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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/519 20210101AFI20240729BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/287 20210101ALI20240729BHJP
【FI】
H01M50/519
H01M50/569
H01M50/209
H01M50/271 S
H01M50/284
H01M50/287
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022140758
(22)【出願日】2022-09-05
(65)【公開番号】P2024036049
(43)【公開日】2024-03-15
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲村 卓思
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013653(JP,A)
【文献】特開2020-014369(JP,A)
【文献】特開2007-299794(JP,A)
【文献】特開2020-205175(JP,A)
【文献】特開2019-057498(JP,A)
【文献】特開2021-119024(JP,A)
【文献】特開2004-171895(JP,A)
【文献】特開2020-013655(JP,A)
【文献】特開2004-063113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
H01K 1/14
H01R 12/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの第1の側に設けられたプレート部材と、
前記プレート部材上に設けられたフレキシブルプリント基板および制御基板とを備え、
前記制御基板はコネクタ部を有し、
前記フレキシブルプリント基板は接続部を有し、前記接続部が前記コネクタ部に接続されることにより前記フレキシブルプリント基板と前記制御基板とが互いに電気的に接続され、
前記接続部が前記コネクタ部に接続されない状態で、前記フレキシブルプリント基板の前記接続部の少なくとも一部が、前記第1の側からみて前記制御基板と重なる領域であって前記制御基板と前記プレート部材との間に位置し、
前記フレキシブルプリント基板は、前記接続部の近傍に設けられ、前記制御基板と重なる領域から突出するタブをさらに有する、電池モジュール。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント基板は、フィルム層と、前記フィルム層に形成された導体部とを有し、
前記導体部は、前記制御基板と電気的に接続される配線部分と、前記タブ上または前記タブ近傍に形成され、前記制御基板と電気的に接続されないダミー部分とを含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記プレート部材は、前記タブ近傍に形成され、前記フレキシブルプリント基板の折り曲げ線を誘導する凹部または凸部を含む、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、前記タブの根元近傍に形成され、前記フレキシブルプリント基板の切断線を誘導する切り欠き部を含む、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント基板は、第1部分と、前記第1部分から分岐し、前記接続部を含む第2部分とを含み、
前記第2部分は、前記第1部分の延在方向から前記制御基板に接続される、請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板の前記第1部分と前記第2部分との間に前記第1部分の前記延在方向に沿った切り込み部が形成されている、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント基板の前記第2部分は、前記接続部に連なる辺部に相対的に幅が広い拡幅部を有する、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント基板の前記第2部分は、前記第1部分の前記延在方向に沿って形成された第1辺部と、前記第1辺部に略直交する第2辺部とを含む、請求項5に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルを含む電池モジュールの配線としてフレキシブルプリント基板が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/107583号
【文献】特開2007-299794号公報
【文献】特開2019-114464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブルプリント基板の組み付け性を向上させるために、フレキシブル基板の接続部を制御基板のコネクタ部に接続しやすくすることが求められる。
【0005】
本技術の目的は、フレキシブルプリント基板の組み付け性が高い電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、以下の電池モジュールを提供する。
【0007】
[1]第1方向に配列された複数の電池セルと、複数の電池セルの第1の側に設けられたプレート部材と、プレート部材上に設けられたフレキシブルプリント基板および制御基板とを備え、制御基板はコネクタ部を有し、フレキシブルプリント基板は接続部を有し、接続部がコネクタ部に接続されることによりフレキシブルプリント基板と制御基板とが互いに電気的に接続され、接続部がコネクタ部に接続されない状態で、フレキシブルプリント基板の接続部の少なくとも一部が、第1の側からみて制御基板と重なる領域であって制御基板とプレート部材との間に位置し、フレキシブルプリント基板は、接続部の近傍に設けられ、制御基板と重なる領域から突出するタブをさらに有する、電池モジュール。
【0008】
[2]フレキシブルプリント基板は、フィルム層と、フィルム層に形成された導体部とを有し、導体部は、制御基板と電気的に接続される配線部分と、タブ上またはタブ近傍に形成され、制御基板と電気的に接続されないダミー部分とを含む、[1]に記載の電池モジュール。
【0009】
[3]プレート部材は、タブ近傍に形成され、フレキシブルプリント基板の折り曲げ線を誘導する凹部または凸部を含む、[1]または[2]に記載の電池モジュール。
【0010】
[4]フレキシブルプリント基板は、タブの根元近傍に形成され、フレキシブルプリント基板の切断線を誘導する切り欠き部を含む、[1]から[3]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0011】
[5]フレキシブルプリント基板は、第1部分と、第1部分から分岐し、接続部を含む第2部分とを含み、第2部分は、第1部分の延在方向から制御基板に接続される、[1]から[4]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【0012】
[6]フレキシブルプリント基板の第1部分と第2部分との間に第1部分の延在方向に沿った切り込み部が形成されている、[5]に記載の電池モジュール。
【0013】
[7]フレキシブルプリント基板の第2部分は、接続部に連なる辺部に相対的に幅が広い拡幅部を有する、[5]または[6]に記載の電池モジュール。
【0014】
[8]フレキシブルプリント基板の第2部分は、第1部分の延在方向に沿って形成された第1辺部と、第1辺部に略直交する第2辺部とを含む、[5]から[7]のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、フレキシブルプリント基板の接続部を制御基板に接続する前の(フレキシブルプリント基板の撓みがない)状態において、フレキシブルプリント基板の接続部の少なくとも一部が電池モジュールの高さ方向からみて制御基板と重なる位置に配置される電池モジュールにおいて、制御基板の下部から突出するタブをフレキシブルプリント基板に設けることにより、フレキシブルプリント基板の組み付け工程時にタブを把持して接続部を制御基板の下側から取り出すことができる。この結果、フレキシブルプリント基板の組み付け性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電池モジュールの基本的構成を示す図である。
図2】電池セルを示す斜視図である。
図3】電池モジュール上に配線モジュールを設けた状態を示す斜視図である。
図4】組電池におけるバスバーの配置を示す図である。
図5】プレート部材上に設けられたフレキシブルプリント基板を示す斜視図である。
図6】フレキシブルプリント基板の接続部と制御基板のコネクタ部との位置関係の一例を示す図である。
図7】接続部周辺におけるフレキシブルプリント基板の形状の一例を示す図である。
図8】フレキシブルプリント基板のタブ周辺の導体部の形状を示す図(その1)である。
図9】フレキシブルプリント基板のタブ周辺の導体部の形状を示す図(その2)である。
図10】タブ周辺におけるフレキシブルプリント基板およびプレート部材の断面図(その1)である。
図11】タブ周辺におけるフレキシブルプリント基板およびプレート部材の断面図(その2)である。
図12】タブ周辺におけるフレキシブルプリント基板およびプレート部材の断面図(その3)である。
図13】タブの根元近傍に形成された切り欠き部の形状を示す図(その1)である。
図14】タブの根元近傍に形成された切り欠き部の形状を示す図(その2)である。
図15】タブの根元近傍に形成された切り欠き部の形状を示す図(その3)である。
図16】変形例に係るフレキシブルプリント基板を示す斜視図である。
図17図16に示すフレキシブルプリント基板の拡幅部周辺を示す斜視図である。
図18】他の変形例に係るフレキシブルプリント基板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0018】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0019】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0020】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0021】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池およびナトリウムイオン電池などの他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0022】
本明細書において、「電池セル」は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、および電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などに搭載可能である。ただし、「電池セル」の用途は、車載用に限定されるものではない。
【0023】
図1は、組電池1の基本的構成を示す図である。図1に示すように、組電池1は、電池セル100と、エンドプレート200と、拘束部材300とを備える。
【0024】
複数の電池セル100は、Y軸方向(第1方向)に並ぶように設けられる。これにより、電池セル100の積層体が形成される。電池セル100は、電極端子110を含む。複数の電池セル100の間には、図示しないセパレータが介装されている。2つのエンドプレート200に挟持された複数の電池セル100は、エンドプレート200によって押圧され、2つのエンドプレート200の間で拘束されている。
【0025】
エンドプレート200は、Y軸方向において組電池1の両端に配置されている。エンドプレート200は、組電池1を収納するケースなどの基台に固定される。拘束部材300は、2つのエンドプレート200を互いに接続する。
【0026】
複数の電池セル100およびエンドプレート200の積層体に対してY軸方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材300をエンドプレート200に固定し、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート200を接続する拘束部材300に引張力が働く。その反作用として、拘束部材300は、2つのエンドプレート200を互いに近づける方向に押圧する。
【0027】
図2は、電池セル100を示す斜視図である。図2に示すように、電池セル100は、角型形状を有する。電池セル100は、電極端子110と、筐体120(外装缶)とを有する。すなわち、電池セル100は角型二次電池セルである。
【0028】
電極端子110は、筐体120上に形成されている。電極端子110は、Y軸方向(第1の方向)に直交するX軸方向(第2方向)に沿って並ぶ正極端子111および負極端子112を有する。正極端子111および負極端子112は、X軸方向において、互いに離れて設けられている。
【0029】
筐体120は、直方体形状を有し、電池セル100の外観をなす。筐体120は、図示しない電極体および電解液を収容するケース本体120Aと、ケース本体120Aの開口を封止する封口板120Bとを含む。封口板120Bは、溶接によりケース本体120Aに接合される。
【0030】
筐体120は、上面121と、下面122と、第1側面123と、第2側面124と、2つの第3側面125とを有する。筐体120には、ガス排出弁126が設けられている。
【0031】
上面121は、Y軸方向およびX軸方向に直交するZ軸方向(第3方向)に直交する平面である。上面121には、電極端子110が配置されている。下面122は、Z軸方向に沿って上面121に対向している。
【0032】
第1側面123および第2側面124の各側面は、Y軸方向に直交する平面からなる。第1側面123および第2側面124の各側面は、筐体120が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。第1側面123および第2側面124の各側面は、Y軸方向に見て、矩形形状を有する。第1側面123および第2側面124の各側面は、Y軸方向に見て、X軸方向が長手方向となり、Z軸方向が短手方向となる矩形形状を有する。
【0033】
複数の電池セル100は、Y軸方向に隣り合う電池セル100,100の間において、第1側面123どうし、第2側面124どうしが向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル100が積層されるY軸方向において、正極端子111と負極端子112とが、交互に並んでいる。
【0034】
ガス排出弁126は、上面121に設けられている。ガス排出弁126は、電池セル100の温度が上昇し(熱暴走)、筐体120の内部で発生したガスにより筐体120の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを筐体120の外部に排出する。
【0035】
図3は、組電池1上に配線モジュールを設けた状態を示す斜視図である。図3に示すように、組電池1上にプレート部材400が載置され、プレート部材400上にフレキシブルプリント基板500が設けられる。フレキシブルプリント基板500はコネクタ600を介して外部機器と電気的に接続可能である。プレート部材400上には、フレキシブルプリント基板500を覆うようにカバー部材700が設けられる。
【0036】
図4は、組電池1におけるバスバー800の配置を示す図である。図4の例では、隣接する電池セル100の正極端子111と負極端子112とがバスバー800により電気的に接続され、複数の電池セル100が電気的に直列接続される。
【0037】
すなわち、組電池1は、電極端子110を各々有し、所定の方向に沿って配列された複数の電池セル100と、複数の電池セル100の電極端子110どうしを接続するバスバー800とを備える。
【0038】
図5は、プレート部材400上に設けられたフレキシブルプリント基板500を示す斜視図である。なお、図5に示すフレキシブルプリント基板500は一例であり、本技術の範囲はこれに限定されるものではない。
【0039】
図5に示すように、フレキシブルプリント基板500は、接続部510と、タブ520とを有する。制御基板900はコネクタ部910を有する。フレキシブルプリント基板500の接続部510が制御基板900のコネクタ部910に接続されることによりフレキシブルプリント基板500と制御基板900とが互いに電気的に接続される。このとき、フレキシブルプリント基板500に撓みが生じる。
【0040】
図5の例において、フレキシブルプリント基板500は、本体部分501(第1部分)と、本体部分501から分岐した分岐部分502(第2部分)とを含む。図5の例において、接続部510は分岐部分502の先端に設けられる。分岐部分502に設けられた接続部510は、本体部分501の延在方向(図5の例ではY軸方向)から制御基板900に接続される。このとき、接続部510に隣接する分岐部分502が撓み変形する。
【0041】
フレキシブルプリント基板500は、フィルム層500Aと、フィルム層500Aに形成された導体部500Bとから構成される。フィルム層500Aは、絶縁性の素材から構成される。導体部500Bは、たとえば銅などの金属(導電性素材)から構成される。
【0042】
プレート部材400は、突起部410を有する。突起部410は、第1突起部411と第2突起部412とを含む。フレキシブルプリント基板500は、孔部530と、切り込み部540と、バスバー接続部550とを有する。孔部530は、長孔531と、丸孔532とを含む。
【0043】
プレート部材400の第1突起部411は、フレキシブルプリント基板500の長孔531を貫通し、第2突起部412は、丸孔532を貫通する。長孔531は、Y軸方向が長手方向となるように形成される。長孔531により、Y軸方向における長孔531から丸孔532までの寸法公差およびプレート部材400とフレキシブルプリント基板500との組立公差を吸収しながら、プレート部材400上におけるフレキシブルプリント基板500の位置決めを行うことができる。
【0044】
切り込み部540は、フレキシブルプリント基板500の本体部分501と分岐部分502との間に設けられる。切り込み部540は、本体部分501の延在方向(図5の例ではY軸方向)に沿って形成されている。バスバー接続部550は、導体部500Bの一部であり、本体部分501の先端に設けられる。バスバー接続部550は、バスバー800に接続される。
【0045】
図6は、フレキシブルプリント基板500の接続部510と制御基板900のコネクタ部910との位置関係の一例を示す図である。
【0046】
図6に示すように、接続部510がコネクタ部910に接続されていない状態、すなわち、フレキシブルプリント基板500に撓みが生じていない状態で、フレキシブルプリント基板500の接続部510の一部が制御基板900の下側に位置する。換言すると、接続部510の一部が、電池モジュールのZ軸方向の上側(第1の側)からみて制御基板900と重なる領域であって制御基板900とプレート部材400との間に位置する。なお、フレキシブルプリント基板500の接続部510の全体が制御基板900の下側に位置してもよい。
【0047】
図5に示すタブ520は、接続部510の近傍に設けられ、制御基板900と重なる領域から突出する。タブ520をY軸方向に引っ張ることにより、接続部510を制御基板900の下側から引き出すことができる。
【0048】
図7は、接続部510周辺におけるフレキシブルプリント基板500の形状の一例を示す図である。
【0049】
図7に示すように、フレキシブルプリント基板500の導体部500Bは、制御基板900と電気的に接続される配線部分500B1と、タブ520上またはタブ520近傍に形成され、制御基板900と電気的に接続されないダミー部分500B2とを含む。
【0050】
配線部分500B1は、たとえば電池セル100の電圧検出線または温度検出線を構成する。配線部分500B1およびダミー部分500B2は、互いに同種の金属層により構成され得る。
【0051】
図8および図9は、フレキシブルプリント基板500のタブ520周辺の導体部500Bの形状を示す図である。
【0052】
導体部500Bのダミー部分500B2は、図8の例のように、タブ520の中央部分とタブ520の根元部分とに分離して形成されていてもよいし、図9の例のように、タブ520の中央部分からタブ520の根元部分にまで連続して形成されていてもよい。導体部500Bのダミー部分500B2は、タブ520の周辺において、配線部分500B1の損傷を抑制可能な後述の折り曲げ線または切断線を誘導することができる。
【0053】
図10から図12は、タブ520の周辺におけるフレキシブルプリント基板500およびプレート部材400の断面図である。
【0054】
図10に示すように、折り曲げ線A1から先端側のタブ520を持ち上げることにより、タブ520を把持して接続部510を制御基板900の下側から容易に引き出すことができる。タブ520上ないしその近傍の適切な位置に導体部500Bのダミー部分500B2を形成しておくことにより、折り曲げ線A1による配線部分500B1の損傷を抑制することができる。
【0055】
図11の例では、タブ520上ないしその近傍に位置し、フレキシブルプリント基板500の折り曲げ線A2を誘導する凹部400Aがプレート部材400に形成されている。
【0056】
図12の例では、タブ520上ないしその近傍に位置し、フレキシブルプリント基板500の折り曲げ線A3を誘導する凸部400Bがプレート部材400に形成されている。
【0057】
タブ520上ないしその近傍の適切な位置に導体部500Bの凹部400Aないし凸部400Bを形成しておくことにより、折り曲げ線A2,A3による配線部分500B1の損傷を抑制することができる。
【0058】
図13から図15は、タブ520の根元近傍に形成された切り欠き部521の形状を示す図である。
【0059】
図13の例では、切り欠き部521の曲線状の底辺の頂点がタブ520の先端側(接続部510の反対側)に向かうように切り欠き部521が形成されている。この結果、タブ520を図中左側に引き出す際にタブ520の根元部分に切断線が生じる場合に、その切断線を矢印C1方向に誘導して配線部分500B1の損傷を抑制することができる。
【0060】
図14の例では、切り欠き部521の曲線状の底辺の頂点がタブ520の突出方向(接続部510の反対側に向かう方向)に対して垂直方向に向かうように切り欠き部521が形成されている。この結果、タブ520を図中左側に引き出す際にタブ520の根元部分に切断線が生じる場合に、その切断線を矢印C2方向に誘導して配線部分500B1の損傷を抑制することができる。
【0061】
図15の例では、切り欠き部521の直線状の底辺がタブ520の突出方向に向かうように切り欠き部521が形成されている。この結果、タブ520を図中左側に引き出す際にタブ520の根元部分に切断線が生じる場合に、その切断線を矢印C3方向に誘導して配線部分500B1の損傷を抑制することができる。
【0062】
このように、図13ないし図15の例においては、いずれも、配線部分500B1の損傷を抑制可能なフレキシブルプリント基板500の切断線を切り欠き部521によって誘導することができる。この結果、タブ520を引き出す際にその周辺に切断線が生じる場合にも、配線部分500B1の損傷を抑制することができる。
【0063】
図16は、変形例に係るフレキシブルプリント基板500を示す斜視図である。図16に示す変形例において、フレキシブルプリント基板500の分岐部分502は、接続部510に連なる辺部に相対的に幅が広い拡幅部560を有している。相対的に幅が広い拡幅部560は、周辺の幅が狭い部分よりも変形しやすいため、後述する係合部420の内側に入りやすくすることができるとともに、壁部430の壁に当接させてY軸方向から拡幅部560を止めることができる。
【0064】
図17は、図16に示すフレキシブルプリント基板500の拡幅部560周辺を示す斜視図である。図17に示す例では、拡幅部560の周辺に位置するプレート部材400に係合部420および壁部430が設けられている。
【0065】
係合部420は、略L字状の断面形状を有し、拡幅部560の上側から係合することにより、拡幅部560のプレート部材400からの浮き上がりを抑制することができる。壁部430は、拡幅部560の後方側(接続部510の反対側)から拡幅部560に当接する。係合部420および壁部430を設けることにより、タブ520を把持して後方側に引き出したときに、拡幅部560よりも先端側(接続部510側)の所望の位置を撓ませて接続部510を制御基板900のコネクタ部910に容易に接続することができる。
【0066】
図18は、他の変形例に係るフレキシブルプリント基板500を示す斜視図である。図18に示す変形例において、フレキシブルプリント基板500の分岐部分502は、第1部分の延在方向(Y軸方向)に沿って形成された第1部分502Aと、第1部分502Aに対して屈曲し、第1部分502Aに略直交する方向(X軸方向)に沿って形成された第2部分502Bと、第2部分502Bに対して接続部510から遠ざかる方向に屈曲し、第1部分502Aと同じ方向(Y軸方向)に延在するように形成された第3部分502Cと、第3部分502Cに対して屈曲し、第1部分502Aおよび第3部分502Cに略直交する方向(X軸方向)に沿って形成された第4部分502Dと、第4部分502Dに対して接続部510に近づく方向に屈曲し、第1部分502Aおよび第3部分502Cと同じ方向(Y軸方向)に延在するように形成された第5部分502Eとを含む。
【0067】
このように、Y軸方向に沿う形成された第1部分502A、第3部分502C、および第5部分502E(第1辺部)と、X軸方向に沿う第2部分502Bおよび第4部分502D(第2辺部)とを複数回交互に形成することにより、フレキシブルプリント基板500の分岐部分502におけるY軸方向の変位吸収機能を高めることができるので、フレキシブルプリント基板500の撓み変形を促進し、タブ520を引き出しやすくすることができる。
【0068】
本実施の形態に係る電池モジュールによれば、フレキシブルプリント基板500の接続部510を制御基板900に接続する前、すなわちフレキシブルプリント基板500の撓みがない状態において、フレキシブルプリント基板500の接続部510の少なくとも一部が電池モジュールの高さ方向(Z軸方向)からみて制御基板900と重なる位置に配置される電池モジュールにおいて、制御基板900の下部から突出するタブ520をフレキシブルプリント基板500に設けることにより、フレキシブルプリント基板500の組み付け工程時にタブ520を把持して接続部510を制御基板900の下側から取り出すことができる。この結果、フレキシブルプリント基板500の組み付け性が向上する。
【0069】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 組電池、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、120A ケース本体、120B 封口板、121 上面、122 下面、123 第1側面、124 第2側面、125 第3側面、126 ガス排出弁、200 エンドプレート、300 拘束部材、400 プレート部材、400A 凹部、400B 凸部、410 突起部、411 第1突起部、412 第2突起部、420 係合部、430 壁部、500 フレキシブルプリント基板、500A フィルム層、500B 導体部、500B1 配線部分、500B2 ダミー部分、501 本体部分、502 分岐部分、502A 第1部分、502B 第2部分、502C 第3部分、502D 第4部分、502E 第5部分、510 接続部、520 タブ、521 切り欠き部、530 孔部、531 長孔、532 丸孔、540 切り込み部、550 バスバー接続部、560 拡幅部、600 コネクタ、700 カバー部材、800 バスバー、900 制御基板、910 コネクタ部。
図1
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