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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】医療器具セット及び管状部材
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/08 20060101AFI20240729BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240729BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20240729BHJP
   A61B 90/50 20160101ALI20240729BHJP
【FI】
A61M25/08 500
A61M25/00 622
A61B34/35
A61B90/50
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021550475
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2020033294
(87)【国際公開番号】W WO2021065312
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019178995
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】時田 昌典
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0319387(US,A1)
【文献】特表2017-535371(JP,A)
【文献】特表2011-522675(JP,A)
【文献】特開2012-050490(JP,A)
【文献】実開昭63-186444(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/08
A61M 25/00
A61B 34/35
A61B 90/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用長尺体と、
長尺状に構成され、前記医療用長尺体を収容可能な空間を備えた管状部材と、を有する医療器具セットであって、
前記管状部材は、長手方向に収縮可能な収縮部と、
前記医療用長尺体に固定可能な固定部と、
他の医療器具に径方向外方から把持され、前記他の医療器具による押圧から前記医療用長尺体を保護する保護部と、を備え
前記保護部は、前記長手方向と交差する周方向における第1範囲において前記医療用長尺体を被覆する第1被覆部材と、前記周方向において前記第1範囲と異なる第2範囲において前記医療用長尺体を被覆する第2被覆部材と、を備え、
前記第1被覆部材及び前記第2被覆部材のいずれか一方は、前記長手方向における前記他の医療器具により把持されない部位において前記医療用長尺体を露出させる露出部を備える医療器具セット。
【請求項2】
前記保護部の内面には、前記医療用長尺体との接触を緩衝する緩衝部材が設けられる請求項1に記載の医療器具セット。
【請求項3】
医療用長尺体と、
長尺状に構成され、前記医療用長尺体を収容可能な空間を備えた管状部材と、を有する医療器具セットであって、
前記管状部材は、長手方向に収縮可能な収縮部と、
前記医療用長尺体に固定可能な固定部と、
他の医療器具に径方向外方から把持され、前記他の医療器具による押圧から前記医療用長尺体を保護する保護部と、を備え、
前記収縮部は、前記管状部材を前記長手方向に収縮可能な折り曲げ箇所を複数備える医療器具セット。
【請求項4】
前記収縮部は、前記折り曲げ箇所が複数設けられた蛇腹形状を備える請求項に記載の医療器具セット。
【請求項5】
前記管状部材は、前記他の医療器具に取付け可能な取付け部を備える請求項1~4のいずれか1項に記載の医療器具セット。
【請求項6】
前記収縮部は、前記固定部と前記取付け部との間に設けられる請求項5に記載の医療器具セット。
【請求項7】
長尺状に構成され、医療用長尺体を収容可能な空間を備え、長手方向に収縮可能な収縮部と、
前記医療用長尺体を固定可能な固定部と、
他の医療器具に径方向外方から把持され、前記他の医療器具による押圧から前記医療用長尺体を保護する保護部と、を有し、
前記保護部は、前記長手方向と交差する周方向における第1範囲において前記医療用長尺体を被覆する第1被覆部材と、前記周方向において前記第1範囲と異なる第2範囲において前記医療用長尺体を被覆する第2被覆部材と、を備え、
前記第1被覆部材及び前記第2被覆部材のいずれか一方は、前記長手方向における前記他の医療器具により把持されない部位において前記医療用長尺体を露出させる露出部を備える管状部材。
【請求項8】
長尺状に構成され、医療用長尺体を収容可能な空間を備え、長手方向に収縮可能な収縮部と、
前記医療用長尺体を固定可能な固定部と、
他の医療器具に径方向外方から把持され、前記他の医療器具による押圧から前記医療用長尺体を保護する保護部と、を有し、
前記収縮部は、前記長手方向に収縮可能な折り曲げ箇所を複数備える管状部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具セット及び管状部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、心臓動脈の疾患を有する患者を治療・診断する際にロボットハンドを用いてカテーテル等の操作を行う場合がある。ロボットハンドは、複数の関節を備えることによって直進移動だけでなく、関節において多自由度に回転可能であるように構成している。ロボットハンドの先端には診断用カテーテルを取付け可能なカセットが設けられる。
【0003】
カセットには、ガイドワイヤを長手方向に移動可能な駆動機構と、診断用カテーテル等を移動可能な駆動機構と、を備えている。診断用カテーテルは、ホイールとローラーによって長手方向に移動可能に挟持される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-205546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにローラーとホイール等によって診断用カテーテルを挟持して診断用カテーテルを長手方向に進退移動させると、診断用カテーテルはローラーとホイールによる挟持力を受ける。このように、診断用カテーテルが長手方向と交差する断面において径方向内方に収縮する力を受けると、カテーテル内部に造影剤等の流体を流通させたり、画像診断のための光等の媒体を伝送したりする機能が損なわれるおそれがある。カテーテルのような医療用長尺体は、管状部材の内部空間に様々な部材を移動させたりすることで手技を行うことが一般的であり、上記のような課題は医療用長尺体を使用するものであれば、画像診断用カテーテル以外の医療器具にも妥当しうる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、カテーテル等の医療用長尺体が径方向内方に変形することを防止又は抑制可能な医療器具セット及び管状部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る医療器具セットは、医療用長尺体と、長尺状に構成され、前記医療用長尺体を収容可能な空間を備えた管状部材と、を有する医療器具セットであって、前記管状部材は、長手方向に収縮可能な収縮部と、前記医療用長尺体に固定可能な固定部と、他の医療器具に径方向外方から把持され、前記他の医療器具による押圧から前記医療用長尺体を保護する保護部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る管状部材は、長尺状に構成され、医療用長尺体を収容可能な空間を備え、前記長手方向に収縮可能な収縮部と、前記医療用長尺体を固定可能な固定部と、他の医療器具に径方向外方から把持され、前記他の医療器具による押圧から前記医療用長尺体を保護する保護部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記医療器具セット及び管状部材によれば、カテーテル等の医療用長尺体が径方向内方に変形することを防止又は抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るロボットカテーテルシステムを示す概略斜視図である。
図2】ロボットカテーテルシステムを構成するカセット、医療用長尺体及び管状部材を示す正面図である。
図3】医療用長尺体を含む医療器具について説明する概略図である。
図4】医療器具(医療用長尺体)の先端部を示す側面図である。
図5】医療器具の基端側を示す断面図である。
図6】ロボットカテーテルシステムを構成する管状部材を示す斜視図である。
図7図6の側面図である。
図8】第2実施形態に係る管状部材を示す斜視図である。
図9図7の側面図である。
図10図9の10-10線に沿う断面図である。
図11】第3実施形態に係る管状部材を示す斜視図である。
図12図11に示す管状部材を示す側面図である。
図13図10の変形例を示す断面図である。
図14】第4実施形態に係る管状部材を示す斜視図である。
図15図14に示す管状部材に設けられた挿通部材を示す斜視図である。
図16図14に示す挿通部材を図14と異なる状態に変形させた状態を示す斜視図である。
図17図14の管状部材を示す平面図である。
図18図16の管状部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本実施形態に係るロボットカテーテルシステムは、心臓動脈の疾患を有する患者の治療を行う際に使用される経皮的冠動脈インターベンション(Percutaneous Coronary Intervention:PCI)において利用される。
【0012】
図1は、本実施形態に係るロボットカテーテルシステム1の全体構成を示す概略斜視図であり、図2はロボットカテーテルシステム1を構成するカセット400及び医療器具P等を示す図である。
【0013】
図1、2に示すように、ロボットカテーテルシステム1は、シース110(医療用長尺体に相当)を含む医療器具Pと、ベッド200と、ロボットハンド300と、カセット400と、管状部材600と、照射装置700と、操作部800と、を有する。医療用長尺体と管状部材を含むものは本明細書において医療器具セットを呼ぶ。また、カセット400は本明細書において他の医療器具に相当する。
【0014】
(医療器具)
まず、ロボットカテーテルシステム1に取付けられる医療器具Pについて説明する。図3はロボットカテーテルシステム1に取付けられる医療器具の一例として画像診断用カテーテル(以下、画像カテーテル又はカテーテルデバイスと言う)の全体構成を示す図である。図4は画像診断カテーテル100の先端を示す図である。図5は画像診断用カテーテルの基端側を示す断面図である。
【0015】
本実施形態に係る医療器具Pは、血管内超音波診断法(IVUS)と、光干渉断層診断法(OCT)との両方の機能を備えるデュアルタイプの画像診断カテーテル100である。ただし、外部装置500に接続可能な医療器具は上記に限定されず、例えばIVUS用カテーテルや、診断画像を取得する目的以外で使用されるカテーテル(例えば、治療用カテーテル等)であってもよい。
【0016】
図3図5を参照して、画像診断カテーテル100について説明する。
【0017】
図3に示すように、画像診断カテーテル100は、外部装置500に接続されることによって駆動される。
【0018】
図3~5に示すように、画像診断カテーテル100は、概説すると、生体の体腔内に挿入される長尺状のシース(「医療用長尺体」に相当)110と、シース110の基端側に設けられた外管120と、を有する。画像診断カテーテル100は、外管120内に進退移動可能に挿入される内側シャフト130と、信号を送受信する信号送受信部145を先端に有してシース110内に回転可能に設けられる駆動シャフト140と、を有する。画像診断カテーテル100は、外管120の基端側に設けられ内側シャフト130を受容するように構成されたユニットコネクタ150と、内側シャフト130の基端側に設けられたハブ160と、を有している。
【0019】
明細書の説明においては、画像診断カテーテル100の体腔内に挿入される側を先端側と称し、画像診断カテーテル100に設けられたハブ160側を基端側と称し、シース110の延在方向を軸方向と称する。
【0020】
図3に示すように、駆動シャフト140は、シース110とシース110の基端に接続した外管120と外管120内に挿入される内側シャフト130とを通り、ハブ160の内部まで延在している。
【0021】
ハブ160、内側シャフト130、駆動シャフト140、及び信号送受信部145は、それぞれが一体的に軸方向に進退移動するように互いに接続されている。このため、例えば、ハブ160が先端側に向けて押される操作がなされると、ハブ160に接続された内側シャフト130は外管120内およびユニットコネクタ150内に押し込まれる。そして、駆動シャフト140および信号送受信部145がシース110の内部を先端側へ移動する。例えば、ハブ160が基端側に引かれる操作がなされると、内側シャフト130は、図3中の矢印a1で示すように外管120およびユニットコネクタ150から引き出される。また、ハブ160が基端側に引かれる操作がなされると、駆動シャフト140および信号送受信部145は、図3の矢印a2で示すように、シース110の内部を基端側へ移動する。
【0022】
図3に示すように内側シャフト130が先端側へ最も押し込まれたときには、内側シャフト130の先端部は中継コネクタ170付近まで到達する。この際、信号送受信部145は、シース110の先端付近に位置する。中継コネクタ170はシース110と外管120とを接続するコネクタである。
【0023】
図4に示すように、駆動シャフト140は、可撓性を有する管体141を備え、その内部には信号送受信部145に接続される電気信号ケーブル142および光ファイバ143が配されている。管体141は、例えば軸まわりの巻き方向が異なる多層のコイルによって構成することができる。コイルの構成材料として、例えばステンレス、Ni-Ti(ニッケル・チタン)合金などが挙げられる。電気信号ケーブル142は、本実施形態では、図4に示すように後述するコネクタ部165に設けられた電極端子に接続されている。電気信号ケーブル142は、高周波電圧を送受信するために2本の信号線142a、142bを備えるように構成している。
【0024】
信号送受信部145は、図4に示すように、超音波を送受信する超音波送受信部145aと、光を送受信する光送受信部145bと、を有している。
【0025】
超音波送受信部145aは、振動子を備え、パルス信号に基づく超音波を体腔内に送信し、かつ、体腔内の生体組織から反射してきた超音波を受信する機能を有している。超音波送受信部145aは、電気信号ケーブル142を介して画像診断カテーテル100の基端側において電極端子(図示省略)と電気的に接続している。
【0026】
超音波送受信部145aが備える振動子としては、例えば、セラミックス、水晶などの圧電材を用いることができる。
【0027】
光送受信部145bは、伝送された測定光を連続的に体腔内に送信するとともに、体腔内の生体組織からの反射光を連続的に受信する。光送受信部145bは、光ファイバ143の先端に設けられ、光を集光するレンズ機能と反射する反射機能とを備えるボールレンズ(光学素子)を有する。
【0028】
信号送受信部145は、図4に示すようにハウジング146の内部に収容される。ハウジング146の基端側は駆動シャフト140に接続されている。ハウジング146は、図4に示すように円筒状の金属パイプの円筒面に超音波送受信部145aが送受信する超音波および光送受信部145bが送受信する光の進行を妨げないように開口部が設けられた形状をしている。
【0029】
図4に示すように、シース110は、駆動シャフト140が進退移動可能に挿入されるルーメン110aを備える。シース110の先端部には、シース110に設けられたルーメン110aに並設されて、ガイドワイヤGが挿通可能なガイドワイヤルーメン114aを備えるガイドワイヤ挿通部材114が取付けられている。シース110およびガイドワイヤ挿通部材114は、熱融着等により一体的に構成することが可能である。ガイドワイヤ挿通部材114には、X線造影性を有するマーカー115が設けられている。マーカー115は、Pt、Au等のX線不透過性の高い金属コイルから構成される。
【0030】
シース110の先端部には、ルーメン110aの内部と外部とを連通する連通孔116が形成されている。また、シース110の先端部には、ガイドワイヤ挿通部材114を強固に接合・支持するための補強部材117が設けられる。補強部材117には、補強部材117より基端側に配置されるルーメン110aの内部と連通孔116とを連通する連通路117aが形成されている。なお、シース110の先端部には、補強部材117が設けられていなくてもよい。
【0031】
連通孔116は、プライミング液を排出するためのプライミング液排出孔である。画像診断カテーテル100を使用する際は、シース110内の空気による超音波の減衰を減らし、超音波を効率良く送受信するため、プライミング液をシース110内に充填させるプライミング処理を行う。プライミング処理を行う際に、プライミング液を連通孔116から生体管腔に放出させて、プライミング液とともに空気等の気体をシース110の内部から排出することができる。
【0032】
シース110、ガイドワイヤ挿通部材114および補強部材117は、可撓性を有する材料で形成され、その材料は、特に限定されず、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)も用いることができる。なお、シース110の外表面には、湿潤時に潤滑性を示す親水性潤滑被覆層を配置することが可能である。
【0033】
図5に示すように、ハブ160は、中空形状を有するハブ本体161と、ハブ本体161の基端側に接続されるコネクタケース165cと、ハブ本体161の内部に連通するポート162と、を備える。ハブ160は、外部装置500との接続を行う際にハブ160の位置(方向)決めをするための突起163a、163bと、駆動シャフト140を保持する接続パイプ164bと、を備える。ハブ160は、接続パイプ164bを回転自在に支持する軸受164cと、接続パイプ164bと軸受164cの間から基端側に向かってプライミング液が漏れるのを防止するシール部材164aと、を備える。ハブ160は、外部装置500に接続される電極端子165aおよび光コネクタ165bが内部に配置されたコネクタ部165を備える。
【0034】
ハブ本体161の先端部には内側シャフト130が接続されている。駆動シャフト140は、ハブ本体161の内部において内側シャフト130から引き出されている。
【0035】
ポート162には、プライミング処理を行う際に、プライミング液を注入する注入デバイスS(図3参照)が接続される。注入デバイスSは、ポート162に接続されるコネクタS1と、コネクタS1に接続されるチューブS2と、チューブS2に接続される三方活栓S3と、を備える。注入デバイスSは、三方活栓S3に接続されるとともに、プライミング液をポート162に注入可能な第1シリンジS4及び第2シリンジS5を備える。第2シリンジS5は、第1シリンジS4よりも容量が大きく、第1シリンジS4が注入するプライミング液の量が不足している場合等に、補助的に使用されるシリンジである。
【0036】
接続パイプ164bは、外部装置500によって回転駆動する電極端子165aおよび光コネクタ165bの回転を駆動シャフト140に伝達するために、駆動シャフト140を保持する。接続パイプ164bの内部には電気信号ケーブル142および光ファイバ143が挿通されている。
【0037】
コネクタ部165は、電気信号ケーブル142と電気的に接続される電極端子165aと、光ファイバに接続される光コネクタ165bと、を備える。超音波送受信部145aにおける受信信号は、電極端子165aを介して外部装置500に送信され、所定の処理を施されて画像として表示される。光送受信部145bにおける受信信号は、光コネクタ165bを介して外部装置500に送信され、所定の処理を施されて画像として表示される。
【0038】
(外部装置)
図3を参照して、画像診断カテーテル100は、外部装置500に接続されて駆動される。
【0039】
上述したように、外部装置500は、ハブ160の基端側に設けられたコネクタ部165(図5参照)に接続される。
【0040】
また、外部装置500は、図3に示すように、駆動シャフト140を回転させるための動力源であるモータ500aと、駆動シャフト140を軸方向に移動させるための動力源であるモータ500bと、を有する。モータ500bの回転運動は、モータ500bに接続したボールねじ500cによって軸方向の運動に変換される。
【0041】
外部装置500の動作は、これに電気的に接続した制御装置501によって制御される。制御装置501は、CPU(Central Processing Unit)501aおよびメモリを主たる構成として含む。制御装置501は、モニタ502に電気的に接続している。制御装置501は、サーバ(図示省略)と電気的に接続することができる。
【0042】
(ベッド)
ベッド200は、地面に載置された台座から地面に直行する方向に配置され、およそ地面に沿って延在し、子供から成人までの患者Paを支持可能かつ平坦な面を備えるように構成している。ベッド200は、ロボットハンド300の先端に取付けられたカセット400に医療器具Pを取付け、ロボットハンド300を操作した際に医療器具Pがベッド200の上方に配置できるように構成している。ベッド200は、本実施形態において成人の体格に合わせてテーブルの大きさを構成しているが、スライド機構を搭載して患者Paの体格に合わせてテーブルの大きさを複数段階に変化可能に構成してもよい。
【0043】
(ロボットハンド)
ロボットハンド300は、カセット400を保持するように構成している。ロボットハンド300は、図1に示すように第1軸310と、第2軸320と、第3軸330と、を備える垂直多関節ロボットとして構成している。第1軸310と第2軸320とは回転可能に接続され、第2軸320と第3軸330とは回転可能に接続される。第1軸310、第2軸320、及び第3軸330はサーボモータ等によって回転駆動するように構成している。ロボットハンド300は、上記のように構成することによって先端に取付けたカセット400を一例として6自由度にて並進移動及び回転移動可能に構成している。ただし、ロボットハンドの自由度はカセット400に取付けた医療器具Pを所望の位置に並進移動及び回転移動して到達できれば、6自由度に限定されない。
【0044】
(カセット)
カセット400は、患者Paに対する手技に用いられるガイドワイヤGと医療器具Pを移動可能に構成している。カセット400は、図2に示すように第1駆動部410と、第2駆動部430と、設置部450と、を備える。
【0045】
カセット400は、図2に示す左右方向において第1駆動部410によってガイドワイヤGを進退移動可能に構成している。第1駆動部410は、ローラー411~422を備える。ローラー411~422は、奇数の符号で示すローラーをガイドワイヤGに対して一方の側、すなわち図2においてガイドワイヤGに対して上側に配置している。ローラー411~422は、ガイドワイヤGに対して他方の側、すなわち図2においてガイドワイヤGに対して下側に偶数の符号で示すローラーを配置している。ローラー411~420は、奇数又は偶数のローラーの一方をモータ等によって駆動ローラーとし、他方を従動ローラーとして構成している。第1駆動部410における駆動ローラーはモータ等のアクチュエータ(図示省略)によって回転可能に構成している。
【0046】
第2駆動部430は、上述した画像診断カテーテル等の医療器具Pを長手方向に進退移動可能に構成している。第2駆動部430は、図4に示すようにローラー431~434を備える。ローラー431~434は、ローラー411~422と同様に奇数の符号で示すローラーを医療器具Pに対して一方の側、図2において医療器具Pの上側に配置している。ローラー431~434は、偶数の符号で示すローラーを医療器具Pに対して他方の側、すなわち図2において医療器具Pに対して下側に配置するように構成している。ローラー431~434は、奇数又は偶数のいずれかのローラーをモータ等のアクチュエータによって駆動ローラーとし、他方を従動ローラーとなるように構成している。医療器具Pは、第2駆動部430によって、長手方向と交差する方向において管状部材600を介して挟持されながら、長手方向に進退移動可能に構成している。
【0047】
設置部450は、第1駆動部410、第2駆動部430及びガイドワイヤG及び医療器具Pを挿通させる医療デバイスを設置するように構成している。設置部450は、第1設置部451と、第2設置部452と、第3設置部453と、第4設置部454と、を備える。
【0048】
第1設置部451は、図2に示す全体の外周を硬質プラスチック等の樹脂にて形成するように構成している。第1設置部451は、ガイドワイヤGや医療器具Pを挿通可能な状態でヒンジ等によりガイドワイヤGや医療器具Pを収容するカバーを設けることができる。第2設置部452は、第1設置部451の中でも第1駆動部410を構成するローラー411~418を動作可能に設置する壁面を備える。第2設置部452は、第1設置部451に対してガイドワイヤGの長手方向(図2における左右方向)を回転軸として不図示のモータやギア対により回転可能に構成できる。
【0049】
第3設置部453は、第1駆動部410を構成するローラー419~422及び第2駆動部430を構成するローラー431~434を動作可能に設置する壁面を備える。
【0050】
第4設置部454は、カセット400に取付けるガイドワイヤG及び医療器具Pを挿通するコネクタC及び管状部材600の取付け部630を取付け可能な部位として構成している。第4設置部454に取付けるコネクタCは、本実施形態においてY字状に形成されたコネクタとして構成している。第4設置部454は、本実施形態において上記コネクタや管状部材600の取付け部630を取付け可能な凹凸形状又は凹凸状の溝によって構成している。
【0051】
(管状部材)
管状部材600は、図6を参照して概説すれば長尺の略円筒状に構成している。ここで、管状部材600の長手方向を長手方向Xとする。また、長手方向Xと交差する面方向YZにおける円筒形状の径方向又は放射方向を径方向rとする。また、円筒形状の周方向又は角度方向を周方向θとする。
【0052】
管状部材600は、長手方向Xにおいて医療器具Pを構成するシース110を移動可能な空間を備えるように構成している。管状部材600は、図6、7に示すように収縮部610と、固定部620と、取付け部630と、保護部640と、を備える。
【0053】
収縮部610は長尺状に構成している。収縮部610は、シース110を収容可能な空間Spを備える。収縮部610は、固定部620と取付け部630との間に設けられ長手方向Xに収縮可能に構成している。収縮部610は、本実施形態において管状部材600を長手方向Xに収縮可能な折り曲げ箇所を複数備える。収縮部610は、上記複数の折り曲げ箇所を有するように蛇腹形状を設けている。
【0054】
固定部620は、医療器具Pを構成するシース110に固定可能に構成している。本実施形態において固定部620は、医療器具Pを構成する耐キンクプロテクタ(ユニットコネクタ150)に取付け可能にすることでシース110に取付け可能に構成している。
【0055】
取付け部630は、いずれかの医療機器に取付け可能に構成している。取付け部630は、本実施形態においてカセット400における設置部450の第4設置部454に取付け可能に構成している。ただし、管状部材をカセットに取付けできれば、取付けの具体的態様は上記に限定されない。上記以外にも管状部材をコネクタCに取り付けたうえでコネクタCと管状部材をカセットに取付けてもよい。
【0056】
保護部640は、カセット400に設けられたローラー431~434によって径方向rの外方から把持され、ローラー431~434による押圧からシース110を保護する。保護部640は、本実施形態において収縮部610を構成する蛇腹形状によって構成している。蛇腹形状の内部空間に医療器具Pを収容することによって第2駆動部430のローラー431~434による把持力が医療器具Pのシース110に直接付与されることを防止できる。
【0057】
(照射装置)
照射装置700は、ガイドワイヤGに設けられたマーカー等によって生体内に進入させたガイドワイヤGの先端位置を把握するために用いられる。照射装置700は、ベッド200の付近において移動可能に設けられ、X線を照射する部位と、照射したX線を受信することによって撮像画像を形成する部位と、を備える。
【0058】
(操作部)
操作部800は、ロボットカテーテルシステム1における各部を操作可能に構成している。操作部800は、ロボットハンド300、カセット400、照射装置700と電気的に接続され、各部の動作を操作可能に構成している。操作部800は、ジョイスティック等の構成を備え、これによりロボットハンド300の動きを操作する。また、操作部800によってカセット400を構成する第1駆動部410及び第2駆動部430の動作を操作する。また、ジョイスティック等の構成によって照射装置700からX線の照射の司令を操作可能に構成している。
【0059】
(使用例)
次にロボットカテーテルシステム1を用いた手技について説明する。
【0060】
術者はハブ160を最も基端側に引いた状態でプライミング液を注入するデバイスをポート162に接続し、プライミング液をシース110のルーメン110aに注入する。
【0061】
プライミング液をルーメン110aの内部に注入すると、連通路117a及び連通孔116を介してプライミング液がシース110の外部に放出される。これにより、プライミング液とともに空気等の気体をシース110の内部から外部に排出することができる。
【0062】
プライミング処理後、使用者は、図3に示すように、外部装置500を画像診断カテーテル100のコネクタ部165に接続する。そして、使用者は、ハブ160をユニットコネクタ150の基端に当接するまで押し込み、信号送受信部145を先端側に移動させる。
【0063】
次に、術者は、不図示のガイドワイヤを生体の心臓の冠動脈(冠状動脈)入り口付近まで挿入する。そして、ガイドワイヤGに沿わせてガイディングカテーテルを目的部位に挿入する。次に、術者は上記ガイドワイヤGを抜去し、カセット400における第1設置部451のカバーを開く。そして、第4設置部454に設置するY字状のコネクタCにガイディングカテーテルを取り付ける。次に、管状部材600の固定部620に医療器具Pのユニットコネクタ150を固定する。次に、管状部材600の先端から医療器具Pの先端を露出させた状態で上記とは別のガイドワイヤGを医療器具Pのガイドワイヤ挿通部材114に挿通させ、管状部材600の取付け部630及びコネクタCをカセット400の第4設置部454に取付ける。
【0064】
そして、ガイドワイヤGを第1駆動部410のローラー411~422に挟持させる。そして、医療器具Pを取付けた管状部材600を第2駆動部430のローラー431~434に挟持させる。ガイドワイヤGと医療器具Pをセットできたら、第1設置部451のカバーを閉じる。
【0065】
次に、術者は操作部800を操作して、カセット400に装着したガイドワイヤGを病変部まで挿入する。次に、術者は操作部800を操作し、ガイドワイヤGに沿って、第2駆動部430を操作し、画像診断カテーテル100を病変部まで挿入する。
【0066】
次に、画像診断カテーテル100を進退移動させて、ガイディングカテーテルの先端開口部から突出させる。その後、ガイドワイヤルーメンにガイドワイヤを挿通させながら、ガイドワイヤに沿って画像診断カテーテル100をさらに押し進めて血管内の目的の位置に挿入する。なお、ガイディングカテーテルとしては、シリンジ(図示省略)を接続可能なポート(図示省略)を基端部に備える公知のガイディングカテーテルを使用することができる。
【0067】
次に、血管内の血液を造影剤などのフラッシュ液で血管内の血液を一時的にフラッシュ液で置換する。前述したプライミング処理と同様にフラッシュ液が入ったシリンジをガイディングカテーテルのポートに接続し、シリンジの押し子を押してフラッシュ液をガイディングカテーテルのルーメンの内部に注入する。フラッシュ液は、ガイディングカテーテルのルーメン内を通り、その先端開口部を介して血管内に導入される。導入されたフラッシュ液により、シース110の先端部の周りの血液が押し流されて、シース110の先端部の周囲にフラッシュ液が充満された状態となる。なお、IVUSのみによって断層画像を取得するモードの際は、上述のフラッシュ液で置換する工程を省略することができる。
【0068】
血管内の目的の位置で断層画像を得る際、信号送受信部145は、駆動シャフト140とともに回転しつつ基端側へと移動する(プルバック操作)。プルバック操作と同時に、超音波送受信部145aは超音波を血管壁に向けて送信するとともに、血管壁において反射された超音波を受信する。また、光送受信部145bも、同時に、測定光を血管壁に向けて送信し、血管壁において反射された反射光を受信する。なお、前述したように、超音波送受信部145aから送信される超音波と光送受信部145bから送信される測定光が交差するため、生体内において超音波によって検査される領域と、光によって検査される領域を重ねることができる。
【0069】
駆動シャフト140の回転および移動操作は、制御装置501によって制御される。ハブ160内に設けたコネクタ部165は、外部装置500に接続された状態で回転され、これに連動して、駆動シャフト140が回転する。
【0070】
また、制御装置501から送られる信号に基づき、信号送受信部145は体内に超音波および光を送信する。信号送受信部145が受信した反射波および反射光に対応する信号は、駆動シャフト140および外部装置500を介して制御装置501に送られる。制御装置501は、信号送受信部145から送られてくる信号に基づき生体管腔の断層画像を生成し、生成した画像をモニタ502に表示する。
【0071】
以上、説明したように本実施形態に係る医療器具セットは、シース110を含む医療器具Pと、管状部材600と、を有する。管状部材600は長尺状に構成され、シース110を収容可能な空間Spを備える。管状部材600は、収縮部610と、固定部620と、保護部640と、を備える。収縮部610は、長手方向Xに収縮可能に構成している。固定部620は、シース110に固定可能に構成している。保護部640は、カセット400のローラー431~434によって径方向rの外方に把持され、ローラー431~434による押圧からシース110を保護するように構成している。
【0072】
このように構成することによって、シース110はカセット400を構成する第2駆動部430のローラー431~434による挟持力を直接受けなくすることができる。そのため、シース110が径方向rの内方に変形することを防止又は抑制することができる。
【0073】
また、収縮部610は、管状部材600を長手方向Xに収縮可能な折り曲げ箇所を複数備えるように構成している。これにより、ロボットカテーテルシステム1において画像診断カテーテル100のシース110のように生体内に挿入する長尺体を進退移動させつつ、シース110が径方向rの内方に変形することを防止又は抑制することができる。
【0074】
また、管状部材600の収縮部610は、折り曲げ箇所複数設けられた箇所として蛇腹形状を備えることで、生体内に挿入するシース110を進退移動させつつ、シース110が径方向rの内方に変形することを防止又は抑制することができる。
【0075】
また、管状部材600は、カセット400の第4設置部454等に取付け可能な取付け部630を備える。これにより、カセット400等の他の医療器具との連携を円滑に行うことができる。
【0076】
(第2実施形態)
図8、9は第2実施形態に係る管状部材600aを示す斜視図及び側面図、図10図9の10-10線に沿う断面図である。第1実施形態において管状部材は保護部640が蛇腹形状を備える実施形態について説明した。しかし、上記以外にも保護部は以下のように構成できる。なお、第2実施形態における医療器具P及びロボットカテーテルシステムにおける管状部材の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
管状部材600aは、収縮部610aと、固定部620と、取付け部630と、保護部640aと、を備える。管状部材600aにおける固定部620と取付け部630とは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
収縮部610aは、本実施形態において図10に示すように長手方向Xに交差する断面において略円形状の断面を分割して第1被覆部材611と、第2被覆部材612と、を備える。第1被覆部材611及び第2被覆部材612は、本実施形態において可撓性のあるプラスチック等によって構成できる。これにより、管状部材600aを医療器具Pに取付けた状態で医療器具Pを長手方向に進退移動させると収縮部610aは材料自体の可撓性により長手方向Xに変形することができる。
【0079】
保護部640aは、本実施形態において第1被覆部材611と第2被覆部材612とによって構成している。第1被覆部材611が長手方向Xと交差する方向における断面であって周方向θの略半分において医療器具Pを包囲し、保護する。第2被覆部材612は、周方向θにおいて第1被覆部材611と異なる範囲において医療器具Pを被覆するように構成している。なお、本実施形態において第1被覆部材611と第2被覆部材612が周方向θの角度はともに180度、すなわち均等に構成している。ただし、医療器具Pのシース110を保護できれは、第1被覆部材と第2被覆部材の周方向θにおける角度の配分は均等でなくてもよい。
【0080】
なお、第2実施形態に係る管状部材600aを用いた手技は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
以上説明したように第2実施形態に係る管状部材600aは、保護部640aが第1被覆部材611と第2被覆部材612とを備えるように構成している。第1被覆部材611は長手方向Xと交差する周方向θにおける第1範囲においてシース110を被覆する。第2被覆部材612は、周方向θにおいて第1範囲と異なる第2範囲においてシース110を被覆する。これにより、第2駆動部430のローラー431~434によってシース110を挟持する際にシース110が径方向rの内方に変形することを防止又は抑制できる。
【0082】
(第3実施形態)
図11、12は第3実施形態に係る管状部材600bを示す斜視図、側面図である。第2実施形態では管状部材600aの全体にわたってシース110が被覆される実施形態について説明したが、以下のように構成することもできる。なお、管状部材600bにおける固定部620、取付け部630は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
収縮部610bは、図11に示すように第1被覆部材611bと第2被覆部材612と、を備える。第2被覆部材612は、第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
第1被覆部材611bは、図11に示すように管状部材600bにおいて固定部620から取付け部630まで全体にわたってではなく、あくまで部分的に延在するように構成している。すなわち、第1被覆部材611bは、長手方向Xにおいてシース110がローラー431~434によって把持されない部位においてシース110を露出させる露出部650を備えるように構成している。保護部640bは、第1被覆部材611bの存在する部分と第2被覆部材612とによって構成している。なお、管状部材600bを用いた手技は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
以上、説明したように第3実施形態に係る管状部材600bは、第1被覆部材611bが長手方向Xにおいてシース110が把持されない部位においてシース110を露出させる露出部650を備えるように構成している。保護部640bは第2駆動部430のローラー431~434によって挟持される部位に設けられればよく、上記のように構成することによってもシース110がローラー431~434によって径方向rの内方に変形することを防止または抑制できる。
【0086】
(第4実施形態)
図13は第4実施形態に係る管状部材600cを示し、図9の変形例を示す断面図である。第2実施形態では管状部材600aを構成する第1被覆部材611及び第2被覆部材612が長手方向Xに交差する断面において円弧形状の断面を備える実施形態について説明した。しかし、以下のように構成することもできる。なお、第4実施形態では固定部620及び取付け部630は第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
保護部640cは、第1被覆部材611と第2被覆部材612とによって構成している。また、保護部640cの内面にはウレタン等のクッション性のある緩衝部材613、614を設けている。すなわち、第1被覆部材611の円弧形状の内面には第1被覆部材611と同程度の中心角で緩衝部材613を設けている。また、第2被覆部材612の内面には、第2被覆部材612の中心角と同程度の中心角において緩衝部材614を設けている。その他の構成は第2実施形態と同様であり、手技についても第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
以上、説明したように第4実施形態に係る管状部材600cにおいて保護部640cの内面にはシース110との接触を緩衝する緩衝部材613、614を設けるように構成している。これにより、第2駆動部430のローラー431~434によってシース110に外力が付与されても保護部に加えて緩衝部材613、614が接触を緩衝する。そのため、シース110への入力をさらに和らげてシース110が径方向rの内方に変形することを防止または抑制できる。
【0089】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。図14~18は変形例に係る管状部材600bを示す斜視図、側面図及び平面図である。
【0090】
第1実施形態では収縮部610が管状部材600を長手方向Xに収縮可能な折り曲げ箇所を複数備える構成として蛇腹形状を備えると説明した。しかし、折り曲げ箇所を複数設けられれば上記に限定されず、以下のように構成することができる。
【0091】
管状部材600dは、図14図18に示すように固定部620と取付け部630との間において長手方向Xに複数並べた接続部材611f~611mを含む収縮部610dと、固定部620と、取付け部630と、保護部640cと、を備える。固定部620と取付け部630は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
保護部640dは、保護部640aと同様の材料で構成しており、ローラー431~434によって医療器具Pが径方向外方から挟持力を直接受けることを防止する。保護部640dは、中空の円筒形状に構成しており、その他の構成は保護部640aと同様であるため、説明を省略する。
【0093】
接続部材611f~611kは、図14に示すように管状部材の長手方向Xに交差する円筒断面において第1の角度範囲(本実施形態では略180度、即ち全周の略半分)にわたって設けられる。接続部材611m~611qは円筒断面において第1の角度範囲と異なる第2の角度範囲(本実施形態では略180度)にわたって設けられる。
【0094】
接続部材611f~611mよりも径方向rの内方には緩衝部材613f~613k、614f~614kを設けている。緩衝部材613f~613kは、図15に示すように接続部材611f~611kに取付けられ、緩衝部材614f~614kは、接続部材611m~611qに取付けられる。
【0095】
緩衝部材613f~613k、614f~614kは、ウレタンやゴム等のクッション性のある材料によって構成し、径方向rの内部を医療器具Pのシース110が挿通しやすいようにくり抜いて形成している。
【0096】
接続部材611f~611k及び接続部材611m~611qは、隣接する接続部材と回転可能に連結され、一方向にのみ折れ曲がり可能に構成している。これにより、医療器具Pを管状部材600dに取付け、医療器具Pを長手方向に押し込むと、接続部材611f~611k及び接続部材611m~611qにおいて隣接する接続部材同士のなす角が変化する。そして、図17、18に示すように管状部材600dの長手方向Xにおける全長が小さくなる。これにより、医療器具Pを生体内に進入させることができる。
【0097】
また、接続部材611f~611kには緩衝部材613f~613kが設けられ、接続部材611m~612qには緩衝部材614f~614kが設けられる。これにより、第2駆動部430のローラー431~434によってシース110が挟持される際に緩衝部材613f~613k及び緩衝部材614f~614kによってシース110が径方向rにおいて内方に変形することを防止又は抑制できる。また、上記において管状部材600は収縮部610と、固定部620と、取付け部630と、保護部640と、を備えると説明した。ただし、ローラー431~434によって管状部材を介してシース110を進退移動できれば、管状部材は取付け部630を含まず、収縮部610と、固定部620と、保護部640と、を含むものも本発明の一実施形態に含まれる。
【0098】
また、ロボットカテーテルシステム1のカセット400に取付ける医療器具Pを構成する医療用長尺体は画像診断カテーテル100のシース110である実施形態について説明した。しかし、生体内に挿入可能な長尺状のものであれば、医療器具Pを構成する医療用長尺体は上記以外にもバルーンカテーテルやステントデリバリ用のカテーテル等、本発明の目的に適うものであれば適用可能である。
【0099】
本出願は、2019年9月30日に出願された日本国特許出願2019-178995号に基づいており、その開示内容は参照により全体として引用される。
【符号の説明】
【0100】
110 シース(医療用長尺体)、
400 カセット(他の医療器具)、
431~434 ローラー、
600、600a、600b、600c、600d 管状部材、
610、610a、610b、610d 収縮部、
611 第1被覆部材、
612 第2被覆部材、
613、614 緩衝部材、
620 固定部、
630 取付け部、
640、640a、640b、640c、640d 保護部、
650 露出部、
P 医療器具、
r 径方向(放射方向)、
Sp 空間、
X 長手方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18