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特許7528119ポイントツーポイントリンクを介して再送信することを含むブロードキャストチャネルを介してメッセージを送信する方法
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  • 特許-ポイントツーポイントリンクを介して再送信することを含むブロードキャストチャネルを介してメッセージを送信する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ポイントツーポイントリンクを介して再送信することを含むブロードキャストチャネルを介してメッセージを送信する方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/40 20180101AFI20240729BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20240729BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20240729BHJP
【FI】
H04W76/40
H04W4/06
H04W28/04 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021561709
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2020060703
(87)【国際公開番号】W WO2020212486
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】1904161
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】523231071
【氏名又は名称】ウナビズ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マンスゥイ,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】スニガ,フアン・カルロス
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-368684(JP,A)
【文献】特開2007-228408(JP,A)
【文献】国際公開第2011/010468(WO,A1)
【文献】特開2003-318816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0213214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスネットワーク(30)によってメッセージを無線通信システムから端末(20)のグループに送信する方法であって、
-前記アクセスネットワーク(30)によって、少なくとも1つのメッセージをブロードキャストチャネルを介して端末(20)のグループに送信すること(51)、
-前記アクセスネットワーク(30)によって、前記メッセージを正しく受信しなかった端末が送信した前記メッセージを再送信する少なくとも一つの要求を受信すること(52)、
-前記アクセスネットワーク(30)によって、所定のブロードキャスト再送信基準を評価すること(54)、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認された場合、前記メッセージを再送信する前記要求を送信した前記端末を含む前記端末のグループに、前記アクセスネットワーク(30)によって、ブロードキャストチャネルを介して前記メッセージを再送信すること(56)、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認されなかった場合、前記再送信の要求を送信した前記端末に、前記アクセスネットワーク(30)によって、ポイントツーポイントリンクを介して前記メッセージを再送信すること(53)
を含み、
前記ブロードキャスト再送信基準は、以下のパラメータ:
前記アクセスネットワーク(30)がいくつかの異なるメッセージの再送信のためのいくつかの要求を受信している時、前記メッセージの数および/または合計サイズ
-前記アクセスネットワークによって計画されたブロードキャストチャネルの容量
の少なくとも1つに基づいて評価されることを特徴とする、方法(50)。
【請求項2】
前記ブロードキャスト再送信基準は、前記アクセスネットワークが様々なメッセージを再送信する複数の要求を受信し、再送信するメッセージの合計数および/または合計サイズが所定閾値を上回るときに、確認したとみなされる、請求項1に記載の方法(50)。
【請求項3】
前記ブロードキャスト再送信基準は、前記アクセスネットワークが様々なメッセージを再送信する複数の要求を受信し、前記グループの少なくとも2つの異なる端末に再送信するメッセージの数および/または合計サイズが所定閾値を上回るときに、確認したとみなされる、請求項1に記載の方法(50)。
【請求項4】
前記ブロードキャスト再送信基準は、計画されたブロードキャストチャネルの数が、再送信する前記メッセージの再送信を可能にしたときに、確認したとみなされる、請求項1に記載の方法(50)。
【請求項5】
前記方法は、前記アクセスネットワーク(30)によって、かつブロードキャストチャネルを介して前記メッセージを再送信する必要がある場合に、前記再送信の要求を送信した前記端末(20)に対して応答を送信することを含み、前記応答は、前記メッセージを再送信する前記ブロードキャストチャネルの1つ以上のパラメータを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(50)。
【請求項6】
前記方法は、前記アクセスネットワーク(30)によって、かつポイントツーポイントリンクを介してメッセージを再送信する必要がある場合に、前記再送信の要求を送信した前記端末(20)に対して前記ポイントツーポイントリンクを介して応答を送信することを含み、前記応答は、再送信するメッセージを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法(50)。
【請求項7】
端末からの再送信の要求が複数のメッセージに対して受信されたとき、前記ブロードキャスト再送信基準は、再送信する各メッセージに対して評価される、請求項1に記載の方法(50)。
【請求項8】
端末(20)とメッセージを交換するように適している複数の基地局(31)を含む無線通信システム(10)のアクセスネットワーク(30)であって、前記アクセスネットワーク(30)は、
-ブロードキャストチャネルを介して少なくとも1つのメッセージを端末(20)のグループに送信し、
-前記メッセージを正しく受信しなかった端末が送信した前記メッセージを再送信する少なくとも一つの要求を受信し、
-所定のブロードキャスト再送信基準を評価し、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認された場合、前記メッセージを再送信する前記要求を送信した前記端末を含む前記端末のグループに、ブロードキャストチャネルを介して前記メッセージを再送信し、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認されなかった場合、前記再送信の要求を送信した前記端末に、ポイントツーポイントリンクを介して前記メッセージを再送信する
ように構成され、
前記ブロードキャスト再送信基準は、以下のパラメータ:
前記アクセスネットワーク(30)がいくつかの異なるメッセージの再送信のためのいくつかの要求を受信している時、前記メッセージの数および/または合計サイズ
-前記アクセスネットワークによって計画されたブロードキャストチャネルの容量
の少なくとも1つに基づいて評価されることを特徴とする、アクセスネットワーク(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムの分野に属し、さらに詳細には、アクセスネットワークによって端末のグループにメッセージを送信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、何ら限定的はないが、M2M(「Machine-to-Machine」の略)型または「モノのインターネット」(またはIoT)型の用途向けに実装された無線通信システムに対して特に有利な用途が見出される。
【0003】
このような無線通信システムでは、メッセージ交換は本質的には一方向であり、この場合、端末と前記システムのアクセスネットワークとの間のアップリンクを介したものである。
【0004】
端末は、アクセスネットワークの基地局が収集するメッセージをアップリンクで送信するが、最初にアクセスネットワークの1つ以上の基地局に関連付ける必要がないことが好ましい。言い換えれば、端末によってアップリンクで送信されたメッセージは、アクセスネットワークの特定の基地局を対象としておらず、端末は、少なくとも1つの基地局がメッセージを受信できると仮定してメッセージを送信する。このような構成は、メッセージを受信するのに最適な基地局を判断するために、特に消費電力の観点から要求される定期的な測定を端末が実行する必要がないという点で有利である。問題は、任意の時間に任意の中心周波数で送信できるアップリンクメッセージを受信できる必要があるアクセスネットワークにある。
【0005】
メッセージの交換が本質的に一方向であるこのような動作モードは、例えばガス、水道および電気のメータの遠隔での読み取りや、建物または家屋の遠隔での監視など、多くの用途に完全に満足のいくものである。
【0006】
しかしながら、用途によっては、もう一方の方向、すなわちアクセスネットワークから端末へのダウンリンクでもメッセージ交換を実施できることが有利なことがある。
【0007】
特に、グローバルブロードキャストチャネルまたはマルチキャストチャネルを介してメッセージを端末に送信することが有利なことがある。特に、ブロードキャストチャネルを介したメッセージの送信を実施して端末のグループが使用するソフトウェア更新を実行することができ、端末のグループは、全端末(グローバルブロードキャストチャネル)であるか、前記端末の一部のみ(マルチキャストチャネル)であり得る。
【0008】
しかしながら、ブロードキャストチャネルを介して送信された一部のメッセージが、1つ以上の端末で正しく受信されないことは珍しくない。このような場合、特にソフトウェを更新する状況で送信されたメッセージの場合は、正しく受信されなかったメッセージを再送信する必要がある。
【0009】
M2Mおよび/またはIoTの用途に対する無線通信システムでは、とりわけ端末がバッテリで動作している場合、端末の電力消費をできる限り削減する必要があることが多い。したがって、場合によっては、電力消費への影響を制限しつつ再送信されたメッセージを端末が受信できることが望ましいことがある。
【0010】
このような無線通信システムでは、半二重型の基地局を実装して、前記基地局の製造コスト、さらに一般にはアクセスネットワークの製造コストを抑えることも珍しくない。ただし、ブロードキャストチャネルを介してダウンリンクでメッセージを送信する基地局は、アップリンクで送信されたメッセージを受信するためには利用できない。したがって、場合によっては、メッセージをアップリンクで受信するためのダウンタイムを制限しながらメッセージをダウンリンクで再送信できることが望ましいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、先行技術の解決策の制限の全体または一部、特に上記の制限を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、第1の態様によれば、本発明は、アクセスネットワークによってメッセージを端末のグループに送信する方法であって、
-アクセスネットワークによって、少なくとも1つのメッセージをブロードキャストチャネルを介して端末のグループに送信すること、
-前記アクセスネットワークによって、前記メッセージを正しく受信しなかった端末が送信した前記メッセージを再送信する要求を受信すること、
-アクセスネットワークによって、所定のブロードキャスト再送信基準を評価すること、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認された場合、前記メッセージを再送信する前記要求を送信した前記端末を含む端末のグループに、アクセスネットワークによって、ブロードキャストチャネルを介してメッセージを再送信すること、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認されなかった場合、前記再送信の要求を送信した前記端末に、アクセスネットワークによって、ポイントツーポイントリンクを介してメッセージを再送信すること
を含む、方法に関する。
【0013】
ブロードキャスト再送信基準は、以下のパラメータ:
-グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージの数、
-グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージの合計サイズ、
-アクセスネットワークによって計画されたブロードキャストチャネルの容量
の少なくとも1つに基づいて評価される。
【0014】
ブロードキャストチャネルに送信されたメッセージは、アクセスネットワークによってグループの全端末に送信される。一方、アクセスネットワークと端末との間のポイントツーポイントリンクを介して送信されたメッセージは、前記端末のみに送信される。
【0015】
そのため、ブロードキャストチャネルを介して端末のグループに送信されたメッセージが前記グループの端末に正しく受信されていない場合、このメッセージは、ポイントツーポイントリンクを介してこの端末に再送信できる。
【0016】
したがって、この場合メッセージはブロードキャストチャネルを介して再送信されていないため、このメッセージは、このメッセージを正しく受信した他の端末の電力消費に影響を及ぼすことなく再送信できる。実際、このメッセージがブロードキャストチャネルを介して再送信された場合、前記他の端末がすでに受信したメッセージを再度受信するために、それによってブロードキャストチャネルの継続時間が増し、それに対応して他の端末が前記ブロードキャストチャネルをリッスンする時間が増す。
【0017】
したがって、一般に、これによってブロードキャストチャネルを使用する継続時間を削減できる。なぜなら、例えば端末のソフトウェア更新を形成する様々なメッセージを送信するためだけにブロードキャストチャネルを使用することが可能で、再送信はポイントツーポイントリンクを介して行われるからである。このように、ソフトウェア更新を形成するメッセージはすべて、端末のグループに迅速にブロードキャストでき、どのような再送信もポイントツーポイントリンクを通して行える。
【0018】
さらに、ポイントツーポイントリンクを介して再送信を実施することにより、送信チャネルでの再送信と比較して、再送信の計画を容易にでき、かつ再送信の要求を送信した端末の電力消費を削減することもできる。実際、ブロードキャストチャネルは、原則として計画する必要があり、いつでも計画できるわけではない。なぜなら、グループの端末には、メッセージが属する端末のグループに向けた1つ以上のメッセージを含むブロードキャストチャネルが存在することを通知する必要があるからである。逆に、ポイントツーポイントリンクを介したメッセージの再送信は、達成するのが遥かに簡単である。例えば、再送信の要求を受信すると直ちにメッセージを再送信することが可能である。必要に応じて、端末は単に、再送信の要求を送信した直後にダウンリンクをリッスンすることが必要で、それによってダウンリンクのリッスン時間を削減できる。
【0019】
本発明による方法がアクセスネットワークによってポイントツーポイントリンクを介してメッセージを端末に再送信することを含むとしても、これは、前記方法がブロードキャストチャネルを介してメッセージを端末のグループに再送信することも含む可能性を何ら妨げるものではないことに注意されたい。ポイントツーポイントリンクを介して再送信するか、ブロードキャストチャネルを介して再送信するかという選択は、特にアクセスネットワークによって評価された基準に左右されることがある。
【0020】
そのため、アクセスネットワークは、ブロードキャスト再送信基準に応じて、
-ある特定のメッセージをポイントツーポイントリンクを介して再送信するか
-このメッセージをブロードキャストチャネルを介して再送信するか
を選択できる。
【0021】
上記のように、ポイントツーポイントリンクを介した再送信は多くの利点を有する。しかしながら、場合によってはブロードキャストチャネルを介してメッセージを再送信することも有利なことがある。
【0022】
例えば、同一のメッセージが複数の端末で正しく受信されず、同一の基地局によって再送信される必要がある場合、受信時の前記基地局のダウンタイムを短縮するためにそのメッセージをブロードキャストチャネルを介して再送信することが有利なことがある。実際、そのメッセージをブロードキャストチャネルを介して一回のみ再送信する方が、そのメッセージを再送信する要求を送信した端末にそれぞれのポイントツーポイントリンクで複数回再送信するよりも速い。
【0023】
さらに、様々なメッセージが様々な端末に受信されないとき、これらの様々なメッセージをブロードキャストチャネルを介して再送信することで、再送信されたメッセージに含まれている有益なデータの量と比較して制御データの量を制限できる。例えば、ブロードキャストチャネルを介して、再送信されたすべてのメッセージに対して1つの受信者のみが指定される。ポイントツーポイントリンクで再送信する場合、ポイントツーポイントリンクと同じだけ受信者があるため、受信者の識別子によって表される制御データの量は、ブロードキャストチャネルを介してメッセージを再送信する場合よりも多い。
【0024】
さらに一般には、ブロードキャストチャネルを介して送信するという状況で、ブロードキャストチャネルを介して再送信するかポイントツーポイントリンクを介して再送信するかという選択が可能であることで、無線通信システムの動作を最適化するのに多大な柔軟性ができる。例えば、場合によって、端末の電力消費の削減を優先したり、受信時の基地局のダウンタイムの短縮を優先したり、ソフトウェア更新を形成する一連のメッセージの送信時間の短縮を優先したりすることが可能である。
【0025】
「グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージの数」とは、例えば再送信するメッセージの合計数(つまりグループの各々の端末に再送信するメッセージ数の和)、(様々な端末に再送信されるかどうかにかかわらず)再送信する様々なメッセージの数、あるいは少なくとも2つの異なる端末に再送信される異なるメッセージの数を意味する。
【0026】
グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージの合計サイズとは、例えば再送信するメッセージの合計サイズ(つまりグループの端末の各々に再送信するメッセージの合計サイズの和)、(様々な端末に再送信されるかどうかにかかわらず)再送信する様々なメッセージの合計サイズ、または少なくとも2つの異なる端末に再送信される必要がある異なるメッセージの合計サイズを意味する。
【0027】
「アクセスネットワークによって計画されたブロードキャストチャネルの容量」とは、例えばすでに計画されているブロードキャストチャネルの数、あるいは計画されたブロードキャストチャネルで利用可能な時間領域および/または周波数領域でのリソースの量を意味する。
【0028】
特定の実施形態では、送信方法は、以下の特徴の1つ以上を単独で、または技術的に可能な任意の組み合わせで含むことも可能である。
【0029】
特定の実施形態では、ブロードキャスト再送信基準は、アクセスネットワークが、所定閾値を上回る数の端末グループの端末によって送信された同一メッセージを再送信する複数の要求を受信したときに、確認したとみなされる。
【0030】
特定の実施形態では、ブロードキャスト再送信基準は、アクセスネットワークが、様々なメッセージを再送信する複数の要求を受信し、再送信するメッセージの合計数および/または合計サイズが所定閾値を上回っているときに、確認したとみなされる。
【0031】
特定の実施形態では、ブロードキャスト再送信基準は、アクセスネットワークが、様々なメッセージを再送信する複数の要求を受信し、少なくとも2つの異なる端末に再送信するメッセージの数および/または合計サイズが所定閾値を上回るときに、確認したとみなされる。
【0032】
特定の実施形態では、ブロードキャスト再送信基準は、計画されたブロードキャストチャネルの数が、再送信するメッセージの再送信を可能にしたときに、確認したとみなされる。
【0033】
特定の実施形態では、端末からの再送信の要求が複数のメッセージに対して受信されたとき、ブロードキャスト再送信基準は、再送信する各メッセージに対して評価される。
【0034】
特定の実施形態では、送信方法は、アクセスネットワークによって、かつブロードキャストチャネルを介してメッセージを再送信する必要がある場合に、送信要求を送信した端末に対して応答を送信することを含み、前記応答は、前記メッセージを再送信するブロードキャストチャネルの1つ以上のパラメータを含む。
【0035】
特定の実施形態では、送信方法は、アクセスネットワークによって、かつポイントツーポイントリンクを介してメッセージを再送信する必要がある場合に、送信要求を送信した端末に対して応答を送信することを含み、前記応答は、再送信するメッセージを含む。
【0036】
第2の態様によれば、本発明は、端末とメッセージを交換するように適している複数の基地局を含むアクセスネットワークに関し、前記アクセスネットワークは、
-ブロードキャストチャネルを介してメッセージを端末のグループに送信し、
-前記メッセージを正しく受信しなかった端末が送信した前記メッセージを再送信する要求を受信し、
-所定のブロードキャスト再送信基準を評価し、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認された場合、前記メッセージを再送信する前記要求を送信した前記端末を含む端末のグループに、ブロードキャストチャネルを介してメッセージを再送信し、
-前記ブロードキャスト再送信基準が確認されなかった場合、前記再送信の要求を送信した前記端末に、ポイントツーポイントリンクを介してメッセージを再送信する
ように構成される。
【0037】
ブロードキャスト再送信基準は、以下のパラメータ:
-グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージの数、
-グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージのサイズ、
-アクセスネットワークによって計画されたブロードキャストチャネルの容量
の少なくとも1つに基づいて評価される。
【0038】
本発明は、図面を参照して非限定的な例として挙げた以下の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】無線通信システムの概略図である。
図2】アクセスネットワークを介してメッセージを送信する方法の主要工程を示す図である。
図3】アクセスネットワークを介してメッセージを送信する方法の好適な実施形態の主要工程を示す図である。
【0040】
これらの図では、図面同士で同じ符号は、同じまたはほぼ同じ要素を指している。明瞭にするために、別途明記しないかぎり、図示した項目は原寸通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、複数の端末20を含む無線通信システム10、および複数の基地局31を含むアクセスネットワーク30を概略的に示している。
【0042】
端末20とアクセスネットワーク30の基地局31は、無線信号の形態でメッセージを交換する。「電波信号」とは、無線手段を介して伝播する電磁波を意味し、その周波数は、従来の電波スペクトル(数ヘルツから数百ギガヘルツ)に含まれる。
【0043】
以下の説明では、LPWAN(「Low Power Wide Area Network(低電力広域ネットワーク)」の略)型の無線通信システムの事例を例として非限定的に検討する。このような無線通信システムは、データレートが一般に1Mbps未満である低電力の長距離アクセスネットワークである。このようなLPWAN無線通信システムは、特にIoT型の用途に適している。
【0044】
特定の実施形態では、無線通信システム10は、超狭帯域通信システムであってよい。「超狭帯域(Ultra Narrow Band)」(またはUNB)とは、端末から送信される無線信号の瞬間的な周波数スペクトルの周波数幅が2キロヘルツ未満、あるいは1キロヘルツ未満であることを意味する。このようなシステムにより、端末がアクセスネットワークと通信するときの端末の消費電力を大幅に制限することが可能になる。
【0045】
端末20は、アップリンクを介してメッセージをアクセスネットワーク30に送信するように適している。
【0046】
各基地局31は、基地局の範囲内にある端末20が送信したメッセージを受信するように適している。このようにして受信された各メッセージは、例えばアクセスネットワーク30のサーバ32に送信され、任意選択でそれ以外の情報、例えばそれを受信した基地局31の識別子、前記受信メッセージを測定した電力、受信日および/または前記受信メッセージを測定した中心周波数などを含む。サーバ32は、例えば、様々な基地局31から受信したメッセージをすべて処理する。
【0047】
さらに、アクセスネットワーク30は、基地局31を介してダウンリンクでメッセージを端末20に送信するようにも適しており、端末はメッセージを受信するように適している。メッセージは、ポイントツーポイントリンクを介してダウンリンクで送信できる。つまり、メッセージの受信者として表示されている単一の特定の端末20に送信できるということである。メッセージは、ブロードキャストチャネルを介して、メッセージ内に受信者として表示されているグループ識別子で識別される端末20のグループに送信することもできる。ブロードキャストチャネルは、グローバルブロードキャストチャネルであってよく、この場合、端末20のグループは、無線通信システム10のすべての端末20に対応する。ブロードキャストチャネルは、マルチキャストチャネルであってよく、この場合、端末グループ20は、無線通信システム10の全端末20のうちの一部のみに対応する。
【0048】
図2は、アクセスネットワーク30によって、メッセージを端末のグループに送信する方法50の主要工程を示しており、その工程は、
-アクセスネットワーク30によって、少なくとも1つのメッセージをブロードキャストチャネルを介して端末20のグループに送信する工程51、
-前記アクセスネットワーク30によって、前記メッセージを正しく受信しなかった端末20によって送信された前記メッセージを再送信する要求を受信する工程52、
-前記アクセスネットワーク30によって、前記メッセージをポイントツーポイントリンクを介して端末20に再送信する工程53
である。
【0049】
このように、送信方法50は、メッセージをブロードキャストチャネルを介して端末20のグループに送信するという状況で、ポイントツーポイントリンクを介して端末20に正しく受信されなかったメッセージを前記端末20に再送信することを実行できる。
【0050】
図2に示した様々な工程は、アクセスネットワーク30によって、この場合アクセスネットワーク30の少なくとも1つの基地局31によって、また任意選択でサーバ32によって行われることに注意されたい。
【0051】
以下の説明では、送信方法50の工程が非限定的にアクセスネットワーク30の基地局31によって行われる事例を検討する。
【0052】
そのために、各基地局31は、例えば処理回路(図示せず)を含み、処理回路は、例えば1つ以上のプロセッサおよび記憶手段(磁気ハードディスク、電子メモリ、光学ディスクなど)を含み、記憶手段には、コンピュータプログラム製品が、送信方法50の工程を実施するために実行される一連のプログラムコード命令の形態で格納される。それに代えて、またはそれに加えて、処理回路は、1つ以上のプログラマブルロジック回路(FPGA、PLDなど)、および/または1つ以上の特定用途集積回路(ASIC)、および/または前記工程の全体または一部を実施するように適しているディスクリート電子部品の集合などを含む。
【0053】
各基地局31はさらに、当業者に公知の機器(アンテナ、増幅器、局部発振器、ミキサー、アナログフィルタなど)を含む無線回路(図示せず)を含み、前記基地局31が無線信号の形態でメッセージを送受信することを可能にする。
【0054】
言い換えれば、処理回路および無線回路は、送信方法50の工程を実施するように構成されたソフトウェア(特定のコンピュータプログラム製品)および/またはハードウェア(FPGA、PLD、ASIC、ディスクリート電子部品など)であるアクセスネットワーク30の手段に相当する。
【0055】
図3は、送信方法50の好適な実施形態の主要工程を概略的に示している。図3に示したように、送信方法50は、図2の全工程を繰り返す。
【0056】
図3で示したように、送信方法50は、アクセスネットワーク30が端末20によって送信されたメッセージを再送信する要求を受信する場合、アクセスネットワーク30によって所定のブロードキャスト再送信基準を評価する工程54をさらに含む。
【0057】
前記ブロードキャスト再送信基準が確認された場合(図3の符号540)、送信方法50は、アクセスネットワーク30によって、ブロードキャストチャネルを介して、前記メッセージを再送信する前記要求を送信した前記端末20を含む端末20のグループにメッセージを再送信する工程56を含む。
【0058】
ブロードキャスト再送信基準が確認されなかった場合(図3の符号541)、送信方法50は、図2を参照して上記で考察したポイントツーポイントリンクを介してメッセージを再送信する工程53を含む。
【0059】
このように、図3で示した好適な実施形態では、アクセスネットワーク30は、ブロードキャスト再送信基準に基づいて、再送信する要求に表示されているメッセージをブロードキャストチャネルを介して送信すべきかポイントツーポイントリンクを介して送信すべきかを判断する。したがって、ブロードキャスト再送信基準を評価することによって、アクセスネットワーク30は、ある状況ではブロードキャストチャネルを介した再送信を優先し、別の状況ではポイントツーポイントリンクを介した再送信を優先してよい。
【0060】
好適な実施形態では、ブロードキャスト再送信基準は、以下のパラメータ:
-1つ以上のメッセージを再送信する要求を送信した端末の数、
-グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージの数、
-グループの1つ以上の端末に再送信するメッセージの合計サイズ、
-アクセスネットワークによって計画されたブロードキャストチャネル内の利用可能スペース
の少なくとも1つに基づいて評価される。
【0061】
第1の例によれば、ブロードキャスト再送信基準は、端末20のグループのいくつかの異なる端末20が送信した同一メッセージを再送信する複数の要求をアクセスネットワーク30が受信し、端末の数が、所定の正の閾値よりも多いか、好ましくは2よりも多いか、あるいは10よりも多いときに、確認されたとみなされる。そのため、単一の端末20がある特定のメッセージの再送信を要求した場合、前記メッセージは、ポイントツーポイントリンクを介して再送信される。多数の端末20が同一メッセージの再送信を要求した場合、特にダウンリンクでメッセージを再送信するために使用される周波数帯域の時間的占有を制限するために、前記メッセージは、有利にはブロードキャストチャネルを介して再送信されて、前記基地局31が半二重型である場合などにメッセージを再送信する基地局31の受信不能の継続時間を制限する。
【0062】
前例と組み合わせて検討できる第2の例によれば、ブロードキャスト再送信基準は、グループの1つ以上の端末20が送信した様々なメッセージを再送信する複数の要求をアクセスネットワーク30が受信し、再送信するメッセージの数および/または合計サイズが、所定の正の閾値を上回るときに、確認されたとみなされる。そのため、アクセスネットワーク30が単一のメッセージを再送信する必要がある場合、前記メッセージは、ポイントツーポイントリンクを介して再送信される。多数のメッセージを再送信しなければならない場合、かつ/または再送信するメッセージの合計サイズが大きい場合、特にダウンリンクでメッセージを再送信するために使用される周波数帯域の時間的占有を制限するために、前記メッセージは、有利にはブロードキャストチャネルを介して再送信されて、前記基地局31が半二重型である場合などにメッセージを再送信する基地局31の受信不能の継続時間を制限する。
【0063】
再送信基準は、再送信するメッセージの合計数(つまりグループの端末の各々に再送信するメッセージ数の和)に基づいていてよいことに注意されたい。ただし、再送信基準は、(様々な端末に再送信されるかどうかにかかわらず)再送信する様々なメッセージの数に基づくこともできる。有利には、再送信基準は、少なくとも2つの異なる端末に再送信する異なるメッセージの数にも基づいていてよい。実際、一連のメッセージを再送信する必要があってそのために各メッセージを複数の異なる端末に再送信する必要があるという状況では、一連のメッセージを再送信する必要があってそのために各メッセージを単一の端末のみに再送信するという状況と比較して、ブロードキャストチャネルによる再送信の利点は大きくなる。
【0064】
同じように、再送信基準は、再送信するメッセージの合計サイズ(つまりグループの端末の各々に再送信するメッセージの合計サイズの和)、または(様々な端末に再送信されるかどうかにかかわらず)再送信する様々なメッセージの合計サイズ、あるいは少なくとも2つの異なる端末に再送信する必要がある異なるメッセージの合計サイズに基づいていてよいことに注意されたい。
【0065】
前例と組み合わせて検討できる第3の例によれば、ブロードキャスト再送信基準は、1つ以上の計画されたブロードキャストチャネルで利用可能なスペースがメッセージの再送信を可能にする場合に、確認したとみなされる。言い換えれば、ブロードキャスト再送信基準は、すでに計画されたブロードキャストチャネルが十分な容量を有している場合に(例えば時間領域および/または周波数領域のリソースに関して、または計画されたブロードキャストチャネルの数に関して)、確認したとみなされる。実際、1つ以上のブロードキャストチャネルが計画されている場合、かつ利用可能なスペースが、アクセスネットワーク30が再送信の要求を受信したメッセージを再送信するのに十分である場合は、ブロードキャストで再送信を実施することが有利である。なぜなら、端末20は、計画されたブロードキャストチャネルをリッスンしなければならないからである。利用可能なスペースが前記メッセージの一部のみを再送信するのに十分であれば、メッセージのその部分を計画されたブロードキャストチャネルで再送信し、残りのメッセージを1つ以上のポイントツーポイントリンクで再送信することも可能である。
【0066】
ブロードキャスト再送信基準の評価には他のパラメータを検討することも可能であることに注意されたい。さらに、ブロードキャストで再送信するために特定の基準を選択しても、それは本発明の代替実施形態となるだけである。
【0067】
特定の実施形態では、メッセージがポイントツーポイントリンクを介して再送信される場合(図3の符号541)、メッセージは、再送信の要求に応答して、前記再送信の要求を送信した端末20にポイントツーポイントリンクを介して再送信される。この場合の応答は、前記応答の受信者として端末20の特定の識別子を含むとともに、再送信するメッセージも含む。前記応答は、例えば端末20のグループのグループ識別子も含んでいてよく、グループ識別子は、前記応答の受信者を識別するのに使用されるのではなく(前記応答はポイントツーポイントリンクを介して送信されるため)、再送信されたメッセージが属するメッセージの流れを識別するために使用される。前記応答は、例えば再送信されたメッセージの識別子を含んでいてもよく、この識別子は、例えば前記メッセージのシーケンス番号の形態で、端末20のグループに送信されたメッセージのシーケンスでの前記メッセージのランクを表すものであってよい。
【0068】
ただし、再送信するメッセージは、その後のポイントツーポイントリンクを介した前記端末への通信で後に送信されることも可能であることに注意されたい。必要に応じて、アクセスネットワーク30は、ポイントツーポイントリンクを介して、再送信の要求に対する応答を送信できる。この応答は、例えば、前記応答の受信者としての前記端末20の特定の識別子に加えて、後続の通信の1つ以上のパラメータ、例えば後続の通信を送信する周波数、後続の通信を送信する瞬間などを含んでいてよい。その一部として、後続の通信は、再送信するメッセージに加えて、再送信されたメッセージが属するメッセージの流れの識別子としての端末20のグループのグループ識別子、前記メッセージの流れの中に再送信されたメッセージの識別子なども含んでいてよい。
【0069】
特定の実施形態では、図3で示したように、送信方法50は、ブロードキャストチャネルを介してメッセージを再送信する必要があるときに(図3の符号540)、アクセスネットワーク30によって、送信要求を送信した端末20に応答を送信する工程55を含んでいてよい。好ましくは、前記応答は、ポイントツーポイントリンクを介して前記端末20に送信される。特定の実施形態では、前記応答は、前記メッセージが送信されるブロードキャストチャネルの1つ以上のパラメータ、例えばアクセスネットワーク30によってブロードキャストチャネルが送信される周波数、アクセスネットワーク30によって前記ブロードキャストチャネルが送信される瞬間などを含んでいてよい。
図1
図2
図3