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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240730BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240730BHJP
   B60Q 3/60 20170101ALI20240730BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240730BHJP
   F21W 106/00 20180101ALN20240730BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V7/00 570
B60Q3/60
F21Y115:15
F21W106:00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020116995
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022022789
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】種 盛吾
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-506499(JP,A)
【文献】特開2008-311032(JP,A)
【文献】特開2007-180021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 7/00
B60Q 3/60
F21Y 115/15
F21W 106/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(41A、42A)の表面に光波を反射するミラー層(42M)を備えるように構成されたミラー部(42)と、
前記ミラー層よりもユーザ側にて前記ミラー層と対向して配置されるハーフミラー部(41)であって、前記基材の前記ミラー層が備えられた表面とは反対側の表面に、ハーフミラー層(41M)を備えるように構成されたハーフミラー部と、
光波を射出するように構成された発光部(44)と、
を備え、
前記ミラー部は、前記基材において前記ミラー層が形成された形成部(42B)、及び前記ミラー層が形成されていない非形成部(42C)を備え、
前記発光部は、前記非形成部から前記ハーフミラー部に向けて光波を射出することで、前記ミラー層と前記ハーフミラー層との間で前記光波が前記基材の内部を反射しつつ進行する
ように構成された照明装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記ミラー部、前記ハーフミラー部、及び前記発光部は、予め準備されたディスプレイ部の少なくとも一部を取り囲む領域に配置される
照明装置。
【請求項3】
基材(42A)の表面に光波を反射するミラー層(42M)を備えるように構成されたミラー部(42)と、
前記ミラー層よりもユーザ側にて前記ミラー層と対向して配置されるハーフミラー部(41)と、
光波を射出するように構成された発光部(44)と、
を備え、
前記ミラー部は、前記基材において前記ミラー層が形成された形成部(42B)、及び前記ミラー層が形成されていない非形成部(42C)を備え、
前記発光部は、前記非形成部から前記ハーフミラー部に向けて光波を射出するように構成され、
前記ミラー部、前記ハーフミラー部、及び前記発光部は、予め準備されたディスプレイ部の少なくとも一部を取り囲む領域に配置される、照明装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置であって、
前記ミラー層は、前記基材のハーフミラー部とは反対側の表面に形成される
照明装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までの何れか1項に記載の照明装置であって、
前記ハーフミラー部及び前記ミラー部は、前記ディスプレイ部に近づくにつれて、前記ハーフミラー部と前記ミラー部との距離が大きくなるように非平行に配置される
照明装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の照明装置であって、
前記ディスプレイ部は有機ELディスプレイとして構成され、
前記ミラー部及び前記発光部は、前記有機ELディスプレイに対して積層配置される
照明装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6までの何れか1項に記載の照明装置であって、
前記ディスプレイ部における表示面と同一面上にて、前記ディスプレイ部の周囲を取り囲んで配置され、前記発光部から射出される光の一部を透過し、かつ、外光の一部を吸収する素材で構成された周囲部材(23K)、
をさらに備える照明装置。
【請求項8】
請求項7に記載の照明装置であって、
前記表示面の全面及び前記周囲部材の少なくとも一部を前記表示面から光が射出される方向である光線方向側から継ぎ目なく覆い、前記ディスプレイ部及び前記発光部から射出される光を透過するように構成された被覆部材(21)、
をさらに備える照明装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の照明装置であって、
前記ハーフミラー部及び前記ミラー部は、非平行に配置される
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハーフミラー及びミラーを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、発光部から射出された光波をハーフミラー及びミラーで繰り返し反射させながらユーザの視界に提供するように構成された照明装置が開示されている。発光部は、より光波が拡散するように、ハーフミラー及びミラーの間にて配置され、この位置から光波を射出するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-091866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、照明装置では、ユーザに光源を見せる種々の演出を求められる場合がある。しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、発光部の一部がハーフミラー及びミラーの間に配置され、この位置から光波を射出する構成では、光波が拡散するため、ユーザに光源を見せる演出が実現しにくいという課題が見出された。
【0005】
本開示の一態様は、ハーフミラー及びミラーを備える照明装置において、ユーザに光源を見せる演出を実現しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、照明装置(1)であって、ミラー部(42)と、ハーフミラー部(41)と、発光部(44)と、を備える。ミラー部は、基材(42A)の表面に光波を反射するミラー層(42M)を備えるように構成される。
【0007】
ハーフミラー部は、ミラー層よりもユーザ側にてミラー層と対向して配置される。発光部は、光波を射出するように構成される。ミラー部は、形成部(42A)、非形成部(42B)を備える。形成部は、基材においてミラー層が形成される部位である。非形成部は、ミラー層が形成されていない部位である。発光部は、非形成部からハーフミラー部に向けて光波を射出する。
【0008】
このような構成によれば、ミラー層が形成されていない非形成部から発光部からの光波をハーフミラー部に向けて射出するので、光波が拡散にくく、ユーザは光源を視認しやすくなる。また、ミラー部及びハーフミラー部で繰り返し反射した光波をユーザに視認させることができるので、ユーザに対して、実際の光源までの距離よりもより遠くに発光部が位置するかのように、発光部までの奥行きを感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】照明装置の外観斜視図である。
図2図1におけるII-II断面図である。
図3図2における一点鎖線部の拡大図である。
図4】ミラー部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す照明装置1は、例えば、乗用車等の車両において、乗員から視認可能な車室内に配置される。照明装置1は、多数の発光部44を備える照明ユニット40を備える。照明装置1は、ディスプレイ部10と、内装部材20と、収納部50とを備えてもよい。
【0011】
ディスプレイ部10は、有機物が通電されることで発光する発光素子を多数備える。ディスプレイ部10は、例えば、有機ELディスプレイとして構成される。詳細には、多数の発光素子は、表示面に沿って配置され、ディスプレイ部10は、この表示面から多数の発光素子にて生じた光を射出することで画像を表示させるように構成される。
【0012】
ここで、ディスプレイ部10は、曲げることができる膜状の樹脂等の素材で多数の発光素子を包むように構成されており、この構成により、ディスプレイ部10は、内装部材20の曲面形状に沿って配置される。
【0013】
照明ユニット40は、ディスプレイ部10の周囲の一部を取り囲む領域にて配置される。本実施形態では、ディスプレイ部10の左右の領域及び上側の領域に配置される。照明ユニット40においては、多数の発光部44を備え、これら多数の発光部44が立体的に見えるように工夫されている。照明ユニット40の詳細については後述する。
【0014】
内装部材20は、車室におけるインテリアの一部を構成する。換言すれば、内装部材20は、車室の内面、或いは室内装飾の一部を構成する。ディスプレイ部10及び照明ユニット40は、図1図2に示すように、内装部材20の内部に組み込まれる。内装部材20は、ユーザの位置から見て奥側から手前側に向けて上面の位置が地面に近づくように傾斜して構成される。図2では、奥側が紙面右側であり、手前側が紙面左側である。
【0015】
また、内装部材20は、手前側で下側に向けて屈曲する屈曲部20Xを備え、屈曲部20Xから奥側に向けて下面の位置が地面に近づくように傾斜して構成される。ディスプレイ部10は、その下端が屈曲部20Xの位置付近に配置される。
【0016】
内装部材20は、部位によって異なる断面構造を有する。内装部材20については、図1図2に示すように、ディスプレイ部10が存在する部位での内装部材20の構成を表示部位構造20Aとする。また、ディスプレイ部10の周囲であって照明ユニット40が配置された部位における内装部材20の構成を照明部位構造20Bとする。また、ディスプレイ部10の屈曲部20Xよりも下側の部位における内装部材20の構成を下部構造20Cとする。照明部位構造20B周辺よりもさらに外周側の部位であって、ディスプレイ部10が配置されていない部位における内装部材20の構成を周辺部位構造20Dとする。
【0017】
なお、以下の説明では、光線方向及び反光線方向という用語を利用する。光線方向とは、図2に示すように、表示面から光が射出される方向である。したがって、光線方向側から覆うとは、ディスプレイ部10よりもユーザ側から覆うという意味である。また、光線方向とは反対方向を反光線方向とする。
【0018】
表示部位構造20Aでは、図2に示すように、光線方向側から順に、被覆部材21、第1接着部材22、基材23、第2接着部材24、ディスプレイ部10、第3接着部材25、照明ユニット40、ケース部26、が積層されている。なお、表示部位構造20Aでは、照明ユニット40は、ディスプレイ部10の周辺部位のみにおいて積層される。ディスプレイ部10の周辺部位以外(すなわち中央側の部位)においては、照明ユニット40は、積層されておらず、照明ユニット40に換えて、周辺部位よりも厚みを増した第3接着部材25が配置される。
【0019】
被覆部材21は、インテリアの骨格となる部材、ここでは後述するケース部26の少なくとも一部を継ぎ目なく覆い、このとき、ディスプレイ部10及び照明ユニット40の全面を光線方向側から継ぎ目なく覆う。
【0020】
被覆部材21は、例えば、半透明の熱可塑性プラスチック等から構成され、ディスプレイ部10から射出される光を透過するように構成される。ただし、被覆部材21は、透明又は半透明の任意の素材から構成されてもよい。被覆部材21には、例えば、ハイトレル(登録商標)等を採用することができる。
【0021】
第1接着部材22は、被覆部材21と基材23とを接着する部材である。第1接着部材22は、可視光線の一部を遮るように着色されており、例えば、着色されたフィルム状の光学粘着シートであるOCA(Optical Clear Adhesive)が採用される。この場合、第1接着部材22は、スモークOCAとして構成される。
【0022】
基材23は、ディスプレイ部10が有する曲げに対する剛性よりも高い剛性を備える。基材23は、被覆部材21の反光線方向側に、第1接着部材22を介して隙間なく積層される。基材23は、ディスプレイ部10から射出される光、及び発光部44から射出される光を透過する、無色透明な素材である。基材23には、例えば、透明の合成樹脂であるPMMA(polymethyl methacrylate)等が採用される。なお、基材23は、無色透明な素材に限らず、ディスプレイ部10及び発光部44から射出される光を透過できれば、半透明等の任意の素材から構成されてもよい。
【0023】
ディスプレイ部10は、基材23の反光線方向側に、第2接着部材24を介して隙間なく積層される。そして、照明ユニット40は、ディスプレイ部10の反光線方向側に、第3接着部材25を介して隙間なく積層される。
【0024】
さらに、ケース部26は、基材23よりも高い剛性を有する金属素材で構成され、照明ユニット40の反光線方向側に積層される。なお、照明ユニット40とケース部26との間には、これらを接着する接着部材を備えてもよい。ケース部26には、例えばアルミ合金等が採用される。
【0025】
ケース部26は、屈曲部20Xにて屈曲し、表示部位構造20A及び下部構造20Cの骨格を構成する。
第2接着部材24、及び第3接着部材25には、硬化時に無色透明となる接着剤が採用されうる。これらの接着部材22,24,25には、例えば、紫外線で硬化する光学樹脂であるOCR(Optically Clear Resin)或いはOCAを採用できる。
【0026】
次に、照明部位構造20Bでは、図2に示すように、光線方向側から順に、被覆部材21、第1接着部材22、基材23、第2接着部材24、第3接着部材25、照明ユニット40、ケース部26、が積層されている。照明部位構造20Bでは、表示部位構造20Aにおいてディスプレイ部10が配置されていた部位には、例えば、厚みを増した第3接着部材25が配置される。
【0027】
また、周辺部位構造20Dでは、図2に示すように、光線方向側から順に、被覆部材21、第1接着部材22、基材23、第2接着部材24、第3接着部材25、ケース部26、が積層されている。周辺部位構造20Dでは、照明部位構造20Bにおいて照明ユニット40が配置されていた部位には、厚みを増した第3接着部材25が配置される。
【0028】
照明部位構造20B及び周辺部位構造20Dでの被覆部材21、第1接着部材22、基材23、第2接着部材24、第3接着部材25、及びケース部26は、表示部位構造20Aでの構成と一体であり、表示部位構造20Aでの構成と同様の構成である。
【0029】
なお、第1接着部材22、基材23、第2接着部材24、第3接着部材25、及びケース部26は、表示部位構造20Aでの構成と一体である必要はなく、別部材であってもよい。また、それぞれの部位構造20B,20Dでの第1接着部材22、基材23、第2接着部材24、第3接着部材25、及びケース部26は、それぞれ任意の素材を選択しうる。
【0030】
ここで、照明部位構造20B及び周辺部位構造20Dの基材23は、基材23の反光線方向側に、着色層23Kを備える。なお、着色層23Kは、本開示での周囲部材に相当する。着色層23Kは、ディスプレイ部10の表示面と同一面上にて、ディスプレイ部10の周囲を取り囲んで配置される。
【0031】
本実施形態の着色層23Kは、ディスプレイ部10の周囲のうちの、下方を除く3方を取り囲んで配置される。ただし、同一面上とは、略同一面上を含み、また、同一平面上、或いは同一曲面上を含む概念である。
【0032】
また、着色層23Kは、発光部44からの光の一部を透過するものの、非発光時のディスプレイ部10における光吸収率に近い光吸収率になるように構成される。光吸収率とは、ある物体に進入する外光、特に可視光線が反射されずに吸収される割合を示す。
【0033】
着色層23Kは、光吸収率が所定の値(例えば約50%程度)の物質、例えば黒色顔料インクが極めて薄く塗布されて構成される。つまり、着色層23Kは、ユーザ側から発光部44に向けて入射される外光の一部を吸収する。なお、着色層23Kは、蒸着、スパッタリング、フィルムのコーティング等の手法によって、光吸収率が所定の値になるように形成されてもよい。また、着色層23Kは、非発光時のディスプレイ部10との色差が予め設定された閾値未満となるようにしてもよい。色差はRGB、LAB等の任意の色空間での距離である。この色差が小さいほど、非発光時のディスプレイ部10と着色層23Kとの境界を、ユーザによる目視で区別しにくくすることができる。
【0034】
着色層23Kは、図2及び図3に示すように、ディスプレイ部10の縁部10Eを光線方向側から覆う。つまり、着色層23Kは、一部がディスプレイ部10に重なるように配置され、着色層23Kの縁部21Eは、ディスプレイ部10の縁部10Eよりも、ディスプレイ部10の内側に位置する。
【0035】
照明ユニット40は、図1図3に示すように、内装部材20の内部に組み込まれる。照明ユニット40は、図3に示すように、光線方向側から順に、ハーフミラー部41、ミラー部42、発光部44、基板45が積層配置される。
【0036】
ハーフミラー部41は、基材41Aの光線方向側の表面にハーフミラー層41Mを備える。基材41Aは、透明樹脂等から構成される。ハーフミラー層41Mは、例えば金属の蒸着により膜状に形成され、可視光線の反射率及び透過率がそれぞれ約50%に設定される。ハーフミラー層41Mは、ミラー部42のミラー層42Mよりもユーザ側、すなわち光線方向側にて、ミラー層42Mと対向して配置される。
【0037】
ミラー部42は、基材42Aの反光線方向側の表面に光波を反射するミラー層42Mを備える。基材42Aは、透明樹脂等から構成される。ミラー層42Mは、例えば金属の蒸着により膜状に形成され、可視光線の反射率及び透過率がそれぞれ概ね100%に近づくように設定される。ミラー層42Mは、例えば基材42Aのハーフミラー部41とは反対側、すなわち反光線方向の表面に形成される。
【0038】
ミラー部42は、図3及び図4に示すように、ミラー層42Mが形成された形成部42Bと、ミラー層42Mが形成されていない非形成部42Cと、を備える。非形成部42Cは、発光部44に当接する部位に配置され、例えば、それぞれ円形に、ミラー層42Mが蒸着されない領域である。
【0039】
発光部44は、光波を射出するように構成され、例えば、可視光を射出する3色LEDとして構成される。3色LEDは、1つのチップに赤、青、緑の3色分のLEDが配置された構成を有する。発光部44は、非形成部42Cからハーフミラー部41に向けて光波を射出する。
【0040】
図3に示すように、発光部44がハーフミラー部41に向けて射出した光波は、ハーフミラー部41の基材41A及びミラー部42の基材42Aの内部を進行し、この光波の一部がハーフミラー層41Mからユーザの視線に向けて射出される。また、この光波の他の一部がハーフミラー層41M及びミラー層42Mで繰り返し反射しつつユーザの視線に向けて射出される。
【0041】
ユーザは、ハーフミラー層41Mにて反射されずに射出された光波L1と、ハーフミラー層41M及びミラー層42Mで反射された光波L2等とを視認できるので、実際の発光部44の数よりも多くの光源が存在するかのように感じることができる。また、ユーザは、光波L2においては、実際の発光部44の位置よりもより遠い位置に、発光部44の虚像D1を視認できるので、ディスプレイ部10の周囲に奥行きを感じることができる。
【0042】
ここで、ミラー部42においては、ディスプレイ部10に近づくにつれて、基材42Aの厚みが大きくなるように設定される。換言すれば、ハーフミラー部41及びミラー部42は、ディスプレイ部10に近づくにつれて、ハーフミラー層41Mとミラー層42Mとの距離が大きくなるように非平行に配置されている。
【0043】
この構成では、発光部44の位置がディスプレイ部10に近づくにつれて、射出された光波の光路が長くなる。図3において、ハーフミラー層41M及びミラー層42Mで1回ずつ反射された光波L2と、別の光波S1とを比較する場合、よりディスプレイ部10に近い発光部44Aから射出された光波S1の光路は、光波L2の光路よりも長くなる。よって、ユーザは、光波L2で視認できる虚像D1よりも、より遠い位置に光波S1による虚像D2を視認できる。
【0044】
また、発光部44のうちの一部である発光部44Aは、ディスプレイ部10と積層されている。つまり、発光部44Aは、ディスプレイ部10のディスプレイ面と直交する方向、例えば光線方向側からディスプレイ部10を見たときに、ミラー部42及び発光部44の一部がディスプレイ部10に隠れる位置に配置される。
【0045】
この構成では、ユーザはディスプレイ部10の裏側に光源があるかのように虚像を視認できる。よって、ディスプレイ部10が周囲の光源がある空間から浮き上がったかのような、幻想的な表示空間を生成することができる。
【0046】
次に、下部構造20Cは、図2に示すように、ケース部26と、塗装部27と、を備える。塗装部27は、任意の塗料等の素材にて構成され、ケース部26を下側から覆う。
なお、収納部50は、図1に示すように、例えば、周知のグローブボックスとして構成され、下部構造20Cを隠蔽するように、下部構造20Cのさらに下側に配置される。
【0047】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本開示の一態様は、照明装置1であって、ミラー部42と、ハーフミラー部41と、発光部44と、を備える。ミラー部42は、基材42Aの表面に光波を反射するミラー層42Mを備えるように構成される。
【0048】
ハーフミラー部41は、ミラー層42Mよりもユーザ側にてミラー層42Mと対向して配置される。発光部44は、光波を射出するように構成される。ミラー部42は、形成部42B、非形成部42Cを備える。形成部42Bは、基材42Aにおいてミラー層42Mが形成される部位である。非形成部42Cは、及びミラー層42Mが形成されていない部位である。発光部44は、非形成部42Cからハーフミラー部41に向けて光波を射出する。
【0049】
このような構成によれば、ミラー層42Mが形成されていない非形成部42Cから発光部44からの光波をハーフミラー部41に向けて射出するので、光波が拡散にくく、ユーザは光源を視認しやすくなる。また、ミラー部42及びハーフミラー部41で繰り返し反射した光波をユーザに視認させることができるので、ユーザに対して、実際の光源までの距離よりもより遠くに発光部44が位置するかのように、発光部44までの奥行きを感じさせることができる。
【0050】
(1b)本開示の一態様では、ミラー層42Mは、基材42Aのハーフミラー部41とは反対側の表面に形成される。
このような構成によれば、ミラー層42Mとハーフミラー部41との距離を極力大きくすることができるので、繰り返し反射される光波の光路をより長くすることができる。よって、ユーザに対して、発光部44までの奥行きをより感じさせることができる。
【0051】
(1c)本開示の一態様では、ハーフミラー部41及びミラー部42は、非平行に配置されている。
このような構成によれば、光波の光路の長さが部位によって変化するため、ユーザが感じる発光部44までの奥行きに変化を与えることができる。
【0052】
(1d)本開示の一態様では、ミラー部42、ハーフミラー部41、及び発光部44は、予め準備されたディスプレイ部10の少なくとも一部を取り囲む領域に配置される。
このような構成によれば、ディスプレイ部10の周囲の領域にてユーザに視覚的な立体感を与えることができる。
【0053】
(1e)本開示の一態様では、ハーフミラー部41及びミラー部42は、ディスプレイ部10に近づくにつれて、ハーフミラー部41とミラー部42との距離が大きくなるように非平行に配置される。
【0054】
このような構成によれば、ディスプレイ部10に近づくにつれてユーザに視覚的な立体感を与えることができる。
(1f)本開示の一態様では、ディスプレイ部10は有機ELディスプレイとして構成される。ミラー部42及び発光部44は、ディスプレイ部10に対して積層配置される。
【0055】
このような構成によれば、有機ELディスプレイの裏側にある発光部44からの光波を視認できるので、有機ELディスプレイの裏側に奥行きがあるようにユーザに見せることができる。
【0056】
(1g)本開示の一態様は、ディスプレイにおける表示面と同一面上にて、表示部の周囲を取り囲んで配置され、発光部44から射出される光の一部を透過し、かつ外光の一部を吸収する素材で構成された着色層23K、をさらに備える。
【0057】
このような構成によれば、着色層23Kが表示面と同一面上に配置されるので、表示部10と着色層23Kとの境界付近で外光が乱反射することを抑制できる。また、着色層23Kは、発光部44から射出される光の一部を透過するので、ユーザは光源を視認することができる。また、着色層23Kは、外光の一部を吸収するので、ユーザは表示部10と着色層23Kとの境界を視認しにくくすることができる。
【0058】
(1h)本開示の一態様は、表示部10の全面及び着色層23Kの少なくとも一部を光線方向側から継ぎ目なく覆い、表示部10及び発光部44から射出される光を透過するように構成された被覆部材21、をさらに備える。
【0059】
このような構成によれば、被覆部材21が表示部10及び着色層23Kを光線方向側から継ぎ目なく覆うので、表示部10と着色層23Kとの境界をより視認しにくくすることができる。
【0060】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0061】
(2a)上記実施形態では、ディスプレイ部10に有機ELディスプレイを採用したが、これに限定されるものではない。例えば、液晶ディスプレイ等、他の形態のディスプレイを採用することもできる。ただし、ディスプレイ部10に照明ユニット40を積層配置する場合には、ディスプレイ部10の厚みは極力小さいほうがよい。省スペース化のためである。なお、ディスプレイ部10と照明ユニット40とは積層配置されている必要はない。
【0062】
(2b)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0063】
(2c)上述した照明装置1の他、当該照明装置1を構成要素とするシステム、当該照明装置1を構成する照明ユニット40など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1…照明装置、10…ディスプレイ部、10E…縁部、20…内装部材、20A…表示部位構造、20B…照明部位構造、20C…下部構造、20D…周辺部位構造、20X…屈曲部、21…被覆部材、21E…縁部、22…第1接着部材、23…基材、23K…着色層、24…第2接着部材、25…第3接着部材、26…ケース部、27…塗装部、40…照明ユニット、41…ハーフミラー部、41A…基材、41M…ハーフミラー層、42…ミラー部、42A…基材、42B…形成部、42C…非形成部、42M…ミラー層、44,44A…発光部、45…基板、50…収納部。
図1
図2
図3
図4