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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】植込型心臓装置用皮下リード
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/372 20060101AFI20240729BHJP
   A61N 1/362 20060101ALI20240729BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61N1/372
A61N1/362
A61N1/39
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023056864
(22)【出願日】2023-03-31
(62)【分割の表示】P 2020115479の分割
【原出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2023078463
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】1907535
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510166157
【氏名又は名称】ソーリン シーアールエム エス ア エス
【氏名又は名称原語表記】SORIN CRM S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ジャン―フランソワ オリヴィエ
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-080353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/372
A61N 1/362
A61N 1/39
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込型心臓機器のための皮下リードであって、
リード本体と、絶縁スリーブとを備え、
前記リード本体は、それ自体が少なくとも1つの感知電極を有し、
前記少なくとも1つの感知電極を前記絶縁スリーブで少なくとも部分的に覆うべく、前記絶縁スリーブと前記リード本体とが互いに関して可動となるように、前記リード本体は前記絶縁スリーブにねじ込まれ、
前記絶縁スリーブの中心軸に沿った前記絶縁スリーブの第1の部分は、摩擦によって前記絶縁スリーブの向きを前記リード本体に対して維持するために側壁を有し、前記側壁はそれ自体が少なくとも1つの平坦な表面を有する、
皮下リード。
【請求項2】
前記絶縁スリーブは、前記絶縁スリーブの中心軸の方向に、前記感知電極の中心軸に沿った該感知電極の長さよりも長い長さを有し、
前記絶縁スリーブは、前記側壁に側方向開口部を有し、前記側方向開口部は前記感知電極の上方に位置する、
請求項1に記載の皮下リード。
【請求項3】
前記リード本体は第1の感知電極と第2の感知電極とを有し、
前記絶縁スリーブは、前記第1の感知電極および前記第2の感知電極を少なくとも部分的に覆う、
請求項1又は2に記載の皮下リード。
【請求項4】
前記絶縁スリーブは、前記側壁に2つの側方開口部を備え、ここで前記第1の感知電極の上方には第1の側方開口部が配置され、前記第2の感知電極の上方には第2の側方開口部が配置される、請求項に記載の皮下リード。
【請求項5】
前記リード本体の遠位に配置された第3の感知電極と、除細動電極とをさらに備え、
前記除細動電極は、前記第3の感知電極と、前記第1の感知電極及び前記第2の感知電極によって形成されたアセンブリとの間に配置され、
前記絶縁スリーブは、前記第1の感知電極及び前記第2の感知電極を少なくとも部分的に覆う、
請求項又はに記載の皮下リード。
【請求項6】
前記第1の感知電極及び前記第2の感知電極によって形成された前記アセンブリは、心臓刺激機能のために構成されている請求項に記載の皮下リード。
【請求項7】
前記第1の部分は、前記絶縁スリーブの中心軸に対して、多角形の幾何学的形状の断面を有する請求項1~のいずれか一項に記載の皮下リード。
【請求項8】
前記絶縁スリーブの中心軸に沿った前記絶縁スリーブの第2の部分が少なくとも1つの固定手段を有し、
前記固定手段は、前記リード本体の中心軸に対する前記絶縁スリーブの縦方向の動きを妨げるように構成され、及び/又は、前記絶縁スリーブを筋肉組織に付着させるように構成される、
請求項に記載の皮下リード。
【請求項9】
前記リード本体は、少なくとも部分的に前記リード本体の周囲に前記リード本体から突出する少なくとも1つの停止要素を有し、
前記停止要素は、前記リード本体の中心軸に対する前記絶縁スリーブの縦方向の動きを阻止することができる、
請求項1~のいずれか一項に記載の皮下リード。
【請求項10】
前記少なくとも1つの感知電極が、前記リード本体の周囲に巻かれた1つまたはそれ以上のフィラメントを含む柔軟性電極である請求項1~のいずれか一項に記載の皮下リード。
【請求項11】
前記少なくとも1つの感知電極は、請求項に記載の第1の感知電極および第2の感知電極のうちの少なくとも1つである、請求項3を引用する請求項10に記載の皮下リード。
【請求項12】
前記絶縁スリーブが少なくとも2つの別々の部分で実現され、前記絶縁スリーブの各部分が少なくとも1つの側方開口部を含む請求項1~11のいずれか一項に記載の皮下リード。
【請求項13】
前記絶縁スリーブが、放射線不透過性材料を含む請求項1~12のいずれか一項に記載の皮下リード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植込型心臓装置、特に除細動器または/およびペースメーカのための皮下リードに関する。
【背景技術】
【0002】
植込型除細動器の例では、皮下リードは、二重機能を有し、すなわち、感知電極の手段によって、そこから患者の心臓活動を推定するために、電気表面活動を検出し、必要であれば除細動ショックを送達することを可能にする。
【0003】
しかし、電気的表面活動(したがって心臓から離れた)の検出の質は、電気的筋表面雑音、外部環境との干渉などの多くのアーチファクトによって損なわれる可能性がある。加えて、それは、感知電極の位置決めに大きく依存する。従って、医療技術者は、皮下リードの植込の間に、リードの二重機能を確実にするために許容される位置決めの妥協を見つけなければならず、ときに、患者の形態に依存して、検出または除細動機能の有害性を見つけなければならない。これは、既知の皮下リードが固定された形状であること、つまり電極の相対的位置決めがリード本体に対して固定されており、患者の異なる形態を考慮できないという事実によるものである。
【0004】
さらに、興奮性筋肉への距離および既知の皮下リードの構成(特に電極間距離および環状感知電極を使用する事実)は、ペーシング機能を可能にすることができる心筋の一部に十分に有効な遠隔電場を作り出すのに適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、本発明の目的は、電気表面活性の検出の質を改善することを可能にする、植込型心臓装置のための皮下リードを提案することである。さらに、本発明の目的は、心筋に電気インパルスを送達するのに適した皮下リードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、植込可能な心臓機器、特に除細動器または/およびペースメーカのための皮下リードであって、少なくとも1つの感知電極を含むリード本体自体を含み、さらに、リード本体がねじ込まれる絶縁スリーブを有し、絶縁スリーブとリード本体が互いに相対的に移動可能であるように、少なくとも部分的に、絶縁スリーブによってリード本体の検出の電極を覆うようにリード本体を覆う絶縁スリーブを含んでいる、皮下リードによって達成される。
【0007】
従って、その可動性の性質により、本発明による絶縁スリーブは、リード本体に対する感知電極の固定構成によって誘導される制限を満たすことを可能にする。従って、本発明の絶縁スリーブは、医療技術者が様々な形状の感知電極を有する皮下リードを手にすることを可能にし、したがって患者の形態に最もよく適応することを可能にする。実際、リード本体および絶縁スリーブは、互いに対して移動可能であり、リード本体に対する絶縁スリーブの長手方向の位置決めは、リードの植込中に、医療技術者によって調整可能である。本発明の可変幾何学皮下リードは、従って表面筋肉雑音の検出を最小限にし、従って不適切なショックの送達につながりうるアーチファクトの検出を回避するように適応される。
【0008】
本発明は、植込型心臓装置用の皮下リードに関するものであり、以下の実施形態によりさらに改善することができる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、絶縁スリーブは、感知電極の中心軸に沿った感知電極の長さよりも長い絶縁スリーブの中心軸に沿った長さを有することができ、絶縁スリーブは、側方開口部が感知電極の上方に位置することができるように、絶縁スリーブの側壁に側方開口部を備えることができる。
【0010】
絶縁スリーブの側方向の開口部は、感知電極の表面の少なくとも部分的に選択的に露出することを可能にする。したがって、感知電極に対する絶縁スリーブの、およびリード本体に対する位置決めは、リード本体に対する感知電極の位置決めの両方を調整することを可能にするが、感知電極の露出表面も調整することも可能になる。したがって、本発明の皮下リードは、感知電極の位置決めおよび露出表面のパラメータを調整可能にする絶縁スリーブによって、感知電極の位置決めを改良し、患者の心臓活動の検出を改善することが可能になる。
【0011】
本発明の1つの実施形態によれば、絶縁スリーブは、リード本体の中心軸に対して、長手方向および/または半径方向に、それぞれ絶縁スリーブの中心軸に対してそれぞれリード本体に対して移動可能である。
【0012】
したがって、本発明の絶縁スリーブは、調整可能な感知電極の位置決めおよび露光表面パラメータに加えて、感知電極の露光表面の向き、すなわち、絶縁スリーブの側方向の開口部の下にある感知電極の表面の向きを選択的に適合させることも可能にする。従って、電気表面信号の検出の品質は、感知電極の活性な(露出された)表面配向によって構成されるこの付加的な調整パラメータによって、さらに改善することができる。さらに、感知電極の露出面の向きは、心臓刺激装置のためのリードの場合、電場を患者の心臓塊に向かわせることも可能にする。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、リード本体はまた、第2の感知電極を備えることができ、絶縁スリーブは、第1の感知電極および第2の感知電極を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0014】
したがって、2つの感知電極を含む皮下リードの場合には、この2つの感知電極のそれぞれの露出表面を医療技術者が変化させることも可能である。このように患者の形態に適した方法で、第1および第2の感知電極に対して絶縁スリーブを配置することにより、2つの感知電極による表面電気信号の検出の質を改善することができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、絶縁スリーブは、第1の側方開口部を第1の感知電極の上方に配置することができ、第2の側方開口部を第2の感知電極の上方に配置することができるように、絶縁スリーブの側壁に2つの側方開口部を備えることができる。
【0016】
次いで、絶縁スリーブの設計中に、2つの側方開口部の間の距離を優先的に規定し、したがって、双極子を形成する感知電極のそれぞれの露出表面間の距離を制御することが可能である。また、絶縁スリーブによって2つの感知電極によって形成される双極子の位置をリード本体に沿って移動させることが可能であり、したがって、電気表面信号の感知の質に応じて、その位置を可能な限り(リード本体の対向する2つの端部に対して)調整することが可能である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、リードは、リード本体の遠位に配置された第3の感知電極と、除細動電極とをさらに含むことができ、除細動電極は、第3の感知電極と、第1の感知電極および第2の感知電極によって形成されたアセンブリとの間に位置することができ、第1および第2の感知電極を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0018】
本発明による皮下リードは、従って、除細動器のために構成される。絶縁スリーブは、検出機能(感知電極の)と除細動機能(除細動電極の)を幾何学的に解離させる。実際、リード本体上の絶縁スリーブの移動によって、第1の感知電極および第2の感知電極による表面電気信号の感知の最適化が、除細動電極の位置を損なうものとなるのを防止することが可能となる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2感知電極によって形成されるアセンブリは、心臓刺激機能のために構成することができる。
【0020】
したがって、本発明の皮下リードは、第1および第2の感知電極によって形成されたアセンブリが電場を作り出すことができ、かつこの電場が、絶縁スリーブによって患者の心臓塊に向かうように心臓刺激装置にも適応される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、絶縁スリーブの中心軸に沿った絶縁スリーブの第1部分は、それ自体が少なくとも1つの平坦面を備える側壁を備えることができ、特に、絶縁スリーブの中心軸に沿った絶縁スリーブの一部は、本質的に多角形の幾何学的形状、好ましくは三角形の絶縁スリーブの中心軸に対する断面を有することができる。
【0022】
絶縁スリーブの側壁の平坦面は、患者の筋肉組織と共に、絶縁スリーブのための支持表面を提供する。その後、平坦面は、特に摩擦によって、一旦患者の体内に植込まれたリード本体に対する、絶縁スリーブの配向を、リード本体周囲の絶縁スリーブの不随意な回転運動を回避して、植込まれた間または植込まれた患者の生涯にわたって維持することを可能にする。
【0023】
絶縁スリーブの一部分の本質的に多角形の幾何学的形状、好ましくは三角形状は、絶縁スリーブの一部分と患者の筋肉組織との間により多くの支持を提供することにより、患者の体内のリード本体に対する絶縁スリーブの配向の維持をさらに改善することを可能にする。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、絶縁スリーブの中心軸に沿った絶縁スリーブの第2の部分は、リード本体の中心軸に対する絶縁スリーブの縦方向の動きを妨げるように、および/または絶縁スリーブを筋組織に付着させるために構成された少なくとも1つの固定手段を含むことができる。
【0025】
固定手段は、皮下リードの植込後に、医師によって定められたその最適な位置に、絶縁スリーブが確実に保持されるようにする。このように、感知電極の調整された位置決めは、移植された患者の寿命の間、維持され、保証され得る。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、リード本体は、リード本体の中心軸に対する絶縁スリーブの長手方向の移動を阻止することができる、少なくとも部分的にリード本体の周囲にリード本体から突出する少なくとも1つの停止要素を備えることができる。
【0027】
したがって、リード本体の停止要素は、リード本体の中心軸に対する絶縁スリーブの長手方向変位の振幅を制御することを可能にする。
【0028】
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの感知電極は、リード本体の周囲に巻かれた1つまたはそれ以上のフィラメント、特にリードの第1の感知電極および第2の感知電極からの少なくとも1つの電極を含む柔軟な電極であり得る。
【0029】
可撓性電極の利点は、従来の剛性電極、特に層下にシリコーンを有する長い電極と比較して、リード本体を硬化させないようにすることであり、これは、時間超過によりリードを弱めることを回避すること、および/または患者に不快感を与えることに寄与する。
【0030】
従って、本発明は、剛性検出リングを含む従来のリードの使用を回避することを可能にする。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、絶縁スリーブは、少なくとも2つの別個の部分で作ることができ、絶縁スリーブの各部分は、少なくとも1つの側方開口部を備える。
【0032】
このように、特に電極間距離を変化させることによって、患者および医療技術者のニーズに最もよく適応させるために、本発明の皮下リードのデザインをいくつかのセットの絶縁スリーブに適応させることが可能である。さらに、絶縁スリーブの少なくとも2つの別個の部分は、異なる寸法の側方開口部を有することができる。また、患者と医療技術者のニーズに特異的に適応した異なる開口部を提供することも可能である。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、絶縁スリーブは、放射線不透過性物質を含むことができる。
【0034】
このように、絶縁スリーブは検出可能であるという利点があり、従って、医療用放射線撮影中に同定することができる。
【0035】
本発明およびその利点は、好適な実施形態の手段によって、および特に以下の添付の図に基づいて、以下でより詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の第1の実施形態による皮下リードの概略的かつ透明な図を表す。
図2】第1の実施形態による皮下リードの図1の拡大図である。
図3】本発明の第2の実施形態による皮下リードの概略的で透明な図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、ここで、例示的な方法で、また、図を参照して、有利な実施形態を用いて、より詳細に記載されるであろう。記載された実施形態は、単に可能な構成であり、上記のような個々の特徴は、互いに独立して提供することができるか、または本発明の実施中に完全に省略することができることに留意すべきである。
【0038】
図1は、第1の実施形態によれば、皮下に植込まれる医療機器14のハウジング12に接続された皮下リード10を示す。
【0039】
図2は、皮下リード10の断面の拡大図であり、図1および図2は、以下で併記される。
【0040】
第1の実施形態によれば、リード10は感知電極16を含む。医療装置14が植込型除細動器14である一変形例では、皮下リードはさらに除細動電極を含む。このような装置については、図3を参照してさらに説明する。
【0041】
感知電極16は、リード本体20の周囲に巻いたモノフィラメント18で形成され、図2の拡大図上に見える。したがって、感知電極16は、剛性検出リングを備えている従来技術から知られている従来のリードとは異なり、柔軟な電極である。感知電極16は、層下にシリコーンまたはポリウレタンで部分的に被覆することができる。
【0042】
リード本体20は、2つの端部20a、20bによって画定され、その一方の(20a)はハウジング12に接続され、他方(20b)は、図1に見られるリード10の遠位端に対応する。
【0043】
皮下リード10の感知電極16は、その処理が患者の心臓活動からそれを推定することを可能にする表面電気信号の検出を可能にする。
【0044】
しかしながら、表面上の電気的活動の検出は、表面からの電気的筋肉雑音または外部環境との干渉のような多くのアーチファクトによって変化する。このように検出の質は、患者の体内における感知電極16の位置決めに大きく依存する。
【0045】
表面検出の質を向上させるために感知電極16の位置決めを制御するために、本発明の皮下リード10は、リード本体20がねじ込まれている絶縁スリーブ22を含む。絶縁スリーブ22は、一定のねじれ剛性を与えるためにポリウレタンで作ることができる。別法として、生体適合性シリコーン(50または65Shore)で、絶縁スリーブ22を作ることもできる。別の変形例では、医用放射線撮影中に絶縁スリーブ22を検出可能にするために、絶縁スリーブ22はさらに、硫酸バリウムなどの放射線不透過性物質を含む。
【0046】
リード本体20および絶縁スリーブ22は、絶縁スリーブ22によって感知電極16を少なくとも部分的に覆い、互いに対して移動可能である。このように絶縁スリーブ22は、リード本体20の中心軸A2に対して長手方向(両矢印D1で示す)および/または半径方向(両矢印D2で示す)に移動可能である。
それぞれ、リード本体20は、絶縁スリーブ22の中心軸A1に対して長手方向に(二重矢印D1によって表される)および/または半径方向に(二重矢印D2によって表される)変位され得る。
【0047】
したがって、絶縁スリーブ22の位置の調整によって、リード本体20に対する感知電極16の固定構成によって誘導される制限を満たすことが可能になる。従って、絶縁スリーブ22は、医療技術者が様々な形状の感知電極16を有する皮下リード10を手にすることを可能にし、その結果、患者の形態に最もよく適応することが可能になり、表面筋肉雑音の検出を減少させるか、または最小限にすることさえ可能になる(したがって、例えば、不適切なショックの送達につながりうるアーチファクトの検出を回避することが可能になる)。
【0048】
絶縁スリーブ22は、中心軸A2に沿った感知電極16の長さL2よりも長い絶縁スリーブ22の中心軸A1に沿った長さL1を有する(図1参照)。さらに、絶縁スリーブ22は、側方開口部24が感知電極16の上方に位置するように、絶縁スリーブ22の側壁26に窓のような側方開口部24を備える。
【0049】
感知電極16の総面積S2は200平方ミリメートルから500平方ミリメートルの間である。絶縁スリーブ22は、感知電極16の総面積S2を小さくすることを可能にする。したがって、絶縁スリーブ22の側方開口部24によって、感知電極16の領域S1、すなわち絶縁スリーブ22によって覆われていない感知電極16の表面S1を、少なくとも部分的に選択的に露出させることが可能になる。したがって、感知電極16の露出表面S1の面積は、感知電極16の表面総S2の面積よりも小さい。第1の実施形態によれば、感知電極16の露出面S1は、4~30平方ミリメートル、好ましくは10~20平方ミリメートルの面積を有する。露出表面S1の面積は、皮下リード10の植込中に、感知電極16の上方の側方開口部24の位置決めが医療技術者によって制御されている間に、好ましくは、絶縁スリーブ22のデザイン中に定義することができる。これは、皮下リード10に可変幾何学を与え、これにより、感知電極16の調整された位置決めによって表面上の検出の質を改善することが可能になる。従って、端部20a、20bに対する露出部分からの距離は、医療技術者によって調整することができる。
【0050】
あるいは、絶縁スリーブ22の側壁26に、少なくとも2つの側方開口部を設けてもよい。さらに、側方開口部24の形状は、絶縁スリーブ22ごとに変えることができ、特に、患者の検出または/および刺激の特定の必要性に適合するように特別に設計することができる。したがって、図1および図2に示される第1の実施形態による絶縁スリーブ22の側方開口部24の特定の形状は、異なる幾何学的形状を限定するものではなく、少なくとも側方開口部24が、感知電極16の総面積S2よりも小さい感知電極16の面積S1を露出させることを可能にする限り、異なる幾何学的形状で設計することができる。
【0051】
絶縁スリーブ22の側方開口部24は、環状ではなく、セクタ型の感知電極16を得ることを可能にする。絶縁スリーブ22の側方開口部24のセクタ状の性質は、特に、感知電極の露出面を心臓塊に向かって優先的に配向することを可能にする。感知電極16の露出表面S1の、特に植込まれた患者の筋肉量に向けた優先的な配向は、特に表面筋肉雑音の検出を最小限にし、従って不適切なショックにつながる可能性のあるアーチファクトの検出を回避することを可能にする。
【0052】
第1の実施の形態によれば、絶縁スリーブ22は、長さL3の第1の部分28と長さL4の第2の部分30とを中心軸A1に沿って備える一片に形成される。第1実施形態によれば、絶縁スリーブ22の第1部分28は、略多角形の断面を有し、ここでは三角形であり、一方、絶縁スリーブ22の第2部分30は、略円形の断面を有している。
【0053】
このように絶縁スリーブ22の第1部分28には、基本的に3つの平坦面F1,F2,F3を含む絶縁スリーブ22の中心軸A1に沿った側壁32が設けられている(図2参照)。
【0054】
変形例では、絶縁スリーブ22の第1の部分28は、必ずしも三角形の幾何学的断面を有するとは限らず、少なくとも1つの平坦面を含む絶縁スリーブ22自体の中心軸A1に沿った側壁を備える。
【0055】
平坦面F1、F2、F3は、各々、患者の筋肉組織と共に、絶縁スリーブ22のための支持面を提供する、絶縁スリーブ22の第1の部分28の側壁32である。次に、平らな面F1、F2、F3は、特に摩擦によって、植込み中および植込み患者の生涯にわたって、リード本体20の周囲の、絶縁スリーブ22の回転における不随意運動(二重矢印D2で表される)を回避することによって、患者の体内のリード本体20に対する、絶縁スリーブ22の配向を維持することを可能にする。
【0056】
絶縁スリーブ22の第2の部分30は、断面が本質的に円形であり、その部分について医療技術者がリード本体20に対して絶縁スリーブ22を固定することを可能にし、および患者の筋肉組織に絶縁スリーブ22およびリード本体20のアセンブリを取り付けることを可能にする固定手段34を有する。
【0057】
本発明の第1の実施の形態によれば、固定手段34は、絶縁スリーブ22の中心軸A1に対して横断する第2の部分30に溝36によって設けられている。溝36は、リガチャワイヤ38を受け入れるように適合された幅L5を有する。従って、一旦、医療技術者によって定義された位置決めは、例えば検出された電気信号の質に応じて、絶縁スリーブ22およびリード本体20は、その後、従来のリゲーション技術によって患者の胸部のレベルで固定され、リガチャワイヤ38は、溝36において絶縁スリーブ22およびリード本体20の両方を包囲し、患者の筋肉組織を固定する。
【0058】
図1は、さらに、リード本体20上に配置された停止要素40を図示しており、これは、停止要素40を越えて絶縁スリーブ22の前後方向(それぞれ下方-停止要素40に対する絶縁スリーブ22の位置に応じて)の動きを阻止することによって、リード本体20に対する絶縁スリーブ22の前後方向の動き(矢印D1で表される)の振幅を制御することを可能にする。
【0059】
第1の実施形態によれば、アバットメント要素40は、リード本体20からおよびリード本体20の周囲に延び、従ってリード本体20から突出するリング状の突出部42である。停止要素40は、環状の幾何形状に限定されるものではなく、絶縁スリーブ22の長手方向変位をブロックするように停止要素が寸法決めされている限り、異なる形態の突出部をとることができる。変形例では、リード本体は、絶縁スリーブ22が2つの停止要素の間で長手方向に移動できるように位置決めされた2つの停止要素を備えることができる。
【0060】
図3は、本発明の第2の実施形態による皮下リード100の概略図および透明図を示す。第1の実施の形態と比較して、第2の実施の形態の皮下リード100は、皮下に植込まれる除細動器タイプの医療機器のハウジング102に接続されている(図3の基準「S」で患者の胸骨を示す)。このように、第2の実施形態の皮下リード100は、検出機能と除細動機能の両方のために構成される。
【0061】
リード100は、2つの端部104、106によって区切られたリード本体102を有し、端部104はハウジング102(これはリード100の近位端である)に接続され、端部106はリード100の遠位端に対応する。
【0062】
第2の実施形態によれば、リード100は、第1の感知電極108と、第2の感知電極110と、第3の感知電極112とを備える。リード100はまた、除細動電極114を含む。第2の実施形態の構成によれば、第1の感知電極108はリード本体102の近位に配置され、一方、第3の感知電極112はリード本体102の遠位端106に配置される。第2の感知電極110は、第1の感知電極108と第3の感知電極112との間に配置される。除細動電極114は、第2の感知電極108と第3の感知電極112との間に順に配置される。
【0063】
第1の実施形態およびその変種の感知電極16と同じ方法では、感知電極108、110、112は、単一のフィラメントから、またはリード102の本体の周囲に巻かれた数本のフィラメント(複数)から形成される。
【0064】
皮下リード100の感知電極108、110、112は表面電気信号の検出を可能にし、その処理は患者の心臓活動からそれを推定することを可能にし、一方除細動電極114は除細動機能を有する。したがって、医療技術者は、検出機能の最適な機能と除細動機能の両方を確実にしつつ、リード100の位置決めを調整する必要がある。表面検出の質を改善するために、第1の感知電極108および第2の感知電極110によって形成される双極子116の位置決めを特に調節するために、本発明の皮下リード100は、リード本体102がねじ込まれ、第1の感知電極108および第2の感知電極110を少なくとも部分的に覆うようになっている絶縁スリーブ118を含む。
【0065】
第1実施形態の絶縁スリーブ22に関して説明したように、第2実施形態の絶縁スリーブ118は、リード本体102に対して変位可能である。したがって、絶縁スリーブ118は、リード本体102の中心軸A2に対して、長手方向に(二重矢印D1で表される)、半径方向に(二重矢印D2で表される)変位可能である。それぞれ、リード本体102は、絶縁スリーブ118の中心軸A1に対して長手方向(両矢印D1で表される)および半径方向(両矢印D2で表される)に移動可能である。
【0066】
第1実施形態の絶縁スリーブ22と比較して、絶縁スリーブ118は、リード本体102の中心軸A2の一方に沿った双極子116の長さL2よりも長い絶縁スリーブ118の中心軸A1に沿った長さL1を有する。さらに、第2の実施形態による絶縁スリーブ118は、窓のような第1の側方開口部120が第1の感知電極108の上方に配置され、窓のような第2の側方開口部122が第2の感知電極110の上方に配置されるように、絶縁スリーブ118の側壁124に2つの側方開口部120、122を備える。
【0067】
第2の実施の形態によれば、第1の側方開口部120および第2の側方開口部122は、同一の幾何形状を有する。しかしながら、変形例では、第1および第2の側方開口部120、122は、互いに異なる形状であってもよい。各側方開口部120、122の幾何学的形状は、このように変化することができ、患者の検出ニーズおよび/または治療ニーズに適応するように特別に設計される。
【0068】
したがって、絶縁スリーブ118の位置の調整は、特にリード本体102に対する双極子116の感知電極108、110の固定構成によって誘導される制限を満たすことを可能にする。その結果、絶縁スリーブ118は、医療技術者が感知電極108、110の双極子116を有する皮下リード100を可変幾何学的形状で有することを可能にし、したがって、患者の形態に最もよく適応することができ、表面筋肉雑音の検出を最小限にすることができ、従って、例えば、不適切なショックの送達につながりうるアーチファクトの検出を回避することができる。このように、除細動電極114および第3電極112からの双極子の距離は、植込中に医療技術者が調整することができる。
【0069】
このように、絶縁スリーブ118の第1の側方開口部120および第2の側方開口部122によって、第1の感知電極108および第2の感知電極110の少なくとも部分的にそれぞれの表面S1、すなわち絶縁スリーブ118によって覆われていない各感知電極108、110の表面S1を選択的に露出させることが可能となる。各露出表面S1の領域は、好ましくは、絶縁スリーブ118の設計中に、また、絶縁スリーブ118の中心軸A1に対する第1の側方開口部120と第2の側方開口部122との間の長手方向距離DLの間に画定され得る。絶縁スリーブ118のこれらの幾何学的パラメータ(S1、DL)の決定は、第1の感知電極108と第2の感知電極110とによって形成される双極子116を構成することを可能にする。これは、皮下リード100に可変幾何学を与え、これは、双極子116の調整された位置決めにより表面検出の質を改善することを可能にする。また、医療技術者は、リード100の植込み中に、特に第3の遠位感知電極112に関して双極子116の位置決めを最適化するために、第1および第2感知電極108、110の上方の側方開口部120、122の位置決めを適応させることができる。
【0070】
さらに、第1の実施形態で説明したように、絶縁スリーブ118の側方開口部120、122によって、環状ではなく、扇形タイプの感知電極108、110を得ることが可能になる。絶縁スリーブ118の側方開口部120、122の部門特性により、特に、感知電極120、122の露出面S1を心臓塊に向かって優先的に配向することが可能となる。双極子116の露出面S1の、特に植込みされた患者の筋肉量に対する優先的な配向は、特に、表面筋肉雑音の検出を最小限にすることを可能にし、従って、不適切なショックにつながりうるアーチファクトの検出を回避することを可能にする。
【0071】
さらに、第2の実施形態では、リード100の双極子116から患者の心臓塊に向かって作り出される電場の向きの調整を、心臓刺激機能のために、例えば、除細動機能と組み合わせて使用することができる。
【0072】
第1の実施形態と同様に、絶縁スリーブ118は、長さL3の第1の部分126と長さL4の第2の部分128とを中心軸A1に沿って備える一片に形成される。絶縁スリーブ118の第1の部分126は、ほぼ多角形の断面を有し、ここでは三角形であり、一方、絶縁スリーブ118の第2の部分128は、ほぼ円形の断面を有する。
【0073】
このように絶縁スリーブ118の第1の部分126には、基本的に3つの平坦面F1,F2,F3を含む絶縁スリーブ118の中心軸A1に沿った側壁124が設けられている。
【0074】
変形例では、絶縁スリーブ118の第1の部分126は、必ずしも三角形の幾何学的断面を有するとは限らず、少なくとも1つの平面表面を含む絶縁スリーブ118自体の中心軸A1に沿った側壁を備える。
【0075】
絶縁スリーブ118の第1部分126の側壁124の平面F1、F2、F3は、各々、患者の筋肉組織と共に、絶縁118のための支持面を提供する。平坦な面F1、F2、F3は、植込み中および植込みされた患者の生涯の間、リード本体102の周りの絶縁スリーブ118の回転(二重矢印D2によって表される)における不随意の動きを回避することによって、特に摩擦によって、患者の体内のリード本体102に対する絶縁スリーブ118の配向を維持することを可能にする。
【0076】
その断面が本質的に円形である絶縁スリーブ118の第2の部分108は、次に、医療技術者が絶縁スリーブ118をリード本体102に固定し、アセンブリ絶縁スリーブ118およびリード本体102を患者の筋肉組織に取り付けることを可能にする固定手段130を備える。本発明の第1の実施の形態と同様に、固定手段130は、絶縁スリーブ118の中心軸A1に対して横切る第2の部分108に溝132を設けている。溝136は、リガチャワイヤ138を受け取るように構成されている。したがって、医療技術者によって定義された位置決めが、例えば検出された電気信号の質に従って、次いで、従来のリガテーション技術によって、患者の胸部に、絶縁スリーブ118およびリード本体102を固定し、絶縁スリーブ118およびリード本体102の両方を含むリガチャワイヤ138を溝38に設置し、患者の筋組織を固定する。
【0077】
このように、患者の筋肉組織にリガチャワイヤ138を介して絶縁スリーブ118が固定されており、患者の体内でリード100が不随意に動く場合、これは、双極子116の露出面S1の位置および方向が、絶縁スリーブ118と患者の筋肉組織との間の固定によって(したがって、リード100の位置とはある程度無関係に)確保されるため、双極子116自体の構成に影響を及ぼさないであろう。特に、絶縁スリーブ118は、第1の実施形態で説明したように、少なくとも1つの停止要素140を備えることもできるので、停止要素140を越えて絶縁スリーブ118の長手方向の動き(それぞれ下方-停止要素40に対する絶縁スリーブ118の位置に応じて)を阻止することによって、リード本体102に対して絶縁スリーブ118の長手方向の変位の振幅を制御(矢印D1で表す)することを可能にするリード本体102上に配置される。
【0078】
記載された実施形態は、単に可能な構成であり、第1の実施形態と第2の実施形態の個々の特徴を互いに組み合わせることができるか、または互いに独立して提供することができることに留意すべきである。
図1
図2
図3