(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240730BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H04N1/00 912
B41J29/38 201
(21)【出願番号】P 2020123869
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】折元 麻絵
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-256007(JP,A)
【文献】特開2016-012758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、ジョブ履歴に含まれる
ある実行済みのジョブが再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが可能な実行済みのジョブのみを選択可能に表示し、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付け、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行するように制御する画像処理装置。
【請求項2】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、ジョブ履歴に含まれるある実行済みのジョブが、再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが不可能な実行済みのジョブの表示を禁止し、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付け、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行するように制御する画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が同一の場合には、当該ジョブをそのまま実行するように制御する、請求項
1又は
2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が異なる場合には、前記選択された実行済みの複数のジョブの異なる設定値のうちのいずれかを選択する指示を受け付ける、請求項
1又は
2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブを、設定項目毎に、再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が異なる場合の処理方法を予め設定するように制御する、請求項
3又は
4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、画像処理に関する設定項目、後処理に関する設定項目、原稿に関する設定項目毎に、再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が異なる場合の処理方法を予め設定するように制御する、請求項
5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行した場合に、当該新たなジョブを一つの実行済みのジョブとしてジョブ履歴の一覧として表示するように制御する、請求項1から
6いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行する際に、当該複数のジョブに対応する処理毎に異なる設定値で実行するように制御する、請求項1から
3いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行する際に、当該複数のジョブに対応する処理毎に一時停止するように制御する、請求項1から
8いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、ジョブ履歴に含まれる実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付け、当該選択された複数のジョブを、まとめて新たなジョブとして実行し、新たなジョブとして実行する際に、前記複数のジョブに対応する処理毎に一時停止するように制御する画像処理装置。
【請求項11】
画像処理装置を構成するコンピュータに、
ジョブ履歴に含まれる
ある実行済みのジョブが再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが可能な実行済みのジョブのみを選択可能に表示させ、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付けさせ、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行させる、プログラム。
【請求項12】
画像処理装置を構成するコンピュータに、
ジョブ履歴に含まれる
ある実行済みのジョブが、再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが不可能な実行済みのジョブの表示を禁止させ、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付けさせ、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行させる、プログラム。
【請求項13】
画像処理装置を構成するコンピュータに、
ジョブ履歴に含まれる実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付けさせ、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行させ
、新たなジョブとして実行させる際に、前記複数のジョブに対応する処理毎に一時停止させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、過去に実行した複数のジョブの設定値を一覧表示し、その中から利用者が設定値を任意に選択して新規のジョブの設定に反映できる情報処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、実行済みの複数のジョブを、個別のジョブ毎に再実行する場合に比べて、より少ない操作で実行可能な画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、ジョブ履歴に含まれるある実行済みのジョブが再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが可能な実行済みのジョブのみを選択可能に表示し、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付け、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行するように制御する画像処理装置である。
【0007】
請求項2に係る本発明は、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、ジョブ履歴に含まれるある実行済みのジョブが、再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが不可能な実行済みのジョブの表示を禁止し、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付け、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行するように制御する画像処理装置である。
【0008】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサは、前記再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が同一の場合には、当該ジョブをそのまま実行するように制御する、請求項1又は2記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項4に係る本発明は、前記プロセッサは、前記再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が異なる場合には、前記選択された実行済みの複数のジョブの異なる設定値のうちのいずれかを選択する指示を受け付ける、請求項1又は2記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項5に係る本発明は、前記プロセッサは、前記再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブを、設定項目毎に、再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が異なる場合の処理方法を予め設定するように制御する、請求項3又は4記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項6に係る本発明は、前記プロセッサは、画像処理に関する設定項目、後処理に関する設定項目、原稿に関する設定項目毎に、再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が異なる場合の処理方法を予め設定するように制御する、請求項5記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項7に係る本発明は、前記プロセッサは、前記実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行した場合に、当該新たなジョブを一つの実行済みのジョブとしてジョブ履歴の一覧として表示するように制御する、請求項1から6いずれかに記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項8に係る本発明は、前記プロセッサは、前記実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行する際に、当該複数のジョブに対応する処理毎に異なる設定値で実行するように制御する、請求項1から3いずれかに記載の画像処理装置である。
【0014】
請求項9に係る本発明は、前記プロセッサは、前記実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行する際に、当該複数のジョブに対応する処理毎に一時停止するように制御する、請求項1から8いずれかに記載の画像処理装置である。
請求項10に係る発明は、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、ジョブ履歴に含まれる実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付け、当該選択された複数のジョブを、まとめて新たなジョブとして実行し、新たなジョブとして実行する際に、前記複数のジョブに対応する処理毎に一時停止するように制御する画像処理装置である。
【0015】
請求項11に係る本発明は、
画像処理装置を構成するコンピュータに、
ジョブ履歴に含まれるある実行済みのジョブが再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが可能な実行済みのジョブのみを選択可能に表示させ、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付けさせ、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行させる、プログラムである。
請求項12に係る本発明は、
画像処理装置を構成するコンピュータに、
ジョブ履歴に含まれるある実行済みのジョブが、再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが不可能な実行済みのジョブの表示を禁止させ、実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付けさせ、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行させる、プログラムである。
請求項13に係る本発明は、
画像処理装置を構成するコンピュータに、
ジョブ履歴に含まれる実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付けさせ、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとして実行させ、新たなジョブとして実行させる際に、前記複数のジョブに対応する処理毎に一時停止させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によれば、実行済みの複数のジョブを、個別のジョブ毎に再実行する場合に比べて、より少ない操作で実行可能な画像処理装置を提供することが可能となる。また、新たに実行すべきジョブとして1件目に選択されたジョブに対して、同時に実行できないジョブを2件目のジョブとして選択しないようにすることができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によれば、実行済みの複数のジョブを、個別のジョブ毎に再実行する場合に比べて、より少ない操作で実行可能な画像処理装置を提供することが可能となる。また、新たに実行すべきジョブとして1件目に選択したジョブに対して、同時に実行可能なジョブのみを2件目のジョブとして選択できるようになる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、新たにまとめて実行するように選択された複数のジョブを、別々に実行した場合に比べてより少ない操作で実行することが可能となる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、新たにまとめて実行するように選択された複数のジョブ間で同一の設定値の設定項目については、再度設定を行わなくて済むようになる。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、新たにまとめて実行するように選択された複数のジョブ間で設定値が異なる場合に、必要な設定項目のみの設定をするだけで再び実行することが可能となる。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、画像処理に関する設定項目、後処理に関する設定項目、原稿に関する設定項目毎の設定値が異なる場合に、処理方法を変更することが可能となる。
【0023】
請求項7に係る本発明によれば、新たにまとめて実行したジョブを、再度実行することが可能となる。
【0024】
請求項8に係る本発明によれば、複数のジョブを新たに実行するにあたって、複数の実行済みのジョブを一度に選択して実行することが可能となる。
【0025】
請求項9に係る本発明によれば、複数の実行済みのジョブを新たにまとめて実行する際に、ジョブ単位で原稿を変更することが可能となる。
請求項10に係る本発明によれば、実行済みの複数のジョブを、個別のジョブ毎に再実行する場合に比べて、より少ない操作で実行可能な画像処理装置を提供することが可能となり、さらに、複数の実行済みのジョブを新たにまとめて実行する際に、ジョブ単位で原稿を変更することが可能となる。
【0026】
請求項11に係る本発明によれば、画像処理装置に、実行済みの複数のジョブを、個別のジョブ毎に再実行する場合に比べて、より少ない操作で実行させることが可能となるとともに、新たに実行すべきジョブとして1件目に選択されたジョブに対して、同時に実行できないジョブを2件目のジョブとして選択しないようにできる。
請求項12に係る本発明によれば、画像処理装置に、実行済みの複数のジョブを、個別のジョブ毎に再実行する場合に比べて、より少ない操作で実行させることが可能となるとともに、新たに実行すべきジョブとして1件目に選択したジョブに対して、同時に実行可能なジョブのみを2件目のジョブとして選択することが可能となる。
請求項13に係る本発明によれば、画像処理装置に、実行済みの複数のジョブを、個別のジョブ毎に再実行する場合に比べて、より少ない操作で実行させることが可能となるとともに、複数の実行済みのジョブを新たにまとめて実行する際に、ジョブ単位で原稿を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態における画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における画像処理装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態における画像処理装置のユーザインタフェース装置に表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における画像処理装置のユーザインタフェース装置に表示される再実行対象ジョブ選択画面の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態における画像処理装置のユーザインタフェース装置に表示される再実行対象ジョブ選択画面において、一つの実行済みのジョブを選択しようとしている状態を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態における画像処理装置のユーザインタフェース装置に表示される、絞り込み後ジョブ選択画面の一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における画像処理装置のユーザインタフェース装置に表示される、絞り込み後ジョブ選択画面の一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態における画像処理装置の記憶装置に記憶されている分類テーブルの一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態における画像処理装置のユーザインタフェース装置に表示される、設定値選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の画像処理装置100を、実施形態として図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の画像処理装置を例示して示すためものであり、本発明を以下の実施形態に限定することを意図するものではない。
図1は、画像処理装置100のハードウェア構成を示す図であり、
図2は、画像処理装置100の機能ブロック図である。
【0029】
画像処理装置100は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、ユーザインタフェース装置105、印刷装置106、読み取り装置107を有し、それぞれ制御用バス108に接続される。
【0030】
CPU101は、制御用マイクロプロセッサであり、記憶装置103に記憶された制御プログラムに基づいて、画像処理装置100の各部の動作を制御する。
【0031】
メモリ102は、本画像処理装置100の印刷装置106により印刷する画像データ、読み取り装置107が読み取った画像データを一時的に記憶する。また、メモリ102は、本画像処理装置100に接続された図示しないコンピュータ端末やサーバから受信した情報、ジョブの実行時に利用者が変更した各種機能の設定項目の設定値を一時的に記憶する。
【0032】
記憶装置103は、ハードディスクドライブ(略してHDDという)やソリッド・ステート・ドライブ(略してSDDという)によって構成され、本画像処理装置100の各部を制御するための制御プログラムが格納される。また、記憶装置103には、本画像処理装置100が実行した実行済みのジョブとその設定値の情報を一覧として管理したジョブ履歴一覧表、及び後述する分類テーブルが記憶される。
【0033】
通信インタフェース104は、図示しないLANケーブルを通じて、あるいは無線LANを介して、ネットワーク経由で接続された図示しないサーバやコンピュータ端末、また他の画像処理装置と通信を行う。さらに、通信インタフェース104は、電話回線に接続され、図示しない他の画像処理装置やファクシミリ装置との間でファクシミリデータを送受信したりする。
【0034】
ユーザインタフェース装置105は、本画像処理装置100に設けられた液晶ディスプレイとタッチパネルにより構成される入出力装置であり、各種画面を液晶ディスプレイに表示するとともに、タッチパネルを利用者が操作することにより、利用者による操作の受け付け、情報の入力を行うことができる。ユーザインタフェース装置105は、タッチパネルに加えて本画像処理装置100に別途配置された入力キーボードや入力ボタンといった機械式入力装置を含んでもよい。
【0035】
印刷装置106は、本画像処理装置100にネットワーク経由で接続されたコンピュータ端末から送信されてきた画像を紙面に印刷する。読み取り装置107は、原稿台に載置された原稿を読み取って画像データに変換し、メモリ102に記憶する。メモリ102に一旦記憶された画像データは、印刷装置106によって紙面に印刷されるか、本画像処理装置100にネットワークを介して接続されたコンピュータ端末に送信されるか、電話回線を通じて他の画像処理装置やファクシミリ装置へ送信されるか、あるいは本画像処理装置100の記憶装置103に保存される。なお、印刷装置106、読み取り装置107についての詳細な説明については省略する。
【0036】
図2に示すように、画像処理装置100は、記憶装置103に記憶された制御プログラムをCPU101において実行することにより、メニュー表示制御部111、ジョブ実行制御部112、再実行ジョブ設定制御部113の各機能を発揮する。また、記憶装置103には本画像処理装置100が実行した実行済みのジョブとその設定値の情報を一覧として管理したジョブ履歴一覧表114、及び後述する分類テーブル115が記憶されている。
【0037】
メニュー表示制御部111は、本画像処理装置100のユーザインタフェース装置105の液晶ディスプレイに、複数の機能ボタンを含むメニュー画面を表示させたり、ジョブ履歴表示画面を表示させたりする。また、メニュー表示制御部111は、後述のジョブ履歴表示履歴画面に表示されたジョブ履歴に含まれる実行済みの複数のジョブを、再実行の対象としてまとめて選択する指示を受け付ける。
【0038】
ジョブ実行制御部112は、利用者が本画像処理装置100のユーザインタフェース装置105の液晶ディスプレイに表示された機能ボタンのいずれかを選択し、設定値を確認、あるいは変更した後開始ボタンを選択した場合に、当該機能ボタンに対応するジョブを実行する。また、利用者がユーザインタフェース装置105の液晶ディスプレイに表示されたジョブ履歴表示画面から特定の実行済みのジョブを複数選択し、開始ボタンを選択した場合に、当該選択された複数のジョブを、新たなジョブとしてまとめて実行する。なお、本明細書において、「ジョブ」とは、利用者の指示に基づいて実行される複写処理、読み取り処理、読み取った文書の送信処理や保存処理といった本画像処理装置100における一つ又は複数の機能を実行するための一連の処理単位のことを指す。
【0039】
また、本明細書において、「再実行」するとは、一度実行した実行済みの1つ又は複数のジョブの設定値を呼び出して再び新たなジョブとして実行することを指す。したがって、再実行の処理には、最初に実行した際の原稿と再実行する際の原稿の内容が異なっているものを読み込むことはもちろん、原稿の枚数が異なっている場合のものを読み込むことも含まれている。また、以降の説明で、複数の実行済みのジョブを「まとめて」新たなジョブとして実行するとは、複数の実行済みのジョブを再度実行するにあたって、ジョブ毎に設定値を確認したり変更したりするのではなく、複数のジョブの実行前に一度にまとめて設定し、実行することを指している。なお、複数のジョブに対応する処理と処理の間に、一時停止をしたり、利用者に原稿の載置を促したりしてもよいものとする。また、複数のジョブで同じ処理を共通して行うものは一度だけ行うようにしてもよい。例えば、1件目のジョブも2件目のジョブもともに読み取り処理を共通に含む場合には、読み取り処理を一度だけ行う。具体的には、読み取った画像をメールで送信するジョブは、読み取り処理+送信処理、読み取った画像をPCに保存するジョブは、読み取り処理+保存処理、という処理から構成されており、これらのジョブは読み取り処理を共通して含むため、まとめて行う場合には読み取り処理を一度だけ行う。ここでは読み取り処理のジョブを例に挙げたが、複写処理は読み取り処理+印刷処理から構成されており、読み取り処理や印刷処理が共通する他のジョブとまとめて実行する場合は、当該共通する処理を一度だけ行うようにしてもよい。
【0040】
再実行ジョブ設定制御部113は、利用者によって選択された複数の実行済みのジョブについて、ジョブ履歴一覧表114を参照してそれぞれの設定項目の設定値を比較し、同一設定項目における設定値が異なる場合に、どのように設定値を変更するかを決定し、設定値を変更し、ジョブ実行制御部112によってジョブを実行できるようにする。具体的には、後述するが、再実行ジョブ設定制御部113は、記憶装置103に記憶された分類テーブル115を参照し、それぞれの設定項目の設定値を調整する。
【0041】
次に、
図3~
図10を参照して、本画像処理装置100の動作を説明する。
図3は、本画像処理装置100における処理の一例を示すフローチャートである。
図3のステップS301において、メニュー表示制御部111は
図4に示すようなメニュー画面410をユーザインタフェース装置105に表示する。メニュー画面410には、各種機能ボタン411、ログイン情報表示欄417、ジョブ履歴表示ボタン418が表示される。各種機能ボタン411は、複写設定ボタン412、ファクシミリ設定ボタン413、読み取りメール送信設定ボタン414、読み取りPC保存設定ボタン415、読み取り本体保存設定ボタン416が含まれる。メニュー表示制御部111は、上述のメニュー画面410を表示するとともに、利用者から各種機能ボタン411、あるいはジョブ履歴表示ボタン418の選択入力を受け付ける。なお、ここで、各種機能ボタン411のいずれかが利用者によって選択された場合は、各機能に含まれる各設定項目設定値を利用者が変更した後、ジョブ実行制御部112により各種機能を実行する。各機能の具体的な処理についての説明は省略する。
【0042】
ステップS302において、メニュー表示制御部111は、ジョブ履歴表示ボタン418が利用者によって選択されたと判断すると、記憶装置103に記憶されているジョブ履歴一覧表114に基づいて、
図5に示すような再実行対象ジョブ選択画面510をユーザインタフェース装置105に表示する。
【0043】
図5の再実行対象ジョブ選択画面510は、ログイン利用者名表示欄511、履歴種別表示欄512、ジョブ履歴表示欄513を含む。ログイン利用者名表示欄511には、本画像処理装置100を操作するために現在ログインしている利用者の情報、例えば「ユーザA」が表示される。履歴種別表示欄512には、現時点で表示されている実行済みのジョブの種別が表示されている。例えば、
図5では「すべてのジョブ」が表示されている。ジョブ履歴表示欄513には、複数の個別のジョブの履歴513A~513Cが、ジョブが実行された順、つまりジョブの実行日時が現時点から近い順に一覧表形式で表示されている。
【0044】
ステップS303において、再実行ジョブ設定制御部113は、実行済みのジョブから再実行対象とするジョブの選択を受け付ける。具体的には、
図5の再実行対象ジョブ選択画面510のジョブ履歴表示欄513、あるいは後述する
図7の絞り込み後ジョブ選択画面710のジョブ履歴表示欄の中から、利用者によりある実行済みのジョブが再実行の対象として仮選択される、つまり長押しされると、メニュー表示制御部111は、
図5に示した再実行対象ジョブ選択画面510の上に、
図6に示すような小画面610を重ねて表示する。小画面610には「再実行」ボタン611と「詳細」ボタン612が含まれる。利用者が「再実行」ボタン611を選択すると、当該実行済みのジョブが再実行の対象として正式に選択されたと見なし、続くステップS304に進む。一方、利用者が「詳細」ボタン612を選択した場合は、選択されている実行済みジョブの履歴の詳細が表示される。
【0045】
ステップS304において、再実行ジョブ設定制御部113は、選択された実行済みのジョブが1件目のジョブであるか否かを判断する。選択されたジョブが1件目のジョブであると判断された場合はステップS305に進み、1件目のジョブではない、つまり2件目以降のジョブであると判断された場合はステップS307に進む。
【0046】
ステップS305において、再実行ジョブ設定制御部113は、選択された1件目の実行済みジョブの種別、つまり「複写」、「ファクシミリ」、「読み取り」を取得する。
【0047】
ステップS306において、再実行ジョブ設定制御部113は、
図5及び
図6において表示されていた実行済みのジョブの一覧表の中から再実行対象ジョブとして2件目以降に選択可能なジョブと、そうでないジョブとを判別する。例えば、1件目の実行済みの種別が「読み取り」であった場合は、2件目以降に選択可能なジョブは「読み取り」のジョブであるというように、同一の種別に属する機能のみを2件目以降に選択可能であると設定しておく。
【0048】
ステップS307において、再実行ジョブ設定制御部113は、再実行対象として選択されたジョブの数を更新する。
【0049】
ステップS308において、メニュー表示制御部111は、上記ステップS303において再実行の対象として選択された実行済みのジョブ、及び上記ステップS306において再実行することが可能であると判断された実行済みのジョブのみが選択可能に表示された、
図7に示すような絞り込み後ジョブ選択画面710をユーザインタフェース装置105に表示する。つまり、絞り込み後ジョブ選択画面710は、ある実行済みのジョブが再実行の対象として選択された場合に、当該ジョブとともに再実行することが不可能な実行済みのジョブを除外、つまり再実行が可能なジョブのみに絞り込んで表示したものである。
【0050】
絞り込み後ジョブ選択画面710は、ログイン利用者名表示欄711、履歴種別表示欄712、選択済みジョブ表示欄713、選択可能ジョブ表示欄714、選択済みジョブ数表示欄715、開始ボタン716を有している。例えば、
図7では、ログイン利用者名表示欄711には「ユーザA」が表示され、履歴種別表示欄712には「読み取り」が表示されている。また、選択済みジョブ表示欄713には「本体保存00012…」のジョブが選択済みであることを示すため、強調して表示されている。なお、履歴種別表示欄712に表示される機能の種別は、選択済みジョブ表示欄713に表示される1件目のジョブの種別によって決定される。
【0051】
選択可能ジョブ表示欄714には、例えば「メール送信…userA
【0052】
test.jp」のジョブが表示され、既に選択済みの「本体保存00012…」のジョブと共にまとめて再実行することが可能なジョブであることを示している。なお、
図7では、選択済みジョブ表示欄713と選択可能ジョブ表示欄714にはそれぞれ一つずつのジョブしか表示されていないが、実際には複数のジョブが表示されていてもよい。
【0053】
さらに、選択済みジョブ数表示欄715には、現時点で選択済みとなったジョブの件数、
図7では「1件」が表示されている。この件数と、選択済みジョブ表示欄713に表示されているジョブの件数は一致している。
【0054】
続くステップS309において、ジョブ実行制御部112は、開始ボタン716が選択されたか否かを判断する。開始ボタン716が押されない場合は、ステップS303に戻り、再実行ジョブ設定制御部113は、実行済みのジョブから再実行対象とするジョブの選択をさらに受け付ける。開始ボタン716が押されたと判断された場合、ステップS310に進む。
【0055】
図8は、再実行対象とされるジョブを複数選択した状態の絞り込み後ジョブ選択画面810である。絞り込み後ジョブ選択画面810では、選択済みジョブ表示欄811に、2つのジョブ「本体保存00012…」、「メール送信…userA
【0056】
test.jp」が選択済みとなっていることが示されており、その外に選択可能なジョブは存在しないことが示されている。また、選択済みジョブ数表示欄812にはその時点で選択済みとなっているジョブの件数「2件」が表示されている。
【0057】
ステップS310において、再実行ジョブ設定制御部113は、再実行対象として選択されたジョブが2件以上あるか否かを判断する。再実行対象として選択されたジョブが1件のみの場合は、ステップS313に進む。再実行対象として選択されたジョブが2件以上あると判断された場合、ステップS311に進む。
【0058】
ステップS311において、再実行ジョブ設定制御部113は、再実行対象として選択された実行済みの複数のジョブを設定項目毎に比較し、同一設定項目における設定値が異なるものがあるか否かを判断する。同一設定項目において設定値が異なるものがあると判断された場合、ステップS312に進む。一方、同一設定項目において設定値が異なるものがないと判断された場合、つまり、再実行の対象として選択された実行済みのジョブの複数のジョブの、同一設定項目における設定値がすべて同一である場合は、ステップS313に進み、当該複数のジョブをそのまままとめて実行する。
【0059】
ステップS312において、再実行ジョブ設定制御部113は、一致していない設定値の設定項目が
図9に示すような分類テーブル115のどれに属するかを判断し、それぞれの設定項目の設定値を以下の方法で調整する。
【0060】
図9は、記憶装置103に保存されている分類テーブル115の一例を示す図である。分類テーブル115は、設定項目毎に、再実行の対象として選択された実行済みの複数のジョブの設定値が異なる場合の処理方法を予め決定したものである。
図9の分類テーブルでは、各機能に含まれる各設定項目を3つの分類項目、つまり「画像処理」に関する設定項目、「後処理」に関する設定項目、「原稿」に関する設定項目に分類し、それぞれの設定項目毎に、設定値が異なる場合の処理方法を予め決定している。例えば、「画像処理」の分類項目には、「色空間」、「濃度」、「コントラスト」、「彩度」、「シャープネス」、「地色除去」、「裏移り防止」、「枠消し」、「中消し」が該当する。これら「画像処理」の分類項目に属する設定項目の設定値が選択された複数のジョブ間で異なる場合には、「処理」欄に記載された規則にしたがって再実行するジョブの設定値を調整する。
【0061】
例えば、「画像処理」の分類項目については、「宛先に応じて自動設定する」ことになっており、さらに宛先がメールアドレス、クラウドサービスを含む場合には、読み取り後のデータ量が小さくなるように設定値を調整する。一方、宛先が画像処理装置100本体の利用者個人に割り当てられた保存領域、PC、サーバ、USBメモリのみの場合は画質が優先される設定値に調整する。このように、再実行ジョブ設定制御部113は、異なる設定値の設定項目が「画像処理」の分類項目に属する場合は、分類テーブル115の規則に従って自動調整する。
【0062】
また、再実行ジョブ設定制御部113は、異なる設定値の設定項目が「後処理」の分類項目に属するものについては、再実行するジョブの設定値を、後処理を行う設定値のものに変更する。さらに、「原稿」の分類項目については、「利用者に選択させる」ことになっており、「原稿」に含まれる設定項目の設定値が異なる場合は、メニュー表示制御部111は、
図10に示すような設定値選択画面1010をユーザインタフェース装置105に表示させ、選択された実行済みの複数のジョブの異なる設定値のうちのいずれかを選択する指示を利用者から受け付ける。
図10の設定値選択画面では、「原稿」の分類項目に含まれる「片面・両面」の設定項目の設定値が異なっていたため、どちらの設定値に合わせてジョブを実行するかの選択を促すため、「片面」ボタン1011、及び「両面」ボタン1012が表示されている。利用者がいずれかを選択すると、再実行ジョブ設定制御部113は、利用者が選択した設定値を、再実行するジョブの設定値に設定する。
【0063】
ステップS313において、ジョブ実行制御部112は、再実行対象のジョブとして選択されている1つ又は複数のジョブを実行し、処理を終了する。なお、このとき、ジョブ実行制御部112は、複数のジョブを再実行するにあたって、一度で実行することが可能な処理は一度だけ実行する。例えば、1件目も2件目も「読み取り」処理である場合、原稿の読み取りは一度だけ実行する。これにより、利用者は原稿を原稿台に載置する作業を一度だけ行うことになる。また、上記処理により実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行した場合に、ジョブ実行制御部112は、当該新たなジョブを一つの実行済みのジョブとしてジョブ履歴一覧表114に追加する。これにより、メニュー表示制御部111が
図5に示すような再実行対象ジョブ選択画面510をユーザインタフェース装置105に表示する際に、この新たに実行されたジョブも一つの実行済みのジョブとしてジョブ履歴一覧に表示する。
【0064】
本実施形態において、上述したステップS311、S313では、説明を簡単にするため、選択された複数のジョブにおけるすべての設定項目の設定値が同一である場合に複数のジョブをそのまままとめて実行する場合を例としたが、実際には、すべての設定項目の設定値が同一というわけではない場合でも、つまり一部だけが同一である場合でも、いわば「同一」とみなして、本実施形態と同様の処理を実行するようにしてもよい。
【0065】
例えば、予め定められた特定の設定項目の設定値のみが異なっている場合、あるいは、選択された複数のジョブのそれぞれが、幾つかの処理に分割でき、分割された処理のうち時間的に最初に実行する処理と関連のある設定項目の設定値が同一である場合に、設定項目の設定値が同一であるとみなしてもよい。
【0066】
具体的には、例えば、再実行対象として選択された複数のジョブがそれぞれ「ファクシミリ」である場合に、それぞれのジョブの「宛先」の設定項目の設定値のみが異なっている、つまり宛先が異なり、他の設定項目の設定値は同一である場合に、ジョブの設定値をみなし「同一」であるとして、読み取り処理を共通に行い、2つの異なる宛先に読み取った文書を送信するようにしてもよい。この場合、予め定められた特定の設定項目である「宛先」の設定項目の設定値のみが異なり、他の設定項目の設定値は同一であるから、上記処理を行うことになる。あるいは、ファクシミリ処理は、読み取りを行う処理と送信を行う処理とに分割することができるが、分割された処理のうち先に行う処理に関連する設定項目の設定値は同一であるから、上記処理を行うものとすることができる。
【0067】
また、例えば、再実行対象として選択された複数のジョブが「読み取り」と「ファクシミリ」である場合に、それぞれ読み取った文書の宛先と保存場所は異なるが、上述のようにファクシミリ処理は、読み取りを行う処理と送信を行う処理とに分割することができ、このうち読み取りを行う処理に関連する設定項目の設定値と、もう1つの「読み取り」ジョブの読み取りを行う処理の設定項目の設定値が同一である場合に、設定項目の設定値が同一であるとみなして読み取り処理を共通に行う。選択された複数のジョブが「複写」や「印刷出力」の場合にも、印刷データの生成処理と印刷処理とに分割することができ、このうち印刷データの生成処理に関す設定項目の設定値が同一である場合には、設定項目の設定値が同一であるとみなして、当該処理を共通に行うようにしてもよい。
【0068】
上述のように、特定の設定項目には、選択されたジョブが「ファクシミリ」や「読み取り」の場合には「宛先」、「複写」や「印刷出力」の場合には「印刷枚数」といった、利用者や状況によって変更する頻度の高い設定項目が含まれる。
【0069】
[操作の具体例1]
上記説明した画像処理装置100において、具体的な操作を行う実例を以下に説明する。
(1)まず、利用者は、原稿を読み取って画像処理装置100本体の利用者個人に割り当てられた保存領域に保存するジョブと、原稿を読み取ってメール送信をするジョブをそれぞれ別々に実行する。なお、原稿を読み取って画像処理装置100本体の利用者個人に割り当てられた保存領域に保存するジョブの原稿読み取り方法は片面読み取りであったのに対し、原稿を読み取ってメール送信をするジョブの原稿読み取り方法は両面読み取りであったものとする。これらのジョブとその設定値の情報は、ジョブ実行毎にジョブ履歴一覧表114に追加され、記憶される。
【0070】
(2)後日、同じ利用者が、原稿を読み取って画像処理装置100本体の利用者個人に割り当てられた保存領域に保存するとともに原稿を読み取ってメール送信をしようとする。このとき、利用者は、以前に同じような処理をしたことを思い出し、
図4に示すメニュー画面からジョブ履歴表示ボタン418を選択し、
図5に示すような再実行対象ジョブ選択画面510を表示させる。
【0071】
(3)利用者は、再実行対象ジョブ選択画面510から、「本体保存…」のジョブを再実行するジョブとして選択する。すると、1件目として選択されたジョブに応じて再実行対象ジョブ選択画面510から、2件目として選択できないジョブが除外され、
図7に示すような絞り込み後ジョブ選択画面710が表示される。
【0072】
(4)利用者は、絞り込み後ジョブ選択画面710から、「メール送信…」のジョブを再実行する2件目のジョブとして選択し、2つのジョブが再実行対象として選択された状態の
図8の絞り込み後ジョブ選択画面810において開始ボタン813を選択する。
【0073】
(5)再実行ジョブ設定制御部113は、再実行する1件目のジョブと2件目のジョブの設定値を比較し、原稿の読み取り方法の設定値が異なることを検出する。そのため、メニュー表示制御部111が
図10に示すような設定値選択画面1010を表示し、利用者に原稿の読み取りを「片面」と「両面」のいずれで行うかを問い合わせる。
【0074】
(6)利用者は、「片面」ボタン1011を選択し、開始ボタンを選択すると、ジョブ実行制御部112が原稿台に載置された原稿の片面のみを一度だけ読み込み、読み取り処理を実行する。読み取られたデータは、本画像処理装置100の本体内部の記憶装置103に保存されるとともに、同一のデータがインターネットを介して所定の宛先にメール送信される。
【0075】
[操作の具体例2]
なお、上記の例では、実行済みの2つのジョブをまとめて実行する場合、原稿は1種類であり、読み取りを1回だけ行うことにより2つのジョブをまとめて実行する処理を説明した。しかし、本発明は上記の例に限定されず、2つの原稿を扱う処理を、1回の操作で再実行する、つまり2つのジョブを連続して再実行するようにしてもよい。以下の操作の具体例2は、その場合の処理について説明している。
【0076】
(1)まず、利用者は、原稿を読み取って画像処理装置100本体の利用者個人に割り当てられた保存領域に保存するジョブと、原稿を読み取ってメール送信をするジョブをそれぞれ別々に実行する。これらのジョブとその設定値の情報は、ジョブ実行毎にジョブ履歴一覧表114に追加され、記憶される。
【0077】
(2)後日、同じ利用者が、原稿を読み取って画像処理装置100本体の利用者個人に割り当てられた保存領域に保存するとともに原稿を読み取ってメール送信をしようとする。このとき、利用者は、以前に同じような処理をしたことを思い出し、
図4に示すメニュー画面からジョブ履歴表示ボタン418を選択し、
図5に示すような再実行対象ジョブ選択画面510を表示させる。
【0078】
(3)利用者は、再実行対象ジョブ選択画面510から、1件目のジョブとして「本体保存…」のジョブを再実行するジョブとして選択し、2件目のジョブとして「メール送信…」のジョブを選択する。
【0079】
(4)利用者は、原稿台に1件目として再実行するジョブが処理すべき原稿と2件目として再実行するジョブが処理すべき原稿の、2つをまとめて載置する。このとき2つの原稿の間に原稿の切れ目がわかるような合紙を挟んでおく。
【0080】
(5)利用者が開始ボタンを選択すると、ジョブ実行制御部112が1件目のジョブを、1件目のジョブの設定値で実行し、画像処理装置100本体内部の記憶装置103に保存する。ジョブ実行制御部112が、合紙を検知すると、1件目のジョブの再実行が完了したことを検知し、続く原稿を2件目のジョブの設定値で実行し、メール送信する。なお、合紙を検知した時点でジョブ実行制御部112は、1件目のジョブに対応する処理が修了したと判断し読み取り処理を一時停止し、利用者に2件目のジョブの読み取りを開始する旨の通知を表示し、利用者からの許諾を得てから2件目のジョブの読み取りを開始するようにしてもよい。
【0081】
なお、上記操作の具体例2では、1つ目のジョブの原稿と2つ目のジョブの原稿との間に合紙を挟む場合を説明したが、1つ目のジョブを実行するにあたって、1つ目のジョブに対応する原稿を原稿台に載置して読み取らせ、続いて2つ目のジョブを実行する前に、次のジョブを実行するために原稿を原稿台に載置することを促す通知をユーザインタフェース装置105に表示させ、2つ目のジョブの原稿を原稿台に載置して開始ボタンが選択されると2つ目のジョブが再実行されるようにしてもよい。
【0082】
なお、上記の実施形態においては、1件目に再実行されるジョブとして読み取り機能が選択された場合には、2件目の再実行するジョブとして選択可能なジョブは読み取り機能を備えるジョブのみに限定される例を説明した。しかしながら、本発明は上記の例に限定されず、1件目が読み取り機能を使用するジョブであり、2件目が複写機能を使用するジョブのように一部の機能を共通とするジョブを選択できるようにしてもよい。上記の場合、原稿の読み取りを共通の機能として実行し、続く処理、例えば本体保存と、印刷処理を別々の処理として実行する。
【0083】
さらに、実行済みの複数のジョブをまとめて新たなジョブとして実行する際に、複数のジョブに対応する処理毎に異なる設定値で実行するようにしてもよい。例えば、1件目、2件目のジョブの両方が複写機能を使用する場合であり、1件目のジョブと2件目のジョブの設定値が異なる場合に、1件目のジョブに対応する処理を1件目のジョブの設定値で実行し、上記のような原稿の合紙を判別した時点で2件目のジョブに対応する処理であることを判別し、以降の処理を2件目のジョブの設定値で実行するようにしてもよい。
【0084】
なお、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0085】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、必要に応じて変更してもよい。
【符号の説明】
【0086】
100 画像処理装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 ユーザインタフェース装置
106 印刷装置
107 読み取り装置
108 制御用バス
111 メニュー表示制御部
112 ジョブ実行制御部
113 再実行ジョブ設定制御部
114 ジョブ履歴一覧表
115 分類テーブル