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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20240730BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240730BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20240730BHJP
   B29C 64/218 20170101ALI20240730BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20240730BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20240730BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20240730BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240730BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/106
B29C64/188
B29C64/218
B29C64/236
B29C64/241
B29C64/295
B33Y30/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020110149
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007276
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姉川 賢太
(72)【発明者】
【氏名】金井 保人
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-105177(JP,A)
【文献】特開2017-213735(JP,A)
【文献】特開2019-155691(JP,A)
【文献】特開2018-122454(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150186(WO,A1)
【文献】特開2019-064090(JP,A)
【文献】国際公開第2015/107789(WO,A1)
【文献】特開2006-192710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元造形装置であって、
材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
前記可塑化材料が堆積される堆積面を有するステージと、
前記ステージの前記堆積面に平行な第1軸に沿って並んで配置された複数のノズルを有し、前記堆積面に向かって前記複数のノズルのそれぞれから連続した線状の形態で前記可塑化材料を吐出する吐出部と、
前記複数のノズルのそれぞれからの前記可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える吐出切替部と、
前記ステージの前記堆積面に平行で前記第1軸と交差する第2軸に沿って、前記吐出部を前記ステージに対して相対移動させる移動部と、
前記可塑化部、前記吐出切替部、および、前記移動部を制御することによって、前記可塑化材料によって形成される造形層を前記ステージの前記堆積面上に積層する制御部と、
前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも後方に配置され、前記造形層を平坦化する平坦化部と、
を備え
前記制御部は、前記移動部を制御して、前記平坦化部によって平坦化される前の前記造形層を前記ノズルの先端部で押圧する、三次元造形装置。
【請求項2】
三次元造形装置であって、
材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
前記可塑化材料が堆積される堆積面を有するステージと、
前記ステージの前記堆積面に平行な第1軸に沿って並んで配置された複数のノズルを有し、前記堆積面に向かって前記複数のノズルのそれぞれから連続した線状の形態で前記可塑化材料を吐出する吐出部と、
前記複数のノズルのそれぞれからの前記可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える吐出切替部と、
前記ステージの前記堆積面に平行で前記第1軸と交差する第2軸に沿って、前記吐出部を前記ステージに対して相対移動させる移動部と、
前記可塑化部、前記吐出切替部、および、前記移動部を制御することによって、前記可塑化材料によって形成される造形層を前記ステージの前記堆積面上に積層する制御部と、
前記造形層を平坦化可能な第1平坦化部と、
前記造形層を平坦化可能な第2平坦化部と、
前記第1平坦化部と前記ステージとの距離、および、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を変更する位置変更部と、
を備え、
前記第1平坦化部、前記複数のノズル、前記第2平坦化部は、前記第2軸に沿って順に配置され、
前記制御部は、前記位置変更部を制御することによって、
前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記第1平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第1平坦化部と前記ステージとの距離を前記第2平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第1平坦化部によって前記造形層を平坦化し、
前記移動方向において前記第2平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を前記第1平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第2平坦化部によって前記造形層を平坦化し、
前記制御部は、前記移動部を制御して、
前記第1平坦化部によって平坦化される前の前記造形層を前記ノズルの先端部で押圧し、
前記第2平坦化部によって平坦化される前の前記造形層を前記ノズルの先端部で押圧する、三次元造形装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の三次元造形装置であって、
前記吐出部は、前記複数のノズルのそれぞれに連通する複数の個別流路を有し、
前記吐出切替部は、前記複数の個別流路のそれぞれに対応して設けられた複数のバルブを有し、
前記制御部は、前記複数のバルブを個別に開閉することによって、前記複数のノズルのそれぞれからの前記可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える、三次元造形装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも前方に配置され、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を加熱する再加熱部を備える、三次元造形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の三次元造形装置であって、
前記制御部は、前記再加熱部を制御して、前記既設層の表面を前記可塑化材料のガラス転移点以上の温度に加熱し、加熱した前記既設層の上に前記ノズルから前記可塑化材料を吐出して、吐出された前記可塑化材料を前記ノズルの先端部で押圧する、三次元造形装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも前方に配置され、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を化学的に活性化させる表面活性化部を備える、三次元造形装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも後方に配置され、前記造形層を冷却する冷却部を備える、三次元造形装置。
【請求項8】
請求項1に記載の三次元造形装置であって、
前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも前方に配置され、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を加熱する再加熱部と、
前記移動方向において前記複数のノズルよりも後方に配置され、前記造形層を冷却する冷却部と、を備え、
前記移動方向において、前記再加熱部、前記複数のノズル、前記平坦化部、前記冷却部の順に配置されている、三次元造形装置。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の三次元造形装置であって、
既に形成されている前記造形層である既設層の表面を加熱する再加熱部と、前記既設層の表面を化学的に活性化させる表面活性化部と、前記造形層を冷却する冷却部とのうちの少なくともいずれか一つを有する、第1造形補助部および第2造形補助部を備え、
前記第1造形補助部、前記複数のノズル、前記第2造形補助部は、前記第2軸に沿って順に配置される、三次元造形装置。
【請求項10】
三次元造形装置であって、
材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
前記可塑化材料が堆積される堆積面を有するステージと、
前記ステージの前記堆積面に平行な第1軸に沿って並んで配置された複数のノズルを有し、前記堆積面に向かって前記複数のノズルのそれぞれから連続した線状の形態で前記可塑化材料を吐出する吐出部と、
前記複数のノズルのそれぞれからの前記可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える吐出切替部と、
前記ステージの前記堆積面に平行で前記第1軸と交差する第2軸に沿って、前記吐出部を前記ステージに対して相対移動させる移動部と、
前記可塑化部、前記吐出切替部、および、前記移動部を制御することによって、前記可塑化材料によって形成される造形層を前記ステージの前記堆積面上に積層する制御部と、
前記造形層を平坦化可能であり、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を加熱する第1ヒーターを有する第1平坦化部と、
前記造形層を平坦化可能であり、前記既設層の表面を加熱する第2ヒーターを有する第2平坦化部と、
前記第1平坦化部と前記ステージとの距離、および、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を変更する位置変更部と、
を備え、
前記第1平坦化部、前記複数のノズル、前記第2平坦化部は、前記第2軸に沿って順に配置され、
前記制御部は、前記位置変更部、前記第1ヒーター、および、前記第2ヒーターを制御することによって、
前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記第1平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を前記第1平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第2ヒーターによって前記既設層の表面を加熱し、前記第1平坦化部によって前記造形層を平坦化し、
前記移動方向において前記第2平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第1平坦化部と前記ステージとの距離を前記第2平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第1ヒーターによって前記既設層の表面を加熱し、前記第2平坦化部によって前記造形層を平坦化する、三次元造形装置。
【請求項11】
請求項10に記載の三次元造形装置であって、
前記既設層の表面を化学的に活性化させる第1表面活性化部および第2表面活性化部をさらに備え、
前記第1表面活性化部、前記第1平坦化部、前記複数のノズル、前記第2平坦化部、前記第2表面活性化部は、前記第2軸に沿って順に配置される、三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、予熱器で加熱されて溶融した熱可塑性の材料を、予め設定された形状データに従って走査する押出ノズルから基台上に押し出し、基台上で硬化した材料の上に溶融材料を積層して三次元造形物を作成する装置が開示されている。特許文献2には、加熱板にパルス電圧を印加することによって、加熱板を瞬間的に加熱して流路内の材料を溶融させるとともに流路の側壁を構成する薄板に熱歪みを生じさせ、溶融した材料を複数の吐出口から薄板の熱歪みを用いて間欠的に吐出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-192710号公報
【文献】国際公開第2016/185626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、1つのノズルから材料を吐出する装置を用いて、一筆書きのようにして三次元造形物を造形する場合、造形時間が長くなる。そこで、特許文献2のように、複数のノズルから材料を吐出する装置を用いることによって造形時間を短期化できる。しかし、特許文献2に記載された装置では、各ノズルから材料が間欠的に吐出されるので、意図せず三次元造形物内に空隙が形成されて、狙い通りの強度を確保できなくなる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料が堆積される堆積面を有するステージと、前記ステージの前記堆積面に平行な第1軸に沿って並んで配置された複数のノズルを有し、前記堆積面に向かって前記複数のノズルのそれぞれから連続した線状の形態で前記可塑化材料を吐出する吐出部と、前記複数のノズルのそれぞれからの前記可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える吐出切替部と、前記ステージの前記堆積面に平行で前記第1軸と交差する第2軸に沿って、前記吐出部を前記ステージに対して相対移動させる移動部と、前記可塑化部、前記吐出切替部、および、前記移動部を制御することによって、前記可塑化材料によって形成される造形層を前記ステージの前記堆積面上に積層する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の三次元造形装置の概略構成を示す断面図。
図2】第1実施形態の造形部の概略構成を示す底面図。
図3】フラットスクリューの構成を示す斜視図。
図4】バレルの構成を示す上面図。
図5】吐出部および吐出切替部の構成を示す上面図。
図6図5におけるVI-VI線断面図。
図7】三次元造形物を造形するための造形処理の内容を示すフローチャート。
図8】第1実施形態の造形層が形成される様子を模式的に示す側面図。
図9】第1実施形態の造形層が形成される様子を模式的に示す底面図。
図10】第2実施形態の三次元造形装置の概略構成を示す断面図。
図11】第2実施形態の造形部の概略構成を示す底面図。
図12】第2実施形態の造形層が形成される様子を模式的に示す第1の側面図。
図13】第3実施形態の造形層が形成される様子を模式的に示す第2の側面図。
図14】第3実施形態の三次元造形装置の概略構成を示す断面図。
図15】第3実施形態の造形部の概略構成を示す底面図。
図16】第3実施形態の造形層が形成される様子を模式的に示す第1の側面図。
図17】第3実施形態の造形層が形成される様子を模式的に示す第2の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における三次元造形装置100の概略構成を示す断面図である。図2は、本実施形態における造形部200の概略構成を示す底面図である。図1および図2には、互いに直交する3つの座標軸であるX,Y,Z軸を表す矢印が示されている。X軸およびY軸は水平面に平行な座標軸であり、Z軸は水平面に垂直な座標軸である。X,Y,Z軸を表す矢印は、他の図においても、矢印の指し示す方向が図1図2と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、X軸を表す矢印の指し示す方向のことを+X方向と呼び、Y軸を表す矢印の指し示す方向のことを+Y方向と呼び、Z軸を表す矢印の指し示す方向のことを+Z方向と呼ぶ。+X方向とは反対向きの方向のことを-X方向と呼び、+Y方向とは反対向きの方向のことを-Y方向と呼び、+Z方向とは反対向きの方向のことを-Z方向と呼ぶ。+X方向と-X方向とのことを特に区別せずに説明する場合には単にX方向と呼び、+Y方向と-Y方向とのことを特に区別せずに説明する場合には単にY方向と呼び、+Z方向と-Z方向とのことを特に区別せずに説明する場合には単にZ方向と呼ぶ。尚、Y軸のことを第1軸と呼び、X軸のことを第2軸と呼び、Z軸のことを第3軸と呼ぶことがある。
【0008】
図1に示すように、三次元造形装置100は、造形部200と、ステージ300と、移動部400と、制御部500とを備えている。造形部200は、可塑化材料を吐出する吐出部60を有している。ステージ300は、吐出部60から吐出された可塑化材料が堆積される堆積面310を有している。三次元造形装置100は、移動部400を用いて吐出部60とステージ300とを相対移動させつつ吐出部60からステージ300の堆積面310に向かって可塑化材料を吐出することによって、可塑化材料によって形成された造形層を堆積面310上に積層して、造形層の積層体である三次元造形物を造形する。
【0009】
本実施形態では、造形部200は、材料供給部20と、可塑化部30と、吐出部60と、吐出切替部70と、表面活性化部210と、再加熱部220と、平坦化部230と、冷却部240とを備えている。
【0010】
材料供給部20は、材料MRを可塑化部30に供給する。本実施形態では、ペレット状に形成されたABS樹脂が材料MRとして用いられる。材料供給部20は、材料MRを収容するホッパーによって構成されている。材料供給部20の下方には、材料供給部20と可塑化部30との間を接続する供給路22が設けられている。材料供給部20に収容された材料MRは、供給路22を介して、可塑化部30に供給される。
【0011】
可塑化部30は、材料供給部20から供給された材料MRを可塑化して可塑化材料を生成して、可塑化材料を吐出部60に供給する。「可塑化」とは、熱可塑性を有する材料に熱が加わり溶融することを意味する。「溶融」とは、熱可塑性を有する材料が融点以上の温度に加熱されて液状になることのみならず、熱可塑性を有する材料がガラス転移点以上の温度に加熱されることにより軟化し、流動性が発現することをも意味する。
【0012】
可塑化部30は、スクリューケース31と、駆動モーター32と、フラットスクリュー40と、バレル50と、ヒーター58とを備えている。スクリューケース31は、フラットスクリュー40を収容する筐体である。スクリューケース31の下端部にはバレル50が固定されており、スクリューケース31とバレル50とによって囲まれた空間にフラットスクリュー40が収容されている。
【0013】
フラットスクリュー40は、その中心軸RXに沿った方向の高さが直径よりも小さい略円柱形状を有している。フラットスクリュー40は、中心軸RXがZ方向に平行になるようにスクリューケース31内に配置されている。フラットスクリュー40の上面41側は制御部500の制御下で駆動される駆動モーター32に接続されており、駆動モーター32が発生させるトルクによって、フラットスクリュー40は、スクリューケース31内において中心軸RXを中心にして回転する。フラットスクリュー40は、上面41とは反対側に、溝部45が形成された溝形成面42を有している。バレル50は、フラットスクリュー40の溝形成面42に対向するスクリュー対向面52を有している。スクリュー対向面52の中央には、吐出部60に連通する連通孔56が設けられている。
【0014】
図3は、フラットスクリュー40の構成を示す斜視図である。図3には、技術の理解を容易にするために、図1とは上下逆向きにフラットスクリュー40が表されている。図3には、フラットスクリュー40の中心軸RXの位置が一点鎖線で示されている。フラットスクリュー40の溝形成面42の中央部47は、溝部45の一端が接続されている窪みとして構成されている。中央部47は、図1に示したバレル50の連通孔56に対向している。中央部47は、中心軸RXと交差する。本実施形態では、溝部45は、中央部47から、フラットスクリュー40の外周に向かって弧を描くように渦状に延びている。溝部45は、インボリュート曲線状に構成されてもよいし、螺旋状に延びるように構成されてもよい。溝形成面42には、溝部45の側壁部を構成し、各溝部45に沿って延びている凸条部46が設けられている。溝部45は、フラットスクリュー40の側面43に形成された材料導入口44まで連続している。材料導入口44は、材料供給部20の供給路22を介して供給された材料MRを受け入れる部分である。材料導入口44から溝部45内に導入された材料MRは、フラットスクリュー40の回転によって溝部45内を中央部47に向かって搬送される。
【0015】
図3には、3つの溝部45と、3つの凸条部46とを有するフラットスクリュー40が表されている。フラットスクリュー40に設けられる溝部45や凸条部46の数は、3つには限定されない。フラットスクリュー40には、1つの溝部45のみが設けられてもよいし、2つ以上の複数の溝部45が設けられてもよい。また、溝部45の数に合わせて任意の数の凸条部46が設けられてもよい。図3には、材料導入口44が3箇所に形成されたフラットスクリュー40が表されている。フラットスクリュー40に設けられる材料導入口44の位置は、3箇所に限定されない。フラットスクリュー40には、材料導入口44が1箇所にのみ設けられてもよいし、2箇所以上の複数の位置に設けられてもよい。
【0016】
図4は、バレル50の構成を示す上面図である。上述したとおり、スクリュー対向面52の中央には、吐出部60に連通する連通孔56が設けられている。スクリュー対向面52には、連通孔56の周りに、複数の案内溝54が設けられている。それぞれの案内溝54は、一端が連通孔56に接続され、連通孔56からスクリュー対向面52の外周に向かって弧を描くように渦状に延びている。それぞれの案内溝54は、造形材料を連通孔56に導く機能を有している。尚、スクリュー対向面52には、案内溝54が設けられていなくてもよい。
【0017】
図1に示すように、バレル50の下端部には、材料MRを加熱するためのヒーター58が固定されている。本実施形態では、ヒーター58は、リング状の外形形状を有しており、連通孔56を囲むように配置されている。ヒーター58の温度は、制御部500によって制御される。溝部45内を搬送される材料MRは、フラットスクリュー40の回転によるせん断とヒーター58からの熱によって可塑化されて、ペースト状の可塑化材料になる。可塑化材料は、連通孔56から吐出部60に供給される。
【0018】
図2に示すように、本実施形態では、吐出部60は、4つのノズル68A~68Dを有している。吐出部60は、バレル50の下端部に固定された第1流路部材61と、第1流路部材61の下端部に固定された第2流路部材62とによって構成されている。各ノズル68A~68Dは、第2流路部材62の下端部に、Y方向に沿って並んで配置されている。吐出部60は、各ノズル68A~68Dからステージ300に向かって、連続した線状の形態で可塑化材料を吐出する。以下の説明では、各ノズル68A~68Dのことを、-Y方向側から順に、第1ノズル68A、第2ノズル68B、第3ノズル68C、第4ノズル68Dと呼ぶことがある。各ノズル68A~68Dの符号の末尾に付された「A」~「D」の文字は、各ノズル68A~68Dを区別するために付された文字である。以下の説明において、各ノズル68A~68Dを特に区別せずに説明する場合には、符号の末尾に「A」~「D」の文字を付さずに説明する。尚、吐出部60に設けられるノズル68の数は、4つに限られず、2つまたは3つでもよいし、5つ以上でもよい。
【0019】
各ノズル68A~68Dの-Z方向側の先端部には、可塑化材料を吐出するための吐出口69A~69Dが設けられている。本実施形態では、各吐出口69A~69Dの開口形状は、Y方向に沿った長手方向を有する長方形である。各吐出口69A~69Dの大きさは同じである。尚、各吐出口69A~69Dの開口形状は、長方形に限られず、例えば、正方形でもよいし、四角形以外の多角形でもよいし、円形でもよい。各吐出口69A~69Dの開口形状や大きさは互いに異なってもよい。
【0020】
本実施形態では、吐出部60には、各ノズル68A~68Dが、+Z方向に視て千鳥状に配置されている。より具体的には、吐出部60は、第1ノズル68Aと第3ノズル68Cとによって構成された第1ノズル列と、第2ノズル68Bと第4ノズル68Dとによって構成された第2ノズル列とを有している。第1ノズル列を構成する第1ノズル68Aと第3ノズル68Cとは、Y方向に平行な直線上に並んで配置されている。第2ノズル列は、X方向において第1ノズル列との間に間隔を空けて、第1ノズル列に対して-X方向側に配置されている。第2ノズル列を構成する第2ノズル68Bと第4ノズル68Dとは、Y方向に平行な直線上に並んで配置されている。第1ノズル列を構成する各ノズル68A,68CのY方向における位置は、第2ノズル列を構成する各ノズル68B,68DのY方向における位置とは異なる。第2ノズル68Bは、Y方向において、第1ノズル68Aと第3ノズル68Cとの間に配置されており、第3ノズル68Cは、Y方向において、第2ノズル68Bと第4ノズル68Dとの間に配置されている。尚、各ノズル68A~68Dは、千鳥状に配置されずに、一直線上に並んで配置されてもよい。
【0021】
本実施形態では、第1ノズル68Aの吐出口69Aの+Y方向側の周縁部と、第2ノズル68Bの吐出口69Bの-Y方向側の周縁部とが、Y方向において同じ位置になるように第1ノズル68Aと第2ノズル68Bとが配置されている。第2ノズル68Bの吐出口69Bの+Y方向側の周縁部と、第3ノズル68Cの吐出口69Cの-Y方向側の周縁部とが、Y方向において同じ位置になるように第2ノズル68Bと第3ノズル68Cとが配置されている。第3ノズル68Cの吐出口69Cの+Y方向側の周縁部と、第4ノズル68Dの吐出口69Dの-Y方向側の周縁部とが、Y方向において同じ位置になるように第3ノズル68Cと第4ノズル68Dとが配置されている。つまり、本実施形態では、+X方向あるいは-X方向に視たときに、隣り合うノズル68の吐出口69同士が互いに接するように各ノズル68A~68Dが配置されている。
【0022】
図5は、吐出部60および吐出切替部70の構成を示す上面図である。図6は、図5におけるVI-VI線断面図である。図5に示すように、吐出部60は、1つの共通流路63と、2つの分岐流路64A,64Bと、4つの個別流路65A~65Dとを有している。各個別流路65A~65Dは、各ノズル68A~68Dに対して1つずつ設けられている。共通流路63の上流側の端部は、バレル50の連通孔56に連通している。共通流路63の下流側の端部は、第1分岐流路64Aと第2分岐流路64Bとに連通している。第1分岐流路64Aの下流側の端部は、第1個別流路65Aと第3個別流路65Cとに連通している。第2分岐流路64Bの下流側の端部は、第2個別流路65Bと第4個別流路65Dとに連通している。図6に示すように、第1個別流路65Aは、第1ノズル68Aの吐出口69Aに連通しており、第2個別流路65Bは、第2ノズル68Bの吐出口69Bに連通している。第3個別流路65Cは、第3ノズル68Cの吐出口69Cに連通しており、第4個別流路65Dは、第4ノズル68Dの吐出口69Dに連通している。
【0023】
共通流路63は、第1流路部材61にZ方向に沿って設けられた貫通孔によって構成されている。各分岐流路64A,64Bは、第1流路部材61に水平方向に設けられた溝によって構成されている。各個別流路65A~65Dは、第2流路部材62に水平方向に沿って設けられた溝と、第2流路部材62にZ方向に沿って設けられた貫通孔によって構成されている。共通流路63の下流側の端部から第1ノズル68Aの吐出口69Aまでの流路の長さと、共通流路63の下流側の端部から第2ノズル68Bの吐出口69Bまでの流路の長さと、共通流路63の下流側の端部から第3ノズル68Cの吐出口69Cまでの流路の長さと、共通流路63の下流側の端部から第4ノズル68Dの吐出口69Dまでの流路の長さとは、それぞれ同じである。そのため、共通流路63の下流側の端部から各吐出口69A~69Dに可塑化材料が流れる際の圧力損失を均等にすることができるので、各吐出口69A~69Dから吐出される可塑化材料の量にばらつきが生じることを抑制できる。
【0024】
図5に示すように、吐出切替部70は、各ノズル68A~68Dからの可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える。本実施形態では、吐出切替部70は、各個別流路65A~65Dに対して1つずつ設けられたバルブ71A~71Dによって構成されている。各バルブ71A~71Dは、弁部75A~75Dと弁駆動部76A~76Dとを有している。
【0025】
本実施形態では、各弁部75A~75Dは、X方向に沿った中心軸を有する円柱状の外形形状を有している。吐出部60の第2流路部材62には、各個別流路65A~65Dに対して1つずつ、X方向に沿った中心軸を有する円筒状のシリンダー部66A~66Dが設けられており、各弁部75A~75Dは、各シリンダー部66A~66D内に配置されている。
【0026】
本実施形態では、各弁駆動部76A~76Dは、コンプレッサーから供給される圧縮空気を用いて各弁部75A~75Dを駆動させる空気式である。各弁駆動部76A~76Dは、制御部500の制御下で、各弁部75A~75DをX方向に沿って並進移動させて、各個別流路65A~65Dを個別に開閉する。例えば、弁駆動部76Aは、弁部75Aを図5に示した位置から+X方向に向かって移動させて、弁部75Aによって第1個別流路65Aを閉塞させ、弁部75Aを図5に示した位置に戻して、第1個別流路65Aを開放する。各個別流路65A~65Dが個別に開閉されることによって、各ノズル68A~68Dからの可塑化材料の吐出の停止と再開とが個別に切り替えられる。尚、各弁駆動部76A~76Dは、上述した空気式に限られず、ソレノイドの発生させる電磁力を用いて各弁部75A~75を駆動させるソレノイド式でもよいし、モーターの発生させる回転力を用いて各弁部75A~75Dを駆動させる電気式でもよい。各バルブ71A~71Dは、並進動作ではなく回転動作によって各個別流路65A~65Dを個別に開閉してもよい。この場合、各バルブ71A~71Dは、例えば、バタフライバルブによって構成されてもよい。
【0027】
図1および図2に示すように、表面活性化部210は、各ノズル68A~68Dに対して+X方向側、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されている。スクリューケース31の+X方向側の側面には、第1支持部35が固定されており、表面活性化部210は、第1支持部35に固定されている。表面活性化部210は、ステージ300上に形成された造形層の表面を化学的に活性化させる。本実施形態では、表面活性化部210は、大気圧プラズマ装置によって構成されている。表面活性化部210は、制御部500の制御下で、ステージ300上に形成された造形層に大気圧プラズマを照射することによって、造形層の表面を化学的に活性化させて、造形層の表面自由エネルギー、換言すれば、造形層の濡れ性を高める。尚、表面活性化部210は、造形層にプラズマを照射するのではなく、造形層にイオンビームあるいは紫外線を照射して、造形層の表面を化学的に活性化させてもよい。
【0028】
再加熱部220は、X方向における各ノズル68A~68Dと表面活性化部210との間、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されている。再加熱部220は、第1支持部35に固定されている。再加熱部220は、ステージ300上に形成された造形層を加熱する。本実施形態では、再加熱部220は、内蔵されたヒーターによって昇温された熱風を送出する送風機によって構成されている。熱風とは、材料MRのガラス転移点以上の温度の空気あるいは不活性ガスの流れのことを意味する。再加熱部220は、制御部500の制御下で、ステージ300上に形成された造形層に向かって熱風を吹き付けることによって、造形層の上面をガラス転移点以上の温度に加熱する。尚、再加熱部220は、ヒーターを内蔵した送風機でなく、例えば、ハロゲンランプによって構成されてもよい。再加熱部220は、X方向における各ノズル68A~68Dと表面活性化部210との間ではなく、表面活性化部210に対して+X方向側に配置されてもよい。
【0029】
平坦化部230は、各ノズル68A~68Dに対して-X方向側、かつ、各ノズル68A~68Dに対して-Z方向側に配置されている。平坦化部230は、スクリューケース31の下端部に固定されている。平坦化部230は、ステージ300上に形成された造形層を平坦化する。本実施形態では、平坦化部230は、ローラー231と、ローラー231を支持するローラー支持部232とを備えている。ローラー231は、回転軸がY方向に平行になるように配置されている。平坦化部230は、各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料によって形成された硬化前の造形層をローラー231によって押圧して平坦化する。本実施形態では、ローラー支持部232は、制御部500の制御下でローラー231を昇降させる機能を有しており、Z方向におけるステージ300とローラー231との距離を変更可能に構成されている。Z方向におけるステージ300とローラー231との距離を変更することによって、ローラー231によって造形層を押圧する際の押圧力を調節できる。尚、平坦化部230は、ローラー231ではなく、スキージを備え、スキージによって造形層を平坦化してもよい。ローラー支持部232のことを位置変更部と呼ぶことがある。ローラー支持部232は、Z方向におけるローラー231の位置を変更可能に構成されていなくてもよい。
【0030】
冷却部240は、平坦化部230に対して-X方向側、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されている。スクリューケース31の-X方向側の側面には、第2支持部36が固定されており、冷却部240は、第2支持部36によって支持されている。冷却部240は、ステージ300上に形成された造形層を冷却する。本実施形態では、冷却部240は、冷風を送出する送風機によって構成されている。冷風とは、材料MRのガラス転移点よりも十分に低い温度の空気あるいは不活性ガスの流れのことを意味する。冷風の温度は、三次元造形装置100の設置場所の室温以下であることが好ましい。冷却部240は、制御部500の制御下で、各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料によって形成された硬化前の造形層に向かって冷風を吹き付けることによって、造形層を冷却して硬化を促進させる。
【0031】
図1に示すように、ステージ300は、吐出部60に対して、-Z方向に配置されている。上述したとおり、ステージ300は、各ノズル68A~68Dに対向し、各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料が堆積される堆積面310を有している。堆積面310の上に三次元造形物が造形される。本実施形態では、堆積面310は、水平面に平行に設けられている。ステージ300は、移動部400によって支持されている。
【0032】
移動部400は、吐出部60と堆積面310との相対的な位置を変化させる。本実施形態では、移動部400は、ステージ300を移動させることによって、吐出部60と堆積面310との相対的な位置を変化させる。本実施形態における移動部400は、3つのモーターが発生させる動力によって、ステージ300をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成されている。各モーターは、制御部500の制御下で駆動される。尚、移動部400は、ステージ300を移動させずに造形部200を移動させることによって、吐出部60と堆積面310との相対的な位置を変化させるように構成されてもよい。また、移動部400は、造形部200とステージ300との両方を移動させることによって、吐出部60と堆積面310との相対的な位置を変化させるように構成されてもよい。移動部400は、吐出部60と堆積面310とのY方向における相対的な位置を変化させる機能を有していなくてもよい。
【0033】
制御部500は、1つまたは複数のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。本実施形態では、制御部500は、主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。例えば、制御部500は、後述する造形処理を実行することによって、ステージ300上に三次元造形物を造形する。尚、制御部500は、コンピューターではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0034】
図7は、三次元造形物を造形するための造形処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、三次元造形装置100に設けられた操作パネルや、三次元造形装置100に接続されたコンピューターに対して、所定の開始操作がユーザーによって行われた場合に、制御部500によって実行される。
【0035】
まず、制御部500は、ステップS110にて、三次元造形物を造形するための造形データを取得する。造形データとは、ステージ300に対する吐出部60の移動経路や、吐出部60の各ノズル68から吐出される可塑化材料の量等に関する情報が表されたデータである。造形データは、例えば、三次元造形装置100に接続されたコンピューターにインストールされたスライサーソフトに形状データを読み込ませることによって作成される。形状データとは、三次元CADソフトや三次元CGソフト等を用いて作成された三次元造形物の目標形状を表すデータである。形状データには、STL形式やAMF形式等のデータを用いることができる。スライサーソフトは、三次元造形物の目標形状を所定の厚みの層に分割して、層ごとに造形データを作成する。造形データは、GコードやMコード等によって表される。制御部500は、三次元造形装置100に接続されたコンピューターや、USBメモリー等の記録媒体から造形データを取得する。
【0036】
次に、ステップS120にて、制御部500は、造形データに従って可塑化部30を制御して、可塑化材料の生成を開始する。制御部500は、フラットスクリュー40の回転速度、および、バレル50に設けられたヒーター58の温度を制御することによって、材料を可塑化させて可塑化材料を生成する。可塑化材料は、造形処理が行われる間、生成され続ける。
【0037】
ステップS130にて、制御部500は、造形層を形成する。本実施形態では、制御部500は、造形データに従って、可塑化部30、吐出切替部70、移動部400、表面活性化部210、再加熱部220、平坦化部230のローラー支持部232、および、冷却部240を制御して、造形層を形成する。造形層が形成される様子については後述する。その後、ステップS140にて、制御部500は、全ての造形層の形成が終了したか否かを判定する。制御部500は、造形データを用いて、全ての造形層の形成が終了したことを判断できる。制御部500は、ステップS140で全ての造形層の形成が終了したと判断されるまで、ステップS130の処理とステップS140の処理とを繰り返す。ステップS140で全ての造形層の形成が終了したと判断された場合、制御部500は、この処理を終了する。
【0038】
図8は、本実施形態の三次元造形装置100によって造形層が形成される様子を模式的に示す側面図である。図9は、本実施形態の三次元造形装置100によって造形層が形成される様子を模式的に示す底面図である。1番目に形成される造形層である第1層Lの形成が開始される前には、造形部200は、ステージ300の-X方向側の端部よりも-X方向側の初期位置に配置されている。図7に示したステップS130の処理が開始されると、図8に示すように、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200を+X方向に向かって相対移動させる。ステージ300に対して造形部200が+X方向に向かって相対移動することによって、造形部200に設けられた表面活性化部210と再加熱部220と吐出部60と平坦化部230と冷却部240とがこの順にステージ300上を通過する。本実施形態では、第1層Lを形成する際には、制御部500は、表面活性化部210からのプラズマPLの照射と再加熱部220からの熱風HAの送出とをオフにする。尚、制御部500は、表面活性化部210からのプラズマPLの照射と再加熱部220からの熱風HAの送出とをオンにして第1層Lを形成してもよい。
【0039】
吐出部60がステージ300上を通過する際、吐出部60の各ノズル68A~68Dから連続した線状の形態で可塑化材料が吐出される。この際、制御部500は、吐出切替部70を制御することによって、三次元造形物の目標形状に応じて各ノズル68A~68Dからの可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える。各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料がステージ300上に堆積することによって第1層Lが形成される。
【0040】
ステージ300上に形成された硬化前の第1層Lは、平坦化部230のローラー231によって押圧されて平坦化される。第1層Lがローラー231に押圧されることによって、第1層Lとステージ300との密着性が高められる。さらに、第1層Lが平坦化されることによって、図8に示すように、第1層LのZ方向に沿った厚みは減少し、図9に示すように、第1層Lのうちの各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料によって形成された各部分のY方向に沿った幅は増加する。そのため、第1層LのうちのY方向において隣り合うノズル68から吐出された可塑化材料によって形成された部分同士の密着性が高められる。例えば、第1層Lのうちの第1ノズル68Aから吐出された可塑化材料によって形成された部分と第2ノズル68Bから吐出された可塑化材料によって形成された部分との密着性が高められる。尚、第1層Lを形成する際には、制御部500は、各ノズル68A~68Dの先端部とステージ300とを近接させた状態で、ステージ300に対して造形部200を+X方向に向かって相対移動させることによって、平坦化部230によって平坦化される前の第1層Lを各ノズル68A~68Dの先端部で押圧してもよい。この場合、第1層Lとステージ300との密着性が高まるので、第1平坦化部230によって平坦化される前に第1層Lがステージ300から剥がれることを抑制できる。
【0041】
平坦化部230によって平坦化された第1層Lは、冷却部240から送出された冷風CAによって冷却されて硬化を促進される。第1層Lの冷却が終了した後、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200を第1層Lの厚み分+Z方向に向かって相対移動させる。さらに、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200を-X方向に向かって相対移動させて、X方向におけるステージ300に対する造形部200の位置を初期位置に戻す。
【0042】
nを任意の自然数として、n番目に形成される造形層であり、第1層Lよりも上層の第n層Lを形成する際、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200を+X方向に向かって相対移動させる。第n層Lを形成する際には、制御部500は、表面活性化部210からのプラズマPLの照射と再加熱部220からの熱風HAの送出と冷却部240からの冷風CAの送出とをオンにする。ステージ300に対して造形部200が+X方向に向かって相対移動することによって、造形部200に設けられた表面活性化部210と再加熱部220と吐出部60と平坦化部230と冷却部240とがこの順に、既に形成された造形層である第n-1層Ln-1上を通過する。
【0043】
第n-1層Ln-1上を通過する表面活性化部210からプラズマPLが照射されることによって、第n-1層Ln-1の上面は、化学的に活性化される。第n-1層Ln-1上を通過する再加熱部220から熱風HAが吹き付けられることによって、第n-1層Ln-1の上面は、ガラス転移点以上の温度に加熱される。第n-1層Ln-1上を通過する吐出部60の各ノズル68A~68Dから可塑化材料が吐出されることによって、第n-1層Ln-1上に第n層Lが形成される。第n-1層Ln-1上に形成された第n層Lは、平坦化部230のローラー231に押圧されることによって平坦化される。第n層Lが平坦化されることによって、第n層Lと第n-1層Ln-1との密着性が高められる。平坦化部230によって平坦化された第n層Lは、冷却部240から送出された冷風CAによって冷却されて硬化を促進される。
【0044】
第n層Lの冷却が終了した後、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200を第n層Lの厚み分+Z方向に向かって相対移動させる。さらに、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200を-X方向に向かって相対移動させて、X方向におけるステージ300に対する造形部200の位置を初期位置に戻す。制御部500は、上述した処理を繰り返すことによって、ステージ300上に造形層を積層して三次元造形物を造形する。
【0045】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100によれば、4つのノズル68A~68Dを用いて、一度にステージ300上の広範囲に造形層を形成できるので、三次元造形物の造形時間を短期化できる。さらに、各ノズル68A~68Dから連続した線状の形態で可塑化材料が吐出されるので、造形層が形成される際のステージ300に対する各ノズル68A~68Dの移動方向である+X方向に沿って意図せず空隙が点在する三次元造形物が形成されることを抑制できる。そのため、狙い通りの三次元造形物の強度が確保できなくなることを抑制しつつ、三次元造形物の造形時間を短期化できる。
【0046】
また、本実施形態では、吐出切替部70は、各個別流路65A~65Dに設けられたバルブ71A~71Dによって、各ノズル68A~68Dからの可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替え可能に構成されている。そのため、簡易な構成で、各ノズル68A~68Dからの可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替えることができる。
【0047】
また、本実施形態では、各ノズル68A~68Dが千鳥配置されているので、Y方向において隣り合うノズル68同士の間隔を狭くできる。特に、本実施形態では、X方向に沿って視たときに、隣り合うノズル68の吐出口69同士が互いに接するように各ノズル68A~68Dが配置されている。そのため、第n層Lのうちの隣り合うノズル68の吐出口69から吐出された可塑化材料によって形成された部分同士の間に、空隙が形成されることを抑制できる。さらに、本実施形態では、各吐出口69A~69Dの開口形状が長方形であるため、各吐出口69A~69Dから吐出される可塑化材料の横断面は長方形になる。そのため、第n層Lのうちの隣り合うノズル68の吐出口69から吐出された可塑化材料によって形成された部分同士の間に、空隙が形成されることを効果的に抑制できる。
【0048】
また、本実施形態では、造形部200に表面活性化部210が設けられているので、各ノズル68A~68Dから第n-1層Ln―1上への可塑化材料の吐出に先立って、表面活性化部210によって第n-1層Ln―1の上面を化学的に活性化できる。そのため、第n-1層Ln―1と第n層Lとの化学的な結合力を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態では、造形部200に再加熱部220が設けられているので、各ノズル68A~68Dから第n-1層Ln―1上への可塑化材料の吐出に先立って、再加熱部220によって第n-1層Ln―1の上面をガラス転移点以上の温度に加熱できる。そのため、第n-1層Ln―1と第n層Lとの密着性を高めることができる。特に、本実施形態では、造形部200とステージ300とを覆うチャンバーを設けてチャンバー内を所定の温度に加熱しなくても、第n-1層Ln―1と第n層Lとの密着性を高めることができるので、三次元造形装置100の小型化および省電力化を図ることができる。
【0050】
また、本実施形態では、造形部200に平坦化部230が設けられているので、各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料によって形成された硬化前の造形層を平坦化部230によって平坦化できる。造形層が平坦化されることによって、造形層のうちの各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料によって形成された各部分のY方向に沿った幅が増加するので、造形層のうちのY方向において隣り合うノズル68から吐出された可塑化材料によって形成された部分同士の密着性を高めることができる。さらに、造形層が平坦化されることによって、第1層Lとステージ300との密着性や、第n-1層Ln―1と第n層Lとの密着性を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態では、造形部200に冷却部240が設けられているので、各ノズル68A~68Dから吐出された可塑化材料によって形成された硬化前の造形層を冷却部240によって冷却して硬化を促進できる。そのため、第n-1層Ln―1を形成してから第n層Lの形成を開始するまでの間に、第n-1層Ln―1が硬化するまでの待ち時間が生じることを抑制して、三次元造形物の造形時間を短期化できる。
【0052】
B.第2実施形態:
図10は、第2実施形態における三次元造形装置100bの概略構成を示す断面図である。図11は、第2実施形態における造形部200bの概略構成を示す底面図である。第2実施形態における三次元造形装置100bでは、造形部200bに、2つの表面活性化部210A,210Bと、2つの平坦化部230A,230Bとが設けられていることが第1実施形態と異なる。第2実施形態における三次元造形装置100bには、図1に示した再加熱部220と冷却部240とに代えて、2つの加熱冷却部250A,250Bが設けられていることが第1実施形態と異なる。第2実施形態では、制御部500は、ステージ300に対する造形部200bの往復移動の往路で第n層Lが形成され、復路で第n+1層Ln+1が形成されるように各部を制御することが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、図1に示した第1実施形態と同じである。
【0053】
以下の説明では、表面活性化部210Aのことを第1表面活性化部210Aと呼び、表面活性化部210Bのことを第2表面活性化部210Bと呼ぶ。平坦化部230Aのことを第1平坦化部230Aと呼び、平坦化部230Bのことを第2平坦化部230Bと呼ぶ。加熱冷却部250Aのことを第1加熱冷却部250Aと呼び、加熱冷却部250Bのことを第2加熱冷却部250Bと呼ぶ。尚、第1表面活性化部210Aと第1加熱冷却部250Aとのことを第1造形補助部と呼ぶことがあり、第2表面活性化部210Bと第2加熱冷却部250Bとのことを第2造形補助部と呼ぶことがある。
【0054】
第1表面活性化部210Aは、各ノズル68A~68Dに対して+X方向側、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されており、第1支持部35に固定されている。第2表面活性化部210Bは、各ノズル68A~68Dに対して-X方向側、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されており、第2支持部36に固定されている。各表面活性化部210A,210Bの構成は、図1および図2に示した第1実施形態の表面活性化部210の構成と同じである。
【0055】
第1加熱冷却部250Aは、X方向における各ノズル68A~68Dと第1表面活性化部210Aとの間、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されており、第1支持部35に固定されている。第2加熱冷却部250Bは、X方向における各ノズル68A~68Dと第2表面活性化部210Bとの間、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されており、第2支持部36に固定されている。各加熱冷却部250A,250Bは、造形層を加熱する機能と、造形層を冷却する機能との両方を有している。本実施形態では、各加熱冷却部250A,250Bは、熱風を送出する機能と冷風を送出する機能との両方を有する送風機によって構成されている。尚、造形層を加熱する機能を発揮した状態の第1加熱冷却部250Aのことを再加熱部と呼び、造形層を冷却する機能を発揮した状態の第1加熱冷却部250Aのことを冷却部と呼ぶことがある。造形層を加熱する機能を発揮した状態の第2加熱冷却部250Bのことを再加熱部と呼び、造形層を冷却する機能を発揮した状態の第1加熱冷却部250Aのことを冷却部と呼ぶことがある。
【0056】
第1平坦化部230Aは、X方向における各ノズル68A~68Dと第2加熱冷却部250Bとの間に配置されており、バレル50の下端部に固定されている。第2平坦化部230Bは、X方向における各ノズル68A~68Dと第1加熱冷却部250Aとの間に配置されており、バレル50の下端部に固定されている。各平坦化部230A,230Bの構成は、図1および図2に示した第1実施形態の平坦化部230の構成と同じである。尚、第1平坦化部230Aのローラー支持部232と第2平坦化部230Bのローラー支持部232のことを位置変更部と呼ぶことがある。
【0057】
図12は、本実施形態の三次元造形装置100bによって造形層が形成される様子を模式的に示す第1の側面図である。図13は、本実施形態の三次元造形装置100bによって造形層が形成される様子を模式的に示す第2の側面図である。図12に示すように、n番目に形成される造形層である第n層Lを形成する際、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200bを+X方向に向かって相対移動させる。本実施形態では、制御部500は、ステージ300に対する造形部200bの移動に先立って、第2平坦化部230Bのローラー支持部232を制御することによって第2平坦化部230Bのローラー231を各ノズル68A~68Dよりも+Z方向側に上昇させ、第1平坦化部230Aのローラー支持部232を制御することによって第1平坦化部230Aのローラー231を各ノズル68A~68Dよりも-Z方向側に下降させる。つまり、制御部500は、第1平坦化部230Aのローラー231とステージ300との距離を、第2平坦化部230Bのローラー231とステージ300との距離よりも小さくする。ステージ300に対して造形部200bが+X方向に向かって相対移動することによって、造形部200bに設けられた第1表面活性化部210Aと第1加熱冷却部250Aと第2平坦化部230Bと吐出部60と第1平坦化部230Aと第2加熱冷却部250Bと第2表面活性化部210Bとがこの順に第n-1層Ln―1上を通過する。
【0058】
第n-1層Ln―1上を通過する第1表面活性化部210AからプラズマPLが照射されることによって、第n-1層Ln―1の上面は、化学的に活性化される。第n-1層Ln―1上を通過する第1加熱冷却部250Aから熱風HAが吹き付けられることによって、第n-1層Ln―1の上面はガラス転移点以上の温度に加熱される。第n-1層Ln―1上を通過する吐出部60の各ノズル68A~68Dから可塑化材料が吐出されることによって、第n-1層Ln―1上に第n層Lが形成される。第n-1層Ln-1上に形成された第n層Lは、第1平坦化部230Aのローラー231に押圧されることによって平坦化される。第1平坦化部230Aによって平坦化された第n層Lは、第2加熱冷却部250Bから送出された冷風CAによって冷却されて硬化を促進される。尚、制御部500は、第n層Lを形成する際には、第2表面活性化部210Bからのプラズマの照射をオフにする。
【0059】
図13に示すように、n+1番目に形成される造形層である第n+1層Ln+1を形成する際、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200bを-X方向に向かって相対移動させる。制御部500は、ステージ300に対する造形部200bの移動に先立って、第2平坦化部230Bのローラー支持部232を制御することによって第2平坦化部230Bのローラー231を各ノズル68A~68Dよりも-Z方向側に下降させ、第1平坦化部230Aのローラー支持部232を制御することによって第1平坦化部230Aのローラー231を各ノズル68A~68Dよりも+Z方向側に上昇させる。つまり、制御部500は、第2平坦化部230Bのローラー231とステージ300との距離を、第1平坦化部230Aのローラー231とステージ300との距離よりも小さくする。ステージ300に対して造形部200bが-X方向に向かって相対移動することによって、造形部200bに設けられた第2表面活性化部210Bと第2加熱冷却部250Bと第1平坦化部230Aと吐出部60と第2平坦化部230Bと第1加熱冷却部250Aと第1表面活性化部210Aとがこの順に第n層L上を通過する。
【0060】
第n層L上を通過する第2表面活性化部210BからプラズマPLが照射されることによって、第n層Lの上面は化学的に活性化される。第n層L上を通過する第2加熱冷却部250Bから熱風HAが吹き付けられることによって、第n層Lの上面はガラス転移点以上の温度に加熱される。第n層L上を通過する吐出部60の各ノズル68A~68Dから可塑化材料が吐出されることによって、第n層L上に第n+1層Ln+1が形成される。第n層L上に形成された第n+1層Ln+1は、第2平坦化部230Bのローラー231に押圧されることによって平坦化される。第2平坦化部230Bによって平坦化された第n+1層Ln+1は、第1加熱冷却部250Aから送出された冷風CAによって冷却されて硬化を促進される。尚、制御部500は、第n+1層Ln+1を形成する際には、第1表面活性化部210Aからのプラズマの照射をオフにする。
【0061】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100bによれば、ステージ300に対する造形部200bのX方向に沿った往復移動の往路と復路とのそれぞれで造形層を形成するので、第1実施形態に比べて造形時間を短期化できる。さらに、造形部200bを+X方向に相対移動させて造形層を形成する際には第1平坦化部230Aのローラー231で造形層を平坦化でき、造形部200bを-X方向に相対移動させて造形層を形成する際には第2平坦化部230Bのローラー231で造形層を平坦化できる。
【0062】
また、本実施形態では、第1表面活性化部210Aと第1加熱冷却部250Aと第2平坦化部230Bとに対して、第2表面活性化部210Bと第2加熱冷却部250Bと第1平坦化部230Aとが、各ノズル68A~68Dを挟んで対称に設けられているので、ステージ300に対して造形部200bを+X方向に相対移動させる際だけでなく、ステージ300に対して造形部200bを-X方向に相対移動させる際にも、既に形成された造形層である既設層の上面を化学的に活性化し、既設層の上面を加熱し、新たに形成された造形層を平坦化し、新たに形成された造形層を冷却できる。
【0063】
C.第3実施形態:
図14は、第3実施形態における三次元造形装置100cの概略構成を示す側面図である。図15は、第3実施形態における造形部200cの概略構成を示す底面図である。第3実施形態における三次元造形装置100cでは、造形部200cに、2つの表面活性化部210A,210Bと、2つの平坦化部230C,230Dとが設けられていること、および、2つの平坦化部230C,230Dにヒーター233が設けられていることが第1実施形態と異なる。第3実施形態における三次元造形装置100cには、図1に示した再加熱部220と冷却部240とが設けられていない。第3実施形態では、制御部500は、ステージ300に対する造形部200cの往復移動の往路で第n層Lが形成され、復路で第n+1層Ln+1が形成されるように各部を制御することが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、図1に示した第1実施形態と同じである。
【0064】
以下の説明では、表面活性化部210Aのことを第1表面活性化部210Aと呼び、表面活性化部210Bのことを第2表面活性化部210Bと呼ぶ。平坦化部230Cのことを第1平坦化部230Cと呼び、平坦化部230Dのことを第2平坦化部230Dと呼ぶ。尚、第1表面活性化部210Aのことを第1造形補助部と呼ぶことがあり、第2表面活性化部210Bのことを第2造形補助部と呼ぶことがある。
【0065】
第1表面活性化部210Aは、各ノズル68A~68Dに対して+X方向側、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されており、第1支持部35に固定されている。第2表面活性化部210Bは、各ノズル68A~68Dに対して-X方向側、かつ、各ノズル68A~68Dに対して+Z方向側に配置されており、第2支持部36に固定されている。各表面活性化部210A,210Bの構成は、図1および図2に示した第1実施形態の表面活性化部210の構成と同じである。
【0066】
第1平坦化部230Cは、X方向における各ノズル68A~68Dと第2表面活性化部210Bとの間に配置されており、バレル50の下端部に固定されている。第2平坦化部230Dは、X方向における各ノズル68A~68Dと第1表面活性化部210Aとの間に配置されており、バレル50の下端部に固定されている。各平坦化部230C,230Dは、ローラー231を加熱するヒーター233を有している。本実施形態では、ヒーター233は、ローラー231内に設けられている。ヒーター233の温度は、制御部500によって制御される。各平坦化部230C,230Dのその他の構成は、図1に示した第1実施形態の平坦化部230の構成と同じである。尚、第1平坦化部230Cのローラー231内に設けられたヒーター233のことを第1ヒーターと呼び、第2平坦化部230Dのローラー231内に設けられたヒーター233のことを第2ヒーターと呼ぶことがある。第1平坦化部230Cのローラー支持部232と第2平坦化部230Dのローラー支持部232のことを位置変更部と呼ぶことがある。
【0067】
図16は、本実施形態の三次元造形装置100cによって造形層が形成される様子を示す第1の側面図である。図17は、本実施形態の三次元造形装置100cによって造形層が形成される様子を示す第2の側面図である。図16に示すように、造形層の第n層を造形する際、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200cを+X方向に向かって相対移動させる。本実施形態では、制御部500は、ステージ300に対する造形部200cの移動に先立って、各平坦化部230C,230Dのローラー支持部232を制御することによって、第2平坦化部230Dのローラー231とステージ300との距離を、第1平坦化部230Cのローラー231とステージ300との距離よりも小さくする。さらに、制御部500は、第2平坦化部230Dのヒーター233をオンにし、第1平坦化部230Cのヒーター233をオフにする。ステージ300に対して造形部200cが+X方向に向かって相対移動することによって、造形部200cに設けられた第1表面活性化部210Aと第2平坦化部230Dと吐出部60と第1平坦化部230Cと第2表面活性化部210Bとがこの順に第n-1層Ln―1上を通過する。
【0068】
第n-1層Ln―1上を通過する第1表面活性化部210AからプラズマPLが照射されることによって、第n-1層Ln―1の上面は化学的に活性化される。第2平坦化部230Dのローラー231が第n-1層Ln―1の上面に接触しながら第n-1層Ln―1上を通過するによって、第n-1層Ln―1の上面はガラス転移点以上の温度に加熱される。図17に示すように、第2平坦化部230Dによって加熱された第n-1層Ln―1上を通過する吐出部60の各ノズル68A~68Dから可塑化材料が吐出されることによって、第n-1層Ln―1上に第n層Lが形成される。第n-1層Ln-1上に形成された第n層Lは、第1平坦化部230Cのローラー231に押圧されることによって平坦化される。尚、制御部500は、第n層Lを形成する際には、第2表面活性化部210Bからのプラズマの照射をオフにする。
【0069】
造形層の第n+1層Ln+1を造形する際、制御部500は、移動部400を制御することによって、ステージ300に対して造形部200cを-X方向に向かって相対移動させる。本実施形態では、制御部500は、ステージ300に対する造形部200cの移動に先立って、各平坦化部230C,230Dのローラー支持部232を制御することによって、第1平坦化部230Cのローラー231とステージ300との距離を、第2平坦化部230Dのローラー231とステージ300との距離よりも小さくする。さらに、制御部500は、第1平坦化部230Cのヒーター233をオンにし、第2平坦化部230Dのヒーター233をオフにする。ステージ300に対して造形部200cが-X方向に向かって相対移動することによって、造形部200cに設けられた第2表面活性化部210Bと第1平坦化部230Cと吐出部60と第2平坦化部230Dと第1表面活性化部210Aとがこの順に第n層L上を通過する。
【0070】
第n層L上を通過する第2表面活性化部210BからプラズマPLが照射されることによって、第n層Lの上面は化学的に活性化される。第1平坦化部230Cのローラー231が第n層Lの上面に接触しながら第n層上を通過するによって、第n層Lの上面はガラス転移点以上の温度に加熱される。第n層L上を通過する吐出部60の各ノズル68A~68Dから可塑化材料が吐出されることによって、第n層L上に第n+1層Ln+1が形成される。第n層L上に形成された第n+1層Ln+1は、第2平坦化部230Dのローラー231に押圧されることによって平坦化される。尚、制御部500は、第n+1層Ln+1を形成する際には、第1表面活性化部210Aからのプラズマの照射をオフにする。
【0071】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100cによれば、ステージ300に対して造形部200cを+X方向に相対移動させて造形層の第n層Lを形成する際に、各ノズル68A~68Dから第n-1層Ln―1上への可塑化材料の吐出に先立って、第n-1層Ln―1の上面を第2平坦化部230Dによって加熱でき、第n-1層Ln―1上に形成された第n層Lを第1平坦化部230Cによって平坦化できる。さらに、ステージ300に対して造形部200cを-X方向に相対移動させて造形層の第n+1層Ln+1を形成する際に、各ノズル68A~68Dから第n層L上への可塑化材料の吐出に先立って、第n層Lの上面を第1平坦化部230Cによって加熱でき、第n層L上に形成された第n+1層Ln+1を第2平坦化部230Dによって平坦化できる。
【0072】
D.他の実施形態:
(D1)上述した第1実施形態の三次元造形装置100は、表面活性化部210を備えている。これに対して、三次元造形装置100は、表面活性化部210を備えていなくてもよい。また、上述した第2実施形態の三次元造形装置100bおよび第3実施形態の三次元造形装置100cは、第1表面活性化部210Aおよび第2表面活性化部210Bを備えている。これに対して、三次元造形装置100b,100cは、第1表面活性化部210Aおよび第2表面活性化部210Bを備えていなくてもよい。
【0073】
(D2)上述した第1実施形態の三次元造形装置100は、再加熱部220を備えている。これに対して、三次元造形装置100は、再加熱部220を備えていなくてもよい。
【0074】
(D3)上述した第1実施形態の三次元造形装置100は、平坦化部230を備えている。これに対して、三次元造形装置100は、平坦化部230を備えていなくてもよい。
【0075】
(D4)上述した第1実施形態の三次元造形装置100は、冷却部240を備えている。これに対して、三次元造形装置100は、冷却部240を備えていなくてもよい。
【0076】
(D5)上述した第2実施形態の三次元造形装置100bは、第1加熱冷却部250Aおよび第2加熱冷却部250Bを備えている。これに対して、三次元造形装置100bは、第1加熱冷却部250Aおよび第2加熱冷却部250Bを備えていなくてもよい。
【0077】
(D6)上述した第1実施形態の三次元造形装置100では、送風機によって構成された冷却部240を備えている。これに対して、冷却部240は、ステージ300の下方に配置され、水やフッ素系の不活性液体からなる冷却液で満たされた冷却液槽によって構成されてもよい。この場合、制御部500は、各造形層の形成が終了した後、ステージ300を下降させて、各造形層を冷却液に浸して冷却してもよい。
【0078】
(D7)上述した各実施形態の三次元造形装置100~100cでは、吐出切替部70を構成する各バルブ71A~71Dは、X方向に沿った中心軸を中心とした円筒状のシリンダー部66A~66D内に配置された各弁部75A~75Dを、X方向に沿って並進動作させることによって、各個別流路65A~65Dを開閉する。これに対して、吐出切替部70を構成する各バルブ71A~71Dは、Z方向に沿った中心軸を中心とした円筒状のシリンダー部内に配置された各弁部75A~75Dを、Z方向に沿って並進動作させることによって、各個別流路65A~65Dを開閉してもよい。
【0079】
(D8)上述した各実施形態の三次元造形装置100~100cにおいて、移動部400は、Z方向に沿った回転軸を中心にしてステージ300を回転させる機能を有してもよい。この場合、造形部200~200cに対するステージ300の向きを変更できるので、より複雑な形状の造形層や、より広い面積の造形層を形成できる。
【0080】
(D9)上述した各実施形態の三次元造形装置100~100cでは、可塑化部30は、フラットスクリュー40とバレル50とを備え、フラットスクリュー40とバレル50との相対的な回転を用いて材料を可塑化させて可塑化材料を生成している。これに対して、可塑化部30は、フラットスクリュー40ではなく、長尺な円柱状の外形形状を有しており、円柱の側面部分に螺旋溝が形成されたスクリューと、スクリューを囲む円筒状のバレルとを備え、スクリューとバレルとの相対的な回転を用いて材料を可塑化させて可塑化材料を生成してもよい。また、可塑化部30は、フラットスクリュー40や上述したスクリューを備えていなくてもよい。この場合、例えば、FDM(Fused Deposition Modeling)方式の三次元造形装置のように、材料のフィラメントをヒーターで加熱することによって可塑化させて可塑化材料を生成するように構成されてもよい。
【0081】
E.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0082】
(1)本開示の一形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料が堆積される堆積面を有するステージと、前記ステージの前記堆積面に平行な第1軸に沿って並んで配置された複数のノズルを有し、前記堆積面に向かって前記複数のノズルのそれぞれから連続した線状の形態で前記可塑化材料を吐出する吐出部と、前記複数のノズルのそれぞれからの前記可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替える吐出切替部と、前記ステージの前記堆積面に平行で前記第1軸と交差する第2軸に沿って、前記吐出部を前記ステージに対して相対移動させる移動部と、前記可塑化部、前記吐出切替部、および、前記移動部を制御することによって、前記可塑化材料によって形成される造形層を前記ステージの前記堆積面上に積層する制御部と、を備える。
この形態の三次元造形装置によれば、複数のノズルを用いて一度に広範囲に造形層を形成できるので、造形時間を短期化できる。さらに、複数のノズルのそれぞれから連続した線状の形態で可塑化材料が吐出されるので、ステージに対するノズルの移動方向に沿って意図せず空隙が点在する造形層が形成されることを抑制できる。そのため、積層された造形層によって構成される三次元造形物について、狙い通りの強度が確保できなくなることを抑制しつつ、造形時間を短期化できる。
【0083】
(2)上記形態の三次元造形装置において、前記吐出部は、前記複数のノズルのそれぞれに連通する複数の個別流路を有し、前記吐出切替部は、前記複数の個別流路のそれぞれに対応して設けられた複数のバルブを有し、前記制御部は、前記複数のバルブを個別に開閉することによって、前記複数のノズルのそれぞれからの前記可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替えてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、簡易な構成で、複数のノズルのそれぞれからの可塑化材料の吐出の停止と再開とを個別に切り替えることができる。
【0084】
(3)上記形態の三次元造形装置において、前記複数のノズルのうちの少なくとも一部は、前記ステージから前記吐出部に向かう方向に視たときに、千鳥状に配置されてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、第1軸に沿った方向において隣り合うノズル同士の間隔を狭くできる。
【0085】
(4)上記形態の三次元造形装置は、前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも前方に配置され、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を加熱する再加熱部を備えてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、再加熱部によって加熱された既設層上に造形層を形成できる。そのため、既設層と造形層との密着性を高めることができる。
【0086】
(5)上記形態の三次元造形装置は、前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも前方に配置され、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を化学的に活性化させる表面活性化部を備えてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、表面活性化部によって表面を化学的に活性化された既設層上に造形層を形成できる。そのため、既設層と造形層との化学的な結合力を高めることができる。
【0087】
(6)上記形態の三次元造形装置は、前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも後方に配置され、前記造形層を冷却する冷却部を備えてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、冷却部によって造形層を冷却して硬化を促進できるので、造形層が硬化するまでの待ち時間を短期化できる。
【0088】
(7)上記形態の三次元造形装置は、前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記複数のノズルよりも後方に配置され、前記造形層を平坦化する平坦化部を備えてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、第1平坦化部によって造形層を平坦化して、造形層のうちの各ノズルから吐出された可塑化材料によって形成された各部分の第1軸に沿った方向における幅を広げることができる。
【0089】
(8)上記形態の三次元造形装置は、前記造形層を平坦化可能な第1平坦化部と、前記造形層を平坦化可能な第2平坦化部と、前記第1平坦化部と前記ステージとの距離、および、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を変更する位置変更部と、を備え、前記第1平坦化部、前記複数のノズル、前記第2平坦化部は、前記第2軸に沿って順に配置され、前記制御部は、前記位置変更部を制御することによって、前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記第1平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第1平坦化部と前記ステージとの距離を前記第2平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第1平坦化部によって前記造形層を平坦化し、前記移動方向において前記第2平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を前記第1平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第2平坦化部によって前記造形層を平坦化してもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、ステージに対する吐出部の往復移動の往路において造形層を形成する際には、第1平坦化部で造形層を平坦化でき、復路において造形層を形成する際には、第2平坦化部で造形層を平坦化できる。
【0090】
(9)上記形態の三次元造形装置は、前記造形層を平坦化可能であり、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を加熱する第1ヒーターを有する第1平坦化部と、前記造形層を平坦化可能であり、前記既設層の表面を加熱する第2ヒーターを有する第2平坦化部と、前記第1平坦化部と前記ステージとの距離、および、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を変更する位置変更部と、を備え、前記第1平坦化部、前記複数のノズル、前記第2平坦化部は、前記第2軸に沿って順に配置され、前記制御部は、前記位置変更部、前記第1ヒーター、および、前記第2ヒーターを制御することによって、前記造形層を形成する際の前記ステージに対する前記吐出部の前記第2軸に沿った移動方向において前記第1平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第2平坦化部と前記ステージとの距離を前記第1平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第2ヒーターによって前記既設層の表面を加熱し、前記第1平坦化部によって前記造形層を平坦化し、前記移動方向において前記第2平坦化部が前記複数のノズルよりも後方に位置する場合、前記第1平坦化部と前記ステージとの距離を前記第2平坦化部と前記ステージとの距離よりも小さくして、前記第1ヒーターによって前記既設層の表面を加熱し、前記第2平坦化部によって前記造形層を平坦化してもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、ステージに対する吐出部の往復移動の往路において造形層を形成する際には、第2ヒーターによって加熱した既設層上に造形層を形成して第1平坦化部によって造形層を平坦化でき、復路において造形層を形成する際には、第1ヒーターによって加熱した既設層上に造形層を形成して第2平坦化部によって造形層を平坦化できる。
【0091】
(10)上記形態の三次元造形装置は、既に形成されている前記造形層である既設層の表面を加熱する再加熱部と、前記既設層の表面を化学的に活性化させる表面活性化部と、前記造形層を冷却する冷却部とのうちの少なくともいずれか一つを有する、第1造形補助部および第2造形補助部を備え、前記第1造形補助部、前記複数のノズル、前記第2造形補助部は、前記第2軸に沿って順に配置されてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、ステージに対する吐出部の往復移動の往路において造形層を形成する際には、第1造形補助部を用いることができ、復路において造形層を形成する際には、第2造形補助部を用いることができる。
【0092】
(11)上記形態の三次元造形装置において、前記移動部は、前記堆積面に垂直な第3軸に沿った回転軸を中心にして前記ステージを回転させてもよい。
この形態の三次元造形装置によれば、ステージを回転させることによって、ステージに対する吐出部の向きを変更できる。
【0093】
本開示は、三次元造形装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、造形ヘッド等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0094】
20…材料供給部、30…可塑化部、40…フラットスクリュー、50…バレル、56…連通孔、58…ヒーター、60…吐出部、61…第1流路部材、62…第2流路部材、63…共通流路、64…分岐流路、65…個別流路、66…シリンダー部、68…ノズル、69…吐出口、70…吐出切替部、71…バルブ、75…弁部、76…弁駆動部、100…三次元造形装置、200…造形部、210…表面活性化部、220…再加熱部、230…平坦化部、231…ローラー、232…ローラー支持部、233…ヒーター、240…冷却部、250…加熱冷却部、300…ステージ、400…移動部、500…制御部
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