(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】回路装置、電気光学装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240730BHJP
G09G 3/3275 20160101ALI20240730BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G09G3/20 612U
G09G3/20 623F
G09G3/20 623R
G09G3/20 623Y
G09G3/20 641P
G09G3/3275
G09G3/36
(21)【出願番号】P 2020109418
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 彰彦
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0031990(KR,A)
【文献】特開2002-372958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1~第m階調電圧(mは3以上の整数)を生成する階調電圧生成回路と、
第1~第n入力表示データ(nは3以上の整数)の第i入力表示データ(iは1以上n
以下の整数)に対して補正処理を行うことで、第1~第n補正後表示データの第i補正後
表示データを出力する補正処理回路と、
第i駆動回路が、前記第1~第m階調電圧に基づいて、前記第i補正後表示データに対
応した階調電圧を出力することで、電気光学パネルの駆動を行う第1~第n駆動回路と、
を含み、
前記第1~第m階調電圧が第1~第kグループ(kは2以上m未満の整数)にグループ
分けされているとき、
前記補正処理回路は、
前記第1~第n入力表示データの各入力表示データが前記第1~第kグループのいずれ
のグループに属するかの解析を行うことで、前記第1~第kグループの各グループに属す
る入力表示データの個数を求め、求めた前記個数に基づいて前記補正処理を行
い、
前記補正処理回路は、
前回の前記駆動において前記各グループに属する入力表示データの個数に対する、今回
の前記駆動において前記各グループに属する入力表示データの個数の増加数を求め、前記
増加数に基づいて前記補正処理を行い、
前記補正処理回路は、
前記各グループに対応した補正値を前記増加数に基づいて求め、前記各グループに属す
る入力表示データを前記補正値で補正することを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路装置において、
第1~第k+1外部電源電圧が入力される第1~第k+1外部電源入力端子を含み、
前記階調電圧生成回路は、
前記第1~第k+1外部電源電圧の第p外部電源電圧と第p+1外部電源電圧(pは1
以上k以下の整数)の間を抵抗分圧することで、前記第1~第kグループの第pグループ
に属する階調電圧を生成することを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回路装置において、
前記補正処理回路は、
前記第pグループに属する入力表示データの階調値が、前記第p外部電源電圧及び前記
第p+1外部電源電圧に対応する階調値を超えないように前記補正処理を行うことを特徴
とする回路装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記補正処理回路は、
前記第1~第kグループのうち、前回の前記解析で求めた前記個数よりも今回の前記解
析で求めた前記個数が規定値以上増加したグループに属する入力表示データに対して、前
記補正処理を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記補正処理回路は、
前記第1~第kグループの第1グループ及び第kグループに属する入力表示データ
に対
して前記補正処理を行わず、前記第1~第kグループの第2~第k-1グループのうち少
なくとも1つのグループに属する入力表示データに対して前記補正処理を行うことを特徴
とする回路装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記第i駆動回路は、
前記第i補正後表示データの上位ビットデータをD/A変換することで、前記第1~第
m階調電圧のうち隣り合う2つの階調電圧を出力するD/A変換回路と、
前記2つの階調電圧の間を前記第i補正後表示データの下位ビットデータで刻むことで
、前記下位ビットデータをD/A変換するアンプ回路と、
を含み、
前記補正処理回路は、
前記第i入力表示データに対する補正値を前記下位ビットデータと同じビット数に制限
することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項
1乃至6のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記第i駆動回路は、
1走査ラインにおいてm個の画素を順次に駆動するデマルチプレクス駆動を行い、
前記補正処理回路は、
前記1走査ライン分の前記第i入力表示データとしてm個の画素データが入力され、前
記m個の画素データと前記デマルチプレクス駆動の駆動順に基づいて前記増加数を求める
ことを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の回路装置において、
前記補正処理回路は、
各走査ラインで前記駆動順を変更するローテーション処理により決定された前記駆動順
に基づいて、前記増加数を求めることを特徴とする回路装置。
【請求項9】
前記請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の回路装置と、
前記電気光学パネルと、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
前記請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の回路装置を含むことを特徴とする電子機器
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基準電圧生成回路とD/A変換回路と電圧駆動回路とを備える表示ドライバーが記載されている。基準電圧生成回路は、抵抗分圧により複数の階調電圧を出力するラダー抵抗である。D/A変換回路は、複数の階調電圧のなかから、表示データに対応した階調電圧を選択する。電圧駆動回路は、選択された階調電圧に基づいてデータ電圧を出力することで、電気光学パネルのデータ線を駆動する。D/A変換回路と電圧駆動回路は複数設けられており、各D/A変換回路が、入力された表示データに対応した階調電圧を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような表示ドライバーでは、基準電圧生成回路が複数の出力線に複数の階調電圧を出力しており、その各出力線には複数のD/A変換回路が共通接続されている。このため、多くのD/A変換回路が同じ階調電圧を選択した場合には、その階調電圧の出力線に多くの電圧駆動回路の入力ノードが接続されることになる。そうすると、出力線の負荷が大きくなるため階調電圧が変動し、その階調電圧の変動によってデータ電圧に誤差が生じるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1~第m階調電圧(mは3以上の整数)を生成する階調電圧生成回路と、第1~第n入力表示データ(nは3以上の整数)の第i入力表示データ(iは1以上n以下の整数)に対して補正処理を行うことで、第1~第n補正後表示データの第i補正後表示データを出力する補正処理回路と、第i駆動回路が、前記第1~第m階調電圧に基づいて、前記第i補正後表示データに対応した階調電圧を出力することで、電気光学パネルの駆動を行う第1~第n駆動回路と、を含み、前記第1~第m階調電圧が第1~第kグループ(kは2以上m未満の整数)にグループ分けされているとき、前記補正処理回路は、前記第1~第n入力表示データの各入力表示データが前記第1~第kグループのいずれのグループに属するかの解析を行うことで、前記第1~第kグループの各グループに属する入力表示データの個数を求め、求めた前記個数に基づいて前記補正処理を行う回路装置に関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記に記載の回路装置と、前記電気光学パネルと、を含む電気光学装置に関係する。
また本開示の更に他の態様は、上記に記載の回路装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】デマルチプレクス駆動される1走査ライン分の画素を示す模式図。
【
図2】デマルチプレクス駆動される1走査ライン分の画素を示す模式図。
【
図5】回路装置により駆動される電気光学パネルの構成例。
【
図6】階調電圧生成回路と駆動回路の第1詳細構成例。
【
図9】階調電圧生成回路と駆動回路の第2詳細構成例。
【
図10】入力表示データとグループの関係を説明する図。
【
図13】走査ラインGL1の画素を駆動する際の個数テーブル及び増加数テーブル。
【
図14】走査ラインGL3の画素を駆動する際の個数テーブル及び増加数テーブル。
【
図15】ローテーションが行われる場合の個数テーブル及び増加数テーブル。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.回路装置
まず、
図1~
図3を用いて比較技術の課題を説明する。
図1と
図2には、駆動期間Gs1~Gs8においてデマルチプレクス駆動される1走査ライン分の画素PXを示す。表示は256階調で行われるとし、階調電圧をGVA1~GVA256とする。ハッチングが施された画素PXは、ハッチングが施されていない画素よりも相対的に暗い画素である。ハッチングが施された画素には、階調電圧GVA60が書き込まれ、ハッチングが施されていない画素PXには階調電圧GVA230が書き込まれるものとする。
【0010】
階調電圧生成回路151は、階調電圧GVA1~GVA256を出力する。ここでは、階調電圧GVA60とGVA230のみ図示している。
図1に示すように、駆動期間Gs1ではD/A変換回路DACA1、DACA2が階調電圧GVA60の出力線とアンプ回路AMA1、AMA2の入力ノードとを接続し、アンプ回路AMA1、AMA2は階調電圧GVA60をデータ電圧VQA1、VQA2として出力する。
図2に示すように、駆動期間Gs1の次の駆動期間Gs2ではD/A変換回路DACA1、DACA2が階調電圧GVA230の出力線とアンプ回路AMA1、AMA2の入力ノードとを接続し、アンプ回路AMA1、AMA2は階調電圧GVA230をデータ電圧VQA1、VQA2として出力する。即ち、駆動期間Gs1においてアンプ回路AMA1、AMA2の入力ノードの寄生容量は階調電圧GVA60で充電されており、駆動期間Gs2に切り替わったとき、その入力ノードが階調電圧GVA230の出力線に接続されることになる。
【0011】
図1と
図2には2つのアンプ回路によって駆動される画素のみ図示しているが、実際の表示ドライバーには、数10~数100個のアンプ回路が設けられている。このため、
図3に示すように、駆動期間Gs1からGs2に切り替わったとき、階調電圧GVA60に充電された多数のアンプ回路の入力ノードが階調電圧GVA230の出力線に接続されるので、その出力線の電圧を変動させてしまう。駆動期間Gs2において階調電圧GVA230の出力線に接続されるアンプ回路の数は、表示画像に応じて異なるが、その数が多いほど階調電圧GVA230の変動は大きくなる。そして、階調電圧GVA230の変動が大きいと、駆動期間Gs2における画素書き込み終了時においても階調電圧GVA230が理想値に対して誤差を有し、その誤差は、データ電圧VQA1、VQA2に誤差を生じさせるという課題がある。
図3には、アンプ回路AMA1が出力するデータ電圧VQA1を例に示し、階調電圧GVA230が変動しない場合の理想的なデータ電圧をIVQA1で示す。Δvは、駆動期間Gs2の終了時における電圧誤差を示す。
【0012】
図4は、本実施形態における回路装置100の構成例である。回路装置100は、処理回路130と、インターフェース回路140と、階調電圧生成回路150と、選択信号出力回路160と、第1~第n駆動回路である駆動回路DR1~DRnと、選択信号出力端子TSQ1~TSQ8と、データ信号出力端子TQ1~TQnと、第1~第k+1外部電源入力端子である外部電源入力端子TP1~TPk+1と、を含む。nは3以上の整数であり、kは1以上の整数である。なお以下ではデマルチプレクス駆動におけるデマルチ数を8とするが、デマルチ数は2以上の任意の数であってよい。
【0013】
回路装置100は電気光学パネルを駆動する表示ドライバーである。回路装置100は、例えば、半導体プロセスにより製造される集積回路装置である。集積回路装置はICとも呼ばれ、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。選択信号出力端子TSQ1~TSQ8とデータ信号出力端子TQ1~TQnと外部電源入力端子TP1~TPk+1は、集積回路装置の端子であり、例えば半導体チップに形成されたパッドである。
【0014】
インターフェース回路140は、表示コントローラー等の外部処理装置から表示データ及び表示制御信号を受信する。表示制御信号は、クロック信号と同期信号等である。インターフェース回路140としては、RGBインターフェース方式又はLVDS(Low Voltage Differential Signal)方式等の種々の画像データインターフェースが採用される。
【0015】
処理回路130は、インターフェース回路140が受信した表示データ及び表示制御信号に基づいて表示制御を行う。具体的には、処理回路130は制御回路120と補正処理回路110とを含む。制御回路120は、表示制御信号に基づいて選択信号出力回路160に選択信号SEL1~SEL8を出力させることで、デマルチプレクス駆動の制御を行う。また制御回路120は、第1~第n入力表示データである入力表示データDI1~DInを表示データに基づいて出力する。補正処理回路110は、入力表示データDI1~DInに対する補正処理を行い、第1~第n補正後表示データである補正後表示データDQ1~DQnを駆動回路DR1~DRnに出力する。補正処理回路110は、階調電圧GV1~GVmが複数グループに分割されているとき各グループに属する階調電圧がいくつ選択されるかに応じて表示データを補正することで、
図3の電圧誤差Δvを補正する。この補正処理の詳細については後述する。処理回路130はロジック回路であり、例えば自動配置配線により構成されるゲートアレイ、或いは自動配線により構成されるスタンダードセルアレイ等である。なお、処理回路130と、インターフェース回路140の一部又は全部と、選択信号出力回路160の一部又は全部が、一体のゲートアレイ又はスタンダードセルアレイとして構成されてもよい。
【0016】
選択信号出力回路160は、制御回路120からの制御に基づいて選択信号出力端子TSQ1~TSQ8から電気光学パネルに選択信号SEL1~SEL8を出力する。選択信号出力回路160は例えばバッファー回路である。
【0017】
階調電圧生成回路150は、外部電源回路等から外部電源入力端子TP1~TPk+1に入力される外部電源電圧PW1~PWk+1に基づいて、階調電圧GV1~GVmを生成する。mは3以上の整数である。階調電圧生成回路150は、後述するようにラダー抵抗回路である。
【0018】
iを1以上n以下の整数とする。駆動回路DRiは、階調電圧GV1~GVmのうち、補正後表示データDQiに対応した階調電圧を選択し、その選択した階調電圧をバッファリング又は増幅することでデータ信号出力端子TQiからデータ電圧VQiを出力する。後述するように、駆動回路DRiは、D/A変換回路とアンプ回路を含む。
【0019】
図5は、回路装置100により駆動される電気光学パネル200の構成例である。電気光学パネル200は、ここでは駆動回路DRiにより駆動される部分を図示するが、各駆動回路に対応して同様な構成が設けられている。
【0020】
電気光学パネル200は、アクティブマトリクス型の表示パネルであり、例えば液晶表示パネル或いはEL(Electro Luminescence)表示パネルである。電気光学パネル200は、データ信号入力端子TDIiとデータ信号供給線SLiと選択信号入力端子TSI1~TSI8と選択信号線LL1~LL4とスイッチ回路210とデータ線DL1~DL8と走査ラインGL1~GLqと複数の画素PXとを含む。qは2以上の整数である。
【0021】
選択信号入力端子TSI1~TSI8は、回路装置100の選択信号出力端子TSQ1~TSQ8に接続される。選択信号線LL1~LL8の一端は選択信号入力端子TSI1~TSI8に接続される。データ信号入力端子TDIiは、回路装置100のデータ信号出力端子TQiに接続される。データ信号供給線SLiの一端はデータ信号入力端子TDIiに接続される。
【0022】
スイッチ回路210は、トランジスターSD1~SD8を含む。トランジスターSD1~SD8は、スイッチとして動作し、例えばTFT(Thin Film Transistor)で構成されたN型トランジスターである。トランジスターSD1~SD8のドレインはデータ信号供給線SLiの他端に共通接続される。トランジスターSD1~SD8のソースはデータ線DL1~DL8の一端に接続される。トランジスターSD1~SD8のゲートは選択信号線LL1~LL8に接続される。
【0023】
データ線DL1~DL8と走査ラインGL1~GLqの各交点に画素PXが設けられる。即ち、1つの画素PXには、データ線DL1~DL8のうち1つのデータ線と、走査ラインGL1~GLqのうち1つの走査信号線とが接続される。なお、電気光学パネル200は、走査ラインGL1~GLqに走査信号を出力する不図示の走査ドライバーを含んでもよい。或いは、走査ドライバーは回路装置100に設けられてもよい。
【0024】
1水平走査期間におけるデマルチプレクス駆動について説明する。ここでは走査ラインGL1が選択されているとする。
【0025】
プリチャージ期間において、処理回路130は選択信号SEL1~SEL8を全てハイレベルにし、トランジスターSD1~SD8は全てオンになる。処理回路130は、プリチャージ電圧に対応した補正後表示データDQiを出力し、駆動回路DRiはプリチャージ電圧を出力する。これにより、データ線DL1~DL8と、走査ラインGL1に接続される画素PXとがプリチャージされる。
【0026】
画素の駆動期間をGs1~Gs8とする。ここではデータ線DL1~DL8を順に駆動する例を説明するが、データ線DL1~DL8の駆動順は任意であってよい。データ線DL1~DL8に接続された画素PXに書き込まれるデータ電圧を、第1~第8データ電圧とする。駆動期間Gs1において、処理回路130は選択信号SEL1をハイレベルにし、選択信号SEL2~SEL8をローレベルにする。トランジスターSD1はオンになり、トランジスターSD2~SD8はオフになる。処理回路130は、第1データ電圧に対応した補正後表示データDQiを出力し、駆動回路DRiは第1データ電圧を出力する。これにより、データ線DL1と走査ラインGL1に接続される画素PXに第1データ電圧が書き込まれる。同様に、駆動期間Gs2~Gs8において処理回路130は選択信号SEL2~SEL8を順次にハイレベルにし、駆動回路DRiは第2~第8データ電圧を出力する。これにより、データ線DL2~DL8と走査ラインGL1に接続される画素PXに第2~第8データ電圧が書き込まれる。
【0027】
図6は、階調電圧生成回路150と駆動回路DR1~DRnの第1詳細構成例である。ここでは、k=8とし、m=256とし、表示データは8ビットであるとする。
【0028】
階調電圧生成回路150は、抵抗RV1~RV8が直列接続されたラダー抵抗回路である。抵抗RV1の一端は外部電源入力端子TP1に接続され、他端は外部電源入力端子TP2に接続される。同様に、抵抗RV2~RV8の一端は外部電源入力端子TP2~TP8に接続され、他端は外部電源入力端子TP3~TP9に接続される。
図6では図示を省略しているが、抵抗RV1~RV8の各々もラダー抵抗となっており、外部電源電圧を分圧して階調電圧を出力する。
【0029】
具体的には、外部電源入力端子TP1、TP2、・・・、TP8に入力される外部電源電圧PW1、PW2、・・・、PW8は、それぞれ階調電圧GV1、GV33、・・・、GV225となる。抵抗RV1は、PW1=GV1とPW2=GV33の間を分圧することで階調電圧GV2~GV32を出力する。このPW1とPW2の間の階調電圧GV2~GV32を第1グループKG1とする。同様に、抵抗RV2、・・・、RV8は、階調電圧GV34~GV64、・・・、GV226~GV256を出力する。この階調電圧GV34~GV64、・・・、GV226~GV256を、第2グループKG2、・・・、第8グループKG8とする。このようなグループ分けは、後述する補正処理に用いられる。
【0030】
駆動回路DR1はD/A変換回路DAC1とアンプ回路AM1とを含む。同様に、駆動回路DR2~DRnはD/A変換回路DAC2~DACnとアンプ回路AM2~AMnとを含む。以下、駆動回路DR1を例に動作を説明するが、駆動回路DR2~DRnの動作も同様である。
【0031】
D/A変換回路DAC1は、補正後表示データDQ1[7:0]をD/A変換する。D/A変換回路DAC1は、アナログスイッチにより構成される電圧選択回路である。DQ1[7:0]=0dのときD/A変換回路DAC1は階調電圧GV1を選択し、その階調電圧GV1を電圧VDA1として出力する。dは10進数を意味する。同様に、DQ1[7:0]=1d~255dのときD/A変換回路DAC1は階調電圧GV2~GV256を選択し、その階調電圧GV2~GV256を電圧VDA1として出力する。なお、上記のグループKG1、KG2、・・・、KG8には、DQ1[7:0]=1d~31d、33d~63d、・・・、225d~255dが対応することになる。
【0032】
アンプ回路AM1は、D/A変換回路DAC1からの電圧VDA1をバッファリング又は増幅することで、データ電圧VQ1を出力する。アンプ回路AM1は、例えば演算増幅器の出力と反転入力が接続され且つ演算増幅器の非反転入力に電圧VDA1が入力されるボルテージフォロア回路である。或いは、アンプ回路AM1は、演算増幅器及び抵抗等で構成された正転増幅回路又は反転増幅回路であってもよい。
【0033】
図7は、処理回路130が行う処理のフローチャートである。また
図8は、補正処理回路110が行う補正処理を説明する図である。
【0034】
ステップS1とS2において、制御回路120は1走査ライン分の入力表示データと、その走査ラインにおける駆動順情報を補正処理回路110に出力する。ステップS3において、補正処理回路110は1走査ライン分の入力表示データに基づいて個数テーブルを生成する。
【0035】
図8の上段に個数テーブルを示す。PX1~PX8は1水平走査期間において各駆動回路が駆動する画素であり、その順に水平走査方向に並んでいるとする。α、βを1以上8以下の整数としたとき、Nαβは、画素PXβを駆動するときにグループKGαに属する階調電圧を選択する駆動回路の個数である。例えばN11は、駆動回路DR1~DRnのうち、グループKG1に属する階調電圧を選択する駆動回路の個数である。補正処理回路110は、入力表示データに基づいて上記個数をカウントする。入力表示データは、例えば駆動回路DR1が駆動する画素PX1、PX2、・・・、PX8の画素データ、駆動回路DR2が駆動する画素PX1、PX2、・・・、PX8の画素データ、・・・、駆動回路DRnが駆動する画素PX1、PX2、・・・、PX8の画素データの順に並んでいる。補正処理回路110は、その順に入力される画素データがどのグループに属するかを判定し、Nαβをカウントしていき、1走査ライン分の入力表示データが終了したとき、その走査ラインの個数テーブルの生成を終了する。
【0036】
ステップS4において、補正処理回路110は、駆動順情報に基づいて個数テーブルを駆動順に振り分ける。ステップS5において、補正処理回路110は、駆動順に振り分けられた個数テーブルから増減数テーブルを生成する。ステップS6において、補正処理回路110は、増減数テーブルから補正値を求める。
【0037】
図8の中上段に、駆動順に振り分けられた個数テーブルを示す。ここでは駆動期間Gs1~Gs8において画素PX6、PX7、PX8、PX1、PX2、PX3、PX4、PX5の順に駆動されるとする。補正処理回路110は、この駆動順に従って個数テーブルを並べ替える。Preはプリチャージ期間を示し、Nα0は、プリチャージ時において、グループKGαに属する階調電圧を選択する駆動回路の個数である。プリチャージ電圧は予め決められており、それに対応してNα0も予め決まっている。なおプリチャージ期間を考慮しない場合にはNα0=0としてもよい。
【0038】
図8の中下段に、増加数テーブルを示す。γを1以上8以下の整数としたとき、Zαγは、前回の駆動期間Gs(γ-1)におけるグループKGαの個数から、今回の駆動期間GsγにおけるグループKGαの個数への増加数である。Z12を例にとると、N17-N16≧0のときZ12=N17-N16であり、N17-N16<0のときZ12=0である。なおGs0はプリチャージ期間を示すものとする。
【0039】
図8の下段に、補正値テーブルを示す。Cαγは、駆動期間Gsγにおいて駆動される画素の入力表示データがグループKGαに属する際に用いられる補正値である。補正処理回路110は、増加数Zαγに基づいて補正値Cαγを演算する。具体的には、補正処理回路110は、増加数Zαγが大きいほど補正値Cαγを大きくする。より具体的には、補正処理回路110は下式(1)により補正値Cαγを演算する。Prmは係数である。極性反転駆動を行う場合には駆動極性に応じて係数Prmが異なってもよい。また各駆動期間で係数Prmが異なってもよい。例えばGs1の係数PrmとGs2~Gs8の係数Prmが異なってもよい。Dirは向きを示し、Dir=+1又は-1である。Dirは、前回の駆動期間から今回の駆動期間への階調変動方向を意味している。即ち、ある駆動回路の選択階調が低階調から高階調へ変動したときDir=+1であり、選択階調が高階調から低階調へ変動したときDir=-1である。下式(1)ではDirが+1又は-1の一方である場合を記載しているが、Dir=+1と-1の各々に対してZαγ×Prm×Dirが求められ、加算される。
Cαγ=Zαγ×Prm×Dir ・・・(1)
【0040】
ステップS7とS8において、補正処理回路110は、入力表示データに補正値を加算することで補正後表示データを生成する。即ち補正処理回路110は、駆動期間Gsγにおいて駆動される画素の入力表示データがグループKGαに属するとき、その入力表示データに補正値Cαγを加算する。ステップS9とS10において、処理回路130は、駆動順情報に基づいて補正後表示データをマルチプレクス処理した後、その補正後表示データを駆動回路に出力する。
【0041】
以上の本実施形態によれば、階調電圧GV1~GV256がグループKG1~KG8にグループ分けされている。このとき、補正処理回路110は、入力表示データDI1~DInの各入力表示データがグループKG1~KG8のいずれのグループに属するかの解析を行うことで、各グループに属する入力表示データの個数Nαβを求め、その個数Nαβに基づいて入力表示データDI1~DInに対する補正処理を行う。
【0042】
このようにすれば、各グループに属する階調電圧を選択した駆動回路の個数、即ち各グループに属する階調電圧の出力線に接続されるアンプ回路の個数が求められ、その個数に応じて入力表示データが補正される。
図1~
図3で説明したように、階調電圧の出力線に接続されるアンプ回路の個数に応じてデータ電圧の誤差が異なるが、本実施形態によれば、その個数に応じてデータ側で補正することで結果的にデータ電圧の誤差を理想値に近づけることができる。また階調電圧をグループKG1~KG8に分けたことで、補正処理の演算負荷を低減できる。即ち、補正において
図8のような個数テーブル等を求める必要があるが、グループ分けすることでテーブルの要素数が低減され、演算負荷が低減される。
【0043】
また本実施形態では、回路装置100は、外部電源電圧PW1~PW9が入力される外部電源入力端子TP1~TP9を含む。階調電圧生成回路150は、第p外部電源電圧PWpと第p+1外部電源電圧PWp+1の間を抵抗分圧することで、第pグループKGpの階調電圧を生成する。
【0044】
外部電源電圧に対応した階調電圧GV1、GV33、・・・、GV225は、負荷が大きくても電圧変動が小さいと考えられる。一方、その間の階調電圧GV2~GV32、GV34~GV64、・・・、GV226~GV256は、抵抗を介して外部電源に接続されるため負荷が大きいと電圧変動が生じる。本実施形態では、外部電源電圧の間を抵抗分圧した階調電圧をグループとすることで、その階調電圧の変動によるデータ電圧誤差を補正する。
【0045】
また本実施形態では、補正処理回路110は、第pグループKGpに属する入力表示データの階調値が、第p外部電源電圧PWp及び第p+1外部電源電圧PWp+1に対応する階調値を超えないように補正処理を行う。
【0046】
グループKG2の階調電圧GV34~GV64に対応する階調値33~63を例にとる。外部電源電圧PW2、PW3には階調値32、65が対応するが、補正処理回路110は、補正後の階調値が32以上65以下の範囲となるように補正処理する。例えば入力表示データの階調値が60であるとき、補正処理回路110は当初の補正値として+7を求めたとしても、入力表示データの階調値を65に補正する。
【0047】
例えば階調電圧GV61が高くなる方に変動したとしても、外部電源電圧PW3に対応した階調電圧GV65はほぼ固定されているので、階調電圧GV65以下の範囲で補正すればよいと考えられる。本実施形態では、外部電源電圧に対応した階調値を超えないように入力表示データが補正されるので、外部電源電圧を超えた補正が行われないようになっている。またグループを超えた補正を行うと、グループの選択数が変わってしまい、その結果から再度個数テーブルを計算する必要があるが、本実施形態ではグループを超えた補正は行われない。
【0048】
また本実施形態では、補正処理回路110は、グループKG1~KG8のうち、前回の解析で求めた個数よりも今回の解析で求めた個数が規定値以上増加したグループに属する入力表示データに対して、補正処理を行う。
【0049】
「今回」は演算対象となっている駆動期間であり、「前回」は「今回」の1つ前の駆動期間である。
図8において、例えば増加数Z22を例にとると、「前回の解析で求めた個数」はN26であり、「今回の解析で求めた個数」はN27である。補正処理回路110は、Z22=N27-N26≧Nthrのとき、補正値C22を用いた補正処理を行う。Nthrは既定値である。例えば、補正処理回路110は、Z22=N27-N26<NthrのときZ22の値に関わらずC22=0とし、Z22=N27-N26≧NthrのときZ22に基づいてC22を求める。
【0050】
増加数が少ないグループに属する階調電圧は負荷が小さいため電圧変動も小さく、そのデータ電圧への影響を無視してもよい。本実施形態によれば、増加数が既定値より小さいグループに属する階調値は補正されないので、階調電圧の変動が小さいグループに属する階調値については補正されない。
【0051】
また本実施形態では、補正処理回路110は、グループKG1及びグループKG8に属する入力表示データ対して補正処理を行わず、グループKG2~KG7の少なくとも1つのグループに属する入力表示データに対して補正処理を行う。
【0052】
例えば、補正処理回路110はグループKG2~KG7に属する入力表示データに対して補正処理を行ってもよい。或いは、補正処理回路110は、グループKG1、KG2、KG7及びKG8に属する入力表示データ対して補正処理を行わず、グループKG3~KG6に属する入力表示データに対して補正処理を行ってもよい。補正処理回路110は、例えば、補正処理の対象でないグループについては個数テーブル、増加数テーブル及び補正値テーブルを生成しない。
【0053】
回路装置100が駆動する電気光学パネル200が液晶表示パネルである場合、中間階調において液晶の電圧-透過率特性の傾きが大きいので、データ電圧の誤差が視覚的に見えやすくなる。本実施形態によれば、データ電圧の誤差が視覚的に見えにくいグループKG1、KG8に属する入力表示データの補正処理を省略することで、補正処理の演算負荷を低減できる。
【0054】
また本実施形態では、補正処理回路110は、前回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数に対する、今回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数の増加数Zαγを求め、その増加数Zαγに基づいて補正処理を行う。
【0055】
図8において、例えば増加数Z22を例にとると、「前回の駆動においてグループに属する入力表示データの個数」はN26であり、「今回の駆動においてグループに属する入力表示データの個数」はN27である。補正処理回路110は、N26に対するN27の増加数Z22に基づいて補正処理を行う。
【0056】
グループに属する入力表示データの個数が増加するほど、そのグループに属する階調電圧の出力線に対する負荷が大きくなるので、その階調電圧の電圧変動が大きくなる。本実施形態では、グループに属する入力表示データの個数の増加数に基づいて補正処理されるので、その増加数による電圧変動に応じた補正値を決定できる。
【0057】
また本実施形態では、補正処理回路110は、各グループに対応した補正値Cαγを増加数Zαγに基づいて求め、各グループに属する入力表示データを補正値Cαγで補正する。
【0058】
このようにすれば、グループに属する入力表示データが、そのグループの増加数から求められた補正値によって補正される。これにより、グループ単位での補正が実現され、上述のように補正処理の演算負荷が低減される。
【0059】
また本実施形態では、駆動回路DRiは、1走査ラインにおいて8個の画素を順次に駆動するデマルチプレクス駆動を行う。補正処理回路110は、1走査ライン分の入力表示データDIiとして8個の画素データが入力され、その8個の画素データとデマルチプレクス駆動の駆動順に基づいて増加数Zαγを求める。
【0060】
「前回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数に対する、今回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数の増加数」は、デマルチプレクス駆動の駆動順によって決まる。このため本実施形態では、デマルチプレクス駆動の駆動順に基づいて増加数Zαγを求める。
【0061】
また本実施形態では、補正処理回路110は、各走査ラインで駆動順を変更するローテーション処理により決定された駆動順に基づいて、増加数Zαγを求める。
【0062】
デマルチプレクス駆動のローテーションを行う場合には、各走査ラインにおける駆動順はローテーション処理によって決まる。本実施形態では、ローテーション処理により決定された駆動順を用いて、各走査ラインにおける増加数Zαγが求められる。なお、ローテーションを行わない場合には駆動順は固定であってもよい。ローテーションを行うか否かに関わらず、ある走査ラインにおける増加数Zαγを求める際には、その走査ラインにおける駆動順が分かっていればよい。
【0063】
2.第2詳細構成例
図9は、階調電圧生成回路150と駆動回路DR1~DRnの第2詳細構成例である。ここでは、k=8とし、m=129とし、表示データは12ビットであるとする。なお、既に説明した構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0064】
第2詳細構成例では、外部電源電圧PW1、PW2、・・・、PW8は、それぞれ階調電圧GV1、GV17、・・・、GV113となる。抵抗RV1は、PW1=GV1とPW2=GV17の間を分圧することで階調電圧GV2~GV16を出力する。階調電圧GV1~GV16を第1グループKG1とする。同様に、抵抗RV2、・・・、RV8は、階調電圧GV18~GV32、・・・、GV114~GV128を出力する。階調電圧GV17~GV32、・・・、GV113~GV128を、第2グループKG2、・・・、第8グループKG8とする。本構成例では2つの階調電圧の間を更にアンプ回路で刻むことから、外部電源電圧に対応した階調電圧もグループに含まれる。
【0065】
駆動回路DR1~DRnについて説明する。本構成例では、補正後表示データDQi[11:0]の上位ビットデータDQi[11:5]がD/A変換回路DACiに入力され、下位ビットデータDQi[4:0]がアンプ回路AMiに入力される。iは1以上n以下の整数である。
【0066】
D/A変換回路DACiは、下位ビットデータDQi[11:5]をD/A変換し、2つの電圧VAi、VBiを出力する。電圧VAi、VBiは、階調電圧GV1~GV128のうち隣り合う2つの階調電圧である。またVAi<VBiである。具体的には、DQi[11:5]=0dのときD/A変換回路DACiは階調電圧GV1、GV2を選択し、電圧VAi、VBiとして出力する。同様に、DQi[11:5]=1d~127dのときD/A変換回路DACiは階調電圧GV2~GV128、GV3~GV129を選択し、電圧VAi、VBiとして出力する。
【0067】
アンプ回路AMiは、電圧VAi、VBiの間を下位ビットデータDQi[4:0]に基づいて刻むことで、下位ビットデータDQi[4:0]をD/A変換し、データ電圧VQiを出力する。アンプ回路AMiの詳細は後述する。
【0068】
図10は、入力表示データDIi[11:0]とグループKG1~KG8の関係を説明する図である。
【0069】
外部電源電圧PW1、PW2に対応する階調電圧GV1、GV17は、入力表示データDIi[11:0]=000h、200hに対応する。hは16進数を示す。DIi[11:0]=000h~1FFhのとき、D/A変換回路DAC1は、グループKG1に属する階調電圧GV1~GV16のいずれかを、電圧VA1として選択する。このような入力表示データDIi[11:0]=000h~1FFhを、グループKG1に属する入力表示データとする。同様に、入力表示データDIi[11:0]=200h~3FFh、・・・、E00h~FFFhを、グループKG2、・・・、KG8に属する入力表示データとする。なお、DIi[11:0]=000h、200h、・・・、E00hをグループKG1、KG2、・・・、KG8から除いてもよい。
【0070】
図11は、アンプ回路AMiの詳細構成例である。アンプ回路AMiは、演算増幅器OPとスイッチSW0~SW4とを含む。スイッチSW0~SW4は、トランジスターで構成されたアナログスイッチである。
【0071】
演算増幅器OPの入力端子I0~I5は正極入力端子に相当する。スイッチSW0は、DQi[0]=0のとき入力端子I0と電圧VAiのノードとを接続し、DQi[0]=1のとき入力端子I0と電圧VBiのノードとを接続する。同様に、スイッチSW1~SW4は、DQi[1]~DQi[4]=0のとき入力端子I1~I4と電圧VAiのノードとを接続し、DQi[1]~DQi[4]=1のとき入力端子I1~I4と電圧VBiのノードとを接続する。入力端子I5は電圧VAiのノードに接続される。
【0072】
演算増幅器OPは差動対を有し、その差動対の正側では、サイズが20、21、22、23、24、20で重み付けされたトランジスターが並列接続されている。サイズはトランジスターのチャネル幅であり、例えばユニットトランジスターの個数によってサイズが重み付けされている。入力端子I0、I1、I2、I3、I4は、20、21、22、23、24で重み付けされたトランジスターのゲートに接続される。また入力端子I5は、20で重み付けされたトランジスターのゲートに接続される。演算増幅器OPの負極入力端子と出力端子が接続され、ボルテージフォロア回路が構成されている。DQ1[4:0]=00hのとき入力端子I0~I5に電圧VAiが入力されるので、ボルテージフォロア回路が出力するデータ電圧はVQi=VAiとなる。DQ1[4:0]=01hのとき入力端子I0に電圧VBiが入力され、入力端子I1~I5に電圧VAiが入力されるので、VQi=VAi+(1/32)×(VBi-VAi)となる。以下、DQ1[4:0]が1ずつ増えるに従って、VQiは(1/32)×(VBi-VAi)ずつ刻まれていき、DQ1[4:0]=1FhのときVQi=VAi+(31/32)×(VBi-VAi)となる。
【0073】
図12は、階調電圧の変動が生じやすい画像の一例として、市松パターンの中にウィンドウが設けられた画像を示す。以下、この画像例を用いて第2詳細構成例の動作を説明する。
【0074】
図12ではn=244とし、デマルチプレクス数を8とする。マトリックス状に配置された矩形の各々は画素を示している。ここではローテーションを考慮しない駆動順を示している。即ち
図12では、アンプ回路AM1~AM244は、駆動期間Gs1~Gs8において、水平走査方向に順に並ぶ8画素を順に駆動する。黒い画素の階調値を000hとし、それよりも薄くハッチングされた画素の階調値をB00hとする。
図10で説明したように、階調値000hはグループKG1に属し、階調値B00hはグループKG6に属する。
【0075】
なお
図12ではアンプ回路AM1、AM42、AM43、AM202、AM203、AM244が駆動する領域のみ図示している。省略部分においては同様のパターンが繰り返されている。即ち、アンプ回路AM2~AM41が駆動する領域は、アンプ回路AM1、AM42が駆動する領域と同じ画像パターンである。アンプ回路AM44~AM201が駆動する領域は、アンプ回路AM43、AM202が駆動する領域と同じ画像パターンである。アンプ回路AM204~AM243が駆動する領域は、アンプ回路AM203、AM244が駆動する領域と同じ画像パターンである。
【0076】
図13は、
図12において走査ラインGL1に接続された画素を駆動する際の個数テーブル及び増加数テーブルである。PX1~PX8は1水平走査期間において各駆動回路が駆動する画素であり、その順に水平走査方向に並んでいるとする。ここではローテーションが行われず、駆動期間Gs1~Gs8において画素PX1~PX8が順に駆動されるとする。
【0077】
図13の上段に個数テーブルを示す。走査ラインGL1では、階調値B00hの画素と階調値000hの画素が交互に並んでいるので、駆動期間Gs1、Gs3、Gs5、Gs7ではグループKG6の個数が244となり、駆動期間Gs2、Gs4、Gs6、Gs8ではグループKG1の個数が244となる。プリチャージ電圧に対応した階調値を700hとする。700hはKG4に属する。
【0078】
図13の下段に増加数テーブルを示す。駆動期間Gs1からGs2でグループKG1の個数が0から244に増加しているので、駆動期間Gs2におけるグループKG1の増加数は244となる。一方、駆動期間Gs1からGs2でグループKG6の個数が244から0に減少しているので、駆動期間Gs2におけるグループKG6の増加数は0となる。駆動期間Gs2ではグループKG1の増加数が244であり、補正処理回路110は、階調値000hに対する補正後の階調値を下式(2)により求める。1/32は上式(1)の係数Prmであり、+1は上式(1)の向きDirである。
補正後の階調値=000h+(244×(1/32)×(-1))=-008h ・・・(2)
【0079】
補正処理回路110は、補正後の階調値が000hをアンダーフローした場合、又はFFFhをオーバーフローした場合には、補正後の階調値を000h又はFFFhにクリップする。即ち、補正処理回路110は、上式(2)の補正後の階調値-008hを000hにクリップする。
【0080】
図13において、駆動期間Gs2からGs3でグループKG1の個数が244から0に減少しているので、駆動期間Gs3におけるグループKG1の増加数は0となる。駆動期間Gs2からGs3でグループKG6の個数が0から244に増加しているので、駆動期間Gs2におけるグループKG6の増加数は244となる。駆動期間Gs3ではグループKG6の増加数が244であり、補正処理回路110は、補正後の階調値を下式(3)により求める。1/32は上式(1)の係数Prmであり、+1は上式(1)の向きDirである。
補正後の階調値=B00h+(244×(1/32)×(+1))=B08h ・・・(3)
【0081】
但し、補正処理回路110は、補正量を-31d~+31dの範囲内とする。即ち、補正処理回路110は、補正値のビット数を、下位ビットデータDQi[4:0]と同じビット数に制限する。また、補正処理回路110は、上位ビットデータDQ1[11:5]を変化させない範囲、つまり下位ビットデータDQi[4:0]のみ変化させる範囲に補正量を制限する。例えば、上式(3)では下位ビットデータDQi[4:0]=00hである。このとき、補正処理回路110は、補正前後で上位ビットデータDQ1[11:5]が変化しないように補正するので、補正量は00h~+1Fhの範囲に制限される。補正量が00hより小さいときは下限の00hに制限され、補正量が+1Fより大きいときは上限の+1Fhに制限される。上式(3)では補正量が+08hであり、00h~+1Fhの範囲内なので、補正処理回路110は補正量+08hをそのまま採用し、補正後の階調値をB08hとする。もう一例として、下位ビットデータDQi[4:0]=08hのとき、補正処理回路110は、補正前後で上位ビットデータDQ1[11:5]が変化しないように補正するので、補正量は-8h~+17hの範囲に制限される。補正量が-8hより小さいときは下限の-8hに制限され、補正量が+17hより大きいときは上限の+17dに制限される。
【0082】
図14は、
図12において走査ラインGL3の画素を駆動する際の個数テーブル及び増加数テーブルである。
図13と同様にローテーションは行われない。
【0083】
図14の上段に個数テーブルを示す。走査ラインGL3はウィンドウを通るので、市松のみの走査ラインGL1とは個数テーブルが異なる。ウィンドウ部分は階調値000hでアンプ回路160個に相当し、000hとB00hの市松はアンプ回路84個に相当する。このため、駆動期間Gs1、Gs3、Gs5、Gs7ではグループKG6の個数が84となり、グループKG1の個数が160となる。駆動期間Gs2、Gs4、Gs6、Gs8ではグループKG1の個数が244となる。
【0084】
増加数テーブルは
図13と同様な計算によって求められるが、ウィンドウ部分は増加数に寄与しないので
図13に比べて増加数が小さくなる。例えば、駆動期間Gs3では、階調値B00hが属するグループKG6の増加数が84である。補正処理回路110は、階調値B00hに対する補正後の階調値を下式(4)により求める。増加数が
図13における244よりも小さいので、補正量も少なくなる。
補正後の階調値=B00h+(84×(1/32)×(+1))=B02h ・・・(4)
【0085】
図15は、ローテーションが行われる場合の個数テーブル及び増加数テーブルである。ここでは、駆動期間Gs1~Gs8において画素PX6、PX7、PX8、PX1、PX2、PX3、PX4、PX5の順に駆動される例を示す。この駆動順に従って、
図14の個数テーブルが並び替えられている。増加数テーブルの計算規則及び補正値の計算手法は
図13、
図14と同様である。
【0086】
図16は、データ電圧VQiの波形例である。補正前VQiは、本実施形態の補正処理を適用しない場合のデータ電圧VQiの波形であり、補正後VQiは本実施形態の補正処理を適用した場合のデータ電圧VQiの波形である。V
000hは、表示データの階調値が000hであるときの理想的なデータ電圧であり、V
B00hは、表示データの階調値がB00hであるときの理想的なデータ電圧である。補正前VQiでは、各駆動期間の終了時点において理想的なデータ電圧に対して誤差があるが、補正後VQiでは、各駆動期間の終了時点において理想的なデータ電圧に対して誤差が小さくなっている。
【0087】
以上の第2詳細構成例によれば、駆動回路DRiは、D/A変換回路DACiとアンプ回路AMiとを含む。D/A変換回路DACiは、補正後表示データの上位ビットデータDQi[11:5]をD/A変換することで、階調電圧GV1~GV129のうち隣り合う2つの階調電圧を出力する。アンプ回路AMiは、その2つの階調電圧の間を補正後表示データの下位ビットデータDQi[4:0]で刻むことで、補正後表示データの下位ビットデータDQi[4:0]をD/A変換する。補正処理回路110は、入力表示データDIi[11:0]に対する補正値を下位ビットデータDQi[4:0]と同じビット数に制限する。
【0088】
本構成例では、補正値は5ビットに制限されるので、上述のように-31d~+31dに制限されることになる。このようにすれば、上位ビットデータDQ1[11:5]は最大で±1dの変動となるので、その階調値が属するグループが変化しない。グループを超えた補正は行われないことで、グループの選択数が変わらないので個数テーブルを再度計算する必要がなく、計算コストが削減される。
【0089】
3.電気光学装置及び電子機器
図17は、回路装置100を含む電気光学装置350の構成例である。電気光学装置350は、回路装置100と電気光学パネル200とを含む。
【0090】
回路装置100は例えばフレキシブル基板に実装され、そのフレキシブル基板が電気光学パネル200に接続され、フレキシブル基板に形成された配線によって回路装置100のデータ信号出力端子と電気光学パネル200のデータ信号入力端子とが接続される。或いは、回路装置100はリジッド基板に実装され、リジッド基板と電気光学パネル200とがフレキシブル基板により接続され、リジッド基板及びフレキシブル基板に形成された配線によって回路装置100のデータ電圧出力端子と電気光学パネル200のデータ電圧入力端子とが接続されてもよい。
【0091】
図18は、回路装置100を含む電子機器300の構成例である。電子機器300は、処理装置310、回路装置100、電気光学パネル200、記憶装置330、データインターフェース340、ユーザーインターフェース360を含む。電子機器300の具体例としては、例えばプロジェクターやヘッドマウントディスプレイ、携帯情報端末、車載装置、携帯型ゲーム端末、情報処理装置等の、表示装置を搭載する種々の電子機器を想定できる。車載装置は、例えばメーターパネル、カーナビゲーションシステム等である。
【0092】
ユーザーインターフェース360は、ユーザーからの種々の操作を受け付ける。ユーザーインターフェース360は、例えば、ボタンやマウスやキーボード、電気光学パネル200に装着されたタッチパネル等である。データインターフェース340は、画像データや制御データの入出力を行う。データインターフェース340は、例えば無線LANや近距離無線通信等の無線通信インターフェース、或いは有線LANやUSB等の有線通信インターフェースである。記憶装置330は、例えばデータインターフェース340から入力されたデータを記憶したり、或いは、処理装置310のワーキングメモリーとして機能したりする。記憶装置330は、例えばRAMやROM等のメモリー、或いはHDD等の磁気記憶装置、或いはCDドライブ、DVDドライブ等の光学記憶装置等である。処理装置310は、電子機器300の制御処理や、種々の信号処理等を行う。処理装置310は、例えばCPUやMPU等のプロセッサー、或いはASIC等である。或いは、処理装置310は、表示コントローラーであってもよいし、プロセッサーと表示コントローラーの両方により構成されていてもよい。処理装置310は、データインターフェース340から入力された或いは記憶装置330に記憶された画像データを処理して回路装置100に転送する。回路装置100は、表示コントローラー320から転送された画像データに基づいて電気光学パネル200に画像を表示させる。
【0093】
例えば電子機器300がプロジェクターである場合、電子機器300は更に光源と光学系とを含む。光学系は、例えばレンズ、プリズム、ミラー等である。電気光学パネル200が透過型である場合、光学装置が光源からの光を電気光学パネル200に入射させ、電気光学パネル200を透過した光をスクリーンに投影させる。電気光学パネル200が反射型である場合、光学装置が光源からの光を電気光学パネル200に入射させ、電気光学パネル200から反射された光をスクリーンに投影させる。
【0094】
以上に説明した本実施形態の回路装置は、階調電圧生成回路と補正処理回路と第1~第n駆動回路とを含む。階調電圧生成回路は、第1~第m階調電圧を生成する。mは3以上の整数である。補正処理回路は、第1~第n入力表示データの第i入力表示データに対して補正処理を行うことで、第1~第n補正後表示データの第i補正後表示データを出力する。nは3以上の整数である。iは1以上n以下の整数である。第1~第n駆動回路の第i駆動回路は、第1~第m階調電圧に基づいて、第i補正後表示データに対応した階調電圧を出力することで、電気光学パネルの駆動を行う。第1~第m階調電圧が第1~第kグループにグループ分けされている。kは2以上m未満の整数である。このとき、補正処理回路は、第1~第n入力表示データの各入力表示データが第1~第kグループのいずれのグループに属するかの解析を行うことで、第1~第kグループの各グループに属する入力表示データの個数を求め、求めた個数に基づいて補正処理を行う。
【0095】
このようにすれば、各グループに属する階調電圧を選択した駆動回路の個数が求められ、その個数に応じて入力表示データが補正される。階調電圧の出力線に接続されるアンプ回路の個数に応じてデータ電圧の誤差が異なるが、本実施形態によれば、その個数に応じてデータ側で補正することで結果的にデータ電圧の誤差を理想値に近づけることができる。
【0096】
また本実施形態では、回路装置は、第1~第k+1外部電源電圧が入力される第1~第k+1外部電源入力端子を含んでもよい。階調電圧生成回路は、第1~第k+1外部電源電圧の第p外部電源電圧と第p+1外部電源電圧の間を抵抗分圧することで、第1~第kグループの第pグループに属する階調電圧を生成してもよい。pは1以上k以下の整数である。
【0097】
外部電源電圧に対応した階調電圧は、負荷が大きくても電圧変動が小さいと考えられる。一方、その間の階調電圧は、抵抗を介して外部電源に接続されるため負荷が大きいと電圧変動が生じる。本実施形態では、外部電源電圧の間を抵抗分圧した階調電圧をグループとすることで、そのグループ単位でデータ電圧変動を補正できる。
【0098】
また本実施形態では、補正処理回路は、第pグループに属する入力表示データの階調値が、第p外部電源電圧及び第p+1外部電源電圧に対応する階調値を超えないように補正処理を行ってもよい。
【0099】
外部電源電圧に対応した階調電圧はほぼ変動しないので、外部電源電圧に対応した階調電圧を超えない範囲で補正すればよいと考えられる。本実施形態では、外部電源電圧に対応した階調値を超えないように入力表示データが補正されるので、外部電源電圧を超えた補正が行われないようになっている。
【0100】
また本実施形態では、補正処理回路は、第1~第kグループのうち、前回の解析で求めた個数よりも今回の解析で求めた個数が規定値以上増加したグループに属する入力表示データに対して、補正処理を行ってもよい。
【0101】
増加数が少ないグループに属する階調電圧は負荷が小さいため電圧変動も小さく、そのデータ電圧への影響を無視してもよい。本実施形態によれば、増加数が既定値より小さいグループに属する階調値は補正されないので、階調電圧の変動が小さいグループに属する階調値については補正されない。
【0102】
また本実施形態では、補正処理回路は、第1~第kグループの第1グループ及び第kグループに属する入力表示データ対して補正処理を行わず、第1~第kグループの第2~第k-1グループのうち少なくとも1つのグループに属する入力表示データに対して補正処理を行ってもよい。
【0103】
回路装置が駆動する電気光学パネルが液晶表示パネルである場合、中間階調において液晶の電圧-透過率特性の傾きが大きいので、データ電圧の誤差が視覚的に見えやすくなる。本実施形態によれば、データ電圧の誤差が視覚的に見えにくい第1グループと第kグループに属する入力表示データの補正処理が省略される。これにより、補正処理の演算負荷を低減できる。
【0104】
また本実施形態では、第i駆動回路は、D/A変換回路とアンプ回路とを含んでもよい。D/A変換回路は、第i補正後表示データの上位ビットデータをD/A変換することで、第1~第m階調電圧のうち隣り合う2つの階調電圧を出力してもよい。アンプ回路は、2つの階調電圧の間を第i補正後表示データの下位ビットデータで刻むことで、下位ビットデータをD/A変換してもよい。補正処理回路は、第i入力表示データに対する補正値を下位ビットデータと同じビット数に制限してもよい。
【0105】
このようにすれば、下位ビットデータと同じビット数に補正値が制限されるので、補正前後における上位ビットデータの変動は、最大で±1dとなる。これにより、補正前後において階調値が属するグループが変化しない。グループを超えた補正は行われないことで、グループの選択数が変わらないので個数テーブルを再度計算する必要がなく、計算コストが削減される。
【0106】
また本実施形態では、補正処理回路は、前回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数に対する、今回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数の増加数を求め、増加数に基づいて補正処理を行ってもよい。
【0107】
グループに属する入力表示データの個数が増加するほど、そのグループに属する階調電圧の出力線に対する負荷が大きくなるので、その階調電圧の電圧変動が大きくなる。本実施形態では、グループに属する入力表示データの個数の増加数に基づいて補正処理されるので、その増加数による電圧変動に応じた補正値を決定できる。
【0108】
また本実施形態では、補正処理回路は、各グループに対応した補正値を増加数に基づいて求め、各グループに属する入力表示データを補正値で補正してもよい。
【0109】
このようにすれば、グループに属する入力表示データが、そのグループの増加数から求められた補正値によって補正される。これにより、グループ単位での補正が実現され、上述のように補正処理の演算負荷が低減される。
【0110】
また本実施形態では、第i駆動回路は、1走査ラインにおいてm個の画素を順次に駆動するデマルチプレクス駆動を行ってもよい。補正処理回路は、1走査ライン分の第i入力表示データとしてm個の画素データが入力され、m個の画素データとデマルチプレクス駆動の駆動順に基づいて増加数を求めてもよい。
【0111】
前回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数に対する、今回の駆動において各グループに属する入力表示データの個数の増加数は、デマルチプレクス駆動の駆動順によって決まる。このため本実施形態では、デマルチプレクス駆動の駆動順に基づいて増加数を求める。
【0112】
また本実施形態では、補正処理回路は、各走査ラインで駆動順を変更するローテーション処理により決定された駆動順に基づいて、増加数を求めてもよい。
【0113】
デマルチプレクス駆動のローテーションを行う場合には、各走査ラインにおける駆動順はローテーション処理によって決まる。本実施形態では、ローテーション処理により決定された駆動順を用いて、各走査ラインにおける増加数が求められる。
【0114】
また本実施形態の電気光学装置は、上記のいずれかに記載の回路装置と、電気光学パネルと、を含む。
また本実施形態の電子機器は、上記のいずれかに記載の回路装置を含む。
【0115】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、電気光学パネル、電気光学装置及び電子機器の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0116】
100…回路装置、110…補正処理回路、120…制御回路、130…処理回路、140…インターフェース回路、150,151…階調電圧生成回路、160…選択信号出力回路、200…電気光学パネル、210…スイッチ回路、300…電子機器、310…処理装置、320…表示コントローラー、330…記憶装置、340…データインターフェース、350…電気光学装置、360…ユーザーインターフェース、AM1~AMn…アンプ回路、DAC1~DACn…D/A変換回路、DI1~DIn…入力表示データ、DQ1~DQn…補正後表示データ、DR1~DRn…駆動回路、GV1~GVm…階調電圧、KG1~KG8…グループ、PW1~PW9…外部電源電圧、PX…画素、TP1~TP9…外部電源入力端子、VQ1~VQn…データ電圧