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特許7528446包装用止め具およびそれを用いて連結された包装箱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】包装用止め具およびそれを用いて連結された包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20240730BHJP
   B65D 5/12 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65D5/44 R
B65D5/12 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020005642
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113063
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇本 篤宏
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-047340(JP,A)
【文献】特開昭63-067246(JP,A)
【文献】特開平11-020820(JP,A)
【文献】特開昭61-021338(JP,A)
【文献】登録実用新案第3071960(JP,U)
【文献】特開昭59-174445(JP,A)
【文献】特開2015-042560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
B65D 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴が形成された二以上の包装材の前記貫通穴を重ね合わせた状態で前記貫通穴に挿入される第1筒状部と、前記第1筒状部の一端側の第1開口縁に設けられた鍔部と、前記第1筒状部の対向する内壁面に第1ヒンジ部を介してそれぞれ連結され、前記第1ヒンジ部を支軸として前記第1筒状部の他端側の第2開口縁の外側に屈曲し、前記鍔部と対向する一対のフック部材と、を有するベース部材と、
前記ベース部材の前記第1筒状部内に前記第1開口縁側から挿抜可能な第2筒状部と、前記第2筒状部の一端側の第3開口縁から他端側の第4開口縁に向けて形成され、前記第2筒状部を前記第1筒状部から引き抜く際に指を挿入可能な第1挿入部と、を有し、前記第1ヒンジ部と直交する第2ヒンジ部を介して前記鍔部に連結されるキー部材と、
を備え、
前記第1筒状部を前記第2開口縁側から前記貫通に挿通し、前記第2筒状部を前記第1筒状部内に挿入することにより、前記フック部材が前記第1ヒンジ部を支軸として前記第1筒状部の前記第2開口縁側方向に回動して前記第2開口縁から外側に突出し、前記鍔部と前記フック部材によって前記二以上の包装材が挟持される包装用止め具において、
前記キー部材は、
前記第2筒状部の前記第3開口縁における前記第2ヒンジ部と反対側の端縁に形成され、前記第2筒状部を前記第1筒状部内に挿入した状態で前記キー部材を前記ベース部材にロックする係合部を有し、
前記ベース部材は、前記第1筒状部の内壁面に形成される被係合部を有し、
前記係合部は、
前記第3開口縁の端部に連結される基端部から前記第4開口縁に向けて延在する側面視U字状の支持部と、
前記支持部の先端部近傍に形成され、前記被係合部に係合するロック爪と、
を有し、
前記ロック爪が前記被係合部と係合した状態から前記支持部を弾性変形させることにより、前記ロック爪を前記被係合部から離間する方向に移動させて前記ロック爪と前記被係合部との係合を解除可能であり、
前記ロック爪が前記被係合部と係合した状態において、前記支持部の前記先端部と前記第1筒状部の内壁面との間に前記第1挿入部に挿入される指と異なる指を挿入する第2挿入部が形成されることを特徴とする包装用止め具。
【請求項2】
前記ロック爪は、前記支持部の前記第2ヒンジ部の支軸方向の両端部に一対形成され、前記被係合部は、一対の前記ロック爪と対向する部分に一対形成されることを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項3】
前記第2筒状部が前記第1筒状部内に挿入された状態で、前記支持部の前記先端部が前記第1筒状部の前記第1開口縁と面一、若しくは前記第1開口縁よりも前記第1筒状部の内側に位置することを特徴とする請求項2に記載の包装用止め具。
【請求項4】
前記支持部の前記先端部には、前記支持部を弾性変形させる際に押圧する指掛け部が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の包装用止め具。
【請求項5】
前記ロック爪には、前記第2筒状部を前記第1筒状部内に挿入する際に前記被係合部に当接する傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の包装用止め具。
【請求項6】
前記キー部材は、前記第1挿入部から挿入された指を前記支持部の前記基端部側に誘導する傾斜板を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の包装用止め具。
【請求項7】
前記第1挿入部は、前記傾斜板によって前記第2筒状部の前記第4開口縁側が塞がれていることを特徴とする請求項6に記載の包装用止め具。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の包装用止め具を用いて連結された包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば段ボールシートのような包装材に形成された穴を重ね合わせて挿入することにより、2つ以上に分かれている包装材を連結する包装用止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下箱に製品を載置し、上箱を被せて固定する、いわゆるC式包装箱が、電子機器等の大型で重量の重い製品を梱包する場合に広く用いられている。
【0003】
このようなC式包装箱を開梱する際に、下箱と上箱とを連結する止め具を容易に取り外す方法が考案されている。例えば特許文献1には、筒状部と、筒状部の一端に設けた鍔部と、筒状部の相対向する内壁にヒンジ部を介して連結された一対のフック部材とを有するベース部材(ベース体)と、ベース部材の筒状部内に挿入可能な押し開き部を有したキー部材(キー体)とを有する包装用止め具が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の止め具は、ベース部材の筒状部にキー部材を押し込むことによりフック部材が回動し、フック部材とベース部材の鍔部との間に2枚の包装材が挟持されて連結される。そして、キー部材の上面の開口部に指を挿入し、傾斜板に案内されてキー部材の端部に指を掛け、上側に引き上げることにより包装材の連結が解除される。
【0005】
また特許文献2には、フック部材の押し開き部との当接面に係合突起が形成され、押し開き部のフック部材との当接面に係合突起と係合可能なスリットが形成された包装用止め具が開示されている。特許文献2に記載の包装用止め具は、押し開き部が筒状部内に完全に挿入された状態で係合突起がスリットに係合することにより、キー部材とベース部材との係合状態を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭63-67246号公報
【文献】特開2015-42560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の包装用止め具では、輸送等の衝撃によってキー部材とベース部材との係合が外れないようにするためには係合突起とスリットの係合を強固にしておく必要がある。そのため、キー部材とベース部材との係合を解除する際に大きな力が必要となり、包装箱の開梱作業性が低下するという問題点があった。
【0008】
また、開梱作業者が包装用止め具の取り外し方法を直感的に認識することが困難であるため、説明図が必要であったり、操作方法を理解するまでに時間を要したりする場合もあった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、輸送時の衝撃等によってキー部材とベース部材との係合が外れにくく、且つ、包装箱の開梱時に容易に取り外し可能である包装用止め具およびそれを用いて連結された包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、二以上の包装材が挟持される包装用止め具であって、ベース部材と、キー部材とを備える。ベース部材は、貫通穴が形成された二以上の包装材の貫通穴を重ね合わせた状態で貫通穴に挿入される第1筒状部と、第1筒状部の一端側の第1開口縁に設けられた鍔部と、第1筒状部の対向する内壁面に第1ヒンジ部を介してそれぞれ連結され、第1ヒンジ部を支軸として第1筒状部の他端側の第2開口縁の外側に屈曲し、鍔部と対向する一対のフック部材と、を有する。キー部材は、ベース部材の第1筒状部内に第1開口縁側から挿抜可能な第2筒状部と、第2筒状部の一端側の第3開口縁から他端側の第4開口縁に向けて形成され、第2筒状部を第1筒状部から引き抜く際に指を挿入可能な第1挿入部と、を有し、第1ヒンジ部と直交する第2ヒンジ部を介して鍔部に連結される。第1筒状部を第2開口縁側から貫通孔に挿通し、第2筒状部を第1筒状部内に挿入することにより、フック部材が第1ヒンジ部を支軸として第1筒状部の第2開口縁側方向に回動して第2開口縁から外側に突出し、鍔部とフック部材によって二以上の包装材が挟持される。キー部材は、第2筒状部の第3開口縁における第2ヒンジ部と反対側の端縁に形成され、第2筒状部を第1筒状部内に挿入した状態でキー部材をベース部材にロックする係合部を有する。ベース部材は、第1筒状部の内壁面に形成される被係合部を有する。係合部は、支持部と、ロック爪と、を有する。支持部は、第3開口縁の端部に連結される基端部から第4開口縁に向けて延在する側面視U字状である。ロック爪は、支持部の先端部近傍に形成され、被係合部に係合する。ロック爪が被係合部と係合した状態から支持部を弾性変形させることにより、ロック爪を被係合部から離間する方向に移動させてロック爪と被係合部との係合を解除可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、二以上の包装材を連結した状態でキー部材の係合部がベース部材の被係合部に係合するため、ベース部材へのキー部材の挿入状態が強固に保持される。従って、輸送時の振動や衝撃等による包装用止め具の脱落を効果的に抑制することができる。また、係合部が側面視U字状の支持部とロック爪とを有し、支持部を弾性変形させることによりロック爪と被係合部との係合を解除可能である。従って、包装用止め具の取り外し方法についての説明図がなくても作業者は取り外し方法を容易に理解することができ、ベース部材とキー部材との嵌合を解除する際の操作性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の包装用止め具10が取り付けられる包装箱1の構成例を示す分解斜視図
図2】本発明の一実施形態に係る包装用止め具10の使用前の状態を鍔部17側から見た斜視図
図3】本実施形態の包装用止め具10の使用前の状態を第1筒状部16側から見た斜視図
図4】本実施形態の包装用止め具10のベース部材14を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図
図5】キー部材15が完全に第1筒状部16の内部に挿入された本実施形態の包装用止め具10を鍔部17側から見た平面図
図6】キー部材15が完全に第1筒状部16の内部に挿入された本実施形態の包装用止め具10を鍔部17側から見た斜視図
図7】キー部材15が完全に第1筒状部16の内部に挿入された本実施形態の包装用止め具10をフック部材19a、19b側から見た斜視図
図8】ベース部材14にキー部材15が挿入され、トレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とを挟持した本実施形態の包装用止め具10を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図
図9】ベース部材14にキー部材15が挿入された本実施形態の包装用止め具10のロック爪32付近を長手方向に沿って切断した側面断面図
図10】ベース部材14にキー部材15が挿入された本実施形態の包装用止め具10の指掛け部33付近を長手方向に沿って切断した側面断面図
図11図9の状態から、第1挿入部27および第2挿入部41に指を差し入れて係合部30と被係合部40との係合を解除する状態を示す図
図12】本実施形態の変形例の包装用止め具10の指掛け部33付近を長手方向に沿って切断した側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の包装用止め具10が取り付けられる包装箱1の構成例を示す斜視図である。包装箱1は、トレイ付きパレット2と、上箱3と、トレイ付きパレット2上に配置される緩衝材4とで構成されている。
【0014】
トレイ付きパレット2は、被梱包物である製品(図示せず)が載置される底面5aおよび底面5aの周縁に立設された側壁5bから成るトレイ5と、トレイ5の下面に固定されるパレット6とから成り、緩衝材4は底面5aの四隅に側壁5bとの間に所定の隙間を隔てて配置されている。トレイ5の各側壁5bの中央部には長円形状の貫通穴8aが形成されている。
【0015】
上箱3は、製品の側面および上面を覆う底面が開口した角筒状である。上箱3の各側面の下部には、トレイ付きパレット2の貫通穴8aと重なる位置に、貫通穴8bが形成されている。貫通穴8a、8bを重ねた状態で包装用止め具10(図2参照)を差し込むことにより、トレイ付きパレット2と上箱3とを一体に連結する。
【0016】
緩衝材4は、段ボール製、或いは発泡スチロール製であって被梱包物を外部衝撃から保護する。緩衝材4には、製品の形状に合わせて製品載置面4aが形成されている。緩衝材4の下面には、底面5a上に設けられた切り起こし(図示せず)が差し込まれており、各緩衝材4が所定位置に位置決めされ、合わせて水平方向のずれが生じないようになっている。なお、接着等の他の方法により緩衝材4を底面5a上に固定してもよい。
【0017】
パレット6は、例えば段ボールを折り曲げて形成した複数の支柱部6aと、各支柱部6aの上下面に固定される天板(図示せず)および底板6bとから成り、各支柱部6aの間には、フォークリフトやハンドパレット(パレット運搬用台車)のアームを挿入するアーム挿入穴9が形成されている。
【0018】
次に、図1に示した包装箱1を用いて製品を梱包する手順について説明する。先ず、トレイ付きパレット2の底面5a上に配置された緩衝材4の製品載置面4aに製品を載置する。次に、必要に応じて製品の上面、および側面にも緩衝材を配置し、上箱3を被せた後、トレイ付きパレット2の各側壁5bを起立させる。最後に、側壁5bの貫通穴8aと、上箱3の貫通穴8bを重ねた状態で包装用止め具10を差し込むことにより、トレイ付きパレット2と上箱3とを一体に連結する。
【0019】
図2および図3は、それぞれ本発明の一実施形態に係る包装用止め具10の使用前の状態を鍔部17側(包装箱1の外側)および第1筒状部16側(包装箱1の内側)から見た斜視図である。図4は、本実施形態の包装用止め具10のベース部材14を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図(図2のAA′矢視断面図)である。
【0020】
図2および図3に示すように、包装用止め具10は、ベース部材14と、連結片23によりベース部材14に連結されるキー部材15とで構成される。ベース部材14は、第1筒状部16と、第1筒状部16の一端側の第1開口縁16aに設けられた鍔部17と、第1筒状部16の相対向する内面に第1ヒンジ部18a、18bを介して回動可能に連結された一対のフック部材19a、19bを有している。鍔部17には、ベース部材14にキー部材15を挿入した際にキー部材15の連結片23が納まる凹部26が設けられている。
【0021】
図4に示すように、フック部材19a、19bは、それぞれ第1ヒンジ部18a、18bを支軸として第1筒状部16の他端側の第2開口縁16bの外側に断面視L字形状に屈曲しており、先端部が第1筒状部16から突出している。
【0022】
キー部材15は、第1筒状部16の内寸とほぼ同じ外寸を有する第2筒状部25を有している。第2ヒンジ部24に沿って連結片23を折り曲げることで、第2筒状部25をベース部材14の第1筒状部16内に挿入可能である。キー部材15の上面には第1挿入部27が穿設され、第1挿入部27の底面には断面円弧状の傾斜面28が設けられている。
【0023】
キー部材15の第2ヒンジ部24と反対側の端縁には係合部30が設けられている。係合部30は、支持部31、ロック爪32、および指掛け部33を有する。支持部31は、第2筒状部25の一端側(挿入方向上流側)の第3開口縁25a(図3の上端)を基端部31aとして他端側の第4開口縁25bに向けて挿入方向(図3の下方向)に延在し、さらに先端部31bが基端部31a側(図3の上方向)に湾曲する側面視U字状に形成されている。
【0024】
ロック爪32は、支持部31の先端部31b近傍において、支持部31の延在方向と直交する第2ヒンジ部24の支軸方向(図3の左右方向)の両端部に一対形成されている。第2筒状部25を第1筒状部16の内部に挿入したとき、ロック爪32がベース部材14の第1筒状部16の内壁面に形成された被係合部40(図5参照)に係合する。これにより、キー部材15は第2筒状部25がベース部材14の第1筒状部16内へ挿入された状態でロックされる。
【0025】
指掛け部33は、支持部31の先端部31bにおいて一対のロック爪32の間に形成されている。係合部30と被係合部40との係合を解除する際は、後述するように指掛け部33に指を掛けて支持部31を弾性変形させる。
【0026】
以上のように構成された本実施形態の包装用止め具10を用いて包装箱1を連結する際の動作について説明する。先ず、トレイ付きパレット2の側壁5bの貫通穴8aと上箱3の貫通穴8b(いずれも図1参照)とを重ねた状態で、側壁5bの外側から貫通穴8a、8bに包装用止め具10のベース部14を第1筒状部16の第2開口縁16b側から差し込む。
【0027】
次に、図2の状態から、第2ヒンジ部24に沿ってキー部材15を回動させてベース部材14側へ折り返すことにより、第2筒状部25がフック部材19a、19bに当接する。そして、第2筒状部25を第1開口縁16a側から第1筒状部16の内部に挿入する。これにより、フック部材19a、19bが第2筒状部25によって押圧され、フック部材19a、19bは、それぞれ第1ヒンジ部18a、18bを回動軸として第1筒状部16の外側(図4の矢印方向)に回動する。
【0028】
図5は、ベース部14にキー部材15が挿入された本実施形態の包装用止め具10を鍔部17側から見た平面図である。図6および図7は、それぞれベース部14にキー部材15が挿入された本実施形態の包装用止め具10を鍔部17側およびフック部材19a、19b側から見た斜視図である。図8は、ベース部14にキー部材15が挿入され、トレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とを挟持した本実施形態の包装用止め具10を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図(図5のBB′矢視断面図)である。
【0029】
キー部材15(第2筒状部25)が完全にベース部14(第1筒状部16)の内部に挿入された状態では、第2筒状部25によって押圧されたフック部材19a、19bの先端が第1筒状部16から鍔部17と略平行に突出する。このとき、図8に示すように、トレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とが鍔部17とフック部材19a、19bによって挟持される。
【0030】
図8のようにトレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とを連結した状態で、フック部材19a、19bを内側に回動させようとする外力が加えられた場合、或いは、外力が加わらない場合であっても、第1ヒンジ部18a、18bの復元力によってフック部材19a、19bを内側に回動させようとする力が作用するため、第2筒状部25がフック部材19a、19bによって押し戻される。そのため、キー部材15とベース部材14との係合が外れてしまうおそれがある。
【0031】
そこで、本実施形態ではキー部材15に設けられた係合部30とベース部材14に設けられた被係合部40とを用いてキー部材15とベース部材14との係合状態を維持する。第2ヒンジ部24に沿ってキー部材15を回動させて第2筒状部25を第1筒状部16に挿入していくと、ロック爪32に形成された傾斜面32a(図9参照)が被係合部40に乗り上げる。これにより、支持部31はロック爪32が被係合部40から離間する方向に弾性変形する。
【0032】
図9は、ベース部材14にキー部材15が挿入された本実施形態の包装用止め具10のロック爪32付近を長手方向に沿って切断した側面断面図(図5のCC′矢視断面図)である。フック部材19a、19bが第2筒状部25により完全に回動したとき、図9に示すようにロック爪32の傾斜面32aが被係合部40を乗り越え、弾性変形していた支持部31が復元力によってロック爪32が被係合部40に近づく方向(図9の左方向)に変形する。これにより、ロック爪32が被係合部40の下部に係合するため、キー部材15とベース部材14との係合状態を強固に維持することができる。
【0033】
図10は、ベース部材14にキー部材15が挿入された本実施形態の包装用止め具10の指掛け部33付近を長手方向に沿って切断した側面断面図(図5のDD′矢視断面図)である。図5に示したように、指掛け部33は平面視で一対のロック爪32の間に形成されており、被係合部40もロック爪32と対向する部分(幅方向の両端部)のみに形成されている。
【0034】
これにより、キー部材15と第1筒状部16との間には、指掛け部33が形成された支持部31の幅方向(図10の紙面と垂直な方向、図5の上下方向)の中央部付近に第2挿入部41が形成される。即ち、係合部30を挟んで一方側(図10の右側)に第1挿入部27が形成され、他方側(図10の左側)に第2挿入部41が形成される。
【0035】
包装箱1を開梱する際は、図11に示すように、キー部材15の上面の第1挿入部27から傾斜板28に沿って第1指F1(例えば親指)を挿入する。これにより、第1指F1が支持部31の背面側(基端部31a側)に誘導される。次に、係合部30と第1筒状部16との間の第2挿入部41に第2指F2(例えば人差し指)を挿入する。そして、指掛け部33に第2指F2を掛けて第1指F1と第2指F2とで支持部31を摘まむ動作を行う。
【0036】
その結果、支持部31が弾性変形し、ロック爪32が被係合部40から離間する方向(図11の右方向)に移動してロック爪32と被係合部40との係合が解除されるため、キー部材15は鍔部17の方向に回動可能となる。
【0037】
そして、図11の状態から第2筒状部25を把持して第1筒状部16から引き抜く。第2筒状部25の引き抜き動作に伴い、第2筒状部25に押圧されて外側に回動していたフック部材19a、19bが第1ヒンジ部18a、18bの復元力によって内側に回動し、図4の状態に戻る。最後にベース部14を貫通穴8a、8bから引き抜いてトレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3との連結を解除する。
【0038】
本実施形態の包装用止め具10によれば、トレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とを連結した状態でキー部材15の係合部30がベース部材14の被係合部40に係合するため、ベース部材14へのキー部材15の挿入状態が強固に保持される。従って、輸送時の振動や衝撃等による包装用止め具10の脱落を効果的に抑制することができる。
【0039】
また、包装箱1を開梱する際は、第1挿入部27と第2挿入部41に指を差し入れて摘まむ動作を行うだけで、指掛け部33が指で押圧されて支持部31が弾性変形し、ロック爪32と被係合部41との係合が解除される。従って、包装用止め具10の取り外し方法についての説明図がなくても作業者は取り外し方法を容易に理解することができ、ベース部材14とキー部材15との嵌合を解除する際の操作性も向上する。
【0040】
さらに、ベース部材14とキー部材15とで構成される従来の包装用止め具10では、金型上の制約によって、キー部材15の第2筒状部25に形成される第1挿入部27が第2筒状部25の第3開口縁25aから第4開口縁25bまで貫通していた。そのため、第1挿入部27を介して包装箱1の内部に埃や虫等が進入する不具合があった。
【0041】
本実施形態では、係合部30を側面視U字状の支持部31にロック爪32、指掛け部33を形成する構成としたので、金型上の制約がなくなり、図9図12に示したように第1挿入部27の第4開口縁25b側が傾斜板28で完全に塞がれた構成とすることができる。そのため、包装箱1の内部への埃や虫等の進入を防止することができる。
【0042】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では係合部30と第1筒状部16との間に第2挿入部41を形成したが、図12に示すように、支持部31の先端を第1筒状部16の第1開口縁16a(鍔部17側の端縁)よりも上方まで延在させることで、第2挿入部41を設けなくても指掛け部33に容易に指を掛けて摘まむ動作を行うことができる。
【0043】
図12のように支持部31の先端(指掛け部33)を第1筒状部16の第1開口縁16aよりも上方に突出させた場合、包装箱1の輸送時や保管時に支持部31の先端が引っ掛かるおそれがある。従って、図10に示したように、支持部31の先端が第1筒状部16の第1開口縁16aと面一、若しくは第1開口縁16aの内側となる構成が好ましい。
【0044】
また、上記実施形態では、トレイ5とパレット6とから成るトレイ付きパレット2を用いた包装箱1に用いる包装用止め具10について説明したが、本発明の包装用止め具10は、パレット6が設けられておらず、上箱3とトレイ5のみから成る包装箱1に対しても同様に適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、段ボールシートのような包装材に形成された穴を重ね合わせて挿入することにより、2つ以上に分かれている包装材を連結する包装用止め具として利用可能である。本発明の利用により、輸送時の衝撃等によってキー部材とベース部材との係合が外れにくく、且つ、包装箱の開梱時に容易に取り外し可能である包装用止め具を提供することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 包装箱
2 トレイ付きパレット(包装材)
3 上箱(包装材)
8a、8b 貫通穴
10 包装用止め具
14 ベース部材
15 キー部材
16 第1筒状部
16a 第1開口縁
16b 第2開口縁
17 鍔部
18a、18b 第1ヒンジ部
19a、19b フック部材
23 連結片
24 第2ヒンジ部
25 第2筒状部
25a 第3開口縁
25b 第4開口縁
27 第1挿入部
28 傾斜板
30 係合部
31 支持部
32 ロック爪
32a 傾斜面
33 指掛け部
40 被係合部
41 第2挿入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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図12