(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01S 11/06 20060101AFI20240729BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20240729BHJP
G01V 3/12 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01S11/06
G01S5/02 Z
G01V3/12
(21)【出願番号】P 2023547368
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 IB2022051303
(87)【国際公開番号】W WO2022172247
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-10-13
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318010214
【氏名又は名称】コグニティヴ システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベグ,クリス
(72)【発明者】
【氏名】オマル,モハマド
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-503072(JP,A)
【文献】特開2019-148428(JP,A)
【文献】特開2019-138645(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216088(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/229441(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108387940(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
G01V 1/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Wi-Fiセンシングのために構成されたシステムであって、
少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサとを含むセンシングイニシエータを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記少なくとも1つの伝送アンテナに、要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを伝送させることであって、前記要求された伝送構成は、センシング空間上で動きセンシング測定を行うために構成される、センシング伝送のための要求された伝送パラメータを含むことと、
前記少なくとも1つの受信アンテナを介して、前記要求された伝送構成に従った前記センシング伝送をセンシングレスポンダから受信することと、
前記要求された伝送構成に従って伝送された前記センシング伝送に基づいて、前記センシング空間における存在又は動きを示すセンシング測定を生成することと、
を行うための命令を実行するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記センシングトリガメッセージは、構成クエリ指示を含み、
前記センシング伝送は、前記センシング伝送に対応する配信された伝送構成を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センシング伝送は、データ要素を含まず、センシング測定を行うために使用される訓練フィールドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記センシング伝送は、データ要素、及びセンシング測定を行うために使用される訓練フィールドを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記センシング伝送は、センシングレスポンダに関連付けられており、前記センシングレスポンダによって伝送される前記センシング伝送の構成に対応する配信された伝送構成を含み、
前記配信された伝送構成は、前記要求された伝送構成に等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記センシングトリガメッセージは、センシングレスポンダの1つ以上のアンテナ要素を構成するためのステアリング行列構成を含み、
前記センシングレスポンダから受信される前記センシング伝送は、前記ステアリング行列構成に従う、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記要求された伝送構成は、前記センシング伝送のための要求されたパラメータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記要求された伝送構成は、センシング測定インスタンスのための要求されたパラメータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記センシングトリガメッセージは、センシングレスポンダからの前記センシング伝送をトリガするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記センシング伝送を受信する前に、前記少なくとも1つの受信アンテナを介してセンシング応答告知を受信するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
Wi-Fiセンシングのために構成されたシステムであって、
少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサとを含むセンシングレスポンダを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
センシング空間上で動きセンシング測定を行うために構成されるセンシング伝送のための要求された伝送パラメータを含む要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを受信することと、
前記センシングレスポンダに関連付けられた伝送能力が前記要求された伝送構成に対応すると判定することと、
前記要求された伝送構成に従った前記センシング伝送を送信することであって、前記センシング伝送は、前記センシング空間における存在又は動きを示すセンシング測定の生成を可能にするように構成されていることと、
を行うための命令を実行するように構成されている、システム。
【請求項12】
前記センシングレスポンダは、前記センシングトリガメッセージに応答して、前記要求された伝送構成に従って追加のセンシング伝送を伝送するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記センシングトリガメッセージは、センシングイニシエータによって前記センシングレスポンダに送信される第1のアクション管理フレームで搬送され、
前記センシング伝送は、前記センシングレスポンダによって前記センシングイニシエータに送信される第2のアクション管理フレームで搬送される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記要求された伝送構成は、前記センシング伝送のための要求されたパラメータを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記要求された伝送構成は、前記少なくとも1つの伝送アンテナを構成するためのステアリング行列構成を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記センシングトリガメッセージに応答して前記センシング伝送を伝送するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記センシング伝送を送信する前に、前記少なくとも1つの伝送アンテナを介してセンシング応答告知を送信するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
Wi-Fiセンシングのための方法であって、
センシングイニシエータの少なくとも1つの伝送アンテナを介して、センシング空間上で動きセンシング測定を行うために構成されるセンシング伝送のための要求された伝送パラメータを含む要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを伝送することと、
前記センシングイニシエータの少なくとも1つの受信アンテナを介して、前記要求された伝送構成に従った前記センシング伝送をセンシングレスポンダから受信することと、
前記要求された伝送構成に従って伝送された前記センシング伝送に基づいて、前記センシング空間における存在又は動きを示すセンシング測定を生成することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記センシングトリガメッセージは、構成クエリ指示を含み、前記センシング伝送は、前記センシング伝送に対応する配信された伝送構成を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記センシング伝送は、データ要素を含まず、センシング測定を行うために使用される訓練フィールドを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記センシング伝送は、データ要素、及びセンシング測定を行うために使用される訓練フィールドを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記センシング伝送は、センシングレスポンダに関連付けられており、前記センシングレスポンダによって伝送される前記センシング伝送の構成に対応する配信された伝送構成を含み、
前記配信された伝送構成は、前記要求された伝送構成に等しい、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記センシングトリガメッセージは、センシングレスポンダの1つ以上のアンテナ要素を構成するためのステアリング行列構成を含み、
前記センシングレスポンダから受信される前記センシング伝送は、前記ステアリング行列構成に従う、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記要求された伝送構成は、前記センシング伝送のための要求されたパラメータを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記要求された伝送構成は、センシング測定インスタンスのための要求されたパラメータを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記センシングトリガメッセージは、センシングレスポンダからの前記センシング伝送をトリガするように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記センシング伝送を受信する前に、前記少なくとも1つの受信アンテナを介してセンシング応答告知を受信することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
Wi-Fiセンシングのために構成された方法であって、
センシングレスポンダの少なくとも1つの受信アンテナを介して、センシング空間上で動きセンシング測定を行うために構成されるセンシング伝送のための要求された伝送パラメータを含む要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを受信することと、
前記センシングレスポンダの少なくとも1つのプロセッサによって、前記センシングレスポンダに関連付けられた伝送能力が前記要求された伝送構成に対応すると判定することと、
前記センシングレスポンダの少なくとも1つの伝送アンテナを介して、前記要求された伝送構成に従った前記センシング伝送を送信することであって、前記センシング伝送は、センシング空間における存在又は動きを示すセンシング測定の生成を可能にするように構成されている、前記センシング伝送を送信することと、を含む、方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの伝送アンテナによって、前記センシングトリガメッセージに応答して、前記要求された伝送構成に従って追加のセンシング伝送を伝送することを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記センシングトリガメッセージは、センシングイニシエータによって前記センシングレスポンダに送信される第1のアクション管理フレームで搬送され、
前記センシング伝送は、前記センシングイニシエータに送信される第2のアクション管理フレームで搬送される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記要求された伝送構成は、前記少なくとも1つの伝送アンテナを構成するためのステアリング行列構成を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記要求された伝送構成は、センシング測定インスタンスのための要求されたパラメータを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記センシング伝送は、前記センシングトリガメッセージに応答して伝送される、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記センシング伝送を送信する前に、前記少なくとも1つの伝送アンテナを介してセンシング応答告知を伝送することを更に含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、オーバーヘッド及びWi-Fiシステム性能への影響を最小限に抑えながらWi-Fiセンシングを実施するようにWi-Fiシステムを構成することに関する。
【背景技術】
【0002】
動き検出システムは、例えば、部屋又は屋外エリア内の物体の移動を検出するために使用されている。一部の例示的な動き検出システムでは、赤外線センサ又は光学センサが、センサの視野内の物体の移動を検出するために使用されている。動き検出システムは、セキュリティシステム、自動制御システム、及び他のタイプのシステムにおいて使用されている。Wi-Fiセンシングシステムは、動き検出システムに最近追加されたものの1つである。本明細書で提示される実施形態の態様は、Wi-Fiセンシングシステムを改善することを提供する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、概して、Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、オーバーヘッド及びWi-Fiシステム性能への影響を最小限に抑えながらWi-Fiセンシングを実施するようにWi-Fiシステムを構成することに関する。
【0004】
Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法が提供される。例示的な実施形態では、Wi-Fiセンシングのために構成されたシステムが説明される。システムは、センシングデバイスを含み得る。更に、センシングデバイスは、伝送アンテナと、受信アンテナと、プロセッサとを含み得る。プロセッサは、伝送アンテナにセンシング構成メッセージを伝送させるように構成され得る。更に、プロセッサは、受信アンテナを介して、センシング構成応答メッセージを受信することができる。
【0005】
一部の実装形態では、センシング構成メッセージは構成クエリ指示を含み得、センシング構成応答メッセージは、リモートデバイスに関連付けられた伝送能力指示を含み得る。
【0006】
一部の実装形態では、センシング構成メッセージは、いかなるデータ要素も含まなくてもよい。
【0007】
一部の実装形態では、センシング構成メッセージは、データ要素を含んでもよい。
【0008】
一部の実装形態では、センシング構成メッセージは、センシング伝送の要件に対応する要求された伝送構成を含み得、センシング構成応答メッセージは、リモートデバイスに関連付けられた伝送能力に対応する配信された伝送構成を含み得る。
【0009】
例示的な実施形態では、Wi-Fiセンシングのために構成されたシステムが説明される。システムは、リモートデバイスを含み得る。更に、リモートデバイスは、伝送アンテナと、受信アンテナと、プロセッサとを含み得る。プロセッサは、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージを受信し、リモートデバイスに関連付けられた伝送能力が要求された伝送構成に対応すると判定し、配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージを送信するように構成され得る。一部の実施形態では、配信された伝送構成は、要求された伝送構成に一致する。一部の実施形態では、配信された伝送構成は、要求された伝送構成と一致しない。一部の実施形態では、アンテナを使用して、半二重フォーマットで信号を伝送及び受信の両方を行うことができる。アンテナが伝送を行っているとき、該アンテナは伝送アンテナと称されることがあり、アンテナが受信を行っているとき、該アンテナは受信アンテナと称されることがある。
【0010】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、要求された伝送構成がセンシングトリガ中に含まれない場合、要求された伝送構成に従って1つ以上のセンシング伝送を伝送するように更に構成され得る。
【0011】
一部の実装形態では、伝送されたセンシング構成メッセージは、インデックスによって識別可能な1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含み得、受信されたセンシング構成応答メッセージは、リモートデバイスと関連付けられたステアリング行列構成肯定応答を含み得る。
【0012】
一部の実装形態では、センシング構成要求は、センシングデバイスによってリモートデバイスに伝送される第1のアクション管理フレーム内で搬送され、センシング構成応答は、センシングデバイスに伝送される第2のアクション管理フレーム内で搬送される。
【0013】
更に別の例示的な実施形態では、Wi-Fiセンシングのために構成されたシステムが説明される。システムは、伝送アンテナと、受信アンテナと、プロセッサとを含むセンシングデバイスを含み得る。プロセッサは、伝送アンテナに、センシングトリガメッセージを伝送させ、受信アンテナを介して、センシングトリガメッセージに応答して伝送されたセンシング伝送を受信させるように構成され得る。一部の実施形態では、アンテナを使用して、半二重フォーマットで信号を伝送及び受信の両方を行うことができる。アンテナが伝送を行っているとき、該アンテナは伝送アンテナと称されることがあり、アンテナが受信を行っているとき、該アンテナは受信アンテナと称されることがある。
【0014】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、リモートデバイス伝送能力を超えない要求された伝送構成を含み得る。
【0015】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、センシング伝送のための要求されたタイミング構成を含み得、受信されたセンシング伝送は、センシングトリガメッセージに応答して、要求されたタイミング構成に従って伝送される。
【0016】
一部の実装形態では、要求されたタイミング構成は、リモートデバイスからセンシングデバイスへの一連のセンシング伝送を含む測定キャンペーンのためのタイミング要件を示すことができる。
【0017】
一部の実装形態では、プロセッサは、センシングトリガメッセージに応答してリモートデバイスからセンシング伝送を受信し、受信されたセンシング伝送に対してセンシング測定を実施するように更に構成され得る。
【0018】
更に別の例示的な実施形態では、Wi-fiセンシングのためのシステムが説明される。システムは、リモートデバイスを含み得る。更に、リモートデバイスは、伝送アンテナと、受信アンテナと、プロセッサとを含み得る。プロセッサは、受信アンテナに、センシングトリガメッセージを受信させ、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、伝送アンテナを介してセンシング応答メッセージを伝送させるように構成され得る。
【0019】
更に別の例示的な実施形態では、Wi-Fiセンシングのためのシステムが説明される。システムは、リモートデバイスを含み得る。更に、リモートデバイスは、伝送アンテナと、受信アンテナと、プロセッサとを含み得る。プロセッサは、受信アンテナに、センシングトリガメッセージを受信させ、伝送アンテナを介して、センシングトリガメッセージを受信したことに応答してセンシング応答告知を伝送させ、伝送アンテナを介して、センシング応答NDPを伝送させるように構成され得る。
【0020】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成を更に含み得る。
【0021】
一部の実装形態では、要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを受信したことに応答して、配信された伝送構成がセンシング応答メッセージ中に含まれ得る。
【0022】
一部の実装形態では、センシング応答メッセージの配信の前に、配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータがリモートデバイスに適用され得る。
【0023】
一部の実装形態では、要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを受信したことに応答して、配信された伝送構成がセンシング応答告知中に含まれ得る。
【0024】
一部の実装形態では、配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータは、センシング応答NDPの伝送より前にリモートデバイスに適用され得る。
【0025】
一部の実装形態では、センシング測定は、受信されたセンシング伝送の訓練フィールドに対して実施され得る。
【0026】
一部の実装形態では、受信されたセンシング伝送は、センシング応答NDP又はセンシング応答メッセージのうちの1つを含み得る。
【0027】
一部の実装形態では、受信されたセンシング伝送は、配信された伝送構成を含み得る。
【0028】
一部の実装形態では、センシングデバイスがセンシング伝送を受信する前に、センシングデバイスは、センシング応答告知を受信し得る。
【0029】
一部の実装形態では、センシング応答告知は、配信された伝送構成を含み得る。
【0030】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、要求された伝送構成がデータ転送をサポートするときにセンシング応答メッセージを生成し、要求された伝送構成がデータ転送をサポートしないときにセンシング応答告知を生成するように更に構成され得る。
【0031】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、要求されたタイミング構成に従って一連のセンシング伝送を伝送するように更に構成され得る。
【0032】
一部の実装形態では、要求されたタイミング構成に従って構成された一連のセンシング伝送は周期的であり得る。
【0033】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、要求されたタイミング構成が満たされたとき、又は新しいセンシングトリガメッセージが受信されたとき、一連のセンシング伝送を停止するように更に構成され得る。
【0034】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成内のステアリング行列構成を含み得る。
【0035】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成内の1つ以上の事前構成されたステアリング行列構成へのインデックスを含み得る。
【0036】
一部の実装形態では、要求された伝送構成は、デフォルトの事前構成されたステアリング行列構成を示すことができる。
【0037】
一部の実装形態では、プロセッサは、キューイングされた非センシングメッセージがセンシングデバイスに存在するかどうかを判定し、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在すると判定したことに応答して、センシングトリガメッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在しないと判定したことに応答して、センシングトリガメッセージを専用センシングトリガメッセージとして準備するように更に構成され得る。
【0038】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、集約されたMPDUを使用して、キューイングされた非センシングメッセージとともに組み込まれ得る。
【0039】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、マルチトラフィックID集約MPDUを使用して、キューイングされた非センシングメッセージとともに組み込まれ得る。
【0040】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、組み込まれたメッセージ中に第1のフレームとして含まれ得る。
【0041】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、要求されたタイミング構成を更に含み得る。
【0042】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、キューイングされた非センシングメッセージが存在するかどうかを判定し、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在すると判定したことに応答して、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在しないと判定したことに応答して、センシング応答メッセージを専用伝送として準備するように更に構成され得る。
【0043】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、キューイングされた非センシングメッセージが存在するかどうかを判定し、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在すると判定したことに応答して、センシング応答告知をキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在しないと判定したことに応答して、センシング応答告知を専用伝送として準備するように更に構成され得る。
【0044】
一部の実装形態では、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知は、集約されたMPDUを使用して、キューイングされた非センシングメッセージとともに組み込まれ得る。
【0045】
一部の実装形態では、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知は、マルチトラフィックID集約MPDUを使用して、キューイングされた非センシングメッセージとともに組み込まれ得る。
【0046】
一部の実装形態では、センシング応答告知は、組み込まれたメッセージ中に第1のフレームとして含まれ得る。
【0047】
一部の実装形態では、センシング伝送は、受信されたタイミング構成に従って伝送され得る。
【0048】
一部の実装形態では、ステアリング行列構成は、リモートデバイスの空間マッパによってセンシング伝送に適用される複数のビームフォーミング重みを記述することができる。
【0049】
一部の実装形態では、1つ以上のステアリング行列構成は各々、リモートデバイスの空間マッパによってセンシング伝送に適用される複数のビームフォーミング重みを記述することができる。
【0050】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成としての1つ以上の事前構成されたステアリング行列構成の選択を含み得る。
【0051】
一部の実装形態では、センシングトリガメッセージは、要求されたタイミング構成を更に含み得る。
【0052】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、リモートデバイスに存在するキューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合するかどうかを判定し、キューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合すると判定したことに応答して、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、組み込まれたメッセージを送信するように更に構成され得る。
【0053】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、リモートデバイスに存在するキューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合しているかどうかを判定し、キューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合していないと判定したことに応答して、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、組み込まれたメッセージのタイミングを要求されたタイミング構成に適合するように調整し、組み込まれたメッセージを送信するように更に構成され得る。
【0054】
一部の実装形態では、リモートデバイスは、リモートデバイスに存在するキューイングされた非センシングメッセージが要求された伝送構成に適合するかどうかを判定し、キューイングされた非センシングメッセージが要求された伝送構成に適合しないと判定したことに応答して、キューイングされた非センシングメッセージにセンシング応答告知を組み込み、組み込まれたメッセージを送信するように更に構成され得る。
【0055】
一部の実装形態では、プロセッサは、センシング伝送の配信された伝送構成を識別し、配信された伝送構成及びセンシング伝送に従ってセンシング測定値を計算するように更に構成され得る。
【0056】
一部の実装形態では、プロセッサは、伝送構成としてセンシング伝送中に含まれる配信された伝送構成を識別するように更に構成され得る。
【0057】
一部の実装形態では、プロセッサは、センシング伝送が配信された伝送構成を含まないと判定することと、判定に応答してデフォルト伝送構成を伝送構成として識別することと、を行うように更に構成され得る。
【0058】
一部の実装形態では、プロセッサは、センシング応答告知に続いてセンシング応答NDPを受信するように更に構成され得る。
【0059】
更なる実装形態では、Wi-Fiセンシングのための方法が提供される。方法は、センシングデバイスの少なくとも1つの伝送アンテナを介して、センシング構成メッセージを伝送することと、センシングデバイスの少なくとも1つの受信アンテナを介して、センシング構成応答メッセージを受信することと、を含む。
【0060】
更なる実装形態では、Wi-Fiセンシングのために構成された方法が提供される。方法は、リモートデバイスの受信アンテナを介して、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージを受信することと、リモートデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって、リモートデバイスと関連付けられた伝送能力が要求された伝送構成に対応すると判定することと、リモートデバイスの伝送アンテナを介して、配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージを伝送することと、を含む。一部の実施形態では、配信された伝送構成は、要求された伝送構成に一致する。一部の実施形態では、配信された伝送構成は、要求された伝送構成と一致しない。
【0061】
更なる実装形態では、Wi-Fiセンシングのための方法が提供される。方法は、センシングデバイスの少なくとも1つの伝送アンテナによって、センシングトリガメッセージを伝送することと、センシングデバイスの少なくとも1つの受信アンテナを介して、センシングトリガメッセージに応答して伝送された、配信された伝送構成を含むセンシング応答告知を受信することと、少なくとも1つの受信アンテナを介して、センシング応答告知に続くセンシング応答NDPを受信することと、を含む。
【0062】
更なる実装形態では、Wi-Fiセンシングのための方法が提供される。方法は、リモートデバイスの少なくとも1つの受信アンテナによって、センシングトリガメッセージを受信することと、リモートデバイスの少なくとも1つの伝送アンテナを介して、センシングトリガメッセージの受信に応答して、センシング応答メッセージを伝送することと、を含む。
【0063】
更なる実装形態では、Wi-Fiセンシングのための方法が提供される。方法は、リモートデバイスの少なくとも1つの受信アンテナによって、センシングトリガメッセージを受信することと、リモートデバイスの少なくとも1つの伝送アンテナによって、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、センシング応答告知を伝送することと、少なくとも1つの伝送アンテナを介して、センシング応答NDPを伝送することと、を含む。
【0064】
本開示の他の態様及び利点は、本開示の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本開示の上記及び他の目的、態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって、より明らかになり、よりよく理解されるであろう。
【0066】
【
図1】例示的なワイヤレス通信システムを示す図である。
【
図2A-2B】ワイヤレス通信デバイス間で通信される例示的なワイヤレス信号を示す図である。
【
図3A-3B】
図2A及び
図2Bのワイヤレス通信デバイス間で通信されたワイヤレス信号から計算されたチャネル応答の例を示すプロットである。
【
図4A-4B】空間の別個の領域における物体の動きに関連付けられた例示的なチャネル応答を示す図である。
【
図4C-4D】空間内で動きが発生していないことに関連付けられた例示的なチャネル応答上にオーバーレイされた
図4A及び
図4Bの例示的なチャネル応答を示すプロットである。
【
図5】一部の実施形態による、Wi-Fiセンシングのためのシステムの実装形態のアーキテクチャのうちの一部の実装形態を示す。
【
図6】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答した一連のセンシング応答メッセージの伝送のためのシーケンス図を示す。
【
図7】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答した一連のセンシング応答告知及びセンシング応答NDPの伝送のためのシーケンス図を示す。
【
図8A】一部の実施形態による、集約媒体アクセス制御(MAC)層プロトコルデータユニット(A-MPDU)フレームの構造を示す。
【
図8B】一部の実施形態による、A-MPDUサブフレームの構造を示す。
【
図9】一部の実施形態による、センシング伝送を搬送する管理フレームを示す。
【
図10A-10B】一部の実施形態による、周期的な測定構成フィールドを示す。
【
図11】一部の実施形態による、測定キャンペーンのためにリモートデバイスを構成するためのフローチャートを示す。
【
図12】一部の実施形態による、リモートデバイス能力を決定するためにリモートデバイスにクエリするためのフローチャートを示す。
【
図13】一部の実施形態による、リモートデバイス能力を決定するためにリモートデバイスにクエリするためのフローチャートを示す。
【
図14】一部の実施形態による、測定キャンペーンのための伝送能力を構成するためのフローチャートを示す。
【
図15】一部の実施形態による、配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージを伝送するためのフローチャートを示す。
【
図16】一部の実施形態による、リモートデバイスとのセンシング伝送を開始するためのフローチャートを示す。
【
図17】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答してセンシング伝送を受信するためのフローチャートを示す。
【
図18】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答してセンシング伝送を受信するためのフローチャートを示す。
【
図19】一部の実施形態による、受信されたセンシング伝送に対してセンシング測定を実施するためのフローチャートを示す。
【
図20】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを受信したことに応答してセンシング応答メッセージを伝送するためのフローチャートを示す。
【
図21】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを受信したことに応答してセンシング応答告知を伝送するためのフローチャートを示す。
【
図22】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを受信したことに応答してセンシング応答メッセージを生成するためのフローチャートを示す。
【
図23】一部の実施形態による、要求されたタイミング構成に従ってセンシング伝送を伝送するためのフローチャートを示す。
【
図24】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答して伝送されたセンシング伝送を受信するためのフローチャートを示す。
【
図25】一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを専用センシングトリガメッセージとして、又は集約メッセージとして準備するためのフローチャートを示す。
【
図26】一部の実施形態による、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込むためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
Wi-Fiセンシングシステムは、信号をリモートデバイスに伝送し、リモートデバイスから受信された応答を分析することによって環境を測定することができる。Wi-Fiセンシングシステムは、環境及びその変化を分析するために繰り返し測定を実施することができる。Wi-Fiセンシングシステムは、既存の通信構成要素とともに動作することができ、定義されたプロトコルに基づいて複数のデバイス間のエアタイムリソース使用状況を調整するために使用され得る媒体アクセス制御(MAC)層エンティティを有することから利益を得ている。
【0068】
Wi-Fiセンシングシステムの関連する標準化目標のうちの1つは、802.11ネットワーク上にWi-Fiセンシング能力をオーバーレイすることがネットワークの通信機能を損なわないように、既存のWi-Fiネットワーク上の追加のオーバーヘッドを低減することである。現在、Wi-Fiセンシングシステムにおけるセンシングのために特に定義された既知のMACプロトコルは存在しない。Wi-Fiセンシングシステムにおけるセンシングの一態様は、リモートデバイスからのセンシング伝送の要請である。Wi-Fiセンシングエージェントが存在、ロケーション及び動きを検出できるように最適化された特性を有するリモートデバイスからのセンシング伝送の要請を可能にするためのMAC層に対する改善は、既存のシステム性能に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、センシングのために最適化されたリモートデバイス伝送(又はセンシング伝送)の要求又は要請は、リモートデバイスのアップリンクスケジューラに影響を及ぼす可能性がある。センシング伝送を伝送するようにリモートデバイスに要求又は要請するための既存のメカニズムが存在している。しかしながら、かかるメカニズムは、異なる目的のために設計されたものである。その結果、これらのメカニズムは、効率的ではなく、制御に柔軟性を提供せず、異なるベンダの実装形態間で普遍的に一貫しているわけではない。更に、チャネルサウンディングプロトコルが、Wi-Fiセンシングをサポートするために考慮される場合がある。しかしながら、チャネルサウンディングプロトコルは、現在、柔軟性がないため、Wi-Fiセンシングをサポートするかかる機能は不可能である。
【0069】
Wi-Fiシステムのためのプロトコルは、センシング要件に対してデータ転送メカニズムに基づいて行われる決定を用いて設計される。その結果、Wi-Fiセンシングの態様は、一般的なWi-Fiシステム内では開発されないことが多い。Wi-Fiシステムにおけるアンテナビーム形成に関して、デジタル信号処理は、最適なデータ転送目的のために伝送機又は受信機の方向に高いアンテナ利得のビームを向けるが、その結果、アンテナパターンは、センシング要件をサポート又は強化しない可能性がある。
【0070】
本明細書で説明するものの一部の態様では、ワイヤレスセンシングシステムは、ワイヤレス通信デバイス間の空間を通して伝送されたワイヤレス信号(例えば、無線周波数信号)を処理することによって、種々のワイヤレスセンシング適用例のために使用され得る。例示的なワイヤレスセンシングアプリケーションは、動き検出を含み、動き検出は、空間内の物体の動きの検出、動き追跡、呼吸検出、呼吸監視、存在検出、ジェスチャ検出、ジェスチャ認識、人間の検出(動いている人間の検出及び静止している人間の検出)、人間追跡、転倒検出、速度推定、侵入検出、歩行検出、歩数カウント、呼吸数検出、無呼吸推定、姿勢変化検出、活動認識、歩行率分類、ジェスチャ復号、手話認識、手の追跡、心拍数推定、呼吸数推定、部屋占有検出、人間ダイナミクス監視、及び他のタイプの動き検出アプリケーションを含み得る。ワイヤレスセンシングアプリケーションの他の例は、物体認識、発話認識、キーストローク検出及び認識、改竄検出、タッチ検出、攻撃検出、ユーザ認証、運転者疲労検出、交通監視、喫煙検出、学校暴力検出、人間計数、人間認識、自転車位置特定、人間キュー推定、Wi-Fiイメージング、及び他のタイプのワイヤレスセンシングアプリケーションを含む。例えば、ワイヤレスセンシングシステムは、Wi-Fi信号又は他のタイプのワイヤレス信号に基づいて動きの存在及びロケーションを検出するための動き検出システムとして動作してもよい。以下でより詳細に説明されるように、ワイヤレスセンシングシステムは、例えば、システム動作を改善するために、又は他の技術的利点を達成するために、測定レート、ワイヤレス接続及びデバイス参加を制御するように構成され得る。ワイヤレスセンシングシステムが動き検出のために使用されるときに達成されるシステム改善及び技術的利点は、ワイヤレスセンシングシステムが別のタイプのワイヤレスセンシング適用例のために使用される例においても達成される。
【0071】
一部の例示的なワイヤレスセンシングシステムでは、ワイヤレス信号は、ワイヤレスデバイスがチャネル応答又は他のチャネル情報を推定するために使用され得る構成要素(例えば、Wi-Fi PHYフレーム中の同期プリアンブル、又は別のタイプの構成要素)を含み、ワイヤレスセンシングシステムは、経時的に収集されたチャネル情報の変化を分析することによって動き(又はワイヤレスセンシング適用例に応じて別の特性)を検出することができる。一部の例では、ワイヤレスセンシングシステムは、Wi-Fiアクセスポイント(AP)が受信機の役割を担い、APに接続された各Wi-Fiデバイス(ステーション又はノード又はピア)が伝送機の役割を担う、バイスタティックレーダーシステムと同様に動作することができる。ワイヤレスセンシングシステムは、伝送を生成し、受信機デバイスにおいてチャネル応答測定値を生成するように、接続されたデバイスをトリガすることができる。このトリガプロセスは、一連の時変測定値を取得するために周期的に繰り返すことができる。ワイヤレスセンシングアルゴリズムは、次いで、(例えば、Wi-Fi受信機によって計算された)生成されたチャネル応答測定値の時系列を入力として受信することができ、次いで、相関又はフィルタ処理プロセスを通して、判定を行うことができる(例えば、例えば、チャネル推定における変化又はパターンに基づいて、チャネル応答によって表される環境内に動きがあるか、又は動きがないかを判定する)。ワイヤレスセンシングシステムが動きを検出する例では、複数のワイヤレスデバイスの間の動き検出結果に基づいて、環境内の動きのロケーションを識別することも可能であり得る。
【0072】
したがって、ワイヤレス通信ネットワーク中のワイヤレス通信デバイスの各々において受信されたワイヤレス信号は、ネットワーク中の(ワイヤレス通信デバイスのそれぞれのペア間の)種々の通信リンクについてのチャネル情報を決定するために分析され得る。チャネル情報は、空間を横断するワイヤレス信号に伝達関数を適用する物理媒体を表すことができる。一部の事例では、チャネル情報はチャネル応答を含む。チャネル応答は、物理的通信経路を特徴付けることができ、例えば、伝送機と受信機との間の空間内の散乱、フェージング、及び電力減衰の組み合わされた影響を表す。一部の事例では、チャネル情報は、ビームフォーミングシステムによって提供されるビームフォーミング状態情報(例えば、フィードバック行列、ステアリング行列、チャネル状態情報(CSI)など)を含む。ビームフォーミングは、指向性信号伝送又は受信のためのマルチアンテナ(多入力/多出力(MIMO))無線システムにおいてしばしば使用される信号処理技術である。ビームフォーミングは、一部の角度における信号が強め合う干渉を経験し、他の信号が弱め合う干渉を経験するように、アンテナアレイ中の要素を動作させることによって達成され得る。
【0073】
通信リンクの各々についてのチャネル情報は、(例えば、ワイヤレス通信ネットワーク中のハブデバイス若しくは他のデバイス、又はネットワークに通信可能に結合されたリモートデバイスによって)分析されて、例えば、動きが空間内で発生したかどうかを検出するか、検出された動きの相対的なロケーションを決定するか、又はその両方を行うことができる。一部の態様では、通信リンクの各々についてのチャネル情報は、例えば、空間内で動きが検出されない場合、物体が存在するか不在であるかを検出するために分析され得る。
【0074】
場合によっては、ワイヤレスセンシングシステムは、ノード測定レートを制御することができる。例えば、Wi-Fi動きシステムは、現在のワイヤレスセンシングアプリケーション(例えば、動き検出)によって提供されられる基準に基づいて、可変測定レート(例えば、チャネル推定/環境測定/サンプリングレート)を構成してもよい。一部の実装形態では、例えば、ある時間期間にわたって動きが存在しないか又は検出されない場合、ワイヤレスセンシングシステムは、接続されたデバイスがあまり頻繁にトリガされないように、環境が測定されるレートを低減することができる。一部の実装形態では、例えば、動きが存在するとき、ワイヤレスセンシングシステムは、より細かい時間分解能を有する測定値の時系列を生成するために、トリガレートを増加させることができる。可変測定レートを制御することは、(デバイスのトリガリングを通して)エネルギー節約を可能にし、処理を低減し(相関又はフィルタリングするためのより少ないデータ)、規定された時間中の分解能を改善することができる。
【0075】
場合によっては、ワイヤレスセンシングシステムは、ワイヤレスネットワーク全体にわたってノードの帯域ステアリング又はクライアントステアリングを実施することができ、例えば、Wi-FiマルチAP又は拡張サービスセット(ESS)トポロジでは、複数の協調ワイヤレスAPは各々、異なる周波数帯域を占有し、デバイスが1つの参加APから別の参加AP(例えば、メッシュ)に透過的に移動することを可能にし得る基本サービスセット(BSS)を提供する。例えば、ホームメッシュネットワーク内で、Wi-Fiデバイスは、APのいずれかに接続することができるが、典型的には、良好な信号強度を有するものを選択する。メッシュAPのカバレージフットプリントは概して重複しており、しばしば、各デバイスを通信範囲又は2つ以上のAP内に置く。APがマルチバンド(例えば、2.4GHz及び5GHz)をサポートする場合、ワイヤレスセンシングシステムは、デバイスを同じ物理APに接続されたままにするが、ワイヤレスセンシングアルゴリズム(例えば、動き検出アルゴリズム)の精度又は結果を改善するのを助けるために、より多様な情報を取得するために異なる周波数帯域を使用するように命令することができる。一部の実装形態では、ワイヤレスセンシングシステムは、デバイスを1つのメッシュAPに接続されている状態から別のメッシュAPに接続されている状態に変更することができる。かかるデバイスのステアリングは、検出カバレージを改善するために、又はエリア内の動きをより良く局所化するために、特定のエリアにおいて検出された基準に基づいて、例えば、ワイヤレスセンシング(例えば、動き検出)中に実施することができる。
【0076】
場合によっては、ビームフォーミングは、(例えば、受信機によって生成されたフィードバックプロパティを通して)通信チャネルの何らかの知識に基づいてワイヤレス通信デバイス間で実施することができ、これを用いて、特定の1つ以上の方向に伝送ビーム/信号を成形するために伝送機デバイスによって適用される1つ以上のステアリングプロパティ(例えば、ステアリング行列)を生成することができる。したがって、ビーム形成プロセスで使用されるステアリング特性又はフィードバック特性の変化は、ワイヤレス通信システムによってアクセスされる空間内の、移動物体によって引き起こされ得る変化を示す。例えば、動きは、ある時間期間にわたる、例えば、チャネル応答、又はステアリング若しくはフィードバックプロパティ、あるいはそれらの任意の組み合わせによって示されるような、通信チャネルの実質的な変化によって検出されてもよい。
【0077】
一部の実装形態では、例えば、ステアリング行列は、チャネルサウンディングに基づいて受信機デバイス(ビームフォーミー)によって提供されたフィードバック行列に基づいて伝送機デバイス(ビームフォーマ)において生成され得る。ステアリング行列及びフィードバック行列は、チャネルの伝搬特性に関連するため、これらの行列は、物体がチャネル内で移動するにつれて変化する。したがって、チャネル特性の変化は、これらの行列に反映され、行列を分析することによって、動きを検出することができ、検出された動きの異なる特性を決定することができる。一部の実装形態では、空間マップは、1つ以上のビームフォーミング行列に基づいて生成され得る。空間マップは、ワイヤレス通信デバイスに対する空間内の物体の一般的な方向を示すことができる。場合によっては、ワイヤレス通信デバイスに対して物体が位置し得る多数の方向を表すために、多くのビームフォーミング行列(例えば、フィードバック行列又はステアリング行列)が生成され得る。これらの多くのビーム形成行列を使用して、空間マップを生成することができる。空間マップを使用して、空間内の動きの存在を検出し、又は検出された動きのロケーションを検出することができる。
【0078】
一部の事例では、動き検出システムは、動き検出プロセスにおいて可変デバイス測定レートを制御することができる。例えば、マルチノードワイヤレス動き検出システムのためのフィードバック制御システムは、環境条件に基づいてサンプルレートを適応的に変更してもよい。場合によっては、かかる制御は、動き検出システムの動作を改善するか、又は他の技術的利点を提供することができる。例えば、測定レートは、広範囲の異なる環境及び異なる動き検出適用例に好適なエアタイム使用量対検出能力を最適化するか、又は別様で改善する方法で制御されてもよい。測定レートは、処理される冗長な測定データを低減し、それによってプロセッサ負荷/電力要件を低減するように制御され得る。場合によっては、測定レートは、適応的であるように制御され、例えば、適応サンプルは、各参加デバイスについて個々に制御され得る。適応サンプルレートは、異なる使用事例又はデバイス特性のためのチューニング制御ループとともに使用され得る。
【0079】
場合によっては、ワイヤレスセンシングシステムは、デバイスが、それらのワイヤレスセンシング能力又はワイヤレスセンシング意思をワイヤレスセンシングシステムに動的に示し、通信することを可能にし得る。例えば、APがチャネル測定値を生成することを可能にするワイヤレス信号を伝送するために、デバイスが周期的に中断又はトリガされることを望まない場合があり得る。例えば、デバイスがスリープしている場合、ワイヤレスセンシング信号を伝送又は受信するためにデバイスを頻繁に起動することは、リソースを消費する可能性がある(例えば、セルフォンバッテリをより速く放電させる)。これら及び他のイベントによって、デバイスがワイヤレスセンシングシステムの動作に参加する意思を持ったり持たなかったりする可能性がある。場合によっては、そのバッテリで動作している携帯電話は、参加することを望まない場合があるが、携帯電話が充電器にプラグ接続されているときには、参加する意思がある場合がある。したがって、携帯電話がプラグを抜かれている場合、携帯電話を参加から除外するようにワイヤレスセンシングシステムに示すことができ、一方、携帯電話がプラグを差し込まれている場合、携帯電話をワイヤレスセンシングシステムの動作に含めるようにワイヤレスセンシングシステムに示すことができる。場合によっては、デバイスが負荷を受けている(例えば、オーディオ又はビデオをストリーミングしているデバイス)か、又は一次機能を実施している最中である場合、デバイスは参加することを望まないことがあり、同じデバイスの負荷が低減され、参加することが一次機能に干渉しない場合、デバイスは、それが参加する意思があることをワイヤレスセンシングシステムに示すことができる。
【0080】
例示的なワイヤレスセンシングシステムは、動き検出(空間内の物体の動きの検出、動き追跡、呼吸検出、呼吸監視、存在検出、ジェスチャ検出、ジェスチャ認識、人間の検出(動いている人間の検出及び静止している人間の検出)、人間追跡、転倒検出、速度推定、侵入検出、歩行検出、歩数カウント、呼吸数検出、無呼吸推定、姿勢変化検出、活動認識、歩行率分類、ジェスチャ復号、手話認識、手の追跡、心拍数推定、呼吸数推定、部屋占有検出、人間ダイナミクス監視、及び他のタイプの動き検出アプリケーション)の文脈において以下に説明される。しかしながら、ワイヤレスセンシングシステムが動き検出システムとして動作しているときに達成される動作、システム改善、及び技術的利点は、ワイヤレスセンシングシステムが別のタイプのワイヤレスセンシングアプリケーションのために使用される例においても適用可能である。
【0081】
本明細書の実施形態で開示されるように、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)センシングプロシージャにより、ステーション(STA)は、WLANセンシングを実施することができる。WLANセンシングは、WLANセンシングセッションを含み得る。例えば、WLANセンシングプロシージャ、WLANセンシング、及びWLANセンシングセッションは、ワイヤレスセンシングプロシージャ、ワイヤレスセンシング、及びワイヤレスセンシングセッション、Wi-Fiセンシングプロシージャ、Wi-Fiセンシング、及びWi-Fiセンシングセッション、又はセンシングプロシージャ、センシング、及びセンシングセッションと称されることがある。
【0082】
WLANセンシングは、STAが、2つ以上のSTA間のチャネル、及び/又はSTA若しくはアクセスポイント(AP)の受信アンテナと伝送アンテナとの間のチャネルのセンシング測定値を取得することを可能にするサービスである。WLANセンシングプロシージャは、センシングセッションセットアップ、センシング測定セットアップ、センシング測定インスタンス、センシング測定セットアップ終了、及びセンシングセッション終了のうちの1つ以上から構成され得る。
【0083】
本明細書で開示する例では、センシングセッションセットアップ及びセンシング測定セットアップは、センシング構成と称されることがあり、センシング構成メッセージによって達成され得、センシング構成応答メッセージによって確認され得る。センシング測定インスタンスは、個々のセンシング測定であり得、センシング伝送から導出することができる。例えば、センシング構成メッセージは、センシング測定セットアップ要求と称されることがあり、センシング構成応答メッセージは、センシング測定セットアップ応答と称されることがある。
【0084】
WLANセンシングプロシージャは、複数のセンシング測定インスタンスを含み得る。例えば、複数のセンシング測定インスタンスは、測定キャンペーンと称されることがある。
【0085】
センシングイニシエータは、WLANセンシングプロシージャを開始するSTA又はAPを指すことがある。センシングレスポンダは、センシングイニシエータによって開始されたWLANセンシングプロシージャに参加するSTA又はAPを指すことがある。センシング伝送機は、WLANセンシングプロシージャにおいてセンシング測定のために使用される物理層プロトコルデータユニット(PPDU)を伝送するSTA又はAPを指すことがある。センシング受信機は、センシング伝送機によって送信されたPPDUを受信し、WLANセンシングプロシージャにおいてセンシング測定を実施するSTA又はAPを指すことがある。
【0086】
例えば、センシング測定のために使用されるPPDUは、センシング伝送と称されることがある。
【0087】
センシングイニシエータとして機能するSTAは、センシング伝送機、センシング受信機、センシング伝送機及びセンシング受信機の両方、又はセンシング伝送機でもセンシング受信機でもないものとして、センシング測定インスタンスに参加することができる。センシングレスポンダとして機能するSTAは、センシング伝送機、センシング受信機、並びにセンシング伝送機及びセンシング受信機の両方としてセンシング測定インスタンスに参加することができる。
【0088】
一例では、センシングイニシエータは、WLANセンシングプロシージャ又は測定キャンペーンを制御すると見なすことができる。
【0089】
例えば、センシング伝送機は、リモートデバイスと称されることがあり、センシング受信機は、センシングデバイスと称されることがある。他の例では、センシングイニシエータは、センシングデバイス又はリモートデバイスの機能であってよく、センシングレスポンダは、センシングデバイス又はリモートデバイスの機能であってよい。
【0090】
IEEE P802.11-REVmd/D5.0は、STAを、規格によって定義された特徴をサポートすることが可能な物理(PHY)及び媒体アクセスコントローラ(MAC)エンティティであると見なす。STAを含むデバイスは、Wi-Fiデバイスと称されることがある。(IEEE P802.11-REVmd/D5.0によって定義されるような)基本サービスセット(BSS)を管理するWi-Fiデバイスは、AP STAと称されることがある。BSS内のクライアントノードであるWi-Fiデバイスは、非AP STAと称されることがある。一部の例では、AP STAはAPと称されることがあり、非AP STAはSTAと称されることがある。
【0091】
本開示の種々の実施形態では、本明細書で使用される1つ以上の用語の非限定的な定義を以下に提供する。
【0092】
「測定キャンペーン」という用語は、一連のセンシング測定値が計算されることを可能にする、(ワイヤレスアクセスポイント、Wi-Fiアクセスポイント、アクセスポイント、センシングイニシエータ、又はセンシング受信機として概して知られている)センシングデバイスと(Wi-Fiデバイス、センシングレスポンダ、又はセンシング伝送機として概して知られている)リモートデバイスとの間の双方向の一連のセンシング伝送を指すことがある。
【0093】
「メッセージ」という用語は、測定キャンペーン中にセンシングデバイスからリモートデバイスに(又はその逆に)転送されるデータの任意のセットを指すことがある。メッセージはフレーム中で搬送され得、そのフレームは、媒体アクセス制御(MAC)層プロトコルデータユニット(MPDU)又は集約MPDU(A-MPDU)であり得る。MPDU又はA-MPDUの形態のフレームは、センシング伝送としてセンシングデバイスからリモートデバイスに(又はその逆に)転送され得る。一例では、伝送は、PHY層によって実行され得、PHY層プロトコルデータユニット(PPDU)の形態であり得る。
【0094】
「NullデータPPDU(NDP)」という用語は、データフィールドを含まないPPDUを指すことがある。一例では、NDPは、必要とされる情報を含むMACヘッダである場合、センシング伝送のために使用され得る。
【0095】
「センシング伝送」という用語は、センシング測定を行うために使用され得る、リモートデバイスからセンシングデバイスに行われる任意の伝送を指すことがある。一例では、センシング伝送は、ワイヤレスセンシング信号又はワイヤレス信号と称されることもある。一例では、センシング伝送は、センシング測定を行うために使用される1つ以上の訓練フィールドを含むセンシング応答メッセージ又はセンシング応答NDPのいずれかであり得る。
【0096】
「センシング測定」という用語は、チャネルの状態の測定、すなわち、センシング伝送から導出されるリモートデバイスとセンシングデバイスとの間のCSI測定を指すことがある。一例では、センシング測定は、チャネル応答測定と称されることもある。
【0097】
「伝送能力」という用語は、リモートデバイスの伝送能力を示す1つ以上のパラメータを指すことがある。例えば、リモートデバイスのための伝送能力は、リモートデバイス中の伝送アンテナの数を示してもよい。
【0098】
「伝送パラメータ」という用語は、特定のPHYに対応する伝送ベクトル(TXVECTOR)の一部として定義され、各PPDU伝送のために構成可能である、IEEE 802.11 PHY伝送機構成パラメータのセットを指すことがある。
【0099】
「センシング構成メッセージ」という用語は、例えば、測定キャンペーンのために、リモートデバイスからセンシングデバイスへのセンシング伝送を事前構成するために使用され得る構成メッセージを指すことがある。
【0100】
「要求された伝送構成」という用語は、センシング伝送を送信するときに使用されるリモートデバイスの要求された伝送パラメータを指すことがある。一例では、要求された伝送構成は、IEEE 802.11要素(IEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.4.2)など、1つ以上の構成要素を含み得る。
【0101】
「センシング構成応答メッセージ」という用語は、どの構成オプションがリモートデバイスによってサポートされるか、例えば、リモートデバイスの伝送能力を示す、センシング構成メッセージに対する応答メッセージを指すことがある。一例では、センシング構成応答メッセージは、センシング構成メッセージに応答してリモートデバイスからセンシングデバイスに伝送され得る。
【0102】
「配信された伝送構成」という用語は、リモートデバイスによってセンシング伝送に適用される伝送パラメータを指すことがある。一例では、配信された伝送構成は、リモートデバイスによってサポートされる伝送パラメータを含み得る。
【0103】
「ステアリング行列構成」という用語は、各伝送信号について無線周波数(RF)伝送信号チェーンのアンテナを事前調整するために必要とされる実位相及び複素位相を表す複素値の行列を指すことがある。(例えば、空間マッパによる)ステアリング行列構成の適用は、ビームフォーミング及びビームステアリングを可能にする。
【0104】
「空間マッパ」という用語は、リモートデバイスでRF伝送信号チェーンに入力される信号の振幅及び位相を調整する信号処理要素を指すことがある。空間マッパは、各RF伝送信号チェーンへの信号を処理するための要素を含み得る。信号の振幅及び位相を調整するために実行される動作は、空間マッピングと称されることがある。空間マッパの出力は、1つ以上の空間ストリームである。
【0105】
「センシングトリガメッセージ」という用語は、センシング測定を実施するために使用され得る1つ以上のセンシング伝送をトリガするためにセンシングデバイスからリモートデバイスに送信されるメッセージを指すことがある。一例では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成、要求されたタイミング構成、及び/又はステアリング行列構成を含み得る。
【0106】
「要求されたタイミング構成」という用語は、例えば、測定キャンペーンのための、伝送をセンシングするためのタイミング要件のセットを指すことがある。一例では、タイミング要件は、周期的、半周期的、及び1回であり得る。
【0107】
「センシング応答メッセージ」という用語は、リモートデバイスからセンシングデバイスへのセンシング伝送内に含まれるメッセージを指すことがある。一例では、センシング応答メッセージを含むセンシング伝送は、センシング測定を実施するために使用され得る。
【0108】
「センシング応答告知」という用語は、1つのショートフレーム間間隔(SIFS)の後にセンシング応答NDPが続くことを告知する、リモートデバイスからセンシングデバイスへの伝送内に含まれるメッセージを指すことがある。SIFSの期間は、例えば、10μsであり得る。一例では、センシング応答NDPは、要求された伝送構成を使用して伝送され得る。
【0109】
「センシング応答NDP」という用語は、リモートデバイスによって伝送され、センシングデバイスにおいてセンシング測定のために使用されるNDP応答を指すことがある。一例では、要求された伝送構成が正常な非センシングメッセージ受信のために必要とされる伝送パラメータと互換性がないとき、センシング応答NDPが使用され得る。更に、一例では、センシング応答NDPは、センシング応答告知によって告知され得る。
【0110】
「非センシングメッセージ」という用語は、Wi-Fiセンシングに関係しない任意のメッセージを指すことがある。一例では、非センシングメッセージは、データメッセージ、管理メッセージ、及び制御メッセージを含み得る。
【0111】
「訓練フィールド」という用語は、リモートデバイスによって知られており、含有PPDUのデータ部分の復調以外の目的でチャネルを測定するために受信時に使用される、センシングデバイスによって伝送されたビットのシーケンスを指すことがある。一例では、訓練フィールドは、伝送されたPPDUのプリアンブル内に含まれる。一部の例では、将来の訓練フィールドは、プリアンブル構造(レガシーサポートを有するカスケーディング訓練フィールド)内で定義され得るか、又は既存の訓練フィールド(非レガシーサポート)を置き換え得る。
【0112】
「伝送機会(TXOP)という用語は、特定のクオリティオブサービス(QoS)ステーション(例えば、センシングデバイス又はリモートデバイス)がワイヤレス媒体上へのフレーム交換を開始する権利を有し得る、ネゴシエートされた時間間隔を指すことがある。伝送機会のQoSアクセスカテゴリ(AC)は、ネゴシエーションの一部として要求され得る。
【0113】
「クオリティオブサービス(QoS)アクセスカテゴリ」という用語は、フレームが必要とする伝送の優先度を分類するフレームの識別子を指すことがある。一例では、4つのQoSアクセスカテゴリ、すなわちAC_VI:ビデオ、AC_VO:音声、AC_BE:ベストエフォート及びAC_BK:バックグラウンドが定義される。更に、各QoSアクセスカテゴリは、そのために定義された異なる伝送機会パラメータを有し得る。
【0114】
「タイミング同期機能(TSF)」という用語は、関連するステーション、BSSのセット内の共通タイミング基準を指すことがある。一例では、TSFは、BSSの共有アクセスポイントから伝送されたビーコンメッセージによって同期された状態に保たれ得る。一例では、TSFのタイミング分解能は1ミリ秒であり得る。
【0115】
「第1のフレーム」という用語は、集約されたデータフレームの最前のフレームを指すことがある。一例では、第1のフレームは、センシングトリガメッセージ、センシング応答メッセージ、又はセンシング応答告知を含み得る。
【0116】
「専用メッセージ」という用語は、任意の他のメッセージと集約されないスタンドアロンメッセージを指すことがある。
【0117】
「ブロードキャストメッセージ」という用語は、センシングデバイスによって、センシングデバイスに関連付けられたリモートデバイスに送信されるメッセージを指すことがある。一例では、ブロードキャストメッセージは、リモートデバイスによって受信され、復号され得る。
【0118】
「ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)センシングセッション」という用語は、物理空間内の物体が探査され、検出され、及び/又は特徴付けられ得る期間を指すことがある。一例では、WLANセンシングセッション中に、複数のデバイスが参加し、それによってセンシング測定値の生成に寄与する。
【0119】
以下の種々の実施形態の説明を読むために、本明細書のセクション及びそれらのそれぞれの内容の以下の説明が有用であり得る。
【0120】
セクションAでは、本明細書で説明する実施形態を実施するのに有用であり得るワイヤレス通信システム、ワイヤレス伝送、及びセンシング測定について説明する。
【0121】
セクションBでは、Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法の実施形態を説明する。特に、セクションBは、オーバーヘッドを追加することなく、又はWi-Fiシステム性能に影響を及ぼすことなく、Wi-Fiセンシングを実施するためのWi-Fiシステムについて説明する。
【0122】
A.ワイヤレス通信システム、ワイヤレス伝送、及びセンシング測定
図1は、ワイヤレス通信システム100を示している。ワイヤレス通信システム100は、3つのワイヤレス通信デバイス、すなわち、第1のワイヤレス通信デバイス102Aと、第2のワイヤレス通信デバイス102Bと、第3のワイヤレス通信デバイス102Cとを含む。ワイヤレス通信システム100は、追加のワイヤレス通信デバイス及び他の構成要素(例えば、追加のワイヤレス通信デバイス、1つ以上のネットワークサーバ、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ケーブル、又は他の通信リンクなど)を含み得る。
【0123】
ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、ワイヤレスネットワーク通信プロトコル又は別のタイプのワイヤレス規格に従って、ワイヤレスネットワークにおいて動作することができる。例えば、ワイヤレスネットワークは、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、又は別のタイプのワイヤレスネットワークとして動作するように構成され得る。WLANの例は、IEEEによって開発された規格の802.11ファミリのうちの1つ以上に従って動作するように構成されたネットワーク(例えば、Wi-Fiネットワーク)などを含む。PANの例は、短距離通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、ZigBee)、ミリメートル波通信、及び他に従って動作するネットワークを含む。
【0124】
一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、携帯通信網規格に従って、携帯通信網で通信するように構成され得る。携帯通信網の例として、Global System for Mobile(GSM)及びEnhanced Data rate for GSM Evolution(EDGE)又はEGPRSなどの2G規格、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、時分割同期符号分割多元接続(TD-SCDMA)などの3G規格、Long-Term Evolution(LTE)及びLTE-Advanced(LTE-A)などの4G規格、5G規格、及び他に従って構成されたネットワークを含む。
【0125】
図1に示す例では、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、標準的なワイヤレスネットワーク構成要素であり得るか、又はそれらを含み得る。例えば、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、WAPのモデム上に命令(例えば、ソフトウェア又はファームウェア)として埋め込まれた、本明細書で説明する1つ以上の動作を実施する市販のWi-Fi AP又は別のタイプのワイヤレスアクセスポイント(WAP)であり得る。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、市販のメッシュネットワークシステム(例えば、Plume Wi-Fi、Google Wi-Fi、Qualcomm Wi-Fi SoNなど)など、ワイヤレスメッシュネットワークのノードであり得る。場合によっては、別のタイプの標準又は従来のWi-Fi伝送機デバイスが使用され得る。一部の事例では、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cのうちの1つ以上は、メッシュネットワーク中のWAPとして実装され得るが、他のワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、WAPのうちの1つを通してメッシュネットワークにアクセスするリーフデバイス(例えば、モバイルデバイス、スマートデバイスなど)として実装される。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cのうちの1つ以上は、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、ラップトップコンピュータなど)、ワイヤレス対応デバイス(例えば、スマートサーモスタット、Wi-Fi対応カメラ、スマートTV)、又はワイヤレスネットワーク中で通信する別のタイプのデバイスである。
【0126】
ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、Wi-Fi構成要素なしに実装することができ、例えば、他のタイプの標準又は非標準ワイヤレス通信が動き検出のために使用され得る。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、専用動き検出システムであり得るか、又はその一部であり得る。例えば、専用動き検出システムは、ハブデバイス及び1つ以上のビーコンデバイス(リモートセンサデバイスとして)を含むことができ、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、動き検出システム内のハブデバイス又はビーコンデバイスのいずれかであり得る。
【0127】
図1に示すように、ワイヤレス通信デバイス102Cは、モデム112と、プロセッサ114と、メモリ116と、電力ユニット118とを含み、ワイヤレス通信システム100中のワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cのいずれも、同じ構成要素、追加の構成要素、又は異なる構成要素を含むことができ、構成要素は、
図1に示すように又は別の方法で動作するように構成され得る。一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスのモデム112、プロセッサ114、メモリ116、及び電力ユニット118は、共通のハウジング又は他のアセンブリ内に一緒に収容される。一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスの構成要素のうちの1つ以上は、例えば、別個のハウジング又は他のアセンブリ内に別個に収容され得る。
【0128】
モデム112は、ワイヤレス信号を通信(受信、伝送、又は両方)することができる。例えば、モデム112は、ワイヤレス通信規格(例えば、Wi-Fi又はBluetooth)に従ってフォーマットされた無線周波数(RF)信号を通信するように構成され得る。モデム112は、
図1に示されている例示的なワイヤレスネットワークモデム112として実装され得るか、又は別の方法で、例えば、他のタイプの構成要素又はサブシステムを用いて実装され得る。一部の実装形態では、モデム112は、無線サブシステムとベースバンドサブシステムとを含む。場合によっては、ベースバンドサブシステム及び無線サブシステムは、共通のチップ又はチップセット上に実装され得るか、あるいはそれらは、カード又は別のタイプの組み立てられたデバイス中に実装され得る。ベースバンドサブシステムは、例えば、リード、ピン、ワイヤ、又は他のタイプの接続によって、無線サブシステムに結合され得る。
【0129】
場合によっては、モデム112中の無線サブシステムは、1つ以上のアンテナと無線周波数回路とを含み得る。無線周波数回路は、例えば、アナログ信号をフィルタリング、増幅、又は他の方法で調整する回路、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートする回路、RF信号をベースバンド信号にダウンコンバートする回路などを含み得る。かかる回路は、例えば、フィルタ、増幅器、ミキサ、局部発振器などを含み得る。無線サブシステムは、ワイヤレス通信チャネル上で無線周波数無線信号を通信するように構成され得る。一例として、無線サブシステムは、無線チップと、RFフロントエンドと、1つ以上のアンテナとを含み得る。無線サブシステムは、追加の構成要素又は異なる構成要素を含み得る。一部の実装形態では、無線サブシステムは、従来のモデムからの、例えば、Wi-Fiモデム、ピコ基地局モデムなどからの無線電子機器(例えば、RFフロントエンド、無線チップ、又は類似の構成要素)であるか、又はそれを含み得る。一部の実装形態では、アンテナは複数のアンテナを含む。
【0130】
場合によっては、モデム112内のベースバンドサブシステムは、例えば、デジタルベースバンドデータを処理するように構成されたデジタル電子機器を含み得る。一例として、ベースバンドサブシステムは、ベースバンドチップを含み得る。ベースバンドサブシステムは、追加の又は異なる構成要素を含み得る。場合によっては、ベースバンドサブシステムは、デジタル信号プロセッサ(DSP)デバイス又は別のタイプのプロセッサデバイスを含み得る。場合によっては、ベースバンドシステムは、無線サブシステムを動作させ、無線サブシステムを介してワイヤレスネットワークトラフィックを通信し、無線サブシステムを介して受信された動き検出信号に基づいて動きを検出し、又は他のタイプのプロセスを実施するためのデジタル処理論理を含む。例えば、ベースバンドサブシステムは、信号を符号化し、符号化された信号を伝送のために無線サブシステムに配信するか、又は(例えば、ワイヤレス通信規格に従って信号を復号することによって、動き検出プロセスに従って信号を処理することによって、又は他の方法で)無線サブシステムからの信号中の符号化されたデータを識別し、分析するように構成された1つ以上のチップ、チップセット、又は他のタイプのデバイスを含んでもよい。
【0131】
一部の事例では、モデム112中の無線サブシステムは、ベースバンドサブシステムからベースバンド信号を受信し、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートし、(例えば、アンテナを通して)RF信号をワイヤレス伝送する。一部の事例では、モデム112中の無線サブシステムは、(例えば、アンテナを通して)RF信号をワイヤレスに受信し、RF信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、ベースバンド信号をベースバンドサブシステムに送信する。無線サブシステムとベースバンドサブシステムとの間で交換される信号は、デジタル信号又はアナログ信号であり得る。一部の例では、ベースバンドサブシステムは、変換回路(例えば、デジタル-アナログ変換器、アナログ-デジタル変換器)を含み、無線サブシステムとアナログ信号を交換する。一部の例では、無線サブシステムは、変換回路(例えば、デジタル/アナログ変換器、アナログ/デジタル変換器)を含み、ベースバンドサブシステムとデジタル信号を交換する。
【0132】
場合によっては、モデム112のベースバンドサブシステムは、1つ以上のネットワークトラフィックチャネル上で無線サブシステムを通してワイヤレス通信ネットワーク中でワイヤレスネットワークトラフィック(例えば、データパケット)を通信することができる。モデム112のベースバンドサブシステムはまた、専用ワイヤレス通信チャネル上で無線サブシステムを通して信号(例えば、動き探査信号又は動き検出信号)を伝送又は受信(又は両方)することができる。一部の事例では、ベースバンドサブシステムは、例えば、動きのための空間を探査するために、伝送のための動き探査信号を生成する。一部の事例では、ベースバンドサブシステムは、例えば、空間内の物体の動きを検出するために、受信された動き検出信号(空間を通して伝送された動き探査信号に基づく信号)を処理する。
【0133】
プロセッサ114は、例えば、データ入力に基づいて出力データを生成するための命令を実行することができる。命令は、メモリに記憶されたプログラム、コード、スクリプト、又は他のタイプのデータを含み得る。追加的又は代替的に、命令は、予めプログラムされた若しくは再プログラム可能な論理回路、論理ゲート、又は他のタイプのハードウェア若しくはファームウェア構成要素として符号化され得る。プロセッサ114は、専用コプロセッサ又は別のタイプのデータ処理装置としての汎用マイクロプロセッサであってもよく、又はそれを含んでもよい。場合によっては、プロセッサ114は、ワイヤレス通信デバイス102Cの高レベル動作を実施する。例えば、プロセッサ114は、メモリ116に記憶されたソフトウェア、スクリプト、プログラム、関数、実行可能ファイル、又は他の命令を実行又は解釈するように構成されてもよい。一部の実装形態では、プロセッサ114はモデム112中に含まれ得る。
【0134】
メモリ116は、コンピュータ可読記憶媒体、例えば、揮発性メモリデバイス、非揮発性メモリデバイス、又はその両方を含み得る。メモリ116は、1つ以上の読取り専用メモリデバイス、ランダムアクセスメモリデバイス、バッファメモリデバイス、又はこれら及び他のタイプのメモリデバイスの組み合わせを含み得る。一部の事例では、メモリの1つ以上の構成要素は、ワイヤレス通信デバイス102Cの別の構成要素と統合されるか、又は別様で関連付けられ得る。メモリ116は、プロセッサ114によって実行可能な命令を記憶することができる。例えば、命令は、
図11~
図13のいずれかで説明した例示的なプロセスの動作のうちの1つ以上などを通して、干渉バッファと動き検出バッファとを使用して信号を時間整合させるための命令を含んでもよい。
【0135】
電源ユニット118は、ワイヤレス通信デバイス102Cの他の構成要素に電力を供給する。例えば、他の構成要素は、電圧バス又は他の接続を通して電力ユニット118によって提供される電力に基づいて動作してもよい。一部の実装形態では、電力ユニット118は、バッテリ又はバッテリシステム、例えば、再充電可能バッテリを含む。一部の実装形態では、電力ユニット118は、(外部ソースから)外部電力信号を受信し、外部電力信号をワイヤレス通信デバイス102Cの構成要素のために調整された内部電力信号に変換するアダプタ(例えば、交流(AC)アダプタ)を含む。電源ユニット118は、他の構成要素を含んでもよく、又は別の方法で動作してもよい。
【0136】
図1に示す例では、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、(例えば、ワイヤレスネットワーク規格、動き検出プロトコル、又は他の方法に従って)ワイヤレス信号を伝送する。例えば、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、ワイヤレス動き探査信号(例えば、基準信号、ビーコン信号、ステータス信号など)をブロードキャストしてもよく、又は、他のデバイス(例えば、ユーザ機器、クライアントデバイス、サーバなど)に宛てられたワイヤレス信号を送信し得、他のデバイス(図示せず)並びにワイヤレス通信デバイス102Cは、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bによって伝送されたワイヤレス信号を受信してもよい。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bによって伝送されるワイヤレス信号は、例えば、ワイヤレス通信規格に従って又は他の方法で、周期的に繰り返される。
【0137】
図示の例では、ワイヤレス通信デバイス102Cは、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bからのワイヤレス信号を処理して、ワイヤレス信号によってアクセスされる空間内の物体の動きを検出するか、検出された動きのロケーションを判定するか、又はその両方を行う。例えば、ワイヤレス通信デバイス102Cは、
図11~
図27のいずれかに関して以下で説明する例示的なプロセスの1つ以上の動作、あるいは動きを検出するか又は検出された動きのロケーションを判定するための別のタイプのプロセスを実施してもよい。ワイヤレス信号によってアクセスされる空間は、例えば、1つ以上の完全に又は部分的に囲まれたエリア、囲いのないオープンエリアなどを含み得る屋内又は屋外空間であり得る。空間は、部屋、複数の部屋、建物などの内部であり得るか、又はそれを含み得る。場合によっては、ワイヤレス通信システム100は、例えば、ワイヤレス通信デバイス102Cがワイヤレス信号を伝送することができ、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bがワイヤレス通信デバイス102Cからのワイヤレス信号を処理して、動きを検出するか、又は検出された動きのロケーションを判定することができるように修正することができる。
【0138】
動き検出のために使用されるワイヤレス信号は、例えば、ビーコン信号(例えば、Bluetoothビーコン、Wi-Fiビーコン、他のワイヤレスビーコン信号)、ワイヤレスネットワーク規格に従って他の目的のために生成された別の規格信号、又は動き検出若しくは他の目的のために生成された非規格信号(例えば、ランダム信号、基準信号など)を含み得る。例えば、動き検出は、ワイヤレス信号によって搬送される1つ以上の訓練フィールドを分析することによって、又は信号によって搬送される他のデータを分析することによって実施されてもよい。一部の例では、データは、動き検出の明示的な目的のために追加されるか、又は使用されるデータは、名目上、別の目的のためのものであり、動き検出のために再使用又は別の目的のために使用される。一部の例では、ワイヤレス信号は、移動物体と相互作用する前又は後に物体(例えば、壁)を通って伝搬し、これにより、移動物体と伝送又は受信ハードウェアとの間の光学的な見通し線がなくても、移動物体の移動を検出することができる。受信信号に基づいて、ワイヤレス通信デバイス102Cは、動き検出データを生成することができる。一部の事例では、ワイヤレス通信デバイス102Cは、部屋、建物、屋外エリアなどの空間内の移動を監視するための制御センターを含み得るセキュリティシステムなどの別のデバイス又はシステムに動き検出データを通信することができる。
【0139】
一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、ワイヤレスネットワークトラフィック信号とは別個のワイヤレス通信チャネル(例えば、周波数チャネル又はコード化チャネル)上で(例えば、基準信号、ビーコン信号、又は動きについて空間を探査するために使用される別の信号を含み得る)動き探査信号を伝送するように修正することができる。例えば、動き探査信号のペイロードに適用される変調及びペイロード中のデータ又はデータ構造のタイプは、ワイヤレス通信デバイス102Cによって知られている場合があり、これにより、ワイヤレス通信デバイス102Cが動きセンシングのために実施する処理の量を低減することができる。ヘッダは、例えば、動きが通信システム100中の別のデバイスによって検出されたかどうかの指示、変調タイプの指示、信号を伝送するデバイスの識別情報など、追加の情報を含み得る。
【0140】
図1に示す例では、ワイヤレス通信システム100は、ワイヤレス通信デバイス102の各々の間にワイヤレス通信リンクを有する無線メッシュネットワークである。図示の例では、ワイヤレス通信デバイス102Cとワイヤレス通信デバイス102Aとの間のワイヤレス通信リンクは、動き検出フィールド110Aを探査するために使用され得、ワイヤレス通信デバイス102Cとワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信リンクは、動き検出フィールド110Bを探査するために使用され得、ワイヤレス通信デバイス102Aとワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信リンクは、動き検出フィールド110Cを探査するために使用され得る。一部の事例では、各ワイヤレス通信デバイス102は、動き検出フィールド110を通してワイヤレス通信デバイス102によって伝送されたワイヤレス信号に基づく受信信号を処理することによって、そのデバイスによってアクセスされた動き検出フィールド110中の動きを検出する。例えば、
図1に示す人物106が動き検出フィールド110A及び動き検出フィールド110C中で移動する場合、ワイヤレス通信デバイス102は、それぞれの動き検出フィールド110を通して伝送されたワイヤレス信号に基づく、それらが受信した信号に基づいて動きを検出することができる。例えば、ワイヤレス通信デバイス102Aは、動き検出フィールド110A、110C中の人物106の動きを検出することができ、ワイヤレス通信デバイス102Bは、動き検出フィールド110C中の人物106の動きを検出することができ、ワイヤレス通信デバイス102Cは、動き検出フィールド110A中の人物106の動きを検出することができる。
【0141】
一部の事例では、動き検出フィールド110は、例えば、ワイヤレス電磁信号が伝搬し得る空気、固体材料、液体、又は別の媒体を含み得る。
図1に示す例では、動き検出フィールド110Aは、ワイヤレス通信デバイス102Aとワイヤレス通信デバイス102Cとの間のワイヤレス通信チャネルを提供し、動き検出フィールド110Bは、ワイヤレス通信デバイス102Bとワイヤレス通信デバイス102Cとの間のワイヤレス通信チャネルを提供し、動き検出フィールド110Cは、ワイヤレス通信デバイス102Aとワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信チャネルを提供する。動作の一部の態様では、(ネットワークトラフィックのためのワイヤレス通信チャネルとは別個の又はそれと共有される)ワイヤレス通信チャネル上で伝送されるワイヤレス信号が、空間内の物体の移動を検出するために使用される。物体は、任意のタイプの静止物体又は可動物体であってもよく、生物又は無生物であってもよい。例えば、物体は、人間(例えば、
図1に示される人物106)、動物、無機物体、又は別のデバイス、装置、若しくはアセンブリ)、空間の境界の全て又は一部を画定する物体(例えば、壁、ドア、窓など)、又は別のタイプの物体であってもよい。一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスからの動き情報は、検出された動きのロケーションを決定するために分析され得る。例えば、以下で更に説明するように、ワイヤレス通信デバイス102のうちの1つ(又はワイヤレス通信デバイス102に通信可能に結合された別のデバイス)は、検出された動きが特定のワイヤレス通信デバイスの近くにあると判定してもよい。
【0142】
図2A及び
図2Bは、ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cの間で通信される例示的なワイヤレス信号を示す図である。ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cは、例えば、
図1に示されているワイヤレス通信デバイス102A、102B、102C、又は他のタイプのワイヤレス通信デバイスであり得る。ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cは、空間200を介してワイヤレス信号を伝送する。空間200は、1つ以上の境界で完全に又は部分的に囲まれるか、又は開放され得る。一例では、空間200はセンシング空間であり得る。空間200は、1つの部屋、複数の部屋、建物、屋内エリア、屋外エリアなどの内部であり得、又はそれらを含み得る。第1の壁202A、第2の壁202B、及び第3の壁202Cは、図示の例では、空間200を少なくとも部分的に囲む。
【0143】
図2A及び
図2Bに示す例では、ワイヤレス通信デバイス204Aは、ワイヤレス信号を繰り返し(例えば、周期的に、間欠的に、スケジュールされた間隔、スケジュールされていない間隔、又はランダムな間隔などで)伝送するように動作可能である。ワイヤレス通信デバイス204B、204Cは、ワイヤレス通信デバイス204Aによって伝送された信号に基づいて信号を受信するように動作可能である。ワイヤレス通信デバイス204B、204Cは各々、空間200中の物体の動きを検出するために受信信号を処理するように構成されたモデム(例えば、
図1に示されているモデム112)を有する。
【0144】
図示のように、物体は、
図2Aの第1の位置214Aにあり、物体は、
図2Bの第2の位置214Bに移動している。
図2A及び
図2Bでは、空間200内の移動物体は人間として表されているが、移動物体は他の種類の物体であってもよい。例えば、移動物体は、動物、無機物体(例えば、システム、デバイス、装置、又はアセンブリ)、空間200の境界の全て又は一部を画定する物体(例えば、壁、ドア、窓など)、又は別のタイプの物体であり得る。
【0145】
図2A及び
図2Bに示すように、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されたワイヤレス信号の複数の例示的な経路が破線によって示されている。第1の信号経路216に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第1の壁202Aからワイヤレス通信デバイス204Bに向かって反射される。第2の信号経路218に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第2の壁202B及び第1の壁202Aからワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。第3の信号経路220に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第2の壁202Bからワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。第4の信号経路222に沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第3の壁202Cからワイヤレス通信デバイス204Bに向かって反射される。
【0146】
図2Aでは、第5の信号経路224Aに沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第1の位置214Aにある物体からワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。
図2Aと
図2Bとの間で、物体の表面は、空間200内の第1の位置214Aから第2の位置214Bに(例えば、第1の位置214Aからある距離だけ離れて)移動する。
図2Bでは、第6の信号経路224Bに沿って、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから伝送され、第2の位置214Bにある物体からワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射される。
図2Bに示す第6の信号経路224Bは、第1の位置214Aから第2の位置214Bへの物体の移動のために、
図2Aに示す第5の信号経路224Aよりも長い。一部の例では、信号経路は、空間内の物体の移動に起因して、追加、除去、又は別様に修正することができる。
【0147】
図2A及び
図2Bに示される例示的なワイヤレス信号は、それぞれの経路を通じて減衰、周波数シフト、位相シフト、又は他の影響を受けることがあり、例えば、第1の壁202A、第2の壁202B、及び第3の壁202Cを通じて別の方向に伝搬する部分を有することがある。一部の例では、ワイヤレス信号は無線周波数(RF)信号である。ワイヤレス信号は、他のタイプの信号を含み得る。
【0148】
図2A及び
図2Bに示す例では、ワイヤレス通信デバイス204Aは、ワイヤレス信号を繰り返し伝送することができる。特に、
図2Aは、第1の時間にワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されているワイヤレス信号を示し、
図2Bは、第2の、後の時間にワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されている同じワイヤレス信号を示している。伝送信号は、連続的に、周期的に、ランダム又は断続的な時間などで、又はそれらの組み合わせで伝送され得る。伝送信号は、周波数帯域幅内に複数の周波数成分を有することができる。伝送信号は、ワイヤレス通信デバイス204Aから、無指向性で、指向性で、又は別様で伝送され得る。図示の例では、ワイヤレス信号は、空間200中の複数のそれぞれの経路を横断し、各経路に沿った信号は、経路損失、散乱、反射などにより減衰され得、位相又は周波数オフセットを有し得る。
【0149】
図2A及び
図2Bに示すように、第1~第6の経路216、218、220、222、224A、及び224Bからの信号は、ワイヤレス通信デバイス204C及びワイヤレス通信デバイス204Bにおいて合成されて、受信信号を形成する。伝送信号に対する空間200中の複数の経路の影響のために、空間200は、伝送信号が入力され、受信信号が出力される伝達関数(例えば、フィルタ)として表され得る。物体が空間200内を移動すると、信号経路内の信号に影響を及ぼす減衰又は位相オフセットが変化する可能性があり、したがって、空間200の伝達関数が変化する可能性がある。同じワイヤレス信号がワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されると仮定すると、空間200の伝達関数が変化する場合、その伝達関数の出力(受信信号)も変化することになる。受信信号の変化を使用して、物体の移動を検出することができる。
【0150】
数学的に、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから伝送された伝送信号f(t)は、式(1)に従って記述され得る。
【数1】
【0151】
式中、ω
nは伝送信号のn番目の周波数成分の周波数を表し、c
nはn番目の周波数成分の複素係数を表し、tは時間を表す。第1のワイヤレス通信デバイス204Aから伝送されている伝送信号f(t)を用いて、経路kからの出力信号r
k(t)は、式(2)に従って記述され得る。
【数2】
【0152】
式中、α
n,kは、kに沿ったn番目の周波数成分に対する減衰率(又は、例えば、散乱、反射、及び経路損失によるチャネル応答)を表し、φ
n,kは、kに沿ったn番目の周波数成分に対する信号の位相を表す。次いで、ワイヤレス通信デバイスにおける受信信号Rは、式(3)に示される、ワイヤレス通信デバイスへの全ての経路からの全ての出力信号r
k(t)の和として記述され得る。
【数3】
【0153】
式(2)を式(3)に代入すると、以下の式(4)が得られる。
【数4】
【0154】
次いで、ワイヤレス通信デバイスにおけるRが分析され得る。ワイヤレス通信デバイスにおけるRは、例えば、高速フーリエ変換(FFT)又は別のタイプのアルゴリズムを使用して、周波数領域に変換され得る。変換された信号は、(n個の周波数ω
nにおける)それぞれの周波数成分の各々について1つずつ、一連のn個の複素値としてRを表すことができる。周波数ω
nにおける周波数成分に対して、複素数値H
nは、式(5)において次のように表され得る。
【数5】
【0155】
所与のω
nに対するH
nは、そのω
nにおける受信信号の相対的な大きさ及び位相オフセットを示す。物体が空間内を移動すると、空間のα
n,kが変化することにより、H
nが変化する。したがって、チャネル応答において検出された変化は、通信チャネル内の物体の移動を示すことができる。一部の事例では、雑音、干渉、又は他の現象が、受信機によって検出されるチャネル応答に影響を及ぼす可能性があり、動き検出システムは、かかる影響を低減又は分離して、動き検出能力の精度及び品質を改善することができる。一部の実装形態では、全体的なチャネル応答は、式(6)において次のように表され得る。
【数6】
【0156】
一部の事例では、空間に対するチャネル応答h
chは、例えば、数学的な推定理論に基づいて決定することができる。例えば、基準信号R
efは、候補h
chを用いて修正することができ、その後、受信信号(R
cvd)に対して最良の一致を提供する候補チャネルを選択するために、最尤アプローチを使用することができる。場合によっては、推定受信信号
【数7】
は、R
efと候補h
chとの畳み込みから取得され、h
chのチャネル係数は、
【数8】
の二乗誤差を最小化するように変更される。これは、以下の式(7)のように数学的に示すことができる。
【数9】
【0157】
【0158】
最小化又は最適化プロセスは、最小平均二乗(LMS)、再帰的最小二乗(RLS)、バッチ最小二乗(BLS)などの適応フィルタリング技術を利用することができる。チャネル応答は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、無限インパルス応答(IIR)フィルタなどであり得る。上記の式に示すように、受信信号は、基準信号とチャネル応答との畳み込みと見なすことができる。畳み込み演算は、チャネル係数が基準信号の遅延されたレプリカの各々とある程度の相関を有することを意味する。したがって、上記の式に示される畳み込み演算は、受信信号が異なる遅延点に現れ、各遅延レプリカがチャネル係数によって重み付けされることを示す。
【0159】
図3A及び
図3Bは、
図2A及び
図2Bにおけるワイヤレス通信デバイス204A、204B、204C間で通信されるワイヤレス信号から計算されたチャネル応答360及びチャネル応答370の例を示すプロットである。
図3A及び
図3Bはまた、ワイヤレス通信デバイス204Aによって伝送された初期ワイヤレス信号の周波数領域表現350を示している。図示の例では、
図3A中のチャネル応答360は、空間200中に動きがない場合にワイヤレス通信デバイス204Bによって受信された信号を表し、
図3B中のチャネル応答370は、物体が空間200中で移動した後に
図2B中のワイヤレス通信デバイス204Bによって受信された信号を表す。
【0160】
図3A及び
図3Bに示す例では、説明のために、ワイヤレス通信デバイス204Aは、周波数領域表現350に示すように、平坦な周波数プロファイル(各周波数成分f
1、f
2、及びf
3の大きさは同じである)を有する信号を伝送する。信号と空間200(及びその中の物体)との相互作用により、ワイヤレス通信デバイス204Aから送信された信号に基づくワイヤレス通信デバイス204Bにおいて受信された信号は、伝送信号とは異なる。伝送信号が平坦な周波数プロファイルを有するこの例では、受信信号は、空間200のチャネル応答を表す。
図3A及び
図3Bに示すように、チャネル応答360チャネル応答370は、伝送信号の周波数領域表現350とは異なる。空間200内で動きが発生すると、チャネル応答の変動も発生する。例えば、
図3Bに示すように、空間200内の物体の動きに関連付けられたチャネル応答370は、空間200内の動きがないことに関連付けられたチャネル応答360とは異なる。
【0161】
更に、物体が空間200内で移動するにつれて、チャネル応答はチャネル応答370から変動する可能性がある。場合によっては、空間200は、別個の領域に分割され得、各領域に関連付けられたチャネル応答は、以下で説明するように、1つ以上の特性(例えば、形状)を共有することができる。したがって、異なる別個の領域内の物体の動きを区別することができ、チャネル応答の分析に基づいて、検出された動きのロケーションを決定することができる。
【0162】
図4A及び
図4Bは、空間400の別個の領域、第1の領域408及び第3の領域412における物体406の動きに関連付けられた例示的なチャネル応答401及びチャネル応答403を示す図である。図示の例では、空間400は建物であり、空間400は、複数の別個の領域、すなわち第1の領域408、第2の領域410、第3の領域412、第4の領域414、及び第5の領域416に分割される。空間400は、一部の事例では、追加の又はより少ない領域を含み得る。
図4A及び
図4Bに示されるように、空間400内の領域は、部屋間の壁によって画定され得る。加えて、領域は、建物のフロア間の天井によって画定され得る。例えば、空間400は、追加の部屋を有する追加のフロアを含んでもよい。加えて、一部の事例では、空間の複数の領域は、高層建築物内の複数のフロア、建築物内の複数の部屋、又は建築物の特定のフロアの複数の部屋であるか、又はそれを含み得る。
図4Aに示される例では、第1の領域408に位置する物体は人物406として表されるが、移動物体は、動物又は無機物体などの別のタイプの物体であってもよい。
【0163】
図示の例では、ワイヤレス通信デバイス402Aは、空間400の第4の領域414に位置し、ワイヤレス通信デバイス402Bは、空間400の第2の領域410に位置し、ワイヤレス通信デバイス402Cは、空間400の第5の領域416に位置する。ワイヤレス通信デバイス402は、
図1のワイヤレス通信デバイス102と同じ又は同様の方法で動作することができる。例えば、ワイヤレス通信デバイス402は、ワイヤレス信号を伝送及び受信し、受信信号に基づいて空間400中で動きが発生したかどうかを検出するように構成されてもよい。一例として、ワイヤレス通信デバイス402は、空間400を通して動き探査信号を周期的に又は繰り返し伝送し、動き探査信号に基づいて信号を受信することができる。ワイヤレス通信デバイス402は、例えば、受信信号に基づいて空間400に関連付けられたチャネル応答を分析することなどによって、物体が空間400内で移動したかどうかを検出するために、受信信号を分析することができる。更に、一部の実装形態では、ワイヤレス通信デバイス402は、空間400内の検出された動きのロケーションを識別するために、受信信号を分析することができる。例えば、ワイヤレス通信デバイス402は、チャネル応答の特性を分析して、チャネル応答が、空間400の第1から第5の領域408、410、412、414、416に関連付けられていることが知られているチャネル応答と同じ又は類似の特性を共有するかどうかを判定することができる。
【0164】
図示の例では、ワイヤレス通信デバイス402のうちの1つ(又は複数)は、空間400を通して動き探査信号(例えば、基準信号)を繰り返し伝送する。動き探査信号は、一部の事例では、平坦な周波数プロファイルを有してもよく、f
1、f
2、及びf
3の大きさは、同一又はほぼ同一である。例えば、動き探査信号は、
図3A及び
図3Bに示す周波数領域表現350と同様の周波数応答を有してもよい。動き探査信号は、一部の事例では異なる周波数プロファイルを有し得る。基準信号と空間400(及びその中の物体)との相互作用により、他のワイヤレス通信デバイス402から伝送された動き探査信号に基づく別のワイヤレス通信デバイス402において受信された信号は、伝送された基準信号とは異なる。
【0165】
受信信号に基づいて、ワイヤレス通信デバイス402は、空間400についてのチャネル応答を決定することができる。動きが空間内の別個の領域で発生するとき、チャネル応答において別個の特性が見られる場合がある。例えば、チャネル応答は、空間400の同じ領域内の動きについてわずかに異なり得るが、別個の領域中の動きに関連付けられたチャネル応答は、概して、同じ形状又は他の特性を共有する場合がある。例えば、
図4Aのチャネル応答401は、空間400の第1の領域408中の物体406の動きに関連付けられた例示的なチャネル応答を表し、
図4Bのチャネル応答403は、空間400の第3の領域412中の物体406の動きに関連付けられた例示的なチャネル応答を表す。チャネル応答401及びチャネル応答403は、空間400中の同じワイヤレス通信デバイス402によって受信された信号に関連付けられている。
【0166】
図4C及び
図4Dは、
図4A及び
図4Bのチャネル応答401、403を、空間400内で動きが発生していないことに関連付けられたチャネル応答460に重ね合わせて示すプロットである。図示の例では、ワイヤレス通信デバイス402は、周波数領域表現450に示されるような平坦な周波数プロファイルを有する動き探査信号を伝送する。空間400内で動きが発生すると、動きのない場合のチャネル応答460に対してチャネル応答の変動が発生し、したがって、チャネル応答の変動を分析することによって、空間400内の物体の動きを検出することができる。加えて、空間400内の検出された動きの相対的なロケーションを識別することができる。例えば、動きに関連付けられたチャネル応答の形状を、(例えば、訓練された人工知能(AI)モデルを使用して)参照情報と比較して、動きを空間400の別個の領域内で発生したものとして分類することができる。
【0167】
空間400中に動きがない場合(例えば、物体406が存在しない場合)、ワイヤレス通信デバイス402は、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460を計算することができる。複数の要因により、チャネル応答にわずかな変動が生じ得るが、異なる時間期間に関連付けられた複数のチャネル応答460は、1つ以上の特性を共有することができる。図示の例では、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460は、減少する周波数プロファイルを有する(f1、f2、及びf3の各々の大きさは、前のものよりも小さい)。チャネル応答460のプロファイルは、(例えば、ワイヤレス通信デバイス402の異なる部屋レイアウト又は配置に基づいて)一部の事例では異なり得る。
【0168】
空間400内で動きが発生すると、チャネル応答の変動が発生する。例えば、
図4C及び
図4Dに示す例では、第1の領域408中の物体406の動きに関連付けられたチャネル応答401は、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460とは異なり、第3の領域412中の物体406の動きに関連付けられたチャネル応答403は、動きがないことに関連付けられたチャネル応答460とは異なる。チャネル応答401は、凹型放物線周波数プロファイルを有し(中間周波数成分f
2の大きさは、外側周波数成分f
1及びf
3よりも小さい)、チャネル応答403は、凸型漸近周波数プロファイルを有する(中間周波数成分f
2の大きさは、外側周波数成分f
1及びf
3よりも大きい)。チャネル応答401、403のプロファイルは、一部の事例では(例えば、ワイヤレス通信デバイス402の異なる部屋レイアウト又は配置に基づいて)異なり得る。
【0169】
チャネル応答を分析することは、デジタルフィルタを分析することと同様であると見なすことができる。チャネル応答は、空間内の物体の反射、並びに動いている又は静止している人間によって作成された反射を通して形成され得る。反射体(例えば、人間)が移動すると、チャネル応答が変化する。これは、極及びゼロを有すると見なされ得るデジタルフィルタの等価タップの変化に変換され得る(極は、チャネル応答の周波数成分を増幅し、応答中のピーク又は高い点として現れるが、ゼロは、チャネル応答の周波数成分を減衰させ、応答中のトラフ、低い点又はヌルとして現れる)。変化するデジタルフィルタは、そのピーク及びトラフのロケーションによって特徴付けることができ、チャネル応答も同様に、そのピーク及びトラフによって特徴付けることができる。例えば、一部の実装形態では、(例えば、周波数軸上のそれらのロケーションとそれらの大きさとをマークすることによって)チャネル応答の周波数成分中のヌルとピークとを分析して、動きを検出することができる。
【0170】
一部の実装形態では、時系列集約を使用して、動きを検出することができる。時系列集約は、移動ウィンドウにわたってチャネル応答の特徴を観測し、統計的尺度(例えば、平均、分散、主成分など)を使用することによってウィンドウ処理された結果を集約することによって実施することができる。動きのインスタンスの間、特徴的なデジタルフィルタ特徴は、散乱シーンの連続的な変化に起因して、一部の値の間で、ロケーション及びフリップフロップの点で変位される。すなわち、等価デジタルフィルタは、(動きによる)そのピーク及びヌルの値の範囲を示す。この値の範囲を見ることによって、空間内の別個の領域について一意のプロファイル(例えば、プロファイルはシグネチャと称されることもある)を識別することができる。
【0171】
一部の実装形態では、AIモデルを使用して、データを処理することができる。AIモデルは、種々のタイプのもの、例えば、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、線形判別分析モデル、決定木モデル、単純ベイズモデル、K最近傍モデル、学習ベクトル量子化モデル、サポートベクターマシン、バギング及びランダムフォレストモデル、並びにディープニューラルネットワークであり得る。概して、全てのAIモデルは、入力値と出力値との間の最も正確な相関を提供する関数を学習することを目的とし、相関することが知られている入力及び出力の履歴セットを使用して訓練される。例えば、人口知能は、機械学習と称されることもある。
【0172】
一部の実装形態では、空間400の別個の領域における動きに関連付けられたチャネル応答のプロファイルが学習され得る。例えば、機械学習を使用して、空間の別個の領域内の物体の動きを用いてチャネル応答特性をカテゴリ分類することができる。場合によっては、ワイヤレス通信デバイス402に関連付けられたユーザ(例えば、空間400の所有者又は他の占有者)が学習プロセスを支援することができる。例えば、
図4A及び
図4Bに示される例を参照すると、ユーザは、学習段階中に第1~第5の領域408、410、412、414、416の各々の中で移動することができ、ユーザが空間400内の特定の領域のうちの1つの中で移動していることを(例えば、モバイルコンピューティングデバイス上のユーザインターフェースを通して)示すことができる。例えば、ユーザが(例えば、
図4Aに示されるように)第1の領域408を通って移動している間、ユーザは、自身が第1の領域408内にいることをモバイルコンピューティングデバイス上で示すことができる(また、必要に応じて、領域を「寝室」、「リビングルーム」、「キッチン」、又は建物の別のタイプの部屋と名付けることができる)。チャネル応答は、ユーザが領域を通って移動するにつれて取得され得、チャネル応答は、ユーザの示されたロケーション(領域)で「タグ付け」され得る。ユーザは、空間400の他の領域について同じプロセスを繰り返すことができる。本明細書で使用される「タグ付け」されたという用語は、ユーザの示されたロケーション又は任意の他の情報を用いてチャネル応答をマークし、識別することを指すことがある。
【0173】
タグ付けされたチャネル応答は、次いで、(例えば、機械学習ソフトウェアによって)処理されて、別個の領域内の動きに関連付けられたチャネル応答の一意の特性を識別することができる。識別されると、識別された一意の特性を使用して、新たに計算されたチャネル応答について検出された動きのロケーションを決定することができる。例えば、AIモデルは、タグ付けされたチャネル応答を使用して訓練され得、訓練されると、新たに計算されたチャネル応答がAIモデルに入力され得、AIモデルは、検出された動きのロケーションを出力することができる。例えば、場合によっては、平均値、範囲、及び絶対値がAIモデルに入力される。一部の事例では、複素チャネル応答自体の大きさ及び位相も入力され得る。これらの値は、AIモデルが任意のフロントエンドフィルタを設計して、空間の異なる領域における動きに関して正確な予測を行うことに最も関連する特徴をピックアップすることを可能にする。一部の実装形態では、AIモデルは、確率的勾配降下を実施することによって訓練される。例えば、特定のゾーン中に最もアクティブであるチャネル応答変動が訓練中に監視されてもよく、(それらの形状、傾向などと相関するように第1の層中の重みを訓練し、適応させることによって)特定のチャネル変動が重く重み付けされてもよい。重み付けされたチャネル変動を使用して、ユーザが特定の領域内に存在するときにアクティブ化するメトリックを作成することができる。
【0174】
チャネル応答ヌル及びピークのような抽出された特徴について、(ヌル/ピークの)時系列は、移動ウィンドウ内の集約を使用し、過去及び現在の一部の特徴のスナップショットをとり、その集約された値をネットワークへの入力として使用して、作成することができる。したがって、ネットワークは、その重みを適応させながら、それらをクラスタ化するために、特定の領域内の値を集約しようとし、これは、ロジスティック分類器ベースの決定表面を作成することによって行うことができる。決定表面は、異なるクラスタを分割し、後続の層は、単一のクラスタ又はクラスタの組み合わせに基づいてカテゴリを形成することができる。
【0175】
一部の実装形態では、AIモデルは、推論の2つ以上の層を含む。第1の層は、異なる濃度の値を別個のクラスタに分割することができるロジスティック分類器として働き、第2の層は、これらのクラスタのうちの一部を一緒に組み合わせて、別個の領域のカテゴリを作成する。追加の後続の層は、クラスタの2つを超えるカテゴリにわたって別個の領域を拡張するのに役立ち得る。例えば、完全に接続された入力層モデルは、追跡された特徴の数に対応するAIと、(選択間の反復を通して)有効なクラスタの数に対応する中間層と、異なる領域に対応する最終層とを含み得る。完全なチャネル応答情報がAIモデルに入力される場合、第1の層は、特定の形状を相関させることができる形状フィルタとして機能し得る。したがって、第1の層は、特定の形状にロックすることができ、第2の層は、それらの形状において発生する変動の尺度を生成することができ、第3の層及び後続の層は、それらの変動の組み合わせを作成し、空間内の異なる領域にマッピングすることができる。異なる層の出力は、次いで、融合層を通して組み合わせることができる。
【0176】
B.Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法
以下では、Wi-Fiセンシングのためのシステム及び方法について説明する。本開示は、オーバーヘッド及びWi-Fiシステム性能への影響を最小限に抑えながら、Wi-Fiセンシングを実施するようにWi-Fiシステムを構成することに関する。
【0177】
本開示のシステム及び方法は、Wi-Fiセンシングのために伝送が行われることを可能にする配信メカニズムを提供する。一実装形態では、正確な時間における一連のセンシング伝送の管理、制御、及び配信のために、メッセージ及びプロトコルの最適化されたセットが提供される。更に、システム及び方法は、測定キャンペーンを制御するように構成され得るセンシングデバイスを活用する。一実装形態では、システム及び方法はまた、リモートデバイスを活用する。リモートデバイスは、センシング伝送を行うように構成され得、センシングデバイスは、センシング伝送に基づいてセンシング測定値を計算するように構成され得る。一実装形態では、センシング測定値は、測定キャンペーンの目的を達成するために更に処理することができる。
【0178】
一実装形態によれば、センシングデバイスは、WLANセンシングセッションを開始することができ、リモートデバイスは、センシングデバイスによって開始されたWLANセンシングセッションに参加することができる。一部の実装形態では、リモートデバイスは、WLANセンシングセッションにおいてセンシング測定のために使用されるPPDUを伝送することができる。一実装形態では、センシングデバイスは、WLANセンシングセッションにおいてPPDUを受信し、PPDUをセンシング測定値へと処理することができる。
【0179】
図5は、一部の実施形態による、Wi-Fiセンシングのためのシステム500の実装形態のアーキテクチャの一部の実装形態を示している。
【0180】
システム500は、センシングデバイス502、複数のリモートデバイス504-(1~K)(リモートデバイス504と総称される)、及び情報交換のためにシステム構成要素間の通信を可能にするネットワーク506を含み得る。システム500は、ワイヤレス通信システム100の例又はインスタンスであり得、ネットワーク506は、ワイヤレスネットワーク又は携帯通信網接続の例又はインスタンスであり得、それらの詳細は、
図1及びそれに付随する説明を参照して提供される。
【0181】
一部の実施形態によれば、センシングデバイス502は、伝送を受信し、Wi-Fiセンシングに有用な1つ以上の受信機測定(例えば、CSI)を実施するように構成され得る。これらの測定値は、センシング測定値として知られ得る。一実施形態では、センシングデバイス502はアクセスポイント(AP)であり得る。一部の実施形態では、センシングデバイス502は、例えば、メッシュネットワークシナリオにおけるステーション(STA)であってもよい。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、
図1に示されたワイヤレス通信デバイス102などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、センシングデバイス502は、
図2A及び
図2Bに示すワイヤレス通信デバイス204などのデバイスによって実装され得る。更に、センシングデバイス502は、
図4A及び
図4Bに示されるワイヤレス通信デバイス402などのデバイスによって実装され得る。一実装形態では、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-(1~K)間の通信を調整及び制御することができる。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、測定キャンペーンの目標を達成するために必要な時間に必要なセンシング伝送を行うことを確実にするために、測定キャンペーンを制御することができる。センシングデバイス502は、センシング測定値を更に処理してもよく、又は別の実施形態では、センシング測定値を処理してWi-Fiセンシングシステムの目標を達成するように構成された別のデバイスにセンシング測定値を伝送するように構成されてもよい。
【0182】
再び
図5を参照すると、一部の実施形態では、リモートデバイス504-1は、Wi-Fiセンシングのためにどの1つ以上のセンシング測定(例えば、CSI)が実施され得るかに基づいて伝送を送信するように構成され得る。一実施形態では、リモートデバイス504-1はSTAであり得る。一部の実施形態では、リモートデバイス504-1は、例えば、センシングデバイス502がSTAとして動作するシナリオにおいて、Wi-FiセンシングのためのAPであってもよい。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、
図1に示すワイヤレス通信デバイス102などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、リモートデバイス504-1は、
図2A及び
図2Bに示すワイヤレス通信デバイス204などのデバイスによって実装され得る。更に、リモートデバイス504-1は、
図4A及び
図4Bに示されているワイヤレス通信デバイス402などのデバイスによって実装され得る。一部の実装形態では、センシングデバイス502とリモートデバイス504-1との間の通信は、ステーション管理エンティティ(SME)及びMAC層管理エンティティ(MLME)プロトコルを介して行うことができる。
【0183】
図5をより詳細に参照すると、センシングデバイス502は、プロセッサ508及びメモリ510を含み得る。例えば、センシングデバイス502のプロセッサ508及びメモリ510は、
図1に示すように、それぞれプロセッサ114及びメモリ116であってもよい。一実施形態では、センシングデバイス502は、伝送アンテナ512、受信アンテナ514、及びセンシングエージェント516を更に含み得る。一部の実施形態では、アンテナを使用して、半二重フォーマットで伝送及び受信の両方を行うことができる。アンテナが伝送を行っているとき、該アンテナは伝送アンテナ512と称されることがあり、アンテナが受信を行っているとき、該アンテナは受信アンテナ514と称されることがある。同じアンテナが、一部の事例では伝送アンテナ512であり、他の事例では受信アンテナ514であり得ることが、当業者によって理解される。アンテナアレイの場合、1つ以上のアンテナ要素が、例えば、ビームフォーミング環境において、信号を伝送又は受信するために使用され得る。一部の例では、複合信号を伝送するために使用されるアンテナ要素のグループは伝送アンテナ512と称されることがあり、複合信号を受信するために使用されるアンテナ要素のグループは受信アンテナ514と称されることがある。例えば、各アンテナは、それ自体の伝送経路及び受信経路を備え、それらは、アンテナが伝送アンテナ512として動作しているか、又は受信アンテナ514として動作しているかに応じて、アンテナに接続するように交互に切り替えられ得る。
【0184】
一実装形態では、センシングエージェント516(例では、Wi-Fiセンシングエージェント又はセンシングアプリケーションとしても知られる)は、センシングデバイス502の媒体アクセス制御(MAC)からアプリケーション層又は別の上位層に物理層パラメータ(例えば、CSIなど)を渡し、移動及び/又は動きを検出又は決定するために物理層パラメータを使用するアプリケーション層プログラムであり得る。一部の実装形態によれば、センシングエージェント516は、センシングアルゴリズムを含む/実行することができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、センシングアルゴリズムを使用してセンシング測定値を処理及び分析し、動き又はジェスチャを検出することなど、センシング決定を行うことができる。一例では、センシングエージェント516は、センシング測定値を動き又はコンテキストアウェア情報に処理することが可能になり得る。更に、センシングエージェント516は、Wi-Fiセンシングの目的で、センシング伝送及びセンシング測定値の数及びタイミングを決定するように構成され得る。一部の実装形態では、センシングエージェント516は、更なる処理のためにセンシング測定値を別のデバイス(又は他のデバイス)に伝送するように構成され得る。
【0185】
一実装形態では、センシングエージェント516は、伝送アンテナ512のうちの少なくとも1つの伝送アンテナにメッセージをリモートデバイス504-1に伝送させるように構成され得る。更に、センシングエージェント516は、受信アンテナ514のうちの少なくとも1つの受信アンテナを介して、リモートデバイス504-1からメッセージを受信するように構成され得る。一例では、センシングエージェント516は、リモートデバイス504-1から受信されたセンシング伝送に基づいてセンシング測定を行うように構成され得る。一実装形態によれば、センシングエージェント516は、移動及び/又は動きを検出することなどのセンシング決定を行うために、センシング測定値を処理し、分析するように構成され得る。
【0186】
一部の実施形態では、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージストレージ518及びセンシングトリガメッセージストレージ520を含み得る。センシング構成メッセージストレージ518は、センシングデバイス502によってリモートデバイス504-1に伝送されたセンシング構成メッセージを記憶することができる。更に、センシングトリガメッセージストレージ520は、センシングデバイス502によってリモートデバイス504-1に伝送されたセンシングトリガメッセージを記憶することができる。センシング構成メッセージストレージ518に記憶されたセンシング構成メッセージに関する情報及びセンシングトリガメッセージストレージ520に記憶されたセンシングトリガメッセージに関する情報は、必要に応じて周期的又は動的に更新されてもよい。一実装形態では、センシング構成メッセージストレージ518及びセンシングトリガメッセージストレージ520は、データベース若しくはファイルシステムなどの、又はメモリ510に結合された、任意のタイプ又は形態のストレージを含み得る。
【0187】
再び
図5を参照すると、リモートデバイス504-1は、プロセッサ528-1及びメモリ530-1を含み得る。例えば、リモートデバイス504-1のプロセッサ528-1及びメモリ530-1は、
図1に示すように、それぞれプロセッサ114及びメモリ116であってもよい。一実施形態では、リモートデバイス504-1は、伝送アンテナ532-1、受信アンテナ534-1、センシングエージェント536-1、及びスケジューラ538-1を更に含み得る。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、リモートデバイス504-1のMACからアプリケーション層プログラムに物理層パラメータを渡すブロックであり得る。センシングエージェント536-1は、伝送アンテナ532-1のうちの少なくとも1つの伝送アンテナ及び受信アンテナ536-1のうちの少なくとも1つの受信アンテナに、センシングデバイス502とメッセージを交換させるように構成され得る。一部の実施形態では、アンテナを使用して、半二重フォーマットで伝送及び受信の両方を行うことができる。アンテナが伝送を行っているとき、該アンテナは伝送アンテナ532-1と称されることがあり、アンテナが受信を行っているとき、該アンテナは受信アンテナ534-1と称されることがある。同じアンテナが、一部の事例では伝送アンテナ532-1であり、他の事例では受信アンテナ534-1であり得ることが、当業者によって理解される。アンテナアレイの場合、1つ以上のアンテナ要素が、例えば、ビームフォーミング環境において、信号を伝送又は受信するために使用され得る。一部の例では、複合信号を伝送するために使用されるアンテナ要素のグループは伝送アンテナ532-1と称されることがあり、複合信号を受信するために使用されるアンテナ要素のグループは受信アンテナ534-1と称されることがある。例えば、各アンテナは、それ自体の伝送経路及び受信経路を備え、それらは、アンテナが伝送アンテナ532-1として動作しているか、又は受信アンテナ534-1として動作しているかに応じて、アンテナに接続するように交互に切り替えられ得る。
【0188】
一実装形態では、スケジューラ538-1は、プロセッサ228-1及びメモリ230-1に結合され得る。一部の実施形態では、スケジューラ538-1は、他のユニットの中でもとりわけ、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データタイプを実装し得るルーチン、プログラム、物体、構成要素、データ構造などを含み得る。スケジューラ538-1はまた、信号プロセッサ、状態機械、論理回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作する任意の他のデバイス若しくは構成要素として実装され得る。
【0189】
一部の実施形態では、スケジューラ538-1は、ハードウェア、処理ユニットによって実行される命令、又はそれらの組み合わせで実装され得る。処理ユニットは、コンピュータ、プロセッサ、状態機械、論理アレイ、又は命令を処理することが可能な任意の他の好適なデバイスを備え得る。処理ユニットは、汎用プロセッサに必要なタスクを実行させるための命令を実行する汎用プロセッサであってもよく、又は処理ユニットは、必要な機能を実施するために専用であってもよい。一部の実施形態では、スケジューラ538-1は、プロセッサ/処理ユニットによって実行されると、所望の機能のいずれかを実施する機械可読命令であり得る。機械可読命令は、電子メモリデバイス、ハードディスク、光ディスク、又は他の機械可読記憶媒体若しくは非一時的媒体上に記憶され得る。一実装形態では、機械可読命令はまた、ネットワーク接続を介して記憶媒体にダウンロードされ得る。一例では、機械可読命令がメモリ530-1に記憶され得る。一実装形態では、スケジューラ538-1は、メッセージがいつどのようにセンシングデバイス502と交換されるかを判定するように構成され得る。
【0190】
一部の実施形態では、リモートデバイス504-1は、伝送構成ストレージ540-1及びステアリング行列構成ストレージ542-1を含み得る。伝送構成ストレージ540-1は、センシングデバイス502によってリモートデバイス504-1に配信される要求された伝送構成、又はリモートデバイス504-1によってセンシングデバイス502に配信される配信された伝送構成を記憶することができる。更に、ステアリング行列構成ストレージ542-1は、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を記憶することができる。伝送構成ストレージ540-1に記憶された伝送構成に関する情報、及びステアリング行列構成ストレージ542-1に記憶された1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成に関する情報は、必要に応じて周期的又は動的に更新され得る。一実装形態では、伝送構成ストレージ540-1及びステアリング行列構成ストレージ542-1は、データベース又はファイルシステムなどの任意のタイプ又は形態のストレージを含むか、又はメモリ530-1に結合され得る。
【0191】
1つ以上の実装形態によれば、ネットワーク506における通信は、IEEEによって開発された規格の802.11ファミリのうちの1つ以上によって管理され得る。一部の例示的なIEEE標準は、IEEE P802.11-REVmd/D5.0、IEEE P802.11ax/D7.0、及びIEEE P802.11be/D0.1を含み得る。一部の実装形態では、通信は、他の規格(他の若しくは追加のIEEE規格又は他のタイプの規格)によって管理され得る。一部の実施形態では、システム500が802.11ファミリの標準のうちの1つ以上によって管理されることを必要としないネットワーク506の部分は、ワイヤレスネットワーク又は携帯通信網を含む任意のタイプのネットワークのインスタンスによって実装され得る。
【0192】
1つ以上の実装形態によれば、Wi-Fiセンシングの目的で、センシングデバイス502は、測定キャンペーンを開始することができる。測定キャンペーンでは、センシングデバイス502とリモートデバイス504-1との間の伝送の交換が行われ得る。一例では、これらの伝送の制御は、IEEE 802.11スタックのMAC(媒体アクセス制御)層によるものであり得る。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシングデバイス502に知られていないことがある。したがって、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1が測定キャンペーンのためにサポートすることができる伝送パラメータに関する伝送能力について、リモートデバイス504-1に問い合わせることができる。別の例では、センシングデバイス502は、いかなる事前構成情報も提供することなく、リモートデバイス504-1が測定キャンペーンのためにサポートできる伝送パラメータに関する伝送能力について、リモートデバイス504-1に問い合わせることができる。
【0193】
一実装形態によれば、リモートデバイス504-1の認証及びネットワーク506との関連付けに続いて、センシングエージェント516は、リモートデバイス504-1及びリモートデバイス504-1の伝送(又はセンシング)能力を発見することができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、リモートデバイス504-1の伝送能力を問い合わせるために、伝送アンテナ512を介してリモートデバイス504-1にメッセージを送信することができる。一例では、センシングエージェント516は、伝送アンテナ512を介してセンシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することによって、リモートデバイス504-1の伝送能力を問い合わせることができる。一例では、センシングデバイス502は、空のセンシング構成メッセージを使用してリモートデバイス504-1に連絡して、リモートデバイス504-1の伝送能力を決定するための応答を促すことができる。
【0194】
一実装形態では、センシング構成メッセージは、データ要素を含み得る。一例では、センシング構成メッセージは、測定キャンペーン(又はセンシング伝送)の要件に対応する構成クエリ指示及び要求された伝送構成のうちの1つを含み得る。構成クエリ指示は、リモートデバイス504-1の伝送能力についての要求又はクエリを示すことができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、リモートデバイス504-1に伝送されたセンシング構成メッセージをセンシング構成メッセージストレージ518に記憶することができる。別の例では、測定キャンペーン(又はセンシング伝送)の要件に対応する要求された伝送構成を含めることは、センシング構成クエリ指示であると見なされ得る。一部の実装形態では、センシング構成メッセージは、データ要素を含まなくてもよい。
【0195】
一実装形態によれば、センシングエージェント536-1は、受信アンテナ534-1を介してセンシングデバイス502からセンシング構成メッセージを受信することができる。一実装形態では、構成クエリ指示を含むセンシング構成メッセージを受信したことに応答して、センシングエージェント536-1は、構成クエリ指示を分析し、リモートデバイス504-1に関連付けられた伝送能力指示を含むセンシング構成応答メッセージを伝送する。一例では、伝送能力指示は、リモートデバイス504-1の伝送能力を含み得る。一部の実装形態では、センシングエージェント536-1は、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージを受信することができる。センシングエージェント536-1は、要求された伝送構成を分析し、リモートデバイス504-1の伝送能力が要求された伝送構成に対応すると判定することができる。一例では、リモートデバイス504-1の伝送能力に基づいて、センシングエージェント536-1は、リモートデバイス504-1が要求された伝送構成の各構成要素をサポートすることができるかどうかを判定することができる。一部の例では、構成要素は相互依存であってもよく、その場合、センシングエージェント536-1は、サポートされる構成要素を組み合わせて決定してもよい。
【0196】
一実装形態によれば、センシングエージェント536-1は、リモートデバイス504-1の伝送能力に対応する配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。一例では、センシングエージェント536-1は、配信された伝送構成において、リモートデバイス504-1がサポートすることができる必要な伝送構成の構成要素を示すことができる。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、伝送アンテナ532-1を介してセンシング構成応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。非限定的な例によれば、センシングエージェント516は、40MHzの帯域幅を有し、4つの伝送アンテナを使用する5GHz周波数帯域におけるセンシング伝送を必要とするセンシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。この要件に応答して、センシングエージェント536-1は、リモートデバイス504-1が2.4GHz周波数帯域をサポートし、2つの伝送アンテナを実装することを示すセンシング構成応答メッセージを伝送することができる。
【0197】
一実装形態では、センシングエージェント536-1は、配信された伝送構成をデフォルト伝送構成として伝送構成ストレージ540-1に記憶することができる。一例では、記憶された配信された伝送構成は、提供される要求された伝送構成がない任意の測定キャンペーンのために使用され得る。一部の実装形態では、センシングエージェント516は、配信された伝送構成を使用して、リモートデバイス504-1のための測定キャンペーンのための伝送パラメータを構成することができる。
【0198】
一実装形態によれば、リモートデバイス504-1とセンシングデバイス502との最初の関連付け時に、又はリモートデバイス504-1の伝送能力を決定した時に、センシングエージェント516は、インデックスによって識別可能な1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含むセンシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。一例では、センシングエージェント516は、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を、例えばルックアップテーブルとして記憶することができ、インデックスは、リモートデバイス504-1がインデックスを使用してルックアップすることを可能にし得る。一例では、センシングエージェント516は、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含むセンシング構成メッセージを、伝送アンテナ512を介してリモートデバイス504-1に伝送することができる。一例では、センシングエージェント516は、ブロードキャストメッセージを使用して1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を伝送することができる。
【0199】
一実装形態では、センシングエージェント536-1は、受信アンテナ534-1を介してセンシングデバイス502から1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含むセンシング構成メッセージを受信することができる。一例では、センシングエージェント536-1は、ブロードキャストメッセージとしてセンシング構成メッセージを受信することができる。次いで、センシングエージェント536-1は、センシング構成メッセージを復号して、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を決定することができる。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、ステアリング行列構成ストレージ542-1に1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を記憶することができる。一例では、センシングエージェント536-1は、事前定義されたステアリング行列構成をデフォルト伝送構成として記憶することができる。例えば、記憶された事前定義されたステアリング行列構成は、要求された伝送構成が提供されない任意の測定キャンペーンのために使用されてもよい。一部の実装形態では、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成は、センシングデバイス502によってリモートデバイス504-1の初期事前構成の一部としてリモートデバイス504-1のためにセットアップされ得る。
【0200】
一実装形態によれば、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含むセンシング構成メッセージを受信したことに応答して、センシングエージェント536-1は、リモートデバイス504-1に関連付けられたステアリング行列構成肯定応答を含むセンシング構成応答メッセージを送信することができる。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、伝送アンテナ532-1を介してセンシング構成応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。一例では、センシングエージェント536-1は、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成がステアリング行列構成ストレージ542-1に適用又は記憶されたことの肯定応答として、ヌルセンシング構成応答メッセージを送信することができる。一実装形態では、センシング構成メッセージが1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含まない場合、センシングエージェント536-1は、それのアンテナ構成、例えば、伝送/受信チェーンの数、アンテナの数、デジタル/アナログビームフォーミング能力、及びアンテナ構成に関連付けられた他の情報で応答することができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成のテーブルへのインデックスを送信することによって、リモートデバイス504-1の伝送構成を要求することができる。一例では、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成は、センシング構成メッセージが構成しているルックアップテーブルエントリの数に対応し得る。一例では、インデックスは、対応するルックアップテーブルエントリを位置特定するために使用され得る。
【0201】
一実装形態によれば、センシングエージェント516は、受信アンテナ514を介してリモートデバイス504-1からセンシング構成応答メッセージを受信することができる。一実装形態では、リモートデバイス504-1からセンシング構成応答メッセージを受信したことに応答して、センシングエージェント516は、センシング伝送を開始することができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、センシングエージェント516がリモートデバイス504-1に使用するように要求する伝送パラメータ(例えば、伝送能力及び要求された伝送構成)に基づいてセンシング伝送を開始することができる。一実装形態では、リモートデバイス伝送能力及び/又は要求された伝送構成に基づいて、センシングエージェント516は、センシングトリガメッセージを生成することができる。一例では、センシングトリガメッセージは、リモートデバイス伝送能力を超えない要求された伝送構成を含み得る。例えば、リモートデバイス504-1が2.4GHz周波数帯域をサポートし、2つの伝送アンテナを実装する場合、センシングエージェント516は、2つの伝送アンテナを使用する2.4GHz周波数帯域におけるセンシング伝送を必要とするセンシングトリガメッセージを生成することができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、伝送アンテナ512を介してリモートデバイス504-1にセンシングトリガメッセージを伝送することができる。一部の実装形態では、センシングエージェント516は、伝送されたセンシングトリガメッセージをセンシングトリガメッセージストレージ520に記憶することができる。
【0202】
一実装形態では、センシングエージェント536-1は、受信アンテナ534-1を介してセンシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することができる。一部の実装形態では、センシングエージェント536-1は、センシングトリガメッセージに含まれる要求された伝送構成を適用することができる。その後、センシングエージェント536-1は、センシングトリガメッセージに応答して、要求された伝送構成に従って、センシングデバイス502にセンシング伝送を伝送することができる。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、伝送アンテナ532-1を介してセンシングデバイス502にセンシング伝送を伝送することができる。
【0203】
一部のシナリオでは、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成を含まないことがあり、事前構成が行われないことがある。かかるシナリオでは、センシングエージェント536-1は、センシングトリガメッセージに応答して、記憶されたデフォルト伝送構成(すなわち、それぞれ、伝送構成ストレージ540-1及びステアリング行列構成ストレージ542-1に記憶されたデフォルトステアリング行列構成を含む、配信された伝送構成)をセンシング伝送に自動的に適用することができる。1つ以上の実装形態によれば、センシングエージェント536-1は、デフォルト伝送構成が新しいセンシングトリガメッセージ中の要求された伝送構成によって取って代わられない限り、又は新しいセンシング構成メッセージによって再定義されない限り、記憶されたデフォルト伝送構成を適用することができる。
【0204】
一部の実装形態では、センシングエージェント536-1は、要求された伝送構成及び事前構成がセンシングトリガメッセージにおいて作成されていない場合、センシングトリガメッセージを無視することができる。
【0205】
1つ以上の実装形態によれば、センシングエージェント536-1は、センシングトリガメッセージに応答して、センシング応答メッセージ及びセンシング応答NDPのうちの1つをセンシング伝送として生成することができる。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、要求された伝送構成がデータ転送をサポートするとき、センシング応答メッセージを生成することができる。一部の実装形態では、センシングエージェント536-1は、要求された伝送構成がデータ転送をサポートしないとき、センシング応答告知を生成することができる。別の実装形態では、センシングエージェント536-1は、要求された伝送構成とは無関係にセンシング応答告知を常に生成することができる。一実装形態では、センシング応答メッセージ及びセンシング応答告知は、センシング伝送を伝送するときにリモートデバイス504-1が使用し得る伝送パラメータを記述する、配信された伝送要件を含み得る。
【0206】
一実装形態によれば、センシング応答告知は、センシング応答NDPに適用されることになる配信された伝送構成を含み得る。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、センシング応答告知の1つのSIFSの後に伝送され得るセンシング応答NDPを生成することができる。一例では、センシング応答NDPは、センシングデバイス502がそこからセンシング測定を行うことができるセンシング伝送であり得る。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、伝送アンテナ532-1を介してセンシング応答NDP及びセンシング応答告知をセンシングデバイス502に伝送することができる。一実装形態によれば、センシング応答NDPを伝送する前に、センシングエージェント536-1は、配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータをリモートデバイス504-1に適用することができる。
【0207】
一部の実装形態によれば、センシングエージェント516は、要求されたタイミング構成を含むセンシングトリガメッセージを生成することができる。要求されたタイミング構成は、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502への一連のセンシング伝送を含む測定キャンペーンのためのタイミング要件を示すことができる。一例では、センシングエージェント516は、センシングトリガメッセージを介して周期的な一連のセンシング伝送を開始することができる。したがって、単一のセンシングトリガメッセージが、リモートデバイス504-1による2つ以上のセンシング伝送をトリガすることができる。一例では、周期的センシング伝送は、頻繁で予測可能なセンシング測定を可能にし得る。一例では、センシングエージェント516は、センシングトリガメッセージを介して半周期的な一連のセンシング伝送を開始することができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、要求されたタイミング構成を含むセンシングトリガメッセージを、伝送アンテナ512を介してリモートデバイス504-1に伝送することができる。
【0208】
1つ以上の実装形態によれば、センシングエージェント536-1は、受信アンテナ534-1を介してセンシングデバイス502から、要求されたタイミング構成を含むセンシングトリガメッセージを受信することができる。センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、センシングエージェント536-1は、要求されたタイミング構成に従って一連のセンシング伝送を伝送することができる。一実装形態では、最初に、センシングエージェント536-1は、第1のセンシング伝送で応答することができる。その後、センシングエージェント536-1は、要求されたタイミング構成によって定義された期間に、同一のセンシング伝送(例えば、第2のセンシング伝送、第3のセンシング伝送など)で応答することができる。一実装形態では、センシングエージェント536-1は、センシング応答メッセージを含むセンシング伝送でセンシングトリガメッセージに応答することができる。例えば、センシングエージェント536-1は、要求されたタイミング構成によって定義された期間に同一のセンシング応答メッセージを送信してもよい。一部の実装形態では、センシングエージェント536-1は、センシング応答告知と、それに続く1つのSIFS後のセンシング応答NDPとを含むセンシング伝送を用いてセンシングトリガメッセージに応答することができる。一例では、センシングエージェント536-1は、要求されたタイミング構成によって定義された期間に同一のセンシング応答NDP伝送を送信することができる。一部の実装形態では、要求されたタイミング構成がセンシングトリガメッセージ中に含まれない場合、センシングトリガメッセージは、事前定義された時間期間内に単一のセンシング伝送を開始することができる。
【0209】
一実装形態では、センシングエージェント536-1は、要求されたタイミング構成が満たされたとき、又は新しいセンシングトリガメッセージが受信されたとき、一連のセンシング伝送を停止するように構成され得る。一例では、センシングエージェント536-1は、要求されたタイミング構成の要件が使い果たされるまで、又は新しい測定キャンペーン若しくはセンシング伝送が開始されるまで、センシング伝送を生成し続けることができる。センシングトリガメッセージに応じた一連のセンシング応答メッセージの伝送は、
図6に示されるシーケンス図に示され、センシングトリガメッセージに応じた一連のセンシング応答告知の伝送は、
図7に示されるシーケンス図に示されている。
【0210】
図6に示すように、ステップ602において、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。一例では、センシングトリガメッセージは、要求されたタイミング構成を含み得る。要求されたタイミング構成は、一連のセンシング伝送、例えば、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502へのN回のセンシング伝送を含む測定キャンペーンのタイミング要件を示すことができる。一例では、センシングトリガメッセージは、2つのセンシング伝送間の時間間隔が50ミリ秒であるべきであることを示すことができる。
【0211】
ステップ604において、センシングトリガメッセージに応答して、リモートデバイス504-1は、第1のセンシング応答メッセージを伝送することができる。ステップ606において、リモートデバイス504-1は、センシングトリガメッセージに応答して、要求されたタイミング構成に従って、第2のセンシング応答メッセージを伝送することができる。一例では、リモートデバイス504-1は、第1のセンシング応答メッセージを伝送してから50ミリ秒後に第2のセンシング応答メッセージを伝送することができる。ステップ608において、リモートデバイス504-1は、第Nのセンシング応答メッセージを伝送することができる。
【0212】
図7に示すように、ステップ702において、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。一例では、センシングトリガメッセージは、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502への一連のセンシング伝送、例えば、M回のセンシング伝送を含む測定キャンペーンのためのタイミング要件を示す要求されたタイミング構成を含み得る。一例では、センシングトリガメッセージは、2つのセンシング伝送間の時間間隔が10秒であるべきであることを示すことができる。
【0213】
ステップ704において、センシングトリガメッセージに応答して、リモートデバイス504-1は、第1のセンシング応答告知を伝送することができる。ステップ706において、リモートデバイス504-1は、1つのSIFSの後に第1のセンシング応答NDPを伝送することができる。一例では、SIFSの期間は10μsである。ステップ708において、リモートデバイス504-1は、第2のセンシング応答告知を伝送することができる。一例では、リモートデバイス504-1は、第1のセンシング応答告知704を伝送してから10秒後に第2のセンシング応答告知を伝送することができる。ステップ710において、リモートデバイス504-1は、第2のセンシング応答NDPを伝送することができる。ステップ712では、リモートデバイス504-1は、第Mのセンシング応答告知を伝送してもよく、ステップ714では、リモートデバイス504-1は、第Mのセンシング応答NDPを伝送してもよい。
【0214】
一実装形態によれば、センシングエージェント516は、センシングデバイス502がリモートデバイス504-1に使用することを要求するステアリング行列構成の指定を用いてセンシング伝送を開始することができる。一実装形態では、センシングエージェント516は、ステアリング行列構成の仕様が含まれたセンシングトリガメッセージを生成することができる。一実装形態では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成内のステアリング行列構成を含み得る。一例では、ステアリング行列構成は、センシングデバイス502からリモートデバイス504-1に以前に送信され、ステアリング行列構成ストレージ542-1に記憶された、事前構成された/事前定義されたステアリング行列構成のセット又はテーブルへのインデックスを含み得る。例では、ステアリング行列構成が、リモートデバイス504-1に記憶された事前構成されたステアリング行列構成のセットへのインデックスを含み、インデックスが既知の値、例えば最大値又は最小値に設定されるとき、これは、デフォルトの事前構成されたステアリング行列構成がセンシング伝送のために使用されることをリモートデバイス504-1に示すことができる。一実装形態によれば、センシングデバイス502が、センシングトリガメッセージ中でステアリング行列構成を送信するのではなく、事前構成されたステアリング行列構成のテーブルへのインデックスを送信することによってリモートデバイス伝送構成を要求するとき、測定キャンペーン又はセンシング伝送を構成するときにセンシングデバイス502からリモートデバイス504-1に送信される必要があるシグナリングの量を大幅に低減させることができる。
【0215】
本開示の一態様によれば、Wi-Fiセンシングの目的で、既存のキューイングされた非センシングメッセージが利用され得る。キューイングされた非センシングメッセージとともに別のメッセージを集約するプロセスは、フレーム集約と称されることがある。一実装形態では、追加のメッセージによって引き起こされるオーバーヘッドを低減し、Wi-Fiセンシングもサポートしながらデータ転送のための帯域幅を維持するために、本開示の一部の態様はフレーム集約に依拠する。
【0216】
IEEE P802.11-REVmd/D5.0は、2つのタイプのフレーム集約、すなわちA-MPDU集約及びA-MSDU集約を定義している。フレーム集約は、複数のMPDU又はMSDUが同じPPDU中で搬送されることを可能にし、それによって、複数のPPDUを伝送及び受信するオーバーヘッドを節約する。一実装形態では、測定キャンペーンは、フレームヘッダ内で搬送されるデータに依存し得るため、フレームはA-MPDUを使用して集約される。
図8Aは、IEEE P802.11-REVmd/D5.0標準によるA-MPDUフレームの構造を示し、
図8Bは、A-MPDUサブフレームの構造を示している。
図8Aに示されるように、A-MPDUは、1つ以上のA-MPDUサブフレームのシーケンスと、可変のEOF(エンドオブフレーム)パディングの量とを含む。また、
図8Bに示すように、A-MPDUサブフレームでは、MPDUの前にMPDUデリミタが付加され、MPDUの後にパディングが付加される。
【0217】
一実装形態では、センシングデバイス502がリモートデバイス504-1のためのセンシングメッセージを開始するとき、センシングエージェント516は、リモートデバイス504-1に伝送されるようにスケジュール又はキューイングされた非センシングメッセージがあるかどうかを判定することができる。キューイングされた非センシングメッセージを決定すると、センシングエージェント516は、キューイングされた非センシングメッセージとともにセンシングメッセージを集約し、又は組み込むことができる。例えば、センシングメッセージは、要求された伝送構成、要求されたタイミング構成、及び事前定義されたステアリング行列構成のうちの1つを含み得る、センシングトリガメッセージであってもよい。一実装形態によれば、センシングエージェント516は、それぞれ少なくともIEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.7及びIEEE P802.11ax/D7.0、§26.6.3において定義されたA-MPDUフォーマット又はマルチトラフィック識別子(TID)A-MPDUフォーマットのうちの1つを使用して、センシングトリガメッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込むことができる。一実装形態によれば、マルチTIDは、単一のフレーム中の異なるQoSアクセスカテゴリを有するMPDUの集約を可能にする。
【0218】
センシングトリガメッセージが組み込まれる非センシングメッセージは、ここでは集約メッセージと称されることがある。一例では、リモートデバイス504-1は、(例えば、センシング応答メッセージ又はセンシング応答NDPを使用して)センシング伝送をスケジュールする前に集約されたメッセージ全体を処理することを必要とされないことがあるため、センシングトリガメッセージは、リモートデバイス504-1によるセンシングトリガメッセージのより高速又はより決定論的な検出を可能にするために、第1のフレームとしてキューイングされた非センシングメッセージに組み込まれ得る。
【0219】
一実装形態によれば、リモートデバイス504-1に伝送されるようにスケジュール又はキューイングされた非センシングメッセージがないと判定すると、センシングエージェント516は、センシングトリガメッセージを、リモートデバイス504-1へのセンシング伝送として送信され得る専用センシングトリガメッセージとして準備することができる。
【0220】
一実装形態では、例えばセンシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信したことに応答して、リモートデバイス504-1からのセンシング伝送が必要とされるとき、スケジューラ538-1は、センシングデバイス502に伝送されるキューイングされた非センシングメッセージがあるかどうかと、要求された伝送構成がデータ転送をサポートするかどうかとを判定することができる。キューイングされた非センシングメッセージがあり、要求された伝送構成がデータ転送をサポートすると判定すると、スケジューラ538-1は、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知をキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、集約メッセージを作成することができる。一実施形態では、データ転送をサポートする要求された伝送構成は、スケジューラ538-1がキューイングされた非センシングメッセージのために使用しているデータ転送構成と互換性があることを意味し得る。一例では、キューイングされた非センシングメッセージは、配信された伝送構成及び適用されたステアリング行列構成のうちの1つを含み得る。一実装形態によれば、スケジューラ538-1は、A-MPDUフォーマット又はマルチトラフィック識別子(TID)A-MPDUフォーマットのうちの1つを使用して、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知をキューイングされた非センシングメッセージに組み込むことができる。集約されたメッセージは、要求された伝送構成及び伝送行列構成のうちの1つ以上を使用して伝送され得る。
【0221】
一実装形態では、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知は、センシングデバイス502がセンシング測定を実施する前に集約されたメッセージ全体を処理することを必要とされないことがあるため、センシングデバイス502によるセンシング測定のより高速又はより決定論的な実行を可能にするために、第1のフレームとしてキューイングされた非センシングメッセージに組み込まれ得る。
【0222】
一実装形態によれば、センシングデバイス502への伝送のためにスケジュールされた非センシングメッセージがないと判定すると、スケジューラ538-1は、センシング応答メッセージを専用センシング応答メッセージとして準備するか、又はセンシング応答告知を専用センシング応答告知として準備することができ、それがセンシングデバイス502に送信され得る。
【0223】
IEEE P802.11-REVmd/D5.0は、同じA-MPDUフレーム中に集約された全てのMPDUが同じQoSアクセスカテゴリを用いて伝送されなければならないことを定義する。したがって、一実装形態では、センシングデバイス502からのセンシング構成メッセージ及びセンシングトリガメッセージ、並びにリモートデバイス504-1からのセンシング応答メッセージ及びセンシング告知メッセージは、伝送のためにスケジュールされたフレーム中に存在するデータMPDUのQoSアクセスカテゴリを割り当てられ得る。
【0224】
マルチTID集約がサポートされると判定される例では、同じQoSアクセスカテゴリを共有しない同じA-MPDU中でMPDUを一緒に集約することが可能であり得る。一例では、スケジューラ538-1は、センシングデバイス502からのセンシング構成メッセージMPDU若しくはセンシングトリガメッセージMPDU、又はリモートデバイス504-1からのセンシング応答メッセージMPDU若しくはセンシング告知メッセージMPDUなどのセンシングMPDUを、完全な集約フレーム内の最高優先度MPDUのQoSアクセスカテゴリに等しいQoSアクセスカテゴリで伝送することができる。別の例では、センシングトリガメッセージのQoSアクセスカテゴリは、センシングエージェント536によって決定され得る。
【0225】
一実装形態によれば、ステアリング行列構成は、リモートデバイス504-1の空間マッパによって1つ以上のセンシング伝送に適用される複数のビームフォーミング重みを記述することができる。一例では、空間マッパは、ステアリング行列構成に従ってビームフォーミング重みを適用する伝送機信号チェーン中のブロックであり得る。一実装形態では、リモートデバイス504-1がセンシング伝送を行っているとき、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1の空間マッパによって適用されるステアリング行列構成を要求することができる。一例では、伝送経路ごとに1つの伝送信号があり得、各アンテナは伝送経路のエンドポイントである。1つ以上の実施形態では、ステアリング行列構成は、1つ以上のセンシング伝送のために空間マッパによって各伝送信号に適用されるビームフォーミング重みを記述する。
【0226】
一実装形態によれば、センシングデバイス502は、少なくとも2つのメカニズム、すなわち第1のメカニズム及び第2のメカニズムに基づいて、伝送をセンシングするためにリモートデバイス504-1の空間マッパを制御することができる。第1のメカニズムによれば、センシングデバイス502は、ステアリング行列構成のインデックス付きの事前構成されたテーブルを介してリモートデバイス504-1の空間マッパを制御することができ、第2のメカニズムによれば、センシングデバイス502は、必要な伝送構成の一部として明示的なステアリング行列構成を含めることを介してリモートデバイス504-1の空間マッパを制御することができる。Wi-Fiデバイス上のアンテナは、正確なビームフォーミングのために最適化されないことがあり、本明細書で説明する例は、各ビームフォーミング重みの実数部(I)及び虚数部(Q)の各々のためのIEEE半精度浮動小数点数としてアンテナビームのステアリング行列構成を表すことができる。ここで説明されていない数値フォーマットの他の例が、本明細書で企図される。
【0227】
一実装形態では、センシング伝送のためにリモートデバイス504-1の空間マッパを制御する第1のメカニズムによれば、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージを介してリモートデバイス504-1上にステアリング行列構成のテーブルを事前構成することができる。センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502への各センシング伝送のために、これらの事前構成されたステアリング行列構成のうちのいずれを使用すべきかを選択することができ、インデックスを使用することによって、使用すべきステアリング行列構成を示すことができる。したがって、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成としての1つ以上の事前構成されたステアリング行列構成の選択を含み得る。
【0228】
一実装形態では、センシング伝送のためにリモートデバイス504-1の空間マッパを制御する第2のメカニズムによれば、リモートデバイス504-1からの一連のセンシング伝送がセンシングデバイス502によってトリガされるたびに、一連のセンシング伝送におけるセンシング伝送に必要とされるステアリング行列構成の完全な記述が、測定キャンペーンの構成において、又はセンシングトリガメッセージを用いたセンシング伝送のトリガにおいて指定され得る。
【0229】
一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシング伝送のためのステアリング行列構成を固定するように構成され得る。一例では、ステアリング行列構成は単位行列であり得る。したがって、適用される全てのビームフォーミング重みは、全ての伝送経路について等しくなり得る。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、センシング伝送を実施するときに使用すべき全ての伝送経路に、1つ又は等しいビームフォーミング重みを含むステアリング行列構成を適用するようにリモートデバイス504-1に命令し得る。
【0230】
一実装形態によれば、センシングデバイス502によってリモートデバイス504-1に送信されるセンシングトリガメッセージは、要求されたタイミング構成又は要求された伝送構成を含み得る。要求されたタイミング構成を受信したことに応答して、センシングエージェント536-1は、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502に伝送されるようにスケジュールされた非センシングメッセージが存在するかどうかを判定することができる。伝送されるようにスケジューリングされた非センシングメッセージを判定すると、センシングエージェント536-1は、非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合しているかどうかを判定することができる。ここで、「適合する」という用語は、要求されたタイミング構成及び要求された伝送構成を非センシングメッセージ伝送に適用することが、センシングデバイス502への非センシングメッセージの正常な配信を損なわないことを示すことができる。
【0231】
一実装形態では、センシングエージェント536-1は、すでにスケジュールされた非センシングメッセージがセンシング伝送の要求された時間にある(又はそれに十分近い)と見なされ得るタイミングウィンドウを用いて事前構成され得る。一例では、要求されたタイミング構成は、センシングトリガメッセージを介して指定され得るタイミングウィンドウの定義を含むように拡張され得る。一実装形態では、要求されたタイミング構成を参照して、センシングエージェント536-1は、伝送タイミング構成が非センシングメッセージと互換性があるかどうかを判定することができる。一例では、センシングエージェント536-1は、要求されたタイミング構成に従って非センシングメッセージ伝送時間をセンシング伝送時間と整合させることが非センシングメッセージの必要とされるQoSアクセスカテゴリを損なわない場合、伝送タイミング構成が非センシングメッセージと互換性があると判定することができる。
【0232】
一実装形態によれば、要求された伝送構成を含むセンシングトリガを受信したことに応答して、スケジューラ538-1は、配信された伝送構成を含むセンシング応答メッセージ及びセンシング応答告知のうちの1つを生成することができる。スケジューラ538-1がセンシング応答メッセージを生成する場合、配信された伝送構成は、センシング応答メッセージを伝送するために使用される伝送パラメータを含み得る。スケジューラ538-1がセンシング応答告知を生成する場合、配信された伝送構成は、後続のセンシング応答NDPの伝送パラメータを含み、センシング応答告知の伝送パラメータを含まないことがある。一例では、スケジューラ538-1は、要求された伝送構成がセンシングトリガメッセージ中に含まれていたかどうかにかかわらず、配信された伝送構成を含んでいるセンシング応答メッセージ又はセンシング応答告知を生成することができる。
【0233】
スケジューラ538-1が、要求されたタイミング構成及び要求された伝送構成の両方に適合する非センシングメッセージがあると判定するシナリオでは、スケジューラ538-1は、センシング応答メッセージを生成することができる。一例では、センシング応答メッセージは、任意選択で、配信された伝送構成を含み得る。一実装形態では、スケジューラ538-1は、A-MPDU又はマルチTID A-MPDUフォーマットを使用して、スケジューリングされた非センシングメッセージとともにセンシング応答メッセージを集約することができる。一実装形態によれば、スケジューラ538-1は、要求された伝送構成及び要求されたタイミング構成に従って、センシング応答メッセージを含む集約された非センシングメッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。
【0234】
一実装形態によれば、スケジューラ538-1が、要求されたタイミング構成に適合するが、要求された伝送構成には適合しない非センシングメッセージがあると判定した場合、スケジューラ538-1はセンシング応答告知を生成することができる。センシング応答告知は、任意選択で要求された伝送構成に等しい配信された伝送構成を含み得、それは、後続のセンシング応答NDPに適用され得る。一実装形態では、スケジューラ538-1は、A-MPDU又はマルチTID A-MPDUフォーマットを使用して、スケジューリングされた非センシングメッセージとともにセンシング応答告知を集約することができる。一実装形態によれば、スケジューラ538-1は、要求されたタイミング構成に従って、センシング応答告知を含む集約された非センシングメッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。一実装形態では、スケジューラ538-1は、要求された伝送構成に従ってリモートデバイス504-1の伝送構成を再構成し、1つのSIFSの後にセンシング応答NDPを送信することができる。
【0235】
一実装形態によれば、スケジューラ538-1は、要求されたタイミング構成に適合しない非センシングメッセージが存在すると判定することができる。非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合していないと判定したことに応答して、スケジューラ538-1は、非センシングメッセージを要求されたタイミング構成に適合させるために非センシングメッセージを時間的に遅延又は前進させることができるかどうかを判定することができる。時間を遅延又は前進させることによって非センシングメッセージを要求されたタイミング構成に適合させるために、スケジューラ538-1は、非センシングメッセージの伝送時間を調整することができる。一部の実装形態では、スケジューラ538-1は、次いで、要求されたタイミング構成に適合させられた非センシングメッセージを使用して、センシング伝送と集約させることができる。
【0236】
一実装形態では、スケジューラ538-1は、要求された伝送構成が非センシングメッセージの正常な受信をもたらす可能性が高いかどうかを判定することができる。要求された伝送構成が非センシングメッセージの正常な受信をもたらす可能性が高いという判定に応答して、スケジューラ538-1は、センシング応答メッセージを生成することができる。一例では、センシング応答メッセージは、任意選択で、センシング応答メッセージの配信された伝送構成を含み得る。一実装形態によれば、スケジューラ538-1は、センシング応答メッセージを非センシングメッセージと集約させることができる。その後、センシングエージェント536-1は、配信された伝送構成に従って伝送パラメータを構成することができ、スケジューラ538-1は、センシング応答メッセージを含む集約された非センシングメッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。
【0237】
一実装形態によれば、要求された伝送構成が非センシングメッセージの正常な受信をもたらす可能性が低いという判定に応答して、スケジューラ538-1は、センシング応答告知を生成することができる。一例では、センシング応答告知は、任意選択で、後続のセンシング応答NDPの配信された伝送構成を含み得る。一実装形態では、スケジューラ538-1は、センシング応答告知を非センシングメッセージと集約させることができる。その後、スケジューラ538-1は、センシング応答告知を含む集約された非センシングメッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。一実装形態では、スケジューラ538-1は、既知の最適な伝送構成を使用して、集約された非センシングメッセージを伝送することができる。一例では、スケジューラ538-1は、最後の非センシングメッセージに使用された伝送構成を使用して、集約された非センシングメッセージを伝送することができる。一実装形態によれば、センシング応答告知に続いて、スケジューラ538-1は、配信された伝送構成に従って伝送パラメータを構成し、1つのSIFSの後にセンシング応答NDPを送信することができる。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1からの伝送を受信することができる。センシングエージェント516は、伝送を受信し、伝送からセンシング応答メッセージ又はセンシング応答告知を検出することができる。一部の実装形態では、センシングエージェント516は、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知から、配信された伝送構成をアンパックすることができる。配信された伝送構成がセンシング応答メッセージ又はセンシング応答告知中に存在しないシナリオでは、センシングエージェント516は、伝送構成が要求された伝送構成と同じであると仮定することができる。
【0238】
一実装形態によれば、リモートデバイス504-1からのセンシング伝送がセンシング応答メッセージである場合、センシングエージェント516は、要求された伝送構成において構成された、又はセンシング応答メッセージの配信された伝送構成において識別された訓練フィールドに基づいて、センシング測定値を計算することができる。一実装形態では、リモートデバイス504-1からのセンシング伝送がセンシング応答告知である場合、センシングエージェント516は、要求された伝送構成において構成された、又はセンシング応答告知の配信された伝送構成において識別された訓練フィールドに基づいて、直後のセンシング応答NDPからセンシング測定値を計算することができる。一例では、訓練フィールドは、配信された伝送構成が返されないシナリオではデフォルト訓練フィールドであると見なされ得る。
【0239】
一実装形態によれば、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1から受信されたセンシング伝送に対してセンシング測定を実施することができる。一部の実装形態では、センシングデバイス502は、実施されたセンシング測定を別のデバイス又はアプリケーションに送信することができる。一例では、センシングデバイス502によって実施されたセンシング測定は、センシングエージェント536-1に送信され得る。一実装形態では、センシングデバイス502は、実施されたセンシング測定をリモートデバイス504-1に転送するために、リモートデバイス504-1にTXOP(代替的に「TXOP要求」と称される)を要求することができる。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1が、TXOP要求に応答してセンシングデバイス502にTXOPを許可する(代替的に「TXOPグラント」と称される)とき、センシングデバイス502は、センシング応答メッセージ中でセンシング測定値をリモートデバイス504-1に送信することができる。一例では、センシングデバイス502は、最後に使用されたものに対応する伝送パラメータを利用することができる。一実装形態では、TXOP要求は、センシングデバイス502がリモートデバイス504-1への伝送においてセンシング応答メッセージを送信するようにTXOPを要求していることをリモートデバイス504-1に示すフラグを含み得る。この場合、リモートデバイス504-1は、センシングデバイス502がセンシング応答メッセージを伝送するときに適用し得る、TXOPグラント内の配信された伝送構成を含み得る。
【0240】
本開示の種々の態様がリモートデバイス504-1に関して説明されるが、これらの態様は、リモートデバイス504-2からリモートデバイス504-Nに等しく適用可能であり得る。シナリオでは、センシング伝送は、例えば、リモートデバイス504-1、504-2、504-3、及び504-4から順に伝送(及び受信)され得る。一実装形態では、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1、504-2、504-3、及び504-4の各々に送信されたセンシングトリガメッセージを使用して測定キャンペーンを構成することができる。一例では、センシングトリガメッセージは、シーケンシャル又はラウンドロビンセンシング伝送及び対応するセンシング測定を可能にするために、各リモートデバイスのための要求されたタイミング構成を含み得る。
【0241】
図5には1つのセンシングデバイス502が示されているが、2つ以上のセンシングデバイスがあってもよい。一例では、センシングデバイス502を含む4つのセンシングデバイスがあってもよい。一実装形態では、リモートデバイス504-1からのセンシング伝送は、これらの4つのセンシングデバイスに順次伝送され得る。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、リモートデバイス504-1が、これらの4つのセンシングデバイスのいずれかへのすでにスケジュールされた非センシングメッセージを使用して、要求された伝送構成を有するセンシング伝送を作成することが可能であるかどうか、又はリモートデバイス504-1が、すでにスケジュールされた非センシングメッセージと集約されない専用センシング伝送を送信する必要があるかどうかを独立して決定することが可能になり得る。一実装形態では、リモートデバイス504-1が4つのセンシングデバイスのいずれかに送信されるスケジュールされた非センシングメッセージを有していない場合、リモートデバイス504-1は、4つのセンシングデバイスのうちの1つ以上に専用センシング応答メッセージを伝送することができる。リモートデバイス504-1からセンシング伝送を受信すると、4つのセンシングデバイスの各々は、センシング伝送に対してセンシング測定を実施することができる。
【0242】
一実装形態によれば、これらのセンシングデバイスによって実施されたセンシング測定は、別のデバイス又はアプリケーションに伝送され得る。一例では、センシング測定値は、リモートデバイス504-1に伝送され得る。一実装形態では、これらの4つのセンシングデバイスからリモートデバイス504-1へのセンシング測定値の伝送は、リモートデバイス504-1からのTXOPを要求するセンシングデバイスの各々によって達成され得る。リモートデバイス504-1がTXOP要求に応答してセンシングデバイスにTXOPを許可するとき、センシングデバイスは、リモートデバイス504-1にデータ伝送を送信するために最後に使用されたものに対応する伝送パラメータを利用して、センシング応答メッセージ中のセンシング測定値をリモートデバイス504-1に送信することができる。一例では、TXOP要求は、センシングデバイスがリモートデバイス504-1へのデータ伝送においてセンシング応答メッセージを送信するためのTXOPを要求していることをリモートデバイス504-1に示し得るフラグを含み得る。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシング応答メッセージを伝送するときにセンシングデバイスが適用し得る、センシングデバイスへのTXOPグラント内の配信された伝送構成を含み得る。
【0243】
上記で説明したように、本開示の一部の実施形態は、Wi-Fiセンシングのための5つのセンシングメッセージタイプ、すなわち、センシング構成メッセージ、センシング構成応答メッセージ、センシングトリガメッセージ、センシング応答メッセージ、センシング応答告知、及びセンシング応答NDPを定義する。一例では、センシング応答NDPを除いて、残りのセンシングメッセージタイプは、IEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.6.7に記載されているように、管理フレーム中で搬送される。一部の例では、センシング応答NDPを除いて、残りのセンシングメッセージタイプは、IEEE 802.11制御フレームへの新しい拡張において搬送される。一部の例では、管理フレームと制御フレームとの組み合わせが、これらのセンシングメッセージタイプを実現するために使用され得る。一実装形態では、センシング応答NDPを除く全てのセンシングメッセージタイプの情報コンテンツは、
図9に示されているように、センシング伝送を搬送するパブリックアクションIEEE 802.11管理フレーム中で搬送され得る。一部の例では、
図9に記載されたようなタイミング構成、伝送構成、及びステアリング行列構成は、IEEE 802.11要素(IEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.4.2)として実装される。別の実装形態では、センシング応答NDPを除く全てのセンシングメッセージタイプの情報コンテンツは、
図9に示されているセンシング伝送を搬送する保護アクションIEEE 802.11管理フレーム中で搬送され得る。
【0244】
1つ以上の実施形態では、一部の実施形態によれば、センシングメッセージタイプは、メッセージタイプフィールドによって識別することができ、各センシングメッセージタイプは、他の識別された要素を搬送してもしなくてもよい。センシングメッセージタイプ及び構成要素の例を表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0245】
センシング伝送のための例示的な伝送構成要素(例えば、必要とされる伝送構成又は配信された伝送構成)が表2に提供される。
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0246】
一例では、表2~表6に提供されるデータは、センシングデバイス502とリモートデバイス504-1との間のセンシングメッセージに含めるために、IEEE P802.11-REVmd/D5.0§9.4.2に記載されるように要素に符号化されてもよく、その逆も同様である。複数のリモートデバイスを伴う測定キャンペーンでは、これらの伝送構成要素は、全てのリモートデバイスについて(すなわち、リモートデバイスごとに)定義され得る。一例では、センシングデバイス502からリモートデバイス504-1に伝送されるとき、これらの伝送構成要素は、リモートデバイスセンシング伝送を構成することができ、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502に伝送されるとき、これらの伝送構成要素は、センシング伝送のためにリモートデバイス504-1によって使用される構成を報告する。
【0247】
例えば、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502への周期的又は半周期的センシング伝送のための測定キャンペーンの一部として定義されるパラメータの例が、表7に提供される。
【表7】
【表8】
【0248】
一例では、表7及び表8に定義されたパラメータは、センシングデバイス502とリモートデバイス504-1との間のセンシングメッセージに含めるために、例えばIEEE P802.11-REVmd/D5.0に従って要素に符号化される。一実装形態によれば、複数のリモートデバイスを伴う測定キャンペーンの場合、これらのパラメータは全てのリモートデバイスについて定義され得る。
【0249】
一部の例では、第1のセンシング伝送の時間は、タイミング構成要素において指定され得る。好適な共通時間基準の一例は、タイミング同期機能(TSF)である。この例では、将来の時間を表すTSFの値は、要求されたタイミング構成の一部として指定され得、リモートデバイス504-1によって行われた第1のセンシング伝送は、指定された時間にスケジューラ538-1によって配信される。一例では、TSFの分解能は、最初のセンシング伝送の時間を指定するために転送されなければならないデータのビットの数を低減するために低減され得る。
【0250】
一実装形態では、SensingMeasType周期的構成は、IEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.4.2.167に開示されている精密タイミング測定と同じ方法を使用することができる。一実施形態による、周期的SensingMeasTypeのためのタイミング構成パラメータのうちの一部が表9に提供される。
【表9】
【0251】
一例では、タイミング構成パラメータは、センシングデバイス502とリモートデバイス504-1との間のメッセージに含めるために、IEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.4.2に記載されているように要素に符号化される。周期的測定構成フィールドは、例示的な実装形態による、
図10A及び
図10Bに図示される。一部の実施形態による、IEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.4.2のための周期的測定構成フィールドのバースト期間サブフィールドが、表10に提供される。
【表10】
【0252】
一部の実装形態によれば、ステアリング行列構成のルックアップテーブルのためのステアリングベクトル構成要素が表11に記載されている。
【表11-1】
【表11-2】
【0253】
一例では、表11に提供されるデータは、センシングデバイス502とリモートデバイス504-1との間のメッセージに含めるために、IEEE P802.11-REVmd/D5.0、§9.4.2として要素に符号化されてもよい。複数のリモートデバイスを含む測定キャンペーンでは、これらのパラメータは、全てのデバイスについて定義され得る。センシングデバイス502からリモートデバイス504-1に伝送されると、ステアリング行列構成は、ルックアップテーブル(後にインデックスを介してアクセスすることができる)を埋める。
【0254】
図11は、一部の実施形態による、測定キャンペーンのためにリモートデバイス504-1を構成するためのフローチャート1100を示している。
【0255】
ステップ1102は、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一部の実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシングデバイス502に知られていなくてもよく、センシングデバイス502は、例えば、測定キャンペーンのために、伝送能力に基づいて、リモートデバイス504-1からセンシングデバイス502へのセンシング伝送を構成するために、リモートデバイス504-1の伝送能力を判定するように要求されてもよい。したがって、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送して、リモートデバイス504-1の伝送能力を決定することができる。一実装形態では、センシング構成メッセージは、データ要素を含み得る。一部の実装形態では、センシング構成メッセージは、いかなるデータ要素も含まなくてもよい。
【0256】
ステップ1104は、センシング構成メッセージに応答して伝送されたリモートデバイス504-1からのセンシング構成応答メッセージを受信することを含む。一例では、センシング構成応答メッセージは、要求された伝送能力を含み得る。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシング構成応答メッセージを受信し、リモートデバイス504-1が実装することが可能であることをセンシングデバイス502が知っている要求された伝送能力に基づいて、測定キャンペーンのためにリモートデバイス504-1を構成することができる。
【0257】
図12は、一部の実施形態による、リモートデバイスの能力を決定するためにリモートデバイス504-1に問い合わせるためのフローチャート1200を示している。
【0258】
ステップ1202は、構成クエリ指示を含むセンシング構成メッセージを生成することを含む。一例では、構成クエリ指示は、センシングデバイス502がその伝送能力を伝送するようにリモートデバイス504-1に要求しているという指示を指すことがある。
【0259】
ステップ1204は、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。一実装形態では、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1の伝送能力を問い合わせるために、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。
【0260】
ステップ1206は、センシング構成メッセージに応答して伝送されたリモートデバイス504-1に関連付けられた伝送能力指示を含むセンシング構成応答メッセージを受信することを含む。一例では、伝送能力指示は、リモートデバイス504-1の伝送能力を含み得る。一実装形態では、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1からセンシング構成応答メッセージを受信することができる。
【0261】
図13は、一部の実施形態による、リモートデバイスの能力を判定するためにリモートデバイス504-1に問い合わせるためのフローチャート1300を示している。
【0262】
ステップ1302は、センシング伝送の要件に対応する要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージを生成することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージを生成することができる。
【0263】
ステップ1304は、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。
【0264】
ステップ1306は、センシング構成メッセージに応答して伝送されたリモートデバイス504-1に関連付けられた伝送能力に対応する配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージを受信する。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージに応答して伝送されたリモートデバイス504-1からの配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージを受信することができる。
【0265】
図14は、一部の実施形態による、測定キャンペーンのための伝送能力を構成するためのフローチャート1400を示している。
【0266】
ステップ1402は、インデックスによって識別可能な1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含むセンシング構成メッセージを生成することを含む。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージを生成することができる。
【0267】
ステップ1404は、センシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、1つ以上の事前定義されたステアリング行列構成を含むセンシング構成メッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。
【0268】
ステップ1406は、センシング構成メッセージに応答して伝送されたリモートデバイス504-1に関連付けられたステアリング行列構成肯定応答を含むセンシング構成応答メッセージを受信することを含む。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、センシング構成メッセージに応答して、リモートデバイス504-1からステアリング行列構成肯定応答を含むセンシング構成応答メッセージを受信することができる。
【0269】
図15は、一部の実施形態による、配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージを伝送するためのフローチャート1500を示している。
【0270】
ステップ1502は、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージをセンシングデバイス502から受信することを含む。一部の実装形態では、リモートデバイス504-1は、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージをセンシングデバイス502から受信することができる。
【0271】
ステップ1504は、伝送能力が要求された伝送構成に対応すると判定することを含む。一部の実装形態によれば、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージを受信したことに応答して、リモートデバイス504-1は、その伝送能力が要求された伝送構成に対応すると判定することができる。
【0272】
ステップ1506は、配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することを含む。一部の実装形態では、リモートデバイス504-1は、配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。
【0273】
図16は、一部の実施形態による、リモートデバイス504-1とのセンシング伝送を開始するためのフローチャート1600を示している。
【0274】
ステップ1602は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシングデバイス502がリモートデバイス504-1に使用するように要求する伝送パラメータを用いてセンシング伝送を開始することができる。
【0275】
ステップ1604は、センシングトリガメッセージに応答して伝送されたリモートデバイス504-1からセンシング伝送を受信することを含む。
【0276】
図17は、一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答してセンシング伝送を受信するためのフローチャート1700を示している。
【0277】
ステップ1702は、リモートデバイス伝送能力を超えない要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを生成することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、リモートデバイス伝送能力を超えない要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを生成することができる。一例では、リモートデバイス伝送能力は、リモートデバイス504-1によってサポートされる伝送パラメータとして理解され得る。
【0278】
ステップ1704は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。
【0279】
ステップ1706は、センシングトリガメッセージに応答して伝送されたリモートデバイス504-1からセンシング伝送を受信することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージに応答してリモートデバイス504-1によって伝送されたセンシング伝送を受信することができる。
【0280】
図18は、一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答してセンシング伝送を受信するためのフローチャート1800を示している。
【0281】
ステップ1802は、要求されたタイミング構成を含むセンシングトリガメッセージを生成することを含む。一例では、要求されたタイミング構成は、一連のセンシング伝送を含む測定キャンペーンのためのタイミング要件を示すことができる。一実装形態では、センシングデバイス502は、要求されたタイミング構成を含むセンシングトリガメッセージを生成することができる。
【0282】
ステップ1804は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。
【0283】
ステップ1806は、センシングトリガメッセージに応答して、要求されたタイミング構成に従って伝送されたリモートデバイス504-1からセンシング伝送を受信することを含む。一例では、センシング伝送は、センシング応答メッセージ及びセンシング応答NDPのうちの1つを含み得る。一実装形態では、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージに応答してリモートデバイス504-1からセンシング伝送を受信することができる。
【0284】
図19は、一部の実施形態による、受信されたセンシング伝送に対してセンシング測定を実施するためのフローチャート1900を示している。
【0285】
ステップ1902は、センシングトリガメッセージに応答してリモートデバイス504-1からセンシング伝送を受信することを含む。一例では、センシング伝送は訓練フィールドを含み得る。一部の例では、センシング伝送は、配信された伝送構成を含み得る。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージに応答してリモートデバイス504-1からセンシング伝送を受信することができる。
【0286】
ステップ1904は、受信されたセンシング伝送に対してセンシング測定を実施することを含む。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、受信されたセンシング伝送の訓練フィールドに基づいてセンシング測定を実施することができる。一部の実装形態では、センシングデバイス501は、センシング伝送の配信された伝送構成を識別し、配信された伝送構成及びセンシング伝送に従ってセンシング測定値を計算することができる。一部の実装形態では、センシングデバイス502が、センシング伝送が配信された伝送構成を含まないことを判定する場合、センシングデバイス502は、判定に応答して、デフォルト伝送構成を伝送構成として識別することができる。
【0287】
図20は、一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを受信したことに応答してセンシング応答メッセージを伝送するためのフローチャート2000を示している。
【0288】
ステップ2002は、センシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することを含む。一例では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成を含み得る。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、センシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することができる。
【0289】
ステップ2004は、センシングトリガメッセージの受信に応答して、センシング応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することを含む。一例では、センシング応答メッセージは、配信された伝送構成を含み得る。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシングトリガメッセージの受信に応答して、センシング応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。更に、一実装形態によれば、センシング応答メッセージを伝送する前に、リモートデバイス504-1は、配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータを適用することができる。
【0290】
図21は、一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを受信したことに応答してセンシング応答告知を伝送するためのフローチャート2100を示している。
【0291】
ステップ2102は、センシングデバイスからセンシングトリガメッセージを受信することを含む。一例では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成を含み得る。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、センシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することができる。
【0292】
ステップ2104は、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、センシングデバイスにセンシング応答告知を伝送することを含む。一例では、センシング応答告知は、配信された伝送構成を含み得る。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、センシング応答告知をセンシングデバイス502に伝送することができる。
【0293】
ステップ2106は、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、センシング応答NDPをセンシングデバイス502に伝送することを含む。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、センシング応答NDPをセンシングデバイス502に伝送することができる。一実装形態によれば、センシング応答NDPの伝送の前に、リモートデバイス504-1は、配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータを適用することができる。
【0294】
図22は、一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを受信したことに応答してセンシング応答メッセージを生成するためのフローチャート2200を示している。
【0295】
ステップ2202は、要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージをセンシングデバイス502から受信することを含む。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージをセンシングデバイス502から受信することができる。
【0296】
ステップ2204は、要求された伝送構成がデータ転送をサポートするかどうかを判定することを含む。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、要求された伝送構成がデータ転送をサポートするかどうかを判定することができる。要求された伝送構成がデータ転送をサポートすると判定された場合、フローチャート2200はステップ2206「はい」分岐に進み、要求された伝送構成がデータ転送をサポートしないと判定された場合、フローチャート2200はステップ2210「いいえ」分岐に進む。
【0297】
ステップ2206は、センシング応答メッセージを生成することを含む。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、要求された伝送構成がデータ転送をサポートするとき、センシング応答メッセージを生成することができる。一例では、センシング応答メッセージは、配信された伝送構成を含み得る。
【0298】
ステップ2208は、センシング応答メッセージをセンシングデバイスに伝送することを含む。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、センシング応答メッセージをセンシングデバイス502に伝送することができる。
【0299】
ステップ2210は、センシング応答告知を生成することを含む。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、要求された伝送構成がデータ転送をサポートしないとき、センシング応答告知を生成することができる。一例では、センシング応答告知は、配信された伝送構成を含み得る。
【0300】
ステップ2212は、データ転送をサポートしない配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータを適用することなく、センシング応答告知をセンシングデバイス502に伝送することを含む。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシング応答告知をセンシングデバイス502に伝送することができる。
【0301】
図23は、一部の実施形態による、要求されたタイミング構成に従ってセンシング伝送を伝送するためのフローチャート2300を示している。
【0302】
ステップ2302は、要求されたタイミング構成を含むセンシングトリガメッセージをセンシングデバイス502から受信することを含む。一例では、要求されたタイミング構成は、一連のセンシング伝送を含む測定キャンペーンのためのタイミング要件を示すことができる。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、センシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することができる。一例では、要求されたタイミング構成に従って構成された一連のセンシング伝送は周期的である。
【0303】
ステップ2304は、要求されたタイミング構成に従って一連のセンシング伝送をセンシングデバイス502に伝送することを含む。一例では、要求されたタイミング構成に従って構成された一連のセンシング伝送は周期的である。一実装形態では、リモートデバイス504-1は、要求されたタイミング構成に従って一連のセンシング伝送を伝送することができる。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、要求されたタイミング構成が満たされたとき、又は新しいセンシングトリガメッセージが受信されたとき、一連のセンシング伝送を停止するように構成され得る。
【0304】
図24は、一部の実施形態による、センシングトリガメッセージに応答して伝送されたセンシング伝送を受信するためのフローチャート2400を示している。
【0305】
ステップ2402は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することを含む。一例では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成を含み得る。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージをリモートデバイス504-1に伝送することができる。一例では、要求された伝送構成は、ステアリング行列構成を示すことができる。ステアリング行列構成は、リモートデバイス504-1の空間マッパによってセンシング伝送に適用される複数のビームフォーミング重みを記述することができる。一例では、要求された伝送構成は、デフォルトの事前構成されたステアリング行列構成を示すことができる。一部の例では、センシングトリガメッセージは、要求された伝送構成内の1つ以上の事前構成されたステアリング行列構成へのインデックスを含み得る。
【0306】
ステップ2404は、リモートデバイス504-1からセンシングトリガメッセージに応答して伝送されたセンシング伝送を受信することを含む。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1からのセンシングトリガメッセージに応答して伝送されたセンシング伝送を受信することができる。
【0307】
図25は、一部の実施形態による、センシングトリガメッセージを専用センシングトリガメッセージとして又は集約メッセージとして準備するためのフローチャート2500を示している。
【0308】
ステップ2502は、キューイングされた非センシングメッセージが存在するかどうかを判定することを含む。一実装形態によれば、センシングデバイス502は、リモートデバイス504-1に伝送されるキューイングされた非センシングメッセージが存在するかどうかを判定することができる。キューイングされた非センシングメッセージが存在すると判定された場合、フローチャート2500はステップ2204の「はい」の分岐に進み、キューイングされた非センシングメッセージが存在しないと判定された場合、フローチャート2500はステップ2506の「ノー」の分岐に進む。
【0309】
ステップ2504は、センシングトリガメッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込むことを含む。一例では、センシングトリガメッセージは、要求されたタイミング構成、要求されたタイミング構成、及び事前定義されたステアリング行列構成のうちの1つを含み得る。一実装形態では、キューイングされた非センシングメッセージが存在すると判定したことに応答して、センシングデバイス502は、A-MPDUフォーマット又はマルチTID A-MPDUフォーマットのうちの1つを使用して、キューイングされた非センシングメッセージにセンシングトリガメッセージを組み込むことができる。一例では、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージを第1のフレームとしてキューイングされた非センシングメッセージに含めることができる。
【0310】
ステップ2506は、センシングトリガメッセージを専用センシングトリガメッセージとして準備することを含む。一実装形態では、キューイングされた非センシングメッセージが存在しないと判定したことに応答して、センシングデバイス502は、センシングトリガメッセージを専用センシングトリガメッセージとして準備し得る。
【0311】
図26は、一部の実施形態による、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込むためのフローチャート2600を示している。
【0312】
ステップ2602は、センシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することを含む。一例では、センシングトリガメッセージは、要求されたタイミング構成を含み得る。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、センシングデバイス502からセンシングトリガメッセージを受信することができる。
【0313】
ステップ2604は、リモートデバイス504-1に存在するキューイングされた非センシングメッセージが、要求されたタイミング構成に適合しているかどうかを判定することを含む。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、リモートデバイス504-1に存在するキューイングされた非センシングメッセージが、要求されたタイミング構成に適合しているかどうかを判定することができる。キューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合していると判定された場合、フローチャート2600はステップ2606の「はいエス」の分岐に進み、キューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合していないと判定された場合、フローチャート2600はステップ2608の「ノー」の分岐に進む。
【0314】
ステップ2606は、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込むことを含む。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、キューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合していると判定したことに応答して、キューイングされた非センシングメッセージにセンシング応答メッセージを組み込むことができる。
【0315】
ステップ2608は、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込むことと、組み込まれたメッセージのタイミングを、要求されたタイミング構成に適合するように調整することと、を含む。一実装形態によれば、リモートデバイス504-1は、キューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合していないと判定したことに応答して、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、組み込まれたメッセージのタイミングを、要求されたタイミング構成に適合するように調整することができる。
【0316】
特定の実施形態として、以下が挙げられる。
【0317】
実施形態1は、Wi-Fiセンシングのために構成されたシステムであり、システムは、少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサとを含むセンシングデバイスを備え、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの伝送アンテナに、センシング構成メッセージを伝送させ、少なくとも1つの受信アンテナを介して、センシング構成応答メッセージを受信させる命令を実行するように構成される。
【0318】
実施形態2は、センシング構成メッセージが、構成クエリ指示を含み、センシング構成応答メッセージが、リモートデバイスに関連付けられた伝送能力指示を含む、実施形態1のシステムである。
【0319】
実施形態3は、センシング構成メッセージがデータ要素を含まない、実施形態1又は実施形態2のシステムである。
【0320】
実施形態4は、センシング構成メッセージが、データ要素を更に含む、実施形態1又は実施形態2のシステムである。
【0321】
実施形態5は、センシング構成メッセージが、センシング伝送の要件に対応する要求された伝送構成を含み、センシング構成応答メッセージが、リモートデバイスに関連付けられた伝送能力に対応する配信された伝送構成を含む、実施形態1~実施形態4のうちのいずれか1つのシステムである。
【0322】
実施形態6は、伝送されたセンシング構成メッセージがステアリング行列構成を含み、センシング構成応答メッセージが、リモートデバイスに関連付けられたステアリング行列構成肯定応答を含む、実施形態1~実施形態5のうちのいずれか1つのシステムである。
【0323】
実施形態7は、Wi-Fiセンシングのために構成されたシステムであり、システムは、少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサとを含むリモートデバイスを備え、少なくとも1つのプロセッサは、要求された伝送構成を含むセンシング構成メッセージを受信し、リモートデバイスに関連付けられた伝送能力が要求された伝送構成に対応すると判定し、配信された伝送構成を含むセンシング構成応答メッセージを伝送するための命令を実行するように構成される。
【0324】
実施形態8は、リモートデバイスが、新しい要求された伝送構成を含まないセンシングトリガメッセージに応答して、要求された伝送構成に従って1つ以上のセンシング伝送を伝送するように更に構成される、実施形態7のシステムである。
【0325】
実施形態9は、少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサとを含むセンシングデバイスを備えるシステムであり、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの伝送アンテナに、センシングトリガメッセージを伝送させ、少なくとも1つの受信アンテナを介して、センシングトリガメッセージに応答して伝送されたセンシング伝送を受信させる命令を実行するように構成される。
【0326】
実施形態10は、センシングトリガメッセージが、リモートデバイスの伝送能力を超えない要求された伝送構成を含む、実施形態9のシステムである。
【0327】
実施形態11は、センシングトリガメッセージが、センシング伝送のための要求されたタイミング構成を含み、センシング伝送が、センシングトリガメッセージに応答して、要求されたタイミング構成に従って伝送される、実施形態9又は実施形態10のシステムである。
【0328】
実施形態12は、要求されたタイミング構成が、リモートデバイスからセンシングデバイスへの一連のセンシング伝送を含む測定キャンペーンのタイミング要件を示す、実施形態11のシステムである。
【0329】
実施形態13は、少なくとも1つのプロセッサが、センシングトリガメッセージに応答してリモートデバイスからセンシング伝送を受信し、センシング伝送に対してセンシング測定を実施するための命令を実行するように更に構成される、実施形態9~実施形態12のうちのいずれか1つのシステムである。
【0330】
実施形態14は、センシング測定が、センシング伝送の訓練フィールド上で実施される、実施形態13のシステムである。
【0331】
実施形態15は、センシング伝送が、センシング応答NDP又はセンシング応答メッセージのうちの1つを含む、実施形態9~実施形態14のうちのいずれか1つのシステムである。
【0332】
実施形態16は、センシング伝送が、配信された伝送構成を含む、実施形態9~実施形態15のうちのいずれか1つのシステムである。
【0333】
実施形態17は、センシングデバイスがセンシング伝送を受信する前に、センシングデバイスがセンシング応答告知を受信する、実施形態9~実施形態16のうちのいずれか1つのシステムである。
【0334】
実施形態18は、センシング応答告知が、配信された伝送構成を含む、実施形態17のシステムである。
【0335】
実施形態19は、センシングデバイスが、要求された伝送構成がデータ転送をサポートするとき、リモートデバイスからセンシング応答メッセージを受信し、要求された伝送構成がデータ転送をサポートしないとき、リモートデバイスからセンシング応答告知を受信するように更に構成される、実施形態10~実施形態17のうちのいずれか1つのシステムである。
【0336】
実施形態20は、センシングトリガメッセージが、要求された伝送構成内のステアリング行列構成を含む、実施形態9~実施形態19のうちのいずれか1つのシステムである。
【0337】
実施形態21は、センシングトリガメッセージが、要求された伝送構成内の1つ以上の事前構成されたステアリング行列構成へのインデックスを含む、実施形態9~実施形態20のうちのいずれか1つのシステムである。
【0338】
実施形態22は、少なくとも1つのプロセッサが、キューイングされた非センシングメッセージがセンシングデバイスに存在するかどうかを判定し、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在すると判定したことに応答して、センシングトリガメッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込まれたメッセージとして組み込み、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在しないと判定したことに応答して、センシングトリガメッセージを専用のセンシングトリガメッセージとして準備する命令を実行するように更に構成される、実施形態9~実施形態21のうちのいずれか1つのシステムである。
【0339】
実施形態23は、センシングトリガメッセージが、集約されたMPDUを使用して、キューイングされた非センシングメッセージに組み込まれる、実施形態9~実施形態22のうちのいずれか1つのシステムである。
【0340】
実施形態24は、センシングトリガメッセージが、マルチトラフィックID集約MPDUを使用して、キューイングされた非センシングメッセージに組み込まれる、実施形態9~実施形態22のうちのいずれか1つのシステムである。
【0341】
実施形態25は、センシングトリガメッセージが、組み込まれたメッセージ内の第1のフレームとして含まれる、実施形態23又は実施形態24のシステムである。
【0342】
実施形態26は、センシングトリガメッセージが、要求されたタイミング構成を更に含む、実施形態9~実施形態25のうちのいずれか1つのシステムである。
【0343】
実施形態27は、ステアリング行列構成が、リモートデバイスの空間マッパによってセンシング伝送に適用される複数のビームフォーミング重みを記述する、実施形態20~実施形態26のうちのいずれか1つのシステムである。
【0344】
実施形態28は、1つ以上の事前構成されたステアリング行列構成がそれぞれ、リモートデバイスの空間マッパによってセンシング伝送に適用される複数のビームフォーミング重みを記述する、実施形態20~実施形態27のうちのいずれか1つのシステムである。
【0345】
実施形態29は、センシングトリガメッセージが、要求された伝送構成の一部として、1つ以上の事前構成されたステアリング行列構成の選択を含む、実施形態10~実施形態28のうちのいずれか1つのシステムである。
【0346】
実施形態30は、少なくとも1つのプロセッサが、命令を実行して、センシング伝送の配信された伝送構成を識別し、配信された伝送構成及びセンシング伝送に従ってセンシング測定値を計算するように更に構成される、実施形態9~実施形態29のうちのいずれか1つのシステムである。
【0347】
実施形態30は、プロセッサが、センシング伝送が配信された伝送構成を含まないことを決定し、決定に応答してデフォルト伝送構成を識別し、デフォルト伝送構成及びセンシング伝送に従ってセンシング測定値を計算するための命令を実行するように更に構成される、実施形態9~実施形態30のうちのいずれか1つのシステムである。
【0348】
実施形態32は、少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサとを含むセンシングデバイスを備えるシステムであり、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの伝送アンテナに、センシングトリガメッセージを伝送させる命令を実行し、少なくとも1つの受信アンテナを介して、センシングトリガメッセージに応答して伝送されたセンシング応答告知を受信するように構成され、センシング応答告知は、配信された伝送構成を含み、プロセッサは、センシング応答告知に続くセンシング応答NDPを受信する命令を実行するように更に構成される。
【0349】
実施形態33は、少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサと、を含む、リモートデバイスを備える、システムであって、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの受信アンテナに、センシングトリガメッセージを受信させ、センシングトリガメッセージの受信に応答して、少なくとも1つの伝送アンテナを介して、センシング応答メッセージを伝送させる命令を実行するように構成される、システムである。
【0350】
実施形態34は、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、リモートデバイスが、キューイングされた非センシングメッセージが存在するかどうかを判定し、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在すると判定したことに応答して、リモートデバイスが、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在しないと判定したことに応答して、リモートデバイスが、センシング応答メッセージを専用伝送として準備する、実施形態33のシステムである。
【0351】
実施形態35は、センシングトリガメッセージが、要求された伝送構成を更に含み、要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを受信したことに応答して、配信された伝送構成がセンシング応答メッセージに含まれ、センシング応答メッセージを伝送する前に、配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータがリモートデバイスに適用される、実施形態33又は実施形態34のシステムである。
【0352】
実施形態36は、センシングトリガメッセージが、要求されたタイミング構成を更に含み、要求されたタイミング構成に応答して、リモートデバイスが、リモートデバイスに存在するキューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合するかどうかを判定し、キューイングされた非センシングメッセージが存在し、適合すると判定したことに応答して、リモートデバイスが、センシング応答メッセージをキューイングされた非センシングメッセージに組み込み、リモートデバイスが、組み込まれたメッセージを伝送する、実施形態33~実施形態35のうちのいずれか1つのシステムである。
【0353】
実施形態37は、センシングトリガメッセージが、要求されたタイミング構成を更に含み、要求されたタイミング構成に応答して、リモートデバイスが、リモートデバイスに存在するキューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合しているかどうかを判定し、キューイングされた非センシングメッセージが要求されたタイミング構成に適合していないと判定したことに応答して、リモートデバイスが、キューイングされた非センシングメッセージにセンシング応答メッセージを組み込み、リモートデバイスが、要求されたタイミング構成に適合するように組み込まれたメッセージのタイミングを調整し、リモートデバイスが、組み込まれたメッセージを伝送する、実施形態33~実施形態36のうちのいずれか1つのシステムである。
【0354】
実施形態38は、少なくとも1つの伝送アンテナと、少なくとも1つの受信アンテナと、少なくとも1つのプロセッサとを含む、リモートデバイスを備える、システムであって、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの受信アンテナに、センシングトリガメッセージを受信させ、センシングトリガメッセージの受信に応答して、少なくとも1つの伝送アンテナを介して、センシング応答告知を伝送させ、少なくとも1つの伝送アンテナを介して、センシング応答NDPを伝送させる命令を実行するように構成される、システムである。
【0355】
実施形態39は、センシングトリガメッセージが、要求された伝送構成を更に含み、要求された伝送構成を含むセンシングトリガメッセージを受信したことに応答して、配信された伝送構成が、センシング応答告知に含まれ、配信された伝送構成に対応するリモートデバイス伝送パラメータが、センシング応答NDPを伝送する前にリモートデバイスに適用される、実施形態38のシステムである。
【0356】
実施形態40は、少なくとも1つのプロセッサが、要求されたタイミング構成に従って一連のセンシング伝送を伝送するための命令を実行するように更に構成されている、実施形態33~実施形態39のうちのいずれか1つのシステムである。
【0357】
実施形態41は、要求されたタイミング構成に従って構成された一連のセンシング伝送が周期的である、実施形態40のシステムである。
【0358】
実施形態42は、少なくとも1つのプロセッサが、要求されたタイミング構成が満たされるか、又は新たなセンシングトリガメッセージが受信されたときに、一連のセンシング伝送を停止する命令を実行するように更に構成されている、実施形態40又は実施形態41のシステムである。
【0359】
実施形態43は、要求された伝送構成が、デフォルトの事前構成されたステアリング行列構成を示す、実施形態39~実施形態42のうちのいずれか1つのシステムである。
【0360】
実施形態44は、センシングトリガメッセージを受信したことに応答して、リモートデバイスが、キューイングされた非センシングメッセージが存在するかどうかを判定し、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在すると判定したことに応答して、リモートデバイスが、キューイングされた非センシングメッセージにセンシング応答告知を組み込み、キューイングされた非センシング応答メッセージが存在しないと判定したことに応答して、リモートデバイスが、専用伝送としてセンシング応答告知を準備する、実施形態38~実施形態43のうちのいずれか1つのシステムである。
【0361】
実施形態45は、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知が、集約されたMPDUを使用して、組み込まれたメッセージとして、キューイングされた非センシングメッセージに組み込まれる、実施形態34~実施形態37又は実施形態44のうちのいずれか1つのシステムである。
【0362】
実施形態46は、センシング応答メッセージ又はセンシング応答告知が、マルチトラフィックID集約MPDUを使用して、組み込まれたメッセージとして、キューイングされた非センシングメッセージに組み込まれる、実施形態34~実施形態37又は実施形態44のうちのいずれか1つのシステムである。
【0363】
実施形態47は、センシング応答告知が、組み込まれたメッセージ内の第1のフレームとして含まれる、実施形態34~実施形態37又は実施形態44~実施形態46のうちのいずれか1つのシステムである。
【0364】
実施形態48は、センシング伝送が、受信されたタイミング構成に従って伝送される、実施形態34~実施形態37又は実施形態44~実施形態46のうちのいずれか1つのシステムである。
【0365】
実施形態49は、センシングトリガメッセージが、要求された伝送構成に応答して、要求された伝送構成を更に含み、リモートデバイスが、リモートデバイスに存在するキューイングされた非センシングメッセージが要求された伝送構成に適合しているかどうかを判定し、キューイングされた非センシングメッセージが要求された伝送構成に適合していないと判定したことに応答して、リモートデバイスが、センシング応答告知をキューイングされた非センシングメッセージに組み込みメッセージとして組み込み、リモートデバイスが、組み込まれたメッセージを伝送する、実施形態38~実施形態48のうちのいずれか1つのシステムである。
【0366】
実施形態50は、センシング応答NDPが、要求された伝送構成に従って伝送される、実施形態38~実施形態49のうちのいずれか1つのシステムである。
【0367】
システムの上述の実施形態1~50の各々は、本明細書で説明されるような適切なシステム及びデバイスによって実行される方法として更に実装され得る。
【0368】
方法及びシステムの種々の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は例示的なものであり、説明した方法又はシステムの範囲を決して限定するものではない。当業者は、記載された方法及びシステムの最も広い範囲から逸脱することなく、記載された方法及びシステムの形態及び詳細に変更を加えることができる。したがって、本明細書で説明される方法及びシステムの範囲は、例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。