(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】衝突軽減装置、及び衝突軽減装置を有する材料試験システム
(51)【国際特許分類】
G01N 3/06 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
G01N3/06
(21)【出願番号】P 2021557095
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020025636
(87)【国際公開番号】W WO2020198729
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エー.コンティ
(72)【発明者】
【氏名】ジャロン ディー.バーンワース
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-042321(JP,A)
【文献】特開2018-017579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料試験中に試験試料に試験力を伝達するように作動するように構成されたクロスヘッドと、
前記クロスヘッドを作動させるとともに、前記試験力を前記クロスヘッドに印加するように構成されたアクチュエータと、
前記クロスヘッドによって前記
試験試料に印加された力を測定するように構成された力センサと、
制御プロセッサであって、
前記クロスヘッドの移動の始動に応答して、前記力センサからの第1の力測定値に基づいて
衝突基準力範囲を求めることと、
前記
衝突基準力範囲の外側である、前記力センサによる第2の力測定値に応答して、前記クロスヘッドに制動力を印加するように前記アクチュエータを制御することと、
を行うように構成された、制御プロセッサと、
を備える、材料試験システム。
【請求項2】
前記制御プロセッサは、許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、前記
衝突基準力範囲を
求めるように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項3】
前記制御プロセッサは、第2の許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、自由運動力範囲を求めるように構成され、前記制御プロセッサは、前記第2の力測定値が前記自由運動力範囲の外側であることに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項2に記載の材料試験システム。
【請求項4】
前記制御プロセッサは、前記第2の力測定値が、該第2の力測定値に先立って取得された第3の力測定値以上であると判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項3に記載の材料試験システム。
【請求項5】
前記制御プロセッサは、変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めるように構成され、前記制御プロセッサは、変位測定値と前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項4に記載の材料試験システム。
【請求項6】
前記制御プロセッサは、前記クロスヘッドの速度が少なくとも閾値速度であると判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項7】
前記制御プロセッサは、クロスヘッド速度の反対方向において作動するように前記アクチュエータを制御することによって、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項8】
前記制御プロセッサは、
最終目標速度を求めることと、
前記クロスヘッド速度が前記最終目標速度に達したと判断することに応答して、前記制動力を取り除くように前記アクチュエータを制御することと、
を行うように構成される、請求項7に記載の材料試験システム。
【請求項9】
前記制御プロセッサは、第2の力測定値を検出することに先立って観測された変位値に前記クロスヘッドを移動させるように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項10】
前記制御プロセッサは、変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めるように構成され、前記制御プロセッサは、変位測定値と、前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項11】
材料試験中に試験試料に試験力を伝達するように作動するようにアクチュエータを制御することと、
力センサを介して、
クロスヘッドによって前記
試験試料に印加された力を測定することと、
前記クロスヘッドの移動の始動に応答して、前記力センサからの第1の力測定値に基づいて、制御プロセッサを用いて
衝突基準力範囲を求めることと、
前記
衝突基準力範囲の外側である、前記力センサによる第2の力測定値に応答して、前記クロスヘッドに制動力を印加するように前記アクチュエータを制御することと、
を含む、材料試験システムを制御する方法。
【請求項12】
許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、前記
衝突基準力範囲を
求める
、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、自由運動力範囲を求めることを更に含み、前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、前記第2の力測定値が前記自由運動力範囲の外側であることに応答して、更に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、前記第2の力測定値が、該第2の力測定値に先立って取得された第3の力測定値以上であると判断することに応答して、更に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めることを更に含み、前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、変位測定値と前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに応答して、更に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、前記クロスヘッドの速度が少なくとも閾値速度であると判断することに応答して、更に行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、クロスヘッド速度の反対方向において作動するように前記アクチュエータを制御することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
最終目標速度を求めることと、
前記クロスヘッド速度が前記最終目標速度に達したと判断することに応答して、前記制動力を取り除くように前記アクチュエータを制御することと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第2の力測定値を検出することに先立って観測された変位値に前記クロスヘッドを移動させるように前記アクチュエータを制御することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めることを更に含み、前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、変位測定値と、前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに応答して、更に行われる、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、「COLLISION MITIGATION APPARATUS MATERIAL TESTING SYSTEMS HAVING COLLISION MITIGATION APPARATUS」と題する2020年3月27日に出願された米国特許出願第16/832,708号及び「COLLISION MITIGATION APPARATUS MATERIAL TESTING SYSTEMS HAVING COLLISION MITIGATION APPARATUS」と題する2019年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/825,425号の優先権を主張する。米国特許出願第62/825,425号の全体は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、材料試験に関し、より詳細には、衝突軽減装置、及び衝突軽減装置を有する材料試験システムに関する。
【背景技術】
【0003】
万能試験機械は、機械試験、例えば、材料又は構成要素に対して圧縮強さ試験又は引張強さ試験を実行するのに用いられる。材料に対して動的試験を実行する間、典型的には、多様な試験負荷に材料のサンプルを晒すことを通して材料のサンプルが試験される。例えば、材料のサンプルは、引張力又は圧縮力に晒される場合がある。材料のサンプルは、ねじり力にも晒される場合がある。或る特定の試験手順中、材料のサンプルは、引張力、圧縮力及びねじり力に同時に晒されることがあり得る。材料のサンプルに対してこれらの材料試験手順を実行するために、材料のサンプルは、材料のサンプルに対して材料試験手順を実行するように設計される、時として材料試験システムと称される材料試験機械内で固定的に保持されなければならない。オペレータ又はシステムは、試験試料を取り付ける位置等の適切な位置に移動させるように材料試験システムの可動構成要素を制御することができる。
【発明の概要】
【0004】
衝突軽減装置、及び衝突軽減装置を有する材料試験システムは、実質的に図面のうちの少なくとも1つによって図示されるとともにその図に関して説明され、特許請求の範囲においてより完全に明記されるように開示される。
【0005】
本開示のこれらの特徴、態様、及び利点並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照して読まれるとより良好に理解され、図面を通して同様の参照符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の態様による、機械特性試験を実行する一例示の試験デバイスの図である。
【
図2】
図1の試験デバイスの一例示の実施態様のブロック図である。
【
図3A】
図1及び
図2の試験デバイス内の衝突を検出及び軽減するために
図2の制御プロセッサによって実行することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【
図3B】
図1及び
図2の試験デバイス内の衝突を検出及び軽減するために
図2の制御プロセッサによって実行することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【
図4】
図1及び
図2の試験デバイス内の衝突を軽減するために
図2の制御プロセッサによって実行することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。適切な場合は、同様の又は同一の参照番号を使用して、同様の又は同一の構成要素を指す。
【0008】
引張、圧縮、及び/又はねじりを印加する材料試験システムを含む材料試験システムは、1つ以上の構成要素を備え、該1つ以上の構成要素は変位及び/又は負荷負担を受け、試験試料にかかる応力を印加及び/又は測定する。したがって、材料試験システムは、他の構成要素に対して離接移動するように構成される1つ以上の可動構成要素(例えば、クロスヘッド)を備え、このことは、可動構成要素と材料試験システムの別の構成要素との間の衝突の可能性を招く。
【0009】
いくつかの状況では、オペレータは、フレームのクロスヘッドを移動させるのにジョグボタンを使用するとき、又は所定のロケーション(例えば、ゼロ変位)に戻るときに、誤って自身の材料試験システムの部品同士を衝突させることがある。
【0010】
開示される例示のシステム、方法、及び装置は、衝突が検出されると、可動構成要素(複数の場合もある)のアクチュエータ(複数の場合もある)を使用して逆の力をブレーキとして印加することによって、構成要素の移動を停止させる。衝突が検出及び/又は軽減される速さを改善することによって、開示される例示のシステム、方法、及び装置は、従来の材料試験システムと比較して、材料試験フレーム、ロードセル、装置、及び/又は試料に対する損傷の尤度を低下させるのに十分迅速に衝突を軽減する。
【0011】
いくつかの例では、制御プロセッサは、システムに既に組み込まれている予備的な力測定値及び/又は変位測定値を入力(複数の場合もある)として使用して、衝突を検出し、及び/又は衝突を軽減する。制御プロセッサは、衝突基準として相対的な力の変化を検出し、それにより、衝突検出は、オペレータが試料にかかる真の力を反映するために力測定値を均衡化させることもゼロにする(zero out)こともしない場合であっても機能する。いくつかの例では、制御プロセッサは、荷重下運動(loaded motion)を自由運動と区別し、自由運動が検出されたときにのみ衝突検出及び軽減技法を適用する。そのような例示のシステムにより、オペレータが、衝突軽減をトリガーすることなく、既に荷重されていたシステムを荷重解除するのにジョグ及び/又は復帰機能を使用することが可能になる。
【0012】
衝突が検出されると、例示のシステム、方法、及び装置は、アクチュエータ出力(例えば、サーボ出力)を使用して、短い持続期間の間ブレーキを印加する。例示のアクチュエータ制動は、移動方向とは反対の方向において作動するようにアクチュエータを制御することを伴うことができる。応答性を高めるために、開示される例は、アクチュエータを、通常の制御ループ(例えば、閉ループ制御システム)を迂回することによって制御する。例示のシステム、方法、及び装置は、制動時間を決定し、及び/又は閾値速度に達するまでブレーキを印加することができる。閾値速度は、事前設定とする、及び/又は、衝突の時点における速さに基づいて決定することができる。
【0013】
本明細書において使用される場合、「クロスヘッド」は、方向のある力(軸方向力)及び/又は回転力を試料に印加する材料試験システムの構成要素を指す。材料試験システムは、1つ以上のクロスヘッドを有することができ、クロスヘッド(複数の場合もある)は、材料試験システムにおいて任意の適切な位置及び/又は方位に配置することができる。
【0014】
開示される例示の材料試験システムは、材料試験中に試験試料に試験力を伝達するように作動するように構成されたクロスヘッドと、クロスヘッドを作動させるとともに、試験力をクロスヘッドに印加するように構成されたアクチュエータと、クロスヘッドによって試料に印加された力を測定するように構成された力センサと、制御プロセッサとを備える。制御プロセッサは、クロスヘッドの移動の始動に応答して、力センサからの第1の力測定値に基づいて基準力範囲を求めることと、基準力範囲の外側である、力センサによる第2の力測定値に応答して、クロスヘッドに制動力を印加するようにアクチュエータを制御することとを行うように構成される。
【0015】
いくつかの例示の材料試験システムにおいて、制御プロセッサは、許容範囲及び第1の力測定値に基づいて、基準力範囲を衝突基準力範囲として求めるように構成される。いくつかの例示の材料試験システムにおいて、制御プロセッサは、第2の許容範囲及び第1の力測定値に基づいて、自由運動力範囲を求めるように構成され、制御プロセッサは、第2の力測定値が自由運動力範囲の外側であることに更に応答して、制動力を印加するようにアクチュエータを制御するように構成される。
【0016】
いくつかの例示の材料試験システムにおいて、制御プロセッサは、第2の力測定値が、第2の力測定値に先立って取得された第3の力測定値以上であると判断することに更に応答して、制動力を印加するようにアクチュエータを制御するように構成される。いくつかの例示の材料試験システムにおいて、制御プロセッサは、変位測定値に基づいて、クロスヘッドの基準変位を求めるように構成され、制御プロセッサは、変位測定値と基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに更に応答して、制動力を印加するようにアクチュエータを制御するように構成される。
【0017】
いくつかの例示の材料試験システムにおいて、制御プロセッサは、クロスヘッドの速度が少なくとも閾値速度であると判断することに更に応答して、制動力を印加するようにアクチュエータを制御するように構成される。いくつかの例示の材料試験システムにおいて、制御プロセッサは、クロスヘッド速度の反対方向において作動するようにアクチュエータを制御することによって、制動力を印加するようにアクチュエータを制御するように構成される。いくつかの例では、制御プロセッサは、最終目標速度を求めることと、クロスヘッド速度が最終目標速度に達したと判断することに応答して、制動力を取り除くようにアクチュエータを制御することとを行うように構成される。
【0018】
いくつかの例示の材料試験システムにおいて、制御プロセッサは、第2の力測定値を検出することに先立って観測された変位値にクロスヘッドを移動させるようにアクチュエータを制御するように構成される。
【0019】
材料試験システムを制御する開示される例示の方法は、材料試験中に試験試料に試験力を伝達するように作動するようにアクチュエータを制御することと、力センサを介して、クロスヘッドによって試料に印加された力を測定することと、クロスヘッドの移動の始動に応答して、力センサからの第1の力測定値に基づいて、制御プロセッサを用いて基準力範囲を求めることと、基準力範囲の外側である、力センサによる第2の力測定値に応答して、クロスヘッドに制動力を印加するようにアクチュエータを制御することとを含む。
【0020】
いくつかの例示の方法は、許容範囲及び第1の力測定値に基づいて、基準力範囲を衝突基準力範囲として求めることを更に含む。いくつかの例示の方法は、第2の許容範囲及び第1の力測定値に基づいて、自由運動力範囲を求めることを更に含み、制動力を印加するアクチュエータの制御は、第2の力測定値が自由運動力範囲の外側であることに応答して、更に行われる。
【0021】
いくつかの例示の方法において、制動力を印加するアクチュエータの制御は、第2の力測定値が、第2の力測定値に先立って取得された第3の力測定値以上であると判断することに応答して、更に行われる。いくつかの例示の方法は、変位測定値に基づいて、クロスヘッドの基準変位を求めることを更に含み、制動力を印加するアクチュエータの制御は、変位測定値と基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに応答して、更に行われる。
【0022】
いくつかの例示の方法において、制動力を印加するアクチュエータの制御は、クロスヘッドの速度が少なくとも閾値速度であると判断することに応答して、更に行われる。いくつかの例示の方法において、制動力を印加するアクチュエータの制御は、クロスヘッド速度の反対方向において作動するようにアクチュエータを制御することを含む。いくつかの例示の方法は、最終目標速度を求めることと、クロスヘッド速度が最終目標速度に達したと判断することに応答して、制動力を取り除くようにアクチュエータを制御することとを更に含む。いくつかの例示の方法は、第2の力測定値を検出することに先立って観測された変位値にクロスヘッドを移動させるようにアクチュエータを制御することを更に含む。
【0023】
図1は、機械特性試験を実行する一例示の材料試験システム100を示している。例示の材料試験システム100は、例えば、静止機械試験が可能である万能試験システムとすることができる。材料試験システム100は、例えば、圧縮強さ試験、引張強さ試験、せん断強さ試験、曲げ強さ試験、撓み強さ試験、引裂強さ試験、剥離強さ試験(例えば、接着剤結合の強さ)、ねじり強さ試験、及び/又は他の任意の圧縮及び/又は引張試験を実行することができる。加えて又は代替的に、材料試験システム100は、動的試験を実行することができる。
【0024】
例示の材料試験システム100は、試験装置102と、試験装置102に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス104とを備える。試験装置102は、試験対象材料106に負荷を印加し、試験対象材料106の変位及び/又は試験対象材料106に印加された力等の試験の機械特性を測定する。例示の試験装置102は、デュアルカラム装置として示されているが、シングルカラム試験装置等の他の装置も使用することができる。
【0025】
例示のコンピューティングデバイス104は、試験装置102を構成し、試験装置102を制御し、及び/又は、処理、表示、報告、及び/又は他の任意の所望の目的で、試験装置102から測定データ(例えば、力及び変位等のトランスデューサ測定値)及び/又は試験結果(例えば、ピーク力、破断変位(break displacement)等)を受信するのに用いることができる。
【0026】
図2は、
図1の材料試験システム100の一例示の実施態様のブロック図である。
図2の例示の材料試験システム100は、試験装置102と、コンピューティングデバイス104とを備える。例示のコンピューティングデバイス104は、汎用コンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、モバイルデバイス、サーバ、オールインワンコンピュータ、及び/又は他の任意のタイプのコンピューティングデバイスとすることができる。
【0027】
図2の例示のコンピューティングデバイス104は、プロセッサ202を備える。例示のプロセッサ202は、任意の製造者からの任意の汎用中央処理装置(CPU:central processing unit)とすることができる。他のいくつかの例では、プロセッサ202は、ARMコアを有するRISCプロセッサ、画像処理装置、デジタル信号プロセッサ、及び/又はシステムオンチップ(SoC)等の1つ以上の専用処理装置を含むことができる。プロセッサ202は、プロセッサにおいて(例えば、内蔵キャッシュ又はSoCに)、ランダムアクセスメモリ206(又は他の揮発性メモリ)に、リードオンリーメモリ208(又はフラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリ)に、及び/又はマスストレージデバイス210にローカルに記憶することができる機械可読命令204を実行する。例示のマスストレージデバイス210は、ハードドライブ、ソリッドステートストレージドライブ、ハイブリッドドライブ、RAIDアレイ、及び/又は他の任意のマスデータストレージデバイスとすることができる。
【0028】
バス212は、プロセッサ202、RAM206、ROM208、マスストレージデバイス210、ネットワークインターフェース214、及び/又は入力/出力インターフェース216間の通信を可能にする。
【0029】
例示のネットワークインターフェース214は、コンピューティングデバイス201を、インターネット等の通信ネットワーク218に接続するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、ネットワークインターフェース214は、通信を送信及び/又は受信するために、IEEE 202.X準拠無線及び/又は有線通信ハードウェアを含むことができる。
【0030】
図2の例示のI/Oインターフェース216は、プロセッサ202に入力を提供する及び/又はプロセッサ202から出力を提供するために、1つ以上の入力/出力デバイス220をプロセッサ202に接続するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、I/Oインターフェース216は、ディスプレイデバイスとインターフェース接続する画像処理装置、1つ以上のUSB準拠デバイスとインターフェース接続するユニバーサルシリアルバスポート、FireWire(登録商標)、フィールドバス、及び/又は他の任意のタイプのインターフェースを含むことができる。例示の材料試験システム100は、I/Oインターフェース216に結合されたディスプレイデバイス224(例えば、LCDスクリーン)を備える。他の例示のI/Oデバイス(複数の場合もある)220は、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、ポインティングデバイス、マイクロフォン、オーディオスピーカー、ディスプレイデバイス、光メディアドライブ、マルチタッチタッチスクリーン、ジェスチャー認識インターフェース、磁気メディアドライブ、及び/又は他の任意のタイプの入力及び/又は出力デバイスを含むことができる。
【0031】
例示のコンピューティングデバイス104は、I/Oインターフェース216及び/又はI/Oデバイス(複数の場合もある)220を介して非一時的機械可読媒体222にアクセスすることができる。
図2の機械可読媒体222の例は、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイル/ビデオディスク(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク等)、磁気メディア(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク)、ポータブル記憶媒体(例えば、ポータブルフラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD)カード等)、及び/又は他の任意のタイプの取り外し可能及び/又はインストール済み機械可読媒体を含む。
【0032】
図1の例示の材料試験システム100は、コンピューティングデバイス104に結合された試験装置102を更に含む。
図2の例では、試験装置102は、USBポート、Thunderboltポート、FireWire(登録商標)(IEEE 1394)ポート、及び/又は他の任意のタイプのシリアル又はパラレルデータポート等のI/Oインターフェース216を介して、コンピューティングデバイスに結合される。他のいくつかの例では、試験装置102は、直接又はネットワーク218を介して、有線又は無線接続(例えば、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi等)を介してネットワークインターフェース214及び/又はI/Oインターフェース216に結合される。
【0033】
図2の試験装置102は、フレーム228と、ロードセル230と、変位トランスデューサ232と、クロスメンバーローダー234と、材料固定具236と、制御プロセッサ238とを備える。フレーム228は、試験を実行する試験装置102の他の構成要素の剛性構造支持を提供する。ロードセル230は、材料固定具236を介して、クロスメンバーローダー234によって試験対象材料に印加された力を測定する。クロスメンバーローダー234は、試験対象材料に力を印加し、一方、材料固定具236(グリップ248を備える)は、試験対象材料を把持するか、又は別の方法で試験対象材料をクロスメンバーローダー234に結合する。例示のクロスメンバーローダー234は、モータ242(又は他のアクチュエータ)及びクロスヘッド244を備える。クロスヘッド244は、材料固定具236をフレーム228に結合し、モータ242は、クロスヘッドをフレームに対して移動させて材料固定具236を位置決めし、及び/又は、試験対象材料に力を印加する。材料試験システム100の構成要素の力及び/又は運動を与えるのに使用することができる例示のアクチュエータは、電気モータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、圧電アクチュエータ、リレー、及び/又はスイッチを含む。
【0034】
例示の試験装置102は、サーボモータ又は直動リニアモータ等のモータ242を使用するが、他のシステムは、種々のタイプのアクチュエータを使用することができる。例えば、システムの要件に基づいて、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、及び/又は他の任意のタイプのアクチュエータを使用することができる。
【0035】
例示のグリップ248は、試験されている機械特性及び/又は試験対象材料に応じて、圧縮プラテン、顎部又は他のタイプの固定具を含む。グリップ248は、手動で構成することもできるし、手動入力を介して制御することもできるし、及び/又は制御プロセッサ238によって自動的に制御することもできる。クロスヘッド244及びグリップ248は、オペレータアクセス可能構成要素である。
【0036】
図2の例示の材料試験システム100は、1つ以上のモードスイッチ252を備える1つ以上の制御パネル250を更に備えることができる。モードスイッチ252は、ボタン、スイッチ、及び/又はオペレータ制御パネル上に配置される他の入力デバイスを含むことができる。例えば、モードスイッチ252は、クロスヘッド244をフレーム228上の特定の位置にジョグさせる(例えば、位置決めする)ようにモータ242を制御するボタン、空気圧グリップ248を開閉するようにグリップアクチュエータ246を制御するスイッチ(例えば、フットスイッチ)、及び/又は試験装置102の動作を制御する他の任意の入力デバイスを含むことができる。
【0037】
例示の制御プロセッサ238は、コンピューティングデバイス104と通信して、例えば、コンピューティングデバイス104から試験パラメータを受信し、及び/又は測定値及び/又は他の結果をコンピューティングデバイス104に報告する。例えば、制御プロセッサ238は、コンピューティングデバイス104との通信を可能にする1つ以上の通信又はI/Oインターフェースを含むことができる。制御プロセッサ238は、印加される力を増減させるようにクロスメンバーローダー234を制御し、試験対象材料を把持又は解放するように固定具(複数の場合もある)236を制御し、及び/又は変位トランスデューサ232、ロードセル230及び/又は他のトランスデューサから測定値を受信することができる。
【0038】
例示の制御プロセッサ238は、クロスヘッド244が移動している間に衝突が検出されると、衝突軽減プロセスを実施するように構成される。例えば、不注意なオペレータによるクロスヘッド244の移動の結果、クロスヘッド244に取り付けられたグリップ248の或るセットがグリップ248の別のセットにぶつかる場合がある。衝突を検出するために、制御プロセッサ238は、力測定センサとしてロードセル230を監視する。制御プロセッサ238が(例えば、クロスヘッド244の移動の開始時の初期力測定値と比較して)ロードセル230によって相対的な力出力の変化を識別すると、制御プロセッサ238は、クロスヘッド244に制動力を印加して、迅速に速さを低下させるとともに、衝突によって引き起こされた試験装置102の構成要素にかかる力を軽減するようにモータ242(又はクロスヘッド244に結合された他のアクチュエータ)を制御する。以下で開示される
図3A、
図3B、及び
図4は、衝突を検出及び軽減するために制御プロセッサ238によって実行することができる一例示のプロセスを説明する。
【0039】
図3A及び
図3Bは、
図1及び
図2の試験装置102内の衝突を検出及び軽減するために
図2の制御プロセッサ238によって実行することができる例示の機械可読命令300を表すフローチャートを示している。
【0040】
ブロック302において、制御プロセッサ238は、クロスヘッド244の移動が始動されているか否かを判断する。例えば、クロスヘッド移動は、オペレータが「ジョグ」ボタン(例えば、
図2のモードスイッチ252のうちの1つ及び/又はI/Oデバイス220のうちの1つ)を押下することによって、及び/又は、プログラミングされた移動の一部(例えば、材料試験の終了に後続してクロスヘッド244を所定の位置に復帰させること)として制御プロセッサ238によって、始動することができる。クロスヘッド移動が始動されていない場合(ブロック302)、制御プロセッサ238は、ブロック302に制御を戻して、クロスヘッド移動がないかチェックを継続する。
【0041】
クロスヘッド移動が始動されている場合、ブロック304において、制御プロセッサ238は、力センサから基準力測定値を求める。例えば、力測定値は、クロスヘッド244によって保持されたロードセル230の出力とすることができ、ブロック306において、制御プロセッサ238は、基準力測定値に基づいて、自由運動基準力範囲及び衝突基準力範囲を求める。例えば、制御プロセッサ238は、基準力測定値に第1の力許容範囲を適用して、自由運動基準力範囲を求めるとともに、第2の力許容範囲を適用して、衝突基準力範囲を求めることができる。
図3A及び
図3Bの例では、第1の力許容範囲は、高コンプライアントの(例えば、伸縮性の)試料の荷重解除に対応するために、第2の力許容範囲よりも小さい範囲である。第1の力許容範囲及び第2の力許容範囲は、基準力測定値に関して対称又は非対称とすることができる。
【0042】
ブロック308において、制御プロセッサ238は、変位トランスデューサ232から受信された測定値又はデータに基づいて、基準変位測定値を求める。例えば、変位トランスデューサ232は、クロスヘッド244の現在の位置、又は(例えば、フレーム228上の所定のロケーションに対する)変位を測定することができる。
【0043】
ブロック310において、ロードセル230は、力を測定する。例えば、ロードセル230は、材料固定具236及び/又はグリップ248にかかる力を測定し、測定値を制御プロセッサ238に提供することができる。試験装置102の状態(例えば、損傷していない試料を把持している、破断した試料を把持している、試料を把持していない)に応じて、ロードセル230は、無荷重の力、引張負荷、又は圧縮負荷を測定することができる。
【0044】
ブロック312において、制御プロセッサ238は、実行された力測定値が有効であるか否かを判断する。例えば、制御プロセッサ238は、有効性について、例えば、値が以前に求められた有効範囲内であるか否か、及び/又はロードセル230の較正が依然として有効であるか否かについて、制御プロセッサ238がそれを用いて力測定値を評価することができる1つ以上の基準を有することができる。力測定値が有効である場合(ブロック312)、ブロック314において、制御プロセッサ238は、測定された力パラメータが自由運動基準力範囲の外側であるか否かを判断する。自由運動基準力範囲は、荷重下運動(例えば、自由運動ではない)である運動を示す、ロードセル230(及び、更に、材料固定具236)における力の変化を示すように選択することができる。
【0045】
力測定値が自由運動基準力範囲の外側である場合(ブロック314)、ブロック316において、制御プロセッサ238は、力測定値パラメータが以前の(例えば、直近の)力測定値よりも小さい(例えば、ゼロにより近い)か否かを判断する。例えば、制御プロセッサ238は、ロードセル230によって測定された力が、上昇しているか、低下しているか、又は一定を維持しているかを判断することができる。力測定値が正の値又は負の値を有することができるので、例示の制御プロセッサ238は、以前の大きさよりもゼロに近い力の大きさを、以前の大きさよりも小さいものとみなすことができる。力測定値の大きさが以前の力測定値よりも小さい(例えば、ゼロにより近い)場合(ブロック316)、制御は、力センサから基準力測定値を求めるためにブロック304に戻る。
【0046】
他方では、力測定値の大きさが以前の力測定値よりも小さい(例えば、ゼロにより近い)わけではない場合(ブロック316)、ブロック317において、制御プロセッサ238は、力測定値が衝突基準力範囲の外側であるか否かを判断する。衝突基準力範囲は、試験装置102における構成要素同士の間の衝突を示す、ロードセル230(及び、更に、材料固定具236)における力の変化を示すように選択することができる。力測定値が衝突基準力範囲の外側にはない場合(ブロック317)、制御は、ブロック310に戻って力測定値の監視を継続する。
【0047】
他方、力測定値が衝突基準力範囲の外側である場合(ブロック317)、ブロック318において、制御プロセッサ238は、クロスヘッド244に制動力を印加して、アクチュエータの単純な停止制御よりも迅速にクロスヘッド移動を停止させるように、クロスヘッド244のアクチュエータ(例えば、モータ242)を制御する。制動力を印加するようにアクチュエータを制御するブロック318を実施する一例示のプロセスが、
図4を参照して以下で開示される。制動力を印加した(ブロック318)後、例示の命令300は、終了することができる。
【0048】
図3Bを参照すると、測定された力パラメータが基準力範囲の外側にはない場合(ブロック314)、ブロック320において、制御プロセッサ238は、変位トランスデューサ232を介して変位パラメータを測定する。例えば、制御プロセッサ238は、クロスヘッド244の現在の位置を求めることができる。
【0049】
ブロック322において、制御プロセッサ238は、測定された変位と基準変位との間の差が自由運動閾値の値よりも大きいか否かを判断する。自由運動閾値は、クロスヘッド244の移動が荷重下での移動ではない(例えば、試験試料に対して負荷を印加していないか又は試料試験に対する負荷を減少させている)ことを示す変位の変化とすることができる。測定された変位と基準変位との間の差が自由運動閾値以下である場合、制御は、ブロック310に戻って力の監視を継続する。
【0050】
差が自由運動閾値よりも大きい場合(ブロック322)、ブロック326において、制御プロセッサ238は、力センサ(例えば、ロードセル230)から基準力パラメータの値を求める。ブロック328において、制御プロセッサ238は、基準力測定値に基づいて、基準力範囲を求める。ブロック326及び328は、
図3Aのブロック304及び306と類似又は同一の方法で実行することができる。
【0051】
ブロック330において、制御プロセッサ238は、力センサ(例えば、ロードセル230)を介して力(例えば、クロスヘッド244にかかる力)を測定する。ブロック332において、制御プロセッサ238は、測定された力測定パラメータが有効であるか否かを判断する。ブロック332は、
図3Aのブロック312と類似又は同一の方法で実行することができる。
【0052】
力測定値が有効である場合(ブロック332)、ブロック334において、制御プロセッサ238は、力測定パラメータが基準力範囲の外側であるか否かを判断する。
【0053】
力測定パラメータが基準力範囲の外側である場合(ブロック334)、ブロック336において、制御プロセッサ238は、クロスヘッド244に制動力を印加して、アクチュエータの単純な停止制御よりも迅速にクロスヘッド移動を停止させるように、クロスヘッド244のアクチュエータ(例えば、モータ242)を制御する。制動力を印加するようにアクチュエータを制御するブロック336を実施する一例示のプロセスが、
図4を参照して以下で開示される。制動力を適用した(ブロック336)後、例示の命令300は、終了することができる。
【0054】
他方、力測定値が基準力範囲の外側にはない場合(ブロック334)、ブロック338において、制御プロセッサ238は、クロスヘッド作動が継続することを可能にし、制御は、ブロック330に戻って力センサを介したクロスヘッド244にかかる力の監視を継続する。
【0055】
制御プロセッサ238が、力測定値が有効ではないと判断した場合(ブロック312又は332)、ブロック340において、制御プロセッサ238は、クロスヘッド移動を停止させ、出力エラーメッセージ又はエラー信号を生成する。その後、例示の命令300は、終了する。衝突検出を実行するための命令300の実行中の任意の時点において、クロスヘッド運動は、運動を引き起こす入力の中止(例えば、オペレータがジョグボタンを離すこと、クロスヘッドが復帰運動の終了に到達すること等)によって停止させることができる。運動制御の中止は、クロスヘッド244の移動の通常の中止を引き起こすことになるとともに、命令300を終了させる場合がある。
【0056】
図4は、
図1及び
図2の試験デバイス内の衝突を軽減するために
図2の制御プロセッサ238によって実行することができる例示の機械可読命令400を表すフローチャートである。例示の命令400は、
図3A及び
図3Bのブロック318及び/又はブロック336を実施するために制御プロセッサ238によって実行することができる。命令400は、力測定値が以前の力測定値以上であること(ブロック316)又は力測定値が基準力範囲の外側であること(ブロック334)を判断することに応答して、制御プロセッサ238によって呼び出されるものとして以下で説明される。
【0057】
ブロック402において、例示の変位トランスデューサ232は、クロスヘッド速度を測定する。例えば、変位トランスデューサ232及び/又は制御プロセッサ238は、変位トランスデューサ232によって取得された一連の変位測定値、及び対応する時点を比較して、結果として得られる速度を求めることができる。
【0058】
ブロック404において、制御プロセッサ238は、測定されたクロスヘッド速度が閾値速度よりも大きいか否かを判断する。クロスヘッド速度が閾値速度よりも大きい場合(ブロック404)、ブロック406において、制御プロセッサ238は、最終目標速度を求める。最終目標速度は、制動制御を停止させることができる速度を表す。一例示の最終目標速度は、ブロック402において測定されるクロスヘッド速度の所定の割合、及び/又はゼロ付近の所定の一定の速度閾値とすることができる。いくつかの例では、最終目標速度は、制御プロセッサ238に、クロスヘッド244の逆の移動を回避するためにアクチュエータ(例えば、モータ242)の制御を中止するのに十分な時間を提供するように選択される。
【0059】
ブロック408において、制御プロセッサ238は、制動力を印加するためにクロスヘッド速度の反対方向において作動するようにアクチュエータ(例えば、モータ242)を制御する。制御プロセッサ238は、典型的なアクチュエータ制御ループの外側のアクチュエータの制御を実行して、制動動作の応答時間を削減(例えば、最小化)することができる。例えば、比例積分微分(PID)制御ループ又は他の閉ループ制御方式が、制動動作を実行する際に許容不能な遅延を引き起こす場合がある。それゆえ、例示の制御プロセッサ238は制動動作を実行するときにそのような制御ループを迂回するようにプロセス又はルーチンを呼び出すことができる。
【0060】
ブロック410において、制御プロセッサ238は、クロスヘッド速度を測定する。ブロック410は、ブロック402と類似又は同一の方法で実行することができる。ブロック412において、制御プロセッサ238は、クロスヘッド速度が最終目標速度よりも大きいか否かを判断する。測定されたクロスヘッド速度が最終目標速度よりも大きい場合(ブロック412)、制御は、ブロック408に戻って制動力を印加するようにアクチュエータを制御する。
【0061】
クロスヘッド速度パラメータが最終目標速度以下である場合(ブロック412)、ブロック414において、制御プロセッサ238は、制動力を取り除くようにアクチュエータを制御する。例えば、制御プロセッサ238は、ゼロの目標速さでアクチュエータの通常の制御ループを再確立することができる。ブロック416において、制御プロセッサ238は、(例えば、ブロック318、336において)衝突を検出することに先立って観測される変位値にクロスヘッドを移動させるようにアクチュエータを制御する。例えば、制御プロセッサ238は、別の物体と接触しない又はほとんど接触しないことが予想されるロケーションにクロスヘッド244を移動させるようにアクチュエータを制御することができる。他の例では、制御プロセッサ238は、制動を実行した後、クロスヘッド244を移動させることを試みない。
【0062】
測定されたクロスヘッド測定パラメータが閾値速度以下である場合(ブロック404)、ブロック418において、制御プロセッサ238は、アクチュエータ制動を使用する(例えば、アクチュエータの通常制御ループを使用する)ことなく、クロスヘッド移動を停止させるようにアクチュエータを制御する。
【0063】
クロスヘッドを変位値に移動させた(ブロック416)後、又はクロスヘッド移動を停止させた(ブロック418)後、例示の命令400は、終了する。
【0064】
本方法及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中的に、又はいくつかの相互接続されたコンピューティングシステムにわたって異なる要素が分散される分散的に、実現することができる。本明細書に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本明細書に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体(例えば、フラッシュドライブ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能なコードの1つ以上のラインを記憶し、それにより、機械に、本明細書に記載したようなプロセスを実施させる。本明細書において使用される場合、「非一時的機械可読媒体」という用語は、全てのタイプの機械可読記憶媒体を含み、伝播信号を排除するように定義される。
【0065】
本明細書において使用される場合、「回路(circuit)」及び「回路(circuitry)」という用語は、物理的な電子構成要素(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書において使用される場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの第1の1つ以上のラインを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの第2の1つ以上のラインを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書において使用される場合、「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書において使用される場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。本明細書において使用される場合、回路は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かにかかわらず、回路はその機能を実行するように「動作可能」である。
【0066】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。例えば、開示した例のブロック及び/又は構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
上述の実施形態は下記のようにも記載され得るが下記には限定されない。
[構成1]
材料試験中に試験試料に試験力を伝達するように作動するように構成されたクロスヘッドと、
前記クロスヘッドを作動させるとともに、前記試験力を前記クロスヘッドに印加するように構成されたアクチュエータと、
前記クロスヘッドによって前記試料に印加された力を測定するように構成された力センサと、
制御プロセッサであって、
前記クロスヘッドの移動の始動に応答して、前記力センサからの第1の力測定値に基づいて基準力範囲を求めることと、
前記基準力範囲の外側である、前記力センサによる第2の力測定値に応答して、前記クロスヘッドに制動力を印加するように前記アクチュエータを制御することと、
を行うように構成された、制御プロセッサと、
を備える、材料試験システム。
[構成2]
前記制御プロセッサは、許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、前記基準力範囲を衝突基準力範囲として求めるように構成される、構成1に記載の材料試験システム。
[構成3]
前記制御プロセッサは、第2の許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、自由運動力範囲を求めるように構成され、前記制御プロセッサは、前記第2の力測定値が前記自由運動力範囲の外側であることに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、構成2に記載の材料試験システム。
[構成4]
前記制御プロセッサは、前記第2の力測定値が、該第2の力測定値に先立って取得された第3の力測定値以上であると判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、構成3に記載の材料試験システム。
[構成5]
前記制御プロセッサは、変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めるように構成され、前記制御プロセッサは、変位測定値と前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、構成4に記載の材料試験システム。
[構成6]
前記制御プロセッサは、前記クロスヘッドの速度が少なくとも閾値速度であると判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、構成1に記載の材料試験システム。
[構成7]
前記制御プロセッサは、クロスヘッド速度の反対方向において作動するように前記アクチュエータを制御することによって、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、構成1に記載の材料試験システム。
[構成8]
前記制御プロセッサは、
最終目標速度を求めることと、
前記クロスヘッド速度が前記最終目標速度に達したと判断することに応答して、前記制動力を取り除くように前記アクチュエータを制御することと、
を行うように構成される、構成7に記載の材料試験システム。
[構成9]
前記制御プロセッサは、第2の力測定値を検出することに先立って観測された変位値に前記クロスヘッドを移動させるように前記アクチュエータを制御するように構成される、構成1に記載の材料試験システム。
[構成10]
前記制御プロセッサは、変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めるように構成され、前記制御プロセッサは、変位測定値と、前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに更に応答して、前記制動力を印加するように前記アクチュエータを制御するように構成される、構成1に記載の材料試験システム。
[構成11]
材料試験中に試験試料に試験力を伝達するように作動するようにアクチュエータを制御することと、
力センサを介して、前記クロスヘッドによって前記試料に印加された力を測定することと、
前記クロスヘッドの移動の始動に応答して、前記力センサからの第1の力測定値に基づいて、制御プロセッサを用いて基準力範囲を求めることと、
前記基準力範囲の外側である、前記力センサによる第2の力測定値に応答して、前記クロスヘッドに制動力を印加するように前記アクチュエータを制御することと、
を含む、材料試験システムを制御する方法。
[構成12]
許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、前記基準力範囲を衝突基準力範囲として求めることを更に含む、構成11に記載の方法。
[構成13]
第2の許容範囲及び前記第1の力測定値に基づいて、自由運動力範囲を求めることを更に含み、前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、前記第2の力測定値が前記自由運動力範囲の外側であることに応答して、更に行われる、構成12に記載の方法。
[構成14]
前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、前記第2の力測定値が、該第2の力測定値に先立って取得された第3の力測定値以上であると判断することに応答して、更に行われる、構成13に記載の方法。
[構成15]
変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めることを更に含み、前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、変位測定値と前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに応答して、更に行われる、構成14に記載の方法。
[構成16]
前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、前記クロスヘッドの速度が少なくとも閾値速度であると判断することに応答して、更に行われる、構成11に記載の方法。
[構成17]
前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、クロスヘッド速度の反対方向において作動するように前記アクチュエータを制御することを含む、構成11に記載の方法。
[構成18]
最終目標速度を求めることと、
前記クロスヘッド速度が前記最終目標速度に達したと判断することに応答して、前記制動力を取り除くように前記アクチュエータを制御することと、
を更に含む、構成17に記載の方法。
[構成19]
第2の力測定値を検出することに先立って観測された変位値に前記クロスヘッドを移動させるように前記アクチュエータを制御することを更に含む、構成11に記載の方法。
[構成20]
変位測定値に基づいて、前記クロスヘッドの基準変位を求めることを更に含み、前記制動力を印加する前記アクチュエータの前記制御は、変位測定値と、前記基準変位との間の差が閾値よりも大きいと判断することに応答して、更に行われる、構成11に記載の方法。