(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】高温超高信頼性合金
(51)【国際特許分類】
B23K 35/26 20060101AFI20240729BHJP
B23K 35/22 20060101ALI20240729BHJP
C22C 13/00 20060101ALI20240729BHJP
C22C 13/02 20060101ALI20240729BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B23K35/26 310A
B23K35/22 310A
C22C13/00
C22C13/02
B23K1/00 330D
B23K1/00 330E
(21)【出願番号】P 2022513435
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2020025387
(87)【国際公開番号】W WO2021043437
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】201911035248
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】598085065
【氏名又は名称】アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALPHA ASSEMBLY SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】チョードリー、プリタ
(72)【発明者】
【氏名】リバス、モルガナ
(72)【発明者】
【氏名】クマール、アニル
(72)【発明者】
【氏名】ランガラジュ、ラグー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】サルカール、シウリ
【審査官】川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-179498(JP,A)
【文献】国際公開第2020/176583(WO,A1)
【文献】特開2019-104029(JP,A)
【文献】特開2018-122324(JP,A)
【文献】特開2017-170464(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108994480(CN,A)
【文献】特開2005-254298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/00-35/40
C22C 13/00-13/02
B23K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛フリーはんだ合金であって、
2.5~4重量%の銀と、
2.8~4.2重量%のビスマスと、
1~7重量%のアンチモンと、
0.4~0.7重量%の銅と、
0.01~0.3重量%のニッケルと
、
0.005~0.05重量%のチタン、
0.001~0.02重量%のゲルマニウム、
0.005~0.08重量%のケイ素、
0.003~0.015重量%のマンガンのうちの1つと、
不可避不純物と共に残部のスズと、からなり、
アンチモンの重量%の値は、ビスマスの重量%の値より大きく、
アンチモンの重量%の値とビスマスの重量%の値の合計が、6.5~12である、鉛フリーはんだ合金。
【請求項2】
2.8~4重量%の銀を含む、及び/又は
2.8~4重量%のビスマスを含む、及び/又は
1.0~6.5重量%のアンチモンを含む、及び/又は
0.02~0.2重量%のニッケルを含む
、請求項1に記載のはんだ合金。
【請求項3】
2.5~4重量%の銀と、
2.8~4.2重量%のビスマスと、
3.2~6.2重量%のアンチモンと、
0.4~0.7重量%の銅と、
0.04~0.18重量%のニッケルと、
0.007~0.05重量%のチタン、
0.001~0.02重量%のゲルマニウム、及び
0.005~0.01重量%のマンガンのうちの1つと、
不可避不純物と共に残部のスズと、からなる、請求項1または2に記載のはんだ合金。
【請求項4】
前記合金が、2.8~3.2重量%の銀、2.8~3.2重量%のビスマス、4.5~5.5重量%のアンチモン、0.4~0.7重量%の銅、0.08~0.2重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる、又は、
前記合金が、2.8~3.2重量%の銀、2.8~3.2重量%のビスマス、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.4~0.7重量%の銅、0.08~0.2重量%のニッケル、0.005~0.02重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる、又は、
前記合金が、3.1~3.7重量%の銀、3~3.5重量%のビスマス、3~3.8重量%のアンチモン、0.4~0.7重量%の銅、0.01~0.3重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる、又は、
前記合金が、3.2~3.9重量%の銀、3.5~4.2重量%のビスマス、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.4~0.7重量%の銅、0.05~0.12重量%のニッケル、0.003~0.01重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる、(合金4)、請求項1に記載のはんだ合金。
【請求項5】
バー、スティック、ソリッドワイヤ若しくはフラックスコアードワイヤ、ホイル若しくはストリップ、フィルム、プリフォーム、粉末若しくはペースト(粉末とフラックスとのブレンド)、ボールグリッドアレイ接合部に使用するためのはんだ球体、予め形成されたはんだピース若しくはリフローされた若しくは固化されたはんだ接合部、光起電用途のための銅リボ
ンに予め適用されたもの、又は任意のタイプのプリント回路基板の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載のはんだ合金。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のはんだ合金を含むはんだ付け接合部。
【請求項7】
はんだペーストであって、
請求項1~
4のいずれか一項に記載のはんだ合金と、
はんだフラックスと、を含む、はんだペースト。
【請求項8】
はんだ接合部を形成する方法であって、
(i)接合される2つ以上のワークピースを提供することと、
(ii)請求項1~
4のいずれか一項に記載のはんだ合金又は請求項7に記載のはんだペーストを提供することと、
(iii)接合される前記ワークピース付近の前記はんだ合金又は前記はんだペーストを加熱することと、を含む、方法。
【請求項9】
はんだ付け方法における請求項1~
4のいずれか一項に記載のはんだ合金又は請求項7に記載のはんだペーストの使用であって、前記はんだ付け方法が、ウェーブはんだ付け、表面実装技術(Surface Mount Technology、SMT)はんだ付け、ダイアタッチはんだ付け、熱インターフェースはんだ付け、手はんだ付け、レーザー及びRF誘導はんだ付け、ソーラーモジュールへのはんだ付け、レベル2 LEDパッケージ基板のはんだ付け、はんだ浸漬、並びにリワークはんだ付けから選択される、使用。
【請求項10】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のはんだ合金を製造する方法であって、
前記列挙された元素を提供することと、
前記列挙された元素を溶融することと、を含み、
前記列挙された元素が、個々の元素の形態、及び/又は前記列挙された元素のうちの1つ以上を含有する1つ以上の合金の形態で提供され得る、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、冶金の分野に関し、より具体的には、はんだ合金に関する。はんだ合金は、特に限定されるものではないが、ウェーブはんだ付け、表面実装技術、熱風レベリング及びボールグリッドアレイ、ランドグリッドアレイ、底部終端パッケージ、LED及びチップスケールパッケージなどの電子はんだ付け用途での使用に好適である。
【背景技術】
【0002】
鉛フリーはんだは、当初、環境及び健康上の懸念のため、かつ従来の軟質はんだ合金の代替物として開発された。多くの従来の鉛フリーはんだ合金は、Sn-0.7重量%のCu共晶組成物に基づいている。スズ-銀-銅系も、はんだ付け材料の鉛フリー代替物として、電子産業に受け入れられている。例えば、近共晶96.5Sn3.0Ag0.5Cuは、約217~220℃の範囲の融点を有しながら、共晶Sn-Pbはんだと比較して優れた疲労寿命を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
鉛フリーはんだ付け材料の使用が普及すると、環境指令又はエンドユーザからの圧力のいずれかにより、かかる材料の適用範囲も広がる。例えば、LED照明を含む自動車、高出力電子機器、及びエネルギーなどのいくつかの分野では、はんだ合金が、より高い温度、例えば150℃以上で、比較的長い時間にわたって機能することが望ましい。しかしながら、96.5Sn3.0Ag0.5Cu合金は、かかる温度で十分に機能しない。
【0004】
96.5Sn3.0Ag0.5Cuに対するより良好に機能する代替物を見出すためにいくつかの試みがなされている。米国特許出願公開第10,376,994(B2)号は、Sn、Ag、及びCuに基づくはんだ付け材料に関する。米国特許出願公開第2016/0325384(A1)号は、過酷な環境及び電子用途のための高信頼性鉛フリーはんだ合金に関する。欧州特許出願公開第3321025(A1)号は、鉛フリーはんだ合金、フラックス組成物、はんだペースト組成物、電子回路基板、及び電子制御デバイスに関する。米国特許出願公開第10,195,698(B2)号は、高信頼性鉛フリーはんだ合金に関する。米国特許出願公開第10,300,562(B2)号は、はんだ合金、はんだペースト、及び電子回路基板に関する。国際公開第2019/094242(A1)号は、高信頼性用途のための標準SAC合金に対する低銀スズ系代替はんだ合金に関する。国際公開第2019/094243(A1)号は、極端な環境における電子用途のための高信頼性鉛フリーはんだ合金に関する。しかしながら、これらの代替物はいずれも、高温信頼性と好ましい機械的特性との好ましい組み合わせを提供しない。
【0005】
本発明は、先行技術に関連する問題のうちの少なくともいくつかを解決すること、又は商業的に受け入れられる代替物を提供することを目的とする。
【0006】
したがって、第1の態様では、本発明は、鉛フリーはんだ合金であって、
2.5~5重量%の銀と、
0.01~5重量%のビスマスと、
1~7重量%のアンチモンと、
0.01~2重量%の銅と、
最大6重量%のインジウム、
最大0.5重量%のチタン、
最大0.5重量%のゲルマニウム、
最大0.5重量%の希土類、
最大0.5重量%のコバルト、
最大5.0重量%のアルミニウム、
最大5.0重量%のケイ素、
最大0.5重量%のマンガン、
最大0.5重量%のクロム、
最大0.5重量%の鉄、
最大0.5重量%のリン、
最大0.5重量%の金、
最大1重量%のガリウム、
最大0.5重量%のテルル、
最大0.5重量%のセレン、
最大0.5重量%のカルシウム、
最大0.5重量%のバナジウム、
最大0.5重量%のモリブデン、
最大0.5重量%の白金、及び
最大0.5重量%のマグネシウムのうちの1つ以上と、
任意選択的に、最大0.5重量%のニッケルと、
任意の不可避不純物と共に残部のスズと、を含む、鉛フリーはんだ合金を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
これより、本発明を以下の図面に関して更に記載する:
【
図1】
図1は、本発明によるはんだ合金の顕微鏡写真を示す。
【
図2】
図2は、種々のSb含有量を有する合金についての固相線温度及び液相線温度のプロットを示す。
【
図3】
図3は、種々のSb及びBi含有量を有する合金についての固相線温度及び液相線温度のプロットを示す。
【
図4】
図4は、種々のSb及びCu含有量を有する合金についての硬度値のプロットを示す。
【
図5】
図5は、種々のSb及びBi含有量を有する合金についての硬度値のプロットを示す。
【
図6】
図6は、本発明による多数のはんだ合金の顕微鏡写真を示す。
【
図7】
図7は、本発明による多数のはんだ合金及びSn3Cu0.5Agの極限引張強度(ultimate tensile strengths、UTS)のプロットを示す。
【
図8】
図8は、本発明による多数のはんだ合金及びSn3Cu0.5Agの降伏強度(yield strengths、YS)のプロットを示す。
【
図9】
図9は、本発明による多数のはんだ合金並びにSn3Cu0.5Agの150℃及び200Nでのクリープ強度のプロットを示す。
【
図10】
図10は、本発明による多数のはんだ合金並びにSn3Cu0.5Agの150℃及び200Nでのクリープ伸びのプロットを示す。
【
図11】
図11は、本発明によるはんだ合金を使用して形成されたBGAの顕微鏡写真を示す。
【
図12】
図12は、本発明による多数のはんだ合金についてのBGA228のその場で監視された故障のワイブル分布プロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本発明を更に説明する。以下の節では、本発明の異なる態様が、より詳細に定義される。そのように定義される各態様は、別途明確に示されない限り、任意の他の態様又は複数の態様と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の特徴又は複数の特徴と組み合わされてもよい。
【0009】
本明細書で使用される用語「はんだ合金」は、90~400℃の範囲の融点を有する可融性金属合金を包含する。合金は、鉛フリーであり、これは、鉛が意図的に添加されていないことを意味する。したがって、鉛の含有量は、ゼロであるか、又は偶発的不純物レベル以下である。
【0010】
はんだ合金は、改善された高温信頼性を呈し得、典型的には少なくとも150℃の動作温度に耐えることができ得る。はんだ合金は、従来の96.5SnAg3.0Cu0.5合金と比較して、改善された機械的特性及び高温クリープ抵抗を呈し得る。
【0011】
はんだ合金は、高い融点、具体的には210℃超260℃未満の液相線温度を有し得る。はんだ合金は、好ましくは、212℃超、より好ましくは215℃超、更により好ましくは218℃超、なお更により好ましくは220℃超の液相線温度を有する。より高い液相線温度により、合金をより高い温度のはんだ付けプロセスで使用することが可能になり得る。はんだ合金は、好ましくは、250℃未満、より好ましくは240℃未満、更により好ましくは235℃未満の液相線温度を有する。かかる液相線温度は、ピークリフロー温度が典型的には液相線温度を25~30℃上回るため、有利であり得、約260℃よりも高いリフロー温度は、プリント回路基板及び構成要素の損傷など、はんだ付け中の様々な問題につながる場合がある。
【0012】
はんだ合金は、好ましい機械的特性及び好ましいはんだ付け性を呈し得る。はんだ合金は、幅広い温度範囲及び長い滞留時間を網羅する熱サイクル試験又は熱衝撃試験で評価されたものなど、優れた高温クリープ特性及び優れた熱機械的特性、並びに疲労寿命を呈し得る。はんだ合金は、滞留時間が各温度で30分間である、例えば-40~150℃などの過酷な環境条件下で優れた熱サイクル性能及び/又は熱衝撃性能を呈し得る。
【0013】
合金添加物は、合金の微細構造、ひいては、析出強化、固溶体強化、結晶粒微細化、及び拡散律速などの物理的冶金メカニズムに起因するその特性を改質するために使用される。
【0014】
有利には、硬度、引張強度、及び高温クリープなど、はんだ合金の機械的特性の大きさは、96.5SnAg3.0Cu0.5の少なくとも2倍であり得る。ビスマス、アンチモン、及びインジウムは、例えば、はんだ合金の固相線温度及び又は液相線温度に影響を及ぼす。これらの元素はまた、スズ中で高い固溶度を有し、それ故に、マトリックスの固溶体強化に大きく寄与し得る。固相線温度又は液相線温度の変化は、合金の機械的特性に悪影響を及ぼすようには見えない。
【0015】
拡散依存性クリープ変形は、同相温度、すなわち、絶対スケールでの材料の試験温度の溶融温度に対する比率に依存する。はんだ合金の同相温度は、0.84~0.86の範囲であり得る。したがって、はんだ合金の溶融温度は、機械的特性に有意な影響を及ぼさない。
【0016】
固溶体強化と析出強化との最適な組み合わせにより、強力なマトリックス中に析出粒子の分散ネットワークがもたらされ得る。析出粒子は、例えば、Ag3Sn及び(Cu,Ni)6Sn5を含み得る。析出ネットワークは、クリープ変形中の粒界の移動に抵抗するため、クリープ強度を増強する。
【0017】
はんだ合金は、2.5~5.0重量%の銀を含む。はんだ合金は、好ましくは、2.8~4.5重量%の銀、より好ましくは3~4重量%の銀を含む。特定量の銀の存在は、例えばAg3Snなどのネットワーク状の金属間化合物の形成によって、機械的特性、例えば強度を改善する働きをすることができる。加えて、銀の存在は、湿潤及び拡散を改善し得る。より高いレベルの銀、特に4.5重量%よりも高いレベルの銀は、液相線温度を上昇させる場合があり、はんだマトリックス中に形成されたAg3Snのより大きな析出物が、亀裂の発生及びその後の故障の部位として作用する。銀の含有量が少ないと、強度の改善に役立ち得る十分なAg3Sn析出物が形成されない場合がある。
【0018】
はんだ合金は、0.01~5重量%のビスマスを含む。はんだ合金は、好ましくは、1.0~4.0重量%のビスマス、より好ましくは2.0~4.0重量%のビスマス、更により好ましくは2.5~4重量%のビスマス、なお更により好ましくは2.8~4重量%のビスマス、なお更により好ましくは3~4重量%のビスマスを含む。好ましい実施形態では、次いで、合金は、少なくとも2.8重量%のビスマス、好ましくは少なくとも3重量%のビスマスを含む。特定量のビスマスの存在は、固溶体強化によって機械的特性を改善する働きをすることができる。ビスマスはまた、クリープ抵抗を改善するように作用し得る。ビスマスはまた、湿潤及び拡散を改善することができる。しかしながら、特定量を超えるビスマス添加は、より脆性の合金をもたらす、スズ中でのビスマスの析出をもたらし得る。
【0019】
はんだ合金は、1~7重量%のアンチモンを含む。はんだ合金は、好ましくは、1.0~6.5重量%のアンチモン、より好ましくは2~6重量%のアンチモン、更により好ましくは3~6重量%のアンチモン、なお更により好ましくは3.1~6重量%のアンチモン、なお更により好ましくは3.2~6重量%のアンチモンを含む。好ましい実施形態では、合金は、少なくとも3重量%のアンチモン、好ましくは少なくとも3.1重量%のアンチモン、更により好ましくは少なくとも3.2重量%のアンチモンを含む。特定量のアンチモンの存在は、固溶体強化によって機械的特性を改善する働きをすることができる。アンチモンはまた、クリープ抵抗及び熱疲労抵抗を改善するように作用し得る。アンチモンはまた、合金の液相線温度を上昇させ得る。特定範囲よりも少ないアンチモン添加は、機械的強度及び熱疲労抵抗の必要とされる改善を有しない場合がある。特定範囲よりも多いアンチモン添加は、液相線温度を上昇させ得、それにより、所定のリフロー温度も上昇する。260℃よりも高いリフロー温度は、プリント回路基板及び構成要素を損傷させるなど、はんだ付け中の様々な問題につながる場合がある。
【0020】
はんだ合金は、0.01~2重量%の銅を含む。はんだ合金は、好ましくは、0.3~1.2重量%の銅、好ましくは0.4~0.8重量%の銅を含む。特定量の銅の存在は、Cu-Sn金属間化合物の形成によって、機械的特性、例えば強度を改善する働きをすることができる。特定範囲内の銅添加は、合金を強化するために必要な金属間化合物析出物の最適な量をもたらす。
【0021】
はんだ合金は、任意選択的に、最大0.5重量%のニッケル、例えば0.001~0.5重量%を含む。はんだ合金は、好ましくは、ニッケルを含む。はんだ合金は、好ましくは、0.001~0.4重量%のニッケル、より好ましくは0.01~0.3重量%のニッケル、更により好ましくは0.02~0.2重量%のニッケルを含む。特定量のニッケルの存在は、金属間化合物をスズ及び銅で形成することによって機械的特性を改善する働きをすることができ、これにより、析出強化がもたらされ得る。加えて、ニッケルの存在は、銅の溶解速度を低下させるように作用し得る。ニッケルはまた、基板/はんだ界面でIMC成長を減少させることによって、熱信頼性を増加させることもできる。
【0022】
はんだ合金は、任意選択的に、最大6重量%のインジウム、例えば0.001~6重量%のインジウムを含む。はんだ合金は、好ましくは、インジウムを含む。はんだ合金は、好ましくは、0.001~5.5重量%のインジウム、より好ましくは0.02~4重量%のインジウム、更により好ましくは0.5~3重量%のインジウムを含む。特定量のインジウムの存在は、固溶体強化及び又は析出強化によって機械的特性を改善する働きをすることができる。インジウムの添加は、固相線温度及び液相線温度を低下させることもでき、固相線温度の低下により大きな影響を及ぼす。より高いレベルのインジウムは、合金の長期的な信頼性に悪影響を及ぼす低温相の形成をもたらし得る。
【0023】
はんだ合金は、任意選択的に、最大0.5重量%のチタン、例えば0.01~0.5重量%のチタンを含む。はんだ合金は、好ましくは、チタンを含む。はんだ合金は、好ましくは、0.001~0.3重量%のチタン、より好ましくは0.005~0.2重量%のチタン、更により好ましくは0.007~0.05重量%のチタンを含む。指定された量のチタンの存在は、強度、固体状態界面反応、及び熱機械的信頼性のうちの1つ以上を改善することができる。
【0024】
はんだ合金は、任意選択的に、最大0.5重量%のゲルマニウム、例えば0.01~0.5重量%のゲルマニウムを含む。はんだ合金は、好ましくは、ゲルマニウムを含む。
【0025】
はんだ合金は、好ましくは、0.001~0.3重量%のゲルマニウム、より好ましくは0.001~0.1重量%のゲルマニウム、更により好ましくは0.001~0.02重量%のゲルマニウムを含む。ゲルマニウムの存在は、粒子分散によって機械的特性を改善するように作用し得る。ゲルマニウムはまた、脱酸化に役立つことができ、湿潤性及びはんだ接合強度、並びに外観を改善することもできる。加えて、ニッケル及び/又はチタンと組み合わせたゲルマニウムは、熱機械的疲労特性を改善することができる。
【0026】
はんだ合金は、任意選択的に、最大0.5重量%の希土類、例えば0.001~0.5重量%の希土類を含む。はんだ合金は、好ましくは、希土類を含む。本明細書で使用するとき、用語、希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択される1つ以上の元素を指す。
【0027】
はんだ合金は、好ましくは、0.002~0.3重量%の希土類、より好ましくは0.003~0.05重量%の希土類を含む。好ましい希土類としては、セリウム、ネオジム、及びランタンが挙げられる。希土類の存在は、粒子分散及び/又は微細構造改質によって機械的特性を改善するように作用し得る。希土類は、拡散及び湿潤性を改善するように作用し得る。
【0028】
はんだ合金は、任意選択的に、最大0.5重量%のコバルト、例えば0.001~0.5重量%のコバルトを含む。はんだ合金は、好ましくは、コバルトを含む。はんだ合金は、好ましくは、0.01~0.2重量%のコバルト、好ましくは0.01~0.2重量%のコバルトから、更により好ましくは0.02~0.1重量%のコバルトを含む。特定量のコバルトの存在は、はんだの強度及び/又は高温特性を改善することができる。好ましい実施形態では、合金は、「コバルトフリー」である。これは、コバルトの高コスト及びコバルトの毒性を考慮して、有利であり得る。
【0029】
はんだ合金は、任意選択的に、最大5重量%のアルミニウム、例えば0.001~5重量%のアルミニウムを含む。はんだ合金は、好ましくは、アルミニウムを含む。はんだは、好ましくは、0.001~3重量%、より好ましくは0.005~2重量%のアルミニウム、更により好ましくは0.01~1.5重量%のアルミニウム、なお更により好ましくは0.015~1重量%のアルミニウム、なおより好ましくは0.02~0.08重量%のアルミニウムを含む。列挙された量のアルミニウムの存在は、はんだの疲労寿命を改善することができる。
【0030】
はんだ合金は、任意選択的に、最大5重量%のケイ素、例えば0.001~5重量%のケイ素を含む。はんだ合金は、好ましくは、ケイ素を含む。はんだ合金は、好ましくは、0.001~3重量%のケイ素、より好ましくは0.005~2重量%のケイ素、更により好ましくは0.01~1.5重量%のケイ素、なお更により好ましくは0.015~1重量%のケイ素、なおより好ましくは0.02~0.08重量%のケイ素を含む。列挙された量のケイ素の存在は、はんだの機械的特性、疲労寿命、並びに熱伝導率及び電気伝導率を改善することができる。
【0031】
はんだ合金は、任意選択的に、最大0.5重量%のクロム、好ましくは0.001~0.5重量%のクロム、最大0.5重量%のマンガン、好ましくは0.001~0.5重量%のマンガン、より好ましくは0.003~0.015重量%のマンガン、更により好ましくは0.005~0.01重量%のマンガン、最大0.5重量%の鉄、好ましくは0.01~0.5重量%の鉄、より好ましくは0.01~0.1重量%の鉄、更により好ましくは0.015~0.035重量%の鉄 又は0.85~0.95重量%の鉄、最大0.5重量%のリン、好ましくは0.001~0.5重量%のリン、最大0.5重量%の金、好ましくは0.001~0.5重量%の金、最大1重量%のガリウム、好ましくは0.01~0.9重量%のガリウム、より好ましくは0.2~0.8重量%のガリウム、更により好ましくは0.4~0.6重量%のガリウム、最大0.5重量%のテルル、好ましくは0.001~0.5重量%のテルル、最大0.5重量%のセレン、好ましくは0.001~0.5重量%のセレン、最大0.5重量%のカルシウム、好ましくは0.001~0.5重量%のカルシウム、最大0.5重量%のバナジウム、好ましくは0.001~0.5重量%のバナジウム、最大0.5重量%のモリブデン、好ましくは0.001~0.5重量%のモリブデン、最大0.5重量%の白金、好ましくは0.001~0.5重量%の白金、及び最大0.5重量%のマグネシウム、好ましくは0.001~0.5重量%のマグネシウムのうちの1つ以上を含む。アルミニウム、カルシウム、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、リン、及びバナジウムは、脱酸化剤として作用することができ、湿潤性及びはんだ接合強度を改善することもできる。金、クロム、鉄、マンガン、モリブデン、白金、セレン、及びテルルなどの他の元素添加物は、強度及び界面反応を改善するように作用し得る。ケイ素と組み合わせたアルミニウムは、合金の強度及び信頼性性能を改善するように作用し得る。ケイ素と組み合わせたゲルマニウムはまた、合金の強度及び信頼性性能を改善することができる。
【0032】
はんだ合金は、好ましくは、ニッケル、チタン、ゲルマニウム、インジウム、マンガン、希土類、コバルト、アルミニウム、ケイ素、クロム、鉄、リン、金、ガリウム、テルル、セレン、カルシウム、バナジウム、モリブデン、白金、及びマグネシウムから選択され、好ましくは、ニッケル、チタン、ゲルマニウム、インジウム、マンガン、希土類、コバルト、ケイ素、鉄、及びガリウムから選択される1~3つの元素、好ましくは1つ又は2つの元素、より好ましくは2つの元素を含む。はんだ合金は、好ましくは、ニッケル及びインジウム、又はニッケル及びマンガン、又はニッケル及びゲルマニウム、又はニッケル、インジウム、及びネオジム、又はニッケル及びチタン、又はニッケル及びセリウム、又はインジウム、又はインジウム、チタン、及びゲルマニウム、又はニッケル、又はネオジム、又はゲルマニウム、又はケイ素、又はニッケル及び鉄、又はニッケル及びケイ素、又はニッケル及びコバルト、又はコバルト及びマンガン、又はマンガン、又はマンガン及び鉄、又はコバルト及びゲルマニウム、又はコバルト及びチタン、又はニッケル及びガリウム、又はインジウム及びコバルトを含む。かかる合金は、好ましい機械的特性を呈し得る。
【0033】
はんだ合金は、好ましくは、ニッケル、チタン、ゲルマニウム、インジウム、マンガン、希土類、コバルト、ケイ素、鉄、及びガリウムから選択される、好ましくは、ニッケルと、チタン、ゲルマニウム、インジウム、マンガン、希土類、コバルト、アルミニウム、ケイ素、クロム、鉄、リン、金、ガリウム、テルル、セレン、カルシウム、バナジウム、モリブデン、白金、及びマグネシウムのうちの1つ、好ましくはチタン、ゲルマニウム、マンガン、コバルト、及びインジウムのうちの1つ、より好ましくはチタン、ゲルマニウム、及びマンガンのうちの1つと、を含む。かかる合金は、好ましい機械的特性を呈し得る。
【0034】
アンチモンの重量%は、好ましくは、ビスマスの重量%よりも大きい。かかる合金は、好ましい機械的特性、特に、高い強度を呈し得る。ビスマス含有量も約4重量%を超えないように制御された場合、高い強度と低い脆性が組み合わせられ得る。
【0035】
アンチモンの重量%及びビスマスの重量%の合計は、好ましくは6.5以上、より好ましくは7.5以上である。これにより、合金の強度を高めることができる。アンチモンの重量%及びビスマスの重量%の合計は、好ましくは12以下、より好ましくは11以下である。これにより、典型的には約14℃以下の低い固相線-液相線ギャップをもたらすことができる。これにより、好ましくない高い液相線温度の発生も回避することができる。例えば、アンチモンの重量%及びビスマスの重量%の合計は、好ましくは6.5~12、より好ましくは6.5~11、更により好ましくは7.5~10である。かかる合金は、好ましい機械的特性を呈し得る。特に、かかる合金は、高い強度と典型的には約14℃未満の低い固相線-液相線温度ギャップとの好ましい組み合わせ、及び望ましい液相線温度を呈し得る。アンチモンの重量%及びビスマスの重量%の合計が上記の量になるように制御され、同時にビスマス含有量も4重量%を超えないように制御された場合、特に好ましい機械的特性を得ることができる。その理由は、以下の通りである。室温でSn中、ビスマスが約4重量%の最大溶解度を有する一方で、アンチモンは3重量%の最大溶解度を有する。アンチモンは、少なくとも最大150℃の有意な固溶体強化に寄与する。ビスマスの最大溶解度を超えない場合、アンチモンのより大きな強度増強効果が得られる。約4重量%超のビスマス含有量は、過剰なビスマス析出物のため、強度の更なる増加につながらない場合があり、合金の脆性を増加させることによって機械的挙動にも有害であり得る。
【0036】
特に好ましい実施形態では、合金は、
2.5~4重量%の銀と、
2.8~4.2重量%のビスマス、好ましくは2.8~4重量%のビスマスと、
3.2~6.2重量%のアンチモンと、
0.4~0.8重量%の銅と、
0.04~0.18重量%のニッケルと、
0.007~0.05重量%のチタン、
0.001~0.02重量%のゲルマニウム、及び
0.005~0.01重量%のマンガンのうちの1つと、
任意の不可避不純物と共に残部のスズと、からなり、
アンチモンの重量%がビスマスの重量%よりも大きく、
アンチモンの重量%及びビスマスの重量%の合計が6.5以上である。
【0037】
かかる合金は、幅広い温度範囲及び長い滞留時間を網羅する熱サイクル試験又は熱衝撃試験で評価されたものなど、好ましい機械的特性、好ましいはんだ付け性、優れた高温クリープ特性及び優れた熱機械的特性、並びに疲労寿命の特に好ましい組み合わせを呈し得る。加えて、かかる合金は、「コバルトフリー」である。これは、コバルトの高コスト及びコバルトの毒性を考慮して、有利であり得る。
【0038】
別の特に好ましい実施形態では、はんだ合金は、
3~5重量%の銀と、
0.01~0.2重量%のビスマスと、
4~6重量%のアンチモンと、
0.3~1重量%の銅と、
最大6重量%のインジウム、
最大0.5重量%のチタン、
最大0.5重量%のゲルマニウム、
最大0.5重量%の希土類、
最大0.5重量%のコバルト、
最大5.0重量%のアルミニウム、
最大5.0重量%のケイ素、
最大0.5重量%のマンガン、
最大0.5重量%のクロム、
最大0.5重量%の鉄、
最大0.5重量%のリン、
最大0.5重量%の金、
最大1重量%のガリウム、
最大0.5重量%のテルル、
最大0.5重量%のセレン、
最大0.5重量%のカルシウム、
最大0.5重量%のバナジウム、
最大0.5重量%のモリブデン、
最大0.5重量%の白金、
最大0.5重量%のマンガンのうちの1つ以上と、
任意の不可避不純物と共に残部のスズと、を含む。
【0039】
かかる合金は、幅広い温度範囲及び長い滞留時間を網羅する熱サイクル試験又は熱衝撃試験で評価されたものなど、好ましい機械的特性、好ましいはんだ付け性、優れた高温クリープ特性及び優れた熱機械的特性、並びに疲労寿命の特に好ましい組み合わせを呈し得る。かかる合金は、「ニッケルフリー」、すなわち、不可避不純物レベル以下のニッケルを含有し得る。これは、ニッケルが有毒性であり、消費者と接触する物品での使用にある特定の管轄区域で禁止されているため、有利であり得る。合金は、列挙された元素からなり得る。
【0040】
はんだ合金は、好ましくは、16℃未満、好ましくは14℃以下、より好ましくは12℃以下の固相線-液相線温度ギャップを呈する。固相線-液相線温度ギャップが大きすぎると、はんだの完全な固化の前に形成された半溶融帯(mushy zone)に起因するはんだ付け欠陥につながり得る。
【0041】
はんだ合金は、好ましくは、バー、スティック、ソリッドワイヤ若しくはフラックスコアードワイヤ、ホイル若しくはストリップ、フィルム、プリフォーム、粉末若しくはペースト(粉末とフラックスとのブレンド)、ボールグリッドアレイ接合部に使用するためのはんだ球体、予め形成されたはんだピース若しくはリフローされた若しくは固化されたはんだ接合部、光起電用途のための銅リボンなどの任意のはんだ付け可能な材料に予め適用されたもの、又は任意のタイプのプリント回路基板の形態である。
【0042】
合金は、典型的には、少なくとも70重量%のスズ、より典型的には少なくとも80重量%のスズ、なおより典型的には少なくとも84重量%のスズを含む。
【0043】
本明細書に記載の合金は不可避不純物を含有し得るが、合計で、これらは組成物の1重量%を超える可能性は低いことが理解されるであろう。好ましくは、はんだ合金は、組成物の0.5重量%以下、より好ましくは組成物の0.3重量%以下、更により好ましくは組成物の0.1重量%以下、更により好ましくは組成物の0.05重量%以下、最も好ましくは組成物の0.02重量%以下の量の不可避不純物を含有する。
【0044】
本明細書に記載のはんだ合金は、列挙された元素からなり得る。あるいは、本明細書に記載のはんだ合金は、列挙された元素から本質的になり得る。したがって、必須であるこれらの元素(すなわち、スズ、ビスマス、アンチモン、及び銅)に加えて、他の指定されていない元素が、組成物の本質的な特性が組成物の存在によって実質的に影響されない限り、組成物中に存在してもよいことが理解されるであろう。
【0045】
本発明の合金は、対応する純粋な元素を混合することによって、又は任意の形状因子で予備作製した合金を混合することによって、及びそれらの最終組成物が本明細書に記載の明細書によって網羅される場合、任意の製造方法を使用することによって製造され得る。
【0046】
好ましい実施形態では、合金は、2.8~3.2重量%の銀、2.8~3.2重量%のビスマス、4.5~5.5重量%のアンチモン、0.3~0.8重量%の銅、0.08~0.2重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる。かかる合金は、幅広い温度範囲及び長い滞留時間を網羅する熱サイクル試験又は熱衝撃試験で評価されたものなど、好ましい機械的特性、好ましいはんだ付け性、優れた高温クリープ特性及び優れた熱機械的特性、並びに疲労寿命の特に好ましい組み合わせを呈し得る。
【0047】
好ましい実施形態では、はんだ合金は、2.8~3.2重量%の銀、2.8~3.2重量%のビスマス、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.3~0.8重量%の銅、0.08~0.2重量%のニッケル、0.005~0.02重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる。かかる合金は、幅広い温度範囲及び長い滞留時間を網羅する熱サイクル試験又は熱衝撃試験で評価されたものなど、好ましい機械的特性、好ましいはんだ付け性、優れた高温クリープ特性及び優れた熱機械的特性、並びに疲労寿命の特に好ましい組み合わせを呈し得る。
【0048】
好ましい実施形態では、合金は、3.1~3.7重量%の銀、3~3.5重量%のビスマス、3~3.8重量%のアンチモン、0.4~0.9重量%の銅、0.01~0.9重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる。
【0049】
好ましい実施形態では、合金は、3.2~3.9重量%の銀、3.5~4.5重量%のビスマス、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.3~0.9重量%の銅、0.05~0.12重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる。かかる合金は、幅広い温度範囲及び長い滞留時間を網羅する熱サイクル試験又は熱衝撃試験で評価されたものなど、好ましい機械的特性、好ましいはんだ付け性、優れた高温クリープ特性及び優れた熱機械的特性、並びに疲労寿命の特に好ましい組み合わせを呈し得る。
【0050】
好ましい実施形態では、合金は、3.5~4.2重量%の銀、0.01~0.1重量%のビスマス、5~6重量%のアンチモン、0.4~0.9重量%の銅、0.001~0.01重量%のゲルマニウム、0.2~0.8重量%のインジウム、0.02~0.08重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる。かかる合金は、幅広い温度範囲及び長い滞留時間を網羅する熱サイクル試験又は熱衝撃試験で評価されたものなど、好ましい機械的特性、好ましいはんだ付け性、優れた高温クリープ特性及び優れた熱機械的特性、並びに疲労寿命の特に好ましい組み合わせを呈し得る。
【0051】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、1~3重量%のアンチモン、2~4重量%のビスマス、0.3~1重量%の銅、0.1~0.25重量%のニッケル、0.5~3.5重量%のインジウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、202.8~217.9℃の溶融温度範囲を有し、これは、従来の96.5Sn3.0Ag0.5Cu合金の近共晶温度よりも低い。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの硬度の大きさの約2倍である硬度及び引張強度を有する。クリープ破断時間は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2.5倍である。この実施形態の一具体例では、合金は、約3重量%の銀、約3.1重量%のビスマス、約2.1重量%のアンチモン、約0.8重量%の銅、約0.25重量%のニッケル、約3.3重量%のインジウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0052】
好ましい実施形態では、合金は、3~4.5重量%の銀、1~3重量%のアンチモン、2.5~4重量%のビスマス、0.5~1.5重量%の銅、0.1~0.25重量%のニッケル、0.5~1.5重量%のインジウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、209.7~223.5℃の溶融温度範囲、及び96.5SnAg3.0Cu0.5の硬度の大きさの約2倍である硬度を有する。この合金のクリープ破断時間は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2.5倍である。この実施形態の一具体例では、合金は、約3重量%の銀、3.1重量%のビスマス、2.1重量%のアンチモン、0.75重量%の銅、0.2重量%のニッケル、1.2重量%のインジウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0053】
好ましい実施形態では、合金は、3~4.5重量%の銀、2~4重量%のビスマス、3.5~6.5重量%のアンチモン、0.5~1.5重量%の銅、0.05~0.2重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、203.3~236.1℃の溶融温度範囲、並びに96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍を超える引張強度及びクリープ破断時間を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.6重量%の銀、3.9重量%のビスマス、4重量%のアンチモン、0.7重量%の銅、0.1重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0054】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4.5重量%のビスマス、5~6.5重量%のアンチモン、0.5~1重量%の銅、0.05~0.2重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この好ましい実施形態では、合金は、好ましくは、3.2~4重量%の銀、3.5~4.5重量%のビスマス、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.3~0.09重量%の銅、0.05~0.12重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズからなる。かかる合金は、197.4~231.6℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、4.2重量%のビスマス、6.1重量%のアンチモン、0.7重量%の銅、0.1重量%のニッケル、0.005重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0055】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、3.5~4.5重量%のアンチモン、0.3~0.8重量%の銅、0.02~0.3重量%のニッケル、0.001~0.002重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、211.4~225.5℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍を超える引張強度及びクリープ破断時間を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、3.2重量%の銀、3.4重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.15重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0056】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、2.5~3.5重量%のビスマス、4~5.5重量%のアンチモン、0.3~0.8重量%の銅、0.1~0.2重量%のニッケル、0.001~0.002重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、215.2~228.3℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍を超える引張強度を有する。かかる合金のクリープ破断時間は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの4倍である。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.2重量%の銀、3重量%のビスマス、0.5重量%の銅、4.9重量%のアンチモン、0.15重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0057】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.3~0.8重量%の銅、3~4重量%のインジウム、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.03~0.1重量%のニッケル、0~0.005重量%のいくらかの希土類元素(好ましくは、ネオジム)、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、186.9~232.9℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの3倍を超える引張強度、及び4倍のクリープ強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、3.5重量%の銀、3.7重量%のビスマス、0.55重量%の銅、3.4重量%のインジウム、6.1重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、0.002重量%のネオジム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0058】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、2.5~4重量%のビスマス、0.3~0.8重量%の銅、5~6.5重量%のアンチモン、0.1~0.2重量%のニッケル、0.001~0.01重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、202.5~234.5℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金の引張強度は2倍を超え、クリープ破断時間は96.5Sn3.0Ag0.5Cuの6倍を超える。この実施形態の一具体例では、合金は、3.2の銀、3のビスマス、0.5重量%の銅、5.9のアンチモン、0.15重量%のニッケル、0.006重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0059】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~1重量%の銅、1~2重量%のインジウム、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.18~0.25重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、214.3~228.4℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍の引張強度及び4倍のクリープ破断時間を有する。かかる実施形態の一具体例では、合金は、約3.1重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、1.15重量%のインジウム、6.1重量%のアンチモン、0.25重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0060】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~1重量%の銅、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.2~0.3重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、214~230.4℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍の引張強度及び3倍以上のクリープ強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、3.5重量%のビスマス、0.7重量%の銅、6.2重量%のアンチモン、0.3重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0061】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.4~0.7重量%の銅、2.5~3.5重量%のインジウム、5.5~6.5重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、195.3~229.3℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの3倍を超える引張強度及び4倍を超えるクリープ破断時間を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、3.7重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.4重量%のインジウム、6.1重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0062】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.4~0.6重量%の銅、2.5~3.5重量%のインジウム、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.001~0.01重量%のチタン、0.0008~0.002重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、186.5~232.5℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの3倍の引張強度及び3倍のクリープ破断時間を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、3.8重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.4重量%のインジウム、6.1重量%のアンチモン、0.006重量%のチタン、0.001重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0063】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.8重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、0.05~0.1重量%のニッケル、0.001~0.002重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部を含む。かかる合金は、198.9~230.9℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍を超える引張強度及び3倍のクリープ破断強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.6重量%の銀、3.9重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.09重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0064】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.8重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、0.03~0.08重量%のニッケル、0.01~0.03重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、198.9~227.6℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍の引張強度及び3倍を超えるクリープ破断時間を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.5重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、0.02重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0065】
好ましい実施形態では、合金は、2.5~3.5重量%の銀、2.5~3.5重量%のビスマス、0.3~0.6重量%の銅、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.01~0.04重量%のニッケル、0.01~0.03重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、202.6~229.2℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの3倍を超える引張強度及び6倍を超えるクリープ破断強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、6.1重量%のアンチモン、0.03重量%のニッケル、0.02重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0066】
好ましい実施形態では、合金は、2.5~3.5重量%の銀、2.5~3.5重量%のビスマス、0.3~0.6重量%の銅、5.5~6.5重量%のアンチモン、0.001~0.015重量%のニッケル、0.015~0.035重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、203.3~229.7℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの3倍を超える引張強度及び6倍を超えるクリープ破断強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、6.1重量%のアンチモン、0.01重量%のニッケル、0.03重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0067】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.4~0.8重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、0.03~0.05重量%のチタン、0.005~0.01重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、203.8~226.5℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍を超える引張強度及び4倍のクリープ破断強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.4重量%の銀、3.5重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.4%のアンチモン、0.002のチタン、0.007のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0068】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.8重量%の銅、4.5~5.5重量%のアンチモン、0.09~0.15重量%のニッケル、0.02~0.05重量%のチタン、0.0008~0.0014重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この実施形態の一具体例では、合金は、約3重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、5.1重量%のアンチモン、0.14重量%のニッケル、0.04重量%のチタン、0.001重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0069】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.8重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、0.001~0.012重量%のネオジム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、210.8~224.5℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuのほぼ4倍のクリープ強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.8重量%のアンチモン、0.005重量%のネオジム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0070】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、3~4重量%のアンチモン、0.4~0.7重量%の銅、0.02~0.07重量%のニッケル、0.001~0.005重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、202.9~224.6℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2.5倍のクリープ強度を有する。この実施形態の1つのかかる具体例では、合金は、約、3.5重量%の銀、4.16重量%のビスマス、3.9重量%のアンチモン、0.5重量%の銅、0.06重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0071】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、4~6重量%のアンチモン、0.4~0.7重量%の銅、2.5~3.5重量%のインジウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、195.8~228.6℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの2倍のクリープ強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.8重量%の銀、4.2重量%のビスマス、4.7重量%のアンチモン、0.5重量%の銅、3.2重量%のインジウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0072】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、1~2重量%のビスマス、1~2重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、0.008~0.02重量%のアルミニウム、0.005~0.01重量%のケイ素、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、217.52~227.05℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.8重量%の銀、1.6重量%のビスマス、1.3重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.015重量%のアルミニウム、0.007重量%のケイ素、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0073】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、3~4重量%のアンチモン、0.5~0.8重量%の銅、0.03~0.06重量%のニッケル、0.001~0.008重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、212.8~224.5℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.4重量%の銀、3.3重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.4重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、及び0.001重量%のゲルマニウムを含む。
【0074】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3.5~5重量%のビスマス、0.5~0.8重量%の銅、1~3重量%のアンチモン、0.1~0.2重量%のニッケル、0.01~0.02重量%の鉄、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、209.9~221.2℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの3倍のクリープ強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.4重量%の銀、4.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、2.1重量%のアンチモン、0.2重量%のニッケル、0.02重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0075】
好ましい実施形態では、合金は、3.5~4重量%の銀、0.02~1重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、0.1~1重量%のインジウム、4.5~6重量%のアンチモン、0.03~0.1重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、222.6~232.3℃の溶融温度範囲を有する。かかる合金は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの7倍を超えるクリープ破断強度を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.8重量%の銀、0.06重量%のビスマス、0.6重量%の銅、0.6重量%のインジウム、5.3重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0076】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、2.8~3.8重量%のビスマス、0.5~0.8重量%の銅、3.5~4.5重量%のアンチモン、0.02~0.1重量%のニッケル、0.01~0.025重量%のケイ素、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、214.4~225.6℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、4.1重量%のアンチモン、0.03重量%のニッケル、0.006重量%のケイ素、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0077】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、2.5~3.5重量%のビスマス、0.5~0.8重量%の銅、0.02~0.1重量%のニッケル、0.01~0.03重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、214.4~226.7℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.6重量%の銀、3重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.03重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0078】
好ましい実施形態では、合金は、2.5~3.5重量%の銀、2.5~3.5重量%のビスマス、0.4~0.6重量%の銅、5~6重量%のインジウム、1~2重量%のアンチモン、0.02~0.08重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、195.1~211.8℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、6重量%のインジウム、1.6重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0079】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、0.02~0.1重量%のニッケル、0.02~0.08重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、209.6~224.9℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.4重量%の銀、3.6重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.6重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.06重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0080】
好ましい実施形態では、合金は、2.5~3.5重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、0.03~0.1重量%のコバルト、0.001~0.005重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、210~225.3℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3重量%の銀、3.6重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.05重量%のコバルト、0.002重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0081】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3.5~4.5重量%のアンチモン、0.002~0.01重量%のマンガンを含む。かかる合金は、213.9~224.6℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.006重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0082】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3.5~4.5重量%のアンチモン、0.001~0.005重量%のマンガン、0.01~0.1重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、214.7~224.6℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.003重量%のマンガン、0.09重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0083】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3.5~4.5重量%のアンチモン、0.01~0.1重量%のニッケル、0.01~0.1重量%のコバルト、0.005~0.015重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、215~225.7℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.05重量%のコバルト、0.01重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0084】
好ましい実施形態では、合金は、2.5~3.5重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、4.5~5.5重量%のアンチモン、0.02~0.07重量%のコバルト、0.01~0.05重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、213.8~228.5℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、5重量%のアンチモン、0.06重量%のコバルト、0.04重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0085】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、0.02~0.1重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、4.5~5.5重量%のアンチモン、0.1~1重量%のガリウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、221.9~229.3℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約、3.7重量%の銀、0.08重量%のビスマス、0.6重量%の銅、5.2重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.5重量%のガリウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0086】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、0.01~0.1重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、0.4~0.7重量%のインジウム、4.5~5.5重量%のアンチモン、0.02~0.08重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、221.6~229.7℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.7重量%の銀、0.07重量%のビスマス、0.6重量%の銅、0.6重量%のインジウム、5.2重量%のアンチモン、0.06重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0087】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、0.5~2重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3.5~4.5重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、219.1~227.5℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.7重量%の銀、1.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、4重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0088】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、2.5~3.5重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、216.2~226.9℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.7重量%の銀、2.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0089】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3~4重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、212.5~224.8℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.8重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.6重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0090】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、3.5~4.5重量%のビスマス、0.5~0.7重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、210.7~223.9℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.5重量%の銀、4重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.6重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0091】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、4.5~5.5重量%のビスマス、0.4~0.6重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、209.5~222.7℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.1重量%の銀、5.1重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.7重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0092】
好ましい実施形態では、合金は、3~4重量%の銀、5.5~6.5重量%のビスマス、0.4~0.7重量%の銅、3~4重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。かかる合金は、206.2~220.8℃の溶融温度範囲を有する。この実施形態の一具体例では、合金は、約3.2重量%の銀、6重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.2重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0093】
更なる態様では、本発明は、鉛フリーはんだ合金であって、
(a)2.5~5重量%の銀
(b)0.01~5重量%のビスマス
(c)1.0~7.0重量%のアンチモン
(d)0.01~2.0重量%の銅
(e)以下の元素のうちの少なくとも1つ
最大0.5重量%のニッケル
最大0.5重量%のチタン
最大0.5重量%のゲルマニウム
最大5.0重量%のインジウム
最大0.5重量%のマンガン
ネオジム、セリウム、ランタンなどの最大0.5重量%の希土類。
【0094】
最大5.0重量%のアルミニウム
最大5.0重量%のケイ素
(f)任意選択的に、以下の元素のうちの1つ以上
0~0.5重量%のクロム
0~0.5重量%の鉄
0~0.5重量%のリン
0~0.5重量%の金
0~0.5重量%のガリウム
0~0.5重量%のテルル
0~0.5重量%のセレン
0~0.5重量%のカルシウム
0~0.5重量%のバナジウム
0~0.5重量%のモリブデン
0~0.5重量%の白金
0~0.5重量%のマグネシウム
(g)任意の不可避不純物と共に、残部のスズ、を含む、はんだ合金、を提供する。
【0095】
第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0096】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ合金を含むはんだ付け接合部を提供する。
【0097】
更なる態様では、本発明は、
本明細書に記載のはんだ合金と、
はんだフラックスと、を含む、はんだペーストを提供する。
【0098】
更なる態様では、本発明は、はんだ接合部を形成する方法を提供し、この方法は、
(i)接合される2つ以上のワークピースを提供することと、
(ii)本明細書に記載のはんだ合金又は本明細書に記載のはんだペーストを提供することと、
(iii)接合されるワークピース付近のはんだ合金又ははんだペーストを加熱することと、を含む。
【0099】
ワークピースは、基板及びダイなどのプリント回路基板の構成要素であってもよい。
【0100】
更なる態様では、本発明は、はんだ付け方法において、本明細書に記載のはんだ合金又は本明細書に記載のはんだペーストの使用を提供する。
【0101】
はんだ付け方法は、好ましくは、ウェーブはんだ付け、表面実装技術(Surface Mount Technology、SMT)はんだ付け、ダイアタッチはんだ付け、熱インターフェースはんだ付け、手はんだ付け、レーザー及びRF誘導はんだ付け、ソーラーモジュールへのはんだ付け、レベル2LEDパッケージ基板のはんだ付け、はんだ浸漬、並びにリワークはんだ付けから選択される。
【0102】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ合金を製造する方法であって、
列挙された元素を提供することと、
列挙された元素を溶融することと、を含み、
列挙された元素が、個々の元素の形態、及び/又は列挙された元素のうちの1つ以上を含有する1つ以上の合金の形態で提供され得る、方法、を提供する。
【0103】
これより、本発明を以下の非限定的な実施例に関して更に説明する。
【0104】
実施例1-合金1
合金1は、3重量%の銀、3.1重量%のビスマス、2.1重量%のアンチモン、0.8重量%の銅、3.3重量%のインジウム、0.2重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金1は、202.8~217.9℃の溶融温度範囲、及び28.6Hvのビッカース硬度を有する。
【0105】
実施例1a-合金1a(参考例)
合金1aは、3.8重量%の銀、3重量%のビスマス、1.4重量%のアンチモン、0.7重量%の銅、0.15重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含有する。
【0106】
実施例1b-合金1b(参考例)
合金1bは、3.3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、3重量%のアンチモン、0.7重量%の銅、0.04重量%のニッケル、0.01重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズを含有する。
【0107】
実施例2-合金2
合金2は、3重量%の銀、3.1重量%のビスマス、2.1重量%のアンチモン、0.7重量%の銅、0.2重量%のニッケル、1.2重量%のインジウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金2は、209.7~223.5℃の溶融温度範囲、及び27.2Hvのビッカース硬度を有する。
【0108】
実施例3-合金3
合金3は、3.6重量%の銀、3.9重量%のビスマス、0.7重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.09重量%のニッケル、0.001重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金3は、203.3~236.1℃の溶融温度範囲を有する。
【0109】
実施例4-合金4
合金4は、3.5重量%の銀、4.1重量%のビスマス、6.1重量%のアンチモン、0.7重量%の銅、0.1重量%のニッケル、0.004重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金4は、197.4~231.6℃の溶融温度範囲を有する。
図6に示されるこの合金の鋳放し微細構造の断面は、スズマトリックス中のAg
3Snの分散を明らかにしている。(Cu,Ni)
6Sn
5のより大きな析出物、及びいくつかの微細な析出物スズ-ビスマス金属間化合物も観察される。かかる微細構造は、固溶体強化及び析出強化の例であり、これは、合金強化及びその改善された機械的特性に寄与する。
【0110】
実施例7-合金7
合金7は、3.2重量%の銀、3.4重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.16重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、211.4~225.5℃である。
【0111】
実施例8-合金8
合金8は、3.2重量%の銀、3重量%のビスマス、0.5重量%の銅、4.9重量%のアンチモン、0.16重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、215.2~228.3℃である。
図6に示されるこの合金のバルク微細構造は、Bi-Sn(白色)及び(Cu,Ni)
6Sn
5析出物(暗色粒子)と一緒にAg
3Snの共晶ネットワークからなる。(Cu,Ni)
6Sn
5析出物のいくらかは、花弁状構造を形成する傾向がある。析出物のかかる形態は、
図7、
図8、及び
図9に示されるように、合金が改善された機械的特性を有することを示唆している。
【0112】
実施例9-合金9
合金9は、3.5重量%の銀、3.7重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.4重量%のインジウム、6.1重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、0.002重量%のネオジム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、186.9~232.9℃である。
【0113】
実施例10-合金10
合金10は、3.2重量%の銀、3重量%のビスマス、0.5重量%の銅、5.9重量%のアンチモン、0.16重量%のニッケル、0.006重量%のチタン、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金のバルク微細構造は、Ag3Sn、Bi-Sn、及びCu6Sn5析出物の十分に分散した共晶ネットワークからなる。この合金は、202.5~234.5℃の溶融温度範囲を有する。
【0114】
実施例11-合金11
合金11は、3.1重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、1.1重量%のインジウム、6.1重量%のアンチモン、0.25重量%のニッケル、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金11は、214.3~228.4℃の溶融温度範囲を有する。この合金の硬度は、32.4Hvである。
【0115】
実施例12-合金12
合金12は、3.5重量%の銀、3.5重量%のビスマス、0.7重量%の銅、6.2重量%のアンチモン、0.3重量%のニッケル、0.001重量%のセリウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、213.9~230.4℃である。この合金の硬度は、28Hvである。
【0116】
実施例13-合金13
合金13は、3.5重量%の銀、3.7重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.4重量%のインジウム、6.1重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、195.3~229.3℃の溶融温度範囲を有する。
【0117】
実施例14-合金14
合金14は、3.5重量%の銀、3.8重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.4重量%のインジウム、6.18重量%のアンチモン、0.006重量%のチタン、0.001重量%のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、186.5~232.5℃である。
【0118】
実施例15-合金15
合金15は、3.6重量%の銀、3.9重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.09重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金は、198.9~230.9℃の溶融温度範囲を有する。
【0119】
実施例16-合金16(参考例)
合金16は、3.5重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.2重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0120】
実施例17-合金17
合金17は、3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.5重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、0.02重量%のチタン、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金17は、198.9~227.6℃の溶融温度範囲を有する。この合金のバルク微細構造を
図6に示す。十分に分散した(Cu,Ni)
6Sn
5及びビスマス-スズ析出物を有するAg
3Snの微細ネットワークがはっきりと見える。
【0121】
実施例18-合金18
合金18は、3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、6.1重量%のアンチモン、0.03重量%のニッケル、0.02重量%のチタン、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0122】
実施例19-合金19
合金19は、3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、6.1重量%のアンチモン、0.01重量%のニッケル、0.03重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金19の溶融温度範囲は、203.3~229.7℃である。
【0123】
実施例20-合金20
合金20は、3.4重量%の銀、3.4重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.4重量%のアンチモン、0.002重量%のチタン、0.007重量%のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金20は、203.8~226.5℃の溶融温度範囲を有する。
【0124】
実施例21-合金21
合金21は、3重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、5.1重量%のアンチモン、0.14重量%のニッケル、0.04重量%のチタン、0.001重量%のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0125】
実施例22-合金22
合金22は、3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.8重量%のアンチモン、0.005重量%のネオジム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金22は、210.8~224.5℃の溶融温度範囲を有する。
【0126】
実施例23-合金23
合金23は、3.5重量%の銀、4.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、0.001重量%のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0127】
実施例24-合金24
合金24は、3.8重量%の銀、4.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.2重量%のインジウム、4.7重量%のアンチモン、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金24は、195.8~228.6℃の溶融温度範囲を有する。
【0128】
実施例25-合金25
合金25は、3.8重量%の銀、4.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.3重量%のインジウム、4.6重量%のアンチモン、0.001のゲルマニウム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金25の溶融温度範囲は、194.5~220.3℃である。
【0129】
実施例26-合金26
合金26は、3.8重量%の銀、1.6重量%のビスマス、1.3重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.015重量%のアルミニウム、0.007重量%のケイ素、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金26の溶融温度範囲は、217.5~227.1℃である。
【0130】
実施例27-合金27
合金27は、3.4重量%の銀、3.3重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.4重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.001重量%のネオジム、及び任意の不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、212.8~224.5℃である。
【0131】
実施例28-合金29
合金29は、3.4重量%の銀、4.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、2.1重量%のアンチモン、0.2重量%のニッケル、0.02重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
【0132】
実施例29-合金31
合金31は、3.8重量%の銀、0.06重量%のビスマス、0.6重量%の銅、0.6重量%のインジウム、5.3重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、222.6~232.3℃の溶融温度範囲を有する。合金31のクリープ強度は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuの7倍である。
【0133】
実施例30-合金32
合金32は、3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、4.1重量%のアンチモン、0.03重量%のニッケル、0.006重量%のケイ素、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、214.4~225.6℃の溶融温度範囲を有する。
【0134】
実施例31-合金33
合金33は、3.6重量%の銀、3重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.03重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、214.4~226.7℃の溶融温度範囲を有する。
【0135】
実施例32-合金34
合金34は、3重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.5重量%の銅、6.3重量%のインジウム、1.6重量%のアンチモン、0.06重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、195.1~211.8℃の溶融温度範囲を有する。
【0136】
実施例33-合金36(参考例)
合金36は、3.8重量%の銀、4重量%のビスマス、0.7重量%の銅、2重量%のアンチモン、0.03重量%のニッケル、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金36は、208.9~221.9℃の溶融温度範囲を有する。
【0137】
実施例34-合金37
合金37は、3.4重量%の銀、3.6重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.6重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.06重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、209.6~224.9℃である。
【0138】
実施例35-合金38
合金38は、3重量%の銀、3.6重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、0.05重量%のコバルト、0.002重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、210~225.3℃の溶融温度範囲を有する。
【0139】
実施例36-合金39
合金39は、3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.006重量%のマンガン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金39は、213.9~224.6℃の溶融温度範囲を有する。
【0140】
実施例37-合金40
合金40は、3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.003重量%のマンガン、0.09重量%の鉄、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、214.7~224.6℃の溶融温度範囲を有する。
【0141】
実施例38-合金41
合金41は、3.5重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.7重量%の銅、4重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.05重量%のコバルト、0.01重量%のゲルマニウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金41の溶融温度範囲は、215.0~225.7℃である。
【0142】
実施例39-合金42
合金42は、3重量%の銀、3.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、5重量%のアンチモン、0.06重量%のコバルト、0.04重量%のチタン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、213.8~228.5℃の溶融温度範囲を有する。
【0143】
実施例40-合金43
合金43は、3.7重量%の銀、0.08重量%のビスマス、0.6重量%の銅、5.2重量%のアンチモン、0.05重量%のニッケル、0.5重量%のガリウム、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。合金43は、221.9~229.3℃の溶融温度範囲を有する。
【0144】
実施例41-合金45
合金45は、3.7重量%の銀、0.07重量%のビスマス、0.6重量%の銅、0.6重量%のインジウム、5.2重量%のアンチモン、0.06重量%のコバルト、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、221.6~229.7℃である。
【0145】
実施例42-合金56(参考例)
合金56は、3.7重量%の銀、1.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、4重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、219.1~227.5℃の溶融温度範囲を有する。この合金は、27.7Hvの硬度を有する。
【0146】
実施例43-合金57(参考例)
合金57は、3.7重量%の銀、2.1重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.9重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は、216.2~226.9℃である。合金は、28.6Hvの硬度を有する。
【0147】
実施例44-合金58(参考例)
合金58は、3.8重量%の銀、3.2重量%のビスマス、0.7重量%の銅、3.6重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、212.5~224.8℃の溶融温度範囲を有する。合金の硬度は、30.8Hvである。
【0148】
実施例45-合金59(参考例)
合金59は、3.5重量%の銀、4重量%のビスマス、0.6重量%の銅、3.6重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。
合金は、210.7~223.9℃の溶融温度範囲及び30.8Hvの硬度を有する。
【0149】
実施例46-合金60(参考例)
合金60は、3.1重量%の銀、5.1重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.7重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金の溶融温度範囲は209.5~222.7℃であり、この合金は32.2Hvの硬度を有する。
【0150】
実施例47-合金61(参考例)
合金61は、3.2重量%の銀、6重量%のビスマス、0.5重量%の銅、3.2重量%のアンチモン、及び不可避不純物と共に残部のスズを含む。この合金は、206.2~220.8℃の溶融温度範囲を有し、32.2Hvの硬度を有する。
【0151】
全ての合金の溶融温度範囲のまとめが表1に一覧化されている。
【0152】
【0153】
本発明によるはんだ合金の顕微鏡写真(Sn-5.3Sb-3.8Ag-0.06Bi-0.6Cu-0.6In-0.06Ni)を
図1に示す。分かるように、はんだ合金は、広範なAg
3Snネットワークを示す微細構造を呈する。上で考察されたように、析出粒子のかかる分散ネットワークは、クリープ変形中の粒界の移動に抵抗するため、クリープ強度を高めることができる。
【0154】
上で考察されたように、260℃よりも高いリフロー温度は、プリント回路基板及び構成要素を損傷させるなど、はんだ付け中の様々な問題につながる場合がある。
図2及び
図3は、過剰なアンチモン又はビスマスを添加したときのSn-Ag-Cu合金の溶融挙動へのマイナスの影響を示す。
図2に示されるように、アンチモン含有量を1~8重量%増加させると、液相線温度が大幅に上昇する一方で、固相線温度は徐々に上がることを示している。この例では、アンチモンが7重量%以下である場合、ピークリフロー温度が液相線温度を25~30℃上回ることを考慮して、要求されるリフロー温度は260℃以下であろう。
図2の対象である合金は、3.2~3.8重量%のAg、1~8重量%のSb、0.5~0.9重量%のCu、残部のSnを含有する。
図3では、ビスマス含有量を増加させながら、アンチモンは3~4重量%を保持される。
図3の対象である合金は、3.2~3.8重量%のAg、3~4重量%のSb、1~6重量%のBi、0.5~0.7重量%のCu、残部のSnを含有する。この例では、ビスマスが5重量%以下である場合、その固相線温度は210℃超に留まり、固相線-液相線温度ギャップは10℃よりも低い。固相線温度が低いとはんだの動作温度が制限される場合があり、固相線-液相線温度ギャップが大きすぎると、はんだの完全な固化の前に形成された半溶融帯に起因したはんだ欠陥につながり得るため、これも重要である。
図2及び
図3から分かるように、アンチモンを増加させることは、固相線温度よりも液相線温度の上昇により大きな影響を及ぼす(
図2)。アンチモンを減少させ、ビスマスを増加させると、合金の固相線温度及び液相線温度の両方が低下する(
図3)。
【0155】
様々な合金添加物によって引き起こされた固溶体強化及び析出硬化は、硬度の増加につながる。例えば、アンチモンが固溶体強化に有意に寄与するのに対して、スズ中での非常に限定された溶解度を有する銅は、合金の硬度も増加させるCu-Sn金属間化合物を形成する。この影響を
図4に示す。ビスマスはまた、スズの既知の固溶体強化元素である。合金の硬度に対するビスマスの増加及びアンチモンのわずかな減少の影響を
図5に示す。硬度の増加は、多くの場合、脆性が増加するリスクに起因して、はんだ合金の負の及び望ましくない特性として認識されているが、硬度は、バランスの取れた合金設計によって望ましい特性に変えることができる。このようにして、硬度は、本明細書に記載の合金の改善された高い熱機械的特性に寄与し得る。
【0156】
図6は、左から右に、合金4、8、及び17の鋳放し微細構造を示す。(Cu,Ni)
6Sn
5の析出物は、Ag
3Sn及びSn結晶粒(Bi及びSbを含有する)のマトリックス中に均一に分散している。白色析出物は、スズ中のビスマスの固溶限界を超えたときに形成されるBi-Sn金属間粒子のものである。
【0157】
図7及び
図8は、多数の例示的な合金の室温引張特性を96.5Sn3.0Ag0.5Cuの室温引張特性と比較している。66%~144%の96.5Sn3.0Ag0.5Cuと比較して、引張強度の顕著な増加がある。
【0158】
クリープ試験からの結果は、比較的長期間にわたるクリープ及びクリープ変形(弾性及び塑性)への抵抗に関する重要な洞察を提供する。高温クリープの場合には、微細構造強化の現象は、微細構造のアニーリングによって引き起こされた応力緩和と交互に起こる。合金の高温クリープ特性は、グラフで提示され、
図9及び
図10における96.5Sn3.0Ag0.5Cuの高温クリープ特性と比較されている。本発明の合金は、クリープ破断時間及び総クリープ塑性ひずみによって与えられた有意に高いクリープ強度を有する。クリープ破断時間が高いほど、クリープへの抵抗が高いことを示す。例えば、150℃で、合金8のクリープ破断時間は、96.5Sn3.0Ag0.5Cuのクリープ破断時間よりも255%高い。
【0159】
拡散依存性クリープ変形は、同相温度、すなわち、絶対スケールでの材料の試験温度の溶融温度に対する比率に依存する。はんだ合金の同相温度は、0.84~0.86の範囲であり得る。したがって、はんだ合金の溶融温度は、機械的特性に有意な影響を及ぼさない。
【0160】
表2は、例示的な合金のいくつかのゼロ湿潤時間(T0)を96.5Sn3.0Ag0.5Cuと比較しており、これは、はんだ付け性及び湿潤性の尺度として使用することができる。本発明による合金の湿潤特性は、96.5Sn3.0Ag0.5Cu合金の湿潤特性と同等である。これは、多くの合金添加物を有する合金の湿潤特性がかなり頻繁に劣化するため、重要である。湿潤試験は、JIS Z3198-4標準に従って250℃で実行された。
【0161】
【0162】
上で考察されたように、これらの例示的な合金中の合金添加物による金属間化合物形成は、バルク合金及びはんだ接合部の追加の強度をもたらした。
図11及び
図12は、熱サイクル性能試験の結果を示す。熱サイクルは、IPC 9701A標準に従って実施された試験において、-40~150℃、これらの温度の各々で30分間の滞留時間で実行された。はんだ接合後の熱サイクル試験の3つの重要側面は、その場での特性寿命、はんだ接合部内の亀裂の伸展、及び熱サイクル試験後に保持された剪断強度の割合である。熱サイクル特性寿命は、高速データロガーを使用してそれらの電気抵抗をその場で監視したときに、BGA228パッケージの63.2%の累積故障で与えられる。IPC 9701A標準に従って、故障は、5回の連続した読み取りで測定された電気抵抗において20%の増加があったときに定義される。
図11は、BGAの亀裂伸展を計算するために、はんだ接合部の全長をどのように測定するかの例を示す。亀裂伸展は、はんだ接合部の全長の割合として測定される。例示の目的で、ここで示される亀裂は、はんだ-IMC界面の近くで始まり、はんだ接合部の全長の23%相当まで延在している。BGAパッケージ内のはんだ接合部の最も外側の列に沿った各ボール内の亀裂伸展は、2500サイクルの終了時に測定されている。亀裂伸展の平均を各合金について測定し、表3にまとめている。
【0163】
【0164】
150℃で2000時間の熱老化後に保持された剪断強度は、はんだ付けされたチップ抵抗器から得られた初期剪断強度の一部として計算される。表4は、これらの合金のいくつかについての結果を示し、残りの剪断強度は、元のはんだ接合剪断強度の少なくとも85%である。
【0165】
【0166】
図12は、本発明による多数の例示的な合金についてのBGA228のその場で監視された故障のワイブル分布プロットを示す。発明された合金は全て、より高い特性寿命及び数多くの残存成分を有する。熱サイクル中、合金は、クリープ変形につながる熱応力を受ける。クリープ変形に抵抗するか、又は破壊前に大きな変形を蓄積することができる合金は、高い熱疲労寿命を有すると予想される。発明された合金のより高いクリープ強度は、より高い熱疲労寿命をもたらし得る。
【0167】
前述の詳細な記載は、説明及び図解によって提供されたものであり、添付の特許請求の範囲の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に示される現時点で好ましい実施形態の多くの変形例は、当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に留まる。