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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】着色度計測器
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/46 20060101AFI20240729BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
G01N21/27 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024023652
(22)【出願日】2024-02-20
【審査請求日】2024-02-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000120401
【氏名又は名称】荏原実業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 康弘
(72)【発明者】
【氏名】豊田 和之
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊博
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-127531(JP,U)
【文献】特開昭61-065123(JP,A)
【文献】特開2005-139363(JP,A)
【文献】特開2008-002956(JP,A)
【文献】特開平10-206328(JP,A)
【文献】特開2005-257374(JP,A)
【文献】特開2007-114038(JP,A)
【文献】特開平10-115585(JP,A)
【文献】特開昭61-105432(JP,A)
【文献】米国特許第4145110(US,A)
【文献】米国特許第6256446(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01N 15/00 - G01N 15/1492
G01B 11/00 - G01B 11/30
G02B 1/10 - G02B 1/18
G02B 5/00 - G02B 5/136
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の着色度計測器であって、
光源部及び受光部を含む計測部と、液体中に浸漬される検知部とを備え、
前記検知部は、
前記光源部から光ファイバを経由して導入された光を、空隙部の前記液体に照射する発光端と、
前記液体を透過した透過光を受光する受光端とを含み、
前記受光端が受光した前記透過光は、光ファイバを経由して前記受光部へ導入され、
前記計測部が、前記受光部において検出された受光量を計測し、
前記検知部は、第1保持部と、前記第1保持部上にあり、前記発光端を保持する第2保持部と、前記第1保持部上にあり、前記受光端を保持する第3保持部とを備え、前記第2保持部と前記第3保持部により前記発光端及び前記受光端の光軸が一致した状態で保持され、前記検知部は、前記第2保持部及び第3保持部の少なくとも一方を光路方向にスライドさせて、前記発光端及び前記受光端の光軸が一致した状態を保持しながら前記空隙部における光路長を変化させるスライド機構を有することを特徴とする着色度計測器。
【請求項2】
前記スライド機構は、前記第1保持部に設けられたシリンダ内でロッドを動作させ、前記第1保持部に設けられたレールに沿って前記第2保持部及び前記第3保持部の少なくとも一方をスライドさせることを特徴とする請求項1に記載の着色度計測器。
【請求項3】
前記スライド機構は、複数段階のスライドが可能であること特徴とする請求項に記載の着色度計測器。
【請求項4】
前記スライド機構は、前記透過光の透過率に応じて前記光路長を変化させることを特徴とする請求項またはに記載の着色度計測器。
【請求項5】
前記スライド機構は、前記透過率が第1の感度閾値以下である場合に前記光路長を短くし、前記透過率が第2の感度閾値以上である場合に前記光路長を長くすることを特徴とする請求項4に記載の着色度計測器。
【請求項6】
前記光ファイバは、フッ素樹脂で覆われている、あるいは、フッ素コートされた樹脂で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の着色度計測器。
【請求項7】
前記検知部は、前記発光端及び前記受光端の気体洗浄のための吐出口を有することを特徴とする請求項1に記載の着色度計測器。
【請求項8】
前記光源部は白色LEDであり、前記受光部はRGBカラーセンサであることを特徴とする請求項1に記載の着色度計測器。
【請求項9】
前記光源部はRGB三色LEDであり、前記受光部は受光素子であることを特徴とする請求項1に記載の着色度計測器。
【請求項10】
前記計測部は、前記透過光の透過率を表示する表示部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の着色度計測器。
【請求項11】
前記表示部は、前記透過率が所定の警報閾値以下もしくは所定の警報閾値以上である場合に、警報を表示することを特徴とする請求項10に記載の着色度計測器。
【請求項12】
前記計測部は、前記透過光の透過率が所定の警報閾値以下もしくは所定の警報閾値以上である場合に、警報を接点出力する出力部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の着色度計測器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体の着色度計測器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等から河川への着色排水の流出により、近隣住民からのクレームによる企業イメージ(価値)の低下、景観や生態系への悪影響が懸念されている。水質汚濁防止法においては、着色排水に関する明確な記載がないため、事故を防止する仕組みは存在しない。そのため、一部の自治体では、独自規制の制定や染色工場への注意喚起が行われている。
【0003】
特許文献1には、液体あるいは加熱して液状になる化学製品の着色度測定器であって、光源からの光を被測定液体が入った試料セルを通過させて、フォトセンサで検出するように構成された着色度測定器が開示されている。この着色度測定器では、光源として一つのパッケージに封印されたRGB三色LEDを用い、該三色LEDをマイクロコンピュータで制御して、赤、緑、青、それぞれ単独、且つ順繰りに発光させて、同LEDの発光色に同期してフォトセンサの検出値を区別して分類し、色別の検出値から色の三刺激値X、Y、Zを計算し、その値から被測定液体の色数を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-134246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の着色度測定器では、工場排水のような液体の着色度を人手を介さずに常時測定し、異常が検知された場合にはそれをすぐに通知することはできなかった。
【0006】
本開示は、このような問題に鑑みてなされたものであり、液体の着色度を人手を介さずに連続的に測定し、異常の発生をすぐに通知することができる着色度計測器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によると、液体の着色度計測器は、光源部及び受光部を含む計測部と、液体中に浸漬される検知部とを備え、前記検知部は、前記光源部から光ファイバを経由して導入された光を、空隙部の前記液体に照射する発光端と、前記液体を透過した透過光を受光する受光端とを含み、前記受光端が受光した前記透過光は、光ファイバを経由して前記受光部へ導入され、前記計測部が、前記受光部において検出された受光量を計測することを特徴とする。
【0008】
また、本開示の一態様によると、前記検知部は、前記発光端及び前記受光端の少なくとも一方をスライドさせて、前記空隙部における光路長を変化させるスライド機構を有することを特徴とする。
【0009】
また、本開示の一態様によると、前記スライド機構は、複数段階のスライドが可能であること特徴とする。
【0010】
また、本開示の一態様によると、前記スライド機構は、前記透過光の透過率に応じて前記光路長を変化させることを特徴とする。
【0011】
また、本開示の一態様によると、前記スライド機構は、前記透過率が第1の感度閾値以下である場合に前記光路長を短くし、前記透過率が第2の感度閾値以上である場合に前記光路長を長くすることを特徴とする。
【0012】
また、本開示の一態様によると、前記光ファイバは、フッ素樹脂で覆われている、あるいは、フッ素コートされた樹脂で覆われていることを特徴とする。
【0013】
また、本開示の一態様によると、前記検知部は、前記発光部及び前記受光部の気体洗浄のための吐出口を有することを特徴とする。
【0014】
また、本開示の一態様によると、前記発光部及び前記受光部の光軸が一致していることを特徴とする。
【0015】
また、本開示の一態様によると、前記光源部は白色LEDであり、前記受光部はRGBカラーセンサであることを特徴とする。
【0016】
また、本開示の一態様によると、前記光源部はRGB三色LEDであり、前記受光部は受光素子であることを特徴とする。
【0017】
また、本開示の一態様によると、前記計測部は、前記透過光の透過率を表示する表示部をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本開示の一態様によると、前記表示部は、前記透過率が所定の警報閾値以下もしくは所定の警報閾値以上である場合に、警報を表示することを特徴とする。
【0019】
また、本開示の一態様によると、前記計測部は、前記透過光の透過率が所定の警報閾値以下もしくは所定の警報閾値以上である場合に、警報を接点出力する出力部をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本開示によると、液体の着色度を人手を介さずに連続的に測定し、異常の発生をすぐに通知することができる着色度計測器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る着色度計測器の概略構成図である。
図2】一実施形態に係る光ファイバ端部を示す図である。
図3】一実施形態に係る着色度計測処理の概念図である。
図4】一実施形態に係る検知部の概略構成図である。
図5】一実施形態に係る検知部の概略断面図である。
図6】一実施形態に係る検知部の光路長の切り替え処理を説明する図である。
図7】一実施形態に係る光路長の切り替え判定処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。本明細書及び添付の図面を通して同じ要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
(実施形態)
図1は、一実施形態に係る着色度計測器の概略構成図である。着色度計測器100は、検知部10と、光伝部20と、計測部30とを備える。検知部10は、ケース内に測定プローブ11を備える。ケースは、測定対象の液体中に浸漬され、ケース内は液体で満たされる(水中浸漬型)。測定プローブ11には、光ファイバ12の端部と光ファイバ13の端部が、セル(空隙部とも称する)を挟んで対向するように保持されている。
【0024】
なお、測定プローブ11によって光ファイバ12及び光ファイバ13を保持する形態は、これに限定されない。例えば、測定プローブ11に対して、紙面右側または紙面左側から光ファイバ12及び光ファイバ13を接続し、測定プローブ11の同一面で保持するようにしてもよい。この場合、光ファイバ12及び光ファイバ13のそれぞれの光路上に直角プリズムミラーを設けることで、光軸を、セルを挟んで対向させるようにしてもよい。あるいは、測定プローブ11内で光ファイバ12及び光ファイバ13自体を曲げることで、光軸を、セルを挟んで対向させるようにしてもよい。このように、光ファイバ12及び光ファイバ13を測定プローブ11の同一面で保持することにより、ケースを小型化することができる。一方で、ケース内で光路を曲げる必要があり製造コストが上昇してしまう。
【0025】
計測部30は、光源部31、受光部33、表示部38、及び操作部39を備える。光源部31は、検知部10内で液体に照射するための光を出射する。光源部31から出射された光は、光伝部20を経由して検知部10へ導入される。受光部33は、検知部10内で液体を透過した透過光を、光伝部20を経由して受光する。このようにして、計測部30は、受光部33において検出された受光量を計測する。表示部38は、当該受光量に基づいて算出された透過光の透過率を表示する。表示部38は、透過光のRGB各色の透過率(Transmittance)を表示し、所定の警報閾値に応じて警報(Alarm1、Alarm2)を表示することができる。操作部39は、ユーザによる各種設定値の入力等を可能にする。例えば、ユーザは、操作部39を介して所定の警報閾値を設定することができる。また、計測部30は、警報を接点出力するためのリレー接点を備えてもよく、リレー接点を介して外部機器に接続することができる。例えば、計測部30は、所定の警報閾値に応じて、リレー接点を介して接続されたパトランプを点灯させることができる。このように、計測部30は、警報を接点出力する出力部を備えてもよい。
【0026】
光伝部20は、上述した通り、光ファイバとすることができる。光ファイバは、汚染に強いフッ素樹脂で覆われている、あるいは、フッ素コートされた樹脂で覆われていてよい。光伝部20は、光源部31から出射された光を測定プローブ11に保持された発光端に導入し、当該発光端から光を液体に照射する。液体を透過した透過光は測定プローブ11に保持された受光端が受光し、光伝部20は透過光を受光部33に導入する。
【0027】
また、測定プローブ11には、光ファイバ12の発光端、及び光ファイバ13の受光端を気体洗浄するための気体洗浄機51が接続されている。気体洗浄機51には、エア配管14が接続され、セルに設けられた気体吐出口に対してエア洗浄ノズル15が接続されている。気体洗浄機51は、エア洗浄ノズル15から気体を吐出することにより、光ファイバ12の発光端及び光ファイバ13の受光端を洗浄することができる。
【0028】
また、着色度計測器100は、コンプレッサ60を備える。コンプレッサ60は、エア配管14及び電磁弁61を介して、気体洗浄機51に接続される。電磁弁61は、リレー配線63を介して計測部30に接続される。計測部30は、リレー配線63を介して電磁弁61の開閉を制御することで、コンプレッサ60から気体洗浄機51へ吐出される気体量を制御する。気体は、空気または窒素ガスなどとすることができる。
【0029】
図2は、一実施形態に係る光ファイバ端部の(a)斜視図、及び(b)断面図である。光ファイバ21は、その端部が光学窓22によって覆われている。また、光ファイバ21は、黒色の遮光被覆がなされ、さらに、光ファイバ21の中心出しを行うための金属スリーブ23、樹脂24で覆われている。樹脂24は、フッ素樹脂、あるいは、フッ素コートされた樹脂とすることができる。光学窓22は、透明なフッ素樹脂で形成されている。本実施形態では、光ファイバ21の端部(すなわち、図1の光ファイバ12の発光端及び光ファイバ13の受光端)を光学窓22で覆い、光ファイバ21をフッ素樹脂、あるいは、フッ素コートされた樹脂で覆うことで、様々な水質(例えば、様々な濁度や成分)での汚れの付着を軽減することができ、メンテナンスの頻度を減少させることができる。また、水中に浸漬される部分を光ファイバにすることで、単純な構造で安価な筐体とすることができる。さらに、電子部品のショートなどの問題も発生しない。
【0030】
図3は、一実施形態に係る着色度計測処理の概念図である。
まず、光源部31からの光が、光ファイバを経由して測定プローブ11に導入され、試料(液体)32に対して照射される。次いで、受光部33が、試料32を透過した透過光を、光ファイバを経由して受光する。ここでは、液体色に近い波長が透過しやすい。次いで、マイクロプロセッサ34が、受光部33からRGB受光量を、入出力装置35を介して取得する。中央処理装置36は、記憶装置37に格納されたプログラムを実行することで、外乱光補正や温度補正などの補正処理を行い、透過光の透過率を算出する。中央処理装置36は、図1に示したように、表示部38にRGB各色の透過率(Transmittance)を表示またはアナログ出力(DC4~20mAなど)する。なお、中央処理装置36によって吸光度を算出し、表示するようにしてもよい。また、マイクロプロセッサ34は、透過率が所定の警報閾値以下である場合、もしくは、所定の警報閾値以上である場合に、表示部38に通知して警報(Alarm)を表示し、リレー接点を介して警報を接点出力することができる。所定の警報閾値、並びに警報を表示または接点出力する条件(すなわち、所定の警報閾値以上である場合に警報を表示する、もしくは所定の警報閾値以下である場合に警報を表示する)は、操作部39を介してユーザによって設定することができる。
【0031】
光源部31及び受光部33は、白色LED及びRGBカラーセンサの組み合わせ、またはRGB三色LED及び受光素子の組み合わせとすることができる。光源部31が白色LEDであり、受光部33がRGBカラーセンサである場合、白色LEDから光を照射することで、RGBカラーセンサでRGB各色の透過光を受光することができる。一方、光源部31がRGB三色LEDであり、受光部33が受光素子である場合、RGB三色LEDは、例えばRGB各色の光を順番に照射することで、受光素子によりRGB各色の透過光を受光することができる。なお、光源部31及び受光部33の制御は、マイクロプロセッサ34によって行うことができる。
【0032】
図4は、一実施形態に係る検知部の概略構成図である。図4(a)は、測定プローブ11の斜視図を示し、図4(b)は、測定プローブ11の上面図を示し、図4(c)は、測定プローブ11の側面図を示す。
【0033】
測定プローブ11は、第1保持部41、第2保持部42、及び第3保持部43を含む。第2保持部42及び第3保持部43は、第1保持部41上に、図中の矢印方向にスライド可能に載置される。また、第2保持部42は光ファイバ12を保持し、第3保持部43は光ファイバ13を保持する。また、第1保持部41の側面には、スライド機構用のシリンダ44が設けられている。さらに、第1保持部41の底面には、気体洗浄機用の接続部(不図示)が設けられている。スライド機構及び気体洗浄については、後述する。
【0034】
図5は、一実施形態に係る検知部の概略断面図を示す。図5(a)は、測定プローブ11の側面図において、断面Vb及び断面Vcを示す。図5(b)は、図5(a)に示した断面Vbにおける断面図を示し、図5(c)は、図5(a)に示した断面Vcにおける断面図を示す。
【0035】
図5(b)において、測定プローブ11は、第2保持部42が光ファイバ12を保持し、第2保持部42の内部を通って光ファイバ12の端部がセルに面するように構成されている。また、測定プローブ11は、第3保持部43が光ファイバ13を保持し、第3保持部の内部を通って光ファイバ13の端部がセルに面するよう構成されている。また、光ファイバ12の端部及び光ファイバ13の端部は、その光軸が一致するように保持されている。さらに第1保持部41の底面には、光ファイバ12及び13の端部を気体洗浄するための気体洗浄機51が接続されている。気体洗浄機51及び気体吐出口の形態は、図1内の拡大図に示した形態と異なるが、図5(b)に示したように構成してもよい。
【0036】
図5(c)には、測定プローブ11のスライド機構の具体的な構成が示されている。第1保持部41に設けられたシリンダでは、エア配管が接続された第1ロッド制御部52が気体を吐出することにより、第1ロッド53を動作させる。また、エア配管に接続された第2ロッド制御部54が気体を吐出することにより、第2ロッド55を動作させる。そうすることで、第1保持部41に設けられたレールに沿って、第2保持部42を図中の矢印方向にスライドさせるスライド機構が実現される。このスライド機構により、測定プローブ11のセルにおいて試料を透過する光の光路長の切り替えが可能になる。なお、図5(c)では、第2保持部42のスライド機構を示したが、第3保持部43あるいは第2保持部42と第3保持部43の両方にスライド機構を設けてもよい。なお、図1には示されていないが、着色度計測器100には、スライド機構用のコンプレッサ、電磁弁及びエア配管も設けられている。第1ロッド制御部52及び第2ロッド制御部54では、操作部39を介して入力されたユーザ設定にしたがって、マイクロプロセッサ34が当該電磁弁を制御することにより、気体の吐出量を制御することができる。
【0037】
図6は、一実施形態に係る検知部の光路長の切り替え処理を説明する図である。図6では、第3保持部43のスライド機構が示されている。図6(a)では、第3保持部43が図中の矢印方向(すなわち、光路方向)にスライドすることで、光路長Lが変化することが示されている。例えば、第3保持部43が破線で示された位置に移動することで、光路長Lは短くなる。また、図6(b)には、第1保持部41のシリンダ内のロッド53、55を動作させることで、第3保持部43がレールに沿ってスライドすることが示されている。図6(b)の破線に示されるように、光ファイバ12、13の端部の光軸は、一致した状態でスライドされる。スライド機構の構成は、図5を参照して説明した構成と同様である。
【0038】
図7は、一実施形態に係る光路長の切り替え判定処理を説明する図である。ここでは、図7(a)に示される光路長Laと、図7(b)に示される光路長Lbとで、試料を透過する光路長の切り替え判定処理を説明する。なお、La>Lbである。また、光路長の切り替え判定処理は、着色度計測器のマイクロプロセッサ34によって実施される。
【0039】
図7(c)は、光路長Laの状態で検出されたRGBの透過率を示す。図示されるように、R及びBの値が、所定の感度閾値Lowを下回っている。よって、測定プローブ11のスライド機構により光路長Laを光路長Lbに設定し、光路長を短くする。そうすることで、図7(d)に示されるように、好適な透過率を得ることができる。
【0040】
図7(f)は、光路長Lbの状態で検出されたRGBの透過率を示す。図示されるように、Gの値が、所定の感度閾値Highを上回っている。よって、測定プローブ11のスライド機構により光路長Lbを光路長Laに設定し、光路長を長くする。そうすることで、図7(e)に示されるように、好適な透過率を得ることができる。
【0041】
なお、所定の感度閾値Low及び所定の感度閾値Highは、操作部39を介してユーザによって予め設定することができる。また、RGBの透過率のうち、少なくとも1つの透過率が感度閾値Low以下である場合に、光路長を短くするようにしてもよい。また、RGBの透過率のうち、少なくとも1つの透過率が感度閾値High以上である場合に、光路長を長くするようにしてもよい。
【0042】
上述した通り、本実施形態による着色度計測器の検知部10は、以下の特徴を備える。
1)光路長の調整が可能である(スライドレール式)。
2)光ファイバの発光端及び光ファイバの受光端の少なくとも一方がスライド機構によって保持される。スライド機構は、複数段階のスライドが可能なように構成することができる。
3)光ファイバの発光端及び光ファイバの受光端の気体洗浄用吐出口を備え、メンテナンスの頻度を減少させことができる。
4)透過率に応じて光路長を調整する機構を備える。
【0043】
また、本実施形態による着色度計測器によると、以下の効果を奏する。
1)連続測定
液体の着色度を人手を介さずに連続的に測定し、異常の発生をすぐに通知することができる
2)様々な色に対応
既存製品(SS計、濁度計、色度計)は、特定の色のみを測定しているが、本実施形態に係る着色度計測器は、RGB検出を採用しているため、様々な色を検知することができる。そのため、本実施形態に係る着色度計測器は、工場排水の管理だけではなく、例えば、製造工程における品質管理に用いることもできる。
【符号の説明】
【0044】
10 検知部
11 測定プローブ
12、13 光ファイバ
14 エア配管
15 エア洗浄ノズル
20 光伝部
21 光ファイバ
22 光学窓
23 金属スリーブ
24 樹脂
30 計測部
31 光源部
32 試料
33 受光部
34 マイクロプロセッサ
35 入出力装置
36 中央処理装置
37 記憶装置
38 表示部
39 操作部
41 第1保持部
42 第2保持部
43 第3保持部
44 シリンダ
51 気体洗浄機
52 第1ロッド制御部
53 第1ロッド
54 第2ロッド制御部
55 第2ロッド
60 コンプレッサ
61 電磁弁
63 リレー配線
100 着色度計測器
【要約】
【課題】液体の着色度を人手を介さずに連続的に測定し、異常の発生をすぐに通知することができる着色度計測器を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態による液体の着色度計測器は、光源部及び受光部を含む計測部と、液体中に浸漬される検知部とを備える。検知部は、光源部から光ファイバを経由して導入された光を、空隙部の液体に照射する発光端と、液体を透過した透過光を受光する受光端とを含む。受光端が受光した透過光は、光ファイバを経由して受光部へ導入され、計測部が、受光部において検出された受光量を計測する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7