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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】車両用電池パックの安全監視装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240730BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240730BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20240730BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240730BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240730BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
H02J7/00 P
H01M50/202
B60L3/00 S
B60L58/10
B60L3/00 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019229151
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021097009
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】横辻 北斗
(72)【発明者】
【氏名】村松 克好
(72)【発明者】
【氏名】岩下 秩士
(72)【発明者】
【氏名】平井 俊晴
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243660(JP,A)
【文献】特開2014-120335(JP,A)
【文献】特開2016-58298(JP,A)
【文献】特開2015-99675(JP,A)
【文献】特開2012-15121(JP,A)
【文献】特開2010-51140(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143399(WO,A1)
【文献】特開2016-93066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H02J 7/00
H01M 50/202
B60L 3/00
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用電池パック内に設置され、前記車両用電池パック内の気圧を検出する気圧センサと、
前記気圧センサで検出された気圧の変化を演算する気圧変化演算部と、
前記気圧変化演算部によって演算された気圧の変化に基づいて前記車両用電池パック内に収容された電池セルが異常であるか否かを判定する異常判定部と
を備え
前記異常判定部は、
車両の衝突を判定するための衝突判定部を更に備え、
前記衝突判定部が前記車両の衝突を判定した場合に前記電池セルが異常であるか否かの判定を中止する車両用電池パックの安全監視装置。
【請求項2】
前記異常判定部は、前記気圧変化演算部によって演算された気圧の変化量が予め設定された閾値を超える場合に前記電池セルが異常であると判定する請求項1に記載の車両用電池パックの安全監視装置。
【請求項3】
前記異常判定部は、前記気圧変化演算部によって演算された気圧の変化速度に基づいて前記電池セルが異常であるか否かを判定する請求項1または2に記載の車両用電池パックの安全監視装置。
【請求項4】
前記異常判定部は、前記車両用電池パックの外部に設置された請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用電池パックの安全監視装置。
【請求項5】
前記気圧センサは、前記電池セルの安全弁の位置から予測されるガスの噴出方向から外れた位置に設置された請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用電池パックの安全監視装置。
【請求項6】
前記車両用電池パック内に設置され、前記電池セルの電圧を監視する監視装置を更に備え、
前記異常判定部は、前記電池セルの電圧が低下し、又は前記監視装置が故障した場合に異常であると判定する請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用電池パックの安全監視装置。
【請求項7】
車速情報と前記異常判定部の判断情報とに基づき車両の走行中の異常であるか停車中の異常であるかを判定する表示判定部を更に備え、
前記表示判定部が走行中の異常であると判定した場合に前記車両の停車を促し、停車中の異常であると判定した場合に前記車両からの避難を促す、請求項1からのいずれか一項に記載の車両用電池パックの安全監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用電池パックの安全監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現在利用可能な電池診断ツールとして、電池セルの定常動作電流及び電圧、温度を測定するものが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-524792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池セルの定常動作電流及び電圧を測定するものは、過充電/過放電等を検出可能であるが、電池セルが熱暴走に到っているか否かは検出できない。電池セルの温度を測定するものは、温度センサを熱源の近くに設置するとセル又は電池から噴出されたガスにより故障する可能性が高く、温度センサを熱源から遠くに設置すると温度が伝わるまでに時間がかかり検出が遅れる。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、乗員の避難を要する電池セルの熱暴走を迅速かつ確実に判定できる車両用電池パックの安全監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置は、車両用電池パック内に設置され、前記車両用電池パック内の気圧を検出する気圧センサと、前記気圧センサで検出された気圧の変化を演算する気圧変化演算部と、前記気圧変化演算部によって演算された気圧の変化に基づいて前記車両用電池パック内に収容された電池セルが異常であるか否かを判定する異常判定部とを備える。
【0007】
上記の構成によれば、異常判定部は、気圧センサで検出され、気圧変換演算部で演算された気圧の変化に基づいて車両用電池パック内に収容された電池セルが異常であるか否かを判定するので、電池セルの熱暴走により電池セルからガスが噴出するような乗員の避難を要する電池セルの熱暴走(異常)を迅速かつ確実に判定できる。
【0008】
一実施形態では、上記の構成において、前記異常判定部は、前記気圧変化演算部によって演算された気圧の変化量が予め設定された閾値を超える場合に前記電池セルが異常であると判定する。
【0009】
上記の構成によれば、異常判定部は、気圧変化演算部によって演算された気力の変化量が予め設定された閾値を超える場合に電池セルが異常であると判定するので、電池セルの熱暴走(異常)を定量的に判定できる。
【0010】
一実施形態では、上記の構成において、前記異常判定部は、前記気圧変化演算部によって演算された気圧の変化速度に基づいて前記電池セルが異常であるか否かを判定する。
【0011】
上記の構成によれば、異常判定部は、気圧変化演算部によって演算された気圧の変化速度に基づいて電池セルが異常であるか否かを判定するので、車両用電池パック内の気圧が急激に上昇する電池セルの熱暴走(異常)を正確に判定できる。
【0012】
一実施形態では、上記の構成において、前記異常判定部は、前記車両用電池パックの外部に設置される。
【0013】
上記の構成によれば、異常判定部は、車両用電池パックの外部に設置されるので、電池セルから噴出したガスによる異常判定部の故障を防止できる。
【0014】
一実施形態では、上記の構成において、前記気圧センサは、前記電池セルの安全弁の位置から予測されるガスの噴出方向から外れた位置に設置される。
【0015】
上記の構成によれば、気圧センサは、電池セルの安全弁の位置から予測されるガスの噴出方向から外れた位置に設置されるので、電池セルの安全弁から噴出されたガスが気圧センサに吹き付けられるのを防止できる。これにより、電池セルの安全弁から噴出されたガスによる気圧センサの故障を防止できる。
【0016】
一実施形態では、上記の構成において、前記車両用電池パック内に設置され、前記電池セルの電圧を監視する監視装置を更に備え、前記異常判定部は、前記電池セルの電圧が低下し、又は前記監視装置が故障した場合に異常であると判定する。
【0017】
上記の構成によれば、異常判定部は、電池セルの電圧が低下し、又は監視装置が故障した場合に異常であると判定するので、車両用電池パック内に設置された熱交換器から漏れた冷媒によって電池セルの電圧が低下し、又は監視装置が故障した場合に異常であると判定する。
【0018】
一実施形態では、上記の構成において、前記異常判定部は、車両の衝突を判定するための衝突判定部を更に備え、前記異常判定部は、前記衝突判定部が前記車両の衝突を判定した場合に、前記電池セルが異常であるか否かの判定を中止する。
【0019】
上記の構成によれば、異常判定部は、衝突判定部が車両の衝突を判定した場合に、電池セルが異常であるか否かの判定を中止する。
【0020】
一実施形態では、上記の構成において、車速情報と前記異常判定部の判断情報とに基づき車両の走行中の異常であるか停車中の異常であるかを判定する表示判定部を更に備え、前記表示判定部が走行中の異常であると判定した場合に前記車両の停車を促し、停車中の異常であると判定した場合に前記車両からの避難を促す。
【0021】
上記の構成によれば、表示判定部が車速情報と異常判定部の判断情報とに基づき車両の走行中の異常であると判定した場合に車両の停車を促し、停車中の異常であると判定した場合に車両からの避難を促す。これにより、車両の走行中の異常か停車中の異常かによって、乗員が適切な行動を採ることができる。
【発明の効果】
【0022】
少なくとも一実施形態によれば、電池セルの熱暴走により電池セルからガスが噴出するような乗員の避難を要する電池セルの熱暴走(異常)を迅速かつ確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】車両用電池パックの構成を概略的に示す図である。
図2】車両用電池パックの安全監視装置の構成を概略的に示す図である。
図3】車両用電池パック内の異常時の気圧変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
いくつかの実施形態に係る車両用電池パック2は、電気自動車(EV自動車)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV,PHEV)等の電動車両に搭載される。図1に示すように、車両用電池パック2には複数の電池セル231が収容されている。例えば、車両用電池パック2は、トレイ21とカバー(図示せず)で構成される容器に複数の電池セル231が一塊となった電池モジュール23が複数収容されて構成される。
【0026】
図2に示すように、いくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1は、気圧センサ11と異常判定装置12とを備える。
【0027】
気圧センサ11は、車両用電池パック内に設置され、車両用電池パック内の気圧(気体の圧力)を検出する。気圧センサ11は、車両用電池パック2に収容された電池セル231から噴出されたガスによる車両用電池パック内の気圧変化を検出可能である。
【0028】
異常判定装置12は、気圧センサ11で検出された気圧の変化に基づいて車両用電池パック内に収容された電池セル231が異常であるか否かを判定する。例えば、異常判定装置12は、制御装置や演算装置を含むプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、及び入力ポートや出力ポートを含むインターフェイスを備える制御装置によって構成される。
【0029】
上述した一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1によれば、気圧センサ11で検出された気圧の変化に基づいて車両用電池パック内に収容された電池セル231が異常であるか否かを判定するので、電池セル231の熱暴走により電池セル231からガスが噴出するような乗員の避難を要する電池セル231の熱暴走(異常)を安全かつ確実に検出できる。
【0030】
図3に示すように、一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Aは、上述した一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1において、異常判定装置12Aは、気圧センサ11で検出された気圧の変化量が予め設定された閾値を超える場合に電池セル231が異常であると判定する。
【0031】
例えば、異常判定装置12Aは、気圧変化演算部121Aと異常判定部122Aとを備える。気圧変化演算部121Aは、気圧センサ11で検出された気圧の変化量を演算する部分であり、異常判定部122Aは、気圧変化演算部121Aで演算された気圧の変化量が予め設定された閾値を超える場合に電池セル231が異常と判定する部分である。
【0032】
上述した一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Aによれば、異常判定装置12Aは、気圧センサ11で検出された気圧の変化量が予め設定された閾値を超える場合に電池セル231が異常であると判定するので、電池セル231の熱暴走(異常)を定量的に判定できる。
【0033】
図2に示すように、一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Bは、上述した一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1,1Aにおいて、異常判定装置12Bは、気圧センサ11で検出された気圧の変化速度に基づいて電池セル231が異常であるか否かを判定する。
【0034】
例えば、異常判定装置12Bは、気圧変化演算部121Bと異常判定部122Bとを備える。気圧変化演算部121Bは、気圧センサ11で検出された気圧の変化速度を演算する部分であり、異常判定部122Bは、気圧変化演算部121Bで演算された気圧の変化速度が予め設定された閾値を超える場合に電池セル231が異常と判定する部分である。
【0035】
上述した一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Bによれば、異常判定装置12Bは、気圧センサ11で検出された気圧の変化速度に基づいて電池セル231が異常であるか否かを算出するので、図3に示すように、低気圧環境でも、車両用電池パック内の気圧が急激に上昇する電池セル231の熱暴走(異常)を正確に判定できる。
【0036】
また、異常判定装置12Bは、上述した一実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Aにおいて、異常判定装置12Bは気圧センサ11で検出された気圧の変化速度に基づいて電池セル231が異常であるか否かを判定する。したがって、異常判定装置12Bは、気圧センサ11で検出された気圧の変化量が予め設定された閾値を超える場合、又は気圧変化演算部121Bで演算された気圧の変化速度が予め設定された閾値を超える場合のいずれの場合にも電池セル231が異常と判定するので、電池セル231の熱暴走(異常)をより安全側に判定できる(フェールセーフ)。
【0037】
図2に示すように、いくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Cは、上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1,1A,1Bにおいて、異常判定装置12Cは、車両用電池パック2の外部に設置されている。
【0038】
上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Cによれば、異常判定装置12Cは、車両用電池パック2の外部に設置されるので、電池セル231から噴出したガスによる異常判定装置12Cの故障を防止できる。
【0039】
図1に示すように、いくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Dは、上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1,1A,~1Cにおいて、気圧センサ11は、電池セル231から噴出されるガスの予測される噴出方向から外れた位置に設置される。
【0040】
例えば、電池セル231は、リチウムイオン電池であり、電池セル231の異常によって電池セル231の内部に発生したガスを逃がすための安全弁を有している。これにより、電池セル231から噴出されるガスの噴出方向が予測可能であり、気圧センサ11は電池セル231から噴出されるガスの予測される噴出方向又は安全弁の近傍から外れた位置に設置される。
【0041】
また、例えば、気圧センサ11は、電池セル231から噴出されるガスが直接当たらないように気圧センサ11を隔離する一方、電池セル231から噴出されるガスによって気圧上昇が見込まれる隔壁の内側に設置するものとしてもよい。
【0042】
上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Dによれば、気圧センサ11は、電池セル231から噴出されるガスの予測される噴出方向から外れた位置に設置されるので、電池セル231から噴出されたガスが気圧センサ11に吹き付けられるのを防止できる。これにより、電池セル231から噴出されたガスによる気圧センサ11の故障を防止できる。
【0043】
図2に示すように、いくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Eは、上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1,1A~1Dにおいて、更に、監視装置13を備える。監視装置13は、車両用電池パック内に設置され、電池セル231の電圧を、電圧センサ14を通じて監視する。そして、異常判定装置12Eは、電池セル231の電圧が低下し、又は監視装置13若しくは電圧センサ14が故障した場合に異常であると判定する。
【0044】
図1に示すように、例えば、電池モジュール23ごと、又は電池セル231ごとに設けられた温度センサ15が監視装置13に接続され、監視装置13において各電池モジュール23、又は電池セル231の電圧を監視する。そして、異常判定装置12Eでは、監視装置13で監視された電圧が低下し、又は監視装置13が故障した場合に異常であると判定する。
【0045】
監視装置13は、更に、電池セル231の温度を監視するものであってもよい。そして、監視装置13が電池セル231の温度を監視する場合に、異常判定装置12Eは、電池セル231の温度が予め設定された閾値を超える場合に異常であると判断する。
【0046】
図1に示すように、例えば、電池モジュール23ごと、又は電池セルごとに設けられた温度センサ15が監視装置13に接続され、監視装置13において各電池モジュール23、又は電池セル231の温度を監視する。そして、異常判定装置12Eでは、監視装置13で監視された温度が予め設定された閾値を超える場合に異常であると判定する。
【0047】
また、例えば、電池モジュール23ごと、又は電池セルごとに設けられた監視装置13にはその一部としての電圧センサ14が接続され、監視装置13において各電池モジュール23、又は電池セル231の電圧を監視する。
【0048】
上述したいくつかの実施形態に係る電池パックの安全監視装置1Eによれば、異常判定装置12Eは、電池セル231の電圧が低下し、又は監視装置13若しくは電圧センサ14が故障した場合に異常と判定するので、車両電池パック内に設置された熱交換器から漏れた冷媒によって電池セル231の電圧が低下し、又は監視装置13若しくは電圧センサ14が故障した場合に異常であると判定する。
【0049】
図2に示すように、いくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Fは、上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1,1A~1Eにおいて、異常判定装置12Fは、衝突判定部123を有する。衝突判定部123は、車両の衝突を判定するためのものである。例えば、衝突判定部は、車両に設けられた加速度センサ3(Gセンサ)によって検出された加速度が予め定めた閾値を超える場合に車両の衝突を判定してもよいし、車両に設けられたエアバッグ制御装置4(以下「エアバッグECU4」という)によってエアバッグが展開された場合に車両の衝突を判定してもよい。
【0050】
異常判定装置12は、衝突判定部123において車両の衝突を判定した場合に、電池セル231が異常であるか否かの判定を中止する。
【0051】
上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Fによれば、異常判定装置12Fは、衝突判定部123において車両の衝突を判定した場合に、電池セル231が異常であるか否かの判定を中止する。
【0052】
図2に示すように、いくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Gは、上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1,1A~1Fにおいて、更に、警告表示装置16を備える。警告表示装置16は車両の停車又は車両からの避難を促す表示を択一的に表示する。また、車両用電池パックの安全監視装置1Gでは、異常判定装置12Gは、表示判定部124を有する。表示判定部124は、車両の走行中の異常であるか停車中の異常であるかを判定する部分である。例えば、表示判定部124は、異常判定部で異常であると判定された場合に、車両の設けられた車速演算装置5(以下「車速演算ECU5」という)から入力された車速に基づいて車両の走行中の異常であるか停車中の異常であるか判定する。そして、警告表示装置16は、表示判定部124で車両の走行中の異常であると判定された場合に車両の停止を促し、車両の停車中の異常であると判定した場合に車両からの避難を促す。
【0053】
警告表示装置16は、例えば、速度メータの中に設けられ、表示判定部124で車両の走行中であると判定された場合に車両の停止を促す表示を表示し、車両の停車中の異常であると判定した場合に車両からの避難を促す表示を表示する。
【0054】
上述したいくつかの実施形態に係る車両用電池パックの安全監視装置1Gによれば、警告表示装置16は、表示判定部124が車両の走行中の異常であると判定した場合に車両の停車を促し、停車中の異常であると判定した場合に車両からの避難を促す。これにより、車両の走行中の異常か停車中の異常かによって乗員が適切な行動を採ることができる。
【0055】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0056】
上述した実施形態では、車両の停車、又は車両からの避難を促す警告手段として、警告表示装置16を用いているが、警告の手段はこれに限らず、乗員に対して警告の内容を認識させることができればよく、例えば音声で報知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,1A~1G 安全監視装置
11 気圧センサ
12,12A~12G 異常判定装置
121A,122B 気圧変化演算部
122A,122B 異常判定部
123 衝突判定部
124 表示判定部
13 監視装置
14 電圧センサ
15 温度センサ
16 警告表示装置
2 車両用電池パック
21 トレイ
23 電池モジュール
231 電池セル
3 加速度センサ
4 エアバッグ制御装置(エアバッグECU)
5 車速演算装置(車速演算ECU)
図1
図2
図3