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▶ ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ソフトコンタクトレンズの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
G02C7/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021568042
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 IB2020054493
(87)【国際公開番号】W WO2020230030
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】16/411,423
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェルリガン・ピエール-イーブス
(72)【発明者】
【氏名】ジュビン・フィリップ・エフ
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/056306(WO,A1)
【文献】特開2000-206469(JP,A)
【文献】特開2013-164592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトコンタクトレンズの製造方法であって、
第1の表面と、
第2の表面であって、前記第1の表面の反対側に配置され、かつ前記第1の表面と前記第2の表面との間にレンズ材料の体積を画定する、第2の表面と、
を備え、
前記ソフトコンタクトレンズが、第1の円柱度数を呈し、前記ソフトコンタクトレンズの前記レンズ材料の前記体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差が、最小限に抑えられ、前記比較レンズが、第1の比較表面と、前記第1の比較表面の反対側の第2の比較表面と、を備え、これらが、前記第1の比較表面と前記第2の比較表面との間に、前記ソフトコンタクトレンズと同じ前記レンズ材料からなる前記比較レンズの前記レンズ材料の前記体積を画定し、前記比較レンズが、前記第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈し、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの1つ以上の幾何学形状が、前記第2の円柱度数と前記第1の円柱度数との差による、前記ソフトコンタクトレンズの前記レンズ材料の前記体積と前記比較レンズの前記レンズ材料の前記体積との前記差を最小限に抑えるように、少なくとも前記第2の円柱度数と前記第1の円柱度数との前記差に基づいて構成され
前記第1の表面及び前記第1の比較表面の幾何学形状が同じであり、前記ソフトコンタクトレンズの前記レンズ材料の前記体積と前記比較レンズの前記レンズ材料の前記体積との前記差が、
(i)少なくとも前記第1の円柱度数に基づいて前記第2の表面の幾何学形状を構成することによって、または、
(ii)前記第2の表面の光学ゾーンに関連付けられた円柱度数に基づいて前記第1の表面の幾何学形状を構成することによって、または、
(iii)少なくとも前記第1の円柱度数に基づいて前記ソフトコンタクトレンズのレンズ直径又はベースカーブのうちの1つ以上を構成することによって、または、
(iv)1つ以上の表面特徴部を構成することによって、または、
(v)1つ以上の内部特徴部を構成することによって、
最小限に抑えられている、ソフトコンタクトレンズの製造方法
【請求項2】
前記第1の円柱度数が、回折円柱度数を含む、請求項1に記載のソフトコンタクトレンズの製造方法
【請求項3】
前記第1の円柱度数が、屈折円柱度数を含む、請求項1に記載のソフトコンタクトレンズの製造方法
【請求項4】
前記ソフトコンタクトレンズが、トーリックコンタクトレンズを含む、請求項1に記載のソフトコンタクトレンズの製造方法
【請求項5】
前記ソフトコンタクトレンズの前記第1の円柱度数の円柱経線に沿ったサジタル深さが球面経線に沿ったサジタル深さと一致するように構成されている、請求項1から4のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ソフトコンタクトレンズは、近視若しくは遠視などの単純な視力矯正、又は老眼、乱視、若しくは高次収差補正などのより複雑な視力矯正を提供するように設計されているかに関わらず、屈折の法則(スネルの屈折の法則)に基づく。矯正の量は、背面光学ゾーン幾何学形状、前面光学ゾーン幾何学形状、中心厚、及び材料屈折率の組み合わせから決定することができる。一般に、レンズの背面の幾何学形状は、レンズがカスタマイズされていない限り、レンズの在庫管理単位(stock keeping unit、SKU)範囲にわたって同じままである。ベースカーブとも呼ばれる背面は、適合性能を決定することができる。管理する限られた数のSKUに起因して、通常、1つより多くのベースカーブが、単焦点レンズに利用可能である。したがって、施術者は、特定の眼に最良のフィット性を提供するベースカーブを選択することができる。
【0002】
レンズは、SKU範囲にわたって性能一貫性を提供するために、それらの機械的性能が処方された視力矯正から独立したままであるように設計されてもよい。必要な度数が前面の幾何学形状を変化させることによって得られるという条件で、その幾何学形状の変化により、SKU範囲にわたってレンズ体積の変動を導入することができる。回転対称であるソフトコンタクトレンズでは、体積の変動は、-12.00D~+8.00Dの範囲のSKUについて25%~50%、又は-9.00D~+6.00Dの範囲のSKU(ほとんどのトーリック製品に一般的に提供されるSKU範囲)について20%~45%内の範囲であり得る。通常、トーリック製品に提供される球面度数の範囲は、複数の円柱度数及び円柱軸の組み合わせから管理する多数のSKUに起因して、単焦点レンズよりも小さい。最大体積は、高マイナス度数レンズ(-6.0Dを下回る球面度数を有するレンズ)及び高プラス度数レンズ(+6.0Dを上回る球面度数を有するレンズ)などの、極度のSKUについて観察され得る。最小体積は、平面球面度数の周囲のレンズなどの低度数レンズに生じる。
【0003】
レンズ体積は、レンズ材料特性、より具体的には材料剛性によって最初に駆動され得る。より剛性の材料で作製されたレンズは、より薄い厚さプロファイルで、より柔らかい材料を有するレンズと同じ剛性特性を呈することができる。したがって、剛性の材料で作製されたレンズは、同じSKU、ベースカーブ、及び直径の組み合わせに対して、柔らかい材料で作製されたレンズよりも小さいレンズ体積を呈することができる。しかしながら、同じSKU範囲内では、剛性の材料で作製されたレンズは、柔らかい材料で作製されたレンズよりも大きな体積変動を呈する場合がある。レンズ体積はまた、ベースカーブ及び直径の組み合わせによって駆動されてもよい。より大きな直径及びステッパベースカーブを有するレンズは、より大きな体積を有してもよい。
【0004】
ソフトトーリックコンタクトレンズは、所与の円柱矯正内の関連するSKU範囲にわたって、より小さい体積変動を呈することができる。眼上のレンズを角度安定化するための厚いゾーンは、安定化ゾーンがバラストタイプ又は二重安定化ゾーンであるかにかかわらず、レンズに材料を加えることができる。所与の円柱矯正のための光学ゾーン内の幾何学形状の変化は、全体的なレンズ体積と比較してより小さい体積の変化を表し、したがって、全体的な体積変動を低減する。しかしながら、円柱矯正の異なるレベルが考慮され、かつ0.50Dステップで-0.50D~-2.50D、又は0.50Dステップで-0.75D~-2.75Dの円柱を提供することができる場合、レンズ体積の変動は、回転対称レンズで見られるものと同様に、劇的に増加し得る。
【0005】
長年にわたって、近視、遠視、老眼、乱視矯正、又は円錐角膜のような矯正を必要とする疾患関連視力損失の矯正などの視力矯正の唯一の目的にソフトコンタクトレンズが使用されてきた。最近、ソフトコンタクトレンズの使用は、美容レンズ(例えば、有色レンズ)、光フィルタリングレンズ(例えば、フォトクロミックレンズ、青色ブロッカーレンズなど)、又は健康上の利益を提供すること(例えば、アレルギー、ドライアイなど)などの視力矯正目的以外に拡張されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ソフトコンタクトレンズの使用におけるこのような多様性は、設計に新たな制約、より具体的には、レンズ体積に関連する制約を導入する場合があり、これは、レンズの性能に影響を及ぼし得る。通常、回転球面ソフトコンタクトレンズよりも大きな体積を有するソフトトーリックコンタクトレンズは、そのような新しい使用のためのそれらの性能を維持しない場合がある。
【0007】
したがって、改善の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
眼用レンズが本明細書に記載される。例示的な眼用レンズは、第1の表面を備えることができる。例示的な眼用レンズは、第1の表面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の体積を画定する、第2の表面を備えることができる。眼用レンズは、第1の円柱度数を呈してもよい。眼用レンズのレンズ材料の体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差は、最小限に抑えることができる。比較レンズは、眼用レンズと同じレンズ材料から本質的になり、第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈してもよい。
【0009】
方法が本明細書に記載される。例示的な方法は、第1の前面と、第1の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第1の体積を画定する、第1の背面とを有する第1の眼用レンズを形成することを含むことができる。第1の眼用レンズは、第1の円柱度数を呈することができる。例示的な方法は、第2の前面と、第2の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第2の体積を画定する、第2の背面とを有する第2の眼用レンズを形成することを含むことができる。第2の眼用レンズは、第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈することができる。レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積と間の差は、第1の円柱度数と第2の円柱度数との間の差と独立していてもよい。
【0010】
方法が本明細書に記載される。別の例示的な方法は、第1の前面と、第1の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第1の体積を画定する、第1の背面とを有する第1の眼用レンズを形成することを含むことができる。第1の眼用レンズは、第1の円柱度数を呈することができる。別の例示的な方法は、第2の前面と、第2の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第2の体積を画定する、第2の背面とを有する第2の眼用レンズを形成することを含むことができる。第2の眼用レンズは、第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈することができる。レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積との間の差は、最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図面は、例として、ただし限定としてではなく、本開示で検討される様々な実施例を一般的に示したものである。図面は、以下のとおりである。
図1】円柱矯正が-0.75D~-2.75Dで変動する、-9.00D~+6.00DのRx範囲をカバーするASD型安定化ゾーンを使用した標準的なトーリックレンズのレンズ体積を示す例示的なプロットを示す。
図2A】眼上の角度向きを維持するための平均として二重安定化ゾーンを使用したソフトトーリックコンタクトレンズの例示的な等高線図を示す。
図2B】眼上の角度向きを維持するための平均として二重安定化ゾーンを使用したソフトトーリックコンタクトレンズの例示的な等高線図を示す。
図2C】眼上の角度向きを維持するための平均として二重安定化ゾーンを使用したソフトトーリックコンタクトレンズの例示的な等高線図を示す。
図3】-12.00D~+8.00DのRx範囲をカバーする標準的な単焦点レンズのレンズ体積を示す例示的なプロットを示す。
図4】処方された円柱が増加すると垂直経線に沿った厚さプロファイルが低減される例示的なトーリックコンタクトレンズを示す。水平経線に沿った厚さプロファイルは、変化しないままである。
図5】体積が処方された円柱の量と独立しているように設計されたトーリックレンズの体積を示す例示的なプロットを示す。
図6】背面の幾何学形状が処方された円柱の量に従って調整される例示的なトーリックコンタクトレンズを示す。前面の幾何学形状は、変化しないままである。
図7】単焦点レンズ及びトーリックソフトコンタクトレンズの提供された実施例のレンズ体積変動の例示的なボックスプロット図を示す。
図8】体積変動が-12.0D~+8.0DのSKU範囲にわたって低減されている単焦点レンズの例示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、コンタクトレンズを製造するためのシステム及び方法が記載される。本明細書に記載されるシステム及び/又は方法を利用することにより、各コンタクトレンズの処方強度にかかわらず、コンタクトレンズの体積範囲を維持することができる。各コンタクトレンズは、前面及び背面を備えることができる。第1のコンタクトレンズは、第1の処方強度と、第1の前面に関連付けられた第1の幾何学形状と、第1の背面に関連付けられた第1の幾何学形状と、第1の体積と、を有することができる。第1の体積は、第1の材料に関連付けられてもよい。第1のコンタクトレンズは、第1の材料を含んでもよい。
【0013】
第2のコンタクトレンズは、第2の処方強度と、第2の前面に関連付けられた第2の幾何学形状と、第2の背面に関連付けられた第2の幾何学形状と、第2の体積と、を有することができる。第2の体積は、第2の材料に関連付けられてもよい。第2のコンタクトレンズは、第2の材料を含んでもよい。第1の処方強度は、第2の処方強度と異なってもよい。第2の前面に関連付けられた第2の幾何学形状は、第1の前面に関連付けられた第1の幾何学形状から変更され、かつそれに基づいてもよい。第2の背面に関連付けられた第2の幾何学形状は、第1の背面に関連付けられた第1の幾何学形状から変更され、かつそれに基づいてもよい。第2の前面に関連付けられた第2の幾何学形状及び/又は第2の背面に関連付けられた第2の幾何学形状を変更することは、第2の体積が第1の体積の所定の閾値範囲内にあることを確実にすることを含むことができる。
【0014】
眼用レンズは、第1の表面を備えることができる。眼用レンズは、ソフトコンタクトレンズを含むことができる。眼用レンズは、トーリックコンタクトレンズを含むことができる。眼用レンズは、1種以上のシリコーンヒドロゲルを含んでもよい。眼用レンズは、1種以上の従来のヒドロゲルを含んでもよい。
【0015】
眼用レンズは、第1の表面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の体積を画定する、第2の表面を備えることができる。
【0016】
眼用レンズは、第1の円柱度数を呈してもよい。眼用レンズのレンズ材料の体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差は、最小限に抑えることができる。比較レンズは、眼用レンズと同じレンズ材料から本質的になり、第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈してもよい。
【0017】
眼用レンズのレンズ材料の体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差は、少なくとも第1の円柱度数に基づいて第1の表面及び第2の表面のうちの1つ以上の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えることができる。眼用レンズのレンズ材料の体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差は、第2の表面の光学ゾーンに関連付けられた円柱度数に基づいて第1の表面の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えることができる。眼用レンズのレンズ材料の体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差は、少なくとも第1の円柱度数に基づいて眼用レンズのレンズ直径又はベースカーブのうちの1つ以上を構成することによって、最小限に抑えることができる。
【0018】
眼用レンズのレンズ材料の体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差は、1つ以上の表面特徴部を構成することによって、最小限に抑えることができる。1つ以上の表面特徴部は、1つ以上のくぼみを含んでもよい。眼用レンズのレンズ材料の体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差は、1つ以上の内部特徴部を構成することによって、最小限に抑えることができる。1つ以上の内部特徴部は、1つ以上の内部空洞を含んでもよい。
【0019】
第1の円柱度数は、回折円柱度数を含んでもよい。第1の円柱度数は、屈折円柱度数を含んでもよい。
【0020】
製造業者は、第1のコンタクトレンズを製造することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の円柱度数を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の前面を備えることができる。第1の前面は、第1の前面幾何学形状を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の背面を備えることができる。第1の背面は、第1の背面幾何学形状を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の材料を含んでもよい。第1の材料は、第1の体積を有することができる。
【0021】
製造業者は、第2のコンタクトレンズを製造することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の円柱度数を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の前面を備えることができる。第2の前面は、第2の前面幾何学形状を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の背面を備えることができる。第2の背面は、第2の背面幾何学形状を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の材料を含んでもよい。第2の材料は、第2の体積を有することができる。第1の円柱度数は、第2の円柱度数と異なってもよい。第2の前面幾何学形状及び/又は第2の背面幾何学形状は、第2の体積が第1の体積の所定の閾値範囲内にあるように構成することができる。
【0022】
第1の眼用レンズは、第1の前面と、第1の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第1の体積を画定する、第1の背面と、を有するように形成されてもよい。製造業者は、第1の前面と、第1の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第1の体積を画定する、第1の背面とを有する第1の眼用レンズを形成することができる。第1の眼用レンズは、第1の円柱度数を呈することができる。第1の円柱度数は、第1の前面及び第1の背面のうちの1つ以上の幾何学形状を構成することによって、達成されてもよい。第1の円柱度数は、第1の背面の光学ゾーンに関連付けられた円柱度数に基づいて第1の前面の幾何学形状を構成することによって、達成されてもよい。第1の円柱度数は、眼用レンズのレンズ直径又はベースカーブのうちの1つ以上を構成することによって、達成されてもよい。眼用レンズは、1種以上のシリコーンヒドロゲルを含んでもよい。眼用レンズは、1種以上の従来のヒドロゲルを含んでもよい。
【0023】
第2の眼用レンズは、第2の前面と、第2の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第2の体積を画定する、第2の背面と、を有するように形成されてもよい。製造業者は、第2の前面と、第2の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第2の体積を画定する、第2の背面とを有する第2の眼用レンズを形成することができる。第2の眼用レンズは、第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈することができる。
【0024】
第1の円柱度数又は第2の円柱度数のうちの1つ以上は、回折円柱度数を含んでもよい。第1の円柱度数又は第2の円柱度数のうちの1つ以上は、屈折円柱度数を含んでもよい。第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上は、ソフトコンタクトレンズを含んでもよい。第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上は、トーリックコンタクトレンズを含んでもよい。
【0025】
第1の眼用レンズ及び/又は第2の眼用レンズは、1つ以上の表面特徴部を備えてもよい。1つ以上の表面特徴部は、1つ以上のくぼみを含んでもよい。第1の眼用レンズ及び/又は第2の眼用レンズは、1つ以上の内部特徴部を備えてもよい。1つ以上の内部特徴部は、1つ以上の内部空洞を含んでもよい。
【0026】
レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積と間の差は、第1の円柱度数と第2の円柱度数との間の差と独立していてもよい。
【0027】
製造業者は、第1のコンタクトレンズを製造することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の円柱度数を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の前面を備えることができる。第1の前面は、第1の前面幾何学形状を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の背面を備えることができる。第1の背面は、第1の背面幾何学形状を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の材料を含んでもよい。第1の材料は、第1の体積を有することができる。
【0028】
製造業者は、第2のコンタクトレンズを製造することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の円柱度数を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の前面を備えることができる。第2の前面は、第2の前面幾何学形状を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の背面を備えることができる。第2の背面は、第2の背面幾何学形状を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の材料を含んでもよい。第2の材料は、第2の体積を有することができる。第1の円柱度数は、第2の円柱度数と異なってもよい。第2の前面幾何学形状及び/又は第2の背面幾何学形状は、第2の体積が第1の体積の所定の閾値範囲内にあるように構成することができる。
【0029】
第1の眼用レンズは、第1の前面と、第1の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第1の体積を画定する、第1の背面と、を有するように形成されてもよい。製造業者は、第1の前面と、第1の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第1の体積を画定する、第1の背面とを有する第1の眼用レンズを形成することができる。第1の眼用レンズは、第1の円柱度数を呈することができる。
【0030】
第2の眼用レンズは、第2の前面と、第2の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第2の体積を画定する、第2の背面と、を有するように形成されてもよい。製造業者は、第2の前面と、第2の前面の反対側に配置され、かつそれらの間にレンズ材料の第2の体積を画定する、第2の背面とを有する第2の眼用レンズを形成することができる。第2の眼用レンズは、第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈することができる。
【0031】
第1の円柱度数又は第2の円柱度数のうちの1つ以上は、回折円柱度数を含んでもよい。第1の円柱度数又は第2の円柱度数のうちの1つ以上は、屈折円柱度数を含んでもよい。第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上は、ソフトコンタクトレンズを含んでもよい。第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上は、トーリックコンタクトレンズを含んでもよい。第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上は、1種以上のシリコーンヒドロゲルを含むことができる。第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上は、1種以上の従来のヒドロゲルを含むことができる。
【0032】
レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積との間の差は、最小限に抑えることができる。レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積との間の差は、少なくとも第1の円柱度数に基づいて第1の前面又は第1の背面のうちの1つ以上の幾何学形状、及び少なくとも第2の円柱度数に基づいて第2の前面又は第2の背面のうちの1つ以上の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えることができる。レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積との間の差は、第1の背面の光学ゾーンに関連付けられた円柱度数に基づいて第1の前面の幾何学形状、及び第2の背面の光学ゾーンに関連付けられた円柱度数に基づいて第2の前面の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えることができる。
【0033】
レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積との間の差は、少なくとも第1の円柱度数に基づいて第1の眼用レンズ及び少なくとも第2の円柱度数に基づいて第2の眼用レンズのレンズ直径又はベースカーブのうちの1つ以上を構成することによって、最小限に抑えることができる。レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積との間の差は、第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上に関連付けられた1つ以上の表面特徴部を構成することによって、最小限に抑えることができる。1つ以上の表面特徴部は、1つ以上のくぼみを含んでもよい。レンズ材料の第1の体積とレンズ材料の第2の体積との間の差は、第1の眼用レンズ又は第2の眼用レンズのうちの1つ以上に関連付けられた1つ以上の内部特徴部を構成することによって、最小限に抑えることができる。1つ以上の内部特徴部は、1つ以上の内部空洞を含んでもよい。
【0034】
製造業者は、第1のコンタクトレンズを製造することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の円柱度数を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の前面を備えることができる。第1の前面は、第1の前面幾何学形状を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の背面を備えることができる。第1の背面は、第1の背面幾何学形状を有することができる。第1のコンタクトレンズは、第1の材料を含んでもよい。第1の材料は、第1の体積を有することができる。
【0035】
製造業者は、第2のコンタクトレンズを製造することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の円柱度数を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の前面を備えることができる。第2の前面は、第2の前面幾何学形状を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の背面を備えることができる。第2の背面は、第2の背面幾何学形状を有することができる。第2のコンタクトレンズは、第2の材料を含んでもよい。第2の材料は、第2の体積を有することができる。第1の円柱度数は、第2の円柱度数と異なってもよい。第2の前面幾何学形状及び/又は第2の背面幾何学形状は、第2の体積が第1の体積の所定の閾値範囲内にあるように構成することができる。
【0036】
本明細書では、ソフトコンタクトレンズ、例えばトーリックレンズを設計するためのシステム及び方法が開示され、レンズ体積材料は、レンズに組み込まれた処方された円柱の量から独立して、一定のままである。本明細書では、標準的なソフトコンタクトレンズと比較して体積変動が低減された新しいソフトコンタクトレンズを提供するためのシステム及び方法が開示される。
【0037】
一例として、標準的なソフトトーリックコンタクトレンズ設計と比較して体積変動が低減された、ソフトトーリックコンタクトレンズ設計が記載される。体積変動の低減は、提案される円柱範囲にわたって前面の幾何学形状を調整すること、処方された円柱の量に従って背面の幾何学形状を調整すること、又はその両方の組み合わせのいずれかによって、達成される。
【0038】
コンタクトレンズは、前面又は表面度数、背面又はベースカーブ、及び縁部によって画定されてもよい。レンズの前面及び背面は、少なくとも3つの領域によって記述され、この3つの領域は、視力矯正が得られる内側領域、レンズの機械的特性を提供するレンズの外側周辺部、及び内側領域と外側領域との間にあり、不連続部分が生じないように2つの前述の領域を滑らかに融合するために使用される中間領域である。
【0039】
光学ゾーンは、レンズの実質的中心部分として定義され、着用者の屈折異常及び/又は老眼のための視力矯正を含む。屈折異常は、概して長距離において、良好な視力をもたらすのに必要な光学度数として定義される。これには、近視又は遠視が含まれることが分かる。老眼は、正の光学度数を光学ゾーンの一部分に代数的に加えて着用者の近方視力条件を修正することによって矯正される。これらの光学度数は、屈折手段若しくは回折手段、又はその両方によって作られ得るということが認識されている。度数矯正はまた、前述した視力矯正と組み合わせた乱視矯正を含むことができる。
【0040】
周辺ゾーンは、セントレーション及び向きを含む、眼上のレンズの安定化を提供する。レンズのその領域はまた、装着の容易さ及び取り外しの容易さ、快適性及びフィット性に関連する取り扱い特性などの機械的特性も提供する。眼上のレンズの気密度が、過度の動きをもたらし得るルーズフィット又は十分な動きをもたらさないことがあるタイトフィットのいずれかを決める。配向安定性は、光学ゾーンが乱視矯正及び/又は高次収差矯正などの非回転対称性の特性を含むとき不可欠である。中間ゾーンは、光学ゾーン及び周辺ゾーンが正接曲線で一体となるようにするものである。光学ゾーンと周辺ゾーンの両方は独立して設計されてもよいが、それらの設計は、特定の要件が必要となるときには、強く関連することに留意することが重要である。例えば、乱視用の光学ゾーンを有するトーリックレンズの設計は、眼上の所定の配向にレンズを維持するための特定の周辺ゾーンを必要とする場合がある。
【0041】
一般に、乱視矯正は、ソフトコンタクトレンズの背面側に構築される。背面光学ゾーンの基本的な幾何学形状は、前面の半径と組み合わせた最も平坦な半径が球面度数矯正(球面経線)を提供し、かつ最も平坦な半径から90度に向けられた背面光学ゾーンの最も急峻な半径が乱視矯正(円柱経線)を提供する、トーリック面からなる。矯正される乱視の量は、最も平坦な経線と最も急峻な経線との間の曲率の差に依存する。したがって、前面の同じ幾何学形状では、より高いレベルの乱視矯正は、円柱経線に沿ったより急峻な曲率半径を必要とする。曲率の増加は、同じ球面度数について体積の増加をもたらす。目標処方に従ってトーリック面の軸を所望の向きに設定することによって得られる円柱軸は、レンズの体積に影響を与えない。図1は、眼上のレンズの角度向きを維持するための平均として二重安定化ゾーンを使用したソフトトーリックコンタクトレンズのレンズ体積の一例を示す。レンズは、14.30mmの直径と、8.50mmの等価なベースカーブとを有する。安定化ゾーン領域内の最大周辺厚さは、約0.375mmである。提供された視力矯正は、球面度数について0.25Dごとに-9.00D~+6.00D、及び0.50Dの増分で円柱についての-0.75D~-2.75Dの範囲である。図2A図2Cは、眼上の角度向きを維持するための平均として二重安定化ゾーンを使用したソフトトーリックコンタクトレンズ(-3.00D/-0.75D@180度)の等高線図である。提供された実施例では、レンズ体積の変化が提供された乱視矯正にわたって所与のSKUについて4.5%を上回らない場合であっても、全SKU範囲内の総体積変動は、約44%である。
【0042】
比較すると、図3は、球面度数の同じSKU範囲について、2つの異なるベースカーブ、8.50mm及び9.00mmでの単焦点ソフトコンタクトレンズの体積を示す。最大周辺厚さは、約0.215mmである。8.50mmのベースカーブ及び9.00mmのベースカーブの全SKU範囲内の総体積変動は、それぞれ約45%及び46%である。
【0043】
提供される実施例では、体積の変動は、トーリックレンズと単焦点レンズとの間でほぼ同じ大きさである。レンズ体積は、材料、ベースカーブ、直径、中心厚、周辺厚さ幾何学形状などの選択などの複数の要因の組み合わせの結果である。したがって、目標SKU範囲にわたる体積自体及びその変動は、提案される実施例で提示されるものと異なってもよい。これらの体積の変動は、製品性能の意図及び/又はその製造プロセスに、より具体的には、乱視矯正の追加がSKU範囲全体にわたって余分な体積変動レベルを導入するトーリックレンズに有害であり得る。したがって、体積変動を低減することにより、複数の利益を提供し、より具体的には、SKUにわたるレンズ性能がレンズ体積に非常に関連するレンズについて提供する。
【0044】
例えば、レンズ製造が成形、スピンキャスティング、又はレンズ体積及び/若しくは体積変動に敏感な他の種類のプロセスに基づく場合、レンズ体積変動を低減することに利益がある。別の利益は、モノマー混合物又は包装溶液に添加される活性成分又は非活性成分を含有するレンズのためのものである。
【0045】
投与される活性成分/非活性成分の量がレンズの体積に関連する場合、より小さい体積変動を呈する設計はまた、そのようなレンズを製造するための複雑性をより少なくすることができる。そのようなレンズの他の利益としては、美容上の外観がそのレンズの重要な基準であるソフトコンタクトレンズが挙げられる。有色レンズ及びフォトクロミックレンズは、そのようなレンズの例である。また、吸光度などの材料特性が性能に重要であるレンズは、提案される解決策から利益を得るであろう。
【0046】
第1の例示的な実施形態では、体積変動の低減は、背面光学ゾーンに対して処方された円柱の量に従って前面幾何学形状を調整することによって、達成される。トーリックレンズは角度安定性を必要とするため、レンズの前面に対する変更は、レンズのそのような態様に影響を与えることなく行わなければならない。より強い乱視矯正を有するトーリックレンズはまた、より弱い乱視矯正を有するトーリックレンズよりも良好な角度安定性及び角度再現性を必要とする。乱視の量が強い被験者は、同じ角度位置ずれに対して乱視が弱い被験者よりも、レンズの角度位置ずれに対してより敏感である。したがって、前面に対する設計変更は、好ましくは、処方された円柱がより大きいほど、角度安定性及び角度再現性が改善されるように行われる。
【0047】
角度安定性は、レンズがその最終的な角度静止位置に到達すると、被験者によって着用されたときにレンズがどのくらいの角度変動を有するかに関連する。角度変動が小さいほど、レンズの角度安定性がより良好である。
【0048】
角度再現性は、レンズがその角度静止位置についてどのくらいの角度変動を有するかに関連する。角度静止位置が被験者間又は同じ被験者内でより一貫しているほど、レンズの角度再現性がより良好である。
【0049】
第1の実施例では、トーリックレンズは、二重安定化ゾーンタイプの設計である。処方された円柱に関する体積変動は、90度経線に沿って周辺厚さを変化させて、処方された円柱度数の量に従って調整された背面の幾何学形状の変化によって誘発される体積変化を相殺することによって、除去される。提案される実施例では、周辺領域の0度経線に沿った厚さプロファイルは、SKUにわたって変化しないままである。したがって、その経線に沿った最大厚さは、SKUにわたって一定に保たれる。周辺領域内の90度経線に沿った厚さプロファイルは、処方された円柱度数の量に従って調整され、その結果、背面から来る誘発された体積変化は、90度経線に沿って前面のプロファイルを変化させることによって補償される。その経線の幾何学形状の調整は、これら2つの経線に沿った全体的な角度厚さの変化を駆動する。
【0050】
0度経線に沿った周辺領域の最大厚さと90度経線に沿った同じ半径方向位置における厚さとの間の厚さの差として厚さ差を定義する場合、提案される実施例では、厚さ差は、処方された円柱度数の増加に伴って増加する。大きな厚さ差は、二重安定化ゾーンタイプの設計について小さい厚さ差よりも良好な回転性能及び安定性を提供することが知られている。したがって、より大きな処方された円柱に対して角度安定性及び角度再現性を改善することが達成される。図4は、処方された円柱が増加している間に垂直経線に沿った厚さが低減される、そのようなレンズの厚さプロファイルを示す。円柱軸は、90度経線に沿っている。
【0051】
図5は、提案されるアプローチを使用して達成された、結果として得られたレンズ体積を示す。体積変化は、処方された円柱の量と独立している。体積の変動は、球面度数矯正の変化によってのみ駆動される。パーセントでの体積変動は、約11%である。体積変動の更なる低減は、中心厚、前面光学ゾーン直径、又は前面光学ゾーンの縁部の厚さなどの前面の幾何学形状を駆動する他のパラメータを調整することによって、得ることができる。
【0052】
垂直経線に沿った厚さプロファイルを一定に保ちながら、最大厚さを変化させることによって、同様の結果を得ることができる。この解決策はまた、より大きな処方された円柱に対してより大きな厚さ差を提供する。別の選択肢は、水平経線に沿った最大厚さ及び垂直経線に沿った厚さプロファイルの両方を変化させることであり、これにより、厚さプロファイルは、処方された円柱の増加と共に増加する。
【0053】
同じ原理を、角度安定性及び角度再現性が異なるアプローチを使用して達成されるトーリックソフトコンタクトレンズに適用することができる。
【0054】
レンズの反転、レンズの折り畳み、FEAモデリングによって通常評価されるレンズラッピングなどの他の基準もまた、レンズの設計プロセス中に考慮されてもよい。レンズの機械的性能に関連するこのような基準はまた、所望のレンズ性能に従って前面の幾何学形状を最適化するプロセス中に含まれてもよい。
【0055】
第2の例示的な実施形態では、体積変動の低減は、背面に対して処方された円柱の量に従って背面幾何学形状を調整することによって、達成される。前面の幾何学形状は、変化しないままである。
【0056】
背面光学ゾーン内の円柱経線に沿った幾何学形状の変化から生じる体積の増加は、背面光学ゾーンの直径を調整すること、並びに/又はブレンド領域及び/若しくは背面周辺領域を調整することのいずれかによって、バランスをとられる。ブレンド領域及び背面周辺領域は、それらの全体的な曲率、それらの幅、それらのサジタル深さ、又は3つ全ての組み合わせのいずれかを変化させることによって、調整することができる。好ましくは、背面の全サジタル深さは、変化すべきではない。
【0057】
例えば、背面光学面の幾何学形状の変化による体積の変動を低減するための1つの提案されるアプローチは、円柱経線に沿ったサジタル深さが球面経線に沿ったサジタル深さと一致するように、最大の処方された円柱度数の背面光学ゾーン直径を低減することである。残りの体積の変動は、ブレンド領域及び/又は背面周辺領域のいずれかを調整することによって、除去することができる。
【0058】
円柱範囲にわたる背面の幾何学形状のそのような変動は、幾何学形状のそれらの変化が一般的な集団の眼の幾何学形状で見ている幾何学的変化よりもはるかに小さいため、レンズラッピング及びレンズフィット性に影響を及ぼすには小さ過ぎる。
【0059】
図6は、背面幾何学形状が背面光学ゾーンに対して処方される円柱度数の量に従って調整される、そのようなレンズの厚さプロファイルを示し、円柱軸は、90度経線に沿って設定されている。前面は、変化しないままであり、前の実施例の前面幾何学形状と一致する。結果として得られたレンズ体積は、-0.75Dの処方された円柱と同一である。したがって、レンズ体積は、図5に示されるものと同じである。
【0060】
提案される実施例では、背面の外側幾何学形状は、処方された円柱の各レベルに対して調整される。この領域は回転対称であり、かつ前面は変化しないため、結果として得られる半径方向厚さは、図6に示されるように個々の円柱度数レベルごとに変化するが、結果として得られる厚さ差は、一定のままであり、SKU範囲全体にわたって角度安定性及び角度再現性を提供する。
【0061】
図7は、異なる種類のコンタクトレンズについて、同じSKU範囲(-9.00D~+6.00D)にわたる体積変動を要約するボックスプロットである。SV1及びSV2とラベル付けされた体積データは、8.50mm(SV1)及び9.00mm(SV2)のそれぞれのベースカーブ半径を有する前述の単焦点レンズを指す。SV3(8.50mm BC)及びSV4(9.00mm BC)としてラベル付けされたレンズは、前述の実施例の体積変動が低減された単レンズである。T1は、図1の二重安定化ゾーンを使用したソフトトーリックコンタクトレンズに対応し、T2は、体積変動を低減するための第1の提案されるアプローチに基づいて設計されたソフトトーリックコンタクトレンズに対応する。
【0062】
この原理を、角度安定性及び角度再現性が異なるアプローチを使用して達成されるトーリックソフトコンタクトレンズに適用することができる。
【0063】
レンズの反転、レンズの折り畳み、FEAモデリングによって通常評価されるレンズラッピングなどの他の基準もまた、レンズの設計プロセス中に考慮されてもよい。レンズの機械的性能に関連するこのような基準はまた、所望のレンズ性能に従って背面の幾何学形状を最適化するプロセス中に含まれてもよい。
【0064】
図8は、図3の単焦点レンズと同じ基本幾何学的特性(ベースカーブ幾何学形状、光学ゾーン直径、レンズ直径)を共有する2つの異なるベースカーブ、8.50mm及び9.00mmの単焦点ソフトコンタクトレンズの体積を示す。中心厚及び周辺厚さを調整して、体積変動を低減させた。8.50mmのベースカーブ及び9.00mmのベースカーブの全SKU範囲(-12.0D~+8.00D)内の体積変動は、それぞれ約26%及び24%である。これは、図3に提供された元の体積データと比較して、それぞれ43%及び48%の低減に対応する。
【0065】
光学ゾーン直径などの、中心厚及び周辺厚さのほかの他の駆動パラメータを調整して、体積変動を低減することができる。パラメータの選択は、コンタクトレンズの目標性能及び使用に依存する。
【0066】
第1の実施形態の実施例は、円柱範囲にわたる角度安定性及び角度再現性を調整する柔軟性を提供するが、それは、設計する前面の数を増加させ、製造をより複雑にする。管理するツール/部品の数は、前面側がはるかにより多くなることに関連付けられる。第2のアプローチの利点は、円柱度数レベルごとに異なる前面を必要とせず、標準的なトーリックレンズと同じレベルの複雑性をもたらすことである。しかしながら、この解決策は、円柱レベルごとの角度安定性及び角度再現性における所望の性能を調整する能力を提供しない。
【0067】
第3の例示的な実施形態では、2つの提案される解決策を組み合わせることによって妥協を行うことができる。これは、設計する前面の数を制限することによって、及び前面間の幾何学形状の差によって誘発される体積変動を除去するために背面の幾何学形状を調整することによって、第1の実施形態の製造複雑性を低減する。例えば、2つの前面の組は、所与の処方された円柱範囲内の所望のレンズ性能に適合するように設計することができる。前面の2つの特定の組の最小は、以下の表1A及び表1Bに示されるように、円柱範囲にわたって設計することができる。最終的に、処方された円柱度数の単一のレベルごとに、前面及び背面の特定の組(以下の表1C)が設計される場合、したがって、解決策は、第1の提案される例示的な実施形態に対応する。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
SKU範囲にわたって同じベースカーブ/直径の組み合わせを有することが望ましい場合があるが、これらのパラメータの一方又は両方の変化を適用して、処方された円柱によって誘発される体積変動を除去することができる。例えば、レンズの直径は、処方された円柱の増加に伴って低減することができ、又は、公称直径を円柱範囲の中間に設定する場合には、直径は、小さい円柱度数に対して増加させ、大きい円柱度数に対して低減させることができる。同様の戦略をベースカーブで使用することができる。例えば、ベースカーブは、処方された円柱度数の増加に伴って平坦化されてもよく、又は、公称ベースカーブが円柱範囲の中間に設定される場合には、ベースカーブは、小さい円柱度数に対して急峻にされ、大きい円柱度数に対して平坦化されてもよい。
【0072】
別の例示的な実施形態では、体積変動は、(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,389,434号に記載されるように)表面特徴部を追加することによって、相殺することができる。これらの特徴部のサイズ及び頻度は、管理する体積の量に従って調整することができる。特徴部の種類は、上述の特許において提案されているものに限定されない。それは、材料の除去による体積制御を可能にする任意の種類の表面特徴部とすることができる。それはまた、例えばレンズの本体内の内部空洞もまた材料除去によって体積制御を可能にするような、内部特徴部であってもよい。
【0073】
別の例示的な実施形態では、体積変動は、必要な量の処方された円柱を提供するために、回折光学素子を使用して相殺することができる。回折光学ゾーンは、表面形状から独立したレンズの表面に度数を生成することができるため、回折アプローチを使用することに利益がある。円柱範囲にわたる回折パターンによって誘発される体積変動は、屈折力を使用して処方された円柱が達成されるときに得られる体積変動と比較して著しく小さくなる。
【0074】
図示及び説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更がそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) 眼用レンズであって、
第1の表面と、
前記第1の表面の反対側に配置され、かつ前記第1の表面と第2の表面との間にレンズ材料の体積を画定する、前記第2の表面と、
を備え、
前記眼用レンズが、第1の円柱度数(first cylinder power)を呈し、前記眼用レンズのレンズ材料の前記体積と比較レンズのレンズ材料の体積との差が、最小限に抑えられ、前記比較レンズが、前記眼用レンズと同じレンズ材料から本質的になり、前記第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈する、
眼用レンズ。
(2) 前記眼用レンズのレンズ材料の前記体積と前記比較レンズのレンズ材料の前記体積との前記差が、少なくとも前記第1の円柱度数に基づいて前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの1つ以上の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(3) 前記眼用レンズのレンズ材料の前記体積と前記比較レンズのレンズ材料の前記体積との前記差が、前記第2の表面の光学ゾーンに関連付けられた円柱度数に基づいて前記第1の表面の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(4) 前記眼用レンズのレンズ材料の前記体積と前記比較レンズのレンズ材料の前記体積との前記差が、少なくとも前記第1の円柱度数に基づいて前記眼用レンズのレンズ直径又はベースカーブのうちの1つ以上を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(5) 前記眼用レンズのレンズ材料の前記体積と前記比較レンズのレンズ材料の前記体積との前記差が、1つ以上の表面特徴部を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
【0076】
(6) 前記眼用レンズのレンズ材料の前記体積と前記比較レンズのレンズ材料の前記体積との前記差が、1つ以上の内部特徴部を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(7) 前記第1の円柱度数が、回折円柱度数を含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(8) 前記第1の円柱度数が、屈折円柱度数を含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(9) 前記眼用レンズが、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(10) 前記眼用レンズが、トーリックコンタクトレンズを含む、実施態様1に記載の眼用レンズ。
【0077】
(11) 方法であって、
第1の前面と、前記第1の前面の反対側に配置され、かつ前記第1の前面と第1の背面との間にレンズ材料の第1の体積を画定する、前記第1の背面とを有する第1の眼用レンズを形成することであって、前記第1の眼用レンズが、第1の円柱度数を呈する、ことと、
第2の前面と、前記第2の前面の反対側に配置され、かつ前記第2の前面と第2の背面との間にレンズ材料の第2の体積を画定する、前記第2の背面とを有する第2の眼用レンズを形成することであって、前記第2の眼用レンズが、前記第1の円柱度数とは異なる第2の円柱度数を呈する、ことと、
を含み、
レンズ材料の前記第1の体積とレンズ材料の前記第2の体積と間の差が、前記第1の円柱度数と前記第2の円柱度数との間の差と独立している、
方法。
(12) 前記第1の円柱度数が、前記第1の前面及び前記第1の背面のうちの1つ以上の幾何学形状を構成することによって、達成されている、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第1の円柱度数が、前記第1の背面の光学ゾーンに関連付けられた円柱度数に基づいて前記第1の前面の幾何学形状を構成することによって、達成されている、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記第1の円柱度数が、前記眼用レンズのレンズ直径又はベースカーブのうちの1つ以上を構成することによって、達成されている、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記第1の円柱度数又は前記第2の円柱度数のうちの1つ以上が、回折円柱度数を含む、実施態様11に記載の方法。
【0078】
(16) 前記第1の円柱度数又は前記第2の円柱度数のうちの1つ以上が、屈折円柱度数を含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記第1の眼用レンズ又は前記第2の眼用レンズのうちの1つ以上が、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記第1の眼用レンズ又は前記第2の眼用レンズのうちの1つ以上が、トーリックコンタクトレンズを含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 方法であって、
第1の前面と、前記第1の前面の反対側に配置され、かつ前記第1の前面と第1の背面との間にレンズ材料の第1の体積を画定する、前記第1の背面とを有する第1の眼用レンズを形成することであって、前記第1の眼用レンズが、第1の光学度数(first optical power)を呈する、ことと、
第2の前面と、前記第2の前面の反対側に配置され、かつ前記第2の前面と第2の背面との間にレンズ材料の第2の体積を画定する、前記第2の背面とを有する第2の眼用レンズを形成することであって、前記第2の眼用レンズが、前記第1の光学度数とは異なる第2の光学度数を呈する、ことと、
を含み、
レンズ材料の前記第1の体積とレンズ材料の前記第2の体積との間の差が、最小限に抑えられている、
方法。
(20) レンズ材料の前記第1の体積とレンズ材料の前記第2の体積との間の差が、少なくとも前記第1の光学度数に基づいて前記第1の前面又は前記第1の背面のうちの1つ以上の幾何学形状、及び少なくとも前記第2の光学度数に基づいて前記第2の前面又は前記第2の背面のうちの1つ以上の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様19に記載の方法。
【0079】
(21) レンズ材料の前記第1の体積とレンズ材料の前記第2の体積との間の差が、前記第1の背面の光学ゾーンに関連付けられた光学度数に基づいて前記第1の前面の幾何学形状、及び前記第2の背面の光学ゾーンに関連付けられた光学度数に基づいて前記第2の前面の幾何学形状を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様19に記載の方法。
(22) レンズ材料の前記第1の体積とレンズ材料の前記第2の体積との間の差が、少なくとも前記第1の光学度数に基づいて前記第1の眼用レンズ及び少なくとも前記第2の光学度数に基づいて前記第2の眼用レンズのレンズ直径又はベースカーブのうちの1つ以上を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様19に記載の方法。
(23) レンズ材料の前記第1の体積とレンズ材料の前記第2の体積との間の差が、前記第1の眼用レンズ又は前記第2の眼用レンズのうちの1つ以上に関連付けられた1つ以上の表面特徴部を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様19に記載の方法。
(24) レンズ材料の前記第1の体積とレンズ材料の前記第2の体積との間の差が、前記第1の眼用レンズ又は前記第2の眼用レンズのうちの1つ以上に関連付けられた1つ以上の内部特徴部を構成することによって、最小限に抑えられている、実施態様19に記載の方法。
(25) 前記第1の光学度数又は前記第2の光学度数のうちの1つ以上が、回折円柱度数を含む、実施態様19に記載の方法。
【0080】
(26) 前記第1の光学度数又は前記第2の光学度数のうちの1つ以上が、屈折円柱度数を含む、実施態様19に記載の方法。
(27) 前記第1の眼用レンズ又は前記第2の眼用レンズのうちの1つ以上が、ソフトコンタクトレンズを含む、実施態様19に記載の方法。
(28) 前記第1の眼用レンズ又は前記第2の眼用レンズのうちの1つ以上が、トーリックコンタクトレンズを含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8