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特許7528578支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法
<図1>
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図1
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図2
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図3A
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図3B
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図3C
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図4
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図5A
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図5B
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図5C
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図5D
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図5E
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図6A
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図6B
  • 特許-支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法 図7
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240730BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240730BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H05K1/14 G
H01L23/12 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020118167
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015382
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木津 貴志
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533848(JP,A)
【文献】特開2013-120771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/48
H01L 23/12―23/13
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と前記支持体の上方に剥離層を介して第2配線基板が載置された基板ユニットであって、
前記剥離層は、前記支持体の粗化された領域を有する面の上方に設けられており、
前記第2配線基板の第1の面には、少なくとも一つの半導体素子と接合可能な電極が設けられており、
前記第2配線基板の第2の面には、第1配線基板に接合可能な電極が設けられており、
前記支持体の粗化された領域は、前記剥離層が形成される面の全面である
ことを特徴とする支持体付き基板ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の支持体付き基板ユニットにおいて、
前記支持体の側面が粗化されている
ことを特徴とする支持体付き基板ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の支持体付き基板ユニットにおいて、
前記支持体の粗化された表面の算術平均粗さ(Ra)は、前記剥離層の膜厚よりも小さい
ことを特徴とする支持体付き基板ユニット。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の支持体付き基板ユニットを用いて製造される支持体が除去された基板ユニットであって、
前記支持体付き基板ユニットにおける前記第2配線基板の第2の面に、前記第1配線基板が接合され、前記支持体が除去されている
ことを特徴とする支持体が除去された基板ユニット。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の支持体付き基板ユニットを用いて製造される半導体装置であって、
前記支持体付き基板ユニットにおける前記第2配線基板の第1の面に、前記半導体素子が接合され、前記支持体が除去されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
支持体の上方に剥離層と、一方面には半導体素子、対向面には第1配線基板が実装される第2配線基板と、を備える支持体付き基板ユニットの製造方法において、
前記支持体の前記剥離層が形成される面に粗化処理を施す工程(A工程)と、
前記粗化処理を行った後、前記支持体の粗化された領域を有する面の上方に剥離層を形成する工程(B工程)と、
前記剥離層の上方に第1シード層を形成する工程(C工程)と、
前記第1シード層に第1レジストパターンを設けた後に電解メッキを用いて接合用電極を形成し、前記第1レジストパターンを除去する工程(D工程)と、
絶縁樹脂層を形成する工程(E工程)と、
前記絶縁樹脂層に開口部を形成する工程(F工程)と、
前記絶縁樹脂層及び前記開口部の上方に第2シード層を形成する工程(G工程)と、
前記第2シード層に第2レジストパターンを設けた後に、電解メッキを用いて導体層を形成する工程(H工程)と、
前記第2レジストパターンを除去した後に、前記E工程から前記H工程を所望の回数繰り返して多層化された第2配線基板を形成する工程(I工程)と、
前記第2配線基板の表面に最表面絶縁樹脂層を形成し、該最表面絶縁樹脂層に開口部を形成する工程(J工程)と、
前記最表面絶縁樹脂層の開口部に接合部を形成する工程(K工程)と、
を有し、
前記粗化処理は、前記剥離層が形成される面の全面に行う
支持体付き基板ユニットの製造方法。
【請求項7】
請求項に記載の支持体付き基板ユニットの製造方法において、
前記K工程の後に、前記第2配線基板を前記第1配線基板に接合し、剥離層を剥離することによって前記支持体を剥離する工程と(L工程)、
を有する支持体が除去された基板ユニットの製造方法。
【請求項8】
請求項に記載の支持体付き基板ユニットの製造方法において、
前記K工程の後に、前記第2配線基板に半導体素子を接合する工程(M工程)と、
前記剥離層を剥離することによって前記支持体を剥離する工程(N工程)と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置、および、支持体付き基板ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体装置の高速、高集積化が進む中で、FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)基板に対しても、半導体素子との接合端子の狭ピッチ化、基板内の配線の微細化が求められている。一方、FC-BGA基板とマザーボードとの接合は、従来とほぼ変わらないピッチの接合端子での接合が要求されている。
このような半導体素子との接合端子の狭ピッチ化、FC-BGA基板内の配線の微細化に対応するため、いくつかの対応策が検討されている。
その一つは、シリコン基板上に微細な配線を形成した半導体素子接合用の基板(シリコンインターポーザ)を作成し、これをFC-BGA基板に接合する方式である。
また、シリコンインターポーザを用いずに、FC-BGA基板の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)等で平坦化し、FC-BGA基板上に微細配線を形成する方式が特許文献1に開示されている。
さらに、支持体の上に微細な配線層を形成し、これをFC-BGA基板に搭載した後、支持体を剥離することで狭ピッチな配線基板を形成する方式が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-225671号公報
【文献】国際公開第2018/047861号
【文献】特開2007-242888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコンインターポーザは、シリコンウェハを利用して、半導体製造における前工程用の設備を用いて製作されている。シリコンウェハは形状、サイズに制限があり、1枚のウェハから製作できるインターポーザの数が少なく、製造設備も高価であるため、インターポーザも高価となる。また、シリコンウェハが半導体であることから、伝送特性も劣化するという問題がある。
【0005】
また、FC-BGA基板の表面の平坦化を行い、その上に微細配線層を形成する方式においては、シリコンインターポーザに見られる伝送特性劣化は小さいが、FC-BGA基板自体の製造歩留まりや、FC-BGA基板上に形成する微細配線の形成の難易度が高いため、微細配線形成の製造歩留まりが課題となっている。さらにFC-BGA基板の反り、歪みに起因した半導体素子の実装における課題も存在する。
【0006】
一方、支持体の上に微細な配線層を形成し、これをFC-BGA基板に搭載した後、あるいは、支持体の上に微細な配線層を形成し、半導体素子と一体化した後、支持体を剥離する方式においては、次のような問題があった。
支持体の上面に剥離層を設けた後に、その上部に微細な配線層を形成するため、支持体及び剥離層には配線層を形成する際の熱履歴や、蓄積される応力に対する耐性が必要となる。特に上方に形成される各種の層を支えるため、支持体には剛直性が求められるが、その結果、支持体と剥離層の界面において応力が集中しやすく、支持体と剥離層の界面において剥がれが生じやすいという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、配線層を形成する際の熱履歴や、蓄積される応力に対しても耐性があり、支持体と剥離層の界面の密着が良好である支持体付き基板ユニット、基板ユニット、半導体装置および支持体付き基板ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の代表的な支持体付き基板ユニットの一つは、
支持体と
前記支持体の上方に剥離層を介して第2配線基板が載置された基板ユニットであって、
前記剥離層は、前記支持体の粗化された領域を有する面の上方に設けられており、
前記第2配線基板の第1の面には、少なくとも一つの半導体素子と接合可能な電極が設けられており、
前記第2配線基板の第2の面には、第1配線基板に接合可能な電極が設けられている。
【0009】
また、本発明の代表的な支持体が除去された基板ユニットの一つは、
上述した支持体付き基板ユニットにおける前記第2配線基板の第2の面に、前記第1配線基板が接合され、前記支持体が除去されている。
【0010】
さらに、本発明の代表的な半導体装置の一つは、
上述した支持体付き基板ユニットにおける前記第2配線基板の第1の面に、前記半導体素子が接合され、前記支持体が除去されている。
【0011】
そして、本発明の代表的な支持体付き基板ユニットの製造方法の一つは、
支持体の前記剥離層が形成される面に粗化処理を施す工程(A工程)と、
前記粗化処理を行った後、前記支持体の粗化された領域を有する面の上方に剥離層を形成する工程(B工程)と、
前記剥離層の上方に第1シード層を形成する工程(C工程)と、
前記シード層に第1レジストパターンを設けた後に電解メッキを用いて接合用電極を形成し、前記第1レジストパターンを除去する工程(D工程)と、
絶縁樹脂層を形成する工程(E工程)と、
前記絶縁樹脂層に開口部を形成する工程(F工程)と、
前記絶縁樹脂層及び前記開口部の上方に第2シード層を形成する工程(G工程)と、
前記第2シード層に第2レジストパターン設けた後に、電解メッキを用いて導体層を形成する工程(H工程)と、
前記第2レジストパターンを除去した後に、前記E工程から前記H工程を所望の回数繰り返して多層化された第2配線基板を形成する工程(I工程)と、
前記第2配線基板の表面に最表面絶縁樹脂層を形成し、該最表面絶縁樹脂層に開口部を形成する工程(J工程)と、
前記表面絶縁樹脂層の開口部に接合部を形成する工程(K工程)とを有する。
【0012】
さらに、本発明の代表的な支持体が除去された基板ユニットの製造方法の一つは、
前述のK工程の後に、前記第2配線基板を前記第1基板に接合し、剥離層を剥離することによって前記支持体を剥離する工程と(L工程)を有する。
【0013】
さらに、本発明の代表的な半導体装置の製造方法の一つは、
前述のK工程の後に、前記第2配線基板に半導体素子を接合する工程(M工程)と、
前記剥離層を剥離することによって前記支持体を剥離する工程(N工程)を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持体の上に剥離層を介して配線基板を形成し、配線基板の形成後にこれを支持体から剥離する方式において、剥離層を支持体の粗化した領域上に形成したため、配線基板の剥離を円滑に行うことが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の発明の実施形態において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る第1配線基板に第2配線基板を介して半導体素子を実装した半導体装置の一例を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るインターポーザが支持体上に形成された支持体付き基板ユニットの構成を示す断面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る支持体付き基板ユニットの製造工程の一例を示す断面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る支持体付き基板ユニットの製造工程の一例を示す断面図である。
図3C】本発明の一実施形態に係る支持体付き基板ユニットの製造工程の一例を示す断面図である。
図4】支持体の粗化処理を行う領域の例を示す平面図である。
図5A】本発明の一実施形態に係るFC-BGA基板とインターポーザを接合し、支持体が除去された基板ユニットの製造方法の一例を示す断面図である。
図5B】本発明の一実施形態に係るFC-BGA基板とインターポーザを接合し、支持体が除去された基板ユニットの製造方法の一例を示す断面図である。
図5C】本発明の一実施形態に係るFC-BGA基板とインターポーザを接合し、支持体が除去された基板ユニットの製造方法の一例を示す断面図である。
図5D】本発明の一実施形態に係るFC-BGA基板とインターポーザを接合し、支持体が除去された基板ユニットの製造方法の一例を示す断面図である。
図5E】本発明の一実施形態に係るFC-BGA基板とインターポーザを接合し、支持体が除去された基板ユニットの製造方法の一例を示す断面図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る半導体措置の製造方法の一例を示す断面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る半導体措置の製造方法の一例を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る半導体素子を実装した半導体装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
なお、本開示において「支持体」とは、面を有する物体を意味し、「支持体の周辺部」とは、支持体の面における周辺部を意味する。
また、「上面」とは面や層の法線方向の表面を意味し、「側面」とは、上面ではない領域、つまり面や層の厚みの部分を意味する。さらに、上面の一部及び側面を合わせて「端部」ということがある。
また、「上方」とは、面又は層を水平に載置した場合の垂直上方の方向を意味する。
また、「平面形状」とは、上方から面又は層を視認した場合の形状を意味する。
さらに、「中心部」とは、面又は層の周辺部ではない中心部を意味する。そして、「中心方向」とは、面又は層の周辺部から面又は層の平面形状における中心に向かう方向を意味する。
【0019】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態に係る第1配線基板1に第2配線基板3を介して半導体素子4を実装した半導体装置24の一例を示す断面図である。本実施形態においては、上記第1配線基板1はFC-BGA基板であり、上記第2配線基板3はインターポーザである。
【0020】
本発明の一実施形態に係る半導体装置24は、第1配線基板(以下、「FC-BGA基板」と表記することがある)1の一方の面に、樹脂と配線とが積層されてなるビルドアップ配線層のみで形成された微細配線層を備えた薄い第2配線基板(以下、「インターポーザ」と表記することがある。)3の第2の表面における接合用電極が、はんだバンプ、銅ポスト(銅ピラー)若しくは、金バンプなどで第1配線基板1と接合されている(インターポーザ‐FC-BGA接合部18)。また、第1配線基板1と第2配線基板3との間隙は絶縁性の接着部材としてのアンダーフィル2で埋め込まれている。さらに第2配線基板3の第1の表面(FC-BGA基板1とは逆側の面)には半導体素子4が銅ピラーやはんだで接合(半導体素子-インターポーザ接合部20)され、半導体素子4と第2配線基板3との間隙がアンダーフィル21で埋め込まれている。
【0021】
第2配線基板(インターポーザ)3の配線幅は、一例としてLine/Space=1/1~5/5μmであり、第1配線基板(FC-BGA基板)1の線幅は、一例としてLine/Space=8/8~25/25μmである。第2配線基板(インターポーザ)3の配線幅は、少なくとも一つ以上搭載されている半導体素子4の信号線と接合可能ではあれば、適宜配線幅を変更してもよい。
【0022】
また、第2配線基板(インターポーザ)3に使用される絶縁樹脂層11(図3B参照)は感光性樹脂であり、感光性のエポキシ系樹脂、ポリイミド、ポリアミド系が少なくとも一つ以上が使用されており、所望の配線幅を得ることが可能であれば、配線形成方法は、Damascene:ダマシン、SAP: Semi Additive Process等の方式から適宜プロセスを選択してよい。
【0023】
アンダーフィル2は、FC-BGA基板1とインターポーザ3とを固定するため及びインターポーザ‐FC-BGA接合部18を封止するために用いられる接着材料である。アンダーフィル2としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が用いられる。アンダーフィル2は、液状の樹脂を充填させることで形成されてもよい。
【0024】
アンダーフィル21は半導体素子4とインターポーザ3とを固定するため及び接合部20を封止するために用いられる接着材料であり、アンダーフィル2と同様の材料で構成される。またこれら毛細管現象を利用して接合後に液状の樹脂を充填させるアンダーフィル2及び/またはアンダーフィル21の代わりに、接合前にシート状のフィルムを予め配置し、接合時に空間を充填する異方性導電フィルム(ACF)または、フィルム状接合材料(NCF)や、接合前に液状の樹脂を予め配置し接合時に空間を充填する非導電ペースト(NCP)などを用いてもよい。
【0025】
インターポーザ3の側面まで封止する封止樹脂5は、アンダーフィル2、21とは異なる材料であり、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が使用され、コンプレッションモールド、トランスファーモールド等によって形成される。
図1ではインターポーザ3の側面まで封止しているが、半導体素子4が封止されていれば適宜設計変更可能である。例えば、半導体素子4の側面は封止されているが、インターポーザ3の側面は封止されていない形態としてもよい。
【0026】
インターポーザ3と半導体素子4との接合部20の個々の間隔は、インターポーザ‐FC-BGA接合部18の個々の間隔よりも狭いことが一般的である。そのため、インターポーザ3において、半導体素子4を接合する側の方が、FC-BGA基板1と接合する側よりも微細な配線が必要となる。
例えば、現在のハイバンドメモリ(HBM)の使用に対応するためには、インターポーザ3では配線幅を1μm以上5μm以下程度にする必要がある。例えば、配線幅が2μm、配線高さ2μmの場合で、配線間の絶縁層の膜厚を2μmとすると、配線も含めた1層の厚さは4μmとなり、この厚さで2層の配線層を形成し、FC-BGA基板1、及び、半導体素子4との接合部の電極厚を10μmとすると、総厚28μm程度のインターポーザ3となる。
【0027】
前記の通り、インターポーザ3の厚みは総厚28μm程度と薄く、そのままの状態ではFC-BGA基板1との接合が困難であるため、図2に示すように、支持体6を用いて剛直性を担保することが有効である。また、2μm程度の幅と高さを有する配線の形成のためにも、変形が少ない剛直な支持体6が有利である。上記理由により、図2に示すように、インターポーザ3は、剛直な支持体6上に剥離層7と第1シード層8を介して形成される。なお、支持体6上には剥離層7、第1シード層8以外の層を設けてもよい。
【0028】
次に図3Aから図3Cを用いて、本発明の第一の実施形態に係る支持体6上へのインターポーザ(第2配線基板)3の製造工程の一例を説明する。
【0029】
まず、図3A(a)に示すように、支持体6を準備する。支持体6は、剥離層7にUV光などの光によって剥離可能となる材料を用いる場合、透光性を有する必要があり、例えばガラスを用いることができる。ガラスは剛直性に優れており、インターポーザ3の微細なパターン形成に適している。また、ガラスはCTE(coefficient of thermal expansion、熱膨張率)が小さく歪みにくいことから、パターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。
【0030】
支持体6としてガラスを用いる場合、ガラスの厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、例えば0.7mm以上、好ましくは1.1mm以上の厚みである。また、ガラスのCTEは3ppm以上15ppm以下が好ましく、FC-BGA基板1、半導体素子4のCTEの観点から9ppm程度がより好ましい。
一方、剥離層7に前記熱によって発泡する樹脂を用いた場合は、加熱する事で支持体6を取り去る。この場合、支持体6には、ガラスの他、歪みの少ない例えばメタルやセラミックスなどを用いることができる。本発明の第一の実施形態では支持体6としてガラスを用いる例で説明する。
【0031】
次いで、図3A(b)に示すように、支持体6の表面を粗化する。支持体6表面の粗化としては、サンドブラストや、ウェットブラストのようなアルミナなどの微粒子を衝突させて表面を加工する方法や、エッチングなどによる薬品処理による方法を用いることができる。微粒子のサイズや、圧力によって粗度を制御しやすいブラスト処理が好ましく、特に、支持体6へのダメージが少ないウェットブラストが好ましい。
【0032】
また、表面粗化は工程が簡便であることから支持体6の片面のみに処理することが好ましい。特に、剥離層7にUV光などの光によって剥離可能となる材料を用いる場合、支持体6は光を透過する必要があるため、剥離層7を形成する支持体6の一方の表面のみを粗化処理することが透過率を保つ上で好ましい。また、粗化後の表面粗さは上部に形成する剥離層7の厚みとの関係によって規定される。アンカー効果による密着性を高めるためには表面粗さは大きい方が好ましいが、支持体6の表面の算術平均粗さ:Raは、剥離層7の厚み以下であることが好ましい。
【0033】
支持体の片面に行う表面粗化は、片面の全面に処理を行ってもよいが、図4(a)、(b)に示すように、支持体の面の周辺領域のみに処理を行ってもよい。また、図4(c)、(d)に示すように、支持体の面内に略均一に設けられた領域に処理を行ってもよい。
このように、表面粗化の処理領域を限定することによって、表面粗化の処理工数を減じることができる。さらに、粗化処理の領域を調整することによって、粗化処理による剥離層のアンカー効果の発生する領域を調整することが可能となる。このため、剥離層の上方に形成される第2配線基板の構造的特性を踏まえたアンカー効果の発生を制御することも可能となる。
さらに、支持体の周辺部における剥離層のアンカー効果をさらに高めるためには、支持体の側面に粗化処理を行ってもよい。
【0034】
次いで、図3A(c)に示すように、支持体6の粗化した一方の面に、後の工程で支持体6を剥離するために必要な剥離層7を形成する。
【0035】
剥離層7は、例えば、UV光などの光を吸収して発熱、もしくは、変質によって剥離可能となる樹脂でもよく、熱によって発泡により剥離可能となる樹脂でもよい。UV光などの光、例えばレーザー光によって剥離可能となる樹脂を用いる場合、剥離層7を設けた側とは反対側の面から支持体6にレーザー光を照射して、支持体6を剥離することができる。
【0036】
剥離層7は、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、及び、アクリル樹脂などの有機樹脂や、アモルファスシリコン、ガリウムナイトライド、金属酸化物層などの無機層から選ぶことが出来る。さらに剥離層7は光分解促進剤や光吸収剤、増感剤、フィラー等の添加剤を含有してもよい。さらに剥離層7は複数層で構成されていてもよく、例えば支持体6上に形成される多層配線層の保護を目的として、剥離層7上にさらに保護層を設けてもよい。さらに剥離層7と多層配線層との間にレーザー光反射層や金属層を設けてもよく、その構成は本実施形態により限定されない。
【0037】
剥離層7の形成方法としては、液状の有機樹脂を用いる場合は、スリットコート、カーテンコート、ダイコート、スプレーコート、静電塗布法、インクジェットコート、グラビアコート、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、スピンコート、ドクターコートより選定できる。フィルム状の有機樹脂で用いる場合は、ラミネート、真空ラミネート、真空プレスなどが適用できる。また、無機層を用いる場合は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーション法、CVD法などが適用できる。
【0038】
これら剥離層7の厚みは有機樹脂の場合は100nm以上100μm以下であることが望ましい。100nm以下である場合、有機樹脂の形成が困難である。また、100μm以上である場合、後で取り除く層であることを考慮すると生産性に欠ける。
また、無機層を用いる場合の厚みは、10nm以上1μm以下であることが望ましい。10nm以下である場合、連続膜として成り立たず層としての機能を発現させることが難しい。また、10μm以上の場合、成膜時間がかかりすぎて量産性に欠ける。
本発明の一実施形態では、剥離層7としてUVレーザー光を吸収して剥離可能となる樹脂を用い、支持体6にはガラスを用いる。
【0039】
次いで、図3A(d)以降の図面を用いて、剥離層の上面に第2配線基板を形成する工程を説明する。
まず、真空中で、剥離層7上に第1シード層8を形成する。第1シード層8は配線形成において、電解めっきの給電層として作用する。第1シード層8は、例えば、スパッタ法、またはCVD法などにより形成され、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu、Cu合金などを単体でもしくは複数組み合わせて適用することができる。
本発明では、電気特性、製造の容易性の観点およびコスト面を考慮して、チタン層、続いて銅層を順次スパッタリング法で形成する。チタンと銅層の合計の膜厚は、電解めっきの給電層として1μm以下とするのが好ましい。本発明の一実施形態ではTi:50nm、Cu:300nmを形成した。
【0040】
次に図3A(e)に示すように第1シード層8上に第1レジストパターン9を形成する。第1レジストパターン9は公知のフォトリソグラフィー法によって形成が可能である。
【0041】
その後、図3A(f)のように、電解めっきにより導体層(電極)10を形成した後、第1レジストパターン9を除去する。導体層10は半導体素子4と接合可能な電極(接合用電極)となる。この場合、接合用電極の厚みは5μm以上であることが好ましい。
このようにして、第2配線基板の第1の面には、少なくとも一つの半導体素子と接合可能な電極が設けられる。
なお、電解めっき法は電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等が挙げられるが、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましい。電解銅めっきの厚みは、回路の接合信頼性、及び、製造コストの観点から、1μm以上30μm以下であることが望ましい。第1レジストパターン9は例えばアルカリ系溶剤などの公知の剥離液によって除去が可能である。
【0042】
次に、図3B(g)に示すように絶縁樹脂層11を形成する。絶縁樹脂層11は導体層10が絶縁樹脂層11の層内に埋め込まれるように形成する。本実施形態では、絶縁樹脂層11として例えば、感光性のエポキシ系樹脂をスピンコート法により形成する。感光性のエポキシ樹脂は比較的低温で硬化することができ、形成後の硬化による収縮が少ないため、その後の微細パターン形成に優れる。
絶縁樹脂層11としては、感光性のエポキシ系樹脂を用いてスピンコート法により形成する他、絶縁樹脂フィルムを真空ラミネータで圧縮キュアを行って形成することも可能であり、この場合は平坦性の良い絶縁膜を形成することができる。その他、例えばポリイミドを絶縁樹脂として用いることも可能である。
【0043】
次に、図3B(h)に示すように、フォトリソグラフィーにより、絶縁樹脂層11に開口部を形成する。該開口部は、導体層10の一部を露出するように形成する。該開口部に対して、現像時の残渣除去を目的として、プラズマ処理を行ってもよい。
【0044】
次に、図3B(i)に示すように、該絶縁樹脂層11の開口部により露出した導体層10上及び上記絶縁樹脂層11上の少なくともその上層に導体層14が形成される領域に第2シード層12を設ける。第2シード層12の構成については前述した第1シード層8と同様で、適宜構成、厚みを変更可能である。本発明の一実施形態ではTi:50nm、Cu:300nmをスパッタリング法で形成する。
【0045】
次に、図3B(j)に示すように、第2シード層12上に第2レジストパターン13を形成し、その開口部に電解めっきにより導体層(配線層)14を形成する。導体層14は、インターポーザ3の内部の配線層となる。本発明の一実施形態では導体層14を銅により形成した。その後、図3B(k)に示すように第2レジストパターン13を除去する。その後、不要な第2シード層12をエッチング除去する。
【0046】
次に、図3B(g)から図3B(k)の工程を繰り返し、図3B(l)に示すような、導体層(配線層)14が多層化された第2配線基板を得る。ここで、最表面に形成される導体層(第2電極)15は、FC-BGA基板1との接合用電極である。
この場合、接合用電極の厚みは5μm以上であることが好ましい。
このようにして、第2配線基板の第2の面には、第1配線基板(FC-BGA基板)1と接合可能な電極が設けられることとなる。
【0047】
次に、図3C(m)に示すように、インターポーザ3に最表面絶縁樹脂層16を形成し、該最表面絶縁樹脂層16には、フォトリソグラフィーにより、導体層15の少なくとも一部を露出させる開口部を形成する。本発明の実施形態では、感光性エポキシ樹脂を使用して最表面絶縁樹脂層16を形成する。なお、最表面絶縁樹脂層16は絶縁樹脂層11と同一材料でも構わない。
【0048】
次に、図3C(n)に示すように導体層15の表面の酸化防止とはんだバンプの濡れ性をよくするため、表面処理層17を設けてもよい。本発明の実施形態では、表面処理層17として無電解Ni/Pd/Auめっきを成膜する。なお、表面処理層17には、OSP(Organic Soiderability Preservative 水溶性プレフラックスによる表面処理)膜を形成してもよい。また、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどから適宜用途に応じて選択しても良い。
【0049】
次に、図3C(o)に示すように、表面処理層17上に、はんだ材料を搭載した後、一度溶融冷却して固着させることで、はんだバンプ等からなるインターポーザ3側の接合部18aを得る。これにより、支持体6上に形成されたインターポーザ(第2配線基板)3である支持体付き基板ユニット22が完成する。
【0050】
続いて、図5Aから図5Eを用いて、支持体6上に形成されたインターポーザ(第2配線基板)3とFC-BGA基板(第1配線基板)1の第一の実施形態に係る接合工程の一例を説明する。
【0051】
図5Aに示すように、インターポーザ3側の接合部18aに合わせてはんだバンプ等からなるFC-BGA基板1側の接合部18bを設計し、製造したFC-BGA基板1に対して、支持体6上に形成されたインターポーザ3を配置し、図5(b)に示すように、支持体6上に形成されたインターポーザ3とFC-BGA基板1を接合した後、アンダーフィル2を充填し、インターポーザ3とFC-BGA基板1の固定及び接合部の封止を行う。
【0052】
次に図5Cに示すように、支持体6を剥離する。剥離層7は、UVのレーザー光19で照射して剥離する。支持体6の背面より、すなわち、支持体6のFC-BGA基板1とは逆側の面からレーザー光19を支持体6との界面に形成された剥離層7に照射し剥離可能な状態とすることで、図5Dに示すように支持体6を取り外すことが可能となる。
【0053】
次に、第1シード層8を除去し、図5Eに示すような基板を得ることができる。本発明の実施形態では、第1シード層8は、チタンと銅を用いており、それぞれアルカリ系のエッチング剤と、酸系のエッチング剤にて溶解除去することができる。このようにして、インターポーザ(第2配線基板)3とFC-BGA基板(第1配線基板)1が接合される。
【0054】
この後、表面に露出した導体層10上に、酸化防止とはんだバンプの濡れ性をよくするため、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。以上により支持体が除去された基板ユニット23が完成する。
【0055】
この後、半導体素子4を支持体が除去された基板ユニット23に接合し、アンダーフィル21を充填し、半導体素子4とインターポーザ3の固定及び接合部の封止を行い、封止樹脂5によって半導体素子4を封止することで半導体装置が完成する。
【0056】
<第二の実施形態>
次に、第二の実施形態に係るFC-BGA基板1にインターポーザ3と半導体素子4を実装した半導体装置の製造方法について説明する。
第二の実施形態に係る支持体6上のインターポーザ3の製造方法と第一の実施形態に係る支持体6上のインターポーザ3の製造方法とは類似しているが、第一の実施形態においては、インターポーザ3を支持体6から剥離し、FC-BGA基板1に接合させたのちに半導体素子4を接合させているのに対して、第二の実施形態においては、支持体6上で形成されるインターポーザ3に半導体素子4を接合させた後に、インターポーザ3と半導体素子4を支持体6から剥離し、その後にインターポーザ3と半導体素子4をFC-BGA基板1に接合させている点で相違している。
【0057】
このため、第一の実施形態におけるインターポーザ3は、支持体6と反対側の面が第2配線基板の第2の面となり、この第2の面にFC-BGA基板1と接合するための電極が設けられ、支持体6側の面が、第2配線基板の第1の面となり、この面に半導体素子4と接合するための電極が設けられている。しかし、第二の実施形態におけるインターポーザ3は、支持体と反対側の面が、第2配線基板の第1の面になり、この面に半導体素子4と接合するための電極が設けられ、支持体側の面が、第2配線基板の第2の面となり、この面にFC-BGA基板1と接合するための電極が設けられている。
【0058】
以下、図6Aから図6Bを用いて、本発明の第二の実施形態に係る半導体装置25(図7参照)の製造工程の一例を説明する。
図6A(a)に示すように、第2の配線基板における支持体6と反対側の面に、半導体素子4が銅ピラーやはんだでインターポーザ3と接合(半導体素子-インターポーザ接合部20)されている。
その後、図6A(b)に示すように、半導体素子-インターポーザ接合部20の付近にアンダーフィル21を充填し、半導体素子4とインターポーザ3固定および接合部20の封止を行う。
【0059】
次に図6(c)に示すように、半導体素子4を封止する封止樹脂5を形成する。封止樹脂5は、アンダーフィル2、21とは異なる材料であり、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が使用され、コンプレッションモールド、トランスファーモールド等によって形成される。
【0060】
次に支持体6を剥離する。図6B(d)に示すように、剥離層7にUVのレーザー光19を照射して、半導体素子が搭載されたインターポーザ3を支持体6から剥離する。支持体6の背面から、すなわち、支持体6の半導体素子4とは逆側の面からレーザー光19を支持体6との界面に形成された剥離層7に照射し剥離可能な状態とすることで、図6(e)に示すように支持体6を取り外すことが可能となる。
【0061】
次に、第1シード層8を除去し、図7に示すような半導体装置を得ることができる。本発明の実施形態では、第1シード層8は、チタンと銅を用いており、それぞれアルカリ系のエッチング剤と、酸系のエッチング剤にて溶解除去することができる。このようにして、インターポーザ(第2配線基板)3と半導体素子4が接合された半導体装置25を得る。
【0062】
この後、表面に露出した導体層10上に、酸化防止とはんだバンプの濡れ性をよくするため、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。以上により半導体装置25が完成する。
【0063】
この後、半導体装置25をFC-BGA基板(第1配線基板)1に接合し、アンダーフィル2を充填し、半導体装置25をFC-BGA基板1の固定及び接合部の封止を行いFC-BGA基板と一体となった半導体装置が完成する。
【0064】
<比較実験>
表1に、本実施形態における効果確認として、支持体6に施す粗化の程度を変更した比較評価結果を示す。支持体6と剥離層7との密着の評価として、電解銅めっき後の外観の確認を行った。また、評価項目として支持体6の除去の容易性について比較を行った結果を表1に示す。
【0065】
<評価用基板作製>
支持体6として、ガラス基板(1.1mm厚)を使用した。実施例1では、支持体6の表裏両面の全面にウェットブラスト処理を行うことで、表面を粗化した。一方、実施例2~4では、剥離層7を形成する一方面の全面にのみウェットブラスト処理を行い、一方面のみ表面を粗化した。また、実施例4では、ウェットブラスト処理を緩和するべく、処理時間を短くしている。比較例1、および、比較例2は、支持体6のいずれの面にも粗化を行わないものである。
なお、それぞれの支持体6の表面については、光学式表面形状測定機(走査型白色干渉計)で算術表面粗さ(Ra)を測定している。
【0066】
剥離層7の形成については、実施例1、実施例2、および、比較例1の剥離層7には、Light-To-Heat-Conversion(LTHC:住友スリーエム株式会社製)用い、所望の膜厚となるように調整し、スピンコートで剥離層を形成した。実施例3、実施例4、および、比較例2の剥離層7には、アモルファスシリコンを用い、所望の膜厚となるようにCVD法で剥離層を形成した。
【0067】
剥離層の上面には、第1シード層8として、Ti:50nm、Cu:300nmをスパッタリング法で形成し、その上部に電解銅めっきを20μm厚で形成した。電解銅めっきを形成後に、密着の評価として外観を確認したところ、比較例1、および、比較例2では支持体6と剥離層7の界面において剥れが発生した。
【0068】
次いで、剥がれが発生していない実施例1~4について、支持体6の除去を行った。具体的には、支持体6の剥離層7が形成されていない面側より、剥離層7がLTHC層の場合は波長1064nmのYAGレーザー、剥離層7がアモルファスシリコン層の場合は波長355nmの固体UVレーザーを照射し、支持体6を剥離した。実施例1~4において、支持体6の除去は可能であった。実施例1、および、実施例3については、レーザー照射が一度では剥離可能な状態とはならず、複数回のレーザー照射により剥離可能な状態となり支持体6の除去が可能となった。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例1~4において、密着の向上について考察する。実施例1~4は支持体6表面を粗化しているため、粗化処理を行わない比較例1、および、比較例2よりも算術平均粗さは大きい。表面が粗い状態であると、微細な凹凸に剥離層7が入っていくため、および、表面積が増大するため相互作用が強くなる、いわゆるアンカー効果によって密着が向上したと考えられる。
【0071】
実施例1、および、実施例3において、剥離可能な状態となるために複数回のレーザー照射が必要となったことについて考察する。実施例1では支持体6の表裏面を粗化しているため、支持体6の裏面である背面より入射したレーザー光19が、支持体6の背面の表面で散乱する。そのため、剥離層7まで到達するレーザー光19エネルギーが減少し、複数回のレーザー照射が必要になったと考えられる。また、実施例3では、剥離層7の形成厚みに対して、支持体6の表面の算術平均粗さが大きいため、剥離層7を均一に形成することが困難となる。そのため、剥離層7が支持体6の表面全てを被覆していないか、膜厚が非常に薄い領域ができてしまい、過度にレーザー光19を照射する必要が生じ、複数回のレーザー照射が必要になってと考えられる。よって、支持体6の剥離層7を形成する一方面のみを粗化することが好ましく、また、その算術平均粗さは剥離層7の形成厚み以下とすることが好ましい。
【0072】
上述の実施形態は一例であって、その他、具体的な細部構造などについては適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1 FC-BGA基板(第1配線基板)
2、21 アンダーフィル
3 インターポーザ(第2配線基板)
4 半導体素子
5 封止樹脂
6 支持体
7 剥離層
8 第1シード層
9 第1レジストパターン
12 第2シード層
13 第2レジストパターン
10、14、15 導体層
11 絶縁樹脂層
16 最表面絶縁樹脂層
17 表面処理層
18 インターポーザ-FC-BGA接合部
18a インターポーザ側の接合部
18b FC-BGA基板側の接合部
19 レーザー光
20 半導体素子-インターポーザ接合部
22 支持体付き基板ユニット
23 基板ユニット
24、25 半導体装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7