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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】紙製トレー状容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240730BHJP
   B65D 77/02 20060101ALI20240730BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D77/02 C
B65D77/20 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020100918
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021195136
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】古▲瀬▼ 清人
(72)【発明者】
【氏名】猪又 暢之
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-020642(JP,A)
【文献】特開2002-120821(JP,A)
【文献】実開昭59-055109(JP,U)
【文献】特開2004-067229(JP,A)
【文献】特開昭54-078283(JP,A)
【文献】実開昭56-115314(JP,U)
【文献】特開2010-189031(JP,A)
【文献】米国特許第05433374(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 77/02
B65D 77/20
B65D 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を基材とし、容器の内面となる側に耐熱性を有する熱可塑性樹脂層を積層した積層体からなる紙製トレー状容器であって、
一枚のブランクから折り曲げ加工によって底面板及び側面板が形成され、前記底面板はフラットな形状に成形され、前記側面板には、四方の隅それぞれに、隣接する側面板同士を互いに連設する折り込み接合板が設けられ、前記折り込み接合板は、折り込まれて隣接する一方の側面板に接着されることにより、角部四隅に同じ半径のラウンドコーナーが形成され、開口している容器トップ部は側面板上端が外側にカーリング成形されたトップカール部を有し、シート状の蓋材によりヒートシールして密封され
前記折り込み接合板は、第1折り込み接合板の内面と第2折り込み接合板の内面との接着によって形成されており、
前記第2折り込み接合板の端部には、前記熱可塑性樹脂層のみが配置されており、
前記第2折り込み接合板の端部の前記熱可塑性樹脂層は、前記第2折り込み接合板が前記第1折り込み接合板と前記側面板との間に位置した状態で、前記側面板の外面に接着されていることを特徴とする紙製トレー状容器。
【請求項2】
前記底面板の底部をフラットな形状にすることで、底部下の空間をなくした構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の紙製トレー状容器。
【請求項3】
前記積層体は、前記紙基材と前記熱可塑性樹脂層の間にガスバリア層を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の紙製トレー状容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を基材とするトレー状容器に関するものであり、さらに詳しくは、食品などを流通、保存させるために使用するものであり、密封シールが可能で、バリア性を有し、耐熱性に優れた電子レンジ調理可能な紙製トレー状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に開示されているような形状をした一枚のブランクから上面開口したトレー状のフランジ付き紙製容器があり、これに紙製の蓋板を被せてその蓋板周辺とフランジとをヒートシールすることで、冷凍食品等の包装用として使用されている。
【0003】
食品包装用容器の中でも、トレー状の容器は、食品の充填性や表示性、利用性などに優れ、電子レンジやオーブンレンジでの取扱性も良好であるため、極めて広範な食品の包装に用いられている。従来、加工惣菜などの調理加工食品を包装するためのトレー状容器としては、プラスチック製トレー状容器が汎用されている。しかしながら、前記プラスチック製トレーは、廃棄処分時の環境に対する負荷が高く、例えば、埋立て処理をすると半永久的に分解されずに地中に残存し、また、焼却処理をすると、燃焼カロリーが高いため焼却炉を傷めたり、完全燃焼し難く、特にポリ塩化ビニルを使用したものは、腐食性の強い塩化水素ガスやダイオキシンガスを発生するなどの問題が発生した。
【0004】
そのため、環境問題、リサイクル問題、省資源を考慮して、それに代替し得るトレー状容器の開発が望まれている。紙製トレー状容器は、廃棄物処理や環境汚染などの問題は小さいものの、耐水性や耐油性に劣るため、水分や油分を含有する食品の包装には適していない。また、紙製トレー状容器は、ガスバリア性に乏しく、食品の保存性が不充分である。
【0005】
上記のような問題があるため、水分や油分を含有する食品などの内容物に使用する場合には、紙単独ではなく、容器の内面となる側に合成樹脂フィルム(シートを含む)を積層接着する紙製トレー状容器(本発明では「紙製」という場合でも、内面に合成樹脂を有するものを示す)が多く用いられる。このような紙製トレー状容器は、耐水性や耐油性に優れており、また、プラスチック製容器に比べて、廃棄物処理や環境汚染の問題が小さい。
【0006】
しかしながら、特許文献1のような紙製トレー状容器は、ガスバリア性が依然として不充分であり、蓋材による密封性についても、必ずしも充分ではない。基材となる紙製トレー状容器は、型抜きしたブランクを組み立てて作製するため、各角隅の折り込み接合板で適切に折り曲げが行なわれないと、側面板のコーナー上部などに針の先程度の微細な孔が開いて、内容物が水物の場合、液汁が漏れだすという問題があった。冷凍食品であっても、消費者が店舗で購入して、自宅に持ち帰るときに漏れだしてしまうこともあった。
【0007】
さらに、フランジ部の構造や合成樹脂フィルムの積層接着方法によっては、紙製トレー状容器に内容物を充填した後、蓋材を用いてフランジ部で封緘した場合、蓋材とフランジ部との間に小さな隙間ができやすい。したがって、紙製トレー状容器には、紙を基材とする利点を生かしながら、耐熱性、ガスバリア性などの大幅な改善や密封性の更なる改善が求められている。
【0008】
また、容器に即席食品などの内容物を収納した即席食品などにおいて、電子レンジの普及により、熱湯を予め沸かしておかなくても、容器に水を注加して電子レンジで加熱調理するというタイプの商品が期待されている。しかしながら、従来の電子レンジ調理用紙カ
ップ容器を使用した即席食品などに、水を注加して電子レンジで長時間加熱調理すると、上げ底に構成された容器底部が焼き焦げ、危険かつ見栄えが悪く使用に耐えないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2000-255546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、上記した従来技術における事情に鑑みてなされたもので、耐熱性、ガスバリア性および、密封性などに優れ、かつ、電子レンジ適性を有し、電子レンジで長時間加熱調理しても容器底部が焼き焦げない紙製トレー状容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、紙を基材とし、容器の内面となる側に耐熱性を有する熱可塑性樹脂層を積層した積層体からなる紙製トレー状容器であって、
一枚のブランクから折り曲げ加工によって底面板及び側面板が形成され、前記底面板はフラットな形状に成形され、前記側面板には、四方の隅それぞれに、隣接する側面板同士を互いに連設する折り込み接合板が設けられ、前記折り込み接合板は、折り込まれて隣接する一方の側面板に接着されることにより、角部四隅に同じ半径のラウンドコーナーが形成され、開口している容器トップ部は側面板上端が外側にカーリング成形されたトップカール部を有し、シート状の蓋材によりヒートシールして密封されることを特徴とする紙製トレー状容器である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記底面板の底部をフラットな形状にすることで、底部下の空間をなくした構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の紙製トレー状容器である。容器底部に空間があると、電子レンジ加熱調理の際、マイクロ波が底部にあたって反射し、底部に熱がこもって過加熱状態になるためと考えられる。底部をフラットな形状にすることで熱がこもりにくい構造になり、焦げの発生を防ぐことができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、前記折り込み接合板の、折り込まれて側面板に接着される側の上端が、前記熱可塑性樹脂層のみでできていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙製トレー状容器である。折り込み接合板の折り込まれて側面板に接着される側の上端が、前記熱可塑性樹脂のみでできていることによって、紙に比較し成形性とヒートシール性が向上するため、ラウンドコーナーとトップカールの成形性および、側面板とのヒートシール強度が向上する。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記積層体は、前記紙基材と前記熱可塑性樹脂層の間にガスバリア層を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙製トレー状容器である。ガスバリア性を有することによって、内容物の長期保存が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、耐熱性、ガスバリア性および、密封性などに優れ、かつ、電子レンジ適性を有し、電子レンジで長時間加熱調理しても容器底部が焼き焦げない紙製トレー状容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る紙製トレー状容器および蓋材を示す斜視図である。
図2】本発明に係る紙製トレー状容器に使用される積層体の層構成を示す概略断面図である。
図3】本発明に係る紙製トレー状容器に使用される積層体のその他の層構成を示す概略断面図である。
図4】本発明に係る紙製トレー状容器用ブランクを示す説明図である。
図5】本発明に係る紙製トレー状容器の角隅部を拡大して示す説明図である。
図6】本発明に係る紙製トレー状容器を斜め下方から見た状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の紙製トレー状容器を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。ただし、図1図6は本発明の1実施例を示すものである。
【0018】
図1に、本発明に係る紙製トレー状容器10および蓋材7の斜視図を示す。本発明の紙製トレー状容器10に内容物を入れた後密封するための蓋としては、紙に合成樹脂を積層した平板状の蓋が使用され、蓋と容器はヒートシールされるものである。
【0019】
また、本発明の紙製トレー状容器に使用される積層体の1実施例の層構成は、図2に示すように紙2を基材とし、紙の内面に耐熱性を有する熱可塑性樹脂からなる内面樹脂層3を積層した積層体1aからなる。そして、一枚のブランクから折り曲げ加工によって一体化された底面板及び側面板が形成され、上部には開口部が設けられた紙製トレー状容器10である。本発明の紙製トレー状容器10は、内容物を充填した後、蓋材7により封緘して密封することができる。蓋材7としては、少なくともシール層を有する蓋材が好ましい。
【0020】
次に、その他の実施例の層構成としては、図3に示すように、前記紙2と前記内面樹脂層3との間にガスバリア層4が設けられている積層体1bである。各層間には、必要に応じて、層間接着のための接着剤層5,6を配置することができる。前記ガスバリア層4を積層し、少なくともガスバリア性とシール性とを有する蓋材7との組み合わせにより、密封性が高く、ガスバリア性を有し、耐熱性に優れた紙製トレー状容器10を製造することができる。
【0021】
次に、本発明に係る紙製トレー状容器10に使用する積層体1を構成している各材料について詳細に説明する。
【0022】
本発明に係る紙製トレー状容器10は、紙を基材とするが、紙の材質は特に限定されるものではない、例えばアイボリー紙、ポストカード、両面カード紙、マニラボール紙、白ボールである白板紙等、通常の板紙を使用することができる。
【0023】
また、収納する収納物あるいは流通・使用条件または使用用途によって紙の中間層に古紙を使用した板紙、あるいは両面クラフトボール等の下級紙を用いることもできる。
【0024】
耐熱性を有する熱可塑性樹脂からなる内面樹脂層3は、少なくとも電子レンジで加熱するのに必要な耐熱性を有する合成樹脂を使用する。さらには、成形性、紙製トレー状容器10に被せる蓋材7とのシール性などの機能を有する必要があり、主に熱可塑性樹脂が使用される。例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L-LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、酸変性ポリプロピレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル
酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリアミド樹脂(Ny)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸、ヒートシール性を有する共重合ポリエステルなどの樹脂を単独または積層して使用することができる。これらの中で、ヒートシール性と耐熱性などのバランスの点でポリプロピレン系樹脂が特に好ましい。
【0025】
また、本発明に係るガスバリア層4は紙基材層2と耐熱性を有する熱可塑性樹脂からなる内面樹脂層3の間に形成される。ガスバリア性を有する蓋材7との組み合わせにより、内部からの水分の蒸発、匂い漏れを防ぎ、また、外部からの酸素や水蒸気の浸入を防ぎ、内容物の劣化を防ぐことができる。
【0026】
ガスバリア層4は、例えば、無機物または金属蒸着を行ったポリエステルまたはポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、メタキシリレンジアミンアジパミド系樹脂(MXナイロン、MXD6)などが挙げられる。これらの中から、必要とするガスバリア性の水準に応じて、その種類や銘柄が選ばれる。
【0027】
また、ガスバリア層4は、表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の濡れ性を高める表面処理を行ってもよい。
【0028】
前記積層体1は、共押出法やラミネート法などにより製造することができる。各層間の接着性を高めるために、必要に応じて、接着剤層を配置することができる。接着剤としては、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンなどのフィルムの積層分野で公知の各種接着性樹脂を使用することができる。接着剤層の厚みは、それぞれの特性に応じて調整可能である。このような積層体1を使用することにより、密封性、ガスバリア性などに優れた紙製トレー状容器10を得ることができる。
【0029】
<紙製トレー状容器>
本発明の紙製トレー状容器10は、一枚のブランクから折り曲げ加工によって一体化された底面板と、該底面板に連結して組み立てられ、該底面板に対してある角度をもって立ち上がっている複数の側面板と、各側面板の上端部が外側にカーリング成形されたトップカール部とを備えた紙製トレー状容器の内面及びトップカール部に、耐熱性を有する熱可塑性樹脂からなる内面樹脂層3が積層接着されたものである。基材となる紙製容器は、型抜きした板紙を製函して作製される。
【0030】
紙製トレー状容器のブランクの具体例としては、図4に示すように、矩形状の底面板11と、該底面板に連結されて組み立てられ、かつ該底面板に対してある角度をもって立ち上がっている一対の側面板12,12及び一対の側面板14,14と、前記側面板12,12及び側面板14,14のそれぞれの上端部が外側にトップカール部13,15とを備え、各トップカール部13,15の端部同士が突き合わされた構造を有する紙製トレー状容器を挙げることができる。
【0031】
ブランクから容器への組立てはつぎのようにして行う。すなわち、各側面板を折り曲げてトレー状に組立て、先ず、折り込み接合板121と第2折り込み接合板141を谷折りして内面同士を接着させる。ついで、接着させた2枚の接合板を第2側面板14側に折り曲げ、第2側面板の外面と第2折り込み接合板を接着させると共に、各トップカール部13,15の端部同士を突き合わせて接着させると、トレー容器が組上がる。このとき角部四隅に同じ半径のラウンドコーナーが形成され、開口している容器トップ部には側面板上端が外側にカーリング成形されたトップカール部が形成される。
【0032】
上述のようにして製函されて本体上面が開放されている紙製トレー状容器10において、図4のブランクに表示しているが、第2折り込み接合板141の上端部131は、内面樹脂層3のみが配置されている。このため、折り込み接合板121と第2折り込み接合板141を谷折りして内面同士を接着させ、ついで、接着させた2枚の接合板を第2側面板14側に折り曲げ、第2側面板14の外面と第2折り込み接合板141を接着させたとき、第2折り込み接合板141の上端部131は内面樹脂層3のみからなるため、紙との熱融着による接着性が向上する。
【0033】
また、第2折り込み接合板141の上端部131が内面樹脂層3のみでできているため、紙に比較し成形性が向上し、上述のように製函した結果、図5に示すように、紙製トレー状容器10の角隅部は湾曲し、角部を有しない形状(ラウンドコーナー)に成形される。このように、角部四隅に同じ半径のラウンドコーナーが形成される加工を施すことで、各角隅の側面板のコーナー上部などにできやすかった微細な孔が開くことはなくなり、孔が開いて内容物が漏れだすという問題が解消される。また、例えば紙カップのように、上端を外側にカールさせたトップカール部の成形性も向上し、トップカール部の上端に露出した内面樹脂層3に、蓋材7のヒートシール層を対向させてヒートシールさせることにより密封性が向上し、さらに耐熱性、ガスバリア性に優れる紙製トレー状容器10を得ることができる。
【0034】
また、本発明の紙製トレー状容器10のその他の特徴としては、一枚のブランクから折り曲げ加工によって、底面板がフラットな形状に成形されることが挙げられる。図6に紙製トレー状容器10の底面を下から見た図を示す。図6を見てわかるように底面はフラットな形状に成形され、これによって電子レンジで加熱した際に、底部の下に空間がなくなるので、底部に熱がこもりにくい構造となっている。容器底部に空間があると、電子レンジ加熱調理の際、マイクロ波が底部にあたって反射し、底部に熱がこもって過加熱状態になるため、焦げが発生すると考えられる。底部をフラットな形状にすることで熱がこもりにくい構造になり、焦げの発生を防ぐことができる。
【実施例
【0035】
以下に本発明の実施例を具体的に説明する。
【0036】
<実施例1>
紙製トレー状容器に使用する積層体として、以下に示す構成の積層体を準備した。
基材:紙(カップ原紙)/ガスバリア層(透明蒸着フィルム)/内面樹脂層:ポリプロピレン。次に、この積層体を図4に示すブランクにスリットした後、PP面(内面樹脂層)から加熱しながら、折り曲げ加工により図1に示すような紙製トレー状容器を作製した。
【0037】
前記紙製トレー状容器に液物を充填し、長期保存しても内容物に変化はなかった。また、その後電子レンジで加熱したところ、内容物は漏れだすことはなく、底面に焦げのようなものは発生しなかった。
【0038】
したがって、本発明によって、耐熱性、ガスバリア性および、密封性などに優れ、かつ、電子レンジ適性を有し、電子レンジで長時間加熱調理しても容器底部が焼き焦げない紙製トレー状容器を提供することが可能であることがわかった。
【符号の説明】
【0039】
1・・・積層体
1a・・・積層体の1例
1b・・・積層体のその他の例
2・・・紙(基材)
3・・・内面樹脂層
4・・・ガスバリア層
5,6・・・接着剤
7・・・蓋材
10・・・紙製トレー状容器本体
11・・・紙製トレー状容器底面板
12,14・・・紙製トレー状容器側面板
13,15・・・トップカール部
121・・・折り込み接合板
131・・・第2折り込み接合板141の上端部
141・・・第2折り込み接合板
図1
図2
図3
図4
図5
図6