(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】クリーニング装置、画像形成装置及びクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240730BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G03G15/20 525
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2020126623
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 直史
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189976(JP,A)
【文献】特開2015-075671(JP,A)
【文献】特開2010-169774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
用紙搬送方向における搬送タイミングのバラツキに基づいて、前記第1用紙によるクリーニング範囲同士を重ねる長さを設定し、
前記定着部材の外周の周長と、前記第1用紙の搬送方向の長さと、前記重ねる長さとに基づいて、前記定着部材の外周を最小の枚数でクリーニングできるように、前記定着ニップに通過させる前記第1用紙同士の用紙間隔を変更する、
クリーニング装置。
【請求項2】
前記通過態様は、前記定着ニップに通過させる前記第1用紙同士の用紙間隔を含む、
請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記通過態様は、前記定着ニップに通過させる前記第1用紙の通過枚数を含む、
請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記定着部材は、回転可能であり、第2用紙に形成されたトナー像を定着させる定着回転体である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記定着回転体は、定着ベルトである、
請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記クリーニング部は、前記クリーニングに使用可能な用紙の中から搬送方向の長さが最も長いサイズの用紙を前記第1用紙として使用する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記クリーニング部は、前記クリーニングに使用可能な用紙の中からユーザーにより選択された用紙を前記第1用紙として使用する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記クリーニングで使用される前記第1用紙の幅が、前記定着ニップで用紙ジャムが発生したときの第2用紙の幅方向における画像形成領域の幅より小さい場合、前記定着部材に対するクリーニング範囲が幅方向に移動するように、前記定着ニップに通過させる前記第1用紙の通過位置を幅方向に移動させる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記クリーニング部によるクリーニングが中断された場合、中断前と同じ条件で、当該クリーニングを再開する、
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記クリーニング部によるクリーニング中に当該クリーニング以外の制御動作が要求された場合、当該クリーニングの完了後に前記制御動作を実施する、
請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記制御部は、ユーザーにより設定されたクリーニングの回数に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する、
請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記クリーニング後において、前記定着ニップを通過させた
第3用紙上のトナーを検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記
第3用紙上に前記トナーが検知された場合、前記クリーニングを実施する、
請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記クリーニング前において、前記定着ニップを通過させた
第4用紙上のトナーを検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記
第4用紙上に検知された前記トナーの濃度に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する、
請求項1から請求項
12のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項14】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、ユーザーにより設定されたクリーニングの回数に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する、
クリーニング装置。
【請求項15】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
前記クリーニング後において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知する検知部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2用紙上に前記トナーが検知された場合、前記クリーニングを実施する、
クリーニング装置。
【請求項16】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
前記クリーニング前において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知する検知部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2用紙上に検知された前記トナーの濃度に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する、
クリーニング装置。
【請求項17】
請求項1から請求項
16のいずれか一項に記載のクリーニング装置を備える、
画像形成装置。
【請求項18】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
用紙搬送方向における搬送タイミングのバラツキに基づいて、前記第1用紙によるクリーニング範囲同士を重ねる長さを設定し、
前記定着部材の外周の周長と、前記第1用紙の搬送方向の長さと、前記重ねる長さとに基づいて、前記定着部材の外周を最小の枚数でクリーニングできるように、前記定着ニップに通過させる前記第1用紙同士の用紙間隔を変更し、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する、
クリーニング方法。
【請求項19】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御し、
ユーザーにより設定されたクリーニングの回数に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する、
クリーニング方法。
【請求項20】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御し、
前記クリーニング後において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知し、
前記第2用紙上に前記トナーが検知された場合、前記クリーニングを実施する、
クリーニング方法。
【請求項21】
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
前記クリーニング前において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知し、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御し、
前記第2用紙上に検知された前記トナーの濃度に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する、
クリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、画像形成装置及びクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、一般的に、画像を用紙に転写する転写部よりも用紙搬送方向の下流側に、画像を用紙に定着させる定着部を備える。定着部としては、用紙を搬送する定着ベルトを加熱部分とするベルト式が用いられることが多い。
【0003】
定着部において用紙ジャムが発生して用紙が残った場合、定着部から用紙を退避させる処理(リカバリー処理)を実施するが、用紙上の未定着トナーが定着部の定着部材(例えば、定着ベルト)に付着してしまう可能性がある。定着部材に未定着トナーが付着した場合、上記のリカバリー処理後、そのまま画像形成処理を行うと、定着部材に付着した未定着トナーが、定着部の定着ニップにおいて、当該画像形成処理が行われた用紙に転写されてしまう。そのため、白紙を定着ニップに通紙することによって、定着部材に付着した未定着トナーを白紙に転移させてクリーニングを行う技術(所謂、白紙クリーニング技術と称する)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、定着部において用紙ジャムが発生した場合、用紙上の未定着トナーが定着部材上のどこに付着するか分からない。画像形成装置は、搬送される用紙の通過を検知するセンサーを備え、用紙ジャムが当該装置内のどこで発生しているか把握可能である。しかしながら、画像形成装置では、用紙ジャムとなった用紙のどこにトナー像が形成されて、未定着のトナー像が定着部材のどこに付着したかまでは把握できない。
【0006】
そして、従来の白紙クリーニング技術では、通常、定着部材の外周の全長より短い用紙が使用される。未定着のトナー像が定着部材のどこに付着したか分からない場合、例えば、用紙を定着ニップに搬送する搬送条件によっては、用紙が定着部材上の未定着トナーと接触しない場合があり、未定着トナーのクリーニング漏れが発生する可能があった。
【0007】
本発明の目的は、定着部材に付着したトナーのクリーニング漏れを防止可能なクリーニング装置、画像形成装置及びクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るクリーニング装置は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
用紙搬送方向における搬送タイミングのバラツキに基づいて、前記第1用紙によるクリーニング範囲同士を重ねる長さを設定し、
前記定着部材の外周の周長と、前記第1用紙の搬送方向の長さと、前記重ねる長さとに基づいて、前記定着部材の外周を最小の枚数でクリーニングできるように、前記定着ニップに通過させる前記第1用紙同士の用紙間隔を変更する。
また、本発明に係るクリーニング装置は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、ユーザーにより設定されたクリーニングの回数に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する。
また、本発明に係るクリーニング装置は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
前記クリーニング後において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知する検知部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2用紙上に前記トナーが検知された場合、前記クリーニングを実施する。
また、本発明に係るクリーニング装置は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング部と、
前記クリーニング部において、複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する制御部と、
前記クリーニング前において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知する検知部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2用紙上に検知された前記トナーの濃度に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、
前記クリーニング装置を備える。
【0010】
本発明に係るクリーニング方法は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
用紙搬送方向における搬送タイミングのバラツキに基づいて、前記第1用紙によるクリーニング範囲同士を重ねる長さを設定し、
前記定着部材の外周の周長と、前記第1用紙の搬送方向の長さと、前記重ねる長さとに基づいて、前記定着部材の外周を最小の枚数でクリーニングできるように、前記定着ニップに通過させる前記第1用紙同士の用紙間隔を変更し、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御する。
また、本発明に係るクリーニング方法は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御し、
ユーザーにより設定されたクリーニングの回数に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する。
また、本発明に係るクリーニング方法は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御し、
前記クリーニング後において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知し、
前記第2用紙上に前記トナーが検知された場合、前記クリーニングを実施する。
また、本発明に係るクリーニング方法は、
定着ニップに第1用紙を通過させることによって、前記定着ニップを形成する定着部材に付着したトナーを前記第1用紙に転移させてクリーニングするクリーニング方法であって、
前記クリーニング前において、前記定着ニップを通過させた第2用紙上のトナーを検知し、
複数の前記第1用紙について、前記定着部材に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、前記定着ニップにおける前記第1用紙の通過態様を制御し、
前記第2用紙上に検知された前記トナーの濃度に応じて、前記定着部材をクリーニングする前記第1用紙の通過枚数を変更する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定着部材に付着したトナーのクリーニング漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示した画像形成装置の制御系の主要部を示すブロック図である。
【
図3】定着ベルト上に未定着トナーが付着した状態を示す図である。
【
図4】定着ベルト上に付着した未定着トナーを白紙クリーニングできない場合を説明する図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るクリーニング方法において、白紙クリーニングを実施する手順を説明するフローチャートである。
【
図6】
図5に示したクリーニング方法において、制御内容を決定する手順を説明するフローチャートである。
【
図7】操作表示部において、用紙サイズとクリーニングレベルとを入力する画面を示す図である。
【
図8A】本発明の実施の形態に係るクリーニング方法において、搬送タイミングのバラツキがない場合の白紙クリーニングの用紙間隔を決定する方法を説明する図である。
【
図8B】本発明の実施の形態に係るクリーニング方法において、搬送タイミングのバラツキがある場合の白紙クリーニングの用紙間隔を決定する方法を説明する図である。
【
図9】白紙クリーニングにおいて、用紙の幅方向へのシフト動作を説明する図である。
【
図10】画像形成装置本体の搬送方向下流側の検品部の画像読取部を用いる場合を説明する図である。
【
図11】白紙クリーニング中に補正動作の予約が入った場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の一例を概略的に示す図である。また、
図2は、
図1に示した画像形成装置1の制御系の主要部を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置本体10を備える。画像形成装置本体10は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置本体10には、CMYKの4色に対応する感光体ドラムを中間転写ベルトの走行方向(鉛直方向)に直列配置し、中間転写ベルトに一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。すなわち、画像形成装置本体10は、感光体ドラム上に形成されたCMYKの各色トナー像を中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。ここで、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはブラックである。
【0016】
なお、ここでは、タンデム方式のカラー画像形成装置を例示しているが、画像形成装置本体10は、タンデム方式以外の他の方式の装置でもよいし、また、カラー印刷に限らず、モノクロ印刷の装置でもよい。
【0017】
また、以降においては、画像形成装置1で使用する用紙のうち、後述する白紙クリーニングで使用する用紙をクリーニング用紙(第1用紙)と呼び、画像形成やトナーの検知に使用する用紙(第2用紙)とは区別して説明する。
【0018】
画像形成装置本体10は、
図1、
図2に示すように、画像読取部11、操作表示部12、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16、用紙搬送部17、読取部18、制御部200などを備える。
【0019】
画像読取部11は、自動原稿給紙装置(ADF:Auto Document Feeder)及び原稿画像走査装置(スキャナー)などを備える。画像読取部11において、自動原稿給紙装置からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿が原稿画像走査装置によって読み取られ、入力画像データが生成される。
【0020】
操作表示部12は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部121及び操作部122として機能する(
図2を参照)。表示部121は、制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況などの表示を行う。操作部122は、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
【0021】
画像処理部13は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じた階調補正、色補正、シェーディング補正などの各種補正処理又は圧縮処理などのデジタル画像処理を行う。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部14が制御される。
【0022】
画像形成部14は、画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各色トナーによる画像を形成する。画像形成部14は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置及び中間転写装置を備える。
【0023】
画像形成部14においては、感光体ドラムの表面が帯電装置によって一様に帯電される。この帯電した感光体ドラムに対して、露光装置によって画像データに基づくレーザー光が照射されることにより、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムに対して、現像装置によってトナーが供給されることにより、静電潜像が可視化されてトナー像が形成される。このトナー像が、感光体ドラムから中間転写装置の中間転写ベルト141に転写される。そして、バックアップローラー141aなどに張架された中間転写ベルト141は、二次転写部142の二次転写ローラー142aとの間に二次転写ニップを形成し、形成された二次転写ニップにおいて、中間転写ベルト141から用紙にトナー像が転写される。
【0024】
定着部15は、用紙の定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着ベルト151(定着回転体)などを有する上側定着部、用紙の裏面(定着面の反対の面)側に配置される加圧ローラー152などを有する下側定着部などを備える。
【0025】
定着ベルト151は、加熱ローラー151aや定着ローラー151bなどの複数のローラーにループ状に張架され、これらのローラーにより回転可能に構成され、また、搬送されてきた用紙を加熱可能に構成されている。加圧ローラー152は、定着ベルト151に圧接され、定着ベルト151と加圧ローラー152との間に、用紙を狭持して搬送する定着ニップを形成する。従って、定着部15は、搬送されてきた用紙を、定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙に二次転写された未定着のトナー像を定着させる。
【0026】
カラー印刷の画像形成装置本体10では、モノクロ印刷に比べて、トナー付着量が多く、画像面積が広いため、用紙の加熱に多くの熱量が必要となる。そして、定着ベルト151のウォームアップ時間を短くして、効率良く熱をトナー像に伝えるため、加熱部分となる加熱ローラー151aと加圧部分となる定着ローラー151bを分けたベルト式が用いられている。
【0027】
給紙部16は、複数(
図1では三段)の給紙トレイを有する。給紙トレイには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙が、予め設定された種類ごとに収容される。
【0028】
用紙搬送部17は、搬送経路P1に沿って、給紙部16から給紙された用紙を画像形成部14、定着部15に搬送する。用紙搬送部17には、レジストローラー対171a、171b(
図11を参照)を有するレジスト部171が設けられており、レジスト部171は、二次転写ニップに用紙を搬送する搬送タイミングなどを制御する。また、用紙搬送部17は、レジスト部171を用紙の幅方向に揺動動作させることにより、二次転写ニップや定着ニップに搬送される用紙の幅方向の位置を移動(シフト)することが可能である。
【0029】
用紙搬送部17により搬送される用紙は、画像形成部14の二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト141上のトナー像がその表面に一括して二次転写され、その後、定着部15において未定着のトナー像を定着させる定着処理が施される。画像が形成された用紙は、排紙ローラーにより機外に排紙される。
【0030】
用紙の両面に画像を形成する場合、表面に画像が形成された用紙は、反転経路P2に搬送されて、その表裏が反転させられる。反転経路P2は、搬送経路P1において、定着ニップの用紙搬送方向下流側から分岐し、レジスト部171より用紙搬送方向上流側の合流点Jで合流している。表裏反転後の用紙は、合流点Jから搬送経路P1に搬送されて、画像形成部14、定着部15に搬送される。
【0031】
また、用紙搬送部17は、搬送経路P1及び反転経路P2の経路上に複数の用紙センサー(図示省略)を備えており、このような用紙センサーにより、用紙搬送時における用紙の通過を確認している。用紙ジャムが発生した場合には、これらの用紙センサーにおける用紙の通過を確認することにより、用紙ジャムが発生した位置を特定することができる。
【0032】
読取部18(検知部)は、定着部15の用紙搬送方向下流側において、用紙上に形成された画像を読み取る。読取部18は、例えば、スキャナーなどである。制御部200は、読取部18で読み取った画像と予め用意した基準画像とを比較することで、画像形成装置本体10で用紙上に形成した画像の検品を行うことができる。また、後述するように、画像形成せずに定着ニップを通過させたクリーニング用紙Sを読み取ることにより、定着ベルト151に未定着トナーが付着しているかどうか、更には、未定着トナーの濃度を判定することができる。
【0033】
図2に示すように、制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202及びRAM(Random Access Memory)203などを備える。CPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置本体10の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部212に格納されているLUT(Look Up Table)などの各種データが参照される。記憶部212は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0034】
制御部200は、通信部211を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部200は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部211は、例えば、LANカードなどの通信制御カードで構成される。
【0035】
制御部200には、画像読取部11、操作表示部12、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16、用紙搬送部17、読取部18が、それぞれ接続されている。これらは、制御部200の指示に基づいて所定の処理を実行する。
【0036】
ところで、定着部15において用紙ジャムが発生した場合、用紙上の未定着トナーが定着部材(定着ベルト151)上のどこに付着するか分からない。画像形成装置本体10は、用紙の通過を検知する用紙センサーを備え、用紙ジャムが当該装置内のどこで発生しているか把握可能である。しかしながら、画像形成装置本体10では、用紙ジャムとなった用紙のどこにトナー像が形成されて、未定着のトナー像が定着ベルト151のどこに付着したかまでは把握できない。
【0037】
そして、従来の白紙クリーニング技術では、通常、定着ベルト151の外周の全長より短いクリーニング用紙Sが使用される。未定着のトナー像が定着ベルト151のどこに付着したか分からない場合、例えば、クリーニング用紙Sを定着ニップに搬送する搬送条件によっては、クリーニング用紙Sが定着ベルト151上の未定着トナーと接触しない場合がある。つまり、未定着トナーのクリーニング漏れが発生する可能があった。
【0038】
ここで、未定着トナーのクリーニング漏れが発生する場合について、
図3及び
図4を参照して、より詳細に説明する。
図3は、定着ベルト151上に未定着トナーが付着した状態を示す図である。また、
図4は、定着ベルト上に付着した未定着トナーを白紙クリーニングできない場合を説明する図である。
【0039】
定着部15で用紙ジャムが発生すると、二次転写部142でトナー像が二次転写された用紙が定着ベルト151に巻き付いてしまうことがある。特に、印字率が高い用紙や用紙先端からベタ塗りのトナー像が形成された用紙の場合、定着部15で用紙ジャムが発生し易くなる。このとき、定着ベルト151に巻き付いた用紙のトナー像が未定着の状態で定着ベルト151と接触し、未定着のトナーが定着ベルト151に付着してしまう。
【0040】
用紙ジャムが発生すると、用紙ジャムを解除するため、定着部15に残った用紙を定着部15から退避させるリカバリー処理を実施する。このリカバリー処理後において、定着ベルト151は、未定着トナーで汚れている状態である。
【0041】
このような状態において、画像形成処理の再開によって、定着部15の定着ニップに用紙を通過させると、定着ベルト151に付着した未定着トナーが用紙に付着して、用紙を汚してしまう可能性がある。そのため、リカバリー処理後に白紙クリーニングを行っており、定着部15の定着ニップに白紙のクリーニング用紙Sを通過させることで、定着ベルト151上に付着した未定着トナーをクリーニング用紙Sに転移させてクリーニングするようにしている。
【0042】
白紙クリーニングでは、用紙ジャム発生時の用紙より大きいサイズのクリーニング用紙Sを用いることが推奨されている。ユーザーは、画像形成装置本体10で使用可能な用紙の中から所望の用紙サイズを選択可能であり、また、所望の用紙枚数(通過枚数)を選択可能である。しかしながら、選択した搬送条件によっては、定着ベルト151の全周を満遍なくクリーニングすることができず、定着ベルト151上に付着した未定着トナーをクリーニングできない場合がある。
【0043】
例えば、
図3及び
図4に示すように、定着ベルト151上に未定着トナーTが付着した場合を考える。ここで、定着ベルト151は、一例として、幅330mm、長さ527mmとする。
図4に示した定着ベルト151は、
図3に示した定着ベルト151を、周方向における任意の基準位置Rで切り、周方向に広げた(展開した)ものである。また、未定着トナーTは、幅210mm、長さ10mmとする。この未定着トナーTは、
図4中の左側の基準位置Rから右側へ100mm離れ、右側の基準位置Rから左側へ417mm離れた位置にある。
【0044】
そして、クリーニング用紙Sのサイズとして、短辺給紙のA4(A4SEF)を選択し、また、用紙枚数として、5枚を選択する。クリーニング用紙Sを搬送する用紙間隔(紙間)は、用紙サイズによらず、200mmに固定されている。
【0045】
このような搬送条件を用いて白紙クリーニングを行うと、定着ニップで接触する用紙Sと定着ベルト151との位置関係は、
図4に示すようになる。つまり、1~5枚目のクリーニング用紙Sが定着ベルト151と接触するクリーニング範囲は、1枚毎に周方向に30mmずれることになる。この場合、1枚目のクリーニング用紙Sの開始位置によっては、
図4に示すように、クリーニング用紙Sを5枚使用しても、未定着トナーTにクリーニング用紙Sが接触することはできない。つまり、定着ベルト151上に付着した未定着トナーTをクリーニングできないことになる。白紙クリーニングに使用する用紙枚数を増やせばよいが、上述したように、未定着トナーTが定着ベルト151のどこに付着したか把握できないため、用紙枚数をどの程度増やせばよいか判断することは、ユーザーであっても装置であっても難しい。
【0046】
そこで、本実施の形態において、画像形成装置本体10はクリーニング装置を備える。そして、クリーニング装置は、定着ニップにクリーニング用紙Sを通過させることによって、定着ニップを形成する定着ベルト151に付着した未定着トナーをクリーニング用紙Sに転移させてクリーニングするクリーニング部を備える。加えて、クリーニング装置は、クリーニング部において、複数のクリーニング用紙Sについて、定着ベルト151に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、定着ニップにおけるクリーニング用紙Sの通過態様を制御する制御部200を備える。
【0047】
クリーニング部は、制御部200の1つの機能として備えられている。例えば、クリーニング部は、制御部200で実行されるプログラムとして備えられている。クリーニング部は、定着部15、給紙部16及び用紙搬送部17を制御し、定着ニップにクリーニング用紙Sを通過させることによって、定着ベルト151に付着した未定着トナーをクリーニングする。
【0048】
そして、制御部200は、クリーニング部において、複数のクリーニング用紙Sについて、定着ベルト151に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、定着ニップにおけるクリーニング用紙Sの通過態様を制御するようにしている。このクリーニング範囲とは、定着ニップにおいて、1枚のクリーニング用紙Sが定着ベルト151に接触する範囲である。
【0049】
制御部200が制御する通過態様は、例えば、定着ニップに通過させるクリーニング用紙S同士の用紙間隔(紙間)である。また、制御部200が制御する通過態様は、定着ニップに通過させるクリーニング用紙Sの通過枚数を含んでいてもよい。
【0050】
詳細は
図8Aにおいて説明するが、クリーニング用紙Sを定着ニップに搬送する際に、クリーニング用紙S同士の紙間を変更することにより、複数のクリーニング用紙Sについて、定着ベルト151に対するクリーニング範囲の重なりを小さくすることができる。この結果、定着ベルト151の全周をクリーニング用紙Sで満遍なくクリーニングして、定着ベルト151に付着した未定着トナーのクリーニング漏れを防止することができる。
【0051】
次に、
図5、
図6を参照して、本実施の形態におけるクリーニング方法を説明する。
図5は、本実施の形態におけるクリーニング方法において、白紙クリーニングを実施する手順を説明するフローチャートである。また、
図6は、
図5に示したクリーニング方法において、制御内容を決定する手順を説明するフローチャートである。
【0052】
白紙クリーニングは、例えば、ユーザーが操作部122から指示を行うことにより実施される。又は、例えば、定着部15で用紙ジャムが発生した場合、上述したリカバリー処理後に、制御部200が自動的に白紙クリーニングを実施してもよい。そして、白紙クリーニングは、以下の手順で制御内容が決定されて、実施される。
【0053】
(ステップS11)
制御部200は、白紙クリーニングの制御内容を決定する。具体的には、
図6に示す手順に従って、白紙クリーニングの制御内容(搬送条件)を決定する。
【0054】
(ステップS21)
制御部200は、ユーザーがクリーニング用紙Sのサイズを選択したかどうかを判断する。ユーザーがクリーニング用紙Sのサイズを選択した場合(YES)、ステップS22へ進み、選択しなかった場合(NO)、ステップS23へ進む。
【0055】
図7は、操作表示部12において、用紙サイズとクリーニングレベルとを入力する画面を示す図である。画像形成装置本体10において、例えば、給紙部16が3つの給紙トレイを有し、各々の給紙トレイに、A4SEF、A3、A5の用紙が収納されているとする。その場合、制御部200は、白紙クリーニングで使用可能な用紙サイズとして、A4SEF、A3、A5を操作表示部12に表示する。
【0056】
ユーザーは、クリーニングに使用可能な用紙の中から所望のサイズのクリーニング用紙Sを選択し、これにより、制御部200は、ユーザーがクリーニング用紙Sのサイズを選択したと判断する。例えば、操作表示部12がタッチパネル付の液晶ディスプレイである場合、ユーザーが「トレイ1A4SEF」の領域をタッチすることで、クリーニング用紙Sとして、A4SEFが選択される。なお、所定時間たっても、どの用紙も選択されない場合、制御部200は、ユーザーがクリーニング用紙Sのサイズを選択しなかったと判断する。
【0057】
(ステップS22)
制御部200は、ユーザーが選択したサイズの用紙を白紙のクリーニング用紙Sとして設定する。
【0058】
(ステップS23)
制御部200は、画像形成装置本体10において、給紙部16の給紙トレイに積載されているクリーニングに使用可能な用紙の中から、用紙搬送方向の長さが最も長くなるサイズの用紙をクリーニング用紙Sとして設定する。
【0059】
なお、ここでは、ステップS22又はステップS23において、クリーニング用紙Sとして、A4SEFを設定するものとする。
【0060】
(ステップS24)
制御部200は、ユーザーがクリーニングのレベルを指定したかどうかを判断する。ユーザーがクリーニングのレベルを指定した場合(YES)、ステップS26へ進み、指定しなかった場合(NO)、ステップS25へ進む。
【0061】
図7に示すように、制御部200は、クリーニングレベルを操作表示部12に表示する。クリーニングレベルは、定着ベルト151上の全周をクリーニング用紙Sが通過する回数(繰り返し回数)を意味している。クリーニングレベルは、例えば、1~5で表示され、スライドバー123をレベル1~5の範囲で動かすことでユーザーが指定可能である。例えば、クリーニングレベルを3に設定した場合は、定着ベルト151上の全周をクリーニング用紙Sが3回通過するように、白紙クリーニング時の用紙枚数と用紙間隔を決定する。従って、ユーザーは、スライドバー123を動かすことで、クリーニングレベルを指定し、これにより、制御部200は、ユーザーがクリーニングレベルを指定したと判断する。なお、所定時間たっても、どのレベルも指定されない場合、制御部200は、ユーザーがクリーニングレベルを指定しなかったと判断する。
【0062】
後述のステップS29で説明するが、制御部200は、クリーニングレベルに応じて、白紙クリーニングの繰り返し回数を設定し、設定された繰り返し回数に基づいて、用紙枚数を算出する。
【0063】
(ステップS25)
制御部200は、読取部18で用紙上にトナーを検知したかどうかを確認する。読取部18で用紙上にトナーを検知した場合(YES)、ステップS27へ進み、検知しなかった場合(NO)、ステップS28へ進む。
【0064】
ここでは、読取部18は、定着部15で用紙ジャムが発生し、そのリカバリー処理で定着部15から用紙を取り除いた後、白紙クリーニングの前に、画像形成を行わずに定着ニップを通過させた用紙上のトナーを検知している。また、読取部18は、用紙上のトナーの有無だけでなく、トナーの濃度も検知する。
【0065】
(ステップS26)
制御部200は、ユーザーが指定したクリーニングレベルを設定する。例えば、
図7に示すように、ユーザーがクリーニングレベルを3に指定したときは、制御部200は、クリーニングレベルを3に設定する。
【0066】
(ステップS27)
制御部200は、読取部18で検知されたトナーの濃度に応じて、クリーニングレベルを設定する。具体的には、トナーの濃度が濃くなるに従って、クリーニングレベルを大きい数値にして、白紙クリーニングの繰り返し回数を増やすようにする。
【0067】
(ステップS28)
制御部200は、クリーニングレベルを1に設定する。このクリーニングレベル1では、白紙クリーニングの繰り返し回数が最も少ない回数、例えば、1回となる。
【0068】
(ステップS29)
制御部200は、クリーニングレベルに応じて、白紙クリーニングの繰り返し回数を設定し、設定された繰り返し回数に基づいて、用紙枚数を算出する。
【0069】
ここでは、ステップS22又はステップS23で設定されたA4SEF(長さ297mm×幅210mm)をクリーニング用紙Sとして用いる。また、定着ベルト151は、
図4で示した周長527mm×幅330mmの定着ベルト151とする。これらを用いて、最小限の用紙枚数で定着ベルト151の全周にクリーニング用紙Sが接触するための用紙枚数を決定する。具体的には、「定着ベルト周長527mm<用紙長さ:297mm×2枚」であるため、最小限の用紙枚数を2枚と決定する。そして、決定された用紙枚数と、設定された繰返し回数とを乗算することにより、定着ベルト151の周方向において必要な用紙枚数を算出する。
【0070】
(ステップS30)
制御部200は、画像形成領域幅>用紙幅かどうかを確認する。画像形成領域幅>用紙幅である場合(YES)、ステップS31へ進み、画像形成領域幅>用紙幅でない場合(NO)、ステップS32へ進む。これは、定着ベルト151の幅方向においても、白紙クリーニングに必要な用紙枚数を求めるためである。
【0071】
(ステップS31)
制御部200は、(画像形成領域幅/用紙幅)を切り上げた値と、定着ベルト151の周方向に必要な用紙枚数とを乗算することにより、定着ベルト151の周方向及び幅方向において必要な用紙枚数を算出し、これを搬送制御に使用する用紙枚数として設定する。
【0072】
(ステップS32)
制御部200は、ステップS29で算出された定着ベルト151の周方向において必要な用紙枚数を、搬送制御に使用する用紙枚数として設定する。つまり、画像形成領域幅<用紙幅であるので、定着ベルト151の周方向において必要な用紙枚数で、定着ベルト151の全周を満遍なくクリーニングすることができる。
【0073】
(ステップS33)
制御部200は、用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキを取得する。例えば、予め記憶部212に、用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキに関する情報を記録しておき、制御部200は、用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキに関する情報を記憶部212から取得する。また、用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキを検知するセンサー(図示省略)を画像形成装置本体10に設けておき、制御部200は、このようなセンサーから用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキを取得する。
【0074】
(ステップS34)
制御部200は、用紙枚数、用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキを考慮して、用紙間隔を設定する。
【0075】
用紙間隔の設定について、
図8A及び
図8Bを参照して説明を行う。
図8Aは、本実施の形態に係るクリーニング方法において、搬送タイミングのバラツキがない場合の白紙クリーニングの用紙間隔を決定する方法を説明する図である。
図8Bは、本実施の形態に係るクリーニング方法において、搬送タイミングのバラツキがない場合の白紙クリーニングの用紙間隔を決定する方法を説明する図である。
【0076】
図8Aに示すように、定着ベルト151に対して、1枚目のクリーニング用紙Sでは、定着ベルト151上の0mm~297mmまでの範囲をクリーニングすることができる。2枚目のクリーニング用紙Sの長さも297mmであるので、1枚目のクリーニング用紙Sでクリーニングできなかった定着ベルト151上の297mm~527mmの範囲をクリーニングすることは可能である。
【0077】
ここで、用紙間隔を200mmにしてしまうと、用紙2枚では、定着ベルト151上の297mm~527mmの範囲の一部をクリーニングすることができなくなるので、用紙間隔Gを定着ベルト151の周長527mmとする。クリーニング用紙Sの搬送タイミングにバラツキがなければ、1枚目と2枚目の用紙間隔Gを527mmとすることで、定着ベルト151の全周を満遍なくクリーニングすることができる。
【0078】
つまり、制御部200は、定着ベルト151の外周の周長と、クリーニング用紙Sの搬送方向の長さとに基づいて、定着ニップに通過させるクリーニング用紙S同士の用紙間隔を変更している。このとき、定着ベルト151の外周を最小の枚数でクリーニングできるように、用紙間隔を設定すればよい。
【0079】
しかしながら、用紙搬送方向において、搬送タイミングのバラツキがある場合には、そのバラツキを考慮して、用紙間隔Gを設定する必要がある。例えば、
図8Bに示すように、搬送タイミングのバラツキにより、2枚目のクリーニング用紙Sの位置が右側に30mmずれたとする。この場合、定着ベルト151上の297mm~327mmの範囲をクリーニングすることができなくなる。
【0080】
そこで、定着ベルト151上でクリーニングできない範囲の発生を防止するため、用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキを考慮して、用紙間隔Gを設定するようにしている。例えば、用紙搬送方向の搬送タイミングのバラツキにより、クリーニング用紙Sが最大30mmずれるとすると、これをマージンMとして考慮して、1枚目と2枚目の用紙間隔Gを(周長527mm-マージン30mm=497mm)と設定する。このように、用紙搬送方向における搬送タイミングのバラツキに基づいて、クリーニング範囲同士を重ねる長さを設定している。
【0081】
このように、マージンMを考慮して、用紙間隔Gを設定することは、クリーニング用紙Sによりクリーニングされるクリーニング範囲同士を重ねる長さを設定することになる。つまり、制御部200は、定着ベルト151の外周の周長やクリーニング用紙Sの搬送方向の長さに加えて、クリーニング範囲同士を重ねる長さに基づいて、定着ニップに通過させるクリーニング用紙S同士の用紙間隔を変更している。このときも、定着ベルト151の外周を最小の枚数でクリーニングできるように、用紙間隔を設定すればよい。
【0082】
以上の手順により、制御部200は、白紙クリーニングにおける制御内容を決定する。
【0083】
【0084】
(ステップS12)
制御部200は、上述した制御内容を用いて、定着部15、給紙部16、用紙搬送部17を制御して、白紙クリーニングを開始する。
【0085】
このとき、制御部200は、画像形成領域幅≦用紙幅の場合は、クリーニング用紙Sを定着ベルト151の幅方向に移動させなくても、定着ベルト151上の未定着トナーTをクリーニング用紙Sでクリーニング可能である。従って、以下に説明するクリーニング用紙Sのシフト搬送は行わない。
【0086】
一方、制御部200は、画像形成領域幅>用紙幅の場合は、クリーニング用紙Sを定着ベルト151の幅方向に移動させないと、クリーニング用紙Sでクリーニングできない未定着トナーTの部分が出てくる。このような場合における白紙クリーニングの搬送制御を、
図9を参照して説明を行う。
図9は、白紙クリーニングにおいて、用紙の幅方向へのシフト動作を説明する図である。
【0087】
例えば、A4SEF(長さ297mm×幅210mm)の用紙を用いてフチなし印刷を行った際に、定着部15で用紙ジャムが発生したとする。この場合、
図9に示すように、定着ベルト151に付着する未定着トナーTの幅方向の長さは最長280mmとなり、クリーニング用紙Sの幅よりも大きくなる。つまり、未定着トナーTの幅方向の長さ280mmが、クリーニングに必要なクリーニング幅Wとなる。このように、定着ベルト151上の未定着トナーTの幅がクリーニング用紙Sの幅よりも大きい場合に、定着ベルト151の幅方向の真ん中をクリーニング用紙Sが通過するように搬送するとする(
図9中のクリーニング用紙S(3)を参照)。この場合、クリーニング用紙S(3)の白紙クリーニングでは、除去できない未定着トナーTの部分が出てくる。
【0088】
そこで、ステップS30、S31で説明したように、画像形成領域幅>用紙幅の場合、定着ベルト151の周方向及び幅方向において必要な用紙枚数を算出し、これを搬送制御に使用する用紙枚数として設定している。
【0089】
そして、制御部200は、定着ベルト151よりも上流側に位置するレジスト部171を、図示省略した揺動部(シフト機構)で幅方向にシフトさせる。これにより、定着ベルト151に対するクリーニング用紙Sのクリーニング範囲が幅方向に移動するように、定着ニップに通過させるクリーニング用紙Sの通過位置を幅方向に移動させる。
【0090】
例えば、
図9に示すように、クリーニング用紙S(1)を定着ベルト151の幅方向の一方側の端部(
図9中の上側の端部)にシフトして搬送する。また、クリーニング用紙S(2)を定着ベルト151の幅方向の他方側の端部(
図9中の下側の端部)にシフトして搬送する。このように、定着ベルト151に対するクリーニング範囲が幅方向に移動するように、クリーニング用紙Sの搬送制御を行う。これにより、定着ベルト151上の未定着トナーTの幅がクリーニング用紙Sの幅よりも大きい場合でも、白紙クリーニングで未定着トナーT除去することができる。
【0091】
また、
図5に戻って、ステップS13以降を説明する。
【0092】
(ステップS13)
制御部200は、白紙クリーニングが完了したかどうかを確認する。完了した場合(YES)、ステップS14へ進み、完了していない場合、このステップS13を繰り返す。白紙クリーニングの完了は、ステップS31又はステップS32で設定した用紙枚数で判断する。
【0093】
(ステップS14)
制御部200は、画像形成を行わずに、定着ニップに白紙の用紙を通過させ、定着ニップ通過後の用紙を読取部18で読み取る。
【0094】
(ステップS15)
制御部200は、読取部18で用紙上にトナーが検知されたかどうかを確認する。読取部18でトナーが検知された場合(YES)、ステップS12へ戻り、検知さない場合(NO)、一連の手順を終了する。読取部18でトナーが検知された場合、定着ベルト151に未定着トナーがまだ残っている状態であるので、再度、白紙クリーニングを繰り返すことになる。
【0095】
以上の手順により、複数のクリーニング用紙Sについて、定着ベルト151に対するクリーニング範囲の重なりを小さくすることができ、これにより、定着ベルト151の全周をクリーニング用紙Sで満遍なくクリーニングすることができる。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態において、画像形成装置本体10はクリーニング装置を備える。そして、クリーニング装置は、定着ニップにクリーニング用紙Sを通過させることによって、定着ニップを形成する定着ベルト151に付着した未定着トナーをクリーニング用紙Sに転移させてクリーニングするクリーニング部を備える。加えて、クリーニング装置は、クリーニング部において、複数のクリーニング用紙Sについて、定着ベルト151に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるように、定着ニップにおけるクリーニング用紙Sの通過態様を制御する制御部200を備える。
【0097】
このように構成した本実施の形態によれば、複数のクリーニング用紙Sについて、定着ベルト151に対するクリーニング範囲の重なりが小さくなるようするので、定着ベルト151の全周をクリーニング用紙Sで満遍なくクリーニングすることができる。この結果、定着ベルト151に付着した未定着トナーのクリーニング漏れを防止することができる。また、少ない用紙枚数で、定着ベルト151に付着した未定着トナーのクリーニング漏れを防止することもできる。
【0098】
<変形例1>
図10は、画像形成装置本体10の搬送方向下流側の検品部20の画像読取部21を用いる場合を説明する図である。
【0099】
上記の実施の形態においては、画像形成装置本体10の内部に読取部18を備えていた。本変形例において、画像形成装置1は、その搬送方向下流側において、用紙に形成した画像を検品する検品部20、画像形成を行った用紙のステイプル加工、パンチ加工、折り加工などを行う後処理装置30などを備える。この場合、検品部20が備える画像読取部21を、上記の読取部18に代えて使用するようにする。
【0100】
このように、画像読取部21を用いることにより、白紙クリーニングの前後において、定着ベルト151の未定着トナーの状態を確認することができる。
【0101】
<変形例2>
上記の実施の形態においては、白紙クリーニングが中断される場合は考慮されていない。本変形例では、白紙クリーニングが中断される場合を考慮して、以下のように、白紙クリーニングを実施する。
【0102】
上記中断は、例えば、白紙クリーニング中において、1枚目のクリーニング用紙Sを用いた白紙クリーニングは完了したが、2枚目のクリーニング用紙Sが、トレイになかったり、用紙ジャムにより定着部15に到達しなかったりした場合などが考えられる。このような場合、制御部200は、用紙補給やジャム処理後に、中断前と同じ条件で、白紙クリーニングを途中(この場合、2枚目から)から又は最初からやり直すようにする。
【0103】
このように、白紙クリーニングが中断される場合、白紙クリーニングを途中又は最初からやり直すので、定着ベルト151の全周をクリーニング用紙Sで満遍なくクリーニングすることができる。この結果、定着ベルト151に付着した未定着トナーのクリーニング漏れを防止することができる。
【0104】
<変形例3>
上記の実施の形態においては、白紙クリーニング中に他の制御動作が要求される場合は考慮されていない。本変形例では、白紙クリーニング中に他の制御動作が要求される場合を考慮して、以下のように、白紙クリーニングを実施する。
【0105】
図11は、白紙クリーニング中に補正動作の予約が入った場合を説明する図である。例えば、
図11に示すように、一枚目のクリーニング用紙S(1)で定着ベルト151を白紙クリーニングしているとする。このとき、2枚目のクリーニング用紙S(2)は二次転写部142に到達する前であり、2枚目のクリーニング用紙S(2)をレジスト部171で待機させている。このとき、画像形成装置本体10の補正動作(例えば、トナーの濃度調整など)の予約が入る場合がある。
【0106】
このような場合、制御部200は、白紙クリーニングを中断して、補正動作を実行するのではなく、白紙クリーニングが完了するまで補正動作を行わないようにする。また、白紙クリーニング中に複数の補正動作の予約が入った場合には、白紙クリーニング完了後にまとめて補正動作を実施するようにする。
【0107】
このように、白紙クリーニング中に他の制御動作が要求される場合、白紙クリーニングが完了するまで他の制御動作を行わないようにし、白紙クリーニングの完了後に他の制御動作を実施するようにする。このようにすることで、定着ベルト151に付着した未定着トナーをできるだけ短時間の内にクリーニングするようにしている。
【0108】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 画像形成装置
10 画像形成装置本体
14 画像形成部
15 定着部
151 定着ベルト
152 加圧ローラー
16 給紙部
17 用紙搬送部
171 レジスト部
18 読取部
20 検品部
21 画像読取部