(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】表示パネル基板及び表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240730BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240730BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20240730BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20240730BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G09F9/30 309
G02F1/13 101
G02F1/1339 505
G02F1/1345
G09F9/00 338
(21)【出願番号】P 2020125368
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山田 倫久
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-093844(JP,A)
【文献】特開2014-191129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0234967(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0135091(KR,A)
【文献】特開2001-021909(JP,A)
【文献】特開2009-244303(JP,A)
【文献】特開2006-084881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G02F 1/13
G02F 1/1339
G02F 1/1345
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板に対して対向して配置される第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板とで第1の表示パネルを形成するように前記第1の基板と前記第2の基板との間に形成される第1のシールと、
前記第1の基板と前記第2の基板とで第2の表示パネルを形成するように前記第1の基板と前記第2の基板との間に形成される第2のシールと、
前記第1の表示パネルを形成する前記第1の基板と前記第2の基板とを導電接続するトランスファと、
を具備し、
前記第1のシールと前記第2のシールとは、前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルとのカットラインにおいて共通化されており、
前記トランスファは、第1の基板における前記第1のシールの外側であって、前記カットラインよりも前記第1の表示パネルの側の位置に形成され、
前記カットラインに対して前記トランスファと対称な位置には前記第1の基板と前記第2の基板とを導電接続しない構造物が形成されている、
表示パネル基板。
【請求項2】
前記構造物は、前記第1の基板と前記第2の基板とを導電接続しないダミーのトランスファである、請求項
1に記載の表示パネル基板。
【請求項3】
前記構造物は、前記第2のシールによって形成された構造物である、請求項
1に記載の表示パネル基板。
【請求項4】
前記構造物は、柱状スペーサである、請求項
1に記載の表示パネル基板。
【請求項5】
第1の基板と、
前記第1の基板に対して対向して配置される第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板とで第1の表示パネルを形成するように前記第1の基板と前記第2の基板との間に形成される第1のシールと、
前記第1の基板と前記第2の基板とで第2の表示パネルを形成するように前記第1の基板と前記第2の基板との間に形成される第2のシールと、
前記第1の表示パネルを形成する前記第1の基板と前記第2の基板とを導電接続するトランスファと、
を具備し、
前記トランスファは、前記第1の基板における前記第1のシール
よりも内側の位置に形成され、
前記第1のシールと前記第2のシールとは、前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルとのカットラインにおいて共通化され、かつ、前記カットラインに対して対称に形成されている、
表示パネル基板。
【請求項6】
第1の基板を形成することと、
第2の基板を形成することと、
第1の表示パネルと第2の表示パネルとをそれぞれ形成するためのシールであって、前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルのカットラインにおいて共通化されている第1のシールと第2のシールとを含むシールパターンを前記第1の基板に形成することと、
前記第1の基板における、前記第1のシールの外側であって、前記カットラインよりも前記第1の表示パネルの側の位置に、前記第1の表示パネルを形成する前記第1の基板と前記第2の基板とを導電接続するトランスファを形成することと、
前記カットラインに対して前記トランスファと対称な位置に前記第1の基板と前記第2の基板とを導電接続しない構造物を形成することと、
前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせることによって前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルを形成することと、
前記カットラインにおいて前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルとを分断することと、
を具備する表示パネルの製造方法。
【請求項7】
第1の基板を形成することと、
第2の基板を形成することと、
第1の表示パネルと第2の表示パネルとをそれぞれ形成するためのシールであって、前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルのカットラインにおいて共通化され、かつ、前記カットラインに対して対称な第1のシールと第2のシールとを含むシールパターンを前記第1の基板に形成することと、
前記第1の基板における、前記第1のシールの内側の位置に、前記第1の表示パネルを形成する前記第1の基板と前記第2の基板とを導電接続するトランスファを形成することと、
前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせることによって前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルを形成することと、
前記カットラインにおいて前記第1の表示パネルと前記第2の表示パネルとを分断することと、
を具備する表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、表示パネルが実装される表示パネル基板及び表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは1対の透明基板の間に液晶を封入することで製造される。液晶パネルの製造方法として、複数の液晶パネル用の電極等が作り込まれたマザー基板と呼ばれる2枚のガラス基板をシールによって貼り合わせ、マザー基板を複数の液晶パネルの単位に分断し、それぞれの液晶パネルに液晶を封入することによって複数の液晶パネルを同時に生成する方法が知られている。このような液晶パネルの製造方法において、隣接する2枚の液晶パネルのカットライン上にシールパターンを配置し、シールパターンの中央でこれらの隣接する2枚の液晶パネルを分断する方法がある。以後、この方法をシール分断と呼称する。シール分断を用いることでそれぞれの液晶パネルの狭額縁化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シール分断を用いてマザー基板をカットする際に、シール分断の起点部、終点部といったシール分断でない箇所において、基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等が発生することがある。
【0005】
実施形態は、シール分断の際の割れ等が抑制される表示パネル基板及び表示パネルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の表示パネル基板は、第1の基板と、第1の基板に対して対向して配置される第2の基板と、第1の基板と第2の基板とで第1の表示パネルを形成するように第1の基板と第2の基板との間に形成される第1のシールと、第1の基板と第2の基板とで第2の表示パネルを形成するように第1の基板と第2の基板との間に形成される第2のシールと、第1の表示パネルを形成する第1の基板と第2の基板とを導電接続するトランスファとを備えている。第1のシールと第2のシールとは、第1の表示パネルと第2の表示パネルとのカットラインにおいて共通化されている。トランスファは、第1の基板における第1のシールの外側であって、カットラインよりも第1の表示パネルの側の位置に形成されている。カットラインに対してトランスファと対称な位置には第1の基板と第2の基板とを導電接続しない構造物が形成されている。
【0007】
第2の態様の表示パネル基板は、第1の基板と、第1の基板に対して対向して配置される第2の基板と、第1の基板と第2の基板とで第1の表示パネルを形成するように第1の基板と第2の基板との間に形成される第1のシールと、第1の基板と第2の基板とで第2の表示パネルを形成するように第1の基板と第2の基板との間に形成される第2のシールと、第1の表示パネルを形成する第1の基板と第2の基板とを導電接続するトランスファとを備える。トランスファは、第1の基板における第1のシールよりも内側の位置に形成されている。第1のシールと第2のシールとは、第1の表示パネルと第2の表示パネルとのカットラインにおいて共通化され、カットラインに対して対称に形成されている。
【0008】
第3の態様の表示パネルの製造方法は、第1の基板を形成することと、第2の基板を形成することと、第1の表示パネルと第2の表示パネルとをそれぞれ形成するためのシールであって、第1の表示パネルと第2の表示パネルのカットラインにおいて共通化されている第1のシールと第2のシールとを含むシールパターンを第1の基板に形成することと、第1の基板における、第1のシールの外側であって、カットラインよりも第1の表示パネルの側の位置に、第1の表示パネルを形成する第1の基板と第2の基板とを導電接続するトランスファを形成することと、カットラインに対してトランスファと対称な位置に第1の基板と第2の基板とを導電接続しない構造物を形成することと、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせることによって第1の表示パネルと第2の表示パネルを形成することと、カットラインにおいて第1の表示パネルと第2の表示パネルとを分断することとを備える。
【0009】
第4の態様の表示パネルの製造方法は、第1の基板を形成することと、第2の基板を形成することと、第1の表示パネルと第2の表示パネルとをそれぞれ形成するためのシールであって、第1の表示パネルと第2の表示パネルのカットラインにおいて共通化され、かつ、カットラインに対して対称な第1のシールと第2のシールとを含むシールパターンを第1の基板に形成することと、第1の基板における、第1のシールの内側の位置に、第1の表示パネルを形成する第1の基板と第2の基板とを導電接続するトランスファを形成することと、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせることによって第1の表示パネルと第2の表示パネルを形成することと、カットラインにおいて第1の表示パネルと第2の表示パネルとを分断することとを備える。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、シール分断の際の割れ等が抑制される表示パネル基板及び表示パネルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、各実施形態に係る表示パネルの構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、表示パネルを製造するための各実施形態に係る表示パネル基板を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における、
図2に示すカットラインの端付近の領域の拡大図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5A】
図5Aは、表示パネルにダミートランスファが形成されていない状態でのシール分断について示す図である。
【
図5B】
図5Bは、表示パネルにダミートランスファが形成されている状態でのシール分断について示す図である。
【
図6】
図6は、第1の変形例の構造物を示す図である。
【
図7】
図7は、第2の変形例の構造物を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態における、
図2に示すカットラインの端付近の領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1Aは、各実施形態に係る表示パネルの構成を示す平面図である。
図1Bは、
図1Aの1B-1B線断面図である。
図1Aに示すように、表示パネル1は、液晶パネルであって、第1の基板10と、第2の基板20とを有する。第1の基板10及び第2の基板20は、例えばガラス基板である。
図1Bに示すように、第1の基板10と第2の基板20との間には液晶層30が介在されている。シール40は、例えば樹脂によって構成され、液晶層30の液晶が漏れ出さないように封止しつつ、第1の基板10と第2の基板20とを貼り合わせる。第1の基板10と第2の基板20との間隔であるセルギャップは、図示しないスペーサによって一定に保たれている。ここで、表示パネル1には、表示エリアaが設定されている。表示エリアaは、表示パネル1において実際に画像の表示に用いられるエリアである。
【0013】
第1の基板10の表示エリアaには、走査線11と、信号線12と、画素13とが形成されている。走査線11は、表示エリアaの水平方向に沿って形成され、図示しない走査線駆動回路に接続される。信号線12は、表示エリアaの垂直方向に走査線11と交差するように形成され、図示しない信号線駆動回路に接続される。画素13は、走査線11と信号線12との交点付近に形成される。画素13は、画素電極と、スイッチング素子とを含む。画素電極とスイッチング素子とは、配向膜によって覆われている。画素電極は、ITO等の透明電極である。スイッチング素子は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)であり、走査線11と信号線と12と画素電極とに接続されている。スイッチング素子は、走査線駆動回路から走査線11を介して送られてくる走査信号に応じてオン又はオフされる。スイッチング素子がオンされたとき、信号線駆動回路から信号線12を介して送られてくる階調電圧が画素電極に印加される。
【0014】
第2の基板20の表示エリアaには、共通電極21が形成されている。共通電極21は、第1の基板10のそれぞれの画素13と対向するように形成され、図示しない共通電極駆動回路に接続されている。共通電極21は、配向膜によって覆われている。共通電極21には、共通電極駆動回路によって共通電圧が印加される。
【0015】
スイッチング素子がオンされたとき、画素13の画素電極には階調電圧が印加される。一方で、共通電極21には共通電圧が印加されている。したがって、画素13の画素電極と共通電極21との間に介在している液晶層30には、階調電圧と共通電圧との差に応じた電圧が印加される。液晶は、電圧の印加によって光の透過率を変化させる特性を有する。例えば、表示パネル1の裏面等に光源を配しておき、光源からの光が液晶層30を通過する際の透過率が変化されることにより、画素13毎の階調表示が行われ得る。
【0016】
図2は、表示パネルを製造するための各実施形態に係る表示パネル基板を示す図である。実施形態では、表示パネル基板100は、
図1で示した構成を有する複数の表示パネルが同時に形成された基板である。
図2では、表示パネル基板100において2つの表示パネル1a、1bが形成されている例が示されている。例えば、表示パネルの水平方向に沿った方向を行方向、垂直方向に沿った方向を列方向としたとき、表示パネル1a、1bは、行方向に隣接して形成される。表示パネル1aと表示パネル1bとの行方向の境界部にはカットラインCLが設定される。表示パネル1aと表示パネル1bとの形成が完了した後、表示パネル1aと表示パネル1bとはカットラインCLにおいて分断される。
【0017】
ここで、
図2に示すように、表示パネル1aのシール40aと表示パネル1bのシール40bとは、カットラインCLにおいて共通化されるように形成される。この場合において、表示パネル1aと表示パネル1bとはカットラインCLにおいてシールごと分断される。このようなシール分断では、それぞれの表示パネルのシールの形成位置をカットラインの位置にまで移動させることができる。このため、表示パネルの狭額縁化が図られ得る。
【0018】
図3は、第1の実施形態における、
図2に示すカットラインCLの端付近の領域Rの拡大図である。液晶パネルでは、第1の基板10と第2の基板20とを導電接続するためにトランスファが形成される。
図3では、表示パネル1aのトランスファ50aは、シール40aとカットラインCLとで構成される表示パネル1aの右上隅の空き領域に形成されている。トランスファ50aには、例えば銀ペースト、カーボンペーストといった導電ペーストが用いられる。トランスファ50aは、第1の基板10及び第2の基板20を、例えば表示パネル1aの外部の走査線駆動回路、信号線駆動回路、共通電極駆動回路といった回路に接続するための引き出し配線に接続され得る。
図3では示されていないが、トランスファは、表示パネル1bの右上隅の空き領域にも形成され得る。
【0019】
ここで、実施形態では、カットラインCLに対してトランスファ50aと対称な位置に構造物としてのダミートランスファ50bが形成される。つまり、
図3では、表示パネル1bのダミートランスファ50bは、シール40bとカットラインCLとで構成される表示パネル1bの左上隅の空き領域に形成される。ダミートランスファ50bは、トランスファ50aと同一の材料、同一の構造で形成されてよい。しかしながら、ダミートランスファ50bは、トランスファ50aとは異なり、走査線駆動回路、信号線駆動回路、共通電極駆動回路といった回路には接続されない。
【0020】
図4は、第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示すフローチャートである。以下、説明を簡単にするために
図2で示した表示パネル1a及び表示パネル1bの製造方法を説明する。
【0021】
ステップS1において、第1の基板10を構成するための第1のマザー基板に、表示パネル1aを構成する走査線11、信号線12、画素13及び表示パネル1bを構成する走査線11、信号線12、画素13が形成される。走査線11、信号線12、画素13の形成は、任意の手法で行われ得る。
【0022】
ステップS2において、第2の基板20を構成するための第2のマザー基板に、表示パネル1aを構成する共通電極21及び表示パネル1bを構成する共通電極21が形成される。共通電極21の形成は、任意の手法で行われ得る。
【0023】
ステップS3において、第1のマザー基板にシールパターンが形成される。前述したように、シールパターンは、表示パネル1aと表示パネル1bとのカットラインにおいて表示パネル1aのシールと表示パネル1bのシールとが共通化されるように形成される。また、シールパターンは、後の工程において液晶が注入されるための注入口をそれぞれの表示パネルが有するように形成される。シールパターンは、第2のマザー基板に形成されてもよい。
【0024】
ステップS4において、第1のマザー基板にトランスファが形成される。トランスファは、第2のマザー基板に形成されてもよい。
【0025】
ステップS5において、第1のマザー基板にダミートランスファが形成される。前述したように、ダミートランスファは、表示パネル1aと表示パネル1bとのカットラインに対してトランスファと対称な位置に形成される。ダミートランスファは、第2のマザー基板に形成されてもよい。また、ステップS4のトランスファの形成とステップS5のダミートランスファの形成とは、同一工程で行われてもよい。
【0026】
ステップS6において、第1のマザー基板と第2のマザー基板とが貼り合わされる。
【0027】
ステップS7において、第1のマザー基板と第2のマザー基板とがダイヤモンドカッター、ガラスカッター等を用いたスクライバによってシールごと分断される。これによって、表示パネル1aを構成する第1の基板10及び第2の基板20、表示パネル1bを構成する第1の基板10及び第2の基板20がそれぞれ形成される。
【0028】
ステップS8において、表示パネル1a及び表示パネル1bのそれぞれのシールに形成されている注入口を介して表示パネル1a及び表示パネル1bに液晶が注入される。液晶の注入後、それぞれの注入口が封止される。これにより、表示パネル1a、1bの製造が完了する。
【0029】
以上説明したように第1の実施形態によれば、表示パネル1aと表示パネル1bとの境界部に設定されるカットラインCLに対して対称な位置関係となるようにトランスファ50aとダミートランスファ50bとが形成される。これにより、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造が一致する。このため、カットラインCLにおいて表示パネル1aと表示パネル1bとが分断される際の、基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等が抑制される。
【0030】
以下、第1の実施形態の効果についてさらに説明する。
図5Aは、表示パネル1bにダミートランスファが形成されていない状態でのシール分断について示す図である。
【0031】
表示パネル1bにダミートランスファ50bが形成されていないとき、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造は、トランスファ50aの有無の違いのために一致しない。
【0032】
ここで、ダイヤモンドカッター及びガラスカッター等を用いたスクライバによるシール分断では、カットラインCLに沿ってスクライブ刃200が押し当てられながらマザー基板がシールごと分断される。このとき、スクライブ刃200の押し当てによって第2のマザー基板と第1のマザー基板とには、重力方向の押し当て力が働く。ここで、
図5Aの例では、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造は一致していない。このため、スクライブ刃200からの押し当て力の加わり方がカットラインCLを境にして異なることになる。つまり、表示パネル1aの側の第2のマザー基板である第2の基板20aは、トランスファ50aによって支持されているためにスクライブ刃200からの押し当て力がトランスファ50aによって受けられる。これに対し、表示パネル1bの側の第2のマザー基板である第2の基板20bは支持されていないため、第2の基板20bだけがスクライブ刃200からの押し当て力によって重力方向に変形し得る。このような変形が生じた場合、スクライブ刃200がカットラインCLに沿って垂直に降りてきたとしても、スクライブ刃200は、第2の基板20bに対して斜めに侵入する。したがって、第2の基板20bは、破線Cで示すようにして斜めに切断される。このようにしてシール分断の際の基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等が発生する。
【0033】
図5Bは、表示パネル1bにダミートランスファが形成されている状態でのシール分断について示す図である。
【0034】
表示パネル1bにダミートランスファ50bが形成されているとき、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造は一致する。このため、スクライブ刃200からの押し当て力の加わり方がカットラインCLを境にして異なることはない。したがって、スクライブ刃200がカットラインCLに沿って垂直に降りてくれば、スクライブ刃200は、破線Cで示すようにして第2の基板20a及び第2の基板20bの何れに対しても垂直に侵入する。このようにしてシール分断の際の、基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等が抑制される。
【0035】
ここで、第1の実施形態では、表示パネル基板100には、2つの表示パネル1a、1bのみが形成されているように示されている。しかしながら、表示パネル基板100には、互いに隣接する3つ以上の表示パネルが同時に形成されてもよい。例えば、3つ以上の表示パネルが行方向に互いに隣接して形成されてもよい。この場合においても、互いに隣接する表示パネルのシールは、カットラインにおいて共通化されるように形成されてよい。表示パネル基板100には、さらに、列方向に隣接するように表示パネルが形成されてもよい。列方向に互いに隣接する表示パネルのシールは、カットラインにおいて共通化されていてもよいし、共通化されていなくてもよい。
【0036】
[変形例]
第1の実施形態の変形例を説明する。第1の実施形態では、カットラインCLに対してトランスファ50aと対称な位置に構造物としてのダミートランスファ50bが形成される。これに対し、トランスファ50aと対称な位置に形成される構造物は、必ずしもダミートランスファでなくてもよい。
【0037】
図6は、第1の変形例の構造物を示す図である。
図6の構造物は、シール構造物60bである。シール構造物60bは、ダミートランスファ50bと同様にカットラインCLに対してトランスファ50aと対称な位置に形成される。このシール構造物60bは、トランスファ50aと類似な縦構造を有し、シール40bを形成するためのシールパターンの形成時にシール40bと一体的に形成される。
【0038】
図6のようなシール構造物60bが形成されることでも、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造はほぼ一致する。このため、シール分断の際の基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等が抑制される。
【0039】
また、シール構造物60bは、シールパターンの形成時に同時に形成することができる。このため、シール構造物60bは、ダミートランスファ50bに比べて安価にかつ簡易に形成され得る。
【0040】
図7は、第2の変形例の構造物を示す図である。
図7の構造物は、スペーサ70bである。スペーサ70bは、ダミートランスファ50bと同様にカットラインCLに対してトランスファ50aと対称な位置に形成される。このスペーサ70bは、表示パネル1bのセルギャップを形成するためのスペーサであって、トランスファ50aと類似な縦構造を有する柱状スペーサである。スペーサ70bは、有機物で形成されてもよいし、無機物で形成されてもよい。
【0041】
図7のようなスペーサ70bが形成されることでも、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造はほぼ一致する。このため、シール分断の際の基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等が抑制される。
【0042】
また、スペーサ70bは、セルギャップを形成するためのスペーサの形成時に同時に形成することができる。このため、スペーサ70bは、ダミートランスファ50bに比べて安価にかつ簡易に形成され得る。
【0043】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を説明する。ここで、第2の実施形態において第1の実施形態と同一の部分については説明を省略する。第1の実施形態では、カットラインCLに対してトランスファ50aと対称な位置に構造物が形成されることによって、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造が一致している。これに対し、第2の実施形態は、カットラインCLに対してトランスファ50aと対称な位置に構造物が形成されることなく、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造とが一致される例である。
【0044】
図8は、第2の実施形態における、
図2に示すカットラインCLの端付近の領域Rの拡大図である。
図8では、表示パネル1aのトランスファ50aが、シール40aの内側に形成されている。トランスファ50aがシール40aの内側に形成されていることにより、カットラインCLに対して対称な位置における表示パネル1aと表示パネル1bとの縦構造は一致する。このため、カットラインCLにおいて表示パネル1aと表示パネル1bとが分断される際の、基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等が抑制される。
【0045】
第2の実施形態に係る表示パネルの製造方法は、基本的には
図4で示した流れに従っている。第2の実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、ステップS4におけるトランスファの形成位置と、ステップS5のダミートランスファの形成が省略される点である。
【0046】
第2の実施形態では、表示パネル1aのシール40aと表示パネル1bのシール40bの共通化されている部分が可能な限りカットラインCLの端にあることがより好ましい。例えば、
図8において、シールが共通化されている部分とカットラインCLの端部との距離をdとしたとき、dは、例えば0.7mm以内であることが望ましい。dが短いことにより、スクライブ刃200からの押し当て力の加わり方が表示パネル1aと表示パネル1bとで同じになりやすくなる。このため、表示パネル1aと表示パネル1bとが分断される際の、基板の斜め割れ、ガラス欠け、微小なガラス片の飛散発生等がより抑制される。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0048】
1,1a,1b…表示パネル、10…第1の基板、11…走査線、12…信号線、13…画素、20,20a,20b…第2の基板、21…共通電極、30…液晶層、40,40a,40b…シール、50a…トランスファ、50b…ダミートランスファ、60b…シール構造物、70b…スペーサ、100…表示パネル基板、200…スクライブ刃。