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特許7528195センサセンブリ及びセンサセンブリを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】センサセンブリ及びセンサセンブリを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/04 20060101AFI20240729BHJP
   H01C 17/02 20060101ALI20240729BHJP
   H01C 17/28 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H01C7/04
H01C17/02
H01C17/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022513466
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021078297
(87)【国際公開番号】W WO2022079094
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】102020126833.5
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】イール,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ザイフェルト,トルベン
(72)【発明者】
【氏名】サベデール-ダイミンゲル,ササ
(72)【発明者】
【氏名】ホジャス,ゲルハルト
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-294653(JP,A)
【文献】特開昭58-141507(JP,A)
【文献】特開2011-247876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/04
H01C 17/02
H01C 17/28
G01K 1/08
G01K 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサアセンブリを製造する方法であって、
A) セラミック基体及び少なくとも2つの電極を有するセンサ要素を用意するステップと、
B) 少なくとも2つのコンタクト要素を用意するステップ及び前記コンタクト要素をコンタクトペーストに部分的に浸漬するステップと、
C) 前記コンタクト要素を結合領域において前記電極に押圧するステップと、
D) 焼結するステップと、
E) 焼結されたシステムを定義された速度でガラスペーストに部分的に浸漬するステップであって、したがって、前記センサ要素及び少なくとも前記結合領域は完全に、ガラスペーストで取り囲んでガラス被覆を形成する、ステップと、
F) 前記ガラスペースト内の焼結されたシステムを定義された横方向に移動させ、その後、前記焼結されたシステムを前記ガラスペーストから定義された速度で引き出すステップと、
G) 乾燥するステップと、
H) ガラス化するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップG)は、先ず室温において乾燥するステップと、その後、炉内で上昇した温度で乾燥するステップとを含む、
請求項記載の方法。
【請求項3】
ステップH)において、ガラス軟化温度Tgを超える温度に前記ガラス被覆を加熱し、前記ガラス被覆を溶融することによりガラス化を行う、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記ガラス被覆は再結晶性バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスを含む、
請求項1乃至3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ステップB)において、前記コンタクトペースト内に浸漬された前記コンタクト要素の領域が、前記セラミック基体のエッジ長さよりも小さい、
請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記電極は、鉛フリー金又は銀の厚層金属化部を備える、
請求項1乃至5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記コンタクト要素はニッケル鉄合金又は低割合のニッケルを含む銀を含有し、及び/又は、
前記コンタクト要素は保護層を備え、前記保護層はNi、Cu又はAgを含む、
請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
センサアセンブリを製造する方法であって、
A) セラミック基体及び少なくとも2つの電極を有するセンサ要素を用意するステップと、
B) 少なくとも2つのコンタクト要素を用意するステップ及び前記コンタクト要素をコンタクトペーストに部分的に浸漬するステップと、
C) 前記コンタクト要素を結合領域において前記電極に押圧するステップと、
D) 焼結するステップと、
E) セラミックキャップを用意するステップ、及び、前記焼結されたシステムをセラミックキャップ内に部分的に導入するステップと、
F) 前記セラミックキャップを定義された速度でガラスペーストによって部分的に充填するステップと、
G) 前記焼結されたシステムを、部分的にガラスペーストで充填された前記セラミックキャップ内に定義された速度でさらに導入するステップであって、したがって、前記センサ要素及び結合領域は前記セラミックキャップ内に配置される、ステップと、
H) 前記センサ要素及び前記結合領域を前記ガラスペーストで濡らすために所定の速度で定義された横方向に移動させるステップと、
I) 前記セラミックキャップを前記ガラスペーストでさらに充填するステップであって、したがって、前記センサ要素及び少なくとも前記結合領域は完全に、前記ガラスペーストで取り囲んでガラス被覆を形成する、ステップと、
J) 乾燥するステップと、
K) ガラス化するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
ステップK)において、ガラス軟化温度Tgを超える温度に前記ガラス被覆を加熱し、前記ガラス被覆を溶融することによりガラス化を行う、
請求項記載の方法。
【請求項10】
ステップG)において、前記セラミックキャップを所定の速度で定義された横方向に移動させ、前記ガラスペーストを前記セラミックキャップ内で分配する、
請求項8又は9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサセンブリ、特に温度を測定するためのセンサセンブリに関する。本発明はさらに、センサセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサに対する高まり続ける要求は、より高い使用温度と同時に、特に高い信頼性と低い製造コストが求められており、新たな材料の組み合わせと製造技術が必要とされている。
【0003】
従来市販の、貴金属(Au、Pt)含有量の低い、費用対効果が高いセンサは、使用温度(Einsatztemperatur)が制限されており、通常はガラスカプセル化されており、300℃までしか使用可能でなかった。より高い使用温度に対応するセンサには、白金などの貴金属を使用する必要がある。しかしながら、銅外被(Kupfermantel)を有するFeNiワイヤを使用した場合、使用温度が高くなるとワイヤの腐食(Drahtkorrosion)が発生し、センサの寿命が短くなってしまう。
【0004】
従来技術によれば、さまざまな用途での監視及び制御のための温度測定には、主にセラミック製の熱導体サーミスタ素子(「負の温度係数」/NTCサーミスタ)が使用されている。
【0005】
十分な機械的安定性を確保し、外部の影響から保護し、攻撃的な媒体による腐食を防ぐために、センサ要素の場合には、これらには、ポリマやガラス製のカバー(Ueberzug)が施されている。
【0006】
NTCセラミックの電気的コンタクトのためには、機械的な電極を適用しなければならない。従来技術によれば、そのために、主に銀や金のペーストをスクリーン印刷で塗布し、その後焼成している。銀の金属化部は主に接続ワイヤとのはんだ接続に、金の金属化部は金属焼結ペーストのコンタクトに使用される。
金の金属化部は、接続ワイヤとのコンタクトペーストの焼結に使用される。
【0007】
しかしながら、はんだ接合部の使用温度は、はんだの溶融温度によって制限される。高鉛はんだの溶融温度は約300℃で、ほとんどの鉛フリーはんだは230℃以下ですでに溶融する。頻繁な温度変化にさらされる場合、はんだ付けの信頼性は十分ではない。また、多くのはんだ材料は、湿気のある又は濡れた環境ではマイグレーション(Migration)傾向がある。
【0008】
使用温度が250℃~300℃以上と高い場合は、焼結ペーストによるコンタクトが一般的である。さらに、使用温度の関係でポリマーパッケージではなくガラスパッケージ(Glasumhuellung)が必要となるため、製造工程ではより高い温度が必要となる。しかし、このタイプのセンサ要素は、電極やコンタクトペーストに金を使用しているため、コストが高くなる。さらに、ペーストの適用や乾燥、その後の焼成などでプロセスコストが非常に高くなる。
【0009】
一方で、NTCセラミックの電極上にワイヤを溶接することは、電極やセラミックの予備的な損傷につながるため、選択肢にはならない。電極層の厚さに比べて巨大なワイヤは、接続を製造するためにワイヤを溶融させるのに非常に高いエネルギーを必要とする。これにより、電極層がセラミックから完全に剥離したり、それに伴う熱衝撃でセラミックにクラックが発生したり、電気的特性に悪影響を及ぼしたりすることがある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の課題は、上述の問題点を解決したセンサセンブリ及びセンサセンブリの製造方法を説明することである。
【0011】
この課題は、独立請求項に記載のセンサセンブリ及びセンサセンブリの製造方法によって解決される。
【0012】
一態様によればセンサセンブリが記載されている。センサセンブリは温度測定するために設計されている。センサセンブリは高い使用温度(Einsatztemperaturen)用に設計されている。センサセンブリは高温センサセンブリである。センサセンブリの適用温度(Anwendungstemperatur)は、好ましくは300℃以上650℃以下である。特に、適用温度は450℃と650℃との間である。
【0013】
センサセンブリは、センサ要素を備える。好ましくは、センサ要素は、NTCサーミスタチップを備える。センサ要素は、セラミック基体を備える。好ましくはセンサ基体は、高い長期安定性を有するセラミック材料を備える。特に、基体は、EP 2 326 604 B9公報による、ドリフト安定なペロブスカイトセラミックを備える。
【0014】
センサ要素は、さらに2つの電極、好ましくは正確に2つの電極を備える。電極は、セラミック基体の外側面に、例えば、基体の対向する(gegenueberliegenden)側面に配置されている。電極は、好ましくは、金又は銀の厚層金属化部を備える。好ましくは、金又は銀の厚層金属化部は鉛フリーに設計されている。
【0015】
センサセンブリは、センサ要素の電気的コンタクトのために、2つのコンタクト要素、好ましくは正確に2つのコンタクト要素を備える。好ましくは、コンタクト要素は、ワイヤを備える。コンタクト要素は、結合領域(Anbindungsbereich)において、電極と、機械的及び電気導電的に接続されている。電極及びコンタクト要素は、金又は銀のコンタクトペーストを介して互いに接続されている。
【0016】
コンタクト要素は、特に温度耐性が高く、同時に腐食耐性を示す材料を備える。コンタクト要素はさらに、貴金属割合を全く含まないか又はわずかにしか含まない。これにより、費用対効果が高く、温度耐性が高いセンサセンブリを用意することができる。好ましくは、コンタクト要素は、ニッケル鉄合金又は低割合の(geringen Anteilen)ニッケルを含有する銀を含む。特に好ましくは、コンタクト要素は、ニッケル鉄合金又は低割合のニッケルを含有する(mit geringen Anteilen von Nickel)銀からなる。
【0017】
さらに、コンタクト要素は、腐食を抑止するために保護層を備えることができる。保護層は、それぞれのコンタクト要素の外面に形成されている。好ましくは、保護層は、それぞれのコンタクト要素の外面を完全に覆う。保護層は、Ni、Cu又はAgを含むことができる。特に、Agで被覆されたコンタクト要素は、650℃以上の温度でも高い長期安定性を有する。
【0018】
センサレンジメントはガラス被覆(Glasummantelung)を備える。ガラス被覆は、センサ要素及び結合領域上に適用される。特にセンサ要素及び結合領域は、ガラス被覆内に完全に埋め込まれている(eingebracht)。
【0019】
ガラス被覆は、ガラス粉末が分散されたペーストにディップコーティングすることによって適用されるか、又は、円筒形状のガラスプレフォームを溶融することによって得ることができる。ガラス被覆は、センサ要素及び結合領域の保護及び機械的に安定させる役割を果たしている。
【0020】
ガラス被覆は圧力固定されている(druckverspannt)。ガラス被覆、コンタクト要素及びセンサ要素の膨張係数は、ガラス被覆の圧力固定(Druckverspannung)のために互いに適合している。好ましくは、膨張係数は、センサセンブリの内部領域において、センサセンブリの外部領域よりも大きい。換言すると、ガラス被覆は、セラミック基体及びコンタクト要素よりも小さい膨張係数を有する。これは、センサセンブリ内部において引張応力が生じ、それによって、ガラス被覆の表面上に圧縮応力(Druckspannung)がかかる。
【0021】
ガラス被覆の圧力固定によって、ガラス被覆の機械的強度が高まり、その結果、センサセンブリの強度も高まる。これにより、特に安定した耐久性のあるセンサセンブリを実現する。特に、このセンサセンブリは、高い使用温度、好ましくは650℃までの温度で、特に耐久性と長期安定性がある。
【0022】
一実施形態によれば、ガラス被覆は、その溶融温度が電極材料の溶融温度よりも低い材料を有している。そのため、ガラス化処理の際に、電極及びコンタクト領域の溶融を防ぐことができる。これにより、電極を損傷することなく製造が可能になる。
【0023】
ガラス被覆はまた、軟化温度Tgがセンサセンブリの適用温度以上である材料を有することが好ましい。したがって、高い使用温度、好ましくは650℃までの使用温度を達成することができる。
【0024】
好ましくは、ガラス被覆は再結晶性ガラスを含む。特に好ましくは、ガラス被覆が再結晶性バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスを含む。このようにして、貴金属を含まないか、あるいは貴金属の含有量が少ないワイヤを使用した適切な材料の組み合わせにより、より高い使用温度での耐腐食性及び耐マイグレーション性のセンサを可能にするデザインのセンサセンブリが指定される。
【0025】
一実施形態によれば、センサセンブリは、セラミックキャップをさらに備える。セラミックキャップは、例えば、酸化アルミニウムを含むことができる。好ましくは、セラミックキャップは、ガラス被覆の膨張係数よりもわずかに大きい膨張係数を有している。好ましくは、セラミックキャップとガラス被覆との膨張係数の差は1ppmより小さい。
【0026】
センサ要素及び結合領域は、好ましくは、セラミックキャップの中に完全に埋め込まれている。さらに、コンタクト要素及びガラス被覆は、少なくとも部分的にセラミックキャップに埋め込まれている。セラミックキャップは、ガラス被覆と少なくとも部分的に融合している。セラミックキャップは、高い使用温度の際のセンサセンブリの長期安定性を高める。
【0027】
さらなる態様によれば、センサセンブリを製造する方法が記載されている。好ましくは、この方法によって、上述のセンサセンブリが製造される。センサセンブリ又は方法に関して開示されているすべての特徴は、それぞれの態様の文脈でそれぞれの特徴が明示的に言及されていない場合でも、それぞれの他の態様に関しても対応して開示されており、その逆もまた同様である。この方法は、以下のステップを含む。
【0028】
A)セラミック基体及び少なくとも2つの電極を有するセンサ要素を用意するステップ。好ましくは、電極は、鉛フリーの金又は銀の層材料を含む。有利には、センサ素子は、NTCサーミスタチップを含む。
【0029】
B)少なくとも2つのコンタクト要素、好ましくは2つのワイヤを用意するステップ。好ましくは、コンタクト要素は、ニッケル鉄合金又は低割合のニッケルを含有する銀からなる。コンタクト要素上にさらに、Ni、Cu又はAgを含む保護層を適用することができる。
【0030】
コンタクト要素をコンタクトペーストに部分的に浸漬する。好ましくは、コンタクトペーストは、銀又は金を有する。コンタクトペーストに浸漬されたコンタクト要素の領域(ジャケット領域(Mantelbereich))は、セラミック基体のエッジ長さよりも小さい。換言すると、コンタクト要素は、セラミック基体のエッジ長さ全体にわたって電極に接続されていない。
【0031】
C)
コンタクト要素を結合領域において電極に押圧するステップ。結合領域は、セラミック基体のエッジ長さよりも小さい。
【0032】
D)焼結するステップ。用意されたセンサは、炉内に入れられ、熱プロファイル下に置かれる(unterzogen)。ここでは、バッチ炉又は連続炉であることができる。
【0033】
E)焼結されたシステム(基体、電極、コンタクト要素)を定義された速度でガラスペースト(ガラスペーストを使用した浸漬溶液(Tauchlackieren))に部分的に浸漬するステップ。特に、焼結されたシステムは、センサ要素(基体、電極)及び少なくとも結合領域は完全に、ガラスペーストで取り囲んでガラス被覆を形成するようにガラスペーストに浸漬される。ガラスペーストは、好ましくは、再結晶性バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスを有する。
【0034】
F)ガラスペースト内の焼結されたシステムを定義された横方向に移動し、その後、焼結されたシステムをガラスペーストから定義された速度で引き出すステップ。この手順により、気泡や欠陥のないガラス被覆を実現する。
【0035】
G)乾燥するステップ。好ましくは、このステップは、室温での予備乾燥と、その後の高温でのオーブンでの乾燥からなる。ガラス被覆に気泡や欠陥が無いことが確実にされ、ガラスペーストの製造に必要な添加剤が漏れることができるように、乾燥は十分慎重に行う必要がある。
【0036】
H)ガラス化するステップ。ここで、ガラス被覆はガラス軟化点Tgを超える温度に加熱され、その後溶融する。
【0037】
方法によれば、気密にシールされた(hermetisch dichter)ガラスカプセル化により、堅牢で長期的に安定した高温センサの配置を実現する。センサヘッド(結合領域を有するセンサ素子)の圧力固定を実現するためには、適切な材料(膨張係数)の選択に加えて、オーブン内で適合した温度プロファイルを維持することは特に重要である。乾燥するステップとガラス溶解プロセスの両方に、適切なバッチ式又は連続式の炉を使用することができる。
【0038】
さらなる態様によれば、センサセンブリを製造する方法が記載されている。好ましくは、方法によれば、上述のセンサセンブリが製造される。センサセンブリ又は方法に関して開示されているすべての特徴は、それぞれの態様の文脈でそれぞれの特徴が明示的に言及されていない場合でも、それぞれの他の態様に関しても対応して開示されており、その逆もまた同様である。方法は以下のステップを含む:
【0039】
A)セラミック基体及び少なくとも2つの電極を有するセンサ要素を用意するステップ。好ましくは、電極には鉛フリーの金又は銀の厚層金属化部を有する。好ましくは、センサ素子はNTCサーミスタチップを有する。
【0040】
B)少なくとも2つのコンタクト要素、好ましくは2つのワイヤを用意するステップ。好ましくは、コンタクト要素は、ニッケル鉄合金又は低割合のニッケルを含む銀からなる。さらに、Ni、Cu又はAgを含む保護層をコンタクト要素上に施すこともできる。
【0041】
コンタクト要素をコンタクトペーストに部分的に浸漬するステップと。好ましくは、接触ペーストは、銀又は金を含む。コンタクトペーストに浸漬されたコンタクト素子の領域(ジャケット領域)は、セラミック基体のエッジ長さよりも小さい。換言すると、コンタクト要素は、セラミック基体のエッジ長さ全体にわたって、電極に接続されていない。
【0042】
C)コンタクト要素を結合領域において電極に押圧するステップ。結合領域は、セラミック基体のエッジ長さよりも小さい。
【0043】
D)焼結するステップと、用意されたセンサは炉内に入れられ、熱プロファイル下に置かれる。ここでバッチ炉又は連続炉であることができる。
【0044】
E)
ガラスプレフォーム、好ましくはプレスされたガラス管、を焼結されたシステムに差し込む(Aufstecken)ステップ。センサ要素及び少なくとも結合領域は完全に、ガラスプレフォームに導入されるように、ガラスプレフォームは焼結されたシステム上に差し込まれる。特に、ガラスプレフォームは、セラミック基体と結合位置を有するセンサヘッドがガラスプレフォームで覆われるように配置されている。ガラスプレフォームは、好ましくは、再結晶化バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスを有する。
【0045】
F)ガラス被覆を形成するためにガラスプレフォームを溶融するステップ。炉内の温度プロファイルにはいくつかのステップがある。有機添加物を慎重に蒸発させるために、低い温度で所定の保持時間を設けてから、その後、高い温度で実際にガラスの溶融を行う。ガラスプレフォームをガラス軟化温度Tg以上に加熱することで、溶融が行われる。
【0046】
センサヘッドの圧力固定を実現するためには、この方法においても、適切な材料の選択に加えて、炉内で適合した温度プロファイルを維持することは特に重要である。乾燥するステップとガラス溶解プロセスの両方に、適切なバッチ式又は連続式の炉を使用することができる。
【0047】
さらなる態様によれば、センサセンブリを製造する方法が記載されている。好ましくは、方法によれば、上述のセンサセンブリが得られる。センサセンブリ又は方法に関して開示されているすべての特徴は、それぞれの態様の文脈でそれぞれの特徴が明示的に言及されていない場合でも、それぞれの他の態様に関しても対応して開示されており、その逆もまた同様である。方法は以下のステップを含む:
【0048】
A)セラミック基体及び少なくとも2つの電極を有するセンサ要素を用意するステップ。好ましくは、電極は、鉛フリーの金又は銀の層材料を含む。有利には、センサ素子は、NTCサーミスタチップを含む。
【0049】
B)少なくとも2つのコンタクト要素を用意するステップ。好ましくは、コンタクト要素は、ニッケル鉄合金又は少量のニッケルを含有する銀からなる。コンタクト要素上にさらに、Ni、Cu又はAgを含む保護層を適用することができる。
【0050】
コンタクト要素をコンタクトペーストに部分的に浸漬するステップ。好ましくは、コンタクトペーストは、銀又は金を有する。コンタクトペーストに浸漬されたコンタクト要素の領域(ジャケット領域)は、セラミック基体のエッジ長さよりも小さい。換言すると、コンタクト要素は、セラミック基体のエッジ長さ全体にわたって電極に接続されていない。
【0051】
C)コンタクト要素を結合領域において電極に押圧するステップ。結合領域は、セラミック基体のエッジ長さよりも小さい。
【0052】
D)焼結するステップ。用意されたセンサは、炉内に入れられ、熱プロファイル下に置かれる。
ここでバッチ炉又は連続炉であることができる。
【0053】
E)セラミックキャップを用意するステップ。、及び、焼結されたシステムをセラミックキャップ内に部分的に導入するステップと、セラミックキャップは、好ましくは酸化アルミニウムを含む。セラミックキャップは、焼結システムを受け入れるための内部領域を有している。セラミックキャップはさらに、コンタクト要素を受け入れるための少なくとも2つのフィードスルー(Durchfuehrungen)を有する。
【0054】
焼結したシステムをセラミックキャップに部分的に挿入する。好ましくは、このステップでは、コンタクト要素がセラミックキャップの第1面(上面)からセラミックキャップの内部領域を通って案内されて、凹部に挿入され、コンタクト要素がセラミックキャップの第2面(下面)から少なくとも部分的に突出する。
【0055】
F)セラミックキャップを定義された速度でガラスペーストによって部分的に充填するステップと、ガラスペーストは、好ましくは、再結晶性バリウム、亜鉛、又はケイ酸塩ガラスを有する。好ましくは、セラミックキャップの内部領域は、ガラスペーストで3分の1まで満たされている。その後、セラミックキャップの内部領域にガラスペーストを均一に分布させるために、セラミックキャップの横方向の移動を所定の速度で行うことができる。
【0056】
G)焼結されたシステムを、部分的にガラスペーストで充填されたセラミックキャップ内に定義された速度でさらに導入するステップ。焼結されたシステムは、センサ要素及び結合領域がセラミックキャップ内に配置されるように導入される。
【0057】
H)センサ要素及び結合領域をガラスペーストで濡らすために所定の速度で定義された横方向に移動させるステップ。
【0058】
I)セラミックキャップをガラスペーストでさらに充填するステップ。特に、セラミックキャップは、センサ要素及び少なくとも結合領域は完全にガラスペーストで取り囲んでガラス被覆を形成するようにガラスペーストで満たされる。
【0059】
J)乾燥するステップ。好ましくは、このステップは、室温での予備乾燥と、その後の炉内での高温での乾燥からなる。ガラス被覆に気泡や欠陥が無いことが確実にされ、ガラスペーストの製造に必要な添加剤が漏れる(entweichen)ことができるように、乾燥は十分慎重に行う必要がある。
【0060】
K)ガラス被覆を、ラス軟化温度Tgを超える温度に加熱して、溶融させるガラス化するステップ。
【0061】
上記の方法は、気密にシールされた(hermetisch dichte)ガラス被覆を実現する。このようにして得られたセンサセンブリは、特に耐腐食性に優れ、高温下でも長期にわたって安定している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
以下に説明する図面は、正確な縮尺であると見なされるべきではない。むしろ、より良い説明のために、個々の寸法を拡大、縮小、又は歪ませることができる。同じ要素又は同じ機能を実行する要素は、同じ参照符号で示される。
【0063】
図1図1は、第1の例示的な実施形態によるセンサセンブリの断面図を示している。
図2図2は、図1によるセンサセンブリの製造における中間段階の断面図を示している。
図3図3は、図1によるセンサセンブリの断面図を示している。
図4図4は、さらなる例示的な実施形態によるセンサセンブリの断面図を示す。
図5a図5a乃至5cは、図4によるセンサセンブリを製造する方法を示す図である。
図5b図5a乃至5cは、図4によるセンサセンブリを製造する方法を示す図である。
図5c図5a乃至5cは、図4によるセンサセンブリを製造する方法を示す図である。
図6a図6a乃至6eは、図6aによるセンサセンブリを製造する代替的方法を示す図である。
図6b図6a乃至6eは、図6aによるセンサセンブリを製造する代替的方法を示す図である。
図6c図6a乃至6eは、図6aによるセンサセンブリを製造する代替的方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、温度を測定するように設計されたセンサセンブリ1の第1実施形態を示している。センサセンブリ1は、高温での使用を想定しています。センサセンブリ1の1つの使用温度は、300℃以上及び650℃以下である。センサセンブリ1は、高温センサセンブリである。
【0065】
センサセンブリ1は、センサ要素又はセンサチップを有している。センサ要素は、好ましくはNTCサーミスタチップである。センサ要素は、セラミック基体2を有している。セラミック基体2は、長期安定性の高いセラミック材料を含む。このセラミック材料は、文献EP 2 326 604 B9によるドリフト安定性のあるペロブスカイトセラミックを含む。特に、セラミック基体2は、一般式[SE1-xII ][Cr1-y-z]Oのセラミック材料を含み、ここで、SEは1つ以上の希土類金属を表し、MIIは、+II酸化状態の1つ以上の金属を表し、LはAl及び/又はGaを表し、Rは、Fe、Zn、Ge、Snを表し、0<x<1、0<y<1、0.5<z<1、y+z<1、0.1<1-y-z<0.2である。
【0066】
セラミック基体2は、側面2aを有している(図3も参照)。側面2aは、互いに対向して配置されている。それぞれの側面は、エッジ長さlを有する(図3)。エッジ長さlは2mm以下、好ましくは1mm以下である。セラミック基体2は、幅bを有する(図3)。幅bは<1mm、好ましくは<0.5mmである。センサ要素又はセラミック基体2は、好ましくは、<1mm×<1mm×0.500mmの寸法を有する。センサセンブリ1は、図3から見られるように、全長L(長手軸Xに沿った広がり)を有している。
【0067】
また、このセンサ要素は、2つの電極3を有している。電極3は、センサ素子の外面に形成されている。特に、電極3は、セラミック基体2の対向する側面2aに形成されている。電極3は、金又は銀の厚層金属化部を備える。金又は銀の厚層金属化部は鉛フリーである。
【0068】
センサセンブリ1は、センサ要素を電気的にコンタクトするための2つのコンタクト要素4を有する。この実施形態では、コンタクト要素4はワイヤを有する。しかしながら、他のコンタクト要素4も考えられる。
【0069】
コンタクト要素4は、耐腐食性組成物を含む。例えば、コンタクト要素4は、鉄とニッケルの合金又は低割合のニッケルを含む銀を含む。本実施形態では、コンタクト要素4はNiFeを有している
【0070】
また、コンタクト要素4は、腐食をさらに抑制するための保護層(明示的には示されていない)を有する。保護層は、Ni、Cu又はAgを含むことができる。それぞれのコンタクト要素4は、好ましくは0.1mmから0.5mmの間、より好ましくは0.2mmから0.3mmの間の直径を有する。
【0071】
コンタクト要素4は、結合領域7内で電極3に電気的及び機械的に接続される。電極3及びコンタクト素子4は、金又は銀のコンタクトペースト5を介して互いに接続されている。コンタクト要素4は、電極3とともに焼結されている。
【0072】
結合領域7は、それぞれの側面2aのエッジ長さlよりも小さい。換言すると、コンタクト要素4は、電極3又は側面2aの一部の領域のみを覆っている。コンタクト要素3は、それぞれのコンタクト要素4の断面積を大きくするために、結合領域7において平坦にすることができる。
【0073】
センサセンブリ1は、さらにガラス被覆グ6を備える。本実施形態では、ガラス被覆6は、セラミック基体2又はセンサ要素及び結合領域7を完全に包囲する。特に、ガラス被覆6は、センサセンブリ1の頭部(センサヘッド13図3も参照)を完全に包囲する。センサヘッド13は、図3に見られるように、センサ要素及びコンタクト要素4の少なくとも部分的な領域を有する。
【0074】
ガラス被覆6を含むセンサヘッド13の幅B(長手軸Xに垂直な広がり)は、0.7mm~2.5mmである(図3)。図3に見られるように、ガラス被覆6の最小の長手方向の広がりA(長手軸Xに沿った広がり)は、0.5~2.5mmの範囲である。この場合、図3から分かるように、ガラス被覆6のくぼみ(Einwoelbung)6cは、ガラス被覆6の下側6b上に発生し得る。
【0075】
セラミック基体2の上面とガラス被覆6の上面6aとの間の上側距離D1は、好ましくは、少なくとも0.1mmである。また、セラミック基体2の下面とガラス被覆6の下面6bとの間の下側距離D2も、好ましくは、少なくとも0.1mmである(図3)。
【0076】
ガラス被覆6は、センサヘッド13の外殻(aeussere Huelle)を形成している。ガラス被覆6は、センサセンブリ1を保護し、機械的に安定させるように設計されている。ガラス被覆6は、溶融温度が電極材料の溶融温度を下回る材料を有する。好ましくは、ガラス被覆6の溶融温度は700℃と900℃との間である。さらに、ガラス被覆の材料は、センサセンブリ1の適用温度以上の軟化温度Tgを有している。好ましくは、軟化温度Tgは適用温度より少なくとも25℃高い。
【0077】
ガラス被覆6は、再結晶性ガラスを含む。特に、ガラス被覆6は、再結晶性バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスを含む。センサヘッド13のガラス被覆6は、外周ジャケット(aeusseren Mantel)内で圧力固定を有する。コンタクト要素4及びセンサ要素のセラミック基体2の膨張係数は、ガラス被覆6への圧力固定を達成するために、互いに一致する。
【0078】
好ましくは、ガラス被覆6は、コンタクト素4及びセラミック基体2よりも小さい膨張係数αを有する。好ましくは、コンタクト要素4は、膨張係数αを有し、7[10-6-1]≦α≦12[10-6-1]である。コンタクト要素が少量のニッケルを含む銀からなる実施形態では、コンタクト要素4の膨張係数αは約19[10-6-1]である。
【0079】
セラミック基体2の膨張係数は、好ましくは6.5[10-6-1]≦α≦8.5[10-6-1]である。好ましくは、ガラス被覆の膨張係数は<7[10-6-1]、例えば6.9[10-6-1]である。
【0080】
センサセンブリ1の内部は外部領域よりも高い膨張係数を有するので、センサ要素及びコンタクト要素4は、内部領域のガラス被覆6に引張応力を加える。この内部の引張応力が、ガラス被覆の表面に圧力固定として作用する。ガラス被覆6の圧力固定は、ガラス被覆のより高い強度又はより硬い表面をもたらし、したがって、ガラスケーシング6の変更された破壊挙動をもたらす。したがって、ガラス被覆6の表面上のより高い機械的負荷は、必ずしも圧力固定による破壊を誘発するものではない。これにより、650℃までの高い使用温度に対して長期的に安定した非常に堅牢な設計が可能になる。
【0081】
図1のセンサセンブリ1は、2つの可能な製造方法(変形1:ディップコーティング、変形2:ガラスプレフォーム)によって製造されますが、これらの方法は、いくつかのプロセスステップにおいて同一である。
【0082】
以下では、変形例1(ディップコーティング)によるセンサセンブリの製造について説明する。
【0083】
第1ステップA)では、セラミック基体2と少なくとも2つの電極3を備えたセンサ要素が提供される。電極として金又は銀の厚層金属化部を有するドリフト安定性の高いセラミック基体2を高精度の装置でクランプする。
【0084】
次のステップB)では、2つのコンタクト要素4を設ける。その後、コンタクト要素4は、コンタクトペースト5に部分的に浸漬される。特に、コンタクト要素4は、セラミック基体2の電極3の種類に応じて、金又は銀の接触ペーストに浸漬され、ペースト5で濡らされたそれぞれのコンタクト要素4のジャケット面は、センサ要素又はセラミック基体2のエッジ長lよりも小さくなければならない。
【0085】
次のステップC)では、コンタクト要素4を結合領域7の電極に押圧する。換言すると、コンタクトペースト5でコーティングされたコンタクト要素4の端部領域は、装置内で機械的なプリテンションによってセンサ要素にプレスされる。
【0086】
さらなるステップD)では、熱処理(焼結)を行う。装置は、炉内に入れられ、熱プロファイル下に置かれる。ここでは、バッチ炉又は連続炉であることができる。
【0087】
焼成後、次のステップE)において、ガラスペースト12によるディップコーティングが行われる(変形例1)。まず、ガラスペースト12が用意される。ガラスペースト12には、ガラス粉末が分散されている。ガラス粉末は、再結晶化バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスが含まれる。ガラス粉末、コンタクト要素4、基体2の膨張係数は、上述のように互いに一致している。
【0088】
焼結されたシステムは、ガラスペースト12で満たされたリザーバに所定の速度で部分的に浸漬され、その結果、センサ要素及び少なくとも結合領域7は全体的に、ガラスペースト12によって包囲され、ガラス被覆6を形成する。特に、センサヘッド13は、ガラスペースト12によって完全に囲まれていなければならない
【0089】
センサヘッド13の気泡の無いパッケージ(blasenfreie Umhuellung)を確実にするために、ステップF)では、ガラスペースト内で焼結システムのわずかな所定の横方向の動きが行われる。ここでいう横方向の動きとは、センサセンブリ1の長手軸Xに垂直な動きを意味する。その後、焼結システムは所定の速度でガラスペースト12から引き抜かれる。
【0090】
その後、乾燥ステップG)が行われる。ガラス被覆6に気泡や欠陥がなく、ガラスペースト12の製造に必要な添加剤が漏れることができるように、乾燥は十分慎重に行う必要がある。例えば、まず、ガラスペースト12を室温で4時間乾燥させる。その後、ガラスペースト12を50℃でさらに30分間乾燥させることができる。
【0091】
後続のガラス化ステップH)では、ガラス被覆6は、定義されたプロファイルを用いてガラス軟化点以上の温度になり、溶融される。このようにして、気密にシールされたガラス被覆6が実現される。
【0092】
センサヘッド13の上述の圧力固定を実現するためには、適切な材料を選択することだけでなく、炉内で適合した温度プロファイルを維持することも重要である。乾燥するステップとガラス溶解プロセスの両方に、適切なバッチ式又は連続式の炉を使用することができる。
【0093】
以下では、変形例2(ガラスプレフォーム)を用いた、図1によるセンサセンブリ1の製造について説明する。
【0094】
まず、上述したステップA)からD)を実施する。換言すると、変形例2による製造のステップA)乃至D)は、上述した変形例1による製造のステップA)乃至D)と同じである。
【0095】
焼結ステップの後、ステップE)でガラスプレフォーム14(円筒形のガラス管)に焼結システムを差し込む(Aufstecken)。焼結システムは、図2に見られるように、センサ要素と結合領域7を備えたセンサヘッド13がガラスプレフォーム14によって覆われるように、すなわち、ガラスプレフォーム14の内部領域に完全に配置されるように位置決めされる。
【0096】
ガラスプレフォーム14は、円筒形状を有する。ガラスプレフォーム14は予め焼結されている。ガラスプレフォーム14は、上下に開放している(開放上面14a、開放下面14b)。センサ素子及び少なくとも結合領域7は完全に、円筒形状のガラスプレフォーム14に組み込まれている。特に、センサ素子及び結合領域7は、ガラスプレフォーム14の内部領域に完全に配置されている。図2に見られるように、コンタクト要素4は、ガラスプレフォーム14の下面14bから少なくとも部分的に突出している。
【0097】
その後、ステップF)では、ガラスプレフォーム14を炉内で溶融させて、ガラス被覆6を形成する(図1参照)。溶融は、ガラスプレフォーム14をガラス溶融温度Tg以上の温度に加熱することによって行われる。
【0098】
炉内の温度プロファイルには複数のステップがある。プレスされたプリフォーム14に含まれ得る有機添加物を慎重に蒸発させるために、先に低い温度で一定の保持時間が設けられ、その後、高い温度でガラスの実際の溶融が行われる。
【0099】
センサヘッド13の圧力固定を実現するためには、適切な材料を選択するだけでなく、炉内で適合した温度プロファイルを維持することは特に重要である。乾燥するステップとガラス溶解プロセスの両方に、適切なバッチ式又は連続式の炉を使用することができる。
【0100】
図4は、第2実施形態によるセンサセンブリ1を示す。図4によるセンサセンブリは、ガラス被覆6の形状及び製造、並びにセラミックキャップ8の存在によって、図1による上述のセンサセンブリと1と実質的に異なる。他の構成要素(セラミック基体2及び電極3を有するセンサ要素、接触要素4)の特徴及びガラス被覆6の構成に関して、図1に関連する説明を参照する。
【0101】
図4によるセンサセンブリ1は、セラミックキャップ8を有している。セラミックキャップ8は、例えば、酸化アルミニウムを含むことができる。セラミックキャップ8は、ガラス被覆6の膨張係数よりもわずかに大きい膨張係数を有している。好ましくは、セラミックキャップ8とガラス被覆6の膨張係数の差は、1[10-6-1]以下である。
【0102】
センサ要素及び結合領域7は、セラミックキャップ8の中に完全に組み込まれている。さらに、コンタクト要素4とガラス被覆6は、少なくとも部分的にセラミックキャップ8に組み込まれている。
【0103】
セラミックキャップ 8は、少なくとも部分的にガラス被覆6に融着されている。セラミックキャップ8は、高い使用温度におけるセンサセンブリ1の長期安定性を向上させる。セラミックキャップ8は、スリーブ形状の上部11と、プレート形状の下部10とを有している。セラミックキャップ8は、開放端(上面8a)と閉鎖端(下面8b)を有している。閉鎖端は、下部10で閉鎖される。上部11及び下部10は一体的に設計されている(einstueckig ausgebildet)。下部10は、2つの凹部又はリードスルー(Durchfuehrungen)9を有している。セラミックキャップ8は、好ましくは酸化アルミニウムを有する。
【0104】
図4のセンサセンブリ1は、2つの可能な製造方法(変形1:ガラスプレフォーム、変形2:ガラスペースト)によって製造されますが、これらの方法は、いくつかのプロセスステップにおいて同一である。
【0105】
以下では、まず、変形例1(ガラスプレフォーム)のセンサレンジメントの製造方法を、図5a~5cを用いて説明する。
【0106】
ステップA)乃至D)では、センサ要素を用意し、コンタクト要素4を結合する。ステップA)からD)は、図1によるセンサ配置を製造するための上記の方法と同様に実行される。
【0107】
さらなるステップE)では、上述のセラミックキャップ8を提供する(図5a)。
【0108】
次のステップF)では、ガラスプレフォーム14が提供される。ガラスプレフォーム14は、再結晶バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスからなる。ガラスプレフォーム14は、円筒形の形状をしている。ガラスプレフォーム14は予備焼結される。ガラスプレフォーム14は、上部と下部が開放されている(開放上部14aと開放下部14b、図2)。ガラスプレフォーム14は、セラミックキャップ8の内径よりもわずかに小さい外径を有している。
【0109】
ガラスプレフォーム14は、セラミックキャップ8の開放端8aからセラミックキャップ8に導入される(図5a)。ガラスプレフォーム14は、ガラスプレフォーム18がセラミックキャップの下部10に載るように、セラミックキャップ8に挿入される。ガラスプレフォーム14は、セラミックキャップ8の開放端8aから部分的に突出するような高さを有している。
【0110】
さらなるステップG)では、センサ要素及び少なくとも結合領域7は完全に、円筒形状のガラスプレフォーム14に挿入される。特に、センサ要素と結合領域7は、ガラスプレフォーム14の内側の領域に完全に配置されている。
【0111】
先ず、コンタクト要素4は、セラミックキャップ8の開放上部8aからセラミックキャップ8のリードスルー9に挿入される(図5b)。コンタクト要素4は、図5bから分かるように、ガラスプレフォーム14の下部14bから及びセラミックキャップ8の下部8bから少なくとも部分的に突出している。
【0112】
その後、センサ要素及びコンタクト領域7がガラスプレフォーム14内に完全に配置されるように、センサ装置1はスリーブ状の上部11に完全に挿入される(図5c)。
【0113】
さらなるステップH)において、アセンブリは、ガラス被覆6を形成するために熱処理下に置かれる。その際、ガラスプレフォーム14は溶融され、この文脈において、セラミックキャップ8は、ガラスプレフォーム14に少なくとも部分的に融合される。溶融は、ガラスプレフォーム14をガラス軟化点Tgより高い温度に加熱することによって起こる。その際、ガラス材料は、セラミックキャップ8のリードスルー9に少なくとも部分的に侵入し、リードスルー9及びコンタクト要素4との間の可能な環状ギャップを完全に閉鎖する(図4)。
【0114】
炉内の温度プロファイルには複数のステップがある。プレスされたプリフォーム14に含まれ得る有機添加物を慎重に蒸発させるために、先に低い温度で一定の保持時間が設けられ、その後、高い温度でガラスの実際の溶融が行われる。
【0115】
溶融プロセスにより、ガラス材料は理想的にはセラミックキャップ8内にあり、その内壁を濡らす。ガラス材料の体積の一部は、熱処理によって収縮し、その結果、ガラス被覆6は、熱処理後にセラミックキャップ8内に完全に配置される(図4)。センサセンブリ1のロバスト性は、セラミックキャップ8によってさらに高められる。
【0116】
以下では、図6a~6eに示すように、変形例2(ガラスペースト)を用いた図4によるセンサセンブリの製造について説明する。
【0117】
ステップA)乃至D)では、センサ要素を設け、コンタクト要素を結合する。ステップA)乃至D)は、上述の手順と同様に実施される。
【0118】
ステップE)では、セラミックキャップ8を用意する(図6a)。焼結システムは、セラミックキャップ8の上面8aからセラミックキャップ8に部分的に挿入されている。図6bに見られるように、まずコンタクト要素4がフィードスルー9に挿入され、焼結システムがセラミックキャップ8の下部10に向かってスライドされる。
【0119】
ステップF)では、セラミックキャップ8をガラスペースト12で所定の速度で部分的に充填する。例えば、セラミックキャップ8のスリーブ形状の上部11には、ガラスペースト12が3分の1まで充填されている(図6c)。ガラスペースト12は、再結晶バリウム亜鉛ケイ酸塩ガラスである。
【0120】
その後、ガラスペースト12をセラミックキャップ8内に均一に分配するために、セラミックキャップ8を所定の速度でわずかに横方向に移動させることができる。
【0121】
ステップG)では、焼結システムを所定の速度でセラミックキャップ8の中にさらに導入する。
ガラスペースト12は、セラミックキャップ8のフィードスルー9に少なくとも部分的に侵入し、フィードスルー9とコンタクト要素4との間の可能な環状ギャップを完全に閉鎖する(図6d、6e、4)。
最終的には、センサ要素と結合領域7がセラミックキャップ8の内部に完全に配置される(図6d)。
【0122】
ステップH)では、定義された速度で定義された横方向の移動が行われ、センサ素子とボンディングエリア7をガラスペースト12で濡らし、ガラスペースト12内に気泡が形成されるのを防ぐ。
【0123】
その後、ステップI)では、セラミックキャップ8はガラスペースト12で完全に充填され、センサ要素及び少なくとも接続領域7は完全に、ガラスペースト12によって囲まれるようにする(図6e)。その際、所定の速度で完全な充填が行われる。
【0124】
ステップJ)では、ガラスペースト12を乾燥させる。乾燥は、ガラス被覆6に気泡や欠陥がないことを確実にするように十分慎重に行わなければならない。さらに、ガラスペースト12の製造に必要な添加物が漏れることができなければならない。例えば、まず、ガラスペースト12を室温で4時間乾燥させる。その後、ガラスペースト12を50℃でさらに30分乾燥させることができる。
【0125】
最後に、ガラス化ステップK)が実行される。この際、ガラス被覆6は、ガラス軟化点Tgを超える温度になり、その結果、ガラスケーシング6は、セラミックキャップ8と部分的に融合する。
【0126】
記載された方法によって、気密にシールされ、圧力固定をかけられたガラス被覆6が実現する。このようにして得られたセンサセンブリ1は、特に堅牢で、耐腐食性があり、高温下でも長期にわたって安定している。
【0127】
ここで与えられるオブジェクトの説明は、それぞれの特定の実施形態に限定されない。むしろ、個々の実施形態の特徴は、技術的に意味のある任意の方法で互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0128】
1 センサセンブリ
2 基体
2a 基体の側面
3 電極
4 コンタクト要素
5 コンタクトペースト
6 ガラス被覆
6a 上面
6b 下面
6c 凹部
7 結合領域
8 セラミックキャップ
8a セラミックキャップの上面
8b セラミックキャップの下面
9 フィードスルー
10 下部
11 上部
12 ペースト
13 センサヘッド
14 ガラスプレフォーム
14a 上面
14b 下面
X 長手軸
L センサセンブリの長さ
B センサヘッドの幅
b セラミック基体の幅
l セラミック基体のエッジ長さ
D1 距離
D2 距離
A 拡張
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e