(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ブリーダー回路、電池管理システム、電池、保護方法及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H02H 9/04 20060101AFI20240729BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H02H9/04 A
H02H9/04 B
H02J7/00 S
(21)【出願番号】P 2022548745
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2022089068
(87)【国際公開番号】W WO2023071096
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】202111283737.5
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】傅▲炎▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】楚▲楽▼
(72)【発明者】
【氏名】郭茂柏
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108608(JP,A)
【文献】特開2007-312460(JP,A)
【文献】特開2009-106039(JP,A)
【文献】特開2002-010517(JP,A)
【文献】特開2009-195033(JP,A)
【文献】特開2017-118704(JP,A)
【文献】特開平09-298834(JP,A)
【文献】特開平10-201232(JP,A)
【文献】特表2008-529159(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111327030(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112838573(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0352093(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第3915198(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/04
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリーダー回路であって、
サージ電圧を受動的に放出するための第1の過電圧保護装置を含み、被保護ユニットに接続される第1のブランチと、
直列接続される第2の過電圧保護装置と、制御ユニットに接続され、前記制御ユニットの制御信号に基づいて開閉する制御スイッチと、を含み、前記第1のブランチに並列接続される第2のブランチと、
を含
み、
前記第1のブランチと前記第2のブランチは互いに独立して導通する回路である
ことを特徴とするブリーダー回路。
【請求項2】
前記第1のブランチはN本の第1のサブブランチを含み、各前記第1のサブブランチ
はいずれも前記第1の過電圧保護装置
を含み、
N本の前記第1のサブブランチの前記第1の過電圧保護装置が並列接続され、前記Nは2以上の正の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載のブリーダー回路。
【請求項3】
前記第1のサブブランチは前記第1の過電圧保護装置に直列接続される第1の抵抗器を更に含み、
前記第1のブランチが前記被保護ユニットに接続される時、前記第1の抵抗器は前記第1の過電圧保護装置に対して前記被保護ユニットに近い側に位置する、ことを特徴とする請求項2に記載のブリーダー回路。
【請求項4】
前記第1のブランチの第1本の前記第1のサブブランチは前記被保護ユニットに接続され、第2本から第N本までの前記第1のサブブランチの一端は前の1本の前記第1のサブブランチの前記第1の抵抗器と前記第1の過電圧保護装置の間に順に接続され、第2本から第N本までの前記第1のサブブランチの他端は接地し、前記Nは2以上の正の整数である、ことを特徴とする請求項3に記載のブリーダー回路。
【請求項5】
前記第2のブランチはM本の並列接続された第2のサブブランチを含み、各前記第2のサブブランチにはいずれも直列接続される前記第2の過電圧保護装置と前記制御スイッチがあり、
前記Mは2以上の正の整数であり、全ての前記制御スイッチはそれぞれ前記制御ユニットに接続される、ことを特徴とする請求項3または4に記載のブリーダー回路。
【請求項6】
前記第2のサブブランチは前記第2の過電圧保護装置に直列接続される第2の抵抗器を更に含み、
M本の前記第2のサブブランチの前記第2の抵抗器に近い端は、いずれも第N本の前記第1のサブブランチの前記第1の抵抗器と前記第1の過電圧保護装置の間の位置に接続され、M本の前記第2のサブブランチの前記第2の過電圧保護装置に近い端はいずれも接地し、前記MとNはいずれも2以上の正の整数である、ことを特徴とする請求項5に記載のブリーダー回路。
【請求項7】
前記第1の過電圧保護装置と前記第2の過電圧保護装置はいずれも過渡電圧抑制ダイオードである、ことを特徴とする請求項1に記載のブリーダー回路。
【請求項8】
前記制御スイッチはMOSトランジスタである、ことを特徴とする請求項1に記載のブリーダー回路。
【請求項9】
電池管理システムであって、
請求項1に記載のブリーダー回路と、
マイクロ制御プロセッサ、電圧サンプリングユニット、多段階電圧比較ユニットを含み、
前記マイクロ制御プロセッサ、前記電圧サンプリングユニット、前記多段階電圧比較ユニットのうちの少なくとも1つは、前記ブリーダー回路の第2のブランチの制御スイッチに接続され、前記制御スイッチは、前記マイクロ制御プロセッサ、前記電圧サンプリングユニット又は前記多段階電圧比較ユニットの制御信号を受信し、前記制御信号に基づいて開閉する、ことを特徴とする電池管理システム。
【請求項10】
前記ブリーダー回路の第2のブランチの制御スイッチの制御端に接続されるスイッチ制御ユニットを更に含み、前記マイクロ制御プロセッサ、前記電圧サンプリングユニット、前記多段階電圧比較ユニットの少なくとも1つは前記スイッチ制御ユニットに接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の電池管理システム。
【請求項11】
請求項9に記載の電池管理システムに用いられる電池管理システムのブリーダー保護方法であって、
被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断することと、
超えた場合、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、前記第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出することと、を含む、ことを特徴とする電池管理システムのブリーダー保護方法。
【請求項12】
前記被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断する前に、
電池の正極端の電圧と電流が保護閾値に達するか否かを取得することと、
達する場合、前記電池の正極端と電池パックの正極端の間の制御可能なスイッチを開くように制御することと、
前記ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、前記第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、前記ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出することと、を更に含み、
ここで、前記被保護ユニットは電池パックの正極端である、ことを特徴とする請求項11に記載の電池管理システムのブリーダー保護方法。
【請求項13】
前記請求項11に記載の方法を、取得された前記被保護ユニットの電圧が前記過電圧閾値以下になるまで繰り返して実行する、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の電池管理システムのブリーダー保護方法。
【請求項14】
取得された前記被保護ユニットの電圧が前記過電圧閾値を超えた場合、取得された被保護ユニットの電圧を低いものから高いものへの順に応じて複数のレベルに分け、
高いものから低いものへの複数の電圧レベルに対応し、前記ブリーダー回路における第2のサブブランチが連通する数を徐々に増加させるように制御する、ことを特徴とする請求項11に記載の電池管理システムのブリーダー保護方法。
【請求項15】
電池であって、
請求項9又は10に記載の電池管理システム、を含む、ことを特徴とする電池。
【請求項16】
電力消費装置であって、
請求項15に記載の電池、を含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、具体的には、ブリーダー回路、電池管理システム、電池、保護方法及び電力消費装置に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月01日に出願された、発明名称が「ブリーダー回路、電池管理システム、電池、保護方法及び電力消費装置」である中国特許出願202111283737.5の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は参照により本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー技術の発展に伴い、電池技術、特に、リチウム電池技術は迅速に発展した。
【0004】
従来技術において、電池管理システム(Battery Management System、BMSと略称する)を介して電池を効果的に管理するが、電池管理システム自体は低圧システムであり、高電圧に対して耐圧制限が要求されており、完全に電気隔離することができず、高電圧は電池管理システム耐圧制限値を超えた場合、電池管理システムが破壊することを引き起こす。
【0005】
そのため、如何にして電池管理システムに対する過電圧、過電流保護を効果的に行うのは早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、上記問題に鑑み、ブリーダー回路、電池管理システム、電池、保護方法及び電力消費装置を提供し、電池管理システムが高電圧サージにより破壊するという問題を解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本願は、ブリーダー回路を提供し、サージ電圧を受動的に放出するための第1の過電圧保護装置を含み、被保護ユニットに接続される第1のブランチと、直列接続される第2の過電圧保護装置と、制御ユニットに接続され、制御ユニットの制御信号に基づいて開閉する制御スイッチと、を含み、第1のブランチに並列接続される第2のブランチと、を含む。
【0008】
本願の実施例の技術的解決手段において、ブリーダー回路に2本のブランチを設置し、第1のブランチは第1の過電圧保護装置を利用してサージ電圧を受動的に放出することができ、被保護ユニットに対する過電圧保護を行い、第2のブランチには第2の過電圧保護装置が設置されるのみならず、また制御スイッチが増設され、電池管理システムの制御ユニットを介して制御スイッチの開閉を制御することができ、更に第2のブランチがサージ電圧を主動的に放出するように動作させ、よって、ブリーダー回路は、受動的手段と主動的手段を組み合わせる方式で被保護ユニットに対してサージ電圧を放出することができ、被保護ユニットに過電圧の問題が発生しないように保証し、更に大きなサージによる破壊から電池管理システムを保護することができる。
【0009】
一部の実施例において、第1のブランチはN本の第1のサブブランチを含み、各第1のサブブランチにはいずれも第1の過電圧保護装置が直列接続され、ここで、N本の第1のサブブランチの第1の過電圧保護装置が並列接続され、Nは2以上の正の整数である。
【0010】
本実施例は、第1のブランチをN本の第1のサブブランチに設置し、第1のブランチにN個の第1の過電圧保護装置を並列に設置することで、N個の第1の過電圧保護装置は連携して被保護ユニットが受けるサージを放出することができ、サージを受動的に放出する能力を向上させる。
【0011】
一部の実施例において、第1のサブブランチは第1の過電圧保護装置に直列接続される第1の抵抗器を更に含み、ここで、第1のブランチが被保護ユニットに接続される時、第1の抵抗器は第1の過電圧保護装置に対して被保護ユニットに近い側に位置する。
【0012】
本願の実施例では、第1の抵抗器の設置により、電流を制限する役割を効果的に果たすことができ、すなわち、第1の抵抗器は電流制限抵抗器であり、第1の抵抗器は第1の過電圧保護装置の電力消費を効果的に減少させることができる。
【0013】
一部の実施例において、第1のブランチの第1本の第1のサブブランチは前記被保護ユニットに接続され、第2本から第N本までの第1のサブブランチの一端は前の1本の第1のサブブランチの第1の抵抗器と第1の過電圧保護装置の間に順に接続され、第2本から第N本までの第1のサブブランチの他端は接地し、前記Nは2以上の正の整数である。
【0014】
本願の実施例では、N本の第1のサブブランチを上記方式に応じて順に接続することで、第1のブランチに連続的で多段階の受動放出ブランチを形成させ、すなわち、第1本の第1のサブブランチの吸収と抑制の能力に制限があっても、順に接続された第2本の第1のサブブランチから第N本の第1のサブブランチはエネルギーを分担することができ、第1本の第1のサブブランチと連携して共同で動作することができ、共同でサージ電圧を吸収し、サージ電圧に対する吸収能力を向上させ、同時に複数の第1のサブブランチが共同で動作するように設置されることは、1つの第1の過電圧保護装置のみがある第1のブランチに比べ、第1の過電圧保護装置の耐用年数を延長させることができる。
【0015】
一部の実施例において、第2のブランチはM本の並列接続された第2のサブブランチを含み、各第2のサブブランチにはいずれも直列接続される第2の過電圧保護装置と制御スイッチがあり、ここで、Mは2以上の正の整数であり、全ての制御スイッチはそれぞれ制御ユニットに接続される。
【0016】
本願の実施例では、M本の第2のサブブランチの設置により、複数の主動放出通路を形成し、電池管理システムは本願のブリーダー回路を使用する時、制御ユニットを介してM本の第2のサブブランチのうちの1本又は複数本を、電圧の主動放出に参与するように制御することができ、被保護ユニットが過電圧になる様々な状況に対応することができ、主動的手段と受動的手段を組み合わせてサージを放出する形態がより実用になり、サージを放出する効果が更に良くなる。
【0017】
一部の実施例において、第2のサブブランチは第2の過電圧保護装置に直列接続される第2の抵抗器を更に含み、ここで、M本の第2のサブブランチの第2の抵抗器に近い端は、いずれも第N本の第1のサブブランチの第1の抵抗器と第1の過電圧保護装置の間の位置に接続され、M本の第2のサブブランチの第2の過電圧保護装置に近い端はいずれも接地し、前記MとNはいずれも2以上の正の整数である。
【0018】
上記第2の抵抗器の役割は第1の抵抗器の役割に類似し、電流制限抵抗器としても使用され、第2の抵抗器は第2の過電圧保護装置の電力消費を効果的に減少させることができる。
【0019】
一部の実施例において、第1の過電圧保護装置と第2の過電圧保護装置はいずれも過渡電圧抑制ダイオードである。
【0020】
上記の過渡電圧抑制ダイオードを第1の過電圧保護装置と第2の過電圧保護装置として使用することは、非常に高い速度でそのインピーダンスを急激に低減させると同時に、1つの大電流を吸収し、その両端の間の電圧を1つの所定の数値にクランプすることができ、よって、後ろの回路素子が過渡的な高エネルギーの衝撃により破壊しないように確保し、サージを吸収する役割を効果的に果たすことができる。
【0021】
一部の実施例において、制御スイッチはMOSトランジスタである。
【0022】
本願の実施例において、MOSトランジスタは規格化され、価額が低く、容易で、安定的に制御することができるという特徴を有するため、MOSトランジスタを制御スイッチとして使用することで、全体のブリーダー回路は容易に制御することができ、コストが低下する。
【0023】
第2の態様では、本願は、電池管理システムを提供し、上記実施例におけるブリーダー回路と、マイクロ制御プロセッサ、電圧サンプリングユニット、多段階電圧比較ユニットを含み、ここで、マイクロ制御プロセッサ、電圧サンプリングユニット、多段階電圧比較ユニットのうちの少なくとも1つは、ブリーダー回路の第2のブランチの制御スイッチに接続され、制御スイッチは、マイクロ制御プロセッサ、電圧サンプリングユニット又は多段階電圧比較ユニットの制御信号を受信し、制御信号に基づいて開閉する。
【0024】
本願の実施例では、ブリーダー回路の増設により、電池管理システムの被保護ユニットが大きなサージの攻撃を受ける時、ブリーダー回路における第1のブランチと第2のブランチを使用して、受動的放出と主動的放出を組み合わせる方式で被保護ユニットに対してサージ電圧を放出することができ、被保護ユニットに過電圧の問題が発生しないように保証し、電池管理システムが大きなサージにより破壊することがないように保護することができる。
【0025】
一部の実施例において、電池管理システムは、ブリーダー回路の第2のブランチの制御スイッチの制御端に接続されるスイッチ制御ユニットを更に含み、マイクロ制御プロセッサ、電圧サンプリングユニット、多段階電圧比較ユニットの少なくとも1つはスイッチ制御ユニットに接続される。
【0026】
上記のスイッチ制御ユニットの設置により、第2のブランチにおける制御スイッチの制御を更に容易で、安定的にすることができる。
【0027】
第3の態様では、本願は、電池管理システムのブリーダー保護方法を提供し、上記電池管理システムに用いられ、被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断することと、超えた場合、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出することと、を含む。
【0028】
本願の実施例において、当該方法は、被保護ユニットに過電圧が発生する時、第1のブランチはサージ電圧を受動的に放出した後、被保護ユニットに更に過電圧が発生する時、第2のブランチの導通を制御することで、サージを主動的に放出することを実現することができ、高いエネルギーのサージを主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式で放出することを実現し、被保護ユニットに過電圧が生じることにより電池管理システムに過電圧が更に生じることを回避する。当該方法は上記ブリーダー回路を有する電池管理システムに適用されてよく、ブリーダー回路を電池管理システムにおいて効率的に動作させる。
【0029】
一部の実施例において、被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断する前、電池の正極端の電圧と電流が保護閾値に達するか否かを取得することと、達する場合、電池の正極端と電池パックの正極端の間の制御可能なスイッチを開くように制御し、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出することと、を更に含み、ここで、被保護ユニットは電池パックの正極端である。
【0030】
本願の実施例において、電池パックの正極端を被保護ユニットとし、電池モジュールの正極端に過電圧及び/又は過電流が生じる時、発生するサージは電池パックの正極端に作用する時、ブリーダー保護回路の第1のブランチが受動的に放出すると同時に、更に第2のブランチが導通してサージ電圧を主動的に放出するように制御し、電池パックの正極端に過電圧が生じないように保証し、更に全体の電池管理システムがサージにより破壊することがないように保護する。
【0031】
一部の実施例において、「被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断し、超えた場合、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出する」の方法を、取得された被保護ユニットの電圧が過電圧閾値以下になるまで繰り返して実行する。
【0032】
サージ電圧を繰り返して主動的に放出することで、大きなサージを迅速に放出することができ、被保護ユニットの電圧は保護閾値以下であり、過電圧の状況がないように保証し、1回の主動的な放出では被保護ユニット電圧を保護閾値の以下に放出することができないことを回避する。
【0033】
一部の実施例において、取得された被保護ユニットの電圧が過電圧閾値を超えた場合、取得された被保護ユニットの電圧を低いものから高いものへの順に応じて複数のレベルに分け、高いものから低いものへの複数の電圧レベルに対応し、ブリーダー回路における第2のサブブランチが連通する数を徐々に増加させるように制御する。
【0034】
上記のように、過電圧を複数のレベルに分け、幾つかの第2のサブブランチが連携して動作し、サージを放出することをスマートに制御することができ、サージをスマート且つ迅速に放出することを実現する。
【0035】
第4の態様では、本願は、電池を提供し、上記実施例における電池管理システムを含む。
【0036】
第5の態様では、本願は、電力消費装置を提供し、上記実施例における電池を含み、電池は電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0037】
上記説明は、本願の技術的解決手段の概要に過ぎず、本願の技術的手段をより明確に理解し、明細書の内容に従って実施することができ、本願の上記とその他の目的、特徴と利点を更に明確且つ分かりやすくすることができるために、以下、本願の実施形態を挙げている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
下記内容の好ましい実施形態についての詳細な説明を参照し、様々な別の利点と好適な効果は当業者であれば簡単に実現できるものである。図面は、好ましい実施形態を示すものに過ぎず、本願を制限するものと考えられるべきではない。全ての図面において、同一の符号は同一の部品を示す。図面において、
【
図1】本願の一部の実施例のブリーダー回路の構成図である。
【
図2】本願の一部の実施例の別のブリーダー回路の第1のブランチの構成図である。
【
図3】本願の一部の実施例の別のブリーダー回路の第2のブランチの構成図である。
【
図4】本願の一部の実施例の電池管理システムの構成図である。
【
図5】本願の一部の実施例の別の電池管理システムの構成図である。
【
図6】本願の一部の実施例の電池管理システムのブリーダー保護方法のフローチャートである。
【
図7】本願の一部の実施例の別の電池管理システムのブリーダー保護方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面に合わせて本願の技術的解決手段の実施例について詳細に説明する。以下の実施例は、本願の技術的解決手段をより明確に説明するためのものに過ぎないため、単に実例であり、本願の特許請求の範囲を制限することができない。
【0040】
特に定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術と科学用語は当業者であれば一般的に理解する意味と同じである。本明細書中に使用される技術用語は具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限することを意図しない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における技術用語「含む」と「備える」及びこれらのいかなる変形は、非排他的に包含することを意図する。
【0041】
本願の実施例の記述において、技術用語「第1」「第2」などは異なる対象を区別するためのものに過ぎず、比較的な重要性を指示又は示唆し、或いは、技術的特徴の数、特定の順序又は相補的関係を黙示的に意味すると理解すべきではない。本願の実施例の記述において、特に断りのない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0042】
本明細書において言及される「実施例」は、実施例に合わせて説明した特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の様々な箇所の各位置に現れる当該用語は、必ずしも同一の実施例を指すわけではなく、他の実施例と互いに排他的に独立する実施例又は代替実施例を指すわけでもない。当業者であれば、本明細書に記述された実施例は、別の実施例と組み合わせることができることを明示的又は暗黙的に理解すべきである。
【0043】
本願の実施例の記述において、技術用語「及び/又は」は単に関連対象の関連関係を記述するものであり、3種類の関係が存在可能であることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが存在し、AとBが同時に存在し、Bが存在するという3種類の状況を示す。また、本明細書中の文字「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0044】
本願の実施例の記述において、技術用語「複数」は、2つ以上(2つを含む)であり、同様に、「複数組」は2組以上(2組を含む)であり、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)である。
【0045】
本願の実施例の記述において、技術用語「中心」「縦方向」「横方向」「長さ」「幅」「厚さ」「上」「下」「前」「後」「左」「右」「垂直」「水平」「頂」「底」「内」「外」「時計回り」「反時計回り」「軸方向」「直径方向」「周方向」などによって指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本願の実施例の説明及びその説明の簡略化のためのものに過ぎず、指定された装置又は素子は必ず特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されることを指示又は暗示するものではなく、本願の実施例を制限するものと理解すべきではない。
【0046】
本願の実施例の記述において、別途に明示的に規定して限定しない限り、技術用語「取り付ける」「繋がる」「接続する」「固定する」などの技術用語は広く理解されるべきであり、例えば、固定接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体に接続されてもよい。機械的接続されてもよく、電気接続されてもよく、直接的に接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子内部が連通してもよく、2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて上記技術用語の本願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0047】
従来技術において、クリーンエネルギーの発展に伴い、益々多くの機器は電気エネルギーを駆動エネルギーとして使用し、よって多くの電気エネルギーを貯蔵でき且つ複数回に繰り返して充放電可能な電池、例えば、リチウムイオン電池は迅速に発展している。ここで、電池は水力、火力、風力と太陽エネルギー発電所などのエネルギー貯蔵電源システムに応用されるのみならず、また更に電動自転車、電動オートバイ、電気自動車などの電動移動体、及び軍事装備と航空宇宙などの複数の分野に幅広く応用されている。
【0048】
本発明者は、電池の大脳として、二輪車とハイブリッド自動車の電池に主に応用される電池管理システムは低圧システムであり、二輪車とハイブリッド自動車の使用が益々頻繁になるに伴い、使用するシーンも複雑多岐になると気が付いた。例えば、急降坂に使用する場合、二輪車の駆動モータの磁力線が磁場を高速に切ることで発生する高電圧電位は電池管理システムの接触端に重畳される。または、大電流で充電する過程において、電池を保護するために、電流を切断する瞬間に、負荷端で引き起こされるサージ電圧は電池管理システムの両端に重畳される。電池管理システム自体は低圧システムであり、高電圧に対して耐圧制限が要求されており、完全に電気隔離することができず、高電圧が電池管理システム耐圧制限値を超えた場合、電池管理システムの破壊を引き起こす。
【0049】
上記問題の発生を防止するために、現在、最も一般的な解決手段は電池管理システムと接続する被保護ユニットの両端に過電圧保護装置を備えるブリーダー回路が接続され、当該ブリーダー回路における過電圧保護装置を使用して一定の範囲のエネルギーのサージを吸収することである。しかし、当該方法によりサージ電圧を抑制する能力が一定のままで変化することがなく、サージのエネルギーが過電圧保護装置の最大耐性能力を超えた場合、過電圧保護装置は破壊され更に焼付されてしまい、防護の役割を果たすことができなくなり、よってサージ電圧は被保護ユニットに作用し、それにより、それと接続する電池管理システムはサージの作用を受け、破壊しやすい。
【0050】
上記問題を解決するために、発明者の研究によれば、従来のサージ電圧を受動的に放出するブリーダー回路には主動放出機能を有するブランチを増加させることができ、電池管理システムの制御ユニットを介して当該主動放出ブランチの導通を制御し、このように受動的手段と主動的手段を組み合わせて被保護ユニットのサージ電圧を放出し、上記技術課題を解決することができる。
【0051】
本願の実施例に開示されたブリーダー回路はいかなる電池管理システムに応用されてよいが、電池管理システムに限定されず、他の電子管理システム、電子機器管理システムなどのサージ放出に用いられてもよい。
【0052】
本願の実施例に開示された電池管理システムは、現在様々な適用シーン、タイプ、電気量、外形の電池に応用されてよい。
【0053】
本願の実施例に開示された電池は、車両、船舶又は航空機などの電力消費装置に用いられてよいが、それらに限定されない。本願に開示された電池管理システム、電池などを使用して当該電力消費装置の電源システムを構成することができ、それにより、様々なシーンにおけるサージ作用の問題を解決する。
【0054】
本願の実施例は、電池を電源として使用する電力消費装置を提供し、電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動ツール、電動自転車、電気自動車、船舶、宇宙機などであってもよいが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は固定式又は移動式の電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具と電動飛行機玩具などを含んでもよく、宇宙機は飛行機、ロケット、宇宙航空飛行機と宇宙船などを含んでもよい。
【0055】
図1に示すように、本願の一部の実施例によれば、本願は、ブリーダー回路100を提供し、第1のブランチ1と、第2のブランチ2を含み、第1のブランチ1は被保護ユニットに接続され、第1の過電圧保護装置111を含み、第1の過電圧保護装置はサージ電圧を受動的に放出するために用いられ、第2のブランチ2は直列接続される第2の過電圧保護装置211と制御スイッチ212と、を含み、第2のブランチ2は第1のブランチ1に並列接続され、ここで、
図4に示すように、制御スイッチ212は電池管理システム200の制御ユニットに接続され、制御ユニットの制御信号に基づいて開閉する。
【0056】
具体的には、第1のブランチ1と第2のブランチ2はいずれも独立して導通できる回路であってもよく、いずれも少なくとも2つの接続端を有してもよい。ここで、第1のブランチ1が被保護ユニットの両端にブリッジ接続される態様は、直接的にブリッジ接続されてもよく、第1のブランチ1の一端は被保護ユニットに接続され、他端は接地してもよく、すなわち、第1のブランチ1は被保護ユニットに接続されて(例えば、ある接続端を保護する時このように接続する)、被保護ユニットに作用するサージ電圧が第1のブランチ1に伝達することができるように保証してよい。第2のブランチ2は第1のブランチ1に並列接続され、第1端は第1のブランチ1の被保護ユニットに接続される一端に接続され、他端は接地してもよく、第2のブランチ2の両端は直接的に第1のブランチ1の両端に接続されてもよい。
【0057】
被保護ユニットは1つの電子デバイスであってもよく、1つの独立して機能する回路又は電気接続端(例えば、電池パックの正極端V2)であってもよい。
【0058】
第1の過電圧保護装置111と第2の過電圧保護装置211は同種のデバイスであってもよく、同じ機能を有する異種デバイスであってもよい。第1の過電圧保護装置111と第2の過電圧保護装置211は固体放電チップ又は過渡電圧抑制ダイオード(TVSダイオード)のうちの1種であってもよい。
【0059】
制御スイッチ212は開閉の制御を容易に実現できるいかなる制御可能なスイッチであってもよく、例えば、トランジスタであってもよく、MOSトランジスタが好ましい。
【0060】
本願の実施例の技術的解決手段において、ブリーダー回路100に2本のブランチを設置し、第1のブランチ1は第1の過電圧保護装置111を利用してサージ電圧を受動的に放出することができ、被保護ユニットに対する過電圧保護を行い、第2のブランチ2には第2の過電圧保護装置211が設置されるのみならず、また制御スイッチ212が増設され、電池管理システム200の制御ユニットを介して制御スイッチ212の開閉を制御することができ、更に第2のブランチ2をサージ電圧を主動的に放出するように動作させ、更にブリーダー回路100は、受動的と主動的を組み合わせる方式で被保護ユニットに対してサージ電圧を放出することができ、被保護ユニットに過電圧の問題が発生しないように保証し、電池管理システム200が大きなサージにより破壊されることがないように保護することができる。
【0061】
図1と
図2に示すように、本願の一部の実施例によれば、任意選択的に、第1のブランチ1はN本の第1のサブブランチ11を含み、各第1のサブブランチ11にはいずれも第1の過電圧保護装置111が直列接続され、ここで、N本の第1のサブブランチ11の第1の過電圧保護装置111が並列接続され、Nは2以上の正の整数である。
【0062】
具体的には、第1のサブブランチ11は第1のブランチ1において独立して導通できるブランチであり、すなわち、単一な第1のサブブランチ11でサージ電圧を放出する効果を実現することもできる。各第1のサブブランチ11にはいずれも第1の過電圧保護装置111が設置され、各第1のサブブランチ11が単独に動作する時に、いずれも被保護ユニットのサージ電圧を放出することができる。
【0063】
本実施例は、第1のブランチ1をN本の第1のサブブランチ11に設置し、第1のブランチ1にN個の第1の過電圧保護装置111を並列に設置することで、N個の第1の過電圧保護装置111は連携して被保護ユニットが受けるサージを放出することを実現することができ、サージを受動的に放出する能力を向上させる。
【0064】
図1と
図2に示すように、本願の一部の実施例によれば、任意選択的に、第1のサブブランチ11は第1の過電圧保護装置111に直列接続される第1の抵抗器R1を更に含み、ここで、第1のブランチ1は被保護ユニットに接続される時、第1の抵抗器R1は第1の過電圧保護装置111に対して被保護ユニットに近い側に位置する。
【0065】
具体的には、第1の抵抗器R1は電流制限抵抗器であり、実際な使用ニーズに応じて適切な抵抗値を設定してもよく、各第1のサブブランチ11における第1の抵抗器R1は第1の過電圧保護装置111を保護するために用いられ、同時に更に一定の電圧降下機能を有するため、第1の抵抗器R1は第1の過電圧保護装置111に対して被保護ユニットに近い側に位置する。
【0066】
本願の実施例では、第1の抵抗器R1の設置により、電流を制限する役割を効果的に果たすことができ、第1の抵抗器R1は第1の過電圧保護装置111の電力消費を減少させることができる。
【0067】
図2に示すように、本願の一部の実施例によれば、任意選択的に、第1のブランチ1の第1本の第1のサブブランチ11は被保護ユニットに接続され、第2本から第N本までの第1のサブブランチ11の一端は前の1本の第1のサブブランチ11の第1の抵抗器R1と第1の過電圧保護装置111の間に順に接続され、第2本から第N本までの第1のサブブランチ11の他端は接地し、Nは2以上の正の整数である。
【0068】
具体的には、N本の第1のサブブランチ11の間の接続関係を容易に説明するために、N本の第1のサブブランチ11を第1本の第1のサブブランチ11から第N本の第1のサブブランチ11に設定する。且つN本の第1のサブブランチ11の間の接続は上記ルールに応じたものであるため、すなわち、第2本の第1のサブブランチ11から、それぞれの第1のサブブランチ11の一端はいずれも前の1本の第1のサブブランチ11の第1の抵抗器R1と第1の過電圧保護装置111の間に接続され、そのような接続方式によって後の1本の第1のサブブランチ11は、それに接続された前の1本の第1のサブブランチ11により放圧した後の第1の過電圧保護装置111のクランプ電圧を更に放出することができ、よって電圧を多段階的に放出することを実現する。
【0069】
本願の実施例では、N本の第1のサブブランチ11を上記方式に応じて順に接続することで、第1のブランチ1を連続多段階の受動放出ブランチに形成させ、すなわち、第1のサブブランチ11の吸収と抑制の能力が制限される時、順に接続された第2のサブブランチ21から第Nのサブブランチはエネルギーを分担することができ、第1のサブブランチ11と連携して共同で動作することができ、共同でサージ電圧を吸収し、サージ電圧に対する吸収能力を向上させ、同時に1つの第1の過電圧保護装置111のみを有する第1のブランチ1に比べ、第1の過電圧保護装置111の耐用年数を延長させることができる。
【0070】
図1と
図3に示すように、本願の一部の実施例によれば、任意選択的に、第2のブランチ2はM本の並列接続された第2のサブブランチ21を含み、各第2のサブブランチ21にはいずれも直列接続される第2の過電圧保護装置211と制御スイッチ212があり、ここで、Mは2以上の正の整数であり、全ての制御スイッチ212はそれぞれ制御ユニットに接続される。
【0071】
具体的には、第2のサブブランチ21は第2のブランチ2において独立して導通できるブランチであり、すなわち、単一な第2のサブブランチ21は、導通する時に第1のブランチ1がサージ電圧を主動的に放出することを補助することができる。注意すべきことは、各第2のサブブランチ21にはいずれも直列接続される第2の過電圧保護装置211と制御スイッチ212があること保証し、各第2のサブブランチ21をいずれも制御ユニットを介して制御スイッチ212を制御することができるように保証し、第2のサブブランチ21に対応する導通を実現し、すなわち、制御ユニットの制御によってある1本又は複数の第2のサブブランチ21が放圧動作に主動的に参加することを実現することである。
【0072】
本願の実施例では、M本の第2のサブブランチ21の設置により、複数の主動放出通路を形成し、電池管理システム200は本願のブリーダー回路100を使用する時、制御ユニットを介してM本の第2のサブブランチ21のうちの1本又は複数本を、電圧の主動的放出に参与するように制御することができ、被保護ユニットが過電圧になる複数の状況に対応することができ、主動的手段と受動的手段を合わせてサージを放出する形態がより実用になり、サージを放出する効果が更に良くなる。
【0073】
図1と
図3に示すように、本願の一部の実施例によれば、任意選択的に、第2のサブブランチ21は第2の過電圧保護装置211に直列接続される第2の抵抗器R2を更に含み、ここで、M本の第2のサブブランチ21の第2の抵抗器R2に近い端は、いずれも第N本の第1のサブブランチ11の第1の抵抗器R1と第1の過電圧保護装置の間の位置に接続され、M本の第2のサブブランチ21の第2の過電圧保護装置211に近い端はいずれも接地し、MとNはいずれも2以上の正の整数である。
【0074】
具体的には、第2のサブブランチ21における第2の抵抗器R2は第1のサブブランチ11における第1の抵抗器R1の役割と同じで、電流制限抵抗器であり、実際な使用ニーズに応じて適切な抵抗値を設定することができ、各第2のサブブランチ21における第2の抵抗器R2は第2の過電圧保護装置211を保護するために用いられ、同時に更に一定の電圧降下機能を有するため、第2の抵抗器R2は第2の過電圧保護装置211に対して被保護ユニットに近い側に位置する。
【0075】
上記第2の抵抗器R2は第2の過電圧保護装置211の電力消費を効果的に減少させることができ、それを保護する。
【0076】
図1から
図3に示すように、本願の一部の実施例によれば、任意選択的に、第1の過電圧保護装置111と第2の過電圧保護装置211はいずれも過渡電圧抑制ダイオードである。制御スイッチ212はMOSトランジスタである。
【0077】
具体的には、過渡電圧抑制ダイオードは一般的なツェナーダイオードの動作原理に類似し、電圧は降伏電圧より高くなる場合、過渡電圧抑制ダイオードが導通し、しかし、ツェナーダイオードに比べて、過渡電圧抑制ダイオードはより高い電流導通能力を有し、過渡電圧抑制ダイオードの両極は逆方向の過渡的な高エネルギー衝撃を受ける時、迅速にその両極間の高インピーダンスを低インピーダンスに変換することができ、同時に数千ワットに高く達するサージパワーを吸収し、両極間の電圧を1つの安全値にクランプし、電子回路における精密部品がサージ電圧により破壊しないように効果的に保護する。
【0078】
本願は、MOSトランジスタを制御スイッチ212として選択することは好ましい態様に過ぎず、制御スイッチ212を制限するものではない。MOSトランジスタは金属(metal)-酸化物(oxide)-半導体(semiconductor)電界効果トランジスタであり、又は金属-絶縁体(insulator)-半導体と称される。
【0079】
上記の、過渡電圧抑制ダイオードを使用して第1の過電圧保護装置111と第2の過電圧保護装置211とし、非常に高い速度でそのインピーダンスを急激に低減させると同時に、1つの大電流を吸収し、その両端の間の電圧を1つの所定の数値にクランプすることができ、よって、後側の回路素子が過渡的な高エネルギーの衝撃により破壊しないように確保し、サージを吸収する役割を効果的に果たすことができる。MOSトランジスタは一般化され、価額が低く、容易で、安定的に制御することができるという特徴を有するため、MOSトランジスタを制御スイッチとして使用することで、全体のブリーダー回路100は容易に制御することができ、コストが低下する。
【0080】
図4と
図5に示すように、本願の一部の実施例によれば、本願は、電池管理システム200を更に提供し、
図1に示すような上記のいずれかの解決手段のブリーダー回路100と、マイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5、過電流保護ユニット6、及び他の電池管理システム200機能を実現するために用いられる必要ユニット、部品又は回路を含み、ここで、マイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5のうちの少なくとも1つは、ブリーダー回路100の第2のブランチ2の制御スイッチ212に接続され、制御スイッチ212は、マイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4又は多段階電圧比較ユニット5の制御信号を受信し、制御信号に基づいて開閉する。
【0081】
具体的には、電池管理システム200の具体的な構造は、本願では限定されず、本願は、電池管理システム200にブリーダー回路100を増設するだけで、ブリーダー回路100の接続位置は、上記ブリーダー回路の説明に示すとおりであるが、注意すべきことは、電池管理システム200におけるマイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5の少なくとも1つをブリーダー回路100の第2のブランチ2の制御スイッチ212に接続させる必要があり、よって、ブリーダー回路100における第2のブランチ2のサージ電圧の主動的放出への制御を実現することである。
【0082】
マイクロ制御プロセッサ3の別名はワンチップマイクロコンピュータであり、中央処理装置の周波数と規格を適切に低減させて、メモリ、カウンター、USB、A/D変換などの周辺インターフェースを1つのチップに統合して形成したチップレベルコンピュータであり、マイクロ制御プロセッサ3は電池管理システム200のコア制御部であり、信号の検出とコマンド制御に用いられる。電圧サンプリングユニット4は被検出ユニットの電圧信号を収集するためのデバイスであり、当業者により知られており、ここで詳細な説明を省略する。多段階電圧比較ユニット5は複数の異なる比較閾値の電圧比較ユニットで構成され、入力信号と予定値の大きさを比較して比較結果に基づいて出力信号を出力し、コンパレーター又はデータ処理能力を有するチップであってもよい。
【0083】
本願の実施例では、ブリーダー回路100の増設により、電池管理システム200の被保護ユニットは大きなサージの攻撃を受ける時、ブリーダー回路100における第1のブランチ1と第2のブランチ2を使用して、受動的放出と主動的放出を組み合わせる方式で被保護ユニットに対してサージ電圧を放出することができ、被保護ユニットに過電圧の問題が発生しないように保証し、電池管理システム200が大きなサージにより破壊することがないように保護することができる。
【0084】
図4と
図5に示すように、本願の一部の実施例によれば、電池管理システム200は、ブリーダー回路100の第2のブランチ2の制御スイッチ212の制御端に接続されるスイッチ制御ユニット(図示せず)を更に含み、マイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5の少なくとも1つはスイッチ制御ユニットに接続される。
【0085】
具体的には、1つのスイッチ制御回路、演算モジュール又は電子デバイスであってもよく、電池管理システム200のマイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5のいずれかから送信された制御信号に基づいて制御スイッチ212の開閉を制御することを実現できる。
【0086】
上記のスイッチ制御ユニットの設置により、第2のブランチ2における制御スイッチ212の制御を更に容易で、安定的にすることができる。
【0087】
図6に示すように、本願の一部の実施例によれば、本願は、電池管理システムのブリーダー保護方法を更に提供し、上記
図4と
図5に示すような電池管理システム200に用いられ、以下のステップを含む。
ステップ201では、被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断する。
【0088】
具体的には、電池管理システムのリアルタイムに動作するマイクロ制御プロセッサと多段階電圧比較ユニットを介して被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断することができ、超えていない場合ブリーダー回路における第1のブランチのみにより受動的放出動作をさせ、逆に、電圧が過電圧閾値を超えた場合、以下のステップ202を行う。
【0089】
ステップ202では、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出する。
【0090】
具体的には、マイクロ制御プロセッサ、電圧サンプリングユニット、多段階電圧比較ユニットの制御により第2のブランチの制御スイッチに制御信号を送信することができ、制御スイッチを閉じるように制御することで、更にブリーダー回路の第2のブランチをサージ電圧を主動的に放出する動作に参加させる。取得された被保護ユニットの電圧が過電圧閾値を超えていない場合、第2のブランチにおける制御スイッチに制御信号を送信せず、ブリーダー回路において第1のブランチのみを動作させ、サージ電圧を受動的に放出する。
【0091】
本願の実施例において、当該方法は、被保護ユニットに過電圧が発生する時、第1のブランチはサージ電圧を受動的に放出した後、被保護ユニットに更に過電圧が発生する時、第2のブランチの導通を制御することで、サージを主動的に放出することを実現することができ、高いエネルギーのサージを主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式で放出することを実現し、被保護ユニットに過電圧が生じることにより電池管理システムに過電圧が更に生じることを回避する。当該方法は、上記ブリーダー回路を有する電池管理システムに適用されてよく、ブリーダー回路を電池管理システムにおいて効率的に動作させる。
【0092】
図7に示すように、本願の一部の実施例によれば、具体的には以下のとおりである。
【0093】
ステップ301では、電池の正極端の電圧と電流は、保護閾値に達すか否かを取得する。
【0094】
具体的には、電池管理システムにおけるマイクロ制御プロセッサ、多段階電圧比較ユニット、過電流保護ユニットを介して電池の正極端V1の電圧と電流、すなわち、電池モジュールの正極端の電圧と電流を取得することができ、電圧及び/又は電流が保護閾値に達するか否かを判断する。例えば、取得された電池の正極端の電圧と電流は保護閾値に達していない場合、通常に動作し、制御可能なスイッチを開かない。取得された電池の正極端の電圧と電流が保護閾値に達する場合、以下のステップ302を行う。
【0095】
ステップ302では、電池の正極端と電池パックの正極端の間の制御可能なスイッチを開くように制御する。
【0096】
具体的には、電池管理システムにおけるマイクロ制御プロセッサ、多段階電圧比較ユニット、過電流保護ユニットを介して制御可能なスイッチを開くように制御することで、電池モジュールは過電圧と過電流による影響を受けないように保護することができる。制御可能なスイッチは電池の正極端と電池パックの正極端の間における、電気信号で開閉を制御可能なデバイスであり、具体的なデバイスの型番とタイプの選択は当業者により知られている。
【0097】
ステップ303では、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出する。
【0098】
ステップ304では、電池パックの正極端の電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断する。超えていない場合、ブリーダー回路における第1のブランチのみにより受動的に放出し、逆に、電圧が過電圧閾値を超えた場合、以下のステップ305を行う。
【0099】
ステップ305では、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出する。
【0100】
本願の実施例において、電池パックの正極端V2を被保護ユニットとし、電池の正極端V1に過電圧及び/又は過電流が生じる時、発生するサージが電池パックの正極端V2に作用する時、ブリーダー保護回路の第1のブランチが受動的に放出すると同時に、更に第2のブランチが導通してサージ電圧を主動的に放出するように制御し、電池パックの正極端V2に過電圧が生じないように保証し、よって全体の電池管理システムがサージにより破壊することがないように保護する。
【0101】
更に、一部の実施例において、「被保護ユニットの電圧を取得し、電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断し、超えた場合、ブリーダー回路の第2のブランチに制御信号を送信し、第2のブランチの制御スイッチを閉じるように制御することで、ブリーダー回路は、主動的手段と受動的手段を組み合わせる方式でサージ電圧を放出し、」という方法を、取得された被保護ユニットの電圧が過電圧閾値以下になるまで繰り返して実行する。
【0102】
サージ電圧を繰り返して主動的に放出することで、大きなサージを迅速に放出することができ、被保護ユニットの電圧は保護閾値以下であり、過電圧の状況がないように保証し、1回の主動的な放出では被保護ユニット電圧を保護閾値以下に放出することができないことを回避する。
【0103】
一部の実施例において、取得された被保護ユニットの電圧が過電圧閾値を超えた場合、取得された被保護ユニットの電圧を低いものから高いものへの順に応じて複数のレベルに分け、高いものから低いものへの複数の電圧レベルに対応し、ブリーダー回路における第2のサブブランチが連通する数を徐々に増加させるように制御する。
【0104】
具体的には、実際のサージ電圧の大きさに基づき、適切なレベルを設定することができ、その後、選択したブリーダー回路の第1のブランチの電力と、第2のブランチにおける第2のサブブランチの電力に基づいて、幾つかの第2のサブブランチを使用してサージ電圧を主動的に放出することを決定し、具体的な数の選択は実際の設計ニーズに基づいて決定することができる。
【0105】
上記のように、過電圧を複数のレベルに分け、幾つかの第2のサブブランチが連携して動作し、サージを放出することをスマートに制御することができ、サージをスマート且つ迅速に放出することを実現する。
【0106】
本願の一部の実施例によれば、本願は、電池を更に提供し、上記実施例における電池管理システムを含む。
【0107】
本願の一部の実施例によれば、本願は、電力消費装置を更に提供し、上記実施例における電池を含み、電池は電力消費装置に電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0108】
電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動ツール、電池車、電気自動車、船舶、宇宙機などであってもよいが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は定置式又は移動式の電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具と電動飛行機玩具などを含んでもよく、宇宙機は飛行機、ロケット、宇宙航空飛行機と宇宙船などを含んでもよい。
【0109】
図1から
図5に示すように、本願の一部の実施例によれば、電池パックの正極端V2を被保護ユニットとし、ブリーダー回路100は第1のブランチ1と第2のブランチ2を含み、第1のブランチ1には直列接続される第1の抵抗器R1と第1の過電圧保護装置111を有し、第2のブランチ2は第2の抵抗器R2、第2の過電圧保護装置211及び制御スイッチ212を有し、第2のブランチ2は第1のブランチ1の第1の過電圧保護装置111に並列接続され、第1のブランチ1の一端は電池パックの正極端V2に接続され、他端は接地し、ブリーダー回路100を電池パックの正極端V2に接続させることを実現し、第2のブランチ2の制御スイッチ212は電池管理システム200のマイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5のうちの少なくとも1つに接続される。
【0110】
電池管理システム200はマイクロ制御プロセッサ3、多段階電圧比較ユニット5、過電流保護ユニット6を介して電池の正極端V1の電圧と電流を取得し、電圧及び/又は電流は保護閾値に達すると判断する時、電池管理システム200におけるマイクロ制御プロセッサ3、多段階電圧比較ユニット5、過電流保護ユニット6は制御可能なスイッチを開くように制御し、電池が過電圧と過電流による影響を受けないように保護する。この時、発生するサージは電池パックの正極端V2に作用し、ブリーダー回路100の第1のブランチ1はサージ電圧を受動的に放出し、同時にマイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5の制御により第2のブランチ2の制御スイッチ212に制御信号を送信し、制御スイッチ212を閉じるように制御することで、更にブリーダー回路100の第2のブランチ2をサージ電圧を主動的に放出する動作に参加させる。
【0111】
その後、マイクロ制御プロセッサ3と多段階電圧比較ユニット5は被保護ユニットの電池パックの正極端V2の電圧を取得し、及び電圧が過電圧閾値を超えたか否かを判断し、超えた場合、再びマイクロ制御プロセッサ3、電圧サンプリングユニット4、多段階電圧比較ユニット5の制御により第2のブランチ2の制御スイッチ212に制御信号を送信し、制御スイッチ212を閉じるように制御することで、第2のブランチ2をサージ電圧を主動的に放出する動作に参加させ、このように電池パックの正極端V2の電圧が過電圧閾値以下になるまで繰り返し、この時、ブリーダー回路100の第1のブランチ1のみによりサージ電圧を受動的に放出することができる。
【0112】
最後に説明しておきたいことは、以上の各実施例は、本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではないことであり、上記各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者が理解すべきことは、依然として上記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又は、その一部又は全て技術的特徴に対する等価変更を行うことができ、これらの修正又は変更によって、対応する技術的解決手段の精神は本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱することなく、いずれも本願の請求項と明細書の範囲に含まれるべきであることである。特に、構造的な矛盾がない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれもあらゆる方式で組み合わせてもよい。本願は、明細書に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0113】
100-ブリーダー回路、200-電池管理システム、1-第1のブランチ、11-第1のサブブランチ、111-第1の過電圧保護装置、R1-第1の抵抗器、2-第2のブランチ、21-第2のサブブランチ、211-第2の過電圧保護装置、212-制御スイッチ、R2-第2の抵抗器、3-マイクロ制御プロセッサ、4-電圧サンプリングユニット、5-多段階電圧比較ユニット、6-過電流保護ユニット、V1-電池の正極端、V2-電池パックの正極端。