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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】コネクタ部品及び配線部材
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H01R13/56
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020110558
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007529
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
(72)【発明者】
【氏名】村上 翔
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142463(JP,A)
【文献】米国特許第3950069(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0203904(US,A1)
【文献】特開2016-219308(JP,A)
【文献】特開2015-88256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティが形成されたコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに対して、3つ以上の異なる取付け向きのうちいずれか1つの取付け向きに選択的に取付けられて、前記キャビティから延び出る電線をその取付け向きに応じた向きに転向させるカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、前記電線のうち前記キャビティから延び出る部分を前記キャビティの軸方向と交差する方向に曲げた状態に規制する規制部と、前記規制部と一体的に設けられて前記コネクタハウジングに取付けられる取付部と、を含み、
前記コネクタハウジングの外面には、3つ以上の係止部が周方向に沿って互いに離れて設けられ、
前記取付部には前記係止部に係止する係止受部が少なくとも1つ設けられ、
前記コネクタハウジングと前記カバー部材とは、互いに係止する前記係止部と前記係止受部との組み合わせに応じた取付け向きに取付けられ、
前記取付部が前記カバー部材の一端側に設けられると共に、前記取付部よりも前記カバー部材の他端側に前記規制部が設けられ、
前記カバー部材は、前記取付部のある前記一端側から前記電線が延び出る前記他端側まで溝状に延在して前記電線の周囲を部分的に覆う部分筒状であり、
前記規制部は前記一端側から前記他端側に向けて曲がって延在する部分を有し、
前記電線は前記規制部の前記曲がって延在する部分に沿って延びることによって前記カバー部材の前記他端側から前記規制部に規制された方向に延び出るように規制される、コネクタ部品。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ部品であって、
前記係止部は2つの突起を有し、
前記係止受部は前記2つの突起の間に嵌る係止片を有する、コネクタ部品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ部品であって、
前記取付部には前記係止受部として第1係止受部と第2係止受部とが設けられ、
前記第1係止受部と前記第2係止受部とが前記3つ以上の係止部のうち2つの係止部に係止する、コネクタ部品。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタ部品であって、
前記取付部は、前記コネクタハウジングの前記外面と対向するように前記コネクタハウジングの周方向に沿って延び、前記第1係止受部と前記第2係止受部とを結ぶ連結片を有し、
前記連結片には、前記3つ以上の係止部のうち前記第1係止受部及び前記第2係止受部に係止している2つの係止部の間に位置する係止部が収まる窓部が形成されている、コネクタ部品。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のコネクタ部品であって、
前記コネクタハウジングと前記カバー部材とは、前記キャビティの軸方向に直交する方向であって、前記第1係止受部及び前記第2係止受部を結ぶ方向と直交する方向にスライド移動して取付可能である、コネクタ部品。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ部品であって、
前記3つ以上の係止部は正多角形の頂点に対応する位置に配置されている、コネクタ部品。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコネクタ部品と、
端部が前記キャビティに挿入された電線と、
を備え、
前記電線のうち前記キャビティから延び出た部分が前記カバー部材の前記規制部によって曲がった状態に規制されている、配線部材。
【請求項8】
キャビティが形成されたコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに対して、3つ以上の異なる取付け向きのうちいずれか1つの取付け向きに選択的に取付けられて、前記キャビティから延び出る電線をその取付け向きに応じた向きに転向させるカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、前記電線のうち前記キャビティから延び出る部分を前記キャビティの軸方向と交差する方向に曲げた状態に規制する規制部と、前記規制部と一体的に設けられて前記コネクタハウジングに取付けられる取付部と、を含み、
前記コネクタハウジングの外面には、3つ以上の係止部が周方向に沿って互いに離れて設けられ、
前記取付部には前記係止部に係止する係止受部が少なくとも1つ設けられ、
前記コネクタハウジングと前記カバー部材とは、互いに係止する前記係止部と前記係止受部との組み合わせに応じた取付け向きに取付けられ、
前記取付部には前記係止受部として第1係止受部と第2係止受部とが設けられ、
前記第1係止受部と前記第2係止受部とが前記3つ以上の係止部のうち2つの係止部に係止し、
前記コネクタハウジングと前記カバー部材とが、前記キャビティの軸方向に直交する方向であって、前記第1係止受部及び前記第2係止受部を結ぶ方向と直交する係止方向にスライド移動して、当該係止方向において前記第1係止受部が前記係止部と係止するとともに前記第2係止部が前記係止部と係止することによって、前記コネクタハウジングと前記カバー部材とが取付けられる、コネクタ部品。
【請求項9】
請求項8に記載のコネクタ部品であって、
前記カバー部材は部分筒状であり、
前記取付部が前記カバー部材の一端側に設けられ、
前記電線は前記カバー部材の他端側から前記規制部に規制された方向に延び出るように規制され、
前記スライド移動の方向は、部分筒状の前記カバー部材の底と、前記底とは反対側の開口とを結ぶ方向である、コネクタ部品。
【請求項10】
コネクタ部品と、
端部が前記コネクタ部品のキャビティに挿入された電線と、
を備え、
前記コネクタ部品は、
前記キャビティが形成されたコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに対して、3つ以上の異なる取付け向きのうちいずれか1つの取付け向きに選択的に取付けられて、前記キャビティから延び出る電線をその取付け向きに応じた向きに転向させるカバー部材と、
前記電線と前記カバー部材との周囲を結束する結束部材と、
を備え、
前記カバー部材は、前記電線のうち前記キャビティから延び出る部分を前記キャビティの軸方向と交差する方向に曲げた状態に規制する規制部と、前記規制部と一体的に設けられて前記コネクタハウジングに取付けられる取付部と、を含み、
前記コネクタハウジングの外面には、3つ以上の係止部が周方向に沿って互いに離れて設けられ、
前記取付部には前記係止部に係止する係止受部が少なくとも1つ設けられ、
前記コネクタハウジングと前記カバー部材とは、互いに係止する前記係止部と前記係止受部との組み合わせに応じた取付け向きに取付けられ、
前記取付部が前記カバー部材の一端側に設けられ、前記取付部よりも前記カバー部材の他端側に前記規制部が設けられ、
前記カバー部材は、前記取付部のある前記一端側から前記電線が延び出る前記他端側まで溝状に延在して前記電線の周囲を部分的に覆う部分筒状であり、
前記規制部は前記一端側から前記他端側に向けて曲がって延在する部分を有し、
前記電線は前記規制部の前記曲がって延在する部分に沿って延びることによって前記カバー部材の前記他端側から前記規制部に規制された方向に延び出るように規制され、
前記カバー部材の前記他端側において前記結束部材が前記電線と前記規制部とを結束している、配線部材。
【請求項11】
請求項10に記載の配線部材であって、
前記電線の端部に端子が設けられ、
前記端子と、前記電線のうち前記端子に接続された部分とが前記コネクタハウジングの前記キャビティ内に収容される、配線部材。
【請求項12】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ部品であって、
前記規制部は、前記一端側から前記他端側に向けて内径が徐々に小さくなる集線部と、前記集線部に対して前記他端側に位置し前記曲がって延在する部分が設けられた規制本体部とを有する、コネクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ部品及び配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コネクタハウジングに取付けられた電線カバーによって、コネクタハウジングから延び出る電線を側方へ転向させる技術を開示している。特許文献1では、1種類の電線カバーによって電線を異なる2つの方向へ転向させることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-293810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1種類の電線カバーによって電線を異なる3つ以上の方向へ転向させることが望まれている。
【0005】
そこで、1種類のカバー部材によって電線を異なる3つ以上の方向へ転向させることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタ部品は、キャビティが形成されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに対して、3つ以上の異なる取付け向きのうちいずれか1つの取付け向きに選択的に取付けられて、前記キャビティから延び出る電線をその取付け向きに応じた向きに転向させるカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記電線のうち前記キャビティから延び出る部分を前記キャビティの軸方向と交差する方向に曲げた状態に規制する規制部と、前記規制部と一体的に設けられて前記コネクタハウジングに取付けられる取付部と、を含み、前記コネクタハウジングの外面には、3つ以上の係止部が周方向に沿って互いに離れて設けられ、前記取付部には前記係止部に係止する係止受部が少なくとも1つ設けられ、前記コネクタハウジングと前記カバー部材とは、互いに係止する前記係止部と前記係止受部との組み合わせに応じた取付け向きに取付けられる、コネクタ部品である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、1種類のカバー部材によって電線を異なる3つ以上の方向へ転向させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかるコネクタ部品を示す斜視図である。
図2図2は実施形態1にかかるコネクタ部品を示す分解斜視図である。
図3図3は実施形態1にかかるコネクタ部品を示す分解平面図である。
図4図4は実施形態1にかかるコネクタ部品を示す分解側面図である。
図5図5は実施形態1にかかるコネクタ部品を示す分解側面図である。
図6図6図5のVI-VI線に沿って切断した断面図である。
図7図7は実施形態1にかかる配線部材を示す側面図である。
図8図8は実施形態2にかかるコネクタ部品を示す分解側面図である。
図9図9は実施形態2にかかるコネクタ部品を示す分解平面図である。
図10図10図8のX-X線に沿って切断した断面図である。
図11図11図8のXI-XI線に沿って切断した断面図である。
図12図12は実施形態1にかかるコネクタ部品の変形例を示す分解平面図である。
図13図13は実施形態2にかかるコネクタ部品の変形例を示す分解平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタ部品は、次の通りである。
【0011】
(1)キャビティが形成されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに対して、3つ以上の異なる取付け向きのうちいずれか1つの取付け向きに選択的に取付けられて、前記キャビティから延び出る電線をその取付け向きに応じた向きに転向させるカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記電線のうち前記キャビティから延び出る部分を前記キャビティの軸方向と交差する方向に曲げた状態に規制する規制部と、前記規制部と一体的に設けられて前記コネクタハウジングに取付けられる取付部と、を含み、前記コネクタハウジングの外面には、3つ以上の係止部が周方向に沿って互いに離れて設けられ、前記取付部には前記係止部に係止する係止受部が少なくとも1つ設けられ、前記コネクタハウジングと前記カバー部材とは、互いに係止する前記係止部と前記係止受部との組み合わせに応じた取付け向きに取付けられる、コネクタ部品である。取付部と規制部とが一体的に設けられており、コネクタハウジングとカバー部材とは、互いに係止している係止部と係止受部との組み合わせに応じて、3つ以上の異なる向きのうちいずれか1つの向きに取付けられることによって、規制部は、コネクタハウジングとカバー部材との取付け向きに応じて3つ以上の異なる向きのうちいずれか1つの向きに電線を曲げた状態に規制することができる。これにより、1種類のカバー部材によって電線を異なる3つ以上の方向へ転向させることが可能となる。
【0012】
(2)(1)のコネクタ部品において、前記係止部は2つの突起を有し、前記係止受部は前記2つの突起の間に嵌る係止片を有してもよい。これにより、係止部及び係止受部の係止状態が安定する。
【0013】
(3)(1)又は(2)のコネクタ部品において、前記取付部には前記係止受部として第1係止受部と第2係止受部とが設けられ、前記第1係止受部と前記第2係止受部とが前記3つ以上の係止部のうち2つの係止部に係止してもよい。これにより、第1係止受部及び第2係止受部がコネクタハウジングの周方向に沿って離れた2箇所で係止部と係止することができ、コネクタハウジングとカバー部材との取付状態が安定する。
【0014】
(4)(3)のコネクタ部品において、前記取付部は、前記コネクタハウジングの前記外面と対向するように前記コネクタハウジングの周方向に沿って延び、前記第1係止受部と前記第2係止受部とを結ぶ連結片を有し、前記連結片には、前記3つ以上の係止部のうち前記第1係止受部及び前記第2係止受部に係止している2つの係止部の間に位置する係止部が収まる窓部が形成されていてもよい。連結片が設けられることによって係止受部の剛性が高まり、係止部と係止受部とが係止状態から外れにくくなる。窓部に係止部が収まることによって、コネクタハウジングとカバー部材とが、がたつきにくくなる。これらより、コネクタハウジングとカバー部材との取付状態が安定する。
【0015】
(5)(3)又は(4)のコネクタ部品において、前記コネクタハウジングと前記カバー部材とは、前記キャビティの軸方向に直交する方向であって、前記第1係止受部及び前記第2係止受部を結ぶ方向と直交する方向にスライド移動して取付可能であってもよい。これにより、コネクタハウジングとカバー部材との取付が容易となる。
【0016】
(6)(1)から(5)のいずれか1つのコネクタ部品において、前記3つ以上の係止部は正多角形の頂点に対応する位置に配置されていてもよい。これにより、3つ以上の係止部をコネクタハウジングの周方向に沿って回転対称な位置に配置することができる。
【0017】
(7)また、本開示の配線部材は、(1)から(6)のいずれか1つのコネクタ部品と、端部が前記キャビティに挿入された電線と、を備え、前記電線のうち前記キャビティから延び出た部分が前記カバー部材の前記規制部によって曲がった状態に規制されている、配線部材である。取付部と規制部とが一体的に設けられており、コネクタハウジングとカバー部材とは、互いに係止している係止部と係止受部との組み合わせに応じて、3つ以上の異なる向きのうちいずれか1つの向きに取付けられることによって、規制部は、コネクタハウジングとカバー部材との取付け向きに応じて3つ以上の異なる向きのうちいずれか1つの向きに電線が曲がった状態に規制することができる。これにより、1種類のカバー部材によって電線を異なる3つ以上の方向へ転向させることが可能となる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタ部品及び配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるコネクタ部品及びこれを備える配線部材について説明する。
【0020】
まず、図1から図6を参照しつつ、コネクタ部品について説明する。図1は実施形態1にかかるコネクタ部品10を示す斜視図である。図2は実施形態1にかかるコネクタ部品10を示す分解斜視図である。図3は実施形態1にかかるコネクタ部品10を示す分解平面図である。図4は実施形態1にかかるコネクタ部品10を示す分解側面図である。図5は実施形態1にかかるコネクタ部品10を示す分解側面図である。図6図5のVI-VI線に沿って切断した断面図である。
【0021】
コネクタ部品10は、コネクタハウジング20とカバー部材30とを備える。図4及び図5において、コネクタハウジング20に取付けられる前のカバー部材30が実線で示され、コネクタハウジング20に取付けられたカバー部材30が二点鎖線で示されている。また図4及び図5において、コネクタハウジング20は同じ方向から観察されている。図4及び図5において、コネクタハウジング20に対するカバー部材30の取付け向きが異なっている。
【0022】
コネクタハウジング20にはキャビティ21が形成されている。キャビティ21には電線50(図7参照)の端部が収容される。カバー部材30は、コネクタハウジング20に対して、3つ以上の異なる取付け向きのうちいずれか1つの取付け向きに選択的に取付けられる。カバー部材30は、キャビティ21から延び出る電線50をその取付け向きに応じた向きに転向させる。
【0023】
コネクタハウジング20は、本体部22と車体取付部23と係止部26とを含む。コネクタハウジング20は、例えば樹脂などの絶縁材料による射出成形品である。本体部22にキャビティ21が形成されている。ここでは9つのキャビティ21が3段3列に分かれて配置されているが、キャビティ21の数及び配置は適宜設定可能である。キャビティ21は本体部22を貫通している。キャビティ21の一方開口部は、キャビティ21に電線50を挿入するための挿入口とされる。キャビティ21の他方開口部は、電線50と相手側の導体との接続に用いられる。本体部22においてキャビティ21の他方開口部が形成された端面を含む部分が前端部とされ、キャビティ21の一方開口部が形成された端面を含む部分が後端部とされる。本体部22における前端部が相手側コネクタと嵌合する。本体部22における後端部にカバー部材30が取付けられる。ここでは、本体部22における後端部の外面は、円形状とされている。
【0024】
車体取付部23はキャビティ21の軸方向に沿って本体部22における中間部の位置に設けられる。車体取付部23は板状部24を含む。板状部24は本体部22の外面から外方に突出する。板状部24には取付孔25が形成されている。取付孔25にボルト、クリップ等の固定部材が通されてコネクタ部品10が車体に取付けられる。なお、コネクタハウジング20が車体取付部23を含む必要はなく、車体取付部23は省略されてもよい。
【0025】
係止部26は、コネクタハウジング20の外面に設けられる。係止部26は3つ以上設けられる。3つ以上の係止部26がコネクタハウジング20の周方向に沿って互いに離れて設けられている。3つ以上の係止部26は、コネクタハウジング20の後端部に設けられる。3つ以上の係止部26は同一の形状に形成されている。3つ以上の係止部26は正多角形の頂点に対応する位置に配置されている。3つ以上の係止部26が正多角形の頂点に対応する位置に配置されているとは、3つ以上の係止部26をコネクタハウジング20の周方向に沿って順に結んだときに生じる仮想の図形が正多角形となることを言う。以下では係止部26が4つ設けられている例で説明する。ここでは4つの係止部26が正方形の4つの頂点に対応する位置に配置されている。係止部26は3つでもよいし、5つ以上であってもよい。
【0026】
各係止部26は2つの突起27、28を有する。2つの突起27、28は周方向に沿って離れて設けられる。各突起27、28の横断面(コネクタハウジング20からの突出方向に直交する面に沿って切断された面)は、台形状に形成されている。2つの突起27、28は、台形における上底及び下底がキャビティ21の軸方向に沿って延びるように設けられている。2つの突起27、28は、台形における上底及び下底のうち長尺な下底を互いに相手側の突起27、28に向けている。これにより、突起27、28のうち本体部22における前端部側を向く面(図4及び図5における下面)が、上底側から下底側に行くにつれて本体部22における前端部側に張り出している。突起27、28のうち本体部22における前端部側を向く面は、後述する係止受部40、41をガイドするガイド面とされる。突起27、28のうち本体部22における後端部側を向く面(図4及び図5における上面)は、キャビティ21の一方開口部が形成された端面と面一とされている。
【0027】
以下、4つの係止部26について区別する必要がある場合、係止部26A、26B、26C、26Dとされることがある。また、4つの係止部26について区別する必要がない場合、単に係止部26とされることがある。
【0028】
カバー部材30は、規制部31と取付部39とを含む。カバー部材30は、全体に部分筒状(ここでは半筒状)に形成されている。カバー部材30は、例えば樹脂などによる射出成形品である。
【0029】
規制部31は、電線50のうちキャビティ21から延び出る部分をキャビティ21の軸方向と交差する方向に曲げた状態に規制する。規制部31は集線部32と規制本体部35とを有する。
【0030】
集線部32は規制本体部35よりもコネクタハウジング20側に設けられる。集線部32は複数のキャビティ21から延び出る電線50を規制本体部35に向けて集める。カバー部材30がコネクタハウジング20に取付けられた状態で、集線部32はキャビティ21の軸方向に平行に延びる。集線部32は円錐台状の半筒状に形成されている。集線部32の内径及び外径は、コネクタハウジング20側の一端部から規制本体部35側の他端部に向けて徐々に小さくされる。集線部32の一端部には内側張出部33(図7参照)及び外側張出部34が設けられる。これにより、集線部32の一端部は、集線部32の他の部分よりも厚肉とされる。
【0031】
内側張出部33は、集線部32の一端部において内周側に張り出している部分である。集線部32のうち内側張出部33が設けられた部分は同一の内径で連続している。内側張出部33の内径は、コネクタハウジング20における端面の外径よりも小さく形成される。コネクタハウジング20とカバー部材30とが取付けられた状態で、内側張出部33はコネクタハウジング20における端面に対向する。これにより、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、取付け状態において、がたつきにくくなる。好ましくはコネクタハウジング20とカバー部材30とが取付けられた状態で、内側張出部33はコネクタハウジング20における端面に接触する。
【0032】
外側張出部34は、集線部32の一端部において外周側に張り出している部分である。外側張出部34は、内側張出部33の外周側に設けられる。外側張出部34の外径は、コネクタハウジング20における端面の外径よりも大きく形成される。
【0033】
規制本体部35は電線50を曲がった状態に規制する。規制本体部35は基端筒部36と先端筒部37とを有する。基端筒部36は集線部32に連なる。基端筒部36及び先端筒部37は同じ内径で連続する半筒状に形成される。基端筒部36及び先端筒部37の内径は集線部32の他端部の内径と同じである。基端筒部36は集線部32の他端部からそのまま集線部32の軸方向に平行に延びる。先端筒部37は基端筒部36に連なる。先端筒部37は基端筒部36と交差する方向に延びる。先端筒部37と基端筒部36との交差する角度は如何なる角度であってもよい。ここでは先端筒部37は基端筒部36から60度曲がった方向に延びる。先端筒部37には凹部38が形成されている。凹部38は先端筒部37の周方向の端部が中間部に向けて凹むように形成されている。凹部38は電線50と先端筒部37との周囲を結束する結束部材の位置決めなどに用いられる。
【0034】
取付部39はコネクタハウジング20に取付けられる部分である。取付部39は規制部31と一体的に設けられる。取付部39は集線部32の一端部から集線部32の軸方向に沿って突出する。取付部39はコネクタハウジング20の後端部の外面を覆う。取付部39の内面は、コネクタハウジング20の後端部の外面に対応する形状(ここでは円形状)とされる。取付部39には少なくとも1つの係止受部40、41が設けられる。係止受部40、41はいずれかの係止部26に係止する。ここでは取付部39に2つの係止受部40、41が設けられる。2つの係止受部40、41が4つの係止部26のうち2つの係止部26に係止する。2つの係止受部40、41は第1係止受部及び第2係止受部の一例である。2つの係止受部40、41は同一形状で周方向に逆向きに設けられる。各係止受部40、41は、支持片42と係止片43とを有する。
【0035】
支持片42は集線部32の一端部から集線部32とは反対側に突出する。2つの係止受部40、41における支持片42が周方向に逆向きに設けられる。支持片42は基端側部分42aと先端側部分42bとを含むL字状に形成される。基端側部分42aは集線部32の一端部から集線部32の軸方向に平行に延びる。先端側部分42bは基端側部分42aの先端から集線部32の周方向に平行に延びる。先端側部分42bは片持ち梁状に設けられる。先端側部分42bは先端に行くにつれて先細り形状に設けられる。これにより、係止部26と係止受部40、41とが係止される際、先端側部分42bが弾性変形しやすくなっている。ここでは係止受部40、41の外面が平坦面とされることによって、先端側部分42bが先細り形状とされる。
【0036】
係止片43は先端側部分42bの先端から集線部32側に突出する。係止片43は2つの突起27、28の間に嵌る。係止片43の突出寸法は、基端側部分42aの突出寸法よりも小さい。このため、係止片43は集線部32の一端部と間隔をあけて対向する。
【0037】
係止受部40、41には収容部44が設けられる。係止受部40の収容部44は2つの突起27、28のうち突起27を収容し、係止受部41の収容部44は2つの突起27、28のうち突起28を収容する。支持片42と係止片43と集線部32の一端部とに囲まれる空間が収容部44とされる。係止片43と集線部32の一端部との隙間が収容部44の開口部とされる。突起27、28は当該開口部を通じて収容部44に収容される。
【0038】
2つの係止受部40、41は、集線部32の周方向に沿って互いに反対側に設けられる。2つの係止受部40、41は、4つの係止部26のうちコネクタハウジング20の周方向に沿って互いに反対側に設けられた2つの係止部26に係止する。
【0039】
取付部39は連結片46を有する。連結片46は、集線部32の外縁に沿って延び、2つの係止受部40、41を結ぶ。連結片46は、2つの係止受部40、41の間において集線部32の一端部から集線部32とは反対側に突出する。連結片46の両端部は支持片42の基端側部分42aに連なる。カバー部材30がコネクタハウジング20に取付けられた状態で、連結片46は、コネクタハウジング20の外面と対向するようにコネクタハウジング20の周方向に沿って延びる。
【0040】
係止受部40、41及び連結片46の内径は、コネクタハウジング20の端面の外径と同程度であり、内側張出部33の内径よりも大きい。これにより、内側張出部33と係止受部40、41及び連結片46との間に段差が生じる。この段差にコネクタハウジング20の端面の外縁が引っ掛かる。
【0041】
連結片46は、3つ以上の係止部26のうち2つの係止受部40、41に係止される2つの係止部26の間に位置する係止部26を横切る。以下、3つ以上の係止部26のうち2つの係止受部40、41に係止される2つの係止部26の間に位置する係止部26であって、連結片46が横切る係止部26をクロス係止部26と言うことがある。連結片46には窓部47が形成されている。窓部47にクロス係止部26が収まる。クロス係止部26が窓部47に収まることによって、コネクタハウジング20とカバー部材30とが、がたつきにくくなる。
【0042】
窓部47は連結片46を厚み方向に貫通する貫通孔状に形成される。窓部47は2つの突起27、28と同じかそれよりも大きく形成される。ここでは窓部47は2つの突起27、28と同じかそれよりもわずかに大きく形成される。ここでは連結片46の厚み寸法が、本体部22の外面からの突起27、28の突出寸法と同じかそれより大きい。このため、図6に示すように、突起27、28は窓部47内に収まり、連結片46の外面よりも外側に突出しない。
【0043】
集線部32の周方向に沿った連結片46の長さ寸法は、2つの係止受部40、41の位置に応じた長さ寸法とされる。ここでは2つの係止受部40、41が互いに反対側に設けられているため、連結片46は集線部32の周方向に沿って半周延びる。係止部26の数が4つでない場合、連結片46が集線部32の周方向に沿って半周以上延びるように2つの係止受部40、41の位置が定められるとよい。例えば、コネクタハウジング20に3つの係止部26が正三角形の3つの頂点に対応する位置に位置するように設けられる場合、連結片46が3分の2周するように2つの係止受部40、41が設けられるとよい。
【0044】
コネクタハウジング20とカバー部材30とは、互いに係止する係止部26と係止受部40、41との組み合わせに応じた取付け向きに取付けられる。ここでは、コネクタハウジング20とカバー部材30とは4つの取付け向きのうち1つの取付け向きに選択的に取付けられる。これについて、図3を参照しつつ説明する。
【0045】
図3において、4つのカバー部材30A、30B、30C、30Dが示されている。4つのカバー部材30A、30B、30C、30Dは、コネクタハウジング20とカバー部材30との4つの取付向きに対応する。コネクタハウジング20とカバー部材30とは、4つのカバー部材30A、30B、30C、30Dのうち一つの取付向きに応じた取付向きに選択的に取り付けられる。
【0046】
第1の取付け向きに位置するカバー部材30Aとコネクタハウジング20とにおいて、係止受部40と係止部26Aとが係止し、係止受部41と係止部26Cとが係止する。コネクタハウジング20とカバー部材30とが第1の取付け向きに取付けられると、電線50は規制部31によって図3の紙面上方向に転向される。
【0047】
第2の取付け向きに位置するカバー部材30Bとコネクタハウジング20とにおいて、係止受部40と係止部26Bとが係止し、係止受部41と係止部26Dとが係止する。コネクタハウジング20とカバー部材30とが第2の取付け向きに取付けられると、電線50は規制部31によって図3の紙面右方向に転向される。
【0048】
第3の取付け向きに位置するカバー部材30Cとコネクタハウジング20とにおいて、係止受部40と係止部26Cとが係止し、係止受部41と係止部26Aとが係止する。コネクタハウジング20とカバー部材30とが第3の取付け向きに取付けられると、電線50は規制部31によって図3の紙面下方向に転向される。
【0049】
第4の取付け向きに位置するカバー部材30Dとコネクタハウジング20とにおいて、係止受部40と係止部26Dとが係止し、係止受部41と係止部26Bとが係止する。コネクタハウジング20とカバー部材30とが第4の取付け向きに取付けられると、電線50は規制部31によって図3の紙面左方向に転向される。
【0050】
なお、図1図2及び図4において、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、図3に示す4つの取付け向きのうち第1の取付け向きに取付けられている。図5及び図6において、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、図3に示す4つの取付け向きのうち第2の取付け向きに取付けられている。
【0051】
コネクタハウジング20とカバー部材30とは、キャビティ21の軸方向に直交する方向であって、2つの係止受部40、41を結ぶ方向と直交する方向にスライド移動して取付可能である。これについて、図5を参照しつつ説明する。コネクタハウジング20に対してカバー部材30が図5の実線に示される位置にある状態で、図5の左右方向が、キャビティ21の軸方向に直交する方向であって、2つの係止受部40、41を結ぶ方向と直交する方向である。コネクタハウジング20に対してカバー部材30が図5の実線に示される位置にある状態で、2つの係止受部40、41における収容部44は同じ向きに開口し、それぞれが係止する係止部26を向く姿勢とされる。
【0052】
カバー部材30が図5の実線に示される位置からコネクタハウジング20に向けて図5の右方向に移動されると、やがて係止受部40、41における係止片43が係止部26におけるガイド面に接触する。このまま、カバー部材30が図5の右方向に移動されると、係止片43がガイド面に沿って摺動しつつ収容部44の開口部が広がるように支持片42が弾性変形していく。この際、各係止受部40、41において突起27、28の一方が収容部44に収容されていくとともに、窓部47にクロス係止部26が徐々に収容されていく。そして、コネクタハウジング20に対してカバー部材30が図5の仮想線に示される位置まで達すると、係止片43は、ガイド面を越えて弾性復帰する。弾性復帰した係止片43は2つの突起27、28の間に嵌る。これにより、係止部26と係止受部40、41とが係止した状態となる。このとき、各係止受部40、41において、突起27、28の一方が収容部44に収容された状態となる。また、窓部47にクロス係止部26が収容された状態となる。
【0053】
<配線部材>
図7は実施形態1にかかる配線部材100を示す側面図である。図7において、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、図3に示す4つの取付け向きのうち第3の取付け向きに取付けられている。
【0054】
配線部材100は、上記コネクタ部品10と電線50とを備える。電線50の端部がキャビティ21に挿入されている。例えば電線50の端部には図示省略の端子が設けられる。端子と、電線50のうち端子に接続された部分とがキャビティ21内に収容される。電線50のうちキャビティ21から延び出た部分がカバー部材30の規制部31によって曲がった状態に規制されている。
【0055】
電線50のうちキャビティ21から延び出た部分は集線部32によって規制本体部35の基端筒部36に集められる。基端筒部36に集めされた電線50は、規制本体部35に沿って基端筒部36から先端筒部37に向けて延びる。これにより、電線50は、キャビティ21の軸方向と交差する方向に曲がった状態に規制される。
【0056】
なお、本例のようにカバー部材30が半筒状の場合、電線50と規制本体部35とは図示省略の結束部材等によって結束されているとよい。かかる結束部材は例えば粘着テープであってもよいし、結束バンドであってもよい。
【0057】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成されたコネクタ部品10及びこれを備える配線部材100によると、取付部39と規制部31とが一体的に設けられている。また、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、互いに係止している係止部26と係止受部40、41との組み合わせに応じて、3つ以上の異なる取付け向きのうちいずれか1つの取付け向きに取付けられる。これらより、規制部31は、コネクタハウジング20とカバー部材30との取付け向きに応じて3つ以上の異なる向きのうちいずれか1つの向きに電線50を曲げた状態に規制することができる。これにより、1種類のカバー部材30によって電線50を異なる3つ以上の方向へ転向させることが可能となる。
【0058】
また係止部26は2つの突起27、28を有し、係止受部40、41は2つの突起27、28の間に嵌る係止片43を有する。これにより、係止部26及び係止受部40、41の係止状態が安定する。
【0059】
また、2つの係止受部40、41が3つ以上の係止部26のうち2つの係止部26に係止する。これにより、2つの係止受部40、41がコネクタハウジング20の周方向に沿って離れた2箇所で係止部26と係止することができ、コネクタハウジング20とカバー部材30との取付状態が安定する。
【0060】
また、連結片46が設けられることによって係止受部40、41の剛性が高まり、係止部26と係止受部40、41とが係止状態から外れにくくなる。窓部47にクロス係止部26が収まることによって、コネクタハウジング20とカバー部材30とが、がたつきにくくなる。これらより、コネクタハウジング20とカバー部材30との取付状態が安定する。
【0061】
また、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、キャビティ21の軸方向に直交する方向であって、2つの係止受部40、41を結ぶ方向と直交する方向にスライド移動して取付可能である。これにより、コネクタハウジング20とカバー部材30との取付が容易となる。
【0062】
また、3つ以上の係止部26は正多角形の頂点に対応する位置に配置されている。これにより、3つ以上の係止部26をコネクタハウジング20の周方向に沿って回転対称な位置に配置することができる。
【0063】
[実施形態2]
実施形態2にかかるコネクタ部品について説明する。図8は実施形態2にかかるコネクタ部品110を示す分解側面図である。図9は実施形態2にかかるコネクタ部品110を示す分解平面図である。図10図8のX-X線に沿って切断した断面図である。図11図8のXI-XI線に沿って切断した断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
コネクタ部品110において、コネクタハウジング120における係止部126及びカバー部材130における係止受部140、141の形状が、上記コネクタハウジング20における係止部26及びカバー部材30における係止受部40、41の形状とは異なる。
【0065】
係止部126はフック状の突起127、128を有する。各突起127、128はL字状に形成されている。各突起127、128は支柱部29aと引掛かり片29bとを有する。支柱部29aは本体部22における外面から外周側に突出する。支柱部29aの突出寸法は、取付部139の肉厚と同程度とされる。上記突起27、28におけるガイド面は突起127、128において支柱部29aに設けられる。引掛かり片29bは支柱部29aの先端からコネクタハウジング120の周方向に突出する。2つの突起127、128において、引掛かり片29bは互いに逆向き(相手側の突起127、128に向かう向きとは反対向き)に突出する。
【0066】
係止受部140、141は、上記係止受部40、41にさらに引掛かり部45が設けられた形状とされる。引掛かり部45は収容部44の一部を塞ぐように突出する。ここでは引掛かり部45は支持片42の基端側部分42a及び集線部32の一端部から収容部44の一部を塞ぐように突出する。係止部126と係止受部140、141とが係止した状態で、支柱部29aは収容部44のうち引掛かり部45と係止片43との間の位置に収まり、引掛かり片29bは引掛かり部45の外周側に位置する。コネクタハウジング120とカバー部材130とが、2つの係止受部140、141を結ぶ方向に相対移動しようとすると、引掛かり部45と引掛かり片29bとが引掛かる。
【0067】
係止受部140、141において引掛かり部45は支持片42の先端側部分42bまで達していない。引掛かり部45と、支持片42の先端側部分42bとは間隔をあけて対向している。これにより、係止受部140、141は係止受部40、41と同様に、支持片42の先端側部分42bが収容部44の開口部を広げるように弾性変形しやすくなっている。
【0068】
また、コネクタ部品110において、カバー部材130における窓部147の形状が、上記カバー部材30における窓部47の形状とは異なる。図11に示すように、ここでは窓部147にクロス係止部126が係止する。このため、窓部147における外面側開口部は、2つの突起127、128の支柱部29aと同じかそれよりも大きく形成されるとともに、2つの突起127、128の引掛かり片29bよりも小さく形成される。そして、クロス係止部126における2つの突起127、128の引掛かり片29bが、窓部147における外面側開口部の周縁に係止する。
【0069】
コネクタハウジング120とカバー部材130とが、キャビティ21の軸方向に直交する方向であって、2つの係止受部140、141を結ぶ方向と直交する方向にスライド移動して取付可能となるように、窓部147における貫通孔の内周面はガイド面とされる。すなわち、窓部147における内面側開口部は外面側開口部よりも大きく形成される。窓部47における内面側開口部は、2つの突起127、128の引掛かり片29bと同じかそれよりも大きく形成される。そして、窓部147における貫通孔の内周面は、外面側開口部から内面側開口部に向けて貫通孔の大きさが徐々に大きくなるように形成されている。
【0070】
係止部126と係止受部140、141との係止について、図8を参照しつつ説明する。カバー部材130が図8の実線に示される位置からコネクタハウジング120に向けて図8の右方向に移動されると、やがて係止受部140、141における係止片43が係止部126におけるガイド面(支柱部29aにおける図8の下向きの面)に接触する。このまま、カバー部材130が図8の右方向に移動されると、係止片43が支柱部29aにおけるガイド面に沿って摺動しつつ収容部44の開口部が広がるように支持片42が弾性変形していく。この際、各係止受部140、141において、突起127、128の一方の支柱部29aが収容部44に収容されていく。そして、コネクタハウジング120に対してカバー部材130が図の仮想線に示される位置まで達すると、係止片43は、支柱部29aにおけるガイド面を越えて弾性復帰する。弾性復帰した係止片43は2つの突起127、128の支柱部29aの間に嵌る。また引掛かり片29bが引掛かり部45の外周側に位置する。これにより、係止部126と係止受部140、141とが係止した状態となる。
【0071】
係止部126と係止受部140、141とが係止する際、クロス係止部126と窓部147とも係止する。これについて、図8を参照しつつ説明する。カバー部材130が図8の実線に示される位置からコネクタハウジング120に向けて図8の右方向に移動されると、やがてクロス係止部126における引掛かり片29bが窓部147の内面側開口部から窓部147内に挿入され、窓部147におけるガイド面に接触する。このまま、カバー部材130が図8の右方向に移動されると、クロス係止部126において引掛かり片29bが窓部147におけるガイド面に沿って摺動しつつ、2つの引掛かり片29bの先端部の間隔が小さくなるようにクロス係止部126が弾性変形していく。例えば、各引掛かり片29bの先端部が支柱部29aに接近するように引掛かり片29bが弾性変形したり、2つの突起127、128が接近するように支柱部29aが弾性変形したりする。この際、引掛かり片29bは、支柱部29aとつながる基端部側から窓部147の外面側開口部を徐々に越えていく。そして、コネクタハウジング120に対してカバー部材130が図の仮想線に示される位置まで達すると、引掛かり片29bの全体が窓部147の外面側開口部を越えて、クロス係止部126が弾性復帰する。弾性復帰した引掛かり片29bは窓部147の外面側開口部の周縁の外周側に位置する。これにより、クロス係止部126と窓部147とが係止した状態となる。
【0072】
以上のように構成されたコネクタ部品110及びこれを備える配線部材によっても、実施形態1にかかるコネクタ部品10及びこれを備える配線部材100と同様の効果を得ることができる。さらに、コネクタ部品110及びこれを備える配線部材によると、引掛かり片29bが設けられることによって、カバー部材130とコネクタハウジング120との取付状態がさらに安定する。
【0073】
[変形例]
図12は実施形態1にかかるコネクタ部品10の変形例を示す分解平面図である。図13は実施形態2にかかるコネクタ部品110の変形例を示す分解平面図である。
【0074】
変形例にかかるコネクタ部品210、310では本体部222の後端部の外面形状が、上記本体部22の後端部の外面形状とは異なる。すなわち、上記例では本体部22の後端部の外面が円形状であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。図12に示すコネクタハウジング220及び図13に示すコネクタハウジング320のように、本体部222の後端部の外面が四角形状であってもよい。コネクタハウジング220、320では、本体部222の後端部の外面が正方形状であるが、長方形状など他の四角形状であってもよい。さらに本体部222の後端部の外面は、円形状及び四角形状以外の形状であってもよい。コネクタハウジング220、320において、係止部26、126は、本体部222の外面における角部ではなく、角部と角部との間の中間部に位置するとよい。またコネクタハウジング220、320に対応するカバー部材230、330は、外側張出部234及び取付部239が本体部222の後端部に応じて四角形状とされた形状とされるとよい。
【0075】
このほか、これまで係止部26は2つの突起27、28を有し、係止受部40、41は2つの突起27、28の間に嵌る係止片43を有するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。係止部26と係止受部40、41とは係止可能であれば、如何なる形状であってもよい。例えば、係止部26は1つの突起27、28を有していてもよい。
【0076】
また、これまで取付部39に2つの係止受部40、41が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。取付部に設けられる係止受部は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0077】
また、これまで取付部39が、窓部47が形成された連結片46を有するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。取付部39は窓部47が形成された連結片46を有していなくてもよい。例えば、取付部は係止受部40、41のみを有していてもよい。また例えば、取付部には連結片46よりも短く形成されて係止受部40、41を補強する補強片が設けられていてもよい。かかる補強片は、例えば、上記連結片46において窓部47を含む部分が凹部とされた形状とされてもよい。
【0078】
また、これまでコネクタハウジング20とカバー部材30とは、キャビティ21の軸方向に直交する方向であって、2つの係止受部40、41を結ぶ方向と直交する方向にスライド移動して取付可能であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、キャビティ21の軸方向などにスライド移動して取付可能であってもよい。また、コネクタハウジング20とカバー部材30とは、スライド移動による取付けが不可とされていてもよい。例えば、2つの係止受部がスライド移動時に係止部からの反力で弾性変形するのではなく、作業者が2つの係止受部を広げるように弾性変形させてもよい。
【0079】
また、これまで3つ以上の係止部26は正多角形の頂点に対応する位置に配置されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、3つの係止部の配置が上記4つの係止部26の1つが省略された配置とされていてもよい。
【0080】
また、これまで半筒状に形成されたカバー部材30が1つだけ、コネクタハウジング20に取付けられて、カバー部材30が電線50の周囲を部分的に覆うものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。カバー部材が電線50の周囲全体を覆うことが可能に設けられてもよい。例えば、半筒状に形成されたカバー部材が2つ、コネクタハウジング20に取付けられて、カバー部材が電線50の周囲全体を覆ってもよい。2つのカバー部材はヒンジ等で開閉可能に連結されていてもよい。
【0081】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0082】
10、110、210、310 コネクタ部品
20、120、220、320 コネクタハウジング
21 キャビティ
22、222 本体部
23 車体取付部
24 板状部
25 取付孔
26、26A、26B、26C、26D、126 係止部
27、28、127、128 突起
29a 支柱部
29b 引掛かり片
30、130 カバー部材
31 規制部
32 集線部
33 内側張出部
34 外側張出部
35 規制本体部
36 基端筒部
37 先端筒部
38 凹部
39 取付部
40、140 第1係止受部(係止受部)
41、141 第2係止受部(係止受部)
42 支持片
42a 基端側部分
42b 先端側部分
43 係止片
44 収容部
45 引掛かり部
46 連結片
47、147 窓部
50 電線
100 配線部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13