(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240730BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240730BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20240730BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240730BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04N1/387
G06T1/00 510
B41J2/525
B41J21/00 Z
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2020098627
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゼル・オゾン
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-069936(JP,A)
【文献】特開2006-186485(JP,A)
【文献】特開2019-139383(JP,A)
【文献】特開2008-146227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
G06T 1/00
B41J 2/525
B41J 21/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより操作される操作部と、
カラー原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取ったカラー原稿画像を記憶する記憶部と、
記録用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記記憶部に記憶された前記カラー原稿画像からテキストを抽出するテキスト抽出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの色を、当該テキストを構成する文字毎にそれぞれ検出する色検出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの文字と、前記色検出部が検出した色とを対応付けた対応情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
ユーザーにより前記操作部に対して記録用紙の下地色の指定があった場合、前記対応情報を用いて、前記テキストの各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字があるか否かを判定し、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記カラー原稿画像における前記同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更する文字色変更部と、
前記文字色変更部により前記同色の文字の色が変更された変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させる制御部と
、
表示部とを備え、
前記制御部は、
前記変更後のカラー原稿画像をプレビュー画像として前記表示部に表示させ、前記プレビュー画像の表示後に、ユーザーにより前記操作部に対して前記変更後のカラー原稿画像の画像形成の指示があった場合、前記変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させ、
前記画像読取部が読み取ったカラー原稿画像であるオリジナル画像を、前記プレビュー画像と共に並べて前記表示部に表示させ、ユーザーにより前記操作部に対して前記オリジナル画像の画像形成の指示があった場合、前記画像読取部が読み取ったカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させ、ユーザーにより前記操作部に対して前記変更後のカラー原稿画像の画像形成の指示があった場合、前記変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させる、画像形成装置。
【請求項2】
ユーザーにより操作される操作部と、
カラー原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取ったカラー原稿画像を記憶する記憶部と、
記録用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記記憶部に記憶された前記カラー原稿画像からテキストを抽出するテキスト抽出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの色を、当該テキストを構成する文字毎にそれぞれ検出する色検出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの文字と、前記色検出部が検出した色とを対応付けた対応情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
ユーザーにより前記操作部に対して記録用紙の下地色の指定があった場合、前記対応情報を用いて、前記テキストの各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字があるか否かを判定し、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記カラー原稿画像における前記同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更する文字色変更部と、
前記文字色変更部により前記同色の文字の色が変更された変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させる制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、
前記変更後のカラー原稿画像をプレビュー画像として前記表示部に表示させ、前記プレビュー画像の表示後に、ユーザーにより前記操作部に対して前記変更後のカラー原稿画像の画像形成の指示があった場合、前記変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させ、
前記記憶制御部は、前記文字色変更部により色が変更された文字に関する情報を、履歴情報として前記記憶部に記憶させ、
前記制御部は、ユーザーにより前記操作部に対して前記履歴情報の表示指示があった場合、前記履歴情報を前記表示部に表示させる、画像形成装置。
【請求項3】
ユーザーにより操作される操作部と、
カラー原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取ったカラー原稿画像を記憶する記憶部と、
記録用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記記憶部に記憶された前記カラー原稿画像からテキストを抽出するテキスト抽出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの色を、当該テキストを構成する文字毎にそれぞれ検出する色検出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの文字と、前記色検出部が検出した色とを対応付けた対応情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
ユーザーにより前記操作部に対して記録用紙の下地色の指定があった場合、前記対応情報を用いて、前記テキストの各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字があるか否かを判定し、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記カラー原稿画像における前記同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更する文字色変更部と、
前記文字色変更部により前記同色の文字の色が変更された変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させる制御部と、を備え、
前記文字色変更部は、前記記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記同色の文字の色及び当該同色の文字以外の文字の色を全て、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更する、画像形成装置。
【請求項4】
前記文字色変更部は、前記記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記同色の文字の輪郭部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更する、請求項1
又は請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザーにより操作される操作部と、
カラー原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取ったカラー原稿画像を記憶する記憶部と、
記録用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記記憶部に記憶された前記カラー原稿画像からテキストを抽出するテキスト抽出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの色を、当該テキストを構成する文字毎にそれぞれ検出する色検出部と、
前記テキスト抽出部が抽出したテキストの文字と、前記色検出部が検出した色とを対応付けた対応情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
ユーザーにより前記操作部に対して記録用紙の下地色の指定があった場合、前記対応情報を用いて、前記テキストの各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字があるか否かを判定し、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記カラー原稿画像における前記同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更する文字色変更部と、
前記文字色変更部により前記同色の文字の色が変更された変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させる制御部と、を備え、
前記テキスト抽出部は、文字毎にそれぞれ文字のサイズを抽出し、
前記文字色変更部は、前記記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記同色の文字のサイズが予め定められたサイズ以上であるとき、当該同色の文字の輪郭部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更し、前記同色の文字のサイズが予め定められたサイズ未満であるとき、当該同色の文字を囲う周囲領域部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更し、当該周囲領域部分内の文字の色を変更しない、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、読み取ったカラー原稿の文字の色を、指定された下地色の記録用紙に対して見易い色に変更するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、画像読取部によって読み取ったカラー原稿画像を、ユーザーが選択した下地色の記録用紙に画像形成させるというニーズがある。例えば、下記の特許文献1に記載されている画像形成装置では、画像読取部によって記録用紙の下地色を予め読み取り、更に、画像読取部によって読み取ったカラー原稿画像を示す原稿画像データがテキストデータであり、かつ、記録用紙の下地色とカラー原稿の文字の色とが同系色である場合には、文字の色の彩度を高くする方向に色補正して、記録用紙に画像形成させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている画像形成装置では、記録用紙の下地色と、カラー原稿の文字の色とが同系色である場合には、文字の色の彩度を高くする方向に色補正しているが、記録用紙の下地色の彩度が高い場合には、文字の彩度をそれ以上に高くすることが困難であり、記録用紙に画像形成された文字が見にくい場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、カラー原稿の読み取りで得られたカラー原稿画像に記録用紙の下地色と同色の文字が含まれている場合に、当該同色の文字を当該記録用紙に見易い態様で画像形成することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、ユーザーにより操作される操作部と、カラー原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部が読み取ったカラー原稿画像を記憶する記憶部と、記録用紙に画像を形成する画像形成部と、前記記憶部に記憶された前記カラー原稿画像からテキストを抽出するテキスト抽出部と、前記テキスト抽出部が抽出したテキストの色を、当該テキストを構成する文字毎にそれぞれ検出する色検出部と、前記テキスト抽出部が抽出したテキストの文字と、前記色検出部が検出した色とを対応付けた対応情報を前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、ユーザーにより前記操作部に対して記録用紙の下地色の指定があった場合、前記対応情報を用いて、前記テキストの各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字があるか否かを判定し、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記カラー原稿画像における前記同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色又は当該補色に近い色に変更する文字色変更部と、前記文字色変更部により前記同色の文字の色が変更された変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、前記画像形成部により画像形成させる制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カラー原稿の読み取りで得られたカラー原稿画像に記録用紙の下地色と同色の文字が含まれている場合に、当該同色の文字を当該記録用紙に見易い態様で画像形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る画像形成装置における補色印刷処理を概念的に示す図である。
【
図4】(A)は画像形成装置の表示部の表示画面の一例を示す図、(B)は記録用紙の下地色の指定画面の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る補色印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】原稿のスキャン処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】(A)はスキャン開始の指示画面の一例を示す図、(B)はプレビュー表示画面の一例を示す図である。
【
図10】変更後のカラー原稿画像の変更履歴の表示画面の一例を示す図である。
【
図11】第2実施形態の画像形成装置における補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】変更後のカラー原稿画像の記録用紙と同色の文字の輪郭を補色に変更した例を示す図である。
【
図13】第3実施形態の画像形成装置における補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第3実施形態の画像形成装置における補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】変更後のカラー原稿画像の記録用紙と同色の文字の周領域部分を補色に変更した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
図2は、第1実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置10は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。
【0011】
第1実施形態の画像形成装置10は、制御ユニット11(
図2参照)と、表示部12と、給紙部13、操作部14と、タッチパネル15(
図2参照)と、通信部16(
図2参照)と、画像読取部17と、画像形成部18と、記憶部19(
図2参照)とを備える。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0012】
給紙部13は、下地色が白色である記録用紙が収容される給紙カセット13aと、ユーザーが予め選択した下地色(本実施形態では例えば黄色)の記録用紙が収容される給紙カセット13bとを備える。なお、給紙部13は、記録用紙の下地色の種類の数(例えば、黄、赤、シアン(青緑)、マゼンタ(赤紫)、緑、青の6種類)に対応させて複数個(6個)の給紙カセット13bを備えるようにしてもよい。
【0013】
画像読取部17は、例えば、自動原稿送り装置により搬送される原稿又はフラットベッド上に載置された原稿を光学的に読み取るスキャナーとしてのCCD(Charge Coupled Device)を有する読取機構であり、原稿の画像を示す画像データを生成する。例えば、原稿の画像は、上記の読取機構の構成上、外形が矩形状である。
【0014】
画像形成部18は、感光体ドラムの表面を均一帯電させ、感光体ドラムの表面を露光して、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光体ドラムの表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラムの表面のトナー像(画像)を給紙部13から給紙される記録紙に転写して定着部により定着させる。なお、画像形成部18は、特許請求の範囲における印刷部の一例である。
【0015】
具体的には、画像形成部18は、マゼンタ用、シアン用、イエロー用、及びブラック用の画像形成ユニットを備えている。カラー印刷を行う場合、マゼンタ用の画像形成ユニット、シアン用の画像形成ユニット、イエロー用の画像形成ユニット、及びブラック用の画像形成ユニットは、それぞれに、上記画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光、及び現像の工程により、静電潜像が形成される感光体ドラム上にトナー像を形成し、当該トナー像を一次転写ローラーにより中間転写ベルト上に転写させる。
【0016】
中間転写ベルト上に転写される上記各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。二次転写ローラーは、中間転写ベルトの表面に形成された当該カラーのトナー像を、中間転写ベルトを挟んで駆動ローラーとのニップ部において、給紙部13から図示しない搬送機構(複数の搬送ローラーなどで構成されている)により搬送されてきた用紙に転写させる。この後、定着部が、用紙上のトナー像を、熱圧着により用紙に定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの用紙は、排紙トレイ181(
図1参照)に排出される。
【0017】
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機EL(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどの表示装置である。
【0018】
操作部14は、ユーザーからの操作指示の入力を受け付ける操作パネルであり、メニューを呼び出すメニューキー、メニューを構成するGUI(Graphical User Interface)におけるフォーカスを移動させる矢印キー、メニューを構成するGUIに対して確定操作を行う決定キー、スタートキーなどのハードキーを備える。また、操作部14は、表示部12を備える。
【0019】
タッチパネル15は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式等のタッチパネルである。タッチパネル15は、表示部12の画面に配置され、表示部12の画面に対する指などの接触をその接触位置と共に検知する。タッチパネル15は、指などの接触を検知すると、その接触位置の座標を示す検知信号を制御ユニット11の制御部21などに出力する。従って、タッチパネル15は、表示部12の画面に対するユーザー操作が入力される操作部としての役割を果たす。
【0020】
通信部16は、通信モジュールを備える通信インターフェイスであり、LAN(Local Area Network)や公衆回線などからなるネットワークNを通じて、情報処理装置30(例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、携帯情報端末など)との間でデータ送受信を行う。
【0021】
記憶部19は、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置である。また、記憶部19は、例えば、画像読取部17が読み取った原稿の画像を記憶する。
【0022】
図3は、第1実施形態に係る画像形成装置における補色印刷処理を概念的に示す図である。補色印刷処理とは、読み取ったカラー原稿中の文字の色を記録用紙の下地色の補色に変更して印刷する処理のことである。
図3に示すカラー原稿G1には、「Romel … paint.」のテキストが含まれており、当該テキストのうち、「artist」の単語W1と「Paris to Tokyo」の単語W2とが黄色、「sculpting」の単語W3が紫色、「loves」の単語W4が赤色、それ以外の文字が黒色であるとする。
【0023】
図3に示すように、第1実施形態の画像形成装置10では、カラー原稿G1が画像読取部17によって読み取られ、読み取られたカラー原稿画像GM1が記憶部19に記憶される。また、画像形成装置10では、ユーザーにより記録用紙の下地色(本実施形態では、断りがない限り、「黄色」とする。)が予め指定される。そして、画像形成装置10では、カラー原稿画像GM1において、記録用紙の下地色と同色である文字が含まれるか否かを判定し、カラー原稿画像GM1において例えば記録用紙の下地色と同色である文字を、記録用紙の下地色の補色(例えば、「黄色」の反対色である「青紫色」)に変更した変更後のカラー原稿画像CGM1を生成する。そして、画像形成装置10では、変更後のカラー原稿画像CGM1を、ユーザーにより指定された下地色(「黄色」)の記録用紙に画像形成させた印刷原稿P1を出力することが可能となっている。以下に、第1実施形態の画像形成装置10の構成について、詳細に説明する。
【0024】
制御ユニット11は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU、ASICである。この制御ユニット11は、記憶部19に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部21、テキスト抽出部22、色検出部23、記憶制御部24、及び文字色変更部25として機能する。なお、制御ユニット11の上記制御部21、テキスト抽出部22、色検出部23、記憶制御部24、及び文字色変更部25は、上記制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0025】
制御部21は、画像形成装置10の全体的な動作制御を司る。
図4(A)は、画像形成装置の表示部の表示画面の一例を示す図である。例えば、制御部21は、
図4(A)に示す操作画面を表示部12に表示させる。制御部21は、
図4(A)に示す操作画面へのユーザーによるタッチ操作に従って、コピー、印刷、スキャン、ファクシミリ、及び補色フォントカラーコピーなどの各種の実行処理に関する制御を行う。
【0026】
制御部21は、
図4(A)に示す操作画面における「補色フォントカラーコピー」と表示されたキーKBへのユーザーによるタッチ操作があると、
図4(B)に示す記録用紙の下地色の指定画面を表示部12に表示させる。
【0027】
図4(B)に示す指定画面には、記録用紙の下地色を指定するためのキーであって、「黄」、「赤」、「シアン(青緑)」、「マゼンタ(赤紫)」、「緑」、「青」、「黒」、「他の色」と表示された各キーKB11~KB18が表示されている。制御部21は、各キーKB11~KB18の何れかへのユーザーによるタッチ操作があると、タッチ操作がされたキーが選択された状態であることを示すチェックマークCKを表示させる。ここでは、ユーザーにより、「黄」を示すキーKB11へのタッチ操作がされたとして、以下、説明する。
【0028】
また、
図4(B)に示す指定画面には、補色対象を指定するためのキーであって、補色対象の文字が全ての文字であることを示す「全文字」と表示されたキーKB21と、補色対象の文字が全てのカラー文字であることを示す「全カラー文字」と表示されたキーKB22と、補色対象の文字が記録用紙の下地色と同色の文字であることを示す「同色文字のみ」と表示されたキーKB23とが表示されている。制御部21は、各キーKB21~KB23の何れかへのユーザーによるタッチ操作があると、当該タッチ操作がされたキーが選択された状態であることを示すチェックマークCKを表示させる。
【0029】
テキスト抽出部22は、記憶部19に記憶されたカラー原稿画像GM1からテキストを抽出する。例えば、テキスト抽出部22は、
図3に示すカラー原稿画像GM1に対して、既知のOCR(optical character recognition)処理を行うことにより解析して、カラー原稿画像GM1に含まれるテキストとそのテキストの位置情報とを関連付けて抽出する。
図3に示すカラー原稿画像GM1の場合には、テキスト抽出部22は、「Romel is an artist.He likes draw and done lots of exhibits from Paris to Tokyo. 」と、「He specializes in sculpting but sometime he also loves to paint.」の各文字からなるテキストを抽出し、当該テキストの各文字の位置情報を関連付けて抽出する。
図3に示すカラー原稿画像GM1について言えば、上辺の長さ方向が横方向(X方向)であり、左辺の長さ方向が縦方向(Y方向)であり、左上角の画素位置が原点(0,0)で、右上角の画素位置が原点(x,0)で、左下角の画素位置が原点(0,y)で、右下角の画素位置が原点(x,y)である。
【0030】
色検出部23は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの色を、当該テキストの文字毎にそれぞれ検出する。例えば、色検出部23は、カラー原稿画像GM1において、テキスト抽出部22が抽出したテキストの各文字の位置情報が示す箇所の画素の色を、当該文字の色として検出することにより、全ての文字の色をそれぞれ検出する。ここでは、「artist」と「Paris to Tokyo」とが黄色、「sculpting」が紫色、「loves」が赤色、それ以外の文字が黒色であることが検出される。なお、テキスト抽出部22が既知のカラー方式のOCR処理を行うことにより、テキスト抽出部22がカラー原稿画像GM1に含まれるテキストとそのテキストの位置情報とテキストの色とを関連付けて抽出し、色検出部23は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの各文字の色を取得することで、全ての文字の色を特定するとしてもよい。
【0031】
記憶制御部24は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの複数の文字と、各位置情報と、色検出部23が検出した色とを対応付けた対応情報を、記憶部19に記憶させる。
【0032】
また、記憶部19は、補色特定テーブルを予め記憶している。補色特定テーブルには、例えば、赤、オレンジ、黄、黄緑、緑、シアン(青緑)、青、青紫、紫、マゼンタ(赤紫)の10色についての各補色が対応付けて記憶されている。すなわち、赤とシアン(青緑)とは補色関係にあり、オレンジと青とは補色関係にあり、黄と青紫とは補色関係にあり、黄緑と紫とは補色関係にあり、緑とマゼンタ(赤紫)とは補色関係にあることがそれぞれ記憶されている。
【0033】
文字色変更部25は、ユーザーにより操作部14に対して記録用紙の下地色の指定があった場合、対応情報を用いて、複数の文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字があるか否かを判定する。例えば、文字色変更部25は、記録用紙の下地色と、記憶部19に記憶されたテキストの各文字の色とが一致するか否かを判定する。
【0034】
そして、文字色変更部25は、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更する。例えば、文字色変更部25は、記憶部19の補色特定テーブルを用いて、記録用紙の下地色の補色を特定し、カラー原稿画像の各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字を、当該特定した補色に変更することで、変更後のカラー原稿画像を生成する。例えば、文字色変更部25は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの各文字の位置情報を用いて、カラー原稿画像における記録用紙の下地色と同色の文字の位置を特定し、この特定した位置の文字部分の色を補色に変更することで、変更後のカラー原稿画像を生成すればよい。また、文字色変更部25は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの各文字のうちで記録用紙の下地色と同色の文字の色を補色に変更した変更後テキストを、テキスト抽出部22が抽出したテキストの各文字の位置情報を用いて、カラー原稿画像と同一サイズで透明とされたテンプレート画像上に重ね合わせることで、変更後のカラー原稿画像を生成してもよい。
【0035】
記憶制御部24は、文字色変更部25により色が変更された文字に関する情報を、履歴情報として記憶部19に記憶させる。
【0036】
制御部21は、文字色変更部25により前記同色の文字の色が変更された変更後のカラー原稿画像を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、画像形成部18により画像形成させる。
【0037】
続いて、画像形成装置10による補色印刷処理の一例について説明する。
図5は、第1実施形態に係る補色印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示す補色印刷処理は、原稿のスキャン処理(S1)と、補色フォントカラー処理(S2)と、印刷処理(S3)とからなる。
図5に示す各処理について、
図6~
図8を用いて詳細に説明する。
【0038】
図6は、原稿のスキャン処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
図8は、印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0039】
制御部21は、表示部12に
図4(A)に示す表示画面が表示された状態において、ユーザーが「補色フォントカラーコピー」と表示されたキーKBをタッチ操作すると、
図5に示す補色印刷処理を開始する。具体的には、ユーザーがキーKBをタッチ操作すると、タッチパネル15は、キーKBのタッチ操作を受け付け、補色印刷処理の開始信号を制御部21に出力する。制御部21は、タッチパネル15からの補色印刷処理の開始信号に基づいて原稿のスキャン処理(S1)を開始し、
図4(B)に示す補色フォントカラーコピーの指定画面を表示部12に表示させる。
【0040】
制御部21は、記録用紙の下地色の指定の有無を判定する(S11)。例えば、制御部21は、
図4(B)に示すように、記録用紙の下地色を指定するための各キーKB11~KB18のいずれか1つ(ここでは、「黄」を示すキーKB11)がユーザーによりタッチ操作され、下地色の指定ありと判定し(S11でYES)、タッチ操作されたキーKB11が示す「黄色」を記録用紙の下地色として記憶部19に設定する(S12)。一方、制御部21は、各キーKB11~KB18のいずれかへのタッチ操作がない場合(S11でNO)、S11に戻り、タッチ操作がされるまで待機する。
【0041】
制御部21は、補色対象の文字の指定を判定する(S13)。例えば、制御部21は、
図4(B)に示すように、各キーKB21~KB23の何れかへのユーザーによるタッチ操作があり、補色対象の文字の指定ありと判定し(S13でYES)、当該タッチ操作がされたキーが選択された状態であることを示すチェックマークCKを表示させる。ここでは、ユーザーにより、「同色文字のみ」と表示されたキーKB23へのタッチ操作がされ、キーKB23が選択された状態であることを示すチェックマークCKが表示されたとする。制御部21は、補色対象の文字として、「記録用紙の下地色と同色文字のみ」を、記憶部19に設定する(S14)。一方、制御部21は、各キーKB21~KB23のいずれかへのタッチ操作がない場合(S13でNO)、S13に戻り、タッチ操作がされるまで待機する。
【0042】
制御部21は、S14のあと、ユーザーが、
図4(B)に示す「次へ」と表示されたキーKB24をタッチ操作すると、
図9(A)に示すスキャン開始の指示画面を表示部12に表示させる。
図9(A)に示すスキャン開始の指示画面には、「カラー原稿を原稿トレイにセットした後、スキャン開始ボタンをタッチしてください。」のメッセージM11が表示されている。
【0043】
続いて、ユーザーは、
図1に示す原稿トレイ1に、
図3に示す1枚のカラー原稿G1をセットする。
【0044】
制御部21は、
図9(A)に示す「スキャン開始」と表示されたキーKB31がユーザーによりタッチ操作されると、原稿トレイ1からカラー原稿G1を自動原稿送り装置により引き出させて、カラー原稿G1を画像読取部17に読み取らせ(S15)、カラー原稿G1が排出トレイ2に排出される。
【0045】
そして、制御部21は、画像読取部17が読み取った
図3に示すカラー原稿画像GM1を、記憶部19に記憶させ(S16)、
図6に示す処理を終了させる。なおここでは、使用済み用紙は1枚のカラー原稿G1としているが、複数枚であってもよい。複数枚の原稿である場合には、複数枚の原稿毎に画像が読み取られ、複数の原稿の画像が取得され、複数の画像が記憶部19に記憶される。
【0046】
制御部21は、
図5に戻って、補色フォントカラー処理(S2)を実行する。補色フォントカラー処理について、
図7を用いて説明する。
【0047】
制御部21は、記憶部19に記憶されたカラー原稿画像GM1を読み出し、この読み出したカラー原稿画像GM1の背景部分(すなわち、テキスト以外の部分)を無色(例えば透明)に変更する(S21)。このため、カラー原稿画像GM1の背景部分についてトナーを使用しないので、トナー消費を低減することができ、黄色の記録用紙の下地の色合いが異なることも防止できる。なお、S21については、行わないとしてもよい。
【0048】
テキスト抽出部22は、カラー原稿画像GM1に対して、既知のOCR処理を行うことにより解析して、カラー原稿画像GM1に含まれるテキストの各文字とそのテキストの各文字の位置情報とを関連付けて抽出する(S22)。
【0049】
色検出部23は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの色を、当該テキストを構成する複数の文字毎にそれぞれ検出する(S23)。ここでは、色検出部23は、
図3に示すカラー原稿画像GM1のテキストの各文字について、「artist」と「Paris to Tokyo」とが黄色、「sculpting」が紫色、「loves」が赤色、それ以外の文字が黒色であると検出する。
【0050】
記憶制御部24は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの複数の文字と、各位置情報と、色検出部23が検出した色とを対応付けた対応情報を、記憶部19に記憶させる(S24)。例えば、
図3に示すカラー原稿画像GM1のテキストの各文字のうち「artist」について言えば、「artist」と、その各文字の位置情報と、その各文字の色が「黄色」であることを示す色情報とが対応付けられた対応情報が、記憶部19に記憶されている。
【0051】
文字色変更部25は、記憶部19に記憶されている記録用紙の下地色(ここでは黄色)と、記憶部19に記憶されている対応情報とを用いて、記録用紙の下地色(黄色)と、記憶部19に記憶されたテキストの各文字の色(黄色、紫色、赤色、及び黒色の4色)とが一致するか否かを判定する(S25)。
【0052】
そして、文字色変更部25は、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると(S25でYES)、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が、「全文字」、「全カラー文字」及び「同色文字のみ」の何れであるかを判定する(S26)。ここでは、前述したように、記憶部19には、補色対象の文字として、「記録用紙の下地色と同色文字のみ」が設定されているため、「補色対象の文字」が「同色文字のみ」であると判定する(S26で「同色文字のみ」)。
【0053】
文字色変更部25は、記録用紙の下地色(黄色)と同色の文字(
図3では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字)の色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S27A)。例えば、文字色変更部25は、記憶部19の補色特定テーブルを用いて、記録用紙の下地色である「黄色」の補色が「青紫」であることを特定し、カラー原稿画像GM1の各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字(
図3では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字)を、当該特定した補色である「青紫」の色に変更することで、変更後のカラー原稿画像CGM1を生成する。なおここでは、文字色変更部25は、
図3に示すカラー原稿画像GM1の各文字のうちで、紫色の文字である「sculpting」、赤色の文字である「loves」、及び、黒色の文字については、色変更を行わない。すなわち、変更後のカラー原稿画像CGM1の紫色、赤色及び黒色の文字は、色変更されずにそのままとされている。
【0054】
記憶制御部24は、文字色変更部25により色が変更された文字(
図3では、「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字)に関する情報(黄色とされていた「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字の色が、補色である青紫色に変更されたことを示す情報)を、履歴情報として記憶部19に記憶させる。
【0055】
そして、制御部21は、変更後のカラー原稿画像CGM1のプレビュー画像を生成し(S28)、
図9(B)に示すように、プレビュー画像PG2を含むプレビュー表示画面を表示部12に表示させる(S29)。
図9(B)は、プレビュー表示画面の一例を示す図である。また、制御部21は、
図9(B)に示すように、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1であるオリジナル画像のプレビュー画像PG1を、変更後のカラー原稿画像CGM1のプレビュー画像PG2と共に並べて表示部12に表示させる。
【0056】
オリジナル画像のプレビュー画像PG1は、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1自体を示す画像であるため、「artist」と「Paris to Tokyo」とが黄色、「sculpting」が紫色、「loves」が赤色、それ以外の文字が黒色で表示されている。一方、変更後のカラー原稿画像CGM1のプレビュー画像PG2は、文字色変更部25により、記録用紙の下地色(黄色)と同色の文字の色が補色に変更された画像であるため、「artist」と「Paris to Tokyo」とが黄色の補色である青紫に変更され、「sculpting」が紫色、「loves」が赤色、それ以外の文字が黒色のままで表示されている。
【0057】
一方、S26において、文字色変更部25は、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が「全カラー文字」である場合に、補色対象の文字が、「全てのカラー文字」であると判定する(S26で「全てのカラー文字」)。そして、文字色変更部25は、カラー原稿画像GM1のテキストの各文字のうちで黒色以外のカラー文字(
図3では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字、「紫色とされている「sculpting」の各文字、及び、赤色とされている「loves」の各文字)の色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S27B)。例えば、文字色変更部25は、記憶部19の補色特定テーブルを用いて、記録用紙の下地色である「黄色」の補色が「青紫」であることを特定し、カラー原稿画像GM1の各文字のうちでカラー文字を、当該特定した補色である「青紫」の色に変更することで、変更後のカラー原稿画像CGM1を生成する。なおここでは、文字色変更部25は、
図3に示すカラー原稿画像GM1の各文字のうちで、黒色の文字については、色変更を行わない。すなわち、変更後のカラー原稿画像CGM1の黒色の文字は、色変更されずにそのままとされている。
【0058】
記憶制御部24は、文字色変更部25により色が変更された文字(
図3では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字、「紫色とされている「sculpting」の各文字、及び、赤色とされている「loves」の各文字)に関する情報(
図3では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字、「紫色とされている「sculpting」の各文字、及び、赤色とされている「loves」の各文字の色が、記録用紙の下地色の補色である青紫色に変更されたことを示す情報)を、履歴情報として記憶部19に記憶させる。
【0059】
他方、S26において、文字色変更部25は、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が「全文字」である場合に、補色対象の文字が、「全ての文字」であると判定する(S26で「全文字」)。そして、文字色変更部25は、カラー原稿画像GM1のテキストの全文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S27C)。例えば、文字色変更部25は、記憶部19の補色特定テーブルを用いて、記録用紙の下地色である「黄色」の補色が「青紫」であることを特定し、カラー原稿画像GM1の全文字を、当該特定した補色である「青紫」の色に変更することで、変更後のカラー原稿画像CGM1を生成する。なおここでは、文字色変更部25は、
図3に示すカラー原稿画像GM1の全文字(黄色、紫色、赤色、及び黒色の全文字)について、青紫色に色変更されている。
【0060】
記憶制御部24は、文字色変更部25により色が変更された全文字に関する情報(
図3では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字、「紫色とされている「sculpting」の各文字、赤色とされている「loves」の各文字、及び、黒色とされている他の文字の色が、記録用紙の下地色の補色である青紫色に変更されたことを示す情報)を、履歴情報として記憶部19に記憶させる。
【0061】
制御部21は、S29のあと、
図7に示す処理を終了させる。
【0062】
制御部21は、
図5に戻って、印刷処理(S3)を実行する。印刷処理について、
図8を用いて説明する。
【0063】
制御部21は、変更後のカラー原稿画像CGM1を選択したか否かを判定する(S31)。例えば、制御部21は、オリジナル画像のプレビュー画像PG1、又は、変更後のカラー原稿画像CGM1のプレビュー画像PG2の何れを選択したかを判定する。具体的には、
図9(B)に示すように、制御部21は、変更後のカラー原稿画像CGM1のプレビュー画像PG2へのユーザーによるタッチ操作があると、タッチ操作がされたプレビュー画像PG2が選択された状態であることを示すチェックマークCKを表示させ、変更後のカラー原稿画像CGM1を選択したと判定する(S31でYES)。
【0064】
そして、制御部21は、変更後のカラー原稿画像CGM1を選択したと判定し(S31でYES)、印刷開始指示の有無を判定する(S32)。制御部21は、ユーザーにより操作部14に対して変更後のカラー原稿画像CGM1の画像形成の指示があった場合(S32でYES)、例えば、
図9(B)に示す「印刷開始」と表示されたキーKB41がユーザーによりタッチ操作された場合、変更後のカラー原稿画像CGM1の印刷を実行する。具体的には、制御部21は、給紙カセット13bに収容されている下地色(黄色)の記録用紙が図示しない搬送機構(複数の搬送ローラーなどで構成されている)により搬送されて、画像形成部18により、下地色(黄色)の記録用紙に変更後のカラー原稿画像CGM1を画像形成させる(S33)。この場合は、「artist」と「Paris to Tokyo」とが記録用紙の下地色(黄色)の補色である青紫色に変更されているので、青紫色の「artist」及び「Paris to Tokyo」は、下地色(黄色)の記録用紙に対して見易くなっている。また、色変更されていない他の各文字については、「sculpting」が紫色、「loves」が赤色、それ以外の文字が黒色のままであるので、下地色(黄色)の記録用紙に対して識別可能であり、見にくいことはない。
【0065】
一方、S31において、制御部21は、オリジナル画像のプレビュー画像PG1へのユーザーによるタッチ操作があると、タッチ操作がされたプレビュー画像PG1が選択された状態であることを示すチェックマークCKを表示させ、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1であるオリジナル画像を選択したと判定する(S31でNO)。
【0066】
そして、制御部21は、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1であるオリジナル画像を選択したと判定し(S31でNO)、印刷開始指示の有無を判定する(S34)。制御部21は、ユーザーにより操作部14に対してオリジナル画像の画像形成の指示があった場合(S34でYES)、例えば、
図9(B)に示す「印刷開始」と表示されたキーKB41がユーザーによりタッチ操作された場合、記録用紙の下地色と同色の文字が見難くなる旨の警告表示を表示部12に表示させる(S35)。
【0067】
この警告表示を見たユーザーが、オリジナル画像の画像形成の指示をした場合、制御部21は、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1の印刷を実行する。具体的には、制御部21は、給紙カセット13bに収容されている下地色(黄色)の記録用紙が図示しない搬送機構(複数の搬送ローラーなどで構成されている)により搬送されて、画像形成部18により、下地色(黄色)の記録用紙に、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1を画像形成させる(S36)。この場合は、「artist」と「Paris to Tokyo」とが黄色のままであり、「artist」及び「Paris to Tokyo」の色は、記録用紙と同じであるため、黄色で示されている「artist」及び「Paris to Tokyo」が見にくい。
【0068】
なおここでは、制御部21は、オリジナル画像の画像形成を実行させているが、オリジナル画像の画像形成を禁止させてもよい。
【0069】
ところで、制御部21は、ユーザーにより操作部14に対して履歴情報の表示指示があった場合、プレビュー画像中の履歴情報を表示部12に表示させる。例えば、制御部21は、
図9(B)に示すプレビュー表示画面において、履歴情報表示を示すキーKB43がユーザーによりタッチ操作されると、
図10に示す表示画面を表示部12に表示させる。
図10は、変更後のカラー原稿画像の変更履歴の表示画面の一例を示す図である。制御部21は、記憶部19から履歴情報を読み出し、履歴情報を例えばホップアップ表示PU1、PU2で表示させる。ホップアップ表示PU1は、黄色とされていた「artist」の各文字が、補色である青紫色に変更されたことを示す履歴情報を表示するものである。また、ホップアップ表示PU2は、黄色とされていた「Paris to Tokyo」の各文字の色が、補色である青紫色に変更されたことを示す履歴情報を表示するものである。
【0070】
制御部21は、
図8に示すように、S33のあと、又は、S36のあと、
図8に示す処理を終了させ、
図5に示す処理を終了させる。
【0071】
このように、上記第1実施形態によれば、画像読取部17は、カラー原稿G1の画像を読み取る。テキスト抽出部22は、カラー原稿画像GM1からテキストを抽出する。色検出部23は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの色を、当該テキストの文字毎にそれぞれ検出する。記憶制御部24は、テキスト抽出部22が抽出したテキストの複数の文字と、色検出部23が検出した色とを対応付けた対応情報を記憶部19に記憶させる。文字色変更部25は、ユーザーにより操作部14に対して記録用紙の下地色の指定があった場合、対応情報を用いて、複数の文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字があるか否かを判定し、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、カラー原稿画像GM1における前記同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更する。制御部21は、文字色変更部25により同色の文字の色が変更された変更後のカラー原稿画像CGM1を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、画像形成部18により画像形成させる。これにより、カラー原稿G1の読み取りで得られたカラー原稿画像GM1に記録用紙の下地色と同色の文字が含まれている場合に、当該同色の文字を、記録用紙の下地色の補色に変更した変更後のカラー原稿画像CGM1を、当該記録用紙に画像形成することができる。
【0072】
また、制御部21は、変更後のカラー原稿画像CGM1をプレビュー画像PG2として表示部12に表示させ、プレビュー画像PG2の表示後に、ユーザーにより操作部14に対して変更後のカラー原稿画像CGM1の画像形成の指示があった場合、変更後のカラー原稿画像CGM1を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、画像形成部18により画像形成させる。このため、変更後のカラー原稿画像CGM1を示すプレビュー画像PG2をユーザーが事前に確認した上で、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙への変更後のカラー原稿画像CGM1の画像形成を実行させることができる。
【0073】
また、制御部21は、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1であるオリジナル画像を示すプレビュー画像PG1を、変更後のカラー原稿画像CGM1を示すプレビュー画像PG2と共に並べて表示部12に表示させるので、オリジナル画像を示すプレビュー画像PG1と、プレビュー画像PG2とを比較して事前に確認することができる。そして、ユーザーにより操作部14に対してオリジナル画像の画像形成の指示があった場合、画像読取部17が読み取ったカラー原稿画像GM1を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、画像形成部18により画像形成させるので、指定された下地色の記録用紙に、オリジナル画像を画像形成させることができる。また、ユーザーにより操作部14に対して変更後のカラー原稿画像CGM1の画像形成の指示があった場合、変更後のカラー原稿画像CGM1を、ユーザーにより指定された下地色の記録用紙に、画像形成部18により画像形成させるので、指定された下地色の記録用紙に、変更後のカラー原稿画像CGM1を画像形成させることができる。
【0074】
また、記憶制御部24は、文字色変更部25により色が変更された文字に関する情報を、履歴情報として記憶部19に記憶させる。制御部21は、ユーザーにより操作部14に対して履歴情報の表示指示があった場合、履歴情報を表示部12に表示させる。このため、変更後のカラー原稿画像CGM1において色が変更された文字を、他の文字とは区別して表示することができ、ユーザーに色が変更された文字を知らせることができる。
【0075】
また、文字色変更部25は、記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、同色の文字の色及び当該同色の文字以外の文字の色を全て、記録用紙の下地色の補色に変更する。このため、変更後のカラー原稿画像CGM1では全ての文字を、記録用紙の下地色に対して見易くすることができる。
【0076】
次に、第2実施形態に係る画像形成装置10について説明する。
図11は、第2実施形態の画像形成装置における補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
第1実施形態では、カラー原稿G1の読み取りで得られたカラー原稿画像GM1に記録用紙の下地色と同色の文字が含まれている場合に、当該同色の文字を、記録用紙の下地色の補色に変更しているが、第2実施形態では、当該同色の文字の輪郭部分の色を、記録用紙の下地色の補色に変更する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、上記第1実施形態で説明した構成要素と同じものには同じ番号を付し、説明を省略する。
【0078】
文字色変更部25は、記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、前記同色の文字の輪郭部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更する。例えば、前記同色の文字の輪郭部分としては、当該同色の文字を構成する複数の画素のうちで、当該文字の輪郭位置に位置する画素で構成される領域、又は、それに加えて、当該輪郭位置に位置する画素に隣接する予め定められた数で構成される領域とすればよい。このため、1又は複数の画素分の幅を持った輪郭部分の色を補色とすることができる。
【0079】
図11に示す第2実施形態の補色フォントカラー処理では、
図7に示す第1実施形態の処理のS27A~S27Cに替えて、S41A~S41Cを採用している点が異なる。このため、
図11に示す第2実施形態の補色フォントカラー処理において、S41A~S41Cについて詳細に説明する。
【0080】
文字色変更部25は、
図11に示すように、「補色対象の文字」が「同色文字のみ」であると判定すると(S26で「同色文字のみ」)、記録用紙の下地色(黄色)と同色の文字(黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字)の輪郭部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S41A)。
【0081】
例えば、文字色変更部25は、記憶部19の補色特定テーブルを用いて、記録用紙の下地色である「黄色」の補色が「青紫」であることを特定し、カラー原稿画像GM1の各文字のうちで当該記録用紙の下地色と同色の文字(
図12では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字)の輪郭部分の色を、当該特定した補色である「青紫」の色に変更することで、変更後のカラー原稿画像CGM1を生成する。
図12は、変更後のカラー原稿画像の記録用紙と同色の文字の輪郭を補色に変更した例を示す図である。
【0082】
図12は、黄色とされている「artist」の最初の文字である「a」を拡大して示し、「a」の輪郭部分PLの色を補色に変更していることを説明している。文字色変更部25は、
図12に示すように、「a」の輪郭部分PLの色を、記録用紙の下地色(黄色)の補色である青紫色に変更している。なお、文字色変更部25は、黄色とされている「artist」の「a」以外の各文字、及び、「Paris to Tokyo」の各文字の輪郭部分PLの色を補色である青紫色に変更している。
【0083】
なおここでは、文字色変更部25は、
図12に示すカラー原稿画像GM1の各文字のうちで、紫色の文字である「sculpting」、赤色の文字である「loves」、及び、黒色の文字については、色変更を行なわない。すなわち、
図12に示す変更後のカラー原稿画像CGM1の紫色、赤色及び黒色の文字は、色変更されずにそのままとされている。
【0084】
一方、S26において、文字色変更部25は、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が「全カラー文字」である場合に、補色対象の文字が、「全てのカラー文字」であると判定する(S26で「全てのカラー文字」)。そして、文字色変更部25は、カラー原稿画像GM1のテキストの各文字のうちで黒色以外のカラー文字(
図3では、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字、「紫色とされている「sculpting」の各文字、及び、赤色とされている「loves」の各文字)の輪郭部分PLの色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S27B)。
【0085】
他方、S26において、文字色変更部25は、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が「全文字」である場合に、補色対象の文字が、「全ての文字」であると判定する(S26で「全文字」)。そして、文字色変更部25は、カラー原稿画像GM1のテキストの全文字の輪郭部分PLの色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S41C)。
【0086】
上記第2実施形態によれば、文字色変更部25は、記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、同色の文字の輪郭部分PLの色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更する。すなわち、記録用紙の下地色と同色の文字については、その輪郭のみが記録用紙の下地色の補色に変更され、輪郭よりも内側部分については色変更がされない。このため、変更後のカラー原稿画像では、記録用紙の下地色と同色の文字の輪郭のみ色変更することで、文字本来の色を残しつつ、記録用紙の下地色に対して見易くすることができる。
【0087】
次に、第3実施形態に係る画像形成装置10について説明する。
【0088】
第3実施形態では、記録用紙の下地色と同色の文字のサイズ(フォントサイズ)が予め定められたサイズ(例えば、10ポイント=3.5mm)以上であれば、当該文字の輪郭部分PLの色を補色に変更し、予め定められたサイズ未満であれば、当該同色の文字を囲う矩形状の周囲領域部分の色を、記録用紙の下地色(黄色)の補色に変更する点が、第2実施形態とは異なっている。なお、上記第2実施形態で説明した構成要素と同じものには同じ番号を付し、説明を省略する。
【0089】
図13は、第3実施形態の画像形成装置における補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
図14は、第3実施形態の画像形成装置における補色フォントカラー処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
図13に示す第3実施形態の補色フォントカラー処理では、
図11に示す第2実施形態の処理に対して、
図11に示すS22に替えてS22Aとし、S25でYESのあとにS42の処理が追加され、S42でNOの場合の
図14に示す処理が追加されている点が、第2実施形態とは異なる。このため、
図13に示す第3実施形態の補色フォントカラー処理のS22A、S42、及び、
図13に示すS51~S52Cの処理について詳細に説明する。
【0091】
テキスト抽出部22は、カラー原稿画像GM1に含まれるテキストの各文字とそのテキストの各文字の位置情報とを関連付けて抽出すると共に、複数の文字毎にそれぞれ文字のサイズを抽出する(
図13のS22A)。
【0092】
文字色変更部25は、記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると(S25でYES)、当該同色の文字のサイズが予め定められたサイズ(例えば、10ポイント=3.5mm)以上であるか否かを判定する(
図13のS42)。
【0093】
文字色変更部25は、
図13に示すように、当該同色の文字のサイズが予め定められたサイズ以上であるとき(S42でYES)、前述の第2実施形態の場合と同様に、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が、「全文字」、「全カラー文字」及び「同色文字のみ」の何れであるかを判定する(S26)。そして、文字色変更部25は、「補色対象の文字」が「同色文字のみ」と判定すると(S26で「同色文字のみ」)、当該同色の文字の輪郭部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更する(S41A)。
【0094】
一方、文字色変更部25は、前記同色の文字のサイズが予め定められたサイズ(例えば、10ポイント=3.5mm)未満であるとき(S42でNO)、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が、「全文字」、「全カラー文字」及び「同色文字のみ」の何れであるかを判定する(
図14のS51)。
【0095】
そして、文字色変更部25は、「補色対象の文字」が「同色文字のみ」と判定すると(S51で「同色文字のみ」)、
図15に示すように、当該同色の文字を囲う周囲領域部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更し(
図14のS52A)、当該周囲領域部分内の文字の色を変更しない。
図15は、変更後のカラー原稿画像の記録用紙と同色の文字の周領域部分を補色に変更した例を示す図である。
【0096】
ここでは、
図3に示したカラー原稿画像のGM1のテキストの各文字が8ポイント(=2.8mm)であったとする。このため、文字色変更部25は、
図15に示すように、黄色とされている「artist」及び「Paris to Tokyo」を囲う矩形状の周囲領域部分PSAの色を補色である青紫色に変更し、当該周囲領域部分PSA内の文字、つまり、「artist」及び「Paris to Tokyo」の文字の色を黄色としたままで変更していないとした変更後のカラー原稿画像のCGM1を生成する。
【0097】
なおここでは、文字色変更部25は、
図15に示す変更後のカラー原稿画像のCGM1の各文字のうちで、紫色の文字である「sculpting」、赤色の文字である「loves」、及び、黒色の文字については、色変更を行なわない。すなわち、
図15に示す変更後のカラー原稿画像CGM1の紫色、赤色及び黒色の文字は、色変更されずにそのままとされている。
【0098】
一方、S51において、文字色変更部25は、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が「全カラー文字」である場合に、補色対象の文字が、「全てのカラー文字」であると判定する(S51で「全てのカラー文字」)。そして、文字色変更部25は、カラー原稿画像GM1のテキストの各文字のうちで黒色以外のカラー文字(
図15において、黄色とされている「artist」と「Paris to Tokyo」の各文字、「紫色とされている「sculpting」の各文字、及び、赤色とされている「loves」の各文字)を囲う周囲領域部分PSAの色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S52B)。
【0099】
他方、S51において、文字色変更部25は、記憶部19に設定された「補色対象の文字」が「全文字」である場合に、補色対象の文字が、「全ての文字」であると判定する(S51で「全文字」)。そして、文字色変更部25は、カラー原稿画像GM1のテキストの全文字を囲う周囲領域部分PSAの色を、当該記録用紙の下地色の補色(青紫)に変更する(S52C)。
【0100】
上記第3実施形態によれば、テキスト抽出部22は、複数の文字毎にそれぞれ文字のサイズを抽出する。文字色変更部25は、記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、同色の文字のサイズが予め定められたサイズ以上であるとき、当該同色の文字の輪郭部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更し、同色の文字のサイズが予め定められたサイズ未満であるとき、当該同色の文字を囲う周囲領域部分の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更し、当該周囲領域部分内の文字の色を変更しない。このように、同色の文字のサイズに応じて、当該同色の文字の輪郭部分又は周囲領域部分の何れの色変更とするのかを適切に決定することができる。すなわち、同色の文字のサイズが大きければ、当該同色の文字の輪郭部分を色変更することで、記録用紙の下地色に対して見易くすることができる。一方、同色の文字のサイズが小さければ、当該同色の文字の輪郭部分の色変更では見易くできないため、当該同色の文字の輪郭部分ではなく、当該同色の文字を囲う周囲領域部分を色変更することで、記録用紙の下地色に対して見易くすることができる。
【0101】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記の各実施形態のうちの1つの実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に追加したり、組み合わせ内容を変更したりしてもよい。
【0102】
上記各実施形態では、文字色変更部25は、当該記録用紙の下地色と同色の文字があると判定すると、同色の文字の色を、当該記録用紙の下地色の補色に変更しているが、補色に近い色に変更してもよい。例えば、黄色の補色は青紫であるが、青紫に近い色(例えば、青色又は紫色など)に変更してもよい。補色に近い色とは、予め定められた複数の色で構成される色相環において当該補色の隣に位置する色のことである。例えば、黄、赤、シアン(青緑)、マゼンタ(赤紫)、緑、青の6種類で構成される色相環であれば、記録用紙の下地色(例えば、黄色)の補色(例えば、青紫色)の隣に位置する色(例えば、青又は紫など)としてもよい。
【0103】
なお、上記各実施形態において、画像形成部18は、更に、白トナーを付着させるための白色用の画像形成ユニットを備えるとしてもよい。これによれば、白色の文字などを、下地色が白色以外の記録用紙(特に、下地色が黒色などの記録用紙)に画像形成することが可能になる。具体的には、カラー原稿中に黒色の文字があり、ユーザーが指定した下地色が黒色である記録用紙に画像形成させる場合に、カラー原稿中に黒色の文字を、黒色の記録用紙とは補色(つまり、反対色)の白色の文字に変更して、この補色変更後のカラー原稿を黒色である記録用紙に画像形成させることができる。
【0104】
なお、上記各実施形態の画像形成装置10において、給紙カセット13bは、収容された記録用紙の色を検出する既知のカラーセンサーを備えてもよい。カラーセンサーからの検出信号(RGB信号)が制御ユニット11に出力される。例えば、カラーセンサーは、黄色の記録用紙が収容されている場合に、黄色を示すRGB信号を制御ユニット11に出力する。そして、
図8に示すS33の印刷処理を開始する前に、制御部21は、記憶部19に設定された記録用紙の下地色である「黄色」と、カラーセンサーからのRGB信号が示す「黄色」とが一致すると判定した場合に、
図8に示すS33の印刷処理、すなわち、変更後のカラー原稿画像CGM1を、下地色が黄色である記録用紙に画像形成(印刷)を実行するようにしてもよい。
【0105】
上記各実施形態の画像形成装置10は、印刷材料としてトナーを使用する複合機としているが、印刷材料としてインクを使用するインクジェット方式の複合機としてもよい。
【0106】
なお、
図1乃至
図15を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0107】
10 画像形成装置
12 表示部
14 操作部
17 画像読取部
18 画像形成部
19 記憶部
21 制御部
22 テキスト抽出部
23 色検出部
24 記憶制御部
25 文字色変更部