(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】回転滑り軸受の滑りパッドを交換するための方法、滑り軸受および風力タービン
(51)【国際特許分類】
F16C 43/02 20060101AFI20240729BHJP
F03D 80/70 20160101ALI20240729BHJP
F03D 80/50 20160101ALI20240729BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
F16C43/02
F03D80/70
F03D80/50
F16C17/02 Z
(21)【出願番号】P 2022565814
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2021060929
(87)【国際公開番号】W WO2021219602
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-22
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレハンドロ セルダ バレラ
(72)【発明者】
【氏名】ニルス カール フリューゼンデール
(72)【発明者】
【氏名】キム トムスン
(72)【発明者】
【氏名】モーテン トアハウゲ
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0086516(US,A1)
【文献】独国実用新案第9207013(DE,U1)
【文献】国際公開第2020/043250(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0260970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 43/02
17/00-17/26
33/00-33/28
F03D 80/50
80/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転滑り軸受(2)の滑りパッド(7,8)を交換するための方法であって、前記軸受は、前記軸受(2)の環状の回転可能部分(5)を前記軸受(2)の固定部分(6)に軸線方向および/または半径方向でそれぞれ支持する複数の滑りパッド(7,8)を備え、
前記固定部分(6)は環状であり、前記回転可能部分(5)は、前記固定部分(6)の周上に配置されており、前記固定部分(6)は、前記固定部分(6)の前記周に周方向および/または軸線方向に変位して配置された複数の軸線方向および/または半径方向の開口(9,10)を備え、各開口(9,10)のサイズは、対応する滑りパッド(7,8)のサイズに対応しており、前記方法は、
-
前記回転可能部分(5)に力を加えることによって、前記回転可能部分(5)の荷重を、取り外される前記滑りパッド(7,8)から除去するステップと、
-
前記開口(9,10)のうちの1つを通して、前記滑りパッド(7,8)を軸線方向および/または半径方向に取り外すステップと、
-
前記開口(9,10)を通して、交換用の滑りパッド(7,8)を挿入するステップと、
-
前記回転可能部分(5)に加えられた力を除去することによって、前記回転可能部分(5)を前記交換用の滑りパッド(7,8)に支持するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記固定部分(6)は環状であり、前記回転可能部分(5)は、前記固定部分(6)の外周に配置されており、前記回転可能部分(5)は、前記固定部分(6)に前記滑りパッド(7,8)によって半径方向および/または軸線方向で支持されており、前記滑りパッド(7,8)は、前記固定部分(6)の前記外周の開口を通して前記固定部分(6)の内部から交換されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記滑りパッド(7,8)は、前記滑りパッド(7,8)に力を加えるボルト接続部(17,24)によって前記軸受(2)に固定されており、前記ボルト接続部(17,24)を緩めることによって前記力が解放され、かつ/または前記滑りパッド(7,8)は、形状適合接続によって前記軸受(2)に固定されており、前記滑りパッドは、前記固定部分の空洞または凹部に配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのアクチュエータ(19)、特に少なくとも1つの機械式アクチュエータおよび/または少なくとも1つの液圧式アクチュエータを備えるアクチュエータ装置を使用して、前記力が、前記回転可能部分(5)に加えられることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記アクチュエータ装置によって、軸線方向支持用の滑りパッド(8)を交換するために、前記軸受(2)の前記回転可能部分(5)に軸線方向の力が加えられ、かつ/または半径方向支持用の滑りパッド(7)を交換するために、半径方向の力が加えられることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記アクチュエータ装置の少なくとも1つのアクチュエータ(19)は、交換される前記滑りパッド(7,8)から前記荷重を除去する前に前記軸受(2)に取外し可能に取り付けられており、かつ/または前記アクチュエータ装置の少なくとも1つのアクチュエータ(19)は、前記軸受(2)に恒久的に取り付けられていることを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
前記交換用の滑りパッド(7,8)を挿入する前に、前記固定部分(6)の表面および/または前記回転可能部分(5)の表面の表面処理が実施されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
滑り軸受であって、環状の回転可能部分(5)と、固定部分(6)と、複数の滑りパッド(7,8)とを備え、前記固定部分(6)は環状であり、前記回転可能部分(5)は、前記固定部分(6)の周
上に配置されており、前記回転可能部分(5)は、前記固定部分(6)に前記滑りパッド(7,8)によって半径方向および/または軸線方向で支持されており、前記固定部分(6)は、前記固定部分(6)の前記周に周方向および/または軸線方向に変位して配置された複数の軸線方向および/または半径方向の開口(9,10)を備え、
各開口(9,10)のサイズは、対応する滑りパッド(7,8)のサイズに対応しており、前記滑りパッド(7,8)は、前記開口(9,10)を通して取外し可能および/または挿入可能であ
り、前記軸受(2)は、1つ以上のアクチュエータ(19)を備えたアクチュエータ装置を備え、前記アクチュエータ装置は、前記滑りパッド(7,8)のうちの少なくとも1つから前記回転可能部分(5)の荷重を除去するように適合されている、滑り軸受。
【請求項9】
前
記アクチュエータ
装置は、少なくとも1つの機械式アクチュエータおよび/または少なくとも1つの液圧式アクチュエータを備えたアクチュエータ装置を備
えることを特徴とする、請求項8記載の滑り軸受。
【請求項10】
前記アクチュエータ装置の前記少なくとも1つのアクチュエータ(19)は、前記滑りパッド(7,8)から周方向に変位して配置されていることを特徴とする、請求項9記載の滑り軸受。
【請求項11】
前記アクチュエータ装置は、前記回転可能部分(5)に半径方向の力を加えるために、前記固定部分(6)と前記回転可能部分(5)との間に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの半径方向のアクチュエータ(19)を備え、かつ/または前記回転可能部分(5)に軸線方向の力を加えるために、前記回転可能部分(5)と前記固定部分(6)の前記周の突出部(21)との間に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの軸線方向のアクチュエータ(19)を備えることを特徴とする、請求項9または10記載の滑り軸受。
【請求項12】
前記軸受(2)は、軸受ケースを備え、前記アクチュエータ装置は、前記軸受ケース内に配置されていることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項記載の滑り軸受。
【請求項13】
前記アクチュエータ装置の前記1つ以上のアクチュエータ(19)はそれぞれ、前記軸受の前記固定部分(6)または前記回転可能部分(5)に固定されていることを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項記載の滑り軸受。
【請求項14】
請求項9から13までのいずれか1項記載の滑り軸受(2)を備える風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転滑り軸受の滑りパッドを交換するための方法であって、軸受は、軸受の環状の回転可能部分を軸受の固定部分に軸線方向および/または半径方向でそれぞれ支持する複数の滑りパッドを備える、方法に関する。さらに、本発明は、滑り軸受および風力タービンに関する。
【0002】
風力タービンでは、ハブまたは回転可能なシャフトなどの回転可能な構成要素は、風力タービンの固定部分に支持される必要がある。したがって、1つ以上の軸受が使用される。動作中に風力タービンの回転可能部分に作用する荷重により、固定構成要素に風力タービンの回転可能な構成要素を支持するために使用される軸受は、摩耗または損傷を受ける可能性がある。そのため、風力タービンから軸受を取り外すことを含めた軸受の機能を維持するための修理手順および/または保守手順が頻繁に必要になる。しかしながら、風力タービンの軸受、特に主要な軸受のサイズと重量とにより、これらの手順には時間がかかり、外部クレーンを必要とする場合があり、洋上風力タービンの場合には、軸受の取外しおよび/または交換に使用される外部クレーンを支持するための船舶の使用も必要になる。
【0003】
欧州特許出願公開第3460272号明細書には、風力タービンの主要な軸受の軸受構成要素を交換するための方法が記載されている。シャフトを機械的に移動することによって軸受構成要素が除荷され、そののち交換工具装置によって、軸受構成要素は、軸受構成要素の取付け位置から軸線方向に移動されるか、または軸受構成要素の取付け位置に移動させられる。
【0004】
したがって、本発明の目的は、減じられた労力によって実施することができる、回転滑り軸受の滑りパッドを交換するための方法を提供することである。
【0005】
本発明によれば、この課題は、冒頭に記載した方法において、
- 滑りパッドに加えられた力を解放することによって、かつ/または回転可能部分に力を加えることによって、回転可能部分の荷重を、取り外される滑りパッドから除去するステップと、
- 滑りパッドを軸線方向および/または半径方向に取り外すステップと、
- 交換用の滑りパッドを挿入するステップと、
- 交換用の滑りパッドに力を加えることによって、かつ/または回転可能部分に加えられた力を除去することによって、回転可能部分を交換用の滑りパッドに支持するステップと
を含む、方法によって解決される。
【0006】
滑り軸受は、複数の滑りパッド、傾斜する滑りパッドまたは傾斜しない滑りパッドをそれぞれ備えており、それらは、軸受の固定部分に軸受の回転可能部分を軸線方向および/または半径方向で支持する。滑りパッドは、いくつかの構成要素、例えば、外側の滑り部分、ボルトなどによって構造物に取り付けるための支持部分、滑りパッドが傾斜することができることを保証する傾斜する支持部分、および/または滑りパッドおよび傾斜する支持部分の予荷重を保証するばねなどの弾性手段を備えることができる。軸受の滑りパッドは、例えば、環状の回転可能部分と、回転可能部分を固定部分に支持する軸受の固定部分との間に配置することができる。軸受は、特に流体膜軸受であってよく、流体膜は滑りパッドと回転可能部分または固定部分との間にそれぞれ位置する。
【0007】
滑りパッドに加えられた力を解放することによって、かつ/または回転可能部分に力を加えることによって、回転可能部分の荷重が滑りパッドから除去され、その結果、1つ以上の滑りパッドが無荷重になる。この状態で、回転可能部分は残りの滑りパッドを介して固定部分に支持される。交換される滑りパッドの除荷は、滑りパッドを回転可能部分に向かって押圧するように作用する力を除去することによって行うことができる。力を除去したのち、滑りパッドは回転可能部分と固定部分との間で力がかからなくなる。付加的または代替的に、交換される滑りパッドはまた、特に回転可能部分に直接的に力を加えることによって除荷することもでき、その結果、回転可能部分が昇降および/または変位し、回転可能部分の重量が、交換される滑りパッドに支持されなくなる。
【0008】
そののち、無荷重の滑りパッドは、軸受の軸線方向および/または半径方向に取り外すことができる。滑りパッドは、軸受の中心に向かって半径方向内向きに、したがって環状の回転可能部分の中心点の方向に取り外すことができる。代替的に、滑りパッドは半径方向外向きに取り外すことができる。滑りパッドを取り外すために軸線方向と半径方向との移動を組み合わせることも可能である。滑りパッドを少なくとも部分的に半径方向に取り外すことは、軸線方向から滑り軸受へのアクセスが不要であるか、またはアクセス空間が縮小されるという利点をそれぞれ有する。さらに、軸受を固定部分に軸線方向で支持する滑りパッドと、回転可能部分を固定部分に半径方向で支持する滑りパッドとの両方を半径方向に少なくとも部分的に取り外すことができるので、滑りパッドの交換が容易になる。
【0009】
軸線方向および/または半径方向に滑りパッドを取り外したのち、交換用の滑りパッドが、取り外された滑りパッドの位置に挿入される。交換用の滑りパッドは、例えば新しい滑りパッドであってもよいし、保守手順および/または修理手順、例えば洗浄手順などが施された取外し済みの滑りパッドであってもよい。交換用の滑りパッドの挿入はまた、半径方向、特に滑りパッドの取外しとは逆方向に行うことができる。
【0010】
交換用の滑りパッドを挿入したのち、交換用の滑りパッドに力を加えることによって、かつ/または回転可能部分に加えられた力を除去することによって、軸受の回転可能部分が交換用の滑りパッドに支持される。交換用の滑りパッドに力を加えることによって、交換用のパッドは軸受の回転可能部分に向かって押圧され、かつ/または押し付けられ、その結果、回転可能部分は再び滑りパッドに支持され、ひいては軸受の固定部分にも支持される。付加的または代替的に、滑りパッドを除荷するために回転可能部分に加えられていた力もまた除去することができ、その結果、回転可能部分は再び滑りパッドに支持される。
【0011】
本発明による滑りパッドを交換するための方法は、滑りパッドを現場で1つずつ交換できるという利点を有するので、軸受のすべての滑りパッドを交換する必要がある場合でも、軸受全体を交換する必要はない。これにより、特に風力タービンの主要な軸受として使用される軸受の保守が容易になる。軸受に複数の滑りパッドを設けることにより、滑りパッドのうちの1つまたは滑りパッドの一部から回転可能部分の荷重を除去する間、軸受の残りの滑りパッドの固定部分で回転可能部分を支持することがそれぞれ可能になる。これにより、例えば、損傷または摩耗した滑りパッドを1つずつ交換することが可能になるため、滑り軸受の修理および/または保守が容易になる。取り付けられた滑りパッドを、交換用のパッドとして改良された滑りパッドに交換することによる軸受の更新もまた可能である。
【0012】
軸受全体を交換するのとは対照的に、外部クレーンおよび/または船舶は必要ない。さらに、単一の滑りパッドのみがそれぞれ取り外されるか、または挿入されるので、滑りパッドの交換を手動で実行し、かつ/または交換手順の前に軸受の近傍に手動で設置可能な昇降装置を使用して実行することができる。これにより、軸受の滑りパッドの1つ以上を交換する労力が大幅に減じられ、修理手順および/または保守手順が容易になり、それらのコストが削減される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、固定部分は環状であり、回転可能部分は、固定部分の外周に配置されており、滑りパッドは、固定部分の外周の開口を通して固定部分の内部から交換される。固定部分の内部からの滑りパッドの交換、したがって滑りパッドの取外しおよび交換用の滑りパッドの挿入は、特に軸受が風力タービンの主要な軸受として使用される場合に、固定部分の内部から滑りパッドに容易にアクセスできるという利点を有する。
【0014】
固定部分は、例えば、中空シャフトであるか、または中空シャフトに接続することができ、それぞれ、滑りパッドには、固定部分の外周の1つ以上の開口を通して中空シャフトの内部からアクセスが可能である。滑りパッドは、例えば、固定部分の外周と、固定部分の外周に配置されて固定部分の滑りパッドによって支持される回転可能部分との間に配置されており、固定部分の内部に向かって、したがって中心に向かって、半径方向に少なくとも部分的に取り外すかつ/または交換することができる。固定部分は、固定部分の外周に1つ以上の開口を設けることができ、これにより滑りパッドにアクセスすることが可能になる。例えば、滑りパッドごとに1つの対応する開口を設けることができる。開口のサイズは、各々の滑りパッドのサイズに対応し、その結果、各々の滑りパッドは、交換のために固定部分の内部に向かって開口のうちの1つを通って移動することができる。
【0015】
好ましくは、滑りパッドは、滑りパッドに力を加えるボルト接続部によって軸受に固定されており、ボルト接続部を緩めることによって力が解放され、かつ/または滑りパッドは、形状適合接続(form-fit connection)によって軸受に固定されており、滑りパッドは、固定部分の空洞または凹部に配置されている。ボルト接続部を緩めることにより、力が除去されて滑りパッドが除荷され、その結果、例えば固定部分の内部に向かって滑りパッドを取り外すことができる。逆に、交換用の滑りパッドは、滑りパッドを交換したのち、ボルト接続部を締めることにより、軸受に挿入して再び固定することができる。ボルト接続部により、滑りパッドに力が加えられ、滑りパッドに回転可能部分を支持することが可能になる。ボルト接続部を緩めることにより、滑りパッドから力を除去することができ、滑りパッドが除荷されるか、または回転可能部分が滑りパッドからそれぞれ支持されなくなる。逆に、ボルト接続部を締めることにより、再び滑りパッドに力を加えることができ、滑りパッドに回転可能部分を支持することが再び確立される。付加的または代替的に、滑りパッドは、形状適合接続によって軸受に固定され、滑りパッドは、固定部分の空洞または凹部に配置されている。空洞または凹部は、特に固定部分の一体部分であってよく、特に固定部分の外周に位置してよい。滑りパッドは、滑りパッド上に置かれた回転可能部分によって、空洞または凹部にそれぞれ固定されてもよい。空洞または凹部の一方の側は、それぞれ、無荷重の滑りパッド、特に半径方向支持用の滑りパッドを交換するための軸線方向の開口を備えることができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ、特に少なくとも1つの機械式アクチュエータおよび/または少なくとも1つの液圧式アクチュエータを備えるアクチュエータ装置を使用して、力が、回転可能部分に加えられる。アクチュエータ装置のうちの少なくとも1つのアクチュエータは、回転可能部分を滑りパッドから離れるように押圧することができ、その結果、滑りパッドが回転可能部分の重量から除荷される。したがって、例えば約1mmの小さな変位で既に十分である。アクチュエータ装置により、滑りパッドの交換前に回転可能部分に力を加えることができ、滑りパッドの交換後に力を除去することができる。液圧式アクチュエータとして、例えば液圧ジャッキを使用することができる。
【0017】
アクチュエータ装置および/または軸受は、例えば液圧式アクチュエータの動力が損失した場合に回転可能部分を固定するために、回転可能部分を回転可能部分の変位位置に固定する機械式固定装置を備えることができる。機械式アクチュエータとして、例えばねじまたはねじ山付きボルトを使用して、回転可能部分を固定部分から離れるように押圧することができる。少なくとも1つの機械式アクチュエータおよび少なくとも1つの液圧式アクチュエータを使用することが可能であり、少なくとも1つの機械式アクチュエータは、少なくとも1つの液圧式アクチュエータによって変位された回転可能部分を回転可能部分の変位位置に固定するための機械式固定装置として使用される。
【0018】
好ましくは、アクチュエータ装置によって、軸線方向支持用の滑りパッドを交換するために、軸受の回転可能部分に軸線方向の力が加えられ、かつ/または半径方向支持用の滑りパッドを交換するために、半径方向の力が加えられる。軸受の回転可能部分を固定部分に半径方向で支持する滑りパッドを交換するために、半径方向支持用の滑りパッドを除荷するアクチュエータ装置によって、半径方向の力を回転可能部分に加えることができる。同様に、軸線方向支持用の滑りパッドを除荷するために、この軸線方向支持用の滑りパッドを除荷するためのアクチュエータ装置によって軸線方向の力を回転可能部分に加えることができる。半径方向と軸線方向との両方で回転可能部分を支持する滑りパッドを除荷するために、半径方向の力と軸線方向の力とを組み合わせて、アクチュエータ装置を使用して回転可能部分に加えることができる。アクチュエータ装置は、それぞれ半径方向の力を加えることができる1つ以上の半径方向のアクチュエータ、および/またはそれぞれ軸線方向の力を加えることができる1つ以上の軸線方向のアクチュエータを備えることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、アクチュエータ装置の少なくとも1つのアクチュエータは、交換される滑りパッドから荷重を除去する前に軸受に取外し可能に取り付けられており、かつ/またはアクチュエータ装置の少なくとも1つのアクチュエータは、軸受に恒久的に取り付けられている。滑りパッドの除荷は、軸受に恒久的に取り付けられたアクチュエータ装置を使用して実施することができる。これにより、例えば、アクチュエータ装置の少なくとも1つのアクチュエータを軸受ケース内に配置することが可能になり、その結果、アクチュエータが軸受の回転可能部分に直接作用することができるようになる。
【0020】
アクチュエータ装置のうちの少なくとも1つのアクチュエータを、交換される滑りパッドから荷重を除去する前に、軸受に取外し可能に取り付けることも可能であり、その結果、軸受の一部分としてアクチュエータを設ける必要がない。
【0021】
交換手順の過程で取り付けられたアクチュエータ装置のアクチュエータは、例えば、軸受の軸受ケースの外側に取り付けることができ、少なくとも1つのアクチュエータによって生成される力は、例えば、アクチュエータのピストンを軸受の回転可能部分に結合することによって加えられる。アクチュエータは、固定部分または回転可能部分のいずれかに固定することができ、アクチュエータは、軸受の回転可能部分と固定部分との間の変位を可能にする各々の他方の部分に結合されて、1つ以上の滑りパッドを除荷する。結合するために、アクチュエータのピストンは、軸受カバー、固定部分および/または回転可能部分の各々のオリフィスの内側に配置することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、交換用の滑りパッドを挿入する前に、固定部分の表面および/または回転可能部分の表面の表面処理が実施される。表面処理は、例えば、固定部品の表面および/または回転部品の表面を、洗浄および/または修復するために実施される表面フライス加工であってよい。これにより、滑りパッドの位置で表面を洗浄することができるので、例えば、滑りパッドからの汚れおよび/または残留物を表面から除去することができる。腐食および/またはフレッチング現象もまた表面処理によって除去することができる。
【0023】
したがって、通常、滑りパッドが取り付けられている空間に可搬型加工機を取り付けることができる。表面フライス加工は、例えば固定部品と滑りパッドとの境界面で実行され、影響を受けた材料を除去することができる。好ましくは、フライス装置は、フライス装置が挿入される固定部分の外周の開口のサイズに適合したカバー装置を含むことができる。カバー装置により、表面処理を受ける表面を覆い、処理された表面を周囲から、特に軸受の内部から密閉することができる。これにより、軸受内部の汚染を防止することができ、したがって、表面処理中に生成される塵等の軸受内部への望ましくない侵入が有利に抑制される。
【0024】
本発明による滑り軸受は、環状の回転可能部分と、固定部分と、複数の滑りパッドとを備え、固定部分は環状であり、回転可能部分は、固定部分の周に配置されており、回転可能部分は、固定部分に滑りパッドによって半径方向および/または軸線方向で支持されており、固定部分は、固定部分の周に周方向および/または軸線方向に変位して配置された複数の軸線方向および/または半径方向の開口を備え、滑りパッドは、開口を通して取外し可能および/または挿入可能である。
【0025】
固定部分の周に開口を設けることによって、滑りパッドの軸線方向および/または半径方向の取外し、および/または軸線方向および/または半径方向の挿入が可能になる。回転可能部分は、固定部分の内周または固定部分の外周のいずれかに配置することができる。好ましくは、固定部分に回転可能部分を支持するために使用される各々の滑りパッドに対して、1つの対応する開口が固定部分の周に設けられ、各々の滑りパッドの交換を可能にする。固定部分の外周に配置された回転可能部分を支持する滑りパッドは、環状の固定部分の中心点に向かって半径方向内向きに取り外すことができる。同様に、固定部分の内周に回転可能部分を支持する滑りパッドは、固定部分の周の開口を通して半径方向外向き方向に交換することができる。半径方向支持用の滑りパッドは、例えば、軸線方向の開口を備え、半径方向支持用の滑りパッドを収容する空洞または凹部から半径方向支持用の滑りパッドを軸線方向にそれぞれ移動させることによって、軸受の内側から取り外すことができる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、軸受は、1つ以上のアクチュエータ、特に少なくとも1つの機械式アクチュエータおよび/または少なくとも1つの液圧式アクチュエータを備えたアクチュエータ装置を備え、アクチュエータ装置は、少なくとも1つの滑りパッドから回転可能部分の荷重を除去するように適合されている。アクチュエータ装置のうちの少なくとも1つのアクチュエータは、軸受の軸受ケースの内側に配置することができる。少なくとも1つのアクチュエータを軸受の軸受ケースの外側に取り付けることも可能であり、回転可能部分と固定部分とに対するアクチュエータの結合は、例えばピストンを介して行われる。軸受は、少なくとも1つの機械式アクチュエータと少なくとも1つの液圧式アクチュエータとを備えることも可能であり、少なくとも1つの機械式アクチュエータは、少なくとも1つの液圧式アクチュエータによって変位された回転可能部分を変位位置に固定するために使用される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、アクチュエータ装置の少なくとも1つのアクチュエータは、滑りパッドから周方向に変位して配置されている。滑りパッドは、固定部分の半径方向および/または軸線方向の両方で回転可能部分を支持するために、固定部分と回転可能部分との間で周方向および/または軸線方向に変位して配置することができる。好ましくは、アクチュエータ装置のうちの少なくとも1つのアクチュエータは、滑りパッドの各々から周方向に変位して配置される。複数のアクチュエータを備えるアクチュエータ装置を設けることによって、個々のアクチュエータは、例えば滑りパッド同士の間で周方向に配置されることが可能であり、その結果、コンパクトなサイズの軸受が得られる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、アクチュエータ装置は、回転可能部分に半径方向の力を加えるために、固定部分と回転可能部分との間に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの半径方向のアクチュエータを備え、かつ/または回転可能部分に軸線方向の力を加えるために、回転可能部分と固定部分の周の突出部との間に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの軸線方向のアクチュエータを備える。突出部は、例えば、固定部分に取り付けられた軸受カバー、または固定部分の周の突出部であってよい。突出部は、特に回転可能部分に隣接して周から突出することができるので、少なくとも1つのアクチュエータを突出部と回転可能部分との間に配置して、回転可能部分に力を加えて1つ以上の滑りパッドを除荷することができる。
【0029】
好ましくは、軸受は、軸受ケースを備え、アクチュエータ装置は、軸受ケースの内側に配置されている。軸受ケースは、例えば軸受カバーおよび/または回転可能部分および/または固定部分によって少なくとも部分的に成形することができる。軸受ケースは、特に、滑りパッド同士の間の接触領域、回転可能部分、および/または軸受で使用される流体を収容する。
【0030】
好ましくは、アクチュエータ装置の1つ以上のアクチュエータはそれぞれ、軸受の固定部分または回転可能部分に固定されている。少なくとも1つのアクチュエータの作動中、軸受の部分のうちの1つに固定されたアクチュエータは、軸受の各々の他の部分に結合して、他の部分に力を加えて固定部分と回転可能部分との間に変位を生じさせ、軸受の滑りパッドのうちの少なくとも1つを除荷することができる。少なくとも1つのアクチュエータは、固定部分または回転可能部分にそれぞれ直接的または間接的に取り付けることができる。
【0031】
本発明による風力タービンは、本発明による滑り軸受を備える。本発明による風力タービンには、本発明による滑り軸受の詳細および利点が同様に適用される。本発明による風力タービンおよび本発明による滑り軸受には、回転滑り軸受の滑りパッドを交換するための方法の詳細および利点も同様に適用される。
【0032】
本発明の他の目的および特徴は、添付の図面と併せて考慮される以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、図面は説明のみを目的として設計された基本的な図にすぎず、発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による風力タービンの一実施形態を示す図である。
【
図2】本発明による滑り軸受の実施形態の詳細図である。
【
図3】本発明による滑り軸受の実施形態の斜視図である。
【
図4】本発明による滑り軸受の第2の実施形態を示す図である。
【
図5】本発明による滑り軸受の第3の実施形態を示す図である。
【
図6】本発明による滑り軸受の第4の実施形態を示す図である。
【
図7】本発明による滑り軸受の第5の実施形態を示す図である。
【
図8】本発明による滑り軸受の第6の実施形態を示す図である。
【
図9】本発明による滑り軸受の第7の実施形態を示す図である。
【
図10】本発明による滑りパッドを交換するための方法中のフライス装置の挿入を示す図である。
【0034】
図1には、本発明による風力タービン1の詳細が示されている。風力タービン1は、風力タービンの固定シャフト4にハブ3を支持する滑り軸受2を備える。滑り軸受2は、風力タービン1のハブ3に接続された環状の回転可能部分5を備える。さらに、滑り軸受2は、風力タービン1の固定シャフト4に接続された環状の固定部分6を備える。軸受の固定部分6は、シャフト4に取り付けられているか、またはシャフト4と一体に製造することが可能である。
【0035】
滑り軸受2は、複数の半径方向支持用の滑りパッド7と、複数の軸線方向支持用の滑りパッド8とをさらに備える。半径方向支持用の滑りパッド7は、軸受2の回転可能部分5を固定部分6に半径方向で支持する。同様に、半径方向支持用の滑りパッド8は、滑り軸受の回転可能部分5を固定部分6に軸線方向で支持する。回転可能部分5と滑りパッド7,8との間に、風力タービン1の動作中に滑りパッド7,8上で回転可能部分5の滑りを可能にする流体膜を配置することができる。
【0036】
回転可能部分5は、固定部分6の外周に配置されている。固定部分6は複数の開口9,10を備えており、複数の第1の開口9の各々は、半径方向支持用の滑りパッド7の1つに対応し、複数の第2の開口10の各々は、軸線方向支持用の滑りパッド8の1つに対応している。
【0037】
矢印11で示すように、半径方向支持用の滑りパッド7は、対応する開口9を通して、軸受2の固定部分6の中心に向かって半径方向に取り外すことができる。同様に、矢印12で示すように、軸線方向支持用の滑りパッド8は、対応する開口10を通して、固定部分6の中心に向かって取り外すことができる。取り外したのち、滑りパッド7,8は、次に、矢印13で示されるように、それぞれ軸受2または風力タービン1から輸送することができる。滑りパッド7,8を取り外したのち、取り外された滑りパッド7,8の位置に交換用の滑りパッドを逆方向に挿入することができる。特に、滑りパッド7,8の交換は、手動で行うことができ、かつ/または交換手順の前に軸受2の近傍に手動で設置された昇降装置を使用して行うことができる。
【0038】
滑り軸受2の回転可能部分5は滑りパッド7,8を介して固定部分6に支持されているので、取り外される滑りパッド7,8は、それぞれ回転可能部分5の重量を除荷するか、または回転可能部分5に接続された風力タービン1の構成要素から除荷する必要がある。
【0039】
開口9はまた、半径方向支持用の滑りパッドを収容する固定部分の、半径方向の空洞の軸線方向の開口または半径方向の凹部の軸線方向の開口、特に外周の半径方向内向きの凹部の軸線方向の開口であってよく、その結果、無荷重の滑りパッドは、凹部から軸線方向に軸受の一方の側に向かって、特に風力タービン1のハブ3に接続された側に向かって軸線方向に取り外すことができ、かつ/または軸受2の内部に向かって半径方向に取り外すことができる。また、固定部分6の外周に対する開口9の傾斜配向が可能であり、その結果、滑りパッド7は、軸線方向と半径方向との移動を組み合わせて、取り外すかつ/または交換することができる。荷重がかかった状態では、滑りパッド7は凹部内に形状適合接続で固定されており、滑りパッド7を除荷したのち、滑りパッド7の交換が可能になる。
【0040】
回転滑り軸受2の滑りパッド7,8を交換するための方法の実施形態では、最初に、滑りパッド7,8に加えられた力を解放することによって、かつ/または回転可能部分5に力を加えることによって、滑りパッド7,8から回転可能部分5の荷重が除去される。そののち、無荷重の滑りパッド7,8が軸線方向および/または半径方向に取り外され、交換用の滑りパッド7,8が挿入される。そののち、回転可能部分5は、交換用の滑りパッド7,8に力を加えることによって、かつ/または回転可能部分5に加えられた力を除去することによって、交換用の滑りパッド7,8に支持される。
【0041】
滑りパッド7,8のうちの少なくとも1つを除荷する様々な方法が、以下の図に関連して説明される。
【0042】
図2には、滑り軸受2の第1の実施形態が示されている。断面図により、固定部分6に回転可能部分5を支持する滑りパッド7が識別可能である。半径方向支持用の滑りパッド7は、軸受2の固定部分6の開口10に係合される。半径方向支持用の滑りパッド7は、軸受ケース内で軸受2の回転可能部分5と接触しており、軸受ケースは、回転可能部分5と、固定部分6と、軸受カバー14とによって成形される。軸受ケースは、特に、滑りパッド7と回転可能部分5との間の接触領域と、軸受2の滑りパッド7,8と回転可能部分5との間の流体膜とを覆う。
【0043】
半径方向支持用の滑りパッド7は、カバープレート16を固定部分6に固定する複数のボルト15を備えるボルト接続部24によって軸受2に固定される。ボルト接続部24を締めることによって、したがってボルト15を使用してプレート16を固定部分6にボルト締めすることによって、半径方向支持用の滑りパッド7は、軸受2の回転可能部分5に対して押圧される。半径方向支持用の滑りパッド7が取り付けられた状態では、軸受2の回転可能部分5の重量および/またはボルト接続部24によって、力がそれぞれ滑りパッドに作用する。
【0044】
半径方向支持用の滑りパッド7から回転可能部分5の荷重を除去するために、ボルト接続部24を解離し、プレート16を取り外すことができる。そののち、滑りパッド7は、固定部分6の中心に向かって半径方向に軸受2から取り外すことができる。交換用の滑りパッド7を開口10に挿入したのち、ボルト接続部24を締めることにより、プレート16を固定部分6に再び固定することができる。ボルト接続部24を締めることにより、軸受2の回転可能部分5は、交換された滑りパッド7に再び支持される。半径方向支持用の滑りパッド7のうちの1つが除荷されると、軸受の回転可能部分5は、軸受の半径方向支持用の滑りパッド7の残りの部分および/または軸受2の軸線方向支持用の滑りパッド9にそれぞれ支持される。
【0045】
図3には、滑り軸受2の第1の実施形態の斜視図が示されている。複数の半径方向支持用の滑りパッド7に加えて、軸受2は、複数のボルト(図示せず)と固定部材18とを備えるボルト接続部17によって各々が軸受の固定部分に固定される複数の軸線方向支持用の滑りパッド8を備える。軸線方向支持用の滑りパッド8を見えるようにするために、軸受カバー14は図示されていないことに留意されたい。また、半径方向支持用の滑りパッド7と、滑りパッド7の各々の固定具は図示されていない。
【0046】
軸線方向支持用の滑りパッド8は、軸受2の回転可能部分5を固定部分6に軸受2の軸線方向で支持する。また、軸線方向支持用の滑りパッド8のうちの1つは、ボルト接続部17を緩めて固定部材18を取り外すことによって除荷することができる。そののち、軸線方向支持用の滑りパッド8を、半径方向に、つまり軸受2から半径方向外向き方向に、または軸受2の固定部分6の開口10を通して固定部分6の中心に向かって半径方向内向き方向に、取り外すことができる。そののち、交換用の滑りパッド8を開口10を通して逆方向に挿入することができ、固定部材18を使用して滑りパッド8を固定するボルト接続部17を締めることによって、回転可能部分5を交換用の滑りパッド8に支持することができる。
【0047】
図4には、本発明による滑り軸受2の第2の実施形態が示されている。軸受2は、複数のアクチュエータ19を備えたアクチュエータ装置を備える。アクチュエータ19は、軸受カバー14と、回転可能部分5と、滑りパッド7,8、および軸受2の流体膜を収容する固定部分6とによって少なくとも部分的に成形される軸受ケースの内側に恒久的に設置される。アクチュエータ19として、液圧ジャッキが使用される。アクチュエータ19によって、固定部分6と回転可能部分5との間に変位を生じさせることができる。したがって、アクチュエータ19は、例えば、軸受2のポンプ、または軸受2を備える風力タービン1のポンプにそれぞれ接続することができる。また、アクチュエータ19を外部ポンプに接続することも可能である。
【0048】
1つ以上の半径方向支持用の滑りパッド7、特に、図示されたアクチュエータ19の隣に周方向に配置された1つ以上の半径方向支持用の滑りパッド7を除荷するためには、回転可能部分5の約1mmの小さな変位が、滑りパッド7を除荷するのに十分である。変位は、アクチュエータ19を使用して回転可能部分5に力を加えることによって生じる。回転可能部分5に力を加えたのち、したがって回転可能部分5を固定部分6または半径方向支持用の滑りパッド7からそれぞれわずかに離れるように押圧したのち、半径方向支持用の滑りパッド7は、回転可能部分5から除荷され、取り外すことができる。したがって、例えば、前述のようなカバープレート16を取り外して、対応する開口9を通して半径方向の滑りパッド7を取り外すことができる。
【0049】
図5には、滑り軸受2の第3の実施形態が示されている。この実施形態では、アクチュエータ19として使用される液圧ジャッキは、固定部分6の内壁に取り付けられており、ひいては滑り軸受2の軸受ケースの外側に取り付けられる。アクチュエータ19は固定部分6に固定され、アクチュエータ19のピストン20によって回転可能部分5に接続される。ピストン20は、固定部分6のオリフィス23内に配置される。したがって、軸受2の回転可能部分5と固定部分6との間の変位は、回転可能部分5を固定部分6からわずかに離れるように押圧することによって生じさせることができ、アクチュエータ19の近傍で少なくとも1つの半径方向支持用の滑りパッド7を除荷することができる。アクチュエータ19は、回転可能部分5に半径方向の力を加える半径方向のアクチュエータである。
【0050】
図6には、滑り軸受2の第4の実施形態が示されている。滑り軸受2は、軸受2の、固定部分6の突出部21と回転可能部分5との間に配置された複数のアクチュエータ19を備える。突出部は、回転可能部分5に隣り合う固定部分6の外周から突出する。各々が液圧ジャッキであってよいアクチュエータ19によって、軸受2の回転可能部分5と固定部分6との間の軸線方向の変位を生じさせて、アクチュエータ19の隣に位置する少なくとも1つの軸線方向の滑りパッド8を除荷することができる。
【0051】
軸線方向支持用の滑りパッド8は、アクチュエータ19に対して周方向に変位して配置される。代替的な位置22では、アクチュエータ19は、軸受2の回転可能部分5と、固定部分6に取り付けられた軸受カバー14によって生じる固定部分6の突出部との間に配置されてもよい。特に、複数のアクチュエータ19と、複数の軸線方向支持用の滑りパッド8、特に隣り合って配置された滑りパッド8の複数の対とは、周方向に交互に配置される。アクチュエータ19は、例えば交互に、両方の位置に配置することができる。両方の位置において、アクチュエータ19は、回転可能部分5に軸線方向の力を加える軸線方向のアクチュエータである。
【0052】
1つ以上のアクチュエータ19を使用して1つ以上の軸線方向の滑りパッド8を除荷したのち、軸線方向の滑りパッド8は、固定部分6の半径方向内向き方向に開口10を通して取り外すことができる。そののち、滑りパッドを交換するための方法において、交換用の滑りパッド8を、開口10を通して挿入することができ、アクチュエータ19によって回転可能部分5に加えられた力を除去することによって、回転可能部分5を交換用の滑りパッド8に再び支持することができる。
【0053】
軸受2の軸受ケース内でアクチュエータ19を位置決めすることに加えて、以下の実施形態で説明するように、軸受ケースの外側へ少なくとも1つのアクチュエータ19を位置決めすることも可能である。
【0054】
図7には、本発明による滑り軸受2の第5の実施形態が示されている。この実施形態では、アクチュエータ19は、軸受2の軸受ケースの外側に配置される。アクチュエータ19は、軸受2の軸受カバー14に固定され、ひいては、軸受2の固定部分6に固定される。アクチュエータ19は、軸受カバー14のオリフィス内に配置されたアクチュエータ19のピストン20によって軸受の回転可能部分5に接続され、その結果、アクチュエータ19を使用して、回転可能部分5と固定部分6との間の変位を生じさせることができる。回転可能部分5を軸受カバー14から離れるように押圧することによって、アクチュエータ19に周方向に隣り合う1つ以上の軸線方向支持用の滑りパッド8は、除荷されて、軸受2の固定部分6の開口10を通して前述のように取り外すことができる。
【0055】
同様に、回転可能部分5の反対側に配置された軸線方向支持用の滑りパッド8を取り外すためには、アクチュエータ19は、代替的な位置32で固定部分6の突出部21に取り付けられて、軸受2の回転可能部分5と固定部分6との間の反対方向への変位を可能にすることができ、その結果、突出部21と軸受2の回転可能部分5との間の軸線方向支持用の滑りパッド8を取り外すことができる。
【0056】
図8には、本発明による滑り軸受2の第6の実施形態が示されている。この実施形態では、アクチュエータ19は、軸受2の回転可能部分5に固定されている。したがって、アクチュエータ19は、例えば固定具25を使用して軸受の回転可能部分5に接続されたハブ3に固定することができる。アクチュエータ19のピストン20を使用して、軸受2の回転可能部分5と固定部分6との間の変位を生じさせることができ、その結果、軸受カバー14と回転可能部分5との間に配置された少なくとも1つの軸線方向に滑るパッド8を、前述のように除荷および取り外すことができる。
【0057】
同様に、代替的な位置26によって示されるように、アクチュエータ19を反対側に取り付けることもまた可能であり、固定具27を使用してアクチュエータ19を回転可能部分5に固定して、回転可能部分5と固定部分6の突出部21との間の軸線方向支持用の滑りパッド8を除荷する。
【0058】
図9には、本発明による滑り軸受2の第7の実施形態が示されている。この実施形態では、アクチュエータ19として、基部セクション28とねじ山付きボルト29とを備える機械式アクチュエータが使用される。軸受2の回転可能部分5と固定部分6との間の変位は、ボルト29の作動によって生じさせることができる。アクチュエータ19のボルト29は、例えば手動で、またはボルト29に電動モータコネクタを使用して作動させることができる。ボルト29を基部セクション28のねじ山部分を通して移動させることによって、軸受2の回転可能部分5と固定部分6との間の変位を生じさせて、1つ以上の軸線方向支持用の滑りパッド8を除荷することができる。滑りパッド8の交換中、回転可能部分5は機械式アクチュエータによって支持される。
【0059】
前述の実施形態と同様に、このような機械式アクチュエータはまた、各々の位置で液圧式アクチュエータの代替として使用することもできる。液圧式アクチュエータに加えて、機械式アクチュエータを使用することも可能であり、機械式アクチュエータは、回転可能部分5を回転可能部分5の変位位置に固定するために使用される。
【0060】
図10では、軸線方向支持用の滑りパッド8に対応する開口10に挿入されたフライス工具30が概略的に示されている。フライス工具30は、軸受2の内部からフライス工具30の表面トリミング部分を覆う開口10の形状に対応するカバー31を備えており、その結果、例えば、固定部分6および/または回転可能部分5の一部の表面処理を、軸受2の内部または軸受2の軸受ケースの内部にそれぞれ汚れが入る危険なしに行うことができる。同様に、半径方向支持用の滑りパッド7を交換するための開口9の形状に対応するカバー31を備えたフライス工具30を使用することができる。
【0061】
表面処理のステップは、滑りパッド7,8を交換するための方法において、滑りパッド7,8を取り外したのち、かつ交換用の滑りパッドを挿入する前に実施することができる。表面処理は、回転可能部分5および/または固定部分6の損傷および/または摩耗に対処するために実施することができる。
【0062】
すべての実施形態において、アクチュエータ装置および/または軸受2はそれぞれ、例えば液圧式アクチュエータまたは機械式アクチュエータの動力が損失した場合に、回転可能部分5を固定するために、回転可能部分5を回転可能部分5の変位位置に固定する機械式固定装置を備えることができる。特に、軸受2は、前述の実施形態の2つ以上を組み合わせて、異なる位置に配置された複数のアクチュエータ19を備えることが可能である。
【0063】
本発明を好ましい実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明は、当業者が本発明の範囲から逸脱することなく他の変形を導き出すことができる開示された例によって限定されない。