(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、バッテリーパック、及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240729BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240729BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240729BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M50/249
H01M50/271 S
H01M50/284
H01M50/213
H01M10/48
(21)【出願番号】P 2022567675
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 KR2021014054
(87)【国際公開番号】W WO2022080838
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131386
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャン-フイ・イ
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-074198(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0114180(KR,A)
【文献】特開2012-015121(JP,A)
【文献】特開2010-045001(JP,A)
【文献】国際公開第2020/116089(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109411841(CN,A)
【文献】中国実用新案第202585672(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの上部に位置し、複数の流通口が形成された上部フレームと、前記上部フレームの下部に位置し、前記複数の電池セルのそれぞれの少なくとも一部を収容する収容空間を有する下部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームとの間に位置し、前記複数の電池セルの上部に位置し、前記複数の電池セルの電極端子を露出させるように構成された複数の開口を有する上部カバーと、を備えるモジュールケースと、
前記上部フレームと前記上部カバーとの間に位置するか、または前記上部フレームの外側に位置し、外力によって圧力が加えられたときに電気信号を発生するように構成された圧電センサフィルムと、
前記圧電センサフィルムから発生した電気信号を受けて前記電池セルの爆発の有無を分析するように構成された制御ユニットと、
を含
み、
前記圧電センサフィルムは、前記複数の流通口と対応する一部が直線状に切り取られた切り取り部を備えることを特徴とする、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記上部カバーは、前記複数の開口を取り囲むように延びて上方に突出した隔壁を備えることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの上部に位置し、複数の流通口が形成された上部フレームと、前記上部フレームの下部に位置し、前記複数の電池セルのそれぞれの少なくとも一部を収容する収容空間を有する下部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームとの間に位置し、前記複数の電池セルの上部に位置し、前記複数の電池セルの電極端子を露出させるように構成された複数の開口を有する上部カバーと、を備えるモジュールケースと、
前記上部フレームと前記上部カバーとの間に位置するか、または前記上部フレームの外側に位置し、外力によって圧力が加えられたときに電気信号を発生するように構成された圧電センサフィルムと、
前記圧電センサフィルムから発生した電気信号を受けて前記電池セルの爆発の有無を分析するように構成された制御ユニットと、
を含み、
前記上部カバーは、前記複数の開口を取り囲むように延びて上方に突出した隔壁を備えており、
前記圧電センサフィルムは、前記隔壁上に搭載されることを特徴とす
る、バッテリーモジュール。
【請求項4】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの上部に位置し、複数の流通口が形成された上部フレームと、前記上部フレームの下部に位置し、前記複数の電池セルのそれぞれの少なくとも一部を収容する収容空間を有する下部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームとの間に位置し、前記複数の電池セルの上部に位置し、前記複数の電池セルの電極端子を露出させるように構成された複数の開口を有する上部カバーと、を備えるモジュールケースと、
前記上部フレームと前記上部カバーとの間に位置するか、または前記上部フレームの外側に位置し、外力によって圧力が加えられたときに電気信号を発生するように構成された圧電センサフィルムと、
前記圧電センサフィルムから発生した電気信号を受けて前記電池セルの爆発の有無を分析するように構成された制御ユニットと、
を含み、
前記上部カバーは、前記複数の開口を取り囲むように延びて上方に突出した隔壁を備えており、
前記圧電センサフィルムは、前記隔壁により取り囲まれた空間に収容され、
前記隔壁は、前記圧電センサフィルムの外周部が挿入されるように構成されたスリットを備えることを特徴とす
る、バッテリーモジュール。
【請求項5】
前記圧電センサフィルムは、
前記上部カバーに形成された前記複数の開口のそれぞれと対面するように位置した複数のセンシング部と、
前記複数のセンシング部の間を連結するように構成された連結部と、
を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記圧電センサフィルムは、外部圧力によって一部が基準線に沿って折り曲げられるように構成された折り曲げ部を備えることを特徴とする、請求項
1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを少なくとも1つ含むことを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項8】
前記バッテリーパックは、複数の前記バッテリーモジュールを含み、
前記バッテリーパックは
、複数の
前記バッテリーモジュールを搭載するように構成されたトレイをさらに含み
、
複数の
前記バッテリーモジュールが前記トレイに搭載され、
前記圧電センサフィルムは
、複数の
前記バッテリーモジュールの上部を覆うように構成されることを特徴とする、請求項
7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを少なくとも1つ含むことを特徴とする、電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、バッテリーパック、および電気自動車に関し、より詳細には、電池セルの爆発を迅速に感知できるバッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2020年10月12日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0131386号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などの携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、繰り返し充放電が可能な高性能二次電池についての研究が盛んに行われている。
【0004】
現在市販されている二次電池には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうちリチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんどないため、充放電が自由で、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度の高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いる。また、このようなリチウム二次電池は、正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板とがセパレータを挟んで配置された電極組立体と、このような電極組立体を電解液と共に封止収納する外装材、すなわち電池ケースとを備える。
【0006】
また、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類することができる。
【0007】
このうち、缶型二次電池は、電極組立体が内蔵される金属缶を円筒状に作製する場合がある。従来技術のバッテリーモジュールは、複数の二次電池を収容するモジュールケースと、複数の缶型二次電池を電気的に接続するように構成されたバスバーとを備えることができる。
【0008】
また、従来技術では、バッテリーパックを製造するために、このような複数の二次電池をモジュールケース内部に一次収容してバッテリーモジュールを製造し、製造された多数のバッテリーモジュールをトレイに搭載した。
【0009】
最近、電気自動車、電力貯蔵装置などの大容量の電力貯蔵が必要な製品の需要が高まっている。特に、円筒形電池セルを用いてバッテリーパックを構成する場合、バッテリーモジュールの限られた内部空間に多数の電池セルを収納することになるが、このような多数の電池セルを有するバッテリーモジュールは、少数の円筒形電池セルを有するバッテリーモジュールと比較すると、事故時により大きな爆発が発生するおそれがあり、より高い爆発の可能性を有する。
【0010】
さらに、従来技術では、バッテリーモジュールの異常の有無をモジュールケース内の温度を測定することによって判断されたため、バッテリーモジュール内の多数の円筒形電池セルのうちの一部が爆発したとしても、爆発した円筒形電池セルが温度センサから遠く離れていると、爆発の有無を感知できない場合や、温度上昇を感知して爆発の有無を判断するのに結構時間がかかる場合があった。そのため、バッテリーモジュールが爆発した場合、すぐに消火することができず、より大きな火災に発展しているという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、電池セルの爆発を迅速に感知できるバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的および利点は、以下の説明によって理解することができ、本発明の実施形態によってより明確に理解されるであろう。また、本発明の目的および利点は、特許請求の範囲に示される手段およびその組み合わせによって実現できることが容易に分かるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明によるバッテリーモジュールは、複数の電池セルと;
前記複数の電池セルの上部に位置し、複数の流通口が形成された上部フレームと、前記上部フレームの下部に位置し、前記複数の電池セルのそれぞれの少なくとも一部を収容する収容空間を有する下部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームとの間に位置し、前記複数の電池セルの上部に位置し、前記複数の電池セルの電極端子を露出させるように構成された複数の開口を有する上部カバーと、を備えるモジュールケースと;前記上部フレームと前記上部カバーとの間に位置するか、または前記上部フレームの外側に位置し、外力によって圧力が加えられたときに電気信号を発生するように構成された圧電センサフィルムと;前記圧電センサフィルムから発生した電気信号を受けて前記電池セルの爆発の有無を分析するように構成された制御ユニットと;を含む。
【0014】
また、前記上部カバーは、前記複数の開口を取り囲むように延びて上方向に突出した隔壁を備え得る。
【0015】
さらに、前記圧電センサフィルムは、前記隔壁上に搭載され得る。
【0016】
そして、前記圧電センサフィルムは、前記隔壁により取り囲まれた空間に収容され、 前記隔壁は、前記圧電センサフィルムの外周部が挿入されるように構成されたスリットを備え得る。
【0017】
また、前記圧電センサフィルムは、前記上部カバーに形成された前記複数の開口のそれぞれと対面するように位置した複数のセンシング部と、前記複数のセンシング部の間を連結するように構成された連結部と、を備え得る。
【0018】
さらに、前記圧電センサフィルムは、前記複数の流通口と対応する一部が直線状に切り取られた切り取り部を備え得る。
【0019】
そして、前記圧電センサフィルムは、外部圧力によって一部が基準線に沿って折り曲げられるように構成された折り曲げ部を備え得る。
【0020】
そして、上記目的を達成するための本発明によるバッテリーパックは、少なくとも1つの前記バッテリーモジュールを含む。
【0021】
さらに、前記バッテリーパックは、複数の前記バッテリーモジュールを含み、
前記バッテリーパックは、前記複数のバッテリーモジュールを搭載するように構成されたトレイをさらに含み、
前記複数のバッテリーモジュールが前記トレイに搭載され、
前記圧電センサフィルムは、前記複数のバッテリーモジュールの上部を覆うように構成され得る。
【0022】
また、上記目的を達成するための本発明による電気自動車は、少なくとも1つの前記バッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、本発明は、上部フレームと上部カバーとの間に位置する圧電センサフィルムを含むことにより、複数の電池セルのうちの少なくとも一部で爆発が発生した場合、爆発圧力によって圧電センサフィルムの電気信号が発生し、制御ユニットによって電池セルの爆発の有無を判断することができる。これにより、代表的な従来技術である、一部の電池セルの温度のみを測定した技術と比較して、複数の電池セルの爆発の有無をより迅速に感知することができる。さらに、代表的な従来技術である、一部の電池セルの温度のみをチェックした場合、このような温度センサから遠く離れたところに位置する電池セルの爆発を感知できないという欠点を、本発明は解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の好適な一実施形態を例示するものに過ぎず、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術的思想をなお一層理解しやすくする役割を果たすものであるため、本発明は、そのような図面に記載されている事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの様子を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの上部カバーおよび圧電センサフィルムの様子を概略的に示す垂直断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの圧電センサフィルムの様子を概略的に示す斜視図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの圧電センサフィルムの様子を概略的に示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明による好適な実施形態について詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に見合う意味及び概念として解釈されなければならない。
【0026】
よって、本明細書に記載の実施形態及び図面に示されている構成は、本発明の最も好適な一実施形態に過ぎないものであり、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本発明の出願時点においてこれらに代替できる様々な均等物及び変形例があり得るということを理解せねばならない。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示す斜視図である。また、
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0028】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、複数の電池セル110、モジュールケース120、圧電センサフィルム130、および制御ユニット140を含む。
【0029】
具体的には、前記電池セル110は、円筒形電池セル110であってもよい。前記円筒形電池セル110は、上下方向に長い形状を有してもよい。前記円筒形電池セル110の上部には、電極端子111、112が設けられてもよい。前記円筒形電池セル110は、電池缶116と、前記電池缶116の本体に形成される負極端子112と、前記電池缶116の上部に結合された電池キャップに形成される正極端子111と、前記電池缶116の内部に収容された電極組立体(図示せず)と、を含んでいてもよい。このような円筒形電池セル110の構成は、本発明の出願時点で当業者に周知のものであるので、本明細書ではより詳細な説明は省略する。
【0030】
さらに、前記複数の電池セル110は、少なくとも一方向に配列されてもよい。前記複数の円筒形電池セル110は、所定の間隔で離隔して配列されてもよい。例えば、
図2に示すように、前記複数の電池セル110は、前後方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)に配列されてもよい。また、一つの列に位置した複数の円筒形電池セル110と、他の列に位置した複数の円筒形電池セル110とは、左右方向の位置が互いに異なるように配置されてもよい。すなわち、複数の円筒形電池セル110は、全体として、前後左右にジグザグに配置されていることが分かる。
【0031】
また、前記複数の電池セル110は、バスバー150を介して電気的に接続されてもよい。前記バスバー150は、導電性金属を備えてもよい。前記バスバー150は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などの金属を備えてもよい。前記バスバー150は、前記上部カバー123上に搭載されてもよい。すなわち、前記バスバー150は、前記上部カバー123の開口H2の一側に位置してもよい。前記バスバー150は、金属ワイヤ(図示せず)を介して前記電池セル110の正極端子、負極端子、または正極端子および負極端子と接続されてもよい。
【0032】
また、前記モジュールケース120は、上部フレーム121、下部フレーム122、および上部カバー123を備えてもよい。前記上部フレーム121は、前記複数の電池セル110の上部に位置してもよい。前記上部フレーム121には、前記モジュールケース120の内部空気と外部空気とが相互に流通できるように構成された複数の流通口H1が形成されてもよい。前記上部フレーム121は、水平方向に延びるプレート形状を有してもよい。
【0033】
さらに、前記下部フレーム122は、前記上部フレーム121の下部に位置してもよい。前記下部フレーム122は、前記複数の電池セル110のそれぞれの少なくとも一部を収容する収容空間122aを有してもよい。例えば、
図2に示すように、前記下部フレーム122は、前記複数の電池セル110を取り囲むように延びる側壁122dと、前記側壁122dの下部に接続された下部板122cとを備えてもよい。前記側壁は、前記複数の電池セル110を収容できる空間122aを形成してもよい。
【0034】
また、前記上部カバー123は、前記上部フレーム121と前記下部フレーム122との間に位置してもよい。前記上部カバー123は、水平方向に延びるプレート形状を有してもよい。前記上部カバー123は、前記複数の電池セル110の上部に位置してもよい。前記上部カバー123には、前記複数の電池セル110のそれぞれの電極端子111、112を外部に露出させることができる複数の開口H2が形成されてもよい。
【0035】
さらに、前記圧電センサフィルム130は、前記上部フレーム121と前記上部カバー123との間に位置してもよい。前記圧電センサフィルム130は、外周辺が前記上部フレーム121の下面と前記上部カバー123の上面との間に介在してもよい。
【0036】
また、前記圧電センサフィルム130は、フィルムの圧力やねじれによる圧電結晶の変位や変形に応じて電圧を発生するように構成されてもよい。すなわち、前記圧電センサフィルム130は、圧電結晶を備えてもよい。前記圧電結晶は、例えば、水晶、ロッシェル塩、チタン酸バリウムなどであってもよい。前記圧電センサフィルム130は、例えば、ポリエステル素材を備えてもよい。前記圧電センサフィルム130は、少なくとも2つのターミナル端子Tを備えてもよい。前記圧電センサフィルム130は、圧力やねじりによって電圧が発生した場合、前記ターミナル端子Tに接続された電線Cを介して前記制御ユニット140に電気信号を送信することができる。
【0037】
さらに、前記制御ユニット140は、前記圧電センサフィルム130から生成された電気信号を受けて前記電池セル110の爆発の有無を分析するように構成されてもよい。例えば、前記制御ユニット140は、前記圧電センサフィルム130から所定電圧以上の電気信号を受信した場合、前記複数の電池セル110のうちの少なくとも一部が爆発したと判断するように構成されてもよい。
【0038】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明は、前記上部フレーム121と前記上部カバー123との間に位置する圧電センサフィルム130を含むことにより、前記複数の電池セル110のうちの少なくとも一部で爆発が発生した場合、爆発圧力によって前記圧電センサフィルム130の電気信号が発生し、前記制御ユニット140によって前記電池セル110の爆発の有無を判断することができる。これにより、代表的な従来技術である、一部の電池セル110の温度のみを測定した技術と比較して、複数の電池セル110の爆発の有無をより迅速に感知することができる。さらに、代表的な従来技術である、一部の電池セル110の温度のみをチェックした場合、このような温度センサから遠く離れたところに位置する電池セル110の爆発を感知できないという欠点を、本発明は解決することができる。
【0039】
図3は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの様子を概略的に示す斜視図である。
【0040】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール100では、前記圧電センサフィルム130が前記上部フレーム121の外側に位置してもよい。例えば、前記圧電センサフィルム130は、前記上部フレーム121の上面に対応する大きさを有してもよい。前記圧電センサフィルム130は、前記上部フレーム121の上面に密着するように位置してもよい。前記圧電センサフィルム130は、前記モジュールケース120の内部に収容された複数の電池セル110のうちの一部の電池セル110が爆発した場合、前記複数の流通口H1を介して排出されるガスの圧力によって電気信号を発生させるように構成されてもよい。
【0041】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明は、前記圧電センサフィルム130が前記上部フレーム121の外側に位置することにより、前記複数の電池セル110のうちの少なくとも一部で爆発が発生した場合、爆発圧力によって前記圧電センサフィルム130の電気信号が発生し、前記制御ユニット140によって前記電池セル110の爆発の有無を判断することができる。これにより、代表的な従来技術である、一部の電池セル110の温度のみを測定した技術と比較して、複数の電池セル110の爆発の有無をより迅速に感知することができる。さらに、代表的な従来技術である、一部の電池セル110の温度のみをチェックする場合、温度センサから遠く離れたところに位置する電池セル110の熱暴走や爆発を感知できない場合や、感知するのに結構時間がかかる場合があるという欠点を、本発明は解決することができる。
【0042】
一方、再び
図2を参照すると、本発明の上部カバー123は、隔壁123aを備えてもよい。前記隔壁123aは、前記複数の開口H2を取り囲むように延びてもよい。前記隔壁123aは、前記上カバー123の外周部に沿って水平方向に延びる形状を有してもよい。前記隔壁123aは、上方に突出した形状を有してもよい。
【0043】
また、前記圧電センサフィルム130は、前記隔壁123a上に搭載されてもよい。すなわち、前記圧電センサフィルム130は、前記隔壁123a上に搭載される場合、前記上部カバー123の前記複数の開口H2から上下方向の所定の距離を隔ててもよい。
【0044】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明は、前記上部カバー123に隔壁123aを備えることにより、前記圧電センサフィルム130と前記複数の電池セル110との間に所定サイズの空間を確保することができ、前記圧電センサフィルム130が前記電池セル110の爆発圧力によって変位が発生するのに十分な余裕空間を確保することができる。これにより、本発明は前記圧電センサフィルム130が前記電池セル110の爆発を感知できないことを防止することができる。
【0045】
図4は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの上部カバーおよび圧電センサフィルムの様子を概略的に示す垂直断面図である。
【0046】
図4を参照すると、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール100は、
図2のバッテリーモジュール100と比較して、前記上部カバー123にスリット123bをさらに備えてもよい。
【0047】
具体的には、
図4の上部カバー123では、前記上部カバー123に設けられた隔壁123aの内側面にスリット123bが形成されてもよい。前記スリット123bは、前記隔壁123aの内側面に沿って水平方向に延びる形態を有してもよい。また、前記スリット123bは、前記圧電センサフィルム130の外周部が挿入されるように構成されてもよい。
【0048】
また、前記圧電センサフィルム130は、前記隔壁123aにより取り囲まれた空間に収容されるように構成されてもよい。前記圧電センサフィルム130は、前記隔壁123aの前記空間の中間高さに位置するように、前記スリット123bが前記隔壁123aの内側中間部分に形成されてもよい。
【0049】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明は、前記隔壁123aに、前記圧電センサフィルム130の外周部を挿入固定するためのスリット123bを形成することにより、前記圧電センサフィルム130を安定して固定することができるだけでなく、前記圧電センサフィルム130が前記電池セル110の爆発圧力によって変位が発生するのに十分な余裕空間を確保することができる。これにより、本発明は、前記圧電センサフィルム130が前記電池セル110の爆発を感知できないことを防止することができる。
【0050】
図5は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの圧電センサフィルムの様子を概略的に示す斜視図である。
【0051】
図2と共に
図5を参照すると、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール100の圧電センサフィルム130は、
図2の圧電センサフィルム130とは異なる形状を有してもよい。すなわち、
図2の圧電センサフィルム130が方形のシート状を有するのに対して、
図5の圧電センサフィルム130は、複数のセンシング部131と、前記複数のセンシング部131を連結するする連結部132とを備えてもよい。
【0052】
具体的には、複数のセンシング部131は、前記上部カバー123に形成された前記複数の開口(
図2中、H2)のそれぞれと対面するように位置してもよい。すなわち、前記複数のセンシング部131は、前記上部カバー123の複数の開口H2に対応する形状を有してもよい。前記連結部132は、前記センシング部131の間を連結する連結部分であってもよい。例えば、
図5に示すように、前記複数のセンシング部131のそれぞれは、前記上部カバー123の開口H2の形状と同様に前後方向に長く延びる形状を有してもよい。前記連結部132は、前記複数のセンシング部131の前端部を連結し、前記複数のセンシング部131の後端部を連結するように構成されてもよい。
【0053】
すなわち、前記複数のセンシング部131は、複数の電池セル110のうちの一部が爆発した場合、ガスが前記開口H2を介して外部に噴出しながら前記センシング部131を加圧し、前記圧電センサフィルム130が電気信号を発生させることができ、このような電気信号が前記連結部132を介して前記制御ユニット140に送信され得る。
【0054】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明は、圧電センサフィルム130に複数のセンシング部131と連結部132とを備えることで、前記上部カバー123のうち圧力センシングが不要である領域、すなわち、複数の開口H2が形成されていない上面と対面している前記圧電センサフィルム130の部分を最小化することにより、前記複数の電池セル110の爆発による圧力ではない、前記上部カバー123との衝突などの他の外部衝撃による誤感知の発生を最小限に抑えることができる。
【0055】
図6は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの圧電センサフィルムの様子を概略的に示す斜視図である。
【0056】
図6を参照すると、前記圧電センサフィルム130は、
図2の圧電センサフィルム130と比較して、切り取り部133をさらに備えてもよい。
【0057】
具体的には、
図6の圧電センサフィルム130は、前記複数の流通口H1に対応する一部分に切り取り部133を備えてもよい。前記切り取り部133は、前記圧電センサフィルム130の一部が直線状に切り取られて形成されてもよい。すなわち、前記切り取り部133は、前記圧電センサフィルム130の一部を切り取って、外部圧力によって一部が折り曲げやすくなるように構成されてもよい。例えば、前記切り取り部133は、左方向に切り取り、次いで後方向に切り取り、続いて右方向に切り取って形成されてもよい。すなわち、前記切り取り部133は、例えば、前方から見た場合、平面視「C」字状に切り取られて形成されていてもよい。前記切り取り部133の下部に位置する電池セル110が爆発すると、前記切り取り部133は、上方に移動するガスによって上方に折り曲げられ得る。このとき、折り曲げられた前記切り取り部133から電気信号が発生することができる。
【0058】
また、前記圧電センサフィルム130は、外部圧力によって一部が基準線に沿って折り曲げられるように構成された折り曲げ部134を備えてもよい。例えば、前記折り曲げ部134は、前記圧電センサフィルム130の一部を予め折り曲げておき、外部圧力によって一部が容易に折り曲げられるように構成されてもよい。例えば、
図6に示すように、前記折り曲げ部134は、前記切り取り部133の一部を予め折り曲げて形成されてもよい。すなわち、前記折り曲げ部134は、前記切り取り部133の切り取られていない部分を予め折り曲げて形成されてもよい。
【0059】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明は、切り取り部133と折り曲げ部134とを備えることにより、前記複数の電池セル110のうちの少なくとも一部で爆発が発生した場合、爆発圧力により前記圧電センサフィルム130の切り取り部133が大きな変位で容易に折り曲げられ得、より高い電圧の電気信号を発生させることができる。これにより、本発明は、前記圧電センサフィルム130により前記電池セル110が爆発したか否かをより明確に感知することができる。
【0060】
図7は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックを概略的に示す斜視図である。
【0061】
図7を参照すると、本発明の一実施形態による前記バッテリーパック200は、少なくとも1つの前記バッテリーモジュール100を含む。前記バッテリーパック200は、前記バッテリーモジュール100を搭載するように構成されたトレイ210を備えてもよい。このとき、
図7に示すように、4つのバッテリーモジュール100を前記トレイに搭載することができる。
【0062】
また、前記バッテリーパック200は、前記圧電センサフィルム130が前記複数のバッテリーモジュール100の上部を覆うように前記複数のバッテリーモジュール100の上部に搭載されてもよい。すなわち、前記圧電センサフィルム130は、前記複数のバッテリーモジュール100の上部を覆うのに十分な面積を有することができる。前記圧電センサフィルム130から送信された電気信号を分析して電池セルの爆発の有無を感知するように構成された制御ユニット140を、前記トレイ210内に搭載してもよい。前記バッテリーパック200は、前記バッテリーモジュール100の充放電を制御するための各種装置(図示せず)、例えば、BMS(バッテリー管理システム:Battery Management System)、電流センサ、ヒューズなどをさらに含んでいてもよい。
【0063】
さらに、本発明の一実施形態による電気自動車(図示せず)は、少なくとも1つの前記バッテリーモジュール100を含む。すなわち、本発明の一実施形態による電気自動車は、上述した本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100を車体に搭載することができる。
【0064】
なお、本明細書では上下左右前後などの方向を示す用語を使用しているが、これらの用語は説明の便宜上のものであり、対象となる物体の位置や観察者の位置などによって変わる可能性があることは、本発明の当業者には自明である。
【0065】
以上、本発明については、たとえ限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的な思想と後述する特許請求の範囲の均等な範囲内において様々な修正及び変形を加えることが可能であるということはいうまでもない。
【符号の説明】
【0066】
100 バッテリーモジュール
110 電池セル
120 モジュールケース
H1、H2 流通口、開口
121、122、123 上部フレーム、下部フレーム、上部カバー
130 圧電センサフィルム
140 制御ユニット
123a 隔壁
123b スリット
150 バスバー
131、132 センシング部、連結部
133 切り取り部
134 折り曲げ部
200 バッテリーパック