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特許7528374太陽電池及びその製造方法、太陽電池アセンブリと電力消費装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、太陽電池アセンブリと電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 39/10 20230101AFI20240729BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20240729BHJP
   H10K 30/85 20230101ALI20240729BHJP
   H10K 30/86 20230101ALI20240729BHJP
   H10K 30/80 20230101ALI20240729BHJP
   H10K 85/20 20230101ALI20240729BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20240729BHJP
   H10K 85/50 20230101ALI20240729BHJP
【FI】
H10K39/10
H10K30/40
H10K30/85
H10K30/86
H10K30/80
H10K85/20
H10K85/10
H10K85/50
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023534285
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2022073526
(87)【国際公開番号】W WO2023137756
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】王言芬
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼召▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】王燕▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼▲碩▼▲劍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼天▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】林▲維▼▲楽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼国▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】郭永▲勝▼
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112186056(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101419989(CN,A)
【文献】特開2001-185746(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103367483(CN,A)
【文献】Francesco Di Giacomo et al.,Upscaling Inverted Perovskite Solar Cells: Optimization of Laser Scribing for Highly Efficient Mini-Modules,Micromachines,2020年,Vol. 11,1127
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-39/38
H10K 85/10-85/20
H10K 85/50
H01L 31/02-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、基板と、前記基板に位置する複数の直列接続されたサブ電池とを含み、前記複数のサブ電池は、第1の方向に沿って順次設置され、ここで、前記第1の方向は、前記基板の輪郭軌跡に平行であり、前記第1の方向に沿って、前記基板の少なくとも一部の厚さが不均等である、太陽電池。
【請求項2】
複数の前記サブ電池は、いずれも発電エリアを含み、各前記発電エリアの、それ自体の厚さ方向に垂直な断面の面積が等しく、前記厚さ方向は、前記第1の方向に垂直である、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記サブ電池は、デッドエリアを含み、前記デッドエリアの延在方向、前記第1の方向と前記太陽電池の厚さ方向は、二つずつ垂直である、請求項1又は2に記載の太陽電池。
【請求項4】
記基板の、前記太陽電池の厚さ方向に垂直な断面の少なくとも一部は、不規則な形状であり、前記厚さ方向は、前記第1の方向に垂直である、請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記基板の、前記太陽電池の厚さ方向に垂直な断面は、円形又は楕円形であり、複数の前記サブ電池は、前記基板の周方向に沿って順次配置される、請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記基板の少なくとも一部は曲面構造である、請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記太陽電池は、抜き部を含み、且つ複数の前記サブ電池は、前記抜き部の外周を囲んで順次配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項8】
複数の前記サブ電池は、いずれも前記太陽電池の厚さ方向に沿って順に積層して設置された第1の電極層、光電変換アセンブリと第2の電極層を含み、前記第1の電極層は、前記基板と前記光電変換アセンブリとの間に設置され、且つ複数の前記サブ電池のうちの一つの前記サブ電池の前記第1の電極層は、もう一つの前記サブ電池の第2の電極層に電気的に接続されることで、複数の前記サブ電池を直列接続し、
前記太陽電池は、少なくとも前記抜き部内に位置する電極部を含み、且つ前記電極部は、そのうち一つの前記サブ電池の第2の電極層に接続される、請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記太陽電池は、第1の電極線を含み、前記第1の電極線は、前記電極部に接続される、請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記光電変換アセンブリは、前記サブ電池の厚さ方向に沿って順に積層して設置された第1の電荷輸送層、光電変換層と第2の電荷輸送層を含み、前記第1の電荷輸送層は、前記第1の電極層と前記光電変換層との間に位置し、
前記第1の電荷輸送層の材質は、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン]PTAA、(3,4-エチレンジオキシチオフェンモノマー)の重合体PEDOT、酸化ニッケルNiOx、CuIとCuOのうちの少なくとも一つを含み、及び/又は、
前記光電変換層の材質は、ABX構造に適合し、ここで、Aは、メチルアンモニウムMA、ホルムアミドFAとセシウムCsのうちの少なくとも一つを含み、Bは、鉛Pb、スズSnと銅Cuのうちの少なくとも一つを含み、Xは、臭素Br、塩素Clとヨウ素Iのうちの少なくとも一つを含み、及び/又は、
前記第2の電荷輸送層の材質は、C60、酸化スズSnO、フラーレン誘導体PCBMと酸化チタンTiOのうちの少なくとも一つを含む、請求項8又は9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1の電極層と前記第2の電極層の材質は、それぞれ独立して金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAl、透明導電性酸化物TCO又は炭素から選択される、請求項8~10のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の太陽電池を複数含む、太陽電池アセンブリ。
【請求項13】
電力消費装置であって、請求項12に記載の太陽電池アセンブリを含み、前記太陽電池アセンブリは、電気エネルギーを提供するためのものである、電力消費装置。
【請求項14】
太陽電池の製造方法であって、
第1の方向に沿って少なくとも一部の厚さが不均等である基板を提供することと、
前記基板の一側に下部電極を形成し、且つ前記下部電極の中心部分を除去することであって、前記下部電極は、前記太陽電池を複数のサブ電池に分割するように、前記第1の方向に沿って間隔を置いて設置された複数の第1の電極層を含み、前記第1の方向は、前記太陽電池の輪郭軌跡に平行であることと、
複数の前記サブ電池の前記第1の電極層の、前記基板から離反する表面に、光電変換アセンブリを形成することと、
前記光電変換アセンブリの、前記基板から離反する表面に、上部電極を形成することであって、前記上部電極は、間隔を置いて設置された複数の第2の電極層を含み、複数の前記サブ電池のうちの一つの前記サブ電池の前記第1の電極層は、もう一つの前記サブ電池の第2の電極層に電気的に接続されて、複数の前記サブ電池を電気的に接続するためのものであることとを含む、太陽電池の製造方法。
【請求項15】
抜き部に電極部を形成し、且つ電極部を、そのうち一つの前記サブ電池の第2の電極層に接続し、ここで、前記抜き部は、光電変換アセンブリと下部電極を貫通する、請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池生産の技術分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法、太陽電池アセンブリと電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する光電変換デバイスであり、優れた光電特性と簡単な製造方法を有し、太陽光発電に新たな空間と希望をもたらした。
【0003】
太陽電池の生産過程において、その光電変換効率をどのようにより向上させるかは、早急に解決が待たれる問題である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池の光電変換効率を向上させるための太陽電池及びその製造方法、太陽電池アセンブリと電力消費装置を提供することである。
【0005】
上記目的を実現するために、本出願の第1の態様の実施例は、太陽電池を提供し、該太陽電池は、基板と、基板に位置する複数の直列接続されたサブ電池とを含み、複数のサブ電池は、第1の方向に沿って順次設置され、ここで、第1の方向は、基板の輪郭軌跡に平行である。
【0006】
これにより、本出願の実施例の複数のサブ電池は、基板の輪郭軌跡に沿って順次配置されて太陽電池を形成し、太陽電池の適用範囲が広い。そして該構造の太陽電池は、デッドエリアの面積が小さく、直列抵抗が小さく、各サブ電池が出力する光電流を向上させ、さらに太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0007】
任意の実施形態では、複数のサブ電池は、いずれも発電エリアを含み、各発電エリアの、それ自体の厚さ方向に垂直な断面の面積が等しく、厚さ方向は、第1の方向に垂直である。
【0008】
これにより、各サブ電池が利用できる光子領域の面積は等しく、光に対する吸収能力と光に対する変換効率はほぼ等しく、各サブ電池が出力する光電流はほぼ一致するように維持され、そのうち一部のサブ電池による電流制限のリスクを低減させることができ、それによって太陽電池の光電変換効率を向上させることができ、且つサブ電池にホットスポット現象が発生するリスクを低減させることができ、それによって太陽電池のデバイスの安定性を向上させることができる。
【0009】
任意の実施形態では、サブ電池は、デッドエリアを含み、デッドエリアの延在方向、第1の方向と太陽電池の厚さ方向は、二つずつ垂直である。デッドエリアは、基板の輪郭から基板の幾何中心に延在し、デッドエリアの面積が小さく、サブ電池の直列抵抗を顕著に低減させ、サブ電池が出力する光電流を向上させ、さらに太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0010】
任意の実施形態では、第1の方向に沿って、基板の少なくとも一部の厚さが不均等であり、及び/又は、基板の、太陽電池の厚さ方向に垂直な断面の少なくとも一部は、不規則な形状であり、厚さ方向は、第1の方向に垂直である。複数のサブ電池は、基板の構造形式に応じて柔軟に設置することができ、それによって太陽電池適用範囲の拡張を実現する。
【0011】
任意の実施形態では、基板の、太陽電池の厚さ方向に垂直な断面は、円形又は楕円形であり、複数のサブ電池は、基板の周方向に沿って順次配置される。複数のサブ電池は、周方向に沿って順次配置され、円形又は楕円形の基板を十分利用して太陽電池を形成することができ、太陽電池の適用範囲は、より広くなる。
【0012】
任意の実施形態では、基板の少なくとも一部が曲面構造である。本出願の実施例では、曲面構造に複数のサブ電池を設置し、且つ複数のサブ電池は、基板の輪郭軌跡に沿って順次設置され、太陽電池の適用範囲が拡大される。
【0013】
任意の実施形態では、太陽電池は、抜き部を含み、且つ複数のサブ電池は、抜き部の外周を囲んで順次配置される。抜き部で各サブ電池を隔てて、各サブ電池の直接接触による短絡のリスクを低減させる。
【0014】
任意の実施形態では、複数のサブ電池は、いずれも太陽電池の厚さ方向に沿って順に積層して設置された第1の電極層、光電変換アセンブリと第2の電極層を含み、第1の電極層は、基板と光電変換アセンブリとの間に設置され、且つ複数のサブ電池のうちの一つのサブ電池の第1の電極層は、もう一つのサブ電池の第2の電極層に電気的に接続されることで、複数のサブ電池を直列接続し、太陽電池は、少なくとも抜き部内に位置する電極部を含み、且つ電極部は、そのうち一つのサブ電池の第2の電極層に接続される。
【0015】
これにより、本出願の実施例は、電極部をそのうち一つのサブ電池に接続することで、抜き部の空間を十分利用し、太陽電池に対して支持と補強の作用を果たすことができる一方、電極リード線を電極部に接続し、電極リード線の設置過程における他のサブ電池に対する影響を軽減することができる。
【0016】
任意の実施形態では、太陽電池は、第1の電極線を含み、第1の電極線は、電極部に接続される。第1の電極線を電極部上に設置することで、加工過程において第2の電極層に損傷をもたらすリスクを低減させることができる。例示的に、溶接などの方式を採用して第1の電極線を電極部に溶接する。
【0017】
任意の実施形態では、光電変換アセンブリは、サブ電池の厚さ方向に沿って順に積層して設置された第1の電荷輸送層、光電変換層と第2の電荷輸送層を含み、第1の電荷輸送層は、第1の電極層と光電変換層との間に位置する。
【0018】
第1の電荷輸送層の材質は、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン]PTAA、(3,4-エチレンジオキシチオフェンモノマー)の重合体PEDOT、酸化ニッケルNiOx、CuIとCuOのうちの少なくとも一つを含む。第1の電荷輸送層が第1の電極層と光電変換層との間に設置されることで、良好なオーミック接触を形成し、正孔を効果的に輸送し、界面でのキャリアの再結合を減少し、光電変換効率を向上させることができる。
【0019】
光電変換層の材質は、ABX構造に適合し、ここで、Aは、メチルアンモニウムMA、ホルムアミドFAとセシウムCsのうちの少なくとも一つを含み、Bは、鉛Pb、スズSnと銅Cuのうちの少なくとも一つを含み、Xは、臭素Br、塩素Clとヨウ素Iのうちの少なくとも一つを含む。光電変換層は、光子を吸収して光を電子と正孔に変換し、且つ内蔵電界の作用でそれぞれ第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層に輸送することができる。
【0020】
第2の電荷輸送層の材質は、C60、酸化スズSnO、フラーレン誘導体PCBMと酸化チタンTiOのうちの少なくとも一つを含む。光電変換層と第2の電極層との間に第2の電荷輸送層を設置することで、光電変換層と第2の電極層との間のエネルギー障壁を低下させ、電子の輸送に有利であり、電子輸送効率を向上させる一方、第2の電荷輸送層自体が電子輸送、正孔阻止、界面でのキャリアの再結合のリスクの低減に有利である。
【0021】
任意の実施形態では、第1の電極層と第2の電極層の材質は、それぞれ独立して金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAl、透明導電性酸化物TCO又は炭素から選択される。金属材質は、大量の自由電子を有し、その金属導電性が良好であり、透明導電材料は、導電性と透光性を有する。
【0022】
本出願の第2の態様は、太陽電池アセンブリを提供し、該太陽電池アセンブリは、本出願の第1の態様の実施例による太陽電池を複数含む。
【0023】
本出願の第3の態様は、電力消費装置を提供し、該電力消費装置は、本出願の第2の態様の実施例による太陽電池アセンブリを複数含む。
【0024】
本出願の第4の態様は、太陽電池の製造方法を提供し、該方法は、基板を提供することと、基板の一側に下部電極を形成し、且つ下部電極の中心部分を除去することであって、下部電極は、太陽電池を複数のサブ電池に分割するように、第1の方向に沿って間隔を置いて設置された複数の第1の電極層を含み、第1の方向は、太陽電池の輪郭軌跡に平行であることと、複数のサブ電池の第1の電極層の、基板から離反する表面に、光電変換アセンブリを形成することと、光電変換アセンブリの、基板から離反する表面に、上部電極を形成することであって、上部電極は、間隔を置いて設置された複数の第2の電極層を含み、複数のサブ電池のうちの一つのサブ電池の第1の電極層は、もう一つのサブ電池の第2の電極層に電気的に接続されて、複数のサブ電池を電気的に接続するためのものであることとを含む。
【0025】
任意の実施形態では、抜き部に電極部を形成し、且つ電極部を、そのうち一つのサブ電池の第2の電極層に接続し、ここで抜き部は、光電変換アセンブリと下部電極を貫通する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、図面を参照しながら本出願の例示的な実施例の特徴、利点と技術効果を説明する。
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
図2】本出願のいくつかの実施例による太陽電池アセンブリの概略的ブロック図である。
図3】本出願のいくつかの実施例による太陽電池の構造概略図である。
図4】本出願の別のいくつかの実施例による太陽電池の構造概略図である。
図5】本出願のいくつかの実施例による太陽電池の局所構造概略図である。
図6】本出願のいくつかの実施例による太陽電池製造のフローチャートである。
図7】本出願のいくつかの実施例による太陽電池製造プロセスのその一である。
図8図7の平面図である。
図9】本出願のいくつかの実施例による太陽電池製造プロセスのその二である。
図10図9の平面図である。
図11】本出願のいくつかの実施例による太陽電池製造プロセスのその三である。
図12図11の平面図である。
図13】本出願のまたいくつかの実施例による太陽電池の構造概略図である。
図14】本出願の別のいくつかの実施例による太陽電池製造のフローチャートである。
【0027】
図面は、実際の縮尺通りに描かれてはいない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面と実施例を参照して本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明と図面は、本出願の原理を例示的に説明するために使用されるが、本出願の範囲を限定するために使用されるべきではなく、即ち本出願は、説明された実施例に限定されない。
【0029】
本出願の記述において、指摘すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は、二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、本出願の限定として理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、暗示したりするものとして理解されるべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではないが、誤差の許容範囲内である。「平行」は、厳密な意味での平行ではないが、誤差の許容範囲内である。
【0030】
以下の説明に現れる方位詞は、いずれも図に示されている方向であり、本出願の特定の構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、明確に指定及び限定されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続されることであってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0031】
本出願の実施例では、太陽電池は、光起電力効果を理論的基礎とし、光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する光電変換デバイスである。太陽電池は、光電変換のための光電変換アセンブリと、輸送層と、電極層とを含む。光電変換アセンブリ、輸送層と電極層が異なる材料を採用しており、異なる材料の擬フェルミ準位の違いによって、光電変換デバイスの内部で内蔵電界が形成される。光電変換アセンブリを太陽電池の吸光材料とし、光電変換アセンブリは光子を吸収して電子-正孔ペアを生成し、自由キャリアに分離することができ、その後、生成した自由キャリアは内蔵電界の作用で反対方向にドリフトし、電子は負極に移動するが、正孔は正極に移動し、電子と正孔はそれぞれ異なる輸送層によって送出されて、さらに電極層に収集されることによって正負極間で電位差を形成し、電流を生成し、それにより光電変換プロセス全体が完了する。
【0032】
太陽電池の性能は、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクター、光電変換効率などによって反映することができる。
【0033】
短絡電流密度とは、太陽電池が短絡状態にあり、即ち両端の電圧がゼロであるときの電流密度を指し、短絡電流は、光生成キャリアの発生と収集に発生し、それは、太陽電池自体の光学特性、入射光源の周波数、界面の損失などに関係する。
【0034】
開放電圧とは、太陽電池の外部回路を流れる電流がゼロであり、回路が開放状態にあるときの、電池両端の電位差を指し、即ち開放電圧である。
【0035】
フィルファクターとは、太陽電池の最大パワーと、(短絡電流密度と開放電圧の積)との比の値を指す。太陽電池の直列抵抗が小さいほど、並列抵抗が大きくなり、これに応じてフィルファクターは高くなる。
【0036】
光電変換効率とは、太陽電池の最大パワー出力と、入射光パワーとの比率を指し、短絡電流密度、開放電圧とフィルファクターを調節することによって、太陽電池の光電変換効率を効果的に向上させることができる。例えば、太陽電池の分野において、光電変換効率を採用して太陽電池性能の良否を評価し、フィルファクターが大きいほど、光電変換効率は高くなり、太陽電池の性能もよくなる。
【0037】
面積の大きい太陽電池にとって、必要な電圧と電流出力を得るために、スクライブする方式によって複数のサブ電池を得る。例えば、レーザ又は機械的線引きの方式によって第1のスクライブ、第2のスクライブ、第3のスクライブを行うことにより、太陽電池の分割と電気的接続(例えば直列接続)を実現する。スクライブのプロセスフローは以下のとおりである。基板上に第1の電極層を形成し、スクライブして第1の抜き部を形成し、各サブ電池の分割を完了し、第1の電極層の、基板から離反する側に、光電変換アセンブリを形成し、スクライブして第2の抜き部を形成し、各サブ電池間の直列接続されるトレンチのスクライブを完了し、光電変換アセンブリの、基板から離反する側に、第2の電極層を形成し、スクライブして第3の抜き部を形成し、第2の電極層の分割を完了する。
【0038】
サブ電池は、発電エリアとデッドエリアを含む。デッドエリアは、隣接する二つのサブ電池の発電エリアの間、即ち第1の抜き部と第3の抜き部との間の領域に設置される。発電エリアは、光を効果的に利用して光電変換を実行できる領域を指し、例えば、各サブ電池の、光電変換を実行できる領域である。デッドエリアは、光を利用することができず、それにより光が無駄になる。デッドエリアに位置する第1の電極層と第2の電極層との間に接触抵抗が存在し、且つデッドエリアに位置する光電変換アセンブリ自体にも一定の抵抗があり、上記各抵抗は直列抵抗を構成し、直列抵抗が大きいほど、光電流は小さくなり、直列抵抗が小さいほど、光電流の値は小さくなる。そして、別の角度から見れば、フィルファクターと直列抵抗とは正の相関関係があるため、即ち、直列抵抗が大きいほど、フィルファクターの値は小さくなり、それにより光電変換効率は低くなるが、直列抵抗が小さいほど、フィルファクターの値は大きくなり、それにより光電変換効率は高くなる。
【0039】
発明者の発見によると、現在、太陽電池の基板は、ほぼ矩形構造であり、適用範囲が狭く、矩形構造の基板上において、光電変換効率を向上させるために、デッドエリアにおける第1の抜き部、第2の抜き部と第3の抜き部の寸法を減少することにより、デッドエリアの面積を縮小し、光のデッドエリアでの損失を減少することが考慮されている。しかし、プロセスに制限されて、デッドエリアの面積を限りなく小さくすることはできず、それによりデッドエリアの面積を顕著に減少することができず、光電変換効率を顕著に向上させることができない。
【0040】
これに鑑みて、本出願は、技術案を提供し、該技術案では、太陽電池は、基板と、基板に位置する複数の直列接続されたサブ電池とを含み、複数のサブ電池は、第1の方向に沿って順次設置され、ここで、第1の方向は、基板の輪郭軌跡に平行である。該構造を有する太陽電池は、その光電変換効率を顕著に向上させることができる。
【0041】
本出願の実施例で説明された技術案は、太陽電池を含む太陽電池アセンブリ及び太陽電池アセンブリを使用する電力消費装置に適する。
【0042】
電力消費装置は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、汽船、宇宙航空機、電動玩具や電動ツールなどであってもよい。車両は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルと宇宙船などを含み、電動玩具は、据置型又は移動型電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具、電気飛行機玩具などを含み、電動ツールは、金属切削電動ツール、研磨電動ツール、組み立て電動ツールと鉄道用電動ツール、例えば、電気ドリル、電気グラインダー、電気レンチ、電気ドライバー、電気ハンマ、ハンマードリル、コンクリート振動機、電気カンナなどを含む。本出願の実施例において、上記電力消費装置について特に制限しない。
【0043】
以下の実施例は、説明を容易にするために、電力消費機器が車両であることを例として説明する。
【0044】
図1に示すように、車両1の内部に太陽電池アセンブリ2が設置されており、太陽電池アセンブリ2は、車両1の頂部又は前部又は後部に設置されてもよい。太陽電池アセンブリ2は、車両1への給電に使用することができ、例えば、太陽電池アセンブリ2は、車両1の操作電源とすることができる。
【0045】
車両1は、コントローラ3と、モータ4とをさらに含んでもよく、コントローラ3は、太陽電池アセンブリ2がモータ4に給電し、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の作動電力需要に用いるように制御するためのものである。
【0046】
図2に示すように、太陽電池アセンブリ2は、太陽電池5を含む。太陽電池5は、一つであってもよいし、複数であってもよい。太陽電池5が複数であれば、複数の太陽電池5の間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続してもよい。直並列接続は、複数の太陽電池セル5に直列接続も並列接続も含まれることを指し、高い電圧と容量を提供することができる。
【0047】
図3に示すように、本出願の実施例は、太陽電池5を提供し、太陽電池5は、基板50と、基板50に位置する複数の直列接続されたサブ電池6とを含み、複数のサブ電池6は、第1の方向Xに沿って順次設置され、ここで、第1の方向Xは、基板50の輪郭軌跡に平行である。
【0048】
基板50は、キャリアベースとして、絶縁性を有し、基板50は、フレキシブル基板又はリジッド基板を採用することができる。リジッド基板は、ガラス基板を含んでもよく、フレキシブル基板は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene glycol terephthalate、PEI)又はポリイミド(Polyimide、PI)を含んでもよい。
【0049】
基板50の構造は、複数種の構造形式を有し、具体的には、基板50は、規則的な幾何構造、例えば円形構造、楕円形構造、多角形構造などであってもよく、ここで、多角形構造は、矩形構造、五角形構造、六角形構造などを含んでもよく、不規則な幾何構造であってもよく、例えば基板50は、一部が弧状構造で他の一部が多角形構造である非対称構造などである。そして基板50の厚さは、均等であってもよく、不均等であってもよく、基板50が円形構造であることを例にすると、基板50の厚さが均等であることは、基板50の表面が平面であることとして表され、基板50の厚さが不均等であることは、基板50の表面が曲面であることとして表される。無論、上記は、基板50についての例示的な説明に過ぎず、基板50の構造形式は、上記例に限定されない。
【0050】
基板50の輪郭軌跡は、基板50の外部輪郭の形状を指す。例示的に、基板50は、円形構造であり、基板50の輪郭軌跡は、円形構造の外周を指し、又は基板50は、矩形構造であり、基板50の輪郭軌跡は、矩形構造の外部輪郭、即ち矩形構造の四つの境界からなる輪郭を指す。
【0051】
サブ電池6は、光電変換機能を有するデバイスであり、電流を取り出すことができる。複数のサブ電池6同士の直列接続は、中間部材を介して複数のサブ電池6を直列に接続してもよく、無論、複数のサブ電池6の正負極を順に直接的に接続して直列接続を実現してもよく、正負極を順に直接的に接続することは、接続距離が短い条件下で、直列接続の確実性を向上させ、太陽電池5の性能安定性を確保することができる。
【0052】
複数のサブ電池6は、第1の方向Xに沿って順次配置され、即ち基板50の輪郭軌跡に沿って順次配置される。複数のサブ電池6は、ほぼ基板50のすべての表面を覆い、基板50の利用率が高い。隣接する二つのサブ電池6の間は、機械的に接続することにより、二つのサブ電池6の電気的接続を実現することができる。例示的に、複数のサブ電池6は第1の電池61と、第2の電池62と、第3の電池63と、第4の電池64とを含み、第1の電池61、第2の電池62、第3の電池63と第4の電池64は第1の方向Xに沿って順次配置され、第1の電池61と第2の電池62は直列に接続され、第2の電池62と第3の電池63は直列に接続され、第3の電池63と第4の電池64は直列に接続され、電子と正孔はそれぞれ第1の電池61と第4の電池64から取り出されて、電流を形成する。無論、複数のサブ電池6は、二つのサブ電池6、三つのサブ電池6、五つのサブ電池6などを含んでもよい。サブ電池6の数の設定は、基板50の構造形式に応じて柔軟に調整することができる。
【0053】
太陽電池5は、スクライブの方式によって複数のサブ電池6に分割され、分割して形成された各サブ電池6は、発電エリア6aとデッドエリア6bを含み、該構造の太陽電池5は、そのデッドエリア6bの面積が小さく、直列抵抗を低減させることができる。
【0054】
これにより、本出願の実施例の複数のサブ電池6は、基板50の輪郭軌跡に沿って順次配置されて太陽電池5を形成し、太陽電池5の適用範囲が広い。そして該構造の太陽電池5は、デッドエリア6bの面積が小さく、直列抵抗が小さく、各サブ電池6が出力する光電流を向上させ、さらに太陽電池5の光電変換効率を向上させることができる。
【0055】
いくつかの実施例では、複数のサブ電池6は、発電エリア6aを含み、各発電エリア6aの、それ自体の厚さ方向Yに垂直な断面の面積が等しく、厚さ方向Yは、第1の方向Xに垂直である。発電エリア6aは、サブ電池6の、光子を利用できる領域であり、各発電エリア6aの、それ自体の厚さ方向Yに垂直な断面の面積が等しく、換言すれば、各サブ電池6が利用できる光子領域の面積は等しく、光に対する吸収能力と光に対する変換効率はほぼ等しく、各サブ電池6が出力する光電流はほぼ一致するように維持され、そのうち一部のサブ電池6による電流制限のリスクを低減させることができ、それによって太陽電池5の光電変換効率を向上させることができ、且つサブ電池6にホットスポット現象が発生するリスクを低減させることができ、それによって太陽電池5のデバイスの安定性を向上させることができる。
【0056】
図3に示すように、いくつかの実施例では、サブ電池6は、デッドエリア6bを含み、デッドエリア6bの延在方向Z、第1の方向Xと太陽電池5の厚さ方向Yは、二つずつ垂直である。デッドエリア6bは、太陽電池5をスクライブして分割する過程で形成されるものである。デッドエリア6bは、基板50の輪郭から基板50の幾何中心に延在し、デッドエリア6bの面積が小さく、サブ電池6の直列抵抗を顕著に低減させ、サブ電池6が出力する光電流を向上させ、さらに太陽電池5の光電変換効率を向上させることができる。例示的に、基板50は、円形構造であり、デッドエリア6bの延在方向Zは、ほぼ円形構造の径方向に平行であり、デッドエリア6bが複数であるため、複数のデッドエリア6bの延在方向Zは、いずれも径方向にほぼ平行であるが、複数のデッドエリア6bの延在方向Zは、異なる径方向に平行である。第1の方向Xは、円形構造の周方向に平行であり、太陽電池5の厚さ方向Yは、円形構造の軸方向に平行であり、径方向、周方向と軸方向は、二つずつ垂直である。
【0057】
任意選択的に、各デッドエリア6bの、それ自体の厚さ方向Yに垂直な断面の面積は等しく、デッドエリア6bは、サブ電池6の、ほぼ光子を利用できない領域であり、デッドエリア6bは、主にサブ電池6の直列抵抗を構成する。各デッドエリア6bの、それ自体の厚さ方向Yに垂直な断面の面積を等しく設定することで、各サブ電池6の直列抵抗がほぼ同じであることを一定程度確保することができ、それによって、そのうち一部のサブ電池6による電流制限のリスクを低減させることもできる。
【0058】
いくつかの実施例では、第1の方向Xに沿って、基板50の少なくとも一部の厚さが不均等である。基板50の少なくとも一部が不均等であるというのは、基板50の一部の厚さが不均等であり、又は基板50のすべての厚さが不均等であることを指し、この場合、基板50の少なくとも一つの表面が曲面である。複数のサブ電池6は、基板50の構造形式に応じて柔軟に設置することができ、それによって太陽電池5適用範囲の拡張を実現する。
【0059】
いくつかの実施例では、基板50の、太陽電池5の厚さ方向Yに垂直な断面の少なくとも一部は、不規則な形状であり、厚さ方向Yは、第1の方向Xに垂直である。基板50の、厚さ方向に垂直な断面の少なくとも一部が不規則な形状であることは、基板50の、厚さ方向Yに垂直な断面の一部が不規則な形状であり、他の部分が規則的な形状であるか、又は基板50の、厚さ方向Yに垂直な断面のすべてが不規則な形状であることを指す。複数のサブ電池6は、基板50の構造形式に応じて柔軟に設置することができる。
【0060】
上記の、基板50の少なくとも一部の厚さが不均等であることと、基板50の、厚さ方向Yに垂直な断面の形状が不規則な形状であることは、二つずつ組み合わせる形式で同時に存在してもよく、単独に存在してもよい。例示的に、基板50の厚さは不均等であり、基板50の、厚さ方向Yに垂直な断面の形状は不規則な形状である。又は、基板50の厚さは不均等であり、基板50の、厚さ方向Yに垂直な断面の形状は規則的な形状の構造である。又は、基板50の厚さは均等であり、基板50の、厚さ方向Yに垂直な断面の形状は不規則な形状である。
【0061】
例示的に、基板50の、厚さ方向Yに垂直な断面は、円形又は楕円形であり、複数のサブ電池6は、基板50の周方向に沿って順次配置される。複数のサブ電池6は、周方向に沿って順次配置され、円形又は楕円形の基板50を十分利用して太陽電池5を形成することができ、太陽電池5の適用範囲は、より広くなる。
【0062】
いくつかの実施例では、基板50の少なくとも一部が曲面構造である。本出願の実施例では、曲面構造に複数のサブ電池6を設置し、且つ複数のサブ電池6は、基板50の輪郭軌跡に沿って順次設置され、太陽電池5の適用範囲が拡大される。曲面構造は、厚さが均等であるか、又は厚さが不均等である構造であってもよい。
【0063】
無論、基板50は、上記構造形式に加えて、厚さが均等で、基板50の、厚さ方向に垂直な断面の形状が規則的な形状である構造形式であってもよく、例えば基板50は、厚さが均一な円形構造である。
【0064】
図3に示すように、いくつかの実施例では、太陽電池5は、抜き部54をさらに含み、且つ複数のサブ電池6は、抜き部54の外周を囲んで順次配置される。抜き部54で各サブ電池6を隔てて、各サブ電池6の直接接触による短絡のリスクを低減させる。抜き部54内は、キャビティ構造であってもよく、又は絶縁材質が充填される。
【0065】
図4図5に示すように、任意選択的に、抜き部54内に電極部55を設置することができ、電極部55をそのうち一つのサブ電池6に接続することで、抜き部54の空間を十分利用し、太陽電池5に対して支持と補強の作用を果たすことができる一方、電極リード線を電極部55に接続し、電極リード線の設置過程における他のサブ電池6に対する影響を軽減することもできる。
【0066】
以下では、サブ電池6の構造について説明する。
【0067】
サブ電池6は、太陽電池5の厚さ方向Yに沿って順に積層して設置された第1の電極層51、光電変換アセンブリ52と第2の電極層53を含んでもよい。第1の電極層51は、基板50と光電変換アセンブリ52との間に設置され、且つ複数のサブ電池6のうちの一つのサブ電池6の第1の電極層51は、もう一つのサブ電池6の第2の電極層53に電気的に接続されることで、複数のサブ電池6を直列接続する。
【0068】
太陽電池5は、少なくとも抜き部54内に位置する電極部55を含み、且つ電極部55は、そのうち一つのサブ電池6の第2の電極層53に接続される。電極部55は、抜き部54の空間を十分利用し、デッドエリア6bの面積を減少することができ、且つ太陽電池5に対して支持と補強の作用を果たすことができる。
【0069】
引き続いて図4図5を参照すると、任意選択的に、太陽電池5は、第1の電極線56を含み、第1の電極線56は、電極部55に接続される。第1の電極線56により電極部55における電荷を取り出す。そして第1の電極線56を電極部55上に設置することで、加工過程において第2の電極層53に損傷をもたらすリスクを低減させることができる。例示的に、溶接などの方式を採用して第1の電極線56を電極部55に溶接する。
【0070】
無論、第1の電極線56を第2の電極層53に設置してもよく、第2の電極層53は、面積が大きく、エラー耐性が高い。
【0071】
第1の電極層51と第2の電極層53は、それぞれ光電変換アセンブリ52に電気的に接続するためのものであり、第1の電極層51は、正孔を収集するためのものであり、第2の電極層53は、電子を収集するためのものである。第1の電極層51と第2の電極層53は、同じ材質を採用してもよく、異なる材質を採用してもよい。例示的に、第1の電極層51と第2の電極層53は、いずれも金属材質を採用してもよく、又は、第1の電極層51が透明導電材料を採用し、第2の電極層53が金属材質などを採用してもよい。金属材質は、大量の自由電子を有し、その金属導電性が良好であり、透明導電材料は、導電性と透光性を有する。具体的には、第1の電極層51と第2の電極層53は、それぞれ独立して金Au、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAl、透明導電性酸化物(Transparent Conductive Oxide、TCO)又は炭素から選択される。ここで、TCOは、フッ素ドープ酸化スズ(FTO、SnO2:F)、酸化インジウムスズ(ITO、In:Sn)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO、ZnO:Al)又はアンチモンドープ酸化スズ(ATO、SnO:Sb)を含み、上記略語についてSnO:Fを例にして説明すると、SnO:Fは、フッ素Fをドープした酸化スズSnO2を表す。
【0072】
光電変換アセンブリ52は、サブ電池6のコアとなる機能層として、その主な作用が、外部の光を吸収してから、その内部で電子正孔ペアを形成できることであり、電子と正孔は、分離して取り出された後に、外部への出力に用いられる。例示的に、光電変換アセンブリ52は、ペロブスカイト光電変換アセンブリ52であってもよく、無論、他の光電変換アセンブリ、例えばテルル化亜鉛カドミウム光電変換アセンブリ、セレン化銅インジウムガリウム光電変換アセンブリなどであってもよい。
【0073】
光電変換アセンブリ52は、複数層の輸送層を含んでもよく、それぞれ電子と正孔の輸送に用いられ、当然ながら、光電変換アセンブリ52は、機能層をさらに含んでもよく、電子と正孔の輸送効率を向上させ、電子と正孔の再結合のリスクを低減させるためのものである。
【0074】
光電変換アセンブリ52は、サブ電池6の厚さ方向Yに沿って順に積層して設置された第1の電荷輸送層521、光電変換層522と第2の電荷輸送層523を含み、第1の電荷輸送層521は、第1の電極層51と光電変換層522との間に位置する。第1の電荷輸送層521は、正孔輸送層であり、第2の電荷輸送層523は、電子輸送層である。該太陽電池5は、それ自体の厚さ方向に沿って順次設置された基板50、第1の電極層51、第1の電荷輸送層521、光電変換層522、第2の電荷輸送層523と第2の電極層53を含む。
【0075】
第1の電荷輸送層521の材質は、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン]PTAA、(3,4-エチレンジオキシチオフェンモノマー)の重合体PEDOT、酸化ニッケルNiOx、CuIとCu2Oのうちの少なくとも一つを含む。第1の電荷輸送層521が第1の電極層51と光電変換層522との間に設置されることで、良好なオーミック接触を形成し、正孔を効果的に輸送し、界面でのキャリアの再結合を減少し、光電変換効率を向上させることができる。
【0076】
光電変換層522の材質は、ABX3結晶構造に適合し、ABX3結晶構造は、有機-無機ハイブリッドペロブスカイト材料の結晶構造であり、立方体又は八面体の構造を示す。ここで、Aは、メチルアンモニウムMA、ホルムアミドFAとセシウムCsのうちの少なくとも一つを含み、Bは、鉛Pb、スズSnと銅Cuのうちの少なくとも一つを含み、Xは、臭素Br、塩素Clとヨウ素Iのうちの少なくとも一つを含む。光電変換層522は、光子を吸収して光を電子と正孔に変換し、且つ内蔵電界の作用でそれぞれ第1の電荷輸送層521と第2の電荷輸送層523に輸送することができる。
【0077】
第2の電荷輸送層523の材質は、C60、酸化スズSnO、フラーレン誘導体PCBMと酸化チタンTiOのうちの少なくとも一つを含む。光電変換層522と第2の電極層53との間に第2の電荷輸送層523を設置することで、光電変換層522と第2の電極層53との間のエネルギー障壁を低下させ、電子の輸送に有利であり、電子輸送効率を向上させる一方、第2の電荷輸送層523自体が電子輸送、正孔阻止、界面でのキャリアの再結合のリスクの低減に有利である。
【0078】
太陽電池5が四つのサブ電池6を含むことを例にして、太陽電池5の作動原理を説明し、第1の電池61の第2の電極層53は、第2の電池62の第1の電極層51に接続され、第2の電池62の第2の電極層53は、第3の電池63の第1の電極層51に接続され、第3の電池63の第2の電極層53は、第4の電池64の第1の電極層51に接続される。第1の電池61の第2の電極層53は、電極部55に接続され、電極部55は、第1の電極線56に接続され、且つキャリアを輸送し、第4の電池64の第1の電極層51は、第2の電極線に接続され、且つキャリアを輸送する。第1の電池61と第4の電池64は、直列接続される頭尾の電池を構成する。
【0079】
図6に示すように、本出願の実施例は、太陽電池の製造方法をさらに提供し、該方法は、
基板を提供するS100と、
サブ電池を分割するS200とを含む。
【0080】
サブ電池を分割するステップS200は、具体的には、複数の直列接続されたサブ電池を第1の方向に沿って順次配置することであり、ここで、第1の方向は、基板の輪郭軌跡に平行である。本出願の実施例で製造された太陽電池は、太陽電池の光電変換効率を効果的に向上させることができる。
【0081】
ステップS200は、具体的には以下を含む。
【0082】
S210、ガラス基板の一側に下部電極を形成し、且つ下部電極の中心部分を除去し、下部電極は、太陽電池を複数のサブ電池に分割するように、第1の方向に沿って間隔を置いて設置された複数の第1の電極層を含み、第1の方向は、太陽電池の輪郭軌跡に平行である。
【0083】
図6から図8に示すように、基板50の表面に、マグネトロンスパッタリング又は化学方式によって下部電極、例えば透明電極を形成し、スクライブの方式によって下部電極を複数の第1の電極層51に分割することができ、複数の第1の電極層51の間の隙間は、第1の抜き部P1であり、該スクライブ方式は、レーザスクライブ、マスク又は露光方式を含んでもよい。
【0084】
下部電極の中心部分57を除去し、且つスクライブして第1の抜き部P1を形成することによって、複数の第1の電極層51同士を互いに隔て、隣接する第1の電極層51同士の直接接触による短絡のリスクを低減させる。下部電極の中心部分57と第1の抜き部P1に、絶縁物質を充填してもよく、絶縁物質を充填しなくてもよい。中心部分57は、下部電極の、半径を有する幾何中心領域を指す。
【0085】
太陽電池5が四つのサブ電池6を含むことを例にして、太陽電池5の製造過程を説明する。円形構造の基板50を例として説明する。FTO透明導電ガラスを提供し、基板50の円心をエッチングの円心とし、レーザビームを採用して半径を有する円形領域をエッチングし、該円形領域は、中心部分57を構成し、そして下部電極を90°でスクライブして、四つの第1の抜き部P1をスクライブし、四つの第1の抜き部P1の一端は円形領域のエッジに位置し、他端は基板50の外部エッジに位置し、且つ四つの第1の抜き部P1は、下部電極を四つの第1の電極層に分割し、これによって太陽電池を四つのサブ電池に分割することを実現する。
【0086】
S220、複数のサブ電池の第1の電極層の、基板から離反する表面に、光電変換アセンブリを形成する。
【0087】
図9図10に示すように、光電変換アセンブリ52は、それ自体の厚さ方向Yに沿って順に積層して設置された第1の電荷輸送層521(正孔輸送層)、光電変換層522と第2の電荷輸送層523(電子輸送層)を含む。
【0088】
第1の電極層51の、基板50から離反する表面に、マグネトロンスパッタリング、化学堆積、原子層堆積ALD又は塗覆方式によって第1の電荷輸送層521を形成し、第1の抜き部P1に絶縁材料を充填してもよく、無論、直接第1の電荷輸送層521の材質として設置してもよい。
【0089】
第1の電荷輸送層521の、基板から離反する表面50に、塗布、スプレーコート、スピンコート、蒸着又は化学堆積方式によって光電変換層522を形成する。
【0090】
光電変換層522の、基板50から離反する表面に、マグネトロンスパッタリング、化学堆積、原子層堆積ALD又は塗覆方式によって第2の電荷輸送層523を形成する。
【0091】
レーザスクライブ、マスク又は露光方式を採用してスクライブを行うことによって、第1の電荷輸送層521、光電変換層522と第2の電荷輸送層523に、第1の電荷輸送層521、光電変換層522と第2の電荷輸送層523を貫通する第2の抜き部P2を形成する。
【0092】
太陽電池5は、順に直列接続された第1の電池、第2の電池、第3の電池と第4の電池を含み、第1の電池と第4の電池は、直列接続される頭尾の電池を構成する。第1の電池の第2の電極層は、第1の電極リード線に接続され、第4の電池の第1の電極層51は、第2の電極線に接続され、第1の電池と第4の電池の間は、直列接続する必要がない。第1の電池と第4の電池の直列接続により四つの電池が直接接続されて短絡するリスクを低減させるために、第2の抜き部P2をスクライブして形成するとき、第1の電池は、第2の抜き部P2を含まなくてもよく、又は第1の電池の第2の抜き部P2に絶縁材質を設置する。
【0093】
S230、光電変換アセンブリの、基板から離反する表面に、上部電極を形成し、上部電極は、間隔を置いて設置された複数の第2の電極層を含み、複数のサブ電池のうちの一つのサブ電池の第1の電極層は、もう一つのサブ電池の第2の電極層に電気的に接続されて、複数のサブ電池を電気的に接続するためのものである。
【0094】
図11から図13に示すように、第2の抜き部P2内と、光電変換アセンブリ52の、基板50から離反する表面に、マグネトロンスパッタリング、化学堆積、原子層堆積ALD又は塗覆方式によって上部電極、例えば金属電極を形成し、第2の抜き部P2内に位置する金属電極は、隣接するサブ電池6の直列接続を実現する。
【0095】
レーザスクライブ、マスク又は露光方式を採用してスクライブすることによって、金属電極、光電変換アセンブリ52に第3の抜き部P3を形成し、上部電極を複数の第2の電極層53に分割し、且つレーザビームを採用して、円心位置において各第2の電極層53を完全に分割することができる。図13では、デッドエリアの構造形式が示されている。
【0096】
図14に示すように、いくつかの実施例では、以下をさらに含む。
【0097】
S300、抜き部に電極部を形成し、且つ電極部を、そのうち一つのサブ電池の第2の電極層に接続し、ここで、抜き部は、光電変換アセンブリと下部電極を貫通する。
【0098】
各サブ電池を隔てるために、上部電極を形成する前に、抜き部を形成するステップをさらに含んでもよく、抜き部は、光電変換アセンブリと下部電極を貫通し、そして光電変換アセンブリの、基板から離反する表面に、上部電極を形成する。
【0099】
抜き部は、空白で、絶縁材質を充填しなくてもよく、絶縁材質を充填してもよい。上部電極の材質を充填してもよいが、この場合、電極部の材質と上部電極の材質は同じであり、且つそのうち一つのサブ電池の第2の電極層に接続される。
【0100】
抜き部に電極部を形成することで、抜き部の空間を十分利用し、デッドエリアの面積を減少し、太陽電池に対して支持と補強の作用を果たすことができる一方、電極リード線を電極部に接続し、電極リード線の設置過程における他のサブ電池に対する影響を軽減することができる。
【0101】
上記ステップを基礎として、さらに導電性テープによる接着、超音波溶接、レーザ溶接又はソルダーペーストによって第1の電極線と第2の電極線を溶接することができ、第1の電極線と第2の電極線は、外部へ出力する電極を構成する。第1の電極線は、電極部に接続されてもよく、又は第1の電池の第2の電極層に接続され、第1の電極線により第1の電池の第2の電極層で収集されたキャリアを取り出してもよい。第2の電極線は、第4の電池の第1の電極層に接続されてもよく、第2の電極線は、第4の電池の第1の電極層で収集された電流を取り出すためのものである。
【0102】
第4の電池の第1の電極層と第2の電極線を容易に接続するために、第4の電池の光電変換アセンブリと第2の電極層のエッジを部分的に除去して、第1の電極層を露出させることができる。
【0103】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改善を行うことができ、そのうちの部材を同等のものに置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる全ての技術案を含む。
【符号の説明】
【0104】
X、第1の方向、Y、厚さ方向、Z、延在方向、
P1、第1の抜き部、P2、第2の抜き部、P3、第3の抜き部、
1、車両、2、太陽電池アセンブリ、3、コントローラ、4、モータ、
5、太陽電池、
50、基板、
51、第1の電極層、
52、光電変換アセンブリ、521、第1の電荷輸送層、522、光電変換層、523、第2の電荷輸送層、
53、第2の電極層、
54、抜き部、
55、電極部、
56、第1の電極線、
57、中心部分、
6、サブ電池、6a、発電エリア、6b、デッドエリア、61、第1の電池、62、第2の電池、63、第3の電池、64、第4の電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14