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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】冷温水式潜顕分離空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/84 20180101AFI20240729BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240729BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20240729BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20240729BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240729BHJP
   F24F 110/22 20180101ALN20240729BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240729BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240729BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20240729BHJP
【FI】
F24F11/84
F24F5/00 101Z
F24F11/65
F24F11/80
F24F110:12
F24F110:22
F24F110:10
F24F110:20
F24F140:20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023202365
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000244958
【氏名又は名称】木村工機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 恵一
(72)【発明者】
【氏名】浦野 勝博
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴之
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-105848(JP,A)
【文献】特開2007-202711(JP,A)
【文献】特開2009-168256(JP,A)
【文献】特開平3-17450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源水と空調用空気とを熱交換して被空調空間に前記空調用空気を給気する冷温水式空調機(1)と、前記熱源水を温度調整する熱源装置(3)と、前記冷温水式空調機(1)と前記熱源装置(3)とに前記熱源水を循環させる熱源水回路(4)と、を備え、
前記熱源装置(3)が、チラー用空気熱源ヒートポンプ(11)で前記熱源水を温度調整する空冷式チラー(12)と、チラー用水熱源ヒートポンプ(21)で前記熱源水を温度調整する水冷式チラー(22)と、を備え、
前記空冷式チラー(12)の前記熱源水で前記空調用空気を熱交換して前記被空調空間を空調する前記冷温水式空調機(1)で構成した第1空調グループ(A)と、前記水冷式チラー(22)の前記熱源水で前記空調用空気を熱交換して前記被空調空間を空調する前記冷温水式空調機(1)で構成した第2空調グループ(B)と、を備え
前記空調用空気として外気と還気を取り込んで前記被空調空間に給気する前記冷温水式空調機(1)と、前記外気を前記冷温水式空調機(1)に給気すると共に前記還気を屋外に排気する空冷式外調機(2)と、を備え、
前記冷温水式空調機(1)は、内部を流通する冷水又は温水の前記熱源水で前記空調用空気を熱交換する冷温水コイル(35)と、前記熱源水の流通量を増減させて前記冷温水コイル(35)の熱交換能力を調整する水量制御弁(36)と、を備え、
前記空冷式外調機(2)は、前記還気の熱を利用して前記外気を熱交換する外調用空気熱源ヒートポンプ(41)と、前記外調用空気熱源ヒートポンプ(41)の一部を構成すると共に前記外調用空気熱源ヒートポンプ(41)の出力を増減させて前記空冷式外調機(2)の熱交換能力を調整する外調用圧縮機(47)と、前記外気を加湿すると共に加湿量を増減させて前記外気の湿度を調整する加湿器(51)と、を備え、
前記被空調空間が設定温度及び設定湿度の範囲外の場合は前記水量制御弁(36)、前記外調用圧縮機(47)及び前記加湿器(51)の駆動を制御して前記被空調空間が前記設定温度及び前記設定湿度となるように空調すると共に前記被空調空間が前記設定温度の範囲内の場合は前記水量制御弁(36)を閉じて前記外調用圧縮機(47)及び前記加湿器(51)の駆動を制御して前記被空調空間が前記設定温度及び前記設定湿度となるように空調する制御装置(5)を、備えたことを特徴とする冷温水式潜顕分離空調システム。
【請求項2】
前記制御装置(5)は、
前記熱源水が前記冷水の場合に
外気温度が前記設定温度を超えかつ外気湿度が前記設定湿度以下の範囲では前記空冷式外調機(2)で前記外気を顕熱冷却して前記設定温度で給気する外調機冷房冷却運転と
前記外気温度が前記設定温度以下でかつ前記外気湿度が前記設定湿度以下の範囲では前記空冷式外調機(2)で前記外気を温湿度調整せずに給気する外調機冷房送風運転と
前記外気湿度が前記設定湿度を超える範囲では前記空冷式外調機(2)で前記外気を冷却減湿して設定比エンタルピーの露点温度で給気する外調機冷房除湿運転と
のうちのいずれかの前記運転を行う外調機冷房制御部(62)と、
前記熱源水が前記冷水の場合に
前記還気温度が前記設定温度を超えかつ前記還気湿度が前記設定湿度以下の範囲では前記冷温水式空調機(1)で前記空調用空気を顕熱冷却して前記被空調空間を前記設定温度にする空調機冷房冷却運転と
前記還気温度が前記設定温度以下でかつ前記還気湿度が前記設定湿度以下の範囲では前記冷温水式空調機(1)で前記空調用空気を温湿度調整せずに給気する空調機冷房送風運転と
前記還気湿度が前記設定湿度を超える範囲では前記冷温水式空調機(1)で前記空調用空気を冷却減湿して前記設定比エンタルピーの前記露点温度で給気する空調機冷房除湿運転と
のうちのいずれかの前記運転を行う空調機冷房制御部(63)と、
前記熱源水が前記温水の場合に
前記外気温度が前記設定温度未満でかつ前記外気湿度が前記設定湿度以上の範囲では前記空冷式外調機(2)で前記外気を加熱して前記設定温度で給気する外調機暖房加熱運転と
前記外気温度が前記設定温度以上でかつ前記外気湿度が前記設定湿度未満の範囲では前記加湿器(51)で前記外気を加湿して前記設定湿度で給気する外調機暖房加湿運転と
前記外気温度が前記設定温度以上でかつ前記外気湿度が前記設定湿度以上の範囲では前記空冷式外調機(2)で前記外気を温湿度調整せずに給気する外調機暖房送風運転と
前記外気温度が前記設定温度未満でかつ前記外気湿度が前記設定湿度未満の範囲では前記空冷式外調機(2)及び前記加湿器(51)で前記外気を加熱及び加湿して前記設定温度及び前記設定湿度で給気する外調機加熱加湿運転と
のうちのいずれかの前記運転を行う外調機暖房制御部(64)と、
前記熱源水が前記温水の場合に
前記還気温度が前記設定温度未満の範囲では前記冷温水式空調機(1)で前記空調用空気を加熱して前記被空調空間を前記設定温度にする空調機暖房加熱運転と
前記還気温度が前記設定温度以上の範囲では前記冷温水式空調機(1)で前記空調用空気を温湿度調整せずに給気する空調機暖房送風運転と
のうちのいずれかの前記運転を行う空調機暖房制御部(65)と、
を備えた請求項1に記載の冷温水式潜顕分離換気空調システム。
【請求項3】
前記第1空調グループ(A)を建物の上層エリア乃至中層エリアに設置すると共に、前記第2空調グループ(B)を建物の下層エリアに設置した請求項1又は2に記載の冷温水式潜顕分離空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷温水式潜顕分離空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷温水式の空調システムは、空冷チラーから熱源水を空調機に送水して空調するセントラル式が一般的であった。この空調システムには、熱源水である冷水と温水を切換えて冷暖房する2管式と、冷水と温水を同時に送水して冷暖同時運転が可能な4管式とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-85013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空冷チラーのみでは空気熱源のためエネルギー変換効率が悪く、夏場の排熱でヒートアイランド現象を誘発したり、冬場のデフロストで空調ムラが生じる懸念があった。また、冷房運転・暖房運転の混在が必要な空調エリアでは、2管式では対応できないために快適性が劣り、4管式にすると設備及び運転のコストが過大となる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、熱源水と空調用空気とを熱交換して被空調空間に前記空調用空気を給気する冷温水式空調機と、前記熱源水を温度調整する熱源装置と、前記冷温水式空調機と前記熱源装置とに前記熱源水を循環させる熱源水回路と、を備え、前記熱源装置が、チラー用空気熱源ヒートポンプで前記熱源水を温度調整する空冷式チラーと、チラー用水熱源ヒートポンプで前記熱源水を温度調整する水冷式チラーと、を備え、前記空冷式チラーの前記熱源水で前記空調用空気を熱交換して前記被空調空間を空調する前記冷温水式空調機で構成した第1空調グループと、前記水冷式チラーの前記熱源水で前記空調用空気を熱交換して前記被空調空間を空調する前記冷温水式空調機で構成した第2空調グループと、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1と2の発明によれば、地域寒暖差などの外気条件や地下水などの熱利用に応じて、空冷式チラーの第1空調グループと水冷式チラーの第2空調グループの設置割合を設定することで、熱源のエネルギー変換効率を高めて排熱問題や空調ムラを抑制できる。中間期などの低空調負荷の場合、熱源装置を停止して空冷式外調機のみで冷暖フリー運転ができ、省エネ性と快適性が向上する。4管式が不要で設備及び運転コストの低減を図れる。空気熱源ヒートポンプで還気の熱を利用して外気を熱交換して外気導入するので、さらに省エネを図れる。
請求項3の発明によれば、低層エリアでは、水冷式チラーの熱源水としてビル排水などを、ポンプを使わずに自重で集めて熱源として活用でき省エネとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の建物への設置例を示す簡略図である。
図2】本発明の全体構成を示す簡略図である。
図3】第1空調グループの熱源装置の簡略説明図である。
図4】第2空調グループの熱源装置の簡略説明図である。
図5】冷温水式空調機と空冷外調機の簡略説明図である。
図6】外調用空気熱源ヒートポンプの簡略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1図2は、本発明の冷温水式潜顕分離空調システムの一実施例である。この潜顕分離空調システムは、第1空調グループAと第2空調グループBとを備え、ビルなどの建物の上層エリア乃至中層エリアに第1空調グループAを設置すると共に、建物の下層エリアに第2空調グループBを設置する。
【0009】
第1空調グループAと第2空調グループBは、冷温水式空調機1、空冷式外調機2、熱源装置3、熱源水回路4及び制御装置5を、備える。これらの冷温水式空調機1、空冷式外調機2、屋外、室内などの被空調空間に、空調用空気(外気、還気、給気、排気)が流れるように、ダクト6(太線で簡略化して示す)で接続する。
【0010】
図3図4に示すように、熱源装置3は、チラー用空気熱源ヒートポンプ11で熱源水を冷却又は加熱して温度調整する空冷式チラー12と、チラー用水熱源ヒートポンプ21で熱源水を冷却又は加熱して温度調整する水冷式チラー22と、を備える。
【0011】
第1空調グループAは、空冷式チラー12の熱源水で空調用空気を熱交換して被空調空間を空調する冷温水式空調機1で構成し、第2空調グループBは、水冷式チラー22の熱源水で空調用空気を熱交換して被空調空間を空調する冷温水式空調機1で構成する。
【0012】
空冷式チラー12は、外気の熱で循環冷媒を熱交換するチラー用空気熱源ヒートポンプ11と、外気(熱源空気)を空気熱源ヒートポンプ11の熱源用空気熱交換器13に通して熱交換させる放熱ファン14と、これらを収容するケーシング15と、を備える。
【0013】
空気熱源ヒートポンプ11は、熱源用空気熱交換器13、熱源水用水熱交換器16、圧縮機17、膨張弁18、四方弁19及び冷媒配管回路20によって構成され、循環する冷媒に対して圧縮・凝縮・膨張・蒸発の工程順を繰返し、この冷媒と熱交換する空気と熱源水に対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うものである。
【0014】
熱源用空気熱交換器13は、プレートフィン群に挿着した伝熱管群を備え(図示省略)、これらを介して、空気と、伝熱管群を流通する冷媒と、を熱交換する。熱源水用水熱交換器16は、内部を流通する熱源水と冷媒とを仕切る伝熱板を、備え(図示省略)、この伝熱板を介して、熱源水と冷媒を熱交換する。空冷式チラー12は、建物の屋上などに設置する。
【0015】
水冷式チラー22の熱源装置3は、蓄熱槽23及び保護用水熱交換器24を備えている。水冷式チラー22は、チラー用水熱源ヒートポンプ21と、これを収容するケーシング26と、を備え、水熱源ヒートポンプ21の循環冷媒と、蓄熱槽23の蓄熱水と、を、保護用水熱交換器24と蓄熱水用水熱交換器25の間を流れる循環水を介して熱交換する。蓄熱水は、ビル排水や下水、河川水、地下水などを用いる。
【0016】
水熱源ヒートポンプ21は、蓄熱水用水熱交換器25、熱源水用水熱交換器27、圧縮機28、膨張弁29、四方弁30及び冷媒配管回路31によって構成され、循環する冷媒に対して圧縮・凝縮・膨張・蒸発の工程順を繰返し、この冷媒と熱交換する熱源水と循環水に対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うものである。水熱交換器25、27は、空冷式チラー12の熱源水用水熱交換器16と同様構成である。
【0017】
蓄熱水用水熱交換器25と保護用水熱交換器24の間を流れる循環水は、保護用水熱交換器24で蓄熱槽23の蓄熱水と熱交換され、蓄熱水用水熱交換器25で循環冷媒と熱交換される。保護用水熱交換器24を流通した蓄熱水は外部に排水される。
【0018】
図5に示すように、冷温水式空調機1は、内部を流通する冷水又は温水の熱源水で空調用空気を熱交換する冷温水コイル35と、熱源水の流通量を増減させて冷温水コイル35の熱交換能力(空調用空気の冷却又は加熱の能力)を調整する水量制御弁36と、被空調空間に空調用空気を給気する給気ファン37と、これらを収納するケーシング38と、を備えている。冷温水コイル35は、空冷式チラー12の熱源用空気熱交換器13と同様構成で、内部を熱源水が流通する。冷温水式空調機1は、空調用空気を冷却又は加熱して被空調空間に給気して空調する。
【0019】
図5図6に示すように、空冷式外調機2は、還気の熱を利用して外気を熱交換する外調用空気熱源ヒートポンプ41と、空気熱源ヒートポンプ41の一部を構成すると共に空気熱源ヒートポンプ41の出力を増減させて空冷式外調機2の熱交換能力(空調用空気の冷却又は加熱の能力)を調整する外調用圧縮機47と、外気を加湿すると共に加湿量を増減させて外気の湿度を調整する加湿器51と、屋外から取り込んだ外気を冷温水式空調機1へ給気する外気ファン42と、被空調空間から取り込んだ還気を屋外へ排気する排気ファン43と、これらを収容するケーシング44と、を備える。
【0020】
空気熱源ヒートポンプ41は、外気用空気熱交換器45、排気用空気熱交換器46、外調用圧縮機47、膨張弁48、四方弁49及び冷媒配管回路50によって構成され、循環する冷媒に対して圧縮・凝縮・膨張・蒸発の工程順を繰返し、この冷媒と熱交換する空気に対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うもので、四方弁49で冷暖運転(空調用空気の冷却と加熱)を切換える。外気用空気熱交換器45及び排気用空気熱交換器46は、空冷式チラー12の熱源用空気熱交換器13と同様構成である。
【0021】
屋外からの外気は空冷式外調機2を介して冷温水式空調機1に給気する。冷温水式空調機1は、空冷式外調機2からの外気と、被空調空間からの空気(還気)と、を取り込んで被空調空間に給気する。還気の一部は被空調空間から空冷式外調機2に取り込んで屋外に排気する。空調用空気の気流方向は太い点線の矢印で図示する。図例では、加湿器51は蒸気で空気を加湿する蒸気式としているが、気化式やその他の方式でもよい。
【0022】
図2示すように、熱源水回路4は、水配管で構成される往路55、還路56と、これらに熱源水を流通させる送水ポンプ57と、を備えており、熱源装置3と冷温水式空調機1の冷温水コイル35とに熱源水が循環する。
【0023】
往路55は、熱源水が熱源装置3から冷温水式空調機1の冷温水コイル35に分流しながら還路56に至って合流して混合するように設ける。還路56は、冷温水式空調機1の冷温水コイル35を流通して出た熱源水が熱源装置3に至るように設ける。
【0024】
熱源水温度が設定水温範囲外の場合、熱源装置3の運転を開始することで冷却又は加熱して設定水温範囲内に温度調整する。熱源水の温度範囲の一例をあげると、冷水は7~12℃、温水は40~45℃であるが、これ以外の温度範囲とするも自由である。
【0025】
図5に示すように、制御装置5は、リモコン61、外調機冷房制御部62、空調機冷房制御部63、外調機暖房制御部64、空調機暖房制御部65及び給気ファン制御部66を、を備えている。リモコン61は、スイッチ、各種設定の入力ボタン及び表示部等を備え、被空調空間(還気)の設定温度及び設定湿度と、冷房又は暖房の空調モードと、を設定すると共に、空調運転の開始や停止、温湿度調整などの操作を制御装置5を介して行う機能を有している。
【0026】
制御装置5は、被空調空間が設定温度及び設定湿度の範囲外の場合は、水量制御弁36、外調用圧縮機47、加湿器51及び給気ファン37の駆動を連動制御して被空調空間が設定温度及び設定湿度となるように空調すると共に、被空調空間が設定温度の範囲内の場合は水量制御弁36を閉じて熱源水の流通を停止し、外調用圧縮機47及び加湿器51の駆動を制御して被空調空間が設定温度及び設定湿度となるように空調する機能を有している。制御装置5は、マイクロプロセッサ、各種センサー、その他の制御機器で構成する。
【0027】
外調機冷房制御部62は、熱源水が冷水で空調モードが冷房の場合に、外気温度が設定温度を超えかつ外気湿度が設定湿度以下の範囲では空冷式外調機2で外気を顕熱冷却して設定温度で給気する外調機冷房冷却運転と、外気温度が設定温度以下でかつ外気湿度が設定湿度以下の範囲では空冷式外調機2で外気を温湿度調整せずに給気する外調機冷房送風運転と、外気湿度が設定湿度を超える範囲では空冷式外調機2で外気を冷却減湿して設定比エンタルピーの露点温度で給気する外調機冷房除湿運転と、のうちのいずれかの運転を行う。設定比エンタルピーは、設定温度及び設定湿度から算出する。
【0028】
空調機冷房制御部63は、熱源水が冷水で空調モードが冷房の場合に、還気温度が設定温度を超えかつ還気湿度が設定湿度以下の範囲では冷温水式空調機1で空調用空気を顕熱冷却して被空調空間を設定温度にする空調機冷房冷却運転と、還気温度が設定温度以下でかつ還気湿度が設定湿度以下の範囲では冷温水式空調機1で空調用空気を温湿度調整せずに給気する空調機冷房送風運転と、還気湿度が設定湿度を超える範囲では冷温水式空調機1で空調用空気を冷却減湿して設定比エンタルピーの露点温度で給気する空調機冷房除湿運転と、のうちのいずれかの運転を行う。
【0029】
外調機暖房制御部64は、熱源水が温水で空調モードが暖房の場合に、外気温度が設定温度未満でかつ外気湿度が設定湿度以上の範囲では空冷式外調機2で外気を加熱して設定温度で給気する外調機暖房加熱運転と、外気温度が設定温度以上でかつ外気湿度が設定湿度未満の範囲では加湿器51で外気を加湿して設定湿度で給気する外調機暖房加湿運転と、外気温度が設定温度以上でかつ外気湿度が設定湿度以上の範囲では空冷式外調機2で外気を温湿度調整せずに給気する外調機暖房送風運転と、外気温度が設定温度未満でかつ外気湿度が設定湿度未満の範囲では空冷式外調機2及び加湿器51で外気を加熱及び加湿して設定温度及び設定湿度で給気する外調機加熱加湿運転と、のうちのいずれかの運転を行う。
【0030】
空調機暖房制御部65は、熱源水が温水で空調モードが暖房の場合に、還気温度が設定温度未満の範囲では冷温水式空調機1で空調用空気を加熱して被空調空間を設定温度にする空調機暖房加熱運転と、還気温度が設定温度以上の範囲では冷温水式空調機1で空調用空気を温湿度調整せずに給気する空調機暖房送風運転と、のうちのいずれかの運転を行う。
【0031】
給気ファン制御部66は、給気ファン37の給気風量の増減により時間当たりの給気熱量を制御して還気温度(被空調空間の温度)と設定温度との差を抑制する。これにより、冷温水式空調機1や空冷式外調機2の最少空調能力より空調負荷が少ない中間期などでも、給気ファン37の給気熱量のオーバーシュートやアンダーシュートを抑えて、被空調空間の温度と設定温度のずれや温度ムラの少ない快適な空調を行える。
【0032】
リモコン61にて空調運転を開始すると、空冷式外調機2で外気を冷却又は加熱して被空調空間の設定温度にすると共に、空冷式外調機2及び加湿器51で外気を除湿又は加湿して被空調空間の設定湿度にし、冷温水式空調機1に給気する。冷温水式空調機1は、被空調空間の温度を設定温度に近づけるように空調用空気(外気と還気)を冷却又は加熱する。空調負荷が少なくなれば、給気ファン37の給気風量制御で被空調空間を細かく温度調整する。このように、冷温水式空調機1や空冷式外調機2を単独のリモコン61で連動制御させて空調でき、操作が簡単になり設備コスト低減と省力化を図れる。
【0033】
なお、本発明は上述の実施例に限定されない。例えば、空冷式チラーの第1空調グループと水冷式チラーの第2空調グループの設置割合を変えたり、第1空調グループAと第2空調グループBを図例とは上下逆のエリアにしたり、エリアを細分化して交互設置するなど変更は自由である。さらに、第1空調グループAと第2空調グループBの一方のみで潜顕分離空調システムを構成しても良く、冷温水式空調機1と空冷式外調機2の台数の増減変更も自由である。また、冷温水式空調機1は、冷温水コイル35と給気ファン37を一体にしたものでなく、冷温水コイル35と給気ファン37を別個のユニットにしたものをダクト接続したセパレートタイプにしてもよく、それらの組合わせや設置場所の変更も自由である。
【符号の説明】
【0034】
1 冷温水式空調機
2 空冷式外調機
3 熱源装置
4 熱源水回路
5 制御装置
11 チラー用空気熱源ヒートポンプ
12 空冷式チチラー
21 チラー用水熱源ヒートポンプ
22 水冷式チチラー
35 冷温水コイル
36 水量制御弁
41 外調用空気熱源ヒートポンプ
47 外調用圧縮機
51 加湿器
62 外調機冷房制御部
63 空調機冷房制御部
64 外調機暖房制御部
65 空調機暖房制御部
A 第1空調グループ
B 第2空調グループ
【要約】
【課題】 空冷式チラーと水冷式チラーを併用した高効率空調システムを得る。
【解決手段】 熱源水で熱交換した空調用空気を被空調空間に給気する冷温水式空調機(1)と、熱源水を温度調整する熱源装置(3)と、を備える。熱源装置(3)が、空冷式チラーと水冷式チラーを備える。空冷式チラーの熱源水を使う冷温水式空調機(1)で構成した第1空調グループ(A)と、水冷式チラーの熱源水を使う冷温水式空調機(1)で構成した第2空調グループ(B)と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6