(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ダイシングシート
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240730BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20240730BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20240730BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240730BHJP
C08J 9/32 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/78 M
C09J7/20
C09J7/29
C09J201/00
C08J9/32 CER
C08J9/32 CEZ
(21)【出願番号】P 2020092492
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-101628(JP,A)
【文献】特開2009-040930(JP,A)
【文献】特開2008-159998(JP,A)
【文献】特開2007-021879(JP,A)
【文献】特開平04-196246(JP,A)
【文献】特開2014-069521(JP,A)
【文献】特開2008-045011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/20
C09J 7/29
C09J 201/00
C08J 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により剥離するダイシングシートであって、
前記ダイシングシートは、対象に粘着する粘着層と、
前記粘着層に積層され、低温押出樹脂により構成される樹脂層と、を含み、
前記樹脂層は、加熱により発泡する発泡剤を含
み、
前記発泡剤は、マイクロカプセルであり、
前記マイクロカプセルの発泡開始温度は、前記低温押出樹脂の融点温度よりも20℃以上高い
ダイシングシート。
【請求項2】
前記マイクロカプセルは、発泡倍率が5倍以上である
請求項1に記載のダイシングシート。
【請求項3】
前記マイクロカプセルの径は、5~50μmの範囲内である
請求項1または2に記載のダイシングシート。
【請求項4】
前記発泡剤の重量%は、前記樹脂層の0.9~5.1重量%の範囲内である
請求項1~3のいずれか一項に記載のダイシングシート。
【請求項5】
前記樹脂層の積層方向の厚みは、9~110μmの範囲内である
請求項1~4のいずれか一項に記載のダイシングシート。
【請求項6】
前記樹脂層を支持する支持層をさらに備える
請求項1~5のいずれか一項に記載のダイシングシート。
【請求項7】
前記粘着層を保護する保護層をさらに備える
請求項1~6のいずれか一項に記載のダイシングシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの製造工程には、半導体ウエハを切削するダイシング工程が含まれる。ダイシング工程では、半導体ウエハの保持および保護のため粘着性を備えるダイシングシートを半導体ウエハの一面に張り付ける。ダイシングシートは、ダイシング工程の後工程では容易に剥離されることが好ましい。特許文献1は、後工程での加熱により容易に剥離するために熱発泡性微粒子を積層構造に含む粘着シートの構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような粘着シートでは、後工程での加熱に多くのエネルギーを必要とする場合がある。
本発明の目的は、加熱により対象から効率的に剥離されるダイシングシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従うダイシングシートは、加熱により剥離するダイシングシートであって、前記ダイシングシートは、対象に粘着する粘着層と、前記粘着層に積層され、低温押出樹脂により構成される樹脂層と、を含み、前記樹脂層は、加熱により発泡する発泡剤を含む。
【発明の効果】
【0006】
上記ダイシングシートは、加熱により対象から効率的に剥離される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ダイシングシート上に半導体ウエハを配置した状態を示す平面図。
【
図2】半導体ウエハがダイシングされた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(ダイシングシートが取り得る形態の一例)
〔1〕本発明に従うダイシングシートは、加熱により剥離するダイシングシートであって、前記ダイシングシートは、対象に粘着する粘着層と、前記粘着層に積層され、低温押出樹脂により構成される樹脂層と、を含み、前記樹脂層は、加熱により発泡する発泡剤を含む。
このダイシングシートによれば、融点の低い低温押出樹脂で構成された樹脂層に発泡剤が含まれるため、ダイシングシートを加熱した際に比較的低い熱量で発泡剤が発泡する。このため、加熱により対象から効率的に剥離できる。
【0009】
〔2〕前記ダイシングシートの一例によれば、前記発泡剤は、マイクロカプセルであり、前記マイクロカプセルは、発泡倍率が5倍以上である。
このダイシングシートによれば、発泡倍率が5倍以上のマイクロカプセルであるため、ダイシングシートを加熱により効率的に剥離できる。
【0010】
〔3〕前記ダイシングシートの一例によれば、前記マイクロカプセルの発泡開始温度は、前記低温押出樹脂の融点温度よりも16℃以上高い。
このダイシングシートによれば、樹脂層の押出形成時に樹脂層に含まれるマイクロカプセルが発泡することを抑制できる。
【0011】
〔4〕前記ダイシングシートの一例によれば、前記マイクロカプセルの径は、5~50μmの範囲内である。
このダイシングシートによれば、適切な発泡倍率を備えるマイクロカプセルにより、加熱後にダイシングシートを好適に剥離できる。
【0012】
〔5〕前記ダイシングシートの一例によれば、前記発泡剤の重量%は、前記樹脂層の0.9~5.1重量%の範囲内である。
このダイシングシートによれば、樹脂層の3次元構造において発泡剤が好適に分散される。このため、加熱後にダイシングシートを好適に剥離できる。
【0013】
〔6〕前記ダイシングシートの一例によれば、前記樹脂層の積層方向の厚みは、9~110μmの範囲内である。
このダイシングシートによれば、樹脂層に対して好適に熱を伝導させることができる。
【0014】
〔7〕前記ダイシングシートの一例によれば、前記樹脂層を支持する支持層をさらに備える。
このダイシングシートによれば、粘着層および樹脂層を好適に支持できる。
【0015】
〔8〕前記ダイシングシートの一例によれば、前記粘着層を保護する保護層をさらに備える。
このダイシングシートによれば、使用前の粘着層を好適に保護できる。
【0016】
(実施形態)
図1~
図3を参照して、実施形態のダイシングシート10について説明する。ダイシングシート10は、半導体チップ101の製造工程で使用される。半導体チップ101の製造工程は、前工程および後工程を含む。前工程は、半導体ウエハ100に薄膜層を形成する成膜工程、薄膜層上に感光剤を塗布し回路パターンを転写するパターン転写工程、および、薄膜を配線等の形状に加工するエッチング工程を含む。後工程は、半導体ウエハ100を切削し、半導体チップ101を切り離すダイシング工程および半導体チップ101を所定の位置で固定するパッケージング工程を含む。ダイシングシート10は、ダイシング工程で使用される。ダイシングシート10は、ダイシング工程において半導体ウエハ100を保持および保護する機能を備えるシートである。半導体ウエハ100の保持とは、ダイシングソーによる切削時に相対的な位置のずれが抑制されることを含む。半導体ウエハ100の保護とは、ダイシング工程において半導体ウエハ100および半導体チップ101に対する粉塵等の接着抑制を含む。半導体ウエハ100の形状は、例えば円形または楕円形状に形成される。半導体チップ101の形状は、例えば正方形状である。
【0017】
図3に示されるように、ダイシングシート10は、粘着層20および樹脂層30を含む。粘着層20は、所定の対象と粘着する。所定の対象は、例えば半導体ウエハ100および半導体チップ101である。粘着層20は、表面20Aで半導体ウエハ100と接着し、半導体ウエハ100を保持する。表面20Aと半導体ウエハ100との間には、隙間が略形成されない。なお以下では、粘着層20の半導体ウエハ100を配置する側を内側と称し、半導体ウエハ100を配置する側と反対側を外側と称する場合がある。樹脂層30は、半導体ウエハ100を保護する。樹脂層30は、粘着層20の外側に積層される。
【0018】
粘着層20は、感圧粘着剤により構成される。感圧粘着剤は、例えばアクリルポリマーにより構成されるアクリル系粘着剤、ポリウレタンにより構成されるウレタン系粘着剤、シリコンポリマーにより構成されるシリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤の少なくとも1つにより構成される。粘着層20は、1つまたは複数の層により構成される。複数の層は、構成する感圧粘着剤の種類がそれぞれ異なるように構成されてもよい。半導体ウエハ100または半導体チップ101と粘着層20との粘着強度は、ダイシング工程時には剥がれず、ダイシング工程後の加熱により粘着強度が低下した場合には容易に剥がれる程度の粘着強度であることが好ましい。一例では、半導体ウエハ100と粘着層20との粘着強度は0.1N/15mm以上である。好ましくは、半導体ウエハ100と粘着層20との粘着強度は0.5N/15mm以上である。半導体ウエハ100と粘着層20との粘着強度は、7N/15mm以下である。好ましくは、半導体ウエハ100と粘着層20との粘着強度は、3N/15mm以下である。一例では、半導体ウエハ100と粘着層20との粘着強度は、2.0N/15mmである。半導体ウエハ100と粘着層20との粘着強度は、樹脂層30と粘着層20との粘着強度よりも弱い。一例では、樹脂層30と粘着層20との粘着強度は、7N/15mm以上である。好ましくは、樹脂層30と粘着層20との粘着強度は、15N/15mm以上である。粘着層20の積層方向の厚さは、30μm以下であることが好ましい。
【0019】
樹脂層30は、樹脂により構成される。樹脂は、例えば合成樹脂である。合成樹脂は、例えば熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、融点温度が所定温度以下である低温押出樹脂であることが好ましい。所定温度は、例えば130℃である。熱可塑性樹脂は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびエチレン酢酸ビニル重合体(EVA)である。ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。樹脂層30の積層方向の厚さは、好ましくは9μm以上である。より好ましくは、樹脂層30の積層方向の厚さは、10μm以上である。樹脂層30の積層方向の厚さは、好ましくは110μm以下である。より好ましくは、樹脂層30の積層方向の厚さは、100μm以下である。
【0020】
樹脂層30は、発泡剤40をさらに含む。発泡剤40は、所定の条件が加えられた場合に発泡するように構成される。所定の条件の一例は、加熱である。所定の条件の別の例は、紫外線の照射である。発泡剤40は、一例では、所定の条件が加えられた場合に発泡する気体を内包するマイクロカプセル41である。別の例では、発泡剤40は所定の条件が加えられた場合にガスを放出する化学物質を含む。一例では発泡剤40は、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、および、重曹である。本実施形態では、発泡剤40は、マイクロカプセル41である。発泡剤40の樹脂層30に対する重量%は、好ましくは、0.9重量%以上である。より好ましくは、1.0重量%以上である。発泡剤40の樹脂層30に対する重量%は、好ましくは、5.1重量%以下である。より好ましくは、5.0重量%以下である。発泡剤40は、一般的に知られた任意の手段により樹脂層30を構成する樹脂と混錬される。一例では、ドライブレンド法により混錬される。別の例では、メルトブレンド法により混錬される。
【0021】
マイクロカプセル41は、発泡倍率および樹脂層30の厚さにより、適切な形状、大きさ、および、内包物が決定される。マイクロカプセル41は、例えば直径が5μm以上50μm以下の大きさの円形状に形成される。マイクロカプセル41は、外殻および内部空間を備える。外殻は、例えば熱可塑性樹脂により構成される。外殻の厚さは、2μm以上15μm以下に構成される。内部空間には、加熱により膨張する気体または液体が内包される。一例では、内部空間には炭化水素が内包される。マイクロカプセル41の発泡開始温度は、樹脂層30を構成する樹脂の融点温度よりも高い。発泡開始温度において、マイクロカプセル41の外殻が柔らかくなることにより、内部空間の気体の膨張に伴ってマイクロカプセル41が発泡する。マイクロカプセル41の発泡倍率は、5倍以上が好ましい。発泡倍率は、発泡前のマイクロカプセル41の体積に対する発泡後のマイクロカプセル41の体積により規定される。好ましくは、マイクロカプセル41の発泡開始温度は、樹脂層30を構成する樹脂の融点温度よりも16℃以上高い。より好ましくは、マイクロカプセル41の発泡開始温度は、樹脂層30を構成する樹脂の融点温度よりも20℃以上高い。
【0022】
ダイシングシート10は、粘着層20および樹脂層30を支持する支持層50をさらに備える。支持層50は、樹脂層30の外側に積層される。支持層50は、任意の構成を備える。一例では、支持層50は、PETにより構成される。別の例では、支持層50は再生紙または非再生紙により構成される。支持層50の積層方向の厚さは、好ましくは樹脂層30と同じ厚さである。支持層50と樹脂層30とは、例えば感圧粘着剤を含む層により積層される。
【0023】
本願発明者は、実施形態のダイシングシート10の脱離安定性の評価を行うために評価試験を実施した。評価試験では、実施例および比較例の各ダイシングシート10の粘着層20に半導体チップ101を配置し、発泡剤40の発泡開始温度より50℃高い温度で1分間加熱した。加熱後、ダイシングシート10と半導体チップ101との脱離安定性を評価した。具体的には、ダイシングシート10の表面20Aを水平状態から90°回転させ、半導体チップ101がダイシングシート10から剥がれた場合、脱離安定性を備えていると判断した。
【0024】
評価試験では、複数の実施例および比較例のダイシングシート10を用意した。複数の実施例および比較例のダイシングシート10は、樹脂層30を構成する樹脂の種類、樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度、樹脂層30の積層方向の厚さ、発泡剤40の種類、配合比の少なくとも1つを変更した。発泡剤40の種類は、発泡倍率、発泡開始温度および安定発泡温度の少なくとも1つが異なるマイクロカプセル41を含む発泡剤A~Hを利用した。発泡剤A~Hは、いずれも市販される発泡剤40である。各ダイシングシート10は合計30枚準備し、比較試験に供した。本願発明者は、30枚のすべてが脱離安定性を備え、かつ、その他の問題がないと判断される場合に「〇」と判断した。本願発明者は、30枚のうち1枚以上が脱離安定性を備えていない場合、「△」と判断した。本願発明者は、30枚のうち1枚以上が脱離安定性を備えておらず、かつ、ダイシングシート10の使用に問題があると考えられる場合に、「×」と判断した。
【0025】
実施例1のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が5倍の発泡剤Fを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0026】
実施例2のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、10μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0027】
実施例3のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0028】
実施例4のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、100μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0029】
実施例5のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、100μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0030】
実施例6のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0031】
実施例7のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、5%である。
【0032】
実施例8のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が11倍の発泡剤Bを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0033】
実施例9のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が11倍の発泡剤Bを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0034】
実施例10のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が11倍の発泡剤Bを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0035】
実施例11のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が11倍の発泡剤Bを含む。発泡剤40の配合比は、5%である。
【0036】
実施例12のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が12倍の発泡剤Cを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0037】
実施例13のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が12倍の発泡剤Cを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0038】
実施例14のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が12倍の発泡剤Cを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0039】
実施例15のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が12倍の発泡剤Cを含む。発泡剤40の配合比は、5%である。
【0040】
実施例16のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度110℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、120℃である、発泡剤40は、発泡倍率が10倍の発泡剤Dを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0041】
実施例17のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度110℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、120℃である、発泡剤40は、発泡倍率が10倍の発泡剤Dを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0042】
実施例18のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度110℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、120℃である、発泡剤40は、発泡倍率が10倍の発泡剤Dを含む。発泡剤40の配合比は、5%である。
【0043】
実施例19のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0044】
実施例20のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度130℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、140℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0045】
実施例21のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度120℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、130℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0046】
実施例22のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度120℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、130℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0047】
実施例23のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度125℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、135℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0048】
実施例24のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度130℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、10μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、140℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0049】
実施例25のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度130℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、140℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0050】
実施例26のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度130℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、100μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、140℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0051】
実施例27のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度130℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、140℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0052】
実施例28のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度130℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、140℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤40の配合比は、0.9%である。
【0053】
比較例1のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が3倍の発泡剤Hを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0054】
比較例2のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が4倍の発泡剤Gを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0055】
比較例3のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、70℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0056】
比較例4のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、0.5%である。
【0057】
比較例5のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、0.9%である。
【0058】
比較例6のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、5μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0059】
比較例7のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、9μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0060】
比較例8のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、110μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0061】
比較例9のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、150μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0062】
比較例10のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、5.1%である。
【0063】
比較例11のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度70℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、80℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤40の配合比は、7%である。
【0064】
比較例12のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度71℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、81℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤Aの発泡開始温度は90℃であり、発泡開始温度と融点温度との差は、19℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0065】
比較例13のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度74℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、84℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤Aの発泡開始温度は、90℃であり、発泡開始温度と融点温度との差は、16℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0066】
比較例14のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度75℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、85℃である、発泡剤40は、発泡倍率が9倍の発泡剤Aを含む。発泡剤Aの発泡開始温度は、90℃であり、発泡開始温度と融点温度との差は、15℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0067】
比較例15のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が11倍の発泡剤Bを含む。発泡剤Bの発泡開始温度は、100℃である。発泡剤40の配合比は、0.9%である。
【0068】
比較例16のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が11倍の発泡剤Bを含む。発泡剤Bの発泡開始温度は、100℃である。発泡剤40の配合比は、5.1%である。
【0069】
比較例17のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度80℃のEVAで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、90℃である、発泡剤40は、発泡倍率が11倍の発泡剤Bを含む。発泡剤Bの発泡開始温度は、100℃である。発泡剤40の配合比は、6%である。
【0070】
比較例18のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度120℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、130℃である、発泡剤40は、発泡倍率が10倍の発泡剤Dを含む。発泡剤Dの発泡開始温度は、130℃であり、発泡剤Dの発泡開始温度と融点温度との差は、10℃である。発泡剤40の配合比は、1%である。
【0071】
比較例19のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度120℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、130℃である、発泡剤40は、発泡倍率が10倍の発泡剤Dを含む。発泡剤Dの発泡開始温度は、130℃であり、発泡剤Dの発泡開始温度と融点温度との差は、10℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0072】
比較例20のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度120℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、120℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤Eの発泡開始温度は、150℃であり、発泡剤Eの発泡開始温度と融点温度との差は、30℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0073】
比較例21のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度130℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、140℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤Eの発泡開始温度は、150℃であり、発泡剤Eの発泡開始温度と融点温度との差は、20℃である。発泡剤40の配合比は、5.1%である。
【0074】
比較例22のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度131℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、141℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤Eの発泡開始温度は、150℃であり、発泡剤Eの発泡開始温度と融点温度との差は、19℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0075】
比較例23のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度134℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、144℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤Eの発泡開始温度は、150℃であり、発泡剤Eの発泡開始温度と融点温度との差は、16℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0076】
比較例24のダイシングシート10は、樹脂層30が融点温度135℃のPEで構成される。樹脂層30の積層方向の厚さは、75μmである。樹脂層30を成形する際の押出樹脂温度は、145℃である、発泡剤40は、発泡倍率が8倍の発泡剤Eを含む。発泡剤Eの発泡開始温度は、150℃であり、発泡剤Eの発泡開始温度と融点温度との差は、15℃である。発泡剤40の配合比は、3%である。
【0077】
比較例25のダイシングシート10は、樹脂層30を含まない。粘着層20の積層方向の厚さは、75μmに構成される。粘着層20は、120~150℃の間で発泡を開始する粘着剤を含む。発泡倍率は、10倍である。
【0078】
図4および
図5を参照して、評価試験の試験結果について説明する。
実施例1~28のダイシングシート10は、いずれも評価が「〇」であり、脱離安定性を備えていた。一方で比較例1~25のダイシングシート10は、評価が「△」または「×」であり、脱離安定性を備えていない、または、その他の問題がダイシングシート10に生じた。
【0079】
評価試験の試験結果から得られた知見について説明する。
比較例1および比較例2の結果から、発泡倍率は所定の倍率以上であることが好ましい。所定の倍率は、例えば5倍以上である。所定の倍率が5倍よりも小さい場合、発泡が足りず、粘着層20が半導体ウエハ100から脱離しない場合がある。
【0080】
比較例6~9の結果から、樹脂層30の積層方向の厚さは、所定の範囲内であることが好ましい。樹脂層30の積層方向の厚さは、好ましくは9μm以上である。より好ましくは、樹脂層30の積層方向の厚さは、10μm以上である。樹脂層30の積層方向の厚さは、好ましくは110μm以下である。より好ましくは、樹脂層30の積層方向の厚さは、100μm以下である。樹脂層30の積層方向の厚さが9μm未満の場合、樹脂層30が押出成形できない。樹脂層30の積層方向の厚さが110μmよりも大きい場合、樹脂層30の熱伝導率が低下し、発泡剤40が十分に発泡しない場合がある。
【0081】
比較例4、5、10、11、15~17および比較例21の結果から発泡剤40の樹脂層30に対する重量%は、所定の範囲内であることが好ましい。発泡剤40の樹脂層30に対する重量%は、好ましくは、0.9重量%以上である。より好ましくは、1.0重量%以上である。発泡剤40の樹脂層30に対する重量%は、好ましくは、5.1重量%以下である。より好ましくは、5.0重量%以下である。発泡剤40の樹脂層30に対する重量%が0.9重量%未満である場合、十分に発泡剤40の効果が得られない場合がある。発泡剤40の樹脂層30に対する重量%が5.1重量%より大きい場合、発泡剤40が樹脂層30において分離してしまう場合がある。
【0082】
比較例12~15、18、19および比較例22~24の結果から発泡剤40の発泡開始温度は、樹脂層30を構成する樹脂の融点温度よりも所定以上の高さであることが好ましい。発泡剤40の発泡開始温度は、好ましくは、樹脂層30を構成する樹脂の融点温度よりも16℃以上高い。より好ましくは、発泡剤40の発泡開始温度は、樹脂層30を構成する樹脂の融点温度よりも20℃以上高い。発泡剤40の発泡開始温度と樹脂層30を構成する樹脂の融点温度との差が16℃未満である場合、樹脂層30の押出成形時に発泡する場合がある。この場合、粘着層20の表面20Aに凹凸が形成され、粘着強度が低下する。
【0083】
比較例3および比較例20の結果から押出樹脂温度は、融点温度よりも所定温度以上高い必要がある。所定温度は、例えば10℃である。また、比較例25の結果から、粘着層20に発泡性を備える粘着剤を含ませることは脱離安定性を低下させる。
【0084】
実施形態のダイシングシート10の作用について説明する。
ダイシング工程において、ダイシングシート10の粘着層20と半導体ウエハ100とが粘着し、半導体ウエハ100が保持および保護される。半導体ウエハ100は、ダイシングソーにより切削され、半導体チップ101が複数形成される。半導体チップ101と粘着するダイシングシート10は、加熱されることにより樹脂層30の発泡剤40が発泡する。発泡剤40の発泡により、樹脂層30および粘着層20の表面20Aに凹凸が形成される。表面20Aの凹凸により、表面20Aと半導体チップ101との粘着強度が低下する。一例では、粘着強度は0.1N/15mm未満である。このため、ダイシングシート10と半導体チップ101とが容易に剥離する。
【0085】
(変形例)
実施の形態に関する説明は本発明に従うダイシングシートが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うダイシングシートは実施の形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0086】
・ダイシングシート10の粘着層20を保護する保護層をさらに備えていてもよい。保護層は、粘着層20の内側に積層され半導体ウエハが配置されるまでの間、粘着層20を保護する。保護層は、例えばPET、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、または、合成紙により構成される。
【0087】
・粘着層20は、さらに加熱以外の手段により半導体チップ101と剥がれるように構成されていてもよい。一例では、粘着層20は、紫外線の照射により粘着層20の表面20Aと半導体チップ101とが剥がれるように構成される。粘着層20は紫外線の照射により立体構造が変化するように構成される。
・所定の対象は、別の例ではセラミックコンデンサや発振子などの電気系物品、液晶太陽電池、プリント基板の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0088】
・支持層50は、金属と接着する接着層および接着層を保護する保護層をさらに備えていてもよい。接着層は、感圧粘着剤を含む。保護層は、接着層を保護する。
【符号の説明】
【0089】
10 …ダイシングシート
20 …粘着層
30 …樹脂層
40 …発泡剤
50 …支持層
100…半導体ウエハ
101…半導体チップ