000nmまで、好ましくは500nmまで、より好ましくは250nmまで、最も好ましくは200nmまでである、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0092】
実施形態13:前記電極層は、
- 前記光導電層に直接接する電荷キャリア層であって、前記電極層内及び前記光導電層へ及び/又は前記光導電層から電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤を含む、電荷キャリア層と;
- 前記基板に直接適用された結合層であって、前記基板の表面の第2部分に前記電荷キャリア層を付着させるように設計された結合剤を含む、結合層と;
- 前記結合層に直接適用されたバリア層であって、前記結合剤と前記電荷キャリア層との直接接触を防止するように設計されたバリア剤を含む、バリア層と、
を含む、導電性積層体である、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0093】
実施形態14:前記電極-光導電体インターフェースにおける前記電荷キャリア層は、前記電荷キャリア剤のみを含む、先行する実施形態による光センサ。
【0094】
実施形態15:前記電荷キャリア剤は、金、銀、銅、白金、ロジウム、ニッケル、スズ、鉛、亜鉛、タングステン、アルミニウム、カルシウム、ガリウム、クロム、チタン、マンガン、ベリリウム、マグネシウムのうちの原子から選択され、好ましくは、金、銀、銅、白金、ロジウム、チタン、マンガン、ベリリウム、マグネシウム、ニッケル、スズの原子から選択される、先行する2つ実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0095】
実施形態16:前記結合剤が、チタン、クロム、スズ、ベリリウム、マグネシウム、銀、亜鉛、カルシウム、ジルコニウム、ニッケル、アルミニウムの原子から選択される、先行する3つ実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0096】
実施形態17:前記バリア剤は、ニッケル、スズ、クロム、チタン、マンガン、鉛、マグネシウムの原子から選択され、好ましくは、スズ、ニッケル、クロム、マグネシウムの原子から選択される、先行する4つ実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0097】
実施形態18:前記結合層の厚さは、0.1nmから、好ましくは0.5nmから、より好ましくは1nmから、最も好ましくは2nmから、20nmまで、好ましくは16nmまで、より好ましくは10nmまで、最も好ましくは7nmまでである、先行する5つ実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0098】
実施形態19:前記バリア層の厚さは、5nmから、好ましくは16nmから、より好ましくは27nmから、最も好ましくは38nmから、170nmまで、好ましくは140nmまで、より好ましくは95nmまで、最も好ましくは83nmまでである、先行する5つ実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0099】
実施形態20:前記光導電性材料は、無機光導電性材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0100】
実施形態21:前記無機光導電性材料が、セレン、テルル、セレン-テルル合金、光導電性金属酸化物、第4族元素又は化合物、第3族-第5族化合物、第2族-第6族化合物、カルコゲニド、プニクトゲニド、ハロゲン化物、及びそれらの固溶体及び/又はドープ変形のうちの1つ以上を含む、先行する実施形態による光センサ。
【0101】
実施形態22:前記カルコゲニドは、硫化カルコゲニド、セレン化カルコゲニド、テルル化カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元カルコゲニド及びそれ以上のカルコゲニドを含む群から選択される、先行する実施形態による光センサ。
【0102】
実施形態23:硫化カルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化水銀(HgS)、硫化銀(AgS)、硫化マンガン(MnS)、三硫化ビスマス(Bi)、三硫化アンチモン(Sb)、三硫化ヒ素(As)、硫化スズ(II)(SnS)、二硫化スズ(IV)(SnS)、硫化インジウム(In)、硫化銅(CuS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化鉄(FeS)、三硫化クロム(CrS)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する実施形態による光センサ。
【0103】
実施形態24:セレン化カルコゲニドは、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、三セレン化ビスマス(BiSe)、セレン化水銀(HgSe)、三セレン化アンチモン(SbSe)、三セレン化ヒ素(AsSe)、セレン化ニッケル(NiSe)、セレン化タリウム(TlSe)、セレン化銅(CuSe)、二セレン化モリブデン(MoSe)、セレン化スズ(SnSe)、セレン化コバルト(CoSe)、セレン化インジウム(InSe)、セレン化銅亜鉛スズ(CZTSe)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0104】
実施形態25:テルル化カルコゲニドは、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化水銀(HgTe)、三テルル化ビスマス(BiTe)、三テルル化ヒ素(AsTe)、三テルル化アンチモン(SbTe)、テルル化ニッケル(NiTe)、テルル化タリウム(TlTe)、テルル化銅(CuTe)、二テルル化モリブデン(MoTe)、テルル化スズ(SnTe)、及びテルル化コバルト(CoTe)、テルル化銀(AgTe)、テルル化インジウム(InTe)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0105】
実施形態26:三元カルコゲナイドは、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫化水銀カドミウム(HgCdS)、硫化鉛カドミウム(PbCdS)、硫化鉛水銀(PbHgS)、二硫化銅インジウム(CuInS)、硫セレン化カドミウム(CdSSe)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)、硫セレン化タリウム(TlSSe)、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS)、硫化カドミウムクロム(CdCr)、硫化水銀クロム(HgCr)、硫化銅クロム(CuCr)、セレン化カドミウム鉛(CdPbSe)、二セレン化銅インジウム(CuInSe)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、硫化一酸化鉛(PbOS)、セレン化一酸化鉛(PbOSe)、スルホセレン化鉛(PbSSe)、セレン化テルル化ヒ素(AsSeTe)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、リン化ガリウムヒ素(GaAsP)、リン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、亜セレンカドミウム(CdSeO)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、銅-亜鉛-硫化スズ-セレンカルコゲニド(CZTSSe)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する4つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0106】
実施形態27:光導電性金属酸化物は、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銀(AgO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化チタン(TiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化カドミウム(CdO)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する5つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0107】
実施形態28:前記第2族-第6族化合物は、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)及びセレン化水銀亜鉛(CdZnSe)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する6つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0108】
実施形態29:前記第3族-第5族化合物は、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)及びアンチモン化ガリウム(GaSb)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する7つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0109】
実施形態30:前記第4族の元素又は化合物は、ドープダイヤモンド(C)、ドープシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)、ならびに固溶体及び/又はそれらのドープ変形を含む群から選択される、先行する8つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0110】
実施形態31:前記基板は電気絶縁基板である、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0111】
実施形態32:前記基板は、ガラス、石英、溶融シリカ;弱くドープされた半導体、例えばシリコン又はゲルマニウム;金属酸化物又はセラミック材料、特にサファイア(Al);金属又は半導体材料、特にアルミニウムドープ酸化スズ(AZO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、ZnS、又はZnSe;のうちの1つを含み、ここでガラス又はシリコンが特に好ましい、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0112】
実施形態33:前記基板は、10μm~1000μm、好ましくは50μm~500μm、より好ましくは100μm~250μmの厚さを有する、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0113】
実施形態34:前記基板は、回路キャリア装置に直接又は間接的に適用されている、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0114】
実施形態35:前記基板は、前記基板と前記回路キャリア装置の隣接表面の間に配置される接着剤の薄膜を介して、前記回路キャリア装置に取り付けられている、先行する実施形態による光センサ。
【0115】
実施形態36:前記回路キャリア装置は、プリント回路基板である、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0116】
実施形態37:前記電極層は、前記光導電層によって覆われていない第2エッジ部分を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0117】
実施形態38:前記第2エッジ部分は、前記電極層に電気接続を提供するために割り当てられている、先行する実施形態による光センサ。
【0118】
実施形態39:直接的又は間接的な電気接続が、前記電極層の第2エッジ部分と、前記回路キャリア装置上のコンタクトパッドとの間に設けられている、先行する実施形態による光センサ。
【0119】
実施形態40:前記電極層の第2エッジ部分と前記回路キャリア装置上のコンタクトパッドとの間の前記電気接続は、前記カバーを介して結合可能である、先行する実施形態による光センサ。
【0120】
実施形態41:前記光導電性材料及び好ましくは前記基板のアクセス可能な表面を覆うカバーをさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0121】
実施形態42:前記カバーは、少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファス層である、先行する実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0122】
実施形態43:前記少なくとも1つの金属含有物は金属又は半金属を含み、前記金属は、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)及びビスマス(Bi)からなる群から選択され、前記半金属は、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)からなる群から選択される、先行する実施形態による光センサ。
【0123】
実施形態44:前記金属含有化合物の金属は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、及びタングステン(W)からなる群から選択される金属を含む、先行する実施形態による光センサ。
【0124】
実施形態45:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクタイド、カーバイド、又はそれらの組合せを含む群から選択される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0125】
実施形態46:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)もしくはハフニウム(Hf)の少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの水酸化物、又はそれらの組合せ;又はケイ素(Si)の窒化物から選択される、先行する実施形態による光センサ。
【0126】
実施形態47:前記カバーは、前記光導電層の上面及び側面、及び、好ましくは前記基板の少なくとも側面に直接接触している、先行する6つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0127】
実施形態48:前記カバーは、10nm~600nm、好ましくは20nm~200nm、より好ましくは40nm~120nm、最も好ましくは50nm~95nmの厚さを有する、先行する7つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0128】
実施形態49:前記カバーは、前記光導電層の隣接表面、及び、好ましくは前記基板の隣接表面に関して共形なカバーである、先行する8つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0129】
実施形態50:前記カバーは、さらに、耐スクラッチ性、親水性、疎水性、自己清浄性、防曇性、及び導電性のうちの少なくとも1つから選択されるさらなる機能を示す、先行する9つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0130】
実施形態51:前記カバーは、さらに少なくとも部分的に少なくとも1つの追加層によってコーティングされ、及び/又は、前記少なくとも1つの追加層は、前記光導電層と前記カバーの間に少なくとも部分的に堆積されている、先行する10つの実施形態のいずれか1つによる光センサ。
【0131】
実施形態52:前記追加層は、反射防止層、光フィルタ層、封入層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、高誘電率層、又は導電層のうちの少なくとも1つであるか、又は、それを含む、先行する実施形態による光センサ。
【0132】
実施形態53:少なくとも1つの物体を光学的に検出するための検出器であって、
- 先行する実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの光センサであって、少なくとも1つのセンサ領域を含み、光ビームによる前記センサ領域の照射に依存する方式で、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている、光センサ;及び
- 少なくとも1つの評価装置であって、前記光センサの前記センサ信号を評価することにより、前記光ビームによって提供される光放射に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、評価装置、
を含む、検出器。
【0133】
実施形態54:前記検出器は、前記センサ領域の少なくとも一部の電気抵抗又は導電率を測定することの1つ以上によって前記センサ信号を生成するように適合されている、先行する実施形態による検出器。
【0134】
実施形態55:前記検出器は、少なくとも1つの電流-電圧測定、及び/又は少なくとも1つの電圧-電流測定を実行することによって、前記センサ信号を生成するように適合されている、先行する実施形態による検出器。
【0135】
実施形態56:少なくとも1つの照射源をさらに備える、検出器に関連する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0136】
実施形態57:前記照射源は、少なくとも部分的に前記物体に接続され、及び/又は、少なくとも部分的に前記物体と同一である照射源;一次放射によって少なくとも部分的に前記物体を照射するように設計されている照射源、から選択される、先行する実施形態による検出器。
【0137】
実施形態58:前記光ビームは、前記物体での一次放射の反射によって、及び/又は、前記一次放射によって活性化された前記物体自体による発光によって生成される、先行する実施形態による検出器。
【0138】
実施形態59:前記光センサのスペクトル感度が、前記照射源のスペクトル範囲によってカバーされている、先行する実施形態による検出器。
【0139】
実施形態60:前記検出器は、少なくとも1つの転送装置をさらに備え、前記転送装置は、前記光ビームを前記光センサに導くように適合されている、検出器に関連する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0140】
実施形態61:光センサの製造方法であって、以下のステップ:
a) 基板を提供するステップと;
b) 電極層が電極層の第1エッジ部分を除いて厚さdを示すように、前記基板の表面の第2部分に少なくとも1つの電極層を適用するステップと;
c) 前記電極層の第1エッジ部分が光導電層のエッジ部分によって覆われ、それにより、電極-光導電体インターフェースが前記電極層の表面に形成されるように、前記基板の表面の第1部分に、少なくとも1つの光導電性材料を有する光導電層をさらに適用するステップと、
を含み、
前記電極-光導電体インターフェースは、電極-光導電体インターフェースが第1セグメント、第2セグメント、第3セグメントを含むように形成され;前記第1セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しく;前記第2セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記電極層の厚さdと等しいか、又はそれを超えており;前記第3セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿った前記電極層の厚さdは、前記第3セグメント内の前記電極-光導電体インターフェースに沿って、前記電極層のエッジに向かって連続的かつ単調に減少している、方法。
【0141】
実施形態62:前記電極-光導電体インターフェースは、前記第2セグメントが前記第1セグメントに隣接し、前記第3セグメントが前記第2セグメントに隣接するように形成されている、先行する実施形態による方法。
【0142】
実施形態63:前記方法は、実施形態1~52による光センサを製造するように構成されている、先行する実施形態による方法。
【0143】
実施形態64:方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、前記電極層は以下の、
- 前記基板の表面の第2部分に前記結合層を直接適用するステップであって、前記結合層は前記電荷キャリア層を前記基板に付着させるように設計された結合剤を含む、ステップと;
- 前記結合層上にバリア層をさらに直接適用するステップであって、前記バリア層は前記結合剤と前記電荷キャリア層との直接接触を防止するように設計されたバリア剤を含む、ステップと;
- 前記バリア層上に前記電荷キャリア層をさらに直接適用するステップであって、前記電荷キャリア層は、前記光導電層へ及び/又は前記光導電層から電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤を含む、ステップと、
によって、導電性積層体として形成される、方法。
【0144】
実施形態65:方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、少なくとも1つの堆積方法が電極層を堆積させるために使用され、前記少なくとも1つの堆積方法は、原子層堆積プロセス、化学気相堆積プロセス、スパッタリングプロセス、又はそれらの組合せから選択される、方法。
【0145】
実施形態66:検出器を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器の使用であって、使用目的が:ガス感知、火災検出、火炎検出、熱検出、煙検出、燃焼監視、分光法、温度感知、動き感知、工業監視、化学感知、排気ガス監視、セキュリティ用途からなる群から選択される、検出器の使用。
【図面の簡単な説明】
【0146】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、単独で、又は他の特徴と組み合わせて実施されてよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に模式的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0147】
具体的には、以下の図においては:
図1】本発明による光センサの好ましい例示的な実施形態を示す図である。
図2】本発明による光検出器に備えられた電極層の好ましい例示的な実施形態を示す図である。
図3】本発明による検出器の好ましい例示的な実施形態を示す図である。
図4】本発明による光センサの製造方法の好ましい例示的な実施形態を示す図である。
図5図5A~5Cは、本発明による(サンプルA)及び比較のための(サンプルB及びC)光センサの3つの異なるサンプルA、B、及びCにおける電極-光導電体インターフェースの高解像度光学顕微鏡画像を示す図である。
図6図6A及び6Bは、図5A~5CによるサンプルA,B,Cの実験的に測定された電流-電圧特性を示す図(図6A)と、対応する線形動作からの逸脱を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0148】
例示的な実施形態
図1は、本発明による光センサ110の例示的な実施形態を、極めて概略的に断面側面視で示している。したがって、光センサ110は、少なくとも1つの光導電性材料114を含む光導電層112を有している。特に、光導電層112は、10nm~100μm、好ましくは100nm~10μm、より好ましくは300nm~5μmの厚さを示してよい。図1の例示的な実施形態では、光導電性材料114は、好ましくは、硫化カルコゲニド、セレン化カルコゲニド、テルル化カルコゲニド、及び三元カルコゲニドを含む群から選択されることができる少なくとも1つのカルコゲニドであってもよいし、又はそれらを含んでもよい。具体的に、光導電性材料114は、硫化物、好ましくは硫化鉛(PbS)、セレン化物、好ましくはセレン化鉛(PbSe)、又は三元カルコゲニド、好ましくはスルホセレン化鉛(PbSSe)であってもよいし、又はそれらを含んでもよい。好ましい光導電性材料114の多くは、一般的に、赤外スペクトル範囲内で特有の吸収特性を示すことが知られているため、光センサ110は、好ましくは、赤外センサとして使用されることができる。しかしながら、本目的のための他の実施形態及び/又は他の光導電性材料、特にこの目的のために本文書の他の部分に記載された光導電性材料も実現可能である。
【0149】
図1にさらに示されているように、少なくとも1つの光導電層112は、好ましくは、基板120の表面118の第1部分116に直接適用され、ここで、基板120は、好ましくは、絶縁基板であってもよいし、又は絶縁基板を含んでいてもよい。ここで、基板120の厚さは、10μm~2000μm、好ましくは50μm~1000μm、より好ましくは100μm~500μmであってよい。入射光ビーム122を光導電性材料114に到達させ、光導電層112内の導電性を光学的に修正するために、基板120の少なくとも1つ、及び光導電層112を少なくとも部分的に覆うことができる図3に示される少なくとも1つのカバーは、特に、赤外スペクトル範囲又はその一帯域などの所望の波長範囲内で光学的に透明であってよい。したがって、基板120は、好ましくは、ガラス、石英、溶融シリカ;シリコン又はゲルマニウムなどの弱くドープされた半導体;金属酸化物又はセラミック材料、特にサファイア(Al);金属又は半導体材料、特にアルミニウムドープ酸化スズ(AZO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、硫化亜鉛(ZnS)又はセレン化亜鉛(ZnSe);のうちの少なくとも1つから選択されることができ、ここでは、ガラス又はシリコンが特に好ましい。好ましくは、基板120は、好ましくは接着剤の薄膜を介して、図3に示されるような回路キャリア装置に、特にプリント回路基板(PCB)に取り付けられてよい。
【0150】
さらに本発明によれば、光センサ110は、基板120の表面118の第2部分126に適用された電極層124を有する。図1に示されるように、電極層124は、好ましくは、電極層124の第1エッジ部分128を除いて一定である一定の厚さdを示していてよい。本明細書において、電極層の厚さdは、5nmから、好ましくは10nmから、より好ましくは20nmから、最も好ましくは25nmから、1000nmまで、好ましくは500nmまで、より好ましくは250nmまで、最も好ましくは200nmまでであり得る。
【0151】
第1エッジ部分128にわたって、電極層124は、電極-光導電体インターフェース132が電極層124の表面134に形成されるように、光導電層112のエッジ部分130によって覆われている。これとは対照的に、電極層124の第2エッジ部分136は、光導電層112によって覆われておらず、したがって、図3に示される1つ以上の電気接点を電極層124に適用することができ、該少なくとも1つの電気接点は、1つ以上のリード線(ここには示されていない)を介して外部回路へ、例えば、図3に示されているPCBなどの回路キャリア装置によって備えられるような1つ以上のパッドなどへの電気接続を提供するために使用されることができる。
【0152】
本発明によれば、図1に示すように、電極-光導電体インターフェース132は、第1セグメント138、第2セグメント140、及び第3セグメント142を含む。そこに示されているように、第2セグメント140は第1セグメント138に隣接し、第3セグメント142は第2セグメント140に隣接している。ここでは、第1セグメント138内の電極-光導電体インターフェース132に沿った電極層124の厚さdは、電極層124の厚さdに等しい。ここで、第1セグメント138の長さlは、好ましくは15μm~2500μm、より好ましくは30μm~1800μm、最も好ましくは45μm~950μmであり、これは電極層124の厚さdの150~25000倍、より好ましくは300~18000倍、最も好ましくは450~9500倍にほぼ等しい。
【0153】
さらに、第2セグメント140内の電極-光導電体インターフェース132に沿った電極層124の厚さdは、電極層124の厚さdと等しいか、又は電極層の厚さdを超える。特に、図1にさらに概略的に示されているように、電極層124の厚さdに対する第2セグメント140内の電極-光導電体インターフェース132に沿った電極層124の最大高さh=d-dは、好ましくは、電極層の厚さdを27%以下、より好ましくは17%以下、最も好ましくは7%以下だけ超えていてもよい。ここで、第2セグメントの長さlは、電極層の厚さdの好ましくは65%以下、より好ましくは45%以下、最も好ましくは15%以下とすることができる。
【0154】
さらに、第3セグメント142内の電極-光導電体インターフェース132に沿った電極層124の厚さdは、第3セグメント142内の電極-光導電体インターフェース132に沿って、電極層124のエッジ146に向かって光導電層112に向かう方向に連続的かつ単調に減少144を示し、エッジ146における電極層124の厚さdは、実質的にゼロとなる値に到達することで消滅する。ここで、第3セグメントの長さlは、電極層の厚さdの、好ましくは20%~230%、より好ましくは35%~170%、最も好ましくは55%~145%であり得る。
【0155】
以下、図3図4に示されているように、この特定の種類の構成を有する光センサ110は、オームの法則に従った線形の電流-電圧特性を示す。
【0156】
図2は、光検出器110に備えられ得る電極層124の好ましい例示的な実施形態を断面側面視で示している。この実施形態では、電極層124は、電荷キャリア層150、結合層152、及びバリア層154を含む導電性積層体148を備えている。
【0157】
したがって、電荷キャリア層150は、電極層124内で、及び光導電層112へ及び/又は光導電層112から電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤を含んでよい。図2に示されるように、好ましくは、電荷キャリア層150は、に光導電層112に隣接するように配置されることができ、したがって、隣接する光導電層112へ及び/又は隣接する光導電層112からの電荷キャリアの輸送を容易にする。この目的のために、電荷キャリア層150は、好ましくは、金、銀、銅、白金、ロジウム、ニッケル、スズ、鉛、亜鉛、タングステン、アルミニウム、カルシウム、ガリウム、クロム、チタン、マンガン、ベリリウム、マグネシウムのうちの少なくとも1つから選択される原子、好ましくは、金、銀、銅、白金、ロジウム、チタン、マンガン、ベリリウム、マグネシウム、ニッケル、スズのうちの少なくとも1つから選択される原子を含んでいてよい。
【0158】
さらに、結合層152は、好ましくは直接的な方法で、基板120に適用されてよい。したがって、結合層152は、電荷キャリア層150を基板120の表面118の第2部分126に付着させるように設計され得る結合剤を含んでよい。この目的のために、結合層は、好ましくは、チタン、クロム、スズ、ベリリウム、マグネシウム、銀、亜鉛、カルシウム、ジルコニウム、ニッケル、アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択される原子を含んでいてよい。ここで、結合層の厚さは、0.1nmから、好ましくは0.5nmから、より好ましくは1nmから、最も好ましくは2nmからで、20nmまで、好ましくは16nmまで、より好ましくは10nmまで、最も好ましくは7nmまでであり得る。
【0159】
さらに、バリア層154は、好ましくは直接的な方法で、結合層152に適用されてよい。バリア層154は、結合剤と電荷キャリア層150との直接的な接触を防止するように設計されたバリア剤を含んでいてよい。この目的のために、バリア層154は、好ましくは、ニッケル、スズ、クロム、チタン、マンガン、鉛、マグネシウムのうちの少なくとも1つから選択される原子、好ましくは、スズ、ニッケル、クロム、マグネシウムのうちの少なくとも1つから選択された原子を含み得る。ここで、バリア層の厚さは、5nmから、好ましくは16nmから、より好ましくは27nmから、最も好ましくは38nmからで、170nmまで、好ましくは140nmまで、より好ましくは95nmまで、最も好ましくは83nmまでであり得る。
【0160】
図2に示されるようなこの特定の構成の結果として、電極層124を部分的に覆う光導電層112のエッジ部分130に隣接する電極層124の表面134は、単一種類の金属又は合金のみを含んでいてよい。その結果、電極-光導電体インターフェース132は、結合剤及びバリア剤の両方から解放されることができ、したがって、光センサ110の線形電流-電圧特性に寄与することができる。
【0161】
図3は、非常に概略的な方法で、好ましくは赤外線検出器としての使用に適合され得る本発明による光検出器200の例示的な実施形態を示している。しかし、他の実施形態も実現可能である。光検出器200は、より詳細に上述したような光センサ110の少なくとも1つを含んでおり、該光センサ110は、検出器200の光軸に沿って配置されてよい。具体的には、光軸は、光センサ110の構成の対称軸及び/又は回転軸であってよい。光センサ110は、検出器200のハウジング内に配置されてよい。さらに、少なくとも1つの転送装置が含まれていてもよく、好ましくは屈折レンズである。特に光軸に対して同心円状に配置されてよいハウジングの開口部は、好ましくは、検出器200の視野方向を規定し得る。
【0162】
さらに、光センサ110は、光ビーム122によるセンサ領域202の照射に依存した方法で、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。ここで、検出器200は、直線のビーム経路又は傾斜したビーム経路、角度のついたビーム経路、分岐したビーム経路、偏向又は分割されたビーム経路、又は他の種類のビーム経路を有していてよい。さらに、光ビーム122は、各ビーム経路又は部分的なビーム経路に沿って1回又は繰り返し、一方向又は双方向に伝播することができる。
【0163】
FiP効果によれば、光センサ110は、同じ照射総出力であるとすると、センサ領域202内の光ビーム122のビーム断面積204に依存するセンサ信号を提供することができる。しかしながら、他の種類の信号も可能である。上に示したように、センサ領域202は、光導電性材料114、好ましくは、カルコゲニド特に硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、又はスルホセレン化鉛(PbSSe)を有する光導電層112のうちの少なくとも1つを含む。しかし、他の光導電性材料114、特に他のカルコゲニドを使用してもよい。センサ領域202における光導電性材料114の使用の結果、センサ領域202の電気伝導度は、同じ照射の総出力であるとすると、センサ領域202における光ビーム122のビーム断面に依存する。その結果、光ビーム122による衝突時に光センサ110によって提供される結果としてのセンサ信号は、センサ領域202における光導電性材料114の電気伝導度に依存してよく、したがって、センサ領域202における光ビーム122のビーム断面積204を決定することを可能にする。
【0164】
上述したように、基板120は、好ましくは接着剤の薄膜を介して、図3に示されるような回路キャリア装置206に、特にプリント回路基板(PCB)208に取り付けられてよい。さらにすでに上述したように、1つ以上の電気接点210、210’は、回路キャリア装置206によって含まれるコンタクトパッド212、212’を介して外部回路への電気接続を提供するために使用されるため、電極層124に適用されることができる。この目的のために、金ワイヤ、ベリリウムドープ金ワイヤ、アルミニウムワイヤ、白金ワイヤ、パラジウムワイヤ、銀ワイヤ、又は銅ワイヤなどのワイヤ214は、各電極層124の対応する第2部分136から回路キャリア装置206上のコンタクトパッド212、212’までの間の電気接点210、210’を提供するためのリード線として使用されてよい。ここで、ワイヤ214は、特に、カバーの封止機能を向上させ、同時に、電気接点に安定性を提供するために、カバーを介して結合可能であってよい。ワイヤ214と電極層124との間の直接的な電気接続は、例えば、めっき、溶接、はんだ付け、ワイヤボンディング、超音波熱圧着、ステッチボンディング、ボールボンディング、ウェッジボンディング、コンプライアントボンディング、熱圧着、陽極接合、直接ボンディング、プラズマ活性化接合、共晶接合、ガラスフリットボンディング、接着結合、過渡液相拡散接合、表面活性化接合、テープ自動接合、あるいは高導電性物質を接触領域に堆積させることなどの、電気接点を提供することができる、任意の既知のプロセスによって提供されることができる。ワイヤ214を介して十分な電気伝導性を可能にすると同時に、ワイヤ214の十分な機械的安定性を提供するために、ワイヤ214は、好ましくは、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)又は金(Au)、前記金属のうちの少なくとも1つを含む合金、ならびにグラフェンからなる群から選択される少なくとも1つの電極材料を含むことができる。しかしながら、他の種類の電極材料も実現可能である。
【0165】
さらに、本発明による光センサ110は、カバー216を含んでいてよく、該カバー216は、好ましくは、光導電層112のアクセス可能な表面、電極層124のアクセス可能な表面、及び基板120のアクセス可能な表面を完全に覆っていてよい。すでに上述したように、カバー216は、したがって、湿度及び/又は酸素などの外的影響による光センサ110又はその区画の劣化、特に光導電性材料114の劣化を回避するために、光導電性材料114だけでなく、電極材料及び基板材料にも封入、特に気密パッケージとして封入を提供するように適合されてよい。ここで、カバー116は、特に、Al、Zr、Hf、Ti、Ta、Mn、Mo、及びWからなる群から選択される、少なくとも1つの金属含有化合物を含む非晶質カバーであってよく、金属Al、Ti、Zr、及びHfが特に好ましい。しかし、他の種類の金属も実現可能である。さらに、金属含有化合物は、酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクタイド、カーバイド、又はそれらの組合せからなる群から選択されてよい。特に好ましい実施形態では、金属含有化合物は、好ましくは、少なくとも1つのAlの酸化物、少なくとも1つのAlの水酸化物、又はそれらの組合せを含むことができ、それは式AlO(OH)、0≦x≦1.5及び0≦y≦1.5と表すことができ、x+y=1.5である。この特に好ましい実施形態において、カバー216は、10nm~600nm、好ましくは20nm~200nm、より好ましくは40nm~120nm、最も好ましくは50~95nmの厚さを示し得る。この厚さの範囲は、特に、光導電性材料114の所望の封入を達成するのに有利であり得るカバー216内の金属含有化合物の量を反映し得る。さらにカバー216は、光導電性材料114の隣接する表面118に対して共形カバーであり得る。したがって、上で定義したように、共形カバーの厚さは、したがって、±50nm、好ましくは±20nm、最も好ましくは±10nmの偏差内で光導電性材料114の対応する表面118に追従してよく、該偏差は、カバー216の表面122の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%で生じ、これによって、カバー116の表面122に存在し得る如何なる汚染又は不完全性を除外することができる。
【0166】
回路キャリア装置206上のコンタクトパッド214、214’に結合され得るさらなる電気リード218、218’を介して、センサ信号は評価装置220に伝送されてもよく、該評価装置220は、一般的に、光センサ110のセンサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている。この目的のために、評価装置220は、センサ信号を評価するために、1つ以上の電子装置及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素を備えてよい。一般に、評価装置220は、データ処理装置222の一部であってよく、及び/又は、1つ以上のデータ処理装置222を含んでよい。評価装置222は、完全に又は部分的にハウジングに統合されてよく、及び/又は完全に又は部分的に、光センサ110に無線又は有線方式で電気的に接続された別個の装置として具体化されてよい。評価装置220は、1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニット(ここでは図示せず)などの1つ以上の電子ハードウェア構成要素及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素など、1つ以上のさらなる追加の構成要素をさらに含み得る。
【0167】
図4は、非常に概略的な方法で、本発明による光センサ110を製造するための方法300の例示的な実施形態を示している。
【0168】
提供ステップ302によると、基板120は、好ましくは回路キャリア装置206に取り付けられて提供される。
【0169】
さらに第1適用ステップ304によれば、少なくとも1つの電極層124は、電極層124が電極層124の第1エッジ部分128を除いて好ましくは一定の厚さdを示すように、基板120の表面118の第2部分126に適用される。
【0170】
さらなる適用ステップ306では、少なくとも1つの光導電性材料114を有する光導電層112は、電極層124の第1エッジ部分128も光導電層112のエッジ部分130によって覆われ、それによって電極層124の表面134に電極-光導電体インターフェース132が形成されるように、基板120の表面118の第1部分116に適用される。
【0171】
本明細書において、電極-光導電体インターフェース132は、電極-光導電体インターフェース134が第1セグメント138、第2セグメント140、及び第3セグメント142を含むように形成されており、
- 第1セグメント138内の電極-光導電体インターフェース132に沿った電極層124の厚さdは、電極層の厚さdと等しく、
- 第2セグメント140内の電極-光導電体インターフェース132に沿った電極層124の厚さdは、電極層124の厚さdと等しいか、又はそれを超えており、そして、
- 第3セグメント内142の電極-光導電体インターフェース132に沿った電極層124の厚さdは、第3セグメント内の電極-光導電体インターフェースに沿って、電極層124のエッジ146に向かって連続的かつ単調に減少を示す。
【0172】
ここで、電極層124は、好ましくは、上記図2に概略的に示されているように導電性積層体148の形で、第1適用ステップ304の間に提供されることができ、該積層体148は、電荷キャリア層150、結合層152、及びバリア層154を含む。
【0173】
導電性積層体148を提供するため、結合ステップ308において、結合層152は、基板120の表面118の第2部分126上に直接適用されてよく、ここで、電荷キャリア層150を基板120に付着させるように設計された結合剤は、結合層152に含まれてよい。
【0174】
さらなるバリアステップ310では、バリア層154は結合層152上に直接適用されてよく、結合剤と電荷キャリア層150の直接接触を防止するように設計されたバリア剤は、バリア層154に含まれてよい。
【0175】
さらなる適用ステップ312では、電荷キャリア層150は、バリア層154に直接適用されてよく、ここで、光導電層112へ及び/又は光導電層112から電荷キャリアを輸送するように設計された電荷キャリア剤は、電荷キャリア層150に含まれてよい。
【0176】
好ましくは電極層124に含まれ得る導電性積層体148に関するさらなる詳細については、図2の説明を参照されたい。
【0177】
さらに、本発明による光センサ110の製造方法300は、回路キャリア基板206上のコンタクトパッド212、212’への電気接点210、210’、同様にコンタクトパッド212、212’から評価装置220へのさらなるリード218、218’を設けることができる接続ステップ314、又は、カバー216を設けることができるカバーリングステップ316などの追加のステップを含むことができる。さらに、さらなる製造ステップも考えられる。
【0178】
この方法300に基づいて、光導電層112内にPbS光導電体と、本発明の要件に従った良好に形作られた電極層124を含む光センサ110が調製され、オーム挙動を示す。ここで、電子顕微鏡像で観察され得る電極層124と電極-光導電体インターフェース132の間に位置する結晶空隙は、光センサ110の抵抗挙動に影響を与えない。
【0179】
図5A図5Cのそれぞれは,光センサの3つの異なるサンプルA,B,Cにおける電極-表面インターフェースの高分解能光学顕微鏡画像を示している。各画像のバーは、10μmの距離を示している。これらの画像から分かるように、また、以下に詳細に説明するように、サンプルAのみが本発明に従って調製されている。
【0180】
図5Aは、サンプルAの基板120の表面118上の電極層124の光学顕微鏡像を上面視で示している。ここで、右の電極層124は金を含み、左のガラス基板120に対してきれいに形作られたエッジを呈している。電極層124の隆起は見られない。
【0181】
図5Bは、サンプルBの基板120の表面118上の電極層124のさらなる光学顕微鏡像を上面視で示している。ここでも、右の電極層124は金を含み、ガラス基板120は左に見えている。ここでは、電極層124の隆起が、エッジから約5μmの電極層124のより濃い線の形で見える。不安定なエッジは単調関数のように挙動しない電極断面の結果である。
【0182】
図5Cは、サンプルCの基板120の表面118上の電極層124のさらなる光学顕微鏡像を上面視で示している。ここでも、右の電極層124は金を含み、ガラス基板120は左に見えている。ここでも、電極層124の隆起が、エッジから約2~5μmの電極層124にいくつかの濃い線として見える。不安定なエッジはまた、単調関数のように挙動しない電極断面に起因する。
【0183】
図6Aは,図5A図5Cで説明したサンプルA,B,Cの電流-電圧特性を実験的に測定したものを濃い線で示している。ここで,電流Iと電圧Vの測定値は,以下のような線形回帰曲線で適合されており、ここでRという用語は標準偏差を表しており、このように所望の線形性を推定している:
【0184】
サンプルA:I=0,0000025686・・・U;R=0,9999921
サンプルB:I=0,0000017042・・・U;R=0,9953361
サンプルC:I=0,0000016385・・・U;R=0,9852617
【0185】
その結果、サンプルAは、特にサンプルB及びサンプルCと比較して、抵抗挙動において顕著な線形性を提供する。この観察は、線形電流-電圧特性からの対応する電流偏差ΔIを、電流偏差ΔIが線形回帰によって決定された電流と測定された電流Iとの間の差として算出する異なる表現で示す図6Bによって確認される。
【0186】
参照番号のリスト
110 センサ
112 光導電層
114 光導電性材料
116 基板の第1部分
118 基板の表面
120 基板
122 光ビーム
124 電極層
126 基板の第2部分
128 電極層の第1エッジ部分
130 光導電層のエッジ部分
132 電極-光導電体インターフェース
134 電極層の表面
136 電極層の第2エッジ部分
138 第1セグメント
140 第2セグメント
142 第3セグメント
144 減少
146 電極層のエッジ
148 積層体
150 電荷キャリア層
152 結合層
154 バリア層
200 検出器
202 センサ領域
204 ビーム断面図
206 回路キャリア装置
208 プリント回路基板(PCB)
210,210’ 電気接点
212,212’ コンタクトパッド
214 ワイヤ
216 カバー
218、218’ リード
220 評価装置
222 処理装置
300 光センサの製造方法
302 提供ステップ
304 第1適用ステップ
306 さらなる適用ステップ
308 結合ステップ
310 バリアステップ
312 さらなる適用ステップ
314 接続ステップ
316 カバーリングステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6