IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置 図1
  • 特許-情報処理装置 図2
  • 特許-情報処理装置 図3
  • 特許-情報処理装置 図4
  • 特許-情報処理装置 図5
  • 特許-情報処理装置 図6
  • 特許-情報処理装置 図7
  • 特許-情報処理装置 図8
  • 特許-情報処理装置 図9
  • 特許-情報処理装置 図10
  • 特許-情報処理装置 図11
  • 特許-情報処理装置 図12
  • 特許-情報処理装置 図13
  • 特許-情報処理装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H04N1/00 350
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020117663
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015050
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尚永 健
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-202488(JP,A)
【文献】特開2009-259090(JP,A)
【文献】特開2015-215758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
送信されるデータに保護対象の情報が含まれている場合、前記保護対象の情報が含まれている旨を示す画像を、データ送信に関する操作画面に表示し、
ユーザの操作により前記保護対象の情報が含まれなくなった場合、前記画像の表示を終了させ、
前記画像が表示されたまま前記データの送信操作が行われた場合、警告を表示し、
前記警告を表示した後、定められた時間操作がされない場合、前記データの送信に関する処理を自動的に実行する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記保護対象の情報が含まれている間は前記データの送信を行わない
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データに含まれている前記保護対象の情報の数を表示し、前記操作により前記保護対象の情報が変化した場合、変化後の前記保護対象の情報の数に表示を更新する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
特定の操作が行われた場合、前記保護対象の情報を一覧で表示し、当該情報をなくす操作を受け付ける
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
過去に警告を表示したデータが送信される場合には前記画像を表示しない
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
自装置の位置に応じて異なる長さの時間を前記定められた時間とする
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
現在の時間帯に応じて異なる長さの時間を前記定められた時間とする
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
送信されるデータに保護対象の情報が含まれている場合、前記保護対象の情報が含まれている旨を示す画像を、データ送信に関する操作画面に表示し、
ユーザの操作により前記保護対象の情報が含まれなくなった場合、前記画像の表示を終了させ、
前記画像が表示されたまま前記データの送信操作が行われた場合、警告を表示し、
過去に警告を表示したデータが送信される場合には前記画像を表示しない
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷データに含まれている違反ワードに対応する値の合計値を違反値とし、違反値が閾値を超えた場合に、警告を通知する処理や印刷ジョブをキャンセルする処理を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-099862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年GDPR(General Data Protection Regulation)のような情報の保護(GDPRの場合は個人情報の保護)のための規定が多く定められるようになっている。そのような規定をユーザに守らせるためには、規定に違反していることをユーザに気付かせることが重要である。
そこで、本発明は、保護対象の情報を無制限でやり取りする場合に比べて、情報の保護のための規定に違反していることに気づきやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、送信されるデータに保護対象の情報が含まれている場合、前記保護対象の情報が含まれている旨を示す画像を、データ送信に関する操作画面に表示し、ユーザの操作により前記保護対象の情報が含まれなくなった場合、前記画像の表示を終了させ、前記画像が表示されたまま前記データの送信操作が行われた場合、警告を表示し、前記警告を表示した後、定められた時間操作がされない場合、前記データの送信に関する処理を自動的に実行することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、請求項1に記載の態様において、前記保護対象の情報が含まれている間は前記データの送信を行わないことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る情報処理装置は、請求項1又は2に記載の態様において、前記データに含まれている前記保護対象の情報の数を表示し、前記操作により前記保護対象の情報が変化した場合、変化後の前記保護対象の情報の数に表示を更新することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る情報処理装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、特定の操作が行われた場合、前記保護対象の情報を一覧で表示し、当該情報をなくす操作を受け付けることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る情報処理装置は、請求項1から4のいずれか1項に記載の態様において、過去に警告を表示したデータが送信される場合には前記画像を表示しないことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項に係る情報処理装置は、請求項に記載の態様において、自装置の位置に応じて異なる長さの時間を前記定められた時間とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項に係る情報処理装置は、請求項に記載の態様において、現在の時間帯に応じて異なる長さの時間を前記定められた時間とすることを特徴とする。
本発明の請求項8に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、送信されるデータに保護対象の情報が含まれている場合、前記保護対象の情報が含まれている旨を示す画像を、データ送信に関する操作画面に表示し、ユーザの操作により前記保護対象の情報が含まれなくなった場合、前記画像の表示を終了させ、前記画像が表示されたまま前記データの送信操作が行われた場合、警告を表示し、過去に警告を表示したデータが送信される場合には前記画像を表示しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、保護対象の情報を無制限でやり取りする場合に比べて、情報の保護のための規定に違反していることに気づきやすくすることができる。また、この発明によれば、ユーザが情報処理装置を長い時間専有することを防ぐことができる。
請求項2に係る発明によれば、保護対象の情報の送信を防ぐことができる。
請求項3に係る発明によれば、送信されるデータに保護対象の情報が含まれていることをユーザが把握することができる。
請求項4に係る発明によれば、保護対象の情報の数をユーザが把握することができる。
請求項5、8に係る発明によれば、同じデータで何度も警告を受けることを防止することができる。
請求項6に係る発明によれば、定められた時間が固定されている場合に比べて、自装置を長時間専有して他人に不満を与えることを抑制することができる。
請求項に係る発明によれば、定められた時間が固定されている場合に比べて、ユーザが余裕を持って警告への対処を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例に係る画像処理システムの全体構成を表す図
図2】画像処理装置のハードウェア構成を表す図
図3】外部装置のハードウェア構成を表す図
図4】画像処理システムにおいて実現される機能構成を表す図
図5】表示された操作画面の一例を表す図
図6】宛先が入力された操作画面の一例を表す図
図7】添付物が入力された操作画面の一例を表す図
図8】添付物が変更された操作画面の一例を表す図
図9】宛先が変更された操作画面の一例を表す図
図10】表示された警告の一例を表す図
図11】開始ボタンが操作可能な状態になった操作画面の一例を表す図
図12】リスク軽減処理における動作手順の一例を表す図
図13】待機時間テーブルの一例を表す図
図14】待機時間テーブルの別の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1]実施例
図1は実施例に係る情報処理システム1の全体構成を表す。情報処理システム1は、各種の情報処理を行うシステムである。情報処理システム1は、通信回線2と、画像処理装置10と、外部装置20とを備える。
【0016】
通信回線2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムと通信する装置等(=装置、端末及びシステム等)同士のデータのやり取りを中継する。通信回線2には、画像処理装置10が有線通信で接続し、外部装置20及び外部装置30が無線通信で接続している。なお、各装置と通信回線2との通信は、図1に例に限定されず、有線通信及び無線通信のどちらでもよい。
【0017】
画像処理装置10は、プリント、コピー、スキャン、ファクシミリ及び文字認識等の、画像に関する情報処理を行う装置である。画像処理装置10は、例えば、スキャンした画像を示す画像データ又はその画像から認識された文字を示す文字データを外部装置20に送信する。外部装置20は、送信されてきたデータを受け取り、例えば、そのデータが示す内容(画像又は文字等)を表示する。
【0018】
情報処理の分野においては、特定の情報を保護するための規定が設けられる場合がある。例えば、GDPR(=General Data Protection Regulation)においては、個人情報を保護するため、EEA(=European Economic Area:欧州経済領域)の域内から域外への個人情報の送信を原則禁止とし、どうしても個人情報を送信するのであれば、本人の同意を得る等の要件を求め、違反すると制裁を課す規定が定められている。情報処理システム1においては、そのような制裁が課せられるリスクを軽減するための処理が行われる。
【0019】
図2は画像処理装置10のハードウェア構成を表す。画像処理装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、UI(=User Interface)装置15と、画像読取装置16と、画像形成装置17とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。
【0020】
ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信装置14は、アンテナ及び通信回路等を有し、通信回線2を介した通信を行う通信手段である。
【0021】
UI装置15は、自装置を利用するユーザに対して提供されるインターフェースである。UI装置15は、例えば、表示手段であるディスプレイと、ディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付ける。また、UI装置15は、タッチスクリーン以外にも、キーボード等の操作子を有し、それらの操作子への操作を受け付ける。
【0022】
画像読取装置16は、用紙等の媒体に表されている画像を読み取るハードウェア(いわゆるスキャナ)であり、自装置にセットされた媒体から画像を読み取る画像読取手段である。画像形成装置17は、用紙等の媒体に画像を形成するいわゆるプリンタであり、自装置にセットされた媒体を搬送しながら例えば電子写真方式で画像を転写して定着させることでその媒体に画像を形成する画像形成手段である。
【0023】
図3は外部装置20のハードウェア構成を表す。外部装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、UI装置25とを備えるコンピュータである。プロセッサ21からUI装置25までは、図2に表すプロセッサ11からUI装置15までと同種のハードウェアである。
【0024】
情報処理システム1においては、上記の各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる各機能が実現される。各機能が行う動作は、その機能を実現する装置のプロセッサが行う動作としても表される。
【0025】
図4は情報処理システム1において実現される機能構成を表す。画像処理装置10は、情報処理部101と、操作画面表示部102と、操作受付部103と、保護対象検出部104と、警告表示部105とを備える。外部装置20は、データ受信部201と、データ表示部202とを備える。
【0026】
画像処理装置10の情報処理部101は、各種の情報処理を実行する。情報処理部101は、本実施例の場合、プリント処理、コピー処理、スキャン処理、ファクシミリ処理及び文字認識処理等の画像処理を行う。操作画面表示部102は、情報処理部101が実行する情報処理に関する操作を受け付けるための操作画面を表示する。
【0027】
図5は表示された操作画面の一例を表す。図5の例では、操作画面表示部102は、スキャナサービスの操作画面として、「宛先」の入力欄A1、「添付物」の入力欄A2及び「解像度」の入力欄A3と、スキャンの開始ボタンB1とを表示している。図5の例では、宛先及び添付物にはまだ入力がなく、解像度だけ「200dpi」と入力されている。
【0028】
操作画面表示部102は、各入力欄及びボタンの画面における位置を操作受付部103に通知する。操作受付部103は、操作画面表示部102が表示する操作画面において、情報処理部101が実行する情報処理に関する操作を受け付ける。操作受付部103は、通知された位置への操作を各入力欄又はボタンへの操作として受け付ける。操作受付部103は、例えば、入力欄A1への入力操作を受け付け、受け付けた入力操作により入力された宛先を操作画面表示部102に供給する。
【0029】
操作画面表示部102は、供給された宛先を入力欄A1に表示する。
図6は宛先が入力された操作画面の一例を表す。図6の例では、操作画面表示部102は、「xxx.xxx@xxx.com」という宛先を入力欄A1に表示している。この宛先は、特定の個人のメールアドレスであるものとする。操作受付部103は、操作画面で入力された情報である宛先を保護対象検出部104にも供給する。
【0030】
保護対象検出部104は、送信されるデータに保護対象の情報が含まれている場合に、その保護対象の情報を検出する。保護対象の情報は、本実施例では、個人情報である。個人情報とは、氏名、生年月日及び住所等の、個人を特定可能な情報である。保護対象検出部104は、送信されるデータが文字列を表す文書データである場合には、その文書データが示す文書内の文字列から個人情報を検出する。
【0031】
保護対象検出部104は、氏名及び住所に用いられる文字列を記憶しておき、それらの文字列を文書内の文字列から検出する。また、保護対象検出部104は、生年月日を記述する際に用いられる文字列(例えば「年」、「月」、「日」及び元号等)を記憶しておき、それらの文字列が数字と共に並べられている場合にそれらの文字列及び数字を生年月日として検出する。
【0032】
また、保護対象検出部104は、送信されるデータが画像データである場合には、その画像データが示す画像から文字列を認識し、認識した文字列から個人情報を検出する。
文字列からの個人情報の検出方法は、前述したとおりである。図6の例の場合、保護対象検出部104は、「xxx.xxx@xxx.com」という特定の個人のメールアドレスである宛先を、保護対象である個人情報として検出する。
【0033】
保護対象検出部104は、保護対象の情報を検出すると、検出した保護対象の情報を操作画面表示部102に供給する。操作画面表示部102は、保護対象の情報が供給された場合、すなわち、送信されるデータに保護対象の情報が含まれている場合、保護対象の情報が含まれている旨を示す画像を、データ送信に関する操作画面に表示する。この画像は、保護対象の情報が含まれている旨を通知する画像であり、以下では「保護通知画像」と言う。
【0034】
操作画面表示部102は、図6に表す操作画面、すなわち、データ送信を伴うスキャナサービスの操作画面を、データ送信に関する操作画面として。保護通知画像を表示する。操作画面表示部102は、本実施例では、図6に表すバッジ画像C1を開始ボタンB1に重畳させて、保護対象の情報が含まれている旨を示す画像として表示する。操作画面表示部102は、送信されるデータに含まれている保護対象の情報の数を表示する。
【0035】
図6の例では、宛先のみが保護対象の情報として含まれているので、操作画面表示部102は、「1」という数字を含むバッジ画像C1を表示している。ここでさらに入力欄A2への入力が行われたものとする。
図7は添付物が入力された操作画面の一例を表す。図7の例では、操作画面表示部102は、「yyy.pdf」という添付物を入力欄A2に表示している。
【0036】
操作受付部103は、操作画面で入力された情報である添付物を保護対象検出部104に供給する。保護対象検出部104は、文書データである添付物に含まれる文字列から個人情報を検出した場合に、添付物を保護対象の情報として検出する。保護対象検出部104は、検出した添付物を保護対象の情報として操作画面表示部102に供給する。操作画面表示部102は、この場合も、保護対象の情報が含まれている旨を示す画像を、データ送信に関する操作画面に表示する。
【0037】
図7の例では、操作画面表示部102は、「2」という数字を含むバッジ画像C2を表示している。このように、操作画面表示部102は、送信されるデータに含まれている保護対象の情報の数を表示し、操作画面での操作により保護対象の情報が変化した場合、変化後の保護対象の情報の数に表示を更新する。例えば図7の例において、個人情報を含まない添付物に変更する操作が行われたとする。
【0038】
図8は添付物が変更された操作画面の一例を表す。図8の例では、操作画面表示部102は、「zzz.pdf」という添付物を入力欄A2に表示している。zzz.pdfには個人情報が含まれていないので、保護対象検出部104は、添付物が保護対象の情報でなくなったことを操作画面表示部102に通知する。操作画面表示部102は、この通知を受け取ると、図8に表すように「1」という数字を含むバッジ画像C1を再び表示することで、変化後の保護対象の情報の数に表示を更新する。
【0039】
図8の例においてさらに、特定の個人のメールアドレスから例えば組織等で用いられる代表のメールアドレスに宛先が変更されたものとする。
図9は宛先が変更された操作画面の一例を表す。図9の例では、操作画面表示部102は、「www.www@www.cоm」という代表の宛先を入力欄A1に表示している。
【0040】
代表の宛先には個人情報が含まれていないので、保護対象検出部104は、宛先が保護対象の情報でなくなったことを操作画面表示部102に通知する。操作画面表示部102は、この通知を受け取った場合、すなわち、ユーザの操作により保護対象の情報が含まれなくなった場合、図9に表すようにバッジ画像の表示を終了させる。このようにバッジ画像が表示されなくなるまで入力内容を変更してからスキャンが開始されると、スキャンされて送信されるデータに保護対象の情報が含まれなくなる。
【0041】
なお、情報処理システム1においては、バッジ画像が表示された状態でデータの送信を開始する操作(例えばスキャンの開始ボタンB1を押す操作)が行われることもある。その場合、操作受付部103は、データの送信を含む情報処理を開始する操作を受け付けた旨を警告表示部105に通知する。警告表示部105は、この通知を受け取った場合、すなわち、バッジ画像が表示されたままデータの送信操作が行われた場合、警告を表示する。
【0042】
図10は表示された警告の一例を表す。図10の例では、警告表示部105は、「規定に違反する可能性があるので処理を実行でません。」という警告を示す文字列を表示している。図10の例は、図7に表す操作画面で開始ボタンB1が押された場合に表示される警告であるものとする。その場合、警告表示部105は、検出された保護対象の情報である宛先の入力欄A3と、同じく検出された保護対象の情報である添付物の入力欄A4とを表示する。
【0043】
このように、警告表示部105は、バッジ画像が表示された状態でデータの送信を開始する操作が行われた場合、保護対象の情報を一覧で表示する。この操作は本発明の「特定の操作」の一例である。この時点では、警告表示部105は、処理の開始ボタンB3を操作不可の状態で表示し、処理のキャンセルボタンB4を操作可能な状態で表示している。
【0044】
そして、操作受付部103は、入力欄A3、入力欄A4への入力操作を、表示された保護対象の情報をなくす操作として受け付ける。警告表示部105は、ユーザの操作により入力欄A3、入力欄A4の両方に保護対象でない情報が入力されて、表示された保護対象の情報がなくなった場合、処理の開始ボタンB3を操作可能な状態で表示する。
【0045】
図11は開始ボタンB3が操作可能な状態になった操作画面の一例を表す。図11の例では、入力欄A3、入力欄A4に図9に示す宛先及び添付物が入力されている。この場合、警告表示部105は、「このパラメータであれば問題ありません。」という警告が解除されたことを示す文字列と、処理の開始ボタンB3及び処理のキャンセルボタンB4を操作可能な状態で表示している。
【0046】
ここでいう「パラメータ」とは、宛先及び添付物等の入力される情報のことである。情報処理部101は、キャンセルボタンB4を押す操作がされた場合は情報処理を実行せず、開始ボタンB3を押す操作がされた場合は情報処理を実行する。このように、本実施例では、情報処理部101が、保護対象の情報が含まれている間は開始ボタンB3を押す操作が受け付けられないので、その間はデータの送信を行わないようになっている。
【0047】
情報処理部101が送信したデータは、外部装置20のデータ受信部201によって受信される。データ受信部201は、受信したデータをデータ表示部202に供給する。データ表示部202は、供給されたデータ、すなわち、保護対象の情報を含まないデータを表示する。
【0048】
画像処理装置10は、上記の構成により、データ送信に伴うリスクを軽減するためのリスク軽減処理を行う。
図12はリスク軽減処理における動作手順の一例を表す。まず、画像処理装置10(操作画面表示部102)は、自装置が実行する情報処理に関する操作を受け付けるための操作画面を表示する(ステップS11)。
【0049】
次に、画像処理装置10(操作受付部103)は、表示された操作画面において、情報処理部101が実行する情報処理に関する操作を受け付ける(ステップS12)。図12の例では、データの送信を伴う情報処理に関する操作が受け付けられたものとする。続いて、画像処理装置10(保護対象検出部104)は、送信されるデータに保護対象の情報が含まれている場合に、その保護対象の情報を検出する処理を実行する(ステップS13)。
【0050】
次に、画像処理装置10は、ステップS13において保護対象の情報を検出したか否かを判断する(ステップS21)。画像処理装置10は、保護対象の情報が検出された(YES)と判断した場合、次に、データの送信操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS22)。画像処理装置10は、送信操作を受け付けていない(NO)と判断した場合は、ステップS12に戻って動作(入力操作の受け付け)を行う。
【0051】
画像処理装置10(警告表示部105)は、ステップS22において送信操作を受け付けた(YES)と判断した場合は、警告、保護対象の一覧、バッジ画像及び送信操作不可の表示を行う(ステップS23)。画像処理装置10は、この表示を行った状態で、ステップS12に戻って動作(入力操作の受け付け)を行う。
【0052】
画像処理装置10は、ステップS21において保護対象の情報が検出されなかった(NO)と判断した場合、データの送信操作を受け付け可能な操作画面を表示する(ステップS31)。次に、画像処理装置10(操作受付部103)は、ステップS31において表示された操作画面において、データの送信操作を受け付ける(ステップS32)。そして、画像処理装置10(情報処理部101)は、受け付けられた送信操作に基づき、データを送信する(ステップS33)。
【0053】
以上のとおり、本実施例では、保護対象の情報が含まれていることを示すバッジ画像が表示されたままデータの送信操作が行われた場合に警告が表示される。これにより、保護対象の情報を無制限でやり取りする場合に比べて、情報の保護のための規定に違反していることに気づきやすくなっている。
【0054】
また、本実施例では、送信するデータに保護対象の情報が含まれている間はデータの送信を行わないようになっている。これにより、保護対象の情報の送信という規定違反が防がれる。また、本実施例では、保護対象の情報の数を表すバッジ画像が表示される。これにより、バッジ画像の意味を理解しているユーザが、送信されるデータに保護対象の情報が含まれていることと、その保護対象の情報の数とを把握する。
【0055】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0056】
[2-1]保護対象の情報
実施例では、GDPRにおいて規定される個人情報が保護対象の情報であったが、これに限らない。例えば、会社の規定により定められた機密情報が保護対象の情報であってもよい。また、情報処理サービスの利用規定により転送不可を定められた情報が保護対象の情報であってもよい。また、文書又は書面の情報だけでなく、処理の設定情報が保護対象の情報であってもよい。
【0057】
[2-2]保護通知画像
実施例では、図6等に表すバッジ画像が保護対象画像として用いられたが、これに限らない。例えば、保護対象ではない情報と色、太さ又は書体等を変えたものを保護対象画像として用いられてもよい。
【0058】
[2-3]保護通知画像
実施例では、操作画面表示部102は、実施例では、保護対象の情報が検出された場合常に保護通知画像を表示したが、これに限らない。操作画面表示部102は、例えば、過去に警告を表示したデータが送信される場合には保護通知画像を表示しないようにしてもよい。
【0059】
操作画面表示部102は、例えば、送信されたデータ又はそのデータの情報(ファイル名又はファイルサイズ等)を保存しておく。そして、操作画面表示部102は、新たに送信されるデータが入力された場合にそのデータを保存した情報と比較して、同じデータである場合には保護通知画像を表示せず、違うデータである場合には保護通知画像を表示する。
【0060】
操作画面表示部102は、保護通知画像を表示しなかった場合は、送信操作を受け付け可能な操作画面を表示し、保護通知画像を表示した場合は、実施例と同様に、送信操作の受け付けが不可な操作画面を表示する。本変形例によれば、同じデータで何度も警告を受けることが防止される。
【0061】
[2-4]警告後の自動処理
情報処理部101は、は、実施例では、警告が表示された後、ユーザの操作がない限りデータ送信に関する処理(具体的にはデータ送信の実行又は中止)を行わなかったが、これに限らない。情報処理部101は、例えば、警告が表示された後、定められた時間操作がされない場合、データの送信に関する処理を自動的に実行してもよい。この時間は、処理の実行を待機する時間であり、以下では「待機時間」と言う。
【0062】
情報処理部101は、具体的には、データを送信する処理又はデータの送信を中止する処理をデータの送信に関する処理として実行する。データを送信する処理が実行される場合は、保護対象の情報をなくす操作に手間取るユーザがいた場合に、そのユーザが画像処理装置10を長い時間専有することを防ぎ、画像処理装置10が有効に利用されるようになる。
【0063】
データの送信を中止する処理とは、例えば、処理の開始ボタンが表示されている操作画面から処理の開始ボタンが表示されていない操作画面(メニュー画面等)に切り替える処理である。データを送信する処理が中止される場合も、ユーザが画像処理装置10を長い時間専有することを防ぎ、画像処理装置10が有効に利用されるようになる。なお、待機時間は予め定められていればよいが、その時間を変動させてもよい。
【0064】
例えば、情報処理部101は、自装置(=画像処理装置10)の位置に応じて異なる長さの時間を待機時間とする。情報処理部101は、自装置の位置と待機時間とを対応付けた待機時間テーブルを用いる。
図13は待機時間テーブルの一例を表す。図13の例では、「会社内」及び「会社外」という自装置の位置に「T1」及びT1より短い「T2」という待機時間が対応付けられている。
【0065】
本変形例では、画像処理装置10には、自装置が設置された際に設置場所の位置情報が入力されて保存されるものとする。情報処理部101は、操作画面表示部102により警告が表示された場合に、自装置に保存されている位置情報を読み出して、読み出した位置情報が示す自装置の位置が会社内及び会社外のどちらであるかを判断する。情報処理部101は、自装置の位置が会社内であれば待機時間をT1としてデータの送信に関する処理を実行し、自装置の位置が会社外であれば待機時間をT2としてデータの送信に関する処理を実行する。
【0066】
会社内と会社外とを比べると、会社外の方が社外の者と画像処理装置10を共有することになりやすい。警告が表示されると、保護対象の情報をなくすために時間を費やすことになり、画像処理装置10を専有する時間が長くなる。社内の者は自社の業務での使用なので専有時間が長くなっても我慢できるが、社外の者は自分に関係ないので専有時間が長くなると不満に思いやすい。
【0067】
そこで、本変形例では、上記のように自装置の位置が会社外である場合の待機時間を短くして、警告が表示されてからデータが送信されるまで又はデータ送信が中止されるまでの時間を短くし、待機時間が固定されている場合に比べて、画像処理装置10を長時間専有して他人に不満を与えることが抑制される。
【0068】
なお、情報処理部101は、現在の時間帯に応じて異なる長さの時間を待機時間とする。情報処理部101は、現在の時間帯と待機時間とを対応付けた待機時間テーブルを用いる。
図14は待機時間テーブルの別の一例を表す。図14の例では、「業務時間内」及び「業務時間外(残業時間)」という現在の時間帯に「T3」及びT3より長い「T4」という待機時間が対応付けられている。
【0069】
情報処理部101は、操作画面表示部102により警告が表示された場合に、自装置が備える時計機能から現在の時刻を読み出して、読み出した現在の時刻が業務時間内の時刻及び業務時間外の時刻のどちらであるかを判断する。情報処理部101は、現在の時刻が業務時間内の時刻であれば待機時間をT3としてデータの送信に関する処理を実行し、現在の時刻が業務時間外の時刻であれば待機時間をT4としてデータの送信に関する処理を実行する。
【0070】
業務時間内と業務時間外とを比べると、業務時間外の方が画像処理装置10のユーザが少なくなる。そこで、上記のように現在の時刻が業務時間外である場合の待機時間を長くして、警告が表示されてからデータが送信されるまで又はデータ送信が中止されるまでの時間を長くし、待機時間が固定されている場合に比べて、ユーザが余裕を持って警告への対処を行うことになる。
【0071】
[2-5]機能構成
情報処理システム1において実現される機能の構成は、図4等に表すものに限らない。例えば、実施例では画像処理装置10の操作画面表示部102が、情報処理に関する操作を受け付けるための操作画面を表示する動作と、警告、保護対象の一覧、バッジ画像及び送信操作不可の表示の動作とを行ったが、これらの動作を別々の機能が行ってもよい。
【0072】
また、例えば操作画面表示部102及び操作受付部103が行う動作を、1つの機能が行ってもよい。また、画像処理装置10が実現する機能を2以上の情報処理装置又はクラウドサービスで提供されるコンピュータリソースが実現してもよい。要するに、画像処理システム全体として図4等に表された機能が実現されていれば、各機能が行う動作の範囲及び各機能を実現する装置は自由に定められてよい。
【0073】
[2-6]プロセッサ
上記各実施例において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0074】
また上記各実施例におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施例において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0075】
[2-7]発明のカテゴリ
本発明は、画像処理装置及び外部装置等の情報処理装置の他、各情報処理装置を備える情報処理システム(情報処理システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、各情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等の通信回線を介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…情報処理システム、10…画像処理装置、20…外部装置、30…外部装置、101…情報処理部、102…操作画面表示部、103…操作受付部、104…保護対象検出部、105…警告表示部、201…データ受信部、202…データ表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14