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特許7528534口腔用器具カバーの装着方法及び包装用袋
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】口腔用器具カバーの装着方法及び包装用袋
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240730BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20240730BHJP
   A61C 19/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61B5/00 F
B65D83/08 F
A61C19/06 Z
A61B5/00 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020090566
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2020195776
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2019102684
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】志牟田 亨
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/028359(WO,A1)
【文献】特表2015-504826(JP,A)
【文献】国際公開第2019/093240(WO,A1)
【文献】特表2007-506494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/398
A61B 1/00- 1/32
A61C 19/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にセンサ部又はエネルギー照射部を備える先端部と前記先端部が接続された把持部とを有する口腔用器具に、前記先端部を覆う袋状のカバーを装着する、口腔用器具カバーの装着方法であって、
前記カバーは、前記口腔用器具を挿入する挿入口を有する袋状であり、前記カバーの上面には前記挿入口を開くための支持部を備えており、
前記支持部は前記挿入口よりも前記口腔用器具の把持部側の外側に突出しており、
前記カバーは包装用袋に収納されており、
前記包装用袋は一方主面に前記カバーを取り出すための開口部を備えており、
前記開口部の幅は前記カバーの幅より狭く、前記口腔用器具の先端部の幅よりも広く、
前記開口部から前記カバーの前記支持部の一部が露出しており、
前記口腔用器具カバーの装着方法は、
前記支持部の一部を持ち上げることにより前記カバーの挿入口を開き、
前記挿入口に前記口腔用器具の先端部を挿入して前記口腔用器具の前記先端部を前記カバーで覆い、
前記口腔用器具を前記カバーと共に前記包装用袋の前記開口部から取り出すことを特徴とする、口腔用器具カバーの装着方法。
【請求項2】
前記包装用袋の幅Wと、前記包装用袋の開口部の幅Wと、カバーの幅Wとが、下記関係式(1)を満たす請求項1に記載の口腔用器具カバーの装着方法。
<2×W-W (1)
【請求項3】
前記カバーの挿入口を開く前に、前記支持部の一部を把持し、前記カバーを手前に引き出して、前記カバーの挿入口が前記包装用袋の前記開口部に位置するようにする請求項1又は2に記載の口腔用器具カバーの装着方法。
【請求項4】
前記口腔用器具の先端をカバーに挿入し、前記先端部をカバーで覆った後に、前記口腔用器具を前記カバーと共に手前に引き出すことにより前記口腔用器具を前記カバーと共に前記包装用袋の前記開口部から取り出す請求項1~3のいずれかに記載の口腔用器具カバーの装着方法。
【請求項5】
前記口腔用器具の先端をカバーに挿入し、前記先端部をカバーで覆った後に、前記口腔用器具を前記カバーと共に上方に引き上げることにより前記口腔用器具を前記カバーと共に前記包装用袋の前記開口部から取り出す請求項1~3のいずれかに記載の口腔用器具カバーの装着方法。
【請求項6】
前記カバーの底面に保護シートが設けられている請求項1~5のいずれかに記載の口腔用器具カバーの装着方法。
【請求項7】
前記包装用袋の前記開口部の長手方向の長さは、前記カバーの袋状部分であるカバー部材の長手方向の長さの90%以上である請求項1~6のいずれかに記載の口腔用器具カバーの装着方法。
【請求項8】
前記包装用袋の前記開口部の長手方向の長さは、前記カバーの袋状部分であるカバー部材の長手方向の長さと前記支持部の長手方向の長さの合計の90%以上、110%以下である請求項1~7のいずれかに記載の口腔用器具カバーの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用器具カバーの装着方法及び包装用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定者が手で保持して対象物を測定する測定器として、例えば口腔内水分測定器がある(例えば、特許文献1参照)。この口腔内水分測定器は、静電容量式のセンサを有し、そのセンサを測定部位に押し当て、対象物(口腔内)の水分量を測定する。このような口腔内水分測定器では、センサの測定面が対象物に直接触れないよう、センサの測定面を覆うようにカバーが装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2004/028359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、口腔用器具の先端部であるセンサ部を袋状のカバーで覆うことが記載されている。特許文献1における袋状のカバーは、一端が開口可能な袋状をなしている。
このようなカバーを口腔用器具の先端部に装着する場合、使用時に口腔内に触れる部分には作業者の手を触れないことが衛生面の観点から必要である。
そして、カバーの装着作業時には、袋の一端を開口してそこに口腔用器具の先端部を挿入するため、袋の開口を片手で、使用時に口腔に触れる部分に手が触れないようにして行う必要があり、カバーの装着作業の作業性が必ずしも良好とはいえなかった。
【0005】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、カバーを口腔用器具の先端部に装着する際に、使用時に口腔内に触れる部分には作業者の手を触れる必要がなく、カバーの装着作業の作業性に優れた、口腔用器具カバーの装着方法、及び、当該方法に使用することのできる、口腔用器具カバーを包装する包装用袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の口腔用器具カバーの装着方法は、先端にセンサ部又はエネルギー照射部を備える先端部と上記先端部が接続された把持部とを有する口腔用器具に、上記先端部を覆う袋状のカバーを装着する、口腔用器具カバーの装着方法であって、上記カバーは、上記口腔用器具を挿入する挿入口を有する袋状であり、上記カバーの上面には上記挿入口を開くための支持部を備えており、上記カバーは包装用袋に収納されており、上記包装用袋は一方主面に上記カバーを取り出すための開口部を備えており、上記開口部の幅は上記カバーの幅より狭く、上記口腔用器具の先端部の幅よりも広く、上記開口部から上記カバーの上記支持部の一部が露出しており、上記口腔用器具カバーの装着方法は、上記支持部の一部を持ち上げることにより上記カバーの挿入口を開き、上記挿入口に上記口腔用器具の先端部を挿入して上記口腔用器具の上記先端部を上記カバーで覆い、上記口腔用器具を上記カバーと共に上記包装用袋の上記開口部から取り出すことを特徴とする。
【0007】
本発明の包装用袋の第1の態様は、先端にセンサ部又はエネルギー照射部を備える先端部と上記先端部が接続された把持部とを有する口腔用器具の、上記先端部を覆う袋状のカバーを包装する包装用袋であって、上記包装用袋は一方主面に上記カバーを取り出すための開口部を備えており、上記開口部の幅は上記カバーの幅より狭く、上記口腔用器具の先端部の幅よりも広いことを特徴とする。
【0008】
本発明の包装用袋の第2の態様は、先端にセンサ部又はエネルギー照射部を備える先端部と上記先端部が接続された把持部とを有する口腔用器具の、上記先端部を覆う袋状のカバーを包装する包装用袋であって、上記包装用袋は一方主面に上記カバーを取り出すための開口部を形成するためのミシン目を備えており、上記ミシン目によって規定される開口部の幅は上記カバーの幅より狭く、上記口腔用器具の先端部の幅よりも広いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用時に口腔内に触れる部分には作業者の手を触れることなく、包装用袋に収納されたカバーを作業性よく口腔用器具の先端部に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、口腔用器具のセンサ部にカバーを装着した状態を模式的に示す斜視図である。
図2図2(a)は、包装用袋の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は開口部を形成するためのミシン目を備える包装用袋の一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、包装用袋内にカバーが収納された場合の例を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、口腔用器具、カバー及び包装用袋の各部位の幅の関係を示す上面図である。
図8図8(a)は保護シートを有するカバーの一例を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、包装用袋内にカバーが収納された場合の例を模式的に示す斜視図である。
図10図10は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
図11図11は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
図12図12は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
図13図13(a)は保護シートを有するカバーの別の一例を模式的に示す斜視図であり、図13(b)は保護シートを有するカバーのさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。
図14図14は、口腔用器具、カバー及び包装用袋の各部位の幅の関係を示す上面図である。
図15図15は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図16図16は、図15に示す包装用袋のA-A線断面図である。
図17図17は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図18図18は、図17に示す包装用袋のB-B線断面図である。
図19図19は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図20図20は、図19に示す包装用袋のC-C線断面図である。
図21図21は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図22図22は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図23図23は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の口腔用器具カバーの装着方法、及び、本発明の包装用袋について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の口腔用器具カバーの装着方法の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態で使用する口腔用器具、カバー及び包装用袋について説明する。
口腔用器具は、先端にセンサ部又はエネルギー照射部を備える先端部と先端部が接続された把持部とを有する。
口腔用器具の先端部がセンサ部である場合、センサ部にはセンサが設けられる。センサは例えば静電容量式のセンサである。この場合、口腔用器具は静電容量の変化により測定対象及びその表面の水分量を測定することができる。
なお、センサ部には、カメラなど撮像部も含まれる。
【0014】
また、口腔用器具の先端部がエネルギー照射部である場合、エネルギー照射部はキセノン光などの光、遠赤外線、放射線などの電磁波、熱、振動などのエネルギーを照射することができる。この場合、口腔用器具は例えば口腔内の治療器具として利用することができる。
【0015】
以下には、口腔用器具の先端部がセンサ部である場合を例にして、本発明の口腔用器具カバーの装着方法について説明する。口腔用器具の先端部がエネルギー照射部であっても、口腔用器具カバーを装着する方法は口腔用器具の先端部がセンサ部である場合と同様である。
【0016】
図1は、口腔用器具のセンサ部にカバーを装着した状態を模式的に示す斜視図である。
口腔用器具10は、測定対象として例えば口腔内の水分量を測定する口腔内水分測定器である。この口腔用器具10は、口腔用器具10の長手方向の一端部領域の把持部11と、口腔用器具10の長手方向の他端部領域の先端部としてのセンサ部12とを有している。
センサ部12は、口腔用器具の先端に位置する測定部13と、その測定部13を把持部11に接続する連結部14とを備えている。
【0017】
口腔用器具10のセンサ部12には、センサ部12を覆う袋状のカバー41が装着される。カバー41は、カバー部材50と、支持部材60とを備えている。
カバー41は、カバー部材50と支持部材60が別部材であり、カバー部材50と支持部材60が組み合わせられた形状のカバーである。
支持部材60が、挿入口を開くための支持部に相当する。
また、カバー41には口腔用器具を挿入する挿入口70が設けられていて、図1では挿入口70に口腔用器具10を挿入した状態を示している。
カバー部材50は、カバー41の袋状部分であり、第1シート材51と、第1シート材51の端部に接続された第2シート材52とを有して袋状に形成された、マチ無し平袋である。第1シート材51と第2シート材52とは、例えば溶着により互いに接続されていればよい。
また、カバー部材50は、例えば1枚のシート材を2つ折りにして袋状に接続して形成されてもよい。また、カバー部材50は、接着や両面テープによる接着等により形成されてもよい。
【0018】
カバー部材の材料としては、例えば疎水性を有する樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂を用いることができる。このような樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。
【0019】
カバー部材50の厚さは、測定部13に設けられたセンサによる測定を妨げない厚さであれば特に限定されるものではない。カバー部材50の厚さは、例えば5μm以上、30μm以下とすることが好ましく、5μm以上、15μm以下であることがより好ましい。カバー部材50の厚さが30μmを超えると、センサの感度が低下することがある。
カバー部材の厚さは、マイクロメータ等の接触式の厚さ測定器、又は、光学式の厚さ測定器により測定することができる。
【0020】
支持部材60は、カバー41の上面に設けられた部材であり、その一部を持ち上げることによりカバー41の挿入口70を開くことができる。
支持部材60により容易に挿入口70を開くためには、支持部材60がカバー41の挿入口よりも外側(図1における把持部側)に突出していることが好ましい。
支持部材60の材質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂等の合成樹脂であってもよく、紙、不織布等であってもよい。
また、支持部材60とカバー部材50の材質は異なっていてもよい。
【0021】
図2(a)は、包装用袋の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は開口部を形成するためのミシン目を備える包装用袋の一例を模式的に示す斜視図である。
また、図3は、包装用袋内にカバーが収納された場合の例を模式的に示す斜視図である。
図2(a)及び図3に示す包装用袋100は、一方主面111にカバー41を取り出すための開口部110を備えている。また、一方の端部140はシートの折り曲げにより閉じられており、他方の端部150はヒートシールにより閉じられている。
包装用袋100内にカバー41を収納する方法としては、包装用袋100の他方の端部150が開いた状態でカバー41を包装用袋100内に収納し、包装用袋100の他方の端部150をヒートシールにより閉じる方法が挙げられる。
包装用袋内にカバーを収納する方法はこの方法に限定されるものではない。
【0022】
図2(a)には開口部110を備えている包装用袋100を示しているが、図2(b)に示すように、包装用袋100は開口部を形成するためのミシン目160を備えていてもよい。図2(b)に示すミシン目160に沿ってミシン目の内側を切り離すことで開口部110が形成され、図2(a)に示す開口部110が形成される。
ミシン目の形状及び寸法は開口部の形状及び寸法と同様にすることができる。
ミシン目を備える包装用袋であると、カバーを口腔用器具に装着する直前にミシン目を切り取って開口部を設けることができ、カバーを使用する直前までカバーを衛生的に保存することができる。
【0023】
包装用袋内にカバーを収納する形態としては、複数のカバーが積層された状態で包装用袋内に収納されていることが好ましい。積層の総数はカバーの厚さと包装用袋の厚さ等を考慮して任意に定めることができる。
【0024】
図3に示す形態では、包装用袋100の長手方向の手前側(一方の端部140側)に開口部110が設けられている。包装用袋100の長手方向の奥側(他方の端部150側)にカバー41のカバー部材50が位置し、手前側に支持部材60が位置していて、包装用袋100の開口部110から支持部材60の一部が露出している。
開口部110から支持部材60の一部を露出させておくことによって、支持部材60が開口部110から露出した部分を把持し、支持部材60の一部を持ち上げることによって、カバー41の挿入口70を開くことができる。
【0025】
上記に説明したような口腔用器具、カバー及び包装用袋を用いた口腔用器具カバーの装着方法の実施形態について説明する。
図3は、包装用袋内にカバーが収納された場合の例を模式的に示す斜視図であり、図4図5及び図6は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
本発明の口腔用器具カバーの装着方法は、第1実施形態と、後述する第2実施形態を含む各実施形態において共通して以下の(1)~(3)の工程を有する。
(1)支持部の一部を持ち上げることにより上記カバーの挿入口を開く。
(2)挿入口に口腔用器具の先端部を挿入して口腔用器具のセンサ部(先端部)をカバーで覆う。
(3)口腔用器具をカバーと共に包装用袋の開口部から取り出す。
図3図4が工程(1)に対応し、図4図5が工程(2)に対応し、図5図6が工程(3)に対応する。
以下に、これらの工程につき、より詳細に説明する。
【0026】
まず、図3に示すように、支持部である支持部材60の一部を把持する。
支持部材60の一部は開口部110から露出しているので、支持部材60を把持することができる。
支持部材60を持ち上げることによりカバー41の挿入口70を開くことができるが、カバーの40の挿入口70を開く前に、支持部材60の一部を把持し、カバー41を手前(図4の右下方向)に引き出して、カバー41の挿入口70が包装用袋100の開口部110に位置するようにすることが好ましい。
図4には、カバー41を手前に引き出して、カバー41の挿入口70が包装用袋100の開口部110に位置するようにした状態を示している。
カバー41を手前に引き出した後に、支持部材60を持ち上げることにより開口部110上でカバー41の挿入口70を開く。
そして、口腔用器具10の先端に位置するセンサ部12を挿入口70に挿入する。
【0027】
図5に示すように、口腔用器具10のセンサ部12を挿入口70からカバー41の全体に押し込み、センサ部12をカバー41で覆う。
その後に、図6に示すように、口腔用器具10をカバー41と共に手前に引き出すことにより口腔用器具10をカバー41と共に包装用袋100の開口部110から取り出す。
口腔用器具10をカバー41と共に開口部110から引き出す際には、包装用袋100の一方主面111に沿った方向に沿って引いてもよい。また、包装用袋100の一方主面111に沿った方向に沿って引く力と共に包装用袋100の開口部110の上に向けて引き上げる力を加えてもよい。また、包装用袋100の開口部110の上に向けて引き上げる力のみを加えて口腔用器具10を包装用袋100の上方に引き出すようにしてもよい。
また、口腔用器具10をカバー41と共に開口部110から引き出す際に、口腔用器具10の連結部14と支持部材60を重ねて指で挟んで一緒に引くようにしてもよい。
【0028】
上記の方法であると、作業者の手がカバーに触れるのは支持部材(支持部)の部分だけであり、作業者の手が口腔用器具に触れるのは把持部や連結部だけである。使用時に口腔内に触れる部分であるカバー部材やセンサ部(先端部)については作業者の手が触れることがなく、包装用袋に収納されたカバーを口腔用器具の先端部に装着することができる。
また、その際の作業性も良好である。
【0029】
以下に、上記に説明したような本実施形態の口腔用器具カバーの装着方法における、口腔用器具、カバー及び包装用袋の各部位の寸法の関係について説明する。
図7は、口腔用器具、カバー及び包装用袋の各部位の幅の関係を示す上面図である。
図7には、口腔用器具10の一部であるセンサ部12、包装用袋100、包装用袋100に収納されたカバー41を示している。包装用袋100とカバー41の関係は図3に示した関係と同様である。
図7には、包装用袋100の幅を両矢印Wで示し、包装用袋100の開口部110の幅を両矢印Wで示し、カバー41の幅を両矢印Wで示している。また、カバー41を装着する対象の口腔用器具10のセンサ部(先端部)12の幅を両矢印Wで示している。
これらの部位の幅については、以下の関係が成り立つ。
まず、開口部の幅Wはカバーの幅Wよりも狭い。
開口部の幅Wがこのように定められていると、カバーを取り出す動作をしない限り、開口部からカバーが自然に抜け落ちることが防止される。
また、開口部の幅Wは口腔用器具のセンサ部(先端部)の幅Wよりも広い。
開口部の幅Wがこのように定められていると、口腔用器具のセンサ部(先端部)をカバーの挿入口に挿入した後に、カバーが装着された口腔用器具を開口部から取り出すことができる。
【0030】
また、包装用袋の幅Wと、包装用袋の開口部の幅Wと、カバーの幅Wとが、下記関係式(1)を満たすことが好ましい。
<2×W-W (1)
開口部の幅Wが広すぎると、包装用袋の中でカバーが移動して開口部から抜け出てしまう可能性があるが、上記関係式を満たすようにするとカバーが開口部から意図せず抜け出してしまうことがより防止される。
【0031】
また、図7には、包装用袋の開口部の長手方向の長さを両矢印Lで示し、カバー部材の長手方向の長さを両矢印Lで示し、包装用袋の長手方向の長さを両矢印Lで示している。
そして、包装用袋の開口部の長手方向の長さLは、カバー部材の長手方向の長さLの90%以上であることが好ましい。
このような関係が定められていると、口腔用器具のセンサ部(先端部)をカバーの挿入口に挿入した後に、カバーが装着された口腔用器具を開口部から取り出しやすくなる。
また、包装用袋の開口部の長手方向の長さLは、包装用袋の長手方向の長さLの50%以上、90%以下であることが好ましい。このような関係であるとカバーを手前に引き出さない限りカバーが開口部から抜け出てしまう可能性が低いので、カバーが開口部から意図せず抜け出してしまうことがより防止される。
また、包装用袋を構成するシートの厚さは25μm以上、100μm以下が好ましい。
【0032】
(第2実施形態)
続いて、本発明の口腔用器具カバーの装着方法の別の実施形態について説明する。
この実施形態ではカバー及び包装用袋として第1実施形態で使用したものと異なる特徴を有するものを使用する。
図8(a)は保護シートを有するカバーの一例を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図8(a)に示すカバー42は、カバー部材50と支持部材60とを備え、さらに保護シート80を備えている。保護シート80はカバー42の底面に設けられていて、口腔用器具のセンサ部(先端部)にカバー42を装着した後にセンサ部(先端部)を使用直前まで保護する役割を有する。
カバー42は、カバー部材50と支持部材60が別部材であり、カバー部材50と支持部材60が組み合わせられた形状のカバーである。
支持部材60が、挿入口を開くための支持部に相当する。保護シート80の材質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂等の合成樹脂であってもよく、紙、不織布等を用いることができ、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましい。
保護シート80は剛性のあるシートであることが好ましく、支持部材60よりもヤング率の高い材料であることが好ましい。
保護シートの剛性が高いと口腔用器具をカバーの挿入口に挿入しやすくなる。
また、保護シートの一端がカバーの挿入口から外側に突出していることが好ましい。保護シートの一端がカバーの挿入口から外側に突出していると、保護シートが口腔用器具をカバーの挿入口に挿入する際のガイドとなり、口腔用器具をカバーの挿入口に挿入しやすくなる。
【0033】
図8(b)に示す包装用袋200は、開口部210の長手方向の長さが第1実施形態において説明した包装用袋100の開口部110の長手方向の長さに比べて長くなっている。
開口部210の長手方向の長さと他の部位の長さの関係については後述する。
【0034】
上記に説明したような口腔用器具、カバー及び包装用袋を用いた口腔用器具カバーの装着方法の実施形態について説明する。
図9は、包装用袋内にカバーが収納された場合の例を模式的に示す斜視図であり、図10図11及び図12は、口腔用器具カバーの装着手順を模式的に示す斜視図である。
第1実施形態において説明した(1)~(3)の工程について、図9図10が工程(1)に対応し、図10図11が工程(2)に対応し、図11図12が工程(3)に対応する。
以下に、これらの工程につき、より詳細に説明する。
【0035】
まず、図9に示すように、支持部材60の一部を把持する。
支持部材60の一部は開口部210から露出しているので、支持部材60を把持することができる。
支持部材60を持ち上げることによりカバー42の挿入口70を開くことができる。
この場合、カバー42を手前に引き出す必要はない。また、カバー42の底面に剛性の高い保護シート80が存在しているので支持部材60を持ち上げた場合にカバー42の底面が一緒に持ち上げられることが防止され、挿入口70が広く開く。
【0036】
続いて、図10に示すように、そして、口腔用器具10のセンサ部12を挿入口70に挿入する。さらに、図11に示すように、口腔用器具10のセンサ部12を挿入口70からカバー42の全体に押し込み、センサ部12をカバー42で覆う。
その後に、図12に示すように、口腔用器具10をカバー42と共に上方に引き上げることにより口腔用器具10をカバー42と共に包装用袋200の開口部210から取り出す。取り出した口腔用器具10にはカバー42が装着されており、センサ部12が保護シート80で保護された状態となる。
【0037】
なお、口腔用器具10をカバー42と共に開口部210から取り出す際には、包装用袋200の一方主面211に沿った方向に沿って引いてもよい。また、包装用袋200の一方主面211に沿った方向に沿って引く力と共に包装用袋200の開口部210の上に向けて引き上げる力を加えてもよい。
また、口腔用器具10をカバー42と共に開口部210から引き出す際に、口腔用器具10の連結部14と支持部材60を重ねて指で挟んで一緒に引くようにしてもよい。
【0038】
上記の方法であると、作業者の手がカバーに触れるのは支持部材(支持部)の部分だけであり、作業者の手が口腔用器具に触れるのは把持部や連結部だけである。使用時に口腔内に触れる部分であるカバー部材やセンサ部(先端部)については作業者の手が触れることがなく、包装用袋に収納されたカバーを口腔用器具の先端部に装着することができる。
また、その際の作業性も良好である。
【0039】
(第3実施形態)
続いて、本発明の口腔用器具カバーの装着方法の別の実施形態について説明する。
この実施形態ではカバーとして第1実施形態、第2実施形態で使用したものと異なる特徴を有するものを使用する。
図13(a)は保護シートを有するカバーの別の一例を模式的に示す斜視図であり、図13(b)は保護シートを有するカバーのさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。
【0040】
図13(a)に示すカバー43は、図8(a)に示すカバー部材50と支持部材60が一体化したカバーである。カバー43は袋状部53と支持部61が一体化したカバーであるともいえる。
【0041】
図13(b)に示すカバー44は、図13(a)に示すカバー43と同様に、カバー部材と支持部材が一体化したカバーである。カバー44は袋状部54と支持部62が一体化したカバーであるともいえる。
図13(b)に示すカバー44は、この支持部62の形状が図13(a)に示すカバー43の支持部61の形状と異なる他は、図13(a)に示すカバー43と同様である。
【0042】
図13(a)に示すカバー43、図13(b)に示すカバー44のそれぞれにおいて、支持部61、支持部62は挿入口を開くための部分である。
また、カバー43、カバー44のそれぞれの底面には保護シート80が設けられていてもよい。
【0043】
以下に、上記に説明したような本発明の口腔用器具カバーの装着方法における、口腔用器具、カバー及び包装用袋の各部位の寸法の関係について説明する。
図14は、口腔用器具、カバー及び包装用袋の各部位の幅の関係を示す上面図である。
図14には、口腔用器具10の一部であるセンサ部12、包装用袋200、包装用袋200に収納されたカバー42を示している。
図14には、包装用袋200の幅を両矢印Wで示し、包装用袋200の開口部210の幅を両矢印Wで示し、カバー42の幅を両矢印Wで示している。また、カバー42を装着する対象の口腔用器具10のセンサ部12の幅を両矢印Wで示している。
これらの部位の幅については、以下の関係が成り立つ。
まず、開口部の幅Wはカバーの幅Wよりも狭い。
開口部の幅Wがこのように定められていると、カバーを取り出す動作をしない限り、開口部からカバーが自然に抜け落ちることが防止される。
また、開口部の幅Wは口腔用器具のセンサ部(先端部)の幅Wよりも広い。
開口部の幅Wがこのように定められていると、口腔用器具のセンサ部(先端部)をカバーの挿入口に挿入した後に、カバーが装着された口腔用器具を開口部から取り出すことができる。
【0044】
また、包装用袋の幅Wと、包装用袋の開口部の幅Wと、カバーの幅Wとが、下記関係式(1)を満たすことが好ましい。
<2×W-W (1)
開口部の幅Wが広すぎると、包装用袋の中でカバーが移動して開口部から抜け出てしまう可能性があるが、上記関係式を満たすようにするとカバーが開口部から意図せず抜け出してしまうことがより防止される。
この関係を満たすことによる効果は、この実施形態においてより好適に発揮される。
【0045】
また、図14には、包装用袋の開口部の長手方向の長さを両矢印Lで示し、カバー部材の長手方向の長さを両矢印Lで示し、包装用袋の長手方向の長さを両矢印Lで示している。また、支持部の長手方向の長さを両矢印Lで示し、保護シートの長手方向の長さを両矢印Lで示している。
そして、包装用袋の開口部の長手方向の長さLは、カバー部材の長手方向の長さLの90%以上であることが好ましい。
このような関係が定められていると、口腔用器具のセンサ部(先端部)をカバーの挿入口に挿入した後に、カバーが装着された口腔用器具を開口部から取り出しやすくなる。
【0046】
また、包装用袋の開口部の長手方向の長さLは、カバー部材の長手方向の長さLと支持部の長手方向の長さLの合計の90%以上、110%以下であることが好ましい。
支持部の長手方向の長さLには、カバー部材と重複している部分の長さは含まない。
このような関係が定められていると、カバーが装着された口腔用器具を開口部から引き出す際に、包装用袋の開口部の上に向けて引き上げる力のみを加えて口腔用器具を包装用袋の上方に引き出す場合の作業性に優れる。
【0047】
また、保護シートの長手方向の長さLも、カバー部材の長手方向の長さLと支持部の長手方向の長さLの合計の90%以上、110%以下であることが好ましい。
保護シートの長手方向の長さLがカバー部材の長手方向の長さLと支持部の長手方向の長さLの合計の90%以上であると、保護シートが口腔用器具を挿入する際のガイドとして機能しやすいため好ましい。
また、保護シートの長手方向の長さLがカバー部材の長手方向の長さLと支持部の長手方向の長さLの合計の110%以下であると、保護シートが開口部に引っかかって抜けにくくなることが防止されるので好ましい。
【0048】
(包装用袋)
本発明の口腔用器具カバーの装着方法に使用することのできる、口腔用器具カバーを包装する包装用袋は本発明の包装用袋である。
本発明の包装用袋の第1の態様は、先端にセンサ部又はエネルギー照射部を備える先端部と上記先端部が接続された把持部とを有する口腔用器具の、上記先端部を覆う袋状のカバーを包装する包装用袋であって、上記包装用袋は一方主面に上記カバーを取り出すための開口部を備えており、上記開口部の幅は上記カバーの幅より狭く、上記口腔用器具の先端部の幅よりも広いことを特徴とする。
【0049】
本発明の包装用袋の第2の態様は、先端にセンサ部又はエネルギー照射部を備える先端部と上記先端部が接続された把持部とを有する口腔用器具の、上記先端部を覆う袋状のカバーを包装する包装用袋であって、上記包装用袋は一方主面に上記カバーを取り出すための開口部を形成するためのミシン目を備えており、上記ミシン目によって規定される開口部の幅は上記カバーの幅より狭く、上記口腔用器具の先端部の幅よりも広いことを特徴とする。
【0050】
本発明の包装用袋の第1の態様は、例えば図2(a)に示す包装用袋であり、開口部を備える包装用袋である。
本発明の包装用袋の第2の態様は、例えば図2(b)に示す包装用袋であり、開口部を形成するためのミシン目を備える包装用袋である。
これらの包装用袋の詳細については本発明の口腔用器具カバーの装着方法の説明において説明した通りである。
【0051】
また、本発明の包装用袋のいずれの態様においても、上記包装用袋の幅Wと、上記包装用袋の開口部の幅Wと、カバーの幅Wとが、下記関係式(1)を満たすことが好ましい。
<2×W-W (1)
【0052】
(包装用袋の実施形態)
本発明の口腔用器具カバーの装着方法において使用する包装用袋、及び、本発明の包装用袋は、その開口部の形状がこれまで説明した形態と異なっていてもよい。また、包装用袋を袋状にする形態もこれまで説明した形態と異なっていてもよい。
以下には、本発明の口腔用器具カバーの装着方法において使用することができる、包装用袋の別の実施形態について説明する。
【0053】
図15は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図16は、図15に示す包装用袋のA-A線断面図である。
図15に示す包装用袋300は、開口部310を有する。
この包装用袋300は、一方の端部340の形成がシートの折り曲げによってされていることを特徴としている。
開口部310の形成にあたり、上にシート320a、下にシート330aがあり、他方の端部350が閉じられた筒状の部材を準備する。シート320aとシート330aを一緒に打ち抜いて開口部310を形成する。開口部310の形成位置は筒状の部材の長手方向の中央から他方の端部350側の領域とする。
【0054】
そして、一方の端部340の位置でシート320aとシート330aを一緒に折り返して、開口部310の底を塞ぐ。
シート320aとシート330aが折り返されたシートをそれぞれシート320b、シート330bとする。
開口部310の底となるシートがシート330bであり、これはシート330aと一体化したシートである。
また、包装用袋300の底面となるシートがシート320bであり、これはシート320aと一体化したシートである。
また、他方の端部350近辺においてシート330aとシート330bを接着剤等で固定する。
【0055】
すなわち、この包装用袋は開口部が設けられたシートと、当該シートが一方の端部で折り曲げられることにより開口部の底となるシートとからなり、これらのシートが一体化している形態であるといえる。
また、開口部の底となるシートと包装用袋の底面となるシートが異なるシートである形態ともいえる。
このような形態の包装用袋は、上のシートと下のシートを同時に打ち抜くことで開口部を形成することができるので、開口部の形成が容易である。
筒状の部材から上のシートに開口部を形成して、下のシートを開口部の底面とする場合、上のシートだけに開口部を形成する必要がある。しかし、上のシートだけに開口部を形成するのは作業性が悪いので量産性が悪いという問題がある。一方、上のシートと下のシートを同時に打ち抜いて開口部を形成した後にシートを一方の端部で折り返して開口部の底面とする本実施形態の包装用袋は量産性に優れている。
また、図16及び図17では包装用袋のみを示しているが、包装用袋にカバーを収納した後にシートを一方の端部で折り返して開口部の底面とすることができ、カバーの収納の作業性にも優れている。
【0056】
図17は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図18は、図17に示す包装用袋のB-B線断面図である。
図17に示す包装用袋400は、開口部410を有する。
この包装用袋400は、図15に示す包装用袋400と同様に、一方の端部440の形成がシートの折り曲げによってされていることを特徴としている。
開口部410の形成にあたり、上にシート420a、下にシート430aがあり、他方の端部450が閉じられた筒状の部材を準備する。この際に、シート420aとシート430aのフィルム端をずらしておき、シート420aがシート430aより長くなるようにする。
シート420aとシート430aを一緒に打ち抜いて開口部410を形成する。開口部410の形成位置は筒状の部材の長手方向の中央から他方の端部450側の領域とする。
【0057】
そして、一方の端部440の位置でシート420aとシート430aを一緒に折り返す。
シート420aとシート430aが折り返されたシートをそれぞれシート420b、シート430bとする。
シート420aとシート430aのフィルム端がずれていて、折り返されたシート420bの長さの方が折り返されたシート430bの長さよりだいぶ長くなる。そのため、シート430bは少しだけ存在することになる。
開口部410の底となるシートは主にシート420bであり、これはシート420aと一体化したシートである。
また、包装用袋400の底面となるシートもシート420bである。
また、他方の端部450近辺においてシート430aとシート420bを接着剤等で固定する。
【0058】
すなわち、この包装用袋は開口部が設けられたシートと、当該シートが一方の端部で折り曲げられることにより開口部の底となるシートとからなり、これらのシートが一体化している形態であるといえる。また、開口部の底となるシートと包装用袋の底面となるシートが同じである(1枚のシートである)形態であるともいえる。
なお、開口部の底となるシートの一部分が2枚のシートであってもよいが、大部分が1枚のシートであることが好ましい。
このような形態の包装用袋は、上のシートと下のシートを同時に打ち抜くことで開口部を形成することができるので、開口部の形成が容易である。
開口部の底となる部分で2枚のシートが重なっている必要は無いので、不要な部分のシートの枚数を減らすことにより軽量でシンプルな構成とすることができる。
また、図17及び図18では包装用袋のみを示しているが、包装用袋にカバーを収納した後にシートを一方の端部で折り返して開口部の底面とすることができるため、カバーの収納の作業性にも優れている。
【0059】
図19は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図20は、図19に示す包装用袋のC-C線断面図である。
この包装用袋500は、図15に示す包装用袋400と同様に、一方の端部540の形成がシートの折り曲げによってされている。
上にシート520a、下にシート530aがあり、他方の端部550が閉じられた筒状の部材を準備する。シート520aとシート530aを一緒にミシン目形状の打ち抜き刃により打ち抜いてシート520aとシート530aの両方にミシン目560を形成する。
ミシン目560の形成位置は筒状の部材の長手方向の中央から他方の端部550側の領域とする。シート520aにおいてミシン目560の内側に位置するシートをシート520cとし、シート530aにおいてミシン目560の内側に位置するシートをシート530cとする。
【0060】
そして、一方の端部540の位置でシート520aとシート530aを一緒に折り返す。
シート520aとシート530aが折り返されたシートをそれぞれシート520b、シート530bとする。
包装用袋500の底となるシートがシート530bであり、これはシート530aと一体化したシートである。
また、他方の端部550近辺においてシート530aとシート530bを接着剤等で固定する。
【0061】
図19に示す包装用袋500は、シート520aに開口部を形成するためのミシン目560を備えている。
このミシン目560に沿ってミシン目560の内側に位置するシートであるシート520cを切り離すことによって開口部を形成することができる。
また、図20に示すようにシート530aにも開口部を形成するためのミシン目560を備えている。シート530aにおいてミシン目560の内側に位置するシート530cについては切り離す必要はない。包装用袋の製造過程において、上のシートと下のシートに同時にミシン目を設けるほうが容易であるので下のシートにもミシン目が設けられている。
【0062】
ミシン目を備える包装用袋であると、カバーを口腔用器具に装着する直前にミシン目を切り取って開口部を設けることができ、カバーを使用する直前までカバーを衛生的に保存することができる。
【0063】
なお、ミシン目を有する包装用袋について、図19に示す包装用袋500のシートの折り曲げの形態は図15に示す包装用袋300と同様の形態としているが、図17に示す包装用袋400と同様の形態であってもよい。
図17に示す包装用袋400の製造過程において、シート420aとシート430aを一緒に打ち抜いて開口部410を形成する代わりにシート420aとシート430aを一緒にミシン目形状の打ち抜き刃により打ち抜いてシート420aとシート430aの両方にミシン目を形成することにより、当該形態の包装用袋を作製することができる。
【0064】
これまで説明した包装用袋の開口部の形状はレーストラック形状(直線と曲線が組み合わされた形状)であるが、開口部の形状はこの形状に限定されるものではなく、異なる形状であってもよい。
なお、以後に説明する開口部の形状は、開口部の上面視形状である。
図21図22及び図23は、包装用袋の別の一例を模式的に示す斜視図である。
なお、図21図22及び図23に示す包装用袋は、図17に示す包装用袋の構成において開口部の形状のみが異なるものとして示しているが、包装用袋の構成は図2図8(b)、図15等に示された構成のものであってもよい。また、図19に示すように開口部の形状に相当するミシン目を備えるものであってもよい。
図21に示す包装用袋600では、開口部610の形状は長円形状である。
図22に示す包装用袋700では、開口部710の形状は台形状である。この台形は口腔用器具及びカバーを引き出す側の幅が広くなっている。
図23に示す包装用袋800では、開口部810の形状は、図22に示す台形状の開口部710の頂点を面取りして丸くした形状となっている。この形状においても口腔用器具及びカバーを引き出す側の幅が広くなっている。
なお、図22及び図23に示す開口部のように、開口部の幅が一定ではない形状における開口部の幅は、開口部の幅が最も広くなっている部分で定める。
【符号の説明】
【0065】
10 口腔用器具
11 把持部
12 センサ部(先端部)
13 測定部
14 連結部
41、42、43、44 カバー
50 カバー部材
51 第1シート材
52 第2シート材
53、54 袋状部
60 支持部材(支持部)
61、62 支持部
70 挿入口
80 保護シート
100、200、300、400、500、600、700、800 包装用袋
110、210、310、410、610、710、810 開口部
111、211 包装用袋の一方主面
140、340、440 包装用袋の一方の端部
150、350、450 包装用袋の他方の端部
160、560 ミシン目
320a、330a、420a、430a、520a、530a 包装用袋の開口部を構成するシート
320b、330b、420b、430b、520b、530b 折り返されたシート
520c、530c ミシン目の内側に位置するシート
開口部の長手方向の長さ
カバー部材の長手方向の長さ
包装用袋の長手方向の長さ
支持部材(支持部)の長手方向の長さ
保護シートの長手方向の長さ
包装用袋の幅
開口部の幅
カバーの幅
センサ部(先端部)の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23