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特許7528412簡易見積り器、簡易見積りシステム、簡易見積りシステムの制御方法、プログラム、及び記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】簡易見積り器、簡易見積りシステム、簡易見積りシステムの制御方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20230101AFI20240730BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240730BHJP
   B60S 5/00 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G06Q30/02 450
G06Q10/20
B60S5/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020120731
(22)【出願日】2020-07-14
(62)【分割の表示】P 2019103394の分割
【原出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020198103
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506305621
【氏名又は名称】ホームネットカーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】江▲崎▼ 眞一
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3036919(JP,U)
【文献】実開昭52-060862(JP,U)
【文献】特開平11-304401(JP,A)
【文献】特開2012-220414(JP,A)
【文献】実開平04-021801(JP,U)
【文献】特開2014-222222(JP,A)
【文献】特許第6782497(JP,B1)
【文献】特開平05-322501(JP,A)
【文献】特開2014-070291(JP,A)
【文献】特開2018-192474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B60S 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の要修理部位の近傍に差し当てられ得る本体と、
前記本体に表記され前記要修理部位のサイズを目視で測定可能な目盛りと、
前記本体に表記された修理の種類を示す項目であって、前記要修理部位を線キズ・スリキズ、バンパーえぐれキズ、へこみキズのいずれかに分類するための修理種類項目と、前記本体の前記目盛りに沿って表記された前記要修理部位のサイズを示す修理サイズ項目と、前記本体に前記修理サイズ項目及び前記修理種項目対応する修理費用見積額とを提示する修理費用瞬時把握可能情報と、
を具備したことを特徴とする簡易見積り器。
【請求項2】
前記本体は、長尺状部材または平板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の簡易見積り器。
【請求項3】
前記本体は、その一部もしくは全部が磁性体によりなることを特徴とする請求項1または2に記載の簡易見積り器。
【請求項4】
前記本体の前記車両側にその一部もしくは全部が磁性体によりなる弾性体が貼り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の簡易見積り器。
【請求項5】
前記本体の少なくとも一端に貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項6】
前記本体が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端及び他方の主面の他端の近傍に巻き取り用の面ファスナーがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項7】
前記本体が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端に巻き取り用のスナップボタンのオスもしくはメスが設けられ、他方の主面の他端の近傍にスナップボタンのメスもしくはオスが設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項8】
前記本体が長尺状の軟性樹脂で形成されており、前記本体を巻き取り自在に収容する容器と、前記容器内に設けられ前記本体を巻き取り方向に付勢する弦巻バネと、前記本体が前記容器から取り出された状態で保持するストッパと、を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の簡易見積り器。
【請求項9】
前記本体が長尺状部材からなり、折尺状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項10】
前記目盛りは前記車両の要修理部位に配置される枠型の本体内に複数の同心枠線であり、前記修理費用瞬時把握可能情報には前記同心枠線の縦及び横方向に沿って変動する修理費用に関する情報とが表記された透明部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の簡易見積り器。
【請求項11】
前記本体は、磁性材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の簡易見積り器。
【請求項12】
前記本体の前記車両側に磁性材料を含む弾性体が貼り付けられていることを特徴とする請求項10に記載の簡易見積り器。
【請求項13】
前記本体の少なくとも一端に貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項14】
前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端及び他方の主面の他端の近傍に巻き取り用の面ファスナーがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項15】
前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端の近傍及び他方の主面の他端の近傍に巻き取り用の磁性材料を含む弾性体がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項10から14のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項16】
前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端に巻き取り用のスナップボタンのオスもしくはメスが設けられ、他方の主面の他端の近傍にスナップボタンのメスもしくはオスが設けられていることを特徴とする請求項10から14のいずれか一項に記載の簡易見積り器。
【請求項17】
前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されており、前記本体及び前記透明部材を巻き取り自在に収容する容器と、前記容器内に設けられ前記本体を巻き取り方向に付勢する弦巻バネと、前記本体及び前記透明部材が前記容器から取り出された状態で保持するストッパと、を更に具備したことを特徴とする請求項10に記載の簡易見積り器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易見積り器、簡易見積りシステム、簡易見積りシステムの制御方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のボディにキズや凹みが生じた場合、オーナーによって自動車修理工場に持ち込まれてキズの長さや凹みの大きさに応じた見積書が作成され、修理後自動車のオーナーが修理費を支払うようになっている。
近年、技術の向上に伴い、キズや凹みの大きさについては、自動車修理工場から遠隔操作で自動車を撮像して得られた画像の修理費用を査定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、自動車の車検や買取り、或いは、キズ等の修理に際して、依頼者と業者とが直接対面することなく、また、依頼者がわざわざ自動車を工場等へ持ち込んだり、業者が依頼者宅等に出向いたりすることなく、各料金や買い取り代金を予め納得した額に決めることができると共に、各料金の支払いも前金制にして、明朗会計の基で各業務を進めることを目的とするものである。
【0004】
特許文献1に記載の発明は、管理センターが査定スペースに設けたリモートカメラを遠隔操作して、査定スペースに入場させた自動車を撮影し、自動車の車検料金や買取代金、修理料金を査定して、各料金を見積り、各料金が支払われた場合、及び、買取り代金の合意があった場合に、各業務の契約を成立させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-221311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、4台のリモートカメラ、ガイドレール、管理センター、モニタ画面等の大掛かりな装置が必要であり、イニシャルコストやランニングコストやメンテナンスコストがかかる。しかも、へこみの測定にはピンを車両に接触させているため、見積書の作成には時間がかかる。さらに、キズは照明の種類や光の当たり具合により見えにくい場合もあり、判断に時間がかかる。
【0007】
ところで、近年、オートブレーキや自動運転の開発が盛んに行われているため正面衝突側面衝突や追突等の大事故が減少している。その反面、自動運転車両は幹線道路での自動運転は得意ではあるが、狭い路地ではカーブを曲がる際に壁や電柱を擦ったり、対向車と接触したりする小事故が起こりやすい。これは、GPS(Global Positioning System:全地球無線測位システム)の精度が誤差数cmであるためカーブを曲がる際や対向車を避ける際に避けきれない場合があるためである。
大事故の場合の自動車の修理には大規模な設備を要する修理工場が向いているのに対し、小規模の修理工場は小事故の修理に向いている。
【0008】
また、少子高齢化に伴い、修理工場でも人手不足が深刻な問題となっている。人手不足に対応するため、平成31年4月1日から、外国人労働者の受け入れを拡大する新たな制度が始まった。これまで「高度な専門人材」に限定されていた就労目的の在留資格を、事実上の単純労働者にも認めるという大きな政策転換である。このため、自動車の修理や整備の効率化や研修の簡素化が求められている。
【0009】
また、例えば自動車の傷は見る角度や光の当たり具合により判定が難しく、熟練した作業員が判定しており、限られた人数で判定するため、見積書の作成や修理に時間がかかっていた。
【0010】
さらに、キズやえぐれの修理後に使用される塗料の調色も熟練を要していた。塗料は通常複数の塗料を配合しており、色の配合比は車種ごとに異なっている。このため、要修理部位の塗料は熟練した作業員が調合し、得られた塗料で塗装している。また、塗料の乾燥は、塗装面に塵埃が付着しないような環境で5~6時間程度要するので、修理の際にはクライアントが待機するか、代車をクライアントに貸し出すことが行われている。代車をクライアントに貸し出す場合、代車の空き状況や返却状況を把握して代車の管理をする必要があり、その分だけコストに反映される。
【0011】
そこで、本発明の目的は、キズ、へこみ、及びえぐれの修理において、簡単な構成で、短時間で低価格な修理費用の見積りができ、もしくは短時間で見積書を作成することができる簡易見積り器、簡易見積りシステム、簡易見積りシステムの制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。本発明の別の目的は、キズやへこみの判定についての特別な研修が不要で、修理時間や修理の予約状況が把握できる簡易見積り器、簡易見積りシステム、簡易見積りシステムの制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、車両の要修理部位の近傍に差し当てられ得る本体と、前記本体に表記され前記要修理部位のサイズを目視で測定可能な目盛りと、前記本体に表記された前記修理の項目と、前記本体の前記目盛りに沿って表記された前記要修理部位のサイズの範囲を示す項目と、前記本体に前記サイズ及び前記修理の項目に対応付けられた修理費用に関する情報と、を具備したことを特徴とする。
【0013】
第1の態様によれば、電気や機械を用いずに、車両の要修理部位の近傍に差し当てるだけで、目視により瞬時に修理費用が把握できる。この結果、作業員はクライアントに即座に修理費用を提示でき、かつクライアントは即時に修理費用がわかるので、車両保険を利用するか否かの判断材料となる。また、本願の簡易見積り器を当てる程度の軽度のキズやへこみやえぐれの部分的な修理のような比較的低価格な修理に対応が可能である。例えば、ドアに小傷が生じた場合にディーラーに持ち込むとドアごと交換することがあるが、小傷の周辺の修理及び簡易塗装をすることで、作業員に対して高度な技術やテクニックを要さない低価格な修理をクライアントに提供することができる。1台数千万円もするような超高級車の場合にはディーラーで修理してもらい、大衆車の小傷の修理には本願の簡易見積り技術で対応するのが好ましいと言える。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記本体は、長尺状部材または平板状部材であることを特徴とする。
【0015】
本体の形状を長尺状とすればキズの長さの測定が容易となり、本体の形状を平板状とすることにより、へこみのサイズの測定が容易となる。平板の形状は、矩形、円形、楕円形、長円形、多角形、もしくは雲形のいずれであってもよい。また、平板の外周に平板を包囲するような補強材を設けてもよい。この場合強度が増すことになる。
【0016】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記本体は、その一部もしくは全部が磁性体によりなることを特徴とする。
【0017】
本体が、その一部もしくは全部が磁性体よりなることにより、本体を車両のボディに貼り付けた状態で作業員が手書きの見積書を作成することができる。
【0018】
本発明の第4の態様は、第1または第2の態様において、前記本体の前記車両側にその一部もしくは全部が磁性体よりなる弾性体が貼り付けられていることを特徴とする。
【0019】
第4の態様によれば、前述した第3の態様のように、本体を車両のボディに貼り付けた状態で作業員が手書きの見積書を作成することができる。
【0020】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様において、前記本体の少なくとも一端に貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0021】
第5の態様によれば、本体を修理工場や事務所の壁にかけることができる。
【0022】
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様において、前記本体が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端及び他方の主面の他端の近傍に巻き取り用の面ファスナーがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0023】
ここで、「軟性樹脂」とは、作業員が容易に折り曲げ可能な樹脂を言い、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等が挙げられる。「他端の近傍」とは、他端ではなく、他端から本体の略一巻き分の長さを離す意味である。
【0024】
第6の態様によれば、本体を巻き取ってから面ファスナーで巻物のように閉じることにより保管が容易となる。
【0025】
本発明の第7の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様において、前記本体が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端に巻き取り用のスナップボタンのオスもしくはメスが設けられ、他方の主面の他端の近傍にスナップボタンのメスもしくはオスが設けられていることを特徴とする。
【0026】
第7の態様によれば、本体を巻き取ってからスナップボタンで閉じることにより巻物のように保管することができる。
ここで、「スナップボタンのオスもしくはメス」、及び「スナップボタンのメスもしくはオス」とあるのは、一方がオスの場合、他方はメスであり、一方がメスの場合、他方はオスを意味する。また、「他端の近傍」とは、他端ではなく、他端から略一巻き分の長さだけ離す意味である。
【0027】
本発明の第8の態様は、第1の態様において、前記本体が軟性樹脂で形成されており、前記本体を巻き取り自在に収容する容器と、前記容器内に設けられ前記本体を巻き取り方向に付勢する弦巻バネと、前記本体が前記容器から取り出された状態で保持するストッパと、を更に具備したことを特徴とする。
【0028】
第8の態様によれば、本体を任意の長さだけ容器から引き出すことにより、見積もり中にかさばらず、利便性が向上する。
【0029】
本発明の第9の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様において、前記本体が長尺状部材からなり、折尺状に形成されていることを特徴とする。
【0030】
第9の態様によれば、本体を折り畳むことができるので、かさばらない。
【0031】
本発明の第10の態様は、車両の修理を要する、要修理部位に配置される枠型の本体内に複数の同心枠線と修理費用に関する情報とが表記された透明部材が設けられていることを特徴とする。
【0032】
第10の態様によれば、車両のへこみに簡易見積り器を当てた場合、へこみのサイズに応じた修理費用が電気や機械を用いずに瞬時に把握できる。また、前述と同様に本願の簡易見積り器を当てる程度の軽度のキズやへこみやえぐれの修理のような比較的低価格な修理に対応が可能である。
【0033】
本発明の第11の態様は、第10の態様において、前記本体は、磁性材料を含むことを特徴とする。
【0034】
ここで、「磁性材料」としては、例えばフェライト磁石粉末やネオジム磁石粉末が挙げられる。
【0035】
本発明の第12の態様は、第10の態様において、前記本体の前記車両側に磁性材料を含む弾性体が貼り付けられていることを特徴とする。
【0036】
本発明の第13の態様は、第10から第12のいずれかの態様において、前記本体の少なくとも一端に貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0037】
本発明の第14の態様は、第10から第14のいずれかの態様において、前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端及び他方の主面の他端の近傍に巻き取り用の面ファスナーがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0038】
本発明の第15の態様は、第10から第14のいずれかの態様において、前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されている場合、一方の主面の一端及び他方の主面の他端の近傍に巻き取り用の磁性材料を含む弾性体がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0039】
ここで、「磁性材料」は、例えばフェライト磁石やネオジム磁石の粉末もしくは板状であってもよい。磁性材料が板状の場合には軟性樹脂もしくは硬性樹脂で被覆するのが好ましい。
【0040】
本発明の第16の態様は、第10から第14のいずれかの態様において、前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されており、一方の主面の一端に巻き取り用のスナップボタンのオスもしくはメスが設けられ、他方の主面の他端の近傍にスナップボタンのメスもしくはオスが設けられていることを特徴とする。
【0041】
本発明の第17の態様は、第10の態様において、前記本体及び前記透明部材が軟性樹脂で形成されており、前記本体及び前記透明部材を巻き取り自在に収容する容器と、前記容器内に設けられ前記本体を巻き取り方向に付勢する弦巻バネと、前記本体及び前記透明部材が前記容器から取り出された状態で保持するストッパと、を更に具備したことを特徴とする。
【0042】
本発明の第18の態様は、車両の要修理部位に配置される枠型の本体と、前記本体内に設けられた透明な基板と、前記基板の上に設けられ発光可能な同心枠線状の発光部を有する透明な発光基板と、前記発光基板の上に設けられた透明なタッチパッドと、前記枠体に設けられ、前記タッチパッドと接触した指先に最も近い同心枠線に対応する修理費用に関する情報を表示する表示部と、前記指先に最も近い同心枠線状の発光部を発光させるように制御する制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0043】
第18の態様において、透明な基板とは、例えばアクリル板やポリカーボネート板が挙げられる。発光部としては、例えば微細発光ダイオードが挙げられる。表示部としては、例えば液晶表示素子が挙げられる。タッチパッドは、平板状のセンサを指でなぞることでマウスポインタの操作をするポインティングデバイスの一種である。タッチパッドと接触した指先と同心枠線との間の距離は例えば最小二乗法による計算で得られる。
【0044】
本発明の第19の態様は、車両の要修理部位に差し当られ得る枠型の本体と、前記本体内に設けられた透明な基板と、前記基板の上に設けられるタッチパッドと、前記タッチパッドに接触した複数の指によるズーム動作を感得し該感得したズーム動作に対する同心枠線を前記基板上もしくは前記基板に積層させて表示させる第1の制御部と、前記第1の制御部によって表示された前記同心枠線に対応する修理費用に関する情報を前記基板上もしくは前記基板に積層させて表示させる第2の制御部とを具備することを特徴とする。
【0045】
本発明の第20の態様は、本体の一方の主面に設けられ、車両の修理を要する、要修理部位を撮像する撮像部と、前記本体の他方の主面に設けられた表示部と、前記表示部に少なくとも前記要修理部位の画像を表示するとともに前記要修理部位のサイズ及び修理費用を算出して得られた情報を表示するように制御する制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0046】
第20の態様において、例えばタイヤを撮像して得られた直径からキズの長さやへこみのサイズを算出することができる。タイヤの側面にはサイズ(例えば、205/65R15 94Hの場合、タイヤ幅205mm、扁平率65%、ラジアル構造R、リム径(タイヤ内径)15インチ、ロードインデックスLI94、速度記号H)が表記されている。タイヤの外径は空気圧や走行前後、外気温等により変化するが、リム径は変化しないため、長さやサイズの基準とすることができる。これらの数値は画像処理により解読しても、作業員が目視で読み取ってもどちらでもよい。尚、速度記号Hは最高速度210km/hを表す。荷重指数であるロードインデックスLI94は最大負荷能力94kgを表す。
撮像部は、要修理部位を撮像するためのものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)を用いたデジタルカメラが挙げられる。
ここで、「少なくとも」とは要修理部位の画像だけでなく、タイヤの画像も含める意味である。
【0047】
本発明の第21の態様は、修理を要する、要修理部位に配置される枠型の本体と、前記本体内に設けられた透明な基板と、前記基板の上に設けられ発光可能な同心枠線状の発光部を有する透明な発光基板と、前記発光基板の上に設けられた透明なタッチパッドと、前記指先に最も近い同心枠線状の発光部を発光させるように制御する制御部と、前記本体に設けられ店舗側端末の受信部に前記指の接触位置に対応する見積データを送信する送信部と、前記店舗側端末に接続され前記見積データに基づく見積書を印刷するプリンタと、を具備したことを特徴とする。
【0048】
第21の態様によれば、枠型の本体を手に持って中央の透明な基板越しに修理部位を見ながら指先を同心枠線に接触させることで同心枠線が発光するので、修理部位が見やすくなり、見積もりデータに基づいて見積書が即座に作成されることにより業務効率が向上する。また、前述したように本願の簡易見積り器を当てる程度の軽度のキズやへこみやえぐれの修理のような比較的低価格な修理に対応が可能である。さらに、キズやへこみの判定は、熟練した作業員でなくても対応可能となる。
ここで、接続とは有線接続及び無線接続を含むものとする。
【0049】
本発明の第22の発明は、第21の態様において、前記本体内に設けられ、前記タッチパッドと接触した指先に最も近い同心枠線に対応する修理費用に関する情報を表示する表示部を具備したことを特徴とする。
【0050】
本発明の第23の態様は、車両の修理を要する、要修理部位を撮像する撮像部と、表示部と、前記表示部に前記要修理部位の画像を表示するとともに前記要修理部位のサイズ及び修理費用に関する情報を算出して得られた情報を表示するように制御する制御部と、店舗側端末の受信部に前記指の接触位置に対応する見積データを送信する送信部と、前記店舗側端末に接続され前記見積データに基づく見積書を印刷可能なプリンタと、を具備したことを特徴とする。
【0051】
第23の態様において、「印刷可能」とは、クライアントが修理費用を見て、修理しないで放置し見積書の印刷を行わない場合があるためである。ここで、接続とは有線接続及び無線接続を含むものとする。
【0052】
本発明の第24の態様は、第23の態様において、前記制御部は前記表示部に修理予約状況情報、修理時間情報、修理工場情報、予約完了情報の少なくとも一つを表示させるようにしたことを特徴とする。
【0053】
第24の態様によれば、クライアントは修理状況情報、修理時間情報、修理工場情報、予約完了情報の確認が把握できることで今後の予定を組みやすくなる。
【0054】
本発明の第25の態様は、第23の態様において、前記端末の前記一方の主面に少なくとも一つの照明用の発光部が設けられていることを特徴とする。
【0055】
本発明の第26の態様は、第23の態様において、少なくとも前記撮像部が前記端末の前記一方の主面の中央近傍に設けられ、前記端末の前記一方の主面の上下左右端もしくは四隅に設けられ、順次発光される複数の発光部と、前記撮像部で得られた画像情報を解析してへこみの有無を判断する解析部と、を具備したことを特徴とする。
【0056】
第26の態様によれば、要修理部に対し、異なる方向から光を照射して撮像することで異なる形状の影を含む画像データが得られる。これらの影を含む画像データもしくは影を含まない画像データを解析することにより、へこみの有無や形状や深さや塗料の調色比(混合比)を観測することができる。これらの画像データを蓄積することで人工知能による判断材料とすることができ、精度の向上が図れる。画像データを蓄積してディープラーニング技術を用いることによりへこみの有無、面積、深さについて推定することが可能であり、画像データの蓄積数が増加するほど精度が向上する。
【0057】
本発明の第27の態様は、第23の態様において、前記へこみの有無の判断は、前記へこみに複数の平行線を投影して、直接斜めから見たり、鏡を当てて間接的に見たりすることで歪みが観測されたか否かにより判断されることを特徴とする。
【0058】
第27の態様によれば、経験を要するへこみの存在の有無について、経験の浅い作業者でもへこみの存在が容易に把握することができる。
【0059】
本発明の第28の態様は、第23の態様において、少なくとも前記撮像部が前記端末の前記一方の主面の両端に設けられ、前記端末の前記一方の主面の上下左右端もしくは四隅に設けられ、順次発光される複数の発光部と、前記撮像部で得られた画像情報を解析してへこみの有無を判断する解析部と、を具備したことを特徴とする。
【0060】
第28の態様によれば、複数の撮像部を用いることで撮像部から要修理部位までの距離が把握できるので、要修理部位の法線方向の距離の変化からへこみの有無やへこみの深さを把握できる。また、要修理部に対し、異なる方向から光を照射して撮像することで異なる形状の影を含む画像データが得られる。これらの影を含む画像データを解析することにより、へこみの有無や形状や深さについての精度が向上する。これらのデータを蓄積することで人工知能による判断材料とすることができ、精度の向上が図れる。
【0061】
本発明の第29の態様は、第23の態様において、前記要修理部位の修理内容がキズの場合には長さ及び本数を判断し、前記要修理部位の修理内容がへこみの場合には面積及び深さを判断し、前記要修理部位の修理内容がバンパーえぐれキズの場合には面積及びえぐれの程度を判断する人工知能部を具備したことを特徴とする。
【0062】
第29の態様によれば、人工知能部を利用することにより、キズか汚れかの判断が効率化され、へこみの画像から面積や深さの判断が効率化され、えぐれキズの判断も効率化され、かつ精度が向上する。
【0063】
本発明の第30の態様は、第23の態様において、前記修理部位について車両の部位、キズの種類、キズの大きさ、及び修理方法について前記見積データに加えることを特徴とする。
【0064】
本発明の第31の態様は、第30の態様において、前記修理方法は、塗装、パテ処理後塗装、板金、複合修理のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0065】
本発明の第31の態様は、第30の態様において、前記撮像部は、前記要修理部位の塗料の調色の分析が可能であり、前記本体に着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
【0066】
本発明の第32の態様は、第23の態様において、前記撮像部によって撮像されたイメージデータに対して、前記要修理部位についての塗料の調色の分析を行う調色分析部をさらに具備したことを特徴とする。
【0067】
第32の態様によれば、従来は経験を要する塗料の調色が未経験者でも容易に行うことができ、作業能率の向上や人手不足の解消が期待される。
【0068】
本発明の第33の態様は、第23の態様において、前記撮像部は、前記本体に着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0069】
本発明の第34の態様は、車両の修理を要する、要修理部位が透明なタッチパッドに表示される同心枠線のうちの前記要修理部位の対応する同心枠線に指先を接触させると、前記同心枠線が発光するとともに修理費用が表示され、見積書が印刷可能となることを特徴とする。
【0070】
本発明の第35の態様は、要修理部位を撮像して、キズ、へこみ、もしくはえぐれのサイズを算出し、得られたサイズに応じた修理費用を算出し、表示し、見積書が印刷可能なことを特徴とする。
【0071】
本発明の第36の態様は、枠型の本体に内蔵されたコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、前記コンピュータに、前記本体内に設けられ複数の同心枠線及び対応する修理費用が表示された透明なタッチパッドへの指の接触を検知する第一の機能と、前記指に近い前記同心枠線及び前記修理費用の位置に配置された微細発光素子を発光させる第二の機能と、前記修理費用の見積書を作成する第三の機能と、印刷指示があると店舗側のプリンタに印刷させる第四の機能と、を実行させるためのコンピュータが読み取り可能なプログラムであることを特徴とする。
【0072】
本発明の第37の態様は、本体に内蔵されたコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、前記コンピュータに、前記本体の一方の主面に設けられ、修理を要する、要修理部位を撮像する第一の機能と、前記本体の他方の主面に設けられた表示部に、少なくとも前記要修理部位の画像を全画面表示させる第二の機能と、前記表示部に、修理費用を表示させる第三の機能と、前記本体に設けられ店舗側端末に前記指の接触位置に対応する見積データを送信する第四の機能と、前記見積データに基づく見積書を前記店舗側のプリンタに印刷させる第五の機能と、を実行させるためのコンピュータが読み取り可能なプログラムであることを特徴とする。
【0073】
本発明の第38の態様は、携帯端末に内蔵されたコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、車両の修理を要する、要修理部位を撮像する第一の機能と、撮像された画像を管理サーバーに送信する第二の機能と、前記管理サーバーで解析された画像に基づく見積書を店舗側端末に作成させて得られた見積書のデータを前記店舗側端末から受信する第三の機能と、前記見積書のデータについての承諾もしくは放置のデータを送信する第四の機能と、を実行させるためのコンピュータが読み取り可能なプログラムであることを特徴とする。
【0074】
本発明の第39の態様は、第36から第38のいずれか一つのプログラムを記録した記録媒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0075】
本発明によれば、キズ、へこみ、及びえぐれの修理において、簡単な構成で、短時間で低価格な修理費用の見積りができ、短時間で見積書を作成することができ、キズやへこみの判定についての特別な研修が不要で、修理時間や修理の予約状況が把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】本発明に係る簡易見積りシステムの概念図の一例である。
図2】本発明に係る簡易見積り器の第一の実施の形態を示す外観図の一例である。
図3】本発明に係る簡易見積り器の第二の実施の形態を示す外観図の一例である。
図4A】本発明に係る簡易見積り器の第三の実施の形態を示す外観図の一例である。
図4B図4Aに示した簡易見積り器の側面図の一例である。
図4C図4Bに示した簡易見積り器を巻いた状態を示す説明図の一例である。
図5A】本発明に係る簡易見積り器の第四の実施の形態を示す外観図の一例である。
図5B図5Aの側面図である。
図5C図5Bに示した簡易見積り器を巻いた状態を示す説明図の一例である。
図6A】本発明に係る簡易見積り器の第五の実施の形態を示す外観図の一例である。
図6B図6Aの側面図である。
図7A】本発明に係る簡易見積り器の第六の実施の形態を示す外観図の一例である。
図7B図7Aの側面図である。
図8A】本発明に係る簡易見積り器の第七の実施の形態を示す外観図の一例である。
図8B図8AのVIIIB-VIIIB線断面図である。
図9A図1に示した枠型簡易見積り器10-7の正面図である。
図9B図9AのIXB-IXB線断面図である。
図10図1に示した枠型簡易見積り器のハードウェアブロック図の一例である。
図11図1に示した枠型簡易見積り器用受信器501のハードウェアブロック図の一例である。
図12図1に示した枠型簡易見積り器201及び受信器501の機能ブロック図の一例である。
図13図1に示した枠型簡易見積り器10-7及び受信器501の動作を示すフローチャートの一例である。
図14A図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の他方の主面を示す正面図の一例である。
図14B図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の他方の主面を示す正面図の他の一例である。
図14C図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の他方の主面を示す正面図の他の一例である。
図15図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8のハードウェアブロック図の一例である。
図16図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の機能ブロック図の一例である。
図17図1に示した店舗側端末401のハードウェアブロック図の一例である。
図18図1に示した店舗側端末401の機能ブロック図の一例である。
図19図1に示した管理サーバー301のハードウェアブロック図の一例である。
図20図1に示した管理サーバー301の機能ブロック図の一例である。
図21図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8による車両1の要修理部位の撮像状況を示す説明図である。
図22図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8による車両1の要修理部位の撮像状況を示す説明図である。
図23図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8による車両1の要修理部位の撮像状況を示す説明図である。
図24図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8による車両1の要修理部位の撮像状況を示す説明図である。
図24A図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の一方の主面の一例である。
図24B図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の一方の主面の他の一例である。
図25A図1に示したタブレット型簡易見積り器の動作のフローチャートの一例の一部である。
図25B図1に示したタブレット型簡易見積り器の動作のフローチャートの一例の一部である。
図26A図1に示した携帯端末10-9におけるアプリケーションソフトウェアのシーケンスフローチャートの一例の一部である。
図26B図1に示した携帯端末10-9におけるアプリケーションソフトウェアのシーケンスフローチャートの一例の一部である。
図26C図1に示した携帯端末10-9におけるアプリケーションソフトウェアのシーケンスフローチャートの一例の残りである。
【発明を実施するための形態】
【0077】
次に本発明の簡易見積りシステムに係る実施の形態について図面を参照して説明する。
【0078】
<概念>
図1は、本発明に係る簡易見積りシステムの概念図の一例である。
正面衝突や側面衝突や追突等の大事故ではなく、キズやへこみ等の小傷が生じた車両1の周囲に長尺状簡易見積り器10-1~10-6、枠型簡易見積り器10-7、タブレット型簡易見積り器10-8、及びスマートホン10-9が記載されている。
【0079】
タブレット型簡易見積り器10-8、スマートホン10-9、及び店舗側端末401はネットワーク上の管理サーバー301に接続可能である。
【0080】
枠型簡易見積り器10-7は、修理工場の作業者により、車両1の要修理部位の損傷のサイズ及び修理の種類に対応付けられた修理費用の見積りについて、内蔵した送信部202からの見積書の印刷要求の信号を受信部501に送信するとプリンタ601が見積書を印刷可能となっている。
【0081】
タブレット型簡易見積り器10-8は、修理工場の作業者により、車両1の修理部位を撮像して得られた画像から修理費用を見積もり、データを店舗側端末401に送信すると、プリンタ601が見積書を印刷可能となっている。
【0082】
スマートホン10-9は、予め簡易見積りのアプリケーションソフトウェアが管理サーバー301からインストールされている場合、スマートホン10-9で車両1の要修理部位を内蔵カメラで撮像し、管理サーバー301に送信すると、修理費用の見積もりや修理時間の取得と、修理工場や修理予定日を予約できるようになっている。
【0083】
長尺状簡易見積り器10-1~10-6は、作業者が修理工場にて車両1の要修理部位にあてて損傷の種類に応じた修理費用を見積もるものである。この場合、見積書は別途作業員等が作成することになるがクライアントは即時修理費を把握することができる。
【0084】
<第一の実施の形態>
次に本発明の第一の実施の形態について図面を参照して説明する。
図2は、本発明に係る簡易見積り器の第一の実施の形態を示す外観図の一例である。
図2に示す簡易見積り器10-1は、要修理部位にあてられる、長尺状の部材である本体10aに、部位の長さが測定可能な目盛り10bと、修理の項目10b、10c、10dと、部位の長さ10eと、修理の金額10fと、が表記されたものである。
【0085】
修理の項目10bとしては、例えば、線キズ・スリキズ10b、バンパーえぐれキズ10c、へこみ・キズ10dが表示されている。
要修理部位の長さ10eとしては、例えば、5cmまで、10cmまで、20cmまで、30cmまで40cmまで、…のように表示されている。修理金額10fとしては、例えば、5cmまでは線キズ・スリキズ10bの修理金額は¥12.400-、バンパーえぐれキズの修理金額は¥13.000-、へこみキズの修理金額は¥13.600-、…のように表示されている。
【0086】
簡易見積り器10-1の一方の長辺(図2では上辺)には複数の目印(図2では黒三角)が所定の間隔(例えば、1cm)で表示され、目印の下側に0、5、10、15、…と数字が表示されており、定規を形成している。また、簡易見積り器10-2の材質は、樹脂でも金属でも木でも紙でもよい。さらに、材質を樹脂として粉末の強磁性体を混合させることで、例えば作業員Wが自動車1のボディに貼り付けた状態でカーボン紙の見積書に所定事項を記入することで、その場で見積書をクライアントCに手渡すことができる。
【0087】
このような簡易見積り器10-1は、作業員が自動車1のキズ20の下側に直接あててキズ20の長さと修理費とを見れば、その場で見積りが可能となる。
【0088】
例えば、図2に示したキズの場合、キズ20の長さが17cmあるので作業員WとともにクライアントCも即座に修理金額が19.500円であることが分かる。これにより、修理費の見積りについては、特許文献1に記載の技術のような大掛かりな装置や電気を使うことなく低コストで瞬時に見積りが可能となり、CS(Customer Satisfacition:顧客満足度)も向上することになる。
【0089】
尚、簡易見積り器10-1の裏面の両端に、車両貼付け用のゴム磁石を貼り付けてもよい。
【0090】
<第二の実施の形態>
図3は、本発明に係る簡易見積り器の第二の実施の形態を示す外観図の一例である。
図3に示した実施の形態の図2に示した実施の形態との相違点は、簡易見積り器10-2の一端に壁掛けフック用の貫通孔10-2aを形成した点である。貫通孔10-2aには保護のためのハトメを設けてもよい。簡易見積り器10-2を修理工場の壁に打ち付けた洋灯釣りに吊り下げることで、いつでも使用可能となる。
簡易見積り器10-2の材質は、例えば金属、樹脂、木、もしくは紙のいずれであってもよい。
【0091】
<第三の実施の形態>
図4Aは、本発明に係る簡易見積り器の第六の実施の形態を示す外観図の一例であり、図4Bは、図4Aに示した簡易見積り器の側面図の一例であり、図4Cは、図4Bに示した簡易見積り器を巻いた状態を示す説明図の一例である。
【0092】
図4A図4Cに示した実施の形態の図2に示した実施の形態との相違点は、簡易見積り器10-3を巻いたまま作業員Wが携帯できる点である。尚、図4Cは、説明のため、本体10-3aの間隔が広めに記載されている。
【0093】
簡易見積り器10-3は、長尺状の本体10-3aの一端(図4Aでは左端)にはスナップボタンの凸部10-3bが設けられ、本体10-3aの裏面の所定の位置にはスナップボタンの凹部10-3cが設けられている。凸部10-3bから凹部10-3cまでの距離は、本体10-3aを本体10-3aの他端(この場合左端)から巻き取ったときに凹部10-3cが凸部10-3bに留まることが可能な距離であればよい。
【0094】
本体10-3aの材質は、例えばグラスファイバーを心材とし塩化ビニル樹脂でコーティングしたものが好ましい。
尚、スナップボタンの凸部10-3bと凹部10-3cとは逆に設けられていてもよい。
【0095】
<第四の実施の形態>
図5Aは、本発明に係る簡易見積り器の第七の実施の形態を示す外観図の一例であり、図5Bは、図5Aの側面図であり、図5Cは、図5Bに示した簡易見積り器を巻いた状態を示す説明図の一例である。
【0096】
図5A図5Cに示した簡易見積り器10-4の図5A図5Cに示した実施の形態との相違点は、面ファスナーを用いた点である。
【0097】
簡易見積り器10-4は、長尺状の本体10-4aの一端(図5Aでは左端)に面ファスナーのフック部10-4bが設けられており、本体10-4aの裏面の所定の位置に面ファスナーのループ部10-4cが設けられている。面ファスナーの形状は図では長方形であるが限定されるものではなく、多角形、楕円形、長円形、円形のうちの少なくとも一つであればよい。面ファスナーのフック部10-4bからループ部10-4cまでの距離は、本体10-4aを本体10-4aの他端(この場合左端)から巻き取ったときにループ部10-4cがフック部10-4bに留まることが可能な距離であればよい。
本体10-4aの材質は、例えばグラスファイバーを心材とし、塩化ビニル樹脂でコーティングしたものが好ましい。
【0098】
<第五の実施の形態>
図6Aは、本発明に係る簡易見積り器の第五の実施の形態を示す外観図の一例であり、図6Bは、図6Aの側面図である。
【0099】
図6A図6Bに示した簡易見積り器10-5の図2に示した実施の形態との相違点は、巻き取り式に保持できるようにした点である。
【0100】
簡易見積り器10-5は、長尺状の本体10-5aの一端(図6Aでは左端)にフック10-5bが設けられ、本体10-5aの他端(この場合右端)側10-5dが円筒状の容器10-5cに収容されている。容器10-5c内では本体10-5aの他端が中心軸に固定され、かつ弦巻バネ10-5eにより巻き取り方向に付勢されている。容器10-5cにはストッパ10-5fが設けられており、本体10-5aを任意の長さに保持できるようになっている。
本体10-4aの材質は、例えばグラスファイバーを心材とし、塩化ビニル樹脂でコーティングしたものが好ましい。
【0101】
<第六の実施の形態>
図7Aは、本発明に係る簡易見積り器の第九の実施の形態を示す外観図の一例であり、図7Bは、図7Aの側面図である。
【0102】
図7A図7Bに示した簡易見積り器10-6の図2に示した実施の形態との相違点は、折尺状に形成されている点である。
【0103】
簡易見積り器10-6は、複数(図7A、7Bでは3枚であるが限定されない。)の長尺状の本体10-6a、10-6b、10-6cと、本体10-6Aの一端(図7Bでは左端)と本体10-6bの一端に設けられた留め具10-6dと、本体10-6bの他端(図7Bでは右端)と本体10-6cの一端(図7Bでは右端)に設けられた留め具10-6eとを有する。本体10-6a、10-6b、10-6cには図2に示した部位の長さが測定可能な目盛りと、修理の項目と、部位の長さと、修理の金額とが表記されている。但し2枚目の本体10-6bの目盛り、項目、部位の長さ、及び修理の金額は逆さに表記されている。これは本体10-6a、10-6b、10-6cを広げたときに同一方向を向くようにするためである。
本体10-6a、10-6b、10-6cの材質は、例えば樹脂、金属、木材のいずれであってもよい。
【0104】
<第七の実施の形態>
図8Aは、本発明に係る簡易見積り器の第十の実施の形態を示す外観図の一例であり、図8Bは、図8AのVIIIB-VIIIB線断面図である。
【0105】
図8A図8Bに示した簡易見積り器10-10の図2に示した実施の形態との相違点は、本体を枠状とし、本体で方位された透明部材からなる透明基板に例えば矩形状の同心枠線と修理費用とを表記した点である。
【0106】
簡易見積り器10-10は、枠体10-10aと、枠体10-10a内に設けられた透明基板10-10aaと、複数の矩形状の同心枠線10-10b、10-10c、10-10d、10-10e、10-10f、10-10gと修理費用とが表記された透明基板10-10と、を有する。取手10-10iはオプションである。
【0107】
枠体10-10aには修理項目として「線キズ・スリキズ」の表記と、対応車種として「国産車」の表記が施されている。修理項目及び対応車種により数値や金額が異なるため、「線キズ・スリキズ」用の簡易見積り器10-10の他、「バンパーえぐれキズ」用の簡易見積り器、「へこみ・キズ」用の簡易見積り器であって、「国産車」用と「外国車」用の6種類が挙げられる。
【0108】
枠体10-10aの材質は、樹脂もしくは木が挙げられるが枠体10-10aと透明基板10-1-aaとを樹脂で一体化して枠体10-10aの部分だけ着色してもよく、この場合には軽量化が図れるだけでなく、簡易見積り器10-4のように面ファスナーを用いて巻物のように保管することができる。また、簡易見積り器10-10の裏面にゴム磁石を貼り付けて車両1に貼り付けるようにしてもよい。
尚、図8A図8Bに示す簡易見積り器10-10の形状は正方形の場合で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、長方形であってもよく、サイズについても数十cm角であっても数m角であっても作業員が両手で見積り作業ができる程度のサイズであればよい。
【0109】
<第八の実施の形態>
<枠型簡易見積り器>
<外観>
図9Aは、図1に示した枠型簡易見積り器10-7の正面図であり、図9Bは、図2AのIXB-IXB線断面図である。
【0110】
枠型簡易見積り器10-7は、矩形状の枠状部材である枠体10-7aと、枠体10-7aの内側に、枠体10-7a内に設けられた透明な基板10-7pdと、基板10-7pd上に積層され、同心枠線状に配置された微細発光素子が発光可能な発光基板10-7pmと、発光基板10-7pmの上に積層される透明なタッチパッド10-7puと、タッチパッド10-7puの上に積層される透明な保護カバー10-7pcと、を有する。
【0111】
枠型簡易見積り器10-7の一方の主面(表面)の枠体10-7aには、電源スイッチ10-7h、線キズ・スリキズボタン10-7k、バンパー・えぐれキズボタン10-7L、へこみ・キズボタン10-7m、国産車ボタン10-7o、外国車ボタン10-7n、修理費用表示部10-7q、照明ボタン10-7s、及び印刷ボタン10-7jが配置されている。修理費用表示部10-7qの修理費用の表示は、新たな同心枠線が指先で押されるか、または電源スイッチ10-7hがオフになるまで保持されるようになっている。
印刷ボタン10-7jはオプションである。
【0112】
図9Aでは枠体10-7aの上辺に線キズ・スリキズボタン10-7k、バンパー・えぐれキズボタン10-7L、へこみ・キズボタン10-7m、国産車ボタン10-7o、及び外国車ボタン10-7nが配置され、枠体10-7aの下辺に修理費用表示部10-7qが配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、枠体10-7aの下辺に線キズ・スリキズボタン10-7k、バンパー・えぐれキズボタン10-7L、へこみ・キズボタン10-7m、国産車ボタン10-7o、及び外国車ボタン10-7nが配置され、枠体10-7aの上辺に修理費用表示部10-7qが配置されていてもよい。また、印刷ボタン10-7jも枠体10-7aの左辺ではなく右辺に配置されていてもよい。
【0113】
枠体10-7aの両端には、オプションとしての取手10-7iが設けられている場合には操作性が向上する。尚、図9Aでは枠体10-7aの形状は正方形であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、長方形であってもよい。
【0114】
表示部10-7aaの保護カバー10-7pcは、透明樹脂からなり、透明樹脂の裏面には同心枠線10-7b~10-7gが印刷され、かつ透明で低粘着性(爪で剥がすことができる程度)の粘着剤が塗布されている。保護カバー10-7pcが汚れたり、捲れたりしたときには交換可能となっている。尚、同心枠線10-7b~10-7gの数は図9Aでは5本であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0115】
表示部10-7aaの同心枠線発光パネル10-7pmは、透明樹脂に同心枠線状に多数の微小発光素子10-7bb、10-7cc、10-7dd、10-7ee、10-7ff、10-7ggが配置されているが、線状の有機EL(Electro Luminescence)群が配置されていてもよい。微小発光素子10-7bb、10-7cc、10-7dd、10-7ee、10-7ff、10-7ggや有機ELはそれぞれ透明電極を介して枠体10-7aに内蔵された駆動回路に接続されている。
【0116】
表示部10-7aaのタッチパッド10-7puは、平板状のセンサを指でなぞることでマウスポインタの操作をすることが可能なポインティングデバイスの一種である。タッチパッド10-7puのタッチの方式は、超音波方式、表面弾性波方式、抵抗膜方式、赤外線方式、静電容量方式、投影型静電容量方式、及び投影型赤外線方式が挙げられる。
【0117】
表示部10-7aaの基板10-7pdは、積層されるタッチパッド10-7pu、同心枠線発光パネル10-7pm、及び保護カバー10-7pcを支持する基材であり、材質としては例えば、ポリカーボネートやアクリルが挙げられる。
【0118】
枠型簡易見積り器10-7の他方の主面(裏面)の枠体10-7aには、背面側の照明として複数(例えば四隅)のLED(Light Emitting
Diode)10-7rが配置されている。LED10-7rは車両1の要修理部位を照明することでキズやへこみを見やすくするためのものである。
【0119】
<構成>
<ハードウェアブロック図>
図10は、図1に示した枠型簡易見積り器のハードウェアブロック図の一例である。
枠型簡易見積り器201は、CPU(Central Processing Unit)202、ROM(Read Only Memory)203、RAM(Random Access Memory)204、ボタンスイッチ205、タッチパッド206、微小発光素子群207、液晶表示素子208、LED209、印刷指示信号発生部210、逓倍発振部211、混合部212を有する。
【0120】
CPU202は、ROM203に格納された制御プログラムに基づいて枠型簡易見積り器201を統括制御する素子である。
【0121】
ROM203は、制御プログラムを格納する読み出し専用の記憶素子であり、たとえばマスクROMが挙げられる。
【0122】
RAM204は、ROM203から読み出した制御プログラムが展開される書き換え可能な記憶素子であり、例えば、フラッシュメモリが挙げられる。
【0123】
液晶表示素子208は、修理費用の値を表示する素子であり、修理費用が変更された場合には、RAM204を枠体10-7aから取り外して外部のリーダライタ―で書き換えてから枠体10-7aに戻すか、枠型簡易見積り器201にUSB端子を設け外部のリーダライタ―で書き換えることになる。
【0124】
ボタンスイッチ205は、枠型簡易見積り器201の操作を行うための装置であり、電源をオンオフしたり、修理対象の車両1が国産車か外国車かを特定したり、線キズ・スリキズか、バンパー・えぐれキズか、へこみ・キズか否か、印刷するか否かを選択することができる。
【0125】
タッチパッド206は、作業員の指先の接触位置を検出することで、同心枠線10-7b~10-7gのうち最も近い同心枠線を特定するための装置である。
【0126】
微小発光素子群207は、作業員の指先の接触位置から最も近い同心枠線の位置にある微小発光素子が発光するようになっている。作業員の指先は枠型簡易見積り器201の枠体10-7aで囲まれたパネル越しのへこみやキズのサイズにあったものとする。
【0127】
液晶表示素子208は、作業員の指先に最も近い同心枠線に対応したキズやへこみの修理費用を表示する素子である。
LED209は、修理を要する車両1のへこみやキズを照らす素子である。
【0128】
印刷指示信号発生部210は、車両1が国産車か外国車か、線キズ・スリキズか、バンパー・えぐれキズか、へこみ・キズか否か、修理費用がいくらなのかを印刷するための信号を発生する回路である。
【0129】
逓倍発振部211は、搬送波を生成するための回路であり、水晶発振子によるある発振周波数の正弦波電圧(電流)をもとにして、その整数倍の周波数の正弦波電圧(電流)を発生させる回路である。
【0130】
混合部212は、印刷指示信号発生部210からの信号により搬送波を変調し、アンテナを介して枠型簡易見積り器用受信器に送信する回路である。
【0131】
<枠型簡易見積り器用受信器>
<ハードウェアブロック図>
図11は、図1に示した枠型簡易見積り器用受信器501のハードウェアブロック図の一例である。
【0132】
枠型簡易見積り器用受信器501は、混合部502、局部発振部503、検波部504、CPU505、ROM506、RAM507、及びプリンタ駆動信号発生部508を有する。
【0133】
局部発振部503は、枠型簡易見積り器201からの搬送波の周波数と中間周波数(例えば、455kHz)との差の周波数の信号を発振する回路である。
【0134】
混合部502は、局部発振部503からの局部発振周波数の信号により搬送波から中間周波数の信号を取り出す回路である。
【0135】
検波部504は、中間周波数の信号を検波して印刷指示信号を抽出する回路である。これら混合部502、局部発振部503、及び検波部504でスーパーヘテロダイン回路を構成している。
【0136】
CPU505は、枠型簡易見積り器用受信器501を統括制御する素子である。
ROM506は、枠型簡易見積り器用受信器501の制御プログラムを格納した記憶素子であり、例えばマスクROMが挙げられる。
【0137】
RAM507は、ROM506に格納された制御プログラムを展開する書き換え自在な記憶素子であり、例えばフラッシュメモリが挙げられる。
プリンタ駆動信号発生部508は、CPU505、ROM506、及びRAM507で解析された印刷指示信号を受けるとプリンタへ印刷するための信号を送る。
【0138】
尚、本実施の形態では、受信構成にスーパーヘテロダイン回路を用いているが、本発明は、これに限定されるものではなく、ダイレクトコンバージョン回路であってもよい。ダイレクトコンバージョン回路は、受信したい信号と同じ周波数、あるいは非常に近い周波数の信号を内部の局部発振器で作り、受信信号と混合することで復調を行う回路である。復調した低周波信号は、隣接した不要信号をローパスフィルタで除去し増幅を行う。
【0139】
<枠型簡易見積り器及び受信器の機能ブロック図>
図12は、図1に示した枠型簡易見積り器201及び受信器501の機能ブロック図の一例である。
【0140】
枠型簡易見積り器201は、記憶部251、操作部252、変調部253、制御部254、表示部側発光部255、表示部256、及び照明部257を有する。
【0141】
記憶部251は、枠型簡易見積り器201の制御プログラムを記憶するものであり、例えば、図10に示したROM203、及びRAM204によって実現される。
【0142】
操作部252は、枠型簡易見積り器201を操作する装置であり、例えば図10に示したボタンスイッチ205及びタッチパッド206によって実現される。
【0143】
変調部253は、枠型簡易見積り器501から枠型簡易見積り器用受信器501にアンテナを介して信号を送信する回路であり、例えば図10に示した逓倍発振部211、混合部212、及び印刷指示信号発生部210によって実現される。
【0144】
制御部254は、枠型簡易見積り器501を統括制御する回路であり、例えば図10に示したCPU202、ROM203、及びRAM204によって実現される。
【0145】
表示部側発光部255は、作業員により指定された同心枠線に沿って発光する素子であり、例えば、図10に示した微小発光素子群207によって実現される。
【0146】
表示部256は、作業員により指定された同心枠線に対応する要修理部位の修理費用を表示する素子であり、例えば図10に示した液晶表示素子208によって実現される。
【0147】
照明部257は、車両1の要修理部位を照らすことでキズやへこみを作業員が見やすくするための素子であり、例えば図10に示したLED209によって実現される。
【0148】
枠型簡易見積り器用受信器501は、復調部521、記憶部522、及び制御部523を有する。
【0149】
復調部521は、枠型簡易見積り器201からの電波からプリンタ駆動信号を得るための回路であり、例えば、図11に示した混合部502、局部発振部503、及び検波部504によって実現される。
【0150】
記憶部522は、枠型簡易見積り器用受信器の制御プログラムが格納されており、例えば図11に示したROM506及びRAM507によって実現される。
【0151】
制御部523は、枠型簡易見積り器用受信器501を統括制御し、プリンタ601へ印刷信号を送る回路であり、例えば図11に示したCPU505、ROM506、及びRAM507によって実現される。
【0152】
<動作>
図13は、図1に示した枠型簡易見積り器10-7及び受信器501の動作を示すフローチャートの一例である。
図13において動作の主体は制御部254である。尚、作業員はクライアント立ち合いのもとに修理部位の確認及び修理有無の確認をするものとする。
【0153】
枠型簡易見積り器201の電源10-7hが投入され、国産車ボタン10-7oまたは外国車ボタン10-7nが押される(ステップS1)。
【0154】
修理内容として、線キズ・スリキズボタン10-7k、バンパー・えぐれキズボタン10-7L、またはへこみ・キズボタン10-7mが押されて選択される(ステップS2)。
【0155】
要修理部位が暗い場合には照明ボタン10-7sがオンされ、暗くない場合にはオフされる(ステップS3)。
【0156】
タッチパッド10-7puに作業員の指先が接触しているか否かが判定され(ステップS4)、接触するまで待機し(ステップS4/NO)、接触すると(ステップS4/YES)、最短距離の同心枠線が、例えば最小二乗法により算出され(ステップS5)、指接触箇所の枠線部が発光し、液晶表示部10-7qに修理費用が表示される(ステップS6)。
【0157】
作業者はクライアントに修理の有無を確認して修理要請がある場合(ステップS7/YES)、印刷ボタン10-7jを押すと、枠型簡易見積り器201から受信器501に印刷指示信号が送られて見積書がプリンタで印刷される(ステップS8)。修理要請がない場合(ステップS7/NO)、終了する。
【0158】
<第九の実施の形態>
<タブレット型簡易見積り器>
<外観>
図14Aは、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の他方の主面を示す正面図の一例である。図14Bは、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の他方の主面を示す正面図の他の一例である。図14Cは、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の他方の主面を示す正面図の他の一例である。
【0159】
図14Aから図14Cに示したタブレット型簡易見積り器10-8の図9Aに示した枠型簡易見積り器10-7との相違点は、撮像した要修理部位の画像を表示部に最大表示し、長さもしくはサイズ、及び選択された修理項目に応じた修理費用、予約状況、修理工場を表示し、見積書を作成できるようにした点である。
【0160】
図14Aに示すタブレット型簡易見積り器10-8の画面10-8aは、タッチパッドパネルと液晶モニタとが一体化されたタッチパネルである。図14Aには撮像画面が表示されている。
【0161】
画面10-8aの表示部10-8aaには図には示されない背面側の内蔵カメラで撮像して得られた車両1の要修理部位の画像と、図には示されない枠線10-8Lと、X軸座標と、Y軸座標と、X軸方向の長さと、Y軸方向の長さと、目視で測定可能な目盛りとが表示される。作業員の指先がキズやへこみの画像の稜線に触れると一番近い枠線、数値、及び修理費用が表示されるようになっている。
また、要修理部位の画像は図14には示されていないが、撮像された画像は最大限に拡大表示され、自動的にキズやへこみの長さが測定されるようになっている。
【0162】
表示部10-8aaのうちの操作表示部10-8abには、国産車ボタン10-8c、外国車ボタン10-8n、線キズ・スリキズボタン10-8k、バンパー・えぐれキズボタン10-8L、へこみ・キズボタン10-8m、印刷ボタン10-8j、及び予約ボタン10-8sの他、予約状況表示部10-8u、修理費用表示部10-8q、及び撮像ボタン10-8rが配置されている。
【0163】
操作表示部10-8abの上側から、国産車か外国車かを入力するためのアイコン10-8o、10-8n、線キズ・スリキズであることを入力するためのアイコン10-8k、バンパー・えぐれキズであることを入力するためのアイコン10-8L、へこみ・キズであることを入力するためのアイコン10-8m、修理時間表示部10-8t、修理選択アイコン10-8ss、「進む/戻る」アイコン10-8md、及び自動長さ測定表示部1-8qが配置されている。
【0164】
作業員は、修理を要する車両が国産車か外国車かを入力した後、要修理部位の損傷の種類が何であるかを入力し、修理方法について入力するようになっている。修理方法については、キズの塗装部だけの場合にはアイコン10-8ssのうち「塗装」領域をタッチし、金属が露出している場合には「パテ・塗装」領域をタッチし、へこみがある場合には「板金」領域をタッチし、ドア、ボディ、角部にまたがるような場合には「複合修理」領域をタッチすることで修理の部位、種類、修理方法が入力されるようになっている。
修理の部位、種類、修理方法が入力されると、タブレット型簡易見積り器10-8もしくは管理サーバー301で修理費用が算出されるようになっている。表示画面の切り替えには「進|戻」アイコン10-8mdのうち、進むを示す「進」をタッチすると頁が進み、戻るを示す「戻」をタッチすると頁が戻るようになっている。
【0165】
図14Bに示すタブレット型簡易見積り器10-8は、手入力画面が表示されており、キズ等の長さを手入力するためのアイコン10-8tkを有しており、キズの長さやへこみの深さ等を作業員が数値範囲を手入力できるようになっている。
【0166】
図14Cに示すタブレット型簡易見積り器10-8は、修理予約画面が表示されており、修理工場の一覧表のウィンドウ10-8sk、選択された修理工場の予約状況10-8u、予約アイコン10-8s、修理費用情報10-8q、及び印刷キー10-8jが配置されている。
修理工場の情報と予約状況の情報とは同期しており、クライアントの都合がよい修理工場で都合の良い日に修理を行うことができ、今後の予定を組みやすくできる。
【0167】
撮像ボタン10-8rは、押すと静止画像を撮像でき、押し続けると連続画像(動画像)を撮像できるようになっている。
【0168】
尚、図14中のX軸、Y軸、中央の円形、及び目盛りは、潜水艦の潜望鏡の画面を模したことで遊び心を生じさせるものであるが無くてもよい。
【0169】
<構成>
<ハードウェアブロック図>
図15は、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8のハードウェアブロック図の一例である。
【0170】
タブレット型簡易見積り器10-8は、CPU102、ROM103、RAM104、SSD(Solid State Drive)105、ルータ106、カメラ107、マイク108、スピーカー109、タッチパネル110、センサ群111、及びLED112を有する。
CPU102は、タブレット型簡易見積り器10-8を統括制御する素子である。
ROM103は、タブレット型簡易見積り器10-8の制御プログラムを格納する記憶素子であり、例えばマスクROMが挙げられる。
RAM104は、ROM103に格納された制御プログラムを展開する記憶素子であり、例えば、フラッシュメモリが挙げられる。
SSD105は、文字データ、顧客データ、画像データを格納する記憶素子であるが、HDD(Hard Disc Drive)を用いてもよい。
【0171】
ルータ106は、インターネット接続するための装置である。
カメラ107は、車両1の要修理部位を撮像する装置であり、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラが挙げられる。
マイク108は、音声を電気信号に変換する装置であり、主として電話連絡に使用される。
スピーカー109は、電気信号を音声に変換する装置であり、主として電話連絡に使用される。
タッチパネル110は、入力操作及び文字画像表示、車両1の要修理部位の表示を行う装置である。
センサ群111は、距離センサ、位置センサ、速度センサ、加速度センサ、及び高度センサが挙げられる。
【0172】
<機能ブロック図>
図16は、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の機能ブロック図の一例である。
【0173】
タブレット型簡易見積り器10-8は、記憶部121、操作部122、表示部123、検索部124、測長部125、測距部126、制御部127、撮像部128、発光部129、送信部130、側面部131、解析部132、予約部133、及び発音部134を有する。
【0174】
記憶部121は、制御プログラム、顧客データ、車両1のデータ、及び文字画像データを格納する素子であり、例えば、図15に示したROM103、RAM104、及びSSD105によって実現される。SSD105の代わりにHDDを用いてもよい。
【0175】
操作部122は、タブレット型簡易見積り器10-8を操作するための装置であり、例えば、図15に示したタッチパネル110によって実現される。
【0176】
表示部123は、撮像部128で撮像された車両1の要修理部位を表示したり、携帯端末としての通常の画像を表示したりする装置であり、例えば、図15に示したタッチパネル110によって実現される。
【0177】
検索部124は、顧客の車両1のデータが登録されている場合に顧客データを検索するものであり、例えば、図15に示したCPU102、ROM103、RAM104、及びSSD105によって実現される。
【0178】
測長部125は、車両1の要修理部位の長さを測定するものであり、タイヤを撮像部128で撮像して得られた画像からタイヤの直径を基準として要修理部位の長さを算出するようになっているが、要修理部位だけを撮像して要修理部位の長さを算出するようにしてもよい。要修理部位とタイヤとが離れている場合には、タブレット型簡易見積り器10-8を作業員が持ったまま車両1のタイヤから要修理部位まで撮像しながら移動することで要修理部位の長さを算出するようになっている。この場合、タブレット型簡易見積り器10-8と車両1との間の距離は測距部126により測定され、要修理部位の長さの補正に用いられる。測長部125は、例えば図15に示したCPU102、ROM103、RAM104、及びカメラ107によって実現される。
【0179】
測距部126は、タブレット型簡易見積り器10-8から車両1までの距離を測定する装置であり、例えば赤外線センサや超音波センサやミリ波センサを用いることが挙げられる。
ここで、測距部126は、カメラ107から要修理部位までの距離を測定して焦点合せに利用する光学装置であり、例えば以下の(A)、(B)の二つの技術が挙げられる。
(A)一つの筐体に一つのレンズを有する場合、例えば、コントラストAF(Auto Focus)技術が挙げられる。これは、ピントが合った状態はコントラストが高いと見做し、コントラストが低い場合はピンボケしていると見做し、コントラストが高くなるまでレンズを光軸に沿って移動させる技術である。
【0180】
(B)これに対して、一つの筐体に複数(通常は2つ)のレンズを有し、レンズが一定の間隔に並んでいることで微妙に異なるアングルの両眼視差(カメラ間距離)が得られ、カメラから要修理部位までの距離を算出する技術が挙げられる。例えば、カメラの焦点距離をfとし、両カメラの間の距離である基線長をBとし、基線長Bから要修理部位までの距離をDとし、一方のカメラの視差をSとすると、距離Dは、数式(1)で表される。
D=B×f/S …(1)
【0181】
制御部127は、タブレット型簡易見積り器10-8を統括制御する装置であり、例えば図15に示したCPU102、ROM103、及びRAM104によって実現される。
【0182】
撮像部128は、車両1の要修理部位を撮像する装置であり、例えば図15に示したカメラ107によって実現される。
発光部129は、車両1の要修理部位を照らす照明用の発光部であり、例えば図15に示したLED112が挙げられる。発光部129は、解析に必要な時間だけ発光するように制御されてもよく、一定の周期で所定の時間ストロボ状に発光するように制御されてもよい。
通信部130は、管理サーバー301を介して店舗側端末401と情報を授受する装置であり、例えば図15に示したルータ106が挙げられる。
【0183】
側面部131は、へこみの面積を測定する装置であり、タイヤを撮像部128で撮像して得られた画像からタイヤの直径を基準として要修理部位のへこみの面積を算出するようになっている。要修理部位とタイヤとが離れている場合には、タブレット型簡易見積り器10-8を作業員が持ったまま車両1のタイヤから要修理部位まで撮像しながら移動することで要修理部位の面積を算出するようになっている。側面部131は、例えば図15に示したCPU102、ROM103、RAM104、及びカメラ107によって実現される。
【0184】
解析部132は、撮像部128で撮像された要修理部のキズやへこみや塗料の調色比(混合比)を解析する回路である。車両1のキズやへこみは光の当たり具合により長さや位置が判別しにくい場合があるので画像を解析することで精度の高い判定を行うものである。解析部132は、例えば図15に示したCPU102、ROM103、RAM104、及びSSD105によって実現できる。
【0185】
予約部133は、車両1の修理の予約を行う回路であり、管理サーバー301を介して店舗側端末401との間で予約状況を把握し、予約を行う。予約部133は、例えば図15に示したCPU102、ROM103、RAM104、及びルータ106によって実現される。
【0186】
<店舗側端末>
<ハードウェアブロック図>
図17は、図1に示した店舗側端末401のハードウェアブロック図の一例である。
図17に示す店舗側端末401は、CPU402、ROM403、RAM404、キーボード405、マウス406、HDD407、及びモニタ408を有する。
【0187】
CPU402は、店舗側端末401を統括制御する装置であり、ROM403は、店舗側端末401の制御プログラムを格納した記憶素子であり、例えばマスクROMがあげられる。RAM404は、ROM403から読み出した制御プログラムを展開する記憶素子であり、例えばフラッシュメモリが挙げられる。
【0188】
キーボード405及びマウス406は、店舗側端末401を操作するための入力装置である。
【0189】
HDD407は、顧客データ、車両1のデータ、キズ、及びへこみのデータを記憶する装置であるが、SSDを用いてもよい。
【0190】
モニタ408は、顧客データ、車両1のデータ、キズ、及びへこみのデータを表示する装置である。
【0191】
<機能ブロック図>
図18は、図1に示した店舗側端末401の機能ブロック図の一例である。
店舗側端末401は、記憶部421、操作部422、表示部423、制御部424、通信部425、及び予約部426を有する。
【0192】
記憶部421は、店舗側端末401を統括制御する制御プログラム、顧客データ、及びキズ・へこみデータを格納する素子であり、例えば図17に示したROM403、RAM404、及びHDD407により実現される。
【0193】
操作部422は、作業員が店舗側端末401を操作する装置であり、例えば図17に示したキーボード405やマウス406によって実現される。
【0194】
表示部423は、作業員が操作に必要な文字画像を表示する装置であり、例えば図17に示したモニタ408によって実現される。
【0195】
制御部424は、店舗側端末401を制御する装置であり、例えば図17に示したCPU402、ROM403、及びRAM404によって実現される。
【0196】
通信部425は、店舗側端末401が管理サーバー301を介してタブレット型簡易見積り器10-8と情報の授受を行う回路であり、例えば図17に示したルータ409によって実現される。
【0197】
<管理サーバー>
<ハードウェアブロック図>
図19は、図1に示した管理サーバー301のハードウェアブロック図の一例である。
管理サーバー301は、CPU302、ROM303、RAM304、HDD305、及びルータ306を有する。
【0198】
CPU302は、管理サーバー301を統括制御する素子であり、ROM303は管理サーバー301の制御プログラムを格納した記憶素子であり、RAM304は、ROM303から読み出された制御プログラムを展開する記憶素子であり、HDD305は、顧客データ、キズ・へこみの画像データ、予約情報を格納する記憶装置である。
【0199】
<機能ブロック図>
図20は、図1に示した管理サーバー301の機能ブロック図の一例である。
管理サーバー301は、記憶部321、解析部324、制御部325、及び通信部326を有する。管理サーバー301は人工知能部327を有してもよい。
【0200】
記憶部321は、管理サーバー301の制御プログラム、顧客データ、キズへこみデータを格納する素子であり、例えば図19に示したROM303、RAM304、及びHDD305によって実現される。
【0201】
解析部324は、キズやへこみの画像データからキズやへこみの判断基準を作成したり、塗料の調色比(混合比)を解析したりする回路であり、例えば図19に示したCPU302、ROM303、RAM304、及びHDD305によって実現される。
【0202】
制御部325は、管理サーバー301を統括制御する装置であり、例えば図19に示したCPU302、ROM303、及びRAM304によって実現される。
【0203】
通信部326は、各店舗側端末や各タブレット型見積り器との間で情報の授受を行う装置であり、例えば図19に示したルータ306によって実現される。
【0204】
人工知能部327は、要修理部位の修理内容がキズの場合には長さ及び本数を判断し、前記要修理部位の修理内容がへこみの場合には面積及び深さを判断し、前記要修理部位の修理内容がバンパーえぐれキズの場合には面積及びえぐれの程度を判断する回路である。人工知能部を利用することにより、キズか汚れかの判断が効率化され、へこみの画像から面積や深さの判断が効率化され、バンパーえぐれキズの判断も効率化される。人工知能部327は、例えば図19に示したCPU302、ROM303、RAM304、及びHDD305によって実現される。
【0205】
<動作>
図21図24は、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8による車両1の要修理部位の撮像状況を示す説明図である。図24Aは、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の一方の主面の一例であり、図24Bは、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の一方の主面の他の一例である。図25A図25Bは、図1に示したタブレット型簡易見積り器10-8の動作を示すフローチャートの一例である。
【0206】
図21に示すように車両1の要修理部位を作業員Wがタブレット型簡易見積り器10-8で撮像する際、要修理部位とタイヤとを同時に撮像することが好ましい。タイヤのサイズはタブレット型簡易見積り器10-8で撮像したときに画像処理により解析してもよいが、作業員Wがタイヤからサイズが読み取れる場合にはタブレット型簡易見積り器10-8にタイヤサイズを入力してもよい。タイヤサイズは通常インチで表示されているので、1インチ=2.54cmのように換算する必要がある。
【0207】
タブレット型簡易見積り器10-8ではタイヤのサイズを基準としてキズの長さやへこみのサイズが算出される。
【0208】
図22に示すようにタブレット型簡易見積り器10-8により車両1の背面もしくは前面に取り付けられた自動車登録番号標(ナンバープレート)を撮像すると、車両1が予め登録されている場合には自動的に検索されて、自動車登録番号標の近傍の画像と共に、番号検索結果として顧客情報が表示される。顧客情報としては、例えば自動車登録番号標、車種、油種、車検期日、前回来所日、顧客氏名、顧客連絡先、走行距離、及び備考が表示される。
【0209】
タブレット型簡易見積り器10-8により、タイヤ及び要修理部位を撮像すると、図23に示すように撮像画像表示部10-8aaには車両1のタイヤ、要修理部位、X軸、Y軸、目盛り、及びX方向及びY方向の長さが表示され、操作部10-8abには、国産車ボタン10-8o、外国車ボタン10-8n、線キズ・スリキズボタン10-8k、バンパー・えぐれキズボタン10-8L、へこみ・キズボタン10-8m、印刷ボタン10-8j、修理時間表示部10-8t、予約状況表示部10-8u、及び修理費用表示部10-8qが配置されている。
【0210】
図24に示すように表示部10-8aaには、へこみやキズの拡大画像と長さやサイズが自動的に表示されるようになっている。へこみ及びキズの両方がある場合には交互に表示される。
【0211】
図24Aにおいて、タブレット型簡易見積り器10-8の一方の主面の中央近傍に撮像部としてのカメラ10-8wが設けられており、タブレット型簡易見積り器10-8の一方の主面の上下左右に発光部としてのLED10-8vu、10-8vd、10-8vr、10-8vLが設けられている。破線で示す四隅の位置にLED10-8vur、10-8vuL、10-8vdr、10-8vdLが設けられていてもよい。
【0212】
要修理部に対し、異なる方向から光を照射して撮像することで異なる形状の影を含む画像データが得られる。これらの影を含む画像データを解析することにより、へこみの有無や形状や深さを観測することができる。これらのデータを蓄積することで人工知能による判断材料とすることができ、精度の向上が図れる。
【0213】
図24Bにおいて、タブレット型簡易見積り器10-8‘の一方の主面の両端に撮像部としてのカメラ10-8wr、10-8wLが設けられ、一方の主面の上下左右端に発光部としてのLED10-8vu、10-8vd、10-8vr、10-8vLが設けられている。破線で示す四隅の位置にLED10-8vur、10-8vuL、10-8vdr、10-8vdLが設けられていてもよい。
【0214】
複数(図24Bでは2個であるが限定されず、3個以上であってもよい。)の撮像部としてのカメラ10-8wr、10-8wLを用いることで撮像部から要修理部位までの距離が把握できるので、要修理部位の法線方向の距離の変化からへこみの有無やへこみの深さを把握できる。また、要修理部に対し、異なる方向から光を照射して撮像することで異なる形状の影を含む画像データが得られる。これらの影を含む画像データを解析することにより、へこみの有無や形状や深さについての精度が向上する。これらのデータを蓄積することで人工知能による判断材料とすることができ、精度の向上が図れる。
【0215】
ここで、へこみの判定について述べる。
へこみは数cmもの深さの場合には容易に有無が判定できるが、数mm程度の場合は光の当たり具合により見過ごす場合がある。そこで、車両の外部から平行光を投影し、直接目視で判定したり、車両の外部から平行光を投影し、平行光と交差するように鏡を衝立のように配置して間接的に目視で判定したりすることが挙げられる。
光源としては、例えば、株式会社アーテック(学校教材・教育玩具)製のLED光源装置3色セットが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーザー光や超音波を用いて判定してもよい。
【0216】
尚、上述した実施の形態では、撮像部がタブレット型簡易見積り器の一方の主面の中央近傍に一つだけ配置した場合と、撮像部がタブレット型簡易見積り器一方の主面の両端に一つずつ配置した場合とで説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、撮像部の数が三つ以上あってもよい。また、照明用の発光部もタブレット型簡易見積り器の一方の主面の上下左右もしくは四隅の場合で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外周に沿って照明用の発光部を複数配置してもよい。
【0217】
図25A図25Bは、図1に示したタブレット型簡易見積り器の動作のフローチャートの一例である。
図25A図25Bに示すフローチャートの主体は制御部127である。
【0218】
まず、自動車登録番号標の近傍が撮像されると(ステップS11)、自動車登録番号が抽出され、検索される(ステップS12)。
【0219】
顧客データが有るか否かが判断され(ステップS13)、顧客データが無い場合には(ステップS13/NO)、新規に登録処理が行われ(ステップS14)、顧客データがある場合には(ステップS13/YES)、タイヤ及び要修理部位が連続撮像される(ステップS15)。
【0220】
画面がフルサイズになるように拡大され(ステップS16)、線キズ・スリキズの場合には(ステップS17/YES)、長さが測定され(ステップS21)、バンパーえぐれキズの場合には(ステップS18/YES)、面積が測定される(ステップS22)。線キズ・スリキズやバンパーえぐれキズでもない場合(ステップS17/NO、ステップS18/NO)、へこみ・キズ扱いされ(ステップS19)、長さ、深さ及び面積が測定され(ステップS20)、修理費用が算出され(ステップS23)、修理費用表示部10-8qに修理費用が表示される(ステップS24)。
【0221】
続いて修理要請が有るか否か判断し(ステップS25)、修理要請がある場合(ステップS25/YES)、修理時間が修理時間表示部10-8tに表示され(ステップS26)、修理要約状況が予約状況表示部10-8uに表示され(ステップS27)、修理日が予約され(ステップS28)、見積書のデータが作成され(ステップS29)、印刷ボタン10-8jが押されると見積書が印刷されて手終了する(ステップS30)。
【0222】
<第十の実施の形態>
<アプリケーションソフト>
図26A図26Cは、図1に示した携帯端末10-9におけるアプリケーションソフトウェアのシーケンスフローチャートの一例である。
【0223】
携帯端末10-9にて顧客登録データ(車種、年式、初度登録年月、自動車登録番号、氏名、性別、生年月日、住所、連絡先、パスワード、ID)が入力され(ステップS41)、顧客データが携帯端末10-9から管理サーバー301に送信される(ステップS42)。
【0224】
管理サーバー301における登録が完了すると、登録完了・店舗情報が店舗側端末401及び携帯端末10-9に送信される(ステップS43)。
【0225】
携帯端末10-9により車両1のタイヤ及び要修理部位の連続撮像が行われ(ステップS44)、修理見積り依頼、タイヤ及び要修理部位連続撮像データが店舗側端末401に送信される(ステップS45)。
【0226】
店舗側端末401により顧客データ検索が行われ(ステップS46)、タイヤ及び要修理部位連続撮像データが管理サーバー301に送信され(ステップS47)、管理サーバー301で画像解析して収集された後、判断材料としてのキズやへこみのデータが店舗側端末401に送信される。収集されたデータは人工知能によりキズやへこみの判定に利用可能である(ステップS48)。線キズ・スリキズのみの場合(ステップS49)、長さが測定され(ステップS53)、修理費用が算出され(ステップS56)、線キズ・スリキズのみでない場合(ステップS49/NO)、バンパーえぐれキズのみか否かが判定され(ステップS50)、バンパーえぐれキズのみであると判定された場合(ステップS50/YES)、面積が測定され(ステップS52)、修理費用が算出される。これは、キズやへこみの修理費用について別々に計算され合計されるものだからである(ステップS56)。
【0227】
線キズ・スリキズのみでもなく(ステップS49/NO)、バンパーえぐれキズのみでもない場合(ステップS50/NO)、線キズ・スリキズ+へこみ・キズ+バンパーえぐれキズ扱いされ(ステップS51)、長さ、深さ及び面積が測定され(ステップS54)、修理費用が算出され(ステップS56)、修理費用データが携帯端末10-9及び管理サーバー301に送信される(ステップS57)。
【0228】
携帯端末10-9からは修理/放置要請信号が店舗側端末401に送信され(ステップS55)、修理要請がある場合(ステップS58)、店舗側端末401により見積書データが作成され(ステップS59)、修理時間が算出されると共に管理サーバーにデータが送信され(ステップS60)、修理予約状況が検索され(ステップS61)、見積もりデータ、修理時間、及び予約状況データが携帯端末10-9に送信される(ステップS62)。
【0229】
携帯端末10-9から店舗側端末401に修理予約希望日が送信され(ステップS63)、店舗側端末401から携帯端末10-9に修理予約決定日のデータが送信され(ステップS64)、店舗側端末401で見積書データが作成され(ステップS65)、見積書が印刷される。見積書はクライアントに直接手渡しされるか、郵送される(ステップS66)。
【0230】
ステップS1からステップS65の主要なデータは管理サーバー301に蓄積され、キズやへこみの判定材料として人工知能に利用することができる。
尚、上述した実施の形態では、タイヤ及び要修理部位が連続撮像される場合で説明したが、本発明は限定されるものではなく個別撮像であってもよい。
【0231】
以上より、本実施形態によれば、クライアントは、修理をしたい車両を持ち込みでも、Webでも電話でも可能であり、車両の修理部位を撮像した画像情報を作業者が取得できれば即座に見積書が作成できる。
【0232】
<プログラム>
以上で説明した本発明に係る簡易見積りシステムは、コンピュータで処理を実行させる制御プログラムによって実現されている。よって、一例として、プログラムにより本発明の機能を実現する場合の説明を以下で行う。
【0233】
例えば、
枠型の本体に内蔵されたコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記本体内に設けられ複数の同心枠線及び対応する修理費用に関する情報が表示された透明なタッチパッドへの指の接触を検知する第一の機能と、
前記指に近い前記同心枠線及び前記修理費用に関する情報の位置に配置された微細発光素子を発光させる第二の機能と、
前記修理費用の見積書を作成する第三の機能と、
印刷指示があると店舗側のプリンタに印刷させる第四の機能と、
を実行させるためのコンピュータが読み取り可能なプログラム
が挙げられ、
【0234】
矩形状の本体に内蔵されたコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
矩形状の本体の一方の主面に設けられ、修理を要する、要修理部位を撮像する第一の機能と、
前記本体の他方の主面に設けられた表示部に、前記要修理部位の画像を全画面表示させる第二の機能と、
前記表示部に、修理費用に関する情報を表示させる第三の機能と、
前記本体に設けられ店舗側端末に前記指の接触に対応する見積データを送る第四の機能と、
前記見積データに基づく見積書を前記店舗側のプリンタに印刷させる第五の機能と、
を実行させるためのコンピュータが読み取り可能なプログラム
が挙げられ、
【0235】
携帯端末に内蔵されたコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
車両の修理を要する、要修理部位を撮像する第一の機能と、
撮像された画像を管理サーバーに送信する第二の機能と、
前記管理サーバーで解析された画像に基づく見積書を店舗側端末に作成させて得られた見積書のデータを前記店舗側端末から受信する第三の機能と、
前記見積書のデータについての承諾もしくは放置のデータを送信する第四の機能と、
を実行させるためのコンピュータが読み取り可能なプログラム
が挙げられる。
【0236】
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0237】
<記録媒体>
ここで、記録媒体としては、例えばCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM、ROM、FeRAM等の半導体メモリやHDDが挙げられる。
【0238】
CD-ROMは、Compact-Disc Read Only Memoryの略である。フレキシブルディスクは、Flexible
Disk:FDを意味する。CD-Rは、Compact-Disc-Recordableの略である。FeRAMは、Ferroelectric Random Access Memoryの略で、強誘電体メモリを意味する。
【0239】
尚、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0240】
例えば、上述した実施の形態では、図9Aに示すように固定された複数の同心枠線のうちの選択された同心枠線が発光する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、図14Aに示す簡易見積り器において、2本の指を画面に接触して広がるように移動させる(フリック)と、サイズが変化(ズームアップ)する同心枠線が表示されるように構成してもよく、さらにキズの端部やへこみを囲む位置でロックオン状態となり、同心枠線が固定表示され、修理費用が表示されるように構成してもよく、ロックオンされるまで、発信音(例えば、断続音)が発生し、ロックオンされると発信音が変化する(例えば、連続音)ように構成してもよい。この場合、作業員は見積り作業が効率的に行えるだけでなく、ゲーム感覚で行うことができ、ストレスの軽減が期待される。
【0241】
また、上述した実施の形態では、撮像部でキズやへこみを撮像して解析した場合で説明したが、要修理部位の塗料の調色を分析できる調色カメラを外付けし、例えばUSBケーブルで簡易見積り器に接続し、簡易見積り器もしくは管理サーバーで解析するようにしてもよい。
【0242】
さらに上述した実施の形態では、車両の要修理部位の修理の種類及び修理費用を表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、船舶の外板(がいはん)、工場や住宅を含む建物の外壁・内壁・床、家具のキズの修理及び修理費用の見積もりについても適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0243】
本発明に係る簡易見積り器、簡易見積りシステム、簡易見積りシステムの制御方法、プログラム、及び記録媒体は、工業的に製造することができ、また商取引の対象とすることができるため、経済的価値を有しており、産業上利用することができる発明である。
【符号の説明】
【0244】
10-1~10-6・・・ 長尺状簡易見積り器
10-7・・・ 枠型簡易見積り器
10-8・・・ タブレット型簡易見積り器
10-9・・・ 携帯端末
121、251、321、421、522・・・ 記憶部
122、127、252・・・ 操作部
253・・・ 変調部
123、256、423・・・ 表示部
124・・・ 検索部
125・・・ 測長部
126・・・ 測距部
127、254、523・・・ 制御部
128・・・ 撮像部
129・・・ 発光部
130、326、425・・・ 通信部
131・・・ 側面部
132、324・・・ 解析部
133、426・・・ 予約部
134・・・ 発音部
255・・・ 表示部側発光部
257・・・ 照明部
301・・・ 管理サーバー
327・・・ 人工知能部
401・・・ 店舗側端末
521・・・ 復調部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C