(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/477 20210101AFI20240729BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/627 20210101ALI20240729BHJP
【FI】
H01M50/477
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/531
H01M50/55 101
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/474
H01M50/627
(21)【出願番号】P 2022566579
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045057
(87)【国際公開番号】W WO2022118432
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 晋聡
(72)【発明者】
【氏名】根岸 信保
(72)【発明者】
【氏名】篠田 達也
(72)【発明者】
【氏名】山岸 元気
(72)【発明者】
【氏名】新田 渉
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/158676(WO,A1)
【文献】特開2004-207089(JP,A)
【文献】特開2012-248427(JP,A)
【文献】特開2002-231297(JP,A)
【文献】特開2014-096387(JP,A)
【文献】特開2006-040899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
H01M 50/471
H01M 50/627
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び周壁を備え、高さ方向
の前記底壁が位置する側とは反対側
へ内部空洞が
開口する外装容器と、
前記内部空洞の開口を塞ぐ状態で前記外装容器の前記周壁に取付けられる蓋部材と、
正極及び負極を備え
るとともに、前記外装容器の前記内部空洞に収納される電極群と、
前記高さ方向に交差する横方向の外側へ電極群において突出する集電タブと、
前記蓋部材の外表面
から外部に露出
するとともに、前記集電タブに電気的に接続される電極端子と、
前記蓋部材の内表面との間に空間を形成するとともに、前記電極群に近接する対向面が前記電極群の前記蓋部材が位置する側の端部の外表面に沿った近接板部を備える、電気的絶縁性を有する材料から形成され
るとともに、前記内部空洞の前記電極群と前記蓋部材との間に配置される電極群押さえと
、
を具備する、電池。
【請求項2】
前記電極群押さえは、前記近接板部から前記蓋部材へ向かって突出する凸部を備え、
前記電極群押さえの前記凸部は、前記蓋部材の前記内表面と当接する、
請求項1の電池。
【請求項3】
前記電極群押さえの前記近接板部は、前記高さ方向及び前記横方向の両方に対して交差する奥行き方向の内側へ向かって、前記電極群に力を作用させる、請求項1又は2の電池。
【請求項4】
前記電極群では、前記集電タブとは異なる部位に、前記電極群押さえの前記近接板部が近接する、請求項1乃至3のいずれか1項の電池。
【請求項5】
前記内部空洞に配置され、前記集電タブと前記電極端子との間の電気経路の少なくとも一部を形成するリードをさらに具備し、
前記電極群押さえの前記近接板部は
、前記集電タブ、前記電極端子及び前記リードから
前記横方向に離れて位置する、
請求項1乃至4のいずれか1項の電池。
【請求項6】
前記蓋部材には、前記外表面から前記内表面まで貫通する注液口が形成され、
前記電極群押さえの前記近接板部は
、前記注液口から
前記横方向に離れて位置する、
請求項1乃至5のいずれか1項の電池。
【請求項7】
前記電極群では、前記横方向に沿う捲回軸を中心として前記正極及び前記負極が捲回され、
前記電極群の前記蓋部材が位置する側の前記端部の前記外表面は、前記横方向に垂直な断面が円弧状になる曲面に形成され、
前記近接板部の前記対向面は、前記横方向に垂直な断面が円弧状になり、かつ、前記電極群の前記蓋部材が位置する側の前記端部の前記曲面に沿った曲面に形成される、
請求項1乃至6のいずれか1項の電池。
【請求項8】
前記近接板部の前記対向面の曲率半径は、記電極群の前記蓋部材が位置する側の前記端部の前記曲面の曲率半径に対して、90%以上かつ110%以下である、請求項7の電池。
【請求項9】
前記集電タブは、前記電極群において前記横方向の一方側へ突出する正極集電タブと、前記正極集電タブが突出する側とは反対側へ前記電極群において突出する負極集電タブと、を備え、
前記電極端子は、前記正極集電タブに電気的に接続される正極端子と、前記蓋部材の前記外表面において前記正極端子から離れて配置され
るとともに、前記負極集電タブに電気的に接続される負極端子と、を備える、
請求項1乃至8のいずれか1項の電池。
【請求項10】
前記電極群押さえの近接板部は、前記横方向について、前記正極集電タブと前記負極集電タブとの間で、かつ、前記正極端子と前記負極端子との間に位置する、請求項9の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の電子機器の進歩にともなって、これらの電子機器に使用される二次電池等の電池は、小型化及び軽量化が求められている。小型化及び軽量化が実現され、かつ、エネルギー密度の高い二次電池として、リチウムイオン二次電池が挙げられる。一方、電気自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク及びフォークリフト等の車両に搭載される大型かつ大容量の電源として、鉛蓄電池、ニッケル水素電池等の二次電池が用いられる。また、近年では、車両に搭載される大型かつ大容量の電源として、エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池が、採用に向けての開発されている。車両に搭載されるリチウムイオン二次電池の開発では、電池の高寿命化の実現及び安全性の向上等を実現するとともに、電池の大型化及び大容量化を実現することが求められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池等の電池として、外装容器の内部空洞に、正極及び負極を備える電極群が収納されるものがある。この電池では、外装容器は、底壁及び周壁を備え、外装容器の内部空洞は、高さ方向について底壁とは反対側へ開口する。そして、外装容器の周壁に蓋部材が取付けられ、内部空洞の開口は、蓋部材によって塞がれる。また、電池では、電極端子が、外部に露出する状態で、蓋部材の外表面に配置される。そして、内部空洞では、高さ方向に交差する横方向の外側へ電極群において集電タブが突出する。そして、集電タブは、リード等を介して、電極端子に電気的に接続される。
【0004】
前述のような電池では、内部空洞に収納される電極群等の内蔵物は、外装容器の周壁等によって拘束されている。このため、電池が搭載される車両の走行による振動等の外部衝撃が発生しても、電極群、集電タブ及びリード等を含む内蔵物への外部衝撃の影響が抑制される。
【0005】
ここで、前述のような電池を使用すると、内部空洞において、電極群からガスが発生することがある。内部空洞においてガスが発生することにより、外装容器が膨張する。電池では、内部空洞においてガスが発生しても、内蔵物の移動が適切に拘束されることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開2013-168284号公報
【文献】日本国特開2006-40899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、外装容器が膨張しても内部空洞において内蔵物が適切に拘束される電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、電池は、外装容器、蓋部材、電極群、集電タブ、電極端子及び電極群押さえを備える。外装容器は、底壁及び周壁を備え、外装容器では、高さ方向の底壁が位置する側とは反対側へ内部空洞が開口する。蓋部材は、内部空洞の開口を塞ぐ状態で、外装容器の周壁に取付けられる。電極群は、正極及び負極を備えるとともに、外装容器の内部空洞に収納される。集電タブは、高さ方向に交差する横方向の外側へ、電極群において突出する。電極端子は、蓋部材の外表面から外部に露出するとともに、集電タブに電気的に接続される。電極群押さえは、蓋部材の内表面との間に空間を形成するとともに、電極群に近接する対向面が電極群の蓋部材が位置する側の端部の外表面に沿った近接板部を備える。電極群押さえは、電気的絶縁性を有する材料から形成されるとともに、内部空洞において電極群と蓋部材との間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電池を部材ごとに分解して示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る電池を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る電池の電極群押さえを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る電池の電極群押さえを、
図3とは異なる方向から視た斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る電池において電極群押さえ及びその近傍を、電池の横方向に対して垂直又は略垂直な断面で示す断面図である。
【
図6】
図6は、ある変形例に係る電池において電極群押さえ及びその近傍を、電池の横方向に対して垂直又は略垂直な断面で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して、説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1及び
図2は、第1の実施形態に係る電池1を示す。
図1及び
図2に示すように、電池1は、電極群2、外装容器3及び蓋部材5を備える。外装容器3及び蓋部材5のそれぞれは、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、銅又はステンレス等の金属から形成される。ここで、電池1(外装容器3)では、奥行き方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、奥行き方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、奥行き方向及び横方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。電池1及び外装容器3のそれぞれでは、奥行き方向についての寸法が、横方向についての寸法、及び、高さ方向についての寸法のそれぞれに比べて、小さい。なお、
図1は、部材ごとに分解して示す斜視図であり、
図2は、斜視図である。
【0012】
外装容器3は、底壁6及び周壁7を備える。電極群2が収納される内部空洞8は、底壁6及び周壁7によって規定される。外装容器3では、内部空洞8は、高さ方向について、底壁6が位置する側とは反対側へ向かって開口する。周壁7は、二対の側壁11,12を備える。一対の側壁11は、横方向について内部空洞8を挟んで対向する。一対の側壁12は、奥行き方向について内部空洞8を挟んで対向する。側壁11のそれぞれは、側壁12の間に、奥行き方向に沿って連続して延設される。側壁12のそれぞれは、側壁11の間に、横方向に沿って連続して延設される。蓋部材5は、底壁6とは反対側の端部で、周壁7に取付けられる。このため、蓋部材5は、外装容器3の内部空洞8の開口を塞ぐ。蓋部材5及び底壁6は、高さ方向について内部空洞8を挟んで対向する。
【0013】
電極群2は、正極13A及び負極13Bを備える。電極群2では、正極13Aと負極13Bとの間にセパレータ(図示しない)が介在する。セパレータは、電気的絶縁性を有する材料から形成され、正極13Aを負極13Bに対して電気的に絶縁する。
【0014】
正極13Aは、正極集電箔等の正極集電体と、正極集電体の表面に担持される正極活物質含有層(図示しない)と、を備える。正極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。正極活物質含有層は、正極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。正極集電体は、正極活物質含有層が未担持の部分として、正極集電タブ15Aを備える。
【0015】
負極13Bは、負極集電箔等の負極集電体と、負極集電体の表面に担持される負極活物質含有層(図示しない)と、を備える。負極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔又は銅箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。負極活物質含有層は、負極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び炭素材料等が挙げられる。負極集電体は、負極活物質含有層が未担持の部分として、負極集電タブ15Bを備える。
【0016】
図1等の一例の電極群2では、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間でセパレータが挟まれた状態で、正極13A、負極13B及びセパレータが捲回軸Bを中心として捲回される。電極群2では、正極集電タブ15Aは、負極13B及びセパレータに対して、捲回軸Bに沿う軸方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)の一方側へ突出する。そして、電極群2では、負極集電タブ15Bは、捲回軸Bに沿う軸方向について、正極13A及びセパレータに対して、正極集電タブ15Aが突出する側とは反対側へ突出する。したがって、一対の集電タブ15(正極集電タブ15A及び負極集電タブ15B)は、捲回軸Bに沿う軸方向について、互いに対して反対側へ突出する。
【0017】
電極群2では、捲回軸Bの軸方向(集電タブ15の突出方向)に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印Z3及び矢印Z4で示す方向)、及び、捲回軸Bの軸方向及び幅方向の両方に対して交差する厚さ方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)が、規定される。そして、電極群2では、厚さ方向についての寸法が、軸方向についての寸法及び幅方向についての寸法のそれぞれに比べて、小さい。このため、電極群2は、扁平形状に形成される。また、一対の集電タブ15のそれぞれでは、複数の帯状部が束ねられる。
【0018】
本実施形態では、電極群2は、捲回軸Bが電池1の横方向に沿う状態で、すなわち、軸方向が電池1の横方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。また、内部空洞8に配置される電極群2では、幅方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致し、かつ、厚さ方向が電池1の奥行き方向と一致又は略一致する。そして、一対の集電タブ15のそれぞれは、電極群2において、電池1の横方向の外側へ突出する。正極集電タブ15Aは、電池1の横方向の一方側へ負極13B及びセパレータに対して突出する。また、負極集電タブ15Bは、電池1の横方向について、正極13A及びセパレータに対して、正極集電タブ15Aが突出する側とは反対側に、突出する。
【0019】
また、内部空洞8では、電極群2に、電解液(図示しない)が保持(含浸)される。電解液は、電解質を有機溶媒に溶解させた非水電解液であってもよく、水溶液等の水系電解液であってもよい。電解液の代わりに、ゲル状電解質が用いられてもよく、固体電解質が用いられてもよい。固体電解質が電解質として用いられる場合、電極群において、固体電解質が、セパレータの代わりに、正極13Aと負極13Bとの間に介在する。この場合、固体電解質により、正極13Aが負極13Bに対して電気的に絶縁される。
【0020】
電池1では、蓋部材5に、一対の電極端子16が取付けられる。電極端子16は、金属等の導電材料から形成される。電極端子16の一方が電池1の正極端子(16A)であり、一対の電極端子16の正極端子(16A)とは別の一方が電池1の負極端子(16B)である。電極端子16のそれぞれは、電池1の外部に露出する状態で、蓋部材5の外表面に配置される。一対の電極端子16は、電池1の横方向について、互いに対して離れて配置される。
【0021】
また、蓋部材5には、一対の貫通孔17が設けられる。貫通孔17のそれぞれは、電池1の高さ方向に沿って、蓋部材5を貫通する。蓋部材5の外表面では、電極端子16のそれぞれと蓋部材5との間に、絶縁部材18が設けられる。また、貫通孔17のそれぞれには、絶縁ガスケット19が配置される。電極端子16のそれぞれは、絶縁部材18及び絶縁ガスケット19によって、蓋部材5及び外装容器3に対して電気的に絶縁される。
【0022】
外装容器3の内部空洞8には、一対のリード20が配置される。一対のリード20の一方が正極側リード(20A)であり、一対のリード20の正極側リード(20A)とは別の一方が負極側リード(20B)である。電極群2の正極集電タブ15Aは、少なくとも正極側リード20Aを間に介して、正極端子16Aに、電気的に接続される。このため、正極側リード20Aは、正極集電タブ15Aと正極端子16Aとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する。電極群2の負極集電タブ15Bは、少なくとも負極側リード20Bを間に介して、負極端子16Bに、電気的に接続される。このため、負極側リード20Bは、負極集電タブ15Bと負極端子16Bとの間の電気経路の少なくとも一部を形成する。リード20のそれぞれは、金属等の導電材料から形成される。リード20を形成する導電材料としては、アルミニウム、ステンレス、銅及び鉄等が挙げられる。
【0023】
また、外装容器3の内部空洞8には、一対の絶縁ガード21、及び、一対の絶縁テープ22が配置される。絶縁ガード21及び絶縁テープ22のそれぞれは、電気的絶縁性を有する材料から形成される。絶縁ガード21の一方である絶縁ガード21Aは、正極側リード20A(正極集電タブ15A)と外装容器3の周壁7との間に配置される。正極側リード20A及び正極集電タブ15Aのそれぞれは、絶縁ガード21Aによって、外装容器3への接触が防止され、外装容器3に対して電気的に絶縁される。絶縁ガード21の絶縁ガード21Aとは別の一方である絶縁ガード21Bは、負極側リード20B(負極集電タブ15B)と外装容器3の周壁7との間に配置される。負極側リード20B及び負極集電タブ15Bのそれぞれは、絶縁ガード21Bによって、外装容器3への接触が防止され、外装容器3に対して電気的に絶縁される。絶縁ガード21のそれぞれは、絶縁テープ22の対応する一方によって、電極群2に固定される。
【0024】
また、電極群押さえ23は、電池1の高さ方向について電極群2と蓋部材5との間に、配置される。電極群押さえ(内部絶縁部材)23は、電気的絶縁性を有する材料から形成される。一対の集電タブ15及び一対のリード20は、電極群押さえ23によって、蓋部材5への接触が防止され、蓋部材5に対して電気的に絶縁される。
【0025】
また、
図1及び
図2の一例では、蓋部材5に、ガス開放弁26及び注液口27が、形成される。そして、蓋部材5の外表面に、注液口27を塞ぐ封止板29が、溶接される。ガス開放弁26及び注液口27は、電池1の横方向について、一対の電極端子16の間に配置される。なお、ある一例では、ガス開放弁26及び注液口27等は、電池1に設けられなくてもよい。
【0026】
図1等の一例では、リード20のそれぞれは、天板部31及び一対の脚部32を備える。リード20のそれぞれの天板部31は、厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。また、リード20のそれぞれの天板部31は、電池1の高さ方向について、電極群押さえ23と電極群2との間に配置される。リード20のそれぞれでは、天板部31は、延設端E1から延設端E2まで、電池1の横方向に沿って延設される。天板部31のそれぞれでは、延設端E2は、延設端E1に対して、電池1の横方向の外側に位置する。
【0027】
また、リード20のそれぞれには、電池1の高さ方向(天板部31の厚さ方向)に天板部31を貫通する貫通孔33が、形成される。リード20のそれぞれには、貫通孔33において、電極端子16の対応する一方が接続される。したがって、リード20のそれぞれでは、貫通孔33が、電極端子16の対応する一方の接続位置となる。リード20のそれぞれへは、カシメ固定等によって、電極端子16の対応する一方が接続される。
【0028】
また、リード20のそれぞれでは、一対の脚部32は、延設端E2が位置する側の端部で、天板部31に接続される。したがって、リード20のそれぞれでは、脚部32は、貫通孔33(電極端子16の接続位置)に対して、電池1の横方向の外側に位置する。また、リード20のそれぞれでは、一対の脚部32は、電池1の奥行き方向について、互いに対して離れて配置される。リード20のそれぞれでは、脚部32は、天板部31への接続位置から電池1の高さ方向に沿って延設され、天板部31に対して底壁6が位置する側へ向かって屈曲する。
【0029】
図1等の一例では、集電タブ15のそれぞれにおいて、複数の帯状部が束ねられる結束部分が、2箇所に形成される。また、内部空洞8には、二対(4つ)のバックアップリード28が配置される。バックアップリード28は、金属等の導電材料から形成される。集電タブ15のそれぞれでは、帯状部の結束部分のそれぞれが、バックアップリード28の対応する1つによって、挟まれる。そして、集電タブ15のそれぞれでは、結束部分のそれぞれは、バックアップリード28の対応する1つを間に介して、リード20の対応する一方に接合される。集電タブ15のそれぞれでは、結束部分のそれぞれは、一対の脚部32の対応する一方で、リード20の対応する一方に接合される。また、集電タブ15のそれぞれは、例えば、超音波溶接によって、リード20の対応する一方に接合される。
【0030】
なお、ある一例では、リード20のそれぞれに、脚部32が1つのみ設けられてもよい。この場合、集電タブ15のそれぞれでは、複数の帯状部の結束部分が、1箇所のみに形成される。そして、集電タブ15のそれぞれでは、帯状部の結束部分が、リード20の対応する一方の脚部32に接合される。また、ある一例では、バックアップリード28は、必ずしも設けられる必要はなく、一対の集電タブ15の少なくとも一方は、対応するリード(20A及び20Bの対応する一方)に直接的に接合されてもよい。
【0031】
図3及び
図4は、電極群押さえ23を示し、
図5は、電極群押さえ23及びその近傍を示す。ここで、
図3及び
図4は、斜視図であり、互いに対して視る方向が異なる。また、
図5は、電池1の横方向に対して垂直又は略垂直な断面を示す。
図1及び
図3乃至
図5等に示すように、電極群押さえ23では、長さ方向(矢印Y5及び矢印Y6で示す方向)、長さ方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印X5及び矢印X6で示す方向)、及び、長さ方向及び幅方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)厚さ方向(矢印Z5及び矢印Z6で示す方向)が、規定される。
【0032】
電極群押さえ23では、厚さ方向についての寸法が、幅方向についての寸法に比べて小さく、幅方向についての寸法が、長さ方向についての寸法に比べて小さい。また、内部空洞8では、電極群押さえ23は、厚さ方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、配置される。内部空洞8に配置される電極群押さえ23では、幅方向が電池1の奥行き方向と一致又は略一致し、かつ、長さ方向が電池1の横方向と一致又は略一致する。
【0033】
電極群押さえ23は、基板部35、2つの突出板部36(36A,36B)、及び、2つの突出板部37(37A,37B)を備える。突出板部36,37のそれぞれは、電極群押さえ23の厚さ方向の一方側へ、基板部35から突出する。また、突出板部36,37のそれぞれは、基板部35の外縁に沿って延設され、電極群押さえ23の長さ方向に沿って延設される。電極群押さえ23は、電池1の高さ方向について電極群2が位置する側へ突出板部36,37が基板部35から突出する状態で、内部空洞8に配置される。突出板部36A,37Aは、電極群押さえ23の長さ方向(電池1の横方向)について、突出板部36B,37Bから離れて配置される。また、突出板部36A,37Aは、電極群押さえ23の幅方向(電池1の奥行き方向)について互いに対して離れて配置され、互いに対して対向する。そして、突出板部36B,37Bは、電極群押さえ23の幅方向(電池1の奥行き方向)について互いに対して離れて配置され、互いに対して対向する。
【0034】
電極群押さえ23の基板部35は、電池1の高さ方向について、リード20のそれぞれの天板部31と蓋部材5との間で挟まれる。また、基板部35には、一対の貫通孔41(41A,41B)が、電極群押さえ23の厚さ方向に沿って形成される。貫通孔41のそれぞれは、電池1の高さ方向に沿って基板部35を貫通する。一対の貫通孔41は、電池1の横方向(電極群押さえ23の長さ方向)について、互いに対して離れて配置される。電極端子16のそれぞれは、蓋部材5の貫通孔17の対応する一方、電極群押さえ23の貫通孔41の対応する一方、及び、リード20の対応する一方の貫通孔33に、順に挿通される。そして、電極端子16のそれぞれは、リード20の対応する一方に、前述のように貫通孔33で接続される。
【0035】
また、電極群押さえ23の基板部35には、開口孔42が形成される。開口孔42は、電池1の高さ方向に沿って基板部35を貫通する。開口孔42は、電池1の横方向(電極群押さえ23の長さ方向)について、一対の電極端子16(一対の貫通孔41)の間に配置される。
図1及び
図3等の一例の電池1では、開口孔42は、横方向について中央部に配置される。電極群押さえ23では、開口孔42は、ガス開放弁26に対向する位置及び注液口27に対向する位置に跨って、形成される。そして、開口孔42は、電池1の高さ方向について電極群2が位置する側から、ガス開放弁26及び注液口27に対向する。
【0036】
また、電極群押さえ23には、2つの近接板部43(43A,43B)を備える。近接板部43のそれぞれは、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側から、電極群2に近接する。本実施形態では、近接板部43のそれぞれは、蓋部材5が位置する側から、電極群2に当接する。近接板部43Aは、突出板部36A,37Aの間に、電池1の奥行き方向(電極群押さえ23の幅方向)に沿って延設される。そして、近接板部43Bは、突出板部36A,37Aの間に、電池1の奥行き方向(電極群押さえ23の幅方向)に沿って延設される。
【0037】
本実施形態では、電極群2は、前述のように、電池1の横方向に沿う捲回軸Bを中心として、捲回される。このため、電極群2では、幅方向の一方側の端部の外表面に、曲面25が、形成される。電池1では、曲面25は、電極群2において蓋部材5が位置する側の端を形成し、電極群2において蓋部材5が位置する側の端面となる。すなわち、電極群2では、曲面25は、蓋部材5が位置する側の端部の外表面によって、形成される。曲面25は、電極群2において、集電タブ15(15A,15B)とは異なる部分に形成される。電池1の横方向(電極群2の軸方向)に対して垂直又は略垂直な断面では、曲面25は、円弧状になる。
【0038】
近接板部43のそれぞれは、電極群2の曲面25(蓋部材5が位置する側の端部の外表面)と対向する対向面45を備える。本実施形態では、近接板部43のそれぞれは、対向面45において、電極群2と当接する。電極群2では、曲面25及びその近傍の部位に、すなわち、蓋部材5が位置する側の端部の外表面に、近接板部43のそれぞれの対向面45が近接する。このため、電極群2では、集電タブ15とは異なる部位に、電極群押さえ23の近接板部43が近接する。近接板部43のそれぞれの対向面45は、電極群2の曲面25に沿った形状に形成され、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面に沿った形状に形成される。このため、近接板部43のそれぞれの対向面45は、曲面25に沿った形状の曲面に形成される。そして、電池1の横方向(電極群押さえ23の長さ方向)に対して垂直又は略垂直な断面では、近接板部43のそれぞれの対向面45は、円弧状になる。
【0039】
ここで、電極群2の曲面25の曲率半径R1、及び、電極群押さえ23での近接板部43のそれぞれの対向面45の曲率半径R2を規定する。曲率半径R2は、曲率半径R1の90%以上かつ110%以下であることが、好ましい。また、曲率半径R2は、曲率半径R1の95%以上かつ105%以下であることが、より好ましい。
【0040】
本実施形態では、近接板部43A,43Bは、電池1の横方向(電極群押さえ23の長さ方向)について、互いに対して離れて配置される。また、近接板部43Aは、電池1の横方向について、開口孔42と貫通孔41Aとの間に形成され、近接板部43Bは、電池1の横方向について、開口孔42と貫通孔41Bとの間に形成される。このため、電池1では、近接板部43のそれぞれは、横方向について、集電タブ15、電極端子16及びリード20に対して、離れて位置する。そして、近接板部43のそれぞれは、集電タブ15、電極端子16及びリード20に対して、電池1の横方向の内側に位置する。このため、近接板部43のそれぞれは、電池1の横方向について、正極集電タブ15Aと負極集電タブ15Bとの間で、かつ、正極端子16Aと負極端子16Bとの間に位置する。また、電池1では、近接板部43のそれぞれは、横方向について、ガス開放弁26、注液口27及び開口孔42に対して、離れて位置する。
【0041】
また、電極群押さえ23の基板部35には、2つの貫通孔47(47A,47B)が、電極群押さえ23の厚さ方向に沿って形成される。貫通孔47のそれぞれは、電池1の高さ方向に沿って基板部35を貫通する。貫通孔47Aは、電極群押さえ23の長さ方向(電池1の横方向)について、貫通孔41Aと開口孔42との間に形成され、貫通孔47Bは、電極群押さえ23の長さ方向について、貫通孔41Bと開口孔42との間に形成される。また、電極群押さえ23では、貫通孔47Aは、長さ方向(電池1の横方向)について、近接板部43Aに対して、ずれることなく又はほとんどずれることなく配置され、貫通孔47Bは、長さ方向ついて、近接板部43Bに対して、ずれることなく又はほとんどずれることなく配置される。そして、電池1の内部空洞8では、貫通孔47Aは、近接板部43Aに対して、蓋部材5が位置する側に隣接して形成され、貫通孔47Bは、近接板部43Bに対して、蓋部材5が位置する側に隣接して形成される。
【0042】
前述のように電極群押さえ23に貫通孔47が形成されるため、電池1の高さ方向について近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間には、空間が形成される。近接板部43Aと蓋部材5との間では、近接板部43Aの対向面45とは反対側の面が、電極群2が位置する側から空間に隣接し、蓋部材5の内表面が、電極群2とは反対側から空間に隣接する。そして、近接板部43Bと蓋部材5との間では、近接板部43Bの対向面45とは反対側の面が、電極群2が位置する側から空間に隣接し、蓋部材5の内表面が、電極群2とは反対側から空間に隣接する。
【0043】
また、電極群押さえ23では、近接板部43Aから凸部48Aが蓋部材5に向かって突出し、近接板部43Bから凸部48Bが蓋部材5に向かって突出する。したがって、凸部48(48A,48B)のそれぞれは、近接板部43の対応する一方から蓋部材5に向かって突出する。電池1では、凸部48のそれぞれは、近接板部43の対応する一方からの突出端で、蓋部材5に当接する。なお、電極群押さえ23では、凸部48のそれぞれは、幅方向(電池1の奥行き方向)について中央部に形成される。このため、電池1において近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間では、奥行き方向について凸部48の両側に、空間が形成される。すなわち、近接板部43Aと蓋部材5との間の領域では、凸部48Aと突出板部36Aとの間、及び、凸部48Aと突出板部37Aとの間に、空間が形成される。そして、近接板部43Bと蓋部材5との間の領域では、凸部48Bと突出板部36Bとの間、及び、凸部48Bと突出板部37Bとの間に、空間が形成される。
【0044】
本実施形態では、電極群押さえ23の近接板部43のそれぞれは、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側から、電極群2に近接する。そして、電極群押さえ23の近接板部43のそれぞれの対向面45は、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面(曲面25)に沿った形状に、形成される。このため、電極群押さえ23の近接板部43のそれぞれは、奥行き方向の内側へ向かって、電極群2に力を作用させる。近接板部43のそれぞれは、奥行き方向の両側から、電極群2に力を作用させる。近接板部43から電極群2へ作用する力によって、電池1では、電極群2等、集電タブ15及びリード20等を含む内蔵物の奥行き方向についての移動が、拘束される。
【0045】
電池1を使用すると、内部空洞8において、電極群2からガスが発生することがある。内部空洞8においてガスが発生することにより、外装容器3等が膨張する。ここで、電池1では、側壁12のそれぞれの外表面の面積が、底壁6、側壁11及び蓋部材5のそれぞれの外表面の面積に比べて、遥かに大きい。このため、内部空洞8においてガスが発生することにより、特に、側壁12のそれぞれが、外側へ膨張する。
【0046】
前述のように、本実施形態では、電池1の奥行き方向についての電極群2等の内蔵物の移動が、近接板部43のそれぞれによって、拘束される。このため、ガスの発生によって側壁12が外側へ膨張しても、近接板部43によって、電池1の奥行き方向についての内蔵物の移動が、拘束される。すなわち、ガスの発生によって外装容器3が膨張しても、内蔵物が適切に拘束される。これにより、ガスが発生しても、電極群2、集電タブ15及びリード20を含む内蔵物への外部衝撃の影響が、抑制される。内蔵物への外部衝撃の影響が抑制されることにより、外部衝撃による内蔵物の損傷が防止され、内蔵物の耐久性が向上する。
【0047】
また、本実施形態では、電池1の高さ方向について近接板部43のそれぞれと蓋部材5の内表面との間に、空間が形成される。このため、近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間の空間は、ガス及び電解液等の流路として機能し、近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間の空間を流体が通過し易くなる。このため、注液口27から注入された電解液は、近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間の空間を通して、電極群2の全体に到達し易くなり、電極群2に電解液が適切に含浸される。また、近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間が空間となるため、内部空洞8において、電極群押さえ23が占める体積が小さく抑えられ、内部空洞8における空隙が増加する。内部空洞8における空隙が増加することにより、電極群2から発生したガスに起因する外装容器3の膨張が、抑制される。
【0048】
また、電極群押さえ23では、近接板部43のそれぞれから凸部48が蓋部材5に向かって突出し、凸部48のそれぞれは、蓋部材5の内表面に当接する。電極群押さえ23に凸部48が設けられることにより、電極群2は、凸部48及び近接板部43を介して、蓋部材5に適切に支持される。したがって、電池1の落下等によって蓋部材5が外部衝撃等を受けても、電極群2の破損等が有効に防止され、外部衝撃等に対する電極群2の耐衝撃性が向上する。
【0049】
また、電池1では、電極群押さえ23の近接板部43は、横方向について、集電タブ15、電極端子16及びリード20から離れて位置する。これにより、電極端子16のそれぞれをリード20の対応する一方の天板部31に接続する作業等の集電タブ15のそれぞれを電極端子16の対応する一方に電気的に接続する作業において、近接板部43の干渉等が、有効に防止される。これにより、集電タブ15のそれぞれを電極端子16の対応する一方に電気的に接続する作業の作業性が、向上する。
【0050】
また、電極群押さえ23の近接板部43が電極端子16等に対して電池1の横方向にずれて位置することにより、内部空洞8では、電池1の高さ方向について、電極群押さえ23及びリード20の天板部31が占める領域を小さくすることが可能になる。これにより、電池1の高さ方向(電極群2の幅方向)についての電極群2の寸法を大きくすることが可能となり、電極群2の大型化を実現可能となる。電極群2が大型化することにより、電池1の容量及びエネルギー密度が向上する。
【0051】
また、電池1では、電極群押さえ23の近接板部43は、横方向について、注液口27から離れて位置する。注液口27から注入された電解液の拡散が、近接板部43によって阻害されない。これにより、電解液は、電極群2の全体にさらに到達し易くなり、電極群2に電解液がさらに適切に含浸される。
【0052】
また、近接板部43のそれぞれの対向面45の曲率半径R2を、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の曲面25の曲率半径R2に対して90%以上かつ110%以下にするより、近接板部43のそれぞれが、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面(曲面25を含む)に、さらに当接し易くなる。これにより、近接板部43によって、電池1の奥行き方向についての内蔵物の移動が、さらに適切に拘束される。
【0053】
(変形例)
なお、電極群2は、正極13A及び負極13B等が捲回軸Bを中心として捲回される構造であるが、これに限るものではない。
図6に示すある変形例では、電極群2は、複数の正極13A及び複数の負極13Bが交互に積層されるスタック構造に形成される。そして、電極群2では、正極13Aと負極13Bとの間に、セパレータが設けられる。本変形例では、正極13A及び負極13Bの積層方向が、電極群2の厚さ方向と一致又は略一致する。
【0054】
本変形例の電池1でも、電極群2は、幅方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致し、かつ、厚さ方向が電池1の奥行き方向と一致又は略一致する状態で、内部空洞8に配置される。そして、電極群2では、正極集電タブ15Aが、電池1の横方向の一方側へ負極13B及びセパレータに対して突出し、負極集電タブ15Bが、電池1の横方向について、正極13A及びセパレータに対して、正極集電タブ15Aが突出する側とは反対側に、突出する。また、本変形例では、前述のように電極群2が形成されるため、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面に、曲面25は、形成されない。
【0055】
本変形例でも、電極群押さえ23に近接板部43が設けられる。そして、近接板部43のそれぞれは、電池1の高さ方向について蓋部材5が位置する側から、電極群2に近接する。本変形例では、近接板部43のそれぞれは、頂部50及び一対の側部51,52を備える。近接板部43のそれぞれでは、頂部50は、突出板部36の対応する1つと突出板部37の対応する1つとの間に、電池1の奥行き方向(電極群押さえ23の幅方向)に沿って延設される。そして、近接板部43のそれぞれでは、電池1の奥行き方向について頂部50の一端に、側部51が接続され、電池1の奥行き方向について頂部50の側部51とは反対側の端に、側部52が接続される。このため、近接板部43のそれぞれでは、側部51,52は、電池1の奥行き方向について、側部51,52は互いに対して離れて位置する。
【0056】
本変形例でも、近接板部43のそれぞれは、電極群2と対向する対向面45を備える。そして、電極群2では、蓋部材5が位置する側の端部の外表面に、近接板部43のそれぞれの対向面45が近接する。このため、本変形例でも、電極群2において、集電タブ15とは異なる部位に、電極群押さえ23の近接板部43が近接する。本変形例では、近接板部43のそれぞれの対向面45は、頂部50及び側部51,52によって、形成される。本変形例でも、近接板部43のそれぞれの対向面45は、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面に沿った形状に、形成される。ただし、本変形例では、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面に、曲面25は、形成されない。このため、近接板部43のそれぞれの対向面45は、曲面状に形成されない。
【0057】
本変形例でも、前述のように、電極群押さえ23の近接板部43のそれぞれの対向面45は、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面沿った形状に、形成される。このため、電極群押さえ23の近接板部43のそれぞれは、奥行き方向の内側へ向かって、電極群2に力を作用させる。そして、近接板部43から電極群2へ作用する力によって、電池1では、電極群等2、集電タブ15及びリード20等を含む内蔵物の奥行き方向についての移動が、拘束される。なお、本変形例では、近接板部43のそれぞれは、側部51,52の間で電極群2を挟むことにより、電池1の奥行き方向についての内蔵物の移動を拘束する。
【0058】
本変形例でも、前述のような構成であるため、ガスの発生によって側壁12が外側へ膨張しても、近接板部43によって、電池1の奥行き方向についての内蔵物の移動が、拘束される。すなわち、ガスの発生によって外装容器3が膨張しても、前述の実施形態等と同様に、内蔵物が適切に拘束される。
【0059】
また、本変形例の電極群押さえ23でも、近接板部43のそれぞれから凸部48が蓋部材5に向かって突出し、凸部48のそれぞれは、蓋部材5の内表面に当接する。このため、本変形例でも、近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間の空間は、ガス及び電解液等の流路として機能する。そして、近接板部43のそれぞれと蓋部材5との間が空間となるため、本変形例でも、内部空洞8において、電極群押さえ23が占める体積が小さく抑えられ、内部空洞8における空隙が増加する。したがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0060】
なお、電極群押さえ23に設けられる近接板部43の数は、1つ以上であれば、特に限定されるものではない。すなわち、電極群押さえ23に1つ以上の近接板部43が設けられればよく、近接板部43のそれぞれでは、電極群2に対向する対向面45が、電極群2の蓋部材5が位置する側の端部の外表面に沿った形状に形成されればよい。
【0061】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、近接板部は、電池の高さ方向について蓋部材が位置する側から電極群に近接し、かつ、蓋部材の内表面との間に空間が形成される状態で、電極群押さえに設けられる。近接板部は、電極群と対向する対向面を備え、対向面は、電極群の蓋部材が位置する側の端部の外表面に沿った形状に、形成される。これにより、外装容器が膨張しても内部空洞において内蔵物が適切に拘束される電池を提供することができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]底壁及び周壁を備え、高さ方向について前記底壁が位置する側とは反対側へ開口する内部空洞が形成される外装容器と、
前記内部空洞の開口を塞ぐ状態で前記外装容器の前記周壁に取付けられる蓋部材と、
正極及び負極を備え、前記外装容器の前記内部空洞に収納される電極群と、
前記高さ方向に交差する横方向の外側へ電極群において突出する集電タブと、
前記蓋部材の外表面において外部に露出し、前記集電タブに電気的に接続される電極端子と、
電気的絶縁性を有する材料から形成され、前記内部空洞において前記電極群と前記蓋部材との間に配置される電極群押さえと、
前記高さ方向について前記蓋部材が位置する側から前記電極群に近接し、かつ、前記蓋部材の内表面との間に空間が形成される状態で、前記電極群押さえに設けられる近接板部であって、前記電極群と対向する対向面を備え、前記電極群の前記蓋部材が位置する側の端部の外表面に沿った形状に前記対向面が形成される近接板部と、
を具備する、電池。
[2]前記電極群押さえは、前記近接板部から前記蓋部材へ向かって突出する凸部を備え、
前記電極群押さえの前記凸部は、前記蓋部材の前記内表面と当接する、
[1]の電池。
[3]前記電極群押さえの前記近接板部は、前記高さ方向及び前記横方向の両方に対して交差する奥行き方向の内側へ向かって、前記電極群に力を作用させる、[1]又は[2]の電池。
[4]前記電極群では、前記集電タブとは異なる部位に、前記電極群押さえの前記近接板部が近接する、[1]乃至[3]のいずれか1つの電池。
[5]前記内部空洞に配置され、前記集電タブと前記電極端子との間の電気経路の少なくとも一部を形成するリードをさらに具備し、
前記電極群押さえの前記近接板部は、前記横方向について、前記集電タブ、前記電極端子及び前記リードから離れて位置する、
[1]乃至[4]のいずれか1つの電池。
[6]前記蓋部材には、前記外表面から前記内表面まで貫通する注液口が形成され、
前記電極群押さえの前記近接板部は、前記横方向について、前記注液口から離れて位置する、
[1]乃至[5]のいずれか1つの電池。
[7]前記電極群では、前記横方向に沿う捲回軸を中心として前記正極及び前記負極が捲回され、
前記電極群の前記蓋部材が位置する側の前記端部の前記外表面は、前記横方向に垂直な断面が円弧状になる曲面に形成され、
前記近接板部の前記対向面は、前記横方向に垂直な断面が円弧状になり、かつ、前記電極群の前記蓋部材が位置する側の前記端部の前記曲面に沿った曲面に形成される、
[1]乃至[6]のいずれか1つの電池。
[8]前記近接板部の前記対向面の曲率半径は、記電極群の前記蓋部材が位置する側の前記端部の前記曲面の曲率半径に対して、90%以上かつ110%以下である、[7]の電池。
[9]前記集電タブは、前記電極群において前記横方向の一方側へ突出する正極集電タブと、前記正極集電タブが突出する側とは反対側へ前記電極群において突出する負極集電タブと、を備え、
前記電極端子は、前記正極集電タブに電気的に接続される正極端子と、前記蓋部材の前記外表面において前記正極端子から離れて配置され、前記負極集電タブに電気的に接続される負極端子と、を備える、
[1]乃至[8]のいずれか1つの電池。
[10]前記電極群押さえの近接板部は、前記横方向について、前記正極集電タブと前記負極集電タブとの間で、かつ、前記正極端子と前記負極端子との間に位置する、[9]の電池。