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特許7528252電池セル及びそれを製造する電池セル製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】電池セル及びそれを製造する電池セル製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20240729BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240729BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240729BHJP
【FI】
H01M50/184 C
H01M50/30
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/548 301
H01M50/533
H01M50/557
H01M50/534
H01M50/198
H01M50/193
H01M50/35 101
H01M50/367
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022563475
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 KR2022003313
(87)【国際公開番号】W WO2022191612
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030399
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・リム
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097984(JP,A)
【文献】特開2012-074363(JP,A)
【文献】特開2001-093489(JP,A)
【文献】特表2015-511060(JP,A)
【文献】特表2018-525804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/105-50/198
H01M 50/30ー50/562
H01M 50/35-50/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、
前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、
前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、
前記リードフィルムの一面に非接着部が形成され、前記非接着部は前記電極リードの外面に対向しており
前記電極リードの突出方向を基準にして、前記非接着部の一端部は前記シーリング部の内側面よりも内側に、且つ前記リードフィルムの内側端部よりも外側に位置し、前記非接着部の他端部は前記シーリング部の外側面よりも外側に、且つ前記リードフィルムの外側端部よりも内側に位置し、
前記電池ケースの内部で発生したガスが前記非接着部に流れ込み、前記リードフィルムを透過して前記電池ケースの外部へと排出される、電池セル。
【請求項2】
前記非接着部は、前記電極リードの突出方向に沿って延設されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記シーリング部の外側面よりも外側に位置する前記非接着部の面積は、前記シーリング部の内側面よりも内側に位置する前記非接着部の面積よりも大きい、請求項1または2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記非接着部は、円形状または長方形状である、請求項1からのいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記非接着部は、互いに連結されている第1非接着部及び第2非接着部を含み、
前記第1非接着部は、前記非接着部の長手方向に沿って延設され、
前記第2非接着部は、前記電極リードの突出方向に沿って延設されている、請求項1からのいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第1非接着部の長さは、前記電極リードの幅よりも短く、
前記第2非接着部の長さは、前記リードフィルムの幅よりも短い、請求項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記リードフィルムは、第1リードフィルム及び第2リードフィルムを含み、前記第1リードフィルムは前記電極リードの上部に位置し、前記第2リードフィルムは前記電極リードの下部に位置している、請求項1からのいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記電極リードは、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとの間に位置し得、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとは互いに一体化されている、請求項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムの少なくとも一つに前記非接着部が形成されている、請求項またはに記載の電池セル。
【請求項10】
前記電極リードの外面に表面変形部が形成され、前記表面変形部の少なくとも一部は前記非接着部に対向している、請求項1からのいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記表面変形部は、前記電極リードの外面の一部が除去されて形成されている、請求項10に記載の電池セル。
【請求項12】
前記表面変形部は、前記電極リードの突出方向に沿って延設されている、請求項10または11に記載の電池セル。
【請求項13】
前記電極リードの突出方向を基準にして、前記表面変形部の一端部は前記シーリング部の内側面よりも内側に位置し、前記表面変形部の他端部は前記シーリング部の外側面よりも外側に位置している、請求項10から12のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項14】
前記シーリング部の外側面よりも外側に位置する前記表面変形部の面積は、前記シーリング部の内側面よりも内側に位置する前記表面変形部の面積よりも大きい、請求項10から13のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項15】
前記表面変形部と前記非接着部とは同じ形状を有する、請求項10から14のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項16】
前記電極リードの外面にコーティング層が形成されており、
前記表面変形部は、前記コーティング層のうちの一部が除去されて形成されている、請求項10から15のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項17】
前記コーティング層は、金属物質からなる、請求項16に記載の電池セル。
【請求項18】
前記金属物質は、クロム及びニッケルの少なくとも一つを含む、請求項17に記載の電池セル。
【請求項19】
前記リードフィルムのガス透過度が60℃で20バーラー~60バーラーである、請求項1から18のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項20】
前記リードフィルムの水分浸透量が25℃及び50%RHで10年の間に0.02g~0.2gである、請求項1から19のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項21】
前記リードフィルムは、ポリプロピレンを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項22】
前記非接着部の部分でのリードフィルムの厚さが100μm~300μmである、請求項1から21のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項23】
前記非接着部の他端部と前記リードフィルムの最外側端部との間の幅が2mm以上である、請求項1から22のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項に記載の電池セルを製造する電池セル製造装置であって、
前記電極リードと前記リードフィルムとを一緒に加圧する治具を含み、
前記治具は、前記リードフィルムと対向する一面上に凹部を含み、
前記治具が前記リードフィルムを加圧して、前記凹部と対向する前記リードフィルムの一面と反対面である、前記リードフィルムの他面に前記非接着部が形成され、
前記非接着部は、前記凹部と同じ形状で形成される、電池セル製造装置。
【請求項25】
前記凹部は、前記治具の一面をエッチングして形成されている、請求項24に記載の電池セル製造装置。
【請求項26】
前記電極リードの外面に表面変形部が形成されており、前記表面変形部の少なくとも一部は、前記凹部と対向する位置に形成されている、請求項24または25に記載の電池セル製造装置。
【請求項27】
前記表面変形部は、前記凹部の形状と同じ形状を有する、請求項26に記載の電池セル製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月8日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0030399号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電池セル及びそれを製造する電池セル製造装置に関し、より具体的には、製造工程が容易でありながらも、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能が向上した電池セル及びそれを製造する電池セル製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急増している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置のエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
このような二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒型または角形の金属缶に収納されている円筒型電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型ケースに収納されているパウチ型電池とに分けられる。ここで、電池ケースに収納される電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を備え、充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長尺シート型の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き取ったゼリーロール型と、複数の正極と負極とを、分離膜を介在した状態で順次に積層した積層型とに分けられる。
【0005】
中でも、特に積層型または積層/折畳み型電極組立体をアルミニウムラミネートシートからなるパウチ型電池ケースに収納した構造のパウチ型電池は、製造コストが低くて軽量であり、変形が容易であるなどの理由から使用量が次第に増加している。
【0006】
図1は、従来の電池セルの上面図である。図2は、図1のa-a’に沿った断面図である。図1及び図2を参照すると、従来の電池セル10は、電極組立体11が収納部21に取り付けられ、外周辺が密封された構造のシーリング部25を含む電池ケース20を含む。ここで、シーリング部25を通って電池ケース20の外側に突出している電極リード30を含み、電極リード30の上下部とシーリング部25との間にはリードフィルム40が位置する。
【0007】
しかし、近年、電池セルのエネルギー密度の増加とともに、電池セルの内部で発生するガスの量も増加するという問題がある。従来の電池セル10の場合、電池セルの内部で発生したガスを排出する部品が含まれておらず、電池セルにガス発生によるベンティング現象が生じ得る。さらに、ベンティング現象によって損傷された電池セルの内部に水分が浸透して副反応が引き起こされ、電池性能の低下及びさらなるガスの発生につながるおそれがある。そこで、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能が向上した電池セルに対する開発要求が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、製造工程が容易でありながらも、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能が向上した電池セル及びそれを製造する電池セル製造装置を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上述した課題に制限されず、言及されていない課題は、本明細書及び添付される図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による電池セルは、電極組立体が取り付けられる収納部、及び該収納部の外周辺が密封されて形成されるシーリング部を含む電池ケースと、前記電極組立体に含まれた電極タブと電気的に接続され、前記シーリング部を通って前記電池ケースの外側に突出している電極リードと、前記電極リードの上部及び下部の少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムと、を含み、前記リードフィルムの一面に非接着部が形成され、前記非接着部は前記電極リードの外面に対向する。
【0011】
前記非接着部は、前記電極リードの突出方向に沿って延設され得る。
【0012】
前記電極リードの突出方向を基準にして、前記非接着部の一端部は前記シーリング部の内側面よりも内側に位置し、前記非接着部の他端部は前記シーリング部の外側面よりも外側に位置し得る。
【0013】
前記シーリング部の外側面よりも外側に位置する前記非接着部の面積は、前記シーリング部の内側面よりも内側に位置する前記非接着部の面積よりも大きくなり得る。
【0014】
前記非接着部は、円形状または長方形状であり得る。
【0015】
前記非接着部は、互いに連結されている第1非接着部及び第2非接着部を含み、前記第1非接着部は前記非接着部の長手方向に沿って延設され、前記第2非接着部は前記電極リードの突出方向に沿って延設され得る。
【0016】
前記第1非接着部の長さは、前記電極リードの幅よりも短く、前記第2非接着部の長さは、前記リードフィルムの幅よりも短くなり得る。
【0017】
前記リードフィルムは、第1リードフィルム及び第2リードフィルムを含み得、前記第1リードフィルムは前記電極リードの上部に位置し得、前記第2リードフィルムは前記電極リードの下部に位置し得る。
【0018】
前記電極リードは、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとの間に位置し得、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとは一体化され得る。
【0019】
前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムの少なくとも一つに前記非接着部が形成され得る。
【0020】
前記電極リードの外面に表面変形部が形成され、前記表面変形部の少なくとも一部は前記非接着部に対向し得る。
【0021】
前記表面変形部は、前記電極リードの外面の一部が除去されて形成され得る。
【0022】
前記表面変形部は、前記電極リードの突出方向に沿って延設され得る。
【0023】
前記電極リードの突出方向を基準にして、前記表面変形部の一端部は前記シーリング部の内側面よりも内側に位置し、前記表面変形部の他端部は前記シーリング部の外側面よりも外側に位置し得る。
【0024】
前記シーリング部の外側面よりも外側に位置する前記表面変形部の面積は、前記シーリング部の内側面よりも内側に位置する前記表面変形部の面積よりも大きくなり得る。
【0025】
前記表面変形部と前記非接着部とは、同じ形状を有し得る。
【0026】
前記電極リードの外面にコーティング層が形成されており、前記表面変形部は、前記コーティング層のうちの一部が除去されて形成され得る。
【0027】
前記コーティング層は、金属物質からなり得る。
【0028】
前記金属物質は、クロム及びニッケルの少なくとも一つを含み得る。
【0029】
前記リードフィルムのガス透過度(permeability)は、60℃で20~60バーラー(barrer)であり得る。
【0030】
前記リードフィルムの水分浸透量は、25℃及び50%RHで10年の間に0.02~0.2gであり得る。
【0031】
前記リードフィルムは、ポリプロピレンを含み得る。
【0032】
前記非接着部部分でのリードフィルムの厚さは、100~300μmであり得る。
【0033】
前記非接着部の他端部と前記リードフィルムの最外側端部との間の幅は、2mm以上であり得る。
【0034】
本発明の他の一態様による電池セル製造装置は、上述した電池セルを製造する装置であって、前記電極リードと前記リードフィルムとを一緒に加圧する治具を含み、前記治具は、前記リードフィルムと対向する一面上に凹部を含み、前記治具が前記リードフィルムを加圧して、前記凹部と対向する前記リードフィルムの一面と同じ垂直線上にある前記リードフィルムの他面に前記非接着部が形成され、前記非接着部は前記凹部と同じ形状で形成される。
【0035】
前記凹部は、前記治具の一面をエッチングして形成され得る。
【0036】
前記電極リードの外面に表面変形部が形成されており、前記表面変形部の少なくとも一部は、前記凹部と対向する位置に形成され得る。
【0037】
前記表面変形部は、前記凹部の形状と同じ形状を有し得る。
【発明の効果】
【0038】
本発明の実施形態によれば、非接着部が形成されているリードフィルムを含む電池セル及びそれを製造する電池セル製造装置を提供し、製造工程が容易でありながらも、電池セルの内部で発生したガスの外部排出能を向上させることができる。
【0039】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない効果は本明細書及び添付される図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】従来の電池セルの上面図である。
図2図1のa-a’に沿った断面図である。
図3】本発明の一実施形態による電池セルの上面図である。
図4図3の電池セルに含まれた電極リードの斜視図である。
図5図4のc-c’に沿った断面図である。
図6図4のd-d’に沿った断面図である。
図7図3に示された電池セルの電極リード及びリードフィルムをそれぞれ拡大した図である。
図8図3のb-b’に沿った断面図である。
図9】本発明の他の一実施形態による電池セル製造装置によって電極リードとリードフィルムとが接着される過程を示した図である。
図10図9のe-e’及びf-f’に沿ったそれぞれの断面図である。
図11図10に示された電極リードに表面変形部が形成されていない場合を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の多様な実施形態について当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現でき、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0042】
本発明を明確に説明するため、説明と関係ない部分は省略し、明細書の全体を通して同一または類似の構成要素に対しては、同じ参照符号を付することにする。
【0043】
また、図示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示されているため、本発明が図示によって限定されることはない。図面においては、多様な層及び領域を明確に示すため、厚さを拡大して示している。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して示している。
【0044】
また、明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0045】
また、明細書の全体において、「平面図」とするとき、これは対象部分を上方から眺めた場合を意味し、「断面図」とするとき、これは対象部分を垂直に切った断面を側方から眺めた場合を意味する。
【0046】
以下、本発明の一実施形態によるパウチ電池セル100について説明する。但し、パウチ電池セル100の両側面のうちの一側面を基準にして説明するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他側面の場合にも同一または類似の説明が適用され得る。
【0047】
図3は、本発明の一実施形態による電池セルの上面図である。
【0048】
図3を参照すると、本実施形態による電池セル100は、電池ケース200、電極リード300、及びリードフィルム400を含む。
【0049】
電池ケース200は、電極組立体110が収納部210に取り付けられ、外周辺が密封された構造のシーリング部250を含む。前記シーリング部250は、熱またはレーザーなどによって密封され得る。電池ケース200は、樹脂層及び金属層を含むラミネートシートからなり得る。より具体的には、電池ケース200は、ラミネートシートからなり、最外郭を成す外側樹脂層、物質の通過を防止する遮断性金属層、及び密封のための内側樹脂層で構成され得る。
【0050】
また、電極組立体110は、ゼリーロール型(巻取型)、積層型(スタック型)、または複合型(積層/折畳み型)の構造からなり得る。より具体的には、電極組立体110は、正極、負極、これらの間に配置される分離膜からなり得る。
【0051】
以下、電極リード300及びリードフィルム400を中心に説明する。
【0052】
図4は、図3の電池セルに含まれた電極リードの斜視図である。
【0053】
図3及び図4を参照すると、電極リード300は、電極組立体110に含まれた電極タブ(図示せず)と電気的に接続され、シーリング部250を通って電池ケース200の外側に突出している。また、リードフィルム400は、電極リード300の上部及び下部の少なくとも一方において、シーリング部250に対応する部分に位置する。これにより、リードフィルム400は、熱融着時に電極リード300で短絡が発生することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させることができる。
【0054】
図5図4のc-c’に沿った断面図であり、図6図4のd-d’に沿った断面図である。
【0055】
図5及び図6を参照すると、本実施形態において、リードフィルム400の一面には非接着部450が形成されており、非接着部450は電極リード300の外面に対向し得る。より具体的には、リードフィルム400において、電極リード300と接するリードフィルム400の一面に非接着部450が形成され得る。
【0056】
ここで、非接着部450は、リードフィルム400と電極リード300とが熱融着によって密封される過程で形成され得る。より具体的には、非接着部450は、リードフィルム400と電極リード300とが接するが、リードフィルム400に加えられる熱及び/または圧力が相対的に少ない部分であり得る。すなわち、リードフィルム400において非接着部450は、電極リード300に対する接着力が相対的に弱い部分であって、電極リード300とリードフィルム400との間の非接着部分であり得る。換言すると、非接着部450は、リードフィルム400と電極リード300との間の非接着部分であって、気体が流動可能なガス排出通路の役割を果たすことができる。
【0057】
但し、図5及び図6には非接着部450の厚さを多少誇張して図示しているが、実際に非接着部450は、肉眼で見たとき、リードフィルム400の外観の変形がなくてもよい。
【0058】
一例として、非接着部450は、電極リード300とリードフィルム400とが互いに当接するが、接着されていない部分であり得る。他の一例として、非接着部450は0.01μm~数百μmの厚さを有し得る。但し、非接着部450の厚さはこれに限定されるものではなく、電極リード300とリードフィルム400との間の気密性及び耐久性に影響を及ぼすことなく接着力を弱化させる厚さであり得る。
【0059】
より具体的には、電池セル100の内部圧力は非接着部450の内部圧力よりも高く、これによる圧力差がガスの推進力(driving force)として作用する。このとき、電池セル100の内部で発生したガスは、上述した圧力差によって非接着部450内に流れ得る。また、非接着部450の内部には電池セル100の内部から流れ込んだガスによって外部圧力との差が生じ、非接着部450の内部に流れ込んだガスは外部へと排出され得る。
【0060】
これにより、本実施形態による電池セル100において、電池ケース200の内部で発生したガスは非接着部450の内部との圧力差によって非接着部450に流れ、非接着部450に流れ込んだガスは外部との圧力差によって外部に向かって排出され得る。
【0061】
さらに、本発明の一実施形態によれば、非接着部450の厚さ、位置、形状などによって、パウチ内のガス排出度とパウチの気密性及び耐久性を調節することができる。
【0062】
一例として、図5及び図6を参照すると、リードフィルム400は、電極リード300を基準にして上部及び下部にそれぞれ位置する第1リードフィルム及び第2リードフィルムを含み得る。また、前記第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとは一体化され得る。例えば、第1リードフィルムと前記第2リードフィルムとは、熱またはレーザーなどによって熱融着されて一体化され得る。これにより、リードフィルム400は、電極リード300の側面が外部に露出することを防止するとともに、シーリング部250と電極リード300との密封性を向上させることができる。
【0063】
また、リードフィルム400において、図5の(a)及び図6の(a)のように、前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムの少なくとも一つに非接着部450が位置し得る。また、図5の(b)及び図6の(b)のように、前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムに非接着部450がそれぞれ位置し得る。
【0064】
但し、非接着部450の個数は上述した内容に限定されず、リードフィルム400に適切な個数で形成され得る。
【0065】
これにより、リードフィルム400に形成されている非接着部450の個数を調節することで、電極リード300とリードフィルム400との間の耐久性及び気密性を制御することができる。また、必要に応じて非接着部450の個数を最小化し、製造工程を簡便にし、コストを節減することができる。
【0066】
図5及び図6を参照すると、本発明の他の実施形態による電池セル100は、電極リード300の外面に形成されている表面変形部350をさらに含み得る。ここで、表面変形部350の少なくとも一部は非接着部450に対向し得る。すなわち、電極リード300において、表面変形部350は、非接着部450が電極リード300に対向する面と同一またはそれよりも大きい面積で形成され得る。
【0067】
これにより、表面変形部350は、後述する電池セル製造装置1000(図9)によって非接着部450が形成される過程で、表面変形部350の形成された電極リード300の部分がリードフィルム400と接しないため、非接着部450内にリードフィルム400の一部が押し込まれる現象の発生を防止することができる。さらに、非接着部450とともに、表面変形部350は電池ケース200内のガスの排出経路として作用し、内部ガスの排出効率をより高めることができる。
【0068】
より具体的には、電極リード300において、電極リード300の外面に表面変形部350が形成され、表面変形部350はリードフィルム400と電極リード300との間に位置する。より具体的には、電極リード300において、表面変形部350は非接着部450に対応する位置に形成され得る。
【0069】
表面変形部350は、電極リード300の外面の一部が除去されて形成され得る。但し、図5及び図6には表面変形部350の厚さを多少誇張して図示しているが、実際に肉眼では電極リード300の外観の変形が殆ど見えない程度の厚さで表面変形部350が形成され得る。
【0070】
一例として、表面変形部350は、0.01μm~数百μmの厚さを有し得る。但し、表面変形部350の厚さはこれに限定されるものではなく、電極リード300とリードフィルム400との間の気密性及び耐久性に影響を及ぼさず、且つ、リードフィルム400が押し込まれる現象を防止できる厚さであれば、適用可能である。
【0071】
これにより、シーリング部250、電極リード300、及びリードフィルム400などが熱融着によって密封される過程で電極リード300とリードフィルム400とが互いに接着されるが、表面変形部350によって電極リード300とリードフィルム400との間の一部が離隔しているため、リードフィルム400の非接着部450とともに気体が流動可能なガス排出通路の役割を果たすことができる。
【0072】
より具体的には、電池セル100の内部圧力は表面変形部350及び非接着部450に形成された空間の内部圧力よりも高く、これによる圧力差がガスの推進力として作用する。このとき、電池セル100の内部で発生したガスは、上述した圧力差によって表面変形部350及び非接着部450に形成された空間内に流れ得る。また、表面変形部350及び非接着部450に形成された空間には電池セル100の内部から流れ込んだガスによって外部圧力との差が生じ、表面変形部350及び非接着部450に形成された空間の内部に流れ込んだガスが外部へと排出され得る。
【0073】
さらに、本発明の一実施形態によれば、表面変形部350の厚さ、位置、形状などによって、非接着部450の内部への押し込み現象が制御されることで、非接着部450の位置及び大きさなどを調節できる。また、表面変形部350及び非接着部450に形成された空間によるパウチ内のガス排出度とパウチの気密性及び耐久性も調節することができる。
【0074】
一例として、電極リード300の外面にはコーティング層(図示せず)が形成され得る。ここで、前記コーティング層(図示せず)は、電極リード300の外面がコーティングされて形成される層であり得る。ここで、表面変形部350は、前記コーティング層(図示せず)の一部が除去されて形成され得る。
【0075】
より具体的には、表面変形部350は、前記コーティング層(図示せず)または前記電極リード300の表面がレーザー、UVオゾン(UvO)処理、スパッタリングなどによってエッチングされて形成され得る。但し、エッチング方式がこれに制限されることはなく、電極リード300の表面を加工して所定の形状を形成できる工程であれば適用可能である。ここで、説明の便宜上、前記コーティング層は図示されておらず、表面変形部350の両側面に位置する電極リード300の外面が前記コーティング層(図示せず)として説明され得る。
【0076】
一例として、前記コーティング層(図示せず)は、金属物質からなり得る。より具体的には、前記金属物質はクロム及びニッケルの少なくとも一つを含み得る。但し、前記コーティング層(図示せず)は、これに限定されるものではなく、電極リード300の外面に一般にコーティングされている物質を含み得る。
【0077】
これにより、表面変形部350は、電極リード300の外面に形成された前記コーティング層(図示せず)が除去されて形成されるため、比較的に簡単な製造工程を通じて製造できるだけでなく、追加的な部品を必要としないという利点がある。また、電極リード300の外面に形成された前記コーティング層(図示せず)が除去されて表面変形部350が形成される場合、実際に表面変形部350を肉眼で見たとき電極リード300の外観変形を最小化することができる。
【0078】
他の一例として、表面変形部350は、電極リード300の外面の一部が除去されて形成され得る。一例として、表面変形部350は、電極リード300の外面に該当する部分自体が除去されて形成され得る。すなわち、電極リード300の外面は、表面変形部350によって段差構造を有し得る。
【0079】
より具体的には、表面変形部350は、電極リード300の外面をレーザー、UVオゾン(UvO)処理、スパッタリングなどによってエッチングして形成し得る。但し、表面変形部350のエッチング方式がこれに制限されることはなく、電極リード300の表面を加工して所定の形状を形成できる工程であれば適用可能である。
【0080】
このように、表面変形部350は、電極リード300の外面が除去されて形成されるため、比較的に簡単な製造工程を通じて製造できるだけでなく、追加的な部品を必要としないという利点がある。
【0081】
一例として、リードフィルム400において非接着部450が位置する面を基準にして、電極リード300の上面または電極リード300の下面の少なくとも一つに表面変形部350が位置し得る。図5の(a)及び図6の(a)のように、前記第1リードフィルムに非接着部450が位置する場合、電極リード300の上面に表面変形部350が位置し得る。逆に、前記第2リードフィルムに非接着部450が位置する場合、電極リード300の下面に表面変形部350が位置し得る。また、図5の(b)及び図6の(b)のように、前記第1リードフィルム及び前記第2リードフィルムに非接着部450がそれぞれ位置する場合、表面変形部350は、電極リード300の上下面にそれぞれ位置し得る。但し、表面変形部350の個数は上述した内容に限定されず、電極リード300の外面に適切な個数で形成され得る。
【0082】
このように、非接着部450に対応して表面変形部350の個数及び位置を調節できるので、非接着部450で発生するリードフィルム400の押し込み現象を防止することができる。また、非接着部450とともにガス排出経路として作用して電池セル100内部のガス排出量を効果的に増大させることができる。
【0083】
図7は、図3に示された電池セルの電極リード及びリードフィルムをそれぞれ拡大した図である。
【0084】
図5図7を参照すると、非接着部450は、電極リード300の突出方向に沿って延設されている。換言すると、電極リード300の突出方向を基準にして、シーリング部250の外側に隣接して位置する非接着部450の端部は、リードフィルム400の端部よりも内側に位置し得る。
【0085】
また、非接着部450の幅は、リードフィルム400の幅よりも狭くなり得る。本明細書において、非接着部450の幅とは、電極リード300の突出方向を基準にして非接着部450の一端と他端との間の距離の最大値を意味し、リードフィルム400の幅とは、電極リード300の突出方向を基準にしてリードフィルム400の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。また、非接着部450は、電極リード300の突出方向を基準にしてリードフィルム400の一端部と他端部との間に位置し得る。
【0086】
また、非接着部450は、電極リード300の突出方向の垂直方向に延設され、非接着部450の長さは電極リード300の幅よりも短くなり得る。本明細書において、非接着部450の長とは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして非接着部450の一端と他端との間の距離の最大値を意味し、電極リード300の幅とは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして電極リード300の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0087】
一例として、図7の(a)及び図7の(c)を参照すると、非接着部450は、円形状または長方形状であり得る。他の一例として、図7の(b)を参照すると、非接着部450は、互いに連結されている第1非接着部450a及び第2非接着部450bを含み、第1非接着部450aはシーリング部250の長手方向に沿って延設され得、第2非接着部450bは電極リード300の突出方向に沿って延設され得る。本明細書において、シーリング部250の長手方向とは、電極リード300の突出方向の垂直方向を意味する。
【0088】
ここで、第1非接着部450aの長さは電極リード300の幅よりも短く、第2非接着部450bの長さはリードフィルム400の幅よりも短くなり得る。本明細書において、第1非接着部450aの長さとは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして第1非接着部450aの一端と他端との間の距離の最大値を意味し、第2非接着部450bの長さとは、電極リード300の突出方向を基準にして第2非接着部450bの一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0089】
但し、非接着部450の形状は上述した内容に限定されず、リードフィルム400の外面に適切な形状で形成され得る。
【0090】
これにより、リードフィルム400の外面に形成されている非接着部450の形状を調節して、電極リード300とリードフィルム400との間の耐久性及び気密性を制御することができる。また、必要に応じて非接着部450の形状を変えて、製造工程を簡便にし、コストを節減することができる。
【0091】
図5図7を参照すると、本発明の他の実施形態による電池セル100は、電極リード300の外面に形成されている表面変形部350をさらに含み得る。ここで、表面変形部350は、電極リード300の突出方向に沿って延設されており、電極リード300の突出方向を基準にして、シーリング部250の外側に隣接して位置する表面変形部350の端部は、前記リードフィルム400の端部よりも内側に位置し得る。本明細書において、シーリング部250の外側とは、電池ケース200の外部に隣接したシーリング部250の端部を意味する。また、「リードフィルム400の端部よりも内側」とは、電池ケース200の外部に隣接したリードフィルム400の端部よりも電池ケース200の内部方向を意味する。
【0092】
より具体的には、表面変形部350の幅は、リードフィルム400の幅よりも狭くなり得る。本明細書において、表面変形部350の幅とは、電極リード300の突出方向を基準にして表面変形部350の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。また、表面変形部350は、電極リード300の突出方向を基準にしてリードフィルム400の一端部と他端部との間に位置し得る。
【0093】
また、表面変形部350は、電極リード300の突出方向の垂直方向に延設され、表面変形部350の長さは電極リード300の幅よりも短くなり得る。本明細書において、表面変形部350の長さとは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして表面変形部350の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0094】
ここで、表面変形部350は、非接着部450と同一または類似の形状を有し得る。
【0095】
一例として、図7の(a)及び図7の(c)を参照すると、表面変形部350は、非接着部450と同様に、円形状または長方形状であり得る。他の一例として、図7の(b)を参照すると、表面変形部350は、互いに連結されている第1表面変形部350a及び第2表面変形部350bを含み、第1表面変形部350aはシーリング部の長手方向に沿って延設され、第2表面変形部350bは電極リードの突出方向に沿って延設され得る。ここで、第1表面変形部350aの形状は前記第1非接着部450aの形状と対応し、前記第2表面変形部350bの形状は前記第2非接着部450bの形状と対応し得る。
【0096】
一例として、第1表面変形部350aの幅は、第1非接着部450aの幅よりも広いか又は同一であり、第2表面変形部350bの幅は、第2非接着部450bの幅よりも広いか又は同一であり得る。本明細書において、第1表面変形部350aの幅とは、電極リード300の突出方向を基準にして第1表面変形部350aの一端と他端との間の距離の最大値を意味し、第1非接着部450aの幅とは、電極リード300の突出方向を基準にして第1非接着部450aの一端と他端との間の距離の最大値を意味する。第2表面変形部350bの幅とは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして第2表面変形部350bの一端と他端との間の距離の最大値を意味し、第2非接着部450bの幅とは、電極リード300の突出方向の垂直方向を基準にして第2非接着部450bの一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0097】
但し、表面変形部350の形状は上述した内容に限定されず、非接着部450と対応する形状で適切に形成され得る。
【0098】
このように、非接着部450に対応して表面変形部350の形状を調節することで、非接着部450で発生するリードフィルム400の押し込み現象を防止でき、電池セル100内部のガス排出量を効果的に増大させることができる。
【0099】
図8は、図3のb-b’に沿った断面図である。
【0100】
図8を参照すると、本発明の一実施形態において、電極リード300の突出方向を基準にして、非接着部450の一端部はシーリング部250の内側面よりも内側に位置し、非接着部450の他端部はシーリング部250の外側面よりも外側に位置し得る。本明細書において、前記シーリング部250の内側面とは、電池ケース200の内部に隣接したシーリング部250の端部を意味し、「シーリング部250の内側面よりも内側に位置する」とは、シーリング部250の内側面よりも電池ケース200の内部側に位置することを意味する。非接着部450の一端部がシーリング部250の内側面よりも内側に位置する場合、シーリング部250による干渉を受けず、非接着部450にガスがより容易に流れ込むことができる。また、前記シーリング部250の外側面とは、電池ケース200の外部に隣接したシーリング部250の端部を意味し、「シーリング部250の外側面よりも外側に位置する」とは、シーリング部250の外側面よりも電池ケース200の外部側に位置することを意味する。非接着部450の他端部がシーリング部250の外側面よりも外側に位置する場合、非接着部450に流れ込んだガスがより容易に外部へと排出される。例えば、非接着部450の他端部がシーリング部250による干渉を受けず、非接着部450に流れ込んだガスがより容易に外部へと排出される。
【0101】
このように、電池セル100の内部で発生したガスは、非接着部450に向かって流れ、非接着部450に流れ込んだガスは外部に向かって容易に排出できる。また、電池セル100の内部で発生したガスの外部排出量も増加することができる。
【0102】
また、本発明の他の実施形態において、電池セル100は電極リード300の外面に形成されている表面変形部350をさらに含み得る。ここで、電極リード300の突出方向を基準にして、表面変形部350の一端部はシーリング部250の内側面よりも内側に位置し得、電極リード300の突出方向を基準にして、表面変形部350の他端部はシーリング部250の外側面よりも外側に位置し得る。表面変形部350の一端部がシーリング部250の内側面よりも内側に位置する場合、シーリング部250による干渉を受けず、表面変形部350にガスがより容易に流れ込むことができる。表面変形部350の他端部がシーリング部250の外側面よりも外側に位置する場合、表面変形部350に流れ込んだガスがより容易に外部へと排出される。例えば、表面変形部350の他端部がシーリング部250による干渉を受けず、表面変形部350に流れ込んだガスがより容易に外部へと排出される。
【0103】
このように、電池セル100の内部で発生したガスは、表面変形部350及び/または非接着部450に向かって流れ、表面変形部350及び/または非接着部450に流れ込んだガスは外部に向かって容易に排出できる。また、電池セル100の内部で発生したガスの外部排出量も増加することができる。
【0104】
さらに、表面変形部350及び/または非接着部450の両端部が電池ケース200の内部及び電池ケース200の外部に露出するため、電池ケース200の内部で発生したガスが表面変形部350及び/または非接着部450内に流れ込み易く、表面変形部350及び/または非接着部450の外部への排出がより容易になる。
【0105】
具体的には、表面変形部350及び/または非接着部450に流れ込んだガスは、表面変形部350及び/または非接着部450上のリードフィルム400を通ってZ軸方向に沿って排出され得る。例えば、表面変形部350及び/または非接着部450の他端部がシーリング部250の外側面よりも外側に位置する場合、表面変形部350及び/または非接着部450に流れ込んだガスは、表面変形部350及び/または非接着部450の他端部とシーリング部250の外側面との間のリードフィルム400部分からZ軸方向に沿って排出され得る。
【0106】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400のガス透過度は、60℃で20~60バーラー、または30~40バーラーであり得る。例えば、前記リードフィルム400の二酸化炭素透過度が上述した範囲を満足し得る。また、リードフィルム400の厚さ200μmを基準にしてガス透過度が60℃で上述した範囲を満足し得る。前記リードフィルム400のガス透過度が上述した範囲を満足する場合、電池セルの内部で発生するガスをより効果的に排出することができる。
【0107】
本明細書において、ガス透過度はASTM F2476-20で測定し得る。
【0108】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400の水分浸透量は、25℃及び50%RHで10年の間に0.02~0.2g、または0.02~0.04g、または0.06g、または0.15gであり得る。前記リードフィルム400の水分浸透量が上述した範囲を満足する場合、前記リードフィルム400から流入される水分の浸透をより効果的に防止することができる。
【0109】
前記リードフィルム400の水分浸透量は、ASTM F 1249方式を採択して測定し得る。このとき、MCOON社から公式認証された装置を使用して測定し得る。
【0110】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400は、ガス透過度が60℃で20~60バーラーであり、且つ、水分浸透量が25℃及び50%RHで10年の間に0.02~0.2gであり得る。前記リードフィルム400のガス透過度及び水分浸透量が上述した範囲を満足する場合、二次電池の内部で発生するガスを排出すると同時に、外部からの水分浸透をより効果的に防止することができる。
【0111】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム400は、ポリオレフィン系樹脂を含み得る。例えば、前記リードフィルム400は、上述したガス透過度及び/または水分浸透量を満足するポリオレフィン系樹脂を含み得る。前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリビニルジフルオライド(polyvinyldifluoride、PVDF)からなる群より選択された1種以上の材料を含み得る。前記リードフィルム400は、ポリプロピレンを含み、且つ、前記リードフィルム400のガス透過度が60℃で20~60バーラーであり得る。また、水分浸透量が0.06g~0.15gであり得る。この場合、二次電池の内部で発生するガスの排出がより効果的であるだけでなく、外部からの水分浸透の防止も容易である。
【0112】
また、リードフィルム400は、上述した材料からなることで、電池セル100の気密性を維持することができ、内部電解液の漏れも防止することができる。
【0113】
図8を参照すると、非接着部450部分でのリードフィルム400の厚さHは、100~300μm、または100~200μmであり得る。非接着部450部分のリードフィルム400の厚さHが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200内部のガスを外部へとより容易に排出できる。
【0114】
図8を参照すると、前記表面変形部350及び/または非接着部450の他端部と前記リードフィルム400の最外側端部との間の幅Wは、2mm以上、または2mm~3mmであり得る。前記表面変形部350及び/または非接着部450の他端部と前記リードフィルム400の最外側端部との間の幅Wが上述した範囲を満足する場合、電池ケース200の内部で発生したガスが外部に排出される過程でリードフィルム400が破れる現象をより容易に防止することができる。
【0115】
本発明の一実施形態において、表面変形部350及び/または非接着部450の一端部がシーリング部250の内側面よりも内側に位置し、表面変形部350及び/または非接着部450の他端部がシーリング部250の外側面よりも外側に位置する場合、シーリング部250の外側面よりも外側に露出する表面変形部350及び/または非接着部450の面積は、シーリング部250の内側面よりも内側に露出する表面変形部350及び/または非接着部450の面積よりも大きくなり得る。ガス排出量はガス排出面積と圧力に比例するが、電池ケース200内側の圧力が電池ケース200外側の圧力よりも高いため、シーリング部250の外側面よりも外側に露出する表面変形部350及び/または非接着部450の面積が、シーリング部250の内側面よりも内側に露出する表面変形部350及び/または非接着部450の面積よりも大きい場合、電池ケース200の内部で発生したガスを外部へとより容易に排出できる。
【0116】
本発明の一実施形態において、シーリング部250の外側に露出する表面変形部350及び/または非接着部450の面積は、40~80mmであり得る。これは、60℃で内部圧力1気圧基準で、1日の間に約0.5~3ccのガスが排出される大きさである。また、水分浸透量が25℃及び50%RHで10年の間に0.02~0.2gになる大きさである。
【0117】
図9は、本発明の他の一実施形態による電池セル製造装置によって電極リードとリードフィルムとが接着される過程を示した図である。図10は、図9のe-e’及びf-f’に沿ったそれぞれの断面図である。
【0118】
図9及び図10を参照すると、本発明の他の一実施形態による電池セル製造装置は、電池セル100を製造する装置であって、電極リード300とリードフィルム400とを一緒に加圧する治具1000を含む。これにより、電極リード300とリードフィルム400とは、治具1000によって加えられる熱及び/または圧力によって互いに接着され得る。
【0119】
より具体的には、図9の(a)及び図10の(a)を参照すると、治具1000は、リードフィルム400と対向する一面上に凹部1050を含む。ここで、凹部1050は、治具1000の一面がエッチングされて形成され得る。
【0120】
一例として、凹部1050は、治具1000の外面がレーザー、UVオゾン(UvO)処理、スパッタリングなどによってエッチングされて形成され得る。但し、エッチング方式がこれに制限されることはなく、治具1000の表面を加工して所定の形状を形成できる工程であれば適用可能である。
【0121】
図9の(b)及び図10の(b)を参照すると、治具1000がリードフィルム400を加圧して、凹部1050と対向するリードフィルム400の一面と反対面である、リードフィルム400の他面に非接着部450が形成される。ここで、非接着部450は、凹部1050と同一または類似の形状で形成され得る。
【0122】
また、図9及び図10を参照すると、本発明の他の実施形態において、電極リード300の外面に表面変形部350が形成されている場合、表面変形部350の少なくとも一部は凹部1050と対向する位置に形成され得る。一例として、表面変形部350は、凹部1050の形状と同一または類似の形状を有し得る。換言すると、表面変形部350は、凹部1050によって形成される非接着部450の形状と同一または類似の形状を有し得る。
【0123】
このように、治具1000が電極リード300及びリードフィルム400を加圧しても、表面変形部350に対向するリードフィルム400の面が表面変形部350によって電極リード300と接しないため、非接着部450を容易に形成できる。また、この場合、非接着部450で発生するリードフィルム400の押し込み現象を防止することができる。
【0124】
図11は、図10に示された電極リードに表面変形部が形成されていない場合を示した断面図である。
【0125】
図11を参照すると、本発明の一実施形態において、電極リード300の外面に表面変形部350が形成されていない場合にも、凹部1050に対応するリードフィルム400の外面に加えられる熱及び/または圧力が相対的に少なく、凹部1050と対向するリードフィルム400の一面と反対面である、リードフィルム400の他面に非接着部450が形成され得る。
【0126】
このように、リードフィルム400に対して別途に追加の工程なく、シーリング部250、電極リード300、及びリードフィルム400の熱融着工程でリードフィルム400に非接着部450を形成できる。すなわち、本実施形態によれば、製造工程が簡単でありながらも、電池セル100内部のガス排出量を効果的に増大させることができる。
【0127】
但し、電極リード300とリードフィルム400とが互いに接しているため、治具1000が電極リード300及びリードフィルム400を加圧する過程で、非接着部450内にリードフィルム400の一部が押し込まれ得る。ここで、図11の(b)を参照すると、非接着部450内にはリードフィルム400の一部が押し込まれた突出部400aが形成され得る。
【0128】
従って、非接着部450内に突出部400aが形成されるリードフィルム400の押し込み現象を防止し、電池セル100内部のガス排出量をさらに効果的に増大させるため、図10のように電極リード300の外面に表面変形部350が形成されていることがより望ましいと言える。
【0129】
本発明の他の一実施形態による電池モジュールは、上述した電池セルを含む。一方、本実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成してもよい。
【0130】
上述した電池モジュール及びそれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスは、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段であり得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュール及びそれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0131】
以上、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の基本概念を用いた当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0132】
10 電池セル
11 電極組立体
20 電池ケース
21 収納部
25 シーリング部
30 電極リード
40 リードフィルム
100 パウチ電池セル
110 電極組立体
200 電池ケース
210 収納部
250 シーリング部
300 電極リード
350 表面変形部
350a 第1表面変形部
350b 第2表面変形部
400 リードフィルム
400a 突出部
450 非接着部
450a 第1非接着部
450b 第2非接着部
1000 治具
1050 凹部
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11(a)】
図11(b)】