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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】液晶プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240730BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240730BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240730BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240730BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240730BHJP
   G03B 21/00 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 680C
G09G3/20 680E
G09G3/20 641E
G09G3/20 623C
G09G3/20 641P
G09G3/20 612U
G09G3/20 642J
G03B21/14 Z
G02F1/133 550
H04N9/31 790
G09G3/20 670L
G03B21/00 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019192573
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021067786
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】青木 透
(72)【発明者】
【氏名】外園 大悟
(72)【発明者】
【氏名】水迫 和久
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134384(JP,A)
【文献】特開2008-039868(JP,A)
【文献】特開2017-003926(JP,A)
【文献】特開2005-234104(JP,A)
【文献】特開2011-175201(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109633(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
G03B 21/14
G02F 1/133
H04N 9/31
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素の階調レベルを指定する映像データのうち、第1色の映像データを処理して第1データ信号として出力し、前記映像データのうち、前記第1色とは異なる第2色の映像データを処理して第2データ信号として出力する表示制御回路と、
前記第1色に対応して設けられ、前記第1データ信号に応じた第1液晶電圧を液晶に印加する第1画素回路を有し、前記第1画素回路から前記液晶の透過率に応じた光が出射される第1液晶パネルと、
前記第2色に対応して設けられ、前記第2データ信号に応じた第2液晶電圧を液晶に印加する第2画素回路を有し、前記第2画素回路から前記液晶の透過率に応じた光が出射される第2液晶パネルであって、前記第1液晶パネルの光学的な応答性よりも光学的な応答性が劣る第2液晶パネルと、
前記第1画素回路からの出射光および前記第2画素回路からの出射光を合成し、合成光として出射する合成部と、
前記合成部による合成光の投射位置を第1位置から第2位置にシフトさせるシフトデバイスと、
を備え、
前記表示制御回路は、
前記第1色の映像データを、第1フィールドにおける階調レベルから前記第1フィールドに続く第2フィールドにおける階調レベルへの変化分に応じた第1補正量に基づいて補正し、当該補正した映像データに基づいて当該第2フィールドにおける前記第1データ信号を生成し、
前記第2色の映像データを、前記第1フィールドにおける階調レベルから前記第2フィールドにおける階調レベルへの変化分に応じた第2補正量に基づいて補正し、当該補正した映像データに基づいて当該第2フィールドにおける前記第2データ信号を生成し、
前記シフトデバイスは、
第1画素の階調レベルを指定する前記映像データのうち、
前記第1色の映像データに基づく前記第1データ信号に応じた光が前記第1画素回路から出射され、前記第2色の映像データに基づく前記第2データ信号に応じた光が前記第2画素回路から出射される場合に、前記投射位置を前記第1位置とし、
第2画素の階調レベルを指定する前記映像データのうち、
前記第1色の映像データに基づく前記第1データ信号に応じた光が前記第1画素回路から出射され、前記第2色の映像データに基づく前記第2データ信号に応じた光が前記第2画素回路から出射される場合に、前記投射位置を前記第2位置とし、
前記第1色の映像データが指定する階調レベルが、前記第1フィールドにおいて第1値を指定し、記第2フィールドにおいて第2値を指定し、
前記第2色の映像データが指定する階調レベルが、前記第1フィールドにおいて前記第1値を指定し、前記第2フィールドにおいて前記第2値を指定する場合、
前記第1値の映像データに基づく第1データ信号に応じた前記第1液晶電圧から、前記補正した映像データに基づく第1データ信号に応じた前記第1液晶電圧への第1変化量は、
前記第1値の映像データに基づく第2データ信号に応じた前記第2液晶電圧から、前記補正した映像データに基づく第2データ信号に応じた前記第2液晶電圧への第2変化量よりも小さ
液晶プロジェクター。
【請求項2】
前記表示制御回路は、
さらに、前記映像データのうち、前記第1色および前記第2色とは異なる第3色の映像データを処理して第3データ信号として出力し、
前記第3色に対応して設けられ、前記第3データ信号に応じた第3液晶電圧を液晶に印加する第3画素回路を有し、前記第3画素回路から前記液晶の透過率に応じた光が出射される第3液晶パネルであって、前記第2液晶パネルの光学的な応答性よりも光学的な応答性が劣る第3液晶パネルを備え、
前記合成部は、前記第1画素回路からの出射光および前記第2画素回路からの出射光に、さらに前記第3画素回路からの出射光を合成し、
前記表示制御回路は、
前記第3色の映像データを、前記第1フィールドにおける階調レベルから前記第2フィールドにおける階調レベルへの変化分に応じた第3補正量に基づいて補正し、当該補正した映像データに基づいて当該第2フィールドにおける前記第3データ信号を生成し、
前記第3色の映像データが指定する階調レベルが、前記第1フィールドにおいて前記第1値を指定し、前記第2フィールドにおいて前記第2値を指定する場合、
前記第2補正量は、前記第1フィールドの前記第3液晶電圧から、前記第2フィールドの前記第3液晶電圧への第3変化量よりも小さい
請求項1に記載の液晶プロジェクター。
【請求項3】
前記第1変化量およびまたは、前記第2変化量は変更可能である、
請求項1または2に記載の液晶プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクターでは、三原色毎に、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)毎に液晶パネルを設け、液晶パネルに原色光を入射させて原色毎に変調画像を生成し、これらの変調画像を合成して、当該合成したカラー画像をスクリーン等に投射する。
液晶プロジェクターに用いられる液晶パネルでは、電気的な変化に対する光学的な応答性が十分でないことに起因して、ぼやけ感が発生する。このぼやけ感を低減するために、いわゆるオーバードライブという技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-189232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液晶プロジェクターでは、色毎に液晶パネルの応答性が異なることがある。具体的には入射光量の違い、セルギャップの違いなどによって、色毎に応答性が異なることがある。液晶パネルの応答性が異なっていると、合成される画素を無彩色に変化させる場合に、原色毎の液晶パネルにおいて透過率が同じとはならずに、色付いて視認される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る液晶プロジェクターは、画素の階調レベルを指定する映像データのうち、第1色の映像データを処理して第1データ信号として出力し、前記映像データのうち、前記第1色とは異なる第2色の映像データを処理して第2データ信号として出力する表示制御回路と、前記第1色に対応して設けられ、前記第1データ信号に応じた第1液晶電圧を液晶に印加する第1画素回路を有し、前記第1画素回路から前記液晶の透過率に応じた光が出射される第1液晶パネルと、前記第2色に対応して設けられ、前記第2データ信号に応じた第2液晶電圧を液晶に印加する第2画素回路を有し、前記第2画素回路から前記液晶の透過率に応じた光が出射される第2液晶パネルと、前記第1画素回路からの出射光および前記第2画素回路からの出射光を合成し、合成光として出射する合成部とを備え、前記第1色の映像データが指定する階調レベルが、第1フィールドにおいて第1値を指定し、前記第1フィールドに続く第2フィールドにおいて第2値を指定し、前記第2色の映像データが指定する階調レベルが、前記第1フィールドにおいて前記第1値を指定し、前記第2フィールドにおいて前記第2値を指定し、前記第1液晶パネルの光学的な応答性が、前記第2液晶パネルの光学的な応答性よりも良い場合、前記第2フィールドにおける前記第1液晶電圧は、前記第2フィールドにおける前記第2液晶電圧よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る液晶プロジェクターの光学的な構成を示す図である。
図2】液晶プロジェクターの電気的な構成を示すブロック図である。
図3】液晶プロジェクターにおけるフレームおよびフィールドの関係を示す図である。
図4】映像データの画素と液晶パネルの画素との関係等を示す図である。
図5】パネル画素が表現する映像データの画素とシフト位置との関係を示す図である。
図6】液晶プロジェクターにおける液晶パネルの斜視図である。
図7】液晶パネルの構造を示す断面図である。
図8】液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
図9】液晶パネルにおける画素回路の構成を示す図である。
図10】液晶パネルにおける走査線選択の推移を示す図である。
図11】電気光学装置における映像処理回路の構成を示す図である。
図12A】映像処理回路の動作を説明するための図である。
図12B】映像処理回路の動作を説明するための図である。
図12C】映像処理回路の動作を説明するための図である。
図13A】映像処理回路の動作を説明するための図である。
図13B】映像処理回路の動作を説明するための図である。
図13C】映像処理回路の動作を説明するための図である。
図14】映像データで指定される静止画の例を示す図である。
図15A】変形例1における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図15B】変形例1における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図15C】変形例1における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図16A】変形例2における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図16B】変形例2における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図16C】変形例2における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図17A】変形例3における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図17B】変形例3における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図17C】変形例3における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図18A】変形例3における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図18B】変形例3における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図18C】変形例3における映像処理回路の動作を説明するための図である。
図19】応用例に係る液晶プロジェクターを示す図である。
図20】応用例に係る液晶プロジェクターの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に電気光学装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されている。このため、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
図1は、実施形態に係る液晶プロジェクター1aの光学的な構成を示す図である。図に示されるように、液晶プロジェクター1aは、液晶パネル100R、100Gおよび100Bを含む。また、液晶プロジェクター1aの内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から出射された光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によって、R、GおよびBの3原色に分離される。このうち、Rの光は液晶パネル100Rに、Gの光は液晶パネル100Gに、Bの光は液晶パネル100Bに、それぞれ入射する。
なお、Bの光路は、他の赤や緑と比較して長い。したがって、Bの光は、光路での損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して液晶パネル100Bに導かれる。
【0009】
液晶パネル100Rは、後述するようにマトリクス状に配列する画素回路を有する。上記画素回路において液晶素子から出射される光の透過率が、Rに対応するデータ信号に基づいて制御される。すなわち、液晶パネル100Rでは、液晶素子からの出射光が画像の最小単位として機能とする。このような制御によって液晶パネル100Rは、Rに対応するデータ信号に基づいてRの透過像を生成する。同様に、液晶パネル100Gは、Gに対応するデータ信号に基づいてGの透過像を生成し、液晶パネル100Bは、Bに対応するデータ信号に基づいてBの透過像を生成する。
【0010】
液晶パネル100R、100Gおよび100Bによってそれぞれ生成された各色の透過像は、ダイクロイックプリズム2112に三方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、RおよびBの光は90度に屈折する一方、Gの光は直進する。したがって、ダイクロイックプリズム2112が各色の画像を合成する。ダイクロイックプリズム2112による合成光はシフトデバイス230を介して投射レンズ2114に入射する。シフトデバイス230は、ダイクロイックプリズム2112からの出射方向をシフトさせる。詳細には、シフトデバイス230は、スクリーン2120に投射される画像を、投射面に対し左右方向と上下方向とにわたってシフト可能となっている。
投射レンズ2114は、シフトデバイス230を介した合成像を、スクリーン2120に拡大して投射する。
【0011】
説明の便宜のため、スクリーン2120に投射される画素と、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの合成による画素とを区別するために、スクリーン2120に投射される画素を投射画素と表記し、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの合成による画素をパネル画素と表記する。また、シフトデバイス230を介した投射画素の位置を、単に投射位置と表記する。
なお、液晶パネル100R、100Bによる透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、液晶パネル100Gによる透過像は直進して投射される。したがって、液晶パネル100R、100Bによる各透過像は、液晶パネル100Gの透過像に対して左右反転の関係にある。
【0012】
図2は、液晶プロジェクター1aの電気的な構成を示すブロック図である。図に示されるように、液晶プロジェクター1aは、表示制御回路20と、液晶パネル100R、100Gおよび100Bと、シフトデバイス230と、を含む。
【0013】
表示制御回路20には、映像データVid-inが、図示省略されたホスト装置等の上位装置から同期信号Syncに同期して供給される。映像データVid-inは、液晶プロジェクター1aに表示させる画像を示すデータであり、詳細には、当該画像の画素における階調レベルを、例えばRGB毎に8ビットで指定する。
同期信号Syncには、映像データVid-inにおける垂直走査の開始を指示する垂直同期信号や、水平走査の開始を指示する水平同期信号、および、映像データの1画素分のタイミングを示すクロック信号が含まれる。
【0014】
本実施形態において、スクリーン2120に投射されるカラー画像は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの各透過像を重ね合わせることで表現される。したがって、カラー画像の最小単位である画素は、液晶パネル100Rによる赤のパネル画素、液晶パネル100Gによる緑のパネル画素、および、液晶パネル100Bによる青のパネル画素に分けることができる。
なお、赤のパネル画素、緑のパネル画素および青のパネル画素は、厳密にいえば、副画素と表記すべきであるが、本説明では、上述したようにパネル画素と表記する。
【0015】
液晶パネル100R、100Gおよび100Gについては、入射する光の色、すなわち波長だけが異なり、構造的には共通である。そこで、液晶パネル100R、100Gおよび100Gについて、色を特定して説明する必要がない場合には、符号を100とする。
【0016】
表示制御回路20は、走査制御回路21、映像処理回路22を含む。
本実施形態において、映像データVid-inで指定される画像の画素配列は、液晶パネル100におけるパネル画素の配列と比較して、例えば縦方向で2倍、横方向で2倍となっている。このため、本実施形態では、解像度を擬似的に高めるために、投射方向がシフトデバイス230によってシフトされる。
詳細には、映像データVidにより指定される画像の1つのフレームが表示される場合、1つのフレームを表示するための期間が4つのフィールドに分割され、フィールド毎に、パネル画素の投射位置がシフトされる。このようなシフトによって、1つのパネル画素が、映像データVid-inで指定される4つの画素を表示しているかのように視認される。
走査制御回路21および映像処理回路22の説明の前に、液晶パネル100における1つのパネル画素によって、映像データVid-inで指定される4つの画素を表現するための手法について説明する。
【0017】
図3は、本実施形態におけるフレームとフィールドとの関係を説明するための図である。この図に示されるように、本実施形態では、1つのフレームFは、4つのフィールドに分割される。なお、フレームFにおける4つのフィールドを便宜的に区別するために、符号が、時間の順にf1、f2、f3、f4と付与されている。
なお、フレームFの期間長は、同期信号Syncに含まれる垂直同期信号の周波数が60Hzである場合、1周期の16.7ミリ秒である。この場合、フィールドf1~f4の期間長は、それぞれ4.17ミリ秒になる。
【0018】
次に、映像データVid-inで階調レベルが指定される画素と、液晶パネル100によるパネル画素と、シフトデバイス230による投射位置と、の関係について説明する。なお、シフトデバイス230については、上述したようにダイクロイックプリズム2112からの投射方向をシフトさせるが、便宜的に当該シフト量については、スクリーン2120における投射画素の大きさに換算して説明する。
【0019】
図4における左欄は、映像データVidで示される画像のうち、一部だけが抜き出されて示す図である。また、図4における右欄は、パネル画素のうち、当該左欄の画素配列に対応した配列が抜き出されて示す図である。なお、パネル画素の配列とは、液晶パネル100R、100Gおよび100Gにおける透過像を合成した場合の画素配列である。
【0020】
図4における左欄の配列では、映像データVidで示される画像における画素を区別するために、便宜的に符号として1行目にA1~A6が、2行目にB1~B6が、3行目にC1~C6が、4行目にD1~D6が、5行目にE1~E6が、6行目にF1~F6が、それぞれ付与されている。同様に、図4における右欄の配列では、パネル画素を区別するために、便宜的に符号として1行目にa1~a3が、2行目にb1~b3が、3行目にc1~c3が、それぞれ付与されている。
【0021】
図5は、液晶プロジェクター1aにおいて、液晶パネル100のパネル画素が、映像データVidで示される画像の、どの画素を、どの投射位置で表示するのかを示す図である。詳細には、図5は、図4の右欄における液晶パネル100のパネル画素の9個が、図4の左欄において映像データVidで示される画素配列のうち、どの画素を、フィールドf1~f4においてどの投射位置で表示するのかを示す図である。
【0022】
フレームFのフィールドf1における投射位置を基準位置とする。フィールドf1において、パネル画素a1~a3、b1~b3、c1~c3は、順に映像データVid-inの画素A1、A3、A5、C1、C3、C5、E1、E3およびE5を表示する。
次のフィールドf2において、シフトデバイス230は、投射位置を、破線で示されるフィールドf1での投射位置から、図において右方向に液晶パネル100の0.5画素分シフトさせる。また、フィールドf2では、液晶パネル100のパネル画素a1~a3、b1~b3、c1~c3は、順に映像データVid-inの画素A2、A4、A6、C2、C4、C6、E2、E4およびE6を表示する。
フィールドf3において、シフトデバイス230は、投射位置を、破線で示されるフィールドf2での投射位置から、図において下方向に液晶パネル100の0.5画素分シフトさせる。また、フィールドf3では、液晶パネル100のパネル画素a1~a3、b1~b3、c1~c3は、順に映像データVid-inの画素B2、B4、B6、D2、D4、D6、F2、F4およびF6を表示する。
そして、フィールドf4において、シフトデバイス230は、投射位置を、破線で示されるフィールドf3での投射位置から、図において左方向に液晶パネル100の0.5画素分シフトさせる。また、フィールドf4では、液晶パネル100のパネル画素a1~a3、b1~b3、c1~c3は、順に映像データVid-inの画素B1、B3、B5、D1、D3、D5、F1、F3およびF5を表示する。
フィールドf4の後、シフトデバイス230は、投射位置を、破線で示されるフィールドf4の投射位置から、図において上方向に液晶パネル100の0.5画素分にシフトさせてフィールドf1における位置に戻す。
【0023】
再び説明を図2に戻すと、走査制御回路21は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの走査をフィールド毎に制御するための制御信号Ctrを生成する。また、走査制御回路21は、フィールド毎にシフトデバイス230による投射位置を制御するために、制御信号Lacを生成する。
【0024】
映像処理回路22は、詳細については後述するが、映像データVid-inを一旦蓄積し、蓄積した映像データVid-inのうち、フィールドで表示すべき画素に対応する映像データを読み出す。さらに映像処理回路22は、読み出した映像データについて色別に処理し、アナログに変換して、データ信号Vid-R、Vid-GおよびVid-Bとして出力する。
このうち、データ信号Vid-Rは、映像データVid-inのうち、Rの成分が処理された信号であり、液晶パネル100Rに供給される。同様に、データ信号Vid-Gは、映像データVid-inのうち、Gの成分が処理された信号であり、液晶パネル100Gに供給される。データ信号Vid-Bは、映像データVid-inのうち、Bの成分が処理された信号であり、液晶パネル100Bに供給される。
【0025】
次に、液晶パネル100R、100Gおよび100Gについて、色を特定しないで一般的に説明する。
【0026】
図6は、液晶パネル100の要部を示す図であり、図7は、図6におけるH-h線で破断した断面図である。
これらの図に示されるように、液晶パネル100は、画素電極118が設けられた素子基板100aと、コモン電極108が設けられた対向基板100bとが、図示省略のスペーサーを含むシール材90によって一定の間隙を保ちつつ、互いに電極形成面が対向するように貼り合わせられ、この間隙に液晶105が封入されている。なお、素子基板100aと対向基板100bとの間隙は、一般にセルギャップと呼ばれる。
【0027】
素子基板100aおよび対向基板100bとしては、それぞれガラスや石英などの光透過性を有する基板が用いられる。図6に示されるように、素子基板100aにおける一辺は、対向基板100bから張り出している。この張り出した領域に、当該一辺に沿って複数の端子106が設けられている。複数の端子106には、FPC基板74の一端が接続される。FPC基板74の他端は、表示制御回路20に接続されて、上述した各種の信号などが供給される。
【0028】
素子基板100aにおいて対向基板100bに向かう面には、画素電極118が、例えばITOなどの透明性を有する導電層のパターニングによって形成される。なお、ITOは、Indium Tin Oxideの略語である。
また、素子基板100aの対向面および対向基板100bの対向面には、電極以外にも様々な要素が設けられるが、図では省略されている。
【0029】
図8は、液晶パネル100の電気的な構成を示すブロック図である。液晶パネル100には、表示領域10の周縁に、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140が設けられる。
【0030】
液晶パネル100の表示領域10においては、画素回路110がマトリクス状に配列される。詳細には、表示領域10において、複数本の走査線12が図において横方向に延在して設けられ、また、複数本のデータ線14が図において縦方向に延在し、かつ、走査線12と互いに電気的な絶縁を保って設けられる。そして、複数本の走査線12と複数本のデータ線14との交差に対応して画素回路110がマトリクス状に設けられる。
【0031】
走査線12の本数をmとし、データ線14の本数をnとした場合、画素回路110は、縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。m、nは、いずれも2以上の整数である。走査線12と画素回路110とにおいて、マトリクスの行を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m-1)、m行と呼ぶ場合がある。同様にデータ線14および画素回路110において、マトリクスの列を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(n-1)、n列と呼ぶ場合がある。
【0032】
走査線駆動回路130は、走査制御回路21による制御にしたがって、走査線12を例えば1、2、3、…、m行目という順番で1本ずつ選択し、選択した走査線12への走査信号をHレベルとする。なお、走査線駆動回路130は、選択した走査線12以外の走査線12への走査信号をLレベルとする。
データ線駆動回路140は、映像処理回路22から供給されたデータ信号を、走査制御回路21による制御にしたがって1行分ラッチし、走査線12への走査信号がHレベルとなった期間に当該走査線12に位置する画素回路110に、データ線14を介して出力する。
【0033】
図9は、隣り合う2本の走査線12と、隣り合う2本のデータ線14との交差に対応する2行2列の計4個の、画素回路110の等価回路を示す図である。
図に示されるように、画素回路110は、トランジスター116と液晶素子120とを含む。トランジスター116は、例えばnチャネル型の薄膜トランジスターである。画素回路110において、トランジスター116のゲートノードは、走査線12に接続される一方、そのソースノードはデータ線14に接続され、そのドレインノードは、平面視で略正方形の画素電極118に接続される。
【0034】
画素電極118に対向するようにコモン電極108が全画素回路に対して共通に設けられる。コモン電極108には電圧LCcomが印加される。そして、画素電極118とコモン電極108との間には上述したように液晶105が挟持される。したがって、画素回路110毎に、画素電極118およびコモン電極108によって液晶105を挟持した液晶素子120が構成される。
なお、液晶素子120に対して並列に蓄積容量が設けられることもあるが、本件では重要ではないので省略されている。
【0035】
走査信号がHレベルとなった走査線12では、当該走査線12に対応して設けられる画素回路110のトランジスター116がオンする。トランジスター116のオンにより、データ線14と画素電極118とが電気的に接続された状態となるので、データ線14に供給されたデータ信号が、オンしたトランジスター116を介して画素電極118に到達する。走査線12がLレベルになると、トランジスター116はオフになるが、画素電極118に到達したデータ信号の電圧は、液晶素子120の容量性によって保持される。
【0036】
周知のように、液晶素子120では、画素電極118およびコモン電極108によって生じる電界に応じて液晶分子の配向が変化する。したがって、液晶素子120は、印加された電圧の実効値に応じた透過率となる。なお、本実施形態では、液晶素子120は、印加電圧が高くなるにつれて、透過率が高くなるノーマリーブラックモードである。
【0037】
液晶素子120の画素電極118にデータ信号を供給する動作が、1、2、3、…、m行目という順番で実行されることによって、m行n列で配列する画素回路110の液晶素子120の各々にデータ信号に応じた電圧が保持される。このような電圧の保持によって各液晶素子120が目的とする透過率となり、m行n列で配列する画素によって、対応する色の透過像が生成される。
【0038】
図10は、走査線12の行数である1行目からm行目までを縦軸にとり、経過時間を横軸とったときに、選択される走査線12の時間的推移を示す図である。
走査線12の選択を黒の太線で示したとき、走査線12は1行ずつ排他的に選択されるので、選択される走査線12は、時間が経過するにつれて順次1行目からm行目に移行する。
あるサブフィールドにおいて、ある走査線12が選択されたとき、あるデータ線14には、当該走査線12と当該データ線14との交差に対応する画素回路110には、当該サブフィールドおよび当該パネル画素に対応するデータ信号が供給される。このため、当該サブフィールドにおいて、当該画素回路110の液晶素子120は当該データ信号の電圧に応じた透過率に変化する。
【0039】
本実施形態では、ぼやけ感を低減するために映像処理回路22が、オーバードライブのための処理を実行する。
【0040】
図11は、映像処理回路22の構成を示すブロック図である。この図に示されるように、映像処理回路22は、フレームメモリ220、処理回路230R、230Gおよび230Bを含む。
フレームメモリ220は、映像データVid-inを蓄積して、フィールドに対応した映像データを読み出すために用いられる。詳細には、フレームメモリ220には、映像データVid-inが走査制御回路21による制御にしたがって記憶される。そして、フレームメモリ220からは、あるフィールドにおいてパネル画素で表示される映像データVid-inが走査タイミングに合わせて走査制御回路21によって読み出される。
具体的には、走査制御回路21は、フレームメモリ220から次のような映像データVid-inを読み出す。例えばフィールドf1において1行目の走査線12を選択する場合、走査制御回路21は、図4の左欄における画素のうち、画素A1、A3、A5、…、に対応する映像データVid-inを読み出す。フィールドf1において2行目の走査線12を選択する場合に、走査制御回路21は、画素C1、C3、C5、…、に対応する映像データVid-inを読み出す。また例えばフィールドf2において1行目の走査線12を選択する場合、走査制御回路21は、画素A2、A4、A6、…、に対応する映像データVid-inを読み出す。またフィールドf2において2行目の走査線12を選択する場合に、走査制御回路21は、画素C2、C4、C6、…、に対応する映像データVid-inを読み出す。
このようにして、あるフィールドにおいてフレームメモリ220から、パネル画素で表示される映像データVid-inが読み出される。
【0041】
フレームメモリ220から読み出された映像データVid-inのうち、Rの成分が映像データV_R(f)として処理回路230Rに供給され、Gの成分が映像データV_G(f)として処理回路230Gに供給され、Bの成分が映像データV_B(f)として処理回路230Bに供給される。
【0042】
処理回路230Rは、遅延器231、LUT232、乗算器233、加算器234およびDA変換器235を含む。
遅延器231は、映像データV_R(f)を1フィールドに相当する期間だけ遅延させて映像データV_R(f-1)として出力する。なお、(f-1)の意味は、(f)の1フィールド前であって、同じパネル画素に対応していることを示す。また、映像データV_R(f)を1フィールドに相当する期間だけ遅延させて映像データV_R(f-1)として出力させている理由は、あるパネル画素に指定される階調レベルの変化分をフィールド毎に求め、オーバードライブで駆動するためのデータを当該変化分に応じて出力するためである。なお、本実施形態では、説明の簡略化のため、オーバードライブのデータについては、次のようなLUT232によって出力される。
具体的には、LUT232は、映像データV_R(f)で示される階調レベルおよび映像データV_R(f-1)で示される階調レベルに対応して、オーバードライブのデータOd_Rを予め記憶する二次元のルックアップテーブルである。LUT232からは、映像データV_R(f)で示される階調レベルおよび映像データV_R(f-1)で示される階調レベルに対応するデータOd_Rが出力される。
なお、データOd_Rは、十進値でみれば、階調レベルが上昇する場合には正値となり、階調レベルが低下する場合には負値となり、階調レベルが変化しない場合にはゼロである。
【0043】
乗算器233は、データOd_Rに係数K_Rを乗算して、当該乗算結果を補正量のデータOdv_Rとして出力する。なお、係数K_Rは、十進値で「0」から「1」までの範囲で任意に設定され得るが、ここでは説明の便宜上、「1」を初期値とする。
加算器234は、映像データV_R(f)にデータOdv_Rを加算する。
なお、上述したようにデータOd_R、Odv_Rは、負値を取り得るので、加算器234における実質的な演算内容には、加算のみならず、減算も含まれる。
DA変換器235は、加算器234による加算結果を、走査制御回路21によって指定される極性のアナログ電圧のデータ信号Vid_Rに変換する。
【0044】
このように、処理回路230Rは、映像データVid_inのうち、あるパネル画素においてRの成分の映像データV_R(f)に、同じパネル画素について1フィールド前の階調レベルからの変化分に応じた補正量を加算し、当該加算結果をアナログに変換して、当該変換結果をデータ信号Vid_Rとして液晶パネル100Rに出力する。
【0045】
処理回路230Gおよび230Bについても処理回路230Rと同様な構成である。すなわち、処理回路230Gは、映像データVid_inのうち、Gの成分の映像データV_G(f)に、1フィールド前の階調レベルからの変化分に応じた補正量を加算し、当該加算結果をアナログに変換して、当該変換結果をデータ信号Vid_Gとして液晶パネル100Gに出力する。また、処理回路230Bは、映像データVid_inのうち、Bの成分の映像データV_B(f)に、1フィールド前の階調レベルからの変化分に応じた補正量を加算し、当該加算結果をアナログに変換して、当該変換結果をデータ信号Vid_Bとして液晶パネル100Bに出力する。
なお、係数K_R、K_GおよびK_Bは、例えば走査制御回路21が変更可能に供給する。
【0046】
係数K_GおよびK_Bについても、係数K_Rと同様に、十進値で「0」から「1」までの範囲で任意に設定され得るが、説明の便宜上、「1」を初期値とする。
またここでは、処理回路230GのLUT232において入力に対する出力の変換内容と、処理回路230BのLUT232における変換内容とは、処理回路230RのLUT232における変換内容と同一とする。このため、処理回路230RのLUT232、処理回路230GのLUT232および処理回路230BのLUT232については共通化してもよい。また、オーバードライブのデータについては、LUT232による変換ではなく、演算により求めてもよい。
【0047】
ところで、液晶素子120の光学的な応答性、詳細には、電気的な変化に対する透過率の応答速度は、例えば液晶105の温度によって異なる。具体的には、温度が上昇すると、液晶105の粘性が低下するので、液晶素子120の応答性が良くなる、すなわち応答速度が速くなる。逆に、温度が低下すると、液晶105の粘性が上昇するので、液晶素子120の応答性が悪くなる。
液晶プロジェクター1aにおいて、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの温度は同じではない場合がある。具体的には、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの温度は、
G≒R>B…(1)
の場合もあれば、
G>R>B…(2)
の場合もある。
この理由は、液晶プロジェクター1aでは、液晶パネル100R、100Gおよび100Bに入射する光量に違いが生じるためである。
関係式(1)の場合であれば、液晶パネル100Gおよび100Rの応答性はほぼ等しく、液晶パネル100Bの応答性は、液晶パネル100Gおよび100Rの応答性よりも悪い。また、関係式(2)の場合であれば、液晶パネル100G、100R、100Bの順で応答性が良い。
【0048】
次に、このように液晶パネル100G、100R、100Bの応答性に差があると、どのような不都合があるのかについて説明する。なお、ここでは説明を簡単にするために、液晶パネル100Gおよび100Rの温度が関係式(1)の場合であるとして説明する。
【0049】
まず、あるパネル画素が、ある階調レベルから別の階調レベルに変化する場合について図12A図12B図12Cを参照して説明する。
【0050】
図12A図12B図12Cは、処理回路230B、230Gの動作について、あるパネル画素に着目し、当該パネル画素おける透過率の変化等を示す図である。詳細には、図12A図12B図12Cは、BおよびGについて、タイミングt11までの(N-1)フィールドにおいて、ある階調レベルが維持され、次の(N)フィールドが開始するタイミングt11にて別の階調レベルに変化し、以降、当該階調レベルが維持される場合に、当該パネル画素における透過率の変化(太い実線で示した)を、当該液晶素子120における印加または保持される液晶電圧(破線で示した。以下、単に「液晶電圧」という)の変化に対応付けて示す図の一例である。
【0051】
タイミングt11において、液晶パネル100Bについて着目するパネル画素に対応する階調レベルが映像データV_B(f-1)から映像データV_B(f)に変化する場合、処理回路230BにおけるLUT232からは、階調レベルの変化分に対応したデータOd_Bが出力される。ここでは、上述したように係数K_Bが初期値の「1」であるから、オーバードライブのデータOd_Bは、イコール、データOdv_Bである。
したがって、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図12Aの破線で示されるように、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Bに相当する電圧が加算された電圧になる。
【0052】
なお、液晶素子120は、実際には液晶105の劣化を防止するために正負で交流駆動されるので、液晶電圧は、画素電極118に印加されるデータ信号Vid_Bの電圧と、コモン電極108に印加される電圧LCcomとの差の絶対値である。
【0053】
タイミングt12の前後では、階調レベルが変化しないので、タイミングt12から次の(N+2)フィールドが開始するタイミングt13までの液晶電圧は、オーバードライブのデータOd_B、イコール、データOdv_Bはゼロである。このため、タイミングt12以降において、液晶電圧は、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧に変化する。
【0054】
ある明るさの無彩色から異なる明るさの無彩色への変化であれば、他の色、例えばGに対応する処理回路230Gについても同様な動作となる。すなわち、タイミングt11において、パネル画素に対応する階調レベルが映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化する場合、処理回路230BにおけるLUT232からは、階調レベルへの変化分に対応したデータOd_Gが出力される。このため、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図12Bの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Gに相当する電圧が加算された電圧になる。
特に図示しないが、Rに対応する処理回路230Rについても同様な動作となる。
【0055】
無彩色から無彩色への変化であるので、変化前における映像データV_B(f-1)で指定される階調レベルと映像データV_G(f-1)で指定される階調レベルと映像データV_R(f-1)で指定される階調レベルとは互いに等しい。また、変化後における映像データV_B(f)で指定される階調レベルと映像データV_G(f)で指定される階調レベルと映像データV_R(f-1)で指定される階調レベルとについても互いに等しい。
このため、BとGとについてみれば、図12Aの破線で示される液晶電圧の時間的な変化と、図12Bの破線で示される液晶電圧の時間的な変化とについても等しい。
【0056】
ただし、液晶電圧の変化が同じであっても、温度に相違があれば、応答性が異なるので、透過率が異なってしまう。具体的には、温度が関係式(1)の場合であれば、液晶パネル100Bの応答性よりも、液晶パネル100Gの応答性が良い、すなわち、応答速度が速い。このため、液晶パネル100Bの透過率は、図12Aの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的緩慢に追従するのに対し、液晶パネル100Gの透過率は、図12Bの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的敏速に追従する。人間によって視認されるパネル画素の明るさは、光学的な応答性の積分値に反映されるので、着目したパネル画素は、BよりもR、Gが明るく視認される。したがって、視認されるパネル画素は、無彩色ではなく、色付いた状態で視認されることになる。
なお、ここでは温度が関係式(1)の場合で説明したが、温度が関係式(2)の場合でも、パネル画素がG、R、Bの順で明るくなるので、同様に、色付いた状態で視認される。
【0057】
階調レベルの変化がタイミングt11だけで発生するのであれば、色付きは、一瞬であり、表示品位の低下としては視認されにくい。
【0058】
しかしながら、例えば、映像データVid-inで示される画像の一部が図14に示される場合、具体的には、比較的明るい無彩色の画素と比較的暗い無彩色の画素とが行方向と列方向とにわたって交互に配列する場合に、問題が生じやすい。なお、ここでいう比較的明るい無彩色とは、具体的には比較的明るい灰色であり、階調レベルのRGBがほぼ同値である色をいう。比較的暗い無彩色とは、具体的には比較的暗い灰色であり、階調レベルのRGBがほぼ同値であって、比較的明るい無彩色の階調レベルよりも低い色をいう。
なお、図14では、便宜のために比較的明るい無彩色の画素が白色で示され、比較的暗い無彩色の画素が黒色で示されている。
【0059】
映像データVid-inで示される画像が図14に示されるようなパターンである場合、パネル画素a1は、図5の右欄に示されるように、フィールドf1において明るい画素A1を表現し、フィールドf2において暗い画素A2を表現し、フィールドf3において明るい画素B2を表現し、フィールドf4において暗い画素B1を表現する。
すなわち、映像データVid-inで示される画像がたとえ静止画であっても、投射位置を移動させながら、パネル画素が当該映像データVid-inで示される画像における複数の画素を表現する構成では、パネル画素に指定される階調レベルが、映像データVid-inで示される画像のパターンによっては、あたかも動画表示のようにフィールド毎に変化する場合がある。
【0060】
液晶パネル100Bにおけるパネル画素a1が表示する画素A1、A2、B1およびB2のうち、明るい画素A1、B2の階調レベルについて映像データV_B(f)で指定され、暗い画素A2、B1の階調レベルについて映像データV_B(f-1)で指定される場合、液晶電圧の変化は、図13Aの破線で示される通りとなる。液晶パネル100Bの温度は低いので、液晶パネル100Bの透過率は、図13Aの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的緩慢に追従する。
液晶パネル100Gにおけるパネル画素a1が表示する画素A1、A2、B1およびB2のうち、明るい画素A1、B2の階調レベルについて映像データV_G(f)で指定され、暗い画素A2、B1の階調レベルについて映像データV_G(f-1)で指定される場合、液晶電圧の変化は、図13Bの破線で示される通りとなる。液晶パネル100Gの温度は高いので、液晶パネル100Gの透過率は、図13Bの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的敏速に追従する。
このため、透過率の積分値は、GがBよりも高くなるので、GがBよりも明るく視認される。
このように明るく視認される現象は、パネル画素a1だけでなく、他のパネル画素でも同様に発生し、さらに、図14に示されるパターンの表示期間にわたって継続する。
すなわち、上記のような色付きは、映像データVid-inで示される画像のパターンによっては、当該パターンの領域にわたって、かつ、継続的に発生するので、表示品位が顕著に低下することになる。
【0061】
なお、映像データVid-inで示される画像が、例えば同一階調レベルの画素を背景として、図14に示されるようなパターンを表示するような画像である場合、上記パターンではパネル画素が動画表示のようにフィールド毎に変化する。したがって、特にパターンのエッジ部分では、ボケとして視認される。ただし、人間の眼では、ボケよりも色付きに敏感であるので、色付きを抑えることが重要である。
【0062】
本実施形態では、このような色付きを抑えるために、温度が最も低い(応答性が最も悪い)液晶パネル100Bにおいて映像データV_B(f)に加算されるデータOdv_Bを変更せず、温度が最も高い(応答性が最も良い)液晶パネル100Gにおいて映像データV_G(f)に加算されるデータOdv_Gを変更して、液晶パネル100Bの応答性に合わせる構成とした。
【0063】
具体的には、走査制御回路21は、色付きが発生する場合に、処理回路230Bにおける係数K_Bを初期値の「1」から変更しないが、処理回路230Gにおける係数K_Gを初期値の「1」から、小さい値に、例えば「0」に変更する。
処理回路230Bにおいて、係数K_Bが初期値の「1」から変更されないので、液晶パネル100Bについての階調レベルの変化、および、液晶パネル100Bについての透過率の変化は、図12Aまたは図13Aで説明した通りである。
【0064】
一方、処理回路230Gにおいて、Gについての階調レベルが映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化したときに、当該階調レベルの変化分に応じたオーバードライブのデータOd_GがLUT232から出力されるが、当該データOd_Gにはゼロの係数K_Gが乗算されるので、データOdv_Gがゼロになる。このため、加算器234からは、当該映像データV_G(f)が補正されることなく、そのまま出力される。
このため、映像データV_G(f)に対応した液晶電圧の実効値は、図12Cまたは図13Cに示されるように、データOdv_Gがゼロである分、図12Bまたは、図13(2)よりも低くなる。
ただし、液晶パネル100Gは、温度が高く、応答性が良いので、図12Cまたは図13Cにおいて太い実線で示されるように液晶パネル100Gの透過率の変化は、結果的に液晶パネル100Bの透過率の変化に近似する。このため、透過率の積分値として視認される明るさは、GとBとでほぼ同等となる。
液晶パネル100R、100Gおよび100Bの温度が関係式(1)の場合であれば、液晶パネル100Rの透過率も、液晶パネル100Gの透過率に近似するので、視認されるRの明るさも、Gとほぼ同等になる。
したがって、本実施形態では、温度の違いに起因した色付きの発生を目立たなくすることができる。
【0065】
なお、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの温度が関係式(1)の場合について説明しているが、温度が関係式(2)の場合には、液晶パネル100Rの温度に応じて係数K_Rが設定される。例えば、液晶パネル100Rの温度が液晶パネル100Gの温度に近ければ、係数K_Rは、係数K_Gに近い値に設定され、液晶パネル100Rの温度が液晶パネル100Bの温度に近ければ、係数K_Rは、係数K_Bに近い値に設定される。
また、ここでは係数K_Gを「0」としたが、液晶パネル100Gの温度が液晶パネル100Bの温度との差が小さい場合には、「0」から「1」までの範囲で、色付きが小さくなるように係数K_Gを作業者等が調整すればよい。係数K_Rについても同様に調整すればよい。
なお、液晶パネル100R、100Gおよび100Bに、それぞれ温度センサーを配置して、測定した温度に基づいて、各係数を調整するようにしてもよい。
【0066】
[変形例]
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0067】
[変形例1]
前述した実施形態では、乗算器233において、係数K_R、係数K_G、係数K_Bは、初期値を1として、十進値で「0」から「1」までの範囲で任意に設定するようにしたが、本変形例では、初期値を1として、十進値で「-1」から「1」までの範囲で任意に設定する。
【0068】
図15A図15B図15Cは、処理回路230B、230Gの動作について、あるパネル画素に着目し、当該パネル画素おける透過率の変化等を示す図である。詳細には、図15A図15B図15Cは、BおよびGについて、タイミングt11までの(N-1)フィールド において、ある階調レベルが維持され、次の(N)フィールドが開始するタイミングt11にて別の階調レベルに変化し、以降、当該階調レベルが維持される場合に、当該パネル画素における透過率の変化(太い実線で示した)を、当該液晶素子120における印加または保持される液晶電圧の変化(破線で示した)に対応付けて示す図の一例である。
【0069】
タイミングt11において、液晶パネル100Bについて着目するパネル画素に対応する階調レベルが映像データV_B(f-1)から映像データV_B(f)に変化する場合、処理回路230BにおけるLUT232からは、階調レベルの変化分に対応したデータOd_Bが出力される。ここでは、上述したように係数K_Bが初期値の「1」であるから、オーバードライブのデータOd_Bは、イコール、データOdv_Bである。
【0070】
したがって、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図15Aの破線で示されるように、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Bに相当する電圧が加算された電圧になる。
なお、液晶素子120は、実際には液晶105の劣化を防止するために正負で交流駆動されるので、液晶電圧は、画素電極118に印加されるデータ信号Vid_Bの電圧と、コモン電極108に印加される電圧LCcomとの差の絶対値である。
【0071】
タイミングt12、t13の前後では、階調レベルが変化しないので、タイミングt12から次の(N+2)フィールドが開始するタイミングt13までの液晶電圧は、オーバードライブのデータOd_Bがゼロであるため、タイミングt12以降において、液晶電圧は、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧に変化する。
ある明るさの無彩色から異なる明るさの無彩色への変化であれば、他の色、例えばGに対応する処理回路230Gについても同様な動作となる。すなわち、タイミングt11において、パネル画素に対応する階調レベルが映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化する場合、処理回路230BにおけるLUT232からは、階調レベルへの変化分に対応したデータOd_Gが出力される。このため、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図15Bの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Gに相当する電圧が加算された電圧になる。
【0072】
特に図示しないが、Rに対応する処理回路230Rについても同様な動作となる。
無彩色から無彩色への変化であるので、変化前における映像データV_B(f-1)で指定される階調レベルと映像データV_G(f-1)で指定される階調レベルと映像データV_R(f-1)で指定される階調レベルとは互いに等しい。また、変化後における映像データV_B(f)で指定される階調レベルと映像データV_G(f)で指定される階調レベルと映像データV_R(f-1)で指定される階調レベルとについても互いに等しい。
【0073】
このため、BとGとについてみれば、図15Aの破線で示される液晶電圧の時間的な変化と、図15Bの破線で示される液晶電圧の時間的な変化とについても等しい。
ただし、液晶電圧の変化が同じであっても、温度に相違があれば、応答性が異なるので、透過率が異なってしまう。具体的には、温度が関係式(1)の場合であれば、液晶パネル100Bの応答性よりも、液晶パネル100Gの応答性が良い、すなわち、応答速度が速い。このため、液晶パネル100Bの透過率は、図15Aの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的緩慢に追従するのに対し、液晶パネル100Gの透過率は、図15Bの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的敏速に追従する。
本変形例の液晶パネル100Bの応答性は、前述の実施形態のものよりも遅く、液晶パネル100Bの透過率は、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までに映像データV_B(f)で指定される階調レベルに対応する透過率に達していない。しがたって、視認されるパネル画素は、無彩色ではなく、色付いた状態で視認されることになる。
【0074】
なお、ここでは温度が関係式(1)の場合で説明したが、温度が関係式(2)の場合でも、パネル画素がG、R、Bの順で明るくなるので、同様に、色付いた状態で視認される。
【0075】
本変形例では、このような色付きを抑えるために、タイミングt11において、温度が最も低い(応答性が最も悪い)液晶パネル100Bにおいて映像データV_B(f)に加算されるデータOdv_Bを変更せず、温度が最も高い(応答性が最も良い)液晶パネル100Gにおいて映像データV_G(f)に加算されるデータOdv_Gを変更し、タイミングt11に続く、タイミングt12において、液晶パネル100Bにおいて映像データV_B(f)に加算されるデータOdv_Bをゼロとし、同様に、液晶パネル100Gにおいて映像データV_G(f)に加算されるデータOdv_Gをゼロとして、液晶パネル100Bの応答性に合わせる構成とした。
具体的には、走査制御回路21は、色付きが発生する場合に、処理回路230Bにおける係数K_Bを初期値の「1」から変更しないが、処理回路230Gにおける係数K_Gを初期値の「1」から、小さい値に、例えば「-1」に変更する。
【0076】
処理回路230Bにおいて、係数K_Bが初期値の「1」から変更されないので、液晶パネル100Bについての階調レベルの変化、および、液晶パネル100Bについての透過率の変化は、図15Aで説明した通りである。
一方、処理回路230Gにおいて、Gについての階調レベルが映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化したときに、当該階調レベルの変化分に応じたオーバードライブのデータOd_GがLUT232から出力されるが、当該データOd_Gには「-1」の係数K_Gが乗算されるので、データOdv_GはデータマイナスOdv-Gになる。
【0077】
したがって、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたる(N)フィールドにおける液晶電圧は、図15Cの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Gに相当する電圧が減算された電圧になる。
このため、(N)フィールドにおける映像データV_G(f)に対応した液晶電圧の実効値は、図15Cに示されるように、データOdv_Gがマイナスである分、図15Bよりも低くなる。
【0078】
次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12において、走査制御回路21は、処理回路230Bにおける係数K_Bを初期値の「1」から「0」に変更し、処理回路230Gにおける係数K_Gを「-1」から「0」に変更する。
処理回路230Bにおいて、係数K_Bが、初期値の「1」から「0」に変更されるので、液晶パネルBについてのオーバードライブのデータOd_Bは、ゼロになる。したがって、タイミングt12から次の(N+2)フィールドが開始するタイミングt13までにわたった液晶電圧は、図15Aの破線で示されるように、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧になり、液晶パネル100Bについての透過率の変化は、図15Aに示したように変化する。
【0079】
また、処理回路230Gにおいて、係数K_Gが「-1」から「0」に変更されるので、液晶パネルGについてのオーバードライブのデータOd_Gは、ゼロになる。したがって、タイミングt12から次の(N+2)フィールドが開始するタイミングt13までにわたった液晶電圧は、図15Cの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧になり、液晶パネル100Gについての透過率の変化は、図15Cに示したように変化する。
【0080】
ただし、液晶パネル100Gは、温度が高く、応答性が良いので、図15Cにおいて太い実線で示されるように液晶パネル100Gの透過率の変化は、結果的に図15Aに示した液晶パネル100Bの透過率の変化に近似する。このため、透過率の積分値として視認される明るさは、GとBとでほぼ同等となる。
なお、本変形例において、タイミングt11において、係数K_Bを「1」、係数K_Gを「-1」とし、タイミングt12において、係数K_Bを「0」、係数K_Gを「0」としたが、これに限らず、例えば、タイミングt11において、係数K_Bを「1」、係数K_Gを「-1」とし、タイミングt12において、係数K_Bを「1」、係数K_Gを「-0.5」とし、タイミングt13において、係数K_Bを「0」、係数K_Gを「0」としてもよい。
【0081】
すなわち、液晶パネルBの応答性と液晶パネルGの応答性の差異の程度によって、係数K_Bを「1」から「0」に変更するタイミングや「1」から「0」の中間値を複数のステップで変更する構成としてもよく、係数K_Gを「-1」から「0」に変更するタイミングや「-1」から「0」の中間値を複数のステップを使って変更する構成としてもよい。
【0082】
なお、映像データVid-inで示される画像が図14に示されるようなパターンである場合、高い液晶パネル100Gの透過率は、図16Bの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的敏速に追従する。一方、液晶パネルGよりも温度の低い液晶パネル100Bの透過率は、図16Aの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的緩慢に追従する。したがって、色付きがより視認されやすくなる。
【0083】
本変形例では、処理回路230Gにおいて、Gについての階調レベルが、映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化したときに、当該階調レベルの変化分に応じたオーバードライブのデータOd_GがLUT232から出力されるが、当該データOd_Gには「-1」の係数K_Gが乗算されるので、データOdv_GはデータマイナスOdv-Gになる。したがって、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図15Cの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Gに相当する電圧が減算された電圧になる。
このため、映像データV_G(f)に対応した液晶電圧の実効値は、図16Cに示されるように、データOdv_Gがマイナスである分、図16Bよりも低くなる。
ただし、液晶パネル100Gは、温度が高く、応答性が良いので、図16Cにおいて太い実線で示されるように液晶パネル100Gの透過率の変化は、結果的に図16Aに示した液晶パネル100Bの透過率の変化に近似する。このため、透過率の積分値として視認される明るさは、GとBとでほぼ同等となる。
【0084】
したがって、本実施形態では、温度の違いに起因した色付きの発生を目立たなくすることができる。
なお、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの温度が関係式(1)の場合について説明しているが、温度が関係式(2)の場合には、液晶パネル100Rの温度に応じて係数K_Rが設定される。例えば、液晶パネル100Rの温度が液晶パネル100Gの温度に近ければ、係数K_Rは、係数K_Gに近い値に設定され、液晶パネル100Rの温度が液晶パネル100Bの温度に近ければ、係数K_Rは、係数K_Bに近い値に設定される。
また、ここでは係数K_Gを「-1」としたが、液晶パネル100Gの温度が液晶パネル100Bの温度との差が小さい場合には、「-1」から「1」までの範囲で、色付きが小さくなるように係数K_Gを作業者等が調整すればよい。係数K_Rについても同様に調整すればよい。
【0085】
なお、液晶パネル100R、100Gおよび100Bに、それぞれ温度センサーを配置して、測定した温度に基づいて、各係数を調整するようにしてもよい。
【0086】
[変形例2]
本変形例では、係数K_R、係数K_G、係数K_Bは、初期値を「0」として、十進値で「-1」から「0」までの範囲で任意に設定する。
【0087】
図17A図17B図17Cは、処理回路230B、230Gの動作について、あるパネル画素に着目し、当該パネル画素おける透過率の変化等を示す図である。詳細には、図17A図17B図17Cは、BおよびGについて、タイミングt11までの(N-1)フィールド において、ある階調レベルが維持され、次の(N)フィールドが開始するタイミングt11にて別の階調レベルに変化し、以降、当該階調レベルが維持される場合に、当該パネル画素における透過率の変化(太い実線で示した)を、当該液晶素子120における印加または保持される液晶電圧の変化(破線で示した)に対応付けて示す図の一例である。
【0088】
タイミングt11において、液晶パネル100Bについて着目するパネル画素に対応する階調レベルが映像データV_B(f-1)から映像データV_B(f)に変化する場合、処理回路230BにおけるLUT232からは、階調レベルの変化分に対応したデータOd_Bが出力される。本変形例では、係数K_Bの初期値が「0」であるから、オーバードライブのデータOd_Bは、イコール、ゼロである。
【0089】
したがって、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図17Aの破線で示されるように、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧になる。
なお、液晶素子120は、実際には液晶105の劣化を防止するために正負で交流駆動されるので、液晶電圧は、画素電極118に印加されるデータ信号Vid_Bの電圧と、コモン電極108に印加される電圧LCcomとの差の絶対値である。
【0090】
タイミングt12、t13の前後では、階調レベルが変化しないので、タイミングt12から次の(N+2)フィールドが開始するタイミングt13までの液晶電圧は、オーバードライブのデータOd_Bがゼロであるため、液晶電圧は、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧のまま変化しない。
ある明るさの無彩色から異なる明るさの無彩色への変化であれば、他の色、例えばGに対応する処理回路230Gについても同様な動作となる。すなわち、タイミングt11において、パネル画素に対応する階調レベルが映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化する場合、処理回路230BにおけるLUT232からは、階調レベルへの変化分に対応したデータOd_Gが出力される。このため、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図17Bの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧になる。
【0091】
特に図示しないが、Rに対応する処理回路230Rについても同様な動作となる。
無彩色から無彩色への変化であるので、変化前における映像データV_B(f-1)で指定される階調レベルと映像データV_G(f-1)で指定される階調レベルと映像データV_R(f-1)で指定される階調レベルとは互いに等しい。また、変化後における映像データV_B(f)で指定される階調レベルと映像データV_G(f)で指定される階調レベルと映像データV_R(f-1)で指定される階調レベルとについても互いに等しい。
このため、BとGとについてみれば、図17Aの破線で示される液晶電圧の時間的な変化と、図17Bの破線で示される液晶電圧の時間的な変化とについても等しい。
ただし、液晶電圧の変化が同じであっても、温度に相違があれば、応答性が異なるので、透過率が異なってしまう。具体的には、温度が関係式(1)の場合であれば、液晶パネル100Bの応答性よりも、液晶パネル100Gの応答性が良い、すなわち、応答速度が速い。このため、液晶パネル100Bの透過率は、図17Aの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的緩慢に追従するのに対し、液晶パネル100Gの透過率は、図17Bの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的敏速に追従する。
本変形例の液晶パネル100Bの応答性は、前述の実施形態のものよりも遅く、液晶パネル100Bの透過率は、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までに映像データV_B(f)で指定される階調レベルに対応する透過率に達していない。しがたって、視認されるパネル画素は、無彩色ではなく、色付いた状態で視認されることになる。
【0092】
なお、ここでは温度が関係式(1)の場合で説明したが、温度が関係式(2)の場合でも、パネル画素がG、R、Bの順で明るくなるので、同様に、色付いた状態で視認される。
【0093】
本変形例では、このような色付きを抑えるために、タイミングt11において、温度が最も低い(応答性が最も悪い)液晶パネル100Bにおいて映像データV_B(f)に加算されるデータOdv_Bを初期値のゼロとし、温度が最も高い(応答性が最も良い)液晶パネル100Gにおいて映像データV_G(f)に加算されるデータOdv_Gを変更し、タイミングt11に続く、タイミングt12において、液晶パネル100Bにおいて映像データV_B(f)に加算されるデータOdv_Bをゼロとし、液晶パネル100Gにおいて映像データV_G(f)に加算されるデータOdv_Gをゼロとして、液晶パネル100Bの応答性に合わせる構成とした。
具体的には、走査制御回路21は、色付きが発生する場合に、処理回路230Bにおける係数K_Bを初期値の「0」から変更しないが、処理回路230Gにおける係数K_Gを初期値の「0」から、小さい値に、例えば「-1」に変更する。
【0094】
処理回路230Bにおいて、係数K_Bが初期値の「0」から変更されないので、液晶パネル100Bについての階調レベルの変化、および、液晶パネル100Bについての透過率の変化は、図17Aで説明した通りである。
一方、処理回路230Gにおいて、Gについての階調レベルが映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化したときに、当該階調レベルの変化分に応じたオーバードライブのデータOd_GがLUT232から出力されるが、当該データOd_Gには「-1」の係数K_Gが乗算されるので、データOdv_GはデータマイナスOdv-Gになる。
したがって、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたる(N)フィールドにおける液晶電圧は、図17Cの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Gに相当する電圧が減算された電圧になる。
【0095】
このため、(N)フィールドにおける映像データV_G(f)に対応した液晶電圧の実効値は、図17Cに示されるように、データOdv_Gがマイナスである分、図17Bよりも低くなる。
次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12において、走査制御回路21は、処理回路230Bにおける係数K_Bを「0」とし、処理回路230Gにおける係数K_Gを「-1」から「0」に変更する。
【0096】
処理回路230Bにおいて、タイミングt12から次の(N+2)フィールドが開始するタイミングt13までにわたった液晶電圧は、図17Aの破線で示されるように、映像データV_B(f)で指定される階調レベルの電圧になり、液晶パネル100Bについての透過率の変化は、図17Aに示したように変化する。
また、処理回路230Gにおいて、係数K_Gが「-1」から「0」に変更されるので、液晶パネルGについてのオーバードライブのデータOd_Gは、ゼロになる。したがって、タイミングt12から次の(N+2)フィールドが開始するタイミングt13までにわたった液晶電圧は、図15Cの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧になり、液晶パネル100Gについての透過率の変化は、図17Cに示したように変化する。
【0097】
ただし、液晶パネル100Gは、温度が高く、応答性が良いので、図17Cにおいて太い実線で示されるように液晶パネル100Gの透過率の変化は、結果的に図17Aに示した液晶パネル100Bの透過率の変化に近似する。このため、透過率の積分値として視認される明るさは、GとBとでほぼ同等となる。
【0098】
なお、本変形例において、タイミングt11において、係数K_Bを「0」、係数K_Gを「-1」とし、タイミングt12において、係数K_Bを「0」、係数K_Gを「0」としたが、これに限らず、例えば、タイミングt11において、係数K_Bを「0」、係数K_Gを「-1」とし、タイミングt12において、係数K_Bを「0」、係数K_Gを「-0.5」とし、タイミングt13において、係数K_Bを「0」、係数K_Gを「0」としてもよい。
すなわち、液晶パネルBの応答性と液晶パネルGの応答性の差異の程度によって、係数K_Gを「-1」から「0」に変更するタイミングや「-1」から「0」の中間値を複数のステップを使って変更する構成としてもよい。
【0099】
なお、映像データVid-inで示される画像が図14に示されるようなパターンである場合、高い液晶パネル100Gの透過率は、図18Bの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的敏速に追従する。一方、液晶パネルGよりも温度の低い液晶パネル100Bの透過率は、図18Aの太い実線で示されるように液晶電圧の変化に対して比較的緩慢に追従する。したがって、色付きがより視認されやすくなる。
【0100】
本変形例では、処理回路230Gにおいて、Gについての階調レベルが映像データV_G(f-1)から映像データV_G(f)に変化したときに、当該階調レベルの変化分に応じたオーバードライブのデータOd_GがLUT232から出力されるが、当該データOd_Gには「-1」の係数K_Gが乗算されるので、データOdv_GはデータマイナスOdv-Gになる。したがって、タイミングt11から次の(N+1)フィールドが開始するタイミングt12までにわたった液晶電圧は、図17Cの破線で示されるように、映像データV_G(f)で指定される階調レベルの電圧に、データOdv_Gに相当する電圧が減算された電圧になりる。
このため、映像データV_G(f)に対応した液晶電圧の実効値は、図18Cに示されるように、データOdv_Gがマイナスである分、図18Bよりも低くなる。
【0101】
ただし、液晶パネル100Gは、温度が高く、応答性が良いので、図18Cにおいて太い実線で示されるように液晶パネル100Gの透過率の変化は、結果的に図18Aに示した液晶パネル100Bの透過率の変化に近似する。このため、透過率の積分値として視認される明るさは、GとBとでほぼ同等となる。
したがって、本実施形態では、温度の違いに起因した色付きの発生を目立たなくすることができる。
【0102】
なお、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの温度が関係式(1)の場合について説明しているが、温度が関係式(2)の場合には、液晶パネル100Rの温度に応じて係数K_Rが設定される。例えば、液晶パネル100Rの温度が液晶パネル100Gの温度に近ければ、係数K_Rは、係数K_Gに近い値に設定され、液晶パネル100Rの温度が液晶パネル100Bの温度に近ければ、係数K_Rは、係数K_Bに近い値に設定される。
また、ここでは係数K_Gを「-1」としたが、液晶パネル100Gの温度が液晶パネル100Bの温度との差が小さい場合には、「-1」から「0」までの範囲で、色付きが小さくなるように係数K_Gを作業者等が調整すればよい。係数K_Rについても同様に調整すればよい。
なお、液晶パネル100R、100Gおよび100Bに、それぞれ温度センサーを配置して、測定した温度に基づいて、各係数を調整するようにしてもよい。
【0103】
[応用形態]
上述した実施形態では、液晶素子120の光学的な応答性は、温度以外でも、例えばセルギャップによって異なることがある。
具体的には、セルギャップが狭い液晶パネル100の応答性は、セルギャップが広い液晶パネル100の応答性と比較して良くなる傾向がある。
なお、セルギャップによる液晶パネル100の応答性の違いは、液晶電圧の実効値(または階調レベル)に対する透過率の特性、いわゆるV-T特性の差として現れる。
【0104】
液晶プロジェクター1aに適用される液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおいてセルギャップが揃っていれば、上述したように液晶パネル100Gの応答性が液晶パネル100Bの応答性よりも良い。しかしながら、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおいて、なんらかの理由によりセルギャップが揃っていなければ、液晶パネル100Gの応答性が液晶パネル100Bの応答性よりも悪くなる可能性もある。具体的には、液晶パネル100Gのセルギャップが液晶パネル100Bのセルギャップよりも広い場合には、たとえ液晶パネル100Gの温度が液晶パネル100Bの温度よりも高くても、液晶パネル100Gの応答性が液晶パネル100Bの応答性よりも遅くなる場合もあり得る。
このように、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおける応答性については、温度のほかにも、セルギャップの相違によっても変化するので、一概に液晶パネル100Bの応答性が最も悪くなるとはいえない場合がある。
そこで、このような場合に対応にも対応可能な応用形態について説明する。
【0105】
図19は、応用形態に係る液晶プロジェクター1bの光学的な構成を示す図である。液晶プロジェクター1bが図1に示される液晶プロジェクター1aと相違する点は、スクリーン2120に投射された画像を撮影するカメラ240が設けられている点にある。なお、カメラ240は、液晶プロジェクター1bに内蔵されてもよいし、液晶プロジェクター1bとは別体としてもよい。
【0106】
図20は、液晶プロジェクター1bの電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、液晶プロジェクター1bには、カメラ240が接続されて、撮影情報PIを走査制御回路21に供給する。
液晶プロジェクター1bにおける走査制御回路21には、実施形態と比較して次のような機能が追加されている。
具体的には、走査制御回路21には、映像データVid-inで指定される画像でなく、特定の画像もしくはパターンのデータを映像処理回路22に出力させる旨を指示する第1機能、撮影情報PIを解析して、カメラ240によって撮影された投射画像のうち、任意の領域における明るさについて、R、G、Bの成分毎に求める第2機能、および、求めたR、G、B毎の明るさに基づいて係数K_R、K_GおよびK_Bを変更する第3機能が、追加されている。
【0107】
液晶プロジェクター1bにおいて、特定の操作がなされた場合、例えば図示省略されたスイッチボタンが押下された場合、次のような画像データの出力を映像処理回路22に指示する。
詳細には、走査制御回路21は、映像処理回路22に対して全パネル画素について、GおよびBの階調レベルを「0」とした状態で、Rのみの階調レベルを「0」から「255」まで段階的に変化させる画像データの出力を指示する。このような画像データを映像処理回路22が出力されたときに、走査制御回路21は、撮影情報PIを解析してRの階調レベル毎の透過率を求めることによって、液晶パネル100RにおけるV-T特性を取得する。同様にして、走査制御回路21は、液晶パネル100GにおけるV-T特性、および、液晶パネル100GにおけるV-T特性を取得する。
【0108】
次に、走査制御回路21は、液晶パネル100Rの温度、液晶パネル100Gの温度および液晶パネル100Gの温度を取得する。なお、温度の取得については別途設けられるセンサーの検出結果を用いてもよい。
走査制御回路21は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bから取得したV-T特性と温度とを用いて、応答性が最も悪い液晶パネルを特定する。なお、この時点では、走査制御回路21は、係数K_R、K_GおよびK_Bを初期値の「1」とする。
【0109】
続いて、走査制御回路21は、シフトデバイス230に対して、図5に示される投射位置になるように制御しながら、映像処理回路22に対して図14に示されるようなパターンとなる映像データVid-inの出力を指示する。
この時点では、係数K_R、K_GおよびK_Bは「1」であるので、応答性に差があれば、投射される画像は、無彩色にならず、色付きが発生する。
【0110】
次に、走査制御回路21は、シフトデバイス230への制御および映像処理回路22に対する映像データVid-inの出力を維持しながら、特定した応答性が最も悪い液晶パネルへの係数を「1」に固定し、他の2つの液晶パネルのうち、いずれか1つの液晶パネルへの係数を「1」から徐々に変化させる。走査制御回路21は、係数を変化させている液晶パネルの色の明るさが、特定した応答性が最も悪い液晶パネルの色の明るさに一致した時点で、係数の変化を停止させる。
そして、走査制御回路21は、残りの1つの液晶パネルへの係数を「1」から徐々に変化させて、特定した応答性が最も悪い液晶パネルの色の明るさに一致した時点で、係数の変化を停止させる。
これにより、映像データVidで指定される画像が、図14に示されるようなパターンである場合に、応答性が最も悪い液晶パネルに合わせて無彩色として視認されるように、他の2つの液晶パネルへの係数が設定される。
【0111】
なお、応用形態では、液晶パネルへの係数を実施形態1または2の例で説明したが、実施形態3の例で説明した係数とする構成としてもよい。
なお、応用形態では、第1機能から第3機能までのすべてを走査制御回路21が実行するとして説明したが、例えば第1機能および第2機能については、特別に設けられた別の要素が実行する構成としてもよい。ここでいう特別に設けられた別の要素は、液晶プロジェクター1bに内蔵された要素でもよいし、液晶プロジェクター1bとは別体の要素でもよい。
【0112】
また、実施形態等では、ノーマリーブラックモードで説明したが、ノーマリーホワイトモードとしてもよい。また、液晶パネル100R、100G、100Bを透過型としたが、反射型としてもよい。
なお、色付きは、シフトデバイス230によって投射位置をシフトさせなくても、パネル画素への液晶電圧が図13Bおよび図13Bの破線で示されるように変化すれば発生する。
【0113】
なお、実施形態等において、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの応答性が例えばG、R、Bの順で良い場合、Gが第1色の一例となり、液晶パネル100Gが第1液晶パネルの一例となる。
当該液晶パネル100Gにおける画素回路110が第1画素回路の一例であり、データ信号Vid_Gが第1データ信号の一例である。Bが第2色の一例であり、液晶パネル100Bが第2液晶パネルの一例である。当該液晶パネル100Bにおける画素回路110が第2画素回路の一例であり、データ信号Vid_Bが第2データ信号の一例である。Rが第3色の一例であり、液晶パネル100Rが第3液晶パネルの一例であり、当該液晶パネル100Rにおける画素回路110が第3画素回路の一例であり、データ信号Vid_Rが第3データ信号の一例である。
ダイクロイックプリズム2112が合成部の一例である。
また、映像データV_G(f-1)が、第1色の映像データのうち、階調レベルが第1値である映像データの一例であり、映像データV_G(f)が、第1色の映像データのうち、階調レベルが第2値である映像データの一例である。映像データV_B(f-1)が、第2色の映像データのうち、階調レベルが第1値である映像データの一例であり、映像データV_B(f)が、第2色の映像データのうち、階調レベルが第2値である映像データの一例である。映像データV_R(f-1)が、第3色の映像データのうち、階調レベルが第1値である映像データの一例であり、映像データV_R(f)が、第3色の映像データのうち、階調レベルが第2値である映像データの一例である。
データOdv_Gが第1補正量の一例であり、データOdv_Bが第2補正量の一例であり、データOdv_Rが第3補正量の一例である。
データOdv_G、Odv_BおよびOdv_Rは、正値および負値を取り得るので、その大小関係についた絶対値でみる必要がある。例えば液晶パネル100R、100Gおよび100Bのうち、液晶パネル100Bの応答性が最も悪い場合、係数K_Bが「1」であり、係数K_G、K_Bは「1」よりも小さくなるので、データOdv_G、Odv_BおよびOdv_Rのうち、データOdv_Bが最大となる。
シフトデバイス230による投射位置のうち、フィールドf1における投射位置が第1位置の一例であり、フィールドf2における投射位置が第2位置の一例である。
【符号の説明】
【0114】
1a、1b…液晶プロジェクター、20…表示制御回路、21…走査制御回路、22…映像処理回路、100R、100G、100B…液晶パネル、110…画素回路、120…液晶素子、200…映像処理装置、210…表示制御回路、230R、230R、230G…処理回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19
図20