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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電子モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240730BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H05K3/34 505B
H05K1/02 C
H05K3/34 505A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020061204
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021163788
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】清水 卓也
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0103826(US,A1)
【文献】特開2016-143774(JP,A)
【文献】特開2007-173342(JP,A)
【文献】特開2013-004788(JP,A)
【文献】特開2001-308502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 1/02
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板のスルーホール上に、はんだペーストを塗布する第1工程と、
リードを有する第1電子部品と、表面実装用の接続部材を有する第2電子部品とを、前記プリント基板の同じ面に配置する第2工程であって、前記リードを前記スルーホールに挿入して前記第1電子部品を配置し、前記接続部材が前記プリント基板の接続用のランドに接するように前記第2電子部品を配置する、第2工程と、
前記はんだペーストをリフローにより溶融する第3工程と、を含み、
前記第1電子部品の側に位置する前記接続部材の高さは、前記はんだペーストの高さよりも高く、
前記第2工程では、平面視において、前記第2電子部品の少なくとも一部は、前記はんだペーストの一部に重ねられる、電子モジュールの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子モジュールの製造方法であって、
前記第3工程の実施後に、
前記プリント基板が含む2つの面のうちの前記プリント基板の前記第1電子部品が配置されていない側の面に、はんだペーストを塗布した後、前記第1電子部品と対向するように第3電子部品を配置する第4工程と、
前記第4工程で塗布したはんだペーストをリフローにより溶融する第5工程と、をさらに含む、電子モジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電子モジュールの製造方法であって、
前記第1電子部品は、外部機器との接続用のコネクタであり、
前記第3電子部品は、前記プリント基板へのサージ電流の侵入を防ぐための保護素子であり、
前記スルーホールが位置する領域は、当該領域の少なくとも一部の外周縁が前記プリント基板の外周縁に隣接又は接するように位置する、電子モジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の電子モジュールの製造方法であって、
前記第3工程では、前記ランドが位置する領域よりも、前記スルーホールが位置する領域を先に加熱する、電子モジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項の記載の電子モジュールの製造方法であって、
少なくとも前記第1電子部品の側に位置する前記接続部材は、はんだボールである、電子モジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電子モジュールの製造方法であって、
前記はんだボールは、金属コア又は樹脂コアを含む、電子モジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の電子モジュールの製造方法であって、
前記第2電子部品は、平面視において略長方形状のベース部をさらに有し、
前記はんだボールのうち、平面視において前記略長方形状のベース部の2つの角部に各々位置する2つのはんだボールは、金属コア又は樹脂コアを含む、電子モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子モジュールの製造方法及び電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に部品を実装する際、はんだ付けの技術が利用されている。このようなはんだ付けの技術において、スルーホールリフローを利用した技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、プリント基板のスルーホールにはんだペーストを塗布することと、プリント基板のスルーホールに挿入実装型部品のリードを挿入することと、熱源ではんだペーストを加熱することとが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-36176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスルーホールリフローを利用したはんだ付けの技術には、電子モジュールの小型化に関して、改善の余地がある。例えば、従来の技術では、プリント基板に、はんだペーストを塗布する領域を確保することが求められる。従来の技術では、はんだペーストを塗布する領域を確保するために、プリント基板を小型化することが困難となる場合がある。
【0006】
電子モジュールを小型化すれば、その電子モジュールを備える電子機器を小型化することができる。
【0007】
そこで、本開示は、電子モジュールの小型化が可能な、電子モジュールの製造方法及び電子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態に係る電子モジュールの製造方法は、プリント基板のスルーホール上に、はんだペーストを塗布する第1工程と、リードを有する第1電子部品と、表面実装用の接続部材を有する第2電子部品とを、前記プリント基板の同じ面に配置する第2工程であって、前記リードを前記スルーホールに挿入して前記第1電子部品を配置し、前記接続部材が前記プリント基板の接続用のランドに接するように前記第2電子部品を配置する、第2工程と、前記はんだペーストをリフローにより溶融する第3工程と、を含み、前記第1電子部品の側に位置する前記接続部材の高さは、前記はんだペーストの高さよりも高く、前記第2工程では、平面視において、前記第2電子部品の少なくとも一部は、前記はんだペーストの一部に重ねられる。第1電子部品の側のはんだボールの高さがはんだペーストの高さよりも高いことにより、平面視において第2電子部品がはんだペーストに重ねられても、第2電子部品とはんだペーストとの間の絶縁が確保され得る。平面視において第2電子部品をはんだペーストに重ねることにより、プリント基板の面積が小さくなり得る。プリント基板の面積が小さくなることにより、完成品としての電子モジュールが小型化され得る。
【0009】
一実施形態に係る電子モジュールの製造方法において、前記第3工程の実施後に、前記プリント基板が含む2つの面のうちの前記プリント基板の前記第1電子部品が配置されていない側の面に、はんだペーストを塗布した後、前記第1電子部品と対向するように第3電子部品を配置する第4工程と、前記第4工程で塗布したはんだペーストをリフローにより溶融する第5工程と、をさらに含んでもよい。第3電子部品が第1電子部品と対向するように配置することにより、第3電子部品を第1電子部品と対向しないように配置する場合よりも、プリント基板の面積が小さくなり得る。プリント基板の面積が小さくなることにより、完成品としての電子モジュールが小型化され得る。
【0010】
一実施形態に係る電子モジュールの製造方法において、前記第1電子部品は、外部機器との接続用のコネクタであり、前記第3電子部品は、前記プリント基板へのサージ電流の侵入を防ぐための保護素子であり、前記スルーホールが位置する領域は、前記プリント基板の端に位置してもよい。保護素子である第3電子部品がプリント基板の端に配置されることにより、完成品としての電子モジュールにおいて、プリント基板の内部へのサージ電流の侵入をより効果的に防ぐことができる。
【0011】
一実施形態に係る電子モジュールの製造方法において、前記第3工程では、前記ランドが位置する領域よりも、前記スルーホールが位置する領域を先に加熱してもよい。ランドが位置する領域よりも、スルーホールが位置する領域を先に加熱することにより、はんだボールが加熱されるよりも先に、はんだペーストが溶融してスルーホールに流れ込み得る。はんだボールが加熱されるよりも先に、はんだペーストがスルーホールに流れ込むことにより、第3工程の実施中、第2電子部品と、はんだペーストとの間の絶縁がより確実に確保され得る。
【0012】
一実施形態に係る電子モジュールの製造方法において、少なくとも前記第1電子部品の側に位置する前記接続部材は、はんだボールであってもよい。はんだボールの粘度は、はんだペーストの粘度よりも、高粘度であり得る。はんだボールの粘度が高粘度であることにより、第3工程の実施中、はんだボールの高さは、はんだペーストの高さよりも高い高さに維持され得る。第3工程の実施中、はんだボールの高さが、はんだペーストの高さよりも高い高さに維持されることにより、第2電子部品と、はんだペーストとの間の絶縁が確保され得る。
【0013】
一実施形態に係る電子モジュールの製造方法において、前記はんだボールは、金属コア又は樹脂コアを含んでもよい。第3工程の実施中、はんだボールの高さは、はんだボールが金属コア又は樹脂コアを含む場合、はんだペーストの高さよりも、より確実に高い高さに維持され得る。このような構成により、第3工程の実施中、第2電子部品と、はんだペーストとの間の絶縁がより確実に確保され得る。
【0014】
一実施形態に係る電子モジュールの製造方法において、前記第2電子部品は、平面視において略長方形状のベース部をさらに有し、前記はんだボールのうち、平面視において前記略長方形状のベース部の2つの角部に各々位置する2つのはんだボールは、金属コア又は樹脂コアを含んでもよい。このような構成により、第3工程の実施中、第2電子部品と、はんだペーストとの間の絶縁がより確実に確保され得る。
【0015】
幾つかの実施形態に係る電子モジュールは、プリント基板と、プリント基板の同じ面に配置された第1電子部品及び第2電子部品と、を備え、前記第1電子部品と前記第2電子部品との間の距離は、所定長さよりも短く、前記第2電子部品は、所定高さ以上の高さのはんだボールを有する。第1電子部品と第2電子部品との間の距離が所定長さよりも短くなることにより、電子モジュールは、小型化され得る。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、電子モジュールの小型化が可能な、電子モジュールの製造方法及び電子モジュールが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態に係る電子モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
図2】本開示の一実施形態に係る第1電子部品の正面図である。
図3図2に示す第1電子部品の平面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る第2電子部品の正面図である。
図5図4に示す第2電子部品の底面図である。
図6】本開示の一実施形態に係るプリント基板の平面図である。
図7】第1工程の実施後のプリント基板の平面図である。
図8図7に示すプリント基板の側面図である。
図9】第2工程の実施後のプリント基板の平面図である。
図10図9に示すプリント基板の側面図である。
図11】第3工程の実施後のプリント基板の側面図である。
図12】第4工程の実施後のプリント基板の側面図である。
図13】第5工程の実施後のプリント基板の側面図である。
図14】比較例に係る第2工程の実施後のプリント基板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示において「リフロー」とは、例えばリフロー炉に、はんだペーストが塗布されたプリント基板を配置することと、赤外線又は熱風等により、はんだペーストを加熱して溶融することとを含む。
【0019】
本開示において「スルーホールリフロー」とは、電子部品のリードを、はんだペーストが塗布された基板のスルーホールに挿入することと、リフローにより当該はんだペーストを溶融して、当該電子部品を基板に実装することとを含んでよい。
【0020】
本開示において「高さ」とは、プリント基板の厚さ方向のサイズを意味する。
【0021】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。以下の図面に示す構成要素において、同じ構成要素には、同じ符号を付す。
【0022】
(電子モジュールの製造方法)
図1は、本開示の一実施形態に係る電子モジュールの製造方法を示すフローチャートである。電子モジュールの製造方法は、プリント基板にはんだペーストを塗布する第1工程S1と、第1電子部品及び第2電子部品をプリント基板に配置する第2工程S2と、はんだペーストをリフローにより加熱して溶融する第3工程S3とを含む。電子モジュールの製造方法は、第3電子部品をプリント基板に配置する第4工程S4と、第4工程で塗布したはんだペーストをリフローにより加熱して溶融する第5工程S5とをさらに含んでよい。
【0023】
以下、電子モジュールの製造方法に用いられる、第1電子部品、第2電子部品、及びプリント基板について、図2から図6を参照して説明する。
【0024】
<第1電子部品>
図2は、本開示の一実施形態に係る第1電子部品10の正面図である。図3は、図2に示す第1電子部品10の平面図である。
【0025】
図2及び図3に示すような第1電子部品10は、DIP(Dual In-line Package)部品であってよい。第1電子部品10は、スルーホールリフローによって実装可能な部品であってよい。
【0026】
第1電子部品10は、任意の種類の電子部品であってよい。例えば、第1電子部品10は、外部機器との接続用のコネクタであってよい。
【0027】
図2に示すように、第1電子部品10は、本体部11と、少なくとも1つのリード12とを有する。
【0028】
本体部11には、様々の部品が収容されている。本体部11の形状は、略直方体形状であってよい。本体部11は、筐体を含んでよい。本体部11の筐体は、プラスチック製材料又はセラミック製材料等の任意の材料で形成されていてよい。
【0029】
リード12は、金属製材料で形成されていてよい。リード12の一端は、本体部11の底面に固定されている。
【0030】
<第2電子部品>
図4は、本開示の一実施形態に係る第2電子部品20の正面図である。図5は、図4に示す第2電子部品20の底面図である。
【0031】
第2電子部品20は、任意の種類の電子部品であってよい。図4に示すように、第2電子部品20は、ベース部21と、表面実装用の接続部材としてのはんだボール22と、部品23とを有する。第2電子部品20が有する表面実装用の接続部材は、はんだボール22に限定されない。例えば、第2電子部品20が有する表面実装用の接続部材は、表面実装用のスペーサ等であってよい。また、第2電子部品20は、ベース部21及び部品23の代わりに、様々の部品が収容された本体部を有してよい。
【0032】
ベース部21は、板状であってよい。ベース部21の形状は、図5に示すように平面視において、略長方形状であってよい。ベース部21は、第2電子部品の種類に応じた部材であってよい。例えば、ベース部21は、プリント基板であってよい。
【0033】
図4に示すように、はんだボール22は、板状のベース部21に含まれる2つの面のうちの、一方の面に位置する。図5に示すように、はんだボール22は、ベース部21の形状が平面視において略長方形状である場合、ベース部21の4つの角部に位置してよい。ただし、はんだボール22は、少なくともはんだボール22Aを含めばよい。はんだボール22Aは、後述の図10に示すように第2工程S2にて第2電子部品20がプリント基板30に配置された後、第1電子部品10の側に位置するものである。はんだボール22Aは、図5においては、図5の紙面に向かって右側に位置する。
【0034】
はんだボール22の粘度は、高粘度であってよい。例えば、はんだボール22の粘度は、後述の図10に示すような、はんだペースト35の粘度よりも、高粘度であってよい。
【0035】
はんだボール22Aの高さh1は、後述の図10に示すような、はんだペースト35の高さh2よりも高い。例えば、後述のようにはんだペーストの高さh2が0.1mm~0.15mm程度である場合、はんだボール22Aの高さh1は、0.15mmよりも高くてよい。はんだボール22Aのうち、図5に示すような平面視において、略長方形状のベース部21の2つの角部に各々位置する2つのはんだボール22Aのみの高さが、後述のはんだペースト35の高さh2よりも高くてもよい。また、はんだボール22Aの全ての高さが後述のはんだペースト35の高さh2よりも高くてもよいし、はんだボール22の全ての高さが後述のはんだペースト35の高さh2よりも高くてもよい。
【0036】
はんだボール22Aは、銅コア等の金属コア、又は、樹脂コアを含んでよい。はんだボール22Aは、金属コア又は樹脂コアを有する場合、球状の金属コア又は樹脂コアをはんだ層によって覆うことにより、構成されていてよい。はんだボール22Aのうち、図5に示すような平面視において、略長方形状のベース部21の2つの角部に各々位置する2つのはんだボール22Aのみが、金属コア又は樹脂コアを含んでよい。また、はんだボール22Aの全てが金属コア又は樹脂コアを含んでもよいし、はんだボール22の全てが、金属コア又は樹脂コアを含んでよい。
【0037】
部品23は、板状のベース部21の2つの面のうち、はんだボール22が位置しない側の面に、配置されている。部品23は、任意の種類の電子部品であってよい。
【0038】
<プリント基板>
図6は、本開示の一実施形態に係るプリント基板30の平面図である。プリント基板30は、板状である。板状のプリント基板30は、第1面30Aを含む。プリント基板30は、後述の図8に示すように、第2面30Bを含む。第1面30Aと第2面30Bとは、互いに対向する。
【0039】
プリント基板30は、少なくとも1つのスルーホール31と、少なくとも1つの接続用のランド32とを有する。プリント基板30は、第2電子部品20が有する表面実装用の接続部材が表面実装用のスペーサである場合、ランド32の中央に、当該スペーサと嵌合するナットを有してもよい。プリント基板30は、例えば第4工程S4及び第5工程S5が実施される場合、第2面30Bに、後述の図12に示すようなはんだペースト37が塗布されるランドを有してよい。
【0040】
スルーホール31は、プリント基板30を貫通する。スルーホール31は、第1面30Aから第2面30Bまで延在する。プリント基板30は、第2面30Bの、スルーホール31の周りに、接続用のランドを有してよい。第2面30Bのスルーホール31の周りのランドには、後述の図13に示すような、はんだ36が接合し得る。
【0041】
スルーホール31には、後述の第2工程S2において、第1電子部品10のリード12が挿入される。スルーホール31のサイズ及び配置間隔は、第1電子部品10のリード12のサイズ及び配置間隔に応じて、適宜決定されてよい。後述の第2工程S2において、スルーホール31が位置する領域には、第1電子部品10が配置される。以下、第1電子部品が配置される領域は、「第1領域33」とも記載される。第1領域33のプリント基板30における位置は、第1電子部品10の用途に応じて、適宜決定されてよい。例えば第1電子部品10が外部機器との接続用のコネクタである場合、第1領域33は、図6に示すような平面視において、第1領域33の少なくとも一部の外周縁がプリント基板30の外周縁に隣接又は接するように、位置してよい。換言すると、後述の第2工程S2の実施後、後述の図10に示すような側面視において、第1電子部品10の一部がプリント基板30の端面に隣接又は接触するように、第1領域33は、位置してよい。
【0042】
ランド32には、後述の第2工程S2において、第2電子部品20のはんだボール22が配置される。ランド32のサイズ及び配置間隔は、第2電子部品20のはんだボール22のサイズ及び配置間隔に応じて、適宜決定されてよい。後述の第2工程S2において、ランド32が位置する領域には、第2電子部品20が配置される。以下、ランド32が位置する領域は、「第2領域34」とも記載される。第2領域34のプリント基板30における位置は、第2電子部品20の用途に応じて、適宜決定されてよい。
【0043】
<第1工程>
第1工程S1では、図7に示すように、プリント基板30の第1面30Aのスルーホール31上に、はんだペースト35が塗布される。はんだペースト35は、第1面30A上の、スルーホール31を含むソルダーレジスト上の所定領域に、塗布されてよい。はんだペースト35は、後述の第3工程S3において溶融されることにより、スルーホール31の中に流れ込む。はんだペースト35は、後述の第3工程S3においてスルーホール31の中に流れ込むことにより、スルーホール31と第1電子部品10のリード12とを電気的に接続する。
【0044】
第1工程S1では、はんだペースト35は、メタルマスクを介して、第1領域33のスルーホール31上に塗布されてよい。はんだペースト35がメタルマスクを介して塗布される場合、はんだペースト35の形状は、メタルマスクの開口部の形状に応じた形状になり得る。例えば、平面視において、メタルマスクの開口部の形状が略長方形である場合、はんだペースト35の形状は、略長方形となり得る。平面視において、はんだペースト35は、はんだペースト35の長手方向の中点がスルーホール31上に位置するように、塗布されてよい。各スルーホール31上のはんだペースト35は、互いに離れている。
【0045】
図8に示すような、はんだペースト35の高さh2は、メタルマスクの開口部の高さによって決まり得る。はんだペースト35の高さh2は、メタルマスクの開口部の高さと同程度になり得る。一般的なメタルマスクの開口部の高さは、0.1mm~0.15mm程度である。一般的メタルマスクを介してはんだペースト35が塗布される場合、はんだペースト35の高さh2は、0.1mm~0.15mm程度になり得る。
【0046】
<第2工程>
第2工程S2では、図9及び図10に示すように、第1電子部品10及び第2電子部品20がプリント基板30の同じ第1面30Aに配置される。
【0047】
第1電子部品10は、図2に示すようなリード12を図6に示すようなスルーホール31に挿入して、配置される。図9に示すように、平面視において、はんだペースト35の一部は、第1電子部品10の本体部11から、長さLだけ、はみ出し得る。
【0048】
第2電子部品20は、図4に示すようなはんだボール22が、図7に示すようなランド32に接するように、配置される。
【0049】
第2工程S2では、図9に示すような平面視において、第2電子部品20の少なくとも一部は、はんだペースト35の一部に重ねられる。例えば、平面視において、第2電子部品20のベース部21の一部が、はんだペースト35の一部に重ねられてよい。図10に示すように、第1電子部品10の側のはんだボール22Aの高さh1は、はんだペースト35の高さh2よりも高い。はんだボール22Aの高さh1がはんだペースト35の高さh2よりも高いことにより、図9に示すように、平面視において第2電子部品20がはんだペースト35に重ねられても、第2電子部品20とはんだペースト35との間の絶縁が確保され得る。平面視において第2電子部品20をはんだペースト35に重ねることにより、プリント基板30の面積が小さくなり得る。プリント基板30の面積が小さくなることにより、完成品としての電子モジュールが小型化され得る。
【0050】
<第3工程>
第3工程S3では、リフローが実施される。第3工程S3では、図10に示すようなプリント基板30の第1面30Aが、リフローにより加熱される。
【0051】
第3工程S3では、はんだペースト35がリフローにより加熱されて溶融される。はんだペースト35は、溶融されることにより、スルーホール31に流れ込む。スルーホール31に流れ込んだはんだペースト35の一部は、第2面30Bに到達して、第2面30Bのスルーホール31の周りのランドに付着し得る。スルーホール31に流れ込んだはんだペースト35は、冷やされて硬化されることにより、図11に示すような、はんだ36となり得る。はんだ36は、スルーホール31と第1電子部品10のリード12とを電気的に接続する。
【0052】
第3工程S3では、はんだボール22もリフローにより加熱される。はんだボール22は、加熱されることにより、図7に示すようなランド32に接合される。
【0053】
第3工程S3の実施中、はんだボール22の高さは、はんだボール22が加熱されることにより、第3工程S3の実施前の高さh1よりも、低くなり得る。上述のように、はんだボール22の粘度は、はんだペースト35の粘度よりも、高粘度であり得る。はんだボール22の粘度が高粘度であることにより、第3工程S3の実施中、はんだボール22の高さは、高さh1よりも低くなっても、図10に示すような、はんだペースト35の高さh2よりも高い高さに維持され得る。第3工程S3の実施中、はんだボール22の高さが、はんだペースト35の高さh2よりも高い高さに維持されることにより、第2電子部品20と、はんだペースト35との間の絶縁が確保され得る。従って、上述の第2工程S2にて図9に示すように平面視において第2電子部品20の一部をはんだペースト35の一部に重ねても、第3工程S3の実施中、第2電子部品20と、はんだペースト35との間の絶縁が確保され得る。
【0054】
ここで、図9に示すように平面視において、第2電子部品20では、主に、はんだペースト35側のベース部21の端部がはんだペースト35に重なり得る。そこで、上述のように、はんだボール22Aのうち、図5に示すような略長方形状のベース部21の2つの角部に各々位置する2つのはんだボール22Aのみの高さが、はんだペースト35の高さh2よりも高くてもよい。この場合、第3工程S3の実施中、当該ベース部21の2つの角部に各々位置する2つのはんだボール22Aの高さが、図10に示すような、はんだペースト35の高さh2よりも高い高さに維持され得る。当該ベース部21の2つの角部に各々位置する2つのはんだボール22Aの高さが、はんだペースト35の高さh2よりも高い高さに維持されることにより、はんだペースト35側のベース部21の端部が、はんだペースト35に接触する可能性が低減され得る。はんだペースト35側のベース部21の端部が、はんだペースト35に接触する可能性が低減されることにより、第2電子部品20と、はんだペースト35との間の絶縁が確保され得る。
【0055】
第3工程S3の実施中、はんだボール22Aの高さは、はんだボール22Aが金属コア又は樹脂コアを含む場合、少なくとも金属コア又は樹脂コアの高さに維持され得る。はんだボール22Aの高さは、少なくとも金属コア又は樹脂コアの高さに維持されるため、図10に示すような、はんだペースト35の高さh2よりも、より確実に高い高さに維持され得る。このような構成により、第3工程S3の実施中、第2電子部品20と、はんだペースト35との間の絶縁がより確実に確保され得る。
【0056】
ここで、図9に示すように平面視において、第2電子部品20では、主に、はんだペースト35側のベース部21の端部がはんだペースト35に重なり得る。そこで、上述のように、はんだボール22Aのうち、図5に示すような略長方形状のベース部21の2つの角部に各々位置する2つのはんだボール22Aのみが、金属コア又は樹脂コアを含んでもよい。この場合、第3工程S3の実施中、当該ベース部21の2つの角部に位置する2つのはんだボール22Aの高さが、少なくとも金属コア又は樹脂コアの高さに維持され得る。当該ベース部21の2つの角部に各々位置する2つのはんだボール22Aの高さは、少なくとも金属コア又は樹脂コアの高さに維持されることにより、図10に示すような、はんだペースト35の高さh2よりも、より確実に高い高さに維持され得る。このような構成により、はんだペースト35側のベース部21の端部が、はんだペースト35に接触する可能性が低減され得る。はんだペースト35側のベース部21の端部が、はんだペースト35に接触する可能性が低減されることにより、第2電子部品20と、はんだペースト35との間の絶縁が確保され得る。
【0057】
第3工程S3では、リフローにより図7に示すような第1面30Aを加熱する際、ランド32が位置する領域よりも、スルーホール31が位置する領域を先に、加熱してもよい。例えば、第3工程S3では、第1面30Aを加熱する際、第2領域34よりも第1領域33を先に加熱してもよい。例えば第1領域33を第2領域34よりも先に加熱することにより、はんだボール22が加熱されるよりも先に、はんだペースト35が溶融してスルーホール31に流れ込み得る。はんだボール22が加熱されるよりも先に、はんだペースト35がスルーホール31に流れ込むことにより、第3工程S3の実施中、第2電子部品20とはんだペースト35とが接触する可能性が低減され得る。第2電子部品20とはんだペースト35とが接触する可能性が低減されることにより、第2電子部品20と、はんだペースト35との間の絶縁がより確実に確保され得る。
【0058】
第3工程S3では、リフローにより図7に示すような第1面30Aを加熱する際、ランド32が位置する領域を加熱する温度の方が、スルーホール31が位置する領域を加熱する温度よりも、高くてもよい。例えば、第3工程S3では、第1面30Aを加熱する際、第2領域34を加熱する温度の方が、第1領域33を加熱する温度よりも高くてもよい。このような構成により、上述と同様に、はんだボール22が加熱されるよりも先に、はんだペースト35が溶融してスルーホール31に流れ込み得る。上述と同様に、はんだボール22が加熱されるよりも先に、はんだペースト35がスルーホール31に流れ込むことにより、第2電子部品20とはんだペースト35とが接触する可能性が低減され得る。上述と同様に、第2電子部品20と、はんだペースト35との間の絶縁がより確実に確保され得る。
【0059】
<第4工程>
第4工程S4では、図11に示すような第3工程S3の実施後のプリント基板30の上下を反転させる。第4工程S4では、図12に示すように、プリント基板30に含まれる第1面30A及び第2面30Bのうちの、第1電子部品10が配置されていない側の第2面30Bに、はんだペースト37が塗布される。はんだペースト37は、第2面30B上のランドに塗布されてよい。はんだペースト37は、メタルマスクを介して、塗布されてよい。第4工程S4では、はんだペースト37を塗布した後、はんだペースト37上に、第3電子部品40が配置される。
【0060】
第3電子部品40は、第2面30Bにおいて、第1電子部品10と対向するように、配置されてよい。第3電子部品40が第1電子部品10と対向するように配置することにより、第3電子部品40を第1電子部品10と対向しないように配置する場合よりも、プリント基板30の面積が小さくなり得る。プリント基板30の面積が小さくなることにより、完成品としての電子モジュールが小型化され得る。
【0061】
第3電子部品40は、任意の種類の電子部品であってよい。例えば、第3電子部品40は、チップインダクタ、チップコンデンサ、ダイオード、又はチップ抵抗等であってよい。第3電子部品40は、プリント基板30へのサージ電流の侵入を防ぐための保護素子であってよい。
【0062】
第3電子部品40がプリント基板30へのサージ電流の侵入を防ぐための保護素子であり、第1電子部品10が外部機器との接続用のコネクタである場合、第3電子部品40は、第1電子部品10とともに、プリント基板30の端に配置されてよい。保護素子である第3電子部品40がプリント基板30の端に配置されることにより、完成品としての電子モジュールにおいて、プリント基板30の内部へのサージ電流の侵入をより効果的に防ぐことができる。
【0063】
<第5工程>
第5工程S5では、リフローが実施される。第5工程S5では、図12に示すようなプリント基板30の第2面30Bが、リフローにより加熱される。
【0064】
第5工程S5では、図12に示すような第4工程S4にて塗布された、はんだペースト37がリフローにより溶融される。溶融したはんだペースト37は、冷やされて硬化されることにより、図13に示すような、はんだ38となり得る。
【0065】
このように本実施形態に係る電子モジュールの製造方法によれば、第2工程S2では、図9に示すように、平面視において第2電子部品20の少なくとも一部は、はんだペースト35の一部に重ねられる。はんだボール22Aの高さh1がはんだペースト35の高さh2よりも高いことにより、上述のように、第2電子部品20とはんだペースト35との間の絶縁が確保され得る。このような構成により、プリント基板30の面積が小さくなり、完成品としての電子モジュールが小型化され得る。
【0066】
さらに、本実施形態では、第1電子部品10として、スルーホールリフローによって実装可能な部品を採用することができる。第1電子部品10がスルーホールリフローによって実装可能な部品であることにより、以下に説明するように、図12に示すような第3電子部品40を、第1電子部品10と対向するようにプリント基板30の第2面30Bに配置させることができる。
【0067】
例えば、第1電子部品10をはんだフローによってプリント基板30に実装する場合を考える。はんだフローでは、溶融したはんだを、図10に示すようなプリント基板30の第2面30B側から、リード12に付着させることが求められる。この際、はんだフローでは、溶融したはんだが、例えば2つのリード12の間といった、第2面30Bのリード12を除く他の部分に付着する場合がある。溶融したはんだが、第2面30Bのリード12を除く他の部分に付着すると、第2面30Bに、第3電子部品40を配置させることが困難となり得る。
【0068】
これに対し、第1電子部品10がスルーホールリフローによって実装されることにより、第2面30Bのリード12を除く他の部分に、はんだが付着する可能性が低減され得る。このような構成により、図12に示すような第3電子部品40を、第1電子部品10と対向するようにプリント基板30の第2面30Bに配置させることができる。
【0069】
(電子モジュールの製造方法の他の例)
本開示の電子モジュールの製造方法における第1工程S1~第5工程S5の実施順序は、第1工程S1、第2工程S2、第3工程S3、第4工程S4、及び第5工程S5の順序に限定されない。他の例として、以下に説明するように、電子モジュールの製造方法における第1工程S1~第5工程S5の実施順序は、第4工程S4、第5工程S5、第1工程S1、第2工程S2、及び第3工程S3の順序であってよい。他の例では、第1工程S1~第3工程S3よりも先に、第4工程S4及び第5工程S5が実施される。換言すると、他の例では、図11に示すようなはんだ36が形成されるよりも先に、第4工程S4及び第5工程S5が実施される。このような構成により、第5工程S5にて、はんだ36が溶けてしまう可能性が低減され得る。
【0070】
<第4工程>
他の例に係る第4工程S4では、図12に示すような、プリント基板30の第2面30Bに、はんだペースト37が塗布される。上述と同様に、はんだペースト37は、メタルマスクを介して、塗布されてよい。他の例に係る第4工程でも、上述と同様に、はんだペースト37を塗布した後、はんだペースト37上に、第3電子部品40が配置される。
【0071】
他の例に係る第4工程S4では、第3電子部品40は、第2面30Bにおいて、図6に示すような第1面30Aの第1領域33と対向するように、配置される。
【0072】
<第5工程>
他の例に係る第5工程S5でも、上述と同様に、図12に示すようなプリント基板30の第2面30Bがリフローにより加熱される。他の例に係る第5工程S5でも、上述と同様に、第4工程S4にて塗布されたはんだペースト37がリフローにより溶融される。溶融したはんだペースト37は、硬化されることにより、図13に示すような、はんだ38となり得る。
【0073】
<第1工程>
他の例に係る第1工程S1では、第5工程S5の実施後の図12に示すようなプリント基板30の上下を反転させる。他の例に係る第1工程S1でも、図7及び図8を参照して上述したように、はんだペースト35が、プリント基板30の第1面30Aのスルーホール上に塗布される。他の例に係る第1工程S1でも、上述と同様に、はんだペースト35は、メタルマスクを介して塗布されてよい。
【0074】
<第2工程>
他の例に係る第2工程S2でも、図9及び図10を参照した上述したように、第1電子部品10及び第2電子部品20がプリント基板30の同じ第1面30Aに配置される。
【0075】
<第3工程>
他の例に係る第3工程S3でも、図10及び図11を参照して上述したように、プリント基板30の第1面30Aがリフローにより加熱される。上述したように、第1面30Aがリフローにより加熱されることにより、はんだペースト35は、溶融されてスルーホール31に流れ込み得る。上述したように、はんだペースト35は、硬化されることにより、図11に示すような、はんだ36となり得る。また、上述したように、第1面30Aがリフローにより加熱されることにより、はんだボール22は、図7に示すようなランド32に接合される。
【0076】
他の例に係る電子モジュールの製造方法の他の効果及び構成は、上述した電子モジュールの製造方法と同様である。
【0077】
(電子モジュールの構成)
図13は、第5工程S5の実施後のプリント基板30の側面図である。電子モジュール1は、第1電子部品10と、第2電子部品20と、プリント基板30と、第3電子部品40とを備える。第2電子部品20のリード12は、はんだ36によって、図6に示すようなプリント基板30のスルーホール31に電気的に接続されている。第2電子部品20のはんだボール22は、図6に示すような、プリント基板30のランド32に接合されている。
【0078】
第1電子部品10と第2電子部品20との間の距離D1は、図9に示すような長さL(所定長)さよりも短い。長さLは、はんだペースト35が本体部11からはみ出す長さである。上述の第2工程S2にて図9に示すように平面視において第2電子部品20の一部がはんだペースト35の一部に重ねられることにより、距離D1は、長さLよりも短くなり得る。距離D1が長さLよりも短くなることにより、電子モジュール1は、小型化され得る。
【0079】
ここで、長さLは、第1工程S1にて塗布された1つ当たりのはんだペースト35の量Vと、第1工程S1にて用いられたメタルマスクの1つ当たりの開口部の形状と、図9に示すような本体部11とスルーホール31との間の距離dとによって決まり得る。例えば、長さLは、数式(1)によって表され得る。
L=(Vs/Mh/Mw)/2-d (1)
数式(1)において、高さMhは、メタルマスクの1つ当たりの開口部の高さである。幅Mwは、メタルマスクの1つ当たりの開口部の幅である。
【0080】
例えば、数式(1)において、はんだペースト35の量Vが、以下の数式(2)の算出例のように、1.84mmであるとする。また、メタルマスクの開口部の高さMhが0.15mmであり、メタルマスクの開口部の幅Mwが2.4mmであり、距離dが1.4mmであるとする。この場合、長さLは、1.15mmとなり得る。
【0081】
例えば、数式(1)において、はんだペースト35の量Vが、以下の数式(3)の算出例のように、1.75mmであるとする。また、メタルマスクの開口部の高さMhが0.15mmであり、メタルマスクの開口部の幅Mwが2.4mmであり、距離dが1.4mmであるとする。この場合、長さLは、1.03mmとなり得る。
【0082】
はんだペーストの量Vsは、1つ当たりのスルーホール31の容積Vと、メタルマスクの1つ当たりの開口部の容積Vとの和とみなされてよい。この場合、はんだペーストの量Vは、以下の数式(2)によって表され得る。
Vs=V+V (2)
【0083】
例えば、数式(2)において、容積Vが0.27mmであり、容積Vが1.57mmである場合、量Vsは、1.84mmとなる。
【0084】
はんだペーストの量Vsは、はんだ38の量V3と、はんだペースト35に含まれる樹脂成分(フラックス)のパーセンテージPとによって算出されてもよい。はんだ38の量V3は、スルーホール31の長さA及び半径Rと、第1電子部品10のリード12の長さB及び半径Rと、第2面30Bのランドの半径Rとによって算出されてもよい。この場合、はんだペーストの量Vは、以下の数式(3)によって表され得る。
Vs=[(R -R )×A×π+{R ×(B-A)×π/3}]
×100/(100-P) (3)
数式(3)において、{(R -R )×A}の項は、スルーホール31内のはんだ38の量に対応し得る。{R ×(B-A)/3}の項は、第2面30Bに付着したはんだ38の量に対応し得る。数式(3)では、第2面30Bに付着したはんだ38の形状は、フィレット形状であると仮定している。πは、円周率である。また、スルーホール31の長さAは、プリント基板30の厚さと同じである。
【0085】
例えば、数式(3)において、長さAが1.6mmであり、半径Rが0.5mmであり、長さBが2mmであり、半径Rが0.35mmであり、半径Rが0.75mmであるとする。また、円周率πが3.14であり、パーセンテージPが50%であるとする。この場合、はんだペースト35の量Vsは、1.75mmとなる。
【0086】
電子モジュール1では、第3電子部品40が第2面30Bにおいて第1電子部品10と対向するように、配置されている。つまり、第3電子部品40と第1電子部品10とは、プリント基板30を介して対向している。第3電子部品40が第1電子部品10と対向するように配置されることにより、上述のように、第3電子部品40が第1電子部品10と対向しないように配置される場合よりも、プリント基板30の面積が小さくなり得る。
【0087】
電子モジュール1では、はんだボール22Aの高さh3は、所定高さ以上になり得る。所定高さは、第1工程S1にて用いられたメタルマスクの開口部の高さ程度であってよい。上述のように、図10に示すような第3工程S3の実施前のはんだボール22Aの高さh1は、はんだペースト35の高さh2よりも高い。このような構成により、第3工程S3の実施中にはんだボール22Aの高さが低くなっても、第3工程S3の実施後のはんだボール22Aの高さh3は、ペースト35の高さh2以上すなわちメタルマスクの開口部の高さ以上となり得る。上述のように、第1工程S1にて用いられる一般的なメタルマスクの開口部の高さは、0.1mm~0.15mm程度である。そのため、所定高さは、0.1mm~0.15mm程度になり得る。この場合、はんだボール22Aの高さh3は、0.1mm~0.15mmよりも高くなり得る。また、はんだボール22Aの高さh3は、図10に示すような第3工程S3の実施前のはんだボール22Aの高さh1と、図3に示すようなランド32の直径とによって求められ得る。
【0088】
(比較例に係る電子部品)
図14は、比較例に係る第2工程S2の実施後のプリント基板30の平面図である。図14に示す構成は、図10に示す構成に相当し得る。
【0089】
比較例に係る第2工程S2では、第2電子部品20Xがプリント基板30に配置される。第2電子部品20Xは、はんだボール22Xを有する。はんだボール22Xの高さhxは、はんだペースト35の高さh2と同程度である。
【0090】
比較例に係る第2工程S2では、はんだボール22Xの高さhxが高さh2と同程度である。そのため、第2電子部品20がはんだペースト35に重ならないように、第2電子部品20を配置させないと、第2電子部品20のベース部21に、はんだペースト35が付いてしまう場合がある。つまり、比較例に係る第2工程S2では、第2電子部品20がはんだペースト35に重ならないように、第2電子部品20を配置させる必要がある。そのため、第2電子部品20と第1電子部品10との間の距離は、距離D2となり得る。距離D2は、図9に示すような長さLよりも長い。
【0091】
これに対し、図13に示すように本実施形態に係る電子モジュール1では、第1電子部品10と第2電子部品20との間の距離D1は、所定長さとしての図9に示すような長さLよりも短い。このような構成により、上述のように、電子モジュール1が、小型化され得る。電子モジュール1が小型化されることにより、電子モジュール1を備える電子機器も小型化され得る。
【0092】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0093】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 電子モジュール
10 第1電子部品
11 本体部
12 リード
20 第2電子部品
21 ベース部
22,22A はんだボール
23 部品
30 プリント基板
30A 第1面
30B 第2面
31 スルーホール
32 ランド
33 第1領域
34 第2領域
35,37 はんだペースト
36,38 はんだ
40 第3電子部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14