(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】焦点面検出器
(51)【国際特許分類】
H01J 43/12 20060101AFI20240729BHJP
H01J 49/02 20060101ALI20240729BHJP
H01J 49/32 20060101ALI20240729BHJP
H01J 43/24 20060101ALI20240729BHJP
H01J 49/00 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
H01J43/12
H01J49/02 500
H01J49/32 200
H01J43/24
H01J49/00 040
(21)【出願番号】P 2022509628
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2020072898
(87)【国際公開番号】W WO2021032639
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-07-31
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】518008275
【氏名又は名称】ルクセンブルク インスティトゥート オブ サイエンス アンド テクノロジー(リスト)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,フウン・クアン
(72)【発明者】
【氏名】ビルツ,トム
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-236148(JP,A)
【文献】国際公開第2007/138679(WO,A1)
【文献】特開平03-165208(JP,A)
【文献】特開昭52-053655(JP,A)
【文献】実開昭57-148759(JP,U)
【文献】特開2015-228379(JP,A)
【文献】国際公開第2007/013630(WO,A1)
【文献】米国特許第05801380(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 43/04
H01J 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子または放射線を検出するための検出デバイス(100、200)であって、デバイスが、主方向(A)に沿って長手方向に延在するフロントエリア(102、202)を備え、フロントエリアが、少なくとも2つのマイクロチャネルプレートMCPアセンブリ(110、210)のそれぞれの入口面(112、212)の配置を備え、各MCPアセンブリが、その入口面に衝突する荷電粒子、中性粒子、または電磁放射線(10)を受けるように、およびその反対側の出口面(114、214)に対応する増幅された検出信号を生成するように構成され、デバイスが、前記増幅された検出信号を収集するための少なくとも1つの読出しアノード(120、220)をさらに備え、アノードが、前記MCPアセンブリのそれぞれの出口面から距離を置いて、それらと並列に配置され、
少なくとも2つのMCPアセンブリが、前記主方向に沿って並んで配置され、最大で1mmのギャップ(G)が任意の2つの隣接するMCPアセンブリの入口面を分離し、
検出デバイスが、すべてのMCPアセンブリ(110、120)のそれぞれの出口面(114、214)に共通の電位を印加するように、および各MCPアセンブリ(110、120)のそれぞれの入口面(112、212)に個別の電位を印加するように構成されたバイアシング手段をさらに備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
少なくとも2つのMCPアセンブリ(110、210)の入口面(112、212)が、少なくとも15cmの合計距離にわたって延在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
デバイスが、MCPアセンブリ(210、210’)ごとに1つの専用読出しアノード(220、220’)を備え、前記読出しアノードが前記MCPアセンブリの出口面(214)に沿って延在する、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
読出しアノード(220、220’)が、遅延線アノード、ピクセル化アノード配列、抵抗アノード、成形アノード、シングルアノード、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
最大で1mm幅のギャップが、任意の2つの隣接するMCPアセンブリのそれぞれの出口面(114、214)を分離する、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
任意の2つの隣接する読出しアノードを分離するギャップが、対応する2つの隣接するMCPアセンブリの入口面および出口面を分離するギャップと実質的に同じ幅を有する、請求項3および5に記載のデバイス。
【請求項7】
すべてのMCPアセンブリ(110、210)が、実質的に同じチャネルサイズおよび増幅利得特性を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
すべてのMCPアセンブリ(110、210)が、前記主方向(A)に対して垂直に延在する同じ幅(W)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記フロントエリア(102、202)が、前記MCPアセンブリ(110、210)の入口面(112、212)から構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記バイアシング手段が、各MCPアセンブリ(110、210)のそれぞれの入口面(112、212)と出口面(114、214)との間に電位差を印加するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
バイアシング手段が、検出器のフロントエリア(102、202)に正または負のフローティング電位を印加するように構成される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
MCPアセンブリが、複数の多数のMCPデバイスの積層アセンブリ、山形アセンブリ、またはZ積層アセンブリを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記荷電粒子がイオンを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記電磁放射線が可視光線を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
焦点面に沿ってイオンを、それらの質量/電荷比に従って分散させるための質量分析計であって、分析計が、前記分散したイオンが検出デバイスのフロントエリアに衝突するように前記焦点面に配置された検出デバイスを備え、前記検出デバイスが請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイスであることを特徴とする、質量分析計。
【請求項16】
Mattauch-Herzog型デバイスであることを特徴とする、請求項15に記載の質量分析計デバイス。
【請求項17】
フローティング構成で使用されるように構成されることを特徴とする、請求項15または16に記載の質量分析計デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子および低エネルギー放射線検出器の分野にある。詳細には、本発明は、二次イオン質量分析法SIMSにおいて使用される一次元焦点面検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
分析および撮像の目的で二次イオン質量分析法、SIMS、デバイスを使用することが知られている。知られているSIMSデバイスでは、サンプルの表面を照射するために集束一次イオンビームが使用される。それにより、サンプルから物質がはじき出され、サンプルから生じる局所化された二次イオン放射が生み出される。これらの二次イオンは、異なる種類の分析計によって分析することができる。一般に、二次イオンは、最初にそれらの質量対電荷比に従ってフィルタリングされ、次いで、それに応じて検出、分類、または撮像される。他のモードは、サンプルの質量スペクトルまたは深度プロファイルの記録を含む。
【0003】
特に、その優れた感度、その高ダイナミックレンジ、その良好な深度分解能、および同位体を区別するその能力のおかげで、SIMSは、サンプル表面および薄膜を分析するための強力な技法の構成要素となる。SIMSにおける基本的な方位情報制限は、二次イオンが放射される表面のエリアによって決定される。これは、一次ビームパラメータ(イオン種、エネルギー)とサンプル組成物の両方に依存する。数keVから数十keVの範囲のエネルギー、および4amuから133amuの質量を有する一次イオンビームの場合、このエリアは2nmと10nmとの間である。現在、市販のSIMS計器上の撮像分解能は、そのような基本的な考慮事項ではなく、一次ビームのプローブサイズによって制限される。実際には、50nm範囲内の分解能は、現在、Cameca NanoSIMS 50(商標)計器上で実現可能であり、それは、約50nmの方位分解能を有する2D元素マッピング、ならびに分析されたボリュームの3D元素復元を生成することが可能である。結果として、たとえば、ライフサイエンス、ナノテクノロジー、および天文学において、SIMSの新しい応用分野が出現している。
【0004】
SIMSでは、サンプルと引き出し電極との間に電圧差を印加することにより、サンプルから二次イオンが引き出される。用途に応じて、SIMSでは3つの異なるタイプの質量分析計が使用される。四重極質量分析計は、質量分解能および透過率が最も低く、したがって、本発明にとってあまり興味がない。飛行時間、ToF、質量分析計は、無制限の質量範囲につながるので、主として分子の断片または分子全体の検出にさえ使用される。質量測定は、所与の源、たとえばサンプルと検出器との間の二次イオンの飛行時間の測定を介して行われる。飛行時間は、一次イオンビームまたは二次イオンビームのパルスによって開始される。しかしながら、パルシング動作は、通常、デューティサイクルを制限し、低い感度をもたらす。いくつかの最新のTOF質量分析計構成は、デューティサイクルを改善するために、事前捕捉ユニットを利用して、TOFに注入する前に二次イオンを蓄積する。しかしながら、事前捕捉システムのためのガス冷却の要件は、SIMS向けの統合において実証されていない。3番目の質量分析計のタイプは、磁気セクタ質量分析計に基づく。
【0005】
ToF質量分析計と比較して、磁気セクタ質量分析計は、ビームパルスによって誘導されたデューティサイクルを除去する連続分析の利点を提示し、それは、一次イオンがDCモードで動作する場合のより良い全体的な感度につながるか、または一次イオンビームがパルス化された場合の同様の分析回数に対するより良い全体的な感度につながる。しかしながら、それらは、削減された質量範囲を提示し、それは通常、単原子イオンおよび小さいクラスタイオンの分析に対するそれらの用途を制限する。二重集束磁気セクタ計器では、静電分析器を磁気フィルタと組み合わせることにより、無彩色質量フィルタリング(achromatic mass filtering)(すなわち、二次イオンの初期エネルギー分布と無関係なフィルタリング)が実現される。最も知られている磁気質量分析計では、磁場は、検出器に到達するために、選択された質量対電荷比m/z(またはイオン質量)について調整されなければならない。したがって、分析中、関心のある異なる質量にわたって磁場が走査される。Mattauch-Herzog設計を使用すると並列質量検出が可能であり、すべてのイオン質量がいくつかの検出器を含む焦点面内で集束する。
【0006】
Mattauch-Herzog型質量分析器は、静電セクタ、ESA、から構成され、二次イオン軌道上で磁気セクタがその後に続く。静電セクタおよび磁気セクタの配置は、通常、磁気セクタの出口平面に沿って広範囲の質量対電荷比m/zの分散を可能にする。すべてのイオン質量は、(元のMattauch-Herzog構成の)出口平面に、または磁気セクタの出口平面から距離を置いて、位置する焦点面に集束する。ほとんどの知られているMattauch-Herzog型質量分析計は、最も高い質量解像力のために二重集束状態(無彩色質量フィルタリング)で動作することができる。数百から数千の典型的な質量解像力が実現される。
【0007】
質量スペクトルを取得するために、検出システムは焦点面に沿ってすべてのイオン質量を収集するために使用される。通常、これを実現するためにシングル/マルチコレクタ検出システムが使用される。単一の検出器、またはいくつか(X個)の単一の検出器のマルチコレクタが焦点面に設置される。ここでは、質量スペクトル/画像を取得するために使用することができる2つの知られているワークフローが存在する。第1のワークフローでは、検出器/マルチコレクタは、焦点面上のある特定の場所に固定される。磁気セクタの磁場は、検出システムを介してすべてのイオン質量を走査するためにランプしている。ある特定の検出時間に、ただ1つ(単一の検出器)またはX個(マルチコレクタ)のイオン質量を取得することができる。このワークフローでは、電磁気セクタが常に必要とされる。第2のワークフローでは、磁気セクタの磁場は、焦点面に沿って関心のあるすべてのイオン質量を分散させるためにある値に固定される。検出器/マルチコレクタは、次いで、完全な質量スペクトルを取得するために焦点面に沿って移動するか、または(各検出器が別々に移動することができるマルチコレクタシステムにおいて)撮像取得のために関心のあるイオン質量の1つもしくはX個の位置に固定される。第1のワークフローと同様に、ただ1つまたはX個のイオンの質量対電荷比m/zを一度に検出することができる。このワークフローは、電磁石と永久磁石の両方の磁気セクタに有効である。
【0008】
両方のワークフローでは、システムは、最大1つまたは並行してX個のイオン質量画像を構築することができる。SIMSは破壊法なので、並列検出器の数を改善することは、分析中のサンプルからの有用な情報を最大化することに役立つ。実際には、取り付けることができる検出器の数は、たとえば、最新のCameca NanoSIMS(商標)計器では5-7個の検出器に制限される。したがって、各分析について検出器がSIMS計器の焦点面に沿って適切に移動させられる多数の分析を異なる時間に行使することなく、SIMSを使用して完全に並列な質量スペクトルスナップショットを取得することは、現在可能ではない。それでも、結果として得られたスペクトルデータは、各々の単一のSIMS分析の破壊的性質のために異なる深度でのサンプルの成分を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の欠点のうちの少なくともいくつかを克服する方法を提示することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、荷電粒子または放射線を検出するための検出デバイスが提案される。デバイスは、主方向に沿って長手方向に延在するフロントエリアを備える。フロントエリアは、少なくとも2つのマイクロチャネルプレートMCPアセンブリのそれぞれの入口面の配置を備え、各MCPアセンブリは、その入口面に衝突する荷電粒子、中性粒子、または放射線を受けるように、およびその反対側の出口面に対応する増幅された検出信号を生成するように構成される。デバイスは、前記増幅された検出信号を収集するための少なくとも1つの読出しアノードをさらに備え、アノードは、前記MCPアセンブリのそれぞれの出口面から距離を置いて、それらと並列に配置される。少なくとも2つのMCPアセンブリは、前記主方向に沿って並んで配置され、最大で1mmのギャップが任意の2つの隣接するMCPアセンブリの入口面を分離する。検出デバイスは、すべてのMCPアセンブリのそれぞれの出口面に共通の電位を印加するように、および各MCPアセンブリのそれぞれの入口面に個別の電位を印加するように構成されたバイアシング手段をさらに備える。
【0011】
好ましくは、すべてのデバイスのMCPアセンブリは、前記主方向に沿って並んで配置されてもよい。
【0012】
好ましくは、読出しアノードは、遅延線アノード、ピクセル化アノード配列、抵抗アノード、成形アノード、またはシングルアノードを含んでもよい。
【0013】
少なくとも2つのMCPアセンブリの入口面は、好ましくは、少なくとも15cmの合計距離にわたって延在してもよい。好ましくは、距離は15cmと100cmの間であってもよい。
【0014】
好ましくは、デバイスは、MCPアセンブリごとに1つの専用読出しアノードを備えてもよく、前記読出しアノードは、好ましくは、MCPアセンブリの出口面に沿って延在してもよい。あるいは、すべてのMCPアセンブリに共通する単一の読出しアノードが提供されてもよい。
【0015】
読出しアノードは、好ましくは、遅延線アノード、ピクセル化アノード配列、抵抗アノード、成形アノード、シングルアノード、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0016】
最大で1mm幅のギャップが任意の2つの隣接するMCPアセンブリのそれぞれの出口面を分離することは好ましい場合がある。
【0017】
任意の2つの隣接するMCPアセンブリ間のギャップサイズは、好ましくは同じであってもよい。
【0018】
好ましくは、任意の2つの隣接する読出しアノードを分離するギャップは、対応する2つの隣接するMCPアセンブリの入口面および出口面を分離するギャップと実質的に同じ幅を有してもよい。
【0019】
すべてのMCPアセンブリは、好ましくは、実質的に同じチャネルサイズおよび増幅利得特性を有してもよい。
【0020】
好ましくは、すべてのMCPアセンブリは、前記主方向に対して垂直に延在する同じ幅を有してもよい。
【0021】
検出器のフロントエリアは、好ましくは、前記MCPアセンブリの入口面から構成されてもよい。
【0022】
好ましくは、バイアシング手段は、各MCPアセンブリのそれぞれの入口面と出口面との間の電位差を印加するように構成されてもよい。バイアシング手段は、好ましくは、電源を備えてもよい。好ましくは、個々のMCPアセンブリのそれぞれの入口面と出口面との間に、個別の電位差が印加されてもよい。
【0023】
バイアシング手段は、好ましくは、検出器の前面に正または負のフローティング電位を印加するように構成されてもよい。
【0024】
MCPアセンブリは、好ましくは、複数の多数のMCPデバイスの積層アセンブリ、山形(chevron)アセンブリ、またはZ積層アセンブリを含んでもよい。
【0025】
荷電粒子は、好ましくはイオンを含んでもよく、放射線は、好ましくは可視光線を含んでもよい。
【0026】
本発明の別の態様によれば、焦点面に沿ってイオンを、それらの質量/電荷比に従って分散させるための質量分析計であって、分析計は、前記分散したイオンが検出デバイスのフロントエリアに衝突するように前記焦点面に配置された検出デバイスを備え、前記検出デバイスが本発明の態様によるデバイスであることを特徴とする。
【0027】
好ましくは、質量分析計デバイスは、Mattauch-Herzog型デバイスであってもよい。質量分析計は、好ましくは、フローティング構成で使用されるように構成されてもよい。
【0028】
本発明の態様による検出デバイスにより、線形方向に沿って任意の距離にわたって延在する検出器を提供することが可能になる。(たとえば、電子分光法/分析法、X線分析法、光学分光法/分析法、宇宙用途などの)電磁放射線検出、荷電粒子検出、および中性粒子検出における提案された検出デバイスの用途が確かに存在するが、本発明の態様による検出デバイスの主な用途は、焦点面に沿って分析されるイオンを広げる質量分析計デバイス向けの焦点面検出器、FPD、にある。例として、Mattauch-Herzog質量分析計は、通常、関心のあるイオン質量範囲全体をカバーするために、数センチメートルから数百センチメートルに及ぶ長い焦点面を有する。本発明の態様によるいくつかのマルチチャネルプレート、MCP、アセンブリの組合せのおかげで、完全長FPDを提供することができる。これは、単一のMCPアセンブリの寸法に対するいかなる製造制限にもかかわらず実現される。完全長FPDは、質量分析計の磁気セクタの焦点面に沿って設置されてもよい。これにより、磁気セクタの出口平面を脱出するすべてのイオン質量m/zを並行して取得することが可能になる。したがって、完全な質量スペクトルは、短い取得時間内に並行して収集することができ、それにより、分析されるサンプルの完全なスペクトルデータのデータ処理および分析が可能になる。本発明の態様によるFPDは、すべてのイオン質量対電荷比m/zの100%デューティサイクルでの分析中に、サンプルから完全な化学情報、すなわち、質量スペクトルのデータおよび画像を収集することができる。マルチチャネルプレート、MCP、を使用すると、それらの高感度(単一の粒子検出)、(化学濃度を広く検出することを保証する)高ダイナミックレンジ(106)、(質量分析計の高質量分解能を保証する)主方向に沿った高空間分解能(<50μm)の可能性、ならびに、電子、イオン、原子、分子、および光子を含むすべてのタイプの粒子を検出するそれらの能力を含む、いくつかの利点が提供される。詳細には、MCP技術は、これを書いている時点で利用可能な最大の単一検出器のサイズである、最大15cmの単一のMCPアセンブリの柔軟な形状およびサイズを実現することができる。これは、大型検出器を実現する提案された検出デバイスの複雑さを最小化することに役立つ。加えて、MCPは成熟した信頼できる技術である。本発明の態様によれば、異なるタイプの読出しアノードは、焦点面の長さに沿って異なるMCPアセンブリに使用されてもよい。これにより、1つの検出器内の異なるアノード読出し技術の強みを活用することが可能になる。たとえば、マイクロファラデーストリップ配列または電荷結合素子CCDのようなピクセル化アノード配列、アクティブアノード配列は、高質量分解能(したがって、50μm未満の検出器の高空間分解能)が必要とされるが、高感度は必要とされない質量範囲向けに選択されてもよい。一方、遅延線アノードは、空間分解能はあまり必要とされず、高感度が必要とされる質量範囲向けに選択されてもよい。
【0029】
本出願につながるプロジェクトは、許諾合意書第720964下のヨーロッパ連合のHorizon2020研究および改革計画からの資金提供を受けている。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の範囲を限定しない図によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による、検出デバイスの上面概略図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態による、検出デバイスの前面概略図である。
【
図3a】本発明の好ましい実施形態による、検出デバイスで使用される積層山形タイプのマイクロチャネルプレートアセンブリの概略図である。
【
図3b】本発明の好ましい実施形態による、検出デバイスで使用される積層Z型マイクロチャネルプレートアセンブリの概略図である。
【
図4】本発明の好ましい実施形態による、検出デバイスの上面概略図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態による、質量分析計デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
このセクションは、記載される実施形態に本発明を限定することなく、好ましい実施形態および図に基づいてさらに詳細に本発明の特徴を記載する。特に明記しない限り、特定の実施形態との関連で記載された特徴は、他の記載された実施形態のさらなる特徴と組み合わされてもよい。説明全体を通して、本発明の異なる実施形態にわたって、同様または同じ概念に対して同様の参照番号が使用される。たとえば、参照100および200は、各々、本発明によるが、それらの2つのそれぞれの実施形態における検出デバイスを記載する。
【0033】
説明は、本発明を理解することに関係する提案された検出器デバイスのそれらの態様に焦点を当てる。デバイスは、それらの態様が明示的に言及されていない場合でも、たとえば、適切に寸法が決められた電源、またはデバイスの様々な要素をそれらそれぞれの必要な場所に保持するための機械式ホルダーフレームなどの、他の一般に知られている態様も含むことは、当業者には明かであろう。
【0034】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、検出デバイス100を切り開く上面図を示す。様々な概念を説明するために、図示された大きさは寸法通りではなく、いくつかの距離は、図を容易に理解するために誇張されている。デバイスは、それに沿って一次元検出デバイス100が延在する「単一の」方向を画定する主方向Aに沿って延在するフロントエリア102を備える。デバイスは、主方向に沿って並んで配置された複数のマイクロチャネルプレート、MCP、アセンブリ110をさらに備える。MCPアセンブリの前面112は、MCPアセンブリを分離する物理的なギャップまたは隙間Gを除いて、デバイス100のフロントエリア102を構成する。示された例では、3つのMCPアセンブリが使用される。当然、本発明の範囲から逸脱することなく、他の複数のMCPアセンブリが実現可能である。利用可能なMCPサイズおよび検出エリアの所望の全長L(たとえば、15cmから100cm)に応じて、適切な数のMCPアセンブリがデバイス100に統合される。
図1の例では、共通の長さL110にわたって延在する2つのMCPアセンブリが並んで配置され、第3のMCPアセンブリは短い距離110’にわたって延在し、それによって短い入口面がもたらされる。各MCPアセンブリの深さHは、好ましくは同じであり、その結果、増幅特性は検出器の長さLに沿って均一である。非限定的な例として、深さHは、通常、単一のMCPアセンブリの場合約0.5mmから1mmであり、山形(Chevron)タイプの積層MCPアセンブリの場合1-2mmであり、Z積層タイプのMCPアセンブリの場合1.5-3mmである。理想的には、ギャップGは無視できるサイズであるが、それらは、実際には、1mmより大きくてはならない。実際、前面102に衝突した荷電粒子(すなわち、イオン、電子)または中性粒子(すなわち、原子、分子)または電磁放射線(すなわち、光、X線など)10は、MCPのうちの1つの前面112に当たった場合にのみ検出することができ、ギャップGは検出範囲内のデッドスポットを形成する。好ましくは、任意の2つの隣接するMCPアセンブリ間のギャップは、均一のサイズである。各々の衝突した荷電粒子または光子は、入口面112、112’にそれが当たったMCPアセンブリの出口面114、114’において、対応する増幅された信号を生成する。ギャップGは、2つの隣接するMCPアセンブリのそれぞれの出口面まで延在する。増幅された信号を検出するために、少なくとも1つの読出しアノード120がMCPアセンブリ110の出口面114、114’と並列に、それらから(通常は2-5mmであるが、限定はされない)距離dに配置される。読出しアノードは、図示されていないデータ処理手段に動作可能に結合され、データ処理手段は、アノードによって読み取られた検出カウントを、検出器の長さLに沿ったそれらの場所と一緒に記憶する。それを行うことにより、入って来る荷電粒子、中性粒子、または電磁放射線10のスペクトルデータが生成される。スペクトルデータは、好ましくは、それらのさらなる処理のために、またはディスプレイデバイスにそれらを表示するために、メモリ要素に記憶される。処理手段は、たとえば、メモリ要素に対する読取り/書込みアクセスができるデータプロセッサを含んでもよい。データプロセッサは、アノード120を読み出すために設計された特定の回路を含み、それは、代替として、適切なソフトウェアコードによってこのタスクを実行するようにプログラムされたプログラマブルプロセッサを含んでもよい。すべての記載された構成要素は、たとえば、機械加工されたフレームであり得る、ホルダーフレーム130によって適所に保持される。
【0035】
図2は、
図1の最上部から見られるときの、フロントエリア102の上、およびデバイス100のMCPアセンブリ110の入口面112の上の前面図を提供する。各MCPは、デバイスの主方向Aに対して垂直の方向に同様または等しい幅Wに沿って延在することが諒解される。幅Wは、数ミリメートルから数センチメートルまで、たとえば、3mmから15cmまで及んでもよい。
【0036】
典型的なマイクロチャネルプレート、MCP、は、典型的な直径が10μmから100μmの範囲にある、10
4個から10
7個の小型電子増倍管から構成される。各チャネルは個別の電子増倍管として機能し、それらは、単一のイオン、電子、原子、分子、または光子を検出することができる。MCPは、通常、鉛ガラスなどの高抵抗材料から組み立てられる。MCPの前側および後側は金属化電極であり、それらに対して、電源などの適切なバイアシング手段を介して約1000Vの典型的な電圧差が印加される。単一のエネルギー粒子がチャネル表面に当たると、それは1つ以上の二次電子を生み出し、二次電子は印加された電圧によってMCPチャネルの中に加速される。これらの二次電子の各々は、再びチャネル壁に当たると2つ以上の二次電子を放出することができる。このプロセスは、チャネルに沿ってカスケードされる。したがって、チャネルに当たった単一のエネルギー粒子は、チャネルに沿って電子放射のカスケードを生み出し、チャネルの出力において少なくとも10
4個の電子の電子雲がもたらされる。MCPの後ろに設置されたアノードは、電子雲を電子的に検出して、MCPに当たった各単一イベントを登録することができる。
図1に描写されたようなMCPアセンブリ110は、単一のマイクロチャネルプレートまたはそれらの積層アセンブリを備えてもよい。
【0037】
各MCPは、通常、10
4の増幅利得を提供する。ほとんどの用途では、より高い利得(10
6-10
7)が必要とされる。そのような高利得を実現するために、いくつかの積層されたMCPを使用することができる。積層MCPを使用するとき、各MCPのチャネルはMCP垂線に対して8°-15°傾斜される。続くMCPのチャネルは、連続するMCPからのイオンフィードバックを回避するために、反対方向に傾斜される。この構成におけるアセンブリ110内の2つのMCP111、111’の組合せは、山形アセンブリと呼ばれる(
図3aを参照)が、アセンブリ110内の3つのMCP111、111’、111”の組合せは、Z積層アセンブリと呼ばれる(
図3bを参照)。デバイス100に統合されるMCPアセンブリのタイプは、必要な増幅利得に依存する。しかしながら、1つのデバイス100内で、同じチャネルサイズおよび増幅利得のMCPアセンブリは、検出器全体に沿って均一な検出効率および空間分解能を維持するために使用される。
【0038】
異なるタイプのアノード120が、MCPアセンブリ110を離れた電子を収集するために考慮されてもよい。第1のタイプは、通常、MCPの後ろに設置された単一の金属プレートであるシングルアノードである。このアノードプレートは、全部のMCPを離れた電子の総数を収集し、したがって、MCPに当たった総信号強度(アナログ電流または粒子の数)を検出する。第2のタイプのアノードは、位置センシティブアノード読出しに関係し、それは、MCPに当たった多数のイベントの場所と強度の両方を返すことができる。異なるタイプの位置敏感アノード読出しは、遅延線DL、アノード、抵抗アノード、ピクセル化アノード配列、成形アノード、シングルアノードなどの、MCPベースの検出器に現在使用されている。直接電荷検出のためのチップ型パッケージングの中に組み立てられ、電子回路と結合された統合配列検出器は、MCPアセンブリと組み合わせて読出しアノードとして使用することもできる。この場合、それらはすべてピクセル化アノード配列と呼ばれる。アクティブピクセル配列、マイクロファラデーカップ配列、およびマイクロファラデーストリップ配列を含む、このタイプの検出器に対するいくつかの手法が開発されている。
【0039】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、検出デバイス200を切り開く上面図を示す。様々な概念を説明するために、図示された大きさは寸法通りではなく、いくつかの距離は、図を容易に理解するために誇張されている。デバイスは、主方向Aに沿って延在するフロントエリア202を備える。前述された実施形態におけるように、デバイスは、主方向に沿って並んで配置された複数のマイクロチャネルプレート、MCP、アセンブリ210をさらに備える。MCPアセンブリの前面212は、MCPアセンブリを分離する物理的なギャップまたは隙間Gを除いて、デバイス200のフロントエリア202を構成する。示された例では、3つのMCPアセンブリが使用される。当然、本発明の範囲から逸脱することなく、他の複数のMCPアセンブリが実現可能である。利用可能なMCPサイズおよび検出エリアの所望の全長L(たとえば、15cmから100cm)に応じて、適切な数のMCPアセンブリがデバイス200に統合される。
図4の例では、共通の長さL210にわたって延在する2つのMCPアセンブリが並んで配置され、第3のMCPアセンブリは短い距離210’にわたって延在し、それによって短い入口面が提供される。各MCPアセンブリの深さHは、好ましくは同じであり、その結果、増幅特性は検出器の長さLに沿って均一である。理想的には、ギャップGは無視できるサイズであるが、それらは、実際には、1mmより大きくてはならない。実際、前面202に衝突した荷電粒子(すなわち、イオン、電子)または光子10は、MCPのうちの1つの前面212に当たった場合にのみ検出することができ、ギャップGは検出範囲内のデッドスポットを形成する。好ましくは、任意の2つの隣接するMCPアセンブリ間のギャップは、均一のサイズである。各々の衝突した荷電粒子または光子は、入口面212、222’にそれが当たったMCPアセンブリの出口面214、214’において、対応する増幅された信号を生成する。ギャップGは、2つの隣接するMCPアセンブリ間のそれぞれの出口面まで延在する。増幅された信号を検出するために、MCPアセンブリ210、210’ごとに1つの専用読出しアノード220、220’が、MCPアセンブリ210のそれぞれの出口面214、214’と並列に、それらと位置合わせされて、それらから距離dに配置される。すべての記載された構成要素は、たとえば、機械加工されたフレームであり得る、ホルダーフレーム130によって適所に保持される。
【0040】
アノード220、220’と組み合わされた各MCPセグメント210、210’は、個別の検出器要素として機能する。シングルアノードの使用と比較して、この構成の2つの主な利点が存在する。第1に、それは、各アノードの同じ検出効率を実現するように各MCPの個別の利得を調整することにより、検出器全体に沿って均一性を最大化することに役立つ。第2に、それは、通常、アノード読出しによって制限されている検出器の全体的なダイナミックレンジおよび計数率を改善する。ここで、全体的なダイナミックレンジおよび計数率は、個々のアノードのそれらと比較して、アノード読出しの数によって乗算される。DLアノード、抵抗アノード、ピクセル化アノード配列、シングルアノードなどを含む異なるアノードタイプは、1つの検出器200の中で組み合わせることができる。各アノードは、その質量範囲内の用途向けに最適化されるように選択される。これにより、1つの検出器デバイス200内の異なるアノード読出し技術の強みを活用することが可能になる。たとえば、マイクロファラデーストリップ配列のような統合配列は、高質量分解能(したがって、(50μm未満の)検出器の高空間分解能)が必要とされるが、高感度は必要とされない質量範囲向けに選択することができる。一方、DLアノードは、空間分解能はあまり必要とされず、高感度が必要とされる質量範囲向けに選択することができる。
【0041】
すべての開示された実施形態では、MCPアセンブリは互いの近くに配置され、主方向に沿ってそれら自体の間に最大で1mmのギャップを有する。各MCPアセンブリの前面/入口面に共通の電位が印加され、MCPの背面/出口面に異なる電位が印加された場合、隣接するMCPアセンブリの出口面を分離するギャップのまわりに大きい場の歪みが生成され、それによって大きい検出デッドゾーンが生み出される。すべてのMCPアセンブリの出口面に共通の電位をバイアスすることにより、問題が解決される。したがって、本明細書に記載されたすべての実施形態では、MCPアセンブリの入口面と出口面との間に電位差をバイアスすることは、検出器の長さLに沿って均一性および検出効率を改善するようにそれらの個別の利得を調整するために、互いに独立して調節することができる。さらに、すべての実施形態では、主方向に沿って並んで配置されたそれぞれのMCPアセンブリの出口面のすべてに、同じ電位Ucommonが印加される。MCPアセンブリのそれぞれの入口面と出口面との間の異なるバイアスを実現するために、第1、第2、…のMCPアセンブリの対応する入口面に印加された電位U1、U2、…は、この場合異なっていてもよい。それぞれのMCPアセンブリに印加された対応する電圧差(Ucommon-U1、Ucommon-U2、…)は、通常、単一MCP構成の場合800Vから1200V、山形タイプの構成の場合1600V-2400V、Z積層MCP構成の場合2400V-3600Vの範囲内で選ばれるが、これらの例に限定されない。所与のタイプのMCP構成の場合、一連のMCPアセンブリに印加される電位差の範囲は、好ましくは0Vから200Vに及んでもよく、各差は、特定の用途向けに各MCPアセンブリの個別の利得を調整するために選ばれる。この配置は、読出しアノードからMCP出口面を分離する空間内のより均一で均質な電場を生成する利点を提供し、それにより、任意の2つの隣接するMCPアセンブリ間に存在するギャップの効果を増幅するのではなく平滑化する。この構成により、任意の2つの隣接するMCPアセンブリの出口面を分離するギャップのまわりの電場の歪みを制限することが可能になる。この歪みを制限することにより、デバイスの主方向に延在する検出フロントに沿った検出デッドゾーンも制限され、それにより、デバイスの検出性能が向上する。また、検出デバイスは、最大10kVの高電圧までフローティング化することができるが、フローティング電位は正または負のいずれかの極性を有してもよい。
【0042】
図5は、本発明の態様による、Mattauch-Herzog型分析計デバイスの構成要素を示す。入って来るイオンビーム10をフィルタリングするための磁気セクタ30が後に続く静電セクタ10を使用するそのような分析計の機能は、当技術分野でよく理解され、この説明との関連でさらに詳細に説明されることはない。磁気セクタ30は、初期ビーム内に含まれるイオンが出る出口平面32を備え、それらそれぞれの質量対電荷比に従って主方向に沿って広がる。分析計の焦点面上に、前述された実施形態のいずれかによる検出デバイス100、200が配置され、その結果、前述されたように、それらの読出しアノード上で完全な質量スペクトル40が取得されてもよい。検出デバイスは、高真空HV/超高真空UHV互換であり、Mattauch-Herzog質量分析計の全焦点面をカバーし、それは、通常、数センチメートルから数十センチメートルである。それは、100μmよりも良い一次元(水平)空間分解能、10
7cpsよりも良い最大全体計数率、10
6よりも良いダイナミックレンジ、1cpsよりも良い高感度、ならびに正と負の両方のイオン検出を提供する。
【0043】
当然、検出デバイスは、本発明の範囲から逸脱することなく、他の用途、および焦点面に沿って入って来るイオンビームを広げる他の分析計で使用されてもよい。検出器の寸法は、焦点面を有する任意の質量分析計に適合するアクティブなエリア(W×L100/L200)を有する1D焦点面検出器を提供するようにカスタマイズされてもよい。アクティブな幅Wは、数ミリメートルから数センチメートル(<15cm)まで及ぶことができる。長さLは、数センチメートルから100cm超(原理的には無制限の長さ)までを選ぶことがきる。検出器の空間分解能は、50μmであり得る。MCPアセンブリの間に1mm未満の物理的なギャップが存在する。この物理的なギャップは、質量分散がギャップと重複する領域において質量スペクトルのデッドゾーンをもたらす。N個のMCPアセンブリを有する検出器デバイスは、取得された質量スペクトル内にN-1個のデッドゾーンを生み出す。検出器の全体的なダイナミックレンジおよび計数率は、MCPアセンブリごとに別個のアノード読出しを使用することによって改善される。N個のMCPアセンブリを有する検出器は、単一のMCPセグメントのそれらよりもN倍高い全体的なダイナミックレンジおよび計数率を近似的に提供する。
【0044】
当業者には本発明の範囲内の様々な変更および修正が明白なので、特定の好ましい実施形態の詳細説明は例としてのみ与えられることが理解されるべきである。保護範囲は以下の一組の特許請求の範囲によって規定される。