(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240730BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240730BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/16 180
B65H5/02 T
(21)【出願番号】P 2020121821
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海沼 嵩
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-008049(JP,A)
【文献】特開2009-192596(JP,A)
【文献】特開2017-161877(JP,A)
【文献】特開2019-184996(JP,A)
【文献】特開2009-184767(JP,A)
【文献】特開2018-155975(JP,A)
【文献】特開2020-064249(JP,A)
【文献】特開2015-025922(JP,A)
【文献】特開2010-230958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/16
B65H 5/02
G03G 15/00-15/01
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、
前記複数の像担持体それぞれに形成されたトナー像が順次重ねて転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトを回転可能に架設する複数のローラーと、
前記ローラーに対する前記中間転写ベルトの蛇行を補正する補正機構と、
を備え、
前記補正機構は、
前記ローラーの軸線方向に対して傾斜する傾斜部を有し、複数の前記ローラーのうちいずれかの前記ローラーの軸部を回転可能に支持するとともに前記ローラーの軸線方向に移動可能な傾斜軸受と、
前記中間転写ベルトが蛇行することで前記ローラーの軸線方向に移動する前記傾斜軸受の前記傾斜部に接触して前記傾斜軸受とともに前記ローラーの軸線方向の一端部側を軸線方向と直交する方向に移動させる本体ガイドと、
を備え、
前記本体ガイドは、前記傾斜軸受に接触しながら前記ローラーの軸線方向と直交する方向に延びる軸線回りに回転する回転体で構成され
、
前記傾斜軸受の前記傾斜部は、前記ローラーの軸線方向外側から内側に向かうに連れて前記ローラーの径方向中心部から外側に向かう傾斜を有し、
前記傾斜軸受は、前記傾斜部の前記ローラーの軸線方向の外側に連続して形成され、前記ローラーの軸線方向と平行に延びる平行部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正機構は、
前記ローラーの軸線方向の両端部であって前記傾斜軸受よりも軸線方向の内側に配置され、前記中間転写ベルトの側端縁が接触するベルトガイドと、
前記傾斜軸受を前記本体ガイドに向けて付勢し、前記傾斜軸受と前記本体ガイドとの接触を維持する付勢部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、複数の感光体ドラム(像担持体)に沿って配置された無端状の中間転写ベルトに、複数の感光体ドラムそれぞれの外周面に形成された異なる色のトナー像を順次重ねて一次転写し、さらに当該トナー像を用紙に二次転写する中間転写方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、中間転写ベルトを回転可能に架設するローラーの軸線方向に中間転写ベルトがずれ、中間転写ベルトが蛇行することがあるという問題があった。
【0003】
この問題に対して、ローラーのアライメントを調整することによって中間転写ベルトの蛇行を補正する技術が提案された。ローラーのアライメントを調整することによって中間転写ベルトの蛇行を補正する従来技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1で開示された従来の画像形成装置は、軸変位部と、軸ガイド部と、を備える。軸変位部は、ベルトがローラーの軸線方向に移動することで軸線方向に可動であり、ベルト面に対して傾斜している傾斜面を有する。軸ガイド部は、軸変位部の傾斜面に対向して固定される。この画像形成装置では、ベルトがローラーの軸線方向に移動(蛇行)すると、軸変位部の傾斜面に対する軸ガイド部の軸変位部当接部の位置が上方にずれて当該軸変位部が下方に移動し、ローラーが傾斜する。ローラーが傾斜することで、ベルトは大きく傾斜し、ローラーの軸線方向に対して元の位置に戻る方向に移動し、ベルトの蛇行を補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では、ベルトの蛇行を補正する性能の向上を図ってローラーが大きく傾斜する構成にすると、軸変位部のサイズを軸線方向に大きくする必要があり、装置が大型化することが課題であった。また、軸変位部のサイズを維持してローラーが大きく傾斜する構成にする場合、軸変位部の傾斜面の角度を大きくする必要があり、軸変位部と軸ガイド部との間の摩擦力が増加する虞があった。これにより、軸変位部と軸ガイド部との接触部で滑り難くなるとともに、軸変位部及び軸ガイド部の損耗が激しくなることが懸念された。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、装置の大型化が抑制された構成で、中間転写ベルトの蛇行を補正する性能を向上させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、複数の像担持体と、中間転写ベルトと、複数のローラーと、補正機構と、を備える。中間転写ベルトは、無端状であり、複数の像担持体それぞれに形成されたトナー像が順次重ねて転写される。複数のローラーは、中間転写ベルトを回転可能に架設する。補正機構は、ローラーに対する中間転写ベルトの蛇行を補正する。補正機構は、傾斜軸受と、本体ガイドと、を備える。傾斜軸受は、ローラーの軸線方向に対して傾斜する傾斜部を有し、複数のローラーのうちいずれかのローラーの軸部を回転可能に支持するとともにローラーの軸線方向に移動可能である。本体ガイドは、中間転写ベルトが蛇行することでローラーの軸線方向に移動する傾斜軸受の傾斜部に接触して傾斜軸受とともにローラーの軸線方向の一端部側を軸線方向と直交する方向に移動させる。本体ガイドは、傾斜軸受に接触しながらローラーの軸線方向と直交する方向に延びる軸線回りに回転する回転体で構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、本体ガイドと傾斜軸受との接触状態を転がり摩擦にすることができる。転がり摩擦は滑り摩擦に比べて非常に小さいので、摩擦負荷を軽減させることが可能である。すなわち、ローラーが大きく傾斜する構成にしても、装置サイズをローラーの軸線方向に大きくする必要が無く、装置の大型化を抑制することができる。さらに、摩擦負荷を軽減させることで、本体ガイド及び傾斜軸受の損耗を抑制することが可能である。したがって、装置の大型化が抑制された構成で、中間転写ベルトの蛇行を補正する性能を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の中間転写ベルト周辺を示す部分概略断面図である。
【
図3】
図2の中間転写ベルトのテンションローラー周辺を示す部分断面図である。
【
図4】
図3のテンションローラー周辺の部分断面図であって、中間転写ベルトが蛇行した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態の画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。
図2は、
図1の画像形成装置1の中間転写ベルト31周辺を示す部分概略断面図である。本実施形態の画像形成装置1の一例としては、中間転写ベルト31を用いてトナー像を用紙Sに転写するタンデム方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、例えば印刷、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたいわゆる複合機であって良い。
【0013】
画像形成装置1は、
図1及び
図2に示すように、その本体2に設けられた、給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、用紙排出部7及び制御部8を有する。
【0014】
給紙部3は、複数枚の用紙Sを収容し、印刷時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Sを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Sを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。両面印刷が行われる場合、用紙搬送部4は、第一面の定着後の用紙Sを分岐部4bによって反転搬送部4cに振り分け、用紙Sを再度、二次転写部33及び定着部6へと搬送する。露光部5は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部20に向かって照射する。
【0015】
画像形成部20は、中間転写ベルト31の下方に配置される。画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Y、シアン用の画像形成部20C、マゼンタ用の画像形成部20M及びブラック用の画像形成部20Bを含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。これにより、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の識別記号は省略することがある。
【0016】
画像形成部20は、所定の方向(
図1及び
図2における時計回り)に回転可能に支持された感光体ドラム(像担持体)21を備える。画像形成部20は、さらに感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って帯電部22、現像部23及びドラムクリーニング部24を備える。なお、現像部23とドラムクリーニング部24との間に一次転写部32が配置される。
【0017】
感光体ドラム21は、外周面に感光層を有する。帯電部22は、感光体ドラム21の外周面を所定電位に帯電させる。露光部5は、帯電部22によって帯電された感光体ドラム21の外周面を露光し、感光体ドラム21の外周面に原稿画像の静電潜像を形成する。現像部23は、この静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。4つの画像形成部20それぞれは、異なる色のトナー像を形成する。
【0018】
転写部30は、中間転写ベルト31、一次転写部32Y、32C、32M、32B、二次転写部33及びベルトクリーニング部40を備える。中間転写ベルト31は、4つの画像形成部20の上方に配置される。中間転写ベルト31は、所定の方向(
図1及び
図2における反時計回り)に回転可能に支持され、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねて一次転写される無端状の中間転写体である。4つの画像形成部20は、中間転写ベルト31の回転方向上流側から下流側に向けて一列に並んだいわゆるタンデム方式にして配置される。
【0019】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、中間転写ベルト31を挟んで、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に配置される。二次転写部33は、用紙搬送部4の、定着部6よりも用紙搬送方向上流側であって、転写部30の、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置される。ベルトクリーニング部40は、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向上流側に配置される。
【0020】
トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bで中間転写ベルト31の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト31の回転とともに所定のタイミングで4つの画像形成部20のトナー像が連続して重ねて中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の外周面にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。ドラムクリーニング部24は、一次転写後に感光体ドラム21の外周面に残留するトナー等の付着物を除去してクリーニングする。
【0021】
中間転写ベルト31の外周面のカラートナー像は、用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Sに、二次転写部33に形成される二次転写ニップ部で転写される。ベルトクリーニング部40は、二次転写後に中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等の付着物を除去してクリーニングする。
【0022】
定着部6は、トナー像が転写された用紙Sを加熱、加圧してトナー像を用紙Sに定着させる。
【0023】
制御部8は、CPU、画像処理部、記憶部、その他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置1に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置1の機能に係る処理を行う。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30及び定着部6それぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの印刷を行う。記憶部は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0024】
続いて、転写部30とその周辺の構成について、
図2を用いて説明する。
【0025】
中間転写ベルト31は、
図2に示すように、4つの画像形成部20に沿って配置される。4つ画像形成部20それぞれの上方には、中間転写ベルト31を隔てて一次転写ローラー32rが配置される。4つの一次転写ローラー32rそれぞれは、中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラム21と対向する位置に配置され、中間転写ベルト31の内周面に接触する。
【0026】
中間転写ベルト31は、複数のローラーに回転可能に架設される。この複数のローラーは、本実施形態では、駆動ローラー35と、テンションローラー36と、を含む。
【0027】
駆動ローラー35は、4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置される。駆動ローラー35は、駆動モーター(不図示)から動力を得て、中間転写ベルト31を
図2における反時計回りに回転させる。
【0028】
駆動ローラー35は、二次転写部33に隣接して配置される。二次転写部33には、二次転写ローラー33rが配置される。二次転写ローラー33rは、中間転写ベルト31を挟んで駆動ローラー35と対向する位置に配置され、中間転写ベルト31の外周面に接触する。
【0029】
テンションローラー36は、4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向上流側に配置される。テンションローラー36は、中間転写ベルト31の回転に従って、
図2における反時計回りに回転する。テンションローラー36は、テンションばね37によって、駆動ローラー35から離隔する方向に付勢される。これにより、中間転写ベルト31に、所定のテンションが付与される。
【0030】
テンションばね37は、テンションガイド部材38内に保持されている。テンションばね37は、例えば圧縮コイルばねで構成され、テンションガイド部材38とテンションローラー36の軸部361との間に配置される。テンションばね37は、テンションローラー36を駆動ローラー35から離隔する方向に付勢している。
【0031】
テンションガイド部材38は、テンションローラー36の軸線方向(
図2の紙面奥行き方向)の両端部に配置される。テンションガイド部材38は、テンションローラー36に対して駆動ローラー35に接近する方向に配置された、テンションローラー36の軸線方向と平行に延びる軸部381を有し、当該軸部381の軸線回りに回転可能に本体2に支持されている。
【0032】
テンションガイド部材38は、例えば板金で構成され、テンションローラー36の軸線方向と直交する方向、且つ上下方向に延びる。テンションガイド部材38は、テンションローラー36の軸部361を、駆動ローラー35に対して接近、離隔する方向に移動可能に支持する。テンションガイド部材38は、テンションガイド部材38の上側に配置された後述する付勢部材54によって、軸部381の軸線を中心として
図2における時計回りに回転する方向に付勢されている。
【0033】
続いて、中間転写ベルト31のテンションローラー36周辺の構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、
図2の中間転写ベルト31のテンションローラー36周辺を示す部分断面図である。
図4は、
図3のテンションローラー36周辺の部分断面図であって、中間転写ベルト31が蛇行した状態を示す図である。
【0034】
画像形成装置1は、
図3及び
図4に示す補正機構50を備える。補正機構50は、テンションローラー36の軸部361の箇所であって、テンションローラー36の軸線方向Dxの両端部に配置される。なお、
図3及び
図4は、テンションローラー36の軸線方向Dxの一端部に配置された補正機構50を、テンションローラー36の軸線方向Dxと直交する方向から見た図である。
図3及び
図4において、図の左側がテンションローラー36の軸線方向Dxの内側であり、図の右側がテンションローラー36の軸線方向Dxの外側である。
【0035】
補正機構50は、テンションローラー36に対する中間転写ベルト31の蛇行を補正する。補正機構50は、ベルトガイド51と、傾斜軸受52と、本体ガイドコロ(本体ガイド、回転体)53と、付勢部材54(
図2参照)と、を備える。
【0036】
ベルトガイド51は、テンションローラー36の軸線方向Dxの両端部に配置される。ベルトガイド51は、傾斜軸受52よりもテンションローラー36の軸線方向Dxの内側に配置される。ベルトガイド51は、テンションローラー36の軸線を中心として径方向に広がる円環状の部材であって、その径方向中心部をテンションローラー36の軸部361が軸線方向Dxに貫通する。ベルトガイド51は、テンションローラー36の軸線方向Dxに移動可能である。ベルトガイド51は、ガイド壁511を有する。
【0037】
ガイド壁511は、ベルトガイド51の径方向外縁部に配置され、径方向外側に向かって突出して周方向に環状に延びる。ガイド壁511は、テンションローラー36の軸線方向Dxにおいて中間転写ベルト31の側端縁31eと対向し、接触する。
【0038】
傾斜軸受52は、ベルトガイド51よりもテンションローラー36の軸線方向Dxの外側に配置される。傾斜軸受52は、テンションローラー36の軸部361を軸線回りに回転可能に支持する。傾斜軸受52は、テンションローラー36の軸線方向Dxに移動可能である。傾斜軸受52は、傾斜部521と、平行部522と、を有する。
【0039】
傾斜部521は、平行部522に対してテンションローラー36の軸線方向Dxの内側に、平行部522と連続して形成される。傾斜部521は、テンションローラー36の軸部361に対して上側に位置し、上下方向において本体ガイド53と対向する。
【0040】
傾斜部521の外面は、テンションローラー36の軸線方向Dxに対して傾斜している。詳細に言えば、傾斜部521は、テンションローラー36の軸線方向Dxの外側から内側に(
図3及び
図4の右から左に)向かうに連れてテンションローラー36の径方向中心部から外側(
図3及び
図4の上側)に向かう傾斜を有する。
【0041】
平行部522は、傾斜部521に対してテンションローラー36の軸線方向Dxの外側に、傾斜部521と連続して形成される。平行部522の外面は、テンションローラー36の軸線方向Dxと平行に延びる。
【0042】
本体ガイドコロ53は、テンションローラー36の軸線方向Dxと直交する方向(
図3及び
図4の紙面奥行き方向)に延びる軸線回りに回転する回転体で構成される。本体ガイドコロ53は、傾斜軸受52の上側に配置され、画像形成装置1の本体2に回転可能に支持されている。本体ガイドコロ53は、上下方向において傾斜軸受52と対向し、傾斜軸受52に接触しながら回転する。
【0043】
付勢部材54(
図2参照)は、テンションガイド部材38の上側に配置される。付勢部材54は、例えば引張コイルばねで構成され、本体2とテンションガイド部材38との間に配置される。
【0044】
付勢部材54は、テンションガイド部材38を、軸部381の軸線を中心として
図2における時計回りに回転する方向に付勢している。すなわち、付勢部材54は、テンションガイド部材38を介し、テンションローラー36の軸部361を上側に向けて付勢している。言い換えれば、付勢部材54は、傾斜軸受52を本体ガイド53に向けて付勢し、傾斜軸受52を本体ガイド53との接触を維持する。
【0045】
図3に示すように、中間転写ベルト31が正常に回転して蛇行していない場合、付勢部材54によってテンションローラー36の軸部361が上側に向けて付勢されることで、傾斜軸受52は本体ガイドコロ53に押し付けられる。本体ガイドコロ53は、傾斜軸受52の平行部522と接触する。中間転写ベルト31が正常に回転している間、
図3の状態が維持される。
【0046】
図4に示すように、中間転写ベルト31が蛇行すると、中間転写ベルト31は、ベルトガイド51のガイド壁511に接触し、ベルトガイド51を軸線方向Dxの外側(
図4の右側)に向かって押す。ベルトガイド51は、軸線方向Dxの外側に移動する。そして、ベルトガイド51が、傾斜軸受52を軸線方向Dxの外側に向かって押す。傾斜軸受52は、軸線方向Dxの外側に移動する。
【0047】
これにより、傾斜軸受52の平行部522と接触する本体ガイドコロ53は、傾斜軸受52の外面上を転がり、傾斜軸受52の傾斜部521と接触する。すなわち、本体ガイドコロ53は、中間転写ベルト31が蛇行することでテンションローラー36の軸線方向Dxに移動する傾斜軸受52の傾斜部521に接触する。
【0048】
さらに、傾斜軸受52が軸線方向Dxの外側(
図4の右側)に移動すると、本体ガイドコロ53が傾斜部521の斜面上を転がり、テンションローラー36の軸線方向Dxの一端部側(
図4の右側)が下側に移動する。すなわち、本体ガイドコロ53は、傾斜軸受52とともにテンションローラー36の軸線方向Dxの一端部側を軸線方向Dxと直交する方向に移動させる。
【0049】
この構成によれば、本体ガイドと傾斜軸受52との接触状態を転がり摩擦にすることができる。転がり摩擦は滑り摩擦に比べて非常に小さいので、摩擦負荷を軽減させることが可能である。すなわち、テンションローラー36が大きく傾斜する構成にしても、装置サイズをテンションローラー36の軸線方向Dxに大きくする必要が無く、画像形成装置1の大型化を抑制することができる。さらに、摩擦負荷を軽減させることで、本体ガイド及び傾斜軸受52の損耗を抑制することが可能である。したがって、装置の大型化が抑制された構成で、中間転写ベルト31の蛇行を補正する性能を向上させることが可能である。
【0050】
また、補正機構50は、上記構成のベルトガイド51と、傾斜軸受52と、本体ガイドコロ53と、付勢部材54と、を備える。テンションローラー36の箇所では、中間転写ベルト31にテンションを付与しているので、中間転写ベルト31の蛇行が発生し易くなる。したがって、テンションローラー36に対してアライメント調整機構である補正機構50を設けることで、中間転写ベルト31の蛇行を補正する性能を向上させることが可能である。
【0051】
また、傾斜軸受52は、テンションローラー36の軸線方向に沿って互いに連続して形成された傾斜部521及び平行部522を有する。この構成によれば、中間転写ベルト31が正常に回転して蛇行していない場合、本体ガイドコロ53は、平行部522と接触する。これにより、テンションローラー36を所定の位置において好適に回転させることが可能である。そして、中間転写ベルト31が蛇行すると、テンションローラー36の軸線方向Dxの一端部側を、軸線方向Dxと直交する方向に移動させることが可能である。
【0052】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0053】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1は、いわゆるタンデム型のカラー印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではない。画像形成装置は、中間転写ベルトを備える機種であれば、タンデム型ではない他の形式のカラー印刷用の画像形成装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
2 本体
20 画像形成部
21 感光体ドラム(像担持体)
30 転写部
31 中間転写ベルト
31e 側端縁
36 テンションローラー
50 補正機構
51 ベルトガイド
52 傾斜軸受
53 本体ガイドコロ(本体ガイド、回転体)
54 付勢部材
361 軸部
521 傾斜部
522 平行部
Dx 軸線方向
S 用紙