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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】車載電池制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240730BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20240730BHJP
   B60L 58/10 20190101ALN20240730BHJP
【FI】
H02J7/02 H
B60R16/033 Z
B60L58/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020011860
(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公開番号】P2021118646
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-05-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】繁森 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】飯田 剛史
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003806(WO,A1)
【文献】特開2019-110708(JP,A)
【文献】特開2009-159769(JP,A)
【文献】特開2011-166979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
B60R 16/033
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の偶数セルと複数の奇数セルを含む複数の電池セル(201~20n)を備えた組電池(20)の制御を行う車載電池制御装置であり、
前記組電池と接続されて電源供給され、直列接続された複数の均等化スイッチ(111~113)を含み、複数の前記電池セルの電圧均等化を行う複数の監視IC(21~2n)と、
補機バッテリ(30)から電源供給され、複数の前記監視ICに対して制御指示を行うマイコン(1)と、を備えており、
前記監視ICは、
複数の前記均等化スイッチとして、前記偶数セルに対応して設けられた複数の偶数スイッチと、前記奇数セルに対応して設けられた複数の奇数スイッチとを含み、
前記マイコンから均等化指示がなされると、前記マイコンが起動していない状況において、カウント値に基づいて所定時間ごとに、オンオフの制御対象を前記偶数スイッチと前記奇数スイッチとで切り替えて前記電圧均等化を行うものであり、前記カウント値として、発振子で生成されるクロック信号をカウントした値を用い、前記オンオフの前記制御対象を前記偶数スイッチと前記奇数スイッチとで切り替える間隔が、前記発振子の精度に基づいて予め設定されている車載電池制御装置。
【請求項2】
複数の偶数セルと複数の奇数セルを含む複数の電池セル(201~20n)を備えた組電池(20)の制御を行う車載電池制御装置であり、
前記組電池と接続されて電源供給され、直列接続された複数の均等化スイッチ(111~113)を含み、複数の前記電池セルの電圧均等化を行う複数の監視IC(21~2n)と、
定期的に通常動作とスタンバイ動作を繰り返す起動していない状態をとりうるものであり、補機バッテリ(30)から電源供給され、前記通常動作時に複数の前記監視ICに対して制御指示を行うマイコン(1)と、を備えており、
前記監視ICは、
複数の前記均等化スイッチとして、前記偶数セルに対応して設けられた複数の偶数スイッチと、前記奇数セルに対応して設けられた複数の奇数スイッチとを含み、
前記マイコンから均等化指示がなされると、前記マイコンが起動していない状況において、カウント値に基づいて所定時間ごとに、オンオフの制御対象を前記偶数スイッチと前記奇数スイッチとで切り替えて前記電圧均等化を行い、
前記カウント値として、発振子で生成されるクロック信号をカウントした値を用いるものであり、前記オンオフの前記制御対象を前記偶数スイッチと前記奇数スイッチとで切り替える間隔が、前記発振子の精度に基づいて予め設定されている車載電池制御装置。
【請求項3】
前記監視ICは、前記電圧均等化を開始する順番が前記偶数セルと前記奇数セルのいずれかに予め設定されている請求項1または2に記載の車載電池制御装置。
【請求項4】
前記マイコンは、
前記監視ICで検出された各電池セルのセル電圧値を取得する電圧取得部(S12)と、
取得した前記セル電圧値を記憶する記憶部(S13)と、
前記監視ICの故障診断を行う診断部(S14)と、を備えており、
前記診断部は、現在の前記セル電圧値である現在値と、前回起動中に記憶した前記セル電圧値である前回値とを比較し、前記現在値と前記前回値とが所定の対応関係を満たさない場合は前記監視ICが故障していると判定する請求項1~のいずれか1項に記載の車載電池制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載電池制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組電池を制御する車載電池制御装置の一例として組電池監視システムがある(特許文献1)。
【0003】
組電池監視システムは、組電池における各電池セルの電圧を監視する電圧監視装置と、各電池セルと電圧監視装置との間にそれぞれ接続される放電用抵抗素子およびRCフィルタと、対応する電池セルを放電させる放電用スイッチとを備えている。
【0004】
電圧監視装置には、1つの電池セルに対応して3つ以上の接続端子が設けられている。それらの内2つ接続端子は、RCフィルタの出力端子を介して電池セルの電圧を監視するために使用されている。残りの1つ以上の接続端子は、放電用スイッチがオンされた際に電池セルの放電経路を形成するために使用されている。組電池監視システムは、放電経路において、放電用抵抗素子が、RCフィルタを構成するコンデンサの充電電荷を放電させない位置に配置されている。また、制御装置は、放電用スイッチのオンオフを制御して各電池セルの電圧均等化処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-112677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の車両では、多くのECUが搭載されている。このため、各ECUに電源供給する補機バッテリに対する消費電流は、削減が求められている。
【0007】
また、特許文献1では、隣接する充放電スイッチを共にオンさせた場合、隣接するRCフィルタ分の電流が流れるため電流値が増大し、発熱やECUに相当する電圧監視装置の不具合につながる可能性がある。このため、特許文献1では、電圧均等化を実施するために、電圧監視装置を起動させて奇数スイッチと偶数スイッチの切り替えを実施する必要が生じる。したがって、特許文献1では、電圧監視装置の起動回数が増加するため消費電流が大きくなるという問題がある。
【0008】
本開示は、上記問題点に鑑みなされたものであり、消費電流の増大を抑制できる車載電池制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本開示は、
複数の偶数セルと複数の奇数セルを含む複数の電池セル(201~20n)を備えた組電池(20)の制御を行う車載電池制御装置であり、
組電池と接続されて電源供給され、直列接続された複数の均等化スイッチ(111~113)を含み、複数の電池セルの電圧均等化を行う複数の監視IC(21~2n)と、
補機バッテリ(30)から電源供給され、複数の監視ICに対して制御指示を行うマイコン(1)と、を備えており、
監視ICは、
複数の均等化スイッチとして、偶数セルに対応して設けられた複数の偶数スイッチと、奇数セルに対応して設けられた複数の奇数スイッチとを含み、
マイコンから均等化指示がなされると、マイコンが起動していない状況において、カウント値に基づいて所定時間ごとに、オンオフの制御対象を偶数スイッチと奇数スイッチとで切り替えて電圧均等化を行うものであり、カウント値として、発振子で生成されるクロック信号をカウントした値を用い、オンオフの制御対象を偶数スイッチと奇数スイッチとで切り替える間隔が、発振子の精度に基づいて予め設定されている
【0010】
このように、本開示は、マイコンが起動していない状況であっても、監視ICがオンオフの制御対象を偶数スイッチと奇数スイッチとで切り替えて、電圧均等化を行うことができる。よって、本開示は、電圧均等化のためにマイコンが起動する回数を減らすことができ、補機バッテリの消費電流を削減できる。
【0011】
なお、特許請求の範囲、およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における電池ECUの概略構成を示すブロック図である。
図2】実施形態における監視ICの概略構成を示すブロック図である。
図3】実施形態における電流の流れを示す図面である。
図4】実施形態におけるマイコンの処理動作を示すフローチャートである。
図5】実施形態における監視ICの処理動作を示すフローチャートである。
図6】実施形態における監視ICの処理動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図6を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。本実施形態では、車載電池制御装置を電池ECU(Electronic Control Unit)10に適用した例を採用する。
【0014】
まず、図1図2図3に基づいて、電池ECU10の構成に関して説明する。電池ECU10は、複数の偶数セルと複数の奇数セルを含む複数の電池セル201~20nを備えた主機バッテリ20の制御を行うものである。主機バッテリ20は、組電池に相当する。
【0015】
電池ECU10は、マイコン1と、第1監視IC21~第n監視IC2nを備えている。さらに、電池ECU10は、フィルタ4や放電用抵抗5が設けられたプリント基板31を備えている。また、電池ECU10は、主機バッテリ20と補機バッテリ30と電気的に接続されている。本実施形態では、一例として、マイコン1と、複数の監視IC21~2nと、プリント基板31とが一体型基板として構成された電池ECU10を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されずサテライト型基板の電池ECU10であっても採用できる。なお、nは、2以上の自然数である。
【0016】
電池ECU10は、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車などの車両に搭載可能に構成されている。主機バッテリ20は、リチウム2次電池やニッケル水素2次電池等の複数の電池セル201~20nが直列に接続されている。複数の電池セル201~20nは、低電位グランドから高電位側にかけて直列に接続されている。
【0017】
主機バッテリ20は、一例として、複数の電池ブロックが直列に接続されたものを採用する。各電池ブロックは、直列された複数の電池セルを含んでいる。一つの電池ブロックは、例えば、第1電池セル201、第2電池セル202、第3電池セル203、第4電池セル204、第1電池セル205を含んでいる。
【0018】
各電池ブロックは、異なる監視IC21~2nに電気的に接続されている。例えば、電池セル201~205を含む電池ブロックは、第1監視IC21に電気的に接続されている。そして、第n電池セルを含む電池ブロックは、第n監視IC2nに電気的に接続されている。
【0019】
また、主機バッテリ20は、複数の偶数セル20E(E:偶数)と複数の奇数セル20O(O:奇数)を含む複数の電池セル201~20nを備えている。複数の電池セル201~20nは、最上流もしくは最下流から数えて、偶数番目の電池セルが偶数セル20Eであり、奇数番目の電池セルが奇数セル20Oである。
【0020】
例えば、電池セル201~205は、第1監視IC21に電気的に接続されている。つまり、第1監視IC21は、奇数セルとしての第1電池セル201,第3電池セル203,第5電池セル205と、偶数セルとしての第2電池セル202,第4電池セル204が接続されている。同様に、第n電池セルは、第n監視IC2nに電気的に接続されている。各監視IC21~2nに接続されている電池セルの個数は、これに限定されない。
【0021】
なお、主機バッテリ20は、組電池と言い換えることができる。また、電池セル201~20nは、それぞれ同様に構成されている。
【0022】
補機バッテリ30は、主機バッテリ20よりも端子電圧が低いものである。補機バッテリ30は、マイコン1などの低圧系の回路と電気的に接続されている。そして、補機バッテリ30は、マイコン1などの低圧系の回路に電源を供給する。
【0023】
マイコン1は、補機バッテリ30から電源供給され、複数の監視IC21~2nに対して制御指示を行う。つまり、マイコン1は、補機バッテリ30から電源供給されて動作する。マイコン1は、例えば、CPU、記憶装置、通信回路などを備えている。記憶装置は、SRAMなどの揮発性メモリと、Flash MemoryやEEPROMなどの不揮発性メモリとを備えている。
【0024】
また、マイコン1は、各監視IC21~2nと電気的に接続されている。マイコン1は、CPUが不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行する。マイコン1は、プログラムを実行することで、揮発性メモリを一時的な記憶部として利用しつつ、記憶装置に記憶されたデータなどを用いて演算処理を実行する。これによって、マイコン1は、後ほど説明する処理動作を実行する。なお、記憶装置には、例えば、監視IC21~2nから送信されたセル電圧値などのデータが記憶される。
【0025】
マイコン1は、各監視IC21~2nと通信可能に構成されている。マイコン1は、各監視IC21~2nに対してコマンドを送信することで、各監視IC21~2nに対して制御指示を行う。また、マイコン1は、各監視IC21~2nから送信されたセル電圧値を示すデータを受信する。
【0026】
コマンドは、例えば、電圧均等化の開始を指示する開始コマンド、電圧均等化の停止を指示する停止コマンド、セル電圧の検出(計測)および検出結果の送信を指示する検出コマンドを採用できる。さらに、コマンドは、各監視IC21~2における回路の故障有無の診断を示す診断コマンドを採用することもできる。なお、検出コマンドは、AD変換の指示を含んでいてもよい。また、開始コマンドは、均等化指示に相当する。よって、監視IC21~2nは、開始コマンドを受信すると、均等化指示がなされたとみなす。
【0027】
複数の監視IC21~2nは、主機バッテリ20と接続されて電源供給され、直列接続された複数の均等化スイッチ111~113を含み、主に、複数の電池セル201~20nの電圧均等化を行う。複数の監視IC21~2nのそれぞれは、同様の構成を有しており、同様の処理動作を行う。このため、以下においては、代表例として第1監視IC21に関して説明する。
【0028】
図2に示すように、第1監視IC21は、セル均等化回路110、AD変換器120、基準電源130、ロジック回路140、検出制御部141、通信制御部142、AD検出補正部143、発振子150、メモリ160、通信I/F170などを備えている。
【0029】
第1監視IC21は、対をなす接続端子を複数組備えている。第1監視IC21は、一組の接続端子に一つの電池セルが接続されている。第1監視IC21は、各電池セル201~205のセル電圧を検出可能に構成されている。
【0030】
図2図3に示すように、セル均等化回路110は、電池セルの電圧均等化を行うための均等化スイッチ111~113に加えて、マルチプレクサ(MUX)を含んでいる。本実施形態では、マルチプレクサを含むセル均等化回路110としている。しかしながら、本開示は、マルチプレクサとセル均等化回路110とが別体に設けられていてもよい。
【0031】
なお、以下においては、各均等化スイッチ111~113を区別する必要がない場合、符号を付与せず単に均等化スイッチとも記載する。また、各均等化スイッチ111~113は、オンすることで、対応する電池セル201~20nを放電するため放電スイッチともいえる。
【0032】
セル均等化回路110は、接続端子を介して、複数の電池セル201~205が電気的に接続されている。詳述すると、セル均等化回路110は、プリント基板31を介して、複数の電池セル201~205が電気的に接続されている。接続端子は、セル電圧検出端子ともいえる。
【0033】
図3に示すように、プリント基板31は、フィルタ4や放電用抵抗5などを備えている。フィルタ4と放電用抵抗5は、対応する均等化スイッチと電池セルとの間に設けられている。対応する均等化スイッチと電池セルは、例えば、第1均等化スイッチ111と第1電池セル201などである。フィルタ4は、抵抗素子41とコンデンサ42とを含んでいる。よって、第1監視IC21は、フィルタ4と放電用抵抗5を介して、電池セル201~205と電気的に接続されているといえる。
【0034】
なお、図3に示すように、プリント基板31は、コンデンサ42の接続先を、放電用抵抗5よりも前段である第1接続点a1ではなく、放電用抵抗5の後段である後段接続点a2としている。また、監視IC21は、均等化スイッチ111~113の接続先を、抵抗素子41とコンデンサ42との間の中間接続b1ではなく、放電用抵抗5の前段である第2接続点b2としている。
【0035】
本開示では、このような接続点a2,b2とすることで、均等化スイッチ111をオフした瞬間にセル電圧検出端子の端子間電圧が復帰し、すぐに次の処理へ移行することができる。つまり、本開示では、均等化スイッチ111をオンオフして監視IC21の故障診断を行う際に、フィルタ4のRC時定数によって決まる復帰時間を待つ必要がなく、処理時間を短縮することができる。
【0036】
セル均等化回路110は、複数の電池セル201~205のそれぞれに対応して、均等化スイッチが設けられている。また、複数の均等化スイッチは、各偶数セル20Eに対応して設けられた複数の偶数スイッチ11Eと、各奇数セル20Oに対応して設けられた複数の奇数スイッチ11Oとを含んでいる。
【0037】
ここでは、一例として、第1均等化スイッチ111、第2均等化スイッチ111、第3均等化スイッチ113のみを図示している。しかしながら、例えば、第1監視IC21は、電池セル201~205が電気的に接続されている。このため、第1監視IC21のセル均等化回路110は、電池セル201~205のそれぞれに対応して五つの均等化スイッチが設けられている。つまり、各監視IC21~2nは、自身に電気的に接続されている電池セルのそれぞれに対応して、均等化スイッチが設けられている。
【0038】
なお、第1均等化スイッチ111は、第1電池セル201に対応して設けられている。第2均等化スイッチ111は、第2電池セル202に対応して設けられている。第3均等化スイッチ113は、第3電池セル203に対応して設けられている。
【0039】
主機バッテリ20を搭載している車両では、回生エネルギーを最大限活用するために、セル電圧を均等に保つ必要がある。そのために、第1監視IC21は、セル電圧を均等化する機能として、セル均等化回路110が設けられている。第1監視IC21は、車両のイグニッションスイッチがオフしている期間に、周期的に起動してセル電圧の均等化を実施している。セル電圧の均等化は、電圧均等化に相当する。また、電池ECU10は、電圧均等化を行うために、均等化スイッチのオンオフによる第1監視IC21における回路の故障有無を診断することが望ましい。
【0040】
第1監視IC21は、各均等化スイッチ111~113をオンオフすることで電圧均等化を行う。各均等化スイッチ111~113は、ロジック回路140の検出制御部141からの指示に応じてオンオフする。
【0041】
セル均等化回路110は、例えば、検出制御部141からの指示に応じて第1均等化スイッチ111をオンすることで、第1電池セル201を放電することができる。よって、第1監視IC21は、電池セル201~205のうちセル電圧が高い電池セルを放電させることで、電池セル201~205の各セル電圧を均等化することができる。なお、図3に示すように、電池ECU10は、第1均等化スイッチ111がオンした場合、二点鎖線で示すように均等化電流が流れ、フィルタ4のコンデンサ42の電荷が放電されて一点鎖線で示すように電流が流れる。
【0042】
マルチプレクサは、複数のスイッチ回路から構成されており、ロジック回路140の検出制御部141からの指示に応じて複数組の接続端子のうちのいずれか一組を選択する。マルチプレクサは、一組を選択することで、電池セル201~205のうちの一つが電気的に接続される。そして、マルチプレクサは、接続された電池セルのセル電圧を検出する電圧検出部を備えている。また、第1監視IC21は、電池セル201~205を順番にマルチプレクサに接続し、電池セル201~205の各セル電圧を順番に検出する。
【0043】
AD変換器120は、基準電源130が接続されている。AD変換器120は、基準電源130で生成された基準電圧を基にAD変換する。また、AD変換器120は、検出制御部141からの指示に応じて、マルチプレクサで検出された各セル電圧をAD変換する。そして、AD変換器120は、AD変換結果をロジック回路140に出力する。なお、図2においては、AD変換器120をADCと略称で記載している。
【0044】
ロジック回路140は、機能ブロックとして、検出制御部141、通信制御部142、AD検出補正部143などを備えている。ロジック回路140は、発振子150、メモリ160、通信I/F170と電気的に接続されている。
【0045】
ロジック回路140は、発振子150で発生したクロック信号が入力される。なお、発振子150は、セラミック発振子や、水晶振動子を含む水晶発振回路などを採用できる。ロジック回路140は、メモリ160に記憶されたデータを参照するとともに、メモリ160のデータを書き換え可能に構成されている。通信I/F170は、マイコン1や他の監視IC22~2nとの通信を行うインターフェイス回路である。
【0046】
検出制御部141は、マイコン1から送信されたコマンドに応じて、セル均等化回路110やAD変換器120に指示を出力する。検出制御部141は、例えば、セル電圧の検出の指示や電圧均等化の指示をセル均等化回路110に対して出力する。また、検出制御部141は、電圧均等化の指示として、偶数スイッチ11Eをオンさせる指示と、奇数スイッチ11Oをオンさせる指示とを異なるタイミングで出力する。
【0047】
通信制御部142は、通信I/F170を介してコマンドを受信するとともに、セル電圧値を示すデータなどを通信I/F170を介して送信する。AD検出補正部143は、AD変換器120でAD変換されたセル電圧値を取得する。AD検出補正部143は、メモリ160に記憶されている補正係数を用いて、取得したセル電圧値を補正する。
【0048】
特に、第1監視IC21は、マイコン1から均等化指示がなされると、マイコン1が起動していない状況において、カウント値に基づいて所定時間ごとに、オンオフの制御対象を偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oとで切り替えて電圧均等化を行う。これは、隣接する均等化スイッチがともにオンして、二つのフィルタ4分の電流を同時に放電することで、発熱や第1監視IC21の不具合が生じることを抑制するためである。なお、オンする制御対象の均等化スイッチは、オン対象スイッチともいえる。
【0049】
ここで、図4図5図6を用いて、電池ECU10の処理動作に関して説明する。なお、図6における電池ECU動作は、主にマイコン1の動作を示している。また、図6の車両IGは、車両のイグニッションスイッチの略称である。
【0050】
まず、図4を用いてマイコン1の処理動作に関して説明する。ここでは、図6に示すように、車両IGがオフ状態であっても電池ECU10が起動(オン)して、その後、電池ECU10が停止(オフ)する状況を例として採用する。電池ECU10が起動している状態は、マイコン1が起動している状態と同意である。電池ECU10が停止している状態は、マイコン1が起動していない状態と同意である。また、マイコン1が起動していない状態は、マイコン1が定期的に通常動作と、スタンバイ動作を繰り返す状態を示している。なお、図4では、電池ECU10をECUと略称で記載している。
【0051】
マイコン1は、例えば、車両IGがオフ、且つ、一定周期で起動して、図4のフローチャートに示す処理動作を行う。また、マイコン1は、車両IGがオフの状態で、所定の条件を満たすと起動して、図4のフローチャートに示す処理動作を行ってもよい。
【0052】
ステップS11では、ECUを起動する。マイコン1は、スタンバイ動作から通常動作に移行することで電池ECU10を起動する。マイコン1は、例えば、補機バッテリ30からの電源供給を保持する電源保持信号などをCPUが出力することで、スタンバイ動作から通常動作に移行する。
【0053】
ステップS12では、セル電圧計測を行う(電圧取得部)。マイコン1は、各監視IC21~2nに対する検出コマンドを送信することで各電池セル201~20nのセル電圧を検出する。詳述すると、マイコン1は、各監視IC21~2nに対する検出コマンドを送信する。各監視IC21~2nは、検出コマンドに応じて、各電池セル201~20nのセル電圧値をAD変換器120でAD変換する。そして、各監視IC21~2nは、AD変換したセル電圧値をマイコン1に返信する。よって、マイコン1は、各監視IC21~2nで検出された各電池セル201~20nのセル電圧値を取得する。
【0054】
ステップS13では、セル電圧記憶を行う(記憶部)。マイコン1は、各監視IC21~2nから送信されたセル電圧値を記憶装置に記憶する。
【0055】
ステップS14では、回路が故障しているか否かを判定する(診断部)。マイコン1は、各監視IC21~2nの回路が故障しているか否かを判定する。マイコン1は、各監視IC21~2nの回路が故障していると判定しなかった場合はステップS15へ進み、故障していると判定した場合は図4の処理動作を終了する。
【0056】
例えば、マイコン1は、現在のセル電圧値である現在値と、前回起動中に記憶したセル電圧値である前回値とを比較する。現在のセル電圧値は、今回のステップS13で記憶したセル電圧値である。一方、前回起動中に記憶したセル電圧値は、前回のステップS13で記憶装置に記憶したセル電圧値である。なお、マイコン1は、ステップS14の処理が終了すると、前回値を削除してもよい。
【0057】
そして、マイコン1は、現在値と前回値とが所定の対応関係を満たさない場合に、各監視IC21~2nが故障していると判定することができる。つまり、マイコン1は、現在値と前回値とが所定の対応関係を満たす場合に、各監視IC21~2nが故障していないと判定する。
【0058】
また、マイコン1は、現在値と前回値との差から、電圧均等化が行われたと判断できる場合に、各監視IC21~2nが故障しておらず、所定の対応関係を満たしているとみなす。一方、マイコン1は、現在値と前回値との差から、電圧均等化が行われたと判断できない場合に、各監視IC21~2nが故障しており、所定の対応関係を満たしていないとみなす。
【0059】
なお、マイコン1は、例えば、各監視IC21~2nに対する診断コマンドを送信する。各監視IC21~2nは、診断コマンドに応じて、各均等化スイッチ111~11nをオンオフして、回路の故障有無を診断する。そして、各監視IC21~2nは、マイコン1に返信する。
【0060】
ステップS15では、均等化が必要であるか否かを判定する。マイコン1は、ステップS13で記憶装置に記憶したすべてのセル電圧値を参照する。そして、マイコン1は、各セル電圧値に応じて電圧均等化が必要であるか否かを判定する。例えば、マイコン1は、電池セル201~205の各セル電圧値にばらつきがある場合は電圧均等化が必要であると判定する。また、マイコン1は、電池セル201~205の各セル電圧値が所定値を超えて異なっていた場合に、電圧均等化が必要であると判定してもよい。
【0061】
ステップS16では、均等化指示を行う。マイコン1は、開始コマンドを各監視IC21~2nに送信することで、均等化指示を行う。マイコン1は、開始コマンドを送信することで、均等化オンするともいえる。
【0062】
また、マイコン1は、開始コマンドとともに、切替時間(xmin)を示す情報を各監視IC21~2nに送信する。切替時間は、各監視IC21~2nがオンオフの制御対象を偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oとで切り替える時間である。つまり、切替時間は、偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oにおいて、オンする制御対象とオフする制御対象を切り替える時間である。
【0063】
例えば、偶数スイッチ11Eがオンする制御対象で、奇数スイッチ11Oがオフする制御対象の場合を一例として説明する。この場合、各監視IC21~2nは、切替時間が経過すると、偶数スイッチ11Eをオフする制御対象へ切り替え、奇数スイッチ11Oをオンする制御対象に切り替える。
【0064】
このように、切替時間は、偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oの一方をオンする制御対象とし、他方をオフする制御対象とする期間ともいえる。そして、電池ECU10は、この期間が経過すると、オンする制御対象をオフする制御対象に切り替え、オフする制御対象をオンする制御対象に切り替える。
【0065】
本実施形態では、切替時間として分単位の時間を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、秒単位の時間を切替時間として採用することもできる。また、切替時間は、予め決められた静的な時間であってもよいし、動的に変更する時間であってもよい。マイコン1は、動的に切替時間を決める場合、記憶装置に記憶されている各セル電圧値のばらつきに基づいて決めてもよい。マイコン1は、例えば、ばらつきが小さい場合よりもばらつきが大きい場合の方が切替時間を長くする。
【0066】
なお、マイコン1は、電池ブロック単位で電圧均等化が必要であるか否かを判定してもよいし、主機バッテリ20の全体を対象として電圧均等化が必要であるか否かを判定してもよい。前者の場合、マイコン1は、電圧均等化が必要であると判定した電池ブロックが接続された監視ICに開始コマンドを送信する。後者の場合、マイコン1は、すべての監視IC21~2nに対して開始コマンドを送信する。
【0067】
このように、マイコン1は、回路が故障していないことを条件に、電圧均等化が必要か否かを行う。また、マイコン1は、回路が故障しておらず、且つ、セル電圧が均等でないことを条件に、電圧均等化を行う。
【0068】
ステップS17では、ECUを停止する。マイコン1は、通常動作からスタンバイ動作に移行することで電池ECU10を停止する。マイコン1は、例えば、CPUが電源保持信号の出力を停止することで、通常動作からスタンバイ動作に移行する。
【0069】
以下に説明するが、電池ECU10は、一旦、開始コマンドを送信すると、各監視IC21~2nが自動的に起動して電圧均等化を行う。このため、マイコン1は、電圧均等化を必要と判断した場合であっても、開始コマンドを送信するとスタンバイ動作に移行する。
【0070】
次に、図5を用いて各監視IC21~2nの処理動作に関して説明する。各監視IC21~2nは、開始コマンドを受信すると、図5のフローチャートに示す処理動作を行う。なお、マイコン1は、開始コマンドとともに切替時間も送信する。このため、各監視IC21~2nは、開始コマンドに加えて切替時間も受信することになる。なお、各監視IC21~2nは、例えば、通信I/F170を介して通信制御部142が開始コマンドと切替時間を受信する。
【0071】
また、マイコン1は、上記のように開始コマンドと切替時間を送信するとスタンバイ動作に移行する。よって、各監視IC21~2nは、マイコン1が起動していない状況において、以下のステップS21~S26を行うことになる。
【0072】
ステップS21では、切替時間を設定する。各監視IC21~2nは、オンオフの制御対象を偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oとを切り替える時間として、受信した切替時間を設定する。例えば、検出制御部141は、オンオフの制御対象の切り替えタイミングを判断する際に参照するために、通信制御部142にて受信した切替時間をメモリ160に保存する。このため、本実施形態では、切替時間が設定時間となる。また、図6に示すように、切替設定時間がxminとなる。
【0073】
ステップS22では、奇数番目の均等化スイッチをオンする。図6に示すように、各監視IC21~2nは、切替時間を設定すると、奇数番目の均等化スイッチである奇数スイッチ11Oをオンする。つまり、各監視IC21~2nは、奇数スイッチ11Oをオンする制御対象とし、偶数スイッチ11Eをオフする制御対象とする。このとき、例えば、検出制御部141は、電圧均等化の指示として、奇数スイッチ11Oをオンさせる指示をセル均等化回路110に対して出力する。
【0074】
セル均等化回路110は、奇数スイッチ11Oをオンさせる指示に応じて、奇数スイッチ11Oをオンさせる。これによって、各監視IC21~2nは、複数の奇数セル20Oを放電させることができる。また、このとき、偶数スイッチ11Eは、オフの状態である。
【0075】
また、図6に示すように、各監視IC21~2nは、奇数スイッチ11Oをオンすると経過時間の計測を開始する。各監視IC21~2nは、ロジック回路140にて、発振子150からのクロック信号のエッジをカウントすることで経過時間を計測する。しかしながら、本開示は、これに限定されず、別の方法で経過時間を計測してもよい。
【0076】
ステップS23では、設定時間であるか否かを判定する。各監視IC21~2nは、設定時間であるか否か、すなわち切替時間であるか否かを判定する。例えば、検出制御部141は、計測している経過時間が切替時間に達した場合に設定時間であると判定してステップS24へ進み、経過時間が切替時間に達してない場合は設定時間であると判定せずにステップS23を繰り返す。言い換えると、ロジック回路140は、発振子150からのクロック信号のエッジをカウントしたカウント値が切替時間に達したと判定した場合にステップS23へ進み、カウント値が切替時間に達したと判定しない場合にステップS22を繰り返す。
【0077】
ステップS24では、偶数番目の均等化スイッチをオンする。図6に示すように、各監視IC21~2nは、切替時間を設定すると、偶数番目の均等化スイッチである偶数スイッチ11Eをオンする。つまり、各監視IC21~2nは、偶数スイッチ11Eをオンする制御対象とし、奇数スイッチ11Oをオフする制御対象とする。また、各監視IC21~2nは、オンする制御対象を奇数スイッチ11Oから偶数スイッチ11Eに切り替え、オフする制御対象を偶数スイッチ11Eから奇数スイッチ11Oへと切り替えるともいえる。このとき、例えば、検出制御部141は、電圧均等化の指示として、偶数スイッチ11Eをオンさせる指示をセル均等化回路110に対して出力する。
【0078】
セル均等化回路110は、偶数スイッチ11Eをオンさせる指示に応じて、偶数スイッチ11Eをオンさせる。これによって、各監視IC21~2nは、複数の偶数セル20Eを放電させることができる。また、このとき、奇数スイッチ11Oは、オフの状態である。また、図6に示すように、各監視IC21~2nは、偶数スイッチ11Eをオンすると経過時間の計測を開始する。
【0079】
ステップS25では、ステップS23と同様に設定時間であるか否かを判定する。そして、例えば、検出制御部141は、計測している経過時間が切替時間に達した場合に設定時間であると判定してステップS26へ進み、経過時間が切替時間に達してない場合は設定時間であると判定せずにステップS25を繰り返す。
【0080】
ステップS26では、停止指示があるか否かを判定する。各監視IC21~2nは、マイコン1からの停止コマンドに基づいて、停止指示があるか否かを判定する。例えば、検出制御部141は、停止コマンドを受信していない場合は停止指示なしと判定してステップS22へ戻り、停止コマンドを受信した場合は停止指示ありと判定して図5のフローチャートを終了する。
【0081】
このように、各監視IC21~2nは、マイコン1から均等化指示がなされると、カウント値に基づいて所定時間ごとに、オンオフの制御対象を偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oとで切り替えて電圧均等化を行う。また、各監視IC21~2nは、マイコン1が起動していない状況において、オンオフの制御対象を偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oとで切り替えて電圧均等化を行う。つまり、各監視IC21~2nは、マイコン1の起動状態にかかわらず、自動でオンオフの制御対象を切り替えて電圧均等化を行うことができる。
【0082】
このように、電池ECU10は、マイコン1が起動していない状況であっても、各監視IC21~2nがオンオフの制御対象を偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oとで切り替えて、電圧均等化を行うことができる。よって、電池ECU10は、電圧均等化のためにマイコン1が起動する回数を減らすことができ、補機バッテリ30の消費電流を削減できる。
【0083】
また、本実施形態では、電圧均等化を開始する順番を奇数セル20Oからと予め設定されている。しかしながら、本開示は、電圧均等化を開始する順番を偶数セル20Eからと予め設定しておいてもよい。つまり、各監視IC21~2nは、電圧均等化を開始する順番が偶数セル20Eと奇数セル20Oのいずれかに予め設定されていると好ましい。これによって、電池ECU10は、偶数セル20Eと奇数セル20Oの一方のみ均等化されることを防ぐことができる。よって、電池ECU10は、複数の電池セル201~20nにおけるセル電圧のばらつきをより一層抑制することができる。
【0084】
各監視IC21~2nは、上記のように、カウント値として、発振子150で生成されるクロック信号をカウントした値を用いている。そこで、各監視IC21~2nは、オンオフの制御対象を偶数スイッチ11Eと奇数スイッチ11Oとで切り替える間隔(切替時間)が、発振子150の精度に基づいて予め設定されていてもよい。切替時間は、発振子150の精度が悪いほど短くすると好ましい。
【0085】
各監視IC21~2nは、発振子150の精度が悪いほど、切替時間通りに、オンオフの制御対象を切り替えることができない。つまり、各監視IC21~2nは、指示された切替時間と、実際にオンオフの制御対象を切り替える時間との間に誤差が生じてしまう。
【0086】
つまり、各監視IC21~2nは、セル電圧を均等化するのに必要な時間以上に、オン対象スイッチをオンさせてしまうことが起こりうる。また、各監視IC21~2nは、セル電圧を均等化するのに必要な時間だけオン対象スイッチをオンさせることなくオフさせてしまうことも起こりうる。これによって、電池ECU10は、電池セル201~20nの放電時間がばらつくため、電圧均等化を行ったとしても適切にセル電圧を均等化できない可能性がある。
【0087】
しかしながら、電池ECU10は、発振子150の精度が悪いほど切替時間を短くすることで、オンオフの制御対象を一度切り替える際の誤差を小さくすることができる。よって、電池ECU10は、電圧均等化の精度を向上させることができる。つまり、電池ECU10は、複数の電池セル201~20nにおけるセル電圧のばらつきをより一層抑制することができる。
【0088】
なお、本実施形態では、奇数スイッチ11Oからオンする例を採用している。しかしながら、本開示は、偶数スイッチ11Eからオンしてもよい。
【0089】
本開示は、奇数スイッチ11Oと偶数スイッチ11Eのうち、最初にオンする制御対象をマイコン1が判断して、各監視IC21~2nに指示してもよい。この場合、マイコン1は、ステップS12で取得した各セル電圧値に基づいて判断する。
【0090】
本開示は、奇数スイッチ11Oと偶数スイッチ11Eのうち、最初にオンする制御対象を各監視IC21~2nが判断してもよい。各監視IC21~2nは、検出した各セル電圧値に基づいて判断する。
【0091】
本開示は、ステップS26を各監視IC21~2nが判断してもよい。各監視IC21~2nは、検出した各セル電圧値に基づいて判断する。
【0092】
なお、本開示は、これに限定されない。電池ECU10は、少なくとも1つの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(MMR)と、監視ICを備えていればよい。電池ECU10は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、1つのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。制御装置は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成的なブロック、またはモジュールと呼ぶことができる。
【0093】
なお、電池ECU10が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組み合わせによって提供することができる。例えば、電池ECU10がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
【0094】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…マイコン、21~2n…第1~第n監視IC、10…電池ECU、20…主機バッテリ、201~20n…第1~第n電池セル、30…補機バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6