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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240730BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240730BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240730BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20240730BHJP
   H10K 50/10 20230101ALN20240730BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G09G3/20 611H
G09G3/20 611J
G09G3/20 621M
G09G3/20 623F
G09G3/20 623G
G09G3/20 623V
G09G3/20 624B
G09G3/20 680A
G09G3/20 680G
H05B33/06
H05B33/14 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019231171
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021099428
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】田村 剛
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-142440(JP,A)
【文献】特開2017-146535(JP,A)
【文献】特開2015-070086(JP,A)
【文献】特開2006-018084(JP,A)
【文献】特開2005-208449(JP,A)
【文献】特開2005-157269(JP,A)
【文献】特開2011-085883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0117410(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1658262(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09F 9/30
G09G 3/20
H05B 33/06
H10K 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の半導体基板に、表示領域と、データ信号出力回路と、前記データ信号出力回路に画像データを供給する制御回路と、外部装置からの信号を前記制御回路に出力するインターフェイスと、複数の端子と、が設けられた表示装置であって、
前記表示領域は、
第1系列のデータ線に対応する第1画素回路と、
第2系列のデータ線に対応する第2画素回路と、
を含み、
前記データ信号出力回路は、
前記第1画素回路に対応する前記画像データである第1画像データ、および、前記第2画素回路に対応する前記画像データである第2画像データをラッチするラッチ回路を含み、前記ラッチ回路によってラッチされた前記第1画像データをアナログのデータ信号に変換して、前記第1系列のデータ線に向けて出力し、前記ラッチ回路によってラッチされた前記第2画像データをアナログのデータ信号に変換して、前記第2系列のデータ線に向けて出力し、
前記複数の端子は、前記矩形の一辺に沿った第1方向に沿って配列し、
前記複数の端子のうちの第1端子から、前記データ信号出力回路の両端のうちの第1端まで直線状に延在する第1電源配線と、
前記複数の端子のうちの第2端子から、前記データ信号出力回路の両端のうちの第2端まで直線状に延在する第2電源配線と、
前記複数の端子のうちの第3端子から、前記制御回路の両端のうちの第1端まで直線状に延在する第3電源配線と、
前記複数の端子のうちの第4端子から、前記制御回路の両端のうちの第2端まで直線状に延在する第4電源配線と、
前記複数の端子のうちの第5端子から、前記インターフェイスの両端のうちの第1端まで直線状に延在する第5電源配線と、
前記複数の端子のうちの第6端子から、前記インターフェイスの両端のうちの第2端まで直線状に延在する第6電源配線と、
を有し、
前記一辺と直交する辺に沿った第2方向から見て、前記データ信号出力回路および前記制御回路は互いに重ならない位置に配置され、
前記第2方向から見て、前記インターフェイスは、前記データ信号出力回路および前記制御回路のいずれか一方と前記複数の端子との間において、前記データ信号出力回路および前記制御回路のいずれか一方と重なる位置に配置され、かつ、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、および前記第4端子、前記第1電源配線、前記第2電源配線、前記第3電源配線、および前記第4電源配線のいずれとも重ならない位置に配置される、
表示装置。
【請求項2】
前記第1方向と、
前記データ信号出力回路の両端を結んだ方向と、が揃っている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
請求項1または2の表示装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)を用いた表示装置が知られている。この表示装置では、表示素子やトランジスターなどを含む画素回路が、表示しようとする画像の画素に対応して設けられる構成が一般的である。また、表示装置には、表示サイズの小型化や表示の高精細化が要求されることが多い。表示サイズの小型化と表示の高精細化とを両立するためには、画素回路を微細化する必要があるので、表示装置を、例えばシリコンなどの半導体の基板に集積する技術も提案されている(例えば特許文献1参照)。
なお、特許文献1には、画素回路にデータ信号を供給するための回路、例えばラッチ回路の個数を削減するために、画素回路に対応するデータ線を複数本毎にグループ(ブロック)化して、グループ毎にラッチ回路を設ける点も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-146535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術において、データ信号を供給するための回路への電源配線が不適切であると、誤動作の原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る表示装置は、半導体基板に、表示領域と、データ信号出力回路と、複数の端子とが設けられた表示装置であって、前記表示領域は、第1系列のデータ線に対応する第1画素回路と、第2系列のデータ線に対応する第2画素回路と、を含み、前記データ信号出力回路は、前記第1画素回路に対応する第1画像データ、および、前記第2画素回路に対応する第2画像データをラッチするラッチ回路を含み、前記データ信号出力回路は、前記ラッチ回路によってラッチされた第1画像データをアナログのデータ信号に変換して、前記第1系列のデータ線に向けて出力し、前記ラッチ回路によってラッチされた第2画像データをアナログのデータ信号に変換して、前記第2系列のデータ線に向けて出力し、前記複数の端子のうちの第1端子から、前記データ信号出力回路の両端のうちの第1端まで直線状に延在する第1電源配線と、前記複数の端子のうちの第2端子から、前記データ信号出力回路の両端のうちの第2端まで直線状に延在する第2電源配線と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る表示装置の構成を示す斜視図である。
図2】表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】表示装置における要部の構成を回路図である。
図4】表示装置における画素回路の構成を示す図である。
図5】表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
図6】表示装置の動作を説明するための図である。
図7】表示装置の動作を説明するための図である。
図8】表示装置の動作を説明するための図である。
図9】表示装置の動作を説明するための図である。
図10】表示装置における要素および配線の配置を示す平面図である。
図11】第2実施形態に係る表示装置の要素および配線の配置を示す平面図である。
図12】表示装置を用いたヘッドマウントディスプレイを示す斜視図である。
図13】ヘッドマウントディスプレイの光学構成を示す図である。
図14】第1比較例に係る表示装置を示す平面図である。
図15】第2比較例に係る表示装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
図1は、第1実施形態に係る表示装置10の構成を示す斜視図であり、図2は、表示装置10の構成を示すブロック図である。
この表示装置10は、例えばヘッドマウントディスプレイなどにおいてカラー画像を表示するマイクロ・ディスプレイ・パネルであり、複数の画素回路や当該画素回路を駆動する駆動回路などが半導体基板に形成される。半導体基板としては、典型的にはシリコン基板であるが、他の半導体基板であってもよい。
【0009】
表示装置10は、表示領域で開口する枠状のケース192に収納されるとともに、FPC(Flexible Printed Circuits)基板194の一端が接続される。FPC基板194の他端には、外部の上位装置に接続されるための複数の端子196が設けられる。なお、上位装置は、表示装置10に表示させるための画像信号および同期信号を、例えばmini-LVDS(mini-Low Voltage Differential Signaling)方式のような差動信号で出力する。
【0010】
図2に示されるように、表示装置10は、インターフェイス15、制御回路20、データ信号出力回路30、スイッチ群40、初期化回路50、補助回路70、表示領域100および走査線駆動回路120を含む。
表示領域100では、m行の走査線12が図において左右方向に沿って設けられ、(3q)列のデータ線14bが、上下方向に沿って、かつ、各走査線12と互いに電気的に絶縁を保つように設けられる。
なお、m、qは、2以上の整数である。また、後述するようにm行の走査線12と(3q)列のデータ線14bとの交差に対応して画素回路が設けられる。
【0011】
インターフェイス15は、上位装置から出力された差動信号を受信して、画像信号Vidおよび同期信号Syncに復元する。なお、インターフェイス15は、上記mini-LVDSなどの小振幅差動インターフェイスである。
制御回路20は、インターフェイス15によって復元された画像信号Vidおよび同期信号Syncに基づいて各部を制御する。同期信号Syncに同期して供給される画像信号Vidは、表示すべき画像における画素の階調レベルを、例えばRGB毎に8ビットで指定する。また、同期信号Syncには、画像信号Vidの垂直走査開始を指示する垂直同期信号や、水平走査開始を指示する水平同期信号、および、画像信号の1画素分のタイミングを示すドットクロック信号が含まれる。
制御回路20は、各部を制御するために、制御信号Gcp、Gref、Y_Ctr、/Gini、L_Ctr、S_Ctr、Sel(1)~Sel(q)およびクロック信号Clkを生成する。図2では省略されているが、制御回路20は、制御信号Gcpとは論理反転の関係にある制御信号/Gcpと、Sel(1)~Sel(q)とは論理反転の関係にある制御信号/Sel(1)~/Sel(q)とを出力する。
また、制御回路20は、画像信号Vidを適切に処理し、例えば10ビットにアップコンバートし、画像信号Vdatとして出力する。なお、制御回路20は、画像信号Vidを画像信号Vdatに変換するためのルックアップテーブルや、各種の設定用パラメーターを記憶するレジスタなどを含む。
【0012】
走査線駆動回路120は、制御信号Y_Ctrにしたがって、m行3q列で配列する画素回路を、1行を単位として駆動するための回路である。
データ信号出力回路30は、第1データ信号を出力する。詳細には、データ信号出力回路30は、画素回路で表現する画素、すなわち表示しようとする画像における画素の階調レベルに応じた電圧であって、電圧振幅を圧縮する前の第1データ信号を出力する。
なお、本実施形態では、データ信号出力回路30から出力される第1データ信号の電圧振幅が圧縮され、第2データ信号としてデータ線14bに供給される。したがって、圧縮後の第2データ信号も、画素の階調レベルに応じた電圧となる。言い換えると、データ線14bの電圧は、画素の階調レベルに応じた電圧となる。
また、データ信号出力回路30は、シリアルで供給される画像信号Vdatを、複数相(この例ではqの係数である「3」相)にパラレル変換して出力する機能も有する。
【0013】
データ信号出力回路30は、シフトレジスタ31、ラッチ回路32、D/A変換回路群33およびアンプ群34を含む。
シフトレジスタ31は、クロック信号Clkに同期してシリアルで供給される画像信号Vdatを順次転送して、1行分、すなわち画素回路の個数でいえば(3q)個分、格納する。
【0014】
ラッチ回路32は、シフトレジスタ31に格納された(3q)個分の画像信号Vdatを制御信号L_Ctrにしたがってラッチし、ラッチした画像信号Vdatを制御信号L_Ctrにしたがって3相にパラレル変換して出力する。
D/A変換回路群33は3つのD/A(Digital to Analog)変換器を含む。3つのD/A変換器によって、ラッチ回路32から出力される3相の画像信号Vdatがアナログ信号に変換される。
アンプ群34は3つの増幅器を含む。3つの増幅器によって、D/A変換回路群33から出力される3相のアナログ信号が増幅され、第1データ信号Vd(1)、Vd(2)、Vd(3)として出力される。
【0015】
制御回路20は、後述するように書込期間に先立ち順次排他的にHレベルとなる制御信号Sel(1)~Sel(q)を出力する。本実施形態では、制御回路20は、水平走査期間のうち、初期化期間および補償期間において順次排他的にHレベルとなる制御信号Sel(1)~Sel(q)を出力する。
【0016】
図3は、表示装置10のうち、スイッチ群40、初期化回路50、補助回路70および表示領域100の構成を示す回路図である。
表示領域100には、表示すべき画像の画素に対応した画素回路110がマトリクス状に設けられる。詳細には、画素回路110は、m行の走査線12と、(3p)列のデータ線14bとの交差部に対応して設けられる。このため、画素回路110は、図において縦m行×横(3q)列でマトリクス状に配列する。ここでマトリクス配列のうち、行(ロウ)を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m-1)、m行と呼ぶ場合がある。同様にマトリクスの列(カラム)を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(3q-1)、(3q)列と呼ぶ場合がある。
また、データ線14bは、図2および図3では3列毎にグループ化されている。ここでグループを一般化して説明するために、1以上q以下の整数jを用いると、左から数えてj番目のグループには、(3j-2)列目、(3j-1)列目および(3j)列目の計3列のデータ線14bが属している、ということになる。
【0017】
なお、(3j-2)列目のデータ線14bが第1系列のデータ線の一例であり、(3j-1)列目のデータ線14bが第2系列のデータ線の一例である。
また、(3j-2)列目のデータ線14bに対応するm個の画素回路のうち、いずれかが第1画素回路の一例であり、(3j-1)列目のデータ線14bに対応するm個の画素回路のうち、いずれかが第2画素回路の一例である。
【0018】
同一行の走査線12と同一グループに属する3列のデータ線14bとの交差に対応した3つの画素回路110は、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)の画素に対応して、これらの3画素が表示すべきカラー画像の1ドットを表現する。すなわち、第1実施形態では、RGBに対応した計3つの画素回路110によって1ドットのカラーを加法混色で表現する。
【0019】
走査線駆動回路120は、走査線12を1行毎に順番に走査するための走査信号を、制御信号Y_Ctrにしたがって生成する。ここで、1、2、3、…、(m-1)、m行目の走査線12に供給される走査信号が、それぞれ/Gwr(1)、/Gwr(2)、…、/Gwr(m-1)、/Gwr(m)と表記される。
なお、走査線駆動回路120は、走査信号/Gwr(1)~/Gwr(m)のほかにも、当該走査信号に同期した制御信号を行毎に生成して表示領域100に供給するが、図3においては図示が省略されている。
【0020】
表示装置10では、データ線14bに対応してデータ転送線14aが設けられる。
また、スイッチ群40は、データ転送線14a毎に設けられた容量素子41およびデータ転送線14a毎に設けられたトランスミッションゲート45の集合体である。
このうち、1、4、7、…、(3q-2)列に対応するq個のトランスミッションゲート45の入力端は共通接続される。なお、この入力端には、第1データ信号Vd(1)が画素毎に時系列で供給される。
また、2、5、8、…、(3q-1)列に対応するq個のトランスミッションゲート45の入力端は共通接続され、第1データ信号Vd(2)が画素毎に時系列で供給される。
同様に、3、6、9、…、(3q)列に対応するq個のトランスミッションゲート45の入力端は共通接続され、第1データ信号Vd(3)が画素毎に時系列で供給される。
ある列のトランスミッションゲート45の出力端は、当該列のデータ転送線14aの一端に接続される。
【0021】
j番目のグループに属する(3j-2)、(3j-1)、(3j)列に対応した3つのトランスミッションゲート45は、制御信号Sel(j)がHレベルのとき(制御信号/Sel(j)がLレベルのとき)に、入力端および出力端の間でオンする。
なお、図3では、紙面の制約のため、1番目のグループおよびq番目のグループのみ図示され、他のグループは省略されている。また、図3のトランスミッションゲート45は、図2では、単なるスイッチとして簡略化されて表記されている。
【0022】
ある列の容量素子41の一端は、当該列に対応するデータ転送線14aの一端に接続され、当該容量素子41の他端は、一定電位、例えば電圧ゼロの基準となる電位に接地されている。
【0023】
補助回路70は、列毎に設けられたトランスミッションゲート72と、列毎に設けられたNチャネルMOS型のトランジスター73と、列毎に設けられた容量素子75との集合体である。
ここで、ある列のトランスミッションゲート72の入力端は、データ転送線14aの他端に接続され、当該列のトランスミッションゲート72の出力端は、当該列に対応するトランジスター73のドレインノードおよび当該列に対応する容量素子75の一端に接続される。
また、各列において、トランジスター73のゲートノードには制御信号Grefが供給され、トランジスター73のソースノードには電圧Vrefが印加される。
ある列に対応する容量素子75の他端は、当該列に対応するデータ線14bの一端に接続される。
【0024】
初期化回路50は、列毎に設けられたPチャネルMOS型のトランジスター56の集合体である。各例において、トランジスター56のゲートノードには制御信号/Giniが供給され、トランジスター56のソースノードには電圧Viniが印加される。また、ある列に対応するトランジスター56のドレインノードは、当該列に対応するデータ線14bに接続される。
【0025】
本実施形態において、データ転送線14aの一端は、トランスミッションゲート45の出力端および容量素子41の一端に接続され、データ転送線14aの他端は、トランスミッションゲート72における入力端に接続される。表示領域100は、スイッチ群40と補助回路70との間に位置するので、データ転送線14aは、表示領域100を通過する。
一方、トランスミッションゲート45を介してデータ転送線14aに供給された第1データ信号は、トランスミッションゲート72および容量素子75およびデータ線14bを介して第2データ信号として画素回路110に供給される。
このため、データ信号出力回路30から出力される第1データ信号は、データ転送線14aを介して、表示領域100を挟んで反対の位置にある補助回路70に到達し、折り返して、第2データ信号となってデータ線14bを介して画素回路110に供給される。
【0026】
図4は、画素回路110の構成を示す図である。m行(3q)列で配列する画素回路110は電気的にみれば互いに同一である。このため、画素回路110については、i行目であって、いずれの列に対応する1つの画素回路110で代表させて説明する。
【0027】
図に示されるように、画素回路110は、OLED130と、Pチャネル型のトランジスター121~125と、容量素子132とを含む。
また、i行目の画素回路110には、走査信号/Gwr(i)のほか、制御信号/Gel(i)、/Gcmp(i)が、走査線駆動回路120から供給される。
【0028】
OLED130は、表示素子の一例であり、画素電極213と、共通電極218とで発光機能層216を挟持する。画素電極213はアノードとして機能し、共通電極218はカソードとして機能する。また、共通電極218は光透過性を有する。
OLED130において、アノードからカソードに電流が流れると、アノードから注入された正孔とカソードから注入された電子とが発光機能層216で再結合して励起子が生成され、白色光が発生する。このときに発生した白色光が、図示省略された反射膜とハーフミラーとで構成された光共振器にて共振し、RGBのいずれかの色に対応して設定された共振波長で出射する。光共振器から光の出射側には当該色に対応したカラーフィルターが設けられる。したがって、OLED130からの出射光は、光共振器およびカラーフィルターによる着色を経て、観察者に視認される。
【0029】
なお、画素回路110に設けられるOLED130は、表示画像の最小単位となる。1個の画素回路110は1個のOLED130を含む。ある画素回路110は他の画素回路110とは独立して制御され、OLED130は画素回路110に対応する色で発光して、3原色の1つを表現する。
すなわち、1つの画素回路110は、表示すべき色のうち、三原色の1つを表現するので、厳密にいえば、サブ画素回路と呼ぶべきであるが、説明を簡略化するために画素回路と呼ぶことにする。なお、表示装置10が単に明暗のみの単色画像を表示する場合には、上記カラーフィルターを省略してもよい。
【0030】
トランジスター121にあっては、ゲートノードがトランジスター122のドレインノードに接続され、ソースノードが電圧Velの給電線116に接続され、ドレインノードがトランジスター123のソースノードおよびトランジスター124のソースノードに接続される。なお、容量素子132にあっては、一端がトランジスター121のゲートノードに接続され、他端が一定の電圧、例えば電圧Velの給電線116に接続される。このため、容量素子132は、トランジスター121におけるゲートノードgの電圧を保持することになる。
なお、容量素子132としては、トランジスター121のゲートノードに寄生する容量を用いてもよいし、シリコン基板において互いに異なる導電層で絶縁層を挟持することによって形成される容量を用いてもよい。
【0031】
i行目であって任意の列における画素回路110のトランジスター122にあっては、ゲートノードがi行目の走査線12に接続され、ソースノードが当該列のデータ線14bに接続される。
i行目であって任意の列における画素回路110のトランジスター123にあっては、ゲートノードに制御信号/Gcmp(i)が供給され、ドレインノードが当該列のデータ線14bに接続される。
i行目であって任意の列における画素回路110のトランジスター124にあっては、ゲートノードに制御信号/Gel(i)が供給され、ドレインノードがOLED130のアノードである画素電極213およびトランジスター125のドレインノードに接続される。
i行目であって任意の列における画素回路110のトランジスター125にあっては、ゲートノードに制御信号/Gcmp(i)が供給され、ソースノードが電圧Vorstの給電線に接続される。
なお、OLED130のカソードとして機能する共通電極218は、電圧Vctの給電線に接続される。また、表示装置10はシリコン基板に形成されるので、トランジスター121~125の基板電位については例えば電圧Velに相当する電位としている。
【0032】
図5は、表示装置10の動作を説明するためのタイミングチャートである。
表示装置10では、1フレーム(F)の期間にわたって1、2、3、…、m行目という順番で走査される。詳細には、図に示されるように、走査信号/Gwr(1)、/Gwr(2)、…、/Gwr(m-1)、/Gwr(m)が、走査線駆動回路120によって水平走査期間(H)毎に、順次排他的にLレベルとなる。
なお、本説明において1フレームの期間とは、画像信号Vidで指定される画像の1コマを表示するのに要する期間をいう。1フレームの期間の長さは、垂直同期期間と同じ場合、例えば同期信号Syncに含まれる垂直同期信号の周波数が60Hzであれば、当該垂直同期信号の1周期分に相当する16.7ミリ秒である。また、図5において、電圧を示す縦スケールは、各信号にわたって必ずしも揃っていない。
【0033】
水平走査期間(H)での動作は、非選択行の画素回路について共通である。
また、ある水平走査期間(H)において走査される行の1~(3q)列目の画素回路110の動作についても、ほぼ共通である。そこで以下については、i行目であって(3j-2)列における画素回路110について着目して説明する。
【0034】
第1実施形態において、水平走査期間(H)は、主に初期化期間(A)、補償期間(B)および書込期間(C)の3つの期間に分けられる。また、画素回路110の動作としては、上記3つの期間に、さらに発光期間(D)が加わる。
各水平走査期間(H)において初期化期間(A)では、制御信号/GiniがLレベルとなり、制御信号/GrefがHレベルとなり、制御信号GcpがLレベルとなる。また、補償期間(B)では、制御信号/GiniがHレベルとなり、制御信号/GrefがHレベルを維持し、制御信号GcpがLレベルを維持する。書込期間(C)では、制御信号/GiniがHレベルを維持し、制御信号/GrefがLレベルとなり、制御信号GcpがHレベルとなる。
なお、i行目における画素回路110の発光期間(D)とは、制御信号/Gel(i)がLレベルとなる期間をいう。
【0035】
i行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルになるので、i行目の画素回路110におけるトランジスター122がオンする。また、当該水平走査期間(H)では、制御信号/GelがHレベルとなるので、当該画素回路110におけるトランジスター124がオフする。
【0036】
当該水平走査期間(H)の初期化期間(A)では、制御信号/GiniがLレベルとなることによってトランジスター56がオンするので、図6に示されるようにデータ線14b、トランジスター121のゲートノードg、容量素子132の一端および容量素子75の他端は、電圧Viniに初期化される。初期化期間(A)では、制御信号/Gcmp(i)のHレベルによってトランジスター123および125がオフする。初期化期間(A)では、制御信号GrefのLレベルによってトランジスター73がオンするので、図6に示されるように容量素子75の一端は電圧Vrefに初期化される。
【0037】
次に、i行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)のうち、補償期間(B)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルとなっている状態で制御信号/Gcmp(i)がLレベルになる。このため、i行(3j-2)列における画素回路110では、図7に示されるように、トランジスター121がオンしている状態でトランジスター123がオンする。したがって、トランジスター121は、ゲートノードおよびドレインノードが接続された状態、すなわち、ダイオード接続状態となるので、当該トランジスター121においてゲートノード・ソースノード間の電圧が当該トランジスター121のしきい値電圧に収束する。ここで、しきい値電圧を便宜的にVthと表記すると、トランジスター121のゲートノードgは、しきい値電圧Vthに対応した電圧(Vel-Vth)に収束する。
【0038】
なお、補償期間(B)では、トランジスター121のゲートノードおよびドレインノードがデータ線14bに接続されるので、データ線14bの電圧についても電圧(Vel-Vth)となる。補償期間(B)では、制御信号GrefがHレベルであり、トランジスター73がオンしているので、容量素子75にあっては、一端が電圧Vrefとなり、他端が電圧(Vel-Vth)となる。
【0039】
また、補償期間(B)では、制御信号/Gcmp(i)のLレベルにより、トランジスター125がオンするので、OLED130のアノード(画素電極)は、電圧Vorstにリセットされる。
【0040】
制御信号Sel(1)~Sel(q)は、初期化期間(A)および補償期間(B)において順次排他的にHレベルとなる。なお、図5図6および図7では省略されているが、制御信号/Sel(1)~/Sel(q)は、初期化期間(A)および補償期間(B)において、制御信号Sel(1)~Sel(q)に同期して、順次排他的にLレベルとなる。
一方、データ信号出力回路30は、制御信号Sel(1)~Sel(q)のうち、例えば制御信号Sel(j)がHレベルとなったときに、i行目の走査線12とj番目のグループに属するデータ線14bとの交差に対応する3画素の第1データ信号Vd(1)~Vd(3)を出力する。より詳細には、データ信号出力回路30は、制御信号Sel(j)がHレベルとなる期間において、i行(3j-2)列の画素に対応する第1データ信号Vd(1)を出力し、i行(3j-1)列の画素に対応する第1データ信号Vd(2)を出力し、i行(3j)列の画素に対応する第1データ信号Vd(3)を出力する。
具体例としては、jが「2」であれば、データ信号出力回路30は、制御信号Sel(2)がHレベルとなる期間において、i行4列の画素に対応する第1データ信号Vd(1)を出力し、i行5列の画素に対応する第1データ信号Vd(2)を出力し、i行6列の画素に対応する第1データ信号Vd(3)を出力する。
【0041】
このように、制御信号Sel(1)~Sel(q)が順次排他的にHレベルになると、1列目から(3q)列目までに対応する容量素子41に、それぞれ画素に対応する第1データ信号の電圧が保持される。
なお、図6は、画素回路110が属するj番目のグループに対応する制御信号Sel(j)が初期化期間(A)においてHレベルとなって、第1データ信号Vd(1)の電圧が容量素子41に保持される状態を示している。
また、図7は、j番目のグループに対応する制御信号Sel(j)が補償期間(B)においてHレベルとなって、第1データ信号Vd(1)の電圧が容量素子41に保持される状態を示している。
【0042】
次に、i行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)のうち、書込期間(C)では、走査信号/Gwr(i)がLレベルとなっている状態で制御信号/Gcmp(i)がHレベルになる。このため、i行(3j-2)列における画素回路110では、トランジスター123および125はオフする。
また、書込期間(C)では、図8に示されるように、制御信号GrefがLレベルとなるので、トランジスター73がオフし、制御信号GcpがHレベル(制御信号/GcpがLレベル)となるので、トランスミッションゲート72がオンする。このため、容量素子75の一端は、電圧Vrefから容量素子41に保持された電圧に変化する。当該電圧変化は、容量素子75を介して、データ線14bおよびゲートノードgに伝達する。
ここで、容量素子75の容量をCrf1とし、データ線14bに寄生する容量Cdtとすると、画素回路110におけるゲートノードgは、容量素子75の一端における電圧変化分に、容量Crf1およびCdtの和に対する容量Crf1の比を乗じた分だけ、電圧(Vel-Vth)から変化し、当該変化後のゲートノードgの電圧が容量素子132に保持される。
なお、上記比は、容量素子132の容量も考慮すべきであるが、容量素子132の容量は、容量Crf1およびCdtと比較して十分に小さければ無視することができる。
【0043】
書込期間(C)の終了後、発光期間(D)となる。すなわちi行目の走査線12の選択終了後、発光期間(D)に至ると、制御信号/Gel(i)がLレベルに反転するので、トランジスター124がオンする。このため、OLED130には、容量素子132によって保持された電圧Vgsに応じた電流が流れて、当該OLED130が、当該電流に応じた輝度で発光する。
なお、図5は、i行目の走査線12の選択終了後、発光期間(D)が連続した例であるが、制御信号/Gel(i)がLレベルとなる期間を間欠的にしてもよいし、輝度調整に応じて調整してもよい。また、発光期間(D)における制御信号/Gel(i)のレベルについては、補償期間(B)におけるLレベルより上昇させてもよい。すなわち、発光期間(D)における制御信号/Gel(i)のレベルについては、HレベルとLレベルとの間のレベルを用いてもよい。
【0044】
着目した画素回路110において、書込期間(C)および発光期間(D)におけるゲート・ソース間の電圧Vgsは、上述したように、補償期間(B)におけるしきい値電圧Vthから、当該画素回路110の階調レベルに応じて変化させた電圧である。同様な動作が他の画素回路110でも実行されるので、第1実施形態では、m行(3q)列のすべての画素回路110にわたってトランジスター121のしきい値電圧が補償された状態で、OLED130に階調レベルに応じた電流が流れる。したがって、第1実施形態では、輝度のばらつきが小さくなる結果、高品位な表示が可能となる。
【0045】
なお、図6乃至図9では、スイッチ群40および初期化回路50が設けられる領域が特に区別されていない。
【0046】
表示装置10における電気的な構成は以上の通りである。次に、表示装置10において、複数の端子180のうちの特定の端子から各要素までの配線、特に電源配線に留意すべき点について説明する。
【0047】
図10は、第1実施形態に係る表示装置10における各要素と電源配線の位置を示す平面図である。
なお、表示装置10は、ウェハー状の半導体基板からダイシングされるので、矩形形状である。このため、矩形形状の表示装置10のうち、同図に示されるように便宜的に、上辺を符号Uとし、下辺を符号Dとし、左辺を符号Lとし、右辺を符号Rとする。
上辺Uと表示領域100との間には、補助回路70が設けられる。また、左辺Lと表示領域100との間には、破線で示されるように走査線駆動回路120が設けられる。下辺Dと表示領域100との間には、下辺Dから順に複数の端子180、インターフェイス15、データ信号出力回路30、スイッチ群40および初期化回路50が設けられる。
なお、複数の端子180は、下辺Dに沿って、詳細には図において横方向に沿って設けられる。
【0048】
スイッチ群40における容量素子41およびトランスミッションゲート45は、データ転送線14aに対応して設けられるので、図において、スイッチ群40の横方向の長さは、表示領域100の長さとほぼ同じである。同様に初期化回路50におけるトランジスター56は、データ線14bに対応して設けられるので、図において、初期化回路500の横方向の長さは、表示領域100の長さとほぼ同じである。
一方、データ信号出力回路30は、データ転送線14aと非対応であるので、図において左に寄って配置する。データ信号出力回路30が左に寄って配置すると、当該データ信号出力回路30の右には空きスペースが生じる。第1実施形態では、この空きスペースに制御回路20が設けられる。なお、インターフェイス15は、複数の端子180とデータ信号出力回路30との間であって、制御回路20の近傍に設けられる。
【0049】
図2および図3では、説明の便宜のために、データ線14bの総数を「3q」とし、
グループ数をqとし、パラレル変換の相数を「3」として説明した。ここで、より具体的とするために、例えばデータ線14bの総数を「5760」(=1920×3)とし、グループ数を「24」とし、パラレル変換の相数を「240」とした場合を想定して説明する。
データ信号出力回路30は、シフトレジスタ31、ラッチ回路32、D/A変換回路群33およびアンプ群34を含む。このうち、D/A変換回路群33におけるD/A変換器およびアンプ群34における増幅器は、パラレル変換された相に対応して設けられるので、D/A変換器の個数および増幅器の個数も「240」となる。データ信号出力回路30におけるD/A変換器および増幅器は、それぞれ横方向に沿って配置し、この配置に合わせてシフトレジスタ31の単位回路およびラッチ回路32の単位回路についても横方向に沿って設けられる。
【0050】
すなわち、パラレル変換の相数を「240」とした場合、シフトレジスタ31の単位回路、ラッチ回路32の単位回路、増幅器、D/A変換器の組数も「240」となり、これらの回路の「240」組が横方向に沿って並んで配列する。
なお、シフトレジスタ31の単位回路とは、画像信号Vdatを順次転送するために縦続接続される回路をいい、ラッチ回路32の単位回路とは、シフトレジスタ31によって転送された画像信号Vdatの1画素分を記憶するための回路をいう。
【0051】
図において横方向に延在するデータ信号出力回路30への電源を、左または右の一方に供給する構成にすると、左または右の他方において電圧降下が発生する。このため、第1実施形態では、データ信号出力回路30への電源が左右両端に供給される構成となっている。具体的には、データ信号出力回路30への電源が、1つの特定の端子180aから直線状に延在する配線Lnaと、別の1つ端子180bから直線状に延在する配線Lnbと、を介して供給される構成となっている。
より詳細には、配線Lnaは、図において実線で示されるように右方向に例えば4つに分岐し、当該4つに分岐した配線が、シフトレジスタ31、ラッチ回路32、D/A変換回路群33およびアンプ群34の領域毎に沿って右方向に沿って延在する。同様に配線Lnbは、左方向に例えば4つに分岐し、当該4つに分岐した配線が、シフトレジスタ31、ラッチ回路32、D/A変換回路群33およびアンプ群34の領域毎に沿って右方向に沿って延在し、配線Lnaから分岐した配線とそれぞれ接続される。
複数の端子180の配列方向と、データ信号出力回路30の左右方向とが揃っている。具体的には、複数の端子180は下辺Dに沿って配列し、データ信号出力回路30の長手方向である左右方向も下辺Dに揃っている。このため、端子180aからデータ信号出力回路30の左端までの直線状に延在する配線Lnaの長さと、端子180bからデータ信号出力回路30の右端までの配線Lnbの長さとは、ほぼ同じとなる。
したがって、線幅が同じであれば、配線Lnaの抵抗と配線Lnbの抵抗とについてもほぼ同じとなる。なお、配線の長さとは、端子180からデータ信号出力回路30までの距離のうち、FPC基板194との接続部分を除いた部分の距離をいい、線幅とは延在方向と直交する方向の距離をいう。
【0052】
制御回路20への電源についても左右両端から供給される構成となっている。具体的には、制御回路20への電源が、1つの端子180cから直線状に延在する配線Lncと、別の1つの端子180dから直線状に延在する配線Lndと、を介して供給される構成となっている。
配線Lncの長さと配線Lndの長さとはほぼ同じであるので、線幅が同じであれば、配線Lncの抵抗と配線Lndの抵抗とはほぼ同じとなる。
【0053】
同様に、インターフェイス15への電源についても左右両端から供給される構成となっている。具体的には、インターフェイス15への電源が、1つの端子180eから直線状に延在する配線Lneと、別の1つの端子180fから直線状に延在する配線Lnfと、を介して供給される構成となっている。
配線Lneの長さと配線Lnfの長さとはほぼ同じであるので、線幅が同じであれば、配線Lneの抵抗と配線Lnfの抵抗とはほぼ同じとなる。
【0054】
第1実施形態では、表示領域100の四隅にそれぞれ内蔵電源が設けられる。詳細には、図において表示領域100の左上端には内蔵電源PULが、右上端には内蔵電源PURが、左下端には内蔵電源PDLが、右下端には内蔵電源PDRが、それぞれ設けられる。このうち、内蔵電源PULは、補助回路70の左端に電圧Vrefを供給し、内蔵電源PURは、補助回路70の右端に電圧Vrefを供給する。このため、補助回路70には左右両端から電圧Vrefが供給される。
内蔵電源PDLは、初期化回路50の左端に電圧Viniを供給し、内蔵電源PDRは、初期化回路50に電圧Viniを右端に供給する。このため、初期化回路50には左右両端から電圧Viniが供給される。
【0055】
内蔵電源PDLは、複数の端子180のうちの端子180gから直線状に延在する配線Lngを介して供給される電圧を、源として電圧Viniを生成する。内蔵電源PDRは、複数の端子180のうちの端子180hから直線状に延在する配線Lnhを介して供給される電圧を、源として電圧Viniを生成する。
内蔵電源PDL、PDRの役割は、電圧Viniを左右両端から供給して、左右の一方から供給する構成と比較して、他方での電圧降下を抑えることである。このため、内蔵電源PDL、PDRのどちらか一方を主とし、他方を従として、主とする一方から電圧Viniを供給し、従とする他方からは電圧降下分による不足分を補う電圧を供給する構成としてもよい。なお、内蔵電源PDL、PDRのどちらか一方を主とし、他方を従とするかについては、例えば制御回路20により決定され、また従とする方の制御については、例えば制御回路20におけるレジスタの記憶値を書き換えることで設定される。また、主とする内蔵電源には安定化(平滑化)用の容量素子が設けられる。
【0056】
内蔵電源PUL、PURへの配線は特に図示していないが、端子180を介して供給される電圧を、電源として電圧Vrefを生成する。なお、内蔵電源PUL、PURが、例えば配線Lng、Lnhを延長した配線を介して供給される電圧を、電源として電圧Vrefを生成してもよい。
なお、内蔵電源PUL、PURの役割は、電圧Vrefを左右両端から供給して、左右の一方から供給する構成と比較して、他方での電圧降下を抑えることである。このため、内蔵電源PUL、PURについてもどちらか一方を主とし、他方を従として、主とする一方から電圧Vrefを供給し、従とする他方からは電圧降下分による不足分を補う電圧を供給する構成としてもよい。なお、内蔵電源PUL、PURのどちらか一方を主とし、他方を従とするかについては、例えば制御回路20により決定され、また従とする方の制御については、例えば制御回路20におけるレジスタの記憶値を書き換えることで設定される。
【0057】
図14は、第1実施形態における電源配線の効果を説明するための第1比較例を示す図である。
第1比較例では、インターフェイス15が制御回路20の近くに位置するので、データ信号出力回路30の右端への配線Lnbにあっては、当該インターフェイス15を避けるために、端子180bから長さが、配線Lnaよりも長くなり、抵抗も大きくなる。同様に、制御回路20の左端への配線Lncにあっては、インターフェイス15を避けるために端子180cからの長さが、配線Lndよりも長くなり、抵抗も大きくなる。
データ信号出力回路30では、配線Lnbの抵抗が配線Lnaの抵抗よりも大きくなると、電源電圧が図において横方向に沿ってみたときに不均一となる。データ信号出力回路30において、電源電圧が不均一になると、アナログ系では、D/A変換器の出力や増幅器の出力に差が生じて、表示むらを招き、デジタル系では、シフトレジスタ31で転送ミスが発生し、ラッチ回路32でラッチの誤動作が発生する。
制御回路20において、左端および右端で比較したときに電源電圧が不均一であると、ルックアップテーブル(RAM)やレジスタなどに影響を与えて、誤動作を発生させる。
さらに、インターフェイス15は、制御回路20やデータ信号出力回路30と比較して消費電力が大きいので、他の回路や当該回路への電源配線と干渉する位置に設けられると動作不良の原因となり得る。
【0058】
これに対して、図10に示される第1実施形態において、データ信号出力回路30では、配線Lnaの長さと配線Lnbの長さとがほぼ同じであり、配線Lnaの抵抗と配線Lnbの抵抗とについてもほぼ同じであるので、電源電圧が左右で均一化される。このため、アナログ系では、D/A変換器や増幅器の出力に差が小さくなるので、表示むらが抑えられる。また、デジタル系では、転送ミスやラッチの誤動作が抑えられる。
また、制御回路20では、配線Lncの長さと配線Lndの長さとがほぼ同じであり、配線Lncの抵抗と配線Lndの抵抗とについてもほぼ同じあるので、電源電圧が左右で均一化される。このため、制御回路20での誤動作が抑えられる。
さらに、インターフェイス15が、データ信号出力回路30と複数の端子180との間に設けられ、かつ、他の回路の電源配線である配線Lnb、Lncとは干渉しない位置に設けられるので、動作不良の発生が抑えられる。
【0059】
ここで、第1実施形態における表示装置10における論理信号のHレベルおよびLレベルの差が1.8Vであって、インターフェイス15、制御回路20またはデータ信号出力回路においてピーク時に約200mA程度流れる構成を想定する場合、電源電圧の差が0.4V以内にあれば、論理回路の誤動作を抑えることができる。逆にいえば、配線Lna、Lnb、Lnc、Lnd、Lne、Lnfの抵抗がいずれも2Ω以下であれば、電源電圧の差を0.4V以内にすることができる。
【0060】
次に、第2実施形態に係る表示装置10について説明する。
【0061】
図11は、第2実施形態に係る表示装置10における各要素と電源配線の位置を示す平面図である。
図10の説明では、データ線14bの総数を「5760」とし、パラレル変換の相数を「240」とした場合を想定したが、第2実施形態では、表示領域100のサイズを維持し、かつ、グループ数を「24」に維持した状態で、データ線14bの総数を1/3の「1920」に減数した場合を想定する。この場合、パラレル変換の相数は「80」となるので、図11において、データ信号出力回路30における横方向のサイズは、図10と比較して短縮化される。
【0062】
また、データ線14bの総数を1/3に減数したので、上位装置から供給される単位時間あたりのデータ量も1/3に減少する。このため、インターフェイス15も、図10と比較して小型化される。このため、インターフェイス15は、制御回路20と複数の端子180との間において、制御回路20における横方向のサイズ内に収まるように位置させることができる。
【0063】
図15は、第2実施形態における電源配線の効果を説明するための第2比較例を示す図である。
データ信号出力回路30における横方向のサイズが短縮化されるので、制御回路20とデータ信号出力回路30との間には空きスペースが生じる。第2比較例は、この空きスペースに、内蔵電源PDRを配置させた例である。
ただし、この例では、内蔵電源PDRから出力される電圧が、図において太線の矢印で示されるように、制御回路20の左辺および上辺に沿った配線を介して初期化回路50に供給されるので、配線の影響を受けやすくなる。また、この例では、データ信号出力回路30の左に余裕がないので、内蔵電源PDLを設けることができず、初期化回路50には、右端への供給のみとなり、左端では、電圧降下の影響を受けることになる。
なお、1つの端子180から内蔵電源PDRまでの配線は省略されている。
【0064】
これに対して、図11に示される第2実施形態では、制御回路20およびデータ信号出力回路30を中央に寄せて、データ信号出力回路30の左および制御回路20の右にそれぞれ空きスペースを作り、データ信号出力回路30の左における空きスペースに内蔵電源PDLを設け、制御回路20の右における空きスペースに内蔵電源PDRを設ける構成とした。
【0065】
第2実施形態に係る表示装置10によれば、内蔵電源PDL、PDRによって、初期化回路50に電圧Viniが左右両端から供給されるので、電圧降下による表示品位の低下が抑えられる。
【0066】
<変形例、応用例等>
前述した実施形態では、次のような応用または変形が可能である。
【0067】
図2および図3の例では、相数に等しい3本のデータ線14bがグループ毎に順番に選択されて、データ信号出力回路30から出力される第1データ信号Vd(1)~Vd(3)が、選択された列のトランスミッションゲート45によってサンプリングされ、容量素子41に保持される構成である。
データ信号出力回路30からトランスミッションゲート45の入力端までの経路長は、グループ毎に異なるので、同電圧がデータ信号出力回路30から出力されても、容量素子41に保持される電圧が異なって、表示に影響を与えてしまう場合がある。
そこで、制御回路20は、選択するグループ毎に補正値を出力し、すなわち、制御信号Sel(1)~Sel(q)のうち、Hレベルとする制御信号Selの番号「j」に応じて補正値を出力し、データ信号出力回路30が当該補正値に応じて第1データ信号Vd(1)~Vd(3)を補正する構成としてもよい。
【0068】
電源配線は、実際には、高位配線と低位配線とがある。このうち、低位配線は、例えば接地電位で共通化してもよい。
実施形態では、シリアル-パラレル変換によって3相、80相または240相に変換する例を示したが、当該相数は2以上であればよい。
表示装置10では、画素回路110におけるトランジスター121のしきい値を補償する構成としたが、補償しない構成、具体的にはトランジスター123を省略した構成としてもよい。
また、実施形態では、表示素子の一例としてOLED130を例示して説明したが、他の表示素子を用いてもよい。例えば表示素子として液晶素子を用いてもよい。液晶素子についても、シリコン基板などの半導体基板に形成される場合がある。この場合においても、シリアル-パラレル変換したデータ信号を、容量素子を介して液晶素子に印加する構成となる。
トランジスター56、73、121~125のチャネルは、実施形態に限定されない。また、これらのトランジスター56、73、121~125は、適宜トランスミッションゲートに置き換えてもよい。その逆にトランスミッションゲート45、72については、片チャネルのトランジスターに置き換えてもよい。
【0069】
<電子機器>
次に、実施形態等に係る表示装置10を適用した電子機器について説明する。表示装置10は、画素が小サイズで高精細な表示な用途に向いている。そこで、電子機器として、ヘッドマウントディスプレイを例に挙げて説明する。
【0070】
図12は、ヘッドマウントディスプレイの外観を示す図であり、図13は、その光学的な構成を示す図である。
まず、図12に示されるように、ヘッドマウントディスプレイ300は、外観的には、一般的な眼鏡と同様にテンプル310や、ブリッジ320、レンズ301L、301Rを有する。また、ヘッドマウントディスプレイ300は、図13に示されるように、ブリッジ320近傍であってレンズ301L、301Rの奥側(図において下側)には、左眼用の表示装置10Lと右眼用の表示装置10Rとが設けられる。
表示装置10Lの画像表示面は、図13において左となるように配置している。これによって表示装置10Lによる表示画像は、光学レンズ302Lを介して図において9時の方向に出射する。ハーフミラー303Lは、表示装置10Lによる表示画像を6時の方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。表示装置10Rの画像表示面は、表示装置10Lとは反対の右となるように配置している。これによって表示装置10Rによる表示画像は、光学レンズ302Rを介して図において3時の方向に出射する。ハーフミラー303Rは、表示装置10Rによる表示画像を6時方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
【0071】
この構成において、ヘッドマウントディスプレイ300の装着者は、表示装置10L、10Rによる表示画像を、外の様子と重ね合わせたシースルー状態で観察することができる。
また、このヘッドマウントディスプレイ300において、視差を伴う両眼画像のうち、左眼用画像を表示装置10Lに表示させ、右眼用画像を表示装置10Rに表示させると、装着者に対し、表示された画像があたかも奥行きや立体感を持つかのように知覚させることができる。
【0072】
なお、表示装置10を含む電子機器については、ヘッドマウントディスプレイ300のほかにも、ビデオカメラやレンズ交換式のデジタルカメラなどにおける電子式ビューファインダーにも適用可能である。
【0073】
<付記>
ひとつの態様(態様1)に係る表示装置は、半導体基板に、表示領域と、データ信号出力回路と、複数の端子とが設けられた表示装置であって、前記表示領域は、第1系列のデータ線に対応する第1画素回路と、第2系列のデータ線に対応する第2画素回路と、を含み、前記データ信号出力回路は、前記第1画素回路に対応する第1画像データ、および、前記第2画素回路に対応する第2画像データをラッチするラッチ回路を含み、前記データ信号出力回路は、前記ラッチ回路によってラッチされた第1画像データをアナログのデータ信号に変換し増幅して、前記第1系列のデータ線に向けて出力し、前記ラッチ回路によってラッチされた第2画像データをアナログのデータ信号に変換して増幅して、前記第2系列のデータ線に向けて出力し、前記複数の端子のうちの第1端子から、前記データ信号出力回路の両端のうちの第1端まで直線状に延在する第1電源配線と、前記複数の端子のうちの第2端子から、前記データ信号出力回路の両端のうちの第2端まで直線状に延在する第2電源配線と、を有する。
この態様によれば、データ信号出力回路の両端に、第1電源配線および第2電源配線を介して電源が供給される。第1電源配線は第1端子から直線状に延在し、第2電源配線は第2端子から直線状に延在するので、低抵抗かつほぼ同抵抗となる。このため、データ信号出力回路において両端のいずれか一方が電圧降下することによる表示むらや誤動作の発生が抑えられる。
なお、配線Lnaが第1電源配線の一例であり、配線Lnbが第2電源配線の一例である。また、端子180aが第1端子の一例であり、端子180bが第2端子の一例である。
ここで、直線状とは、直線だけではなく、多少曲線または多少の折れ曲がりについても、上記低抵抗が得られて誤動作しない範囲であれば許容する趣旨である。具体的には、抵抗値で何Ω以内という形式で示されるべきであるが、論理信号の振幅差(1.8V、3.3V、5.0V)や回路条件などによって誤動作しない範囲が変わるので、特定の数値で規定される性格のものではない。
また、AからBに向けて出力するとは、2つの要素AおよびBの間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含む。例えば、データ信号出力回路30がアナログの第1データ信号Vd(1)をデータ線14bに向けて出力するとは、当該第1データ信号Vd(1)をデータ線14bに出力する場合に、トランスミッションゲート45、72および容量素子75が中間要素として存在してもよいことを含む。
【0074】
態様1の具体的な態様(態様2)に係る表示装置は、前記複数の端子が配列する方向と、前記データ信号出力回路の両端を結んだ方向とが揃っている。
この態様によれば、複数の端子が配列する方向とデータ信号出力回路の両端を結んだ方向とが揃っているので、第1電源配線の長さと第2電源配線の長さとは、ほぼ同一となる。
【0075】
態様1または態様2の具体的な態様(態様3)に係る表示装置は、前記データ信号出力回路に、前記第1画像データおよび前記第2画像データを供給する制御回路を含み、前記複数の端子のうちの第3端子から、前記制御回路の両端のうちの第1端まで直線状に延在する第3電源配線と、前記複数の端子のうちの第4端子から、前記制御回路の両端のうちの第2端まで直線状に延在する第4電源配線とを有する。
この態様によれば、制御回路の両端に、第3電源配線および第4電源配線を介して電源が供給される。第3電源配線および第4電源配線は、低抵抗かつほぼ同抵抗となるので、制御回路において両端のいずれか一方が電圧降下することによる誤動作の発生が抑えられる。
なお、配線Lncが第3電源配線の一例であり、配線Lndが第4電源配線の一例である。また、端子180cが第3端子の一例であり、端子180dが第4端子の一例である。
【0076】
態様1乃至態様4のいずれかの具体的な態様(態様4)に係る表示装置は、外部装置からの信号を受信して、前記制御回路に出力するインターフェイスを含み、前記複数の端子のうちの第5端子から、前記インターフェイスの両端のうちの第1端まで直線状に延在する第5電源配線と、前記複数の端子のうちの第6端子から、前記インターフェイスの両端のうちの第2端まで直線状に延在する第6電源配線とを有する。
この態様によれば、制御回路の両端に、第5電源配線および第6電源配線を介して電源が供給される。第5電源配線および第6電源配線は、低抵抗かつほぼ同抵抗となるので、インターフェイスにおいて両端のいずれか一方が電圧降下することによる誤動作の発生が抑えられる。
なお、配線Lneが第5電源配線の一例であり、配線Lnfが第6電源配線の一例である。また、端子180eが第5端子の一例であり、端子180fが第6端子の一例である。
【0077】
態様1乃至4の具体的な態様(態様5)に係る電子機器は、上記いずれか態様に係る表示装置を有する。この態様によれば、小型化した表示装置における誤動作が抑えられる。
【符号の説明】
【0078】
10…表示装置、12…走査線、14a…データ転送線、14b…データ線、20…制御回路、30…データ信号出力回路、31…シフトレジスタ、32…ラッチ回路、33…D/A変換回路群、34…アンプ群、45、72…トランスミッションゲート、61、75…容量素子、100…表示領域、110…画素回路、12…走査線、121~125…トランジスター、130…OLED、300…ヘッドマウントディスプレイ。
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