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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04842 20220101AFI20240730BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240730BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240730BHJP
【FI】
G06F3/04842
G06F3/0481
G06F3/0488
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020119887
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016905
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰夫
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-093053(JP,A)
【文献】特開2018-027667(JP,A)
【文献】特開2018-072975(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示し、
上層の表示領域が操作された場合に、その操作位置の座標情報を記憶し、前記上層の表示領域内に表示した前記実行釦が操作された場合に、記憶している座標情報において操作が行われたものとして下層の表示領域の操作釦に対して操作内容を実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を徐々に出現させて表示する際に、当該上層の表示領域が出現途中に利用者の操作を受け付けた場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記上層の表示領域を、時間経過とともに徐々に面積が広くなるように表示させる請求項記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記上層の表示領域が、利用者に通知を行うための通知画面であり、利用者の操作を受け付けても他の表示画面に遷移するような機能を備えていない表示領域である請求項1からのいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記上層の表示領域に対して行われた操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に対して実行したことにより、他の表示領域をさらに表示する場合、当該他の表示領域を前記上層の表示領域とは重ならない位置に表示する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示し、
前記上層の表示領域が出現途中に操作された回数と、前記実行釦が操作された回数とに基づいて、前記上層の表示領域が出現途中に操作された場合、前記実行釦を前記上層の表示領域に表示することなく、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行する、
情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記実行釦が操作された回数が、前記上層の表示領域が出現途中に操作された回数の半分以上となった場合、その後前記上層の表示領域が出現途中に操作された場合でも、前記実行釦を前記上層の表示領域に表示することなく、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行する請求項記載の情報処理装置。
【請求項8】
利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させるステップと、
前記上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示するステップと、
上層の表示領域が操作された場合に、その操作位置の座標情報を記憶し、前記上層の表示領域内に表示した前記実行釦が操作された場合に、記憶している座標情報において操作が行われたものとして下層の表示領域の操作釦に対して操作内容を実行するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を徐々に出現させて表示させるステップと、
当該上層の表示領域が出現途中に利用者の操作を受け付けた場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示するステップと、
前記上層の表示領域が出現途中に操作された回数と、前記実行釦が操作された回数とに基づいて、前記上層の表示領域が出現途中に操作された場合、前記実行釦を前記上層の表示領域に表示することなく、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のウィンドウが重なり合っていることにより、入力対象ウィンドウが他のウィンドウと重なって表示されている場合、入力対象ウィンドウまたは他のウィンドウを透明化して、入力対象ウィンドウに対する入力および操作が可能な状態に設定するようにした端末装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、第1のウィンドウの上面に第2のウィンドウが表示される方式の情報処理装置において、第1のウィンドウが入力中であるとき、第1のウィンドウ中のカーソル位置と第2のウィンドウのとの距離が近い場合、第2のウィンドウを移動させることにより、第1のウィンドウへの入力操作を簡単に行うことができるようにした情報処理装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、複数のウィンドウをタッチパネル上に重ねて表示する際に、ユーザがタッチパネルを押圧した場合、上層のウィンドウから順に透明化して下層のウィンドウが表示されるようにした情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-249782号公報
【文献】特開2002-229704号公報
【文献】特開2018-169847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、利用者が誤って上層の表示領域を操作した場合に、その操作を下層の表示領域の操作釦に対して実行させることが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[情報処理装置]
請求項1に係る本発明は、メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサが、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示し、
上層の表示領域が操作された場合に、その操作位置の座標情報を記憶し、前記上層の表示領域内に表示した前記実行釦が操作された場合に、記憶している座標情報において操作が行われたものとして下層の表示領域の操作釦に対して操作内容を実行する情報処理装置である。
【0009】
請求項に係る本発明は、前記プロセッサが、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を徐々に出現させて表示する際に、当該上層の表示領域が出現途中に利用者の操作を受け付けた場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示する情報処理装置である。
【0010】
請求項に係る本発明は、前記プロセッサが、前記上層の表示領域を、時間経過とともに徐々に面積が広くなるように表示させる請求項記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項に係る本発明は、前記上層の表示領域が、利用者に通知を行うための通知画面であり、利用者の操作を受け付けても他の表示画面に遷移するような機能を備えていない表示領域である請求項1からのいずれか1項記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項に係る本発明は、前記プロセッサが、前記上層の表示領域に対して行われた操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に対して実行したことにより、他の表示領域をさらに表示する場合、当該他の表示領域を前記上層の表示領域とは重ならない位置に表示する請求項1記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項に係る本発明は、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示し、
前記上層の表示領域が出現途中に操作された回数と、前記実行釦が操作された回数とに基づいて、前記上層の表示領域が出現途中に操作された場合、前記実行釦を前記上層の表示領域に表示することなく、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行する情報処理装置である。
【0014】
請求項に係る本発明は、前記プロセッサが、前記実行釦が操作された回数が、前記上層の表示領域が出現途中に操作された回数の半分以上となった場合、その後前記上層の表示領域が出現途中に操作された場合でも、前記実行釦を前記上層の表示領域に表示することなく、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行する請求項記載の情報処理装置である。
【0015】
[プログラム]
請求項に係る本発明は、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させるステップと、
前記上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示するステップと、
上層の表示領域が操作された場合に、その操作位置の座標情報を記憶し、前記上層の表示領域内に表示した前記実行釦が操作された場合に、記憶している座標情報において操作が行われたものとして下層の表示領域の操作釦に対して操作内容を実行するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
請求項9に係る本発明は、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を徐々に出現させて表示させるステップと、
当該上層の表示領域が出現途中に利用者の操作を受け付けた場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
請求項10に係る本発明は、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、上層の表示領域が操作された場合、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するための実行釦を前記上層の表示領域内に表示するステップと、
前記上層の表示領域が出現途中に操作された回数と、前記実行釦が操作された回数とに基づいて、前記上層の表示領域が出現途中に操作された場合、前記実行釦を前記上層の表示領域に表示することなく、当該操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に実行するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によれば、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、利用者が誤って上層の表示領域を操作した場合に、その操作を下層の表示領域の操作釦に対して実行させることが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0017】
また、請求項に係る本発明によれば、利用者が上層の表示領域に対して行った操作位置に対応する位置に設けられた下層の表示領域の操作釦に対して、上層の表示領域において行われた操作を実行させることが可能となる。
【0018】
請求項に係る本発明によれば、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を徐々に出現させて表示させた際に、利用者が誤って上層の表示領域を出現途中に操作した場合に、その操作を下層の表示領域の操作釦に対して実行させることが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0019】
請求項に係る本発明によれば、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を徐々に面積が広くなるように出現させて表示させた際に、利用者が誤って上層の表示領域を出現途中に操作した場合に、その操作を下層の表示領域の操作釦に対して実行させることが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項に係る本発明によれば、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に、利用者に通知を行うための通知画面を表示させた際に、利用者が誤って通知画面を操作した場合に、その操作を下層の表示領域の操作釦に対して実行させることが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項に係る本発明によれば、上層の表示領域に対して行われた操作の操作内容を下層の表示領域内の操作釦に対して実行した際に表示される他の表示領域が、上層の表示領域と重なってしまい操作できなくなってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0022】
請求項に係る本発明によれば、利用者が上層の表示領域に対して頻繁に誤操作を行う場合、実行釦を上層の表示領域に表示して利用者による実行釦の操作を受け付ける一連の処理を省くことが可能となる。
【0023】
請求項に係る本発明によれば、利用者が実行釦を操作する回数が、上層の表示領域の出現途中に操作した回数の半分以上である場合、利用者が上層の表示領域に対して誤操作を頻繁に行うものと判定して、実行釦を上層の表示領域に表示して利用者による実行釦の操作を受け付ける一連の処理を省くことが可能となる。
【0024】
請求項に係る本発明によれば、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を表示させた際に、利用者が誤って上層の表示領域を操作した場合に、その操作を下層の表示領域の操作釦に対して実行させることが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項8に係る本発明によれば、利用者が上層の表示領域に対して行った操作位置に対応する位置に設けられた下層の表示領域の操作釦に対して、上層の表示領域において行われた操作を実行させることが可能となる。
請求項9に係る本発明によれば、利用者の操作を受け付ける操作釦が含まれた下層の表示領域の上側に上層の表示領域を徐々に出現させて表示させた際に、利用者が誤って上層の表示領域を出現途中に操作した場合に、その操作を下層の表示領域の操作釦に対して実行させることが可能な情報処理装置を提供することができる。
請求項10に係る本発明によれば、利用者が上層の表示領域に対して頻繁に誤操作を行う場合、実行釦を上層の表示領域に表示して利用者による実行釦の操作を受け付ける一連の処理を省くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
図2】画像形成装置10に設けられた操作パネル41を説明するための図である。
図3】操作パネル41上において、「用紙選択」という設定項目の操作ボタンが操作されたことによりポップアップウィンドウ42が表示される様子を説明するための図である。
図4】通知ウィンドウ43が操作パネル41の下側から出現する途中の様子を示す図(図4(A))、および通知ウィンドウ43が完全に出現した状態を示す図(図4(B))である。
図5】ユーザが誤って通知ウィンドウ43を誤操作してしまう様子を示す図である。
図6】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態の画像形成装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
図9】実行ボタン50が通知ウィンドウ43内に表示される様子を示す図である。
図10図9に示した表示画面例において、実行ボタン50がユーザにより操作された場合の様子を示す図である。
図11】ユーザが実行ボタン50を操作した場合に、ポップアップウィンドウ42が表示される様子を示す図である。
図12】ユーザがポップアップウィンドウ42を操作する様子を示す図である。
図13】ユーザが操作パネル41内に表示されたOKボタンとキャンセルボタンの内、OKボタンを操作しようとする様子を示す図である。
図14図13に示すような状態において、通知ウィンドウ43が表示された状態の表示画面を示す図である。
図15】通知ウィンドウ43に対する誤操作が行われたことにより実行ボタン50が通知ウィンドウ43内に表示された場合の表示画面例を示す図である。
図16図15において実行ボタン50が操作されたことにより、下層の通常の表示領域においてOKボタンが操作されたことになる様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【0028】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、印刷ジョブを生成して、ネットワーク30経由にて生成した印刷ジョブを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置20から送信された印刷ジョブを受け付けて、受け付けた印刷ジョブに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0029】
ここで、この画像形成装置10に対して各種操作を行う際の様子について図面を参照して説明する。この画像形成装置10には、図2に示すように、タッチパネルにより構成された操作パネル41が設けられており、ユーザはこの操作パネル41に表示された表示内容を参照し、操作パネル41上に表示された操作ボタン(操作釦)に対してタッチ操作等を行うことにより操作を行う。
【0030】
例えば、図3に示した例では、ユーザが操作パネル41上に表示された「用紙選択」という設定項目の操作ボタンを操作すると、さらに用紙の種類を選択するための複数の操作ボタンにより構成されたポップアップウィンドウ42が表示される場合が示されている。ユーザが、このポップアップウィンドウ42内の複数の操作ボタンの中から選択した用紙に対応した操作ボタンをタッチ操作することにより、用紙の選択が行われる。
【0031】
そして、本実施形態の画像形成装置10では、ユーザに装置の各種状態を通知するための通知ウィンドウが操作パネル41上に表示される。この通知ウィンドウは、システムからユーザに通知したいメッセージが発生した場合に、例えば、図4に示すように、操作パネル41の下側からアニメーション表示等により徐々に出現するように表示される。
【0032】
図4(A)は、通知ウィンドウ43が操作パネル41の下側から出現する途中の様子を示し、図4(B)は、通知ウィンドウ43が完全に出現した状態を示している。
【0033】
図4では、トナー残量が少ないことをユーザに通知するために「トナー残量が僅かです。」という言葉が記載された通知ウィンドウ43を表示する場合が示されているが、通知ウィンドウは様々なメッセージをユーザに通知する際に使用される。例えば、ネットワーク接続が遮断された状態である場合にオフライン状態であることを通知したり、給紙トレイにセットされている用紙が無くなった用紙切れを通知したりする際にも通知ウィンドウが用いられる。
【0034】
しかし、このような通知ウィンドウはシステム側のタイミングにより通知されるため、ユーザから見ると通知ウィンドウが突然表示されることになる。そのため、図5に示すように、ユーザが「用紙選択」の操作ボタンを操作しようとしたタイミングで、通知ウィンドウ43が表示されると、ユーザが誤って通知ウィンドウ43をタッチしてしまうという誤操作が発生してしまうことになる。
【0035】
ここで、通知ウィンドウ43は、ユーザに通知を行うための通知画面であり、ユーザの操作を受け付けても他の表示画面に遷移するような機能を備えていない表示領域である。そのため、ユーザが通知ウィンドウ43を誤操作することにより他の画面に遷移するような状態とはならない。
【0036】
しかし、ユーザは、通知ウィンドウ43の下層の表示領域における「用紙選択」という操作ボタンを操作しようとしてタッチ操作を行ったにもかかわらず、そのタッチ操作を通知ウィンドウ43が受けてしまい、ユーザの意図した操作が行われないことになってしまう。
【0037】
このような場合、ユーザは、通知ウィンドウ43を閉じる操作を行って、再度「用紙選択」という操作ボタンを再度操作しなければならない。
【0038】
なお、ユーザに通知するメッセージを表示するための領域を操作パネル41内に予め用意しておき、この領域内にメッセージを表示するようにすれば上記のような問題は発生しない。しかし、このような領域を予め用意すると操作パネル41の操作画面を有効に利用することができず、他の表示内容を表示するための領域が狭くなってしまう。そして、操作パネル41の表示エリアの面積が狭いような場合、メッセージの表示のための領域を専用に用意したのでは、他の表示内容を表示するための領域が狭くなり、表示できる項目数が少なくなったり、表示する操作ボタンや文字を小さくしなければならず操作性が悪化したりするという問題が発生してしまう。
【0039】
そこで、本実施形態の画像形成装置10では、下記で説明するような制御を行うことにより、このような通知ウィンドウを通常の操作ボタンが表示された表示領域上に表示する際に、ユーザが誤って通知ウィンドウを操作した場合でも、その操作を下層の通常の表示領域の操作ボタンに対して実行させることができるようにしている。
【0040】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。
【0041】
画像形成装置10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。プリントエンジン17は、印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0042】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0043】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0044】
本実施形態の画像形成装置10は、図3に示されるように、表示操作制御部31と、操作受付部32と、表示部33と、データ送受信部34と、制御部35と、画像読取部36と、データ格納部37と、画像出力部38とを備えている。
【0045】
表示部33は、利用者であるユーザに各種情報を表示する。操作受付部32は、ユーザにより行われた各種操作を受け付ける。そして、操作受付部32と表示部33とによりタッチパネルが構成される。さらに、表示操作制御部31は、表示部33により表示される表示内容を制御する。また、表示操作制御部31は、操作受付部32の制御を行っており、操作受付部32により受け付けられた操作内容を入力し、制御部35等に対して操作情報を転送している。
【0046】
データ送受信部34は、端末装置20等の外部の装置との間でデータの送受信を行う。
【0047】
制御部35は、データ送受信部34を介して端末装置20から受信した印刷ジョブに基づいて印刷データを生成して、生成した印刷データを画像出力部38から出力する制御を行う。データ格納部37は、制御部35により生成された印刷データ等の各種データを格納する。
【0048】
画像出力部38は、制御部35による制御に基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。画像読取部36は、制御部35による制御に基づいて、セットされた原稿から原稿画像を読み取る。
【0049】
ここで、表示操作制御部31は、表示部33において、ユーザの操作を受け付ける操作ボタンが含まれた下層の通常の表示領域の上側に、上層の表示領域として通知ウィンドウを表示させた際に、通知ウィンドウが操作された場合、その操作の操作内容を下層の通常の表示領域内の操作ボタンに実行するための実行釦を通知ウィンドウ内に表示する。
【0050】
具体的には、表示操作制御部31は、通知ウィンドウが操作された場合に、その操作位置の座標情報を記憶し、通知ウィンドウ内に表示した実行釦が操作された場合に、記憶している座標情報において操作が行われたものとして下層の通常の表示領域の操作ボタンに対して操作内容を実行する。
【0051】
ここで、表示操作制御部31は、通知ウィンドウを徐々に出現させて表示する際に、その通知ウィンドウが出現途中にユーザの操作を受け付けた場合にのみ、実行釦を通知ウィンドウ内に表示するようにしても良い。この場合には、表示操作制御部31は、通知ウィンドウが完全に表示された後、または完全に表示されてから予め設定された時間、例えば5秒が経過した後に、表示した通知ウィンドウに対してユーザが操作を行った場合には、実行釦を表示しないようにする。つまり、通知ウィンドウが完全に表示された状態でユーザがこの通知ウィンドウを操作した場合には、その操作は誤って行われたものではないと判定して、表示操作制御部31は、実行ボタンを通知ウィンドウ内に表示しない。
【0052】
なお、表示操作制御部31は、通知ウィンドウを操作パネル上に徐々に出現するように表示する表示方法としては様々な表示方法を用いることができる。例えば、表示操作制御部31は、上層の表示領域である通知ウィンドウを、時間経過とともに徐々に面積が広くなるように表示させる。なお、図4に示したよう操作パネル41の下側から通知ウィンドウ43が徐々に上側に現れるような表示方法も、時間経過とともに徐々に面積が広くなるような表示方法に該当する。
【0053】
そして、このように通知ウィンドウの表示面積が時間経過とともに徐々に面積が広くなるような表示方法で表示されることによりユーザが意図しない誤操作を行ってしまう可能性が高くなる。なお、表示面積が時間経過とともに変化しない場合でも、表示位置が移動するような表示方法により通知ウィンドウを表示した場合もユーザの誤操作の可能性は高くなると考えられる。
【0054】
なお、本実施形態では、表示操作制御部31は、通知ウィンドウに対して行われた操作の操作内容を下層の通常の表示領域内の操作ボタンに対して実行したことにより、ポップアップウィンドウ等の他の表示領域をさらに表示する場合、このポップアップウィンドウを通知ウィンドウとは重ならない位置に表示する。
【0055】
もしも、ポップアップウィンドウが通知ウィンドウと重なるような位置に表示された場合、通知ウィンドウは最上層に表示されるよう制御されているため、表示されたポップアップウィンドウに対する操作ができなくなってしまうからである。
【0056】
さらに、表示操作制御部31は、通知ウィンドウが出現途中に操作された回数と、実行ボタンが操作された回数とをカウントしておき、これらの回数に基づいて、通知ウィンドウが出現途中に操作された場合に、実行ボタンを通知ウィンドウ内に表示することなく、通知ウィンドウに対して行われた操作の操作内容を下層の通常の表示領域内の操作ボタンに即座に実行するようにしても良い。
【0057】
例えば、表示操作制御部31は、実行ボタンが操作された回数が、通知ウィンドウが出現途中に操作された回数の半分以上となった場合、その後通知ウィンドウが出現途中に操作された場合でも、実行ボタンを通知ウィンドウ内に表示することなく、通知ウィンドウに対して行われた操作の操作内容を下層の通常の表示領域内の操作ボタンに対して即座に実行する。
【0058】
つまり、通知ウィンドウの出現途中に通知ウィンドウに対する操作が行われ、実行ボタンを通知ウィンドウ内に表示した際に、この実行ボタンが操作される頻度が高い場合、誤操作が発生する頻度が高いと考えられる。そのため、このような場合には、そもそも実行ボタンを表示して、ユーザが表示された実行ボタンを操作するという一連の処理を省いて、通知ウィンドウに対して行われた操作の操作内容をそのまま下層の通常の表示領域に実行すれば、不要な手間が省かれることになる。
【0059】
次に、本実施形態の画像形成装置10の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0060】
まず、本実施形態の画像形成装置10の動作について図8のフローチャートを参照して説明する。
【0061】
表示操作制御部31は、ユーザに対して通知すること必要なメッセージが発生した場合、ステップS101において、通知ウィンドウを操作パネル内に表示する。
【0062】
そして、ステップS102において、この通知ウィンドウに対する操作が行われた場合、表示操作制御部31は、ステップS103において、操作された座標位置を記憶する。
【0063】
そして、表示操作制御部31は、ステップS104において、実行ボタンとして「下層を操作」ボタンを通知ウィンドウ内に表示する。このように実行ボタン50が通知ウィンドウ43内に表示される様子を図9に示す。
【0064】
図9を参照すると、操作パネル41に表示された通知ウィンドウ43内に、「下層を操作」と表示された実行ボタン50が表示される様子が示されている。
【0065】
この図9に示した表示画面例は、図5に示した表示画面においてユーザが通知ウィンドウ43に対してタッチ操作を行った場合に表示される表示画面であり、ユーザが通知ウィンドウ43に対して誤操作を行ったことにより、通知ウィンドウ43内に実行ボタン50が表示される様子が示されている。
【0066】
そして、ステップS105において、「下層を操作」と表示された実行ボタン50がユーザにより操作された場合、表示操作制御部31は、ステップS106において、記憶していた座標位置において下層の通常の操作画面が操作されたものとして処理を実行する。
【0067】
最後に、表示操作制御部31は、ステップS107において、通知ウィンドウを消去して処理を終了する。
【0068】
このようにして図9に示した表示画面例において、実行ボタン50がユーザにより操作された場合の様子を図10に示す。図10を参照すると、ユーザが、通知ウィンドウ43内に表示された実行ボタン50を操作する様子が示されている。
【0069】
このようにユーザが実行ボタン50を操作すると、図11の表示画面において示されるように、ポップアップウィンドウ42が表示され、ユーザは、図12に示すようにポップアップウィンドウ42に対する操作を実行することができる。
【0070】
なお、図12では、通知ウィンドウ43が消去された場合の表示画面例が示されているが、通知ウィンドウ43を消去せずにそのまま継続して表示し続けるようにしても良い。
【0071】
上記で説明した図10図12の表示画面例を参照すると分かるように、ユーザは、「用紙選択」ボタンを操作しようとして誤って通知ウィンドウ43を操作してしまった場合、この通知ウィンドウ43を閉じる操作を行って、再度「用紙選択」ボタンを操作することなく、「下層を操作」と表示された実行ボタン50を1回操作するのみで、ポップアップウィンドウ42を表示させることができている。
【0072】
なお、上記で説明した本実施形態では、通知ウィンドウ43と「用紙選択」ボタンの矩形の選択領域がほぼ重なった場合が示されている。しかし、通知ウィンドウ43と「用紙選択」ボタンとが部分的に重なるような場合でも上記のような処理を適用することができる。さらに、下層の通常の表示領域における複数の操作ボタンが、上層の通知ウィンドウ43と重なるような場合でも、表示操作制御部31は、ユーザにより操作された位置の座標位置を記憶していることにより、ユーザが操作しようとしていた操作ボタンに対する操作を実行することができる。
【0073】
このように複数の操作ボタンと通知ウィンドウとが重なるような場合の表示画面例を図13図16に示す。
【0074】
図13では、ユーザが操作パネル41内に表示されたOKボタンとキャンセルボタンの内、OKボタンを操作しようとする様子が示されている。
【0075】
この図13に示すような状態において、通知ウィンドウ43が表示された状態の表示画面を図14に示す。図14を参照すると、ユーザがOKボタンを操作しようとして、通知ウィンドウ43のOKボタンと重なる位置をタッチしているのが分かる。
【0076】
そして、このような通知ウィンドウ43に対する誤操作が行われたことにより実行ボタン50が通知ウィンドウ43内に表示された場合の表示画面例を図15に示す。図15では、ユーザが表示された実行ボタン50を操作する様子が示されている。
【0077】
ここで、実行ボタン50が操作されたことにより、表示操作制御部31は、ユーザが通知ウィンドウ43を誤操作した際の座標位置に対応した位置に操作が行われたものとして、下層の通常の表示領域に対して操作内容を反映する。
【0078】
そのため、下層の通常の表示領域では、図16に示すようにOKボタンが操作されたことになり、表示操作制御部31は、このOKボタンが操作されたものとして処理を実行する。
【0079】
このように、表示操作制御部31が、誤操作された際の操作位置の座標情報を記憶しておいて、実行ボタン50が操作された際にこの座標情報を用いることにより、通知ウィンドウに対して誤って操作が行われた場合も、ユーザが本来意図していた操作を下層に対して実行することが可能となる。
【0080】
なお、上記実施形態では、通知ウィンドウ43が透過表示される場合を用いて説明しているが、通知ウィンドウ43が透過表示されないような場合でも、通知ウィンドウ43の下層の表示領域における操作ボタンに対する操作を、実行ボタン50を操作するだけで実行することができる。
【0081】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0082】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0083】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置に対して本発明を適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スマートフォン、タブレット端末装置等のタッチパネルにより構成された表示部を備えた情報処理装置であれば同様に本発明を適用することができるものである。
【符号の説明】
【0084】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 端末装置
30 ネットワーク
31 表示操作制御部
32 操作受付部
33 表示部
34 データ送受信部
35 制御部
36 画像読取部
37 データ格納部
38 画像出力部
41 操作パネル
42 ポップアップウィンドウ
43 通知ウィンドウ
50 実行ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16