IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデイションの特許一覧

特許7528207液相分子層堆積技術を用いて電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法及び同方法を適用して得られるナノメートルスケールの電極ギャップを備えたデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】液相分子層堆積技術を用いて電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法及び同方法を適用して得られるナノメートルスケールの電極ギャップを備えたデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/414 20060101AFI20240729BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20240729BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01N27/414 301V
G01N27/414 301K
G01N27/00 J
C12Q1/70
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022524026
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 US2020057300
(87)【国際公開番号】W WO2021081478
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】62/926,376
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/021,605
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504260058
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデイション
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】タビブ・アザール,マスード
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529683(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0124084(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101231287(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
C12Q 1/00-3/00
G01N 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法において、
生体試料との結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法を、当該生体試料の大きさと、当該生体試料との結合効力とに基づいて選定するステップと、
電極ギャップ領域の少なくとも1つの表面に、分子認識基を含有する第1層をコーティング成膜するステップと、
前記少なくとも1つの表面に、前記分子認識基との結合性を持たせた導電性固体物質を含有する第2層をコーティング成膜するステップと、
前記電子デバイスに、前記分子認識基の層と前記導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層を追加的にコーティング成膜することで、前記電子デバイスの第1電極と第2電極との間の電極ギャップ間隔を、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記生体試料は、ウイルスと、ウイルスのバイオマーカーとの、いずれかであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記分子認識基には、選択的に前記生体試料と結合する選択的結合性を持たせてあり、前記分子認識基は、アプタマー、抗原、及び抗体のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記生体試料はウイルスであり、
前記方法は更に、ウイルス種との結合に適した前記ナノメートルスケールのギャップ寸法を、当該ウイルス種の大きさと、当該ウイルス種との結合効力とに基づいて選定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記ウイルス種は、アデノウイルス科、パポーバウイルス科、パルボウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、アネロウイルス科、プレオリポウイルス科、レオウイルス科、ピコルナウイルス科、カリシウイルス科、トガウイルス科、アレナウイルス科、フラビウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、コロナウイルス科、アストロウイルス科、ボルナウイルス科、アルテリウイルス科、ヘペウイルス科、レトロウイルス科、カリモウイルス科、及びヘパドナウイルス科の各ウイルス科に属するウイルス種、並びにそれらウイルス種の任意の組合せから成る部類中から選択したウイルス種であるか、または、
前記ウイルス種は、ウイロイド類、サテライト類、欠陥干渉粒子類、プリオン類、及びその同類のその他の様々なサブウイルス病原体種、並びにそれらサブウイルス病原体種の組合せから成る部類中から選択されたサブウイルス病原体種である、
ことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記方法は更に、ウイルス種との結合に適した前記ナノメートルスケールのギャップ寸法を当該ウイルス種の大きさに基づいて選定するステップを含み、当該ウイルス種の大きさは500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、50nm、20nm、及び15nmのうちの少なくとも1つより小さいことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記生体試料はバイオマーカーであり、
前記方法は更に、ウイルス種に対応したバイオマーカーとの結合に適した前記ナノメートルスケールのギャップ寸法を、当該バイオマーカーの大きさと、当該バイオマーカーとの結合効力とに基づいて選定するステップを含み、当該バイオマーカーの大きさは10nm、5nm、2nm、及び1nmのうちの少なくとも1つより小さいことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項8】
前記バイオマーカーはウイルス種に対応した抗体であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記方法は更に、前記電子デバイスに前記交互層を追加的にコーティング成膜することで前記電極ギャップ間隔を100nm、10nm、及び5nmのうちの少なくとも1つより小さい前記ナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
コーティング成膜を施す前の前記電極ギャップ間隔は1μmより大きいことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの表面は、前記第1電極の表面、前記第2電極の表面、及び、前記第1電極と前記第2電極との間を延展しているチャネル画成部の表面であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記第1層及び前記第2層は、層厚が粒子1個分または分子1個分の単層であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記導電性固体物質は、炭素系ナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、金属マイクロビーズ、半導体マイクロビーズ、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記導電性固体物質は、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、パラジウムナノ粒子、プラチナナノ粒子、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記電子デバイスは、電界効果トランジスタとしての構成を有するセンサ、または、電子トンネル効果デバイスとしての構成を有するセンサであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
マイクロメートルスケールのデバイスにおいて、
コーティング成膜された分子認識基の層とコーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層を備えた第1電極と、
コーティング成膜された分子認識基の層とコーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層を備えた第2電極と、を備え、
前記第1電極と前記第2電極との間の電極ギャップ間隔がナノメートルスケールのギャップ寸法とされており、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法は、当該ナノメートルスケールのギャップ寸法より大きいギャップ寸法が、前記コーティング成膜された分子認識基の層と前記コーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る前記交互層によって当該ナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減されたものである、
ことを特徴とするマイクロメートルスケールのデバイス。
【請求項17】
前記コーティング成膜された分子認識基の層と前記コーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る前記交互層を構成している個々の層は、層厚が粒子1個分の大きさの単層であることを特徴とする請求項16記載のマイクロメートルスケールのデバイス。
【請求項18】
前記ナノメートルスケールのギャップ寸法は1μm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、50nm、20nm、10nm、5nm、2nm、及び1nmのうちの少なくとも1つより小さいことを特徴とする請求項16記載のマイクロメートルスケールのデバイス。
【請求項19】
前記ナノメートルスケールのギャップ寸法より大きい前記ギャップ寸法は1μmより大きいことを特徴とする請求項16記載のマイクロメートルスケールのデバイス。
【請求項20】
コーティング成膜された層が含有する前記分子認識基として、ウイルス種とバイオマーカーとの少なくとも一方との結合性を有する分子認識基が選択されており、且つ、当該分子認識基は、アプタマー、抗体、及び抗原のうちの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項16記載のマイクロメートルスケールのデバイス。
【請求項21】
前記導電性固体物質は、炭素系ナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、金属マイクロビーズ、半導体マイクロビーズ、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項16記載のマイクロメートルスケールのデバイス。
【請求項22】
前記導電性固体物質は、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、パラジウムナノ粒子、プラチナナノ粒子、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項16記載のマイクロメートルスケールのデバイス。
【請求項23】
前記マイクロメートルスケールのデバイスは、電界効果トランジスタとしての構成を有するセンサ、または、電子トンネル効果デバイスとしての構成を有するセンサであることを特徴とする請求項16記載のマイクロメートルスケールのデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本件特許出願は2019年10月25日付け出願の米国特許仮出願第62/926,376号、及び2020年5月7日付け出願の米国特許仮出願第63/021,605号に基づく優先権を主張するものであり、これら2件の米国特許仮出願の開示内容はこの言及をもって本願開示に組み込まれたものとする。
【0002】
米国連邦政府の権利
本発明は米国国立科学財団から支給されたグラント第1931100号による政府助成の下に成されたものである。米国連邦政府は本発明に関する所定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法及び同方法を適用して得られる電子デバイスに関する。従って本発明は広く一般的に、材料科学、化学、ナノ製造技術、センサ(バイオセンサを含む)、アクチュエータ、及びエレクトロニクスの、夫々の技術分野に関する。
【背景技術】
【0004】
ナノリソグラフィ技術は、ナノメートルスケールの構造に関連するパターニング工程、形成工程、エッチング工程、それにボトムアップ堆積工程などに関わる技術であり、材料を蝕刻除去し、或いは、材料を析出堆積させることによって、少なくとも2次元方向における寸法がナノメートルスケールであるような微細なフィーチャを備えた構造を形成する技術である。
【0005】
ナノリソグラフィ技術の処理工程は、使用する最新のナノリソグラフィ用製造機器が高額であること、マスク製造及びそれに関連した工程の実施コストが高額であること、それに使用材料が高額であることなどのために、極めて高コストの工程となることがあり、これはナノリソグラフィ技術を運用する上での経済的な問題であるといえる。例えば、ナノリソグラフィ技術を運用する設備を建設するためには、数十億ドルもの費用を要することもある。ナノリソグラフィ技術において、パターニングの微細度を10nm以下とするならば、それによって集積回路、センサ、それにアクチュエータなどの性能を大いに向上させることができるが、ただしそれによって同時に、技術の複雑度も、また製造上の困難度も、指数関数的に増大せざるを得ない。
【0006】
超顕微鏡的に微細な様々な伝染性病原体のうちには、ナノメートルスケールの微細度のものも多く、そのような伝染性病原体としては、例えば、ウイルスタンパク質、RNA、DNA、それにウイルスそれ自体などがある。また、それら伝染性病原体のうちには、一般的疾病の原因病原体であるものもあれば、全世界的保健事情に地球規模での影響を及ぼし得る原因病原体であるものもある。伝染性病原体を検出するためのデバイスを、ウイルス粒子と同程度の大きさのナノメートルスケールの活性領域を備えたデバイスとするならば、そのデバイスは伝染性病原体の検出及び識別の分野における研究開発のための非常に有力な手段となり得るし、ひいては、伝染性疾病の診断、感染患者の治療、感染状況の緩和、及び感染蔓延を防止する手段ともなり得る。しかるに、ナノリソグラフィ技術を運用するためには高額の費用を要することが、費用対効果に優れた有用なナノスケールのバイオセンサなどの開発を遅らせる原因となっている。
【発明の概要】
【0007】
センサやアクチュエータなどの電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法及び同方法を適用して得られる電子デバイスによれば、ウイルスをはじめとする様々な超顕微鏡的に微細な生体試料を検出するデバイスを、費用のかさむナノリソグラフィ技術を用いることなく低コストで製造することができる。より一般的に述べるならば、以下に開示する方法は、ナノメートルスケールの大きさの活性領域及びフィーチャを備えたマイクロメートルスケールの大きさのデバイスの製造に資するものである。この点を理解するための手がかりとして、最近開発された、量子力学的トンネル電流を利用した全粒子ウイルス検出用のウイルスセンサについて説明すると、同ウイルスセンサは2つの電極を備え、それら電極の間に微細ギャップが画成されている。この微細ギャップが検出領域として機能し、ウイルスなどの生体試料がこの微細ギャップの中へ導入されることで、このデバイス(ウイルスセンサ)の電子的応答(例えば、電圧、電流、キャパシタンス、抵抗、トンネル効果、等々)が変化する。そして、一般的に、この微細ギャップの寸法(ギャップ間隔)は、ウイルスセンサの検出性能と、特定の種類のウイルス粒子などのナノ粒子だけを検出する能力である選択度とに影響を及ぼす。
【0008】
1つの実施の形態によれば、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法は、初期電極ギャップ間隔より小さい目標電極ギャップ間隔に対応したナノメートルスケールのギャップ寸法を選定するステップを含む。目標寸法である前記ナノメートルスケールのギャップ寸法は、検出しようとする生体試料(例えば、ウイルス、DNA、RNA、ウイルスタンパク質、等々)に基づいて選定し、当該生体試料の大きさと、当該生体試料との結合効力との関数として選定するのもよい。本方法は更に、電極ギャップ領域の少なくとも1つの表面に、選択的に当該少なくとも1つの表面と結合する選択的結合性を備えた分子認識基を含有する第1層をコーティング成膜するステップを含む。また、前記少なくとも1つの表面、及び/又は、前記分子認識基に、官能化処理などの適宜の処理を施すことで、前記少なくとも1つの表面と前記分子認識基とが互いに結合する結合性を持つようにし、その結合によって分子認識基の層である前記第1層が形成されるようにするのもよい。本方法は更に、分子認識基の層である前記第1層に、前記分子認識基との結合性を持たせた導電性固体物質を含有する第2層をコーティング成膜するステップを含む。多くの場合、前記少なくとも1つの表面以外のその他の表面は、当該表面それ自体を前記分子認識基と前記導電性固体物質とのいずれとの結合性も持たない表面とするか、或いは、当該表面にコーティングを施すことで前記分子認識基と前記導電性固体物質とのいずれとの結合性も持たないようにするとよい。本方法は更に、前記電子デバイスに、前記分子認識基の層と前記導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層を追加的にコーティング成膜することで、前記電子デバイスの前記第1電極と前記第2電極との間の電極ギャップ間隔を目標寸法である前記ナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減するステップを含む。
【0009】
上記方法を適用して得られるデバイスについても併せて説明する。例えば、かかるデバイスは、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された、マイクロメートルスケールのデバイスとすることができる。前記第1電極は、分子認識基のコーティング層と導電性固体物質のコーティング層とが交互に積層して成る交互層を備えたものとすることができる。前記第2電極も同様に、分子認識基のコーティング層と導電性固体物質のコーティング層とが交互に積層して成る交互層を備えたものとすることができる。そして、前記交互層を備えることによって、前記第1電極と前記第2電極との間の電極ギャップがナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減されている。
【0010】
以上に本発明の数々の特徴のうちでも重要度の比較的高い特徴についてかなり大まかに概説したが、それをしたのは、以下に提示する本発明の詳細説明を理解し易くし、また、当業界への本発明の貢献を認識し易くするためである。本発明のその他の特徴は、以下に提示する本発明の詳細説明を添付図面及び請求の範囲の記載と共に参照することでより明瞭に理解することができ、また本発明を実施することで体得できるであろう。
【0011】
本開示の数々の特徴及び利点は、以下に提示する詳細説明を添付図面と共に参照することで明確に理解され、それら詳細説明及び添付図面は本開示の数々の特徴を具体例として例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1a】複数のセンサデバイスが夫々に対応するダイエレメント上に形成されてアレイを成している一実施例に係るウェハーの上面図である。
図1b】電極ギャップ間隔がナノメートルスケールのギャップ寸法とされた一実施例に係る電子デバイスを示した側面図である。
図2a】ナノメートルスケールのギャップ寸法がウイルスとの結合に適した寸法に選定された一実施例に係る電子デバイスを示した側面図である。
図2b】ナノメートルスケールのギャップ寸法がバイオマーカーとの結合に適した寸法に選定された一実施例に係る電子デバイスを示した側面図である。
図3】アプタマーを含有する第1層と、導電性固体物質を含有する第2層と、追加的な交互層とを備えた一実施例に係る電子デバイスを示した側面図である。
図4】アプタマーを含有する第1層と、導電性固体物質を含有する第2層と、追加的な交互層と、疎水層とを備えた一実施例に係る電子デバイスを示した側面図である。
図5a】一実施例に係る、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法を説明するための側面図である。
図5b】一実施例に係る、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法を説明するための側面図である。
図5c】一実施例に係る、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法を説明するための側面図である。
図5d】一実施例に係る、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法を説明するための側面図である。
図6】一実施例に係る電界効果トランジスタを示した側面図である。
図7】一実施例に係る電子トンネル効果デバイスを示した側面図である。
図8】一実施例に係る、電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法を示したフローチャートである。
図9】a~dは、一実施例に係る製造プロセスを説明するための図である。
図10】a及びbに示したのは、一実施例に係るセンサの、電圧値に対する電流値の特性線図(I-V)及び電圧値に対する電流対電圧の微分値の特性線図(dI/dV)であり、どちらの特性線図にも、アプタマー/ウイルスが付着結合しているときの特性と付着結合していないときの特性とが示されている。
図11】a~cに示したのは、電圧依存性及び温度依存性が夫々に異なるウイルスを(或いはバイオマーカーを)通過して流れる電流の導電メカニズムを説明するための模式図である。
【0013】
以上の添付図面は、本発明の様々な態様を例示するために提示するものであって、図面に示した寸法、材料、構造、構成は、それが特許請求の範囲に明記されていない限りは、本発明の範囲の限定要件を成すものではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に具体例としての数々の実施の形態を、当業者が本発明を実施し得るように十分に詳細に説明するが、ただしそれら実施の形態とは異なる形態で本発明を実施することも可能であり、またそれら実施の形態に様々な改変を加えた形態で本発明を実施することも可能であって、そのようなその他の実施の形態もまた、本発明の概念及び範囲から逸脱するものではない。従って本発明の実施の形態についての以下の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の特徴及び特性を説明する上で、例示することのみを目的とし、限定することは目的とせず、本発明を実施するための最良の形態を記載することで当業者が本発明を実施することを可能にする十分な説明とするものである。従って本発明の範囲は請求の範囲の記載によってのみ規定されるべきものである。
【0015】
定義
明細書及び特許請求の範囲において本発明を記載する上では以下の語法及び用語を用いる。
【0016】
名詞で示されているものが単数であると明記されていない場合には、当該名詞で示されているものは単数である場合もあれば複数である場合もある。従って、例えば「粒子」と記載されているとき、それは、ただ1つの粒子を意味していることもあれば複数の粒子を意味していることもある。また、「処理を施す」と記載されているとき、それは、当該処理をただ一度だけ施すことを意味していることもあれば当該処理を複数回に亘って施すことを意味していることもある。
【0017】
明細書及び特許請求の範囲の記載に用いる「約」なる用語は、それが付されているところの期間、量、ないし数値に許容範囲が付随することを意味する。その許容範囲は当業者であれば容易に判断し得るものである。ただし、特段の記載がある場合を除き、「約」なる用語で表される許容範囲は、一般的には2%以下であり、また多くの場合に1%以下であり、また場合によっては0.01%以下のこともある。
【0018】
明細書及び特許請求の範囲の記載において特定の属性ないし状態に関して用いる「実質的に」なる用語は、その特定の属性ないし状態からの偏位が容易に測定できないほど十分に小さいことを意味する。どれほどの大きさの偏位までなら許容されるかは個々の状況に応じて異なることがある。
【0019】
明細書及び特許請求の範囲の記載に用いる「隣接している」なる用語は、2つの構造体ないし構造要素が互いに近接していることを意味する。また特に、「隣接している」と記載された2つの構成要素は、互いに当接していることもあれば、互いに連結していることもある。更に、そのような2つの構成要素は、互いに近接はしていても、互いに接触はしていないこともある。実際にどれほど近接しているかは個々の状況に応じて異なることがある。
【0020】
明細書及び特許請求の範囲の記載においては、便宜上、複数の品目要素、複数の構造要素、複数の構成要素、及び/又は、複数の材料を、1つのリストの形で列挙することがある。その場合に、同一のリストに含まれる個々の要素ないし材料は、相互に関連性を有するものではなく、各々が独立した要素ないし材料として当該リストに収載されているのである。従って、同一のリストに含まれる複数の要素ないし材料は、それらが同一のリストに一括りに列挙されていることをもって事実上の均等物であると解釈されてはならず、均等物である旨が明記されている場合にのみ、均等物であると解釈されるべきものである。
【0021】
明細書及び特許請求の範囲の記載に用いる「~のうちの少なくとも1つ」なる用語は、「~のうちの1つまたは幾つか」と同義である。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」とは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、及び、それらのうちの2つ以上のものの任意の組合せを含み得ることを明示するものである。
【0022】
明細書及び特許請求の範囲には、濃度、量、等々を表す数値データを範囲の形で記載することがある。数値データを範囲の形で記載するのは簡潔明瞭を旨としたものであり、その解釈は柔軟性をもって行われねばならない。即ち、その範囲の上限及び下限を示した数値のみならず、当該範囲に含まれる全ての数値及び当該範囲に含まれる全てのより狭い範囲をも意味するものであり、従って、それら数値及びより狭い範囲が明記されている場合と同等の意味を有する。例えば、約1~約4.5という数値範囲は、そこに明記された限界値である1及び4.5のみならず、それ以外の数値である例えば2、3、4などをも含意するものであり、また、より狭い範囲である、例えば1~3、2~4、等々をも含意するものである。また、ただ1つの数値が明記されている場合にも同様の原則が適用され、例えば「約4.5より小さい」との記載は、以上に例示した数値並びに数値範囲の全てを含意するものと解釈されるべきものである。更に、かかる解釈は、その数値範囲の大小に関わらず、また、その数値が表している特性の如何に関わらず、適用されるべきものである。
【0023】
方法の発明ないしプロセスの発明を記載した請求項に複数のステップが記載されているとき、当該発明は、それら複数のステップが当該請求項に記載されている通りの順序で実行されるものに限定されず、それらステップの実行順序は任意である。また、「~する手段」との記載、それに「~するステップ」との記載により規定される限定要件は、(a)「手段」ないし「ステップ」なる用語が明記されており、且つ、(b)何を「する」かが明記されていることによって限定要件を成すものである。「~する手段」なる記載に関して、それを「する」ために要する構造、材料、動作、等々は明細書に記載されている通りのものである。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載された発明並びにその法的均等発明として規定されるものであり、明細書の詳細な記載によって規定されるものではなく、況んや明細書中に示された実施例によって規定されるものではない。
【0024】
マイクロメートルスケールのデバイスにおけるナノメートルスケールの分子の集合化
以下の説明では、最初に本発明の数々の実施の形態の全般を概説し、その後に個々の実施の形態について詳述する。最初に全般を概説するのは、本明細書を読む者が本発明の技術概念を迅速容易に理解し得るようにすることを意図したものであり、従って、当該技術概念における重要な特徴ないし必須の特徴を明記することを意図したものではなく、況んや特許請求の範囲に記載された主題の範囲を限定することを意図したものではない。
【0025】
第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法は、初期電極ギャップ間隔より小さい目標電極ギャップ間隔に対応したナノメートルスケールのギャップ寸法を選定するステップを含む。目標寸法である前記ナノメートルスケールのギャップ寸法は、検出しようとする生体試料(例えば、ウイルス、DNA、RNA、ウイルスタンパク質、等々)に基づいて選定し、当該生体試料の大きさと、当該生体試料との結合効力との関数として選定するのもよい。本方法は更に、電極ギャップ領域の少なくとも1つの表面に、選択的に当該少なくとも1つの表面と結合する選択的結合性を備えた分子認識基を含有する第1層をコーティング成膜するステップを含む。また、前記少なくとも1つの表面、及び/又は、前記分子認識基に、官能化処理などの適宜の処理を施すことで、前記少なくとも1つの表面と前記分子認識基とが互いに結合する結合性を持つようにし、その結合によって分子認識基の層である前記第1層が形成されるようにするのもよい。本方法は更に、分子認識基の層である前記第1層に、前記分子認識基との結合性を持たせた導電性固体物質を含有する第2層をコーティング成膜するステップを含む。多くの場合、前記少なくとも1つの表面以外のその他の表面は、当該表面それ自体を前記分子認識基と前記導電性固体物質とのいずれとの結合性も持たない表面とするか、或いは、当該表面にコーティングを施すことで前記分子認識基と前記導電性固体物質とのいずれとの結合性も持たないようにするとよい。本方法は更に、前記電子デバイスに、前記分子認識基の層と前記導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層を追加的にコーティング成膜することで、前記電子デバイスの前記第1電極と前記第2電極との間の電極ギャップ間隔を目標寸法である前記ナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減するステップを含む。
【0026】
上記方法を適用して得られるデバイスについても併せて説明する。例えば、かかるデバイスは、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された、マイクロメートルスケールのデバイスとすることができる。前記第1電極は、分子認識基のコーティング層と導電性固体物質のコーティング層とが交互に積層して成る交互層を備えたものとすることができる。前記第2電極も同様に、分子認識基のコーティング層と導電性固体物質のコーティング層とが交互に積層して成る交互層を備えたものとすることができる。そして、前記交互層を備えることによって、前記第1電極と前記第2電極との間の電極ギャップがナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減されている。
【0027】
図1aに示したように、以下に説明するナノギャップ形成処理工程は、ウェーハ10の全体に対して処理を施す工程とすることができる。また、その場合に、標準的なデバイス製造工程に従って、1枚のウェーハ上に多数のデバイス20をアレイ状を形成した後に、そのアレイ状の多数のデバイスを切り分けて個々のダイとし、更に、その切り分けたダイを回路基板などの基板上に実装することで、最終製品のデバイスを得るようにすることができる。従って、一実施例によれば、ウェーハ10上の複数のデバイス20の全てに同時並行的に処理が施される。
【0028】
1つの実施の形態によれば、図1bに示したように、第1電極104及び第2電極106を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップ107が画成された電子デバイス100における電極ギャップ間隔107を縮減する方法は、生体試料120との結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法109を、当該生体試料の大きさと、当該生体試料との結合効力とに基づいて選定するステップを含む。一局面によれば、本方法は更に、電極ギャップ領域107の少なくとも1つの表面に、分子認識基を含有する第1層(図示例では111a、111b、111c、111d、及び111e)をコーティング成膜するステップを含む。別の一局面によれば、本方法は更に、前記少なくとも1つの表面に、前記分子認識基との結合性を持たせた導電性固体物質を含有する第2層(図示例では113a、113b、113c、113d、及び113e)をコーティング成膜するステップを含む。別の一局面によれば、本方法は更に、前記電子デバイス100に、前記分子認識基の層と前記導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層を追加的にコーティング成膜することで、前記電子デバイス100の第1電極104と第2電極106との間の電極ギャップ間隔を、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109にまで縮減するステップを含む。一局面によれば、前記電子デバイス100は、支持基板102及びチャネル画成部108を備えている。一局面によれば、前記電子デバイス100は、電界効果トランジスタ(FET)としての構成を有するセンサ、または、電子トンネル効果デバイスとしての構成を有するセンサである。また、前記電子デバイスがFETとして構成されるのではない場合には、チャネル画成部108は、当該電子デバイスの設計に応じて、誘電体材料で形成されることも、絶縁体材料で形成されることも、或いはその他の適宜の材料で形成されることもある。
【0029】
一局面によれば、前記少なくとも1つの表面は、第1電極104の表面であってもよく、第2電極106の表面であってもよく、また、第1電極104と第2電極106との間を延展するチャネル画成部108の表面であってもよい。換言するならば、前記交互層は、互いに対向している2つの電極の夫々の内側面(即ち、111b、111d)だけに成膜するようにすることもでき、或いは、それら2つの電極の夫々の内側面に加えて更に電極ギャップ領域のギャップ底面にも成膜するようにすることもできる。
【0030】
また、別の一局面として、前記第1層(図示例では111a、111b、111c、111d、及び111e)を単層とし、更に、前記第2層(図示例では113a、113b、113c、113d、及び113e)も単層とするのもよい。分子認識基を含有する層を単層とする場合には、層厚が分子認識基の分子1個分の厚さの単層とするのもよい。導電性固体物質を含有する層を単層とする場合には、層厚が導電性固体物質の粒子1個分の厚さの単層とするのもよい。それら単層の層厚は、如何なる分子認識基を用いるかによって、また、如何なる導電性固体物質の粒子を用いるかによって異なったものとなる。ただし一般的に、アプタマーの長さ寸法は、ヌクレオチド10個分~100個分(即ち、3nm~30nm)である。更に、アプタマーには、その所定部分を切除する処理を施すようにするのもよく、そうすることで、結合に寄与しない不要部分のヌクレオチドを除去することができ、ひいては、電極ギャップ間隔の縮減量をより細かく調整することが可能となる。また更に、導電性固体物質の粒子は、ナノ粒子の形態とするのもよく、粒径が約1nm~約500nmの範囲内のナノ粒子を容易に調製することができ、また、多くの場合、約10nm~約100nmのナノ粒子が用いられる。別の具体例として、導電性固体物質の粒子は、粒径が約0.1μm~約100μmのマイクロビーズの形態とするのもよい。このような大径のマイクロビーズは、縮減しようとする電極ギャップ間隔が比較的大きなものである場合に有用である。
【0031】
一実施例によれば、前記生体試料120は、ウイルスと、ウイルスのバイオマーカーとの、少なくともいずれか一方である。一局面によれば、前記アプタマーは、選択的に前記生体試料120と結合する選択的結合性を持たせたアプタマーである。
【0032】
分子認識基としては、検出対象のウイルスと選択的に結合する選択的結合性を備えた様々な化学化合物である基が用いられる。そのような分子認識基の具体例を挙げるならば、アプタマー、抗原、抗体、等々があり、またそれらのみに限定されない。分子認識基としては一般的に、表面結合基とウイルス結合基とを備えたものを用いる。金属表面には、適宜の官能化処理を施すことで、アプタマー、抗原、抗体、及びその他の分子認識基と結合する結合性を付与するとよい。更に、金属表面には最初の処理として、分子認識基の対応する末端に結合する結合性を備えた活性基による官能化処理を施すことで、その金属表面を活性化しておくとよい。例えば、金属表面にチオール基を付着させるのもよい。ただし一般的に分子認識基は、金属表面に直接的に結合する結合性を備えているものである。そのような表面結合基の具体例を挙げるならば、例えば、アルキルチオール類やジアルキルジスルフィド類などをはじめとする有機硫黄化合物であるチオール類があり、またそれらのみに限定されない。金属表面(例えば金などの表面)に官能化処理を施すための官能化処理法には様々な方法があり、その具体例を挙げるならば、チオール基によるオリゴヌクレオチド官能化処理、一本鎖オリゴヌクレオチドによる表面飽和処理、チオール結合基やアジド結合基などを用いるPEG化処理、光子固定化処理、それにアジド官能化処理などがあり、またそれらのみに限定されない。既知の合成的官能化処理法としてはINNOVACOAT(登録商標)の金コーティング処理があり、また、既知の合成的官能化処理法について詳述している文献には、「Guisan J.編集、"Immobilization of Enzymes and Cells" に所載のPolo E. et al.著(2013年)"Tips for the Functionalization of Nanoparticles with Antibodies"」、「ニュージャージー州、トトワ所在のHumana Press社刊行の "Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)、第1051巻、149-163頁」、「Tiwari et al.著、"Nanomaterials"(2011年)、第1部、第1章、31-63頁、"Functionalized Gold Nanoparticles and Their Biomefical Applications"」などがあり、これら文献の開示内容はこの言及をもって本願開示に組み込まれたものとする。尚、チオール類を用いた官能化処理は、アプタマー、抗原、ないしは抗体の、一方の末端に施すことも可能であり、両方の末端に施すことも可能である。
【0033】
分子認識基の層をコーティング成膜する工程と、導電性固体物質粒子の層をコーティング成膜する工程とは、いずれも液相堆積法による工程とするのがよい。その場合に、例えば、ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を調製した上で、ドロップキャスト法により、コーティング成膜しようとする表面にそのコロイド溶液を滴下塗布して成膜するとよい。ナノ粒子に、または分子認識基に、適宜の官能化処理を施しておくことで、この成膜に際してナノ粒子と分子認識基とが結合するようにすることができる。また、未反応残留物は、洗浄処理または蒸発処理によって除去すればよい。同様にして、分子認識基(例えばアプタマーなど)についても、コーティング成膜しようとする表面に、または既に形成されている導電性固体物質粒子の層に、その分子認識基の溶液を塗布して成膜することで、その表面に、またはその導電性固体物質粒子の層に、分子認識基が結合するようにすることができる。分子認識基に官能化処理を施しておくことで、この成膜に際して、その分子認識基が、露出している導電性材料(即ち、導電性固体物質粒子または電極表面)との間で反応を生じることで、それら分子認識基と導電性材料とが結合するように、することができる。
【0034】
一局面によれば、前記アプタマーは、選択的に前記生体試料120と結合する選択的結合性を有する官能基を備えている。前記アプタマーとしては、市販のものを購入して用いるようにしてもよく、また、公知の合成方法で合成したものを用いるようにしてもよい。アプタマーの公知の合成方法としては、SELEX法(systemic evolution of ligands by exponential enrichment)、RAPTAMER法、等々がある。前記アプタマーとして、様々な官能基を備えたアプタマーを用いることができ、その官能基の種類によって、分子との結合エネルギないしは表面との結合エネルギのレベルは夫々に異なる。そして、結合エネルギのレベルが異なることを利用して、特定の水温において、ある種の表面だけからある種の分子またはアプタマーだけを分離させ、その他の表面や分子には影響を与えずにおくことが可能である。また、その特定の水温は、様々な温度での夫々に乖離を生じさせる実験を行うことで、容易に決定することができる。
【0035】
一実施例によれば、前記生体試料120はウイルスであり、本方法は更に、ウイルス種との結合に適した前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109を、当該ウイルス種の大きさと、当該ウイルス種との結合効力とに基づいて選定するステップを含む。一実施例によれば、前記ウイルス種は、アデノウイルス科、パポーバウイルス科、パルボウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、アネロウイルス科、プレオリポウイルス科、レオウイルス科、ピコルナウイルス科、カリシウイルス科、トガウイルス科、アレナウイルス科、フラビウイルス科(例:ジカウイルスなど)、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、コロナウイルス科(例:SARS-Cov-2ウイルス、SARS-CoVウイルスなど)、アストロウイルス科、ボルナウイルス科、アルテリウイルス科、ヘペウイルス科、レトロウイルス科、カリモウイルス科、ヘパドナウイルス科、等々の各ウイルス科に属するウイルス種、並びにそれらウイルス種の任意の組合せから成る部類中から選択されたウイルス種である。別の一実施例によれば、前記ウイルス種は、ウイロイド類、サテライト類、欠陥干渉粒子類、プリオン類、及びその同類のその他の様々なサブウイルス病原体種、並びにそれらサブウイルス病原体種の組合せから成る部類中から選択されたサブウイルス病原体種である。
【0036】
別の一局面によれば、本方法は更に、ウイルス種との結合に適した前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109を当該ウイルス種の大きさに基づいて選定するステップを含み、当該ウイルス種の大きさは500nm、450nm、400nm、350nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、75nm、50nm、35nm、20nm、及び15nmのうちの少なくとも1つより小さい。
【0037】
一実施例によれば、前記生体試料120はバイオマーカーであり、本方法は更に、ウイルス種に対応したバイオマーカーとの結合に適した前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109を、当該バイオマーカーの大きさと、当該バイオマーカーとの結合効力とに基づいて選定するステップを含み、当該バイオマーカーは、その大きさが1μm、500nm、100nm、50nm、40nm、25nm、及び15nmのうちの少なくとも1つより小さい。一局面によれば、前記バイオマーカーはウイルス種に対応した抗体であり、その抗体の大きさは多くの場合、約7nm~約20nmである。
【0038】
別の一局面によれば、本方法は、前記電子デバイス100に前記交互層を追加的にコーティング成膜することで電極ギャップ間隔を1μm、900nm、800m、700nm、600nm、500nm、450nm、400nm、350nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、75nm、50nm、35nm、20nm、15nm、10nm、及び5nmのうちの少なくとも1つより小さい前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109にまで縮減するステップを含む。別の一局面によれば、コーティング成膜を施す前の前記電極ギャップ間隔は1μm、5μm、10μm、20μm、及び100μmのうちの少なくとも1つより大きい。多くの場合、コーティング成膜を施す前の初期電極ギャップ間隔は、従来の通常の光学フォトリソグラフィの解像度である1μm程度とされる。
【0039】
別の一局面によれば、前記導電性固体物質は、炭素系ナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、金属マイクロビーズ、半導体マイクロビーズ、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成る。また、一局面によれば、前記導電性固体物質は、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、パラジウムナノ粒子、プラチナナノ粒子、等々、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成る。金属ナノ粒子を選択する際の判断基準は、当該金属ナノ粒子を介して電気的に接続される積層構造の電気抵抗を当該金属ナノ粒子がどれほど低減できるかという電気抵抗低減に関する性能であり、また、それに加えて、触媒としての特性や感度特性などの、当該金属ナノ粒子のその他の特性も併せて判断基準とされることがある。例えば、パラジウムナノ粒子を用いることで、水素を高感度で且つ高選択度で検出するセンサを構成することができる。また、プラチナナノ粒子を用いれば、そのプラチナナノ粒子が触媒として機能することによって、デバイスが水素と反応するために要するエネルギのレベルを低下させることができる。
【0040】
別の1つの実施の形態によれば、マイクロメートルスケールのデバイス100は(1)コーティング成膜された分子認識基の層とコーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層(111a、111b、113a、113b)を備えた第1電極104と、(2)コーティング成膜された分子認識基の層とコーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層(111d、111e、113d、113e)を備えた第2電極106と、を備え、(3)前記第1電極104と前記第2電極106との間の電極ギャップ間隔がナノメートルスケールのギャップ寸法109とされている。一局面によれば、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109は、当該ナノメートルスケールのギャップ寸法より大きいギャップ寸法107が、前記コーティング成膜された分子認識基の層と前記コーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る前記交互層(図示例では111a~111e及び113a~113e)によって当該ナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減されたものである。尚、一局面によれば、前記ナノメートルスケールのデバイス100は、電界効果トランジスタ(FET)としての構成を有するセンサ、または、電子トンネル効果デバイスとしての構成を有するセンサである。
【0041】
一局面によれば、コーティング成膜された分子認識基の層とコーティング成膜された導電性固体物質の層とが交互に積層して成る前記交互層を構成している個々の層(図示例では111a~111eないし113a~113e)はいずれも単層であり、それらのうちコーティング成膜された分子認識基の層は層厚が分子1個分の大きさの単層であり、コーティング成膜された導電性固体物質の層は層厚が導電性固体物質の粒子1個分の大きさの単層である。
【0042】
別の一局面によれば、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109は1μm、900nm、800m、700nm、600nm、500nm、450nm、400nm、350nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、75nm、50nm、35nm、20nm、15nm、10nm、及び5nmのうちの少なくとも1つより小さい。別の一局面によれば、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法109より大きい前記ギャップ寸法107は1μm、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、75μm、100μm、150μm、200μm、300μm、400μm、及び500μmのうちの少なくとも1つより大きい。
【0043】
別の一実施例によれば、コーティング成膜された層が含有する前記アプタマーとして、ウイルス種とバイオマーカーとの少なくとも一方との結合性を有するアプタマーが選択される。別の一実施例によれば、前記導電性固体物質は、炭素系ナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、金属マイクロビーズ、半導体マイクロビーズ、等々、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成る。別の一実施例によれば、前記導電性固体物質は、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、パラジウムナノ粒子、プラチナナノ粒子、等々、及びそれらの組合せ、のうちの少なくとも1つから成る。
【0044】
一実施例によれば、電子デバイス、光デバイス、メカニカルデバイス、及び磁気デバイスの、そのデバイス内にナノメートルスケールの分子を集合化させる方法は、センサ、分子エレクトロニクス、及び省エネルギ型エレクトロニクスに適用し得る方法である。一実施例によれば、様々なデバイスにナノメートルスケールの分子を組込むことで、当該デバイスに特別の機能を付与することができ、しかもそれを、当該デバイスにギャップなどのフィーチャをナノメートルスケールで形成することなく可能にしている。これまでは、ナノメートルスケールの感受領域を有するデバイスを製造する上で、その感受領域に分子を集合化させるためにはナノリソグラフィ技術が用いられてきたが、本技術によれば、高コストのナノリソグラフィ技術を用いることなく、マイクロメートルスケールの電極の、その電極ギャップの内側に、ナノメートルスケールの分子を集合化させることができる。
【0045】
一実施例によれば、特定機能分子の層を1層ずつ追加成膜して積層することで当該分子を集合化させる。特定機能分子としては様々な種類の化学活性分子が用いられる。結合ブロック及び集合化ブロックを形成する当該分子は特定機能を備えた分子であり、当該分子の特定機能は、デバイス全体の機械的機能、熱的機能、光的機能、磁気的機能、及び電磁気的機能を強化するような機能である。これによって、適用容易なガラス材料処理技術を用いて精緻なナノデバイスを作り出すことを可能にしている。例えば、最初に成膜する層と、それに続いて成膜する、表面層以外の層は、オリゴヌクレオチド類、ポリエチレングリコール類、グリコール類、等々の、増量材料となり得る分子の層とし、その層によってギャップ間隔を縮減する。そして、最後に成膜する表面層は、アプタマーを含有する層とする。以上において、増量材料の分子は、電極ギャップ表面、及び/又は、中間層に含有される導電性固体物質に結合する。
【0046】
物質のうちには他の物質と直接的に結合する結合性を元々備えているものもあるが、導電性表面、増量材料分子、及び/又は、アプタマーには、上で説明したように官能化処理を施すことで結合性を付与することができる。アプタマーは一般的に、表面結合基とウイルス結合基とを備えているものである。金属表面には、適宜の官能化処理を施すことで、アプタマーと結合する結合性を付与するとよい。更に、金属表面には最初の処理として、アプタマーの対応する末端に結合する結合性を備えた活性基による官能化処理を施すことで、その金属表面を活性化しておくとよい。例えば、金属表面にチオール基を付着させるのもよい。ただし一般的にアプタマーは、金属表面に直接的に結合する結合性を備えているものである。そのような表面結合基の具体例を挙げるならば、例えば、アルキルチオール類やジアルキルジスルフィド類などをはじめとする有機硫黄化合物であるチオール類があり、またそれらのみに限定されない。金属表面との強力な結合が望まれる場合にはチオール類が用いられることが圧倒的に多い。金属表面にも官能化処理を施すとよく、その方法としては、例えば、チオール基によるオリゴヌクレオチド官能化処理、一本鎖オリゴヌクレオチドによる表面飽和処理、チオール結合基を用いることもああるPEG化処理、等々があり、またそれらのみに限定されない。例えばアプタマーの一方の末端または両方の末端に、チオールによる官能化処理を施すのもよい。2つの導電性固体物質の層の間に挟まれるアプタマー層にはジチオールアプタマーを用いるのもよい。また、その場合のジチオールアプタマーとしては、その2つのチオール末端の両方が共に同じ導電性固体物質部の層の表面に結合してしまう確率を十分に低減するために、分子の長さが短く曲がりにくジチオールアプタマーを用いるのがよい。別の一実施例では、ウイルス結合端に結合する中間介在分子を用いて、導電性固体物質と結合する連結部を形成するようにしている。例えば、第1層のアプタマーのウイルス結合端にC60を結合し、そのC60を第2層のアプタマーのウイルス結合基に結合する。この場合、第2層のアプタマーの自由端が官能基である表面結合基となり、この表面結合基が導電性固体物質の層を形成している導電性固体物質部と結合する結合性を有する。かかる中間介在分子は増量材料となり、以上を十分な回数に亘って反復することで目標とするナノギャップ間隔を達成することができる。尚、本明細書の説明の諸処において、分子認識基の具体例としてアプタマーに言及するが、ここに説明するどの状況においても、アプタマーの代わりに抗体や抗原を用いることができ、そうした場合もここに説明する同じ原理が適用される。
【0047】
別の一実施例によれば、図2a及び図2bに示したように、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップ207が画成された電子デバイス200aないし200bにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法が提供される。一局面では、生体試料との結合に適した大きさのナノメートルスケールのギャップ寸法209が選定され、その生体試料は、図2aに示したようにウイルス222であることもあれば、図2bに示したようにバイオマーカー230であることもある。ナノメートルスケールのギャップ寸法209は、生体試料の大きさに基づいて選定されることもあある。一実施例では、重症急性呼吸器症候群第2コロナウイルス(SARS-CoV-2ウイルス)との結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法209を、約50nm~約90nmに選定している。別の一実施例では、バイオマーカー230または抗体との結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法209を、約2nm~約5nmに選定している。ナノメートルスケールのギャップ寸法は数多くのその他の用途にも用いられており、例えば、サブ波長開口を介して近傍界を生成するためにも用いられ、また、物理吸着により形成される表面気体層に直接光電子分光を適用するに基づいた気体センサにも用いられている。これら用途に関して、電極ギャップや電極に対応するのは、サブ波長開口であり、また、気体センサのギャップである。また、これら用途では、ギャップ開口は、非導電性材料で画成されることもあれば、導電性材料で画成されることもある。
【0048】
別の一局面によれば、本方法は、生体試料(222、230)との結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法209を、当該生体試料(222、230)との結合効力に基づいて選定するステップを含む。一実施例として、SARS-CoV-2ウイルスとの結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法209を、SARS-CoV-2ウイルスとの結合効力に基づいて選定する場合に、その結合効力は、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質(Sタンパク質)224との結合効力であることがあり、そのスパイクタンパク質は2つのサブユニットS1及びS2から成る。また、その結合効力には、スパイクタンパク質のみならず、その他の様々な構造タンパク質(例えば、膜タンパク質(Mタンパク質)226、エンベロープタンパク質(Eタンパク質)、それに、ヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)など)も関与していることがある。一般的に、生体試料(222、230)との結合効力に基づいてナノメートルスケールのギャップ寸法209を選択する場合に、その生体試料は、その表面に様々な膜タンパク質を備えていることがある。
【0049】
別の一実施例として、バイオマーカー230との結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法209を、当該バイオマーカーとの結合効力に基づいて選定する場合に、その結合効力は、高分子(例えば、核酸分子、タンパク質分子、脂質分子拡散、等々)との結合効力であることがある。また、一実施例として、ウイルスに対応した抗体との結合に適したナノメートルスケールのギャップ寸法209を、当該抗体との結合効力に基づいて選定する場合に、その結合効力は、1つまたは複数の、フラグメント抗原結合領域またはフラグメント結晶化可能領域との結合効力であることがある。
【0050】
別の一局面によれば、本方法は、電極ギャップ領域207の少なくとも1つの表面に、アプタマーを含有する第1層をコーティング成膜するステップを含む。ここでいう少なくとも1つの表面とは、第1電極204の表面、第2電極206の表面、及びチャネル画成部208の表面のうちの1つまたは幾つかであり、それら第1電極204、第2電極206、及びチャネル画成部208はいずれも基板202に隣接して形成されている。一実施例として、アプタマーを含有する第1層213が、電極ギャップ領域207の少なくとも1つの表面に直接的に接している実施例とすることも可能である。別の一実施例として、アプタマーを含有する第1層213が、電極ギャップ領域207に直接的に接してはいない実施例とすることも可能である。後者の実施例では、導電性固体物質を含有する第2層211が、電極ギャップ領域207の少なくとも1つの表面に直接的に接しているようにし、そしてこの第2層211に、アプタマーを含有する第1層213が直接的に接しているようにするのもよい。一局面として、導電性固体物質に、アプタマーとの結合性を持たせるようにするのもよい。別の一局面として、電極表面に活性化処理ないし官能化処理を施して、電極表面がアプタマーとの間で化学反応を生じてアプタマーに結合する結合性を持たせるようにするのもよい。例えば、アプタマーと電極表面とのいずれか一方にチオール官能基を付加する処理を施して、アプタマーと電極とが結合するようにするのもよい。アプタマーに以上のような処理を施すことによって、導電性固体物質の層とアプタマーの層とを次々と積層して形成することができる。
【0051】
一局面によれば、第1層213が含有するアプタマーは、官能化処理を施すことで選択された生体試料との結合性を持たせたアプタマーである。また、一実施例によれば、生体試料はSARS-CoV-2ウイルスであり、第1層213が含有するアプタマーは、官能化処理を施すことでSARS-CoV-2ウイルスの個体全体との結合性、またはSARS-CoV-2ウイルスに対応したバイオマーカーとの結合性、またはSARS-CoV-2ウイルスに対応した抗体との結合性を持たせたアプタマーである。
【0052】
別の一局面によれば、前記アプタマーは金電極との結合性を有するチオール末端基を備えている。チオール末端基は略々あらゆる材料と結合する結合性を有する。チオール末端基は非常に反応性が高く、場合によってはある種の金属表面を腐食させることがある。そのような場合には、結合エネルギがチオール末端基より小さい別の官能末端基を用いるとよく、その場合の結合は、例えば、金属-炭素(カルベン、アセチリド、ビニリデン、等々)や、金属-窒素(ニトレン、等々)などとなり、またそれらのみに限定されない。
【0053】
別の一局面によれば、本方法は、前記少なくとも1つの表面に、アプタマーとの結合性を持たせた導電性固体物質を含有する第2層211をコーティング成膜するステップを含む。また、その導電性固体物質は、炭素系ナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、金属マイクロビーズ、半導体マイクロビーズ、等々、及びそれらの様々な組合せ、のうちの少なくとも1つから成る。
【0054】
一局面によれば、前記炭素系ナノ粒子は、カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、グラフェン量子ドット、等々、及びそれらの様々な組合せ、のうちの1つまたは幾つかから成る。別の一局面によれば、前記金属ナノ粒子は、酸化鉄ナノ粒子、金ナノ粒子、金ナノシェル、金ナノケージ、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、プラチナナノ粒子、等々、及びそれらの様々な組合せ、のうちの1つまたは幾つかから成る。別の一局面によれば、前記半導体ナノ粒子は、シリコンナノ粒子、ゲルマニウムナノ粒子、ガリウム砒素ナノ粒子、等々、及びそれらの様々な組合せ、のうちの1つまたは幾つかから成る。
【0055】
別の一局面によれば、前記金属マイクロビーズは、銀被覆マイクロビーズ、スチール被覆マイクロビーズ、金被覆マイクロビーズ、等々、及びそれらの様々な組合せ、のうちの1つまたは幾つかから成る。別の一局面によれば、前記半導体マイクロビーズは、シリコンマイクロビーズ、ゲルマニウムマイクロビーズ、ガリウム砒素マイクロビーズ、等々、及びそれらの様々な組合せ、のうちの1つまたは幾つかから成る。
【0056】
別の一局面によれば、本方法は、前記電子デバイス200aないし200bに、アプタマーの層217と導電性固体物質の層215とが交互に積層して成る交互層を追加的にコーティング成膜するステップを含む。追加的にコーティング成膜する前記交互層における個々の層の数は、第1電極204と第2電極206との間の電極ギャップ間隔を前記ナノメートルスケールのギャップ寸法209にまで縮減するような層数に選定すればよい。また、図2a及び図2bに示したように、アプタマーを含有する第1層213は、層厚がアプタマー1個分の単層とするのもよく、導電性固体物質を含有する第2層211は、層厚が導電性固体物質粒子1個分の単層とするのもよい。
【0057】
別の一実施例として、図3に示した電子デバイス300は、第1電極304、第2電極306、及びチャネル画成部308を備え、それら第1電極304、第2電極306、及びチャネル画成部308はいずれも基板302に隣接して形成されている。電子デバイス300は、コーティング成膜されたアプタマーの層313及び317とコーティング成膜された導電性固体物質の層311及び315とが交互に積層して成る交互層を備えた第1電極304を備えている。電子デバイス300は、コーティング成膜されたアプタマーの層313及び317とコーティング成膜された導電性固体物質の層311及び315とが交互に積層して成る交互層を備えた第2電極306を備えている。電子デバイス300の第1電極304と第2電極306との間の電極ギャップ間隔は、ナノメートルスケールのギャップ寸法309とされている。この実施例において、ナノメートルスケールのギャップ寸法309は、このナノメートルスケールのギャップ寸法309より大きいギャップ寸法307が、コーティング成膜されたアプタマーの層313及び317とコーティング成膜された導電性固体物質の層311及び315とが交互に積層して成る交互層によって、このナノギャップ寸法309にまで縮減されたものである。
【0058】
一局面によれば、コーティング成膜されたアプタマーの層313、317と、コーティング成膜された導電性固体物質の層311、315とが交互に積層して成る前記交互層を構成している個々の層311、313、315、317は、層厚がアプタマーの分子1個分の大きさの単層、及び、層厚が導電性固体物質の粒子1個分の大きさの単層である。
【0059】
一局面によれば、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法は1μm、900nm、800m、700nm、600nm、500nm、450nm、400nm、350nm、300nm、250nm、200nm、150nm、100nm、75nm、50nm、35nm、20nm、15nm、10nm、及び5nmより小さい。別の一局面によれば、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法より大きい前記ギャップ寸法は1μm、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、75μm、100μm、150μm、200μm、300μm、400μm、及び500μmのうちの少なくとも1つより大きい。前記ナノメートルスケールのギャップ寸法は、選択的に生体試料350と結合する選択的結合性を有する寸法とされている。
【0060】
一局面によれば、前記電子デバイス300はマイクロメートルスケールのデバイスであり、そのマイクロメートルスケールのデバイスは、電界効果トランジスタとしての構成を有するセンサ、または、電子トンネル効果デバイスとしての構成を有するセンサである。
【0061】
別の一実施例として、図4に示した電子デバイス400は、第1電極404、第2電極406、チャネル画成部408、及び基板402を備えている。電子デバイス400は更に、コーティング成膜されたアプタマーの層413及び417とコーティング成膜された導電性固体物質の層411及び415とが交互に積層して成る交互層を備えている。電子デバイス400の電極ギャップ間隔は、ナノメートルスケールのギャップ寸法409とされており、このギャップ寸法409は、このギャップ寸法409より大きいギャップ寸法407が前記交互層によってこのギャップ寸法409にまで縮減されたものである。前記ナノメートルスケールのギャップ寸法409は、選択的に生体試料450と結合する選択的結合性を有する寸法とされている。
【0062】
別の一局面として、電子デバイス400は疎水性のフォトレジストから成るトップ絶縁層445a及び445bを備えている。それら疎水性のフォトレジストの絶縁層は、電子デバイス400の活性部分だけを露出させ、それ以外の電子デバイス400の全体を被覆するようにパターニングされている。露出している活性部分は感応表面として機能する部分であり、この部分が親水性であることによって、感応表面にアプタマーが堆積し易くなっており、それによって性能が向上している。
【0063】
別の一実施例によれば、図5a~図5dに示したようにして、第1電極504及び第2電極506を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップ507が画成された電子デバイス500aにおける電極ギャップ間隔が縮減されるようにしている。図5aでは、チャネル画成部508が基板502に隣接して形成されている。また、電極ギャップ領域507の第1表面に、アプタマーを含有する第1層がコーティング成膜されることで、電極ギャップ間隔507がギャップ寸法509aにまで縮減されている。別の一局面である図5bでは、電極ギャップ領域507の第1表面に、アプタマーとの結合性を持たせた導電性固体物質を含有する第2層513がコーティング成膜されており、それによって電極ギャップ間隔507が更に縮減され、ギャップ寸法509bにまで縮減されている。
【0064】
別の一局面である図5cでは、電極ギャップ領域507の第1表面に、アプタマーの層519と導電性固体物質の層521とが交互に積層して成る交互層が追加的にコーティング成膜されており、それによって第1電極504と第2電極506との間の電極ギャップ間隔507が更に縮減され、ナノメートルスケールのギャップ寸法509cにまで縮減されている。別の一局面として、図5dに示したように、ナノメートルスケールのギャップ寸法509dは、生体試料550との結合に適したギャップ寸法として選定されたものである。
【0065】
別の一実施例によれば、図6に示したように、前記電子デバイスは、電界効果トランジスタ600としての構成を有するセンサとされている。この電界効果トランジスタは、ソース610、ドレイン620、ゲート630、及びゲート絶縁膜640を備えており、それらによって、絶縁ゲート型FETが構成されている。一実施例によれば、ソース610が第1電極に相当し、ドレイン620が第2電極に相当し、ゲート630は、それら第1電極と第2電極との間を延在するチャネル画成部に相当している。
【0066】
別の一実施例によれば、図7に示したように、前記電子デバイスは、電子トンネル効果デバイス700とされている。一局面として、この電子トンネル効果デバイス700は、基板720(例えばSi基板)と、第1電極710a(例えばSiO電極)と、第2電極710b(例えばSiO電極)と、導電性固体物質(例えば金)の層710a、710b、710cと、アプタマーの層740a、740b、740cと、疎水性材料の層750a、750b(例えばフォトレジスト層)とを備えている。
【0067】
図8に本技術に係る方法のフローチャートを示した。説明を簡明なものとするために、ここでは本方法を、所定の順序に従って実行する一連の行為として図示して説明する。しかしながら、本開示におけるそれら一連の行為のうちには、順序を様々に変えて実行し得るもの、及び/又は、幾つかを同時に実行し得るものもあり、更に、ここでは図示も説明もしないその他の行為と共に実行し得るものもある。また更に、本開示の主題に係る方法を実施する上で、図示した行為の全てが必要であるとは限らない。
【0068】
一実施例として、第1電極及び第2電極を備え、それら電極の間の空間に電極ギャップが画成された電子デバイスにおける電極ギャップ間隔を縮減する方法800は以下のようにして提供される。本方法は、ブロック810に示したように、生体試料との結合に適した大きさのナノメートルスケールのギャップ寸法を、当該生体試料の大きさと、当該生体試料との結合効力とに基づいて選定するステップを含む。本方法は更に、ブロック820に示したように、電極ギャップ領域の少なくとも1つの表面に、アプタマーを含有する第1層をコーティング成膜するステップを含む。本方法は更に、ブロック830に示したように、前記少なくとも1つの表面に、前記アプタマーとの結合性を持たせた導電性固体物質を含有する第2層をコーティング成膜するステップを含む。本発明は更に、ブロック840に示したように、前記電子デバイスに、前記アプタマーの層と前記導電性固体物質の層とが交互に積層して成る交互層を追加的にコーティング成膜することで、前記電子デバイスの第1電極と第2電極との間の電極ギャップ間隔を、前記ナノメートルスケールのギャップ寸法にまで縮減するステップを含む。
【実施例
【0069】
実施例1:デバイス製造工程
本実施例の製作工程(図9a~図9d)では3枚のマスクを使用した。先ず、減圧化学気相成長法(LPCVD)により、4インチシリコンウェハー910上に層厚100nmのSi層920を成膜した。次に、第1マスクを使用してスパッタリング成膜及びパターニングを実施し、それによって第1金/クロム層(Au/Cr層)(層厚100nm)930a及び930bを形成し、もって、図9aに示したように、ボトム電極と、ワイヤボンディングためのボトム電極配線パッドとを形成した。次に、スパッタリング法ないし原子成膜法を用いて、図9bに示したように、スペーサ層であるSiO層940を成膜し(これは抗体ないしバイオマーカーを検出するセンサにおける微細ギャップを画成するためである)、その成膜したSiO層940にフォーミングガス雰囲気中で400℃のアニール処理を施した。このスペーサ層の層厚は、CV2ウイルスを検出するセンサでは70nmとし、一方、バイオマーカーないし抗体を検出するセンサでは層厚2nm~5nmとした。次に、第2マスクを使用してスパッタリング成膜及びパターニングを実施し、これによって図9cに示したように第2Au/Cr層(層厚100nm)950を形成し、もって、トップ電極と、トップ電極配線パッドとを形成した。次に、フォトレジストとパターニングを施したAu/Cr層とをマスクとして利用してスペーサ層であるSiO層にドライエッチングを施し、それによって図9dに示したようにエアギャップを画成した。更に、フォトレジスト(これは疎水性である)から成るトップ絶縁層を成膜し、第3マスクを使用してそのトップ絶縁層にパターニングを施し、それによってそのトップ絶縁層が、デバイスの活性部分(これは親水性である)及び配線パッドだけを露出させて、それ以外のチップの全体を被覆するようにした。そして、かくして画成した空間のギャップ間隔に対して、上述したように、アプタマーの層と金粒子の層とが交互に積層して成る交互層を成膜することで寸法調節を施した。
【0070】
実施例2:電界効果トランジスタ
本実施例の開放チャネル型FETは、ゲート構造をリセスゲートとし、ゲート絶縁層を原子層堆積法により成膜した層厚10nmの二酸化ハフニウム(HfO)層としたものである。また、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極は、スパッタリング成膜した層厚100nmのプラチナ層から成るものとした。チャネル長さ(ソース・ドレイン間距離)は1μmとした。ゲート電極を埋込ゲートとし、チャネルを表面開放型としたため、チャネルに様々な材料を成膜することができ、もって、環境中に露出したそれらチャネル材料に対する電界の効果を調べ得るようにしたものである。また、このFETデバイスの構造は、チャネル領域が露出していることから、病原体/ガス/化学物質を直接的に検知することが可能であった。
【0071】
このFETのチャネルは化学抵抗性を備えたものであった。このチャネルに、ウイルスとの結合性を有するアプタマーによる官能化処理を施し、それによってこのセンサ(FET)にウイルス選択性を持たせた。アプタマーに加えて更に、スパッタリング成膜した金薄膜、または、ゼオライト分子ふるい膜を用いて、アプタマーをFETのチャネル領域に固定でき、ウイルスを捕獲してアプタマーに結合させることができ、チャネル導電率を測定可能なレベルに高め得るようにした。そして更に、ソース・ドレイン間の電極ギャップ間隔を縮減した。尚、第1のFETでは金薄膜をスパッタリング成膜し、第2のFETではゼオライト膜を堆積成膜した。
【0072】
本実施例のFETのチャネルはn型である。続いて、金薄膜の上にアプタマーを備えたチャネルに、失活処理を施したCV2ウイルスを加えた。CV2ウイルスが結合したことで、ドレイン・ソース間電圧VDS = 2Vでのチャネル導電率が約10倍に増大した。またこれに対応して、ドレイン・ソース間電圧VDS = 2VでのFETの相互コンダクタンスも約5倍に増大した。
【0073】
ゼオライトはその構造中に微小孔を有しており、アプタマー及びCV2ウイルスはその微小孔に取り込まれることでFETのチャネル領域に固定される。ゼオライト膜を備えたFETでは、アプタマー及びCV2ウイルスを加えたことで、チャネル導電率が約30倍に増大した。また、それによってFETの相互コンダクタンスも約5倍に増大した。ドレイン・ソース間電圧VDSが正電圧のときのゲート電界効果は顕著であった。
【0074】
実施例3:量子トンネル効果電流センサ
本実施例のCV2ウイルスセンサは、量子力学的トンネル効果電流センサ(TCS)として構成し、CV2ウイルスのスパイクタンパク質との結合性を備えたアプタマーによる官能化処理を施した。そして、複数個のかかる構成のセンサをアレイ状に配列してマルチモードのセンサシステムとした。バイオマーカーセンサ及び抗体センサも同じくTSCとして構成し、特定のバイオマーカーとの結合性を備えたアプタマー及び特定の抗体との結合性を備えたアプタマーによる官能化処理を施した。これらTCSは、ウイルス粒子1個という優れた検出限界(LOC)と、95%という高い感度とを持つものであった。全粒子ウイルスセンサであるCV2ウイルスセンサは、CV2ウイルスの粒径が125nmであることに基づいて、トンネルギャップのギャップ寸法を70nmとした。また、バイオマーカーセンサ及び抗体センサは、検出対象の分子の長さに合わせて、トンネルギャップのギャップ寸法を、より小さい寸法(約1nm~約5nm)とした。
【0075】
本実施例のセンサアレイは、センサの表面が疎水性であり(センサの表面が疎水性であるのはセンサの活性チャネル及び配線パッドの部分を除いたチップ全体がフォトレジスト層で被覆されているからである)、その一方で、センサの活性チャネルが親水性であるため(この活性チャネルが親水性であるのはこの活性チャネルがドライエッチングが施され更に酸素プラズマ処理が施されたSiOから成るからである)、唾液がその親水性の活性チャネル中へ導かれてその活性チャネルの中に留まるようになっている。また、金電極には酸素プラズマ処理を施して、金電極とアプタマーのチオール末端基との結合エネルギが増大させた。これらTSCは検出限界(LOC)と感度とに優れたものであった。尚、複数個のバイオセンサにおける個々のセンサデバイスごとのバラツキと、センサドリフトとに対処するために、機械学習ソフトウェアを製作した。
【0076】
実施例4:量子トンネル効果電流センサ
図10a及び図10bに示したのは、本実施例のセンサにおける、電圧値に対する電流値の特性線図(I-V)、及び、電圧値に対する電流耐電圧の微分値の特性線図(dI/dV)であり、どちらの特性線図も、アプタマー/ウイルスが付着結合している場合と、付着結合していない場合との、両方の場合を示している。トンネルギャップデバイスである本実施例のセンサでは、電圧値に対する電流値の特性と、電圧値に対する電流対電圧の微分値の特性とは、「金-アプタマー-CV2ウイルス-アプタマー-金」という電流経路を有するこのデバイスの、有効バンド図(HOMO-LUMO図)から一意的に決まるものである。図11a~図11cに示したのは、電圧依存特性及び温度依存特性が夫々に異なる場合のウイルス(ないしはバイオマーカー)を介して流れる電流の導電メカニズムを説明するための模式図である。CV2ウイルスは大型のウイルスであるため、幾つものトラップを介して流れる電流が支配的となっている。
【0077】
本技術を説明するために提示したフローチャートは特定の実行順序を図示しているが、図示したものとは異なった順序で実行可能なこともあり得る。例えば、2つのブロックの実行順序を入れ替えて図示した順序とは異なる順序で実行可能なこともあり得る。更に、順次実行するように図示されている2つ以上のブロックを、同時並行的に、或いは部分的に同時に、実行可能なこともあり得る。更には、1つまたは幾つかのブロックを実行せずに省略するような実施の形態とすることもあり得る。
【0078】
本明細書において「一実施例」に言及しているのは、当該実施例に関連して説明している特徴、構造、ないし特性が、本発明の幾つもの実施の形態のうちの少なくとも1つの実施の形態に含まれることを意味している。従って、本明細書の多数の箇所に「一実施例によれば」なる語句が出現しているが、これは、それら多数の実施例の全てが同一の実施の形態に含まれることを意味するものではない。
【0079】
図面に示した様々な実施例を本明細書で説明する上では、具体的な表現を用いて詳細に説明するようにした。ただし、その具体的な表現は本技術の範囲を限定することを意図したものではない。本開示の内容を知得した当業者が想到し得るところの、本明細書で詳述した数々の特徴の改変ないし更なる変更も、更には、図面に示した実施例のその他の用途も、いずれも本明細書に記載した技術の範囲に包含されると判断されるべきものである。
【0080】
更には、以上に説明した数々の特徴、構成、特性は、それらを様々に組合せて実施例となし得るものである。以上の説明では数多くの具体的な細部特徴を提示し、例えば様々な構成の数々の実施例などを提示したが、それらを提示したのは、ここに記載している技術が十分に理解されるようにするためである。ただし、提示した具体的な細部特徴のうちの1つまたは幾つかを備えずに本技術を実施することも可能であり、以上に説明したものとは異なる方法、構成、デバイス、等々により本技術を実施することも可能であることは、当業者には理解されると思われる。また、周知の構造や周知の工程は、図示もせず詳細な説明も省略したが、これは、それらを図示して詳細に説明することで本技術の数々の特徴が却って不明確になるのを回避するためである。
【0081】
以上に構成上の特徴及び/又は工程を示す具体的表現によって主題を説明したが、特許請求の範囲の記載により規定される主題は、以上に説明した具体的な特徴及び工程によって必ずしも限定されるものではない。むしろ、以上に説明した具体的な特徴並び工程は、特許請求の範囲に記載した主題を実施するための具体例としての形態として開示したものである。以上に説明した技術の概念及び範囲から逸脱することなく数多くの改変構成ないし変更構成を創出することも可能である。
【0082】
以上の詳細な説明は具体例としての特定の実施の形態に即して本発明を説明したものである。しかるに、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び改変を施し得ることを理解すべきである。詳細な説明並びに添付図面は、本発明を限定するものではなく、本発明を例示するものであり、以上に記載して明らかにしたように、様々な変更ないし改変はいずれも本発明の範囲に包含されるべきものである。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図13c