(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】送信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
H04B1/04 D
(21)【出願番号】P 2023520940
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2022018110
(87)【国際公開番号】W WO2022239608
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2021079438
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬彦
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-064410(JP,A)
【文献】特開2008-017199(JP,A)
【文献】特開平08-079727(JP,A)
【文献】特開昭61-205078(JP,A)
【文献】特表平11-508741(JP,A)
【文献】特開2017-098811(JP,A)
【文献】特開2006-054813(JP,A)
【文献】米国特許第09510060(US,B1)
【文献】特開2017-147503(JP,A)
【文献】特開2020-077984(JP,A)
【文献】佐々木 章ほか,第二の開局! J-WAVE 新本社の設備概要 ~ J-WAVE New Studio @ Roppongi Hills ~,放送技術,第57巻, 第3号,兼六館出版株式会社,2004年,pp. 271-294
【文献】田中 豊広ほか,毎日放送・ラジオ大阪におけるFM補完放送設備,放送技術,第69巻, 第12号,兼六館出版株式会社,2016年,pp. 77-84
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
H04H 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号で搬送波のFM変調が行なわれた出力信号が用いられる送信装置であって、
共通の基準信号が入力されることによって同期化が行なわれた状態で、共通の前記音声信号によって共通の前記搬送波のFM変調を行う
、各々が現用系、待機系のうちの一方、他方に対応した、同期式第1変調部
、同期式第2変調部と、
前記同期式第1変調部の出力である第1変調信号と前記同期式第2変調部の出力である第2変調信号とを合成して前記出力信号として出力する合成部と、
を具備
し、
ステレオ方式とされパイロット信号が合成された前記音声信号が前記同期式第1変調部及び前記同期式第2変調部に入力し、
前記第1変調信号中における前記パイロット信号、前記第2変調信号中における前記パイロット信号、の有無をそれぞれ認識する第1変調信号監視部、第2変調信号監視部、をそれぞれ具備し、
前記第1変調信号、前記第2変調信号のうちのいずれか一方において前記パイロット信号が認識されなかった場合において、当該一方の出力が停止されることを特徴とする送信装置
【請求項2】
前記第1変調信号、前記第2変調信号のうちのいずれか一方において前記パイロット信号が認識されなかった場合において、当該一方に対する他方に対応した前記同期式第1変調部、前記同期式第2変調部
のうちの一方を制御して前記第1変調信号、前記第2変調信号
のうちの前記他方の強度を調整する出力信号調整部を具備することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記出力信号調整部は、検出された前記出力信号の出力レベルに基き、又は外部からの制御によって、前記出力レベルが予め定められた範囲となるように前記同期式第1変調部、前記同期式第2変調部を制御することを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変調器の異常に対して冗長性を有するFM方式の送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放送用の送信装置においては、装置の故障等の突発的な事象によって放送が停止することを抑制するために、冗長化が図られている。例えば、異なるRF信号を発する2つの送信部を用い、その一方を通常使用する送信部(現用系)、他方を現用系が故障した際に予備的に使用する送信部(待機系)とし、状況に応じ切替器によって現用系の送信部の出力と待機系の送信部の出力を切り替えて用いる構成が知られている。ただし、切替器によって切替動作が行われる際には一定の時間を要するため、この切替動作の際には出力が中断する期間が発生する。また、このために用いられる切替器の信頼性や特性に対する要求が厳しくなるため、切替器が高価となった。
【0003】
特許文献1には、2つの送信部を前記のように特に現用系と待機系の2つに区分せず、各々の出力となるRF信号をそれぞれ2つに分配し、分配後のRF信号の組み合わせを状況に応じて変えた上で合成して出力する送信装置が記載されている。この構成によれば、切替時に信号が中断することは抑制される。ただし、この場合においても、組み合わせを切り替える動作は行われるため、切替器の使用は必須となる。また、2つのRF信号の周波数、位相が整合した状態でこれらが合成される必要がある。
【0004】
これに対して、特許文献2には、位相制御器を設けることによって、待機系の送信部が出力するRF信号の周波数及び位相を現用系の送信部が出力するRF信号の周波数及び位相と一致させ、一致後のRF信号を常時合成して出力する技術が記載されている。この場合には、現用系、待機系のRF信号と合成後の信号は強度以外は同一となり、仮に現用系が故障してそのRF信号が失われても、合成後の信号は待機系のRF信号と等しくなり、特に切替動作を要さずに、所望のRF信号が得られる。このため、切替動作の際の信号の中断は発生しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-326579号公報
【文献】特開2021-34970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FM放送用の送信装置においては、FM変調器の出力が後段の電力増幅器に入力し送信部から上記のようなRF信号として発せられる。このFM変調器の故障による放送の中断も抑制することが必要であるため、FM変調器の故障に対しても、同様の冗長化を図ることが望まれた。
【0007】
この場合においては、特許文献1、2に記載されたような送信部毎に更にこのように2つのFM変調器(現用系、待機系)を設け、このFM変調器を切り替える動作を行う(切替器を用いる)、あるいは特許文献2に記載の技術のようにRF信号の切替を行なわずに2つのFM変調器からの出力を取り出すことが必要になった。
【0008】
しかしながら、この場合において切替器を用いる場合には切替器の数が多くなるために送信装置が高価となる、あるいは切替に伴う問題が更に多く発生した。あるいは、特許文献2に記載の技術のように切替器を用いない場合には、切替に伴う問題は発生しないものの、構成が複雑となるために送信装置が高価となった。
【0009】
このため、FM変調器の故障に対する冗長性を有し、切替動作を要しない単純な構造の送信装置が望まれた。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、音声信号で搬送波のFM変調が行なわれた出力信号が用いられる送信装置であって、共通の基準信号が入力されることによって同期化が行なわれた状態で、共通の前記音声信号によって共通の前記搬送波のFM変調を行う、各々が現用系、待機系のうちの一方、他方に対応した、同期式第1変調部、同期式第2変調部と、前記同期式第1変調部の出力である第1変調信号と前記同期式第2変調部の出力である第2変調信号とを合成して前記出力信号として出力する合成部と、を具備し、ステレオ方式とされパイロット信号が合成された前記音声信号が前記同期式第1変調部及び前記同期式第2変調部に入力し、前記第1変調信号中における前記パイロット信号、前記第2変調信号中における前記パイロット信号、の有無をそれぞれ認識する第1変調信号監視部、第2変調信号監視部、をそれぞれ具備し、前記第1変調信号、前記第2変調信号のうちのいずれか一方において前記パイロット信号が認識されなかった場合において、当該一方の出力が停止される。
この際、前記第1変調信号、前記第2変調信号のうちのいずれか一方において前記パイロット信号が認識されなかった場合において、当該一方に対する他方に対応した前記同期式第1変調部、前記同期式第2変調部のうちの一方を制御して前記第1変調信号、前記第2変調信号のうちの前記他方の強度を調整する出力信号調整部を具備してもよい。
また、前記出力信号調整部は、検出された前記出力信号の出力レベルに基き、又は外部からの制御によって、前記出力レベルが予め定められた範囲となるように前記同期式第1変調部、前記同期式第2変調部を制御してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、FM変調器の故障に対する冗長性を有し、切替動作を要しない単純な構造の送信装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る送信装置の部分的な構成を示す図である。
【
図2】従来の送信装置の部分的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して具体的に説明する。本発明の実施の形態に係る送信装置は、ステレオ方式のFM放送に使用される。この送信装置は2つのFM変調器を有するためにFM変調器の異常(故障)に対して冗長性を有するが、出力される信号の中断を生ずるような切替動作は行なわれない。
図1は、この送信装置1の構成を示す図である。
【0015】
図1においては、この送信装置1においてステレオ方式の音声信号でFM変調されたFM信号が出力されるまでの構成のみが部分的に示されている。このため、
図1の構成は、例えば特許文献1、2に記載の送信装置におけるFM変調後の信号の出力をする部分に対応し、現用系、待機系の送信装置のそれぞれにおいて適用が可能となる。
【0016】
ここで、共通の音声信号で搬送波をFM変調する同期式第1変調器(同期式第1変調部)11と同期式第2変調器(同期式第2変調部)12が用いられ、同期式第1変調器11によってFM1(第1変調信号)が生成され、同期式第2変調器12によってFM2(第2変調信号)が生成される。同期式第1変調器11、同期式第2変調器12はそれぞれ独立して動作を行うものの、共通の基準信号が入力されることによって、これらの動作は同期している。
【0017】
また、この送信装置1においては、合成器(合成部)13によってFM1とFM2が合成されて出力信号とされて出力される。このため、この送信装置1においては切替動作は行なわれず、このために切替時における出力信号の中断は発生しない。
【0018】
以下に、上記の動作、及び
図1におけるその他の構成要素について詳細に説明する。まず、同期式第1変調器11と同期式第2変調器12は、前記のように同期して動作する。このために、
図1における基準信号発生器20が用いられる。基準信号発生器20としては、具体的には、例えばRb(ルビジウム)発振器を用いることができる。Rb発振器は、周知のように10MHzの信号と1PPS(Pulse Per Second)信号を発し、例えば同期放送において異なる場所にある中継局間の同期をとるために、これらの信号を共通の基準信号として用いる際に使用される。
【0019】
このため、同期式第1変調器11と同期式第2変調器12にこの基準信号を入力させれば、FM1とFM2の同期をとる(位相を同一とする)ことができる。このような同期式変調器は、例えばhttps://nitsuki.com/products/fm_radio/fm_sync_broadcasting.htmlに記載されている。FM1とFM2は共通の音声信号で変調されるため、これにより、本質的にはFM1とFM2は同一の信号となる。また、入力される音声信号はステレオ方式の音声信号であるため、FM1、FM2には、共にステレオ方式の際に付加されるパイロット信号が含まれている。
【0020】
このため、合成器13によってFM1とFM2が合成された出力信号は、FM1、FM2とは出力レベル(振幅)のみが異なる同一の信号となる。この際、同期式第1変調器11が故障した場合にはFM1が失われ、同期式第2変調器12が故障した場合にはFM2が失われるが、この場合には、出力信号の出力レベルのみが変動し、出力信号は前者の場合にはFM2、後者の場合にはFM1と等しくなり、結局、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12の故障の前後にわたり同一の出力信号が得られる。このため、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12に故障が発生しても、出力信号の中断は発生しない。
【0021】
なお、
図1においては基準信号発生器20は送信装置1の構成要素とされているが、同様の基準信号を同期式第1変調器11と同期式第2変調器12に入力させることができる限りにおいて、基準信号発生器を外部に設けてもよい。また、同期式第1変調器11と同期式第2変調器12の動作を同期させるための基準信号が得られる限りにおいて、Rb発振器以外の基準信号発生器を用いてもよい。
【0022】
上記に記載の動作においては、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12に故障が発生した場合に出力信号は失われないものの、出力レベル(振幅)は変動する。しかしながら、この場合において、出力レベルの変動も抑制することができる。
図1において、出力信号モニタ14、出力信号調整部15はこのために用いられる。
【0023】
出力信号モニタ14は、方向性結合器31を介して合成器13から出力された出力信号の一部を取り出し、出力信号の出力レベル(振幅)を検出する。一方、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12におけるFM1、FM2の出力レベルは、出力信号調整部15から同期式第1変調器11、同期式第2変調器12の各々に向けて発せられる出力制御信号によって調整可能とされる。出力信号調整部15は、出力信号モニタ14によって検知された出力信号の出力レベルに基づき、出力信号の出力レベルが一定の範囲となるようにFM1、FM2の出力レベルを調整することができる。
【0024】
この際、出力信号調整部15は、FM1、FM2の出力レベルを変動させると共に出力信号の出力レベルを認識すれば、例えばFM1、FM2のうちの一方の出力レベルが異常に低い場合でも、他方の出力レベルを高めることによって、出力信号の出力レベルを一定の範囲とする操作を行うことができる。この場合、この操作が完了するまでには一定の時間を要し、その間には出力信号の出力レベルは変動するものの、この間においても出力信号に中断が発生することはない。また、出力信号調整部15によるこのようなFM1、FM2の出力レベルの調整は、送信装置1の外部から行なわれていてもよい。この際、例えば出力信号モニタは外部に設けられていてもよい。
【0025】
このように出力信号の出力レベルを一定にする操作を行うに際しては、出力信号調整部15は、例えば同期式第1変調器11、同期式第2変調器12のうちの一方に故障が発生した旨を直接的に認識する必要はない。これに対して、
図1における第1変調信号監視部16、第2変調信号監視部17は、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12に故障が発生した旨を直接認識する。この点について以下に説明する。
【0026】
前記の通り、ここではステレオ方式の音声信号が用いられる。周知のように、この音声信号は、例えば特開2007-103986号公報に記載されるように、実際には左側信号(L)、右側信号(R)を用い、L+R成分、L-R成分と19kHzのパイロット信号が合成されたコンポジット信号となり、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12においては、搬送波がこのコンポジット信号でFM変調される。この信号を受信した受信側においては、このパイロット信号を用いてL、Rを適正に再生することができる。このため、音声信号がステレオ方式のものであるという前提条件下では、FM1、FM2にはこのパイロット信号が必ず含まれる。
【0027】
ここで、第1変調信号監視部16には方向性結合器32を介してFM1の一部が、第2変調信号監視部17には方向性結合器33を介してFM2の一部が、それぞれ入力し、第1変調信号監視部16、第2変調信号監視部17は、これらにおけるパイロット信号の有無をチェックする。パイロット信号がFM1において認められなかった場合には、同期式第1変調器11は適正に動作していないと推定することができ、FM2(同期式第2変調器12)についても同様である。このように、FM1にパイロット信号が認められなかった場合には第1変調信号監視部16、FM2にパイロット信号が認められなかった場合には第2変調信号監視部17は、それぞれ制御部18に対してアラームを発する。
【0028】
制御部18は、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12の電力供給(オン・オフ)を制御するオンオフ制御信号を各々に対して出力する。このため、制御部18は、第1変調信号監視部16からアラームを受信した場合には同期式第1変調器11を、第2変調信号監視部17からアラームを受信した場合には同期式第2変調器12を、それぞれオフすることができる。
【0029】
一般的には、同期式第1変調器11が故障した場合にはFM1が発せられずに出力信号はFM2と等しくなり、同期式第2変調器12が故障した場合にはFM2が発せられずに出力信号はFM1と等しくなると考えられる。しかしながら、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12が故障してこれらから不適正な出力がFM1、FM2として発せられた場合には、この不適正な出力はノイズとなり、出力信号(FM1+FM2)も適正でなくなる。このため、FM1が適正でない場合には同期式第1変調器11を、FM2が適正でない場合には同期式第2変調器12を、それぞれオフすることが好ましい。制御部18は、このような動作を行うことができる。
【0030】
この動作において、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12のオフ時には出力信号の出力レベルは変動するものの、出力信号の中断は発生しない。また、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12のオフ後には、前記のような出力信号調整部15の動作によって、出力信号の出力レベルを適正な範囲とすることができる。すなわち、上記のような出力信号調整部15、第1変調信号監視部16、第2変調信号監視部17を用いることによって、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12のいずれかに故障が発生した場合でも、出力信号に中断を発生させることなく、かつ出力信号の出力レベルを一定の範囲内に維持することができる。
【0031】
図2は、比較対象となる従来の送信装置9の部分的な構成を
図1に対応させて示す。この送信装置9においては、上記の送信装置1と同様に独立した2つの通常のFM変調器である第1変調器91、第2変調器92がFM変調のために用いられ、これらにおいては、共通の音声信号が入力することによって、搬送波がFM変調されることによってFM信号(第1変調器91によりFM11、第2変調器92によってFM12)が生成される。ここでは、現用系として第1変調器91が用いられ、待機系として第2変調器92が用いられるものとする。前記の例とは異なり、第1変調器91、第2変調器92は同期した動作を行わない。
【0032】
また、第1変調器91、第2変調器92が共に自己診断機能を有し、自身に異常が発生した場合にはアラームを発すれば、制御部93は、外部からの指令やこのアラームに応じて切替器94を制御し、第1変調器91の出力FM11、第2変調器92からの出力FM12を選択して電力増幅器側に出力させることができる。この際、FM11、FM12のうち、選択されなかった側は終端器95に入力して消滅する。ここで、通常はFM11が選択されてFM12は終端器95に導かれ、制御部93は、第1変調器91からアラームが発せられたら、第2変調器92(FM12)を選択し、かつFM11を終端器95に導くように切替器94を切替制御する。
【0033】
図2の構成において、例えば第1変調器91からのアラームを制御部93が認識することによって切替器94を切り替える動作を行う場合には、ノイズ等の影響を避けるため、実際には一定時間以上のアラームの継続が認識された後でこの切替動作を開始する必要がある。また、切替器94の動作においても、切替の指令を制御部93が発してから切替後の信号が切替器94から発せられるまでにも一定の時間を要する。このため、切替動作が行われる際には、出力信号が中断する場合が多かった。
【0034】
これに対して、上記の送信装置1においては、独立した2つの通常のFM変調器である第1変調器91、第2変調器92の代わりに同期式第1変調器11、同期式第2変調器12を用い、かつ切替器94の代わりに合成器13を用いることによって、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12のいずれかに故障が発生した場合でも、これによって出力信号に中断が発生することはない。
【0035】
ただし、同期式第1変調器11、同期式第2変調器12のいずれかに故障が発生した場合には出力信号の出力レベルが変動するおそれがある。これに対しては、上記のように出力信号調整部15、第1変調信号監視部16、第2変調信号監視部17等を用いることによって、出力レベルを一定の範囲内にすることができる。
【0036】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0037】
この出願は、2021年5月10日に出願された日本出願特願2021-079438を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、FM変調器の故障に対する冗長性を有し、切替動作を要しない単純な構造の送信装置を得ることに適している。
【符号の説明】
【0039】
1、9 送信装置11 同期式第1変調器(同期式第1変調部)12 同期式第2変調器(同期式第2変調部)13 合成器(合成部)14 出力信号モニタ15 出力信号調整部16 第1変調信号監視部17 第2変調信号監視部18、93 制御部20 基準信号発生器31~33 方向性結合器91 第1変調器92 第2変調器94 切替器95 終端器