IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図1
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図2
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図3
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図4
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図5
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図6
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図7
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図8
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図9
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図10
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図11
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図12
  • 特許-ヘッドユニットおよび画像形成装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ヘッドユニットおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B41J2/01 307
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020055962
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154561
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏行
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-125986(JP,A)
【文献】特開2001-113679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドが位置決めされる取付台を備え、
前記インクジェットヘッドは、インクを吐出するノズルを有し、
前記取付台は、
回動可能に球体を把持し、前記球体が前記インクジェットヘッドに当接して、前記インクジェットヘッドを前記ノズルのインク吐出方向に位置決めするZ方向位置決め部材と、
前記インクジェットヘッドを前記Z方向位置決め部材に付勢するZ方向付勢部材と、
前記インク吐出方向と垂直方向に前記インクジェットヘッドを位置決めするX方向位置決め部材と、
前記インクジェットヘッドを前記垂直方向に回動可能に係止するY方向位置決め部材と、
前記インクジェットヘッドを前記X方向位置決め部材に付勢するX方向付勢部材と、
前記インクジェットヘッドを前記Y方向位置決め部材に付勢するY方向付勢部材と
を有する、ヘッドユニット。
【請求項2】
前記Z方向位置決め部材は、
前記インクジェットヘッドの一端側に少なくとも一つ配置され、
前記インクジェットヘッドの他端側に複数配置された、請求項に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドは、Y方向がX方向よりも長く、前記一端および前記他端は、前記Y方向の両端あり、
前記一端から長手方向中心に向けて、前記X方向付勢部材または前記Y方向付勢部材、前記Z方向付勢部材、前記Z方向位置決め部材の順に配置されている、請求項に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記インクジェットヘッド、は、Y方向がX方向よりも長く、前記一端および前記他端は、前記Y方向の両端あり、
前記他端から長手方向中心に向けて、前記Y方向付勢部材、前記Z方向付勢部材、前記Z方向位置決め部材の順に配置されている、請求項に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記一端側において、
前記Z方向付勢部材は、
前記X方向付勢部材または前記Y方向付勢部材と、前記X方向位置決め部材と、前記Z方向位置決め部材とを結ぶ略三角形の範囲に配置される、請求項~請求項のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記他端側において、
前記Z方向付勢部材は、
前記Y方向付勢部材と、複数の前記Z方向位置決め部材のうちの二つとを結ぶ略三角形の範囲に配置される、請求項~請求項のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
前記取付台に取り付けられた前記インクジェットヘッドを前記インク吐出方向に見たとき、前記Z方向位置決め部材は、前記インクジェットヘッドにおいて前記ノズルが配置されたノズル領域の外部に配置される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項8】
前記Z方向位置決め部材は、
前記球体を把持する把持部を有し、
前記把持部は、前記球体を回動可能に支持するベアリングを有する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項9】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載のヘッドユニットを備えた、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたヘッド支持構造体の記録ヘッドには、段差部が形成され、段差部には、記録ヘッドをヘッドベースに固定するためのX軸位置決め凸部およびY軸位置決め凸部が形成されている。また、ヘッドホルダに板バネが設けられ、記録ヘッドをヘッドホルダに対して位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-231802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたヘッド支持構造体は、X軸位置決め凸部、Y軸位置決め凸部、および板バネにより、記録ヘッドをヘッドベースおよびヘッドホルダに対して固定して位置決めしているため、記録ヘッドの位置を微調整することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、インクジェットヘッドをヘッドユニットに対して微調整可能に位置決めできるヘッドユニットおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、ヘッドユニットは、インクジェットヘッドが位置決めされる取付台を備える。前記インクジェットヘッドは、インクを吐出するノズルを有する。前記取付台は、Z方向位置決め部材と、Z方向付勢部材とを有する。前記Z方向位置決め部材は、回動可能に球体を把持し、前記球体が前記インクジェットヘッドに当接して、前記インクジェットヘッドを前記ノズルのインク吐出方向に位置決めする。前記Z方向付勢部材は、前記インクジェットヘッドを前記位置決め部材に付勢する。
【0007】
本発明の他の一局面によれば、画像形成装置は、給送部と、画像形成部とを備える。前記給送部は、シートを給送する。前記画像形成部は、前記ヘッドユニットにより前記シートに画像を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インクジェットヘッドをヘッドユニットに対して微調整可能に位置決めできるヘッドユニットおよび画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る画像形成装置を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係るヘッドユニットにインクジェットヘッドを取り付けたヘッドセットを示す斜視図である。
図3】本実施形態1に係るヘッドユニットに取り付けられるインクジェットヘッドを示す斜視図である。
図4】本実施形態1に係るヘッドユニットを示す斜視図である。
図5】本実施形態1に係るヘッドユニットを示す拡大斜視図である。
図6】本実施形態1に係るヘッドユニットに設けられた第1取付台を拡大して示す斜視図である。
図7】本実施形態1に係るヘッドユニットに設けられた第1取付台の断面図である。
図8】本実施形態1に係るヘッドユニットに設けられた第2取付台を拡大して示す斜視図である。
図9】本実施形態1に係るヘッドユニットに設けられたZ方向位置決め部材を示す外観斜視図である。
図10】本実施形態1に係るヘッドユニットに設けられたZ方向位置決め部材を示す断面図である。
図11】本実施形態2に係るヘッドユニットを示す上面図である。
図12】本実施形態2から本実施形態7に係るヘッドユニットを示す上面図であって、図11の拡大図である。
図13】本実施形態8に係るヘッドユニットに設けられたZ方向位置決め部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1を参照して、本実施形態1の画像形成装置100を説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る画像形成装置100を示す図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、給送部110と、シート搬送部120と、画像形成部130と、メンテナンスユニット140と、排出部150とを備える。
【0013】
給送部110は、シート搬送部120にシートSを給送する。本実施形態1の給送部110は、給紙カセット111と、給紙ローラー112とを有する。給紙カセット111は、シートSを収容する。給紙ローラー112は、給紙カセット111からシート搬送部120へシートSを送り出す。なお、シートSは記録媒体の一例である。
【0014】
シート搬送部120は、シートSを排出部150まで搬送する。詳しくは、シート搬送部120は、複数の搬送ガイド121と、複数の搬送ローラー対122と、レジストローラー対123とを有する。搬送ガイド121は、シート搬送部120の一部を構成する。搬送ローラー対122は、搬送ガイド121に沿ってシートSを搬送する。レジストローラー対123は、ヘッドセット11~ヘッドセット14と対向する領域へのシートSの搬送タイミングを調整する。
【0015】
本実施形態1のシート搬送部120は、第1搬送ユニット124と、第2搬送ユニット125とを有する。第1搬送ユニット124は、ヘッドセット11~ヘッドセット14と対向する。第1搬送ユニット124は、ヘッドセット11~ヘッドセット14の直下の領域においてシートSを搬送する。第2搬送ユニット125は、第1搬送ユニット124から送り出されたシートSを、排出部150へ向けて搬送する。
【0016】
画像形成部130は、ヘッドユニット16(図2)によりシートSに画像を形成する。画像形成部130は、ヘッドセット11と、ヘッドセット12と、ヘッドセット13と、ヘッドセット14とを備える。
【0017】
図2で後述するように、ヘッドセット11のヘッドユニット16に取り付けられたインクジェットヘッド15(インクジェットヘッド15A、インクジェットヘッド15B、およびインクジェットヘッド15C)は、図1に示す第1搬送ユニット124によって搬送されているシートSに向けて、インクを吐出する。ヘッドセット12~ヘッドセット14のそれぞれのインクジェットヘッド15も同様に、シートSに向けて、インクを吐出する。
【0018】
ヘッドセット11~ヘッドセット14のそれぞれのインクジェットヘッド15は、互いに異なる色のインクを吐出する。例えば、ヘッドセット11のインクジェットヘッド15は、ブラック色のインクを吐出する。ヘッドセット12のインクジェットヘッド15は、シアン色のインクを吐出する。ヘッドセット13のインクジェットヘッド15は、マゼンタ色のインクを吐出する。ヘッドセット14のインクジェットヘッド15は、イエロー色のインクを吐出する。
【0019】
メンテナンスユニット140は、ヘッドセット11~ヘッドセット14のそれぞれのインクジェットヘッド15をメンテナンスする。メンテナンスユニット140は、シートSへの画像の記録時に第2搬送ユニット125の下方に位置し、インクジェットヘッド15のメンテナンス時に、ヘッドセット11~ヘッドセット14の直下の位置へ移動する。
【0020】
なお、インクジェットヘッド15のメンテナンス時には、第1搬送ユニット124は、退避位置に移動している。退避位置は、第1搬送ユニット124がメンテナンスユニット140と衝突しない位置である。
【0021】
本実施形態1のメンテナンスユニット140は、キャップ部141と、クリーニング部142とを有する。図3で後述するように、インクジェットヘッド15は、ノズル面158を有する。図1に示すように、キャップ部141は、キャッピング部材141aを有する。キャッピング部材141aは、インクジェットヘッド15のノズル面158をキャッピングして、インクが乾燥し難い環境を提供する。
【0022】
クリーニング部142は、インクジェットヘッド15のノズル面158を清掃する。具体的には、クリーニング部142は、ワイプブレード142aを有する。ワイプブレード142aは、例えば、樹脂を材料として含む。ワイプブレード142aは、ノズル面158を清掃するクリーニング部材である。
【0023】
クリーニング部142は、インクジェットヘッド15の下面にワイプブレード142aを接触させた状態で、図3に示すインクジェットヘッド15のノズル面158に、Y軸方向に沿ってワイプブレード142aを移動させる。この結果、ノズル面158がワイプブレード142aによって払拭されて、ノズル面158が清掃される。具体的には、ノズル面158に付着していたインクが、ワイプブレード142aによって拭き取られる。
【0024】
排出部150は、画像形成装置100の外部にシートSを排出する。本実施形態1の排出部150は、排出トレイ151と、排出ローラー対152とを有する。排出ローラー対152は、シートSを排出トレイ151に送り出す。
【0025】
次に、図1に加え、図2図10を参照して、本実施形態1の画像形成装置100のヘッドユニット16を説明する。図2は、本発明の実施形態1に係るヘッドユニット16にインクジェットヘッド15を取り付けたヘッドセット11を示す斜視図である。図3は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に取り付けられるインクジェットヘッド15を示す斜視図である。
【0026】
図4は、本実施形態1に係るヘッドユニット16を示す斜視図である。図5は、本実施形態1に係るヘッドユニット16を示す拡大斜視図である。図6は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に設けられた第1取付台20Aを拡大して示す斜視図である。図7は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に設けられた第1取付台20Aの断面図である。
【0027】
図8は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に設けられた第2取付台20Bを拡大して示す斜視図である。図9は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に設けられたZ方向位置決め部材26を示す外観斜視図である。図10は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に設けられたZ方向位置決め部材26を示す断面図である。
【0028】
本実施形態1において、ヘッドユニット16は、取付台20(第1取付台20A)を有する。インクジェットヘッド15は、インクを吐出するノズルを有する。取付台20は、Z方向付勢部材27と、Z方向位置決め部材26とを有する。Z方向位置決め部材26は、回動可能に球体(球体261、球体301、および球体311)を把持し、球体(球体261、球体301、および球体311)がインクジェットヘッド15に当接して、インクジェットヘッド15をノズルのインク吐出方向(Z(+)方向、下方向)に位置決めする。Z方向付勢部材27は、インクジェットヘッド15をZ方向位置決め部材26に付勢する。
【0029】
また、本実施形態1において、ヘッドユニット16は、X方向位置決め部材24と、Y方向位置決め部材25と、X方向付勢部材21と、Y方向付勢部材22とをさらに有する。X方向位置決め部材24は、インク吐出方向と垂直方向(X方向)にインクジェットヘッド15Aを位置決めする。
【0030】
Y方向位置決め部材25は、インクジェットヘッド15Aを垂直方向(X方向)に回動可能に係止する。X方向付勢部材21は、インクジェットヘッド15AをX方向位置決め部材24に付勢する。Y方向付勢部材22は、インクジェットヘッド15AをY方向位置決め部材25に付勢する。
【0031】
以下、具体的に説明する。図2を参照して、ヘッドセット11の構成を説明する。図1に示すヘッドセット12~ヘッドセット14は、ヘッドセット11とは内蔵するインクの色が異なるのみであり、構造は同様であるので、説明を省略する。
【0032】
図2に示すヘッドセット11は、説明を容易にし、視認を容易にするため、図1に示すヘッドセット11とは上下方向が逆に記載されている。つまり、図2は、図1に示すヘッドセット11を下側斜め方向から見た斜視図である。
【0033】
図2に示すように、ヘッドセット11は、ヘッドユニット16を有する。ヘッドユニット16は、取付台20(第1取付台20A~第2取付台20F)を有する。
【0034】
インクジェットヘッド15Aは、第1取付台20Aおよび第2取付台20Bに取り付けおよび取り外し可能である。インクジェットヘッド15Bは、第1取付台20Cおよび第2取付台20Dに取り付けおよび取り外し可能である。インクジェットヘッド15Cは、第1取付台20Eおよび第2取付台20Fに取り付けおよび取り外し可能である。
【0035】
第1取付台20Aおよび第2取付台20Bは、インクジェットヘッド15Aを位置決めする。第1取付台20Cおよび第2取付台20Dは、インクジェットヘッド15Bを位置決めする。第1取付台20Eおよび第2取付台20Fは、インクジェットヘッド15Cを位置決めする。
【0036】
また、インクジェットヘッド15Aと、インクジェットヘッド15Bと、インクジェットヘッド15Cと、とは、図2の前後方向(主走査方向)にずれて配置される。インクジェットヘッド15Bと、インクジェットヘッド15Cとは、図2の左右方向(副走査方向)において同じ位置に配置される。インクジェットヘッド15Aは、インクジェットヘッド15Bおよびインクジェットヘッド15Cに対して、図2の左右方向(副走査方向)にずれて配置される。
【0037】
したがって、インクジェットヘッド15Aと、インクジェットヘッド15Bと、インクジェットヘッド15Cとは、それぞれ第1取付台20A~第2取付台20Fに取り付けられた状態で、互いに千鳥状に並んでいる。
【0038】
シートS(図1)は、インクジェットヘッド15A、インクジェットヘッド15B、およびインクジェットヘッド15Cの直下を、X軸の(+)方向(副走査方向)に通過し、インクジェットヘッド15A、インクジェットヘッド15B、およびインクジェットヘッド15Cからインクを滴下される。
【0039】
インクジェットヘッド15A~インクジェットヘッド15Cが上述のように配置されているため、それに配置されているノズルは、主走査方向に繋がって、あるいは一部重複して配置される。ノズルがそのように配置されているため、シートSの幅方向(主走査方向)の全体、あるいは略全体に向けてインクを滴下することができる。
【0040】
次に、図3を参照して、インクジェットヘッド15の構成を説明する。図3に示すインクジェットヘッド15は、説明を容易にし、視認を容易にするため、図2と同様に、図1とは上下方向が逆に記載されている。つまり、図3は、図2に示すインクジェットヘッド15を下側斜め方向から見た斜視図である。また、インクジェットヘッド15A~15Cは、同様の構造であるので、以降、特記しない限り、インクジェットヘッド15Aについて説明する。
【0041】
図3に示すインクジェットヘッド15Aは、図示しないインクタンクと、ノズル面158と、図示しないノズルと、前側接続部159と、後側接続部154とを有する。インクタンクには、インクが貯蔵可能である。インクジェットヘッド15Aのノズル面158には、多数のノズルが形成されている。ノズルは、インクタンクに貯蔵されたインクを外部に吐出し、シートSに滴下する。
【0042】
インクジェットヘッド15Aは、XY平面において、Y(+/-)方向がX(+/-)方向よりも長い。インクジェットヘッド15AのY(+/-)方向を長手方向、X(+/-)方向を短手方向と呼ぶことがある。インクジェットヘッド15Aは、長手方向の一端側(後端側)に後側接続部154を有する。
【0043】
後側接続部154には、後側穴部155が形成され、図6で後述するZ方向付勢部材27が後側穴部155に挿入される。Z方向付勢部材27の一例は、締付ビス(ネジ)である。後側接続部154は、Z方向付勢部材27により第1取付台20Aに締め付けられることにより、第1取付台20Aに取り付け可能であり、取り外し可能である。
【0044】
インクジェットヘッド15Aは、長手方向の他端側(前端側)に前側接続部159を有する。前側接続部159は、前側穴部153を有し、図6で後述するZ方向付勢部材28が前側穴部153に挿入される。Z方向付勢部材28の一例は、締付ビス(ネジ)である。前側接続部159は、Z方向付勢部材28により第2取付台20Bに締め付けられることにより、第2取付台20Bに取り付け可能であり、また取り外し可能である。
【0045】
前側接続部159のY(-)方向の端部には、凹部156が形成されている。凹部156は、図5で後述するように、Y方向位置決め部材25の側面に摺動可能および回動可能に係止される。
【0046】
凹部156は、XY平面形状は、V字状であってもよいし、その少なくとも一部がV字状であってもよい。また、Y方向位置決め部材25のXY平面形状は、円形であってもよいし、その一部が円弧であってもよい。Y方向位置決め部材25の円弧部分に、凹部156の中でV字状を成している2つの平面が当接していることにより、Y方向位置決め部材25を中止とした、回転軸が精度よく定まる。
【0047】
前側接続部159の凹部156がY方向位置決め部材25の側面に回動可能に係止されることにより、インクジェットヘッド15Aは、Y方向位置決め部材25を中心に、インクジェットヘッド15Aの短手方向(X(+/-)方向)に回動可能となる。そのため、ユーザーは、インクジェットヘッド15Aの短手方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0048】
図4は、図2に示すヘッドセット11のヘッドユニット16から、インクジェットヘッド15を取り外した態様を示す。したがって、図4も、図2および図3と同様、図1とは上下方向が逆に記載されている。つまり、図4は、ヘッドユニット16を下側斜め方向から見た斜視図である。
【0049】
図4に示すように、第1取付台20Aと第2取付台20Bとのセット、第1取付台20Cと第2取付台20Dとのセット、第1取付台20Eと第2取付台20Fとのセットは、それぞれ図4の前後方向(主走査方向)に並んで設けられている。
【0050】
第1取付台20Aと、第1取付台20Cおよび第1取付台20Eとの構成は同様であり、第2取付台20Bと、第2取付台20Dおよび第2取付台20Fとの構成は同様である。したがって、以降、特記しない限り、第1取付台20Aおよび第2取付台20Bについて説明する。
【0051】
図5は、図4の点線Aで囲まれた範囲に記載されたヘッドユニット16の一部を拡大した図である。図5も、図2図4と同様、図1とは上下逆方向に記載されている。
【0052】
図6は、図5に示す点線Bで囲まれた範囲に記載された第1取付台20Aを拡大した図である。図7は、図5に示す点線Cで囲まれた範囲に記載された第2取付台20Bを拡大した図である。
【0053】
図5に示すように、ヘッドユニット16の第1取付台20Aは、X方向付勢部材21と、Y方向付勢部材22と、Z方向付勢部材27と、X方向位置決め部材24と、Z方向位置決め部材26と、スプリング23とを有する。
【0054】
X方向付勢部材21およびY方向付勢部材22の一例は、板バネである。Z方向位置決め部材26の一例は、回動可能なネジまたはビスである。
【0055】
ヘッドユニット16の第2取付台20Bは、Y方向位置決め部材25と、Z方向位置決め部材30と、Z方向位置決め部材31と、Z方向付勢部材28と、スプリング32とを有する。
【0056】
インクジェットヘッド15Aがヘッドユニット16に取り付けられる場合、図6に示すように、第1取付台20Aにインクジェットヘッド15Aの後側接続部154が取り付けられ、図7に示すように、第2取付台20Bにインクジェットヘッド15Aの前側接続部159が取り付けられる。
【0057】
Z方向位置決め部材30およびZ方向位置決め部材31の構造および機能は、Z方向位置決め部材26と同様である。
【0058】
図6に示すヘッドユニット16の第1取付台20Aにおいて、Z方向付勢部材27およびZ方向位置決め部材26は、ノズルのインク吐出方向(Z(-)方向または下方向)にインクジェットヘッド15を位置決めする。
【0059】
また、ヘッドユニット16の第1取付台20Aにおいて、X方向付勢部材21およびX方向位置決め部材24は、インク吐出方向(Z(-)方向または下方向)と垂直な方向(X方向または左右方向)にインクジェットヘッド15Aを位置決めする。
【0060】
さらに、ヘッドユニット16の第1取付台20AにY方向付勢部材22が設けられ、ヘッドユニット16の第2取付台20BにY方向位置決め部材25が設けられる。したがって、Y方向付勢部材22およびY方向位置決め部材25は、インク吐出方向(Z(-)方向または下方向)と垂直な方向(Y方向または前後方向)にインクジェットヘッド15を位置決めする。
【0061】
本実施形態1によれば、インクジェットヘッド15Aは、ヘッドユニット16に対してインク吐出方向(Z方向)に位置決めされる。インクジェットヘッド15Aは、ヘッドユニット16のインク吐出方向と垂直な互いに異なる2方向(XY方向)に位置決めされる。
【0062】
さらに詳細には、図6に示すように、Z方向付勢部材27およびZ方向位置決め部材26は、第1取付台20Aに設けられる。
【0063】
Z方向付勢部材27およびZ方向位置決め部材26は、図3に示すインクジェットヘッド15Aのノズル面158に配置されたノズルのインク吐出方向(Z(-)方向または下方向)またはインクジェットヘッド15Aの短手方向に向けて、インクジェットヘッド15Aの一端側に設けられた後側接続部154をヘッドユニット16に位置決めする。
【0064】
Z方向付勢部材27には、スプリング23が取り付けられている。図8で後述するように、スプリング23は、例えば、Z方向の自然長よりも縮められている。そのため、スプリング23には自然長に伸びようとする力が働き、Z方向付勢部材27をヘッドユニット16の一端側に設けられた後側接続部154をZ(+)方向に付勢する(Z(+)方向に引っ張る)。
【0065】
Z方向位置決め部材26がネジまたはビスである場合、Z方向位置決め部材26は、Z(+/-)方向または上下方向に高さまたは位置を調節可能であり、インクジェットヘッド15Aの一端側に設けられた後側接続部154をヘッドユニット16に位置決めする。
【0066】
また、Z方向位置決め部材26は、インクジェットヘッド15Aのヘッドユニット16に対する高さを調節し、または、インクジェットヘッド15Aのヘッドユニット16に対する傾きを調節する。
【0067】
Z方向位置決め部材26は、回動可能に球体261を把持する。球体261は、インクジェットヘッド15Aに当接する。これにより、インクジェットヘッド15AとZ方向位置決め部材26との摩擦力が軽減され、インクジェットヘッド15Aの移動および微調整が容易になる。
【0068】
図6に示すように、X方向付勢部材21およびX方向位置決め部材24は、第1取付台20Aに設けられる。
【0069】
X方向付勢部材21およびX方向位置決め部材24は、インク吐出方向と垂直方向(図3に示す左右方向またはX(+/-)方向)またはインクジェットヘッド15の短手方向に、インクジェットヘッド15Aの一端側に設けられた後側接続部154をヘッドユニット16に位置決めする。
【0070】
X方向位置決め部材24は、X方向調整ビス241が貫通することが可能である。X方向調整ビス241の一例は、ネジまたはビスである。
【0071】
ユーザーは、X方向調整ビス241の貫通量を調整することにより、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154のX方向の位置を調整できる。別言すれば、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154は、X方向付勢部材21とX方向位置決め部材24とに挟持されて位置決めされる。
【0072】
インクジェットヘッド15Aの前側接続部155は、Y方向位置決め部材25により摺動可能および回動可能に係止されているので、ユーザーは、X方向調整ビス241の貫通量を調整することにより、インクジェットヘッド15AのXY平面内の角度を調整することができる。
【0073】
図6に示すように、Y方向付勢部材22は、第1取付台20Aに設けられる。図7に示すように、Y方向位置決め部材25は、第2取付台20Bに設けられる。Y方向位置決め部材25の一例は、金属製または樹脂性の突起である。
【0074】
すなわち、Y方向付勢部材22およびY方向位置決め部材25は、インク吐出方向と垂直方向(図3に示す前後方向またはY(+/-)方向)またはインクジェットヘッド15の長手方向に向けて、インクジェットヘッド15Aの一端側に設けられた後側接続部154およびインクジェットヘッド15Aの他端側に設けられた前側接続部159をヘッドユニット16に位置決めする。
【0075】
図7に示すように、Y方向位置決め部材25は、前側接続部159からZ(-)方向に延びる突起である。インクジェットヘッド15Aの前側接続部159の凹部156は、Y方向位置決め部材25の側面に係止可能である。つまり、インクジェットヘッド15Aの前側接続部159の凹部156は、Y方向付勢部材22により、第2取付台20BのY方向位置決め部材25の側面に付勢される。
【0076】
インクジェットヘッド15Aは、前側接続部159の凹部156がY方向位置決め部材25に付勢され係止されることにより、Y方向に位置決めされる。
【0077】
また、インクジェットヘッド15Aの前側接続部159の凹部156がY方向位置決め部材25に係止されている間、インクジェットヘッド15Aは、Y方向位置決め部材25を中心とする円周方向に回動可能である。回動可能なインクジェットヘッド15Aを、第1取付台20AのX方向付勢部材21とX方向位置決め部材24とで位置決めする。
【0078】
本実施形態1によれば、Z方向位置決め部材26の球体261がインクジェットヘッド15Aに当接することにより、インクジェットヘッド15AとZ方向位置決め部材26との摩擦力が軽減され、インクジェットヘッド15AのXY平面内における移動が容易になる。したがって、ユーザーは、インクジェットヘッド15AのX方向およびY方向への位置決め、およびインクジェットヘッド15AのXY平面内の角度の微調整を容易に行うことができる。
【0079】
さらに、本実施形態1によれば、インクジェットヘッド15Aの前側接続部159の凹部156がY方向位置決め部材25に係止されることにより、インクジェットヘッド15Aが、Y方向位置決め部材25を中心とする円周方向に回動可能となる。そのため、ユーザーは、インクジェットヘッド15AのX方向およびY方向への位置決め、およびインクジェットヘッド15AのXY平面内の角度の微調整をさらに容易に行うことができる。
【0080】
さらに、図7に示すように、第2取付台20Bは、Z方向位置決め部材30と、Z方向位置決め部材31と、Z方向付勢部材28と、スプリング32とを有する。Z方向位置決め部材30およびZ方向位置決め部材31の構造は、図6に示すZ方向位置決め部材26と同様であってよい。
【0081】
Z方向付勢部材28の構造は、図6に示すZ方向付勢部材27と同様であってよい。スプリング32の構成は、図6に示すスプリング23と同様であってよい。したがって、Z方向付勢部材28およびスプリング32の構造の説明は省略する。
【0082】
本実施形態1では、ヘッドユニット16のZ方向位置決め部材26は、インクジェットヘッド15Aの一端側に少なくとも一つ配置され、インクジェットヘッド15Aの他端側に複数配置される。
【0083】
Z方向位置決め部材30およびZ方向位置決め部材31は、主としてインクジェットヘッド15Aを水平に(XY方向に)支持する機能を発揮する。
【0084】
本実施形態によれば、ヘッドユニット16の第1取付台20Aに対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。ヘッドユニット16の第2取付台20Bに対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。ひいては、ヘッドユニット16に対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。
【0085】
次に、図8を参照して、第1取付台20Aについてさらに詳細に説明する。図8は、図6に示す第1取付台20Aおよびインクジェットヘッド15AをVIII-VIII線で切断したZ方向断面図である。図8に示すように、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154が第1取付台20Aに取り付けられる。
【0086】
第1取付台20Aは、内部に空洞部201を有する。空洞部201には、スプリング23が配置される。Z方向付勢部材27は、後側接続部154の後側穴部155を貫通し、さらにスプリング23で包囲された円筒状空間を貫通して、スプリング23に接続される。例えば、Z方向付勢部材27である締付ビスの先端のネジに円盤状の部材を取り付け、スプリング23を、円盤状の部材と円筒状空間の床部202とに挟まれた状態にする。この際、スプリング23は、Z方向の自然長よりも縮められて挟まれる。
【0087】
スプリング23は自然長に伸びようとするため、Z方向付勢部材27は、スプリング23によりZ(+)方向(矢印Dの方向)に引っ張られる。
【0088】
Z方向付勢部材27の頭頂部271は、後側穴部155の端部に係止される。そのため、Z方向付勢部材27が矢印D方向に引っ張られることにより、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154が第1取付台20Aに向けて付勢される。
【0089】
図8に示すように、第1取付台20Aは、さらにZ方向位置決め部材26を有する。Z方向位置決め部材26は、回動可能に球体261を把持する。球体261は、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154に当接する。
【0090】
インクジェットヘッド15Aの後側接続部154は、Z方向付勢部材27およびスプリング23により第1取付台20AのZ方向位置決め部材26に付勢される。Z方向位置決め部材26が球体261を回動可能に把持することにより、インクジェットヘッド15AとZ方向位置決め部材26との摩擦力が軽減され、インクジェットヘッド15AのXY平面内における移動が容易になる。
【0091】
次に、図9および図10を参照して、Z方向位置決め部材26を説明する。図9は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に設けられたZ方向位置決め部材26を示す外観斜視図である。図10は、本実施形態1に係るヘッドユニット16に設けられたZ方向位置決め部材26を示す断面図である。図10は、図9のZ方向位置決め部材26をX-X線で切断した断面図である。
【0092】
図9および図10に示すように、Z方向位置決め部材26は、本体部262と、キャップ部263と、スペーサー266と、球体261とを有する。
【0093】
図9に示すように、本体部262の外周面には、図示しないおねじ側のネジ山およびネジ溝が切られている。キャップ部263の図示しない内周面には、図示しないめねじ側のネジ山およびネジ溝が切られている。ユーザーは、キャップ部263を本体部262に被せて回転させることにより、キャップ部263が本体部262に係合され嵌め込まれる。
【0094】
球体261は、本体部262に把持されることができる。キャップ部263は、天井部264から天井部264の裏側の空洞へ貫通する貫通孔265が設けられる。キャップ部263を本体部262に嵌め込むと、球体261の一部が貫通孔265から表出する。
【0095】
図10に示すように、Z方向位置決め部材26は、さらにスペーサー266を有してもよい。本体部262は、スペーサー266を嵌め込むことが可能な凹部269を有してもよい。スペーサー266は、球体261を把持可能に把持部267を有する。球体261は、スペーサー266に把持される。球体261は、スペーサー266を介して本体部262に把持されることができる。
【0096】
ユーザーは、本体部262の凹部269にスペーサー266を取り付け、スペーサー266の把持部267に球体261を嵌め込む。そして、ユーザーは、キャップ部263を本体部262に被せて回転させ、キャップ部263を本体部262に嵌め込み固定する。キャップ部263が本体部262に嵌め込まれると、キャップ部263の貫通孔265から球体261の一部が表出する。
【0097】
図7図9、および図10に示すように、Z方向位置決め部材30およびZ方向位置決め部材31は、Z方向位置決め部材26と同様の構造を有するので、重複する詳細な説明は省略する。
【0098】
Z方向位置決め部材30は、本体部302と、キャップ部303と、スペーサー306と、球体301とを有する。本体部302は、凹部309を有する。キャップ部303は、天井部304と貫通孔305とを有する。スペーサー306は、把持部307を有する。
【0099】
Z方向位置決め部材31は、本体部312と、キャップ部313と、スペーサー316と、球体311とを有する。本体部312は、凹部319を有する。キャップ部313は、天井部314と貫通孔315とを有する。スペーサー316は、把持部317を有する。
【0100】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図11および図12を参照しながら説明する。図11は、本実施形態2に係るヘッドユニット16を示す上面図である。図12は、本実施形態2に係るヘッドユニット16を示す上面図であって、図11の拡大図である。
【0101】
図11は、ヘッドユニット16にインクジェットヘッド15Aを取り付けた態様を示す。ヘッドユニット16は、第1取付台20Aと第2取付台20Bとを有する。インクジェットヘッド15Aは、前側接続部159と後側接続部154とを有する。
【0102】
インクジェットヘッド15Aの前側接続部159は、第2取付台20BのY方向位置決め部材25に回動可能に係止される。インクジェットヘッド15Aの後側接続部154は、第1取付台20AのX方向付勢部材21およびX方向位置決め部材24でX方向に位置決めされる。さらに、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154は、第1取付台20AのY方向付勢部材22と、第2取付台20BのY方向位置決め部材25とにより、Y方向に位置決めされる。
【0103】
さらに、インクジェットヘッド15Aは、前側接続部159側において、Z方向位置決め部材30およびZ方向位置決め部材31により、Z方向に位置決めされる。インクジェットヘッド15Aは、後側接続部154側において、Z方向付勢部材27と、Z方向位置決め部材26とにより、Z方向に位置決めされる。Z方向位置決め部材26としては、Z方向位置決め部材26A、もしくはZ方向位置決め部材26Bが配置される。
【0104】
実施形態2では、図12に示すように、ヘッドユニット16の一端側(後側接続部154側または後側またはY(+)方向)において、Z方向付勢部材27またはZ方向付勢部材27は、X方向付勢部材21またはY方向付勢部材22と、X方向位置決め部材24と、Z方向位置決め部材26とを結ぶ略三角形の範囲に配置される。
【0105】
すなわち、実施形態2では、X方向付勢部材21またはY方向付勢部材22と、X方向位置決め部材24と、Z方向位置決め部材26(26Aまたは26B)とが、XY平面視において、点線で示されるように、略三角形の頂点に配置される。そして、Z方向付勢部材27は、略三角形の範囲に配置される。これは、Z方向付勢部材27が、略三角形で囲まれる範囲と重複する位置に配置されるということである。
【0106】
具体的には、例えば、Z方向付勢部材27の付勢中心272が、略三角形で囲まれる範囲内に配置される。好適には、Z方向付勢部材27の付勢中心272が、三角形の面積重心に配置される。
【0107】
なお、Z方向付勢部材27の付勢中心272とは、Z方向付勢部材27からインクジェットヘッド15Aに加わっている付勢全体の合力が加わっている点である。また、付勢中心272は、構造的には、Z方向付勢部材27とインクジェットヘッド15Aとが接している部分の面積重心である、さらに、付勢中心272は、構造的には、Z方向付勢部材27である締付ビスの軸である。
【0108】
さらにより具体的には、略三角形の頂点となるのは、X方向付勢部材21のうちで、インクジェットヘッド15Aと接している部分である。Y方向付勢部材22、X方向位置決め部材24、およびZ方向位置決め部材26についても同様に、略三角形の頂点となるのは、それらとインクジェットヘッド15Aとが接している部分である。
【0109】
ここで略三角形という名称を用いたのは、各頂点となる部分に大きさがあるためである。略三角形は、より具体的は、より大きな三角形ができるように、頂点となる部分の外側を結んでできる形状である。
【0110】
本実施形態によれば、ヘッドユニット16の第1取付台20Aに対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。ひいては、ヘッドユニット16に対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。
【0111】
構成される三角形の形状が正三角形に近いほど、安定性が増加する。構成される三角形は、底辺に対する高さの比が、いずれの辺を底辺とした場合でも0.5以上2以下になるようにしてもよい。
【0112】
また、三角形の中で、付勢中心は、三角形の面積重心に近いほど、安定性が増加する。面積重心から付勢中心に向かって伸ばして、三角形の辺または頂点に当たるまでの仮想線の長さに対する、面積重心と付勢中心とを結ぶ線の長さの比が、0.5以下のなるようにしてもよい。
【0113】
後側接続部154に配置されるZ方向位置決め部材は、複数でもよい。その場合、それらのうちの一つが上述の条件を満たせばよい。但し、後側接続部154に配置されるZ方向位置決め部材は、一つである方が、安定性が増加する。
【0114】
(実施形態3)
引き続き、図12を参照して、本発明の実施形態3を説明する。Z方向位置決め部材30としては、Z方向位置決め部材30A、もしくはZ方向位置決め部材30Bが配置される。Z方向位置決め部材31としては、Z方向位置決め部材31、もしくはZ方向位置決め部材31Bが配置される。
【0115】
図12に示すように、ヘッドユニット16の他端側(前側接続部159側または前側またはY(-)方向)において、Z方向付勢部材28またはZ方向付勢部材28は、Y方向位置決め部材25と、Z方向位置決め部材30と、Z方向位置決め部材31とを結ぶ三角形の範囲に配置される。
【0116】
実施形態3では、Y方向位置決め部材25と、Z方向位置決め部材30(30Aまたは30B)と、Z方向位置決め部材31(31Aまたは31B)とが、XY平面視において、点線で示されるように、略三角形の頂点に配置される。そして、Z方向付勢部材28は、略三角形の範囲に配置される。これは、Z方向付勢部材28が、略三角形で囲まれる範囲と重複する位置に配置されるということである。
【0117】
具体的には、例えば、Z方向付勢部材28の付勢中心282が、略三角形で囲まれる範囲内に配置される。好適には、Z方向付勢部材28の付勢中心282が、略三角形の面積重心に配置される。
【0118】
なお、Z方向付勢部材28の付勢中心282とは、Z方向付勢部材28からインクジェットヘッド15Aに加わっている付勢全体の合力が加わっている点である。また、付勢中心282は、構造的には、Z方向付勢部材28とインクジェットヘッド15Aとが接している部分の面積重心である、さらに、付勢中心282は、構造的には、Z方向付勢部材27である締付ビスの軸である。
【0119】
さらに、より具体的には、略三角形の頂点となるのは、Y方向位置決め部材25のうちで、インクジェットヘッド15Aと接している部分である。Z方向位置決め部材30、およびZ方向位置決め部材31についても同様に、略三角形の頂点となるのは、それらとインクジェットヘッド15Aとが接している部分である。
【0120】
ここで略三角形という名称を用いたのは、各頂点となる部分に大きさがあるためである。略三角形は、より具体的は、より大きな三角形ができるように、頂点となる部分の外側を結んでできる形状である。
【0121】
本実施形態によれば、ヘッドユニット16の第2取付台20Bに対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。ひいては、ヘッドユニット16に対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。
【0122】
構成される三角形の形状が正三角形に近いほど、安定性が増加する。構成される三角形は、底辺に対する高さの比が、いずれの辺を底辺とした場合でも0.5以上2以下になるようにしてもよい。
【0123】
また、三角形の中で、付勢中心は、三角形の面積重心に近いほど、安定性が増加する。面積重心から付勢中心に向かって伸ばして、三角形の辺または頂点に当たるまでの仮想線の長さに対する、面積重心と付勢中心とを結ぶ線の長さの比が、0.5以下のなるようにしてもよい。
【0124】
前側接続部159に配置されるZ方向位置決め部材は、三つ以上でもよい。その場合、それらのうちの二つが上述の条件を満たせばよい。但し、前側接続部159に配置されるZ方向位置決め部材は、二つである方が、安定性が増加する。
【0125】
(実施形態4)
引き続き、図12を参照して、本発明の実施形態4を説明する。実施形態4では、インクジェットヘッド15Aにおいて、インクジェットヘッド15Aの長手方向(前後方向またはX(+/-)方向)中心から一端側(後側または後側接続部154側またはX(+)方向側)をみたとき、インクジェットヘッド15Aの一端から長手方向中心に向けて、X方向付勢部材21またはY方向付勢部材22、Z方向付勢部材27、Z方向位置決め部材26の順に配置されている。
【0126】
図12に示すように、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154において、ヘッドユニット16の後側から前側に向かって、X方向付勢部材21またはY方向付勢部材22、Z方向付勢部材27、Z方向位置決め部材26(Z方向位置決め部材26B、Z方向位置決め部材26A)の順に配置される。
【0127】
さらに別言すれば、インクジェットヘッド15Aの後側接続部154を、インクジェットヘッド15Aの長手方向(X方向または前後方向)の中心から見たとき、後側接続部154をインク吐出方向(Z(+)方向または上方向)に位置決めするZ方向位置決め部材26およびZ方向付勢部材27が、後側接続部154をXY方向または左右前後方向に位置決めするX方向付勢部材21およびY方向付勢部材22、Z方向付勢部材27、Z方向位置決め部材26(Z方向位置決め部材26AおよびZ方向位置決め部材26B)の順に配列される。
【0128】
本実施形態によれば、ヘッドユニット16の第1取付台20Aに対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。ひいては、ヘッドユニット16に対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。
【0129】
(実施形態5)
引き続き、図12を参照して、本発明の実施形態5を説明する。実施形態5では、ヘッドユニット16は、インクジェットヘッド15の長手方向(Y方向または前後方向)中心から他端側(前側またはX(-)方向側または前側接続部159側)をみたとき、インクジェットヘッド15の他端からインクジェットヘッド15の長手方向中心に向けて、Y方向位置決め部材25、Z方向付勢部材28、Z方向位置決め部材30およびZ方向位置決め部材31の順に配置されている。
【0130】
図12に示すように、インクジェットヘッド15Aの前側接続部159において、ヘッドユニット16の前側から後側に向かって、Y方向位置決め部材25、Z方向付勢部材28、Z方向位置決め部材30(Z方向位置決め部材30B、Z方向位置決め部材30A、Z方向位置決め部材31B、Z方向位置決め部材31A)の順に配置される。
【0131】
さらに別言すれば、インクジェットヘッド15Aの前側接続部159を、インクジェットヘッド15Aの長手方向(X(+/-)方向または前後方向)の中心から見たとき、前側接続部159をインク吐出方向(Z(-)方向または下方向)に位置決めするZ方向位置決め部材30(Z方向位置決め部材30AおよびZ方向位置決め部材30B)、Z方向位置決め部材31(Z方向位置決め部材31AおよびZ方向位置決め部材31B)が、前側接続部159を係止するY方向位置決め部材25よりも手前側に設けられる。
【0132】
本実施形態によれば、ヘッドユニット16の第2取付台20Bに対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。ひいては、ヘッドユニット16に対するインクジェットヘッド15Aの安定性が増加する。
【0133】
(実施形態6)
引き続き、図12を参照して、本発明の実施形態6を説明する。図12に示すように、インクジェットヘッド15Aは、ノズル面158の一部に複数のノズルを有するノズル領域157を有する。
【0134】
実施形態6では、インクジェットヘッド15Aは、ノズルが配置されたノズル領域157を有する。インクジェットヘッド15Aが取付台20に取り付けられたヘッドユニット16をインク吐出方向(Z(-)方向)に見たとき、Z方向位置決め部材26、Z方向位置決め部材30、またはZ方向位置決め部材30のいずれかは、インクジェットヘッド15Aにおいてノズルが配置されたノズル領域157の外部に配置される。
【0135】
すなわち、インクジェットヘッド15Aが取付台20に取り付けられたヘッドユニット16を(ユーザーが)インク吐出方向(Z(-)方向)に見たとき、ヘッドユニット16のZ方向位置決め部材26A、Z方向位置決め部材26B、Z方向位置決め部材30A、Z方向位置決め部材30B、Z方向位置決め部材31A、またはZ方向位置決め部材31Bのいずれかは、インクジェットヘッド15Aのノズル面158であって、ノズル領域157の外部に配置される。
【0136】
本実施形態によれば、インクジェットヘッド15Aを取り付ける際の応力によって、ノズル領域157内で、ノズル面158がンク吐出方向(Z(+/-)方向)に屈曲するような変形が生じ難くなり、印刷精度が向上する。
【0137】
また、Z方向位置決め部材26A、Z方向位置決め部材26B、Z方向位置決め部材30A、Z方向位置決め部材30B、Z方向位置決め部材31A、およびZ方向位置決め部材31Bの設計が容易になり、ひいては、インクジェットヘッド15Aの設計が容易になる。
【0138】
(実施形態7)
次に、図13を参照して、本実施形態7を説明する。図13は、本実施形態8に係るヘッドユニット16に設けられたZ方向位置決め部材26を示す断面図である。
【0139】
実施形態7では、ヘッドユニット16のZ方向位置決め部材26(Z方向位置決め部材26A、Z方向位置決め部材26B)は、球体261を把持する把持部267を有する。把持部267は、球体261を指示するベアリング268を有する。
【0140】
Z方向位置決め部材30(Z方向位置決め部材30A、Z方向位置決め部材30B)は、球体301を把持する把持部307を有する。把持部307は、球体301を指示するベアリング308を有する。
【0141】
Z方向位置決め部材31(Z方向位置決め部材31A、Z方向位置決め部材31B)は、球体311を把持する把持部317を有する。把持部317は、球体311を回動可能に支持するベアリング318を有する。
【0142】
すなわち、図13に示すように、Z方向位置決め部材26は、スペーサー266の把持部267を形成する面に沿って、複数のベアリング268を有する。ベアリング268は、一部を把持部267に埋め込まれている。球体261は、スペーサー266に取り付けられた場合、複数のベアリング268と回動可能に当接する。
【0143】
同様に、Z方向位置決め部材30は、スペーサー306の把持部307を形成する面に沿って、複数のベアリング308を有する。ベアリング308は、一部を把持部307に埋め込まれている。球体301は、スペーサー306に取り付けられた場合、複数のベアリング308と回動可能に当接する。
【0144】
同様に、Z方向位置決め部材31は、スペーサー316の把持部317を形成する面に沿って、複数のベアリング318を有する。ベアリング318は、一部を把持部317に埋め込まれている。球体311は、スペーサー316に取り付けられた場合、複数のベアリング318と回動可能に当接する。
【0145】
本実施形態によれば、図10に示す実施形態1のZ方向位置決め部材26に比べて、さらに球体261とスペーサー266との摩擦力を低減できる。
【0146】
本実施形態によれば、図10に示す実施形態1のZ方向位置決め部材30に比べて、さらに球体301とスペーサー306との摩擦力を低減できる。
【0147】
本実施形態によれば、図10に示す実施形態1のZ方向位置決め部材31に比べて、さらに球体311とスペーサー316との摩擦力を低減できる。
【0148】
また、画像形成装置100において、ユーザーは、インクジェットヘッドをヘッドユニットに対して微調整可能に位置決めできる。
【0149】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、本実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる本実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、ヘッドユニットおよび画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0151】
11 ヘッドセット
16 ヘッドユニット
20 取付台
21 X方向付勢部材
22 Y方向付勢部材
23 スプリング
24 X方向位置決め部材
25 Y方向位置決め部材
26 Z方向位置決め部材
27 Z方向付勢部材
28 Z方向付勢部材
30 Z方向位置決め部材
31 Z方向位置決め部材
32 スプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13